説明

敷ブロックの配置方法、敷ブロック移動用工具、および、その工具を備えた工作機械

【課題】作業者の安全性確保、機械および敷ブロックの破損防止および設置精度の向上に加え、敷ブロックの姿勢変更も容易に行うことができる敷ブロックの配置方法。
【解決手段】敷ブロック1をスピンドル30が保持可能な範囲内のブロック格納エリア28Aに設置しておくブロック準備工程と、スピンドルに装着される主軸装着部、敷ブロックを保持するブロック保持部14およびブロック保持部を水平な旋回軸を中心に旋回させる旋回機構15を有する敷ブロック移動用工具10をスピンドルに装着する工具装着工程と、相対移動により、敷ブロック移動用工具によって敷ブロックをテーブル28のワーク載置位置に配置するブロック配置工程とを備え、ブロック配置工程は、敷ブロックを保持した状態で、敷ブロックの姿勢を変更する動作を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークをテーブルの上面から離間して支持するための敷ブロックの配置方法、敷ブロック移動用工具、および、その工具を備えた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から工作機械においては、被加工物、即ちワークの底面付近を加工する場合、ワークをテーブルの上面から少し離して設置する必要があった。
これは、ワークをテーブルの上面に直接置くと、ワークの底面付近をスピンドルに装着された工具により加工する場合、工具がテーブルの上面に干渉し、工具が破損されるためである。そこで、テーブルの上面とワークとの間に敷ブロックを敷くことにより、ワークをテーブルの上面から少し離して浮かす状態にし、この状態で、ワークの底面付近を工具によって加工するようにしている。
【0003】
また、敷ブロックを用いないで、ワークをテーブルの上面から浮上、支持するための装置として、空気圧を使用した装置(特許文献1参照)が知られているが、このものは、装置が大掛かりになるため、通常は、硬いブロックをワークの下へ敷くことが行われている。
ちなみに、ワークの下に設置される目的で使用されるこのようなブロックを、ここでは、「敷ブロック」と呼び、多くは金属、それも鉄製のものが利用されている。これは、様々な形状を得るために好都合であるからである。敷ブロックの形状としては、無垢の中実、中空、枠形、箱形、棒状、板状、レール形状、T溝形状を持つタイプ等、様々な形態がとられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−219308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような敷ブロックをテーブルの上面へ配置する際、敷ブロックの重量が重いことから、作業者にかかる労力負担が大きく、取り扱いが極めて困難であった。
また、配置の際に、敷ブロックをクレーンなどで吊り上げて配置する必要があるため、敷ブロックの落下による作業者への危険、また、機械テーブル上面の破損、さらに、敷ブロック自体の破損など、このような作業者への危険回避、機械破損の防止、敷ブロック自体の破損防止などが課題となっていた。また、設置位置の精度を向上させ、ひいては、敷ブロックのより高度な自動設定化による生産性向上の要請もあった。
【0006】
また、敷ブロックは、縦横寸法が異なる寸法に形成されていることが多いことから、ワークの形状や加工部位などによっては、敷ブロックを縦置き配置にしてテーブル上面からワークまでの浮上高さを高くしたり、あるいは、横置き配置にしてテーブル上面からワークまでの浮上高さを低く設定したいという要請もある。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題に着目し、作業者の安全性確保、機械および敷ブロックの破損防止および設置精度の向上に加え、敷ブロックの縦置きや横置きなどの姿勢変更が可能な敷ブロックの配置方法、敷ブロック移動用工具、および、その工具を備えた工作機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の敷ブロックの配置方法は、ワークを載置するテーブルと主軸とが三次元方向へ相対移動可能に構成された工作機械において、前記テーブルの上面から前記ワークを離間させた状態で支持するとともに縦置き横置きに姿勢変更可能な敷ブロックを前記テーブルの上面に配置する敷ブロックの配置方法であって、前記敷ブロックを前記主軸が保持可能な範囲内のブロック格納エリアに設置しておくブロック準備工程と、前記主軸に装着される主軸装着部、前記敷ブロックを保持するブロック保持部およびこのブロック保持部を水平な旋回軸を中心に旋回させる旋回機構を有する敷ブロック移動用工具を前記主軸に装着する工具装着工程と、前記相対移動により、前記敷ブロック移動用工具のブロック保持部によって前記敷ブロックを保持したのち、前記敷ブロックを前記テーブルの上面の予め設定されたワーク載置位置に配置するブロック配置工程とを備え、前記ブロック配置工程は、前記敷ブロック移動用工具のブロック保持部によって前記敷ブロックを保持した状態で、前記旋回機構の旋回動作によって前記敷ブロックの姿勢を変更する動作を含む、ことを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、敷ブロックを、主軸が保持可能な範囲内のブロック格納エリアに設置しておくとともに、主軸装着部、ブロック保持部および旋回機構を有する敷ブロック移動用工具を主軸に装着したのち、テーブルと主軸との相対移動により、敷ブロック移動用工具のブロック保持部によって敷ブロックを保持したのち、その敷ブロックをテーブル上面の予め設定されたワーク載置位置に配置するようにしたので、作業者が直接人力によって敷ブロックを取り扱う作業を避けることができる。
したがって、作業者の安全性を向上させることができる。また、作業者による人力での作業を避けることができる結果、敷ブロックの落下などによる機械テーブル、その他の部分の破損、敷ブロック自体の破損を防止できる。さらに、敷ブロックの配置をテーブルと主軸との相対移動により敷ブロックを配置するため、配置位置精度の向上が期待できる。
【0010】
また、ブロック配置工程において、敷ブロック移動用工具のブロック保持部によって敷ブロックを保持した状態で、旋回機構の旋回動作によって敷ブロックの姿勢を変更、つまり、縦置き姿勢から横置き姿勢、または、横置き姿勢から縦置き姿勢に姿勢変更できるようにしたので、ワークの形状や加工部位などに応じて、敷ブロックを縦置き姿勢や、横置き姿勢に姿勢変更できる。
【0011】
本発明の敷ブロックの配置方法において、前記ブロック配置工程では、前記敷ブロック移動用工具を所定の位置に位置決めし、さらに、前記所定の位置に位置決めされた前記敷ブロック移動用工具によって前記敷ブロックを吊上げ、この吊上げられた前記敷ブロックを前記ワーク載置位置に位置決めして配置する、ことが好ましい。
このような構成によれば、ブロック配置工程において、敷ブロック移動用工具を所定の位置に位置決めし、さらに、所定の位置に位置決めされた敷ブロック移動用工具によって敷ブロックを吊上げ、この吊上げられた敷ブロックをワーク載置位置に位置決めして配置するようにしたので、つまり、敷ブロックを吊り上げて移動、配置するようにしたので、敷ブロックおよびテーブル上面を傷つけることなく、敷ブロックを配置できる。
【0012】
本発明の敷ブロックの配置方法において、前記ワークの加工終了後に、前記ワークを加工する加工用工具に代えて、前記敷ブロック移動用工具を前記主軸に装着する工具交換工程と、前記相対移動により、前記敷ブロック移動用工具のブロック保持部によって、前記ワーク載置位置に配置された前記敷ブロックを保持したのち、前記敷ブロックを元の前記ブロック格納エリアに回収するブロック回収工程と、を有することが好ましい。
このように構成によれば、ワークの加工終了後に、ワークを加工する加工用工具に代えて、敷ブロック移動用工具を主軸に装着したのち、相対移動により、敷ブロック移動用工具のブロック保持部によって、ワーク載置位置に配置された敷ブロックを保持したのち、敷ブロックを元のブロック格納位置に回収するようにしたので、敷ブロックの回収作業も安全に行うことができるとともに、機械テーブル、その他の部分の破損、敷ブロック自体の破損も防止できる。
【0013】
本発明の敷ブロック移動用工具は、ワークを載置するテーブルと主軸とが三次元方向へ相対移動可能に構成された工作機械において、前記テーブルの上面から前記ワークを離間させた状態で支持するとともに縦置き横置きに姿勢変更可能な敷ブロックを前記テーブルの上面に配置する敷ブロック移動用工具であって、前記主軸に装着される主軸装着部と、 前記敷ブロックを保持するブロック保持部と、前記ブロック保持部を水平な旋回軸を中心として旋回動作させる旋回機構と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、工作機械の主軸に、敷ブロック移動用工具を装着すれば、工作機械の機能を利用して、敷ブロックをブロック格納エリアからワーク載置位置に配置できるとともに、ワーク載置位置からブロック格納エリアに回収できる。また、敷ブロックの姿勢も変更できる。
【0014】
本発明の敷ブロック移動用工具において、前記敷ブロックは、前記テーブルに載置される底壁部と、この底壁部に対して平行にかつ離間して設けられた上壁部と、前記底壁部および前記上壁部の両端間を連結する側壁部とを有し、内部に空間を有する断面矩形枠状に形成され、前記ブロック保持部は、前記旋回軸の先端に該旋回軸に対して直交して設けられた連結片部と、この連結片部の両端から連結片部に対して略直角に設けられ一方が前記敷ブロックの空間内に差込可能な一対の差込片部とを備えている、ことが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、敷ブロックは内部に空間を有する断面矩形枠状に形成され、ブロック保持部は、敷ブロックの空間内に差込可能な差込片部を備えているから、この差込片部を敷ブロックの空間内に差し込んで敷ブロックを吊り上げることがで、しかも、吊り上げた状態において敷ブロックの姿勢を変更できる。従って、敷ブロックの吊り上げ作業や姿勢変更作業を簡単に行うことができるとともに、目的位置において、敷ブロックの空間から差込片部を簡単に引き抜くことができるから、簡単な操作で、敷ブロックの移動、姿勢変更を行うことができる。
【0016】
本発明の工作機械は、ワークを載置するテーブルと、主軸と、前記テーブルと前記主軸とを三次元方向へ相対移動させる相対移動機構とを備えた工作機械において、前記主軸に着脱可能に装着される敷ブロック移動用工具および加工用工具と、この敷ブロック移動用工具および加工用工具を収納した工具マガジンと、この工具マガジンに収納された敷ブロック移動用工具および加工用工具の中から指定されたいずれかの工具を前記主軸に装着する工具交換装置とを備え、前記テーブルの上面には、前記テーブルの上面から前記ワークを離間させた状態で支持するとともに縦置き横置きに姿勢変更可能な矩形枠状の敷ブロックを設置するためのブロック格納エリアが設けられ、前記敷ブロック移動用工具は、前記主軸に装着される主軸装着部と、前記敷ブロックを保持するブロック保持部と、このブロック保持部を水平な旋回軸を中心として旋回動作させる旋回機構と、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、上述した敷ブロックの配置方法と同様な効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の敷ブロック移動用工具の一実施形態を示す斜視図。
【図2】本発明の実施形態で用いる敷ブロックの一例を示す斜視図。
【図3】本発明の工作機械の一実施形態を示す概念図。
【図4】同上実施形態におけるテーブル上の敷ブロックの配置状態を示した図。
【図5】同上実施形態の工作機械において敷ブロックの姿勢変更前の状態の斜視図。
【図6】同上実施形態の工作機械に敷ブロックを縦置配置した状態でワークを支持した状態の概念図。
【図7】同上実施形態の工作機械に敷ブロックを横置配置した状態でワークを支持した状態の概念図。
【図8】同上実施形態の工作機械において敷ブロックの姿勢変更前の状態の斜視図。
【図9】同上実施形態の工作機械において敷ブロックを持ち上げた状態の斜視図。
【図10】同上実施形態の工作機械において敷ブロックの姿勢変更後の斜視図。
【図11】同上実施形態の工作機械において敷ブロックの設置状態の斜視図。
【図12】本発明の敷ブロック移動用工具の変形例を示す姿勢変更時の断面図。
【図13】同上変形例において、向き変更時の断面図。
【図14】本発明の工作機械の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<敷ブロック移動用工具の説明(図1参照)>
図1は、本実施形態で使用される敷ブロック移動用工具10を示す図であって、工作機械で使用される自動工具交換用に使用される工具と同じ形状が採用され、工作機械の工具と同様な取り扱いが可能となっている。
【0019】
敷ブロック移動用工具10は、主に矩形枠状の敷ブロックに対応するよう考慮されており、主軸装着部11と、この主軸装着部11に連結された円柱状の第1連結部12およびブロック状の第2連結部13と、この第2連結部13の片側に設けられたブロック保持部14と、第2連結部13内に設けられブロック保持部14を主軸装着部11の軸線に対して直交する軸(旋回軸15A)を中心に旋回させる旋回機構15とを備えて構成される。
【0020】
主軸装着部11は、一般のドリルやカッターなどの切削用の刃を有する加工用工具と同様に、工作機械の主軸に装着可能になっており、したがって、主軸に挿入されるテーパシャンク11A、このテーパシャンク11Aの小径部側に設けられたプルスタッド11B、および、テーパシャンク11Aの大径部側に設けられ自動工具交換装置(ATC)で把持するための工具把持リング部11Cを備えている。工具把持リング部11Cには、ATCのホルダを係合させるためのV溝11Dおよび主軸に装着された際に主軸と係合される廻り止め用のキー溝11Eが形成されている。
【0021】
ブロック保持部14は、コ字形状に形成されている。具体的には、旋回軸15Aの先端に該旋回軸15Aに対して直交して設けられた連結片部14Aと、この連結片部14Aの両端から連結片部14Aに対して略直角かつ互いに平行に設けられた一方が敷ブロックの空間内に差込可能な一対の差込片部14B,14Cとを有するコ字形状に形成されている。一対の差込片部14B,14Cの間隔は、敷ブロックの枠部(後述する側壁部1C,1D)の厚みよりも大きい寸法に形成されている。したがって、一対の差込片部14B,14Cによって敷ブロックの側壁片を挟むように、一対の差込片部14B,14Cを敷ブロック内に差し込んだのち、ブロック保持部14を持ち上げれば、敷ブロックを吊り上げることができ、この状態で移動すれば、敷ブロックを所定位置に移動させることができる。
【0022】
旋回機構15は、第2連結部13内に主軸装着部11の軸線に対して直交して回転可能に支持された旋回軸15Aと、第2連結部13内に配置され旋回軸15Aを旋回させる回転駆動源15Bとを備えて構成されている。回転駆動源15Bとしては、モータなどの駆動源であってもよいが、これに限られない。
【0023】
<敷ブロックの説明(図2参照)>
図2は、敷ブロック1を示している。敷ブロック1は、工作機械のテーブルに載置される底壁部1Aと、この底壁部1Aに対して平行にかつ離間して設けられた上壁部1Bと、底壁部1Aおよび上壁部1Bの両端間を連結する側壁部1C,1Dとを有し、内部に空間1Eを有する断面矩形枠状に形成されている。底壁部1Aおよび上壁部1Bの寸法L2に対して、側壁部1C,1Dの寸法L1が大きい寸法に形成されている。従って、底壁部1Aをテーブル28の上面に載置した状態(縦置き配置)の方が、側壁部1C,1Dをテーブル28の上面に載置した状態(横置き配置)に対して、テーブル28からワークまでの浮上高さを大きくできるようになっている。
【0024】
<工作機械の説明(図3参照)>
図3は、敷ブロック移動用工具10を用いて、敷ブロック1を配置するための工作機械20を示している。
この工作機械20は、門型工作機械であって、左コラム22、右コラム23、および、横桁24を含んで構成され、これらが機械的な剛性を高めるよう鋳物にて一体に構成されている。
横桁24には、主軸頭25がサーボモータ等によりY軸として図で左右方向へ移動可能に組み付けられている。主軸頭25には、ラム26により、主軸としてのスピンドル30がZ軸として図で上下方向へ移動可能に組み込まれている。スピンドル30は、連続回転、および、C軸(Z軸と平行な回転軸)として回転位置決めもできるよう、回転位置検出されるサーボモータを有して構成される。
左コラム22および右コラム23の間のベッド29の上面には、ワークを載置するテーブル28がX軸として図で前後方向へ移動可能に設けられている。従って、ワークを載置するテーブル28と主軸を構成するスピンドル30とは、図示省略の相対移動機構により、X、Y、Z軸方向の三次元方向へ移動可能に構成されている。
【0025】
左コラム22側には、工具マガジン40やATC50が付設されている。
工具マガジン40には、主軸であるスピンドル30に装着される敷ブロック移動用工具10や多数の加工用工具が収納されている。
ATC50は、工具マガジン40に収納された敷ブロック移動用工具10および加工用工具の中から指定されたいずれかの工具を主軸であるスピンドル30に装着するとともに、スピンドル30に装着されている工具を工具マガジン40に回収するよう動作される。つまり、工具マガジン40と主軸であるスピンドル30との間で工具交換を行う。
【0026】
<ブロック格納エリアの説明(図4参照)>
図4は、工作機械20におけるテーブル28の上面奥側(X軸座標でテーブルマイナス方向移動側)に設けられたブロック格納エリア28Aを示している。
ブロック格納エリア28Aには、複数の敷ブロック1が縦置き姿勢で横一列に一定間隔おきに整列配置されている。これらの敷ブロック1の設置場所は、上面の中心位置の座標で規定されている。
【0027】
<手動による敷ブロックの配置方法の説明>
最初に工作機械20を、手動またはMDI(マニュアル・データ・インプット)にて運転する方法、つまり、手動または半自動による敷ブロック1の配置方法について説明する。
(1)まず、敷ブロック1を主軸であるスピンドル30が保持可能な範囲内のブロック格納エリア28Aに設置しておく(ブロック準備工程)。ここでは、テーブル28の上面奥側(X軸座標でテーブルマイナス方向移動側)に、複数の敷ブロック1を設置しておく。
(2)次に、敷ブロック移動用工具10を主軸であるスピンドル30に装着する(工具装着工程)。これには、工具交換と同様にして、敷ブロック移動用工具10を選択したのち、工具交換指令を行い、選択した敷ブロック移動用工具10をスピンドル30へ装着する。あるいは、工具交換指令ではなく、まったく手動で敷ブロック移動用工具10をスピンドル30に装着してもよい。
【0028】
(3)次に、図5に示すように、相対移動機構の相対移動により、敷ブロック移動用工具10のブロック保持部14によって最初の敷ブロック1を保持したのち、その敷ブロック1をテーブル28の上面の予め設定されたワーク載置位置に配置する(ブロック配置工程)。
具体的には、次のような動作を行う。
(3−1)工作機械20を手動運転して、敷ブロック1の設置されているブロック格納エリア28A付近へ敷ブロック移動用工具10を移動させる。これも、手動あるいはMDIによって敷ブロック移動用工具10を最初に移動させる敷ブロック1の近傍に移動させて位置決めする。
(3−2)ここで、敷ブロック移動用工具10のブロック保持部14の向きが敷ブロック1の枠部を吊り上げるような向きに回転されているか調べる。ブロック保持部14の向きが敷ブロック1の枠部を吊り上げるような向きにないときは、スピンドル30のC軸を回転させて吊上げる向きに方向転換する(敷ブロック移動用工具の方向確認)。
(3−3)さらに、敷ブロック1の吊上げが可能な高さになるように、即ち、Z軸方向の位置を調整したのち、X軸を移動させて、敷ブロック移動用工具10のいずれかの差込片部14B,14Cを敷ブロック1の空間1E内に差し込む。こののち、敷ブロック移動用工具10のブロック保持部14により敷ブロック1の枠体を吊上げるようにZ軸を移動させ、敷ブロック1を吊上げる(敷ブロック移動用工具の接近および吊上げ)。
(3−4)敷ブロック移動用工具10をワーク載置位置へ移動し、その位置においてC軸の回転により敷ブロック1の配置の向きを調整したのち、Z軸を下降させて敷ブロック1を配置する(敷ブロックの配置)。
(3−5)敷ブロック移動用工具10を移動した敷ブロック1から引き抜くよう、スピンドル30を移動させる。
【0029】
(4)次に、第2番目の敷ブロック1を、最初に移動した第1番目の敷ブロック1と同様にして、ワーク載置位置に移動させたのち、ワーク載置位置の所定位置および向きに配置する。
これを、希望する最後の敷ブロック1まで繰り返すと、複数の敷ブロック1がワーク載置位置に所定の向きで配置される。
このようにして、敷ブロック1をワーク載置位置に配置したのち、敷ブロック1の上にワークWを載置して加工を行う(図6参照)。なお、加工にあたっては、敷ブロック移動用工具10に代えて、ワークWを加工する加工用工具61をスピンドル30に装着したのち、その加工用工具61によってワークWを加工する。
【0030】
(5)ワークWの加工終了後に、ワークWを加工する加工用工具61に代えて、敷ブロック移動用工具10をスピンドル30に装着する(工具交換工程)。
これには、工具交換と同様に、敷ブロック移動用工具10を選択したのち、工具交換指令を行い、敷ブロック移動用工具10をスピンドル30へ装着する。あるいは、工具交換指令ではなく、まったく手動で敷ブロック移動用工具10をスピンドル30へ装着してもよい。
(6)相対移動により、敷ブロック移動用工具10のブロック保持部14によって、ワーク載置位置に配置された敷ブロック1を保持したのち、敷ブロック1を元のブロック格納エリア28Aに回収する(ブロック回収工程)。これにより、敷ブロック1の配置、ワークの加工、敷ブロック1の回収の一連の作業が完了する。
【0031】
以上の説明では、手動又は半自動で敷ブロック1を配置する方法を説明したが、要するに、敷ブロック移動用工具10を工作機械20のスピンドル30に装着し、相対移動機構のXYZ軸移動機能を使用して、敷ブロック1の設置されているブロック格納エリア28Aの近傍までスピンドル30を接近させ、スピンドル30のC軸回転位置決めを使用して敷ブロック移動用工具10の向きを敷ブロック1の向きに対応させたのち、敷ブロック1を引き上げできる位置まで差込んで、Z軸を持ち上げて、ワーク載置位置へ移動させる。ワーク載置位置において、敷ブロック1の向きを調整したのち、Z軸を下げて敷ブロック1を配置したのち、敷ブロック移動用工具10を敷ブロック1から引き抜き、元の位置へ戻る。これを次々に行う。
【0032】
<自動プログラムによる敷ブロックの配置方法の説明>
次に、敷ブロック1の移動、配置のため、数値制御装置にて使用されるNC加工プログラムを使用した自動プログラムによる敷ブロック1の配置方法について説明する。なお、この実施形態例においては、手動の方式と同様に敷ブロック移動用工具10は、一般の工具として工具マガジン40に収納されている。
自動プログラムの内容を説明する。この例は、ブロック格納エリア28Aの位置からワーク載置位置まで、敷ブロック1を順番に移動して配置する例である。
【0033】
(11)まず、工具交換指令Tnnnとして工具交換を行い、敷ブロック移動用工具10をスピンドル30に装着し、スピンドル30を待機位置Pw(Pwは、ワークにとって都合の良い位置でよい)へ移動する(工具装着工程)。
(12)次に、敷ブロック1の接近位置までスピンドル30を移動するXYZ軸移動指令を行う。これにより、スピンドル30が敷ブロック1の接近位置まで移動される。
(13)C軸オリエンテーションを行い、敷ブロック1のリフトを可能とする向きに敷ブロック移動用工具10の向きを調整する。
(14)敷ブロック1の吊上位置までスピンドル30を移動するX軸移動指令を行う。これにより、スピンドル30が吊上位置まで移動される。
(15)敷ブロック1を吊上げるように、Z軸指令を行う。
(16)ワーク載置位置へスピンドル30を移動するXY軸移動指令を行う。これにより、スピンドル30がワーク載置位置へ移動される。
(17)移動したワーク載置位置において、敷ブロック1の向きを希望の方向となるようC軸回転指令を行う。これにより、敷ブロック1の向きが希望の向きに設定される。
(18)Z軸の下方への移動指令を行う。これにより、敷ブロック1が下降され設置される。
(19)X軸の移動指令でブロック保持部14を敷ブロック1から引き抜いたのち、Z軸の移動指令でブロック保持部14を引き上げる。
(20)スピンドル30を待機位置へ移動させる。
(21)スピンドル30を次の敷ブロック1の接近位置へ移動させ、最初の敷ブロック1と同様に移動指令を行う。
(22)最後の敷ブロック1の移動が終わるまでプログラム指令を行う。
【0034】
この例では、複数の敷ブロック1を、順番に移動し、配置するようにして説明したが、これに限られるわけではなく、ランダムに移動設定プログラムを組み込んでも良い。
また、スピンドル30を敷ブロック1の移動のための最初の待機位置へ返すとして説明したが、これに限らず、直接次の敷ブロックの位置へ進めるように指令プログラムを組み込んでもかまわない。
【0035】
また、上述した例では、縦置きの敷ブロック1を縦置きの姿勢のまま、ワーク載置位置に配置するようにしたが、敷ブロック1の姿勢を変更してワーク載置位置に配置するようにすることもできる。
例えば、図7に示すように、ワークWの上面や側面などを加工用工具62によって加工しようとする場合、縦置きの敷ブロック1をテーブル28上のワーク載置位置に横置きの姿勢で配置した方が有利な場合もある。
このような場合には、図8に示すように、敷ブロック移動用工具10のいずれかの差込片部14B,14Cを敷ブロック1の空間1E内に差し込む。こののち、図9に示すように、敷ブロック移動用工具10のブロック保持部14により敷ブロック1の枠体を吊上げるようにZ軸を移動させ、敷ブロック1を吊上げる。次に、図10に示すように、敷ブロック移動用工具10の旋回軸15Aを90度旋回させて、敷ブロック1を90度旋回させる。すると、敷ブロック1の姿勢が縦置きの姿勢から横置きの姿勢に変更される。最後に、図11に示すように、この姿勢(横置きの姿勢)のまま、Z軸を下降して敷ブロック1をワーク載置位置に配置する。
【0036】
したがって、ワークの形状や加工部位などによって、敷ブロック1を縦置き配置にしてテーブル28の上面からワークWまでの浮上高さを高くしたり、あるいは、敷ブロック1を横置き配置にしてテーブル28の上面からワークWまでの浮上高さを低く設定できる。
また、これとは逆に、敷ブロック1の姿勢を横置きから縦置きに変更するには、上述の動作と逆の動作を行えばよい。
なお、敷ブロック移動用工具10の旋回軸15Aを90度旋回させて、敷ブロック1の姿勢を変更する動作は、敷ブロック1がテーブル28の上面から吊り上げられた状態であれば、どこの場所で行ってもよい。
【0037】
<実施形態の効果>
上述の実施形態によれば、敷ブロック1を予め設定された座標に設定し、敷ブロック移動用工具10を、一般の工具と同様に工具マガジン40に収納し、工具と同じように工具交換と同様にスピンドル30へ設定し、敷ブロック1をそれによって引き上げるように、マニュアル操作による手動、MDI指令による半自動、あるいは、数値制御装置の加工プログラムを使用した自動プログラムにより、工作機械20を制御し、敷ブロック1を吊上げて移動配置したので、作業者が直接人力によって取り扱う作業を避けることができる。
【0038】
したがって、作業者にとって安全性を向上させることができる。また、作業者による人力での作業を避けることができる結果、敷ブロック1の落下などによる機械テーブル、その他の部分の破損、敷ブロック1自体の破損を防止できる。さらに、敷ブロック1の配置を数値制御(NC)装置による位置決めで行うため、配置位置精度、方向精度の向上が期待できる。
【0039】
また、敷ブロック1の姿勢を縦置き姿勢から横置き姿勢に、逆に、横置き姿勢から縦置き姿勢に変更できるようにしたので、ワークWの形状や加工部位などによって、敷ブロック1の姿勢を変更できるから、ワークWを最適な加工姿勢に設定できる。したがって、安全を確保しつつ、高精度な加工が期待できる。
【0040】
<変形例の説明>
上述の実施形態では、敷ブロック1を予めブロック格納エリア28Aの定められた座標位置に設置し、それを敷ブロック移動用工具10を使用して吊上げ、XYZC軸の移動位置決め機構を使用してワーク載置位置に移動配置したが、この発明は、この例に限定されず、種々の変形の態様を採用できる。
【0041】
敷ブロック移動用工具10の構造に関しては、前記実施形態の構成に限られない。例えば、スピンドル30に連結される主軸装着部11に対して、第1連結部12および第2連結部13を別体として構成し、第1連結部12および第2連結部13をスピンドル30の回転に対して回転不能に静止部材(例えば、スピンドルを支持する支持部材)に固定するとともに、第2連結部13の内部に、主軸装着部11の回転を旋回軸15Aの回転に伝達する回転伝達機構(例えば、互いに噛合する2つの傘歯車機構)を内蔵した構造であってもよい。このようにすれば、スピンドル30の回転によって、旋回軸15Aを旋回動作させることができる。つまり、スピンドル30の回転によって、敷ブロック1の姿勢を変更できる。
【0042】
具体的には、図12および図13に示す構造の敷ブロック移動用工具10Bを用いることができる。これは、スピンドル30を支持する支持部材(例えば、ラム26等)に固定される固定部材70と、可動部材80と、ブロック保持部14と、固定部材70および可動部材80の中心に回転可能に支持されるとともに主軸装着部11を介して主軸であるスピンドル30に連結される回転軸90と、この回転軸90からの回転によりブロック保持部14を水平な軸(旋回軸)を中心に旋回させる旋回機構100と、回転軸90の回転を旋回機構100および可動部材80のいずれかに伝達するかを切り替える切替機構110とを備える。
【0043】
固定部材70の可動部材側対向面71の中心には回転軸90が回転可能に収納される中央孔72が開口され、この中央孔72の周囲には円筒状の周回キャビティ73が形成され、この周回キャビティ73の周囲には複数の位置決めスリット74が形成されている。位置決めスリット74は、それぞれ周回キャビティ73の内周面から可動部材側対向面71に沿って彫り込まれ、中央孔72を中心に放射状に延びて形成されたスリットで、周回キャビティ73の外側に沿って90度間隔で配列されている。
【0044】
可動部材80の固定部材側対向面81の中心には回転軸90が回転可能に収納される中央孔82が開口され、この中央孔82の周囲には円筒状の退避キャビティ83が形成され、この退避キャビティ83の周囲には複数の退避スリット84が形成されている。退避スリット84は、それぞれ退避キャビティ83の内周面から可動部材側対向面71に沿って彫り込まれ、中央孔72を中心に放射状に延びて形成されたスリットで、退避キャビティ83の外側に沿って90度間隔で配列されている。
【0045】
回転軸90には、内部に流体流路91が軸方向に沿って形成されているとともに、外周壁の途中に2つの挿通スリット92が180度間隔位置に形成されている。流体流路91は、主軸装着部11の中心の空洞を通じてスピンドル30の中心の流体流路に連通され、工作機械の制御コマンドにより工作機械から圧縮空気が供給されるようになっている。
【0046】
旋回機構100は、可動部材80内に回転軸90に対して直交して配置された旋回軸101と、この旋回軸101に固定された第1傘歯車102と、この第1傘歯車102に噛合されるとともに回転軸90に固定された第2傘歯車103とから構成されている。
【0047】
切替機構110は、回転軸90の流体流路91内に移動可能に収納されたピストン111と、このピストン111の下端と流体流路91の内底面との間に挿入されたコイルばね112と、ピストン111の外周に180度の角度間隔で突設され挿通スリット92を挿通して固定部材70の周回キャビティ73および可動部材80の退避スリット84に挿入される係合ピン113と、退避スリット84内に収納されたベアリング114および環状プレート115と、ベアリング114が係合ピン113に常時接するように環状プレート115を付勢するコイルばね116と、環状プレート115の外周から外周方向へ突出され退避スリット84内において上方へ起立して固定部材70の位置決めスリット74内に挿入される固定ピン117とを含んで構成されている。
【0048】
従って、ピストン111が回転軸90の上方にある場合(図12の状態)、係合ピン113は挿通スリット92を通って固定部材70の周回キャビティ73内に挿入される。この状態では、係合ピン113は固定部材70と干渉することがなく、回転軸90は固定部材70に対して自由に回転できる。そのため、回転軸90が回転すると、第2傘歯車103および第1傘歯車102を介して旋回軸101が回転するので、ブロック保持部14が旋回動作される。つまり、敷ブロック1の姿勢を縦置きから横置きに、また、これとは逆に変更することができる。
【0049】
また、ピストン111が回転軸90の下方へ移動した場合(図13の状態)、係合ピン113は周回キャビティ73を出て可動部材80の退避スリット84内に進入する。この状態では、係合ピン113が退避スリット84と係合した状態となるので、回転軸90の回転は、係合ピン113から退避スリット84を介して可動部材80に伝達される。すると、可動部材80が回転するので、旋回軸101の向きを変えることができる。つまり、敷ブロック1を保持したまま、敷ブロック1の向きを変更することができる。
【0050】
別な方法としては、縦形(下向き)スピンドルに対して、アングルアタッチメント(スピンドルに対して旋回軸が直交して設けられ、この旋回軸がスピンドルの回転によって回転するタイプのアタッチメント)を取り付け、このアングルアタッチメントの旋回軸に、主軸装着部11およびブロック保持部14が直線的に配列されたストレートタイプの敷ブロック移動用工具を用いても、同様な効果が期待できる。
【0051】
なお、以上説明した敷ブロック移動用工具において、敷ブロック移動用工具のいずれかの差込片部14B,15Cを敷ブロック1の空間1E内に差し込んだのち、敷ブロック1の枠部(側壁部1C,1D,底壁部1A,上壁部1Bのいずれか)を差し込んだ差込片部14B,15Cに押圧するロック機構を設ければ、より安定して敷ブロック1を移動させることができる。
【0052】
また、前記実施形態では、敷ブロック移動用工具10を工具マガジン40に収納し、工具交換によりスピンドル30に装着して使用するようにしたが、工具マガジン40以外の場所に保管してもかまわない。また、工具マガジン40に収納せずに、手動でスピンドル30に装着しても無論かまわない。
また、工作機械として門型工作機械を用いて、C軸の回転位置決め制御を用いて、敷ブロック移動用工具10の向きを、敷ブロック1の向きに対応するように制御したが、回転制御をテーブル側で行ってもよい。
【0053】
また、工作機械としては、門型工作機械に限らず、他のタイプの工作機械でもよい。例えば、図14に示すように、主軸であるスピンドル30が水平な横型マシニングセンタのような工作機械にも適用できる。この場合、水平に支持されたスピンドル30が上下方向(Z軸方向)および前後方向(Y軸方向)へ移動可能に設けられ、テーブル28が左右方向(X軸方向)へ移動可能に構成された工作機械において、敷ブロック移動用工具10Cの主軸装着部11がスピンドル30に水平に取り付けられ、ブロック保持部14がスピンドル30によって旋回される構造、つまり、水平な軸を中心にブロック保持部14が旋回される構造である。このような構造であっても、上記実施形態の効果が期待できる。
【0054】
また、敷ブロック1をブロック格納エリア28Aに設置する際、上述した例のように、テーブル28の上面に間隔を空けて配置する例に限らず、例えば、上に積み重ねて設置するようにしてもよい。
また、ブロック格納エリア28Aをテーブル28の上面の部分としたが、これに限らず、敷ブロック移動用工具10が保持可能な領域であれば、テーブル28以外の場所でも差し支えなく、本願発明を実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、テーブルと主軸とが三次元方向へ相対移動可能な工作機械に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1…敷ブロック、
1A…底壁部、
1B…上壁部、
1C,1D…側壁部、
1E…空間、
10,10B,10C…敷ブロック移動用工具、
11…主軸装着部、
14…ブロック保持部、
15…旋回機構、
28…テーブル、
28A…ブロック格納エリア、
30…スピンドル(主軸)、
40…工具マガジン、
50…自動工具交換装置(ATC)、
61,62…加工用工具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを載置するテーブルと主軸とが三次元方向へ相対移動可能に構成された工作機械において、前記テーブルの上面から前記ワークを離間させた状態で支持するとともに縦置き横置きに姿勢変更可能な敷ブロックを前記テーブルの上面に配置する敷ブロックの配置方法であって、
前記敷ブロックを前記主軸が保持可能な範囲内のブロック格納エリアに設置しておくブロック準備工程と、
前記主軸に装着される主軸装着部、前記敷ブロックを保持するブロック保持部およびこのブロック保持部を水平な旋回軸を中心に旋回させる旋回機構を有する敷ブロック移動用工具を前記主軸に装着する工具装着工程と、
前記相対移動により、前記敷ブロック移動用工具のブロック保持部によって前記敷ブロックを保持したのち、前記敷ブロックを前記テーブルの上面の予め設定されたワーク載置位置に配置するブロック配置工程とを備え、
前記ブロック配置工程は、前記敷ブロック移動用工具のブロック保持部によって前記敷ブロックを保持した状態で、前記旋回機構の旋回動作によって前記敷ブロックの姿勢を変更する動作を含む、ことを特徴とする敷ブロックの配置方法。
【請求項2】
請求項1に記載の敷ブロックの配置方法において、
前記ブロック配置工程では、前記敷ブロック移動用工具を所定の位置に位置決めし、さらに、前記所定の位置に位置決めされた前記敷ブロック移動用工具によって前記敷ブロックを吊上げ、この吊上げられた前記敷ブロックを前記ワーク載置位置に位置決めして配置する、ことを特徴とする敷ブロックの配置方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の敷ブロックの配置方法において、
前記ワークの加工終了後に、前記ワークを加工する加工用工具に代えて、前記敷ブロック移動用工具を前記主軸に装着する工具交換工程と、
前記相対移動により、前記敷ブロック移動用工具のブロック保持部によって、前記ワーク載置位置に配置された前記敷ブロックを保持したのち、前記敷ブロックを元の前記ブロック格納エリアに回収するブロック回収工程と、を有することを特徴とする敷ブロックの配置方法。
【請求項4】
ワークを載置するテーブルと主軸とが三次元方向へ相対移動可能に構成された工作機械において、前記テーブルの上面から前記ワークを離間させた状態で支持するとともに縦置き横置きに姿勢変更可能な敷ブロックを前記テーブルの上面に配置する敷ブロック移動用工具であって、
前記主軸に装着される主軸装着部と、
前記敷ブロックを保持するブロック保持部と、
前記ブロック保持部を水平な旋回軸を中心として旋回動作させる旋回機構と、を備えることを特徴とする敷ブロック移動用工具。
【請求項5】
請求項4に記載の敷ブロック移動用工具において、
前記敷ブロックは、前記テーブルに載置される底壁部と、この底壁部に対して平行にかつ離間して設けられた上壁部と、前記底壁部および前記上壁部の両端間を連結する側壁部とを有し、内部に空間を有する断面矩形枠状に形成され、
前記ブロック保持部は、前記旋回軸の先端に該旋回軸に対して直交して設けられた連結片部と、この連結片部の両端から連結片部に対して略直角に設けられ一方が前記敷ブロックの空間内に差込可能な一対の差込片部とを備えている、ことを特徴とする敷ブロック移動用工具。
【請求項6】
ワークを載置するテーブルと、主軸と、前記テーブルと前記主軸とを三次元方向へ相対移動させる相対移動機構とを備えた工作機械において、
前記主軸に着脱可能に装着される敷ブロック移動用工具および加工用工具と、
この敷ブロック移動用工具および加工用工具を収納した工具マガジンと、
この工具マガジンに収納された敷ブロック移動用工具および加工用工具の中から指定されたいずれかの工具を前記主軸に装着する工具交換装置とを備え、
前記テーブルの上面には、前記テーブルの上面から前記ワークを離間させた状態で支持するとともに縦置き横置きに姿勢変更可能な矩形枠状の敷ブロックを設置するためのブロック格納エリアが設けられ、
前記敷ブロック移動用工具は、前記主軸に装着される主軸装着部と、前記敷ブロックを保持するブロック保持部と、このブロック保持部を水平な旋回軸を中心として旋回動作させる旋回機構と、を有することを特徴とする工作機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−125862(P2012−125862A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278224(P2010−278224)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】