説明

撮像装置

【課題】画像データの読み出し動作の安定性を維持しつつ撮影間隔を短縮することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】デジタルカメラ1は、CMOSイメージセンサー110と、フォーカルプレーンシャッタ装置190と、位置検出センサ195と、カメラコントローラー140と、を備えている。フォーカルプレーンシャッタ装置190のチャージギヤ40はシャッタモータ46で生成された駆動力をシャッタ機構191に伝達する。位置検出センサ195はチャージギヤ40の位置を検出する。カメラコントローラー140は、位置検出センサ195により検出されたチャージギヤ40の位置に基づいてシャッタモータ46がシャッタ機構191のチャージを開始するタイミングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、シャッタ装置を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置には、撮像素子の露光を調整するためにシャッタ装置が搭載されている。撮像素子は光を電荷に変換するので、撮像素子から電荷を画像データとして読み出す間は、撮像素子への光の入射を遮断する必要がある。したがって、通常は、撮像素子から画像データを読み出す間はシャッタ装置により撮像素子への光の入射が遮断されている。
【0003】
一方、被写体のリアルタイム画像を表示部に表示するライブビュー機能が多くの撮像装置に採用されている。ライブビューを行う場合、撮像素子に光を入射させる必要があるので、シャッタ装置の開状態を維持する必要がある。
【0004】
しかし、一般的に用いられているノーマリークローズタイプのシャッタ装置では、シャッタ装置の開状態を維持するために、例えば電磁石に通電してシャッタ幕を開位置で保持する必要がある。電磁石に通電する時間が長くなると消費電力が増大してしまうので、ライブビュー機能を有する撮像装置にノーマリークローズタイプのシャッタ装置を採用するのは、消費電力の観点から好ましくない。
【0005】
そこで、ライブビュー機能を考慮して、ノーマリーオープンタイプのシャッタ装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−061865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ノーマリーオープンタイプのシャッタ装置が搭載された撮像装置では、画像データ読み出し中はシャッタ装置の閉状態が維持される。画像データの読み出しが完了すると、ライブビュー表示をするためにシャッタ装置は開状態に切り替えられる。ノーマリーオープンタイプのシャッタ装置では機械的に開状態が維持されるので、ライブビューの時間が長くてもシャッタ装置での消費電力は抑えられる。
【0008】
一方で、ライブビューの開始を早めたり連写速度を高めたりする目的で、画像データの読み出し中にシャッタ装置の閉状態を維持しながらチャージを行うことが提案されている。この場合、画像データの読み出し中にシャッタ装置をチャージできるので、画像データの読み出し完了の早い段階でシャッタ装置を開状態に切り替えることができる。したがって、画像データの読み出し完了からライブビュー開始までの時間を短縮することができ、次の撮影までの時間を短縮することができる。連写を行う場合も同様に、撮影間隔を短縮することができる。
【0009】
しかし、シャッタ装置に搭載されているギヤやカムのような駆動部材は、様々な要因で停止位置が変動する傾向にある。例えば、チャージを行うためのアクチュエータの出力は周辺温度により変動しやすい。アクチュエータの出力が変動すると、アクチュエータを停止しても、駆動部材が慣性により動きすぎたり、あるいは、駆動部材が想定していた位置よりも手前で停止したりする。駆動部材の停止位置が変動すると、チャージを開始するタイミングが同じでも、チャージが完了するタイミングやシャッタ装置が閉状態を脱するタイミングが、想定していたタイミングからずれてしまう。そうすると、画像データの読み出しが完了する前にシャッタ装置が閉状態を脱してしまう場合もあり、画像データの読み出しの安定性が低下するおそれがある。
【0010】
ここに開示される技術は、画像データの読み出し動作の安定性を維持しつつ撮影間隔を短縮することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ここに開示される撮像装置は、撮像素子と、シャッタ機構と、アクチュエータと、伝達部材と、位置検出部と、駆動制御部と、を備えている。撮像素子は光電変換により被写体の画像データを生成する。シャッタ機構は、撮像素子に光が入射する開状態と、撮像素子に入射する光を遮断する閉状態と、を有している。アクチュエータはシャッタ機構をチャージする。伝達部材はアクチュエータで生成された駆動力をシャッタ機構に伝達する。位置検出部は伝達部材の位置を検出する。駆動制御部はアクチュエータを制御する。駆動制御部は、撮像素子から画像データが読み出されている間にシャッタ機構のチャージをアクチュエータに開始させ、シャッタ機構のチャージ完了後にシャッタ機構を閉状態から開状態へ切り替える。さらに、駆動制御部は位置検出部により検出された伝達部材の位置に基づいてアクチュエータがシャッタ機構のチャージを開始するタイミングを制御する。
【0012】
この撮像装置では、位置検出部により検出された伝達部材の位置に基づいて、アクチュエータがシャッタ機構のチャージを開始するタイミングが駆動制御部により制御されるので、伝達部材の停止位置が変動しても、チャージ完了後にシャッタ機構が閉状態を脱するタイミングが安定しやすくなる。したがって、画像データの読み出しが完了してからシャッタ機構が閉状態を脱するまでの時間を短く設定しても、画像データの読み出しが完了する前にシャッタ機構が閉状態を脱するのを抑制することができる。すなわち、この撮像装置であれば、画像データの読み出し動作の安定性を維持しつつ撮影間隔を短縮することができる。
【0013】
ここで、閉状態とは、撮像素子に入射する光がシャッタ機構により完全に遮断されている状態を意味している。また、開状態とは、シャッタ機構を通って撮像素子に光が入射する状態を意味している。また、シャッタ機構をチャージするとは、シャッタ幕が走行する力をシャッタ機構に蓄積することを意味している。
【発明の効果】
【0014】
ここに開示される技術では、画像データの読み出しの安定性を維持しつつ撮影間隔を短縮することができる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】デジタルカメラ1の斜視図
【図2】カメラ本体100の斜視図
【図3】カメラ本体100の背面図
【図4】デジタルカメラ1のブロック図
【図5】デジタルカメラ1の概略断面図
【図6】撮像ユニット125の斜視図
【図7】撮像ユニット125の斜視図
【図8】撮像ユニット125の平面図
【図9】撮像ユニット125の分解斜視図
【図10】シャッタ駆動装置194の分解斜視図
【図11】(A)撮像ユニット125の側面図、(B)撮像ユニット125の上面図
【図12】(A)調整ネジ181周辺の断面図、(B)調整ネジ181周辺の断面図
【図13】撮像ユニット125の側面図
【図14】一部の部材を省略したフォーカルプレーンシャッタ装置190の平面図(走行完了状態)
【図15】一部の部材を省略したフォーカルプレーンシャッタ装置190の平面図(チャージ完了状態)
【図16】チャージギヤ40およびスライドレバー50の斜視図
【図17】チャージギヤ40およびスライドレバー50の斜視図
【図18】(A)チャージギヤ40の斜視図、(B)チャージギヤ40の斜視図
【図19】スイッチ回路60の平面図
【図20】チャージギヤ40およびスライドレバー50の状態を示す図
【図21】間欠カム42のカム線図
【図22】チャージギヤ40およびスライドレバー50の平面図(状態A)
【図23】チャージギヤ40およびスライドレバー50の平面図
【図24】チャージギヤ40およびスライドレバー50の平面図(状態B)
【図25】チャージギヤ40およびスライドレバー50の平面図(状態C〜D)
【図26】チャージギヤ40およびスライドレバー50の平面図(状態D)
【図27】チャージギヤ40およびスライドレバー50の平面図(状態E)
【図28】チャージギヤ40およびスライドレバー50の平面図(状態E〜F)
【図29】チャージギヤ40およびスライドレバー50の平面図(状態F)
【図30】フローチャート(単写モード)
【図31】フローチャート(単写モード)
【図32】フローチャート(単写モード)
【図33】フローチャート(連写モード)
【図34】フローチャート(連写モード)
【図35】フローチャート(連写モード)
【図36】(A)シャッタ機構191の動作説明図(走行完了状態)、(B)シャッタ機構191の動作説明図(チャージ中)、(C)シャッタ機構191の動作説明図(チャージ完了状態)、(D)シャッタ機構191の動作説明図(走行準備完了状態)
【図37】タイムチャート(単写モード:パターン1)
【図38】タイムチャート(単写モード:パターン2)
【図39】タイムチャート(連写モード:パターン1)
【図40】タイムチャート(連写モード:パターン2)
【図41】チャージギヤ40およびスライドレバー50の平面図(他の実施形態)
【図42】チャージギヤ40およびスライドレバー50の平面図(他の実施形態)
【発明を実施するための形態】
【0016】
(1:デジタルカメラ1)
図面を参照しながらデジタルカメラ1について説明する。
【0017】
図1に示すように、以下の説明では、通常姿勢(以下、横撮り姿勢ともいう)のデジタルカメラ1を基準として、被写体に向かう方向を「前方」、被写体の反対に向かう方向を「後方」、鉛直上方を「上方」、鉛直下方を「下方」、被写体に向かって右側を「右方」、被写体に向かって左側を「左方」、と表現する。交換レンズユニット200の光軸AXは前後方向に概ね平行に配置されている。
【0018】
同様に、「前」、「後」、「上」、「下」、「右」および「左」は、被写体に正対する横撮り姿勢でのデジタルカメラを基準として使用する。ここで、横撮り姿勢とは、横長矩形画像の長辺方向が画像内の水平方向と概ね一致する場合におけるデジタルカメラ1の姿勢を意味している。
【0019】
なお、これらの用語は、本実施の形態に係るデジタルカメラ1の使用姿勢、あるいは、デジタルカメラ1における各構成要素の配置を限定することを意図しない。
【0020】
図1に示すように、デジタルカメラ1(撮像装置の一例)は、レンズ交換式のデジタルカメラであり、カメラ本体100と、カメラ本体100に装着可能な交換レンズユニット200と、を備えている。
【0021】
(2:カメラ本体100)
図2に示すように、カメラ本体100(撮像装置の一例)は、撮像ユニット125(撮像ユニットの一例)と、カメラモニタ120と、操作部130と、を備えている。また、図4に示すように、カメラ本体100は、カメラコントローラー140(駆動制御部の一例)と、電源160と、カードスロット170と、をさらに備えている。
【0022】
(2.1:撮像ユニット125)
図5に示すように、撮像ユニット125は、マウントユニット150(マウントユニットの一例)と、撮像素子ユニット180(撮像素子ユニットの一例)と、フォーカルプレーンシャッタ装置190(シャッタ装置の一例)と、を有している。被写体側から順に、マウントユニット150、フォーカルプレーンシャッタ装置190および撮像素子ユニット180が配置されている。マウントユニット150には交換レンズユニット200のレンズマウント250を装着することができる。撮像素子ユニット180およびフォーカルプレーンシャッタ装置190はマウントユニット150に装着されている。フォーカルプレーンシャッタ装置190は撮像素子ユニット180への入射光量を調整する。フォーカルプレーンシャッタ装置190は、撮像素子ユニット180の被写体側に配置されており、マウントユニット150と撮像素子ユニット180との間に配置されている。
【0023】
なお、デジタルカメラ1は、マウントユニット150と撮像素子ユニット180との間にクイックリターンミラーを有していない、いわゆるミラーレスの一眼カメラである。
【0024】
図5から図9に示すように、マウントユニット150は、ボディマウント151と、接点ユニット158と、マウントベース152と、を有している。ボディマウント151には交換レンズユニット200のレンズマウント250をバヨネット結合することができる。ボディマウント151はマウントベース152に固定されている。マウントベース152はカメラ本体100のメインフレーム(図示せず)に固定されている。交換レンズユニット200がボディマウント151に装着されている状態では、マウントユニット150により交換レンズユニット200は支持される。
【0025】
図6に示すように、接点ユニット158は、複数の接点159を有しており、例えばマウントベース152に固定されている。レンズマウント250がマウントユニット150に装着されている状態では、カメラ本体100と交換レンズユニット200とは、電気的に接続されている。具体的には図5に示すように、レンズマウント250がマウントユニット150に装着されている状態では、接点ユニット158の接点159が交換レンズユニット200の接点251と接触している。したがって、カメラ本体100は接点ユニット158を介して交換レンズユニット200とデータおよび制御信号のうち少なくとも一方を送受信できる。
【0026】
図6に示すように、ボディマウント151、接点ユニット158およびマウントベース152はそれぞれ開口を有しており、これらの開口を通ってフォーカルプレーンシャッタ装置190および撮像素子ユニット180に光が入射する。
【0027】
図5に示すように、撮像素子ユニット180は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサー110と、CMOS回路基板113と、放熱板186と、を有している。
【0028】
CMOSイメージセンサー110(撮像素子の一例)は、交換レンズユニット200により形成される被写体の光学像(以下、被写体像ともいう)から光電変換により画像データを生成する。CMOSイメージセンサー110の各光電変換素子に蓄積された電荷を読み出すことで被写体の画像データが生成される。図4に示すように、CMOSイメージセンサー110から読み出された画像データは、CMOS回路基板113のADコンバーター111でデジタル化される。ADコンバーター111でデジタル化された画像データは、カメラコントローラー140で様々な画像処理が施される。ここで言う様々な画像処理とは、例えば、ガンマ補正処理、ホワイトバランス補正処理、キズ補正処理、YC変換処理、電子ズーム処理、JPEG圧縮処理である。
【0029】
CMOSイメージセンサー110は、CMOS回路基板113のタイミング発生器112で生成されるタイミング信号に基づいて動作する。CMOSイメージセンサー110は、CMOS回路基板113の制御により、静止画データおよび動画データの取得を行うことができる。取得された動画データは、スルー画像の表示にも用いられる。
【0030】
ここで、スルー画像とは、動画データのうちメモリーカード171に記録されない画像であり、ライブビュー表示における被写体のリアルタイム画像を意味している。スルー画像は、主に動画像であり、動画像または静止画像の構図を決めるためにカメラモニタ120にリアルタイム表示される。
【0031】
CMOSイメージセンサー110は、スルー画像として用いられる低解像度の動画像の取得と、記録用として用いられる高解像度の動画像の取得とが可能である。高解像度の動画像としては、例えば、HDサイズ(ハイビジョンサイズ:1920×1080画素)の動画像が考えられる。
【0032】
CMOS回路基板113はCMOSイメージセンサー110を制御する。CMOS回路基板113は、CMOSイメージセンサー110から出力される画像データに所定の処理を施す回路基板であり、図4に示すように、タイミング発生器112およびADコンバーター111を含む。CMOS回路基板113は撮像素子を制御する駆動制御部に含まれる。
【0033】
図9に示す放熱板186(プレート部材の一例)は、CMOSイメージセンサー110から発生する熱を逃がすために設けられており、CMOSイメージセンサー110に接続されている。より詳細には、放熱板186は、マウントユニット150に装着されており、マウントユニット150と隙間を介して配置されている(例えば図11(A)および(B)参照)。放熱板186の詳細については後述する。
【0034】
図9に示すように、フォーカルプレーンシャッタ装置190(シャッタ装置の一例)は、CMOSイメージセンサー110の前側(被写体側)に配置されており、CMOSイメージセンサー110の露光を制御する。フォーカルプレーンシャッタ装置190は、CMOSイメージセンサー110に光が入射する開状態と、CMOSイメージセンサー110に入射しようとする光を遮断する閉状態と、を有している。フォーカルプレーンシャッタ装置190の詳細については後述する。
【0035】
(2.2:カメラモニタ120)
図1から図3に示すカメラモニタ120は、例えば液晶ディスプレイであり、表示用画像データに基づいて画像を表示する。表示用画像データは、図4に示すカメラコントローラー140で生成される。表示用画像データは、例えば、画像処理された画像データ、デジタルカメラ1の撮影条件、操作メニュー等を画像として表示するためのデータである。カメラモニタ120は、動画像も静止画像も選択的に表示可能である。図3に示すように、本実施形態では、カメラモニタ120はカメラ本体100の背面に配置されている。
【0036】
なお、カメラモニタ120はカメラ本体100に設けられた表示部の一例である。表示部としては、液晶ディスプレイ以外にも、有機EL、無機EL、プラズマディスプレイパネル等、画像を表示できるものを用いることができる。また、表示部は、カメラ本体100の背面でなく、側面や上面等、他の場所に設けてもよい。
【0037】
(2.3:操作部130)
図4に示すように、操作部130は、カメラコントローラー140と接続されており、ユーザーによる操作を受け付ける。具体的には図1から図3に示すように、操作部130は、レリーズボタン131と、カメラ本体100の上面に設けられた回転式のダイアルスイッチである電源スイッチ132と、を有している。レリーズボタン131は、2段式の押しボタンであり、半押しおよび全押しを検出することができる。半押し操作では、オートフォーカスなどの撮影準備動作が実行され、全押し操作では、露光や画像データの読み出しなどの撮影動作が実行される。
【0038】
また、操作部130を介して単写モードおよび連写モードを切り換えることができる。単写モードでは、1度のレリーズボタン131全押しで1枚の画像データが取得できる。連写モードでは、1度のレリーズボタン131全押しで複数枚の画像データを連続的に取得できる。
【0039】
なお、操作部130は、ユーザーによる操作を受け付けることができればよく、ボタン、レバー、ダイアル、タッチパネル等、他の構成を有していてもよい。
【0040】
(2.4:カメラコントローラー140)
図4に示すカメラコントローラー140は、カメラ本体100の各部を制御するとともに、交換レンズユニット200がカメラ本体100に装着されている状態ではデジタルカメラ1全体を制御する。カメラコントローラー140は、操作部130と電気的に接続されており、操作部130に入力された操作情報を認識することができる。操作部130に入力された操作情報に基づいてカメラコントローラー140はデジタルカメラ1の各部を制御する。カメラコントローラー140は、交換レンズユニット200を制御するための信号を、ボディマウント151およびレンズマウント250を介して、レンズコントローラー240に送信し、レンズコントローラー240を介して交換レンズユニット200の各部を制御する。
【0041】
例えば、カメラコントローラー140は、CMOS回路基板113とともにCMOSイメージセンサー110を制御する。具体的には、カメラコントローラー140は、CMOSイメージセンサー110からの画像データの読み出し開始を示す読み出し開始信号をCMOS回路基板113に送信し、CMOS回路基板113は受信した読み出し開始信号に基づきCMOSイメージセンサー110を制御する。また、CMOSイメージセンサー110からの画像データの読み出しの完了を示す読み出し完了信号をCMOS回路基板113はカメラコントローラー140に送信する。このように、カメラコントローラー140は、CMOSイメージセンサー110からの画像データの読み出し開始および読み出し完了を認識することができる。
【0042】
また、カメラコントローラー140は、CMOSイメージセンサー110により生成され、CMOS回路基板113によりAD変換等の所定の処理を施された画像データを取得し、画像データに対してさらに処理を施す。例えば、カメラコントローラー140は、CMOS回路基板113により処理された画像データから、表示用画像データや記録用画像データなどを生成する。
【0043】
また、カメラコントローラー140は、操作部130を介した単写モードおよび連写モードの切り替えを認識でき、単写モードおよび連写モードに応じて各部の制御を適宜変更できる。
【0044】
さらに、カメラコントローラー140は、後述するフォーカルプレーンシャッタ装置190を制御する。カメラコントローラー140によるフォーカルプレーンシャッタ装置190の制御の詳細については後述する。
【0045】
(2.5:カードスロット170)
図4に示すカードスロット170は、メモリーカード171を装着可能である。カードスロット170は、カメラコントローラー140から送信される制御信号に基づいて、メモリーカード171を制御する。具体的には、カードスロット170は、メモリーカード171に画像データ(静止画像データおよび動画像データ)を格納したり、メモリーカード171から画像データを出力したりできる。
【0046】
メモリーカード171から出力された画像データはカメラコントローラー140で画像処理される。例えば、カメラコントローラー140は、メモリーカード171から取得した画像データに伸張処理を施し、表示用画像データを生成する。
【0047】
なお、メモリーカード171は記憶部の一例である。記憶部は、メモリーカード171のようにカメラ本体100に装着可能なものでもよく、デジタルカメラ1に固定されているものでもよい。
【0048】
(2.6:電源160)
図4に示す電源160はデジタルカメラ1の各部に電力を供給する。電源160は、例えば、乾電池であってもよいし、充電池であってもよい。また、電源160は、電源コード等を介して外部の電源から電力の供給を受け、デジタルカメラ1に電力を供給するユニットであってもよい。
【0049】
(3:交換レンズユニット200)
図4示す交換レンズユニット200は、カメラ本体100に装着可能であり、被写体の光学像を形成する。具体的には、交換レンズユニット200は、光学系Lと、レンズ筒260と、駆動部215と、レンズマウント250と、レンズコントローラー240と、を有している。
【0050】
光学系LはCMOSイメージセンサー110の受光面に被写体の光学像を形成する。レンズ筒260にはレンズマウント250が固定されている。駆動部215は光学系Lの絞りユニットやレンズ群を駆動する。レンズコントローラー240は、カメラコントローラー140から送信される制御信号に基づいて、交換レンズユニット200全体を制御する。例えば、レンズコントローラー240は、カメラコントローラー140から送信される制御信号に基づいて、駆動部215を制御する。交換レンズユニット200により形成される光学像は撮像ユニット125に入射する。
【0051】
(4:撮像ユニット125の詳細構成)
ここで、撮像ユニット125の詳細構成について説明する。
【0052】
例えば、撮像素子ユニット180をネジによりマウントユニット150に装着すると、取付構造としてはシンプルで好ましい。
【0053】
しかし、マウントユニット150および撮像素子ユニット180の各部材の寸法誤差を考慮すると、撮像素子ユニット180をマウントユニット150に単に装着しただけではフランジバックが製品ごとでばらついてしまう。
【0054】
そこで、カメラ本体100では、マウントユニット150と撮像素子ユニット180との間の距離を調整できるようになっている。
【0055】
具体的には図9に示すように、撮像素子ユニット180は3つの調整ネジ181および3つのアジャストスプリング183によりマウントユニット150に装着されている。本実施形態では、3つの調整ネジ181および3つのアジャストスプリング183により、撮像素子ユニット180の放熱板186がマウントベース152に装着されている。
【0056】
図11(A)および(B)に示すように、3つのアジャストスプリング183(弾性部材の一例)は、マウントユニット150と撮像素子ユニット180との間に圧縮された状態で配置されている。撮像素子ユニット180の放熱板186には3つのフランジ185が形成されている。アジャストスプリング183はマウントユニット150のマウントベース152と放熱板186のフランジ185との間に圧縮された状態で配置されている。
【0057】
3つの調整ネジ181(調整ネジの一例)はマウントユニット150と撮像素子ユニット180との間の距離を調整するために設けられている。具体的には図12(A)および(B)に示すように、調整ネジ181はマウントユニット150のマウントベース152にねじ込まれている。調整ネジ181は、マウントユニット150にねじ込まれたネジ部181aと、ネジ部181aの端部に形成された頭部181bと、を有している。フランジ185には貫通孔185aが形成されている。ネジ部181aはフランジ185の貫通孔185aに挿入されている。撮像素子ユニット180の放熱板186(より詳細にはフランジ185)は頭部181bと当接している。
【0058】
図12(A)および(B)に示すように、マウントベース152は3つのボス部153を有している。ボス部153にはネジ孔153aが形成されている。調整ネジ181のネジ部181aはボス部153のネジ孔153aにねじ込まれている。また、ボス部153はアジャストスプリング183に挿入されており、ボス部153により上下および左右のアジャストスプリング183の位置決めが行われている。
【0059】
図12(A)および(B)に示すように、アジャストスプリング183の弾性力により放熱板186のフランジ185が調整ネジ181の頭部181bに押し付けられているので、マウントユニット150に対する撮像素子ユニット180の前後方向の位置決めが調整ネジ181およびアジャストスプリング183によりなされている。
【0060】
さらに、放熱板186がマウントユニット150に近づくのを規制するために、3つの規制ネジ182(規制部材の一例)が放熱板186に装着されている(図7および図9参照)。3つの規制ネジ182は3つの調整ネジ181のそれぞれに対して設けられている。図12(A)および(B)に示すように、規制ネジ182は、放熱板186にねじ込まれたネジ部182aと、ネジ部182aの端部に形成された頭部182bと、を有している。フランジ185には貫通孔185aと隣接して貫通ネジ孔185bが形成されている。規制ネジ182のネジ部182aは貫通ネジ孔185bにねじ込まれている。本実施形態では、規制ネジ182のネジ部182aおよび貫通ネジ孔185bはアジャストスプリング183の外周側に配置されている。
【0061】
図12(A)に示すように、調整ネジ181の頭部181bは放熱板186と規制ネジ182との間に挟み込まれている。より詳細には、調整ネジ181の頭部181bは、放熱板186と規制ネジ182の頭部182bとの間に挟み込まれている。規制ネジ182により撮像素子ユニット180がマウントユニット150に近づくのを防止することができ、撮像ユニット125に外力が加わっても撮像素子ユニット180がマウントユニット150と干渉するのを防止することができる。
【0062】
(5:フォーカルプレーンシャッタ装置190の詳細構成)
フォーカルプレーンシャッタ装置190の詳細について説明する。
【0063】
図9に示すように、フォーカルプレーンシャッタ装置190は、電力が供給されていない状態でもシャッタ機構191の開状態を保持できるノーマリーオープンタイプであり、シャッタ機構191と、シャッタ駆動装置194と、位置検出センサ195と、を有している。
【0064】
(5.1:シャッタ機構191)
シャッタ機構191(シャッタ機構の一例)は、CMOSイメージセンサー110に光が入射する開状態(図15に示す状態)と、CMOSイメージセンサー110に入射する光が遮断される閉状態(図14に示す状態)と、を有している。シャッタ機構191はシャッタ駆動装置194により駆動される。
【0065】
ここで、開状態とは、シャッタ機構191の開口11aが完全に開いている状態を意味している。閉状態とは、シャッタ機構191の開口11aがシャッタ幕(先幕21または後幕31)により完全に覆われている状態を意味しており、CMOSイメージセンサー110に入射する光がシャッタ機構191により完全に遮断されている状態を意味している。
【0066】
図14および図15に示すように、シャッタ機構191(シャッタ機構の一例)は、シャッタ収容部11と、先幕21と、後幕31と、シャッタ駆動機構85と、先幕用電磁石26と、後幕用電磁石36と、を有している。
【0067】
シャッタ収容部11は2枚のプレートを有している。2枚のプレートの間には先幕21および後幕31が走行可能に収容されている。シャッタ収容部11は、光学系LからCMOSイメージセンサー110へ光を導くための開口11aを有している。
【0068】
図14および図15に示すように、先幕21(先幕の一例)はシャッタ収容部11に対して上下方向に移動可能に配置されている。先幕21はシャッタ駆動機構85により上下方向に移動可能に支持されている。また、後幕31(後幕の一例)はシャッタ収容部11に対して上下方向に移動可能に配置されている。後幕31はシャッタ駆動機構85により上下方向に移動可能に支持されている。本実施形態では、先幕21が開口11aの上方に退避し、後幕31が開口11aの下方に退避するが、先幕21および後幕31の配置が逆であってもよい。
【0069】
シャッタ駆動機構85はシャッタ収容部11に対して先幕21および後幕31を移動可能に支持している。シャッタ駆動機構85は、先幕走行バネ(図示せず)、先幕セットバネ(図示せず)、後幕走行バネ(図示せず)、後幕セットバネ(図示せず)および駆動レバー81を有している。先幕走行バネは先幕21を上方に走行させるための弾性力を先幕21に付与する。先幕セットバネは先幕21を下方に走行させるための弾性力を先幕21に付与する。先幕走行バネの弾性力は先幕セットバネの弾性力よりも大きいので、先幕セットバネの弾性力に逆らって先幕21は上方に走行することができる。後幕走行バネは後幕31を上方に走行させるための付勢力を後幕31に付与する。
【0070】
駆動レバー81は、シャッタ収容部11に対して回転可能に設けられており、シャッタ収容部11から突出している。図14に示すように、駆動レバー81が第1レバー位置P1に配置されている場合、シャッタ収容部11の開口11aは後幕31により覆われている。駆動レバー81に外力が作用していない状態では、走行バネやセットバネにより駆動レバー81は第1レバー位置P1で保持される。
【0071】
駆動レバー81の端部を第1レバー位置P1から第2レバー位置P2へ駆動すると、先幕走行バネおよび後幕走行バネが圧縮されて、先幕21および後幕31を走行させるための弾性力が先幕走行バネおよび後幕走行バネにそれぞれチャージされ、さらに、図15に示すように、先幕21および後幕31がともに開口11aから退避する。駆動レバー81を機械的に第2レバー位置P2に保持すれば、電力供給の有無に関わらず、先幕21および後幕31が開口11aから退避した状態を機械的に保持することができる。後述するように、シャッタ駆動装置194は駆動レバー81を機械的に第2レバー位置P2に保持できるので、このフォーカルプレーンシャッタ装置190では、電力が供給されていない状態でもシャッタ機構191の開状態を保持できる。
【0072】
先幕用電磁石26は先幕走行バネが圧縮されたチャージ完了状態を保持する。例えば、先幕21を支持する先幕駆動アーム(図示せず)には先幕吸着片(図示せず)が固定されている。駆動レバー81の端部を第1レバー位置P1から第2レバー位置P2へ駆動すると、先幕走行バネの圧縮が開始され、先幕吸着片が先幕用電磁石26に近づく。駆動レバー81の端部が第2レバー位置P2に配置されている状態では、先幕21を走行させる付勢力が先幕走行バネにチャージされ、先幕吸着片が先幕用電磁石26と接触する。この状態で先幕用電磁石26に通電すると、先幕用電磁石26は先幕吸着片を電磁力により吸着する。これにより、駆動レバー81への押付力を解除した状態でも、先幕21のチャージ完了状態を保持することができる。
【0073】
後幕用電磁石36は後幕走行バネが圧縮されたチャージ完了状態を保持する。例えば、後幕31を支持する後幕駆動アーム(図示せず)には後幕吸着片(図示せず)が固定されている。駆動レバー81の端部を第1レバー位置P1から第2レバー位置P2へ駆動すると、後幕走行バネの圧縮が開始され、後幕吸着片が後幕用電磁石36に近づく。駆動レバー81の端部が第2レバー位置P2に配置されている状態では、後幕31を走行させる付勢力が後幕走行バネにチャージされ、後幕吸着片が後幕用電磁石36と接触する。この状態で後幕用電磁石36に通電すると、後幕用電磁石36は後幕吸着片を電磁力により吸着する。これにより、駆動レバー81への押付力を解除した状態でも、後幕31のチャージ完了状態を保持することができる。
【0074】
なお、先幕用電磁石26および後幕用電磁石36への通電はカメラコントローラー140により制御される。
【0075】
ここで、シャッタ機構191の動作の詳細を説明する。
【0076】
図36(A)に示すように、先幕21および後幕31の走行が完了した状態では、先幕21が開口11aから退避し、かつ、後幕31が開口11aを覆っている。この状態をシャッタ機構191の走行完了状態という。走行完了状態では、駆動レバー81は第1レバー位置P1に配置されている。
【0077】
走行完了状態から駆動レバー81を第2レバー位置P2へ駆動すると、シャッタ機構191のチャージが行われる。駆動レバー81を第2レバー位置P2に向かって押すと、先幕走行バネおよび後幕走行バネの弾性力が駆動レバー81に作用する。図36(B)に示すように、駆動レバー81が第2レバー位置P2に到達する直前で後幕31が開口11aから下方への退避を開始する。図36(C)に示すように、駆動レバー81が第2レバー位置P2に到達すると後幕31が開口11aから下方へ退避した状態となる。第2レバー位置P2に駆動レバー81が保持されている状態では、先幕21および後幕31がともに開口11aから退避する。この状態をチャージ完了状態という。
【0078】
このチャージ完了状態では、先幕吸着片が先幕用電磁石26に当接し、後幕吸着片が後幕用電磁石36に当接している。したがって、第2レバー位置P2に駆動レバー81が保持されている状態で先幕用電磁石26および後幕用電磁石36に通電すると、先幕用電磁石26により先幕吸着片が吸着され、後幕用電磁石36により後幕吸着片が吸着される。先幕用電磁石26および後幕用電磁石36に通電している状態で、駆動レバー81の保持を解除すると、図36(D)に示すように、先幕走行バネおよび後幕走行バネに付勢力がチャージされている状態で先幕セットバネの弾性力により先幕21が下方に移動し開口11aを覆う。この状態を走行準備完了状態という。この走行準備完了状態では、先幕セットバネの弾性力により駆動レバー81も第2レバー位置P2から第1レバー位置P1に押され、駆動レバー81は第1レバー位置P1で保持される。
【0079】
走行準備完了状態で先幕用電磁石26および後幕用電磁石36への電力供給を遮断すると、先幕走行バネの弾性力により先幕21が上方へ走行し、後幕走行バネの弾性力により後幕31が上方へ走行する。走行が完了すると、シャッタ機構191は図36(A)に示す状態となる。
【0080】
このように、図36(A)に示すように、駆動レバー81が第1レバー位置P1に配置されている場合、先幕21は開状態を維持し、後幕31は閉状態を維持する。また、図36(C)に示すように、駆動レバー81が第2レバー位置P2に配置されている場合は、先幕21および後幕31は開状態を維持する。
【0081】
(5.2:シャッタ駆動装置194)
以上に説明したシャッタ機構191を駆動するために、フォーカルプレーンシャッタ装置190には図14および図15に示すシャッタ駆動装置194(シャッタ駆動装置の一例)が設けられている。シャッタ駆動装置194は、シャッタ機構191のチャージを行ったり、シャッタ機構191のチャージ完了状態(図36(C)参照)や開状態を機械的保持したりする。例えば、シャッタ駆動装置194は、チャージを行い際には駆動レバー81を第1レバー位置P1から第2レバー位置P2へ駆動し、シャッタ機構191の開状態を維持するために駆動レバー81を第2レバー位置P2で機械的に保持する。さらに、シャッタ駆動装置194は、駆動レバー81を第2レバー位置P2で保持しているのを解除することもできる。以下、シャッタ駆動装置194の詳細構成について説明する。
【0082】
図10に示すように、シャッタ駆動装置194は、ギヤベース45と、シャッタモータ46と、第1ギヤ49と、第2ギヤ48と、第3ギヤ47と、チャージギヤ40と、スライドレバー50と、を有している。
【0083】
ギヤベース45(ベース部材の一例)は、第1ギヤ49、第2ギヤ48、第3ギヤ47およびチャージギヤ40を回転可能に支持しており、シャッタ機構191の側方に装着されている。また、ギヤベース45はスライドレバー50を上下方向(第1方向の一例)に移動可能に支持している。ギヤベース45は案内溝45aを有している。スライドレバー50は、案内溝45aに挿入されており、案内溝45aに沿って上下方向に移動可能となっている。ギヤベース45にはシャッタモータ46が固定されている。
【0084】
シャッタモータ46(アクチュエータの一例)はシャッタ機構191を駆動するための駆動力を生成する。シャッタモータ46はカメラコントローラー140により制御される。シャッタモータ46は、例えば直流モータであり、駆動シャフト46bと、駆動シャフト46bの端部に固定された駆動ギヤ46aと、を有している。駆動ギヤ46aは第1ギヤ49と噛み合っている。駆動シャフト46bは回転軸R2を中心に回転する。図14および図15に示すように、回転軸R2は左右方向と概ね平行であり、上下方向と概ね垂直である。シャッタモータ46は、シャッタ機構191と上下方向に並んで配置されており、シャッタ機構191の下方に配置されている。
【0085】
図10および図13に示すように、第1ギヤ49(ギヤ部材の一例)は、シャッタモータ46の駆動ギヤ46aおよび第2ギヤ48と噛み合っており、シャッタモータ46の回転を減速して第2ギヤ48に伝達する。
【0086】
第2ギヤ48(ギヤ部材の一例)は、第1ギヤ49および第3ギヤ47と噛み合っており、第1ギヤ49の回転を減速して第3ギヤ47に伝達する。
【0087】
第3ギヤ47(ギヤ部材の一例)は、第2ギヤ48およびチャージギヤ40と噛み合っており、第2ギヤ48の回転をチャージギヤ40に伝達する。
【0088】
チャージギヤ40(第1駆動部材の一例、伝達部材の一例)はシャッタモータ46で生成される駆動力をシャッタ機構191に伝達する。具体的には、チャージギヤ40は、ギヤベース45により回転可能に支持されており、第3ギヤ47の回転をスライドレバー50に伝達する。チャージギヤ40は、第1ギヤ49、第2ギヤ48および第3ギヤ47を介してシャッタモータ46により回転駆動され、スライドレバー50を介してシャッタ機構191をチャージする。また、チャージギヤ40は、シャッタモータ46への電力供給がない状態でシャッタ機構191の開状態を機械的に保持したり、シャッタ機構191を閉状態から開状態に切り替えたりできる。
【0089】
ここで、チャージギヤ40の形状の詳細について説明する。
【0090】
図16〜図18(B)に示すように、チャージギヤ40は、全周ギヤ41と、間欠ギヤ43(ギヤ部の一例)と、間欠カム42(カム部の一例)と、を有している。全周ギヤ41は第3ギヤ47と噛み合っている。これにより、チャージギヤ40はシャッタモータ46の駆動力により回転する。
【0091】
間欠ギヤ43および間欠カム42は、全周ギヤ41の側面に配置されており、円周方向の一部に形成されている。間欠カム42は間欠ギヤ43と円周方向に並んで配置されている。間欠ギヤ43および間欠カム42は全周ギヤ41の回転をスライドレバー50に伝達する。間欠ギヤ43はチャージ開始からチャージ完了直前にかけてスライドレバー50に全周ギヤ41の回転を伝達する。
【0092】
一方、間欠カム42は、スライドレバー50のカムフォロア54と摺動可能に設けられており、スライドレバー50を介してシャッタ機構191のチャージ完了状態を保持する。具体的には、間欠カム42は、カム本体42gと、カム本体42gから回転方向の前方に突出した案内部42fと、を有している。案内部42fは、チャージ完了直前からチャージ完了にかけてスライドレバー50に全周ギヤ41の回転を伝達し、スライドレバー50を下方に駆動する。
【0093】
さらに、カム本体42gは、スライドレバー50をチャージ完了位置P12(図15)で機械的に保持し、スライドレバー50を介して駆動レバー81を第2レバー位置P2で機械的に保持する。したがって、シャッタ駆動装置194はシャッタ機構191の開状態を機械的に維持することができる。スライドレバー50を保持している状態でチャージギヤ40を回転させることで、間欠カム42によるスライドレバー50の保持を解除することもできる。
【0094】
シャッタモータ46の停止後にチャージギヤ40が回転しすぎないように、間欠カム42は窪み42dを有している。窪み42dはチャージギヤ40の回転軸R1に向かって内周側に窪んでいる。
【0095】
具体的には図16および図18(B)に示すように、間欠カム42は、第1摺動面42a、第2摺動面42bおよび第3摺動面42cを有している。第1摺動面42a、第2摺動面42bおよび第3摺動面42cはスライドレバー50のカムフォロア54と摺動する。第1摺動面42aおよび第3摺動面42cはチャージギヤ40の回転軸R1を中心に円弧状に形成されている。本実施形態では、第1摺動面42aは、第3摺動面42cと概ね同じ半径方向位置に配置されている。第2摺動面42bは、窪み42dの外面を構成しており、第1摺動面42aおよび第3摺動面42cの間に配置されている。
【0096】
第1摺動面42a、第2摺動面42bおよび第3摺動面42cは、第1摺動面42a、第2摺動面42bおよび第3摺動面42cの順でカムフォロア54と摺動する。第2摺動面42bは、窪み42dを構成しているので、チャージギヤ40が第2摺動面42bを介してスライドレバー50から受ける回転抵抗は第1摺動面42aを介してスライドレバー50から受ける回転抵抗よりも大きい。
【0097】
より詳細には、第2摺動面42bは、チャージギヤ40の回転軸R1から遠ざかるようにカムフォロア54を案内する案内面42eを有している。また、前述のように、シャッタ機構191の駆動レバー81は第2レバー位置P2から第1レバー位置P1へ移動するようにバネにより押圧されている。したがって、案内面42eが設けられていることで、カムフォロア54が窪み42dと摺動する際、スライドレバー50からチャージギヤ40に比較的大きな回転抵抗が与えられる。これにより、シャッタモータ46の停止後にチャージギヤ40が回転しすぎてカムフォロア54が間欠カム42から脱落するのを抑制できる。チャージギヤ40の惰性回転は、例えば、カムフォロア54が窪み42dに嵌り込んでいる状態、あるいは、カムフォロア54が窪み42dを通過して第3摺動面42cと接触している状態で停止する。
【0098】
スライドレバー50(第2駆動部材の一例)は、シャッタ機構191の駆動レバー81にシャッタモータ46の駆動力を伝達するために設けられており、カムフォロア54を介してチャージギヤ40によりギヤベース45に対して駆動される。スライドレバー50は、ギヤベース45により上下方向に直進移動可能に支持されており、チャージギヤ40により上下方向に駆動される。本実施形態では、図14および図15に示すように、スライドレバー50は、初期位置P11およびチャージ完了位置P12の間でチャージギヤ40により駆動される。初期位置P11およびチャージ完了位置P12はスライドレバー50の下端を基準としている。
【0099】
図16および図17に示すように、スライドレバー50は、本体部51と、第1挿入部55aと、第2挿入部55bと、レバー部52と、ラックギヤ53と、カムフォロア54と、を有している。
【0100】
本体部51は上下方向に細長く延びている。第1挿入部55aおよび第2挿入部55bは、ギヤベース45の案内溝45aに挿入されている(図7および図10参照)。これにより、スライドレバー50は案内溝45aに沿って移動可能となっている。
【0101】
本体部51の側面にはラックギヤ53およびカムフォロア54が配置されている。ラックギヤ53(ラックギヤの一例)はチャージギヤ40の間欠ギヤ43と噛み合い可能に設けられている。カムフォロア54(カムフォロアの一例)は間欠カム42と摺動可能に設けられている。カムフォロア54はラックギヤ53と上下方向に並んで配置されている。カムフォロア54は本体部51の側面に沿ってラックギヤ53と並んで配置されている。
【0102】
レバー部52は本体部51から前方へ突出している。レバー部52は駆動レバー81の先端と当接している。
【0103】
駆動レバー81には、シャッタ駆動機構85から常に第2レバー位置P2から第1レバー位置P1へ移動するように力が働いている。したがって、カムフォロア54が間欠カム42と接触している場合、カムフォロア54は、シャッタ機構191の駆動レバー81により間欠カム42に押し付けられている。
【0104】
(5.3:位置検出センサ195)
チャージギヤ40の回転方向の位置を検出するために、フォーカルプレーンシャッタ装置190には位置検出センサ195(位置検出部の一例)が設けられている。位置検出センサ195は、チャージギヤ40の回転方向の位置を検出することで、シャッタ機構191の状態を検出する。図10に示すように、位置検出センサ195はブラシ67およびスイッチ回路60を有している。
【0105】
図17に示すように、ブラシ67はチャージギヤ40に固定されている。ブラシ67は第1ブラシ68および第2ブラシ69を有している。第1ブラシ68は第2ブラシ69とは異なる円周方向位置に配置されている。また、第1ブラシ68は第2ブラシ69よりも外周側に配置されている。
【0106】
一方、図10に示すように、スイッチ回路60はギヤベース45に固定されている。ブラシ67の第1ブラシ68および第2ブラシ69はスイッチ回路60と接触している。図19に示すように、スイッチ回路60は、第1接点部61、第2接点部62、第3接点部63およびグランド部65を有している。第1接点部61およびブラシ67により第1スイッチSW1(図37〜図40参照)が構成されており、第2接点部62およびブラシ67により第2スイッチSW2(図37〜図40参照)が構成されており、さらに、第3接点部63およびブラシ67により第3スイッチSW3(図37〜図40参照)が構成されている。
【0107】
本実施形態では、図19に示すように、第3接点部63は第1部分63aおよび第2部分63bを有している。第1部分63aおよび第2部分63bを設けることで、第3スイッチSW3を用いてチャージギヤ40の位置を2箇所で検出することができる。後述するように、第1部分63aは第3スイッチSW3の1回目のON信号を生成する。第3スイッチSW3の1回目のON信号はシャッタ機構191のチャージを開始するタイミング(時間T2)を調整するために用いられる。第2部分63bは第3スイッチSW3の2回目のON信号を生成する。第3スイッチSW3の2回目のON信号は、チャージギヤ40が図24に示す第1位置に配置されていることを示しており、画像データの読み出し完了前にシャッタ機構191が閉状態を脱するか否かを判定するために用いられる。位置検出センサ195は、チャージギヤ40が図24に示す第1位置に配置されていることを検出することで、シャッタ機構191のチャージが開始されてからシャッタ機構191が閉状態を脱するまでの間の第1状態を検出する。
【0108】
なお、第1スイッチSW1のON信号は、チャージギヤ40が図25に示す第2位置に配置されていることを示しており、シャッタ機構191が開状態になった直後の第2状態を検出するために用いられる。位置検出センサ195は、チャージギヤ40が図25に示す第2位置に配置されていることを検出することで、シャッタ機構191の第2状態を検出する。
【0109】
第2ブラシ69は常にグランド部65と接触しているが、第1ブラシ68は、チャージギヤ40の回転角度によって第1接点部61、第2接点部62、第3接点部63およびグランド部65のいずれか1つと接触する。スイッチ回路60はカメラコントローラー140に電気的に接続されている。ブラシ67およびスイッチ回路60により、チャージギヤ40の回転方向の位置を検出することができ、チャージギヤ40の回転方向の位置を検出することでシャッタ機構191の状態もカメラコントローラー140により検出することができる。
【0110】
(6:カメラコントローラー140の詳細構成)
カメラコントローラー140はCMOSイメージセンサー110およびシャッタ駆動装置194を制御する。カメラコントローラー140は、フォーカルプレーンシャッタ装置190の全体の駆動時間を短縮するために、以下に説明するような制御を行う。
【0111】
例えば、図37〜図40に示すように、カメラコントローラー140は、CMOSイメージセンサー110から画像データが読み出されている間にシャッタ機構191のチャージをシャッタ駆動装置194に開始させる。これにより、画像データの読み出し完了後にチャージを開始する場合に比べて、ライブビュー表示の開始タイミングを早めたり、あるいは、連写速度を高めたりすることができる。
【0112】
しかし、画像データの読み出し中にシャッタ機構191のチャージが開始されると、画像データの読み出し完了前にシャッタ機構191が閉状態を脱する可能性がある。画像データの読み出し完了前にシャッタ機構191が閉状態を脱すると、CMOSイメージセンサー110に光が入射するので画像データの読み出しに影響を及ぼす。
【0113】
そこで、上記の制御に伴い、カメラコントローラー140は、CMOSイメージセンサー110が画像データの読み出しを完了する前にシャッタ機構191が閉状態を脱する直前の状態(第1状態)であることが位置検出センサ195により検出されると、シャッタ機構191が閉状態を脱するタイミングが遅れるようにシャッタ駆動装置194を制御する。
【0114】
具体的には、カメラコントローラー140は、CMOSイメージセンサー110が画像データの読み出しを完了する前にシャッタ機構191が第1状態であることが位置検出センサ195により検出されると、画像データの読み出し完了後にシャッタ機構191が第1状態になる場合に比べて早いタイミングで、シャッタ駆動装置194によるシャッタ機構191の駆動を制限する(図38および図40参照)。ここで、シャッタ駆動装置194によるシャッタ機構191の駆動を制限するために、カメラコントローラー140はシャッタモータ46に対して電気的にブレーキをかける。本実施形態では、カメラコントローラー140はシャッタモータ46に対してショートブレーキをかける。これにより、チャージギヤ40の惰性回転で画像データの読み出し完了前にシャッタ機構191が閉状態を脱してしまうのを抑制することができる。
【0115】
さらに、画像データの読み出し完了前にシャッタ機構191が閉状態を脱するのを抑制するために、カメラコントローラー140は、位置検出センサ195により検出されたチャージギヤ40の停止位置に基づいて、シャッタモータ46によるチャージ開始のタイミングを制御する。
【0116】
具体的には、カメラコントローラー140は、CMOSイメージセンサー110から画像データの読み出しが開始されてからシャッタモータ46の駆動が開始されるまでの時間を、位置検出センサ195により検出されたチャージギヤ40の停止位置に基づいて調整する。連写モードではシャッタモータ46が連続して駆動されるので、例えば、シャッタモータ46の温度が単写モードよりも高くなり、単写モードよりも連写モードの方がチャージギヤ40が回りすぎてしまう傾向にある。したがって、本実施形態では、カメラコントローラー140は単写モードでの時間T2(待機時間の一例)よりも連写モードでの時間T2を長く設定する。
【0117】
例えば、後述するように、単写モードにおいて位置検出センサ195によりチャージギヤ40が第1停止位置(第2スイッチSW2がONとなる位置)で停止していると検出された場合、カメラコントローラー140は、CMOSイメージセンサー110から画像データの読み出しが開始されてからシャッタモータ46の駆動を開始するまでの時間T2を時間T21A(第1時間の一例、第1単写待機時間の一例)に設定する。また、単写モードにおいて位置検出センサ195によりチャージギヤ40が第2停止位置(第2スイッチSW2がOFFかつ第3スイッチSW3がOFFとなる位置)で停止していると検出された場合、カメラコントローラー140は、CMOSイメージセンサー110から画像データの読み出しが開始されてからシャッタモータ46の駆動を開始するまでの時間T2を時間T22A(第2時間の一例、第2単写待機時間の一例)に設定する。さらに、単写モードにおいて位置検出センサ195によりチャージギヤ40が第3停止位置(第3スイッチSW3がONとなる位置)で停止していると検出された場合、カメラコントローラー140は、CMOSイメージセンサー110から画像データの読み出しが開始されてからシャッタモータ46の駆動を開始するまでの時間T2を時間T23A(第3時間の一例、第3単写待機時間の一例)に設定する。
【0118】
一方、連写モードにおいて位置検出センサ195によりチャージギヤ40が第1停止位置(第2スイッチSW2がONとなる位置)で停止していると検出された場合、カメラコントローラー140は、カメラコントローラー140は時間T2(待機時間の一例)を時間T21Aよりも長い時間T21B(第1時間の一例、第1連写待機時間の一例)に設定する。また、連写モードにおいて位置検出センサ195によりチャージギヤ40が第2停止位置(第2スイッチSW2がOFFかつ第3スイッチSW3がOFFとなる位置)で停止していると検出された場合、カメラコントローラー140は時間T2を時間T22Aよりも長い時間T22B(第2時間の一例、第2連写待機時間の一例)に設定する。さらに、連写モードにおいて位置検出センサ195によりチャージギヤ40が第3停止位置(第3スイッチSW3がONとなる位置)で停止していると検出された場合、カメラコントローラー140は時間T2を時間T23Aよりも長い時間T23B(第3時間の一例、第3連写待機時間の一例)に設定する。
【0119】
このように、カメラコントローラー140はチャージギヤ40の停止位置および撮影モードに基づいて時間T2を調整する。
【0120】
(7:フォーカルプレーンシャッタ装置190の動作)
ここで、図20〜図29を用いてフォーカルプレーンシャッタ装置190の動作について説明する。図21のカム線はチャージギヤ40の回転軸R1から間欠カム42の外周面までの距離を示している。
【0121】
図20および図21に示すように、チャージギヤ40およびスライドレバー50の位置関係を状態A〜Fで示すと、状態Aは、スライドレバー50がチャージギヤ40により駆動される直前の状態である。この状態Aでは、チャージギヤ40の間欠ギヤ43がスライドレバー50のラックギヤ53と接触している(図22)。この状態Aからチャージギヤ40が回転すると、間欠ギヤ43がラックギヤ53と噛み合い、間欠ギヤ43によりスライドレバー50が下方へ駆動される。間欠ギヤ43とラックギヤ53との噛み合いが外れる直前に間欠カム42がカムフォロア54と接触する(図23)。チャージギヤ40がさらに回転すると、間欠ギヤ43とラックギヤ53との噛み合いが外れ、間欠カム42によりカムフォロア54が押される(図24)。この結果、チャージギヤ40およびスライドレバー50は状態Bとなり、シャッタ機構191は図36(B)に示す状態となる。この状態Bはシャッタ機構191が閉状態を脱する直前の第1状態に相当する。
【0122】
さらに、チャージギヤ40が回転すると、カムフォロア54が間欠カム42と摺動しながら間欠カム42により下方へ案内され、チャージギヤ40およびスライドレバー50は状態Cとなる。この状態Cはシャッタ機構191が開状態になった直後の第2状態に相当する。状態Cになると、シャッタモータ46に対してショートブレーキがかけられ、シャッタモータ46が停止する。ショートブレーキがかけられている間やショートブレーキ完了後も、チャージギヤ40の回転は慣性により若干継続し、例えば、カムフォロア54が間欠カム42の窪み42dに入り込む(図25)。カムフォロア54が窪み42dに入り込み窪み42dの案内面42eを乗り越える際にチャージギヤ40に回転抵抗が与えられるので、間欠カム42の回転方向の寸法を小さくしつつ、チャージギヤ40が慣性で回転しすぎてカムフォロア54が間欠カム42から脱落するのを防止することができる。例えば、カムフォロア54が間欠カム42の第3摺動面42cと接触した状態Dでチャージギヤ40の回転は停止する(図20、図26)。このとき、シャッタ機構191は図36(C)に示す状態となる。状態Dでは、間欠カム42によりスライドレバー50の位置が機械的に保持されるので、シャッタモータ46に電力の供給がない状態であっても駆動レバー81が第2レバー位置P2に保持される。したがって、チャージ完了後にシャッタ機構191の開状態を機械的に保持することができる。
【0123】
スリット露光撮影を行う場合、図20に示す状態Dからシャッタモータ46の駆動が開始され、チャージギヤ40が回転する。チャージギヤ40が回転すると、間欠カム42とカムフォロア54との引っかかりが外れる(図27)。この結果、シャッタ機構191の駆動レバー81により逆にスライドレバー50が上方へ押され、スライドレバー50が駆動レバー81とともに上方へ移動する(図20の状態E、図28)。
【0124】
その後、シャッタモータ46が停止し、慣性によりチャージギヤ40が図29に示す位置まで回転し(図20の状態F)、シャッタ機構191は図36(A)に示す状態となる。チャージギヤ40が慣性により回転しすぎたとしても、図22に示すように、間欠ギヤ43がラックギヤ53に接触したところでチャージギヤ40の回転は停止する(図20の状態A)。したがって、チャージギヤ40が回転しすぎるのをスライドレバー50のラックギヤ53により防止できる。
【0125】
(8:デジタルカメラ1の動作)
(8.1:単写モードの動作)
単写モードでの動作について説明する。図30〜図32に単写モードのフローチャートを示す。図37および図38に単写モードのタイミングチャートを示す。
【0126】
図37に示すように、デジタルカメラ1の撮影待機状態では、例えば、カメラモニタ120にライブビュー表示が行われている。ライブビュー表示を行うために、先幕21および後幕31はともに開口11aから退避している。具体的には、フォーカルプレーンシャッタ装置190は前述の状態D(図26および図36(C))であり、チャージギヤ40の間欠カム42によりスライドレバー50がチャージ完了位置で機械的に保持されている。この状態Dでは、図36(C)に示すように、駆動レバー81が第2レバー位置P2にあるので、先幕21および後幕31はともに開口11aから退避しており、先幕21および後幕31のチャージが完了しているが、先幕用電磁石26により先幕吸着片は吸着されておらず、後幕用電磁石36により後幕吸着片は吸着されていない。
【0127】
この状態Dで、レリーズボタン131が押されると、カメラコントローラー140が撮影動作を各部に開始させる。具体的には図30に示すように、カメラコントローラー140が先幕用電磁石26および後幕用電磁石36に通電する(ステップS1、S2)。この結果、先幕21の先幕吸着片が先幕用電磁石26に吸着され、後幕31の後幕吸着片が後幕用電磁石36に吸着される。
【0128】
先幕用および後幕用電磁石に通電後、カメラコントローラー140が第1スイッチSW1のOFFを検出するまでシャッタモータ46を正転させる(ステップS3、S4)。この結果、図27に示すように、間欠カム42とカムフォロア54との引っ掛かりが解除されるので、先幕21が先幕セットバネの弾性力により閉状態となるが、先幕用電磁石26および後幕用電磁石36により先幕21および後幕31のチャージ状態が保持される。つまり、フォーカルプレーンシャッタ装置190がスリット撮影待機状態(走行準備完了状態)となる。
【0129】
カメラコントローラー140が第1スイッチSW1のOFFを検出すると、カメラコントローラー140は、シャッタモータ46の正転を止めるためにシャッタモータ46に対して所定の時間T1だけショートブレーキをかける(ステップS4、S5)。この結果、チャージギヤ40の回転が停止する。このとき、慣性によりチャージギヤ40が若干回転し続けるが、ショートブレーキの効果により、例えば図28または図29に示すように、チャージギヤ40の回転は比較的早く停止する。
【0130】
また、カメラコントローラー140が第1スイッチSW1のOFFを検出すると、カメラコントローラー140は先幕用電磁石26への通電を停止して先幕21を走行させる(ステップS6)。先幕用電磁石26の通電を停止すると、先幕吸着片24bの吸着が解除され、先幕走行バネにより先幕21が閉位置から開位置へ走行する。
【0131】
続いて、ユーザーもしくはカメラコントローラー140が設定した所定の時間(露光対応時間)が先幕走行開始から経過した後、カメラコントローラー140は後幕用電磁石36の通電を停止して後幕31を走行させる(ステップS7、S8)。先幕用電磁石26の通電が停止すると、後幕吸着片の吸着が解除され、後幕走行バネにより後幕31が開位置から閉位置へ走行する。
【0132】
後幕31の走行完了後、所定時間だけ、先幕21および後幕31の状態が安定するのを待つ(ステップS9)。それと並行して、画像データ読み出しを開始するようにカメラコントローラー140がCMOSイメージセンサー110を制御する(ステップS10)。読み出し開始と同時に、シャッタモータ46の駆動タイミングを決定するために、時間T2のカウントが開始される(ステップS11)。
【0133】
また、シャッタモータ46のショートブレーキが完了しているか否かをカメラコントローラー140が確認する(ステップS12)。
【0134】
しかし、チャージギヤ40の停止位置が異なると、次にシャッタモータ46によりチャージギヤ40を駆動した際に、フォーカルプレーンシャッタ装置190が開状態になるタイミングが異なってくる。
【0135】
そこで、シャッタモータ46のショートブレーキ完了後に、チャージギヤ40の停止位置に応じて、シャッタモータ46によるチャージ開始タイミングをカメラコントローラー140が調整する。
【0136】
具体的には、シャッタモータ46のショートブレーキの完了後、チャージギヤ40の停止位置をカメラコントローラー140が位置検出センサ195を介して検出する。この場合のチャージギヤ40の停止位置としては、第2スイッチSW2がONの位置(第1ブラシ68が第2接点部62と接触している位置)、第1〜第3スイッチSW1〜SW3が全てOFFの位置(第1ブラシ68がグランド部65と接触している位置)、および第3スイッチSW3がONの位置(第1ブラシ68が第3接点部63の第1部分63aと接触している位置)が考えられる。したがって、ショートブレーキの完了後、第2スイッチSW2および第3スイッチSW3をカメラコントローラー140が検出する(ステップS13、S14)。
【0137】
第2スイッチSW2がONの場合、チャージギヤ40の回転が比較的早く停止しているので、次のシャッタモータ46の駆動開始タイミングを少し早めるために、時間T2が基準時間T22Aよりも少し短い時間T21Aに設定される(ステップS13、S15)。また、図37および図38に示すように、シャッタモータ46のショートブレーキ終了後に第2スイッチSW2がOFF、かつ、第3スイッチSW3がOFFの場合、チャージギヤ40の回転は概ね予め想定したタイミングで停止しているので、時間T2が基準時間T22Aに設定される(ステップS13、S14、S16)。さらに、第2スイッチSW2がOFF、かつ、第3スイッチSW3がONの場合、チャージギヤ40の回転が比較的遅く停止しているので、次のシャッタモータ46の駆動開始タイミングを少し遅らせるために、時間T2が基準時間T22Aよりも少し長い時間T23Aに設定される(ステップS13、S14、S17)。
【0138】
このように、チャージギヤ40の停止位置に応じて、シャッタモータ46によるチャージ開始タイミングをカメラコントローラー140は段階的に調整しているので、画像データの読み出し開始を基準としたフォーカルプレーンシャッタ装置190が開状態になるタイミングが概ね一定となる。したがって、読み出し完了後からフォーカルプレーンシャッタ装置190が開状態になるまでの時間を短縮しつつ、読み出し完了前にフォーカルプレーンシャッタ装置190が開状態になるのを抑制できる。
【0139】
時間T2の設定後、時間T2が経過しているか否かをカメラコントローラー140が確認する(ステップS18)。読み出し開始から時間T2が経過した後、カメラコントローラー140はシャッタモータ46を正転させ、シャッターチャージ動作を開始する(ステップS19)。シャッタモータ46が正転を開始すると、図22に示すように、間欠ギヤ43がラックギヤ53に接触し、駆動レバー81を第2レバー位置P2まで移動させはじめる。
【0140】
図32に示すように、シャッタモータ46の正転中に第3スイッチSW3のOFFをカメラコントローラー140が検出すると(ステップS20)、画像データの読み出し完了前に後幕31が開くのを防止するために、カメラコントローラー140は画像データの読み出し完了前に第3スイッチSW3が再びONになるか否かを監視する。前述したように、2回目の第3スイッチSW3のONは、シャッタ機構191が閉状態を脱する直前の第1状態であることを検出するための信号である。
【0141】
まず、カメラコントローラー140がイメージセンサー110の画像データ読み出しの完了を確認する(ステップS21)。画像データの読み出しが完了していない場合、カメラコントローラー140は第3スイッチSW3のONを確認する(ステップS22)。
【0142】
第3スイッチSW3がOFFの場合、カメラコントローラー140は画像データ読み出しの完了および第3スイッチSW3の出力の確認を繰り返す(ステップS21、S22)。第3スイッチSW3がOFFからONに変化しないまま、CMOSイメージセンサー110から画像データ読み出しが完了すれば、図37に示すように、シャッタ機構191が閉状態を脱する前に画像データ読み出しが終了しているということになるので、カメラコントローラー140はそのまま第1スイッチSW1がONからOFFに変化するのを確認する(ステップS21、S24)。
【0143】
第1スイッチSW1がONになれば、カメラコントローラー140は、所定の時間T3だけシャッタモータ46に対してショートブレーキをかける(ステップS25)。この結果、チャージギヤ40の回転が停止し、チャージギヤ40の間欠カム42により、機械的に先幕21および後幕31の開状態が保持され、フォーカルプレーンシャッタ装置190がノーマルオープン状態となる。
【0144】
このように、カメラコントローラー140は、画像データの読み出し完了までにシャッタ機構191が第1状態であることが位置検出センサ195により検出されなければ、シャッタ機構191が第2状態(第1スイッチSW1がON)であることが位置検出センサ195により検出された後にシャッタモータ46によるシャッタ機構191の駆動を制限する(ステップS21、S24、S25)。
【0145】
シャッタモータ46のショートブレーキ開始後、カメラコントローラー140はカメラモニタ120にライブビュー表示を開始させる(ステップS26)。
【0146】
一方、図38に示すように、CMOSイメージセンサー110から画像データの読み出しが完了する前に第3スイッチSW3がONになれば、画像データ読み出しが完了する前にシャッタ機構191が閉状態を脱する可能性がある。したがって、画像データの読み出しが完了する前に第3スイッチSW3がONになった場合、カメラコントローラー140は画像データの読み出しが完了する前にシャッタモータ46の駆動に早めに制限をかける。具体的には、カメラコントローラー140は画像データの読み出しが完了する前に所定の時間T3だけシャッタモータ46に対してショートブレーキをかけてチャージギヤ40の回転速度を下げる(ステップS21、S22、S27)。この結果、図38に示すように、後幕31が開口11aから下方に退避するまでの時間が通常のチャージ時よりも長くなるので、イメージセンサー110からの画像データの読み出し時間を稼ぐことができ、画像データ読み出し中に後幕31が開いてCMOSイメージセンサー110に光が入射してしまうのを抑制できる。
【0147】
このように、カメラコントローラー140は、画像データの読み出しが完了する前にシャッタ機構191が第1状態であることが位置検出センサ195により検出されると、シャッタ機構191が閉状態を脱するタイミングが遅れるようにシャッタモータ46を制御する(ステップS21、S22、S27)。
【0148】
シャッタモータ46に対してショートブレーキをかけると、チャージギヤ40の回転が停止し、チャージギヤ40の間欠カム42により、機械的に先幕21および後幕31の開状態が保持される。これにより、フォーカルプレーンシャッタ装置190がノーマルオープン状態となる。
【0149】
シャッタモータ46に対してショートブレーキをかけた後、画像データの読み出しの完了をカメラコントローラー140が確認する。読み出し完了後に、カメラコントローラー140はカメラモニタ120にライブビュー表示を開始させる(ステップS28、S26)。
【0150】
(8.2:連写モードの動作)
図33〜図35に連写モードのフローチャートを示す。図39および図40に連写モードのタイミングチャートを示す。
【0151】
連写モードでは、デジタルカメラ1の基本的な動作は単写モードと同じであるが、画像データの読み出し完了を確認した後の処理が若干変わる。具体的には図35に示すように、ステップS21において画像データの読み出しが完了すると、カメラコントローラー140はレリーズボタン131の状態を確認する(ステップS30)。レリーズボタン131が全押し状態であれば、カメラコントローラー140は連写と判定し、次の撮影動作を続行する。具体的には、ステップS30においてレリーズボタン131が全押し状態であれば、第1スイッチSW1がONであるかをカメラコントローラー140が確認する(ステップS31)。第1スイッチSW1がONになれば、先幕用電磁石26および後幕用電磁石36が通電され(ステップS32)、先幕用電磁石26および後幕用電磁石36に先幕吸着片および後幕吸着片がそれぞれ吸着される。その後、処理が図33のステップS4へ戻り、ステップS4以降の処理が実行される。レリーズボタン131の全押し状態が継続すれば、ステップS4以降の処理(図33〜図35に示す処理)が繰り返される。
【0152】
一方、ステップS30でレリーズボタン131が全押し状態でなければ、カメラコントローラー140は連写完了と判定して、第1スイッチSW1がONであるかをカメラコントローラー140は判定する(ステップS24)。第1スイッチSW1がONである場合、シャッタモータ46に対して所定の時間T3だけショートブレーキをかける(ステップS24、S25)。この結果、チャージギヤ40の回転が停止し、チャージギヤ40の間欠カム42により、機械的に先幕21および後幕31の開状態が保持され、フォーカルプレーンシャッタ装置190がノーマルオープン状態となる。単写モードと同様に、シャッタモータ46のショートブレーキ開始後、カメラコントローラー140はカメラモニタ120にライブビュー表示を開始させる(ステップS26)。
【0153】
また、ステップS21、S22およびS27において画像データの読み出しが完了すると、ステップS30と同様に、カメラコントローラー140はレリーズボタン131の状態を確認する(ステップS33)。レリーズボタン131が全押し状態であれば、カメラコントローラー140は連写と判定し、ステップS31およびS32の処理を実行し、その後、処理がステップS4から実行される。レリーズボタン131の全押し状態が継続すれば、ステップS4以降の処理が繰り返される。
【0154】
一方、ステップS30でレリーズボタン131が全押し状態でなければ、単写モードと同様に、カメラコントローラー140はカメラモニタ120にライブビュー表示を開始させる(ステップS26)。
【0155】
さらに、連写モードでは、デジタルカメラ1の基本的な動作は単写モードと同じであるが、単写モードに比べて時間T2が長めに設定される。具体的には図34に示すように、ステップS13において第2スイッチSW2がONの場合、チャージギヤ40の回転が比較的早く停止しているので、次のシャッタモータ46の駆動開始タイミングを少し早めるために、時間T2が連写モードでの基準時間T22Bよりも少し短い時間T21Bに設定される(ステップS13、S15)。
【0156】
また、シャッタモータ46のショートブレーキ終了後に第2スイッチSW2がOFF、かつ、第3スイッチSW3がOFFの場合、チャージギヤ40の回転は概ね予め想定したタイミングで停止しているので、時間T2が基準時間T22Bに設定される(ステップS13、S14、S16)。さらに、第2スイッチSW2がOFF、かつ、第3スイッチSW3がONの場合、チャージギヤ40の回転が比較的遅く停止しているので、次のシャッタモータ46の駆動開始タイミングを少し遅らせるために、時間T2が基準時間T22Bよりも少し長い時間T23Bに設定される(ステップS13、S14、S17)。
【0157】
ここで、連写モードでの時間T21Bは単写モードでの時間T21Aよりも長く、連写モードでの時間T22Bは単写モードでの時間T22Aよりも長い。さらに、連写モードでの時間T23Bは単写モードでの時間T23Aよりも長い。したがって、チャージギヤ40の停止位置が同じ場合、単写モードに比べて連写モードの方が時間T2が長めに設定されることになる。
【0158】
このように、連写モードでも、チャージギヤ40の停止位置に応じて次のシャッタモータ46の駆動開始タイミングをカメラコントローラー140は段階的に調整しているので、画像データの読み出し開始を基準とした場合のフォーカルプレーンシャッタ装置190が開状態になるタイミングが概ね一定となる。したがって、読み出し完了後からフォーカルプレーンシャッタ装置190が開状態になるまでの時間を短縮しつつ、読み出し完了前にフォーカルプレーンシャッタ装置190が閉状態を脱するのを抑制できる。
【0159】
また、単写モードに比べて連写モードの方が時間T2が長めに設定されるので、チャージギヤ40が回転しやすい連写モードにおいて、読み出し完了前にフォーカルプレーンシャッタ装置190が閉状態を脱するのを確実に抑制することができる。
【0160】
なお、画像データの読み出し完了後に第3スイッチSW3のONになる正常時のタイムチャートは図39に示すタイムチャートのようになり、画像データの読み出し完了前に第3スイッチSW3のONが検出される異常時のタイムチャートは図40に示すタイムチャートのようになる。図40に示すタイムチャートでは、図38に示すタイムチャートと同様に、シャッタ機構191が閉状態を脱するタイミングが遅くなっているので、読み出し完了前にフォーカルプレーンシャッタ装置190が閉状態を脱するのを抑制することができる。
【0161】
(9:デジタルカメラ1の特徴)
以上に説明したように、デジタルカメラ1では、位置検出センサ195により検出されたチャージギヤ40の位置に基づいて、シャッタモータ46がチャージを開始するタイミングがカメラコントローラー140により制御されるので、様々な要因でチャージギヤ40の停止位置が変動しても、チャージ完了後にシャッタ機構191が閉状態を脱するタイミングが安定しやすくなる。したがって、画像データの読み出しが完了してからシャッタ機構191が閉状態を脱するまでの時間を短く設定しても、画像データの読み出しが完了する前にシャッタ機構191が閉状態を脱するのを抑制することができる。
【0162】
以上より、このデジタルカメラ1であれば、画像データの読み出し動作の安定性を維持しつつ撮影間隔を短縮することができる。
【0163】
(10:その他の実施形態)
本発明は、前述の実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の修正および変更が可能である。
【0164】
(1)前述の実施形態では、レンズ交換式のデジタルカメラ1およびカメラ本体100を例に撮像装置について説明しているが、撮像装置はデジタルカメラ1およびカメラ本体100に限定されない。例えば、撮像装置は、レンズユニットがカメラ本体に固定された一体型のカメラであってもよい。
【0165】
(2)前述の実施形態では、CMOSイメージセンサー110を例に撮像素子について説明しているが、撮像素子はCMOSイメージセンサー110に限定されない。例えば、撮像素子は、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサーなどの、光電変換により被写体の画像データを生成できる構成であればよい。
【0166】
(3)前述の実施形態では、位置検出センサ195を例に位置検出部について説明しているが、位置検出部は位置検出センサ195に限定されない。シャッタ機構191が閉状態を脱する直前の状態を検出できれば、位置検出部が他の構成を有していてもよい。例えば、チャージギヤ40の回転方向の位置を検出することで、位置検出センサ195はシャッタ機構191の状態を検出しているが、第1ギヤ49、第2ギヤ48、第3ギヤ47のいずれかの回転方向の位置、あるいは、スライドレバー50の上下方向の位置を検出するセンサを設けてもよい。さらに、シャッタモータ46にエンコーダなどのセンサを設けてもよい。
【0167】
(4)前述の実施形態では、シャッタ駆動装置194を例にシャッタ駆動装置について説明しているが、シャッタ駆動装置はシャッタ駆動装置194に限定されない。例えば、シャッタ駆動装置はシャッタ機構191の駆動レバー81を駆動できる構成を有していればよい。シャッタ駆動装置194が第1ギヤ49、第2ギヤ48および第3ギヤ47を有しているが、これらの部材が省略されてもよいし、逆に他の部材をシャッタ駆動装置194が有していてもよい。
【0168】
また、例えば、間欠カム42には回転抵抗を発生させるための窪み42dが形成されているが、間欠カム42が窪み42dを有していなくてもよい。
【0169】
(5)前述の実施形態では、カメラコントローラー140を例に駆動制御部について説明しているが、駆動制御部はカメラコントローラー140に限定されない。例えば、前述のような制御をカメラコントローラー140が行わなくてもよい。
【0170】
例えば、前述の実施形態では、カメラコントローラー140は、CMOSイメージセンサー110から画像データの読み出しが開始されてからシャッタモータ46の駆動が開始されるまでの時間を、位置検出センサ195により検出されたチャージギヤ40の停止位置に基づいて調整している。しかし、カメラコントローラー140が、位置検出センサ195により検出された停止位置に基づいてフォーカルプレーンシャッタ装置190のチャージを開始するタイミングを制御していれば、詳細な制御は前述の実施形態に限定されない。
【0171】
また、前述の実施形態では、第1停止位置、第2停止位置および第3停止位置の3つの停止位置に基づいてカメラコントローラー140が時間T2の長さを3段階に調整しているが、カメラコントローラー140が少なくとも2段階で時間T2を調整すればよい。この場合、チャージギヤ40の停止位置も少なくとも2箇所で検出できればよい。
【0172】
また、カメラコントローラー140が4段階以上で時間T2の長さを調整してもよい。この場合、チャージギヤ40の停止位置も少なくとも4箇所で検出できればよい。
【0173】
さらに、カメラコントローラー140が時間T2を無段階に調整する場合も考えられる。この場合、チャージギヤ40の停止位置は無段階で検出することになる。
【0174】
(6)前述の実施形態では、単写モードでの時間T2よりも連写モードでの時間T2を全体的に長く設定しているが、単写モードおよび連写モードで時間T2が同じであってもよい。例えば、時間T21B、T22BおよびT23Bが時間T21A、T22AおよびT23Aとそれぞれ同じであってもよい。また、時間T21B、T22BおよびT23Bのうち1つまたは2つが時間T21A、T22AおよびT23Aのうち1つまたは2つとそれぞれ同じであってもよい。
【0175】
なお、単写モードでの時間T2よりも連写モードでの時間T2を全体的に長く設定する手法として、例えば、単写モードでの時間T2に所定の調整時間を加算して連写モードでの待機時間を算出することも考えられる。例えば、この調整時間は、カメラコントローラー140に予め格納されていてもよいし、フォーカルプレーンシャッタ装置190の動作状況に応じてフォードバックをかけて調整してもよい。具体的には、カメラコントローラー140が、単写モードおよび連写モードにおけるチャージギヤ40の停止位置および頻度をデータとして蓄積しておき、その過去のデータに基づいて調整時間の長さを調整してもよい。
【0176】
(7)前述の実施形態では、カメラコントローラー140はシャッタモータ46に対してショートブレーキをかけることで、シャッタ機構191が閉状態を脱するタイミングを遅らせているが、デジタルカメラ1がこの機能を有していなくてもよい。
【0177】
また、シャッタモータ46の駆動を制限する方法は前述の実施形態に限定されない。例えば、回生ブレーキや逆転のように、シャッタモータ46に対して電気的にブレーキをかけてシャッタモータ46の駆動を制限する他の方法であってもよい。
【0178】
さらに、シャッタモータ46の駆動を制限せずに、シャッタ駆動装置194の他の機構に対して機械的にブレーキをかけるなど、他の方法でシャッタ機構191が閉状態を脱するタイミングを遅らせることも考えられる。
【0179】
(8)前述の実施形態では、シャッタモータ46を例にアクチュエータについて説明しているが、アクチュエータはシャッタモータ46のような直流モータに限定されない。例えば、アクチュエータは、ステッピングモータなどの他の型式のモータ、コイルおよびマグネットで構成される電磁アクチュエータ、あるいは、圧電素子を有する圧電アクチュエータであってもよい。
【0180】
(9)前述の実施形態では、チャージギヤ40を例に伝達部材について説明しているが、伝達部材はチャージギヤ40に限定されない。例えば、回転抵抗をチャージギヤ40に与えるために窪み42dを間欠カム42が有しているが、チャージギヤ40が窪み42dを有していなくてもよい。
【0181】
また、第2摺動面42bを形成しているのが窪み42dでなくてもよい。例えば、図41に示すように、第2摺動面42bは突起142dにより形成されていてもよい。この場合、第2摺動面42bは突起142dの外面を構成しており、案内面42eは突起142dの第1摺動面42a側の面となる。
【0182】
さらに、第1摺動面42aが第3摺動面42cと同じ半径方向位置に配置されているが、第1摺動面42aが第3摺動面42cと異なる半径方向位置に配置されていてもよい。例えば、第1摺動面42aが第3摺動面42cよりも内周側に配置されていてもよい。この場合、間欠カム42の形状は例えば図42に示すような形状となる。
【産業上の利用可能性】
【0183】
以上に説明した技術は、撮像装置に用いられるシャッタ装置に適用できる。
【符号の説明】
【0184】
1 デジタルカメラ(撮像装置の一例)
100 カメラ本体(撮像装置の一例)
200 交換レンズユニット
40 チャージギヤ(伝達部材の一例)
46 シャッタモータ(アクチュエータの一例)
140 カメラコントローラー(駆動制御部の一例)
190 フォーカルプレーンシャッタ装置
191 シャッタ機構(シャッタ機構の一例)
194 シャッタ駆動装置
195 位置検出センサ(位置検出部の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換により被写体の画像データを生成する撮像素子と、
前記撮像素子に光が入射する開状態と、前記撮像素子に入射する光を遮断する閉状態と、を有するシャッタ機構と、
前記シャッタ機構をチャージするアクチュエータと、
前記アクチュエータで生成された駆動力を前記シャッタ機構に伝達する伝達部材と、
前記伝達部材の位置を検出する位置検出部と、
前記アクチュエータを制御する駆動制御部と、を備え、
前記駆動制御部は、前記撮像素子から前記画像データが読み出されている間に前記シャッタ機構のチャージを前記アクチュエータに開始させ、前記シャッタ機構のチャージ完了後に前記シャッタ機構を前記閉状態から前記開状態に切り替え、
前記駆動制御部は、前記位置検出部により検出された前記伝達部材の位置に基づいて前記アクチュエータが前記シャッタ機構のチャージを開始するタイミングを制御する、
撮像装置。
【請求項2】
前記駆動制御部は、前記シャッタ機構のチャージが開始される前の前記伝達部材の位置に基づいて、前記アクチュエータが前記シャッタ機構のチャージを開始するタイミングを制御する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記駆動制御部は、前記撮像素子から前記画像データの読み出しが開始されてから所定の待機時間が経過した後に前記アクチュエータによる前記シャッタ機構のチャージを開始する、
請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記駆動制御部は、前記位置検出部により検出された前記伝達部材の位置に基づいて前記待機時間を調整する、
請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記伝達部材が第1停止位置で停止していると前記位置検出部により検出された場合、前記駆動制御部は、前記待機時間を第1時間に設定し、
前記伝達部材が第2停止位置で停止していると前記位置検出部により検出された場合、前記駆動制御部は、前記待機時間を第2時間に設定する、
請求項3または4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記伝達部材が第3停止位置で停止していると前記位置検出部により検出された場合、前記駆動制御部は、前記待機時間を第3時間に設定する、
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記駆動制御部は、1枚の画像データを取得する単写モードでの前記待機時間よりも複数枚の画像データを連続的に取得する連写モードでの前記待機時間を全体的に長く設定する、
請求項3または4に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記単写モードにおいて前記伝達部材が第1停止位置で停止していると前記位置検出部により検出された場合、前記駆動制御部は、前記待機時間を第1単写待機時間に設定し、
前記連写モードにおいて前記伝達部材が第1停止位置で停止していると前記位置検出部により検出された場合、前記駆動制御部は、前記待機時間を前記第1単写待機時間よりも長い第1連写待機時間に設定する、
請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記単写モードにおいて前記伝達部材が第2停止位置で停止していると前記位置検出部により検出された場合、前記駆動制御部は、前記待機時間を第2単写待機時間に設定し、
前記連写モードにおいて前記伝達部材が第2停止位置で停止していると前記位置検出部により検出された場合、前記駆動制御部は、前記待機時間を前記第2単写待機時間よりも長い第2連写待機時間に設定する、
請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記単写モードにおいて前記伝達部材が第3停止位置で停止していると前記位置検出部により検出された場合、前記駆動制御部は、前記待機時間を第3単写待機時間に設定し、
前記連写モードにおいて前記伝達部材が第3停止位置で停止していると前記位置検出部により検出された場合、前記駆動制御部は、前記待機時間を前記第3単写待機時間よりも長い第3連写待機時間に設定する、
請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記伝達部材は、前記アクチュエータにより回転駆動されるようになっており、
前記位置検出部は、前記伝達部材の回転方向の位置を検出可能である、
請求項1から10のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項12】
前記伝達部材は、前記アクチュエータへの電力供給がない状態でも前記シャッタ機構の前記開状態を保持できる、
請求項1から11のいずれかに記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−215798(P2012−215798A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135305(P2011−135305)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】