説明

撮像装置

【課題】装着されたレンズのレンズ特性に合わせた最適な画像処理パラメータを設定することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】画像データ処理部39で画像処理する際の画像処理パラメータを調整する画像処理パラメータ調整部41を有し、画像処理パラメータ調整部41は、特定被写体をレンズユニット7を通してCCD20で撮像したときの特定被写体画像を取込み、取込んだ特定被写体画像の画像特性データ、及び該画像特性データと予め設定された基準データとの比較結果に基づいて、装着されているレンズユニット7のレンズ特性に合わせた画像処理パラメータ調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば特許文献1にあるように、マイクロフォーサーズシステムや小型一眼デジタルカメラ等のようなレンズ交換可能なデジタルカメラが普及してきている。レンズ交換可能なデジタルカメラでは、ユーザ(撮影者)が撮影対象等に応じて選択したレンズを着脱可能に装着して、撮影することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記のようなレンズ交換可能なデジタルカメラに装着される各レンズは、レンズ焦点距離、レンズ径、レンズ構成等が異なるので、各レンズによってレンズ特性が異なっている。ところで、従来のレンズ交換可能なデジタルカメラでは、撮影画像データに対して、予め設定されている画像処理パラメータ(例えば、シャープネスパラメータ、色補正パラメータ、光学歪補正パラメータ、周辺光量落ち補正パラメータ)に基づいて画像処理が行われる。
【0004】
このため、従来のレンズ交換可能なデジタルカメラでは、レンズ交換して別のレンズを装着した場合にも、予め設定されている画像処理パラメータに基づいて画像処理が行われるので、装着されたレンズのレンズ特性に合わせた最適な画像処理パラメータを設定することができず、高品位な画像を得ることができない場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、装着されたレンズのレンズ特性に合わせた最適な画像処理パラメータを設定することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、装置本体に着脱可能に装着されたレンズユニットと、前記レンズユニットを通して被写体像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段から出力される撮像した被写体像に応じた画像データを取り込み、前記画像データに対して画像処理を行う画像処理手段とを備えた撮像装置において、前記画像処理手段で画像処理する際の画像処理パラメータを調整する画像処理パラメータ調整手段を有し、前記画像処理パラメータ調整手段は、特定被写体を前記レンズユニットを通して前記撮像手段で撮像したときの特定被写体画像を取込み、取込んだ特定被写体画像の画像特性データ、及び該画像特性データと予め設定された基準データとの比較結果に基づいて、装着されている前記レンズユニットのレンズ特性に合わせた画像処理パラメータ調整を行うことを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、調整を行う前記画像処理パラメータは、シャープネスパラメータ、色補正パラメータ、光学歪み補正パラメータ、周辺光量落ち補正パラメータのうちのいずれか1つ以上のパラメータであることを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記撮像装置は、前記特定被写体を撮影する際の光源を判定する光源判定手段と、ストロボ発光部とを更に備えており、前記光源判定手段は、前記画像処理パラメータの調整時に前記特定被写体を撮影する際の光源色温度、光源照度、光源均一性を判定し、光源判定結果が予め設定した光源判定条件を満たさないときには、前記ストロボ発光部を発光させて調光を行うことを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記調整された画像処理パラメータは、前記装置本体内に設けた記憶手段に保存されることを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記記憶手段には、交換して装着される複数の前記レンズユニットに関連付けて複数の調整された画像処理パラメータが保存されることを特徴としている。
【0011】
請求項6に記載の発明は、前記特定被写体は定形の印刷物であることを特徴としている。
【0012】
請求項7に記載の発明は、前記装置本体にはライブビュー機能を有する表示部が設けられており、前記画像処理パラメータの調整時において前記特定被写体を撮影する際に、前記表示部の画面上に前記特定被写体のサイズに応じた撮影ガイド枠が表示されることを特徴としている。
【0013】
請求項8に記載の発明は、前記画像処理パラメータ調整手段は、前記レンズユニットがズームレンズを備えてズーム機能を有する場合には、所定の複数のズーム位置に対応して調整された画像処理パラメータを設定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る撮像装置によれば、特定被写体をレンズユニットを通して撮像手段で撮像したときの特定被写体画像を取込み、取込んだ特定被写体画像の画像特性データ、及び該画像特性データと予め設定された基準データとの比較結果に基づいて、装着されているレンズユニットのレンズ特性に合わせた画像処理パラメータ調整を行うことにより、装着されたレンズユニットのレンズ特性に合わせた最適な画像処理パラメータを設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は、本発明の実施形態に係る撮像装置の一例としてのデジタルカメラの前面側を示す斜視図、(b)は、その背面側を示す斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る撮像装置の一例としてのデジタルカメラ内のシステム構成の概要を示すブロック図。
【図3】画像データ処理部の構成を示すブロック図。
【図4】(a)は、γ補正処理部で入出力変換処理を行う際のγ補正曲線の一例を示す図、(b)は、画像出力装置での入力信号に対する出力信号の出力特性の一例を示す図。
【図5】CbCr色空間の一例を示す図。
【図6】エッジ強調処理部の構成を示すブロック図。
【図7】本実施形態における、画像処理パラメータ調整モード設定時の動作を示すフローチャート。
【図8】液晶モニタの画面上に表示された複数の特定被写体を示す図。
【図9】液晶モニタの画面上に表示された撮影ガイド枠を示す図。
【図10】ホワイトバランス値(Bゲイン)と色温度の関係を示した図。
【図11】(a)、(b)は、撮影ガイド枠内の領域を複数分割した状態を示す図。
【図12】(a)は、特定被写体としての紙幣を示した図、(b)は、、検出範囲のエッジ量の測定結果を示した図。
【図13】(a)は、明暗差のある領域でエッジ量とシャープネス処理をしたときのエッジに付くシャープネスを示した図、(b)は、エッジ量とシャープネス設定の関係を示した図。
【図14】特定被写体としての紙幣に対して、R、G、Bの平均値を算出する複数の領域を示した図。
【図15】基準補正テーブルと修正補正テーブルの一例を示した図。
【図16】(a)、(b)は、撮影データの領域Cにおける画素ずれを示した図。
【図17】歪み量に対する歪み補正のテーブルの一例を示した図。
【図18】ズーム位置に応じて調整された画像処理パラメータを複数設定した状況を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。図1(a)は、本発明の実施形態に係る撮像装置の一例としてのデジタルカメラの前面側を示す斜視図、図1(b)は、このデジタルカメラの背面側を示す斜視図、図2は、このデジタルカメラ内のシステム構成の概要を示すブロック図である。
【0017】
(デジタルカメラの外観構成)
図1(a),(b)に示すように、本実施形態に係るデジタルカメラ1のカメラ本体2の上面側には、レリーズボタン(シャッタボタン)3、電源スイッチ4、撮影モード等の各種モードの切替えを行うための切替ダイヤル5などが設けられており、カメラ本体2の前面側には、撮影レンズ6を有するレンズユニット7、ストロボ発光部8などが設けられている。
【0018】
カメラ本体2の背面側には、液晶モニタ(LCD)9、ズームスイッチ10、メニュー切替ボタン11などが設けられている。また、カメラ本体2の側面内部には、撮影した画像データを保存するためのメモリカード13(図2参照)を収納するメモリカード収納部12が設けられている。液晶モニタ(LCD)9は、ライブビュー機能を有しており、撮影時における被写体画像を表示することができる。
【0019】
なお、このデジタルカメラ1は、レンズユニット7をカメラ本体2のレンズマウント(不図示)に着脱可能に装着することができ、ズームレンズや単焦点レンズなどの複数のレンズユニットを選択して装着することができる。例えば、前記レンズユニット7の撮影レンズ6がズーム光学系を有している場合には、広角側から望遠側の所定の焦点範囲内でズーム撮影することができる。
【0020】
(デジタルカメラ1のシステム構成)
図2に示すように、このデジタルカメラ1は、レンズユニット7の撮影レンズ6を通して入射される被写体像が受光面上に結像する固体撮像素子としてのCCDイメージセンサ(以下、「CCD」という)20、CCD20から出力される電気信号(アナログRGB画像信号)をデジタル信号に処理するアナログフロントエンド部(以下、「AFE部」という)21、AFE部21から出力されるデジタル信号を処理する信号処理部22、データを格納するSDRAM23、制御プログラム等が記憶されたROM24、レンズユニット7(撮影レンズ6、絞りユニット45、メカシャッタユニット46の各駆動ユニットなど)を駆動するモータドライバ25等を有している。なお、モータドライバ25はレンズユニット7側に設置されている。
【0021】
CCD20は、CCD20を構成する複数の画素上にRGB原色フィルタ(不図示)が配置されており、RGB3原色に対応した電気信号(アナログRGB画像信号)が出力される。
【0022】
AFE部21は、CCD20を駆動するTG(タイミング信号発生部)30、CCD20から出力される電気信号(アナログRGB画像信号)をサンプリングするCDS(相関2重サンプリング部)31、CDS31にてサンプリングされた画像信号のゲインを調整するAGC(アナログ利得制御部)32、AGC32でゲイン調整された画像信号をデジタル信号(以下、「RAW−RGBデータ」という)に変換するA/D変換部33を備えている。
【0023】
信号処理部22は、AFE部21のTG30からの画面水平同期信号(HD)と画面垂直同期信号(VD)、および画素転送クロック(ピクセルクロック)の出力を受け、これらの同期信号に合わせて、AFE部21のA/D変換部33から出力されるRAW−RGBデータを取り込むCCDインターフェース(以下、「CCDI/F」という)34と、SDRAM23を制御するメモリコントローラ35と、取り込んだRAW−RGBデータを表示や記録が可能な画像データに変換処理する画像データ処理部36と、表示や記録される画像データのサイズに合わせて画像サイズを変更処理するリサイズ処理部37と、画像データを液晶モニタ(LCD)9に表示出力するための表示出力制御部38と、画像データをJPEG形成などで記録するためのデータ圧縮部39と、画像データをメモリカード13へ書き込み、又はメモリカード13に書き込まれた画像データを読み出すメディアインターフェース(以下、「メディアI/F」という)40と、後述する画像処理パラメータを調整する画像処理パラメータ調整部41、操作部42からの操作入力情報に基づき、ROM24に記憶された制御プログラムに基づいてデジタルカメラ1全体のシステム制御等を行う制御部(CPU)43を備えている。
【0024】
操作部42は、デジタルカメラ1(図1(a),(b)参照)の外観表面に設けられているレリーズボタン3、電源ボタン4、切替ダイヤル5、ズームスイッチ10、メニュー切替ボタン11等であり、撮影者の操作によって所定の動作指示信号が制御部43に入力される。
【0025】
また、制御部43は、CCDI/F34に取り込まれたRAW−RGBデータに基づいて、撮影する被写体が所定の明るさよりも暗いと判定した場合や、ストロボ発光モードに設定された場合などにストロボ発光制御部44へストロボ発光信号を出力して、ストロボ発光部8を発光させる。
【0026】
SDRAM23には、CCDI/F34に取り込まれたRAW−RGBデータが保存されると共に、画像データ処理部36で変換処理されたYUVデータ(RAW−RGBデータを、輝度データ(Y)と色差成分画像データCb、Crに変換処理したYCbCrデータ(以下、YCbCrデータ)が保存され、更に、データ圧縮部39で圧縮処理されたJPEG形成などの画像データが保存される。
【0027】
また、レンズユニット7は、ズームレンズやフォーカスレンズ等を有する撮影レンズ6、絞りユニット45、メカシャッタユニット46を備えており、撮影レンズ6、絞りユニット45、メカシャッタユニット46の各駆動ユニットは、モータドライバ25によって駆動される。モータドライバ25は、制御部43からの駆動信号により駆動制御される。また、レンズユニット7をカメラ本体2のレンズマウント(不図示)に装着すると、レンズユニット7側の電気接点とカメラ本体2側の電気接点が電気的に接続され、制御部43は、撮影レンズ6のレンズ情報(レンズ焦点距離情報、ズーム位置情報など)を取得する。
【0028】
(被写体撮影時の画像データ処理)
次に、前記したデジタルカメラ1の被写体撮影時における画像データ処理について説明する。
【0029】
ユーザ(撮影者)が電源ボタン4をONし、切替ダイヤル5を撮影モードに設定することで、デジタルカメラ1が記録モードで起動する。電源ボタン4がONされて、切替ダイヤル5が撮影モードに設定されたことを制御部43が検知すると、制御部43はCCD20、AFE部21、信号処理部22、SDRAM23、ROM24、液晶モニタ9等を起動させる。
【0030】
そして、レンズユニット7の撮影レンズ6を被写体に向けることにより、撮影レンズ6を通して入射される被写体像がCCD20の各画素の受光面上に結像する。そして、CCD20から出力される被写体像に応じた電気信号(アナログRGB画像信号)は、CDS31、AGC32を介してA/D変換部33に入力され、A/D変換部33によりRAW−RGBデータに変換する。このRAW−RGBデータは、信号処理部22のCCDI/F34に取り込まれてメモリコントローラ35を介してSDRAM23に保存される。
【0031】
そして、信号処理部22のCCDI/F34は、取り込まれたRAW−RGBデータより、AF(自動合焦)評価値、AE(自動露出)評価値、AWB(オートホワイトバランス)評価値を算出する。
【0032】
AF評価値は、例えば高周波成分抽出フィルタの出力積分値や、近接画素の輝度差の積分値によって算出される。合焦状態にあるときは、被写体のエッジ部分がはっきりとしているため、高周波成分が一番高くなる。これを利用して、AF動作時(合焦検出動作時)には、撮影レンズ6の各フォーカス位置におけるAF評価値を取得して、その極大になる点を合焦検出位置としてAF動作が実行される。
【0033】
AE評価値とAWB評価値は、RAW−RGBデータにおけるRGB値のそれぞれの積分値から算出される。例えば、CCD20の全画素の受光面に対応した画面を256エリアに等分割(水平16分割、垂直16分割)し、それぞれのエリアのRGB積算を算出する。そして、制御部43は、算出されたRGB積算値を読み出し、AE処理では、画面のそれぞれのエリアの輝度を算出して、輝度分布から適正な露光量を決定する。決定した露光量に基づいて、露光条件(CCD20の電子シャッタ回数、絞りユニット45の絞り値等)を設定する。また、AWB処理では、RGBの分布から被写体の光源の色に合わせたAWBの制御値を決定する。
【0034】
そして、レリーズボタン3が押圧(半押しから全押し)操作される静止画撮影動作が開始されると静止画記録処理が行われる。
【0035】
即ち、レリーズボタン3が押圧(半押しから全押し)操作されると、制御部43からモータドライバ25への駆動指令により撮影レンズ6のフォーカスレンズが移動し、例えば、いわゆる山登りAFと称されるコントラスト評価方式のAF動作が実行される。AF(合焦)対象範囲が無限から至近までの全領域であった場合、撮影レンズ6のフォーカスレンズは、至近から無限、又は無限から至近までの間の各フォーカス位置に移動し、CCDI/F34で算出されている各フォーカス位置における前記AF評価値を制御部43が読み出す。そして、各フォーカス位置のAF評価値が極大になる点を合焦位置としてフォーカスレンズを合焦位置に移動させ、合焦させる。
【0036】
そして、前記したAE処理が行われ、露光完了時点で、制御部43からモータドライバ25への駆動指令によりメカシャッタユニット45が閉じられ、CCD20から静止画用のアナログRGB画像信号が出力される。そして、AFE部21のA/D変換部33によりRAW−RGBデータに変換される。
【0037】
そして、このRAW−RGBデータは、信号処理部22のCCDI/F34に取り込まれ、後述する画像データ処理部36でYUVデータに変換されて、メモリコントローラ35を介してSDRAM23に保存される。そして、このYUVデータはSDRAM23から読み出されて、リサイズ処理部37で記録画素数に対応するサイズに変換され、データ圧縮部39でJPEG形式等の画像データへと圧縮される。圧縮されたJPEG形式等の画像データは、SDRAM23に書き戻された後にメモリコントローラ35を介してSDRAM23から読み出され、メディアI/F40を介してメモリカード13に保存される。
【0038】
画像データ処理部36には、図3に示すように、取り込んだRAW−RGBデータを表示や記録が可能な画像データに変換処理して出力するための、ホワイトバランス(WB)処理部50、γ補正処理部51、補間処理部52、YCbCr変換処理部53、色補正処理部54、エッジ強調処理部55を有している。
【0039】
ホワイトバランス(WB)処理部50は、CCDI/F34で算出された前記AWB評価値に基づいて、CCD20の全画素上に配置されているRGBフィルタの分布から被写体の光源の色に合わせたホワイトバランスの制御値を決定するWB処理を行って、ホワイトバランスを合わせる。
【0040】
即ち、被写体からの光量を蓄積するCCD20の各画素には、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)のいずれか1色のカラーフィルタがベイヤ配置されているが、カラーフィルタの色によって透過する光量が変わってくるため、各画素に蓄積される電荷量が異なっている。ベイヤ配置のRGBカラーフィルタでは、最も画素感度が高いのはGフィルタで、RフィルタとBフィルタはGフィルタと比較すると約半分程度の画素感度である。よって、WB処理では、これらのカラーフィルタの画素感度差を補い、撮影画像の中の白色を白く見せるために、RフィルタとBフィルタの画素からの出力にゲインを掛ける処理を行う。
【0041】
また、物の色は、光源色(例えば、太陽光、蛍光灯など)によって変わってくるため、ホワイトバランス(WB)処理部50は、光源が変わっても白色を白く見せるように、RフィルタとBフィルタの画素からの出力に掛けるゲインを変更し、制御する機能を有している。
【0042】
γ補正処理部51は、ホワイトバランス(WB)処理部50でホワイトバランスが合わされた各画素出力データに対して、例えば、図4(a)に示すようなγ補正の曲線によって入出力変換処理を行う。なお、図4(a)の横軸は入力信号、縦軸は出力信号である。
【0043】
即ち、このデジタルカメラ1の液晶モニタ(LCD)9などの画像出力装置では、例えば、図4(b)に示すように、入力信号に対して出力信号は非線形な特性で出力される。なお、図4(b)の横軸は入力信号、縦軸は出力信号である。このような非線形な出力の場合、表示される画像の階調性が異なったものとなる。そこで、画像出力装置の出力特性が線形性を保つように予め入力信号に対してγ補正処理を行なう。
【0044】
補間処理部52は、1画素に1色のデータしか持っていないRAWデータに対して、足りない他の2色のデータを補うためにその周辺の画素から補間する補間演算処理を行う。
【0045】
YCbCr変換処理部53は、RGBデータを表示や記録が可能なYUVデータ(以下、「YCbCrデータ」という)に変換する処理を行う。
【0046】
即ち、デジタルカメラ等で一般的に用いられているファイル形式のJPEG画像では、YCbCrデータから画像が作成されるため、RGBデータをYCbCrデータに変換する必要がある。この変換式としては、例えば、下記の式を用いることができる。
Y = 0.299×R+0.587×G+0.114×B
Cb=−0.299×R+0.587×G+0.886×B
Cr= 0.701×R−0.587×G−0.114×B
【0047】
色補正処理部54で行う色補正処理としては、彩度設定、色相設定、部分的な色相変更設定、色抑圧設定などが挙げられる。
【0048】
彩度設定は、色の濃さを決定するパラメータ設定処理であり、例えば、図5に示すようなCbCr色空間において、第2象限でR(レッド)の色に対して原点からR(レッド)のドットまでのベクトルの長さが長いほど、色の濃さは濃くなる。色相設定は、色合いを決定するパラメータ設定処理であり、例えば、図5のCbCr色空間において、第3象限でG(グリーン)の色に対してベクトルの長さが同じであっても、ベクトルの向きが異なると色合いが変わってくる。
【0049】
部分的な色相変更設定は、例えば、図5のCbCr色空間において、第4象限に示すように部分的に色領域を回転させる処理である。また、彩度が強いと色が濃くなる一方で、色ノイズが強くなる傾向にある。そこで、色抑圧設定は、例えば輝度信号に対して閾値を設けて、この閾値よりも低い又は高い領域に対して彩度を抑えることにより色ノイズを抑える処理である。
【0050】
エッジ強調処理部55は、YCbCr変換処理部53で変換されたYCbCrデータも対して画像に合わせたエッジ強調を行う処理である。エッジ強調処理部55は、図6に示すように、画像の輝度(Y)信号からエッジ部分を抽出するエッジ抽出フィルタ部56と、エッジ抽出フィルタ部56により抽出されたエッジに対してゲインを掛けるゲイン乗算部57と、エッジ抽出フィルタ部56でのエッジ抽出と並行して画像のノイズを除去するローパスフィルタ(LPF)部58と、ゲイン乗算後のエッジ抽出データとローパスフィルタ処理後の画像データを加算する加算部59を有している。
【0051】
なお、エッジの強弱は、ゲイン乗算部57のゲインによって決まり、ゲインが大きい場合にはエッジが強くなり、ゲインが小さい場合にはエッジが弱くなる。
【0052】
前記した通常の撮影時には、制御部43による制御によって、画像データ処理部36で前記した画像データ処理(ホワイトバランス(WB)処理、γ補正処理、補間処理、YCbCr変換処理、色補正処理、エッジ強調処理)が自動的に行なわれる。
【0053】
(画像処理パラメータの調整モード設定時の動作)
また、本実施形態のデジタルカメラ1は、装着されたレンズユニット7(撮影レンズ6)のレンズ特性に合わせて画像処理パラメータ(シャープネスパラメータ、色補正パラメータ、光学歪補正パラメータ、周辺光量落ち補正パラメータ)を調整するための画像処理パラメータ調整モードを有している。以下に述べる画像処理パラメータの調整処理は、画像処理パラメータ調整部41で行われる。以下、画像処理パラメータ調整モードに設定した場合の動作を、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
【0054】
ユーザ(撮影者)がメニュー切替ボタン11を操作して画像処理パラメータの調整モードに設定すると、画像処理パラメータ調整モードが起動する(ステップS1)。なお、本実施形態のデジタルカメラ1のように、レンズユニットを交換可能なカメラの場合には、別のレンズユニットに交換して装着した初期時に液晶モニタ9に「画像処理パラメータ調整モード」を表示するようにして、ユーザ(撮影者)に画像処理パラメータの調整モードを行うように促すようにしてもよい。
【0055】
そして、画像処理パラメータ調整モードに設定されると、画像処理パラメータ調整のために撮影する特定被写体の選択を行う(ステップS2)。
【0056】
特定被写体としては、一般的に入手が容易であり、定形でデザイン変更が少ないものが適している。また、特定被写体の全面に光が均一に当たる必要があるため、凹凸の少ない定形の印刷物等が好ましい。本実施形態では、日本紙幣(以下、「紙幣」という)、切手、タバコ等の身近にあるものを特定被写体として用いた構成であるが、これら以外にも上記の条件を満たすものなら何でもよい。なお、特定被写体として、画像処理パラメータ調整モード用に予め用意したテストチャートのようなものでもよい。
【0057】
本実施形態のデジタルカメラ1では、ROM24に予め複数の特定被写体(例えば、切手、紙幣、タバコなど)情報等が記憶されており、画像処理パラメータ調整モードに設定されると、液晶モニタ9の画面に例えば、図8に示すような複数の特定被写体(例えば、切手、紙幣、タバコなど)が表示される。図8の画面表示では、メニュー切替ボタン11の操作により特定被写体として、1,000円札の紙幣を選択した状況である。なお、図8の画面表示でタバコを選択した場合には、タバコの箱に印刷されているパッケージのデザインが特定被写体となる。
【0058】
そして、特定被写体として、例えば1,000円札の紙幣を選択すると、図9に示すように、液晶モニタ9の画面にこの紙幣(例えば、1,000円札)のサイズに応じた撮影ガイド枠Aが表示される(ステップS3)。そして、ユーザ(撮影者)は、実物の紙幣(例えば、1,000円札)を特定被写体として平坦な机等の上に置き、デジタルカメラ1の撮影レンズ6をこの特定被写体に向ける。この際、ユーザ(撮影者)は、液晶モニタ9の画面上の撮影ガイド枠Aに特定被写体(例えば、1,000円札)が略入るように、撮影距離及び画角を合わせる(ステップS4)。
【0059】
そして、このデジタルカメラ1は、この特定被写体(例えば、1,000円札)の撮影時における被写体光源を判定する(ステップS5)。被写体光源の判定処理は、制御部43が画像データ処理部36から取り込んだ信号に基づいて行う。
【0060】
この被写体光源の判定では、光源判定用の画像を取得して判定を行うが、光源判定用の画像は、ステップS4で画角を決定するときに液晶モニタ9の画面に表示される画像を用いてもよいし、一旦撮影を行い撮影した画像を用いてもよい。なお、画像を取得するタイミングは、例えば、撮影ガイド枠Aに特定被写体(例えば、1,000円札)の画角を合わせたときのタイミングで取得してもよいし、特定被写体を撮影するときにレリーズボタン3が押されるタイミングで取得してもよい。
【0061】
被写体光源の判定において、光源色温度の判定と、光源照度、均一性の判定は、以下のように行うことができる。
【0062】
〈光源色温度の判定〉
前記のように取得した画像のホワイトバランス値(Rゲイン、Bゲイン)から、光源の色温度を判定する。即ち、ホワイトバランス値と色温度とを関連付けて、取得した画像に使用しているホワイトバランス値から色温度を算出する。例えば、図10に示すような特性図に基づき、ホワイトバランスのBゲインによって光源の色温度を算出することができる。
【0063】
〈光源照度、均一性の判定〉
光源の照度、均一性の判定は、前記のように取得した画像の撮影ガイド枠A内の領域を、例えば、図11(a)に示すように、水平、垂直に複数分割し、分割領域毎に輝度平均値を算出して算出した平均値を用いて判定を行う。撮影ガイド枠A内の領域毎の輝度値は特定被写体にも影響を受けるが、撮影ガイド枠Aに合わせて撮影が行われれば特定被写体のどの部分がどの領域内に入るかは想定できるため、分割された領域毎に判定基準に比率を持たせることで判定条件内にあるかを判定することができる。
【0064】
光源照度の判定は、撮影ガイド枠A内の各領域が目的の範囲内にあるかを判定し、均一性の判定は、撮影ガイド枠A内の着目領域とその周辺領域との差が大きくないかを判定する。撮影ガイド枠A内の着目領域と周辺領域に予めしきい値を設定しておき、着目領域と周辺領域の差がそのしきい値内にあるかを判定する。
【0065】
なお、撮影ガイド枠A内の全ての領域の平均値を用いてもよいが、図11(b)に示すように、例えば、撮影ガイド枠A内の中心領域と4隅(斜線で示した領域)だけを用いるなど、幾つかの領域データだけを用いるようにしてもよい。
【0066】
被写体光源の判定において、前記した判定結果が予め設定した判定条件を満たしていないと判断した場合は、特定被写体の撮影時にストロボ発光制御部43へストロボ発光信号を出力してストロボ発光部8を発光させる。ストロボ発光部8の発光で調光を行うことで、被写体光源の色温度、照度、均一性を条件になるようにすることができる。
【0067】
そして、撮影する特定被写体(例えば、1,000円札や切手など)が、デジタルカメラ1側で設定した特定被写体と一致しているかを判定する(ステップS6)。
【0068】
撮影する特定被写体によっては、一部が汚れていたり変色していたりする場合が考えられる。汚れや変色を検知するために、撮影ガイド枠A内の測定領域から測定データを取得したときに、この測定データとROM24に予め記憶されている基準データとを比較し、測定データが基準データに対して予め設定した誤差許容範囲内であるかどうかを判定する。そして、測定データが基準データに対して誤差許容範囲外である場合は、その領域のデータを使用しないか、その領域だけ測定位置を移動させて測定を行うようにする。
【0069】
なお、撮影する特定被写体の汚れは輝度情報(Y)で判定し、変色は前記色差情報(CbCr)で判定するようにするとよい。また、測定データと基準データとの比較では、設定した特定被写体と一致しているかについて判定を行うようにする。
【0070】
また、ステップS2で選択した特定被写体と異なる特定被写体を撮影する場合には、測定データが基準データと全く一致しなくなるので、撮影ガイド枠A内の測定領域で何箇所か誤差許容範囲外になる場合には、選択した特定被写体と異なっている旨のメッセージを液晶モニタ9の画面に表示してもよい。
【0071】
また、撮影する特定被写体に対するシャープネス、光学歪み補正、周辺光量落ち補正は、輝度情報(Y)を主に用いて行われる。このため、特定被写体の変色の影響は小さいので、変色による影響のある色補正のパラメータ調整だけ行わないようにするなど、被写体判定でパラメータ調整できる項目だけ行うようにする。なお、撮影する特定被写体が切手の場合、切手は紙幣に比べて白以外の均一な色領域の割合が多いので、特定の色情報がより得易くなる。
【0072】
そして、ステップS6で判定した特定被写体に対して、レリーズボタン3を押して撮影を行い(ステップS7)、撮影画像に対して、以下のような画像処理パラメータ(シャープネスパラメータ、色補正パラメータ、光学歪補正パラメータ、周辺光量落ち補正パラメータ)の調整を行う(ステップS8)。
【0073】
〈シャープネスパラメータの調整〉
装着するレンズユニット7(撮影レンズ6)の種類によってレンズの解像度が異なるため、それを補うためにシャープネスパラメータ設定を調整する。
【0074】
シャープネスパラメータ調整には、撮影された特定被写体画像の中で図柄に明暗差のある領域を使用する。明暗差の大きな所では図柄のエッジ部分が利用できる。図柄のエッジ部分のエッジ量を算出することで、レンズの解像度を測ることができる。
【0075】
例えば、図12(a)に示すような紙幣(図では1,000円札)があった場合に、「1000」、「千円」、「銀行券」などの文字部分でエッジ量を測定することができる。また、図12(b)に示すように、「0」に注目して、水平方向に輝度値(Y値)を取得するとエッジ量を取得することができる。
【0076】
図13(a)は、明暗差のある領域でエッジ量とシャープネス処理をしたときのエッジに付くシャープネスを示したものである。レンズ解像度が低いものでは、エッジ量が小さく、レンズ解像度が高いものではエッジ量が大きくなる。このレンズ解像度の差を、シャープネス設定を調整することで補うようにする。例えば、図13(b)に示すように、エッジ量とシャープネス設定の間で関係を持たせておき、エッジ量が算出できたらシャープネス設定が決まるようにする。また、解像度が低いレンズに対してはシャープネスを高く設定していくが、シャープネスの掛け過ぎはかえって画質を悪くするので、ある程度でシャープネス設定は制限するようにする。
【0077】
〈色補正パラメータの調整〉
装着したレンズユニット7(撮影レンズ6)の種類によっては、レンズから撮像素子(CCD20)への入射光の角度変更により色再現性に影響がでることがある。
【0078】
色補正パラメータ調整では、特定被写体の領域毎の色比率を算出して調整を行う。使用する領域は、図11(a)と同じように撮影ガイド枠Aを複数に分割した領域で行う。撮影ガイド枠Aの分割された各領域毎に、Gに対するR、Bの比率(R/G、B/G)を算出する。そして、算出した前記比率(R/G、B/G)とROM24に予め記憶されている基準の比率(R/G、B/G)とに基づいて、分割された各領域の色補正パラメータを以下の式によって算出する。
【0079】
補正前の各画素(赤、青)の信号をR、Bとし、色補正後の信号をR’、B’とすると、以下の式から各画素のR、Bの信号を補正することで、色補正を行うことができる。
R’=R×(算出(R/G)/基準(R/G))
B’=B×(算出(B/G)/基準(B/G))
【0080】
例えば、特定被写体として、図12(a)に示したような紙幣(図では1,000円札)を用いた場合には、図14に示したように、紙幣に対して黒丸で塗り潰したA〜Iの領域それぞれでR、G、Bの平均値を算出し、各領域毎にGに対するR、Bの比率(R/G、B/G)を算出する。そして、ROM24に予め記憶されている基準の比率(R/G、B/G)を用いて前記のように色補正を行う。
【0081】
なお、図14の紙幣において、平均値を取得していない領域では、中心Eからの距離に応じて補間するようにする。例えば、DとEの中間部分Mの補正について説明する。中心Eでの(算出(R/G)/基準(R/G))をEの補正係数Rと呼ぶようにすると、DとEの中間部分MでのRの補正係数は、
Mの補正係数R=(Dの補正係数R−Eの補正係数R)×(EMまでの距離/ED間の距離)+Eの補正係数R
となる。
【0082】
よって、中間部分Mでの信号Rに対する補正結果R’は、
R’=R×Mの補正係数R
となる。BについてもRと同様にして補正係数を算出して補正値を求めることができる。
【0083】
また、その他の補正方法としては、図14の紙幣において、A〜Iの領域から算出したR、Bの比率(R/G、B/G)から補正テーブルを作成してもよい。
【0084】
即ち、ROM24に予め記憶されている基準の比率(R/G、B/G)から基準補正テーブルを作成しておき、測定し算出したデータから基準補正テーブルを修正する。例えば、図15に示すように、基準補正テーブル(点線で表示)aをROM24に予め記憶しておく。
【0085】
そして、算出したデータから画像左側(第2象限)の補正を基準より強く、画像右側(第1象限)を基準より弱くする補正を行う場合には、基準補正テーブルに対して画像左側(第2象限)に掛かる補正は補正量を大きくし、画像右側(第1象限)に掛かる補正は補正量を小さくする。なお、図15において、算出したデータに比例して、基準補正テーブルaに対して一定の比率を掛けたものを修正補正テーブルbとしてもよい。
【0086】
〈光学歪み補正パラメータの調整〉
装着したレンズユニット7(撮影レンズ6)の種類によっては、レンズの光学的な歪み量は異なるため、レンズに適した光学歪み補正量を適用することが必要である。
【0087】
光学歪み補正パラメータの調整には、予め特定被写体の理想的な図柄情報をROM24に予め記憶しておく。そして、予め記憶していた理想的な図柄情報と撮影された特定被写体画像の図柄と比較し、分割された領域毎に画像の歪みを計算する。使用する領域は、図11(a)と同じように複数分割した領域で行う。光学歪みを判定する領域は、樽型、糸巻型など単純な歪みだけではなく、陣笠型など複雑な歪み補正ができるように複数箇所で画像の歪み計算を行うことが望ましい。
【0088】
例えば、図12(a)に示したよう紙幣(図では1,000円札)を用いて光学歪みを判断する具体例としては、紙幣の文字部分や円形図柄(印章)、あるいは図12(a)には不図示であるが細かな模様などが利用できる。例えば、紙幣(1,000円札)の「円」の字に着目した場合、図16(a)に示した予め記憶されている基準データと図16(b)に示した撮影されたデータとを比較して、例えば領域Cにおいて基準データに対して撮影されたデータが何画素ずれているかを算出することで、歪み量を計算することができる。
【0089】
なお、例えば、図17に示すような歪み量に対する歪み補正のテーブル(例えば、補正テーブルa1,a1,a3)を予め記憶しておき、算出された歪み量に応じた補正テーブルを選択してもよい。
【0090】
〈周辺光量落ち補正パラメータの調整〉
装着したレンズユニット7(撮影レンズ6)の種類によっては、レンズの周辺光量落ち特性は大きく異なるため、レンズに適した周辺光量落ち補正量を算出する必要がある。
【0091】
周辺光量落ち補正パラメータの調整では、分割された領域毎に輝度値を算出して補正量を算出する。使用する領域は、図11(a)と同じように複数分割した領域で行う。特定被写体の図柄により輝度値に影響を受けるが、撮影ガイド枠Aに合わせて撮影が行われれば特定被写体のどの部分がどの領域内に入るかは想定できるため、領域毎に輝度値比率を持たせることで輝度値から周辺光量落ちを算出することができる。算出した周辺光量落ち量から補正量を算出する。
【0092】
周辺光量落ちの情報を取得する場合においても、色補正パラメータ調整のときと同様にしてデータ取得したものが利用できる。例えば、特定被写体として図12(a)に示したような紙幣(図では1,000円札)を用いた場合に、図14に示した紙幣に対して黒丸で塗り潰したA〜Iの各領域で、R、G、Bの平均値を算出する。
【0093】
この場合、周辺光量落ちの情報をG信号で判断してもよいし、RGBから輝度値(Y値)を算出してもよい。算出したGまたは輝度値(Y値)から、紙幣の中心Eに対する周辺光量落ちの比率を算出する。また、もう少し精度の高い周辺光量落ち特性を取得したい場合には、データを取得するポイントを増やしてもよい。
【0094】
更に、追加したデータ取得ポイントが図柄などに該当する場合には、以下の式のように図柄補正係数を用いて周辺光量落ち量を修正する。
図柄ポイントの周辺光量落ち量=算出周辺光量落ち量×図柄補正係数
なお、上記の図柄補正係数は、特定被写体の図柄がどの領域内の位置に来るかは事前に分かってくるので、この図柄補正係数はROM24に予め記憶しておく。
【0095】
そして、上記のようにステップS8で調整された画像処理パラメータ(シャープネスパラメータ、色補正パラメータ、光学歪補正パラメータ、周辺光量落ち補正パラメータ)を、装着したレンズユニット7(撮影レンズ6)と関連付けてSDRAM23に保存する(ステップS9)。
【0096】
また、装着されたレンズユニット7(撮影レンズ6)のレンズ特性に応じて画像処理パラメータが調整されるので、装着されたレンズユニット7(撮影レンズ6)のレンズ特性に応じて最適な画像処理パラメータ調整を行うことができる。よって、実際の撮影時においては、このレンズユニット7(撮影レンズ6)に応じて調整された画像処理パラメータに基づいて画像処理が行われるで、高品位な画像を容易に得ることができる。
【0097】
更に、他のレンズユニットに交換した場合でも、交換したレンズユニットのレンズ特性に応じて調整された画像処理パラメータを保存することができる。よって、レンズユニットを交換した場合でも、交換したレンズユニットに応じて最適な画像処理パラメータ調整を選択して用いることができる。
【0098】
また、カメラ本体2に装着されたレンズユニット7(撮影レンズ6)がズームレンズ機能を有している場合、ズーム位置によってレンズ特性が異なるため、ズーム位置による画像処理パラメータの調整が必要となる場合がある。
【0099】
そのため、異なる焦点距離でも画像処理パラメータ調整ができるようにし、調整された画像処理パラメータの設定を複数持ち、ズーム位置によって設定を切り替えられるように構成してもよい。
【0100】
また、レンズ焦点距離によっては、撮影画面内に被写体が入りきらないなどの理由で特定被写体を変更する必要がある可能性もあるため、レンズ焦点距離の変更後の画像処理パラメータ調整では、特定被写体の選択から行えるようにする。なお、ユーザ(撮影者)がレンズ焦点距離を変更して画像処理パラメータ調整を行ったときの設定も、前記同様にSDRAM23に保存することができる。
【0101】
また、上記したデジタルカメラ1では、レンズユニット7をカメラ本体2のレンズマウント(不図示)に装着すると、レンズユニット7側の電気接点とカメラ本体2側の電気接点が電気的に接続され、制御部43は、撮影レンズ6のレンズ情報(レンズ焦点距離情報、ズーム位置情報など)を取得することができる。よって、例えば、図18に示すように、ズーム位置に応じて自動的に調整された画像処理パラメータを複数設定(図では、1-a〜1-d)することができる。なお、レンズユニット側が電気接点を有していない場合には、ユーザ(撮影者)がズーム位置に応じて手動で調整された画像処理パラメータを複数設定するようにしもよい。
【0102】
なお、前記した実施形態では、1つの特定被写体で全ての画像処理パラメータの調整を行う構成であったが、これに限らず、調整する画像処理パラメータによって最適な特定被写体を複数使用してもよい。
【0103】
また、画像処理パラメータ調整時において、任意のレンズユニットで特定被写体を撮影したときのレンズ特性を保持しておき、レンズユニット交換したときにそのレンズ特性に合わせるような処理を選択できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 デジタルタカメラ(撮像装置)
2 カメラ本体(装置本体)
6 撮影レンズ
7 レンズユニット
8 ストロボ発光部
9 液晶モニタ(表示部)
20 CCD(撮像手段)
21 AFE部(撮像手段)
23 SDRAM(記憶手段)
39 画像データ処理部(画像処理手段)
41 画像処理パラメータ調整部(画像処理パラメータ調整手段)
43 制御部(光源判定手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】
【特許文献1】特開2010−141778号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に着脱可能に装着されたレンズユニットと、前記レンズユニットを通して被写体像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段から出力される撮像した被写体像に応じた画像データを取り込み、前記画像データに対して画像処理を行う画像処理手段とを備えた撮像装置において、
前記画像処理手段で画像処理する際の画像処理パラメータを調整するための画像処理パラメータ調整手段を有し、
前記画像処理パラメータ調整手段は、特定被写体を前記レンズユニットを通して前記撮像手段で撮像したときの特定被写体画像を取込み、取込んだ特定被写体画像の画像特性データ、及び該画像特性データと予め設定された基準データとの比較結果に基づいて、装着されている前記レンズユニットのレンズ特性に合わせた画像処理パラメータ調整を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
調整を行う前記画像処理パラメータは、シャープネスパラメータ、色補正パラメータ、光学歪み補正パラメータ、周辺光量落ち補正パラメータのうちのいずれか1つ以上のパラメータであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像装置は、前記特定被写体を撮影する際の光源を判定する光源判定手段と、ストロボ発光部とを更に備えており、前記光源判定手段は、前記画像処理パラメータの調整時に前記特定被写体を撮影する際の光源色温度、光源照度、光源均一性を判定し、
光源判定結果が予め設定した光源判定条件を満たさないときには、前記ストロボ発光部を発光させて調光を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記調整された画像処理パラメータは、前記装置本体内に設けた記憶手段に保存されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記記憶手段には、交換して装着される複数の前記レンズユニットに関連付けて複数の調整された画像処理パラメータが保存されることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記特定被写体は定形の印刷物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記装置本体にはライブビュー機能を有する表示部が設けられており、前記画像処理パラメータの調整時において前記特定被写体を撮影する際に、前記表示部の画面上に前記特定被写体のサイズに応じた撮影ガイド枠が表示されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記画像処理パラメータ調整手段は、前記レンズユニットがズームレンズを備えてズーム機能を有する場合には、所定の複数のズーム位置に対応して調整された画像処理パラメータを設定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−186683(P2012−186683A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48747(P2011−48747)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】