説明

放射線画像記録読取装置

【課題】放射線画像を担持した放射線の照射を受けて電荷を発生し、該電荷を蓄積することにより放射線画像を記録するとともに、読取光の照射を受けて電荷を発生し、該電荷の発生により蓄積された電荷が読み出される放射線画像検出器と、読取光を射出する線状発光体が多数配列された面状光源と、放射線画像検出器から流れ出した電荷を積分する積分アンプを有する検出部とを備えた放射線画像記録読取装置であって、多数の線状発光体の発光を順次切り替えて読み出しを行う放射線画像記録読取装置において、線状発光体の発光の切り替えによって発生するノイズ信号を抑制する。
【解決手段】線状発光体の発光の切り替えが積分アンプの積分期間中となるように線状発光体の発光を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像を担持した放射線の照射を受けて電荷を発生し、その電荷を蓄積して放射線画像を記録するとともに、読取光の照射を受けて電荷を発生し、その電荷の発生により蓄積した電荷が読み出される放射線画像検出器と、読取光を射出する線状発光体が多数配列された面状光源とを備えた放射線画像記録読取装置であって、多数の線状発光体の発光を順次切り替えて読み出しを行う放射線画像記録読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野などにおいて、被写体を透過した放射線の照射を受けて被写体に関する放射線画像を記録し、その記録された放射線画像に応じた画像信号を検出する放射線画像検出器が各種提案、実用化されている。
【0003】
上記放射線画像検出器としては、たとえば、放射線の照射により電荷を発生する半導体材料を利用した放射線画像検出器があり、そのような放射線画像検出器として、たとえば、いわゆる光読取方式のものが提案されている。
【0004】
上記光読取方式の放射線画像検出器としては、たとえば、放射線を透過する第1の電極層、放射線の照射を受けることにより電荷を発生する記録用光導電層、潜像電荷に対しては絶縁体として作用し、かつ潜像電荷と逆極性の輸送電荷に対しては導電体として作用する電荷輸送層、読取光の照射を受けることにより電荷を発生する読取用光導電層、および読取光を透過する線状電極が平行に配列された第2の電極層をこの順に積層してなる放射線画像検出器が提案されている。
【0005】
そして、上記のような放射線画像検出器を用いて放射線画像の記録および読取りを行う放射線画像記録読取装置が提案されており、上記放射線画像記録読取装置においては、まず、第1の電極層と第2の電極層との間に電圧が印加された状態において、放射線源から被写体に向けて放射線が射出され、被写体を透過した放射線が、放射線画像検出器の第1の電極層側から照射され、第1の電極層を透過して記録用光導電層に照射される。そして、記録用光導電層において放射線の照射により電荷対が発生し、そのうち一方の極性の電荷は第1の電極層に帯電した電荷と結合して消滅し、他方の極性の電荷は潜像電荷として記録用光導電層と電荷輸送層との界面に形成される蓄電部に蓄積されて放射線画像が記録される。
【0006】
そして、放射線画像の読取りの際には、読取光源から発せられた線状の読取光が第2の電極層側から照射され、その読取光が線状電極を透過して読取用光導電層に照射され、この読取光の照射により読取用光導電層において電荷対が発生し、この電荷対のうちの一方の極性の電荷は蓄電部における潜像電荷と結合し、他方の極性の電荷は第2の電極層の線状電極に帯電した電荷と結合する。そして、上記のように他方の極性の電荷が第2の電極層の線状電極に帯電した電荷と結合することにより線状電極に電流が流れ、この電流が各線状電極に接続された電流検出アンプにより検出されて画像信号が検出されて放射線画像の読取りが行われる。
【0007】
そして、上記のような放射線画像記録読取装置において用いられる読取光源として、たとえば、有機ELを利用した面状光源が提案されており、たとえば、特許文献1、特許文献2および特許文献3においては、上記放射線画像検出器と上記面状光源とが一体的に積層された放射線画像記録読取装置が提案されている。上記放射線画像記録読装置における面状光源は、平面電極と読取光を発する発光層と放射線画像検出器における線状電極の長さ方向に直交する方向に延設された、読取光を透過する多数の線状電極を有する線状電極層とが積層されたものであり、平面電極と線状電極層における各線状電極との間に電圧を印加することにより発光層から発せられた読取光が線状電極を透過して放射線画像検出器に照射され、各線状電極毎に順次電圧印加を切り替えることにより線状の読取光によって放射線画像検出器を走査することができる。
【0008】
【特許文献1】特開2000−162726号公報
【特許文献2】特開2001−27697号公報
【特許文献3】特開2001−264496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のように面状光源の各線状電極に印加される電圧を順次切り替えると、面状光源の線状電極と放射線画像検出器の線状電極とが容量結合し、面状光源の線状電極の電圧変動が放射線画像検出器の線状電極にも影響を及ぼし、ノイズ信号として検出されてしまう。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、上記のような放射線画像検出器と面状光源とが一体化された放射線画像記録読取装置において、上記のようなノイズ信号を抑制することができる放射線画像記録読取装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の放射線画像記録読取装置は、放射線画像を担持した放射線の照射を受けて電荷を発生し、その電荷を蓄積することにより放射線画像を記録するとともに、読取光の照射を受けて電荷を発生し、その電荷の発生により上記蓄積された電荷が読み出される放射線画像検出器であって、上記蓄積された電荷を読み出すための線状電極が多数配列された電極層を備えた放射線画像検出器と、線状電極に直交する方向に延びる、読取光を射出する線状発光体が線状電極が延びる方向に多数配列された面状光源と、線状電極に流れ出した電荷を積分する積分アンプを有する検出部とを備えた放射線画像記録読取装置であって、多数の線状発光体の発光を順次切り替えて読み出しを行う放射線画像記録読取装置において、線状発光体の発光の切り替えが積分アンプの積分期間中となるように線状発光体の発光を制御する発光制御部を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、上記本発明の放射線画像記録読取装置においては、発光制御部を、線状発光体の発光の切り替えが積分アンプの積分開始時となるように線状発光体を制御するものとすることができる。
【0013】
また、検出部を、相関2重サンプリングを行うものとし、発光制御部を、線状発光体の発光の切り替えが信号成分取得開始時点となるように線状発光体を制御するものとすることができる。
【0014】
また、検出部を、相関2重サンプリングを行うものとし、発光制御部を、線状発光体の発光の切り替えがベースラインサンプリング終了時からベースラインサンプリング時間経過した時点となるように線状発光体を制御するものとすることができる。
【0015】
また、面状光源を、平板電極を備えたものとし、その平板電極に平滑化用コンデンサを設けるようにすることができる。
【0016】
また、面状光源を、平板電極を備えたものとし、その平板電極にダミー電流を流す電流源を備えたものとすることができる。
【0017】
また、先頭ラインの線状発光体の発光により読み出された電荷を画像信号として取得しないようにすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の放射線画像記録読取装置によれば、線状発光体の発光の切り替えが積分アンプの積分期間中となるように線状発光体の発光を制御するようにしたので、前ラインの線状発光体をオン状態からオフ状態にしたときに発生するノイズ信号と、次ラインの線状発光体をオフ状態からオン状態にしたときに発生するノイズ信号とで互いにキャンセルさせるようにすることができ、ノイズ信号を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の放射線画像記録読取装置の一実施形態について説明する。図1は本放射線画像記録読取装置の概略構成を示す斜視図である。
【0020】
本放射線画像記録読装置は、図1に示すように、放射線画像を担持した放射線の照射を受けて電荷を発生し、その電荷を蓄積することにより放射線画像を記録するとともに、読取光の照射を受けて電荷を発生し、その電荷の発生により上記蓄積された電荷の量に応じた電荷信号を出力する放射線画像検出器10と、放射線画像検出器10に向けて読取光Lを発する面状光源20とを備えている。
【0021】
放射線画像検出器10は、詳細には、図1に示すように、放射線画像を担持した放射線を透過する第1の電極層11、第1の電極層11を透過した放射線の照射を受けることにより電荷を発生する記録用光導電層12、記録用光導電層12において発生した電荷に対しては絶縁体として作用し、且つその電荷と逆極性の輸送電荷に対しては導電体として作用する電荷輸送層13、読取光Lの照射を受けることにより電荷を発生する読取用光導電層14、および読取光を透過する線状に延びる多数の線状電極15aが平行に配列された第2の電極層15が、ガラス基板16上に積層されたものである。そして、記録用光導電層12と電荷輸送層13との界面には放射線の照射量に応じて発生した電荷が蓄積される蓄電部17が形成される。
【0022】
第1の電極層11は、平面形状の電極であり、たとえば、Auなどの材料から形成されるが、放射線を透過する材料であれば如何なる材料で形成してもよい。
【0023】
記録用光導電層12は、放射線の照射を受けることにより電荷を発生するものであればよく、放射線に対して比較的量子効率が高く、また暗抵抗が高いなどの点で優れているa−Seを主成分とするものを使用する。厚さは10μm程度が適切である。
【0024】
電荷輸送層13としては、たとえば、第1の電極層11に帯電する電荷の移動度と、その逆極性となる電荷の移動度の差が大きい程良く(例えば10以上、望ましくは10以上)PVK(Poly(N-vinylcarbazole))、TPD(N,N’-diphenyl-n,n’-bis(3-methylphenyl)-1,1’-biphenyl-4,4’-diamine)やディスコティック液晶等の有機系化合物、或いはTPDのポリマー(ポリカーボネート、ポリスチレン、PVK)分散物,Clを10〜200ppmドープしたa−Se等の半導体物質が適当である。
【0025】
読取用光導電層14としては、読取光Lの照射を受けることにより導電性を呈するものであればよく、例えば、a−Se、Se−Te、Se−As−Te、無金属フタロシアニン、金属フタロシアニン、MgPc(Magnesium phtalocyanine),VoPc(phaseII of Vanadyl phthalocyanine)、CuPc(Cupper phtalocyanine)などのうち少なくとも1つを主成分とする光導電性物質が好適である。厚さは0.1〜1μm程度が適切である。
【0026】
第2の電極層15は、上記のように多数の線状電極15aからなるものであるが、その材料としては面状光源20から発せられた読取光を透過するものであれば如何なるものでもよく、たとえば、ITOやIZOを用いることができる。その厚さは0.2μm程度が適切である。また、AlやAuなどを読取光Lを透過する程度の厚さとして用いることもできる。
【0027】
なお、本実施形態の放射線画像記録読取装置においては、いわゆる直接変換型の放射線画像検出器10を用いるようにしたが、放射線の照射により蛍光を発し、その蛍光を光電変換する、いわゆる間接変換型の放射線画像検出器を用いるようにしてもよい。
【0028】
面状光源20は、陰極層21、発光ユニット層22および陽極層23が、ガラス基板24上に積層されたものである。
【0029】
陰極層21は、平行に配列された多数の線状電極21aから構成されており、線状電極21aは、たとえば、アルミニウムなどの導電体により形成される。
【0030】
陽極層23は、たとえば、ITO膜等の光透過性の導電層から構成されており、ガラス基板24上に平面状に形成されている。
【0031】
発光ユニット層22は、図2に示すように、読取光Lを発する発光層25と等電位面を形成する層25a(以下、「CGL」(Charge genereation layer)という)とが交互に積層されたものである。
【0032】
面状光源20は、上記のようにいわゆるマルチフォトンエミッション素子から構成されるものである。なお、面状光源20は、上記のような層構成に限らず、たとえば、陽極層とホール輸送層と発光層と陰極層との積層構造、陽極層とホール輸送層と発光層と電子輸送層と陰極層との積層構造、陽極層とホール輸送層層と発光層と電子輸送層と電子注入層と陰極層との積層構造等などによって構成するようにしてもよい。
【0033】
そして、陽極層23と陰極層21の各線状電極21aとは、発光制御部40に電気的に接続されており、この発光制御部40は、陽極層23および各線状電極21aに、発光ユニット層22から読取光を発光させるための駆動電圧を印加するものである。また、発光制御部40と各線状電極21aとは、スイッチ素子31を介して接続されており、この各線状電極21aに接続されたスイッチ素子31が順次オンされることによって各線状電極21aに順次駆動電圧は印加され、これにより線状の読取光Lが順次発光される。
【0034】
なお、放射線画像検出器10と面状光源20とは、図1に示すように、放射線画像検出器10における線状電極15aと面状光源20の線状電極21aとが直交するように配置されており、上記のようにスイッチ素子31を順次オンすることによって線状の読取光Lが、放射線画像検出器10の線状電極15aの長さ方向に向かって走査されることになる。
【0035】
また、放射線画像検出器10の各線状電極15aには、図3に示すように、検出部50が設けられている。
【0036】
検出部50は、放射線画像検出器10から出力された電荷信号を積分する積分アンプ51、積分アンプ51により積分された電気信号を保持する第1および第2の保持回路32,53、第1および第2の保持回路52,53にそれぞれ保持された第1の電気信号および第2の電気信号の差分を出力する差分アンプ54、および差分アンプ54から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器55を備えており、放射線画像検出器10から出力された電荷信号に基づいて相関2重サンプリング処理を行うものである。
【0037】
積分アンプ51は、放射線画像検出器10から出力された電荷信号を蓄積するコンデンサ51aとコンデンサ51aに蓄積された電荷信号を放電させるためのリセットスイッチS1とを備えている。
【0038】
第1の保持回路52は、スイッチS2およびコンデンサC1を備え、積分アンプ51から出力された電気信号をコンデンサC1に保持するものである。
【0039】
第2の保持回路53は、スイッチS3およびコンデンサC2を備え、積分アンプ51から出力された電気信号をコンデンサC2に保持するものである。
【0040】
また、検出部50は、第1および第2の保持回路52,53から出力された電気信号を差分アンプ34に出力するバッファアンプ56,57と、積分アンプ51のリセットスイッチS1、第1および第2の保持回路52,53のスイッチS2,S3およびA/D変換器35などの動作タイミングなどを制御する制御回路58とを備えている。
【0041】
次に、本放射線画像記録読取装置における放射線画像の記録および読取りの作用について、図4を参照しながら説明する。なお、図4においては放射線画像検出器10におけるガラス基板16は図示省略してある。
【0042】
まず、放射線画像検出器10の第1の電極層11が負に帯電し、第2の電極層15の線状電極15aが正に帯電するように第1の電極層11と第2の電極層15との間に電圧印加される。そして、上記のように電圧印加された状態において、図示省略した放射線源から被写体60に向けて放射線Rが照射される。放射線源から射出された放射線Rは、図4(A)に示すように、被写体60全体に照射され、被写体60の放射線を透過する部分60aを透過した放射線が、放射線画像検出器10の第1の電極層11側から照射される。なお、被写体60において放射線を透過しない部分60bに照射された放射線は放射線画像検出器10には照射されない。
【0043】
そして、放射線画像検出器10に照射された放射線Rは、第1の電極層11を透過し、記録用光導電層12に照射される。そして、記録用光導電層12において放射線の照射により電荷対が発生し、そのうち正の電荷は第1の電極層11に帯電した負の電荷と結合して消滅し、負の電荷は潜像電荷として記録用光導電層12と電荷輸送層13との界面に形成される蓄電部17に蓄積され、放射線画像が記録される。
【0044】
そして、上記のようにして放射線画像が記録された後、放射線画像の読取りが行われる。放射線画像の読取りの際には、まず、放射線画像検出器10の第1の電極層11が接地され、面状光源20におけるスイッチ素子31が順次切り替えられ、図2に示す発光制御部40により各線状電極21aに順次駆動電圧が印加される。そして、上記のような各線状電極21aへの駆動電圧の印加により発光ユニット層22から線状の読取光Lが発せられ、その線状の読取光Lは放射線画像検出器10に照射される。
【0045】
そして、上記のようにして第2の電極層15側から照射された線状の読取光Lは線状電極15aを透過して読取用光導電層14に照射され、この読取光Lの照射により読取用光導電層14において電荷対が発生し、この電荷対のうちの正の電荷は蓄電部17における潜像電荷と結合し、負の電荷は第2の電極層15の線状電極15aに帯電した正の電荷と結合する。
【0046】
そして、上記のように負の電荷が第2の電極層15の線状電極15aに帯電した正の電荷と結合することにより線状電極15aに電流が流れ、この電流が各線状電極15aに接続された検出部50により検出されて画像信号が検出される。
【0047】
そして、上記のような線状の読取光Lの1ラインの照射毎に検出部50により画像信号が検出され、放射線画像を構成する画素毎の画像信号が取得される。そして、放射線画像検出器10の全面を線状の読取光Lで走査することにより放射線画像全体の画素毎の画像信号が取得される。
【0048】
ここで、上記のようにして読取り行う際における読取光Lの照射タイミングと検出部50の相関2重サンプリングのタイミングとについて、図5のタイミングチャートを参照して説明する。
【0049】
上記のようにして読取りを行う際には、まず、検出部50における積分アンプ51のリセットスイッチS1がオフ状態とされ、図5に示す時点t0から、積分アンプ51において電荷信号の積分が開始される。
【0050】
また、積分アンプ51における積分開始時t0においては、第1の保持回路52のスイッチS2がオン状態とされ、積分アンプ51より積分された電気信号が第1の保持回路32のコンデンサC1に蓄積される。
【0051】
そして、積分アンプ51による積分が開始された後、所定のベースラインサンプリング時間tbaseが経過した時点t1において、第1の保持回路52のスイッチS2がオフ状態にされ、コンデンサC1において蓄積された第1の電気信号が保持される。
【0052】
そして、上記のように第1の電気信号がコンデンサC1により保持された時点t1において、第2の保持回路53のスイッチS3がオン状態となる。つまり、この時点から積分アンプ51から出力された電気信号は第2の保持回路53のコンデンサC2に蓄積される。そして、このとき、面状光源20における先頭ライン(ライン1)の線状電極21aに接続されたスイッチ素子31がオン状態にされ、ライン1の線状電極21aに対応する箇所から線状の読取光Lが射出され、放射線画像検出器10に照射される。
【0053】
そして、所定のサンプリング時間が経過した時点t2において、リセットスイッチS1がオン状態とされ、積分アンプ51がリセットされるとともに、第2の保持回路53のスイッチS3がオフ状態にされ、コンデンサC2に蓄積された第2の電気信号(請求項における信号成分)が保持される。
【0054】
そして、上記のようにして第1の保持回路52のコンデンサC1に保持された第1の電気信号および第2の保持回路53に保持された第2の電気信号は、それぞれバッファアンプ56,57を介して差動アンプ54に出力される。そして、差動アンプ54において上記2つの電気信号の差分が算出され、A/D変換器55に出力される。A/D変換器55は、入力されたアナログ画像信号である差分信号をデジタル変換し、デジタル画像信号を出力する。
【0055】
そして、上記のようにしてA/D変換が終了した時点t3において、再び、積分アンプのリセットスイッチS1がオフ状態とされ、積分アンプ51における積分が再び開始される。
【0056】
そして、積分アンプ51による積分が開始された後、所定のベースラインサンプリング時間tbaseが経過した時点t4において、第1の保持回路52のスイッチS2がオフ状態にされ、コンデンサC1において蓄積された第1の電気信号が保持される。
【0057】
そして、上記のように第1の電気信号がコンデンサC1により保持された時点t4において、第2の保持回路53のスイッチS3がオン状態となり、この時点から積分アンプ51から出力された電気信号は第2の保持回路53のコンデンサC2に蓄積される。そして、このとき、面状光源20におけるライン1の線状電極21aに接続されたスイッチ素子がオフ状態にされるとともに、次のライン(ライン2)の線状電極21aに接続されたスイッチ素子31がオン状態にされ、ライン2の線状電極21aに対応する箇所から線状の読取光Lが射出され、放射線画像検出器10に照射される。
【0058】
そして、所定のサンプリング時間が経過した時点t5において、リセットスイッチS1がオン状態とされ、積分アンプ51がリセットされるとともに、第2の保持回路53のスイッチS3がオフ状態にされ、コンデンサC2に蓄積された第2の電気信号が保持される。
【0059】
そして、上記のようにして第1の保持回路52のコンデンサC1に保持された第1の電気信号および第2の保持回路53に保持された第2の電気信号は、それぞれバッファアンプ56,57を介して差動アンプ54に出力される。そして、差動アンプ54において上記2つの電気信号の差分が算出され、A/D変換器55に出力される。A/D変換器55は、入力されたアナログ画像信号である差分信号をデジタル変換し、デジタル画像信号を出力する。
【0060】
そして、上記のようにしてA/D変換が終了した時点t6において、再び、積分アンプのスイッチS1がオフ状態とされ、積分アンプ51における積分が再び開始される。
【0061】
そして、積分アンプ51による積分が開始された後、所定のベースラインサンプリング時間tbaseが経過した時点t7において、第1の保持回路52のスイッチS2がオフ状態にされ、コンデンサC1において蓄積された第1の電気信号が保持される。
【0062】
そして、上記のように第1の電気信号がコンデンサC1により保持された時点t7において、第2の保持回路53のスイッチS3がオン状態となり、この時点から積分アンプ51から出力された電気信号は第2の保持回路53のコンデンサC2に蓄積される。そして、このとき、面状光源20におけるライン2の線状電極21aに接続されたスイッチ素子がオフ状態にされるとともに、ライン2の次のライン(ライン3)の線状電極21aに接続されたスイッチ素子31がオン状態にされ、ライン3の線状電極21aに対応する箇所から線状の読取光Lが射出され、放射線画像検出器10に照射される。
【0063】
そして、以後、上記と同様にして、所定のサンプリング時間が経過した時点において、リセットスイッチS1がオン状態とされ、積分アンプ51がリセットされるとともに、第2の保持回路53のスイッチS3がオフ状態にされ、コンデンサC2に蓄積された第2の電気信号が保持される。
【0064】
そして、上記のようにして第1の保持回路52のコンデンサC1に保持された第1の電気信号および第2の保持回路53に保持された第2の電気信号は、それぞれバッファアンプ56,57を介して差動アンプ54に出力される。そして、差動アンプ54において上記2つの電気信号の差分が算出され、A/D変換器55に出力される。A/D変換器55は、入力されたアナログ画像信号である差分信号をデジタル変換し、デジタル画像信号を出力する。
【0065】
そして、以後、上記と同様にして、S1〜S3のタイミングが制御されるとともに、面状光源20のスイッチ素子31のオン・オフのタイミングが制御され、1ラインの読取光が照射される毎に、1ライン分のデジタル画像信号の検出が行われる。そして、最終的には放射線画像検出器10の全面分のデジタル画像信号が検出される。
【0066】
ここで、上記のようにして面状光源20の線状電極21aを順次切り替えた際に、放射線画像検出器10の線状電極15aに流れるノイズ信号を図5に示す。図5に示すように、ノイズ信号は、ライン1の線状電極21aに接続されたスイッチ素子をオフ状態にすることによって発生するとともに、ライン2の線状電極21aに接続されたスイッチ素子をオン状態にすることによって発生する。そして、本実施形態の放射線画像記録読取装置においては、図5に示すように、ライン1からライン2への切り替えを積分アンプ51による積分期間中に行うようにしたので、ライン1の線状電極21aに接続されたスイッチ素子をオフ状態にすることによって発生したノイズ信号と、ライン2の線状電極21aに接続されたスイッチ素子をオン状態にすることによって発生したノイズ信号とで互いにキャンセルされ、ノイズ信号を抑制することができる。また、同様に、ライン2からライン3への切り替えを積分アンプ51による積分期間中に行うようにしたので、ライン2の線状電極21aに接続されたスイッチ素子をオフ状態にすることによって発生したノイズ信号と、ライン3の線状電極21aに接続されたスイッチ素子をオン状態にすることによって発生したノイズ信号とで互いにキャンセルされ、ノイズ信号を抑制することができる。
【0067】
なお、上記実施形態においては、面状光源20のライン毎の読取光の切り替えを、第2の電気信号の取得時に行うようにしたが、これに限らず、たとえば、図6に示すように、ベースラインサンプリング終了時からさらにベースラインサンプリング時間経過した時点に切り替えを行うようにしてもよい。すなわち、図6に示す時点t1’、t4’、t7’のタイミングで切り替えを行うようにしてもよい。図5に示すタイミングで読取光の切り替えを行った場合、たとえば、ライン1の読取光は次のラインのベースラインサンプリング時間まで照射されるので、ライン1の読取光の照射によって発生した電荷が、次のラインのベースラインサンプリングの電荷信号に加算されてしまい第1の電気信号がその分大きくなってしまう。そこで、図6に示すように、前ラインの読取光の照射をベースラインサンプリング終了時からさらにベースラインサンプリング時間経過した時点まで延ばすことによって、前ラインの照射によって発生した電荷を次のラインの第1の電気信号だけでなく、第2の電気信号にも加算することができるので、より適切な画像信号を取得することができる。
【0068】
また、面状光源20の陽極層23に平滑化コンデンサを設けようにしてもよい。上記のように平滑化コンデンサを設けることによって、ノイズ信号を平滑化することができる。
【0069】
また、面状光源30の陽極層23に電流源を設け、たとえば、一番最初のラインの読取時および/または一番最後のラインの読取時に、陽極層23にダミー電流を流すようにしてもよい。一番最初のラインについては、読取光の照射開始時に発生したノイズ信号を、上記のように読取光の切り替えによって取り除くことができないが、上記のようにダミー電流を流すことによって上記ノイズ信号を取り除くことができる。また、一番最後のラインについては、読取光の照射停止時に発生したノイズ信号を、上記のように読取光の切り替えによって取り除くことができないが、上記のようにダミー電流を流すことによって上記ノイズ信号を取り除くことができる。
【0070】
また、先頭ラインの読取光の照射によって発生したノイズ信号はキャンセルすることができないため、先頭ラインの読取光の照射によって読み出された画像信号を取得しないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の放射線画像記録読取装置における放射線画像検出器と面状光源の概略構成を示す図
【図2】面状光源の概略構成を示す断面図
【図3】検出部の構成を示す図
【図4】図1に示す放射線画像記録読取装置による放射線画像の記録および読取りの作用を説明するための図
【図5】読取光の照射タイミングと検出部の相関2重サンプリングのタイミングとを示す図
【図6】読取光の照射タイミングと検出部の相関2重サンプリングのタイミングとを示す図
【符号の説明】
【0072】
10 放射線画像検出器
11 第1の電極層
12 記録光導電層
13 電荷輸送層
14 読取用光導電層
15 第2の電極層
16 ガラス基板
20 面状光源
21 陰極層
22 発光ユニット層
23 陽極層
24 ガラス基板
50 検出部
51 積分アンプ
60 被写体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線画像を担持した放射線の照射を受けて電荷を発生し、該電荷を蓄積することにより前記放射線画像を記録するとともに、読取光の照射を受けて電荷を発生し、該電荷の発生により前記蓄積された電荷が読み出される放射線画像検出器であって、前記蓄積された電荷を読み出すための線状電極が多数配列された電極層を備えた放射線画像検出器と、前記線状電極に直交する方向に延びる、前記読取光を射出する線状発光体が前記線状電極が延びる方向に多数配列された面状光源と、前記線状電極に流れ出した電荷を積分する積分アンプを有する検出部とを備えた放射線画像記録読取装置であって、前記多数の線状発光体の発光を順次切り替えて前記読み出しを行う放射線画像記録読取装置において、
前記線状発光体の発光の切り替えが前記積分アンプの積分期間中となるように前記線状発光体の発光を制御する発光制御部を備えたことを特徴とする放射線画像記録読取装置。
【請求項2】
前記検出部が、相関2重サンプリングを行うものであり、
前記発光制御部が、前記線状発光体の発光の切り替えが信号成分取得開始時点となるように前記線状発光体を制御するものであることを特徴とする請求項1記載の放射線画像記録読取装置。
【請求項3】
前記検出部が、相関2重サンプリングを行うものであり、
前記発光制御部が、前記線状発光体の発光の切り替えがベースラインサンプリング終了時からベースラインサンプリング時間経過した時点となるように前記線状発光体を制御するものであることを特徴とする請求項1記載の放射線画像記録読取装置。
【請求項4】
前記面状光源が、平板電極を備えたものであり、
該平板電極に平滑化用コンデンサを設けることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の放射線画像記録読取装置。
【請求項5】
前記面状光源が、平板電極を備えたものであり、
該平板電極にダミー電流を流す電流源を備えたことを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の放射線画像記録読取装置。
【請求項6】
先頭ラインの前記線状発光体の発光により読み出された電荷を画像信号として取得しないことを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の放射線画像記録読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−316408(P2007−316408A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−146627(P2006−146627)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】