説明

放熱性能が改善された照射角の可変用ヘッドランプ装置

【課題】
本発明はヘッドランプ装置に関するもので、より詳しくはLEDを光源で使いながら照射角度が条件によって変わるヘッドランプでLEDの放熱性能を高めて耐久性を向上させる放熱性能が改善された照射角の可変用ヘッドランプ装置を提供する。
【解決手段】
本発明の照射角の可変用ヘッドランプ装置は、ランプハウジングと、ランプハウジングの内に回転軸を中心に回転可能に設置されるリフレクタ部と、リフレクタ部に設置されて光を放出する光源部と、ランプハウジングの外部へ熱放出されるようにランプハウジングに設置される外部放熱部と、光源部と外部放熱部を連結して光源部の熱を外部放熱部に伝達するようにすることで、リフレクタ部と光源部の動きに対して柔軟に変形される熱伝導部材とを備える、放熱性能が改善されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッドランプ装置に係り、より詳しくはLEDを光源で使いながら照射角度が条件によって変わるヘッドランプであって、LEDの放熱性能を高めて耐久性を向上させる放熱性能が改善された照射角の可変用ヘッドランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車に装着されるヘッドランプは照射角度が一定に固定されていて車の走行状態とは無関係にいつも車の前方のみを一定の角度で照らす構造である。
【0003】
したがって、曲線道路を走行する場合は道路の反対側から来る車(以下、“対向車”と言う)のドライバの視野を攪乱するようになるだけでなく、進行しようとする曲線道路に対するドライバ自身の視野がまともに確保されなくて安全の脅威を受ける状況がたびたび発生する。
【0004】
これに対する対策で、最近は夜間走行の際、ドライバの視認性を充分に確保して対向車に対する眩しさを防止することができるようにドライバがステアリングホイールを回転する角度によってヘッドランプを左右方向に方向を変える装置が開発されている。
【0005】
一方、自動車は急加速の時に車の前方が瞬間的に持ち上げられるノーズアップ(nose−up)現象を起すだけでなく、急制動の時に車の前方が落ちるノーズダウン(nose−down)現象が起きるので、このような車の挙動によってヘッドランプの焦点が瞬間的に頂上より上や下にくる現象が起きて対向車に対して眩しさを発生させたり、ドライバの視認性を難しくする原因になる。
【0006】
図1は従来の照射角の可変用ヘッドランプ装置の放熱構造を示す概略図である。
【0007】
図1の示すように、内部が密閉されたランプハウジング10には光を反射させて光を車の前方に放出させるリフレクタ20が内蔵される。
【0008】
リフレクタ20には図示のとおりに光を放出する光源30が設置される。
最近は光源30として、LED(Light Emitting Diode)が多く使われている。
LEDは少ない電力で点灯が可能でありながら照度が高く、光效率がバルブ(Bulb)タイプに比べて優れた長所があって、バルブ(Bulb)タイプに比べ大きさが小さく、ランプの設計自由度が高く、発生する熱の冷却が円滑ならば半永久的な寿命を持つ長所がある。
【0009】
しかし、LEDで構成された光源30は発熱量が非常に高いので、放熱対策が施されない時は発光の效率が急激に落ち寿命が短縮する。
従って、光源30には図示するようにヒートシンク40が設置されて光源30で発生した熱がヒートシンク40を通じて放出されるようにしている。
【0010】
ここで、リフレクタ20が回転軸21を中心に左右または上下に回転する構造を成しているのは、車の運行条件によってヘッドランプの照射角度を変える必要があるためである。
特許文献1参照。
【0011】
ちなみに、照射角の可変用ヘッドランプ装置(AFLS;Adaptive Front Lighting System)は、ステアリングホイールの操向角度によってリフレクタ20が左右に回転され、車の前方の高低によってリフレクタ20が上下に回転されてヘッドランプの照射角度を調整する装置を言う。
【0012】
しかし、前述のような従来の照射角の可変用ヘッドランプ装置の放熱構造はランプハウジング10の内部が密閉されているので、光源30で発生した熱がヒートシンク40を通じて效果的に放出されず内部に滞積し光源30の放熱效率が低下する問題点がある。
【0013】
すなわち、ランプハウジング10は外部から水気やほこり等が流入することができないように密閉されなければならないし、リフレクタ20は回転する構造なので、ヒートシンク40がランプハウジング10の外に設置されることができず不可避にリフレクタ20とともに動く他ない構造なので、ヒートシンク40を通じて放熱がまともになされない問題点がある。
【0014】
特に、このような問題点はヘッドランプの光度をHID(High Intensity Discharge)ランプの水準に合わせるため、一つのランプハウジング10に多数のLEDを設置した際にもっと明瞭に現われる。
【0015】
【特許文献1】特開2003−159990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は前記のような点に鑑みてなされたものであり、その目的はリフレクタが動く照射角の可変用ヘッドランプでリフレクタに設置された光源の熱が效果的に放出されるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前述の目的を解決するためになされた本発明は、ランプハウジングと、ランプハウジングの内に回転軸を中心に回転が可能に設置されるリフレクタ部と、リフレクタ部に設置されて光を放出する光源部と、ランプハウジングの外部へ熱放出されるようにランプハウジングに設置される外部放熱部と、光源部と外部放熱部を連結して光源部の熱が外部放熱部に伝達せしめ、リフレクタ部と光源部の動きに対して柔軟に変形される熱伝導部材と、を備える放熱性能が改善された照射角の可変用ヘッドランプ装置を提供する。
【0018】
また、熱伝導部材は少なくとも一つ以上の金属薄板が重畳して構成されることを特徴とする。
【0019】
また、光源部には内部放熱部が具備されることを特徴とする。
【0020】
また、光源部はLEDで構成されることを特徴とする。
【0021】
また、ランプハウジングの一つには2個以上のリフレクタ部と光源部と熱伝導部材が設置されることができ、かつ2個以上の熱伝導部材は一つの外部放熱部と繋がれることを特徴とする。
【0022】
また、外部放熱部の外側には冷却ファンが設置されることを特徴とする。
【0023】
また、熱伝導部材は多様な形態のワイヤで構成されることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施例を添付した図面に基づいてより詳細に説明する。
【0025】
図2は本発明による照射角の可変用ヘッドランプ装置の放熱構造を示す概略図であり、図3は本発明による熱伝導部材の構造を示すための説明図であり、図4は本発明の第2の実施例を示す概略図であり、図5は本発明の第3の実施例を示す概略図である。
【0026】
先に、図2と図3を参照して本発明を説明すれば、本発明は大きくランプハウジング110とリフレクタ部120と光源部130と外部放熱部140と熱伝導部材150を備える。
【0027】
ランプハウジング110は図示のとおりに他の構成部品が内蔵され、それらを外部から保護して、内部が外部と通じることができないように密閉されて、外部のほこりや水分などがランプハウジング110の内部に流入できないようにする。
【0028】
また、リフレクタ部120はランプハウジング110内に回転軸121を中心に回転が可能に設置され、かつリフレクタ部120は後述する光源部130で発生する光を反射させて光が車の前方に放出される構成である。
【0029】
ここで、リフレクタ部120は回転軸121を中心に左右または上下に回転する構造を成しているのは、従来の技術で説明したように車の運行条件によってヘッドランプの照射角度を変える必要があるためである。
【0030】
すなわち、照射角の可変用ヘッドランプ装置(AFLS;Adaptive Front Lighting System)はステアリングホイールの操向角度によってリフレクタ部120が左右に回転し、車の前方の高低によってリフレクタ部120が上下に回転する必要があるが、回転軸121はこのようなリフレクタ部120の左右または上下の回転が可能なように構成される。
【0031】
一方、光源部130はリフレクタ部120に設置されて光を放出する構成であって、光源部130から発光される光はリフレクタ部120によって反射され、車の前方に放出される。
【0032】
光源部130にはバルブ(Bulb)やLED(Light Emitting Diode)などのさまざまな用品が用いられる。
本発明では光源部130はLEDで構成されたが、光源部130が必ずしもLEDに限定される必要はない。
【0033】
ここで、光源部130は回転軸121によって動くリフレクタ部120に設置されるのでリフレクタ部120が動く際に光源部130も一緒に動くようになる。
【0034】
そして、外部放熱部140はランプハウジング110に設置される際、より效果的な熱放出のために外部放熱部140では外部と接触する表面積をふやすために多数の放熱ピン141が一定の間隔で 離隔されるように設置される。
【0035】
また、光源部130は発光する際に高い熱を発生するので、光源部130の熱を外部放熱部140へ伝達するように光源部130と外部放熱部140を相互連結する熱伝導部材150が設定される。
【0036】
熱伝導部材150は図示のとおり光源部130と外部放熱部140を連結するが、リフレクタ部120と光源部130の動きに対して柔軟に変形されなければならない。
【0037】
すなわち、熱伝導部材150は可撓性(Flexbile)素材となっていてリフレクタ部120が動く時にその動きの邪魔にならないように光源部130と外部放熱部140を連結しなければならない。
【0038】
したがって、リフレクタ部120とともに動く光源部130の熱を熱伝導部材150を通じて外部放熱部140に伝達させ熱放出が效率的に為されるようにする。
【0039】
ここで、熱伝導部材150には熱伝逹の效率が優秀なアルミニウムやあかがね、カーボンなどのさまざまな部品があり、またそこに炭素ナノチューブやグラピンなどの熱伝導率が高い物質を表面にコーティングして熱伝逹の效率を高めることもできるので、その素材は実施者の必要によって適切に選択して使うことができるが、一応熱伝逹がある熱伝導体なら素材の種類に関係なく本発明の権利範囲に属する。
【0040】
また、熱伝導部材150は柔軟に変形する構造であって、熱伝導部材150は多様な形態のワイヤで構成することができて、図3に図示するように少なくとも一つ以上の金属薄板が重畳されるように構成することができるし、多様なチェーン及びベルトの形態で構成することもできる。
【0041】
ここで多様な形態のワイヤと言うのは、ワイヤが単一の筋で成り立つ形態、及び2以上の筋が複合的に組まれて形成される束の形態を含む概念である。
【0042】
この時熱伝導部材150がワイヤ形態になるとよく曲がるようになるのでリフレクタ部120の動きは更に自由になることができるが、断面積の限界によって熱伝逹の效率があまり大きくならないので、図3に図示するように相対的に断面積が大きい少なくとも一つ以上の金属薄板をお互いに重なるように結合させて熱伝逹の效率を増大させながらリフレクタ部120の動きの邪魔にならないで自由自在に曲がることができる構造で構成されることが好ましい。
【0043】
一方、今までは熱伝導部材150が光源部130に直接繋がれる状態を説明したが、より好ましくは光源部130に別途の内部放熱部160が具備されるようにして光源部130と内部放熱部160がお互いに接触し、内部放熱部160と外部放熱部140を熱伝導部材150が連結するようにすることとして、光源部130の熱が内部放熱部160に一旦伝達されて内部放熱部160で1次に放熱された後、放熱されることができなかった残熱が熱伝導部材150を通じて外部放熱部140へ伝達された後2次に放熱されるような構造が良い。
【0044】
また、図2に示したように一つのランプハウジング110には一つのリフレクタ部120と光源部130を内蔵することができるが、光度の増大のために図4の第2の実施例のようにランプハウジング110の一つに少なくとも2個以上のリフレクタ部120と光源部130と熱伝導部材150を設置することもできる。
その際2個以上の熱伝導部材150はその個数に対応するそれぞれの別個の外部放熱部140と繋がれ、図4のように外部放熱部140の大きさを増大させて2個以上の熱伝導部材150が一つの外部放熱部140と繋がれるようにする方が好ましい。
【0045】
一方、外部放熱部140の冷却の效率を高めるためには図5の第3の実施例に示したように外部放熱部140の外側には冷却ファン170を設置しても良い。
【0046】
冷却ファン170は外部放熱部140の放熱を促進するので光源部130の放熱の效果が更に向上する。
【0047】
そして、内部放熱部160と熱伝導部材150の接触面と、熱伝導部材150と外部放熱部140の接触面にはサーマルグリス(Thermal Grease)またはサーマルパッド(Thermal Pad)と称される熱合成物(Thermal Compound)を塗布し、二つの金属の接触面での熱伝逹效率を高めるのが好ましい。
【0048】
本発明によると、リフレクタが左右または上下に回転する照射角の可変用ヘッドランプであって、リフレクタに設置された光源部の熱が熱伝導部材を通じてランプハウジング外に露出された外部放熱部へ伝達するので、光源部の回転によるランプハウジングの外部への熱伝逹の問題が解決されるなど光源部の放熱性能が改善されてヘッドランプの耐久性が増大し、特にLEDの発光の效率及び照度を長時間維持することができる效果がある。
【0049】
以上のとおり本発明を好ましい実施例を用いて詳しく説明したが、本発明の範囲は説明した特定の実施例に限定されるだけでなく、当該技術分野で通常の知識を有する者が本発明の範囲内で構成要素の置き換えと変形を行ったものも本発明の権利に属する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、LEDを光源で使いながら照射角度が条件によって変わるヘッドランプ装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】は従来の照射角の可変用ヘッドランプ装置の放熱構造を示す概略図である。
【図2】は本発明による照射角の可変用ヘッドランプ装置の放熱構造を示す概略図である。
【図3】は本発明による熱伝導部材の構造を示すための説明図である。
【図4】は本発明の第2の実施例を示す概略図である。
【図5】は本発明の第3の実施例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0052】
110 ランプハウジング
120 リフレクタ部
121 回転軸
130 光源部
140 外部放熱部
141 放熱ピン
150 熱伝導部材
160 内部放熱部
170 冷却ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプハウジング110と、
前記ランプハウジング110内に回転軸121を中心に回転可能に設置されるリフレクタ部120と、
前記リフレクタ部120に設置されて光を放出する光源部130と、
前記ランプハウジング110の外部へ熱放出されるように前記ランプハウジング110に設置される外部放熱部140と、
前記光源部130と前記外部放熱部140を連結して前記光源部130の熱を前記外部放熱部140へ伝達せしめ、前記リフレクタ部120と前記光源部130の動きに対して柔軟に変形される熱伝導部材150と、を備えることを特徴とする放熱性能が改善された照射角の可変用ヘッドランプ装置。
【請求項2】
前記熱伝導部材150は少なくとも一つ以上の金属薄板が重畳されて構成されることを特徴とする請求項1に記載の放熱性能が改善された照射角の可変用ヘッドランプ装置。
【請求項3】
前記光源部130には内部放熱部160が具備されることを特徴とする請求項2に記載の放熱性能が改善された照射角の可変用ヘッドランプ装置。
【請求項4】
前記光源部130はLEDで構成されることを特徴とする請求項3に記載の放熱性能が改善された照射角の可変用ヘッドランプ装置。
【請求項5】
前記ランプハウジング110の一つには2個以上のリフレクタ部120と光源部130と熱伝導部材150が設置されることができ、かつその2個以上の熱伝導部材150は一つの外部放熱部140と繋がれることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の放熱性能が改善された照射角の可変用ヘッドランプ装置。
【請求項6】
前記外部放熱部140の外側には冷却ファン170が設置されることを特徴とする請求項5に記載の放熱性能が改善された照射角の可変用ヘッドランプ装置。
【請求項7】
前記熱伝導部材150は多様な形態のワイヤで構成されることを特徴とする請求項1に記載の放熱性能が改善された照射角の可変用ヘッドランプ装置。
【請求項8】
前記熱伝導部材150は多様なチェーン及びベルトの形態で構成されることを特徴とする請求項1に記載の放熱性能が改善された照射角の可変用ヘッドランプ装置。
【請求項9】
前記熱伝導部材150には熱伝導の效率が高い炭素ナノチューブやグラピンが表面にコーティングされることを特徴とする請求項1に記載の放熱性能が改善された照射角の可変用ヘッドランプ装置。
【請求項10】
前記内部放熱部160と前記熱伝導部材150の接触面と、前記熱伝導部材150と前記外部放熱部140の接触面には熱合成物が設置されることを特徴とする請求項3ないし請求項9のいずれか1項に記載の放熱性能が改善された照射角の可変用ヘッドランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−272283(P2009−272283A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203904(P2008−203904)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【Fターム(参考)】