説明

放送受信装置及び放送受信方法

【課題】この発明は、デジタル放送の受信時に、チャンネルが切り替えられてから映像や音声等が得られるまでの時間を、十分に実用的なレベルにまで短縮することができ、ユーザにとっての取り扱いを便利にし得るようにした放送受信装置及び放送受信方法を提供することを目的としている。
【解決手段】デジタル放送用チューナ(27)に対するチャンネル切替時に、切り替えられたチャンネルが複数のワンセグ放送用チューナ(221〜22N)のいずれかで選局されている場合、切り替えられたチャンネルの放送信号を選局しているワンセグ放送用チューナ(221〜22N)の出力に復調及びデコード処理を施しているワンセグデータ処理部(231〜23N)の出力を選択し、デジタルデータ処理部(28)によるデジタル放送用チューナ(27)で選局された放送信号に対する復調及びデコード処理が終了したとき、デジタルデータ処理部(28)の出力を選択して出力するように切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばデジタルテレビジョン放送等の受信に好適する放送受信装置及び放送受信方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、近年では、テレビジョン放送のデジタル化が推進されてきている。例えば、日本国内においては、BS(broadcasting satellite)デジタル放送及び110度CS(communication satellite)デジタル放送等の衛星デジタル放送だけでなく、地上デジタル放送も開始されている。
【0003】
ところで、このデジタルテレビジョン放送では、その放送信号の復調処理及びデコード処理等に要する時間が、アナログテレビジョン放送信号に比べて長く掛かる。このため、デジタルテレビジョン放送を受信する受信装置としては、特にチャンネルが切り替えられてから映像及び音声等が得られるまでの時間を短縮することが強く要求されている。
【0004】
特許文献1には、デジタル放送を受信する複数のチューナを備えておき、1つのチューナで選局したデジタル放送を視聴しているときに、過去のユーザチャンネル遷移履歴に基づいて、ユーザが次に移行する可能性の高いチャンネルを予想し、その予想したチャンネルを他のチューナに選局させておくようにした構成が開示されている。
【特許文献1】特開2005−130087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明は上記事情を考慮してなされたもので、デジタル放送の受信時に、チャンネルが切り替えられてから映像や音声等が得られるまでの時間を、十分に実用的なレベルにまで短縮することができ、ユーザにとっての取り扱いを便利にし得るようにした放送受信装置及び放送受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る放送受信装置は、受信した1セグメント放送から、予め設定されたチューナ設定リストに基づいて、それぞれが所定のチャンネルの放送信号を選局する複数の第1のチューナと、複数の第1のチューナにそれぞれ対応して設けられ、第1のチューナが選局した放送信号に復調及びデコード処理を施す複数の第1の処理手段と、受信した複数セグメントを用いるデジタル放送から、選局操作に基づいて設定された所定のチャンネルの放送信号を選局する第2のチューナと、第2のチューナが選局した放送信号に復調及びデコード処理を施す第2の処理手段と、複数の第1の処理手段及び第2の処理手段からそれぞれ出力される放送データを選択的に出力する切替手段と、選局操作によって第2のチューナに選局させるチャンネルが切り替えられたとき、その切り替えられたチャンネルの放送信号が複数の第1のチューナのいずれかによって選局されているか否かを判別する判別手段と、判別手段で選局されていると判断されたとき、切り替えられたチャンネルの放送信号を選局している第1のチューナの出力に復調及びデコード処理を施している第1の処理手段の出力が選択されるように切替手段を制御し、第2の処理手段による第2のチューナで選局された放送信号に対する復調及びデコード処理が終了したとき、第2の処理手段の出力が選択されるように切替手段を制御する制御手段とを備えるようにしたものである。
【0007】
また、この発明に係る放送受信方法は、複数の第1のチューナが、予め設定されたチューナ設定リストに基づいて、受信した1セグメント放送からそれぞれ所定のチャンネルの放送信号を選局する第1の工程と、複数の第1のチューナにそれぞれ対応して設けられた第1の処理手段が、第1のチューナが選局した放送信号に復調及びデコード処理を施す第2の工程と、第2のチューナが、受信した複数セグメントを用いるデジタル放送から、選局操作に基づいて設定された所定のチャンネルの放送信号を選局する第3の工程と、第2の処理手段が、第2のチューナが選局した放送信号に復調及びデコード処理を施す第4の工程と、選局操作によって第2のチューナに選局させるチャンネルが切り替えられたときに、その切り替えられたチャンネルの放送信号が複数の第1のチューナのいずれかによって選局されているか否かを判別する第5の工程と、第5の工程で選局されていると判断されたとき、切り替えられたチャンネルの放送信号を選局している第1のチューナの出力に復調及びデコード処理を施している第1の処理手段の出力を選択して出力し、第2の処理手段による第2のチューナで選局された放送信号に対する復調及びデコード処理が終了したとき、第2の処理手段の出力を選択して出力するように切り替える第6の工程とを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
上記した発明によれば、第2のチューナに選局させるチャンネルが切り替えられたときに、その切り替えられたチャンネルの放送信号が複数の第1のチューナのいずれかによって選局されている場合、切り替えられたチャンネルの放送信号を選局している第1のチューナの出力に復調及びデコード処理を施している第1の処理手段の出力を選択し出力するように切り替え、第2の処理手段による第2のチューナで選局された放送信号に対する復調及びデコード処理が終了したとき、第2の処理手段の出力を選択して出力するように切り替えている。このため、デジタル放送の受信時に、チャンネルが切り替えられてから映像や音声等が得られるまでの時間を、十分に実用的なレベルにまで短縮することができ、ユーザにとっての取り扱いを便利にすることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態で説明するデジタルテレビジョン放送受信装置11を正面側から見た状態を示している。このデジタルテレビジョン放送受信装置11は、主として、薄型のキャビネット12と、このキャビネット12を支持する支持台13とから構成されている。
【0010】
このうち、キャビネット12には、その正面中央部に例えばSED(surface-conduction electron-emitter display)等でなる平面型表示パネル14が配置されている。また、このキャビネット12には、その平面型表示パネル14の両側に、スピーカ15、操作部16及びワイヤレスのリモートコントローラ17から送出された操作情報を受信するための受信部18等が配置されている。
【0011】
一方、上記した支持台13は、キャビネット12の底面中央部に回動自在に連結されているものである。そして、この支持台13は、例えばテレビ置き台等のような所定の基台19の水平面上に載置されたときに、キャビネット12を起立させた状態で安定に支持するように構成されている。
【0012】
図2は、上記デジタルテレビジョン放送受信装置11の信号処理系を概略的に示している。まず、このデジタルテレビジョン放送受信装置11は、地上デジタル放送の技術規格であるISDB−T(integrated services digital broadcasting for terrestrial)方式に準拠した移動受信向けサービスである1セグメント放送(以下、ワンセグ放送という)を受信するワンセグ放送受信部20を備えている。
【0013】
このワンセグ放送受信部20は、アンテナ21を介してワンセグ放送を受信し、その放送内容を再生するものである。このワンセグ放送受信部20は、複数(N個)のワンセグ放送用チューナ221,222,223,……,22Nと、これらワンセグ放送用チューナ221〜22Nそれぞれに対応して接続されるワンセグデータ処理部231,232,233,……,23Nとから構成されている。
【0014】
このうち、各ワンセグ放送用チューナ221〜22Nは、それぞれ、アンテナ21を介して受信したワンセグ放送から、制御部24より出力されたチャンネル選局信号で指示されるチャンネルの放送信号を選局し、その選局したワンセグ放送信号を出力している。この場合、各ワンセグ放送用チューナ221〜22Nは、それぞれ異なるチャンネルを選局することができる。
【0015】
また、各ワンセグデータ処理部231〜23Nは、それぞれ、対応して接続されたワンセグ放送用チューナ221〜22Nから出力されるワンセグ放送信号に対して、例えばOFDM(orthogonal frequency division multiplexing)復調処理及びデコード処理等の各種処理を施すことにより、映像及び音声を再生可能なワンセグ放送データを生成し、切替部25に出力している。
【0016】
また、上記デジタルテレビジョン放送受信装置11は、例えば12セグメントのように複数のセグメントを用いた固定受信向けサービスであるデジタル放送を受信するデジタル放送受信部26を備えている。このデジタル放送受信部26は、アンテナ21を介して複数セグメントによるデジタル放送を受信し、その放送内容を再生するものである。
【0017】
すなわち、このデジタル放送受信部26は、デジタル放送用チューナ27とデジタルデータ処理部28とから構成されている。まず、デジタル放送用チューナ27は、アンテナ21を介して受信したデジタル放送から、制御部24より出力されたチャンネル選局信号で指示されるチャンネルの放送信号を選局し、その選局したデジタル放送信号を出力している。
【0018】
また、上記デジタルデータ処理部28は、デジタル放送用チューナ27から出力されたデジタル放送信号に対して、例えばOFDM復調処理及びデコード処理等の各種処理を施すことにより、映像及び音声を再生可能なデジタル放送データを生成し、上記切替部25に出力している。なお、デジタルデータ処理部28は、上記の処理を終了すると、処理終了信号を制御部24に出力する。
【0019】
上記切替部25は、各ワンセグデータ処理部231〜23N及びデジタルデータ処理部28からそれぞれ出力される放送データの中から、制御部24より出力された切替信号で指示される1つの放送データを選択し、その選択された放送データの映像成分及び音声成分を映像処理部29及び音声処理部30にそれぞれ出力している。
【0020】
このうち、映像処理部29は、入力された放送データの映像成分に対して、上記平面型表示パネル14で映像表示させるための所定の信号処理を施し、平面型表示パネル14に映像表示させている。また、音声処理部30は、入力された放送データの音声成分に対して、上記スピーカ15で音声再生させるための所定の信号処理を施し、スピーカ15で音声再生させている。
【0021】
なお、上記制御部24は、このデジタルテレビジョン放送受信装置11における上記した各種の受信動作を含む種々の動作を統括的に制御している。この場合、制御部24は、上記した操作部16及びリモートコントローラ17等を含む操作入力部31からの操作情報を受けることにより、その操作内容が反映されるように各部をそれぞれ制御している。
【0022】
図3は、上記切替部25の一例を示している。すなわち、切替部25は、データ選択部32と出力制御部33とを備えている。このうち、データ選択部32は、各ワンセグデータ処理部231〜23N及びデジタルデータ処理部28から出力された放送データの中から、いずれか1つの放送データを選択して出力制御部33に出力するものである。この選択は、上記制御部24に設けられた切替制御部34から出力される切替信号に基づいて行なわれる。また、上記出力制御部33は、データ選択部32から出力された放送データのうち、映像成分を映像処理部29に出力し、音声成分を音声処理部30に出力するように制御している。
【0023】
図4は、上記制御部24の一例を示している。この制御部24は、上記した切替制御部34に加えて、ワンセグチューナ制御部35、デジタルチューナ制御部36、チャンネル検索部37、記憶部38及び視聴番組予測部39等を備えている。
【0024】
このうち、チャンネル検索部37は、操作入力部31から出力された選局情報に基づいて、ユーザが指定した放送局が放送しているデジタル放送のチャンネルを検索する。この検索は、記憶部38に格納されたチャンネル対応リスト40を参照することによって行なわれる。チャンネル検索部37は、検索結果をデジタルチューナ制御部36及びワンセグチューナ制御部35に出力する。
【0025】
また、上記記憶部38は、上記チャンネル対応リスト40の他に、チューナ設定リスト41を格納するとともに、ユーザの過去の視聴履歴を蓄積するための履歴蓄積部42を備えている。チャンネル対応リスト40は、各放送局で放送しているデジタル放送のチャンネルと、そのチャンネルの周波数とが対応して登録されている。チューナ設定リスト41は、図5に示すように、各ワンセグ放送用チューナ221〜22Nの機器識別番号(ID)と、それぞれのワンセグ放送用チューナ221〜22Nに設定するチャンネル及びその周波数とが登録されている。
【0026】
そして、デジタルチューナ制御部36は、チャンネル検索部37から出力された検索結果に基づいて、チャンネル選局信号をデジタル放送用チューナ27に出力し、デジタル放送用チューナ27に対して選局させるべきチャンネルの設定を実行する。
【0027】
また、ワンセグチューナ制御部35は、記憶部38に格納されているチューナ設定リスト41を参照し、それに基づいて各ワンセグ放送用チューナ221〜22Nに対してそれぞれ選局させるべきチャンネルの設定を実行する。このような各ワンセグ放送用チューナ221〜22Nに対するチャンネルの設定は、デジタルテレビジョン放送受信装置11が起動される毎、または、ワンセグ放送の受信が要求されてワンセグチューナ制御部35が駆動される毎に行なわれる。また、ワンセグチューナ制御部35は、切替制御部34からの停止命令に基づいて、各ワンセグ放送用チューナ221〜22Nの選局動作を停止させることができる。
【0028】
この切替制御部34は、上記切替部25に供給する切替信号を生成している。この切替制御部34は、チャンネル検索部37から出力される検索終了情報及びチャンネル情報、デジタルデータ処理部28から出力される処理終了信号、チューナ設定リスト41から出力されるチューナ情報等に基づいて、切替部25の出力を切り替えるための切替信号を生成している。また、切替制御部34は、切替信号を出力した後に、各ワンセグ放送用チューナ221〜22Nの選局動作を停止させる停止命令を、ワンセグチューナ制御部35に出力することもできる。
【0029】
図6は、このデジタルテレビジョン放送受信装置11における選局処理動作の一例をまとめたフローチャートを示している。すなわち、処理が開始(ステップS1)されると、ステップS2で、ユーザのチャンネル切替操作により、所望の放送局を示す選局情報が、操作入力部31からチャンネル検索部37に入力される。このチャンネル切替操作は、例えば、ユーザが視聴したい番組を放送している放送局のチャンネル番号を数字キー等の操作により入力すること、または、平面型表示パネル14に表示された番組表画面等から所望の放送局のチャンネルを選択することにより行なわれる。
【0030】
すると、選局情報を受け取ったチャンネル検索部37は、ステップS3で、記憶部38にアクセスし、入力された選局情報が示す放送局に対応するデジタル放送のチャンネルをチャンネル対応リスト40から検索する。この検索が終了すると、チャンネル検索部37は、検索結果をデジタルチューナ制御部36及びワンセグチューナ制御部35に出力するとともに、検索終了情報を切替制御部34に出力する。
【0031】
そして、チャンネル検索部37からの検索結果を受け取ったデジタルチューナ制御部36は、ステップS4で、チャンネル選局信号をデジタル放送用チューナ27に出力する。これにより、デジタル放送用チューナ27は、チャンネル検索部37によって検索されたチャンネルに対応するデジタル放送信号の選局動作を実行する。
【0032】
デジタル放送用チューナ27は、指定されたチャンネルのデジタル放送信号を選局し、その選局されたデジタル放送信号をデジタルデータ処理部28に出力する。すると、デジタルデータ処理部28は、ステップS5で、デジタル放送用チューナ27から受け取ったデジタル放送信号に対して、映像及び音声に再生可能なデジタル放送データに変換するための、OFDM復調処理及びデコード処理等の各種処理を開始する。
【0033】
このようにデジタルデータ処理部28の処理が開始された状態において、上記切替制御部34は、ステップS6で、記憶部38に格納されているチューナ設定リスト41を参照して、各ワンセグ放送用チューナ221〜22Nのチューナ情報、つまり、各ワンセグ放送用チューナ221〜22Nが現在受信しているチャンネル情報を取得し、それらのチャンネル情報の中にチャンネル検索部37から出力されたチャンネル情報が含まれているか否かを判別する。
【0034】
そして、含まれていると判断された場合(YES)、切替制御部34は、チャンネル検索部37からの検索終了情報を受け取ると、ステップS7で、切替部25のデータ選択部32に切替信号を出力する。この切替信号は、各ワンセグデータ処理部231〜23Nからそれぞれ出力されるワンセグ放送データのうち、先にステップS2でユーザが選局したチャンネルに対応するワンセグ放送データが選択出力されるように、データ選択部32を制御するものである。これにより、デジタルデータ処理部28から処理後のデジタル放送データが出力されるのに先立って、既に処理の終了している同じチャンネルのワンセグ放送データが出力され、ユーザの視聴に供されるようになる。
【0035】
その後、デジタルデータ処理部28でのデジタル放送データの処理が終了すると、処理後のデジタル放送データがデータ選択部32に供給される。また、デジタル放送データの処理が終了すると、デジタルデータ処理部28は、処理終了信号を切替制御部34に出力するようになる。
【0036】
このため、切替制御部34は、ステップS8で、デジタルデータ処理部28から処理終了信号が供給されたか否かを判別し、供給されたと判断された場合(YES)、デジタルデータ処理部28における処理が終了したと判断し、ステップS9で、デジタルデータ処理部28から出力されたデジタル放送データが選択出力されるようにデータ選択部32を制御して、処理を終了(ステップS10)する。
【0037】
また、上記ステップS6で含まれていないと判断された場合(NO)、上記切替制御部34は、ステップS9の処理に移行し、デジタルデータ処理部28から出力されたデジタル放送データが選択出力されるようにデータ選択部32を制御して、処理を終了(ステップS10)する。
【0038】
なお、図6に示したフローチャートは、デジタルテレビジョン放送受信装置11が全てのワンセグ放送チャンネル数分だけ、ワンセグ放送用チューナ221〜22Nを装備していない場合の処理動作を示している。ワンセグ放送チューナ221〜22Nがワンセグ放送の全チャンネル数分だけ装備されている場合は、ステップS6の判定処理が省略され、ステップS5からステップS7に移行するフローチャートとなる。
【0039】
すなわち、操作入力部31を介してユーザがチャンネルを選局すると、切替制御部34は、切替部25のデータ選択部32に対して、各ワンセグデータ処理部231〜23Nから出力されるワンセグ放送データのうち、ユーザが選局したチャンネルに対応するワンセグ放送データを選択出力するように切替信号を出力する。以後、デジタルデータ処理部28の処理が終了すると、ワンセグ放送データに代えてデジタル放送データが選択出力されるようにデータ選択部32が制御される。
【0040】
図7は、ワンセグ放送受信部20の出力とデジタル放送受信部27の出力とを、上記したように切り替えるための、切替部25の切り替え動作タイミングを示している。まず、ユーザによるデジタル放送受信部27のチャンネル選局操作が行なわれる時点(選局操作時点)T1より前において、ワンセグ放送受信部20では、各ワンセグデータ処理部231〜23Nからワンセグ放送データが出力されており、切替部25で選択されればいつでも出力可能な状態となっている。また、デジタル放送受信部26では、デジタルデータ処理部28が他のチャンネルのデジタル放送データを処理して出力しており、このデジタル放送データが切替部25で選択されて視聴に供されている。
【0041】
そして、上記選局操作時点T1に達すると、デジタル放送受信部26では、デジタルデータ処理部28が新たに選局されたチャンネルのデジタル放送信号に対する処理を開始する。このとき、ワンセグ放送受信部20から出力される各ワンセグ放送データのうち、新たに選局されたチャンネルに対応するワンセグ放送データが出力されるように切替部25が切り替えられる。これにより、選局操作時点T1以後、デジタル放送データに代えてワンセグ放送データによる視聴が行なわれる。
【0042】
その後、デジタルデータ処理部28の処理が終了し、新たに選局されたチャンネルに対応したデジタル放送データを出力可能な時点(出力切替時点)T2に達すると、切替部25が、デジタルデータ処理部28から出力されるデジタル放送データを出力するように切り替えられる。これにより、出力切替時点T2以後、ワンセグ放送データに代えてデジタル放送データによる視聴が行なわれる。
【0043】
次に、上記した視聴番組予測部39について説明する。この視聴番組予測部39は、ユーザが現在視聴しているチャンネルから、次に切り替える可能性の高いチャンネルを予測し、その予測結果であるチャンネル更新情報を記憶部38のチューナ設定リスト41に出力して更新している。これにより、ワンセグ放送受信部20の各ワンセグ放送用チューナ221〜22Nに、ユーザが次に切り替える可能性の高いチャンネルを予め選局させ、ワンセグデータ処理部231〜23Nで処理させておくことができる。
【0044】
この視聴番組予測部39におけるチャンネル予測手段としては、例えば、操作入力部31を介して入力されたユーザ識別情報及び時間情報と履歴蓄積部42に蓄積された履歴情報とから、ユーザの嗜好に合わせた視聴チャンネルを予測するものが挙げられる(特開2006−254076号公報参照)。また、この他にも、平面型表示パネル14に表示された番組表画面等から放送局のチャンネルを選択する操作に基づいて次の視聴チャンネル番組を予測するもの、操作入力部31が備えるチャンネルアップダウンキーの操作に基づいて次の視聴チャンネルを予測するもの、キーワードまたはジャンルの設定に基づいて次の視聴チャンネルを予測するもの等が考えられる。
【0045】
図8及び図9は、上記視聴番組予測部39がチューナ設定リスト41の更新を行なう処理動作の一例をまとめたフローチャートを示している。すなわち、チューナ設定リスト41を更新する処理が開始(ステップS11)されると、視聴番組予測部39は、ステップS12で、このデジタルテレビジョン放送受信装置11に接続されているワンセグ放送用チューナ221〜22Nの数を取得する。
【0046】
次に、視聴番組予測部39は、ステップS13で、選局操作が行なわれた時刻と入力されたユーザ識別情報とを取得し、ステップS14で、履歴蓄積部42からユーザの過去の視聴履歴情報を取得する。そして、視聴番組予測部39は、ステップS15で、視聴履歴情報に基づいてユーザの嗜好を調査し、ユーザが次に変更するチャンネルを予測する。
【0047】
その後、視聴番組予測部39は、ステップS16で、例えば、履歴蓄積部42から取得した視聴履歴情報に基づいて、選局操作が行なわれた時刻でユーザが変更する可能性の高いチャンネル順に優先度を設定し、その設定されたチャンネル順に応じてチューナ設定リスト41を更新する。
【0048】
なお、ユーザ識別情報としては、操作入力部31でのキー操作により入力するだけでなく、例えば、操作入力部31または平面型表示パネル14に搭載されている画像認識センサーや指紋認証センサー等を用いて入力することもできるし、平面型表示パネル14に表示されたユーザ識別用画面をタッチ操作して直接入力することもできる。また、携帯機器で撮影したユーザの顔画像情報を、赤外線、インターネットまたはBluetooth(登録商標)等の伝送手段を介してデジタルテレビジョン放送受信装置11に送信し、デジタルテレビジョン放送受信装置11が顔画像情報を解析してどのユーザかを認識させるようにすることもできる。
【0049】
次に、ステップS17で、ユーザが所望の放送局のチャンネルを選局する選局操作を実行する。この選局操作としては、例えば、ユーザが視聴したい番組を放送している放送局のチャンネル番号を操作入力部31のキー操作により入力すること、または、平面型表示パネル14に表示された番組表画面等から所望の放送局のチャンネルを選択すること等により行なわれる。そして、チューナ設定リスト41を更新する方法は、それぞれの選局操作によって異なる。そこで、チューナ設定リスト41には、どの選局操作方法でリストが更新されたのかを示す変数も格納されている。
【0050】
まず、ステップS17で平面型表示パネル14に表示された番組表画面等から所望の放送局のチャンネルを選択する場合(S17a)には、ステップS18で、平面型表示パネル14に番組表画面を表示させ、ステップS19で、番組表画面上でのカーソルが置かれている位置を示す情報及びページの情報等を取得する。そして、ステップS20で、先に取得したカーソルの位置情報及び番組表のページ情報からユーザが変更する可能性の高いチャンネルを予測し、各予測チャンネルに優先度を付ける。その後、ステップS21で、その優先度情報に基づいてチューナ設定リスト41を更新し、ステップS22で、チャンネル選択の有無を判別し、有りの場合(YES)、ステップS18の処理に戻され、無しの場合(NO)、ステップS17の処理に戻される。
【0051】
図10は、平面型表示パネル14に表示された番組表画面の一例を示している。今、C局の1つの番組にカーソルK(図ではハッチングで示す)が合わせられているとすると、カーソルKが合わせられているチャンネル(C局)が最も優先度が高く、その両隣のチャンネル(B局、D局)が次に優先度が高く、さらにその隣のチャンネル(A局、E局)はその次に優先度が高いというように優先度が付けられる。すなわち、カーソルKの付されたチャンネルに近い位置に表示されているチャンネルほど優先度が高く、遠い位置に表示されているチャンネルほど優先度が低くなるように設定される。このように設定された優先度情報に基づいて、視聴番組予測部39は、チューナ設定リスト41を更新する。
【0052】
また、ステップS17で操作入力部31に用意されたキーワードキーやジャンルキーを操作して所望の放送局のチャンネルを選択する場合(S17b)には、ステップS23で、そのキーワードまたはジャンルに対応する番組を電子番組表から検索する。そして、ステップS24で、検索したチャンネルからユーザが変更する可能性の高いチャンネルを予測し、各予測チャンネルに優先度を付け、ステップS25で、その優先度情報に基づいてチューナ設定リスト41を更新し、ステップS17の処理に戻される。
【0053】
ここで、検索結果が複数あった場合は、履歴蓄積部42からユーザの視聴履歴情報を取得し、その情報に基づいて優先度付けを行ない、それに基づいてチューナ設定リスト41の更新を行なうようにすることもできる。また、キーワードやジャンルは、平面型表示パネル14に表示されたメニュー画面等から入力することもできる。さらに、設定可能なキーワードやジャンルは、ユーザが任意に入力することができるようにしてもよいものである。
【0054】
また、ステップS17で操作入力部31に用意されたチャンネルアップダウンキーを操作して所望の放送局のチャンネルを選択する場合(S17c)には、ステップS26で、ザッピングモードが有効であるか否かを判別し、ザッピングモードが有効でない場合(NO)、ステップS27で、アップまたはダウン方向のどちら側にチャンネルを切り替えるのかを検知し、ステップS28で、その検知結果に基づいてチューナ設定リスト41を更新し、ステップS17の処理に戻される。なお、上記ザッピングモードは、平面型表示パネル14に表示されたメニュー画面から、または、操作入力部31に用意されたザッピングモード設定キーを操作することにより設定される。
【0055】
図11及び図12は、チャンネルアップダウンキーを用いてチャンネルを切り替えたときのチューナ設定リスト41の更新の一例を示している。図11及び図12では、ワンセグ放送用チューナ221〜22Nの台数を5台としている。そして、図11では、そのチャンネル及び周波数の列に対して、操作入力部31に用意されたチャンネルアップダウンキーを操作したときの昇順または降順の並びになるように、チャンネル情報が格納されている。
【0056】
このような状態で、図12に示すように、チャンネルアップダウンキーが操作された場合、現在視聴中のチャンネルを中心にしてチャンネルアップ方向及びダウン方向に同程度に優先度が振り分けられるように、チューナ設定リスト41を更新する。例えば、図11にハッチングで示すように25チャンネルが選局されている状態で、チャンネルダウンキーが操作されて、図12にハッチングで示すように24チャンネルが選局された場合、このチャンネル切替方向とは逆のチャンネルアップ方向にあるチャンネル(27チャンネル)をリストから削除し、チャンネルダウン方向の新たなチャンネル(23チャンネル)をリストに追加するように、視聴番組予測部39からチューナ設定リスト41に更新情報が出力される。そして、チューナ設定リスト41は、その更新情報に基づいて更新される。
【0057】
また、ステップS17で操作入力部31に用意されたザッピングボタンを操作して所望の放送局のチャンネルを選択する場合(S17d)、または、上記ステップS26でザッピングモードが有効である場合(YES)には、ステップS29で、チューナ設定リスト41で最も優先度が高く設定されている、つまり、ワンセグ放送用チューナで既に選局が行なわれているチャンネルに切り替え、チャンネル切替前にチューナ設定リスト41がどの方法で更新されたかをチェックし、ステップS30で、前回の更新方法と同様の方法でチューナ設定リスト41を更新する。ここで、ステップS29の処理では、最も優先度の高いチャンネルが選択されたので、前回の設定では選ばれなかったチャンネルを新たにチューナ設定リスト41に設定する。また、このとき、切替前のチャンネルも、同時にチューナ設定リスト41に追加してもよいものである。
【0058】
また、ステップS17で操作入力部31に用意されたチャンネルキーを操作して所望の放送局のチャンネルを選択する場合(S17e)には、ステップS31で、操作されたチャンネルキーに対応するチャンネルの選局を実行する。そして、ステップS32で、選局操作を行なった時刻とユーザ識別情報とに基づいて、履歴蓄積部42からユーザの過去の視聴履歴情報を取得する。そして、ステップS33で、履歴蓄積部42から取得した情報に基づいて、ユーザの嗜好を調査し、ユーザが次に変更するチャンネルを予測する。その後、ステップS34で、例えば、履歴蓄積部42から取得した視聴履歴情報に基づいて、選局操作が行なわれた時刻でユーザが変更する可能性の高いチャンネル順に優先度を設定し、その設定されたチャンネル順に応じてチューナ設定リスト41を更新し、ステップS17の処理に戻される。
【0059】
図8及び図9に示した一連の処理動作は、例えば、操作入力部31を操作した場合や、デジタルテレビジョン放送受信装置11が起動した場合に開始されるようにすることができる。また、操作入力部31や平面型表示パネル14等に人が近づいたことを感知するセンサーを搭載し、そのセンサーから出力される信号に基づいて、予測動作を開始させることもできる。
【0060】
さらに、上記したチャンネルの予測処理に基づいてチューナ設定リスト42が更新された後に、ワンセグ放送受信部20が選局を行なっているチャンネルを、ユーザに知らせる機能を搭載することができる。例えば、操作入力部31に用意されたチャンネルキーにLED(light emitting diode)を埋設し、選局しているチャンネルに対応するキーのLEDを発光させたり、平面型表示パネル14に選局しているチャンネルを表示させたりすることができる。
【0061】
図13は、上記したデジタルテレビジョン放送受信装置11の変形例を示している。図13において、図2と同一部分には同一符号を付して説明すると、デジタル放送受信部26において、デジタル放送用チューナ27とデジタルデータ処理部28との間に、遅延手段としてのバッファ43が介挿接続されている。なお、バッファ43としては、例えばメモリやレジスタ等の記憶装置で構成される。
【0062】
すなわち、ワンセグ放送信号の復調及びデコード処理に要する時間は、デジタル放送信号の復調及びデコード処理に要する時間よりも長くかかる。このため、ワンセグ放送信号とデジタル放送信号とに同時に復調及びデコード処理を施した場合、ワンセグ放送の映像は、デジタル放送の映像よりも遅れて表示される。したがって、このデジタルテレビジョン放送受信装置11において、デジタル放送信号に対する復調及びデコード処理が終了して映像表示可能になった直後に、ワンセグ放送の出力からデジタル放送の出力に切り替えると、ワンセグ放送の内容よりも後の放送内容が表示される。すなわち、切り替えることによって、内容が飛んで不連続なものとなる。
【0063】
そこで、図13に示したように、デジタル放送用チューナ27の後にバッファ43を接続し、デジタル放送信号を遅延させて、デジタル放送をワンセグ放送に同期させることにより、ワンセグ放送からデジタル放送に切り替えたときの映像の連結をスムーズにすることができる。このため、バッファ43としては、ワンセグ放送信号の処理に要する時間からデジタル放送信号の処理に要する時間を差し引いた時間だけ、デジタル放送信号を遅らせるように設定される。
【0064】
図14は、上記したデジタルテレビジョン放送受信装置11のさらに他の変形例を示している。図14において、図4と同一部分には同一符号を付して説明すると、デジタル放送受信部26が、複数(N個)のデジタル放送用チューナ271,272,……,27Nと、これらデジタル放送用チューナ271〜27Nそれぞれに対応して接続されるデジタルデータ処理部281,282,……,28Nとを備えている。
【0065】
この場合、優先度の高いチャンネルがデジタル放送用チューナ271〜27Nに割り振られるようにチューナ設定リスト41が更新される。また、ワンセグ用及びデジタル用を含めて、チャンネルがどのチューナ221〜22N,271〜27Nに割り振られたのかを示す変数も、チューナ設定リスト42に格納される。
【0066】
なお、ワンセグ放送用チューナ221〜22Nとデジタル放送用チューナ271〜27Nとを混在させる構成の他に、全てのチューナをデジタル放送用チューナ271〜27Nにする構成も考えられる。
【0067】
図15は、複数のワンセグ放送用チューナ221〜22Nと複数のデジタル放送用チューナ271〜27Nとが混在している場合における選局処理動作の一例をまとめたフローチャートを示している。すなわち、処理が開始(ステップS35)されると、ステップS36で、ユーザのチャンネル切替操作により、所望の放送局を示す選局情報が、操作入力部31からチャンネル検索部37に入力される。このチャンネル切替操作は、例えば、ユーザが視聴したい番組を放送している放送局のチャンネル番号を数字キー等の操作により入力すること、または、平面型表示パネル14に表示された番組表画面等から所望の放送局のチャンネルを選択することにより行なわれる。
【0068】
その後、上記切替制御部34は、ステップS37で、記憶部38に格納されているチューナ設定リスト41を参照して、各デジタル放送用チューナ271〜27Nのチューナ情報、つまり、各デジタル放送用チューナ271〜27Nが現在受信しているチャンネル情報を取得し、それらのチャンネル情報の中にチャンネル検索部37から出力されたチャンネル情報が含まれているか否かを判別する。
【0069】
そして、含まれていないと判断された場合(NO)、選局情報を受け取ったチャンネル検索部37は、ステップS38で、記憶部38にアクセスし、入力された選局情報が示す放送局に対応するデジタル放送のチャンネルをチャンネル対応リスト40から検索する。この検索が終了すると、チャンネル検索部37は、検索結果をデジタルチューナ制御部36及びワンセグチューナ制御部35に出力するとともに、検索終了情報を切替制御部34に出力する。
【0070】
その後、チャンネル検索部37からの検索結果を受け取ったデジタルチューナ制御部36は、ステップS39で、チャンネル選局信号を暫定的にメインチューナとして設定されているデジタル放送用チューナ271に出力する。これにより、デジタル放送用チューナ271は、チャンネル検索部37によって検索されたチャンネルに対応するデジタル放送信号の選局動作を実行する。
【0071】
デジタル放送用チューナ271は、指定されたチャンネルのデジタル放送信号を選局して、その選局されたデジタル放送信号をデジタルデータ処理部281に出力する。これにより、デジタルデータ処理部281は、ステップS40で、デジタル放送用チューナ271から受け取ったデジタル放送信号に対して、映像及び音声に再生可能なデジタル放送データに変換するための、OFDM復調処理及びデコード処理等の各種処理を開始する。
【0072】
このようにデジタルデータ処理部281の処理が開始された状態において、上記切替制御部34は、ステップS41で、記憶部38に格納されているチューナ設定リスト41を参照して、各ワンセグ放送用チューナ221〜22Nのチューナ情報、つまり、各ワンセグ放送用チューナ221〜22Nが現在受信しているチャンネル情報を取得し、それらのチャンネル情報の中にチャンネル検索部37から出力されたチャンネル情報が含まれているか否かを判別する。
【0073】
そして、含まれていると判断された場合(YES)、切替制御部34は、チャンネル検索部37からの検索終了情報を受け取ると、ステップS42で、切替部25のデータ選択部32に切替信号を出力する。この切替信号は、各ワンセグデータ処理部231〜23Nからそれぞれ出力されるワンセグ放送データのうち、先にステップS36でユーザが選局したチャンネルに対応するワンセグ放送データが選択出力されるように、データ選択部32を制御するものである。これにより、デジタルデータ処理部281から処理後のデジタル放送データが出力されるのに先立って、既に処理の終了している同じチャンネルのワンセグ放送データが出力され、ユーザの視聴に供されるようになる。
【0074】
その後、デジタルデータ処理部281でのデジタル放送データの処理が終了すると、処理後のデジタル放送データがデータ選択部32に供給される。また、デジタル放送データの処理が終了すると、デジタルデータ処理部281は、処理終了信号を切替制御部34に出力するようになる。
【0075】
このため、切替制御部34は、ステップS43で、デジタルデータ処理部281から処理終了信号が供給されたか否かを判別し、供給されたと判断された場合(YES)、デジタルデータ処理部281における処理が終了したと判断し、ステップS44で、デジタルデータ処理部281から出力されたデジタル放送データが選択出力されるようにデータ選択部32を制御して、処理を終了(ステップS47)する。
【0076】
また、上記ステップS41で含まれていないと判断された場合(NO)、上記切替制御部34は、ステップS44の処理に移行し、デジタルデータ処理部281から出力されたデジタル放送データが選択出力されるようにデータ選択部32を制御して、処理を終了(ステップS47)する。
【0077】
さらに、上記ステップS37で含まれていると判断された場合(YES)、切替制御部34は、ステップS45で、各デジタルデータ処理部281〜28Nから出力されているデジタル放送信号のうち、先にステップS36でユーザが選局したチャンネルに対応するデジタル放送データが選択出力されるようにデータ選択部32を制御する。その後、ステップS46で、メインチューナを変更して、処理を終了(ステップS47)する。
【0078】
ここで、上記制御部24や切替部25等の処理は、複数のCPU(central processing unit)を用いてソフトウエアで実行することができる。また、ワンセグデータ処理部231〜23N及びデジタルデータ処理部28,281〜28N等の処理も、複数のCPUを用いてソフトウエアで実行することができる。このような構成にして、各チューナ221〜22N,27,271〜27Nから得られる放送信号を時分割に処理することにより、ハードウエア資源を節約することができる。
【0079】
さらに、デジタル放送用チューナ27,271〜27N及びワンセグ放送用チューナ221〜22N等は、デジタルテレビジョン放送受信装置11に内蔵されているものばかりでなく、外部装置としてインターネットまたは各種通信ケーブル等を介して接続されているものであっても良いことはもちろんである。
【0080】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明の実施の形態を示すもので、デジタルテレビジョン放送受信装置の外観を説明するために示す正面図。
【図2】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置の信号処理系を説明するために示すブロック構成図。
【図3】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置の切替部の一例を説明するために示すブロック構成図。
【図4】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置の制御部の一例を説明するために示すブロック構成図。
【図5】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置の記憶部に格納されたチューナ設定リストを説明するために示す図。
【図6】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置が行なう選局処理動作の一例を説明するために示すフローチャート。
【図7】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置が行なう選局処理の切り替え動作タイミングを説明するために示す図。
【図8】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置が行なうチューナ設定リストの更新処理動作の一部を説明するために示すフローチャート。
【図9】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置が行なうチューナ設定リストの更新処理動作の残部を説明するために示すフローチャート。
【図10】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置で表示される番組表画面の一例を説明するために示す図。
【図11】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置が格納するチューナ設定リストの更新前の状態を説明するために示す図。
【図12】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置が格納するチューナ設定リストの更新後の状態を説明するために示す図。
【図13】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置の変形例を説明するために示すブロック構成図。
【図14】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置のさらに他の変形例を説明するために示すブロック構成図。
【図15】同実施の形態におけるデジタルテレビジョン放送受信装置のさらに他の変形例で行なわれる選局処理動作の一例を説明するために示すフローチャート。
【符号の説明】
【0082】
11…デジタルテレビジョン放送受信装置、12…キャビネット、13…支持台、14…平面型表示パネル、15…スピーカ、16…操作部、17…リモートコントローラ、18…受信部、19…基台、20…ワンセグ放送受信部、21…アンテナ、221〜22N…ワンセグ放送用チューナ、231〜23N…ワンセグデータ処理部、24…制御部、25…切替部、26…デジタル放送受信部、27…デジタル放送用チューナ、271〜27N…デジタル放送用チューナ、28…デジタルデータ処理部、281〜28N…デジタルデータ処理部、29…映像処理部、30…音声処理部、31…操作入力部、32…データ選択部、33…出力制御部、34…切替制御部、35…ワンセグチューナ制御部、36…デジタルチューナ制御部、37…チャンネル検索部、38…記憶部、39…視聴番組予測部、40…チャンネル対応リスト、41…チューナ設定リスト、42…履歴蓄積部、43…バッファ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した1セグメント放送から、予め設定されたチューナ設定リストに基づいて、それぞれが所定のチャンネルの放送信号を選局する複数の第1のチューナと、
前記複数の第1のチューナにそれぞれ対応して設けられ、前記第1のチューナが選局した放送信号に復調及びデコード処理を施す複数の第1の処理手段と、
受信した複数セグメントを用いるデジタル放送から、選局操作に基づいて設定された所定のチャンネルの放送信号を選局する第2のチューナと、
前記第2のチューナが選局した放送信号に復調及びデコード処理を施す第2の処理手段と、
前記複数の第1の処理手段及び前記第2の処理手段からそれぞれ出力される放送データを選択的に出力する切替手段と、
前記選局操作によって前記第2のチューナに選局させるチャンネルが切り替えられたとき、その切り替えられたチャンネルの放送信号が前記複数の第1のチューナのいずれかによって選局されているか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段で選局されていると判断されたとき、前記切り替えられたチャンネルの放送信号を選局している前記第1のチューナの出力に復調及びデコード処理を施している前記第1の処理手段の出力が選択されるように前記切替手段を制御し、前記第2の処理手段による前記第2のチューナで選局された放送信号に対する復調及びデコード処理が終了したとき、前記第2の処理手段の出力が選択されるように前記切替手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記第2のチューナで選局された放送信号を、前記第2の処理手段から出力される放送データが、前記第1の処理手段から出力される放送データに同期するように遅延させる遅延手段を具備することを特徴とする請求項1記載の放送受信装置。
【請求項3】
視聴履歴情報を蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積された視聴履歴情報に基づいて、次に切り替えられる可能性の高いチャンネルを予測し、その予測したチャンネルが選局されるように前記チューナ設定リストを更新する更新手段を具備することを特徴とする請求項1記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記更新手段は、予測したチャンネルのうち、次に切り替えられる可能性の高いチャンネル順に優先度を設定し、優先度の高いチャンネルから選局されるように前記チューナ設定リストを更新することを特徴とする請求項3記載の放送受信装置。
【請求項5】
前記更新手段は、表示された番組表画面から切り替えるチャンネルを選択する選局操作が行なわれたとき、前記番組表画面上で、選局されたチャンネルに隣接して表示されているチャンネルの優先度を最も高くし、選局されたチャンネルから表示位置が離れるチャンネルほど優先度が低くなるように前記チューナ設定リストを更新することを特徴とする請求項4記載の放送受信装置。
【請求項6】
前記更新手段は、チャンネルアップダウンキーによる選局操作が行なわれたとき、前記チャンネルアップダウンキーで選局されるチャンネルの並び順に対して、選局されたチャンネルの直前または直後後に存在するチャンネルの優先度を高くし、選局されたチャンネルから離れるチャンネルほど優先度が低くなるように前記チューナ設定リストを更新することを特徴とする請求項4記載の放送受信装置。
【請求項7】
前記更新手段は、前記チャンネルアップダウンキーによる選局操作が行なわれたとき、チャンネルの切り替えられていく方向と逆方向に存在するチャンネルを前記チューナ設定リストから削除し、チャンネルの切り替えられていく方向に存在するチャンネルを前記チューナ設定リストに追加するように前記チューナ設定リストを更新することを特徴とする請求項6記載の放送受信装置。
【請求項8】
前記更新手段は、キーワードまたはジャンルを指定しての選局操作が行なわれたとき、指定されたキーワードまたはジャンルに対応するチャンネルの中から、切り替えられる可能性の高いチャンネル順に優先度を設定し、優先度の高いチャンネルから選局されるように前記チューナ設定リストを更新することを特徴とする請求項3記載の放送受信装置。
【請求項9】
前記チューナ設定リストに基づいて前記複数の第1のチューナが選局しているチャンネルを表示する表示手段を具備することを特徴とする請求項1記載の放送受信装置。
【請求項10】
複数の第1のチューナが、予め設定されたチューナ設定リストに基づいて、受信した1セグメント放送からそれぞれ所定のチャンネルの放送信号を選局する第1の工程と、
前記複数の第1のチューナにそれぞれ対応して設けられた第1の処理手段が、前記第1のチューナが選局した放送信号に復調及びデコード処理を施す第2の工程と、
第2のチューナが、受信した複数セグメントを用いるデジタル放送から、選局操作に基づいて設定された所定のチャンネルの放送信号を選局する第3の工程と、
第2の処理手段が、前記第2のチューナが選局した放送信号に復調及びデコード処理を施す第4の工程と、
前記選局操作によって前記第2のチューナに選局させるチャンネルが切り替えられたとき、その切り替えられたチャンネルの放送信号が前記複数の第1のチューナのいずれかによって選局されているか否かを判別する第5の工程と、
前記第5の工程で選局されていると判断されたとき、前記切り替えられたチャンネルの放送信号を選局している前記第1のチューナの出力に復調及びデコード処理を施している前記第1の処理手段の出力を選択して出力し、前記第2の処理手段による前記第2のチューナで選局された放送信号に対する復調及びデコード処理が終了したとき、前記第2の処理手段の出力を選択して出力するように切り替える第6の工程とを具備することを特徴とする放送受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−16933(P2009−16933A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173278(P2007−173278)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】