説明

撮像装置

【課題】ウォブリング時に撮影レンズを駆動する駆動手段に必要な情報の通信量を抑えること
【解決手段】レンズユニット150が交換可能に構成され、撮影光学系152を駆動手段155によって光軸方向にウォブリングさせることによって合焦位置がある方向を判別し、その方向に撮影光学系を駆動手段を介して移動させる撮像装置は、第1の垂直同期信号VD1に同期して電荷の蓄積と読み出しを画素の行の単位で行う撮像素子110と、ウォブリングにおいて、第1の垂直同期信号から遅延させた第2の垂直同期信号VD2を生成してレンズユニット150に送信することによって第2の垂直同期信号に従って駆動手段による撮影光学系の駆動を制御する制御手段130と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置において、コントラスト方式のオートフォーカス(AF:自動焦点調節)時にレンズを光軸方向に微小移動(ウォブリング)することによって合焦位置がある方向を判別することは知られている。撮像素子がCMOSセンサの場合にはローリング読み出しが行われ、電荷蓄積中はレンズを停止して読み出し中にレンズを移動させる。
【0003】
特許文献1は、レンズ駆動期間と、焦点調節の対象の領域であるAF領域(AF枠)の電荷蓄積期間とを比較した結果に基づいてレンズ駆動期間を変更する方法を提案している。特許文献2は、レンズに対する同期信号の周波数を変更する方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−111995号公報
【特許文献2】特開2004−286780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
AF領域の設定には1点AF、多点AF、顔AFなどがある。1点AFはAF領域が任意の一点に設定される。あるいは、画面の狭小領域に設定された場合も1点AFとみなすことができる。多点AFでは、AF領域が、画面の広範囲に亘る全AF点に設定されたり、頻繁に切り替わるAF点に設定されたりする。顔AFでは、顔検出結果に応じてAF領域が切り替わる。そして、多点AFや顔AFではAF領域が変更される頻度が高いが、このたびに、特許文献1の方法では、レンズ駆動期間の開始や終了のタイミングをレンズ駆動手段へ指示する必要が生じるため、高速通信という高コストな通信環境を整えなければならない。
【0006】
そこで、本発明は、ウォブリング時に撮影レンズを駆動する駆動手段に必要な情報の通信量を抑えることが可能な撮像装置を提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面の撮像装置は、撮影光学系と当該撮影光学系を駆動する駆動手段を有するレンズユニットが交換可能に構成され、前記撮影光学系を前記駆動手段によって光軸方向にウォブリングさせることによって合焦位置がある方向を判別し、前記方向に前記撮影光学系を前記駆動手段を介して移動させる撮像装置であって、第1の垂直同期信号に同期して電荷の蓄積と読み出しを画素の行の単位で行う撮像素子と、前記ウォブリングにおいて、前記第1の垂直同期信号から遅延させた第2の垂直同期信号を生成し、前記第2の垂直同期信号を前記レンズユニットに送信することによって前記第2の垂直同期信号に従って前記駆動手段による前記撮影光学系の駆動を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ウォブリング時に撮影レンズを駆動する駆動手段に必要な情報の通信量を抑えることが可能な撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電荷蓄積とウォブリングのタイミングチャートである。(実施例1)
【図2】電荷蓄積とウォブリングのタイミングチャートである。(実施例2)
【図3】電荷蓄積とウォブリングのタイミングチャートである。(実施例3)
【図4】本実施例の撮像装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図4は、本実施例の撮像装置の構成を示すブロック図であり、破線は後述する撮影光学系(撮影レンズ)152の光軸を表している。本実施例の撮像装置は、レンズ交換型のデジタル一眼レフカメラであるが、デジタルビデオカメラなど撮像装置の種類は限定されない。
【0011】
また、撮像装置は、撮影光学系を光軸方向に微小移動させるウォブリングを行うことによって合焦位置(コントラストのピーク位置)がある合焦方向を判別する自動焦点調節機能(AF機能)を有する。
【0012】
撮像装置は、本体100と、本体100に交換可能に装着されるレンズユニット(交換レンズ)150を有し、レンズユニット150が交換可能に構成されている。本体100とレンズユニット150の機械的な着脱は、本体100のマウントとレンズユニット150のマウントを介してなされる。また、本体100とレンズユニット150の電気的な接続および切断は、本体100のコネクタとレンズユニット150のコネクタを介してなされる。
【0013】
本体100は、サブミラー105と、焦点検出ユニット107、撮像素子110、信号処理回路120、表示手段124、被写体検出手段126、設定手段128、カメラマイコン(制御部)130、メモリ140、その他の部材を有する。
【0014】
サブミラー105は、不図示の主ミラー(ハーフミラー)と共に光路に挿入および退避可能に配置される。図4は、非撮影時のミラーダウン状態を示している。ミラーダウン状態では、主ミラーは入射光束の一部を不図示の光学ファインダに反射し、一部をサブミラー105に透過し、サブミラー105は焦点検出ユニット107に入射光束を反射する。また、撮影時には主ミラーとサブミラー105は、光路から退避した位置に移動し(ミラーアップ)、入射光束を撮像素子110に導く。
【0015】
焦点検出ユニット107は、サブミラー105で反射された光束を内部に配置された光電変換を行うセンサで受光する。デフォーカス量は、このセンサの出力を演算することによって位相差方式を利用して求められる。カメラマイコン130は演算結果を評価してレンズマイコン160に指示し、フォーカスレンズを所定量移動する。
【0016】
撮像素子(イメージセンサ)110は、撮影光学系が形成した光学像を電気信号(画像データ)に変換し、電荷の蓄積と読み出しを画素の行または列の単位で走査を行う(即ち、ローリングを行う)撮像素子であり、例えば、CMOSセンサから構成される。即ち、撮像素子110においては、一行だけが同じ時間で蓄積を行い、別の行は時間的に遅れて蓄積が行われ、別の行の蓄積中に蓄積が終了した行の読み出しを行う。撮像素子110から画像データはAGC/AD回路を経て信号処理回路120に入力される。撮像素子110の電荷の蓄積と読み出しは後述するように第1の垂直同期信号VD1に同期して行われる。
【0017】
信号処理回路120は、撮像素子110とカメラマイコン130に接続され、撮像素子110からのデジタル化された画像データに、フィルタ処理、色変換処理、ガンマ処理圧縮処理を含む処理を施し、カメラマイコン130へ送信する。信号処理回路120で表示用の画像として処理された画像データは表示手段駆動回路122に送られて電子ビューファインダなどの表示手段124に画像として表示される。
【0018】
被写体検出手段126は、一定の条件を満足する被写体(顔など)を検出する。被写体検出手段126を顔検出手段として機能させると、顔AFを行うことができる。
【0019】
設定手段128は、モードダイヤルや各種の操作部材を含み、撮像素子110から画像データを連続的に出力して表示手段124に画像データを連続的に表示するライブビューモードを設定する。また、設定手段128は、顔検出を被写体検出手段126で行う顔AFのモードを設定することもできる。更には、設定手段128は、1点AFのモードと多点AFのモードを設定することもできる。
【0020】
また、撮像装置は、焦点調節の対象の領域であるAF領域が固定されるとみなすことができる(即ち、AF領域の変動が小さい)第1モードと、AF領域が複数あってAF領域が変動する(または、AF領域の変動が大きい)第2モードと、を有する。第1モードは、例えば、1点AFや狭小領域のAFのモードである。第2モードは、例えば、多点AFや顔検出を被写体検出手段126で行う顔AFのモードである。
【0021】
カメラマイコン130は、撮像素子110、信号処理回路120に接続されると共に、不図示のコネクタを介してレンズユニット150のレンズマイコン160に接続されているマイクロコンピュータ(制御手段、プロセッサ)である。カメラマイコン130は、ウォブリングを含むAF制御や画像処理制御を行う。
【0022】
メモリ140は、コントラストAF時に必要な情報を保持する。
【0023】
撮像装置の本体100は、撮影光学系を光軸方向にウォブリングすることによって合焦位置がある方向を判別し、前記方向に撮影光学系を駆動手段を介して移動させる自動焦点調節機能を有する。この機能はレンズユニットが交換可能に構成された撮像装置に使用され、本体とレンズユニットの間の通信量を抑える効果を有する。
【0024】
ウォブリングでは、無限側の位置にレンズを微小駆動した後で、まずそこでフォーカスレンズを停止し、撮像素子110から画像を取り込む。次に、至近側の位置にフォーカスレンズを微小駆動した後で、レンズを停止し、撮像素子110から画像を取り込む。
【0025】
合焦方向を判別した後は、カメラマイコン130は合焦方向に撮影光学系のフォーカスレンズを移動させてコントラスト方式のAFを行う。即ち、カメラマイコン130はフォーカスレンズによって形成される焦点位置と撮像素子の相対位置を変化させる走査を行いながら撮像素子が出力する画像データのコントラスト(AF評価値)のピーク位置を検出してAFを行う。
【0026】
レンズユニット150は、被写体の光学像を形成する撮影光学系152、撮影光学系152のフォーカスレンズを光軸方向に移動する駆動回路(駆動手段)155、レンズマイコン160を有する。
【0027】
撮影光学系152は、被写体の光学像を撮像素子110に集光させる複数枚のレンズを有する。複数枚のレンズの一部は、焦点調節時に光軸方向に移動されるフォーカスレンズを含む。
【0028】
駆動回路155は、DCモータやステッピングモータを有し、レンズマイコン160の制御によって撮影光学系152のフォーカスレンズを光軸方向に移動する。
【0029】
レンズマイコン160は、カメラマイコン130と電気的に接続され、撮影動作に必要な情報の交換を行う。レンズマイコン160とカメラマイコン130との接続は双方向データ通信を行うためのデータ線DLとカメラマイコン130からレンズマイコン160へ出力される垂直同期信号VDからなる。カメラマイコン130は垂直同期信号VDをレンズマイコン160へ連続的に送信している。
【0030】
コントラストAFにおいては、現在位置からコントラスト値のピーク位置(合焦位置)までフォーカスレンズを移動するが、フォーカスレンズの現在位置から合焦位置がある方向を判別するためにフォーカスレンズを光軸方向に沿って前後にウォブリングする。
【0031】
このようにして、カメラマイコン130はフォーカスレンズをその現在位置から前側と後側に移動し、それぞれの位置におけるコントラスト値(AF評価値)を信号処理回路120から取得してメモリ140に格納する。その後、カメラマイコン130は、メモリ140に格納されたAF評価値を比較することによってAF評価値が増加する方向を合焦位置がある方向であると判定する。その後、カメラマイコン130は、合焦位置がある方向にフォーカスレンズを移動する。
【0032】
ウォブリング時には、主ミラーとサブミラー105は光路から退避して光束は撮像素子110に導かれ、不図示のシャッターを開放状態とし、撮像素子110からローリング読み出し方式にて連続的に画像を読み出す。また、カメラマイコン130は、フォーカスレンズを前後に駆動するための命令をレンズマイコン160に送信する。レンズマイコン160はこの命令をうけて、駆動回路155にフォーカスレンズを駆動させるための出力信号を発する。
【0033】
以下、ウォブリング時のカメラマイコン130とレンズマイコン160の動作について説明する。この動作フロー(自動焦点調節方法)は、コンピュータに機能を実現するためのプログラムとしてメモリ140に格納されている。
【0034】
ライブビューを開始すると、カメラマイコン130は、レンズマイコン160から撮影光学系152のID、フォーカス敏感度、絞り設定などの情報を取得する。次に、カメラマイコン130は、取得したフォーカス敏感度と絞り設定からウォブリング幅を設定し、レンズIDとウォブリング幅からウォブリング時間を決定する。
【0035】
次に、カメラマイコン130は、AF領域の種別を判断する。1点AFの場合にはAF領域の変更頻度が低いので、カメラマイコン130はコントラスト評価周期を2フレームに設定する(あるいはレンズ駆動停止期間を小さく設定する)。一方、多点AFや顔AFなどの場合にはAF領域の変更頻度が高いので、カメラマイコン130はコントラスト評価周期を3フレームに設定する(あるいはレンズ駆動停止期間を大きく設定する)。
【0036】
なお、「2フレーム」や「3フレーム」は単なる例示であり、AF領域の変更頻度が低い場合のコントラスト評価周期がAF領域の変更頻度が高い場合のコントラスト評価周期よりも小さければ足りる。また、AF領域の変更頻度が低い場合のレンズ駆動停止期間がAF領域の変更頻度が高い場合のレンズ駆動停止期間よりも短ければ足りる。
【0037】
続いて、カメラマイコン130はAF領域に基づいて垂直同期信号VDからAF領域の電荷蓄積を開始するまでの遅延時間T1を算出する。また、カメラマイコン130は、電荷読み出し速度(固定値)とシャッター速度からAF領域の電荷蓄積期間(駆動停止期間T2)を算出する。次に、カメラマイコン130は、ウォブリングの命令があると、レンズマイコン160に垂直同期信号(例えば、後述する第2の垂直同期信号)を通知し、また、T2、着目周期情報、ウォブリング情報(駆動中心、駆動幅)をレンズマイコン160に通知する。
【0038】
一方、レンズマイコン160は、垂直同期信号の通知が開始されると、着目周期情報に適合する立ち上がり信号を検出し、駆動停止時間だけ時間が経過した場合フォーカスレンズを駆動するように駆動回路155を制御する。
【実施例1】
【0039】
図1は、電荷蓄積とウォブリングのタイミングチャートであり、図1(a)は画面の上部の領域のコントラスト検出を行う場合を示し、図1(b)は画面の下部の領域のコントラスト検出を行う場合を示している。
【0040】
第1の垂直同期信号VD1に同期して撮像素子110の電荷の蓄積と読み出しが行われる。遅延時間T1は、第1の垂直同期信号VD1から焦点調節の対象の領域であるAF領域の電荷の蓄積が開始されるまでの時間である。
【0041】
カメラマイコン130は第1の垂直同期信号VD1から遅延時間T1だけ遅延された第2の垂直同期信号VD2を生成し、この第2の垂直同期信号VD2をレンズマイコン160に送信する。本実施例によれば、カメラマイコン130は、レンズマイコン160に第1の垂直同期信号VD1と遅延時間T1の両方を送信する代わりに第2の垂直同期信号VD2を送信して遅延時間T1の情報は送信しないため、ウォブリングにおける通信量が低減している。カメラマイコン130は第2の垂直同期信号VD2を一定の周期で(または連続して)送信する。これによって、カメラマイコン130は、第2の垂直同期信号VD2に従って(同期して)レンズユニット150の駆動回路155による撮影光学系(撮影レンズ)152(のフォーカスレンズ)の駆動を制御している。
【0042】
また、カメラマイコン130は第2の垂直同期信号VD2から撮影光学系152のレンズ駆動を行う期間と停止すべき期間を計算する。駆動停止期間T2は、レンズ駆動が至近側の位置で停止している期間であり、この期間に撮像素子110のAF領域の電荷の蓄積と読み出しとコントラスト評価値の計算が行われる。駆動許可期間T3は、ウォブリングのためにレンズが至近側から無限側に移動する期間であり、この期間はレンズ移動中での蓄積動作を行うためコントラスト評価値の計算は行われない。駆動停止期間T4は、レンズ駆動が無限側の位置で停止している期間であり、この期間に電荷の蓄積と読み出しとコントラスト評価値の計算が行われる。駆動許可期間T5は、ウォブリングのためにレンズが無現側から至近側に移動する期間である。
【0043】
T2〜T5はデータとしてカメラマイコン130からレンズマイコン160へと送信されるが、第2の垂直同期信号VD2のように一定の周期で送信されない。即ち、カメラマイコン130は、T2〜T5のデータを駆動停止期間(T2、T4)または駆動許可期間(T3、T5)が変化したときにレンズマイコン160へ送信する。そして、カメラマイコン130は、駆動停止期間(T2、T4)および駆動許可期間(T3、T5)が維持されている間はT2〜T5のデータをレンズマイコン160へ送信しない。
【0044】
このように、T2〜T5のデータはカメラマイコン130からレンズマイコン160へ一定周期で出力されずにデータに変化した場合にのみ送信されるため、一定周期で(あるいは常時)送信するよりも通信量を抑えることができる。
【0045】
図1(a)では、第2の垂直同期信号VD2の周期の4周期にて1サイクルのウォブリングが行われている。コントラスト評価値の結果によりレンズマイコン160はコントラストが高くなる方向にフォーカスレンズを駆動させるように駆動回路155に信号を発する。
【0046】
以上、カメラ本体側で行われる撮像素子110のローリング読み出しと、レンズユニット側で行われるウォブリングとがタイミングを合わせて実施され、画面の上部の領域のコントラスト検出を行うことができる。タイミングを合わせるための信号は、カメラマイコン130からレンズマイコン160に送られる第2の垂直同期信号VD2とT2〜T5のデータとなる。
【0047】
図1(b)は、遅延時間T1が図1(a)に示す遅延時間T1よりも長い点で図1(a)と相違する。これは、画面の下部の領域の遅延時間は画面の上部の領域の遅延時間よりも遅れているからである。レンズマイコン160は第2の垂直同期信号VD2とT2〜T5の情報をカメラマイコン130から受信し、レンズの駆動期間と停止期間のタイミングを変えることで画面の下部の領域のコントラスト検出を行うことができる。
【0048】
図1(c)は、第2の垂直同期信号VD2が図1(a)と相違している。図1(c)に示す第2の垂直同期信号VD2は、図1(a)の第2の垂直同期信号VD2から不要な部分(第1の垂直同期信号VD1の立ち上がりが遅延時間T1だけ遅延された信号部分以外の信号部分)を除去することによって生成されている。第2の垂直同期信号VD2のデータ量が減っているのでカメラマイコン130からレンズマイコン160へ送られる通信量も低減している。これは後述する実施例についても同様である。
【0049】
図1(d)は、図1(b)において垂直同期信号VDを4周期にレートを落としてカメラマイコン130からレンズマイコン160へ出力される場合を示している。即ち、カメラマイコン130は、第2の垂直同期信号VD2の周期が、コントラストが評価される周期になるように第2の垂直同期信号VD2を間引いてレンズマイコン160に送信しているので、通信量が更に低減している。これは後述する実施例についても同様である。
【0050】
なお、本実施例では、第1の垂直同期信号VD1と遅延時間T1を送る代わりに第2の垂直同期信号VD2を送信し、T2〜T5のデータはこれらのいずれかが変更された場合にのみ送信しているが、必ずしも両者は組み合わされなくてもよい。例えば、カメラマイコン130はレンズマイコン160に第1の垂直同期信号VD1を送信すると共にT1〜T5のデータをこれらのいずれかが変更された場合にのみ送信してもよい。あるいは、カメラマイコン130はレンズマイコン160に第2の垂直同期信号VD2を送信すると共にT2〜T5のデータを変更されなくても送信してもよい。これは以下の実施例についても同様である。
【0051】
また、第2の垂直同期信号VD2は第1の垂直同期信号VDの立ち上がりを基準として生成されているが、第1の垂直同期信号VDの立ち下がりを基準として生成されてもよい。
【実施例2】
【0052】
図2は、電荷蓄積とウォブリングのタイミングチャートである。図2(a)は、画面の狭小領域のコントラスト検出(または1点AF)を行う場合、即ち、AF領域の変更頻度が低い場合を示している。図2(b)は、画面の全領域のコントラスト検出(または多点AF)を行う場合、即ち、AF領域の変更頻度が高い場合を示している。
【0053】
実施例1と同様に、第1の垂直同期信号VD1に同期して撮像素子110の電荷の蓄積と読み出しが行われる。遅延時間T1は、第1の垂直同期信号VD1からAF領域の電荷蓄積が開始されるまでの時間である。
【0054】
また、実施例1と同様に、カメラマイコン130は第1の垂直同期信号VD1から遅延時間T1だけ遅延された第2の垂直同期信号VD2を生成してこれをレンズマイコン160に送信する。本実施例によれば、カメラマイコン130は、レンズマイコン160に第1の垂直同期信号VD1と遅延時間T1の両方を送信する代わりに第2の垂直同期信号VD2を送信して遅延時間T1の情報は送信しないため、通信量が低減している。カメラマイコン130は第2の垂直同期信号VD2を一定の周期で(または連続的に)送信している。
【0055】
また、実施例1と同様に、カメラマイコン130はT2〜T5をそれらのいずれかが変更された場合にのみレンズマイコン160へ送信し、常時送信するよりも通信量を抑えている。
【0056】
図2(a)では、第2の垂直同期信号VD2の周期の4周期にて1サイクルのウォブリングが行われる。即ち、コントラスト評価は2フレームに1回行われる。その後、コントラスト評価値の結果によりレンズマイコン160はより合焦方向にフォーカスレンズを駆動させるように駆動回路155に命令する。
【0057】
図2(b)は、駆動停止期間T2とT4が図2(a)よりも長い点が図2(a)と異なる。これはローリング読み出し方式では全領域に近い部分の蓄積時間が画面上部と画面下部が重なりながら少しずつずれているからである。図2(b)では、第2の垂直同期信号VD2の周期の6周期にて1サイクルのウォブリングが行われる。即ち、コントラスト評価は3フレームに1回行われる。
【0058】
レンズマイコン160はT2〜T5の情報をカメラマイコン130から受信し、レンズの駆動期間と停止期間のタイミングを変えることで全領域のコントラスト検出を行うことができる。このように、図2(b)のように、AF領域が頻繁に変化する場合でも、図2(b)で示す駆動方法を予め選択しておけばレンズ駆動期間の開始や終了のタイミングを駆動回路155へ伝えずに済み、通信量を抑えることができる。
【0059】
図2(c)及び図2(d)は、それぞれ図2(a)及び図2(b)において、カメラマイコン130からレンズマイコン160に送信する信号を変化させている。第2の垂直同期信号VD2はローレベルの期間で駆動停止期間T2とT4をレンズマイコン160に知らせ、ハイレベルの期間で駆動許可期間T3とT5をレンズマイコン160に知らせている。このため、図2(c)及び図2(d)ではT2〜T5のデータをカメラマイコン130からレンズマイコン160に送信する必要がないため、データ転送量がより少なくなっている。
【0060】
但し、図2(c)及び図2(d)では、至近側の位置と無限側の位置と同じ信号となるため、位相の反転が問題となるおそれがある。これについてはウォブリングを至近側から開始するのか無限側から開始するのかを予め取り決めておけば、コントラストがより高くなるのが至近側なのか無限側なのかを間違えることはない。
【0061】
なお、図2(c)及び図2(d)においては、ローレベルとハイレベルは逆であってもよいので、垂直同期信号VDのローレベル及びハイレベルの一方の期間が駆動停止期間T2またはT4に一致し、他方の期間が駆動許可期間T3またはT5に一致すればよい。
【実施例3】
【0062】
図3は、図1においてシャッター速度が速い場合の電荷蓄積とウォブリングのタイミングチャートである。即ち、図3(a)は、画面の狭小領域のコントラスト検出を行う場合(即ち、AF領域の変更頻度が低い場合)であって撮像素子110の蓄積時間が短い場合を示している。図3(b)は、画面の全領域のコントラスト検出を行う場合(即ち、AF領域の変更頻度が高い場合)であって撮像素子110の蓄積時間が短い場合を示している。
【0063】
図3(a)では第2の垂直同期信号VD2の周期の2周期にて1サイクルのウォブリング動作が行われ、図3(b)では第2の垂直同期信号VD2の周期の4周期にて1サイクルのウォブリング動作が行われている。
【0064】
図1(c)と同様に、図3(a)において第2の垂直同期信号VD2を2周期にレートを落とし、図3(b)において第2の垂直同期信号VD2を4周期にレートを落としてもよい。また、図2(c)及び図2(d)と同様に、垂直同期信号のローレベルの期間でT2とT4をレンズマイコン160に知らせ、ハイレベルの期間でT3とT5をレンズマイコン160に知らせてもよい。
【0065】
本実施例でも、AF領域が頻繁に変化する場合でも、レンズ駆動期間の開始や終了のタイミングを駆動回路155へ伝えずに済み、通信量を抑えることができる。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
撮像装置は被写体を撮像する用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
110 撮像素子
120 信号処理回路
128 設定手段
130 カメラマイコン(制御手段)
150 レンズユニット
152 撮影光学系
155 駆動回路(駆動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系と当該撮影光学系を駆動する駆動手段を有するレンズユニットが交換可能に構成され、前記撮影光学系を前記駆動手段によって光軸方向にウォブリングさせることによって合焦位置がある方向を判別し、前記方向に前記撮影光学系を前記駆動手段を介して移動させる撮像装置であって、
第1の垂直同期信号に同期して電荷の蓄積と読み出しを画素の行の単位で行う撮像素子と、
前記ウォブリングにおいて、前記第1の垂直同期信号から遅延させた第2の垂直同期信号を生成し、前記第2の垂直同期信号を前記レンズユニットに送信することによって前記第2の垂直同期信号に従って前記駆動手段による前記撮影光学系の駆動を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第2の垂直同期信号は、前記第1の垂直同期信号から前記撮像素子の焦点調節の対象の領域の電荷の蓄積が開始されるまでの遅延時間だけ遅延された信号であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記レンズユニットに前記撮像素子の焦点調節の対象の領域の電荷の蓄積の期間に設定される前記撮影光学系の駆動が停止される駆動停止期間と、前記駆動停止期間の後に開始する前記撮影光学系の駆動が行われる駆動許可期間と、を含むデータを送信することによって前記第2の垂直同期信号と前記データに従って前記駆動手段による前記撮影光学系の駆動を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2の垂直同期信号は、ローレベル及びハイレベルを有し、
前記第2の垂直同期信号のローレベル及びハイレベルの一方の期間が前記撮像素子の焦点調節の対象の領域の電荷の蓄積の期間に設定される前記撮影光学系の駆動が停止される駆動停止期間に一致し、前記第2の垂直同期信号のローレベル及びハイレベルの他方の期間が前記駆動停止期間の後に開始する前記撮影光学系の駆動が行われる駆動許可期間に一致することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第2の垂直同期信号の周期が前記ウォブリングにおいてコントラストが評価される周期になるように、前記第2の垂直同期信号を間引いて前記レンズユニットに送信することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮影光学系と当該撮影光学系を駆動する駆動手段を有するレンズユニットが交換可能に構成され、前記撮影光学系を前記駆動手段によって光軸方向にウォブリングさせることによって合焦位置がある方向を判別し、前記方向に前記撮影光学系を前記駆動手段を介して移動させる撮像装置であって、
電荷の蓄積と読み出しを画素の行の単位で行う撮像素子と、
前記ウォブリングにおいて、前記撮像素子の焦点調節の対象の領域の電荷の蓄積の期間に設定される前記撮影光学系の駆動が停止される駆動停止期間と、前記駆動停止期間の後に開始する前記撮影光学系の駆動が行われる駆動許可期間と、を含むデータを、前記レンズユニットに、前記駆動停止期間または前記駆動許可期間が変化したときに送信し、前記駆動停止期間および前記駆動許可期間が維持されている間は送信しないことによって前記データに従って前記駆動手段による前記撮影光学系の駆動を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする撮像装置。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−68457(P2012−68457A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213635(P2010−213635)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】