説明

撮像装置

【課題】本発明は、簡単な構造でカメラ本体を小型化することができる屈曲光学系を備えた撮像装置を提供することを目的とする。
【解決手段】入れ子構造の鏡筒20の側面には、ラック116が上下方向に形成される。ラック116にはピニオン118が噛合され、このピニオン118はモータ120からの動力が伝達される。したがって、収納状態である非使用位置から、ピニオン118が反時計回り方向に回転されると、鏡筒20は上方に伸胴され、カメラケース12の上面から入射窓104が突出されて使用位置に位置することにより撮影可能となる。これとは逆に突出状態である使用位置から、ピニオン118が時計回り方向に回転されると、鏡筒20は下方に縮胴され、カメラケース12に入射窓104が収納されて非使用位置に位置することにより撮影不能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に係り、特に屈曲光学系を用いたデジタルカメラ等の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、屈曲光学系を用いた薄型のデジタルカメラが開示されている。このデジタルカメラは、カメラ本体の前面方向から被写体光を入射する対物レンズを有し、この対物レンズから入射した被写体光を下方に90度折り曲げて撮像素子に結像させる屈曲光学系を備えている。また、特許文献1のカメラ本体には、対物レンズを露出する開口が形成されるとともに、この開口を閉じるバリアが設けられ、動作停止の指示を与えることによりバリアは開口を閉じるように移動される。これにより、動作停止時において対物レンズがバリアによって保護される。
【0003】
一方、特許文献2に開示された屈曲光学系を備えたデジタルカメラは、入れ子状に構成されたカメラ本体と、同じく同方向に入れ子状に構成された屈曲光学系の鏡筒とを有している。このデジタルカメラによれば、カメラ本体の伸縮動作に連動して鏡筒が伸縮するように構成され、カメラ本体を伸長することにより鏡筒が伸長して鏡筒の入射窓が露出され、カメラ本体を収縮することにより鏡筒が収縮して前記入射窓がバリアによって閉じられる。
【特許文献1】特開2004−251936号公報
【特許文献2】特開2004−325471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたデジタルカメラは、カメラの使用時においても屈曲光学系を含む光学系全体がカメラ本体に収納されているため、カメラ本体の全高が光学系の全長によって規定される。これによって、カメラ本体の全高が高くなりカメラが大型になるという欠点があった。また、引用文献1には、対物レンズの前面を保護するバリアを備えているが、このバリアを開口に対して進退移動させる開閉機構を必要とするので、構造が複雑になるという問題もあった。
【0005】
一方、特許文献2のデジタルカメラは、カメラ本体、レンズ鏡筒の双方に入れ子構造を必要とするため特別な構成となり、機構の複雑化や製造困難を招いていた。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、簡単な構造でカメラ本体を小型化することができる屈曲光学系を備えた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、入射窓と該入射窓から入射した被写体光を屈曲させて撮像素子に結像させる屈曲光学系とを備えた鏡筒が撮像装置本体に突没自在に収納され、前記鏡筒は、屈曲後の前記撮像素子側に向かう光軸に沿って伸縮可能に構成され、前記入射窓は、前記鏡筒が伸長されると撮像装置本体から突出した使用位置に位置され、前記鏡筒が収縮されると撮影装置本体内に収納された非使用位置に位置されることを特徴とする。
【0008】
請求項1によれば、撮像装置本体を伸縮可能に構成することなく、入射窓と屈曲光学系を保持した鏡筒のみを伸縮可能に構成したので、双方を伸縮可能に構成する特許文献2に記載のデジタルカメラと比較して構造を簡素化することができる。また、入射窓は、鏡筒が伸長されると撮像装置本体から突出した使用位置に位置され、鏡筒が収縮されると撮影装置本体内に収納された非使用位置に位置されるので、使用時においても光学系全体がカメラ本体に収納されている特許文献1のデジタルカメラと比較して、カメラ本体の全高を低くすることができ、これによってカメラを小型化できる。更に、非使用時において入射窓は、撮影装置本体内に収納されるためバリアが不要になる。これにより、バリアを有する特許文献1のデジタルカメラと比較してバリア開閉機構が不要になるので、構造が簡単になる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記入射窓は、前記撮像装置本体の上面又は側面から外方に突出されることを特徴とする。
【0010】
請求項2によれば、入射窓を撮像装置本体の上面から外方に突出させるように構成することによりカメラの全高を低くすることができ、また、入射窓を撮像装置本体の側面から外方に突出させるように構成することによりカメラの全幅(横寸法)を短くすることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記鏡筒が伸長されると、前記鏡筒に配置されたズームレンズが光軸に沿って移動されて焦点距離を変更することを特徴とする。
【0012】
請求項3によれば、入射窓が撮像装置本体の外方に突出した使用位置において、鏡筒の伸長量を変化させることによりズームレンズが光軸に沿って移動するので、焦点距離を変更することができ、所望の焦点距離に設定することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3において、前記入射窓には光学ファインダが一体的に設けられ、該光学ファインダは、入射窓と共に前記使用位置と前記非使用位置とに移動されることを特徴とする。
【0014】
請求項4によれば、非使用時において光学ファインダも入射窓とともに撮像装置本体内に収納されるので、光学ファインダも保護することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1、2、3又は4において、前記入射窓にはストロボ発光部が一体的に設けられ、該ストロボ発光部は、入射窓と共に前記使用位置と前記非使用位置とに移動されることを特徴とする。
【0016】
請求項5によれば、非使用時においてストロボ発光部も入射窓や光学ファインダとともに撮像装置本体内に収納されるので、ストロボ発光部も保護することができる。また、請求項5の撮像装置は、撮像装置として機能する入射窓、光学ファインダ、ストロボ発光部が非使用時において全て撮像装置本体内に収納されるので、撮像装置全体が外観上でカプセル状の形状となる。これにより、入射窓、光学ファインダ、ストロボ発光部を携帯時に保護するためのケースが不要なる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る撮像装置によれば、入射窓と屈曲光学系を保持した鏡筒のみを伸縮可能に構成したので、構造を簡素化することができ、また、入射窓は、鏡筒が伸長されると撮像装置本体から突出した使用位置に位置され、鏡筒が収縮されると撮影装置本体内に収納された非使用位置に位置されるのでカメラを小型化でき、更に、非使用時において入射窓は撮影装置本体内に収納され、バリアが不要になるので構造が簡単になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面に従って本発明に係る撮像装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0019】
なお、以下の説明では、本発明の撮像装置を、屈曲光学系を備えたデジタルカメラ10に適用した例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、カメラ機能を有するカメラ付き携帯電話機に適用可能である。
【0020】
図1は、実施の形態のデジタルカメラ10を正面から見た斜視図であり、図2はデジタルカメラ10を背面から見た斜視図である。また、図3は、デジタルカメラ10の全体構成を示したブロック図である。
【0021】
図1、図2の如くデジタルカメラ10は、カメラケース(撮像装置本体)12が奥行き方向に薄い扁平な略直方体の外観を呈するとともに、カメラケース12の高さ方向の寸法に対して幅方向の寸法が長い横長の形状を呈している。このカメラケース12に屈曲光学系及び撮像素子が収容されている。
【0022】
図1の如くカメラケース12の前面上部には、光学ファインダ14の対物窓14Aとキセノン管を有するストロボ発光部16が並設され、また、カメラケース12の上面には撮影ボタン18が配置されている。この撮影ボタン18は、カメラケース12を把持したユーザーの右手の人指し指によって半押し及び全押し操作される。この半押し操作時にフォーカス調整が行われ、この後に全押し操作されることにより被写体像が後述する屈曲光学系を介して撮像素子に結像される。また、カメラケース12の上面には、屈曲光学系を保持した鏡筒20が出し入れされる矩形状の開口部22が形成されている。
【0023】
一方、図2の如くカメラケース12の背面には液晶モニタ24、電源スイッチ26、モード選択スイッチ28、メニュー/OKキー30、キャンセルキー32、十字キー34、及び光学ファインダ14の接眼窓14Bがそれぞれ所定の位置に設けられている。電源スイッチ26は、デジタルカメラ10全体の動作の開始と停止、すなわち電源からの電力供給の開始と停止を指示するために操作される。モード選択スイッチ28は、静止画を撮影するカメラモード、動画を撮影する動画モード、及び記録メディアに記録している画像を再生表示する再生モードのうち一つのモードを選択するスイッチであり、選択したモードに基づく画像が液晶モニタ24に表示される。メニュー/OKキー30は、液晶モニタ24の画面上にメニューを表示させる指令を行うためのメニューボタンとしての機能と、選択内容の確定及び実行などを指令するOKボタンとしての機能とを兼備した操作キーである。キャンセルキー32は、選択項目など所望の対象の消去や指示内容の取消し、あるいは1つ前の操作状態に戻らせる時などに使用される。十字キー34は、上下左右の4方向に傾倒自在に設けられ、モード等の設定における各種設定項目の選択や、設定内容の変更及び記録した画像の消去を指示する操作キーとして使用されるとともに、ズームの倍率調整、再生時のコマ送り/戻し等を指示する操作キーとして使用される。
【0024】
このデジタルカメラ10は、図3の如く中央処理装置(CPU)36によってその全体動作が統括制御されている。 CPU36は、所定のプログラムに従ってカメラシステムを制御する制御手段として機能するとともに、自動露出(AE)演算、自動焦点調節(AF)演算、ホワイトバランス(WB)調整演算など、各種演算を実施する演算手段として機能する。
【0025】
バス38を介してCPU36と接続されたROM40には、CPU36が実行するプログラム及び制御に必要な各種データ等が格納され、EEPROM42には、CCD画素欠陥情報、カメラ動作に関する各種定数/情報等が格納されている。
【0026】
また、メモリ(SDRAM)44は、プログラムの展開領域及びCPU36の演算作業用領域として利用されるとともに、画像データや音声データの一時記憶領域として利用される。記録部(HDD)46は画像データ専用の一時記憶メモリであって、デジタルカメラ10の十字キー34の操作によって消去可能である。
【0027】
撮影ボタン18は、撮影開始の指示を入力する操作ボタンであり、半押し時にオンになるS1スイッチと、全押し時にオンになるS2スイッチとを有する二段ストローク式のスイッチで構成されている。
【0028】
液晶モニタ24は、ユーザインターフェース用表示画面としても利用され、必要に応じてメニュー情報や選択項目、設定内容などの情報が表示される。また、液晶モニタ24には、記録部46に記録された画像データが縮小されてサムネイル表示される。この液晶モニタ24は液晶ディスプレイであるが、これに代えて、有機ELなど他の方式の表示装置を用いることも可能である。
【0029】
デジタルカメラ10は、メディアソケット47を有し、メディアソケット47には記録メディア48が装着される。記録メディアの形態は特に限定されず、スマートメディア(商標)に代表される半導体メモリカード、可搬型小型ハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクなど、種々の媒体を用いることができる。
【0030】
メディアコントローラ50は、メディアソケット47に装着される記録メディア48に適した入出力信号の受渡しを行うために所要の信号変換を行う。
【0031】
また、デジタルカメラ10は、パソコンその他の外部機器と接続するための通信手段としてUSBインターフェース部52を備えている。このUSBインターフェース部52に接続された、通信端子であるコネクタに、不図示のUSBケーブルを介して外部機器を接続することにより、外部機器との間で画像データ等のデータの受渡しが可能となる。もちろん、通信方式はUSBに限らず、その他の通信方式を適用してもよい。
【0032】
次に、デジタルカメラ10の撮影機能について説明する。
【0033】
モード選択スイッチ28によってカメラモード又は動画モードが選択されると、カラーCCD固体撮像素子(以下CCDと記載)54を含む撮像部に電源が供給され、撮影可能な状態になる。
【0034】
鏡筒20は、屈曲光学系を有する撮影レンズ群100と絞り兼用メカシャッター56とを含む光学ユニットである。鏡筒20は、CPU36によって制御されるレンズ駆動部58、絞り駆動部60によって電動駆動され、ズーム制御、フォーカス制御及びアイリス制御が行われる。
【0035】
撮影レンズ群100を通過した光は、CCD54の受光面に結像される。CCD54の受光面には多数のフォトダイオード(受光素子)が二次元的に配列されており、各フォトダイオードに対応して赤(R)、緑(G)、青(B)の原色カラーフィルタが所定の配列構造で配置されている。また、CCD54は、各フォトダイオードの電荷蓄積時間(シャッタースピード)を制御する電子シャッター機能を有している。CPU36は、タイミングジェネレータ62を介してCCD54での電荷蓄積時間を制御する。なお、CCD54に代えてMOS型など他の方式の撮像素子を用いてもよい。
【0036】
CCD54の受光面に結像された被写体像は、各フォトダイオードによって入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。各フォトダイオードに蓄積された信号電荷は、CPU36の指令に従いタイミングジェネレータ62から与えられる駆動パルスに基づいて信号電荷に応じた電圧信号(画像信号)として順次読み出される。
【0037】
CCD54から出力された信号はアナログ処理部(CDS/AMP)64に送られ、ここで画素毎のR、G、B信号がサンプリングホールド(相関二重サンプリング処理)され、増幅された後、A/D変換器66に加えられる。A/D変換器66によってデジタル信号に変換された点順次のR、G、B信号は、画像入力コントローラ68を介してメモリ44に記憶される。
【0038】
画像信号処理回路70は、メモリ44に記憶されたR、G、B信号をCPU36の指令に従って処理する。すなわち、画像信号処理回路70は、同時化回路(単板CCDのカラーフィルタ配列に伴う色信号の空間的なズレを補間して色信号を同時式に変換する処理回路)、ホワイトバランス補正回路、ガンマ補正回路、輪郭補正回路、輝度・色差信号生成回路等を含む画像処理手段として機能し、CPU36からのコマンドに従ってメモリ44を活用しながら所定の信号処理を行う。
【0039】
画像信号処理回路70に入力されたRGBの画像データは、画像信号処理回路70において輝度信号及び色差信号に変換されるとともに、ガンマ補正等の所定の処理が施される。画像信号処理回路70で処理された画像データは記録部46に記録される。
【0040】
撮影画像を液晶モニタ24にモニタ出力する場合、データ記録部46から画像データが読み出され、バス38を介してビデオエンコーダ72に送られる。ビデオエンコーダ72は、入力された画像データを表示用の所定方式の信号(例えば、NTSC方式のカラー複合映像信号)に変換して液晶モニタ24に出力する。
【0041】
撮影ボタン18が半押しされ、S1がオンになると、デジタルカメラ10はAE及びAF処理を開始する。すなわち、CCD54から出力された画像信号はA/D変換後に画像入力コントローラ68を介してAF検出回路74並びにAE/AWB検出回路76に入力される。
【0042】
AE/AWB検出回路76は、1画面を複数のエリア(例えば、16×16)に分割し、分割エリアごとにRGB信号を積算する回路を含み、その積算値をCPU36に提供する。CPU36は、AE/AWB検出回路76から得た積算値に基づいて被写体の明るさ(被写体輝度)を検出し、撮影に適した露出値(撮影EV値)を算出する。求めた露出値と所定のプログラム線図に従い、絞り値とシャッタースピードが決定され、これに従いCPU36はCCD54の電子シャッタ及びアイリスを制御して適正な露光量を得る。
【0043】
また、AE/AWB検出回路76は、自動ホワイトバランス調整時には、分割エリアごとにRGB信号の色別の平均積算値を算出し、その算出結果をCPU36に提供する。CPU36は、Rの積算値、Bの積算値、Gの積算値を得て、各分割エリアごとにR/G及びB/Gの比を求め、これらR/G、B/Gの値のR/G、B/Gの色空間における分布等に基づいて光源種判別を行い、判別された光源種に適したホワイトバランス調整値に従って、例えば、各比の値がおよそ1になるように、ホワイトバランス調整回路のR、G、B信号に対するゲイン値(ホワイトバランス補正値)を制御し、各色チャンネルの信号に補正をかける。前述した各比の値を1以外の値になるようにホワイトバランス調整回路のゲイン値を調整すると、ある色味が残った画像を生成することができる。
【0044】
デジタルカメラ10におけるAF制御は、例えば映像信号のG信号の高周波成分が極大になるようにフォーカシングレンズ(撮影レンズ群100を構成するレンズ光学系のうちフォーカス調整に寄与する移動レンズ)を移動させるコントラストAFが適用される。すなわち、AF検出回路74は、G信号の高周波成分のみを通過させるハイパスフィルタ、絶対値化処理部、画面内(例えば、画面中央部)に予め設定されているフォーカス対象エリア内の信号を切り出すAFエリア抽出部、及びAFエリア内の絶対値データを積算する積算部から構成される。
【0045】
AF検出回路74で求めた積算値のデータはCPU36に通知される。CPU36は、レンズ駆動部58を制御してフォーカシングレンズを移動させながら、複数のAF検出ポイントで焦点評価値(AF評価値)を演算し、評価値が極大となるレンズ位置を合焦位置として決定する。そして、求めた合焦位置にフォーカシングレンズを移動させるようにレンズ駆動部58を制御する。なお、AF評価値の演算はG信号を利用する態様に限らず、輝度信号(Y信号)を利用してもよい。
【0046】
撮影ボタン18が半押しされ、S1オンによってAE/AF処理が行われ、撮影ボタン18が全押しされ、S2オンによって記録用の撮影動作がスタートする。S2オンに応動して取得された画像データは画像信号処理回路70において輝度/色差信号(Y/C信号)に変換され、ガンマ補正等の所定の処理が施された後、メモリ44に格納される。
【0047】
メモリ44に格納されたY/C信号は、圧縮伸張回路78によって所定のフォーマットに従って圧縮された後、メディアコントローラ50を介して記録メディア48に記録される。例えば、静止画についてはJPEG形式で記録される。
【0048】
モード選択スイッチ28により再生モードが選択されると、記録メディア48に記録されている最終の画像ファイル(最後に記録されたファイル)の圧縮データが読み出される。最後の記録に係るファイルが静止画ファイルの場合、この読み出された画像圧縮データは、圧縮伸張回路78を介して非圧縮のYC信号に伸張され、画像信号処理回路70及びビデオエンコーダ72を介して表示用の信号に変換された後、液晶モニタ24に出力される。これにより、当該ファイルの画像内容が液晶モニタ24の画面上に表示される。
【0049】
静止画の一コマ再生中(動画の先頭フレーム再生中も含む)に、十字キー34の右キー又は左キーを操作することによって、再生対象のファイルを切り換えること(順コマ送り/逆コマ送り)ができる。コマ送りされた位置の画像ファイルが記録メディア48から読み出され、上記と同様にして静止画像や動画が液晶モニタ24に再生表示される。なお、デジタルカメラ10は、電源回路80を介して供給されるバッテリ82の電力によって駆動される。
【0050】
また、デジタルカメラ10には、二次電池であるバッテリ82を充電するためのコネクタ(不図示)がカメラケース12の底面に設けられている。更にまた、カメラケース12の底面には、記録部46に記憶された画像データを他の機器に転送するコネクタ(不図示)が設けられている。以上がカメラ10の全体構成である。
【0051】
図4及び図5は、デジタルカメラ10の撮影レンズ群100の構成を示した断面図であり、図4は、入れ子式の鏡筒20が固定鏡筒102に対し上方に伸長されて入射窓104がカメラケース12の上面から外方に突出して使用位置に位置された状態の断面図、図5は、鏡筒20が固定鏡筒102に対し下方に収縮されて入射窓104がカメラケース12に完全に収納された非使用位置に位置された状態の断面図である。なお、入射窓104は、光を透過するだけの透明板でもよいがレンズでもよい。
【0052】
これらの図に示す撮影レンズ群100は、被写体からの光をCCD54に導いて結像させる撮影光学系である。この撮影光学系は、被写体からの光を取り込む入射窓104、入射窓104から入射した光路を略垂直に折り曲げる屈曲光学系106、前玉レンズ108、ズーム光学系レンズ110、112、絞り兼用メカシャッター56、及びリレーレンズ114から構成されている。屈曲光学系106は、入射窓104に対向し、入射窓104から入射した光路を下方に90度折り曲げるように配置されている。屈曲光学系106としては、斜面に反射面107を施した直角プリズムが用いられているが、直角プリズムに限らず、単なるミラー等、光の光路を折り曲げ得る他の光学素子を適用してもよい。なお、符号55は、CCD54の結像面を保護するカバーガラスである。
【0053】
ズーム光学系レンズ110、112は、屈曲光学系106とCCD54との間に配置されるとともに、その光軸Lが、屈曲光学系106の反射面107の中心を通り、反射面107に対して45゜の角度をなし、また、CCD54の中心を通り、CCD54の結像面と直交するように配置されている。鏡筒20は、ズーム光学系レンズ110、112の前記光軸Lに沿って伸縮される。
【0054】
ズーム光学系レンズ110、112は、撮影倍率変更用のズームレンズ群110と焦点調節用のフォーカスレンズ群112から構成され、図4の使用位置において、鏡筒20に取り付けられたズームレンズ群110が、固定鏡筒102に取り付けられた焦点調節用のフォーカスレンズ群112に対して離間することにより所定の撮影倍率(例えば光学3倍ズーム)を得る位置に配置される。なお、図4、図5には、ズーム光学系レンズ110、112を光軸L方向に移動させて焦点距離を調整するズーム機構は図示していないが、図4の使用位置においてズーム光学系レンズ110、112を前記ズーム機構によって移動させることにより、所望の焦点距離に調整することができる。また、モータ120によって鏡筒20の伸長量を変化させ、ズーム光学系レンズ110、112の相対位置を変更することにより焦点距離を変更してもよい。
【0055】
鏡筒20は、前述の如く固定鏡胴102に対して入れ子構造になっており、収納時の状態は図5の如くズームレンズ群110、シャッタ56、フォーカスレンズ群112の間隔が短縮されている。このとき入射窓104は、カメラケース12に完全に収納され、特別なバリアが無くても汚れや傷から保護される状態にある。
【0056】
入れ子構造の鏡筒20の側面には、図6、図7に示した模式図の如くラック116が上下方向に形成されている。ラック116にはピニオン118が噛合され、このピニオン118はモータ120からの動力が不図示の減速ギヤを介して伝達される。したがって、図6の状態(収納状態:非使用位置)から、ピニオン118が反時計回り方向に回転されると、鏡筒20は上方に伸胴(伸長)され、図7の如くカメラケース12の上面から入射窓104が突出されて使用位置に位置することにより撮影可能となる。このときの光学系は、図4に示したようにズームレンズ群110、シャッタ56、フォーカスレンズ群112の間隔が結像に必要な量だけ離間した配置となる。これとは逆に図7の状態(突出状態:使用位置)から、ピニオン118が時計回り方向に回転されると、鏡筒20は下方に縮胴(収縮)され、図6の如くカメラケース12に入射窓104が収納されて非使用位置に位置することにより撮影不能となる。このときの光学系は、図5に示したようにズームレンズ群110、シャッタ56、フォーカスレンズ群112の間隔が短縮された配置となる。なお、図6、図7において符号122は、カメラケース12に内蔵されたカメラ基板であり、このカメラ基板122に図3に示したCPU36等の電子部品が実装されている。
【0057】
したがって、このように構成されたデジタルカメラ10によれば、カメラケース12を伸縮可能に構成することなく、入射窓104と屈曲光学系106を保持した鏡筒20のみを伸縮可能に構成したので、双方を伸縮可能に構成する特許文献2に記載のデジタルカメラと比較して構造を簡素化することができる。
【0058】
また、入射窓104は、鏡筒20が伸長されるとカメラケース12の上面から突出した使用位置(図7参照)に位置され、鏡筒20が収縮されるとカメラケース12に収納された非使用位置(図6参照)に位置されるので、使用時においても光学系全体がカメラケースに収納されている特許文献1のデジタルカメラと比較して、カメラケース12の全高を低くすることができ、これによってカメラを小型化できる。
【0059】
更に、非使用時において入射窓104は、カメラケース12に収納されるためバリアが不要になる。これにより、バリアを有する特許文献1のデジタルカメラと比較してバリア開閉機構が不要になるので、構造が簡単になる。
【0060】
なお、図1〜図7のデジタルカメラ10では、鏡筒20をカメラケース12の高さ方向に伸縮可能に構成したが、これに限定されるものではなく、図8、図9の如くカメラケース12の横方向に鏡筒20を伸縮可能に構成し、入射窓104をカメラケース12の側面から外方に突出させてもよい。
【0061】
収納時の状態は図8のように入射窓104はカメラケース12に収納され、特別なバリアが無くても汚れや傷から保護される状態にある。図8の状態から、モータ120を時計回り方向に回転させると、鏡筒20は図8の右方に伸胴され、カメラケース12の右側面から入射窓104が図9の如く外方に突出するので撮影可能となる。また、このときの光学系は図5と同様にズームレンズ群110、シャッタ56、フォーカスレンズ群112の間隔が結像に必要な量だけとられた配置となる。この実施形態においては、カメラケース12の横方向寸法を短くすることができるとともに、グリップ性やレイアウト性に優れた構成となる。
【0062】
図10、図11には入射窓104がカメラケース12の右側面から外方に突出する他の実施形態が示されている。これらの図に示すカメラケース12の右側面13はデザイン性に優れた曲面状に形成されており、この右側面13と収納時(非使用時)に面一となるように鏡筒20の端面21が曲面状に形成されている。図10の形態は、右側面13の略中央部から入射窓104を突没自在に配置した構成のものであり、図11の形態は、右側面13の上部から入射窓104を突没自在に配置した構成のものである。図11の鏡筒20の左端部には、入射窓104の収納時に撮影ボタン18を隠すプレート124が一体に形成されている。
【0063】
図12、図13は、鏡筒20に入射窓104、光学ファインダ14、及びストロボ発光部16を設け、光学ファインダ14とストロボ発光部16とを入射窓104とともに収納可能(図12参照)としたデジタルカメラである。このデジタルカメラによれば、図12の収納時(非使用時)において、カメラケース12の前面に露出する撮影機能部材が存在しなくなるため、前面がフルフラット形状となる。これにより、カメラケース12全体が外観上で略カプセル状の形状となるので、入射窓104、光学ファインダ14、ストロボ発光部16を携帯時に保護するためのケースが不要なる。一方、撮影時(使用時)は図13の如く、光学ファインダ14とストロボ発光部16とがカメラケース12の上面から突出し、スマートな外観でありながら、カメラ機能を果たす構成となる。
【0064】
また、光学ファインダ14及びストロボ発光部16も入射窓104とともにカメラケースに収納されるので、光学ファインダ14及びストロボ発光部16も保護することができる。
【0065】
なお、図12、図13では、入射窓104を有する鏡筒20に、光学ファインダ14及びストロボ発光部16の双方を設けた例について説明したが、これに限定されるものではなく、光学ファインダ14とストロボ発光部16のうち少なくとも一方を鏡筒20に設けたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施の形態のデジタルカメラを正面からみた斜視図
【図2】図1に示したデジタルカメラを背面からみた斜視図
【図3】図1に示したデジタルカメラの構成を示したブロック図
【図4】図1に示したデジタルカメラの使用時の光学系の縦断面図
【図5】図1に示したデジタルカメラの非使用時の光学系の縦断面図
【図6】図1に示したデジタルカメラの非使用時の状態を模式的に示した透視図
【図7】図1に示したデジタルカメラの使用時の状態を模式的に示した透視図
【図8】カメラケースの側方から入射窓が突出する他の形態を示した説明図
【図9】カメラケースの側方から入射窓が突出する他の形態を示した説明図
【図10】カメラケースの側方から入射窓が突出する他の形態を示した説明図
【図11】カメラケースの側方から入射窓が突出する他の形態を示した説明図
【図12】鏡筒に入射窓と光学ファインダとストロボ発光部とが設けられた他の形態を示した説明図
【図13】鏡筒に入射窓と光学ファインダとストロボ発光部とが設けられた他の形態を示した説明図
【符号の説明】
【0067】
10…デジタルカメラ、12…カメラケース、14…光学ファインダ、16…ストロボ発光部、18…撮影ボタン、20…鏡筒、54…CCD、100…撮影レンズ群、102…固定鏡筒、104…入射窓、106…屈曲光学系、110、112…ズーム光学系レンズ、116…ラック、118…ピニオン、120…モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射窓と該入射窓から入射した被写体光を屈曲させて撮像素子に結像させる屈曲光学系とを備えた鏡筒が撮像装置本体に突没自在に収納され、
前記鏡筒は、屈曲後の前記撮像素子側に向かう光軸に沿って伸縮可能に構成され、
前記入射窓は、前記鏡筒が伸長されると撮像装置本体から突出した使用位置に位置され、前記鏡筒が収縮されると撮影装置本体内に収納された非使用位置に位置されることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記入射窓は、前記撮像装置本体の上面又は側面から外方に突出されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記鏡筒が伸長されると、前記鏡筒に配置されたズームレンズが光軸に沿って移動されて焦点距離を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記入射窓には光学ファインダが一体的に設けられ、該光学ファインダは、入射窓と共に前記使用位置と前記非使用位置とに移動されることを特徴とする請求項1、2又は3のうちいずれか一つに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記入射窓にはストロボ発光部が一体的に設けられ、該ストロボ発光部は、入射窓と共に前記使用位置と前記非使用位置とに移動されることを特徴とする請求項1、2、3又は4のうちいずれか一つに記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−72406(P2007−72406A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262492(P2005−262492)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】