説明

改良された露光後特性を有する193nmレジスト

遠位の酸不安定部分含有ペンダント基をもつモノマー単位を有する酸感応性ポリマーからなる像形成ポリマー成分を含有するレジスト組成物の使用により、193nm放射線、及び/又は場合によっては他の放射線を用いて像形成可能であり、改良された現像特性のレジスト構造を形成するために現像可能であり、かつ改良された耐エッチング性のレジスト構造が可能となる、酸触媒ポジ型レジスト組成物が得られた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物に関し、特に、193nm放射線で像形成可能なレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクス産業、並びに微視的構造(例えば、マイクロマシン、磁気抵抗ヘッドなど)の構築に関係する他の産業では、構造フィーチャ(feature)のサイズの減少が継続的に求められている。マイクロエレクトロニクス産業では、マイクロ電子デバイスのサイズを減少させること、及び/又は所与のチップサイズに対して、より多くの回路を設けることが求められている。
【0003】
より小さいデバイスを製造する能力は、より小さなフィーチャ及び間隔を確実に解像するリソグラフィ技術によって制限される。光学系の性質として、リソグラフィパターンを形成するのに用いられる光線(又は他の放射線)の波長によって、微細な解像度を得る能力が或る程度制限される。したがって、リソグラフィ工程においては、より短い光波長を用いる傾向が続いている。最近では、いわゆるIライン放射線(350nm)から248nm放射線へ移行する傾向がある。将来的なサイズ低減のためには、193nm放射線を用いる必要性があるように思われる。残念ながら、現在の248nmリソグラフィ工程の中核をなすフォトレジスト組成物は、一般的に、より短い波長での使用には適さない。
【0004】
レジスト組成物は、所望の放射波長での解像を可能にする望ましい光学特性を備えていなければならないのと同時に、該レジスト組成物は、パターン形成されたレジストから下にある基板層への像転写を可能にする適切な化学的及び機械的特性も備えていなければならない。したがって、所望のレジスト構造をもたらすため、パターン状に露光されたポジ型レジストは、適切な溶解反応性(すなわち、露光領域の選択的溶解)がなければならない。リソグラフィ業界の水性アルカリ現像液を用いた広範な経験を考慮すれば、こうした一般的に用いられる現像液中で適切な溶解挙動を達成することが重要である。
【0005】
(現像後の)パターン形成されたレジスト構造は、下にある層へのパターンの転写を可能にするのに十分なだけの耐久性がなければならない。一般的には、パターン転写は、或る形式の湿式化学エッチング又はイオンエッチングにより行われる。パターン形成されたレジスト層の、パターン転写エッチング工程に耐える能力(すなわち、レジスト層の耐エッチング性)は、レジスト組成物の重要な特性である。
【0006】
レジスト組成物の幾つかは、193nm放射線と共に用いられるように設計されているが、これらの組成物は、一般的に、上述の領域の1つ又はそれ以上での性能が欠乏しているため、短波長像形成(imaging)による解像度の真の利点を提供することができていない。例えば、改善された現像特性(例えば、解像度、現像速度、コントラスト、収縮など)、改善された耐エッチング性、及び改善されたリソグラフィ工程ウィンドウを示すレジスト組成物が求められている。特に、改善された露光線量寛容度(latitude)、露光後加熱の変動に対する感応性の減少、及びラインエッジの粗さの減少を呈するレジスト組成物が求められている。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,251,560号
【特許文献2】米国特許第5,843,624号
【特許文献3】米国特許第6,124,074号
【特許文献4】米国特許第6,177,228号
【特許文献5】米国特許第6,251,560号
【特許文献6】日本公開特許公報第JP2001356482A号
【特許文献7】米国特許第6,124,074号
【特許文献8】米国特許第5,468,819号
【特許文献9】米国特許第5,705,503号
【特許文献10】米国特許第5,843,624号
【特許文献11】米国特許第6,048,664号
【特許文献12】米国特許第4,855,017号
【特許文献13】米国特許第5,362,663号
【特許文献14】米国特許第5,429,710号
【特許文献15】米国特許第5,562,801号
【特許文献16】米国特許第5,618,751号
【特許文献17】米国特許第5,744,376号
【特許文献18】米国特許第5,801,094号
【特許文献19】米国特許第5,821,169号
【非特許文献1】ウェイン・モロー著、「Semiconductor Lithography,Principles,Practices,and Materials」、プレナム・プレス(1988年)、第12章及び第13章
【発明の開示】
【0008】
本発明は、(a)優れた露光線量寛容度、(b)露光後加熱の変動に対する感応性の減少、及び/又は(c)ラインエッジの粗さの減少を呈する高解像度のリソグラフィをなし得るレジスト組成物を提供する。本発明のレジストは、193nm像形成放射線を用いて(及び場合によっては、さらに他の像形成放射線を用いて)像形成可能であることが好ましい。本発明のレジスト組成物は、遠位の(remote)酸不安定ペンダント部分(moiety)を有する酸感応性ポリマーからなる像形成ポリマー成分の存在を特徴とする。
【0009】
本発明はさらに、本発明のレジスト組成物を用いてレジスト構造を形成するリソグラフィ方法、及び該レジスト構造を用いて下にある層にパターンを転写するリソグラフィ方法を提供する。本発明のリソグラフィ方法は、好ましくは、193nm紫外線放射線のパターン状の露光の使用を特徴とする。
【0010】
一態様において、本発明は、(a)像形成ポリマー成分と、(b)放射線感応性酸発生剤とを含むレジスト組成物であって、該像形成ポリマー成分が、その重合部分からのペンダント基をもつモノマー単位を有する酸感応性ポリマーからなり、該ペンダント基が、遠位の酸不安定部分を含有する、レジスト組成物を包含する。遠位の酸不安定ペンダント部分は、アクリルモノマー単位、環状オレフィンモノマー単位、又は酸感応性ポリマーの主鎖を形成するその他の所望のモノマー単位から延びることができる。発生した酸がないときは、遠位の酸不安定ペンダント部分が、水性アルカリ溶液中でのレジストの溶解を抑制することが好ましい。酸感応性ポリマーは、(i)ポリマー主鎖(すなわち、ポリマーを構成するモノマー単位の重合可能部分)中の環状オレフィンモノマー単位、及び/又は(ii)ポリマーを構成する少なくとも幾つかのモノマー単位から延びる脂環式部分を含むことが好ましい。発生した酸がないときは、酸感応性ポリマーは、水性アルカリ溶液中に実質的に不溶であり、それによりレジストがポジ型レジストとなることが好ましい。
【0011】
別の態様において、本発明は、基板上にパターン形成される材料構造を形成する方法を包含し、該方法は、
(A)材料層を基板に与え、
(B)レジスト組成物を該基板に塗布して、該基板上にレジスト層を形成し、該レジスト組成物が、(a)像形成ポリマー成分と、(b)放射線感応性酸発生剤と、を含み、該像形成ポリマー成分が、その重合部分からのペンダント基をもつモノマー単位を有する酸感応性ポリマーを含み、該ペンダント基が、遠位の酸不安定部分を含み、
(C)前記基板を放射線にパターン状に露光し、それにより前記放射線による前記レジスト層の露光領域内で前記酸発生剤により酸が発生し、
(D)前記基板を水性アルカリ現像液と接触させて、それにより前記レジスト層の前記露光領域が前記現像液によって選択的に溶解されて、パターン形成されたレジスト構造が現れ、
(E)前記レジスト構造パターン内のスペースを通して前記材料層にエッチングすることにより、レジスト構造パターンを前記材料層に転写する、
ことを含む。
上記方法のステップ(B)で用いられる放射線は、193nm紫外線放射線であることが好ましい。パターン形成される材料は、有機誘電体、半導体、セラミック及び金属からなる群から選択されることが好ましい。
【0012】
本発明のこれらの及び他の態様を以下でさらに詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、(a)優れた露光線量寛容度、(b)露光後加熱の変動に対する感応性の減少、及び/又は(c)ラインエッジの粗さの減少を呈する高解像度のリソグラフィをなし得るレジスト組成物を提供する。本発明のレジストは、193nm像形成放射線を用いて(及び場合によっては、さらに他の像形成放射線を用いて)像形成可能であることが好ましい。本発明のレジスト組成物は、遠位の酸不安定ペンダント部分を有する酸感応性ポリマーからなる像形成ポリマー成分の存在を特徴とする。
【0014】
本発明はさらに、本発明のレジスト組成物を用いてレジスト構造を形成するリソグラフィ方法、及び該レジスト構造を用いて下にある層にパターンを転写するリソグラフィ方法を提供する。本発明のリソグラフィ方法は、好ましくは、193nm紫外線放射線のパターン状の露光の使用を特徴とする。
【0015】
本発明のレジスト組成物は、一般的に、(a)像形成ポリマー成分と、(b)放射線感応性酸発生剤とを含み、該像形成ポリマー成分は、遠位の酸不安定ペンダント基をもつモノマー単位を有する酸感応性ポリマーからなる。好ましい遠位の酸不安定基を含むモノマー単位は、次式の構造によって表すことができる。
【化1】

【0016】
式中、
(i)Xは、アルキレン又はアルキレンエーテルであり、
(ii)Mは、環状オレフィン部分とエチレン主鎖部分とからなる群から別個に選択される重合主鎖部分であり、
(iii)qは、0又は1に等しく、
(iv)Qは、遠位の酸不安定部分含有基である。
【0017】
酸感応性ポリマーは、重合の容易さに基づいて主鎖単位Mの選択に影響を及ぼす可能性がある、後述する他のモノマー単位を含むことができる。Mの選択に関する別の考慮事項は、酸感応性ポリマーが、(i)ポリマー主鎖(すなわち、ポリマーを構成するモノマー単位の重合可能部分)中に環状オレフィンモノマー単位を含み、及び/又は(ii)該ポリマーを構成するモノマー単位から延びる(pendant)脂環式部分を含むことが好ましいことに関する。したがって、ポリマー中に、環状オレフィン重合部分を含む他のモノマー単位がなく、且つ、末端基Qが脂環式部分を含んでいない場合には、Mは、環状オレフィンとなることが好ましい。他の点では、酸感応性ポリマーは、一般的に、該酸感応性ポリマー中の他のモノマー、及びレジストとしての組成物の意図された最終用途と適合性がある適切な任意の重合可能部分から選択されるMを受け容れる。
【0018】
幾つかの考えられるM部分の構造(II)の例が、以下に示されている。
【化2】

【0019】
式中、位置1は、X又はカルボキシル部分への結合を表し、Rは、H、CN、CH、又はCFから選択されることが好ましい。これらの構造は、制限する意味ではない例として意図されることを理解されたい。モノマー単位及び結果として得られるポリマーの性能に悪影響を与えない限り、M主鎖部分の1つ又はそれ以上の水素を、例えば、C−Cの直鎖又は分岐アルキルで置換できる。
【0020】
Xは、C−Cアルキレン、又は、R及びR´が直鎖又は分岐C−Cアルキレンからそれぞれ別個に選択される非環式R−O−R´エーテルであることが好ましい。Xがエステル基の一部である場合(すなわち、qが1に等しい場合)には、Xは、好ましくはC−Cアルキレンであり、より好ましくはCアルキレンである。qがゼロである場合には、Xは、好ましくはC−Cアルキレンであり、より好ましくは直鎖又は分岐C−Cアルキレンであり、最も好ましくはC−C直鎖アルキレンである。
【0021】
Qは、遠位の酸不安定部分を含有する。本発明は、どんな特定の種類の酸不安定部分にも限定されるものではない。遠位の酸不安定部分は、第三級アルキル(又はシクロアルキル)エステル(例えば、t−ブチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、メチルアダマンチル等)、ケタール、及びアセタールからなる群から選択されることが好ましい。嵩高い脂環式部分の存在が望まれる場合には、Qが、飽和脂環式構造(例えば、アダマンチル)などの1つ又はそれ以上の嵩高成分を含有することが好ましい。Qは、不飽和炭素−炭素結合がないことが好ましい。
【0022】
酸感応性ポリマーは、上記の遠位の酸不安定基を含有するモノマー単位のホモポリマーとすることもできるし、或いは他の付加的なモノマー単位を含有することもできる。例えば、酸感応性ポリマーは、1つ又はそれ以上の次のもの、すなわち、(a)水性アルカリ溶液中でのレジストの溶解性を抑制する、遠位の酸不安定部分以外の酸不安定部分を含有する環状オレフィン又はアクリルモノマー単位、(b)水性アルカリ溶液中での溶解性を促進する極性部分を有する環状オレフィン又はアクリルモノマー単位、(c)特許文献1に記載されたようなペンダントラクトン部分を有する環状オレフィンモノマー単位、(d)(a)から(c)に入らない他の環状オレフィン又はアクリルモノマー単位、例えば、ペンダント部分をもたないモノマー単位、非極性且つ非酸不安定のペンダント部分をもつモノマー単位など、(e)マレイミド、無水物(例えば、無水マレイン酸)、フマル酸、及びアクリロニトリルなどの、遠位の酸不安定基を含有するモノマーとフリーラジカル共重合できる非(環状オレフィン)、非アクリルモノマー単位、及び/又は(f)前述の遠位の酸不安定部分含有モノマー単位と付加重合できる非(環状オレフィン)、非アクリルモノマー単位を含有することができる。
【0023】
上述のように、像形成ポリマー成分が、環状オレフィン主鎖単位を含み、及び/又は少なくとも幾つかのペンダント基中に脂環式部分を含むように、遠位の酸不安定基を含有するモノマーのMが選択され、酸感応性ポリマー中に含有されるその他のあらゆるモノマーが選択されることが好ましい。
【0024】
モノマー単位(a)において、好ましい酸不安定保護部分は、第三級アルキル(又はシクロアルキル)エステル(例えば、t−ブチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、メチルアダマンチル)、エステルケタール、及びエステルアセタールからなる群から選択される。第三級ブチルエステル及びメチルシクロヘキシルエステルが、最も好ましい酸不安定保護部分である。必要に応じて、異なる保護官能基を有するモノマー単位(a)の組み合わせを用いることができる。モノマー単位(a)は、メチルシクロペンチルアクリレートであることが最も好ましい。
【0025】
モノマー単位(b)において、酸性極性部分は、約13以下のpKを有することが好ましい。好ましい酸性極性部分は、カルボキシル基、スルホンアミジル基、フルオロアルコール基、及び他の酸性極性基からなる群から選択された極性基を含有する。好ましい酸性極性部分は、カルボキシル基である。必要に応じて、異なる酸性極性官能基を有するモノマー単位(b)の組み合わせを用いることができる。
【0026】
一般に、集積回路構造及び他の微視的構造の製造で用いられるリソグラフィ用途において、本発明の酸感応性ポリマーは、遠位の酸不安定基を含有するモノマー単位を、好ましくは少なくとも約10モル%、より好ましくは約10モル%から50モル%、最も好ましくは約20モル%から40モル%含む。他の点では、酸感応性ポリマーの他の成分の量は、193nm像形成放射線と併せて用いられるレジスト組成物用のポリマー中に見られる量であることが好ましい(すなわち、例えば、全部で20モル%から60モル%のオーダの酸不安定部分含有モノマー単位を得るために、それらのポリマー中に、少なくとも幾らかの酸不安定部分含有モノマー単位の代りに、遠位の酸不安定基含有モノマー単位を用いることができる)。したがって、例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、及び(2001年12月26日に公開された)特許文献6に記載されたポリマー中の、指定されたモノマー単位を含有する酸不安定部分の少なくとも一部を、遠位の酸不安定基を含有するモノマー単位に置き換えることができる。本発明は、どんな特定の酸感応性ポリマー又は特定のレジスト組成物中における遠位の酸不安定基を含有するモノマー単位の使用にも制限されないことを理解されたい。
【0027】
本発明の酸感応性ポリマーの幾つかの例は以下の(A)から(D)によって示される。
【化3】

【0028】
式中、w、x及びyは、好ましくは約20であり、且つ、zは約40である。
【化4】

【0029】
式中、w、x及びyは、それぞれ約40、20及び40であることが好ましい。
【化5】

【0030】
式中、w、x及びyは、それぞれ約20、20及び60であることが好ましい。
【化6】

【0031】
式中、w及びxは、それぞれ約40及び60であることが好ましい。
【0032】
本発明はさらに、遠位の酸不安定部分を含有する本発明の酸感応性ポリマーが、下記の実施例4に示されるような別の酸感応性ポリマーとブレンドされる像形成ポリマー成分を含む。このような例では、本発明の酸感応性ポリマーが、全像形成ポリマー成分の好ましくは少なくとも10wt.%、より好ましくは15wt.%から85wt.%を構成する。本発明はさらに、遠位の酸不安定部分を含有する酸感応性ポリマーが全像形成ポリマー成分を構成する場合の組成物を含む。
【0033】
像形成ポリマー成分に加えて、本発明のレジスト組成物は、放射線感応性(感光性)酸発生剤を含有する。本発明は、何らかの特定の酸発生剤又は酸発生剤の組み合わせの使用に限定されるものではなく、すなわち、本発明の利点は、当該技術分野において知られている種々の酸発生剤を用いて達成できる。好ましい酸発生剤は、少量(又は好ましくはゼロ)のアリール部分を有するものである。アリールを有する酸発生剤を用いる場合には、193nmでの酸発生剤の吸収特性によって、組成物中に含め得る酸発生剤の量が制限される可能性がある。
【0034】
好適な酸発生剤の例には、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート、トリフレート、ペルフルオロアルカンスルホネート(例えば、ペルフルオロメタンスルホネート、ペルフルオロブタン、ペルフルオロヘキサンスルホネート、ペルフルオロオクタンスルホネートなど)、ピロガロール(例えば、ピロガロールのトリメシレート又はピロガロールのトリス(スルホネート))などの置換アリールスルホネート、ヒドロキシイミドのスルホン酸エステル、N−スルホニルオキシナフタルイミド(N−カンファスルホニルオキシナフタルイミド、N−ペンタフルオロベンゼンスルホニルオキシナフタルイミド)、a−a´ビス−スルホニルジアゾメタン、ナフトキノン−4−ジアジド、アルキルジスルホン、及びその他のオニウム塩が含まれる(但し、1つ又はそれ以上の任意の示されたアリール部分がアルキルで置換された状態であることが好ましい)。
【0035】
所望の基板に塗布する前の本発明のレジスト組成物は、典型的には、溶媒を含有することになる。溶媒は、酸触媒レジストと併せて従来の方法で用いられ、他の点ではレジスト組成物の性能に対してあまり過度に悪影響を及ぼさない任意の溶媒とすることができる。好ましい溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)及びシクロヘキサノンである。
【0036】
本発明の組成物はさらに、当該技術分野において知られている、例えば、染料/増感剤、塩基添加剤、嵩高い疎水性添加剤などの少量の補助成分を含有することができる。好ましい塩基添加剤は、微量の酸を捕集するが、レジストの性能に対して過度に悪影響を及ぼさない弱塩基である。好ましい塩基添加剤は、(脂肪族又は脂環式)第三級アルキルアミン、芳香族アミン、又はt−ブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)などのt−アルキルアンモニウムヒドロキシドである。好ましい嵩高い疎水性添加剤は、特許文献7に開示されたものなどのビスアクリレート添加剤である。
【0037】
本発明のレジスト組成物は、該組成物中の像形成ポリマーの総重量に基づいた約0.5wt.%から20wt.%(より好ましくは約3wt.%から15wt.%)の酸発生剤を含有することが好ましい。溶媒が存在する場合、組成物全体には、約50wt.%から90wt.%の溶媒が含有されていることが好ましい。組成物には、像形成ポリマーの総重量に基づいた約1wt.%又はそれ以下の前述の塩基添加剤が含有されていることが好ましい。
【0038】
本発明で用いられる遠位の酸不安定基を含有するモノマー及び他のモノマーは、公知の技術によって合成できる。例えば、Mがエチレン部分である場合には、以下の遠位の酸不安定基を含有するモノマー構造(III)は、商業的な供給源から入手できる。
【化7】

【0039】
遠位の酸不安定基を含有するポリマーがエチレン主鎖を有する場合の、フリーラジカル重合を用いた重合工程の一例を下記の実施例1及び実施例2に示す。
【0040】
本発明は、本発明で用いられる像形成ポリマーを合成する何らかの特定の方法に限定されるものではない。像形成ポリマーは、付加重合又はフリーラジカル重合により形成されることが好ましい。環状オレフィンポリマー及び他のポリマーに適した他の技術の例が、特許文献8、特許文献9、特許文献10、及び特許文献11に開示されている。本発明の像形成ポリマーは、好ましくは約5000から100000、より好ましくは約10000から50000の重量平均分子量を有する。本発明を、遠位の酸不安定基を含有するモノマーに関して説明してきたが、本発明は、重合後にポリマー上に遠位の酸不安定基が形成される場合の像形成ポリマーをも包含することを理解されたい。
【0041】
本発明のレジスト組成物は、従来の方法を用いて像形成ポリマー、酸発生剤及びその他のあらゆる所望の成分を混合することによって調製できる。リソグラフィ工程で用いられるレジスト組成物は、一般的に、かなりの量の溶媒を有する。
【0042】
本発明のレジスト組成物は、半導体基板上に集積回路を製造する際に用いられるリソグラフィ工程に特に有用である。この組成物は、193nm紫外線放射線を用いたリソグラフィ工程に特に有用である。他の放射線(例えば、中間紫外線(mid−UV)、248nm深紫外線、X線又はeビーム)の使用が望まれる場合には、本発明の組成物は、適切な染料又は増感剤を該組成物に添加することによって(必要に応じて)調整できる。半導体のためのリソグラフィにおける本発明のレジスト組成物の一般的な使用について以下で説明する。
【0043】
半導体リソグラフィの用途は、一般的に、半導体基板上の材料層へのパターンの転写を含む。半導体基板の材料層は、製造工程の段階及び最終生成物に合わせて設定される所望の材料に応じて有機誘電体、金属、セラミック、半導体、又は他の材料からなる群から選択されることが好ましい。多くの例では、レジスト層を塗布する前に、反射防止コーティング(ARC)を材料層の上に塗布する。ARC層は、酸触媒レジストと適合性がある従来の任意のARCとすることができる。
【0044】
典型的には、溶媒を含有するレジスト組成物を、スピンコーティング又は他の技術を用いて所望の半導体基板に塗布する。次に、溶媒を除去し、レジスト層のコヒーレンスを改善するために、レジストコーティングを有する基板を加熱する(露光前加熱する)ことが好ましい。塗布層の厚さは、該厚さが好ましくは実質的に均一であり、レジスト層がリソグラフィパターンを下にある基板材料層に転写する後処理(典型的には、反応性イオンエッチング)に十分に耐えるという条件付きで、できるだけ薄いことが好ましい。露光前加熱段階は、好ましくは約10秒から15分、より好ましくは約15秒から1分間行われる。露光前加熱の温度は、レジストのガラス転移温度に応じて変化し得る。露光前加熱の温度は、Tより少なくとも20℃低い温度で実施されることが好ましい。
【0045】
次に、溶媒を除去した後に、レジスト層を所望の放射線(例えば、193nm紫外線放射線)にパターン状に露光する。電子ビームなどの走査粒子ビームを用いる場合には、パターン状の露光は、基板にわたってビームを走査し、該ビームを所望のパターンに選択的に適用することによって達成できる。より典型的には、波状放射線が193nm紫外線放射線などとなる場合には、パターン状の露光を、レジスト層の上に配置されたマスクを通して行う。193nm紫外線放射線の場合には、総露光エネルギーが、好ましくは約100ミリジュール/cm又はそれ以下、より好ましくは約50ミリジュール/cm又はそれ以下(例えば、15ミリジュール/cmから30ミリジュール/cm)である。
【0046】
典型的には、所望のパターン状の露光後に、レジスト層を加熱して、さらに酸触媒反応を完了させ、露光したパターンのコントラストを増強させる。露光後加熱は、好ましくは約100℃から175℃、より好ましくは約125℃から160℃で行われる。露光後加熱は、約30秒から5分間行われることが好ましい。
【0047】
露光後加熱の後に、レジスト層を、放射線に露光したレジスト領域を選択的に溶解するアルカリ溶液と接触させることにより、所望のパターンを有するレジスト構造を得る(現像する)。好ましいアルカリ溶液(現像液)は、水酸化テトラメチルアンモニウムの水性溶液である。好ましくは、本発明のレジスト組成物は、従来の0.26N水性アルカリ溶液で現像できる。本発明のレジスト組成物はさらに、0.14N若しくは0.21N又は他の水性アルカリ溶液を用いて現像できる。次に、典型的には、基板上の結果として生じたレジスト構造体を乾燥させて、残留現像溶媒を除去する。本発明のレジスト組成物は、一般的に、生成物のレジスト構造体が高い耐エッチング性を有することを特徴とする。幾つかの例では、当該技術分野において周知の方法を用いた事後シリル化技術を用いることにより、レジスト構造体の耐エッチング性をさらに高めることが可能となり得る。本発明の組成物は、リソグラフィ・フィーチャの再現を可能にする。
【0048】
次いで、レジスト構造体からなるパターンを、下にある基板の材料(例えば、セラミック、金属又は半導体)に転写する。典型的には、転写は、反応性イオンエッチング又は幾つかの他のエッチング技術によって達成される。反応性イオンエッチングとの関係では、レジスト層の耐エッチング性が、特に重要である。したがって、本発明の組成物及び結果として生じたレジスト構造体を用いて、集積回路デバイスの設計で用いることができる金属配線、コンタクト又はバイアス用ホール、絶縁領域(例えば、ダマシーン・トレンチ又は浅いトレンチ分離)、キャパシタ構造用トレンチなどのパターン形成された材料層構造を形成することができる。
【0049】
これらの(セラミック、金属又は半導体)フィーチャを形成する工程は、一般的に、パターン形成される基板の材料層又は領域(section)を用意し、レジスト層を該材料層又は領域の上に塗布し、該レジストを放射線でパターン状に露光し、露光したレジストを溶媒と接触させることによりパターンを現像し、該レジスト層の下にある層を該パターン内のスペースのところでエッチングし、それによりパターン形成された材料層又は基板領域を形成し、残留レジストを該基板から除去することを含む。幾つかの例では、さらに下にある材料層又は領域へのパターンの転写を容易にするために、ハードマスクをレジスト層の下に用いることができる。このような工程の例は、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18及び特許文献19に開示されている。パターン転写工程の他の例は、非特許文献1に記載されている。本発明が何らかの特定のリソグラフィ技術又はデバイス構造に限定されるものではないことを理解されたい。
【0050】
合成実施例1
t−ブチル−2−メタクリロイルオキシアセテート(C1−tBE)モノマーの合成
メタクリル酸(8.06g、0.10モル)、t−ブチルブロモアセテート(19.50g、0.10モル)、及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(undoc−7−ene)、すなわち「DBU」(15.20g、0.10モル)及びトルエン150mlを、凝縮器、窒素入口、温度計及びマグネチック・スターラー・バーを装備した500mlの3首フラスコ内で混合した。この反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応は、一面のN流の下、90℃で一晩続けられた。この混合物を室温まで冷却し、塩(salt)を濾過によって除去した。MgSOで一晩乾燥させる前に、このトルエン溶液を、それぞれ飽和NaCl溶液75mlで洗浄し、脱イオン水(DI水)75mlで2回洗浄した。この固形物を濾過して除去し、トルエンを回転蒸発器で除去した。油性残留物を最終的に透明な液体になるまで減圧蒸留した。
【0051】
合成実施例2
C1−tBE:NLMコポリマーの合成
t−ブチル−2−メタクリロイルオキシアセテート、すなわち「C1−tBE」(7.5グラム、0.037モル)、ノルボルネンラクトンメタクリレート、すなわち「NLM」(12.48グラム、0.056モル)、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル開始剤(0.90グラム、6.00%の総モル)、テトラヒドロフラン95ml、及び酢酸エチル50mlを、凝縮器、温度計、窒素入口及びマグネチック・スターラー・バーを装備した250mlの3首丸底フラスコ内で混合した。加熱マントルをオンにする前に、この反応溶液を室温で撹拌し、N流を用いて1時間撹拌した。重合は、一面のN流を用いて70℃で14時間行われた。この溶液を冷却し、撹拌状態のメタノール1200mlに一滴ずつ添加した。濾過する前に、混合物を一晩撹拌した。65℃の真空オーブンで最終乾燥させる前に、フィルタ上に集められたコポリマーを数時間空気乾燥させた。収率は、89%であった。C13NMRにより、ポリマー組成は37:63(C1−tBE:NLM)であることが確認された。GPCは、17000のMwを示した。TGAによるwt.損失%は、10.25%であった。
【0052】
合成実施例3
C1−tBE:NLM:MAdMAターポリマーの合成
t−ブチル−2−メタクリロイルオキシアセテート、すなわち「C1−tBE」(1.38グラム、0.0074モル)、メチルアダマンチルメタクリレート、すなわち「MAdMA」(1.76グラム、0.0074モル)、ノルボルネンラクトンメタクリレート、すなわち「NLM」(5.88グラム、0.0224モル)、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル開始剤(0.40グラム、6.75%の総モル)、テトラヒドロフラン40ml、及び酢酸エチル20mlを、凝縮器、温度計、窒素入口及びマグネチック・スターラー・バーを装備した250mlの3首丸底フラスコ内で混合した。加熱マントルをオンにする前に、この混合物を室温で撹拌し、N流を用いて45分間撹拌した。反応は、一面のN流を用いて70℃で14時間行われた。次に、この反応溶液を室温まで冷却し、撹拌状態のメタノール500mlに一滴ずつ添加した。濾過する前に、結果として生じたスラリーを一晩撹拌した。固形物をフィルタから集め、5時間空気乾燥した。65℃の真空オーブンで一晩最終乾燥を行った。収率は、86%であった。このポリマーは、C13NMRを用いて、18:19:63(C1−tBE:MAdMA:NLM)であるとみなされ、10500のGPC分子量を有していた。
【0053】
合成実施例4
C1−tBE:NLM:NB−HFAMAターポリマーの合成
t−ブチル−2−メタクリロイルオキシアセテート、すなわち「C1−tBE」(5.58グラム、0.030モル)、ノルボルネンヘキサフルオロアルコールメタクリレート、すなわち「NB−HFAMA」(5.22グラム、0.015モル)、ノルボルネンラクトンメタクリレート、すなわち「NLM」(6.66グラム、0.030モル)、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル開始剤(0.86グラム、0.005モル)、テトラヒドロフラン84ml、及び酢酸エチル46mlを、凝縮器、温度計、窒素入口及びマグネチック・スターラー・バーを装備した250mlの3首丸底フラスコ内で混合した。加熱マントルをオンにする前に、この反応混合物を撹拌し、室温でN流を用いて1時間撹拌した。重合は、一面のN流の下、70℃で14時間行われた。この反応溶液を室温まで冷却し、撹拌状態のヘキサン1リットルに一滴ずつ添加した。濾過する前に、結果として生じたスラリーを一晩撹拌した。65℃の真空オーブンで24時間最終乾燥させる前に、このポリマーをフィルタ上で数時間空気乾燥させた。収率は、94%であった。このターポリマーは、C13NMRを用いて、41:40:19(C1−tBE:NLM:NB−HFAMA)であるとみなされた。
【0054】
レジスト実施例1
20モル%のc1−TBE−MA、20モル%のメチルアダマンチルメタクリレート、及び60モル%のNLMからなるターポリマーを、5wt.%(ターポリマーのwt.に基づく)のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウムペルフルオロオクタンスルホネート及び0.11wt.%(ターポリマーのwt.に基づく)の1−t−ブチルオキシカルボニル2−フェニルベンズイミダゾルを有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中に溶解して、固形分11wt.%の溶液を形成した。結果として生じた溶液を、0.2μmのフィルタを通して濾過した。次に、この結果として生じた溶液を、82nmの厚底の反射防止コーティング(ARC、すなわちShipley Companyからの「AR19」)で予めコーティングされた8インチのシリコンウェハー上にスピンコーティングした。次に、レジストがコーティングされたウェハーを、130℃で60秒加熱し、次いでASMLステッパ(0.75NA)上のArF(193nm波長)像形成放射線に露光した。次に、この露光されたレジストを130℃で90秒加熱した。この像を、シングル・スプレー・パドルの現像工程を用いて、0.263NのTMAH現像液(Moses LakeのAD−10)で60秒現像した。これらの工程条件下では、245nmピッチの80nmラインが解像された。
【0055】
レジスト実施例2
40モル%のc1−TBE−MA、15モル%のNBHFA−MA、及び60モル%のNLMからなるターポリマーを、8wt.%のBNBSペルフルオロオクタンスルホネート及び0.26wt.%の2,6−ジイソプロピルアニリンと共にPGMEA中に溶解して、固形分11wt.%の溶液を形成した。結果として生じた溶液を、0.2μmのフィルタを通して濾過した。次に、この結果として生じたレジスト組成物を、82nmの厚底のARC(Shipley Companyからの「AR19」)で予めコーティングされた8インチのシリコンウェハー上にスピンコーティングした。次に、レジストがコーティングされたウェハーを、130℃で60秒加熱し、次いでASMLステッパ(0.75NA)上のArF(193nm波長)像形成放射線に露光した。次に、この露光されたレジストを130℃で90秒加熱した。この像を、シングル・スプレー・パドルの現像工程を用いて、0.263NのTMAH現像液(Moses LakeのAD−10)で60秒現像した。これらの工程条件下では、1:1ピッチの90nmのネストされたラインが解像された。
【0056】
レジスト実施例3
40モル%のc1−TBE−MA及び60モル%のNLMからなるコポリマーを、5wt.%の4−n−ブトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムペルフルオロオクタンスルホネート及び0.2wt.%の1−t−ブチルオキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾルを有するPGMEA中に溶解して、固形分13wt.%の溶液を形成した。結果として生じた溶液を、0.2μmのフィルタを通して濾過した。次に、この結果として生じたレジスト組成物を、82nmの厚さの底部のARC(Shipley Companyからの「AR19」)で予めコーティングされた8インチのシリコンウェハー上にスピンコーティングした。次に、レジストがコーティングされたウェハーを、130℃で60秒加熱し、次いでASMLステッパ(0.75NA)上でArF(193nm波長)像形成放射線に露光した。次に、この露光されたレジストを130℃で90秒加熱した。この像を、シングル・スプレー・パドルの現像工程を用いて、0.263NのTMAH現像液(Moses LakeのAD−10)で60秒現像した。これらの工程条件下では、420nmピッチの100nmラインが解像された。
【0057】
レジスト実施例4
40モル%のメチルアダマンチルメタクリレートと60モル%のNLMとの85wt.%のコポリマーとブレンドされた、40モル%のc1−TBE−MAと60モル%のNLMとの15wt.%のコポリマーを、95%のPGMEAと5%のγ−ブチロラクトンとの混合溶媒中に溶解させ、次いで8wt.%の4−n−ブトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムペルフルオロオクタンスルホネート、0.26wt.%の2,6−ジイソプロピルアニリン及び5wt.%のカルボ−t−ブトキシメチルデオキシコレートとブレンドして、固形分11wt.%の溶液を形成した。結果として生じた溶液を、0.2μmのフィルタを通して濾過した。次に、この結果として生じた溶液を、82nmの厚さの底部のARC(Shipley Companyからの「AR19」)で予めコーティングされた8インチのシリコンウェハー上にスピンコーティングした。次に、レジストがコーティングされたウェハーを、130℃で60秒加熱し、次いでASMLステッパ(0.75NA)上のArF(193nm波長)像形成放射線に露光した。次に、この露光されたレジストを130℃で90秒加熱した。この像を、シングル・スプレー・パドルの現像工程を用いて、0.263NのTMAH現像液(Moses LakeのAD−10)で60秒現像した。これらの工程条件下では、245nmピッチの80nmラインが解像された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)像形成ポリマー成分と、(b)放射線感応性酸発生剤とを含むレジスト組成物であって、前記像形成ポリマー成分が、その重合部分から延びるペンダント基をもつモノマー単位を有する酸感応性ポリマーを含み、前記重合部分が、前記酸感応性ポリマーの主鎖の一部を形成し、前記ペンダント基が、非酸不安定スペーサ部分によって前記重合部分から隔離された遠位の酸不安定部分を含有する、レジスト組成物。
【請求項2】
前記重合部分が、環状オレフィン及びエチレン主鎖部分からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記スペーサ部分が、炭素及び酸素からなる群から選択された少なくとも4つの原子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記スペーサ部分が、少なくとも3つの炭素原子を含むアルキレンである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記スペーサ部分がアルキレンエステルである、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記アルキレンエステルが、1から3つまでの炭素原子を有するアルキレン部分を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記酸不安定部分が、第3級アルキルエステル、シクロアルキルエステル、ケタール、アセタール及びこれらの組み合わせからなる群から別個に選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記酸不安定部分が、t−ブチルエステル、メチルシクロヘキシルエステル、メチルアダマンチルエステル、及びこれらの組み合わせからなる群から別個に選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記酸感応性ポリマーがさらに、
a)遠位の酸不安定部分以外の酸不安定部分を含み、水性アルカリ溶液中でレジストの溶解性を抑制する環状オレフィン又はアクリルモノマー単位と、
b)水性アルカリ溶液中の前記レジストの溶解性を増進させる極性部分を含む環状オレフィン又はアクリルモノマー単位と、
c)ペンダントラクトン部分を含む環状オレフィンモノマー単位と、
d)非極性及び非酸不安定なペンダント部分をもつ又はもたない環状オレフィン又はアクリルモノマー単位と、
e)前記遠位の酸不安定部分含有モノマー単位とフリーラジカル共重合することができる非(環状オレフィン)、非環状モノマー単位と、
f)前記遠位の酸不安定部分含有モノマー単位と付加重合することができる非(環状オレフィン)、非アクリルモノマー単位と、
からなる群から選択された少なくとも1つのモノマー単位を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
遠位の酸不安定部分以外の、酸不安定部分を含み、水性アルカリ溶液中でレジストの溶解性を抑制する環状オレフィンモノマー単位を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記酸感応性ポリマーが、(b)水性アルカリ溶液中の前記レジストの溶解性を増進させる極性部分を含む環状オレフィンモノマー単位を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記酸感応性ポリマーが、(c)ペンダントラクトン部分を含む環状オレフィンモノマー単位を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記酸感応性ポリマーが、(e)前記遠位の酸不安定部分含有モノマー単位とフリーラジカル共重合することができる非環状オレフィンモノマー単位を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記酸感応性ポリマーが、(f)前記遠位の酸不安定部分含有モノマー単位と付加重合することができる非環状オレフィンモノマー単位を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
前記酸感応性ポリマーが、少なくとも約10モル%の、遠位の酸不安定部分をもつモノマー単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記像形成ポリマー成分がさらに、遠位の酸不安定部分をもたない付加的な酸感応性ポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記像形成ポリマー成分が、少なくとも10重量%の、遠位の酸不安定部分をもつ前記酸感応性ポリマーを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記レジスト組成物が、前記像形成ポリマーの重量に基づき、少なくとも約0.5重量%の、前記放射線感応性酸発生剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記遠位の酸不安定部分含有モノマー単位が、
【化1】

の構造を有し、
式中、(i)Xはアルキレン又はアルキレンエーテルであり、
(ii)Mは、環状オレフィン及びエチレン主鎖部分からなる群から別個に選択された重合主鎖部分であり、
(iii)qは0か又は1に等しく、
(iv)Qは、遠位の酸不安定部分含有基である、
請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
半導体、セラミック、及び金属からなる群から選択された材料のパターン形成された構造を基板上に形成する方法であって、
(A)基板に前記材料層を設け、
(B)(a)像形成ポリマー成分と、(b)放射線感応性酸発生剤と、を含み、前記像形成ポリマー成分が、その重合部分から延びるペンダント基を有するモノマー単位を含む酸感応性ポリマーからなり、前記ペンダント基が遠位の酸不安定部分を含むレジスト組成物を前記基板に適用して前記基板上にレジスト層を形成し、
(C)前記基板に放射線をパターン状に露光して、前記放射線によって前記レジスト層の露出領域において前記酸発生剤により酸が発生するようにし、
(D)前記基板に水性アルカリ現像溶液を接触させて、前記レジスト層の前記露出領域が前記現像溶液によって選択的に溶解されて、パターン形成されたレジスト構造体が現れるようにし、
(E)前記レジスト構造パターン内のスペースを通して前記材料層にエッチングすることによって、前記材料層にレジスト構造パターンを転写する、
ことを含む方法。
【請求項21】
前記エッチングが、反応性イオンエッチングを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つの中間層が、前記材料層と前記レジスト層との間に設けられ、前記ステップ(E)は、前記中間層を通してエッチングすることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記放射線が約193nmの波長を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記基板がステップ(C)及び(D)の間で加熱される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記像形成ポリマーが、前記ポリマーの主鎖部分に環状オレフィンモノマー単位を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記遠位の酸不安定部分含有モノマー単位が、
【化2】

の構造を有し、
式中、(i)Xはアルキレンであり、
(ii)Mは、環状オレフィン及びエチレン主鎖部分からなる群から別個に選択された重合主鎖部分であり、
(iii)qは0か又は1に等しく、
(iv)Qは、遠位の酸不安定部分含有基である、
請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記像形成ポリマー成分がさらに、遠位の酸不安定部分をもたない付加的な酸感応性ポリマーを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記像形成ポリマー成分が、少なくとも10重量%の、前記遠位の酸不安定部分をもつ酸感応性ポリマーを含む、請求項27に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
193nmリソグラフィ工程用のレジスト組成物であって、(a)像形成ポリマー成分と、(b)放射線感応性酸発生剤とを含み、前記像形成ポリマー成分が、その重合部分から延びるペンダント基をもつモノマー単位を有する酸感応性ポリマーを含み、前記重合部分が、前記酸感応性ポリマーの主鎖の一部を形成し、前記ペンダント基が、非酸不安定スペーサ部分によって前記重合部分から隔離された遠位の酸不安定部分を有し、前記モノマー単位の各々の重合部分がエチレン主鎖部分であり、前記像形成ポリマー成分が実質的に芳香族部分をもたないレジスト組成物。
【請求項2】
前記スペーサ部分が、炭素及び酸素からなる群から選択された少なくとも4つの原子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記スペーサ部分が、少なくとも3つの炭素原子を含むアルキレンである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記スペーサ部分がアルキレンエステルである、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記アルキレンエステルが、1から3つまでの炭素原子を有するアルキレン部分を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記酸不安定部分が、第3級アルキルエステル、シクロアルキルエステル、ケタール、アセタール及びこれらの組み合わせからなる群から別個に選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記酸不安定部分が、t−ブチルエステル、メチルシクロヘキシルエステル、メチルアダマンチルエステル、及びこれらの組み合わせからなる群から別個に選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記酸感応性ポリマーがさらに、
a)遠位の酸不安定部分以外の、酸不安定部分を含み、水性アルカリ溶液中でレジストの溶解性を抑制するアクリルモノマー単位と、
b)水性アルカリ溶液中の前記レジストの溶解性を増進させる極性部分を含むアクリルモノマー単位と、
c)非極性及び非酸不安定なペンダント部分をもつ又はもたないアクリルモノマー単位と、
からなる群から選択された少なくとも1つのモノマー単位を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記酸感応性ポリマーが、少なくとも約10モル%の、遠位の酸不安定部分をもつモノマー単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記像形成ポリマー成分がさらに、遠位の酸不安定部分をもたない付加的な酸感応性ポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記像形成ポリマー成分が、少なくとも10重量%の、遠位の酸不安定部分をもつ前記酸感応性ポリマーを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記レジスト組成物が、前記像形成ポリマーの重量に基づき、少なくとも約0.5重量%の、前記放射線感応性酸発生剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記遠位の酸不安定部分含有モノマー単位が、
【化1】

の構造を有し、
式中、(i)Xはアルキレン又はアルキレンエーテルであり、
(ii)Mは、エチレン主鎖部分であり、
(iii)qは0か又は1に等しく、
(iv)Qは、遠位の酸不安定部分含有基である、
請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
半導体、セラミック、及び金属からなる群から選択された材料のパターン形成された構造を基板上に形成する方法であって、
(A)基板に前記材料の層を設け、
(B)(a)像形成ポリマー成分と、(b)放射線感応性酸発生剤と、を含み、前記像形成ポリマー成分が、その重合部分から延びるペンダント基を有するモノマー単位を含む酸感応性ポリマーからなり、前記ペンダント基が遠位の酸不安定部分を含み、前記モノマー単位の各々の重合部分がエチレン主鎖部分であり、前記像形成ポリマー成分が、実質的に芳香族部分をもたないレジスト組成物を、前記基板に適用して前記基板上にレジスト層を形成し、
(C)前記基板に193nm放射線をパターン状に露光して、前記放射線によって前記レジスト層の露出領域において前記酸発生剤により酸が発生するようにし、
(D)前記基体に水性アルカリ現像溶液を接触させて、前記レジスト層の前記露出領域が前記現像溶液によって選択的に溶解されて、パターン形成されたレジスト構造体が現れるようにし、
(E)前記レジスト構造パターン内のスペースを通して前記材料層にエッチングすることによって、前記材料層にレジスト構造パターンを転写する、
ことを含む方法。
【請求項15】
前記エッチングが反応性イオンエッチングからなる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの中間層が前記材料層と前記レジスト層との間に設けられ、前記ステップ(E)が、前記中間層を通してエッチングすることからなる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記基板がステップ(C)及び(D)の間で加熱される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記遠位の酸不安定部分含有モノマー単位が、
【化2】

の構造を有し、
式中、(i)Xはアルキレンであり、
(ii)Mは、エチレン主鎖部分であり、
(iii)qは0か又は1に等しく、
(iv)Qは、遠位の酸不安定部分含有基である、
請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記像形成ポリマー成分がさらに、遠位の酸不安定部分をもたない付加的な酸感応性ポリマーを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記像形成ポリマー成分が、少なくとも10重量%の、前記遠位の酸不安定部分をもつ酸感応性ポリマーを含む、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2006−501495(P2006−501495A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539024(P2004−539024)
【出願日】平成15年8月28日(2003.8.28)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010688
【国際公開番号】WO2004/029719
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】