撮影装置、画像撮影方法、画像撮影プログラム、画像出力装置
【課題】立体的な被写体を三次元的に見えるような画像を出力することを可能にする。
【解決手段】書画カメラ装置1は、CCD13を通じて入力される画像データをもとにして、例えばコントラストAF機能により被写体に対して複数部分で距離を検出する。書画カメラ装置1は、画像処理部30において、被写体の各部分で検出された距離に応じて、撮影された被写体の画像を被写体が立体的に見えるように補正を施して、USBインタフェース29を通じて出力する。
【解決手段】書画カメラ装置1は、CCD13を通じて入力される画像データをもとにして、例えばコントラストAF機能により被写体に対して複数部分で距離を検出する。書画カメラ装置1は、画像処理部30において、被写体の各部分で検出された距離に応じて、撮影された被写体の画像を被写体が立体的に見えるように補正を施して、USBインタフェース29を通じて出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投影装置(プロジェクタ)などによって投影される画像を撮影するための撮影装置、画像撮影方法、画像撮影プログラム、及び画像出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プレゼンテーションや会議等においては、パーソナルコンピュータ(PC)にデータとして記憶してあるドキュメント(文字や図表等)をプロジェクタ(画像投影装置)を用いてスクリーン上に拡大して投影する撮像投影システムが用いられている。
【0003】
また、会議等でプロジェクタを使用する場合には、PCに記憶されたデータ以外にも手持ちの書面資料(新聞、雑誌の記事、プレゼン用紙、書面原稿等)を投影することもある。従来では、書画カメラ等の撮影装置により書面資料を撮影することでデジタル(画像データ)化し、この画像データをプロジェクタに送信することで投影している(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−363736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように書面資料を書画カメラで撮影してプロジェクタにより投影する場合には、元の被写体が平面であるため撮影された二次元画像をそのまま投影しても何ら問題はない。
【0005】
一方、平面的な書面資料ではなく、立体的な物体を書画カメラにより撮影してプロジェクタにより投影したいという要求がある。しかしながら、従来の撮像投影システムでは、書画カメラにより撮影された画像を書面資料を撮影した場合と同様に、二次元な被写体を撮影した画像として投影しているに過ぎない。
【0006】
従って、プロジェクタにより投影された画像が、立体的な被写体を投影したものか、あるいは立体的な物体を撮影した写真などを投影したものか区別がつかなかった。このため、従来では、プレゼンテーションや会議等において、立体的な物体をプロジェクタにより投影して、その形状などを説明するといったことが困難となっていた。
【0007】
本発明の課題は、立体的な被写体を三次元的に見えるような画像を出力することが可能な撮影装置、画像撮影方法、画像撮影プログラム、画像出力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、被写体に対して複数部分で距離を検出する被写体距離検出手段と、前記被写体の画像を撮影する撮影手段と、前記被写体距離検出手段によって検出された各部分の距離に応じて、前記撮影手段によって撮影された被写体の画像を補正する補正手段と、前記補正手段によって補正された画像を出力する画像出力手段とを具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記補正手段は、前記被写体距離検出手段によって検出された距離が近い部分ほど明度を高くするように前記画像を補正することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記補正手段は、前記被写体距離検出手段により検出された最も近い距離と遠い距離との中間位置を算出する中間位置算出手段を有し、前記中間位置算出手段により算出された中間位置より、前記被写体距離検出手段によって検出された距離が近い部分ほど明度を高くするようにし、前記前記距離検出手段によって検出された距離が遠い部分ほど明度を低くするように前記画像を補正することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、撮影範囲内において複数位置で距離を検出する範囲内距離検出手段と、前記範囲内距離検出手段により検出された複数位置での距離の差をもとに、前記撮影範囲内に存在する被写体が立体的であるか否かを判別する被写体判別手段とをさらに具備し、前記補正手段は、前記被写体判別手段によって前記被写体が立体的であると判別された場合に、前記被写体の画像を補正することを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記被写体判別手段によって前記被写体が立体的であると判別された場合に、前記範囲内距離検出手段によって検出された複数位置での距離をもとに前記撮影範囲内の前記被写体を含む範囲を判別する被写体範囲判別手段を具備し、前記被写体距離検出手段は、前記被写体範囲判別手段により判別された範囲内で距離を検出することを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記被写体距離検出手段は、コントラスト方式によるオートフォーカス機能を利用して距離を検出することを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、被写体に対して複数部分で距離を検出する被写体距離検出行程と、前記被写体の画像を撮影する撮影行程と、前記被写体距離検出手段によって検出された各部分の距離に応じて、前記撮影手段によって撮影された被写体の画像を補正する補正行程と、前記補正手段によって補正された画像を出力する画像出力行程とを具備したことを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項1記載の発明において、コンピュータを、被写体に対して複数部分で距離を検出する被写体距離検出手段と、前記被写体の画像を撮影する撮影手段と、前記被写体距離検出手段によって検出された各部分の距離に応じて、前記撮影手段によって撮影された被写体の画像を補正する補正手段と、前記補正手段によって補正された画像を出力する画像出力手段として機能させることを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の発明は、画像と共にこの画像中の複数部分での距離を示す距離データを入力する画像入力手段と、前記入力手段により入力された画像に対して、同画像と共に入力された距離データに応じて画像中の各部分を補正する補正手段と、前記補正手段によって補正された画像を出力する画像出力手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1,7,8記載の発明によれば、被写体に対して複数部分で距離を検出し、各部分までの距離に応じて画像に対して補正することができるので、被写体が立体的である場合に、その凹凸形状に応じた部分的な画像処理を施すことで、二次元画像を被写体が立体的に見える三次元的な画像に変換することができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、被写体までの距離に応じた補正をする場合に、距離が近い部分ほど明度を高くするようにすることで、被写体を立体的に見えるように画像を補正することができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、被写体に対して検出された距離の最も近い部分と遠い部分との中間位置を基準として、明度を明るくする範囲と暗い範囲とを分けることで明度を変更する幅を少なくすることができ、補正による元画像からの変化が少なくても立体化を表現することができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、撮影範囲内において複数位置で距離を検出して、複数位置で検出された距離に差がある場合に被写体が立体的であると判別することができるので、被写体が立体的と判別された場合にのみ撮影された画像に対して補正処理をすれば良い。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、請求項4の発明の効果に加えて、撮影範囲内で検出された距離が被写体が載置される台など(書画台など)に該当する場合には被写体が存在せず、この部分とは異なる距離が検出された部分については被写体が存在すると予想できるため、これをもとに被写体を含む範囲を判別することができる。そして、この被写体範囲を対象として画像の補正をするための被写体に対する距離検出をすることで、距離検出の範囲が限定され書に要する時間を単色することができる。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、通常の撮影時に動作するコントラスト方式によるオートフォーカス機能を利用することで、位置検出のための特別な機構を設ける必要がない。
【0023】
請求項9記載の発明によれば、撮像装置(書画カメラ装置)などにおいて撮影された被写体の画像と共に、被写体に対する複数部分で検出された距離を示す距離データが入力される場合に、画像の各部分における距離に応じて画像に対して補正することができるので、被写体が立体的である場合に、その凹凸形状に応じた部分的な画像処理を施すことで、二次元画像を被写体が立体的に見える三次元的な画像に変換して出力(投影)することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるシステムの構成を示す図である。図1は、本発明を書画カメラ装置、パーソナルコンピュータ(PC)、及びデータプロジェクタ装置からなる撮像投影システムに適用した例を示している。
【0025】
図1に示す撮像投影システムは、書画カメラ装置1(撮影装置)とPC2とがUSB(Universal Serial Bus)ケーブル4で接続され、書画カメラ装置1でその書画台1a上に載置された被写体の画像が常時撮影され、デジタル値の画像信号としてUSBケーブル4を介し、アイソクロナス転送によりリアルタイムにPC2に送られる。本実施形態の撮像投影システムでは、平面的な書面資料だけでなく立体的な物体を撮影して、これを立体的に見える画像にして投影することができる。
【0026】
PC2は、書画カメラ装置1に付属している記録媒体、例えばCD−ROM6によりこの書画カメラ装置1用のドライブプログラムを予めインストールしており、同プログラムを実行することにより、書画カメラ装置1から送られてくる画像信号に対応したアナログ値の画像信号を生成し、RGBケーブル5を介してデータプロジェクタ装置3へ送出する。
【0027】
データプロジェクタ装置3は、例えばマイクロミラー素子を用いて送られてきた画像信号に対応する光像を形成し、投影対象となるスクリーンに各種画像を投影表示する。
【0028】
図2は、書画カメラ装置1の回路構成を示すものである。同図で、被写体画像の撮影時に、モータ(M)11の駆動によりズーム画角や絞り位置等が移動される、レンズ光学系12(ズームレンズ、フォーカスレンズ、絞り等を含む)の撮影光軸後方に撮像素子であるCCD13が配置される。CCD13は、タイミング発生器(TG)14、垂直ドライバ15によって走査駆動され、一定周期毎に結像した光像に対応する光電変換出力を1画面分出力する。
【0029】
この光電変換出力は、アナログ値の信号の状態でRGBの各原色成分毎に適宜ゲイン調整された後に、サンプルホールド回路(S/H)16でサンプルホールドされ、A/D変換器17でデジタルデータに変換され、カラープロセス回路18で画素補間処理及びγ補正処理を含むカラープロセス処理が行なわれて、デジタル値の輝度信号Y及び色差信号Cb,Cr(YUV信号)が生成され、DMA(Direct Memory Access)コントローラ19に出力される。
【0030】
DMAコントローラ19は、カラープロセス回路18の出力する輝度信号Y及び色差信号Cb,Crを、同じくカラープロセス回路18からの複合同期信号、メモリ書込みイネーブル信号、及びクロック信号を用いて一度DMAコントローラ19内部のバッファに書込み、DRAMインタフェース(I/F)20を介してバッファメモリとして使用されるDRAM21にDMA転送を行なう。
【0031】
制御部22は、輝度及び色差信号のDRAM21へのDMA転送終了後に、この輝度及び色差信号をDRAMインタフェース20を介してDRAM21より読出し、VRAMコントローラ23を介してVRAM24に書込む。
【0032】
デジタルビデオエンコーダ25は、輝度及び色差信号をVRAMコントローラ23を介してVRAM24より定期的に読出し、これらのデータを元にビデオ信号を発生して表示部26に出力する。
【0033】
表示部26は、モニタ表示部(電子ファインダ)として機能し、デジタルビデオエンコーダ25からのビデオ信号に基づいた表示を行なうことで、その時点でVRAMコントローラ23から取込んでいる画像情報に基づく画像(スルー画像)をリアルタイムに表示することになる。
【0034】
制御部22は、キー入力部27から、あるいはUSBインタフェース29を介してPC2から撮影指示を受信すると、その時点でCCD13から取込んでいる1画面分の輝度及び色差信号のDRAM21へのDMA転送を取り止め、あらためて適正な露出条件に従った絞り値及びシャッタ速度と解像度でCCD13を走査駆動して1フレーム分の輝度及び色差信号を得てDRAM21へ転送する。
【0035】
1フレーム分の画像データがDRAM21にDMA転送されて書込まれた後、制御部22は、DRAM21に書込まれている1フレーム分の画像データを読出して画像処理部30に転送する。画像処理部30は、画像データに対して、JPEG(Joint Photographic Experts Group)により画像データを符号化して内蔵メモリ28に記憶する。なお、符号化された画像データは、カメラ装置1の記録媒体として着脱自在に装着されている不揮発性の内蔵メモリ28(あるいは図示せぬ着脱可能なメモリカード)に記憶させることもできる。
【0036】
内蔵メモリ28に記録された圧縮後の画像データは、必要に応じて読み出され、いったん復号化されてDRAM21に記憶された後、VRAM24に転送されて静止画像として再生表示されたり、PC2へ出力されたりする。PC2へ出力する場合、制御部22は、DRAM21に記憶された画像データを読出し、USBインタフェース(I/F)29へ送出する。USBインタフェース29は、画像データをUSB規格に則ってUSBケーブル4を介してPC2に送出する。
【0037】
また、画像処理部30は、後述する三次元画像モードが設定された場合に、画像データに対して被写体が立体的に見えるようにするための画像処理を実行する。画像処理部30により実行される画像処理には、例えば画像(被写体)の各部分に対する明度の補正、被写体とその周辺(背景)との境界(輪郭)を強調するための画像補正などがある。なお、被写体が立体的に見えるようにするための画像処理は、前述に限るものではなく、彩度や色を変更する補正や、さらに仮想的な光源を設定して、この光源による影を表すように画像を補正するなど、他の手法を用いることも可能である。
【0038】
次に、図3によりPC2の構成について説明する。図3は、PC2のハードウェア構成を示すものであり、各種処理制御を司るCPU31とフロントサイドバスFSBを介してノースブリッジ32が接続される。
【0039】
ノースブリッジ32は、さらにメモリバスMBを介してメインメモリ33と、またグラフィクスインタフェースAGPを介してグラフィックコントローラ34及びグラフィックメモリ35と接続される他、サウスブリッジ36とも接続され、主としてこれらの間での入出力制御を実行する。
【0040】
サウスブリッジ36は、PCIバス37、キーボード/マウス38、ビデオエンコーダ39、USBインタフェース40、マルチCDドライブ41、ハードディスク装置(HDD)42と接続され、主としてこれら周辺回路とノースブリッジ32との間の入出力制御を行なう。
【0041】
なお、これらPC2を構成する個々の要素は、きわめて一般的な技術であるのでその説明は省略するものとする。
【0042】
なお、ビデオエンコーダ39は、与えられたデジタル値の画像信号からアナログ値の画像信号であるRGBビデオ信号を生成して出力する。
【0043】
HDD42は、OS(オペレーティングシステム)や各種アプリケーションプログラム、データファイルと共に、マルチCDドライブ41に上記CD−ROM6を装着してインストールした書画カメラ装置1用のドライブプログラムを予め記憶している。
【0044】
次に、図4を用いてデータプロジェクタ装置3の回路構成について説明する。
図中、入出力コネクタ部51より入力されたRGBビデオ信号を含む各種規格の画像信号が、入出力インタフェース(I/F)52、システムバスSBを介して画像変換部53で所定のフォーマットの画像信号に統一された後に、RAM71に記憶される。また、画像変換部53により、RAM71に記憶された画像信号に対して明度の補正などを含む各種の画像処理を実行し、その画像処理した後の画像信号をRAM71に記憶させることができる。
【0045】
RAM71に記憶された画像信号は、投影エンコーダ54へ送られる。投影エンコーダ54は、送られてきた画像信号をビデオRAM55に展開記憶させた上でこのビデオRAM55の記憶内容からビデオ信号を生成して投影駆動部56に出力する。
【0046】
投影駆動部56は、送られてきた画像信号に対応して適宜フレームレート、例えば例えば120[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動で空間的光変調素子(SOM)である例えばマイクロミラー素子57を表示駆動する。
【0047】
このマイクロミラー素子57に対して、リフレクタ58内に配置された光源ランプ59が出射する高輝度の白色光を、カラーホイール60を介して適宜原色に着色し、インテグレータ61、ミラー62を介して照射することで、その反射光で光像が形成され、投影レンズ63を介してここでは図示しないスクリーンに投影表示される。
【0048】
しかるに、光源ランプ59の点灯駆動と、カラーホイール60を回転駆動するモータ(M)64はいずれも投影光処理部65からの供給電圧値に基づいて動作する。
【0049】
上記各回路のすべての動作制御を司るのが制御部66である。この制御部66は、CPUと、後述する投影動作、撮影動作の処理を含む該CPUで実行される動作プログラムを記憶した不揮発性メモリ、及びワークメモリ等により構成される。また、各種メニュー表示用の画像データが記憶されている。
【0050】
制御部35にはまた、システムバスSBを介して音声処理部67が接続される。
音声処理部67は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声データをアナログ化し、スピーカ68を駆動して拡声放音し、あるいは必要によりビープ音を発生させる。
【0051】
なお、このデータプロジェクタ装置3に備えられるキースイッチ部69における各キー操作信号が直接制御部66に入力されると共に、Ir受信部70からの信号も直接入力される。このIr受信部70は、データプロジェクタ装置3の前面及び背面にそれぞれ設けられるもので、その赤外光受信信号をコード信号化して制御部66に送出する。
【0052】
次に、本実施形態における書画カメラ装置1における処理動作について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0053】
なお、本実施形態における書画カメラ装置1は、基本的に書画台1a上の被写体を継続的(あるいは一定時間(例えば1秒)毎)に撮影してリアルタイムに画像データをPC2に出力するスルー撮影モード、あるいはPC2またはキー入力部27に対する操作により入力される撮影指示に応じて書画台1a上の被写体を撮影し、次の新たな撮影指示が入力されるまでは撮影した画像データを出力する静止撮影モードによる動作が可能であるものとする。何れの撮影モードにより撮影を実行するかは、例えばモード設定機能において、ユーザ操作に応じて予め設定可能とする。
【0054】
書画台1aには、データプロジェクタ装置3により画像を投影しようとする被写体が載置される。基本的には、書画カメラ装置1は、書画台1aの中央部分が撮影範囲の中心となるように設定されているものとする。従って、被写体についても書画台1aの中央部分に載置されることが基本的に要求されるものとする。
【0055】
まず、書画カメラ装置1は、予め設定されている複数の被写体立体判別用エリアのそれぞれについて、そのエリアにおける対象物との距離を検出し(ステップA1)、各エリアについて検出された距離を記憶しておく(ステップA2)。
【0056】
図6には、書画カメラ装置1の撮影範囲内において設定される被写体立体判別用エリアの一例を示している。図6に示す例では、撮影範囲の中央部分に、マトリクス状に配置された複数の被写体立体判別用エリアが設定されている。
【0057】
書画カメラ装置1は、各被写体立体判別用エリアについて、例えばコントラスト方式によるAF(オートフォーカス)機能により対象物までの距離を検出するものとする。
【0058】
コントラスト方式によるAF処理では、被写体を撮影して得られる画素データに基づいて、画像のコントラストを検出し、そのコントラスト値がピークを示すレンズ位置にフォーカスレンズを移動させることで被写体に合焦させる。このコントラスト方式は、被写体の画像がぼけた状態であると画像のコントラストが低く、被写体の画像が合焦状態に近づくほどコントラスト値が上昇し、合焦状態となったところでコントラスト値が最大になるという特徴を利用している。
【0059】
コントラストAF処理においては、フォーカスレンズをモータ11の駆動により所定ピッチで移動させながら、各レンズ位置において取得されるエリア内の画素データをもとにコントラスト値を検出し、コントラスト値がピークとなった時のレンズ位置をフォーカスレンズの合焦位置として決定する。従って、フォーカスレンズの合焦位置と決定した時のレンズ位置をもとにして、合焦した対象物(被写体)までの距離を算出することができる。
【0060】
書画カメラ装置1は、全ての被写体立体判別用エリアのそれぞれについて距離の検出が終了すると(ステップA3、Yes)、この検出された複数の被写体立体判別用エリアに対応する距離のうち所定値以上の差がある部分があるかを判別する(ステップA4)。
【0061】
すなわち、被写体立体判別用エリアに該当する位置に載置された被写体が紙媒体などによる書面資料である場合には、何れのエリアで検出された距離をもとにしても、その差はごく僅か(所定値未満)となる。一方、被写体が立体的であれば、何れか(少なくとも2つ)のエリアにおいて検出された距離の差は所定値以上となる。
【0062】
なお、距離の差の判定に用いる所定値は、被写体を立体的な画像によって投影させるか否かを判定するためのもので、単純に書面資料のように厚みがないものと厚みあるものとを判定するだけのものではない。例えば、書籍などの厚みのある被写体であったとしても、撮影された画像を立体的に投影する必要がないものもあるので、どのような被写体を投影対象とするかによって決められるものとする。例えば、ここで使用する所定値は、予め固定的に決められていても良いし、ユーザが書画カメラ装置1(撮像投影システム)を使用する目的に合わせて任意に設定できるようにしても良い。
【0063】
なお、立体的な被写体が書画台1aに載置されているか否かを判別するだけであれば、複数の被写体立体判別用エリアについて順次距離を検出していき、他の被写体立体判別用エリアにより検出した距離(あるいは書画台1aまでの距離)とは異なる距離が検出された場合に、その時点で立体的な被写体が載置されているものと判別することもできる。この場合、全ての被写体立体判別用エリアに対する距離の検出をする必要がないので処理時間を短縮することができる。
【0064】
また、図6に示す例では、マトリクス状に配置された被写体立体判別用エリアを設定しているが、書画台1aに載置された被写体に対して、少なくとも1つの被写体立体判別用エリアが該当すれば良いので、より広い間隔をもって被写体立体判別用エリアを配置するようにしても良い。これにより、被写体立体判別用エリアの数を減らすことで、各エリアに対する距離の検出に有する処理時間を短縮することができる。
【0065】
ここで、被写体立体判別用エリアにおいて検出された距離に所定値以上の差がない場合(ステップA4、No)、すなわち書画台1aに載置された被写体が立体物ではないと判定された場合、制御部22は、通常モードに設定して画像の撮影を実行する(ステップA5,A6)。
【0066】
撮影により取得された画像データは、例えば内蔵メモリ28に記憶されると共に、USBインタフェース29を介してPC2に出力される(ステップA7)。
【0067】
PC2に出力された画像データは、PC2を介してデータプロジェクタ装置3に転送され、データプロジェクタ装置3によりスクリーンに投影される。
【0068】
一方、被写体立体判別用エリアにおいて検出された距離に所定値以上の差がある場合、すなわち書画台1aに載置された被写体が立体物であると判定された場合、制御部22は、撮影された画像に対して、投影された時に立体的に見えるように画像補正を施す三次元画像モードを設定する(ステップA8)。
【0069】
まず、三次元画像モードでは、被写体立体判別用エリアにおいて検出されたエリア別の距離をもとに、被写体の各部分の距離を検出するための被写体スキャンエリアを設定する。
【0070】
例えば、図6に示すように、被写体立体判別用エリアをマトリクス状に配列することにより、所定値以上(あるいは書画台1aまでとは異なる)距離が検出された被写体に該当するエリアと、その他のエリアとを区別することができる。制御部22は、各被写体立体判別用エリアにおいて検出された距離をもとにしてエリアを区分し、被写体が載置されている可能性のある部分を抽出して被写体スキャンエリアを設定する。
【0071】
図7には、被写体スキャンエリアを設定した例を示している。図6に示す被写体立体判別用エリアでは、撮影範囲の中央部に長い被写体(例えば、ペットボトル)が横向きに載置されている。この場合、複数の被写体立体判別用エリアのうち上部と下部に配置されたエリアにおいては、所定値以上の距離が測定されないため、この被写体立体判別用エリアを含む撮影範囲の上部と下部を被写体スキャンエリアに含まないように設定する。ここでは、後述する被写体スキャンエリアに対するスキャン処理を単純化するために、被写体スキャンエリアを矩形状に設定するものとする。
【0072】
被写体スキャンエリアが設定されると、制御部22は、この被写体スキャンエリア内において被写体を含む複数の部分での距離を検出する(ステップA10)。ここでの距離検出についても、前述と同様にして、コントラスト方式によるAF処理を利用して行うものとする。
【0073】
距離の検出は、各部分に対する画像処理(補正)に用いるため、被写体立体判別用エリアにおいて距離を検出した場合よりも細かい部分毎に行う。距離を検出する被写体に対する各部分は、細分化するほど精細な画像処理(補正)が可能となるが、その分、距離を検出する位置が増えるために処理時間を要する。従って、撮影された画像に対して被写体が立体化して見えるように画像処理をした際に違和感がない程度に細分化されていれば良い。これは、書画カメラ装置1やデータプロジェクタ装置3の解像度、画像処理の性能などに応じて決められるものとする。
【0074】
制御部22は、例えば図8に示すように、被写体スキャンエリアをスキャンして、各部分での距離を検出して、各部分の位置と対応付けてDRAM21に記憶していく(ステップA11)。
【0075】
こうして、被写体スキャンエリア内の全ての部分において位置の検出が終了すると(ステップA12、Yes)、制御部22は、撮影範囲に対する画像の撮影を実行し、画像データをDRAM21に記憶する(ステップA13)。以下、この撮影された画像に対して、各部分において検出した距離をもとにした被写体を立体化して見えるようにするための画像処理を実行する。
【0076】
まず、被写体スキャンエリアに対するスキャンにより記憶された複数部分での距離から最も近い距離(部分)を判別し(ステップA14)、この最も近い距離と他の各部分において検出された距離との相対値を算出する(ステップA15)。例えば、被写体上の部分で検出された最も遠い距離との間における相対値として算出する。
【0077】
なお、被写体スキャンエリアでは、被写体の背景部分(書画台1a)についても距離が検出されているが、この背景部分において検出される距離は最も遠く、ほぼ同じ距離の部分が連続して一様に検出されるため、これらの部分を背景部分として検出して予め除外しておくことができる。
【0078】
ここで、制御部22は、画像処理部30により、画像の各部分における明度を相対値に応じて低くなるように補正することで被写体が立体的に見えるようにし(ステップA16)、この補正された画像をDRAM21に記憶する(ステップA17)。
【0079】
例えば、被写体上のある部分Aと書画カメラ装置1(CCD13)までの距離をa、同じく被写体上の部分Bまでの距離をbとする。そして、撮影された画像の部分Aの1画素に相当する実際の面積を1とすると、部分Bの1画素に相当する面積はb/aとなる。ここで、1画素あたりの書画カメラ装置1に対する光の減衰量は距離の2乗に反比例するので、部分Aの値1/(a/a)に対し、部分Bの値は(b/a)/(b×b)=1/(a/b)となる。この減衰量の光量を掛け合わせ、色味の明度を遠い距離の部分ほど明るさを抑えるようにすることで、撮影対象とする被写体を立体的に表現することができる。
【0080】
制御部22は、DRAM21に記憶された画像処理が施された画像データをUSBインタフェース29を介してPC2に出力する(ステップA18)。PC2に出力された画像データは、PC2を介してデータプロジェクタ装置3に転送され、データプロジェクタ装置3によりスクリーンに投影される。
【0081】
以下、画像撮影が終了されるまで同様の処理を繰り返し実行する(ステップA19)。
【0082】
このようにして、本実施形態における撮像投影システムでは、書画カメラ装置1において、被写体の複数部分で距離を検出し、各部分までの距離に応じて画像に対して明度を変更する補正を施すことができる。これにより、被写体が立体的である場合に、その凹凸形状に応じた明度の調整により、撮影により得られた二次元画像を被写体が立体的に見える三次元的な画像に変換してPC2に出力することができる。
【0083】
なお、前述した説明では、被写体の各部分までの距離に応じて各部分の明度を調整する補正をするとしているが、その他の画像処理として被写体の輪郭(エッジ)を強調するように補正することもできる。
【0084】
この場合、被写体スキャンエリアにおけるスキャンにより検出された距離を参照し、隣接する部分の距離の差が大きい場合には、別の物体、または被写体と背景(書画台1a)のように判別することができる。
【0085】
図9には、例えば断面がほぼ円形となる被写体(例えばペットボトル)の例を示している。図9に示すように、断面が円形状の被写体では、断面の上端部が最も書画カメラ装置1との距離(距離a)が短くなり、また側端部近傍が被写体上で最も距離(距離b)が遠くなる。被写体の背景(書画台1a)に対しては距離cが検出され、側端部近傍において検出される距離bとの差(c−b)が、距離aと距離bが検出される部分との間の変化よりも大幅に大きくなる。
【0086】
こうした場合、図10に示すように、距離の差が大きくなる隣接する部分の距離の近い方、すなわち被写体の輪郭(エッジ)の部分を強調するような画像処理を施す。こうした、被写体の輪郭を強調する画像処理を施すことによって、投影された画像中で被写体を浮き上がらせるように表現することができる。
【0087】
また、前述した明度の補正では、最も近い距離との相対値、すなわち距離が遠い部分ほど明度を低くなるように補正しているが、この場合、被写体全体の明度が元の画像よりも低くなってしまう。
【0088】
そこで、被写体に対して検出された距離の最も近い部分と遠い部分との中間位置を基準として、明度を上げる(明るくする)範囲と下げる(暗くする)範囲とを分けることで明度を変更する幅を少なくし、画像全体の変化を少なくするようにしても良い。
【0089】
図11には、被写体の断面例を示している。図11に示すように、断面が台形状の被写体では、上端部が最も書画カメラ装置1との距離が短くなり、また側端部が被写体上で最も距離が遠くなる。制御部22は、最も近い距離と遠い距離との中間位置を算出して、画像処理部30により中間位置より距離が近い部分ほど明度を高くするようにし、距離が遠い部分ほど明度を低くするように画像を補正させる。
【0090】
これにより、補正による元画像からの変化が少なくても被写体を立体化して表現することができる。
【0091】
なお、前述した例では、最も距離が近い部分と遠い部分との中間位置で、明度を上げる範囲と下げる範囲とを分けているが、必ずしも中間位置でなくても良い。例えば、明度を上げる範囲と下げる範囲とで何れを強調するかなどに応じて、基準とする位置を中間位置とは異なる位置に設定しても良い。
【0092】
図12(a)には書画カメラ装置1により撮影された画像を画像処理を施さないで投影した例を示し、図12(b)は被写体(ペットボトル)を立体的に見えるように画像処理を施して投影した例を示している。
【0093】
図12(b)に示す画像中の被写体に対しては、書画カメラ装置1からの距離が近い部分ほど明度を上げ、遠いほど明度を下げる補正と共に、被写体の背景との境界(エッジ)の部分を強調する画像処理が施されている。これにより、図12(a)に示す画像と比較して、画像中で被写体が立体的に表現されていることが分かる。
【0094】
なお、図1に示す書画カメラ装置1は、撮像投影システムにおいて専用で使用される撮像装置として示しているが、カメラ本体部分を着脱可能とした構成とすることも可能である。この場合、単体のカメラ装置として使用することができ、撮影した画像に対して、前述したような撮影画像を立体的に見えるようにする画像補正を施して表示部26において表示する、あるいは内蔵メモリ28に記憶することができる。
【0095】
また、前述した説明では、書画カメラ装置1により被写体までの距離を検出するためにコントラストAF機能を利用するものとして説明しているが、書画カメラ装置1にアクティブ方式による測距部を設けて、この側距部により被写体をスキャンしながら各部分の距離を検出する構成とすることもできる。
【0096】
また、前述した実施形態では、書画カメラ装置1に置いて被写体との距離を検出し、その距離に応じて被写体を撮影した画像を立体的に見えるように補正しているが、撮像投影システムにおいて、PC2またはデータプロジェクタ装置3において画像処理(補正)を実行するように構成しても良い。
【0097】
この場合、書画カメラ装置1は、被写体スキャンエリアをスキャンすることにより検出した各部分での距離を示す距離データを、撮影した画像と共に画像中の位置と対応付けてPC2に出力する。PC2において画像処理を実行する場合、PC2は、USBインタフェース40から入力された画像及び距離データをメインメモリ33に一時記憶する。CPU31は、本処理のための画像処理プログラムを実行し、書画カメラ装置1から入力した画像に対して各部分の距離データをもとにして、前述した書画カメラ装置1と同様にして、被写体が立体化して見えるようにする画像処理を実行する。PC2は、この画像処理を施した画像の画像信号をデータプロジェクタ装置3に対して投影させる。
【0098】
また、データプロジェクタ装置3において画像処理を実行する場合には、PC2は、書画カメラ装置1から入力した画像と距離データをスルーしてデータプロジェクタ装置3に出力する。データプロジェクタ装置3は、PC2を介して入力した画像に対して、画像変換部53において各部分の距離データに応じた画像処理を実行し、前述と同様にして被写体が立体化して見えるようにして画像を投影する。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施形態における撮像投影システムの構成を示す図。
【図2】本実施形態における書画カメラ装置1の回路構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態におけるPC2の構成について説明するためのブロック図。
【図4】本実施形態におけるデータプロジェクタ装置3の回路構成について説明するためのブロック図。
【図5】本実施形態における書画カメラ装置1における処理動作について説明するためのフローチャート。
【図6】本実施形態における書画カメラ装置1の撮影範囲内において設定される被写体立体判別用エリアの一例を示す図。
【図7】本実施形態における被写体スキャンエリアを設定した例を示す図。
【図8】本実施形態における被写体スキャンエリアにおける距離検出のためのスキャンを説明するための図。
【図9】本実施形態における断面がほぼ円形となる被写体に対する距離検出の例を説明するための図。
【図10】本実施形態における輪郭(エッジ)の部分を強調する補正を説明するための図。
【図11】本実施形態における断面が台形となる被写体に対する距離検出の例を説明するための図。
【図12】書画カメラ装置1により撮影された画像を画像処理を施さないで投影した例と被写体(ペットボトル)を立体的に見えるように画像処理を施して投影した例とを示す図。
【符号の説明】
【0100】
1…書画カメラ装置、1a…書画台、2…パーソナルコンピュータ(PC)、3…データプロジェクタ装置、4…USBケーブル、5…RGBケーブル、6…CD−ROM、11…モータ(M)、12…レンズ光学系、13…CCD、14…タイミング発生器(TG)、15…垂直ドライバ、16…サンプルホールド回路(S/H)、17…A/D変換器、18…カラープロセス回路、19…DMAコントローラ、20…DRAMインタフェース、21…DRAM、22…制御部、23…USBインタフェース(I/F)、24…キー入力部、31…CPU、32…ノースブリッジ、33…メインメモリ、34…グラフィックコントローラ、35…グラフィックメモリ、36…サウスブリッジ、37…PCIバス、38…キーボード/マウス、39…ビデオエンコーダ、40…USBインタフェース(I/F)、41…マルチCDドライブ、42…ハードディスク装置(HDD)、51…入出力コネクタ部、52…入出力インタフェース(I/F)、53…画像変換部、54…投影エンコーダ、55…ビデオRAM、56…投影駆動部、57…マイクロミラー素子、58…リフレクタ、59…光源ランプ、60…カラーホイール、61…インテグレータ、62…ミラー、63…投影レンズ、64…モータ(M)、65…投影光処理部、66…制御部、67…音声処理部、68…スピーカ、69…キースイッチ部、70…Ir受信部、71…RAM。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投影装置(プロジェクタ)などによって投影される画像を撮影するための撮影装置、画像撮影方法、画像撮影プログラム、及び画像出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プレゼンテーションや会議等においては、パーソナルコンピュータ(PC)にデータとして記憶してあるドキュメント(文字や図表等)をプロジェクタ(画像投影装置)を用いてスクリーン上に拡大して投影する撮像投影システムが用いられている。
【0003】
また、会議等でプロジェクタを使用する場合には、PCに記憶されたデータ以外にも手持ちの書面資料(新聞、雑誌の記事、プレゼン用紙、書面原稿等)を投影することもある。従来では、書画カメラ等の撮影装置により書面資料を撮影することでデジタル(画像データ)化し、この画像データをプロジェクタに送信することで投影している(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−363736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように書面資料を書画カメラで撮影してプロジェクタにより投影する場合には、元の被写体が平面であるため撮影された二次元画像をそのまま投影しても何ら問題はない。
【0005】
一方、平面的な書面資料ではなく、立体的な物体を書画カメラにより撮影してプロジェクタにより投影したいという要求がある。しかしながら、従来の撮像投影システムでは、書画カメラにより撮影された画像を書面資料を撮影した場合と同様に、二次元な被写体を撮影した画像として投影しているに過ぎない。
【0006】
従って、プロジェクタにより投影された画像が、立体的な被写体を投影したものか、あるいは立体的な物体を撮影した写真などを投影したものか区別がつかなかった。このため、従来では、プレゼンテーションや会議等において、立体的な物体をプロジェクタにより投影して、その形状などを説明するといったことが困難となっていた。
【0007】
本発明の課題は、立体的な被写体を三次元的に見えるような画像を出力することが可能な撮影装置、画像撮影方法、画像撮影プログラム、画像出力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、被写体に対して複数部分で距離を検出する被写体距離検出手段と、前記被写体の画像を撮影する撮影手段と、前記被写体距離検出手段によって検出された各部分の距離に応じて、前記撮影手段によって撮影された被写体の画像を補正する補正手段と、前記補正手段によって補正された画像を出力する画像出力手段とを具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記補正手段は、前記被写体距離検出手段によって検出された距離が近い部分ほど明度を高くするように前記画像を補正することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記補正手段は、前記被写体距離検出手段により検出された最も近い距離と遠い距離との中間位置を算出する中間位置算出手段を有し、前記中間位置算出手段により算出された中間位置より、前記被写体距離検出手段によって検出された距離が近い部分ほど明度を高くするようにし、前記前記距離検出手段によって検出された距離が遠い部分ほど明度を低くするように前記画像を補正することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、撮影範囲内において複数位置で距離を検出する範囲内距離検出手段と、前記範囲内距離検出手段により検出された複数位置での距離の差をもとに、前記撮影範囲内に存在する被写体が立体的であるか否かを判別する被写体判別手段とをさらに具備し、前記補正手段は、前記被写体判別手段によって前記被写体が立体的であると判別された場合に、前記被写体の画像を補正することを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記被写体判別手段によって前記被写体が立体的であると判別された場合に、前記範囲内距離検出手段によって検出された複数位置での距離をもとに前記撮影範囲内の前記被写体を含む範囲を判別する被写体範囲判別手段を具備し、前記被写体距離検出手段は、前記被写体範囲判別手段により判別された範囲内で距離を検出することを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記被写体距離検出手段は、コントラスト方式によるオートフォーカス機能を利用して距離を検出することを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、被写体に対して複数部分で距離を検出する被写体距離検出行程と、前記被写体の画像を撮影する撮影行程と、前記被写体距離検出手段によって検出された各部分の距離に応じて、前記撮影手段によって撮影された被写体の画像を補正する補正行程と、前記補正手段によって補正された画像を出力する画像出力行程とを具備したことを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項1記載の発明において、コンピュータを、被写体に対して複数部分で距離を検出する被写体距離検出手段と、前記被写体の画像を撮影する撮影手段と、前記被写体距離検出手段によって検出された各部分の距離に応じて、前記撮影手段によって撮影された被写体の画像を補正する補正手段と、前記補正手段によって補正された画像を出力する画像出力手段として機能させることを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の発明は、画像と共にこの画像中の複数部分での距離を示す距離データを入力する画像入力手段と、前記入力手段により入力された画像に対して、同画像と共に入力された距離データに応じて画像中の各部分を補正する補正手段と、前記補正手段によって補正された画像を出力する画像出力手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1,7,8記載の発明によれば、被写体に対して複数部分で距離を検出し、各部分までの距離に応じて画像に対して補正することができるので、被写体が立体的である場合に、その凹凸形状に応じた部分的な画像処理を施すことで、二次元画像を被写体が立体的に見える三次元的な画像に変換することができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、被写体までの距離に応じた補正をする場合に、距離が近い部分ほど明度を高くするようにすることで、被写体を立体的に見えるように画像を補正することができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、被写体に対して検出された距離の最も近い部分と遠い部分との中間位置を基準として、明度を明るくする範囲と暗い範囲とを分けることで明度を変更する幅を少なくすることができ、補正による元画像からの変化が少なくても立体化を表現することができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、撮影範囲内において複数位置で距離を検出して、複数位置で検出された距離に差がある場合に被写体が立体的であると判別することができるので、被写体が立体的と判別された場合にのみ撮影された画像に対して補正処理をすれば良い。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、請求項4の発明の効果に加えて、撮影範囲内で検出された距離が被写体が載置される台など(書画台など)に該当する場合には被写体が存在せず、この部分とは異なる距離が検出された部分については被写体が存在すると予想できるため、これをもとに被写体を含む範囲を判別することができる。そして、この被写体範囲を対象として画像の補正をするための被写体に対する距離検出をすることで、距離検出の範囲が限定され書に要する時間を単色することができる。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、通常の撮影時に動作するコントラスト方式によるオートフォーカス機能を利用することで、位置検出のための特別な機構を設ける必要がない。
【0023】
請求項9記載の発明によれば、撮像装置(書画カメラ装置)などにおいて撮影された被写体の画像と共に、被写体に対する複数部分で検出された距離を示す距離データが入力される場合に、画像の各部分における距離に応じて画像に対して補正することができるので、被写体が立体的である場合に、その凹凸形状に応じた部分的な画像処理を施すことで、二次元画像を被写体が立体的に見える三次元的な画像に変換して出力(投影)することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるシステムの構成を示す図である。図1は、本発明を書画カメラ装置、パーソナルコンピュータ(PC)、及びデータプロジェクタ装置からなる撮像投影システムに適用した例を示している。
【0025】
図1に示す撮像投影システムは、書画カメラ装置1(撮影装置)とPC2とがUSB(Universal Serial Bus)ケーブル4で接続され、書画カメラ装置1でその書画台1a上に載置された被写体の画像が常時撮影され、デジタル値の画像信号としてUSBケーブル4を介し、アイソクロナス転送によりリアルタイムにPC2に送られる。本実施形態の撮像投影システムでは、平面的な書面資料だけでなく立体的な物体を撮影して、これを立体的に見える画像にして投影することができる。
【0026】
PC2は、書画カメラ装置1に付属している記録媒体、例えばCD−ROM6によりこの書画カメラ装置1用のドライブプログラムを予めインストールしており、同プログラムを実行することにより、書画カメラ装置1から送られてくる画像信号に対応したアナログ値の画像信号を生成し、RGBケーブル5を介してデータプロジェクタ装置3へ送出する。
【0027】
データプロジェクタ装置3は、例えばマイクロミラー素子を用いて送られてきた画像信号に対応する光像を形成し、投影対象となるスクリーンに各種画像を投影表示する。
【0028】
図2は、書画カメラ装置1の回路構成を示すものである。同図で、被写体画像の撮影時に、モータ(M)11の駆動によりズーム画角や絞り位置等が移動される、レンズ光学系12(ズームレンズ、フォーカスレンズ、絞り等を含む)の撮影光軸後方に撮像素子であるCCD13が配置される。CCD13は、タイミング発生器(TG)14、垂直ドライバ15によって走査駆動され、一定周期毎に結像した光像に対応する光電変換出力を1画面分出力する。
【0029】
この光電変換出力は、アナログ値の信号の状態でRGBの各原色成分毎に適宜ゲイン調整された後に、サンプルホールド回路(S/H)16でサンプルホールドされ、A/D変換器17でデジタルデータに変換され、カラープロセス回路18で画素補間処理及びγ補正処理を含むカラープロセス処理が行なわれて、デジタル値の輝度信号Y及び色差信号Cb,Cr(YUV信号)が生成され、DMA(Direct Memory Access)コントローラ19に出力される。
【0030】
DMAコントローラ19は、カラープロセス回路18の出力する輝度信号Y及び色差信号Cb,Crを、同じくカラープロセス回路18からの複合同期信号、メモリ書込みイネーブル信号、及びクロック信号を用いて一度DMAコントローラ19内部のバッファに書込み、DRAMインタフェース(I/F)20を介してバッファメモリとして使用されるDRAM21にDMA転送を行なう。
【0031】
制御部22は、輝度及び色差信号のDRAM21へのDMA転送終了後に、この輝度及び色差信号をDRAMインタフェース20を介してDRAM21より読出し、VRAMコントローラ23を介してVRAM24に書込む。
【0032】
デジタルビデオエンコーダ25は、輝度及び色差信号をVRAMコントローラ23を介してVRAM24より定期的に読出し、これらのデータを元にビデオ信号を発生して表示部26に出力する。
【0033】
表示部26は、モニタ表示部(電子ファインダ)として機能し、デジタルビデオエンコーダ25からのビデオ信号に基づいた表示を行なうことで、その時点でVRAMコントローラ23から取込んでいる画像情報に基づく画像(スルー画像)をリアルタイムに表示することになる。
【0034】
制御部22は、キー入力部27から、あるいはUSBインタフェース29を介してPC2から撮影指示を受信すると、その時点でCCD13から取込んでいる1画面分の輝度及び色差信号のDRAM21へのDMA転送を取り止め、あらためて適正な露出条件に従った絞り値及びシャッタ速度と解像度でCCD13を走査駆動して1フレーム分の輝度及び色差信号を得てDRAM21へ転送する。
【0035】
1フレーム分の画像データがDRAM21にDMA転送されて書込まれた後、制御部22は、DRAM21に書込まれている1フレーム分の画像データを読出して画像処理部30に転送する。画像処理部30は、画像データに対して、JPEG(Joint Photographic Experts Group)により画像データを符号化して内蔵メモリ28に記憶する。なお、符号化された画像データは、カメラ装置1の記録媒体として着脱自在に装着されている不揮発性の内蔵メモリ28(あるいは図示せぬ着脱可能なメモリカード)に記憶させることもできる。
【0036】
内蔵メモリ28に記録された圧縮後の画像データは、必要に応じて読み出され、いったん復号化されてDRAM21に記憶された後、VRAM24に転送されて静止画像として再生表示されたり、PC2へ出力されたりする。PC2へ出力する場合、制御部22は、DRAM21に記憶された画像データを読出し、USBインタフェース(I/F)29へ送出する。USBインタフェース29は、画像データをUSB規格に則ってUSBケーブル4を介してPC2に送出する。
【0037】
また、画像処理部30は、後述する三次元画像モードが設定された場合に、画像データに対して被写体が立体的に見えるようにするための画像処理を実行する。画像処理部30により実行される画像処理には、例えば画像(被写体)の各部分に対する明度の補正、被写体とその周辺(背景)との境界(輪郭)を強調するための画像補正などがある。なお、被写体が立体的に見えるようにするための画像処理は、前述に限るものではなく、彩度や色を変更する補正や、さらに仮想的な光源を設定して、この光源による影を表すように画像を補正するなど、他の手法を用いることも可能である。
【0038】
次に、図3によりPC2の構成について説明する。図3は、PC2のハードウェア構成を示すものであり、各種処理制御を司るCPU31とフロントサイドバスFSBを介してノースブリッジ32が接続される。
【0039】
ノースブリッジ32は、さらにメモリバスMBを介してメインメモリ33と、またグラフィクスインタフェースAGPを介してグラフィックコントローラ34及びグラフィックメモリ35と接続される他、サウスブリッジ36とも接続され、主としてこれらの間での入出力制御を実行する。
【0040】
サウスブリッジ36は、PCIバス37、キーボード/マウス38、ビデオエンコーダ39、USBインタフェース40、マルチCDドライブ41、ハードディスク装置(HDD)42と接続され、主としてこれら周辺回路とノースブリッジ32との間の入出力制御を行なう。
【0041】
なお、これらPC2を構成する個々の要素は、きわめて一般的な技術であるのでその説明は省略するものとする。
【0042】
なお、ビデオエンコーダ39は、与えられたデジタル値の画像信号からアナログ値の画像信号であるRGBビデオ信号を生成して出力する。
【0043】
HDD42は、OS(オペレーティングシステム)や各種アプリケーションプログラム、データファイルと共に、マルチCDドライブ41に上記CD−ROM6を装着してインストールした書画カメラ装置1用のドライブプログラムを予め記憶している。
【0044】
次に、図4を用いてデータプロジェクタ装置3の回路構成について説明する。
図中、入出力コネクタ部51より入力されたRGBビデオ信号を含む各種規格の画像信号が、入出力インタフェース(I/F)52、システムバスSBを介して画像変換部53で所定のフォーマットの画像信号に統一された後に、RAM71に記憶される。また、画像変換部53により、RAM71に記憶された画像信号に対して明度の補正などを含む各種の画像処理を実行し、その画像処理した後の画像信号をRAM71に記憶させることができる。
【0045】
RAM71に記憶された画像信号は、投影エンコーダ54へ送られる。投影エンコーダ54は、送られてきた画像信号をビデオRAM55に展開記憶させた上でこのビデオRAM55の記憶内容からビデオ信号を生成して投影駆動部56に出力する。
【0046】
投影駆動部56は、送られてきた画像信号に対応して適宜フレームレート、例えば例えば120[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動で空間的光変調素子(SOM)である例えばマイクロミラー素子57を表示駆動する。
【0047】
このマイクロミラー素子57に対して、リフレクタ58内に配置された光源ランプ59が出射する高輝度の白色光を、カラーホイール60を介して適宜原色に着色し、インテグレータ61、ミラー62を介して照射することで、その反射光で光像が形成され、投影レンズ63を介してここでは図示しないスクリーンに投影表示される。
【0048】
しかるに、光源ランプ59の点灯駆動と、カラーホイール60を回転駆動するモータ(M)64はいずれも投影光処理部65からの供給電圧値に基づいて動作する。
【0049】
上記各回路のすべての動作制御を司るのが制御部66である。この制御部66は、CPUと、後述する投影動作、撮影動作の処理を含む該CPUで実行される動作プログラムを記憶した不揮発性メモリ、及びワークメモリ等により構成される。また、各種メニュー表示用の画像データが記憶されている。
【0050】
制御部35にはまた、システムバスSBを介して音声処理部67が接続される。
音声処理部67は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声データをアナログ化し、スピーカ68を駆動して拡声放音し、あるいは必要によりビープ音を発生させる。
【0051】
なお、このデータプロジェクタ装置3に備えられるキースイッチ部69における各キー操作信号が直接制御部66に入力されると共に、Ir受信部70からの信号も直接入力される。このIr受信部70は、データプロジェクタ装置3の前面及び背面にそれぞれ設けられるもので、その赤外光受信信号をコード信号化して制御部66に送出する。
【0052】
次に、本実施形態における書画カメラ装置1における処理動作について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0053】
なお、本実施形態における書画カメラ装置1は、基本的に書画台1a上の被写体を継続的(あるいは一定時間(例えば1秒)毎)に撮影してリアルタイムに画像データをPC2に出力するスルー撮影モード、あるいはPC2またはキー入力部27に対する操作により入力される撮影指示に応じて書画台1a上の被写体を撮影し、次の新たな撮影指示が入力されるまでは撮影した画像データを出力する静止撮影モードによる動作が可能であるものとする。何れの撮影モードにより撮影を実行するかは、例えばモード設定機能において、ユーザ操作に応じて予め設定可能とする。
【0054】
書画台1aには、データプロジェクタ装置3により画像を投影しようとする被写体が載置される。基本的には、書画カメラ装置1は、書画台1aの中央部分が撮影範囲の中心となるように設定されているものとする。従って、被写体についても書画台1aの中央部分に載置されることが基本的に要求されるものとする。
【0055】
まず、書画カメラ装置1は、予め設定されている複数の被写体立体判別用エリアのそれぞれについて、そのエリアにおける対象物との距離を検出し(ステップA1)、各エリアについて検出された距離を記憶しておく(ステップA2)。
【0056】
図6には、書画カメラ装置1の撮影範囲内において設定される被写体立体判別用エリアの一例を示している。図6に示す例では、撮影範囲の中央部分に、マトリクス状に配置された複数の被写体立体判別用エリアが設定されている。
【0057】
書画カメラ装置1は、各被写体立体判別用エリアについて、例えばコントラスト方式によるAF(オートフォーカス)機能により対象物までの距離を検出するものとする。
【0058】
コントラスト方式によるAF処理では、被写体を撮影して得られる画素データに基づいて、画像のコントラストを検出し、そのコントラスト値がピークを示すレンズ位置にフォーカスレンズを移動させることで被写体に合焦させる。このコントラスト方式は、被写体の画像がぼけた状態であると画像のコントラストが低く、被写体の画像が合焦状態に近づくほどコントラスト値が上昇し、合焦状態となったところでコントラスト値が最大になるという特徴を利用している。
【0059】
コントラストAF処理においては、フォーカスレンズをモータ11の駆動により所定ピッチで移動させながら、各レンズ位置において取得されるエリア内の画素データをもとにコントラスト値を検出し、コントラスト値がピークとなった時のレンズ位置をフォーカスレンズの合焦位置として決定する。従って、フォーカスレンズの合焦位置と決定した時のレンズ位置をもとにして、合焦した対象物(被写体)までの距離を算出することができる。
【0060】
書画カメラ装置1は、全ての被写体立体判別用エリアのそれぞれについて距離の検出が終了すると(ステップA3、Yes)、この検出された複数の被写体立体判別用エリアに対応する距離のうち所定値以上の差がある部分があるかを判別する(ステップA4)。
【0061】
すなわち、被写体立体判別用エリアに該当する位置に載置された被写体が紙媒体などによる書面資料である場合には、何れのエリアで検出された距離をもとにしても、その差はごく僅か(所定値未満)となる。一方、被写体が立体的であれば、何れか(少なくとも2つ)のエリアにおいて検出された距離の差は所定値以上となる。
【0062】
なお、距離の差の判定に用いる所定値は、被写体を立体的な画像によって投影させるか否かを判定するためのもので、単純に書面資料のように厚みがないものと厚みあるものとを判定するだけのものではない。例えば、書籍などの厚みのある被写体であったとしても、撮影された画像を立体的に投影する必要がないものもあるので、どのような被写体を投影対象とするかによって決められるものとする。例えば、ここで使用する所定値は、予め固定的に決められていても良いし、ユーザが書画カメラ装置1(撮像投影システム)を使用する目的に合わせて任意に設定できるようにしても良い。
【0063】
なお、立体的な被写体が書画台1aに載置されているか否かを判別するだけであれば、複数の被写体立体判別用エリアについて順次距離を検出していき、他の被写体立体判別用エリアにより検出した距離(あるいは書画台1aまでの距離)とは異なる距離が検出された場合に、その時点で立体的な被写体が載置されているものと判別することもできる。この場合、全ての被写体立体判別用エリアに対する距離の検出をする必要がないので処理時間を短縮することができる。
【0064】
また、図6に示す例では、マトリクス状に配置された被写体立体判別用エリアを設定しているが、書画台1aに載置された被写体に対して、少なくとも1つの被写体立体判別用エリアが該当すれば良いので、より広い間隔をもって被写体立体判別用エリアを配置するようにしても良い。これにより、被写体立体判別用エリアの数を減らすことで、各エリアに対する距離の検出に有する処理時間を短縮することができる。
【0065】
ここで、被写体立体判別用エリアにおいて検出された距離に所定値以上の差がない場合(ステップA4、No)、すなわち書画台1aに載置された被写体が立体物ではないと判定された場合、制御部22は、通常モードに設定して画像の撮影を実行する(ステップA5,A6)。
【0066】
撮影により取得された画像データは、例えば内蔵メモリ28に記憶されると共に、USBインタフェース29を介してPC2に出力される(ステップA7)。
【0067】
PC2に出力された画像データは、PC2を介してデータプロジェクタ装置3に転送され、データプロジェクタ装置3によりスクリーンに投影される。
【0068】
一方、被写体立体判別用エリアにおいて検出された距離に所定値以上の差がある場合、すなわち書画台1aに載置された被写体が立体物であると判定された場合、制御部22は、撮影された画像に対して、投影された時に立体的に見えるように画像補正を施す三次元画像モードを設定する(ステップA8)。
【0069】
まず、三次元画像モードでは、被写体立体判別用エリアにおいて検出されたエリア別の距離をもとに、被写体の各部分の距離を検出するための被写体スキャンエリアを設定する。
【0070】
例えば、図6に示すように、被写体立体判別用エリアをマトリクス状に配列することにより、所定値以上(あるいは書画台1aまでとは異なる)距離が検出された被写体に該当するエリアと、その他のエリアとを区別することができる。制御部22は、各被写体立体判別用エリアにおいて検出された距離をもとにしてエリアを区分し、被写体が載置されている可能性のある部分を抽出して被写体スキャンエリアを設定する。
【0071】
図7には、被写体スキャンエリアを設定した例を示している。図6に示す被写体立体判別用エリアでは、撮影範囲の中央部に長い被写体(例えば、ペットボトル)が横向きに載置されている。この場合、複数の被写体立体判別用エリアのうち上部と下部に配置されたエリアにおいては、所定値以上の距離が測定されないため、この被写体立体判別用エリアを含む撮影範囲の上部と下部を被写体スキャンエリアに含まないように設定する。ここでは、後述する被写体スキャンエリアに対するスキャン処理を単純化するために、被写体スキャンエリアを矩形状に設定するものとする。
【0072】
被写体スキャンエリアが設定されると、制御部22は、この被写体スキャンエリア内において被写体を含む複数の部分での距離を検出する(ステップA10)。ここでの距離検出についても、前述と同様にして、コントラスト方式によるAF処理を利用して行うものとする。
【0073】
距離の検出は、各部分に対する画像処理(補正)に用いるため、被写体立体判別用エリアにおいて距離を検出した場合よりも細かい部分毎に行う。距離を検出する被写体に対する各部分は、細分化するほど精細な画像処理(補正)が可能となるが、その分、距離を検出する位置が増えるために処理時間を要する。従って、撮影された画像に対して被写体が立体化して見えるように画像処理をした際に違和感がない程度に細分化されていれば良い。これは、書画カメラ装置1やデータプロジェクタ装置3の解像度、画像処理の性能などに応じて決められるものとする。
【0074】
制御部22は、例えば図8に示すように、被写体スキャンエリアをスキャンして、各部分での距離を検出して、各部分の位置と対応付けてDRAM21に記憶していく(ステップA11)。
【0075】
こうして、被写体スキャンエリア内の全ての部分において位置の検出が終了すると(ステップA12、Yes)、制御部22は、撮影範囲に対する画像の撮影を実行し、画像データをDRAM21に記憶する(ステップA13)。以下、この撮影された画像に対して、各部分において検出した距離をもとにした被写体を立体化して見えるようにするための画像処理を実行する。
【0076】
まず、被写体スキャンエリアに対するスキャンにより記憶された複数部分での距離から最も近い距離(部分)を判別し(ステップA14)、この最も近い距離と他の各部分において検出された距離との相対値を算出する(ステップA15)。例えば、被写体上の部分で検出された最も遠い距離との間における相対値として算出する。
【0077】
なお、被写体スキャンエリアでは、被写体の背景部分(書画台1a)についても距離が検出されているが、この背景部分において検出される距離は最も遠く、ほぼ同じ距離の部分が連続して一様に検出されるため、これらの部分を背景部分として検出して予め除外しておくことができる。
【0078】
ここで、制御部22は、画像処理部30により、画像の各部分における明度を相対値に応じて低くなるように補正することで被写体が立体的に見えるようにし(ステップA16)、この補正された画像をDRAM21に記憶する(ステップA17)。
【0079】
例えば、被写体上のある部分Aと書画カメラ装置1(CCD13)までの距離をa、同じく被写体上の部分Bまでの距離をbとする。そして、撮影された画像の部分Aの1画素に相当する実際の面積を1とすると、部分Bの1画素に相当する面積はb/aとなる。ここで、1画素あたりの書画カメラ装置1に対する光の減衰量は距離の2乗に反比例するので、部分Aの値1/(a/a)に対し、部分Bの値は(b/a)/(b×b)=1/(a/b)となる。この減衰量の光量を掛け合わせ、色味の明度を遠い距離の部分ほど明るさを抑えるようにすることで、撮影対象とする被写体を立体的に表現することができる。
【0080】
制御部22は、DRAM21に記憶された画像処理が施された画像データをUSBインタフェース29を介してPC2に出力する(ステップA18)。PC2に出力された画像データは、PC2を介してデータプロジェクタ装置3に転送され、データプロジェクタ装置3によりスクリーンに投影される。
【0081】
以下、画像撮影が終了されるまで同様の処理を繰り返し実行する(ステップA19)。
【0082】
このようにして、本実施形態における撮像投影システムでは、書画カメラ装置1において、被写体の複数部分で距離を検出し、各部分までの距離に応じて画像に対して明度を変更する補正を施すことができる。これにより、被写体が立体的である場合に、その凹凸形状に応じた明度の調整により、撮影により得られた二次元画像を被写体が立体的に見える三次元的な画像に変換してPC2に出力することができる。
【0083】
なお、前述した説明では、被写体の各部分までの距離に応じて各部分の明度を調整する補正をするとしているが、その他の画像処理として被写体の輪郭(エッジ)を強調するように補正することもできる。
【0084】
この場合、被写体スキャンエリアにおけるスキャンにより検出された距離を参照し、隣接する部分の距離の差が大きい場合には、別の物体、または被写体と背景(書画台1a)のように判別することができる。
【0085】
図9には、例えば断面がほぼ円形となる被写体(例えばペットボトル)の例を示している。図9に示すように、断面が円形状の被写体では、断面の上端部が最も書画カメラ装置1との距離(距離a)が短くなり、また側端部近傍が被写体上で最も距離(距離b)が遠くなる。被写体の背景(書画台1a)に対しては距離cが検出され、側端部近傍において検出される距離bとの差(c−b)が、距離aと距離bが検出される部分との間の変化よりも大幅に大きくなる。
【0086】
こうした場合、図10に示すように、距離の差が大きくなる隣接する部分の距離の近い方、すなわち被写体の輪郭(エッジ)の部分を強調するような画像処理を施す。こうした、被写体の輪郭を強調する画像処理を施すことによって、投影された画像中で被写体を浮き上がらせるように表現することができる。
【0087】
また、前述した明度の補正では、最も近い距離との相対値、すなわち距離が遠い部分ほど明度を低くなるように補正しているが、この場合、被写体全体の明度が元の画像よりも低くなってしまう。
【0088】
そこで、被写体に対して検出された距離の最も近い部分と遠い部分との中間位置を基準として、明度を上げる(明るくする)範囲と下げる(暗くする)範囲とを分けることで明度を変更する幅を少なくし、画像全体の変化を少なくするようにしても良い。
【0089】
図11には、被写体の断面例を示している。図11に示すように、断面が台形状の被写体では、上端部が最も書画カメラ装置1との距離が短くなり、また側端部が被写体上で最も距離が遠くなる。制御部22は、最も近い距離と遠い距離との中間位置を算出して、画像処理部30により中間位置より距離が近い部分ほど明度を高くするようにし、距離が遠い部分ほど明度を低くするように画像を補正させる。
【0090】
これにより、補正による元画像からの変化が少なくても被写体を立体化して表現することができる。
【0091】
なお、前述した例では、最も距離が近い部分と遠い部分との中間位置で、明度を上げる範囲と下げる範囲とを分けているが、必ずしも中間位置でなくても良い。例えば、明度を上げる範囲と下げる範囲とで何れを強調するかなどに応じて、基準とする位置を中間位置とは異なる位置に設定しても良い。
【0092】
図12(a)には書画カメラ装置1により撮影された画像を画像処理を施さないで投影した例を示し、図12(b)は被写体(ペットボトル)を立体的に見えるように画像処理を施して投影した例を示している。
【0093】
図12(b)に示す画像中の被写体に対しては、書画カメラ装置1からの距離が近い部分ほど明度を上げ、遠いほど明度を下げる補正と共に、被写体の背景との境界(エッジ)の部分を強調する画像処理が施されている。これにより、図12(a)に示す画像と比較して、画像中で被写体が立体的に表現されていることが分かる。
【0094】
なお、図1に示す書画カメラ装置1は、撮像投影システムにおいて専用で使用される撮像装置として示しているが、カメラ本体部分を着脱可能とした構成とすることも可能である。この場合、単体のカメラ装置として使用することができ、撮影した画像に対して、前述したような撮影画像を立体的に見えるようにする画像補正を施して表示部26において表示する、あるいは内蔵メモリ28に記憶することができる。
【0095】
また、前述した説明では、書画カメラ装置1により被写体までの距離を検出するためにコントラストAF機能を利用するものとして説明しているが、書画カメラ装置1にアクティブ方式による測距部を設けて、この側距部により被写体をスキャンしながら各部分の距離を検出する構成とすることもできる。
【0096】
また、前述した実施形態では、書画カメラ装置1に置いて被写体との距離を検出し、その距離に応じて被写体を撮影した画像を立体的に見えるように補正しているが、撮像投影システムにおいて、PC2またはデータプロジェクタ装置3において画像処理(補正)を実行するように構成しても良い。
【0097】
この場合、書画カメラ装置1は、被写体スキャンエリアをスキャンすることにより検出した各部分での距離を示す距離データを、撮影した画像と共に画像中の位置と対応付けてPC2に出力する。PC2において画像処理を実行する場合、PC2は、USBインタフェース40から入力された画像及び距離データをメインメモリ33に一時記憶する。CPU31は、本処理のための画像処理プログラムを実行し、書画カメラ装置1から入力した画像に対して各部分の距離データをもとにして、前述した書画カメラ装置1と同様にして、被写体が立体化して見えるようにする画像処理を実行する。PC2は、この画像処理を施した画像の画像信号をデータプロジェクタ装置3に対して投影させる。
【0098】
また、データプロジェクタ装置3において画像処理を実行する場合には、PC2は、書画カメラ装置1から入力した画像と距離データをスルーしてデータプロジェクタ装置3に出力する。データプロジェクタ装置3は、PC2を介して入力した画像に対して、画像変換部53において各部分の距離データに応じた画像処理を実行し、前述と同様にして被写体が立体化して見えるようにして画像を投影する。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施形態における撮像投影システムの構成を示す図。
【図2】本実施形態における書画カメラ装置1の回路構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態におけるPC2の構成について説明するためのブロック図。
【図4】本実施形態におけるデータプロジェクタ装置3の回路構成について説明するためのブロック図。
【図5】本実施形態における書画カメラ装置1における処理動作について説明するためのフローチャート。
【図6】本実施形態における書画カメラ装置1の撮影範囲内において設定される被写体立体判別用エリアの一例を示す図。
【図7】本実施形態における被写体スキャンエリアを設定した例を示す図。
【図8】本実施形態における被写体スキャンエリアにおける距離検出のためのスキャンを説明するための図。
【図9】本実施形態における断面がほぼ円形となる被写体に対する距離検出の例を説明するための図。
【図10】本実施形態における輪郭(エッジ)の部分を強調する補正を説明するための図。
【図11】本実施形態における断面が台形となる被写体に対する距離検出の例を説明するための図。
【図12】書画カメラ装置1により撮影された画像を画像処理を施さないで投影した例と被写体(ペットボトル)を立体的に見えるように画像処理を施して投影した例とを示す図。
【符号の説明】
【0100】
1…書画カメラ装置、1a…書画台、2…パーソナルコンピュータ(PC)、3…データプロジェクタ装置、4…USBケーブル、5…RGBケーブル、6…CD−ROM、11…モータ(M)、12…レンズ光学系、13…CCD、14…タイミング発生器(TG)、15…垂直ドライバ、16…サンプルホールド回路(S/H)、17…A/D変換器、18…カラープロセス回路、19…DMAコントローラ、20…DRAMインタフェース、21…DRAM、22…制御部、23…USBインタフェース(I/F)、24…キー入力部、31…CPU、32…ノースブリッジ、33…メインメモリ、34…グラフィックコントローラ、35…グラフィックメモリ、36…サウスブリッジ、37…PCIバス、38…キーボード/マウス、39…ビデオエンコーダ、40…USBインタフェース(I/F)、41…マルチCDドライブ、42…ハードディスク装置(HDD)、51…入出力コネクタ部、52…入出力インタフェース(I/F)、53…画像変換部、54…投影エンコーダ、55…ビデオRAM、56…投影駆動部、57…マイクロミラー素子、58…リフレクタ、59…光源ランプ、60…カラーホイール、61…インテグレータ、62…ミラー、63…投影レンズ、64…モータ(M)、65…投影光処理部、66…制御部、67…音声処理部、68…スピーカ、69…キースイッチ部、70…Ir受信部、71…RAM。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に対して複数部分で距離を検出する被写体距離検出手段と、
前記被写体の画像を撮影する撮影手段と、
前記被写体距離検出手段によって検出された各部分の距離に応じて、前記撮影手段によって撮影された被写体の画像を補正する補正手段と、
前記補正手段によって補正された画像を出力する画像出力手段と
を具備したことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記被写体距離検出手段によって検出された距離が近い部分ほど明度を高くするように前記画像を補正することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記補正手段は、
前記被写体距離検出手段により検出された最も近い距離と遠い距離との中間位置を算出する中間位置算出手段を有し、
前記中間位置算出手段により算出された中間位置より、前記被写体距離検出手段によって検出された距離が近い部分ほど明度を高くするようにし、前記前記距離検出手段によって検出された距離が遠い部分ほど明度を低くするように前記画像を補正することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
撮影範囲内において複数位置で距離を検出する範囲内距離検出手段と、
前記範囲内距離検出手段により検出された複数位置での距離の差をもとに、前記撮影範囲内に存在する被写体が立体的であるか否かを判別する被写体判別手段とをさらに具備し、
前記補正手段は、前記被写体判別手段によって前記被写体が立体的であると判別された場合に、前記被写体の画像を補正することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記被写体判別手段によって前記被写体が立体的であると判別された場合に、前記範囲内距離検出手段によって検出された複数位置での距離をもとに前記撮影範囲内の前記被写体を含む範囲を判別する被写体範囲判別手段を具備し、
前記被写体距離検出手段は、前記被写体範囲判別手段により判別された範囲内で距離を検出することを特徴とする請求項4記載の撮像装置。
【請求項6】
前記被写体距離検出手段は、コントラスト方式によるオートフォーカス機能を利用して距離を検出することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項7】
被写体に対して複数部分で距離を検出する被写体距離検出行程と、
前記被写体の画像を撮影する撮影行程と、
前記被写体距離検出手段によって検出された各部分の距離に応じて、前記撮影手段によって撮影された被写体の画像を補正する補正行程と、
前記補正手段によって補正された画像を出力する画像出力行程と
を具備したことを特徴とする画像撮影方法。
【請求項8】
コンピュータを、
被写体に対して複数部分で距離を検出する被写体距離検出手段と、
前記被写体の画像を撮影する撮影手段と、
前記被写体距離検出手段によって検出された各部分の距離に応じて、前記撮影手段によって撮影された被写体の画像を補正する補正手段と、
前記補正手段によって補正された画像を出力する画像出力手段として機能させるための画像撮影プログラム。
【請求項9】
画像と共にこの画像中の複数部分での距離を示す距離データを入力する画像入力手段と、
前記入力手段により入力された画像に対して、同画像と共に入力された距離データに応じて画像中の各部分を補正する補正手段と、
前記補正手段によって補正された画像を出力する画像出力手段と
を具備したことを特徴とする画像出力装置。
【請求項1】
被写体に対して複数部分で距離を検出する被写体距離検出手段と、
前記被写体の画像を撮影する撮影手段と、
前記被写体距離検出手段によって検出された各部分の距離に応じて、前記撮影手段によって撮影された被写体の画像を補正する補正手段と、
前記補正手段によって補正された画像を出力する画像出力手段と
を具備したことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記被写体距離検出手段によって検出された距離が近い部分ほど明度を高くするように前記画像を補正することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記補正手段は、
前記被写体距離検出手段により検出された最も近い距離と遠い距離との中間位置を算出する中間位置算出手段を有し、
前記中間位置算出手段により算出された中間位置より、前記被写体距離検出手段によって検出された距離が近い部分ほど明度を高くするようにし、前記前記距離検出手段によって検出された距離が遠い部分ほど明度を低くするように前記画像を補正することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
撮影範囲内において複数位置で距離を検出する範囲内距離検出手段と、
前記範囲内距離検出手段により検出された複数位置での距離の差をもとに、前記撮影範囲内に存在する被写体が立体的であるか否かを判別する被写体判別手段とをさらに具備し、
前記補正手段は、前記被写体判別手段によって前記被写体が立体的であると判別された場合に、前記被写体の画像を補正することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記被写体判別手段によって前記被写体が立体的であると判別された場合に、前記範囲内距離検出手段によって検出された複数位置での距離をもとに前記撮影範囲内の前記被写体を含む範囲を判別する被写体範囲判別手段を具備し、
前記被写体距離検出手段は、前記被写体範囲判別手段により判別された範囲内で距離を検出することを特徴とする請求項4記載の撮像装置。
【請求項6】
前記被写体距離検出手段は、コントラスト方式によるオートフォーカス機能を利用して距離を検出することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項7】
被写体に対して複数部分で距離を検出する被写体距離検出行程と、
前記被写体の画像を撮影する撮影行程と、
前記被写体距離検出手段によって検出された各部分の距離に応じて、前記撮影手段によって撮影された被写体の画像を補正する補正行程と、
前記補正手段によって補正された画像を出力する画像出力行程と
を具備したことを特徴とする画像撮影方法。
【請求項8】
コンピュータを、
被写体に対して複数部分で距離を検出する被写体距離検出手段と、
前記被写体の画像を撮影する撮影手段と、
前記被写体距離検出手段によって検出された各部分の距離に応じて、前記撮影手段によって撮影された被写体の画像を補正する補正手段と、
前記補正手段によって補正された画像を出力する画像出力手段として機能させるための画像撮影プログラム。
【請求項9】
画像と共にこの画像中の複数部分での距離を示す距離データを入力する画像入力手段と、
前記入力手段により入力された画像に対して、同画像と共に入力された距離データに応じて画像中の各部分を補正する補正手段と、
前記補正手段によって補正された画像を出力する画像出力手段と
を具備したことを特徴とする画像出力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−270580(P2006−270580A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86449(P2005−86449)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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