説明

撮像装置

【課題】再生モード時に自動的に外部の明るさに合わせた表示部の輝度とする機能を有した撮像装置とする。
【解決手段】撮像装置は、撮像モードと再生モードの機能を備え、撮像光学系20と、当該撮像光学系20を保持するレンズ鏡筒30と、このレンズ鏡筒30の先端に位置して撮像光学系20の前面を保護するレンズ保護部40と、撮像素子26とを有し、レンズ保護部40は、撮像光学系20の前方に略方形状の透孔部を備えるカバー部41と、当該透孔部を閉状態又は開状態とするレンズバリア42と、レンズバリア42の開閉を制御するバリア制御部44を有し、レンズ保護部40には外光を取り込むための第一外光取込穴43を有し、第一外光取込穴43からレンズ鏡筒30内に入射される光量を検出して表示部の輝度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズユニットを備えるデジタルカメラ等の撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ等の撮像装置は小型化し、手の平サイズ又はカードサイズにまで縮小している一方で、小型化する撮像装置の機能に関しては多機能化を要求されている。このような多機能の撮像装置では、撮像対象の画像のみでなく既に撮像した画像をカメラに備え付けられた表示部で見ることができる再生モードを備えたものが主流となっている。
【0003】
又、多機能を要求される一方で、再生モード、撮像モードの両モードでの省エネ化による電池の長寿命化も要求されている。例えば特開平8−242398号公報(特許文献1)では、撮像モード時に被写体の輝度を測定するための測定手段を備え、当該測定手段により得られた被写体の輝度に応じて表示部の表示状態を変化させる手段を有したカメラについて提案がなされている。
【0004】
当該発明では、周囲が明るく、被写体の輝度も高いときには表示部としての液晶のバックライトの輝度を高くし、周囲が暗いときにはバックライトの輝度を低く抑えることで電池の長寿命化を実現している。又、電池の長寿命化の他の方法として、再生モード時に撮像者が液晶の輝度を選択することで、無駄な電力消費を抑えるといった方法もある。
【特許文献1】特開平8−242398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、再生モードの度に撮像者が液晶の輝度を選択することは煩わしいものであり、殆どの場合一定の輝度で用いるため、明るい場所を基準とした輝度で再生することが多く、電池の消耗を早くすることが多かった。又、再生モード時に自動で輝度を変化させるといった機能を有した撮像装置はなかった。
【0006】
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、再生モード時に自動で外部の明るさを検知することが可能なレンズユニットを備え、再生モード時に自動的に表示部の輝度を変化させる機能を有した撮像装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像装置(1)は、撮像制御手段や表示部制御手段を備えて撮像モードと再生モードの機能を有し、撮像光学系(20)と、当該撮像光学系(20)を保持するレンズ鏡筒(30)と、このレンズ鏡筒(30)の先端に位置して撮像光学系(20)の前面を保護するレンズ保護部(40)と、撮像素子(26)とを有し、レンズ保護部(40)は、撮像光学系(20)の前方に略方形状の透孔部を備えるカバー部(41)と、当該透孔部を閉状態又は開状態とするレンズバリア(42)と、レンズバリア(42)の開閉を制御するバリア制御部(44)を有し、レンズ保護部(40)には外光を取り込むための第一外光取込穴(43)を有し、第一外光取込穴(43)からレンズ鏡筒(30)内に入射される光量を検出して表示部(5)の輝度を制御するものである。
【0008】
更に、レンズ保護部(40)に設ける第一外光取込穴(43)は、カバー部(41)の任意の位置に形成するものとし、レンズバリア(42)の閉状態の時はレンズバリア(42)の位置から外れるも、レンズバリア(42)の開状態時にレンズバリア(42)が位置する場所に形成することがある。又、このカバー部(41)の任意の位置に形成される第一外光取込穴(43)は、バリア制御部(44)の前方位置に形成するものとし、バリア制御部(44)には、レンズバリア(42)の閉状態時に第一外光取込穴(43)の光軸上となる位置に外光用小孔(37)を設けることもある。
【0009】
そして、カバー部(41)に第一外光取込穴(43)を設けると共に、カバー部(41)の後方には第一外光取込穴(43)を開閉可能とする第一外光取込穴カバー(53)と、当該第一外光取込穴カバー(53)の開閉を制御するカバー駆動装置(54)を設けることもある。
又、第一外光取込穴(43)の光軸上の第一レンズ群保持部(35)に第二外光取込穴(47)を設けることもある。
【0010】
そして、第一外光取込穴(43)の光軸上に第一反射プリズム(51)を設けることや、レンズバリア(42)の裏面側に、第一外光取込穴(43)より入射し第一反射プリズム(51)で反射した光を撮像光学系(20)の光軸方向に反射させるための第二反射プリズム(52)を設けることもある。
【0011】
又、レンズ保護部(40)に第一外光取込穴(43)を設けるに際し、レンズバリア(42)におけるレンズ光軸上の位置に第一外光取込穴(43)を設けることがあり、この第一外光取込穴(43)に透光性の透明板(50)を配置することもある。
【0012】
更に、第二レンズ群(22)はレンズ可動支持部材(33)により保持されており、当該レンズ可動支持部材(33)に、第一外光取込穴(43)及び第二外光取込穴(47)の光軸上に第三外光取込穴(48)を設け、撮像素子(26)は撮像光学系(20)の光軸上から各外光取込穴の光軸上まで稼働可能とされ、撮像素子(26)の稼働を制御する撮像素子稼働手段を設けることもある。
そして、これらのレンズユニット(2)は、レンズ鏡筒(30)に入射される光量を撮像素子(26)により検出するものである。
【0013】
又、第一外光取込穴(43)の光軸上に外光用受光素子(55)を設けることもある。
そして、表示部(5)の輝度を制御する表示部制御手段は、レンズ鏡筒(30)に入射される光量に比例して表示部(5)の輝度を段階的に調整制御するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、再生モード時に自動で外部の明るさを検知することが可能なレンズユニットを備え、再生モード時に自動的に表示部の輝度を変化させる機能を有した撮像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態の撮像装置1は、撮像制御手段や表示部制御手段を備えて撮像モードと再生モードの機能を有し、撮像光学系20と、当該撮像光学系20を保持するレンズ鏡筒30と、このレンズ鏡筒30の先端に位置して撮像光学系20の前面を保護するレンズ保護部40と、撮像素子26とを有し、レンズ保護部40は、撮像光学系20の前方に略方形状の透孔部を備えるカバー部41と、当該透孔部を閉状態又は開状態とするレンズバリア42と、レンズバリア42の開閉を制御するバリア制御部44を有し、レンズ保護部40には外光を取り込むための第一外光取込穴43を有し、第一外光取込穴43からレンズ鏡筒30内に入射される光量を撮像素子26で検出して表示部の輝度を制御する表示部制御手段を有するものである。
【0016】
そして、カバー部41に設けた第一外光取込穴43は、カバー部41のレンズバリア42が開状態時に位置する場所に形成されているものである。
尚、レンズ鏡筒は、第一レンズ群21を保持する第一鏡筒31と、第二鏡筒32と、常時固定の鏡筒枠38を有し、第一鏡筒31と第二鏡筒32とを伸縮可能な沈胴式レンズユニット2としているものである。
【0017】
本最良の形態によれば、再生モード時に外部の明るさを検知可能なレンズユニット2を備え、外部の明るさに適合した輝度に表示部5を自動的に調整する機能を有する沈胴型レンズを有する薄型の撮像装置1を提供することができる。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。本発明に係る撮像装置の第1の実施例は、撮像する撮像モードと、既に撮像した画像を再生する再生モードを有し、撮像モード時には、カメラ筐体内部に収納されていたレンズ鏡筒が外部に繰り出す沈胴式のレンズユニット2を有するものである。
【0019】
そして、カメラ筐体は、正面板と背面板を有する薄肉方形体であり、レンズユニット2としてレンズ鏡筒30に覆われた撮像光学系20を内蔵し、筐体正面には、図1に示すように、当該撮像光学系20を保護するレンズ保護部40と、レンズ保護部40の任意の位置に形成された第一外光取込穴43とを有し、更に、フラッシュ3等を適宜配設しているものである。
【0020】
又、撮像装置1の裏面には、図2に示すように、液晶表示板などを用いた表示部5、メニューボタンや各種機能を設定する設定ボタン等の各種ボタン6、方向キー7等が配設され、更に、撮像装置1の上面には、図示しないが、電源ボタンや撮影ボタン、撮像モードと再生モードを切替える切替えボタン等を適宜配設しているものである。
【0021】
更に、カメラ筐体の内部には、レンズユニット2や、画像処理を含む各種の制御を行う撮像制御手段及び表示部を制御する表示部制御手段としてのマイクロコンピュータ、更に、画像データを保存するメモリ等を備えている。そして、電源を入れて撮像モードに切替えるとレンズユニット2が前方に繰り出し撮像が可能となり、このレンズユニット2の繰り出し時に再生モードに切替えると、レンズユニット2は一定時間たった後に自動的に収納される。又、再生モードとして電源を入れた場合にはレンズユニット2は収納された状態のまま再生モードとなるものである。
【0022】
そして、撮像装置1のレンズユニット2は、図3、図4に示すように、入射した光を信号に変換する撮像素子26と、第一レンズ群21と、変倍用の可動式の第二レンズ群22と、レンズ焦点を合わせるための第三レンズ群23と、常時固定で撮像素子26の近傍に位置する第四レンズ群24とからなる撮像光学系20と、これらを保護するレンズ鏡筒30として、正面方向に繰り出す第一鏡筒31と第二鏡筒32、更に、常時固定の鏡筒枠38を備えている。尚、本実施例の説明において、正面は撮像対象側を意味し、裏面はレンズユニット2の内部側又は撮像装置1を設ける背面板の方向である。
【0023】
この第一レンズ群21は、第一レンズ群保持部35によって第一鏡筒31に保持されており、撮像モード時にはカメラ筐体から外部に繰り出し、撮像光学系20の中で最も先端に位置する。そして、第一鏡筒31の先端部に第一レンズ群21を保護するレンズ保護部40を備えているものである。
【0024】
又、第二レンズ群22は第一レンズ群21との距離を変化させて撮像画像の倍率を変化させる機能を有するレンズ群であり、第一鏡筒31の内側の位置にレンズ可動支持部材33によって第一鏡筒31の伸縮と異なる伸縮動作が可能な可動式として保持しているものである。
【0025】
この撮像画像の倍率を変化させる方法としては、第一レンズ群21は常時固定とし、第二レンズ群22を稼働させることにより第一レンズ群21との間の距離を変化させて倍率を変化させる場合と、第一レンズ群21と第二レンズ群22を稼働させる場合とがある。つまり、レンズユニット2の繰り出し時の突出量は常に一定として内部のレンズ群のみを稼働させる場合と、第一鏡筒31自体の突出量を変化させることにより倍率を変化させる場合とがある。
【0026】
そして、第三レンズ群23は、第二レンズ群22と第一レンズ群21との間の距離を変化させたときに生じるレンズ焦点のズレを調整するものであり、第二レンズ群22との距離を変化させてレンズ焦点のズレを調整している。この第三レンズ群23は、第二レンズ群22の裏面側近傍にレンズ可動支持部材33によって保持している。尚、焦点調整としては、第三レンズ群23の近傍に開口絞りを設置し、この開口絞りによって調整することもある。
【0027】
又、第二鏡筒32の内面にはレンズユニット2の沈胴動作をスムーズにするための沈胴支持部材34を設置しており、この沈胴支持部材34によりレンズユニット2が沈胴動作をするとき、第一鏡筒31や第二鏡筒32が傾くことを防止してスムーズな直線的沈胴動作を可能にしている。
【0028】
そして、第四レンズ群24は撮像素子26に光を集光するための撮像光学系20であり、第四レンズ群固定部材36によって固定しており、撮像素子26は第四レンズ群固定部材36と鏡筒背面板39の間に係止している。
【0029】
この撮像素子26はLPF(Low-Pass Filter)と呼ばれる遮断周波数以下の周波数の信号だけを通過させ、遮断周波数以上の周波数の信号を減衰させるフィルタを備えたものであり、一般的にはCCD(電荷結合素子)と呼ばれている。そして、各種光学系より入射した光の信号を撮像装置1を制御する撮像制御手段に送信するものである。
【0030】
又、レンズ保護部40は、円盤状とされ、その中央近傍に矩形の透孔部が撮像光学系20の光軸上に形成されたカバー部41を備え、電源オフ時や再生モード時などにカバー部41に設けた透孔部を保護する開閉式のレンズバリア42を備えている。又、このカバー部41のレンズバリア42が開状態時に位置する場所に外光を取り込むための第一外光取込穴43としての外光取込穴を形成している。
【0031】
そして、レンズバリア42の開閉機構は、バリア制御部44と、スライダ作動突起45と、スライダ誘導部材46とから構成している。バリア制御部44は、開口部を有するドーナツ板形状であり、当該開口部がカバー部41の透孔部の周縁を覆うようにカバー部41の裏面側に回転可能に配置し、カバー部41との間に隙間を設けているものである。
【0032】
又、このカバー部41とバリア制御部44との隙間にレンズバリア42を配置しており、バリア制御部44を僅かに回転させるとレンズバリア42が開閉する構造としている。更に、図5に示すように、バリア制御部44は、レンズバリア42の閉状態時に第一外光取込穴43の光軸上となる位置に湾曲部を形成しており、第一外光取込穴43から入射する外光がレンズユニット2の内部に入射可能としている。
【0033】
更に、バリア制御部44の裏面側には、先端部をテーパー状に形成したスライダ作動突起45を取付けている。又、スライダ誘導部材46は、第四レンズ群固定部材36の正面側に固定しており、スライダ作動突起45と同様に先端部をテーパー状に形成している。
【0034】
そして、レンズユニット2の収納状態時には、図3に示すように、スライダ作動突起45とスライダ誘導部材46の先端に形成されたテーパー部が対向して接触した状態となり、このバリア制御部44はスライダ作動突起45のテーパー部とスライダ誘導部材46のテーパー部によって任意の方向に回転した状態で保持されるため、図5に示すように、第一外光取込穴43が開いた状態とすることができるものとしている。
【0035】
一方、レンズユニット2の繰り出し状態時には、図4に示すように、スライダ作動突起45とスライダ誘導部材46の先端に形成されたテーパー部の接触状態が解除され、バリア制御部44は開放されて、図示していないバネ等によって僅かに回転し、レンズバリア42を開くものとし、図6に示すように、開いたレンズバリア42が第一外光取込穴43をカバー部41の裏面側から塞ぎ、第一外光取込穴43から外光が入射しない状態とするものである。
【0036】
そして、撮像モード時から電源をオフにした時や、再生モードに切替えた時には、レンズユニット2は収納状態になるため、スライダ作動突起45とスライダ誘導部材46の先端に形成されたテーパー部が再び接触し、テーパー部に誘導されてバリア制御部44が僅かに回転し、レンズバリア42を再び閉じるようにしている。
【0037】
このようなレンズバリア開閉機構により、レンズユニット2の収納時には、図7に示すようにレンズバリア42を閉じた状態とすると同時に第一外光取込穴43を開放し、レンズユニット2が繰り出した時には、図8に示すように、レンズバリア42を開状態とすると同時に第一外光取込穴43は裏面側から蓋をすることができる。
【0038】
このようなレンズユニット2の構成により、第一外光取込穴43から入射した光は、図3においては直線で描いてあるも、実際はレンズユニット2内で拡散し、散乱光となって撮像光学系20の後方に配置した撮像素子26に到達し、撮像素子26において外部の明るさを検知することを可能としている。
【0039】
そして、撮像素子26は再生モード時においても駆動させることとし、再生モード時に第一外光取込穴43より入射した光量に対応した輝度情報信号を出力させて外部の明るさを検知することを可能とし、更に、この外部の明るさの検知結果に適合した表示部の輝度を表示部制御手段で制御することにより、再生モード時において外部の明るさに応じたバックライトの輝度に調整するものである。
【0040】
尚、液晶表示板のバックライト輝度調整に際しては5段階等の段階を予め設定し、撮像素子26の受光量に合わせ、再生モード時において撮像素子26の出力輝度情報に比例させてバックライトを調整しているものである。このように、輝度調整を段階的に行うことにより、撮像制御手段による撮像素子26の受光量検出制御及び表示部制御手段による表示部5の輝度制御を容易としているものである。
【0041】
本実施例によれば、再生モード時の外部の明るさに合わせた表示部5の輝度を用いることができるため、外部が明るいときにはバックライトを明るく、外部が暗いときにはバックライトの輝度を自動的に抑えることができ、これによって無駄な電力の消費を少なく抑えることができる。尚、撮像素子26において外部の明るさを検知する動作は、再生モード時に切り替わった際の最初に一回だけ行うようにしたり、再生モード中に定期的に行ったりしてもよいし、あるいは再生モード中継続して行うようにしてもよい。一回だけ、又は、定期的に行うようにすれば、更に撮像装置1の電池寿命を長寿化できる。
【0042】
又、第一外光取込穴43を形成したことにより、レンズユニット2の収納状態時においても外光を取込むことができ、再生モード時に外部の明るさを検出するためにレンズユニット2を無用に繰り出させるといった動作をする必要が無く、レンズユニット2を収納状態としたままで外部の明るさを検知し、外部の明るさに応じた表示部の輝度を提供することができる。
【0043】
更に、レンズユニット2が繰り出した状態の撮像モード時には、レンズバリア42が第一外光取込穴43をカバー部41の裏面側から蓋をするため、この第一外光取込穴43から撮像中にレンズユニット2内部に光が入ることを防ぐことができ、撮像した画像の質を低下させることもない。
【0044】
以上のように、画質を低下させることのない撮像や輝度調整による見易い画面表示を行って電力消費を少なく抑えることができ、電池寿命の長寿化が可能となり、撮像者にとって使用しやすい撮像装置1を提供することができる。
【0045】
次に、第1の実施例の変形例について述べる。上述したレンズユニット2では、レンズバリア42がカバー部41の裏面側から第一外光取込穴43の蓋をする形状としていたが、本変形例のバリア制御部44は、図9に示すように、バリア制御部44の一部に外光用小孔37を形成するものであり、このバリア制御部に設ける外光用小孔37は、レンズユニット2の収納時に第一外光取込穴43の光軸上となる位置とするものである。
【0046】
このように、バリア制御部44において第一外光取込穴43の光軸上となる位置に外光用小孔37を形成することにより、レンズユニット2が繰り出した状態時には、図10に示すように、バリア制御部44が微少量回転し、第一外光取込穴43の光軸と外光用小孔37がずれ、第一外光取込穴43をバリア制御部44により塞ぐことができ、よって、外光がレンズユニット2内に入射することを防止することができる。
【0047】
又、レンズユニット2の収納時には、第一外光取込穴43の光軸とバリア制御部44の外光用小孔37が重なるため、外光をレンズユニット2の内部に取り込むことが可能となり、上述のレンズユニット2と同様に外部の明るさを検知することができるため、再生モード時の外部の明るさに合わせた表示部の輝度とすることができる。
【0048】
次に、本発明の第2の実施例の撮像装置1について述べる。本実施例のレンズユニット2は、図11に示すように、第一鏡筒31に第二外光取込穴47を形成するものである。この第二外光取込穴47は第一外光取込穴43の光軸上に配置し、その他の構成については上述した第1の実施例と同様とするものである。
【0049】
この実施例では、第一外光取込穴43から入射した光は第二外光取込穴47を通過して第一鏡筒31の内部に入射し、第一鏡筒31の内部に入射した光は、第一鏡筒31内部で拡散して散乱光となり、第二レンズ群22、第三レンズ群23、第四レンズ群24を透過して撮像素子26に入射される。
【0050】
本実施例によれば、第1の実施例に比較し、第1の実施例では、第一外光取込穴43から第一鏡筒31の内部に入射した外光が第一レンズ群21から第四レンズ群24まで透過して撮像素子26に照射する構成となっていたのに対し、第2の実施例では第二外光取込穴47を形成することにより、第一レンズ群21を透過させる必要が無くなるため、撮像素子26に入射される光の減衰を減らし、第1の実施例よりも外部の明るさを検出するに際して精度の高い検出を行うことができる。
【0051】
よって、第1の実施例のレンズユニット2と比較して、より正確な外部の明るさ検出を行うことができ、より撮像者にとって見やすい輝度の画面表示を提供することができ、更に、より効果的に電力消費を抑えることができる。
【0052】
次に、本発明の第3の実施例の撮像装置1について述べる。本実施例において用いるレンズユニット2は、図12に示すように、第一外光取込穴43の光軸上に第一反射プリズム51を配置するものである。その他の構成については上述した第1の実施例と同様である。
【0053】
従って、第1の実施例では、第一外光取込穴43から入射した外光が拡散して撮像素子26に到達する光の量が減少していたのに対し、反射プリズム51を配置することにより第一外光取込穴43から入射した光を第一レンズ群21へ多量に誘導することが可能となり、撮像素子26に到達する外光の量を多くすることができる。
【0054】
よって、第1の実施例のレンズユニット2と比較して、より正確な外部の明るさを検出することができ、より一層電力消費を抑えつつ撮像者にとってより見やすい輝度に画面表示を調整することができる。
【0055】
次に、本実施例のレンズユニット2の変形例について述べる。このレンズユニット2は図13に示すように、レンズバリア42の裏側に更に第二反射プリズム52を配置するものである。
【0056】
この第二反射プリズム52は、第一反射プリズム51で反射した外光の光軸上に配置しており、第一外光取込穴43から入射した外光は、第一反射プリズム51で反射されて第二反射プリズム52に照射され、第二反射プリズム51で照射した外光は、更に第二反射プリズム51で反射されて撮像光学系20の光軸方向に向けられて第一レンズ群51に照射されるものである。
【0057】
従って、第一反射プリズム51のみを用いて第一外光取込穴43よって入射した外光を第一レンズ群21に誘導する場合に比較し、第二反射プリズム52を配置することにより、第一反射プリズム51で反射した光を第二反射プリズム52で撮像素子26に向けて反射することができるため、第一外光取込穴43から入射した外光を拡散させることなく撮像素子26に照射することができる。
【0058】
これにより、より正確な外部の明るさを判定することができ、更に、電力消費を抑えることも可能となる。尚、第二反射プリズム52をレンズバリア42と一体成形することも可能である。
【0059】
次に、本発明の第4の実施例の撮像装置1について述べる。本実施例のレンズユニット2は、図14に示すように、第一レンズ群21を保持している第一鏡筒31の一部に切りかけ部を形成し、この切りかけ部の位置に第一外光取込穴43を開閉する専用の開閉機構を設けているものである。
【0060】
この専用の開閉機構としては、第一外光取込穴43を開閉可能な可動式の第一外光取込穴カバー53と当該第一外光取込穴カバー53の駆動手段としてのカバー駆動装置54とするモータを配置している。尚、カバー駆動装置54としては、第一外光取込穴カバー53を稼働又は摺動させるソレノイド等を用いることもできる。
【0061】
この開閉機構は、撮像装置の電源がオフ状態の時及び撮像モード時には第一外光取込穴カバー53は裏面側から第一外光取込穴43の蓋をした状態とし、再生モード時にのみ第一外光取込穴カバー53を開くものである。これにより、再生モード時に第一外光取込穴43より外光をレンズユニット2内部に取り込むことができ、表示部の輝度を調整することができる。
【0062】
又、これまでに述べたレンズユニット2は、収納時には常に第一外光取込穴43が開いた状態であったが、第一外光取込穴43専用の開閉機構を設けたことにより、再生モード時以外の時には第一外光取込穴43を塞ぐことができるため、埃の流入等のおそれがなくなることや、第一外光取込穴43の位置をレンズバリア42の移動範囲やバリア制御部44の前方位置に限定する必要がなくなるといった新たな効果を得ることができる。
【0063】
尚、第一外光取込穴43の後方に開閉機構を設けると共に、第2の実施例で述べた第一反射プリズムや第二反射プリズムを組み合わせて形成する場合や、第一外光取込穴43の後方に第二外光取込穴を設ける場合もある。
【0064】
次に、本発明の第5の実施例の撮像装置1について述べる。本実施例のレンズユニット2は、図15に示すように、第一外光取込穴43の光軸上に第一外光取込穴43から入射した外部の明るさを検知する外光専用の外光用受光素子55を配置しているものである。その他の構成については上述した第1の実施例と同様である。
【0065】
このように外光用受光素子55を設けることにより、第一外光取込穴43から入射した光が外光用受光素子55に到達するまでの減衰をなくし、正確な外部の明るさを検知することができ、よって、より撮像者にとって見やすい輝度の画面表示を提供することができ、更に、無駄な電力消費を抑えることも可能となる。
【0066】
次に、本発明の第6の実施例の撮像装置1について述べる。本実施例のレンズユニット2は、図16に示すように、第一鏡筒31に第二外光取込穴47を、レンズ可動支持部材33に第三外光取込穴48を形成するものであり、更に、撮像素子26は撮像光学系20の光軸上から各外光取込穴43、47、48の光軸上まで稼働可能とし、この撮像素子を稼働させる撮像素子稼働手段を設けるものである。尚、第一外光取込穴43、第二外光取込穴47、第三外光取込穴48は同一の光軸上に配置しているものである。
【0067】
そして、電源がオフ状態時及び撮像モード時には図16に示すように、撮像素子26は撮像光学系20の光軸上に位置させ、再生モードに切替えると、撮像素子可動手段により撮像素子26を図17に示すように第一外光取込穴43の光軸上にスライドさせるものである。よって、再生モード時には、第一外光取込穴43より入射した外光を、第二外光取込穴47、第三外光取込穴48を通過させて撮像素子26に直接入射することができる。
【0068】
従って、本実施例によれば、再生モード時に第一外光取込穴43から入射した外光は、一直線に撮像素子26に入射されるため、外部の正確な明るさを検知することができ、より撮像者にとって見やすい輝度の画面表示を提供することができ、更に、無駄な電力消費を抑えることも可能となる。
【0069】
更に、本発明の第7の実施例の撮像装置1について述べる。本実施例のレンズユニット2は、図18に示すように、レンズバリア42のレンズユニット2の撮像光学系20の光軸上に第一外光取込穴43を形成しているものである。
【0070】
本実施例のレンズユニット2は、レンズバリア42が閉じた状態でも第一外光取込穴43より外光が入射するため、上述した実施例のレンズユニット2と同様に受光素子に外光を照射することができ、再生モード時のバックライトの輝度を調整することが可能となる。又、第一外光取込穴43がレンズユニット2の撮像光学系20の光軸上に形成されているため、第一外光取込穴43より入射した外光は一直線に撮像素子26に入射されることになり、レンズユニット2内部での外光の減衰量を抑えることができる。
【0071】
よって、再生モード時でも外部の輝度に適合した表示部の輝度を自動的に選択することができ、撮像者にとって見やすい輝度の画面表示を提供することができ、更に、無駄な電力消費を抑えることも可能となる。
【0072】
又、図19に示すように、この第一外光取込穴43の位置に透光性の透明板50を取付けることもある。この場合は、第一外光取込穴43から埃等が混入することを防止することができる。
【0073】
そして、上記各実施例は、沈胴式のレンズユニット2を備えた撮像装置1としての薄型デジタルカメラとしているも、正面板における第一レンズ群21の前方をレンズ保護部40として第一レンズ群21の前方に矩形の透孔部を設け、正面板の内側に開閉可能なレンズバリア42を備える固定鏡筒型であって、第二レンズ群22と第三レンズ群23とを移動させる内部ズーム式とするレンズユニット2を備えた撮像装置1とすることもある。
【0074】
尚、上述した実施例においては、液晶表示板を用いた表示部の輝度を制御するためにバックライトの輝度を制御しているも、液晶の表示駆動方法を変えて輝度を調整する場合や、ELディスプレイやLED表示板等の自発光装置を用いた場合においては表示板の輝度を調整することもあり、表示部の輝度を表示部制御手段により外部の明るさに合わせて適宜制御すれば足りるものである。
【0075】
又、この撮像装置1は、静止画を記録するデジタルカメラに限るものでなく、ビデオカメラなどの如く、動画を撮像してメモリに記録可能とする撮像装置とすることもある。
【0076】
尚、本発明は、以上の実施例の形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る撮像装置の第1の実施例における正面図。
【図2】本発明に係る撮像装置の第1の実施例における背面図。
【図3】本発明に係る撮像装置の第1の実施例におけるレンズユニット収納時の断面図。
【図4】本発明に係る撮像装置の第1の実施例におけるレンズユニット繰り出し時の断面図。
【図5】本発明に係る撮像装置の第1の実施例におけるレンズユニット収納時のレンズ保護部の裏面図。
【図6】本発明に係る撮像装置の第1の実施例におけるレンズユニット繰り出し時のレンズ保護部の裏面図。
【図7】本発明に係る撮像装置の第1の実施例におけるレンズユニット収納時のレンズユニットの斜視図。
【図8】本発明に係る撮像装置の第1の実施例におけるレンズユニット繰り出し時のレンズユニットの斜視図。
【図9】本発明に係る撮像装置の第1の実施例における他のレンズユニット収納時のレンズ保護部の裏面図。
【図10】本発明に係る撮像装置の第1の実施例における他のレンズユニット繰り出し時のレンズ保護部の裏面図。
【図11】本発明に係る撮像装置の第2の実施例におけるレンズユニット収納時の断面図。
【図12】本発明に係る撮像装置の第3の実施例におけるレンズユニット収納時の断面図。
【図13】本発明に係る撮像装置の第3の実施例におけるその他のレンズユニット収納時の断面図。
【図14】本発明に係る撮像装置の第4の実施例におけるレンズユニット収納時の断面図。
【図15】本発明に係る撮像装置の第5の実施例におけるレンズユニット収納時の断面図。
【図16】本発明に係る撮像装置の第6の実施例における電源オフ状態時のレンズユニットの断面図。
【図17】本発明に係る撮像装置の第6の実施例における再生モード時のレンズユニットの断面図。
【図18】本発明に係る撮像装置の第7の実施例におけるレンズユニット収納時のレンズユニットの斜視図。
【図19】本発明に係る撮像装置の第7の実施例におけるレンズユニット収納時のその他のレンズユニットの斜視図。
【符号の説明】
【0078】
1 撮像装置 2 レンズユニット
3 フラッシュ 5 表示部
6 各種ボタン 7 方向キー
20 撮像光学系 21 第一レンズ群
22 第二レンズ群 23 第三レンズ群
24 第四レンズ群 26 撮像素子
30 レンズ鏡筒 31 第一鏡筒
32 第二鏡筒 33 レンズ可動支持部材
34 沈胴支持部材 35 第一レンズ群保持部
36 第四レンズ群固定部材 37 外光用小孔
38 鏡筒枠 39 鏡筒背面板
40 レンズ保護部 41 カバー部
42 レンズバリア 43 第一外光取込穴
44 バリア制御部 45 スライダ作動突起
46 スライダ誘導部材 47 第二外光取込穴
48 第三外光取込穴 50 透明板
51 第一反射プリズム 52 第二反射プリズム
53 第一外光取込穴カバー 54 カバー駆動装置
55 外光用受光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像制御手段や表示部制御手段を備えて撮像モードと再生モードの機能を有する撮像装置において、
撮像光学系と、当該撮像光学系を保持するレンズ鏡筒と、このレンズ鏡筒の先端に位置して前記撮像光学系の前面を保護するレンズ保護部と、撮像素子とを有し、
前記レンズ保護部は、前記撮像光学系の前方に略方形状の透孔部を備えるカバー部と、当該透孔部を閉状態又は開状態とするレンズバリアと、前記レンズバリアの開閉を制御するバリア制御部を有し、
前記レンズ保護部には外光を取り込むための第一外光取込穴を有し、この第一外光取込穴から前記レンズ鏡筒内に入射される光量を検出して表示部の輝度を制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第一外光取込穴は、前記レンズ保護部におけるカバー部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第一外光取込穴は、前記レンズバリアが閉状態のときはレンズバリア位置から外れ、レンズバリアの開状態時にレンズバリアが位置する場所に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記バリア制御部は、前記レンズバリアの閉状態時に前記第一外光取込穴の光軸上となる位置に外光用小孔を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第一外光取込穴を開閉可能な第一外光取込穴カバーと、当該第一外光取込穴カバーの開閉を制御するカバー駆動装置を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第一外光取込穴の光軸上の第一レンズ群保持部に第二外光取込穴を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第一外光取込穴の光軸上に第一反射プリズムを有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項8】
前記レンズバリアの裏面に第二反射プリズムを有し、
当該第二反射プリズムは、前記第一外光取込穴より入射し前記第一反射プリズムで反射した光を前記撮像光学系の光軸方向に反射することを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記レンズバリアは、閉状態時に前記透孔部に露出する箇所に前記第一外光取込穴を有していることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第一外光取込穴に透光性の透明板が配置されていることを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第二レンズ群はレンズ可動支持部材により保持されており、
当該レンズ可動支持部材は、前記第一外光取込穴及び前記第二外光取込穴の光軸上に第三外光取込穴を有し、
前記撮像素子は前記撮像光学系の光軸上から前記各外光取込穴の光軸上まで稼働可能とされ、前記撮像素子の稼働を制御する撮像素子稼働手段を有していることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記レンズ鏡筒に入射される光量を前記撮像素子により検出することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項13】
前記第一外光取込穴の光軸上に外光用受光素子を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項14】
前記表示部の輝度を制御する表示部制御手段は、前記レンズ鏡筒に入射される光量に比例して表示部の輝度を段階的に調整制御することを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−328208(P2007−328208A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160393(P2006−160393)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】