説明

新規の粒子および組成物

粒子表面のドーパント濃度が粒子コアのドーパント濃度よりも高くなるように1またはそれよりも多くの他の元素でドープされたTiOまたはZnOの粒子、ならびに、日焼け止め剤として使用するか、または、獣医学、農学もしくは園芸学組成物において使用するか、または、プラスチックおよび他の物質のコーティングとして使用する、このような粒子を含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は新規の粒子に関し、この粒子によって、例えば、化粧品および局所医薬の使用に適したUV日焼け止め組成物、農学、園芸学および獣医学の薬剤での使用、ならびに、例えば、プラスチック製品、塗料およびワニスの形態での機械、構造物または環境の保護における分解保護剤としての有用性が見出される。
【0002】
我々の英国特許出願第0315082.8号において、構造上、すなわち、本発明者らは、有機日焼け止め剤および分解し易い他の成分の分解が、この組成物にも別の元素でドープされた酸化亜鉛または二酸化チタンならびに/あるいは還元酸化亜鉛が存在する場合、どのようにして遅延され得るかを記載している。これらは分解保護剤とみなすことができる。なせなら、これらは、日光によって誘発される光分解から日光に不安定な日焼け止め成分を保護するのに役立つからである。通常の二酸化チタンまたは酸化亜鉛ではなく、これらドープまたは還元された物質を使用することによって、例えば、UV光に対してより良好な保護を同量の有機日焼け止め剤に与える組成物、あるいは、より少量の有機日焼け止め剤を含みながら、UV光に対して同一の日焼け止め効果を有する組成物のいずれかを提供することが可能である。確かに、ドープおよび/または還元された物質を含ませることによって、全日保護の日焼け止め剤を提供することが可能である。また、分解物(分解した化成品)が有毒である場合もある。
【0003】
本発明を4つの実施態様に分けて開示するが、本明細書中、2またはそれよりも多くのこれらの実施態様から任意に特徴を組み合わせてもよいことが明らかに記載されている。第1の実施態様は粒子自体に関し、第2の実施態様は化粧品および局所医薬において使用(例えば、UV日焼け止め剤として使用)する組成物に関し、第3の実施態様は、機械、構造物または環境の保護を提供する際に使用する組成物に関し、そして、第4の実施態様は、獣医学、農学または園芸学での使用に適した組成物に関する。
【0004】
(第1の実施態様)
本発明の第1の実施態様は、粒子表面のドーパント濃度が粒子コアのドーパント濃度よりも高くなるように1またはそれよりも多くの他の元素でドープされたTiOまたはZnOの粒子を提供する。本明細書中で使用する「表面の(に)」との表現は、実質的に球状の粒子を仮定すると、粒子半径の10%を超過しない厚さを有する外殻を意味する。単純なコーティングの場合のように表面上に存在し得る物質と、「表面での」を包含する「表面の」ドーパントの存在を対照すべきであることが理解される。「表面での」とは、コーティングの際のように純粋な静電力以外で粒子に結合するドーパントを意味する。本明細書中で使用する用語「コア」とは、実質的な球状の粒子を仮定すると、粒子の中心部の球体であって、その半径が粒子の半径の10%(実質的に非球状粒子の場合には、最大の大きさの10%)を超過しない球体を意味する。用語「粒子のバルク」とは、該外殻を除いた粒子を意味する。
【0005】
粒子表面のドーパントの濃度が、粒子のバルクの濃度よりも高いことが好ましく、粒子のコアにドーパントが存在しないことが特に好ましい。換言すれば、例えば、表面のチタンまたは亜鉛原子に対するドーパント原子の比が、コアまたは中心部の比(ゼロであってもよい)よりも高くなるように、濃度勾配が存在する。
【0006】
粒子上の第2の成分の最大総量は常法の実験によって決定することができるが、粒子が最小限に着色されるように十分に低くすることが好ましい。0.1モル%またはそれよりも低い量(例えば、0.05モル%)あるいは1モル%またはそれよりも高い量(例えば、5モル%または10モル%)を一般に使用することができる。典型的な濃度は0.5〜2重量モル%である。ドーパント 対 表面上のホスト金属のモル比は、典型的には、2〜25:98〜75、通常5〜20:95〜80、特に8〜15:92〜85である。表面でのドーパントの量は、例えば、X線光電子分光法(XPS)によって決定できる。
【0007】
酸化物粒子に適したドーパントとしては、マンガン(特に好ましくは、例えば、Mn2+とりわけMn3+)、バナジウム(例えば、V3+またはV5+)、クロム、セリウム、セレンおよび鉄、ならびに他の金属が挙げられる。使用され得る他の金属としては、ニッケル、銅、スズ(例えば、Sn4+)、アルミニウム、鉛、銀、ジルコニウム、亜鉛、コバルト(例えば、Co27)、ガリウム、ニオブ(例えば、Nb5+)、アンチモン(例えば、Sb3+)、タンタル(例えば、Ta5+)、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、モリブデン(例えば、Mo3+、Mo5+またはMo6+)ならびにケイ素が挙げられる。これらの金属を単独で、あるいは、2または3またはそれよりも多くを組み合わせて含ませることができる。効果的なバルクドーピングには、粒子の結晶格子に容易に挿入され得るようなイオンの大きさでなければならないことが理解される。一方、表面ドーピングで使用する元素にこのような大きさの制限はなく、好ましい表面ドーパントとしては、マンガン(例えば、Mn2+)、セリウム、セレン、鉄、クロムおよびバナジウムが挙げられる。
【0008】
本発明の表面ドープ粒子は、このようなドープ酸化物および塩を調製するための標準的な方法のいずれか1つによって得ることができる。酸化チタンおよび酸化亜鉛は、一般に、2つの基本的な方法(共沈または吸着が挙げられる)によってドーピングされるが、フレーム熱分解を含む他の方法を用いてもよく、その場合、表面でのドーパントが十分である。一般に、共沈は、粒子全体にかなり均一なドーパントの分布をもたらし、結果として、このような手順が一般に本発明の粒子の調製に不適切であることが理解される。一方、吸着法は、容易に使用することができるが、この場合、この方法を停止すると、その後、ドーパントはコアに実質的に均一に吸収されるようになる。換言すると、この手順を当業者が普通に用いてドープ物質を得る前の段階でこの手順を停止すると、表面のドーパント濃度がコアでのドーパント濃度よりも高い粒子を得ることができる。
【0009】
これは、例えば、より短い反応時間を用いることによって達成され得る。ドーパントは、必ずしも、酸化物として存在する必要はなく、クロリドなどの塩として、あるいは、過塩素酸塩または硝酸塩などの酸素含有アニオンとの塩として存在していてもよいことが理解される。このような技術は、ホスト格子の粒子(TiO/ZnO)と、クロリドまたは過塩素酸塩もしくは硝酸塩などの酸素含有アニオンなどの塩の形態の第2の成分との溶液または懸濁液中、典型的には水溶液中での配合、次いでその典型的には少なくとも300℃の温度での焼成、次いでそれよりも高い温度(例えば、少なくとも500℃または600℃)でのそのか焼による焼成技術を包含する。従って、本発明は本発明の粒子を調製するための方法を提供し、当該方法は、粒子コアのドーパント塩の濃度がその粒子表面での濃度に到達するのに不十分な時間、TiOまたはZnOの粒子をドーパント塩の溶液または懸濁液と接触して配置する工程、次いで、得られる粒子を焼成する工程を包含する。
【0010】
このような焼成技術などによってコーティングの間に結晶格子の表面形成部分にドーパントをもたらし、ドーパントが分離した層として粒子表面上に残存することが理解される。よく起こり得ることだが、ドーパントは、初期に発生したフリーラジカルを有効にクエンチすることができると、結晶格子内に存在しなければならない。
【0011】
チタニアのルチル形態は、アナターゼ形態よりも光活性が低いことが知られているので好ましい。
【0012】
表面ドーピングに付される酸化亜鉛は、還元酸化亜鉛であってもよい。還元酸化亜鉛粒子(すなわち、酸素イオンに対して亜鉛イオンを過剰に有する粒子)は、還元雰囲気下、酸化亜鉛粒子を加熱して還元酸化亜鉛粒子を得ることによって、容易に得ることができ、還元酸化亜鉛粒子は、UV光、特に390nm未満の波長を有するUV光を吸収し、緑色、好ましくは約500nmで再び放射する。典型的には、水素の濃度は、1〜20%、特に5〜15%(容量)であり、不活性バランスガス、特に窒素を伴う。好ましい還元雰囲気は、約10%水素および約90%窒素である(容量)。酸化亜鉛をこの雰囲気下で、例えば500℃〜1000℃、一般に750〜850℃、例えば、約800℃、5〜60分、一般に10〜30分間加熱する。典型的には、酸化亜鉛を約800℃に約20分間加熱する。還元酸化亜鉛粒子は、還元酸化亜鉛を含み、確実に、電子粒子の表面への移動および/または正に帯電した空孔への移動を最小限に止め、水性環境下でこれらの粒子がUV光に暴露される際、ヒドロキシルラジカルの生成が実質的に上述のように減少するようになることが理解される。
【0013】
還元酸化亜鉛粒子は吸収コア内に過剰のZn2+イオンを含有すると考えられる。これらは局在化した状態であり、そのようにして、バンドギャップ内に存在してもよい。これについてのさらなる議論をWO99/60994に見つけることができる。
【0014】
粒子の平均の主な粒径は、一般に、約1〜200nm、例えば、約1〜150nm、好ましくは約1〜100nm、より好ましくは約1〜50nm、最も好ましくは約20〜50nmである。好ましくは、最終生成物が色を呈さないように粒径を選択する。従って、ナノ粒子が頻繁に使用される。捕捉効果が本質的に触媒的であると考えられるので、粒子を最小にして、その表面積、従って、表面上のドープ物質の面積を最大にすることが望ましい。この小さなサイズは、必要なドーパントが少なくなるという利点を有し、このことによって、結果として、ドーパントによって引き起こされるあらゆる着色効果が減少するという利点がある。しかし、1つの実施態様において、わずかに大きな粒子、例えば、100〜500nm、典型的には100〜400または450mm、特に150〜300nm、特に200〜250nmが用いられ得る。これらは、例えば、肌の欠陥の良好な被覆をもたらし、容認できない肌の白化を伴わない。
【0015】
粒子が実質的に球状である場合、粒径は直径を示すと解釈される。しかし、本発明は、非球状の粒子も含み、このような場合には、粒径とは最大の大きさを指す。
【0016】
本発明の酸化物粒子は、無機または有機コーティングを有していてもよい。例えば、粒子は、アルミニウム、ジルコニウムまたはケイ素などの元素の酸化物(特に、シリカ、または、例えば、ケイ酸アルミニウム)でコーティングされていてもよい。また、金属酸化物の粒子は、1またはそれよりも多くの有機物質、例えば、ポリオール類、アミン類、アルカノールアミン類、ポリマー状有機ケイ素化合物(例えば、RSi[{OSi(Me)}xOR、式中、RはC−C10アルキルであり、Rはメチルまたはエチルであり、そして、xは4から12の整数である)、親水性ポリマー(ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースおよびキサンタンガムなど)、または界面活性剤(例えば、TOPOなど)でコーティングされていてもよい。所望に応じて、無機または有機コーティング剤を別々にまたはそれらを組み合わせたコーティング技術によって、表面ドーピングを実施してもよい。従って、例えば、未ドープの酸化物を有機または無機コーティング剤(シリカなど)とともに、例えば、酸化マンガンでコーティングすることができる。概して、酸化物粒子をコーティングして、酸化物粒子を親水性にする必要はなく、その結果、水相のために粒子はコーティングされないはずである。しかし、粒子が有機相または油相に存在しなければならない場合、その表面に疎水性またはオイル分散性が与えられなければならない。これは、例えば、適切な疎水性ポリマーの直接付与によって、あるいは、例えば、シリカなどの(親水特性を与える)酸化物のコーティング、そこに、金属ソープまたは長鎖(例えば、C12−C22)カルボン酸またはその金属塩(ステアリン酸、ステアリン酸塩、詳細には、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウムおよびステアリン酸亜鉛など)などの疎水性分子のコーティングを間接的に付与することによって達成され得る。
【0017】
用語「コーティング」が完全な被覆に限定されると解釈すべきでないことを理解すべきである。コーティングが、フリーラジカルと、粒子の表面上または表面のドーパントとの相互作用に対するバリアとして作用し得るので、実際には、概して、コーティングが完全でないことが有益である。従って、最大の捕捉効果が所望される場合、好ましくはコーティングが不連続であるべきである。しかし、コーティングが連続し得る場合において、表面上のドーパントがそれにもかかわらずに作用し、粒子内で生成したフリーラジカルをクエンチし得ることが理解される。ポリマー状または短鎖であってもよいシランおよびシリコーンあるいはモノマーシランのコーティングは一般に連続的であるので、これらは、概して、それほど好ましくない。従って、無機酸化物でのコーティングが概して好ましい。なぜなら、一般に、これらは粒子表面上に完全なコーティングをもたらさないからである。
【0018】
典型的なコーティング手順は、粒子存在下、水酸化アンモニウムなどのアルカリをテトラエチルオルトシリケートなどのオルトシリケートと混合することによるシリカの堆積を含む。あるいは、第1に、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(MPS)等のシランで粒子をコーティングすることができ、次いで、シリケート(例えば、ケイ酸ナトリウム)を添加する。シランは、粒子表面に結合し、次に重合してシリカを形成するシリケート用の支持体として作用する。同様の技術を他の無機酸化物に使用することができる。
【0019】
本発明の粒子は、上記で言及した我々の共に係属中の英国特許出願に記載の全ての組成物に使用することができ、本発明の粒子は、本願と同日付で出願し、発明の名称が「Improved Polymeric Composition and Improved Agricultural Compositions」である、我々のさらなる共に係属中の英国特許出願にも記載のポリマーおよび農学組成物においても有用である。
【0020】
以下の実施例は本発明をさらに示す。
【0021】
(実施例1)
(マンガンドープチタニアの酸抽出)
マンガンドープチタニアのサンプルを室温で25%塩酸に異なる回数で浸漬した。チタニアを遠心分離によって処理し、上清液を50mlメスフラスコに移した。超音波の助けを借りて水中での再懸濁によってチタニアを1回洗浄し、再び遠心分離した。洗浄液をこのメスフラスコに添加し、容量を脱イオン水で50mlに調整した。
【0022】
元来のパウダーサンプルと一緒に、抽出物のサンプルをマンガンについて分析した。水抽出物をAAS(Atomic Absorption Spectroscopy)によって直接分析した。パウダーをフッ化水素酸−硫酸混合物で消化後に同様に分析した。
【0023】
(DPPH(ラジカル捕捉)アッセイ)
1mM DPPH(MeOH)ストック溶液を調製した。120μlのDPPH(1mM)+300μl TiO(3mg/ml)を含むサンプルをMeOHで3mlに調整し、10mmの石英キュベットに入れた。DPPHは安定なラジカルであり、520nmで吸収するので、この波長での吸光度の損失はTiOのラジカル捕捉能の測定である。チタニアサンプルを上記一連の抽出から採取した。サンプルを暗所で維持し、520nmでの吸光度を5分毎に測定した。サンプルは各測定前に混合を要し、これを採取して、TiOを再分散した。
【表1】

【0024】
これらのデータから、74%のマンガンが48時間後に残存していることが明らかである。このとき、DPPHの損失率は非常に小さいので、残り26%のマンガンが表面にまたは表面上に存在し、フリーラジカルを捕捉するよう作用することが明らかである。従って、表面で利用可能なマンガンを有する粒子は、フリーラジカルを捕捉する。
【0025】
(第2の実施態様)
【0026】
本発明の第2の実施態様は、化粧品および局所医薬の使用に適したUV日焼け止め組成物における分解保護剤に関する。
【0027】
皮膚のUVAおよびUVB光への暴露に関する影響は周知であり、例えば、日焼け、早発の老化および皮膚癌が挙げられる。
【0028】
市販の日焼け止め剤は、UV光を反射および/または吸収することができる成分を一般に含む。これらの成分としては、例えば、無機酸化物(酸化亜鉛および二酸化チタンなど)ならびに有機日焼け止め剤が挙げられる。
【0029】
一般大衆は、概して、日光の明らかな影響、すなわち皮膚を赤くする日焼けに関心があり、それ自体明らかなものが少ない日光の他の影響については関心が低い。この市販の日焼け止め剤の結果として、組成物は、Sun Protection Factor (SPF)によって評価される。これは、未処理の皮膚と比較した、組成物層の下で皮膚が赤くなるのにかかる時間の測定である。従って、SPF 20は、未処理の皮膚と比較して、2mg/cm塗布した組成物の層の下で皮膚が赤くなるのに20倍以上かかることを示す。この赤くする効果は主にUVB光によって引き起こされる。UVA光の効果に対応する要因は、長期にわたってさらにダメージを与えるかもしれないが、認知されていない。
【0030】
大半の有機日焼け止め剤は、UVA−UVBスペクトルの一部にわたってのみ光を吸収し、結果として、全UVA−UVBスペクトルを包含する日焼け止め効果が得られたとしても、他の有機日焼け止め剤の組み合わせの使用が一般に必要となる。幾つかの有機日焼け止め剤および日焼け止め組成物の他の成分はUV光に安定であるが、その他の成分は、感光性であり、そして/または、UV光によって励起された後、フリーラジカルの形成をもたらしてもよく、それによって組成物の別の成分が攻撃され、分解が引き起こされ得る。
【0031】
二酸化チタンおよび酸化亜鉛は、一般に、「微細化」または「超微粒子化」(20〜50nm)された粒子(マイクロリフレクターと呼ばれる)として処方される。なぜなら、その大きさが入射光の波長の10%未満の粒子は、レイリーの法則に従って、光を散乱し、それによって、散乱光の強度は、波長の4乗(fourth power)に逆比例する。結果的に、粒子は、(280または290〜315/320nmの波長を有する)UVB光および(315/320〜400nmの波長を有する)UVA光、それよりも長い波長、可視波長を散乱し、皮膚上で見えないままにして、日焼けを防止する。
【0032】
しかし、また、二酸化チタンおよび酸化亜鉛は、UV光を有効に吸収し、水との接触時、電子正孔対の初期形成を介して、スーパーオキシドおよびヒドロキシルラジカルの形成をもたらし、それによって、組成物の他の成分へのダメージ付与を開始するようになるのかもしれない。TiOの結晶形態であるアナターゼおよびルチルは、それぞれ、約385nmおよび400nmの光に対応する約3.23および3.06eVのバンドギャップエネルギーを有する半導体である(1eVは8066cm−1に対応する)。実際、UVA有機日焼け止め剤(例えば、アボベンゾン(ブチルメトキシジベンゾイルメタン、BMDMとしても公知))を含む有機日焼け止め剤の分解をTiOが促進し得ることを示唆する証拠が存在する。コーティングによってTiOおよびZnOの悪影響を減少させる試みがなされているが、コーティングは一定して効果のあるものではない。
【0033】
大半の日焼け止め剤が実質的に永続する効果(すなわち、実質的に一定のままであるSPFファクター)を有していない理由は、主に、有機日焼け止め剤は、光によって分解すし、そして/または、日焼け止め組成物の他の成分がUV光に晒されると、これらの成分の悪影響を受けるからである。
【0034】
従って、さらに、本発明は、ドープTiO/ZnOおよび/または還元ZnOをUV日焼け止め組成物に導入する工程を包含し、UV日焼け止め組成物における有毒化合物の生成を減少させる方法を提供する。一般に、ドープTiO/ZnOを含む組成物は、ドープ物質を含まないことを除いて同一処方の組成物のUV吸収損失率よりも、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、特に少なくとも20%、最も好ましくは少なくとも40%低いUV吸収損失率を有する。従って、少なくともUVAおよび/またはUVBスペクトルの一部に対するUV吸収(UV暴露の間)の損失率をXとすると、感光性であり、そして/または、組成物の別の成分によって分解される有機成分の量はUV吸収の損失率Yを有し、YはXよりも少なくとも5%大きく、そして、ドープTiOおよび/またはZnOの量は、この損失率をYからXに下げる。
【0035】
本明細書中、酸化物が実際に有効となり得る場合、酸化物表面上にドーパントが存在し、表面が組成物の成分と相互作用して保護され得なければならないことが重要であると、本発明によって理解されている。例えば、2相組成物において、酸化物が水相に存在し、なおかつ、保護される成分が有機相に存在する場合、相の境界が原因でほとんど相互作用がない(酸化物はこの成分にアクセスできない)。従って、この成分の分解によって生成するフリーラジカルは、一方の相から他方の相に移動することなく、ドーパントと接触できない。バルクにドーパントのみが存在する場合、保護される組成物の成分と、(フリーラジカル捕捉剤として)有効に相互作用することができないことはさらに十分に理解されている。この結果は、すなわち、表面にのみドープされる(すなわち、粒子の表面にまたは表面上にドーパントが存在している)物質を使用することが可能である。1つの実施態様において、このような物質を単相処方物において使用してもよい。組成物が皮膚を保護することを意図する場合、バルクドーパントの存在が望ましい。なぜなら、ドーパントは、UV光の作用によって生成したフリーラジカルの捕捉が可能であり、そして、生じたエネルギーの放散が可能であるからである。しかし、皮膚保護効果を持たせることを意図しない処方物の場合、これは必須ではない。表面ドーパントとは対照的に、粒子が配置される相とは無関係に、バルクドーパントの影響が生じることを付け加えるべきである。
【0036】
従って、本発明は、上記理論とは独立して、以下の(a)および(b)を含む、化粧品または局所医薬の使用に適したUV日焼け止め組成物を提供する:
(a)感光性であり、そして/あるいは、組成物の別の成分および/または未ドープのTiOおよび/または未ドープのZnOによって分解し得る、1またはそれよりも多くの有機成分、および
(b)1またはそれよりも多くの他の元素、典型的には、1つの元素(すなわち、第2の元素)で表面がドープされたTiOおよび/またはZnO。一般に、粒子のバルクがドープされていると、粒子全体にドーパントが存在する。一方、粒子の「表面がドープ」されている場合(すなわち、ドーパントが表面にまたは表面上にのみ存在する場合)、例えば、粒子の表面または最外部の「スキン」でのチタンまたは亜鉛原子に対するドーパント原子の比が、コアまたは中心部での比(これはゼロであってもよい)よりも大きくなるように、濃度勾配が存在する。
【0037】
「化粧品または局所医薬の使用に適したUV日焼け止め組成物」とは、UV日焼け止め活性を有する任意の化粧品または局所医薬組成物を意味する。すなわち、当該組成物は、その主な機能が日焼け止めでなくてもよい組成物を包含する。ドープTiO/ZnOまたは還元ZnOは、UV日焼け止め活性を有する組成物の唯一の成分であってもよいこと、すなわち、当該組成物が有機UV日焼け止め剤を必須として含む必要がないことが理解される。また、当該組成物がドーピングまたは還元されていないTiOおよび/またはZnOを含んでいてもよいことが理解されるべきである。
【0038】
感光性であるか、または、組成物の別の成分によって分解される有機成分は、概して、UV日焼け止め剤である。UV吸収において損失を被る全ての有機日焼け止め剤を使用することができるが、本発明は、UVA領域ならびにUVB領域において吸収する剤に特に有用である。しかし、他の有機成分は、概して、フリーラジカルの攻撃を受けやすく、その結果、概して、これによってUV日焼け止め剤の分解が引き起こされ得る。
【0039】
上記で示したように、有機日焼け止め剤のUV吸収は、概して、時間と共に減少する。対して、TiOまたはZnOのUV吸収は時間と共に減少しない。TiOおよびZnOはUVAおよびUVBの両方の領域において吸収し、対して、有機日焼け止め剤は、概して、さらに波長特異的であるので、UVA/UVB吸収比がその期間に変化してもよいことが理解できる。例えば、好ましいものとして、有機日焼け止め剤がUVA領域において吸収する場合、このとき、この比は経時的に減少する。同一量の未ドープTiO/ZnOではなく、ドープTiO/ZnOを使用する場合、変化率は低くなる。これは、未ドープのTiO/ZnOが存在する状況に対して、ドープ物質が経時的に有機日焼け止め剤の性能を増強するからである。従って、UVA日焼け止め剤に関して、経時的なUVA吸収の損失は減少し、(すなわち、ドープ物質が存在する場合、UVA応答はさらに安定であり)、その結果、その率の変化の比は減少する。従って、吸収の初期の比がX/Yである場合、比は(X−x)/Y(式中、ドープ物質を使用する場合、xはさらに小さい)となり、結果として、変化率はさらに小さい。また、UVB日焼け止め剤に関して、より安定なUVB応答の結果として、変化率が減少する。
【0040】
英国特許出願第0315082.8号で議論されているように、吸収の損失率は、所定の厚さのドープTiOおよび/またはZnOを含む組成物および含まない組成物のサンプルにUV光を照射することによって決定することができる。
【0041】
確かに、(調製の簡素化のため)これは通常バルクドーパントが表面ドーパントと同一元素である場合であるが、このことはこの場合に必須である必要はないことが理解される。(もちろん、還元酸化亜鉛に関して、バルクドーパントは存在しない。)従って、例えば、粒子の色を変更することが可能である。酸化物粒子の適切なドーパントとしては、マンガン(特に好ましくは、例えば、Mn2+およびMn4+とりわけMn3+)、バナジウム(例えば、V3+またはV5+)、クロムおよび鉄、ならびに他の金属が挙げられる。使用され得る他の金属としては、ニッケル、銅、スズ、アルミニウム、鉛、銀、ジルコニウム、亜鉛、コバルト、ガリウム、ニオブ(例えば、Nb5+)、アンチモン(例えば、Sb3+)、タンタル(例えば、Ta5+)、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、モリブデン(例えば、Mo3+、Mo5+またはMo6+)ならびにケイ素が挙げられる。マンガンは好ましくはMn3+ならびにMn2+として、コバルトはCo2+として、スズはSn4+として存在する。これらの金属を単独で、あるいは、2または3またはそれよりも多くを組み合わせて含ませることができる。効果的なバルクドーピングには、粒子の結晶格子に容易に挿入され得るようなイオンの大きさでなければならないことが理解される。この目的のために、概して、Mn3+、バナジウム、クロムおよび鉄が最も有効であり、Mn2+のイオンの大きさがTi4+のイオンの大きさよりも遙かに大きいので、Mn2+のTiO結晶格子へのイオン拡散の可能性はほとんどない。一方、表面ドーピングで使用する元素にこのような大きさの制限はなく、好ましい表面ドーパントとしては、マンガン(例えば、Mn2+)、セリウム、セレン、クロムおよび鉄ならびにバナジウム(特に、V4+として)が挙げられる。
【0042】
粒子上、および、存在する場合、粒子の第2の成分の最大総量は、常法の実験によって決定することができるが、粒子が最小限に着色されるように十分に低くすることが好ましい。0.1モル%またはそれよりも低い量(例えば、0.05モル%)あるいは1モル%またはそれよりも高い量(例えば、5モル%または10モル%)を一般に使用することができる。典型的な濃度は0.5〜2重量モル%である。ドーパント 対 表面上のホスト金属のモル比は、典型的には、2〜25:98〜75、通常5〜20:95〜80、特に8〜15:92〜85である。表面でのドーパントの量は、例えば、X線光電子分光法(XPS)によって決定できる。
【0043】
表面ドープ粒子は、このようなドープ酸化物および塩を調製するための標準的な方法のいずれか1つによって得ることができる。これらの方法としては、以下に記載の技術などが挙げられる。ドーパントは必ずしも酸化物として存在する必要はなく、クロリドなどの塩として、あるいは、過塩素酸塩または硝酸塩などの酸素含有アニオンとの塩として存在していてもよいことが理解される。しかし、バルクドーピング技術は、概して、同様に表面ドーピングをもたらす場合もあり、これらの技術を本発明で使用することができる。このような技術は、ホスト格子の粒子(TiO/ZnO)と、クロリドまたは過塩素酸塩もしくは硝酸塩などの酸素含有アニオンなどの塩の形態の第2の成分との溶液または懸濁液中、典型的には水溶液中での配合、次いでその典型的には少なくとも300℃の温度での焼成による焼成技術を包含する。ドープ物質の調製に使用され得る他の経路としては、J. Mat. Sci. (1997) 36, 6001-6008 に記載の種類の沈殿方法が挙げられ、この方法では、ドーパント塩の溶液およびホスト金属(Ti/Zn)のアルコキシドの溶液を混合し、そして、混合した溶液を次に加熱して、アルコキシドを酸化物に変換する。ドープ物質の沈殿が得られるまで加熱を続ける。調製のさらなる詳細は、WO00/60994およびWO01/40114に見つけることができる。
【0044】
このような焼成技術などによって結晶格子の表面形成部分にドーパントをもたらす一方で、他の技術では、ドーパントが、粒子表面上に単に吸着されるか、または、粒子表面上に分離した層として残存することが理解される。よく起こり得ることだが、ドーパントは、初期に発生したフリーラジカルを有効にクエンチすることができると、結晶格子内に存在しなければならない。
【0045】
チタニアのルチル形態は、アナターゼ形態よりも光活性が低いことが知られているので好ましい。
【0046】
適切なドーパントレベルで前駆体を含む混合金属をフレームまたはプラズマに暴露して所望の生成物を得るフレーム熱分解またはプラズマ経路によって、ドープTiOまたはドープZnOを得ることができる。
【0047】
表面ドーピングに付される酸化亜鉛は、還元酸化亜鉛であってもよい(皮膚保護効果が所望の場合)。還元酸化亜鉛粒子(すなわち、酸素イオンに対して亜鉛イオンを過剰に有する粒子)は、還元雰囲気下、酸化亜鉛粒子を加熱して還元酸化亜鉛粒子を得ることによって、容易に得ることができ、還元酸化亜鉛粒子は、UV光、特に390nm未満の波長を有するUV光を吸収し、緑色、好ましくは約500nmで再び放射する。典型的には、水素の濃度は、1〜20%、特に5〜15%(容量)であり、不活性バランスガス、特に窒素を伴う。好ましい還元雰囲気は、約10%水素および約90%窒素である(容量)。酸化亜鉛をこの雰囲気下で、例えば500℃〜1000℃、一般に750〜850℃、例えば、約800℃、5〜60分、一般に10〜30分間加熱する。典型的には、酸化亜鉛を約800℃で約20分間加熱する。還元酸化亜鉛粒子は、還元酸化亜鉛を含み、確実に、電子粒子の表面への移動および/または正に帯電した空孔への移動を最小限に止め、水性環境下でこれらの粒子がUV光に暴露された際、ヒドロキシルラジカルの生成が実質的に上述のように減少するようになることが理解される。
【0048】
還元酸化亜鉛粒子が吸収コア内に過剰のZn2+イオンを含有すると考えられる。これらは局在化した状態であり、そのようにして、バンドギャップ内に存在してもよい。これについてのさらなる議論をWO99/60994に見つけることができる。
【0049】
粒子の平均の主な粒径は、一般に、約1〜200nm、例えば、約1〜150nm、好ましくは約1〜100nm、より好ましくは約1〜50nm、最も好ましくは約20〜50nmである。好ましくは、最終生成物が色を呈さないように粒径を選択する。従って、ナノ粒子が頻繁に使用される。捕捉効果が本質的に触媒的であると考えられるので、粒子を最小にして、その表面積、従って、表面上のドープ物質の面積を最大にすることが望ましい。この小さなサイズは、必要なドーパントが少なくなるという利点を有し、このことによって、結果として、ドーパントによって引き起こされるあらゆる着色効果が減少するという利点がある。しかし、1つの実施態様において、わずかに大きな粒子、例えば、100〜500nm、典型的には100〜400または450mm、特に150〜300nm、特に200〜250nmが用いられ得る。これらは、例えば、肌の欠陥の良好な被覆をもたらし、容認できない肌の白化を伴わない。
【0050】
粒子が実質的に球状である場合、粒径は直径を示すと解釈される。しかし、本発明は、非球状の粒子も含み、このような場合には、粒径とは最大の大きさを指す。
【0051】
本発明で使用する酸化物粒子は、無機または有機コーティングを有していてもよい。例えば、粒子は、アルミニウム、ジルコニウムまたはケイ素などの元素の酸化物(特に、シリカ、または、例えば、ケイ酸アルミニウム)でコーティングされていてもよい。また、金属酸化物の粒子は、1またはそれよりも多くの有機物質、例えば、ポリオール類、アミン類、アルカノールアミン類、ポリマー状有機ケイ素化合物(例えば、RSi[{OSi(Me)}xOR、式中、RはC−C10アルキルであり、Rはメチルまたはエチルであり、そして、xは4から12の整数である)、親水性ポリマー(ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースおよびキサンタンガムなど)、または界面活性剤(例えば、TOPOなど)でコーティングされていてもよい。所望に応じて、無機または有機コーティング剤を別々にまたはそれらを組み合わせたコーティング技術によって、表面ドーピングを実施してもよい。従って、例えば、未ドープの酸化物を有機または無機コーティング剤(シリカなど)とともに、例えば、酸化マンガンでコーティングすることができる。概して、酸化物粒子をコーティングして、酸化物粒子を親水性にする必要はなく、その結果、水相のために粒子はコーティングされないはずである。しかし、粒子が有機相または油相に存在しなければならない場合、その表面に疎水性またはオイル分散性が与えられなければならない。これは、例えば、適切な疎水性ポリマーの直接付与によって、あるいは、例えば、シリカなどの(親水特性を与える)酸化物のコーティング、そこに、金属ソープまたは長鎖(例えば、C12−C22)カルボン酸またはその金属塩(ステアリン酸、ステアリン酸塩、詳細には、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウムおよびステアリン酸亜鉛など)などの疎水性分子のコーティングを間接的に付与することによって達成され得る。
【0052】
用語「コーティング」が完全な被覆に限定されると解釈すべきでないことを理解すべきである。コーティングが、フリーラジカルと、粒子の表面上または表面のドーパントとの相互作用に対するバリアとして作用し得るので、実際には、概して、コーティングが完全でないことが有益である。従って、最大の捕捉効果が所望される場合、好ましくはコーティングは不連続であるべきである。しかし、コーティングが連続し得る場合において、表面上のドーパントがそれにもかかわらずに作用し、粒子内で生成したフリーラジカルをクエンチし得ることが理解される。ポリマー状または短鎖であってもよいシランおよびシリコーンあるいはモノマーシランのコーティングは一般に連続的であるので、これらは、概して、それほど好ましくない。従って、無機酸化物でのコーティングが概して好ましい。なぜなら、一般に、これらは粒子表面上に完全なコーティングをもたらさないからである。
【0053】
典型的なコーティング手順は、粒子存在下、水酸化アンモニウムなどのアルカリをテトラエチルオルトシリケートなどのオルトシリケートと混合することによるシリカの堆積を含む。あるいは、第1に、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(MPS)等のシランで粒子をコーティングすることができ、次いで、シリケート(例えば、ケイ酸ナトリウム)を添加する。シランは、粒子表面に結合し、次に重合してシリカを形成するシリケート用の支持体として作用する。好ましくは、物質を凍結乾燥によって抽出する。なぜなら、このような昇華技術は水素結合形成を減少させ、それによって、粒子を小さい状態で維持するからである。典型的な手順は以下の通りである。
【0054】
a)4.52gのチタニアを200mlの脱イオン水に添加する。超音波ホーンを使用してこの物質を分散させる。
b)1.89mlの(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン[MPS]を50mlの水に強く攪拌しながら添加する。
c)20mlのMPS溶液をチタニア溶液に強く攪拌しながら添加する。この溶液を2時間攪拌してMPSを表面に結合させる。
d)40mlの25%ケイ酸ナトリウム溶液を添加し、溶液を1時間攪拌する。シリカをMPS層上にゆっくりと堆積させる。
e)遠心分離によってチタニアを除去し、脱イオン水中で3回洗浄する。
f)物質を凍結乾燥する。これによって数nmのシリカ層をチタニア表面にコーティングする。
【0055】
同様の技術を他の無機酸化物で使用してもよい。
【0056】
本発明の組成物は、単相、または水相もしくは油相のいずれか、または多相であってもよい。典型的な2相組成物としては、水中油または油中水処方物が挙げられる。単相組成物に関して、酸化物粒子は、もちろん、この相に分散性でなければならない。従って、組成物が水性または疎水性である場合、組成物がオイルベースである場合、粒子は、望ましくは、親水性である。しかし、適切な混合技術によって、油相中に未処理のTiOを分散させることが可能であってもよい。2相または多相組成物に関して、粒子は保護される成分(またはそれらの成分のうちの1つ)を含む相に存在しなければならない。確かに、保護されるべき成分が水相および油相の一方に存在しないとしても、水相および油相の両方に粒子が存在することが望ましいはずである。これは、使用者による組成物の塗布が保護される成分(単数または複数)の相転移をもたらす場合もある状況を含み得る。また、エマルションを皮膚に塗る場合、これには油性部分と非油性部分とに分かれる傾向がある。水が蒸発する場合、油分散性粒子は、油性部分に存在する傾向があるので、未保護の部分をもたらす。エマルション中に親水性および疎水性の粒子の両方を有することによって、これを回避することができ、その結果、一部が親水性部分に保持され、他方は疎水性部分に保持される。望ましくは、水分散性粒子 対 油分散性粒子の重量比は、1:4〜4:1、好ましくは1:2〜2:1、理想的には、ほぼ等しい重量割合である。多くの有機日焼け止め剤が疎水性であるので、粒子は疎水性であるべきであるが、有機日焼け止め剤は、特に酸基の特徴によって水溶性である場合もあり、このような場合、粒子はそれらを保護するために親水性である必要がある。
【0057】
本発明の組成物は、概して、化粧品での使用のためであり、例えば、皮膚日焼け組成物(例えば、クリーム、リップスティックの形態)、シワ防止処方物を含む皮膚老化防止組成物(例えば、クリームの形態)、スクラブ、クリームおよびローションを含む剥離製剤、スキンライトニング組成物(例えば、洗顔クリームの形態)、クリームおよびローションを含むハンド用製剤、保湿製剤、毛髪保護用組成物(コンディショナー、シャンプーおよびヘアラッカーならびにヘアマスクおよびゲルなど)、拭き取り布(wipes)、ローションおよびゲルを含むスキンクレンジング組成物、アイシャドウおよびほお紅、スキントナーおよび化粧水(serums)ならびに洗浄製品(シャワーゲルなど)、バブルバスおよびバスオイルを含むバス製品、好ましくは日焼け止め剤であってもよい。これに関して、本明細書中で使用する「化粧品UV日焼け止め組成物」との表現は、数種の洗浄製品など、皮膚に残存してもよい皮膚に塗布される組成物の全てを包含することに注目すべきである。本発明の組成物は、UV光に対する保護を提供する従来のあらゆる処方物として用いてもよい。また、当該組成物は、局所的な塗布に適した医薬組成物であってもよい。そのような組成物は、特に、UV光の悪影響を受けて皮膚障害(多形日光疹を引き起こすものなど)に罹患した患者に有用である。
【0058】
本発明の組成物で使用され得る有機日焼け止め剤は、UV光に対する保護を与える従来の日焼け止め剤を全て包含するが、他の感光性成分が存在しない場合、日焼け止め剤は感光性であり、そして/または、当該組成物の別の成分によって分解される。適切な日焼け止め剤は、the International Agency for Research on Cancer (Lyon, 2001) によって出版された、the IARC Handbook of Cancer Prevention, vol. 5, Sunscreens に列挙され、以下の(a)〜(l)を含む。
【0059】
(a)パラアミノ安息香酸類(PABA)、(UVB吸収剤)エステル類およびその誘導体、例えば、アミルジメチル−;エチルジヒドロキシプロピル−;エチルヘキシルジメチル−;エチル−;グリセリル−;および4−ビス−(ポリエトキシ)−PABA;
(b)シンナメート類(UVB)、特に、メチルシンナメートエステル類およびメトキシシンナメートエステル類を含むエステル類(オクチルメトキシシンナメート、エチルメトキシシンナメート、特に、2−エチルヘキシル パラ−メトキシシンナメート、イソアミル p−メトキシシンナメート、あるいは、これらとジイソプロピルシンナメート、2−エトキシエチル−4−メトキシシンナメート、DEA−メトキシシンナメート(パラメトキシヒドロキシシンナメートのジエタノールアミン塩)またはα,β−ジ(パラメトキシシンナモイル)−α’−(2−エチルヘキサノイル)グリセリンとの混合物、ならびにジイソプロピルメチルシンナメートなど);
(c)ベンゾフェノン類(UVA)(2,4−ジヒドロキシ−;2−ヒドロキシ−4−メトキシ;2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−;2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−;’2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−;および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチル−ベンゾフェノン類、ベンゼンスルホン酸およびそのナトリウム塩;2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノンナトリウムおよびオキシベンゾンなど)
(d)ジベンゾイルメタン類(UVA)(ブチルメトキシジベンゾイルメタン(BMDM、本明細書中、アボベンゾンと呼ぶ)、特に、4−tert−ブチル−4’メトキシジベンゾイルメタンなど);
(e)2−フェニルベンズイミダゾール−5スルホン酸 UVBおよびフェニルジベンズイミダゾールスルホン酸およびその塩;
(f)アルキル−β,β−ジフェニルアクリレート類(UVB)、例えば、アルキルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート類(オクトクリレンなど);
(g)トリアジン類(UVB)(2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2−エチル−ヘキシル−1−オキシ)−1,3,5トリアジンならびにオクチルトリアゾン(例えば、エチルヘキシルトリアゾンおよびジエチルヘキシルブタミドトリアゾン)など)
(h)カンファー誘導体(概してUVB)(4−メチルベンジリデンおよび3−ベンジリデン−カンファーおよびテレフタリリデンジカンファースルホン酸(UVA)、ベンジリデンカンファースルホン酸、カンファーベンズアルコニウムメタスルフェートおよびポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファーなど);
(i)有機顔料日焼け止め剤(メチレンビス−ベンゾトリアゾールテトラメチルブチルフェノールなど);
(j)シリコーンベース日焼け止め剤(ジメチコジエチルベンザルマロネートなど)
(k)サリチレート類(UVB)(ジプロピレングリコール−;エチレングリコール−、エチルヘキシル−、イソプロピルベンジル−、メチル−、フェニル−、3,3,5−トリメチル−およびTEA−サリチレート(2−ヒドロキシ安息香酸および2,2’2’’−ニトリロトリス(エタノール)の化合物)など);
(l)アントラニレート類(UVA)(メンチルアントラニレートなど)ならびにビスイミダジレート(UVA)、ジアルキルトリオレート(UVB)、5−メチル−2−フェニルベンズオキサゾール(UVB)およびウロカニン酸(UVB)。
【0060】
UVAおよびUVBの両方に有効な化合物もあり、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチル−フェノールおよびドロメトリゾールトリシロキサン(Mexoryl XL)が挙げられる。
【0061】
有機日焼け止め剤(単数または複数)は、典型的には、0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、特に2〜5重量%(組成物重量基準)の濃度で組成物中に存在する。
【0062】
組成物において、金属酸化物は、好ましくは、それらが存在する相(単相または複相)に約0.5〜20重量%、好ましくは約1〜10重量%、より好ましくは約3〜8重量%、特に約4〜7重量%(4〜6重量%など、例えば、約5重量%)の濃度で存在する。
【0063】
組成物は、例えば、典型的には、4000〜10,000mPasの粘度を有するローション(例えば、濃縮ローション)、ゲル、気孔を有する分散液、クリーム、典型的には10,000〜20,000mPasの粘度を有する流動クリームまたは20,000〜100,000mPasの粘度のクリーム、乳液、パウダー、固体スティックの形態であってもよく、必要に応じてエアロゾルとして梱包されていてもよく、フォームまたはスプレーの形態で提供されてもよい。
【0064】
当該組成物は、このような処方物で使用される以下に挙げる任意成分を含んでいてもよい:脂質、有機溶媒、シリコーン、増粘剤、液体および固体皮膚軟化剤、粘滑剤、他のUVA、UVBまたは広域(broad-band)日焼け止め剤、消泡剤、抗酸化剤(ブチルヒドロキシトルエンなど)、緩衝剤(トリエタノールアミンまたは水酸化ナトリウムなどの塩基を含む乳酸など)、植物エキス(アロエベラ、ヤグルマソウ、マンサク、ニワトコおよびキュウリなど)、活性増強剤、加湿剤および湿潤剤(グリセロール、ソルビトール、2−ピロリドン−5−カルボキシレート、ジブチルフタレート、ゼラチンおよびポリエチレングリコールなど)、芳香剤、保存剤(パラヒドロキシベンゾエートエステル類など)、表面活性化剤、フィラーおよび増粘剤、金属イオン封鎖剤、アニオン、カチオン、非イオンもしくは両性ポリマーまたはその混合物、液体発泡剤、アルカリ化剤もしくは酸性化剤、着色剤およびパウダー(100nm〜20000nmの粒径を有する金属酸化物顔料(従来の(未ドープ)TiOおよびZnOと一緒にした酸化鉄など)が挙げられる)。
【0065】
化粧品組成物の他の成分、例えば、ある種の表面活性化剤は、UV光の存在下、特定の日焼け止め剤を分解する作用を有していてもよいことが公知である。また、TiOおよびZnOは、アボベンゾンなどの特定の有機日焼け止め剤ならびにビタミン(例えば、ビタミンA、B、CおよびE)などの抗酸化剤を分解することが公知である。このような日焼け止め剤と共にドープTiOおよび/またはZnOならびに/あるいは還元ZnOを使用することが特に有用であることが理解される。これは、TiOおよびZnOが一般に積極的なUV吸収効果を有するからである。従って、ドープTiOおよび/またはZnOならびに/あるいは還元ZnOを使用することによって、少ない量の抗酸化剤を使用することが可能となってもよく、また、処方物をさらに長時間持続させることが可能となってもよい。
【0066】
有機溶媒としては、典型的には、低級アルコール類およびポリオール類(エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびソルビトール、ならびにメチレンクロリド、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランなど)が挙げられる。
【0067】
脂質として、油または蝋またはその混合物、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪属アルコール類、ワセリン、パラフィン、ラノリン、水添ラノリンもしくはアセチル化ラノリン、蜜蝋、オゾケライト蝋およびパラフィン蝋が挙げられ得る。
【0068】
油として、典型的には、動物油、植物油、鉱物油または合成油、特に、水添ヤシ油、水添ヒマシ油、ワセリン油、パラフィン油、ピュアセリン油、シリコーン油(ポリジメチルシロキサン類およびイソパラフィンなど)が挙げられる。
【0069】
蝋として、典型的には、動物蝋、鉱物蝋、植物蝋、無機蝋または合成蝋が挙げられる。このような蝋としては、蜜蝋、カルナウバ、カンデリラ、サトウキビまたは木蝋、オゾケライト、モンタン蝋、ミクロワックス、パラフィンもしくはシリコーン蝋および樹脂が挙げられる。
【0070】
脂肪酸エステルは、例えば、イソプロピルミリステート、イソプロピルアジペート、イソプロピルパルミテート、オクチルパルミテート、C12−C15脂肪族アルコールベンゾエート(FINETEXの「FINSOLV TN」)、3モルのプロピレンオキシドを含むオキシプロピレン化ミリスチンアルコール(WITCOの「WITCONOL APM」)、カプリン酸およびカプリル酸トリグリセリド類(HULSの「MIGLYOL 812」)である。
【0071】
また、組成物は、増粘剤(架橋または非架橋のアクリル酸ポリマー、特に、多官能性剤(polyfunctional agent)を用いて架橋されるポリアクリル酸(GOODRICH社の商品名「CARBOPOL」で販売されている製品など)、セルロース、誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロールのナトリウム塩など)、あるいは、セチルステアリルアルコールと、33モルのエチレンオキシドを含むオキシエチレン化セチルステアリルアルコールとの混合物など)を含んでいてもよい。
【0072】
適切な皮膚軟化剤としては、ステアリルアルコール、グリセリルモノリシノレート、ミルクオイル、セチルアルコール、イソプロピルイソステアレート、ステアリン酸、イソブチルパルミテート、イソセチルステアレート、オレイルアルコール、イソプロピルラウレート、ヘキシルラウレート、デシルオレート、オクタデカン−2−オール、イソセチルアルコール、エイコサニルアルコールベヘニルアルコール、セチルパルミテート、シリコーン油類(ジメチルポリシロキサンなど)、ジ−n−ブチルセバケート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、ブチルステアレート、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ココアバター、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、ヤシの実油、菜種油、ベニバナ油、マツヨイグサ油、大豆油、ヒマワリ油、アボカド油、ゴマの実油、ココナッツ油、落花生油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール類、ワセリン、鉱物油、ブチルミリステート、イソステアリン酸、パルミチン酸、イソプロピルリノレート、ラウリルラクテート、ミリスチルラクテート、デシルオレート、ミリスチルミリステートが挙げられる。
【0073】
適切な液体発泡剤としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、二酸化炭素、一酸化二窒素が挙げられる。
【0074】
適切なパウダーとしては、チョーク、タルク、フーラー土、カオリン、スターチ、ガム、コロイドシリカ ポリアクリレートナトリウム、テトラアルキルおよび/またはトリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾したマグネシウムアルミニウムシリケート、有機修飾したモンモリロナイトクレイ、水和アルミニウムシリケート、ヒュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチレングリコールモノステアレートが挙げられる。
【0075】
本発明の組成物は、日焼け止め剤である場合、例えば、溶媒もしくは脂質中の懸濁液または分散液の形態、または、クリームもしくは乳液などのエマルションとして、軟膏、ゲル、固体スティックまたはエアロゾルフォームの形態であってもよい。エマルションは、水中油または油中水エマルションであってもよく、アニオン、非イオン、カチオンまたは両性の表面活性化剤を含む乳化剤をさらに含んでいてもよく、油中水エマルションにおいて、HLBは、典型的には1〜6であり、他方、水中油エマルションでは、より大きな値(すなわち、>6)が望ましい。概して、水の量は、80容量%まで、典型的には5〜80容量%である。使用してもよい具体的な乳化剤としては、ソルビタントリオレート、ソルビタントリステアレート、グリセロールモノオレート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノラウレート、ソルビタンセスキオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール蜜蝋誘導体、PEG 200ジラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(3.5)ノニルフェノール、PEG 200モノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、PEG 400ジオレート、ポリオキシエチレン(5)モノステアレート、ポリオキシエチエン(polyoxyethyene)(4)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレート、PEG 300モノオレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレン(8)モノステアレート、PEG 400モノオレート、PEG 400モノステアレート、ポリオキシエチレン(10)モノオレート、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(9.3)オクチルフェノール、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート、PEG 600モノオレート、PEG 1000ジラウレート、ポリキシエチレンソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル、PEG 1500ジオレート、ポリオキシエチレン(14)ラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(25)オキシプロピレンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビトールモノラウレート、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(50)モノステアレートおよびPEG 4000モノステアレートが挙げられる。あるいは、乳化剤は、シリコーン界面活性剤、特に、ポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレン側鎖を有するジメチルポリシロキサンであって、典型的には、10,000〜50,000の分子量を有し、特に、シクロメチコーンおよびジメチコーンコポリオールであってもよい。また、これらを公知の方法に従って調製したイオンまたは非イオン、両親媒性の脂質の、気孔を有する分散体の形態で提供してもよい。
【0076】
第1の実施態様に関して上記に示した実施例1に加えて、以下の実施例はさらに本発明の実施態様を示す。
【0077】
(実施例2)
導入されるTiOの性質のみが異なる処方物の間で比較を行った。
【0078】
(日焼け止め処方物の調製)
日焼け止め処方物は、Stanley Blackの手順を基礎とした(www.sblack. com Formula Reference 1629)。
【0079】
A相
%w/w
水 80.35
プロピレングリコール 2.00
メチルパラベン 0.15
アロエベラゲル×1 0.10
【0080】
B相
Lexemul 561 (グリセリルステアレート、PEG−100 ステアレート) 5.00
Lexemul GDL (グリセリルジラウレート) 1.50
ステアリルアルコールNF 0.30
Lexol IPM (イソプロピルミリステート) 1.00
Lexol EHP (オクチルパルミテート) 2.00
Dow Corning 200 Fluid 200cs (ジメチコーン) 0.50
プロピルパラベン 0.10
Parsol 1789 (BMDM) 2.00
二酸化チタン 5.00
【0081】
処方物を以下の通り製造した。
A相を75℃に加熱
B相を75℃に加熱
A相をB相に強く攪拌しながら添加
攪拌しながら室温に冷却
【0082】
使用したTiOは以下の通りであった。
A.約1モル%のレベルにマンガンをドープしたTiO;主な粒径=20〜30nm;結晶形態=99%ルチル;コーティング=なし
B.BASFのUvinul TiO
主な粒径=c.21nm
結晶形態=75%アナターゼ/25%ルチル
コーティング=トリメチルカプリリルシラン(Trimethyylcaprylylsilane)(5%)
【0083】
Tayca CorpのMT100AQ
主な粒径=15nm
結晶形態=c.100%ルチル
コーティング=アルミナ/シリカ/アルギン酸(30%まで)
【0084】
人工皮膚において、以下のキュベットおよび吸光度測定法を用い、実施例1のDPPHアッセイ技術を用いて処方物を試験した。
【0085】
人工皮膚
IMS Testing GroupからVitro Skinを得た。Vitro−Skinを6.2×9cmの長方形にカットし、15%グリセリンを含む密閉湿度制御チャンバに一晩配置した。2mg/mlの付加量で再び含水したフィルムに日焼け止め剤サンプル(処方物)を載置し、ラテックスで被覆した指で均一に延ばした。フィルムを6×6cmのガラスレススライドマウントに設置し、15分間放置して乾燥させた。UV吸光度を測定し、次いでサンプルをキセノンアークソーラーシミュレーターで2時間照射した。5、15、30、60、90および120分の照射後、吸光度測定値を記録した。
【0086】
(キュベット)
サンプルを10μmキュベットに充填した(約4μlのサンプル容量、すなわち、液体)。UV吸光度をキセノンアークソーラーシミュレーターまたはSOL2ソーラーシミュレーター(Honle UV テクノロジー)で予備照射および5、15、30、60、90および120分照射後にも測定した。また、Nivea SPF10との比較を行った。
【0087】
DPPHアッセイに関して、処方物は2%Parsol 1789(アボベンゾン)を含んでいた。
【0088】
図1は、得られた結果を示す。ドープTiOの捕捉活性は、市販製品の捕捉活性よりも明らかに有意に優れており、DPPHの損失率が約3倍よりも大きい。
【0089】
図2は、含水人工皮膚に2%アボベンゾンを含む処方物に関して0の時点および120分の時点で360nmでの光透過の結果を示す。
【0090】
図3は、含水人工皮膚に2%アボベンゾン(AVO)および5%オクチルメトキシシンナメート(OMC)を含む処方物に関して360nmでの光透過の結果を示す。
【0091】
図4は、キュベットに2%アボベンゾンを含む処方物に関して0の時点および120分の時点で360nmでの光透過の結果を示す。
【0092】
これらの結果は、UVA透過を減少させる際、ドープTiOの優位性を明らかに示す。実際、0の時点および120分の時点での値の比は有意に異なり、ドープチタニアを使用する処方物において、減少した生成および捕捉の両方から、フリーラジカル量が減少することを意味する。
【0093】
(第3の実施態様)
本発明の第3の実施態様は様々な用途のポリマー組成物に関する。
【0094】
多くのポリマー組成物が光、特にUV光の悪影響を受けることが周知である。これは組成物の様々な物性に影響を及ぼし得る。典型的には、固体プラスチック組成物は、その強度に悪影響を受け、その結果、時間が経過すると、それらはさらに脆化する。同様の説明がコーティング組成物にあてはまる。悪影響を受け得る他の特性としては色が挙げられる。例えば、塗料などのコーティング組成物が光の悪影響を受け、その結果、退色、あるいは白色処方物の場合には黄色くなることが周知である。
【0095】
これらの悪影響を防止するために様々な検討が行われている。それには、組成物に光安定剤、典型的にはヒンダードアミンを導入することが含まれる。しかし、このような光安定剤の導入は比較的費用がかかり、通常は特に有効でない。
【0096】
本発明は、特定種の二酸化チタンおよび酸化亜鉛の導入が、光、特に、日光への暴露による悪影響を効果的に防止し得るという発見に起因する。
【0097】
我々のGB特許出願第0310365.2号において、また、ポリマー組成物が第2の元素でドープされた酸化亜鉛または二酸化チタンあるいは還元酸化亜鉛を提供している場合、ポリマー組成物の分解が遅延され得ることを開示する。換言すれば、通常の二酸化チタンまたは酸化亜鉛ではなく、これらのドープ物質または還元酸化亜鉛を使用することによって、例えば、UV光に対してより良好な保護を与えるポリマー組成物、あるいは、分解に対して同一の耐性を有し、しかもさらに少量の光安定剤を含む組成物を提供することが可能である。従って、本願は、感光性であり、そして/または、組成物の別の成分によって分解される一定量の1またはそれよりも多くの有機もしくは無機成分、ならびに、第2の元素でドープされた一定量のTiOおよび/またはZnOあるいは還元ZnOを含むポリマー組成物を記載し、第2の元素でドープされたTiOおよび/またはZnOあるいは還元ZnOを含まないことを除いて同一処方を有する組成物のUV感光性物理的要因の低下率よりも、少なくとも5%少ないUV感光性物理的要因の低下率を有する組成物を記載する。
【0098】
「物理的要因」とは、UV光の悪影響を受ける組成物の物性の測定可能な値を意味する。このような物理的要因の例としては、分解、そしてその結果、強度、(例えば、塗料および織物の)色変化、ならびに(例えば、写真フィルムの)写真安定性が挙げられる。
【0099】
従って、物理的要因の低下率をXとすると、感光性であり、そして/または、組成物の別の成分によって分解される成分(単数または複数)の量は物理的要因の低下率Yを有し、YはXよりも少なくとも5%大きく、そして、ドープTiOおよび/またはZnOならびに/あるいは還元ZnOの量は、この損失率をYからXに下げる。また、本発明は、ドープTiO/ZnOおよび/または還元ZnOの使用を提供し、ポリマー組成物の1またはそれよりも多くの光安定剤の濃度を減少し、そして、ポリマー組成物の物理的要因の低下率を減少させる。さらに、本発明は、感光性であるか、そして/または、組成物の別の成分によって分解される1またはそれよりも多くの成分を含む組成物の物理的要因の安定性を改善する方法であって、ドープTiO/ZnOおよび/または還元ZnOを該組成物に導入する工程を包含する方法を提供する。
【0100】
第2の実施態様に関連して言及したように、酸化物が実際に有効となり得る場合、酸化物表面上にドーパントが存在し、表面が組成物の成分と相互作用して保護され得なければならないことが重要である。また、バルクでドーピングする既存の方法は、通常、粒子の表面にまたは表面上に、ある程度のドーパントをもたらすが、本発明によると、表面にのみドープされる(すなわち、粒子の表面にまたは表面上にのみドーパントが存在している)物質を使用することが可能である。1つの実施態様において、このような物質を単相処方物において使用してもよい。
【0101】
従って、本発明は、上記理論とは独立して、感光性であるか、そして/または、組成物の別の成分によって分解される一定量の1またはそれよりも多くの有機もしくは無機成分、ならびに、1またはそれよりも多くの他の元素(典型的には1つ、すなわち、唯一の第2元素)によって、少なくとも、TiOおよび/またはZnOの表面上または表面にドープされた一定量のTiOおよび/またはZnOを含む組成物を提供する。
【0102】
組成物は、ポリマー状であってもよく、本明細書で使用する場合、典型的には組成物の少なくとも1重量%、好ましくは5重量%を構成する1またはそれよりも多くのポリマー物質を組成物が含んでいてもよいことを意味する。また、組成物は、固体または液体であってもよい。ポリマー物質が存在する場合、これは、少なくとも一部の有機成分を含んでいてもよく、そして/または、バインダーおよび/または組成物の他の成分を含んでいてもよい。
【0103】
一般に、粒子のバルクがドープされていると、粒子全体にドーパントが存在する。一方、粒子の「表面がドープ」されている場合(すなわち、ドーパントが表面にまたは表面上にのみ存在する場合)、例えば、粒子の表面または最外部の「スキン」でのチタンまたは亜鉛原子に対するドーパント原子の比が、コアまたは中心部での比(これはゼロであってもよい)よりも大きくなるように、濃度勾配が存在する。一般に、当該組成物は、第2の元素でドープされたTiOおよび/またはZnOを含まないことを除いて同一処方を有する組成物のUV感光性物理的要因の低下率よりも、少なくとも5%少ないUV感光性物理的要因の低下率を有する処方を有する。
【0104】
本明細書中で使用する「ポリマー組成物」とは、1またはそれよりも多くのポリマー物質を含む組成物を意味する。組成物は固体または液体であってもよい。
【0105】
いくつかの場合において、本発明の組成物は、ドーピングされていないTiOおよび/またはZnOを含む。典型的にはこのような未ドープTiO/ZnOは、概して、少なくとも100nmの粒径を有する顔料として存在する。
【0106】
典型的な固体物質としては、三次元のもの(three dimensional objects)、フィルムおよび繊維、ならびに、織物およびファブリック(例えば、織繊維および不織繊維の布およびニット製品)ならびに発砲製品を含むポリマー固体が挙げられ、繊維でない固体が好ましい場合もある。三次元のものとしては、押出成形製品および鋳型成形製品を含む溶融形成法によって作製されたものが挙げられる。本発明が適用され得る典型的な製品としては、概して、住まいの外装および建材が挙げられ、ブラインドおよびプラスチックカーテン、トレリス、パイプおよび樋材、外装材および外装(ソフィットボードおよび波形シート状に成形されてもよいプラスチックの屋根材など)、ドアおよび窓枠を含む。他の製品としては、広告板など(例えば、車両側面の広告ボード)ならびに車両本体および車体部品(車、バスおよびトラック用のバンパーを含む)ならびにボート用としても使用可能な屋根、ならびに、ボートの甲板上部分および船体、また、芝刈り機、トラクターおよびヨットの本体、容器(ボトル、缶、ドラム缶、バケツならびに油および水の保存容器など)が挙げられる。他の目的としては、庭用の備品が挙げられる。1つの実施態様において、固体は透明でない。
【0107】
本発明が適用され得るフィルムとしては、セルフサポーティングフィルムならびに非セルフサポーティングフィルム(コーティングなど)が挙げられる。本発明が適用されるセルフサポーティングフィルムとしては、写真フィルム、印を有するパッケージフィルムおよびプラスチックフィルム(典型的には広告フィルム)が挙げられ、これらは、また、広告板上に適用されてもよい。このようなフィルムは、これらの製品の1またはそれよりも多くの通常の成分を含んでいてもよい。従って、写真フィルムは、1またはそれよりも多くの染料または染料カプラー、必要に応じて銀ハライドを含む。
【0108】
いくつかの場合において、ポリマー組成物それ自体は分解しそうにないが、組成物は、支持体、あるいは、容器の場合、その内部に配置されるものを保護することを意図する。従って、このような組成物は、ドープTiO/ZnOを含んでいてもよい。例としては、着色および無着色容器、典型的にはボトルが挙げられる。
【0109】
従って、本発明は、さらに、セルフサポーティングポリマー組成物またはワニス組成物を提供し、当該組成物に隣接した組成物を光の悪影響から保護することを意図し、当該組成物は、少なくとも第2の元素で表面をドープしたTiOおよび/またはZnOを含む。1つの実施態様において、組成物は、3次元的であり、TiOおよび/またはZnOを伴う表面層を含む一方で、非表面部分は、一般に、木材または再構成された木材(ボール紙、合板または繊維板など)ではなく、好ましくは、人工物である。
【0110】
コーティング組成物は、典型的には塗料およびワニスであり、これらは、いくつかのワニスにおいて、活性成分としてのポリマー、あるいは、家具用の光沢剤、ワックスおよびクリームとともに塗料中のサポートとしてポリマーを含む。これらは水性であっても非水性であってもよく、すなわち、それらが単相または多相(典型的には水中油または油中水エマルション)であってもよい場合、有機溶媒を含む。このコーティング組成物は防水剤の形態であってもよい。これらのコーティング組成物は、このような製品用の1またはそれよりも多くの通常の成分を含んでいてもよい。いくつかの化粧品組成物は、1またはそれよりも多くのポリマーを含み、このような組成物は本発明において、それほど好ましくない。
【0111】
本発明の組成物において使用され得るポリマーとしては、天然および合成ポリマーが挙げられ、熱可塑性または熱硬化性であってもよい。
【0112】
適切なポリマーとしては、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよく、コポリマーはランダム、ブロックまたはグラフトコポリマーであってもよく、ポリマーは架橋されていてもよい。このようなポリマーとしては、飽和または不飽和であってもよい。典型的なポリマーとしては、アルキレンポリマー(ポリエチレンフォームを含む、エチレンおよびプロピレンポリマー、典型的にはホモポリマーなど)、シロキサンおよびスルフィドポリマー、ナイロンなどのポリアミド、PETなどのポリエステル、アクリレートおよびメタクリレートポリマー(例えば、ポリ(メチルメタクリレート))、ポリウレタン(フォームを含む)、ビニルポリマー(ポリスチレンフォームを含むスチレンポリマー(例えば、ABS)など)、ビニルクロリドポリマーおよびポリビニルアルコール、ならびに、芳香族ポリマーを含む高機能熱可塑性プラスチック(例えば、PEEKおよびPESなどの直鎖芳香族半結晶性ポリマーなどのポリマー)が挙げられる。PTFEおよびフッ化ポリビニリデンなどのフッ素化合物系ポリマーを使用することができる。エポキシ樹脂ならびにフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂およびポリエステル樹脂とともに上記ポリマーを熱硬化してもよい。
【0113】
使用され得る天然ポリマーとしては、スターチを含有する紙におけるものとして、セルロースポリマー、ポリサッカリド類、リグニン類、および天然ゴムなどのポリイソプレン類が挙げられる。
【0114】
UV光への暴露の際に物性が全く変化しない、もしくは、顕著に変化しない、光に安定であるとみなされ得るポリマーもあることが理解される。従って、これらのポリマーは、感光性ではなく、その使用は本発明の範囲内に含まれない。
【0115】
適用が異なる典型的なポリマーとしては、以下の(a)〜(c)が挙げられる。
(a)繊維およびファブリック用のポリエステル、ポリアミド(例えば、ナイロン)、アクリル類;
(b)ボトル用などのポリエステル、ポリビニルクロリド、ポリエチレン、ポリプロピレン;
(c)(梱包用などの活性を有していない)フィルム用のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロリド
【0116】
当該組成物は、当該組成物に特徴的な有用な追加成分を含んでいてもよく、追加成分としては、「通常の」TiOおよび/またはZnOを含む無機および有機顔料、フィラーおよびエキステンダー、ならびに光安定剤、典型的にはヒンダードアミン安定剤が挙げられる。追加成分それ自体は、ポリマーまたは組成物の他の成分の分解を引き起こし得る分解成分による攻撃を受け易くてもよい。
【0117】
ドープTiOまたはZnOを含有する組成物および含有しない組成物のサンプルに日光または可視光を照射し、所定の期間、組成物のスペクトル応答を測定し、放出波長の変化を決定することによって、色の変化率を決定することができる。この目的のために、例えば、Fadeometerを用いた加速劣化試験を使用することができる。
【0118】
Instronテスターなどの標準的な器機を使用して、破断時の伸びなどの引張特性またはヤング率を測定することによって、本発明の製品の強度の損失率を同様の方法で決定することができ、ここでも加速劣化手順が有益である。
【0119】
波長変化または他の物理的要因の減少はいずれも有利であるが、概して、ドープ酸化物の存在によって、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、特に少なくとも20%、最も好ましくは少なくとも40%の量で変化率が減少すべきであることが望ましい。
【0120】
確かに、(調製の簡素化のため)これは通常バルクドーパントが表面ドーパントまたは各表面ドーパントと同一元素である場合であり、このことはこの場合に必須である必要はないことが理解される。(もちろん、還元酸化亜鉛に関して、バルクドーパントは存在しない。)従って、例えば、粒子の色を変更することが可能である。酸化物粒子の適切なドーパントとしては、マンガン(特に好ましくは、例えば、Mn2+だけでなくMn3+)、バナジウム(例えば、V3+またはV5+)、クロムおよび鉄、ならびに他の金属が挙げられる。使用され得る他の金属としては、ニッケル、銅、スズ(特に、Sn4+)、アルミニウム、鉛、銀、ジルコニウム、亜鉛、コバルト(特に、Co2+)、ガリウム、ニオブ(例えば、Nb5+)、アンチモン(例えば、Sb3+)、タンタル(例えば、Ta5+)、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、モリブデン(例えば、Mo3+、Mo5+またはMo6+)ならびにケイ素が挙げられる。これらの金属を単独で、あるいは、2または3またはそれよりも多くを組み合わせて含ませることができる。効果的なバルクドーピングには、粒子の結晶格子に容易に挿入され得るようなイオンの大きさでなければならないことが理解される。この目的のために、概して、Mn3+、バナジウム、クロムおよび鉄が最も有効であり、Mn2+のイオンの大きさがTi4+のイオンの大きさよりも遙かに大きいので、Mn2+のTiO結晶格子へのイオン拡散の可能性はほとんどない。一方、表面ドーピングで使用する元素にこのような大きさの制限はなく、好ましい表面ドーパントとしては、マンガン(例えば、Mn2+)、セリウム、セレン、クロムおよび鉄が挙げられる。
【0121】
粒子上、および、存在する場合、粒子の第2の成分の最大総量は、常法の実験によって決定することができるが、粒子が最小限に着色されるように十分に低くすることが好ましい。0.1モル%またはそれよりも低い量(例えば、0.05モル%)あるいは1モル%またはそれよりも高い量(例えば、5モル%または10モル%)を一般に使用することができる。典型的な濃度は0.5〜2重量モル%である。ドーパント 対 表面上のホスト金属のモル比は、典型的には、2〜25:98〜75、通常5〜20:95〜80、特に8〜15:92〜85である。表面でのドーパントの量は、例えば、X線光電子分光法(XPS)によって決定できる。
【0122】
表面ドープ粒子は、このようなドープ酸化物および塩を調製するための標準的な方法のいずれか1つによって得ることができる。これらの方法としては、以下に記載の技術などが挙げられる。ドーパントは必ずしも酸化物として存在する必要はなく、クロリドなどの塩として、あるいは、過塩素酸塩または硝酸塩などの酸素含有アニオンの塩として存在する必要があることが理解される。しかし、バルクドーピング技術は、概して、同様に表面ドーピングをもたらす場合もあり、これらの技術を本発明で使用することができる。このような技術は、ホスト格子の粒子(TiO/ZnO)と、クロリドまたは過塩素酸塩もしくは硝酸塩などの酸素含有アニオンなどの塩の形態の第2の成分との溶液または懸濁液中、典型的には水溶液中での配合、次いでその典型的には少なくとも300℃の温度での焼成による焼成技術を包含する。ドープ物質の調製に使用され得る他の経路としては、J. Mat. Sci. (1997) 36, 6001-6008 に記載の種類の沈殿方法が挙げられ、この方法では、ドーパント塩の溶液およびホスト金属(Ti/Zn)のアルコキシドの溶液を混合し、そして、混合した溶液を次に加熱して、アルコキシドを酸化物に変換する。ドープ物質の沈殿が得られるまで加熱を続ける。調製のさらなる詳細は、WO00/60994およびWO01/40114に見つけることができる。
【0123】
このような焼成技術などによって結晶格子の表面形成部分にドーパントをもたらす一方で、他の技術では、ドーパントが、粒子表面上に単に吸着されるか、または、粒子表面上に分離した層として残存することが理解される。ドーパントは、初期に発生したフリーラジカルをクエンチすることができると、結晶格子内に存在しなければならないと考えられ得る。
【0124】
チタニアのルチル形態は、アナターゼ形態よりも光活性が低いことが知られているので好ましい。酸化亜鉛は、還元酸化亜鉛粒子(すなわち、酸素イオンに対して過剰の亜鉛イオンを有する粒子)の形態であってもよい。
【0125】
適切なドーパントレベルで前駆体を含む混合金属をフレームまたはプラズマに暴露して所望の生成物を得るフレーム熱分解またはプラズマ経路によって、ドープTiOまたはドープZnOを得ることができる。
【0126】
このような粒子のさらなる詳細は、WO99/60994に見つけることができる。
【0127】
粒子の平均の主な粒径は、一般に、約1〜200nm、例えば、約1〜150nm、好ましくは約1〜100nm、より好ましくは約1〜50nm、最も好ましくは約20〜50nmである。捕捉効果が本質的に触媒的であると考えられるので、粒子を最小にして、その表面積、従って、表面上のドープ物質の面積を最大にすることが望ましい。この小さなサイズは、必要なドーパントが少なくなるという利点を有し、このことによって、結果として、ドーパントによって引き起こされるあらゆる着色効果が減少するという利点がある。
【0128】
粒子が実質的に球状である場合、粒径は直径を示すと解釈される。しかし、本発明は、非球状の粒子も含み、このような場合には、粒径とは最大の大きさを指す。
【0129】
本発明で使用する酸化物粒子は、無機または有機コーティングを有していてもよい。例えば、粒子は、アルミニウム、ジルコニウムまたはケイ素などの元素の酸化物(特に、シリカ、または、例えば、ケイ酸アルミニウム)でコーティングされていてもよい。また、金属酸化物の粒子は、1またはそれよりも多くの有機物質、例えば、ポリオール類、アミン類、アルカノールアミン類、ポリマー状有機ケイ素化合物(例えば、RSi[{OSi(Me)}xOR、式中、RはC−C10アルキルであり、Rはメチルまたはエチルであり、そして、xは4から12の整数である)、親水性ポリマー(ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースおよびキサンタンガムなど)、または界面活性剤(例えば、TOPOなど)でコーティングされていてもよい。所望に応じて、無機または有機コーティング剤を別々にまたはそれらを組み合わせたコーティング技術によって、表面ドーピングを実施してもよい。従って、例えば、未ドープの酸化物を有機または無機コーティング剤(シリカなど)とともに、例えば、酸化マンガンでコーティングすることができる。概して、酸化物粒子をコーティングして、酸化物粒子を親水性にする必要はなく、その結果、水相のために粒子はコーティングされないはずである。しかし、粒子が有機相または油相に存在しなければならない場合、その表面に疎水性またはオイル分散性が与えられなければならない。これは、例えば、適切な疎水性ポリマーの直接付与によって、あるいは、例えば、シリカなどの(親水特性を与える)酸化物のコーティング、そこに、金属ソープまたは長鎖(例えば、C12−C22)カルボン酸またはその金属塩(ステアリン酸、ステアリン酸塩、詳細には、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウムおよびステアリン酸亜鉛など)などの疎水性分子のコーティングを間接的に付与することによって達成され得る。
【0130】
用語「コーティング」が完全な被覆に限定されると解釈すべきでないことを理解すべきである。実際には、コーティングが、フリーラジカルと、粒子の表面上または表面のドーパントとの相互作用に対するバリアとして作用し得るので、概して、コーティングが完全でないことが有益である。従って、最大の捕捉効果が所望される場合、好ましくはコーティングは不連続であるべきである。しかし、コーティングが連続し得る場合において、表面上のドーパントがそれにもかかわらずに作用し、粒子内部で生成したフリーラジカルをクエンチし得ることが理解される。ポリマー状または短鎖であってもよいシランおよびシリコーンあるいはモノマーシランのコーティングは一般に連続的であるので、これらは、概して、それほど好ましくない。従って、無機酸化物でのコーティングが概して好ましい。なぜなら、一般に、これらは粒子表面上に完全なコーティングをもたらさないからである。
【0131】
典型的なコーティング手順は、粒子存在下、水酸化アンモニウムなどのアルカリをテトラエチルオルトシリケートなどのオルトシリケートと混合することによるシリカの堆積を含む。あるいは、第1に、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(MPS)等のシランで粒子をコーティングすることができ、次いで、シリケート(例えば、ケイ酸ナトリウム)を添加する。シランは、粒子表面に結合し、次に重合してシリカを形成するシリケート用の支持体として作用する。同様の技術を他の無機酸化物に使用することができる。
【0132】
本発明の組成物は、単相、水相(もしくは油相、もしくは一般的には疎水相)または多相のいずれかであってもよい。典型的な2相組成物としては、水中油または油中水処方物が挙げられる。単相組成物に関して、酸化物粒子は、もちろん、この相に分散性でなければならない。従って、組成物が水性または疎水性である場合、組成物がオイルベースである場合、粒子は、望ましくは、親水性である。しかし、適切な混合技術によって、油相中に未処理のTiOを分散させることが可能であってもよい。2相または多相組成物に関して、粒子は保護される成分(またはそれらの成分のうちの1つ)を含む相に存在しなければならない。確かに、保護されるべき成分が水相(一般には親水相)および油相(一般には疎水相)の一方に存在しないとしても、水相および油相の両方に粒子が存在することが望ましいはずである。望ましくは、水分散性粒子 対 油分散性粒子の重量比は、1:4〜4:1、好ましくは1:2〜2:1、理想的には、ほぼ等しい重量割合である。
【0133】
組成物において、金属酸化物は、好ましくは、約0.5〜20重量%、好ましくは約1〜10重量%、より好ましくは約3〜8重量%の濃度で存在する。
【0134】
第1の実施態様に関して上記に示した実施例1に加えて、以下の実施例は本発明をさらに示す。
【0135】
(実施例3)
(ドープTiOの調製)
共沈法
蒸留水(170cm)、濃HCl(12cm)およびプロパン−2−オール(12cm)を攪拌しながら室温で共に混合した。計算したパーセンテージの充填量で適切な金属塩を溶液に添加した(この場合、1%の充填量)。しっかり混合した後、ピペットを用いてチタニウムイソプロポキシド(10.4cm)を徐々に添加した。ゼラチン状の沈殿が直ちに形成された。溶液が透明になった後、水浴中で加熱した。数時間にわたって水浴温度を室温から328Kにゆっくりと上昇した。溶液を一晩放置した。得られた沈殿をデカントし、353Kで乾燥し、次いで、373Kでオーブンに数時間入れた。次いで、サンプルを873K(初期)、次いで、(確実にルチル結晶を形成するために)1273Kで3時間、大気中でか焼した。(加熱レジメ:200ケルビン/hで298ケルビンから選択温度まで、ドエル時間=200K/hで298Kへの冷却後3時間)
【0136】
吸着法
適切な金属塩(1%の充填量)をTiOパウダー Degussa P25(0.05モル約75%アナターゼおよび25%ルチル;表面積約50m/g;平均粒径約30nm)とともにメタノール中に溶解した。数時間溶液を攪拌し、次いで、溶媒をエバポレートしてTiOパウダーを得た。このパウダーを423Kでオーブンに2〜3時間入れ、その後、共沈法と同一の加熱レジメを用いて873Kで大気中でか焼した。
【0137】
EPR(Electron paramagnetic resonance)をカーディフ大学のEPSRC EPR施設にて低温(100K)で実施した。
【0138】
MnドープTiO(共沈法)
Mn(II)ドープTiOサンプルを両方の調製法によって調製し、そのEPRスペクトルを得た。共沈経路で作製した1%Mn(II)ドープTiOのスペクトルは、Mn4+が置換部位(substitutional site)を占有し、Mn2+が間隙部位(interstitial site)を占有することを示す。
【0139】
MnドープTiO(吸着法)
吸着法で作製した1%Mn(II)ドープTiOのスペクトルは、置換的に導入されたMn4+および置換的に導入されたMn2+を示す。また、表面Mn2+を示唆する証拠もある。
【0140】
V(IV)ドープTiO
V(IV)ドープTiOサンプルを両方の調製法によって調製し、そのEPRスペクトルを得た。吸着経路で作製した1%V(IV)ドープTiOのスペクトルは、V4+イオンに起因するわずかに分離したスペクトルを示し、これはTi3+イオンに恐らく起因するブロードレゾナンスに重複している。共沈法で作製した1%V(IV)ドープTiOのスペクトルは、51V核の磁気モーメント間と、TiOマトリクスの置換部位を占有するV4+に起因する常時性V4+イオンとの相互作用に起因する、8倍の超微細ラインレゾナンス(eightfold hyperfine line resonances)の十分に分離したスペクトルを示す。
【0141】
V(V)ドープTiO
V(V)ドープTiOサンプルを両方の方法によって調製し、そのEPRスペクトルを得た。共沈で調製したV(V)ドープTiOサンプルは、V4+が置換部位を占有することを示し、対して、吸着法によって製造したV(V)ドープTiOは、バナジウムイオンがTiO格子に置換しておらず、表面上に存在する可能性を反映する、わずかに分離したスペクトルを示した。
【0142】
PVCフィルムの調製
ポリ(ビニルクロリド)(1g)をHPLC等級のテトラヒドロフラン(20cm)に溶解し、対応する量の修飾TiO顔料を添加した(この場合、4%の充填量)。次いで、溶液を超音波処理/約1時間攪拌した。使い捨てアルミニウムトレイ(面積=8.55cm)に溶液を注ぎ、溶媒を蒸発させて薄層フィルム(100〜150μm)を調製した。次いで、得られたディスクを秤量(小数点以下4桁の秤)し、そして記録した。これらのデータから、PVCフィルムの既知の面積、重量および密度を用いて厚さを得ることができた。次いで、Olympus BH2走査光学顕微鏡でフィルムを分析することによって厚さを確かめた。IRスペクトルを記録し、その2913cm−1での相対吸光度に従い、大きさでサンプルを選択した。次いで、8個のUV300Wバルブを備えたQUVウェザロメーター(Q Panel Company)でフィルムを318Kの温度で照射した。
【0143】
UV照射装置
Q Panel QUV加速ウェザロメーターを使用した。この装置は本質的にはUV照射タンクである。UV波長として選択した8個の蛍光バルブ(300W)をこの装置の内部に装着し、さらに、モイスチャーバスを使用して過酷な条件を強いることができる。薄層フィルムサンプルをプレート上に載せ、装置の側部に配置する。QUVウェザロメーター内で与えられた光の強度をトリオクサラト鉄(III)カリウムシステムを使用して決定した。装置の側部での強度を計算したところ、1.82×1017量子/sであった。
【0144】
結果
Perkin−Elmer1000分光計(3200cm−1〜400cm−1の範囲)を用いてIR吸収スペクトルを記録した。分解能を4cm−1で予め決定した。1718cm−1のカルボニルピークの出現をモニタリングし、計算した。このピークの出現を経時的に記録し、2913cm−1のCHバンドに対して正規化して「カルボニル指数」を得た。
【0145】
図5〜7は、PVCフィルムの光分解におけるTiOへのMnおよびVの添加の効果の結果を示す。「1%Mn(Co)」は、共沈法で作製したMnドープTiOであり、「1%Mn(A)」を吸着法で作製する;同様の説明がVドープ物質にもあてはまる。500時間後、ドープサンプルのカルボニル指数を未ドープサンプルのカルボニル指数と比較することによって、保護因子(protection factor)を計算した。
【0146】
図5において、1%Mn(共沈法)サンプルは、PVCフィルムを保護する点で、未ドープのTiOよりも約9%上回って有効である。対して、1%Mn(吸着法)は、約23%を上回って有効である。図6において、1%V(共沈法)サンプルは、PVCフィルムを保護する点で、未ドープのTiOよりも約20%を下回って有効である。対して、1%V(吸着法)は、約12%を上回って有効である。図7において、1%V(共沈法)サンプルは、PVCフィルムを保護する点で、未ドープのTiOよりも約6%を下回って有効である。対して、1%V(吸着法)は、約6%を上回って有効である。
【0147】
図8は、PVCフィルムへのMnドープZnOの添加(573Kでのか焼)の効果を示す。「LM」および「HM」は、低濃度および高濃度のMnを示す。「HM31 cal」は、未ドープZnOと比較した、PVCフィルム保護における27%の改善を示す。ドープ物質の全てが未ドープの参照よりも良好な保護を示す。
【0148】
(第4の実施態様)
本発明は、農学、園芸学および獣医学の薬剤での使用に適した組成物に関する。
【0149】
除草剤および殺虫剤などの獣医学、農学および園芸学の組成物の多くの活性成分がUV光の悪影響を受けることが周知である。このような有機化合物には、UV光の影響下、不活性化合物あるいはその部分が処置される際に悪影響を有する化合物に分解(degrade)または分解(decompose)する傾向がある。結果として、UV光の透過を許容しない特別な容器中にこれらの製品を保存する必要がある。さもなくば、製品の貯蔵安定性は非常に短い。
【0150】
上記で言及した我々のGB特許出願第0312703.2号において、このような有機化合物へのUV光の悪影響が、第2の元素でドープされた二酸化チタンおよび/または酸化亜鉛ならびに/あるいは還元酸化亜鉛を組成物に導入することによって、減少および/または排除され得ることを開示する。換言すれば、この特異な酸化物を処方物中に導入することによって、特別な容器の使用を排除することができ、そして/または、製品の寿命を延長することが可能である。また、その存在によって、使用者は、少量の製品の使用が可能となる。従って、本願は、少なくとも1つの獣医学的、農学的および/または園芸学的に活性な有機化合物、ならびに、第2の元素をドープした二酸化チタンおよび/または酸化亜鉛ならびに/あるいは還元酸化亜鉛を含む、獣医学的、農学的または園芸学的な使用に適した組成物、ならびに、このような組成物で土地を処理する工程を包含する、該土地において獣医学的、農学的または園芸学的な品種を処理する方法を記載する。
【0151】
UV吸収の損失における減少はいずれも有利であるが、概して、酸化物の存在が、UV吸収率を少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、特に少なくとも20%、最も好ましくは少なくとも40%の量で減少すべきであることが望ましい。
【0152】
本明細書中、酸化物をドープする方法が酸化物の効力に物質効果(material effect)を有することが、本発明によって見出されている。確かに、本明細書中、酸化物が実際に有効となり得る場合、酸化物表面上にドーパントが存在し、表面が組成物の成分と相互作用して保護され得なければならないことが重要であることが理解されている。例えば、2相組成物において、酸化物が水相に存在し、なおかつ、保護される成分が有機相に存在する場合、相の境界が原因でほとんど相互作用がない。従って、この成分の分解によって生成するフリーラジカルは、一方の相から他方の相に移動することなく、ドーパントと接触できない。また、バルクにドーピングする既存の方法は、通常、粒子の表面にまたは表面上にドーパントを幾分もたらすが、本発明によると、表面にのみドープされる(すなわち、粒子の表面にまたは表面上にのみドーパントが存在している)物質の使用が可能である。1つの実施態様において、このような物質を単相水性処方物において使用してもよい。従って、本発明は、(上記理論とは独立して)少なくとも1つの獣医学的、農学的および/または園芸学的に活性な有機化合物、ならびに、少なくとも、二酸化チタンおよび/または酸化亜鉛の表面にまたは表面上に1またはそれよりも多くの他の元素(典型的には1つ、すなわち、唯一の第2の元素)をドープした二酸化チタンおよび/または酸化亜鉛を含む、獣医学的、農学的または園芸学的な使用に適した組成物を提供する。一般に、粒子のバルクがドープされている場合、粒子全体にドーパントが存在する。一方、粒子の「表面がドープ」されている場合(すなわち、ドーパントが表面にまたは表面上にのみ存在する場合)、粒子の表面または最外部の「スキン」でのチタンまたは亜鉛原子に対するドーパント原子の比が、コアまたは中心部での比(これはゼロであってもよい)よりも大きくなるように、濃度勾配が存在する。
【0153】
確かに、(調製の簡素化のため)これは通常バルクドーパントが表面ドーパントまたは各表面ドーパントと同一元素である場合であり、このことはこの場合に必須である必要はないことが理解される。(もちろん、還元酸化亜鉛に関して、バルクドーパントは存在しない。)従って、例えば、粒子の色を変更することが可能である。酸化物粒子の適切なドーパントとしては、マンガン(特に好ましくは、例えば、Mn2+だけでなくMn3+)、バナジウム(例えば、V3+またはV5+)、クロムおよび鉄、ならびに他の金属が挙げられる。使用され得る他の金属としては、ニッケル、銅、スズ(特に、Sn4+)、アルミニウム、鉛、銀、ジルコニウム、亜鉛、コバルト(特に、Co2+)、ガリウム、ニオブ(例えば、Nb5+)、アンチモン(例えば、Sb3+)、タンタル(例えば、Ta5+)、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、モリブデン(例えば、Mo3+、Mo5+またはMo6+)ならびにケイ素が挙げられる。これらの金属を単独で、あるいは、2または3またはそれよりも多くを組み合わせて含ませることができる。効果的なバルクドーピングには、粒子の結晶格子に容易に挿入され得るようなイオンの大きさでなければならないことが理解される。この目的のために、概して、Mn3+、バナジウム、クロムおよび鉄が最も有効であり、Mn2+のイオンの大きさがTi4+のイオンの大きさよりも遙かに大きいので、Mn2+のTiO結晶格子へのイオン拡散の可能性はほとんどない。一方、表面ドーピングで使用する元素にこのような大きさの制限はなく、好ましい表面ドーパントとしては、マンガン(例えば、Mn2+)、セリウム、セレン、クロム、バナジウムおよび鉄が挙げられる。
【0154】
粒子上、および、存在する場合、粒子の第2の成分の最大総量は、常法の実験によって決定することができるが、粒子が最小限に着色されるように十分に低くすることが好ましい。0.1モル%またはそれよりも低い量(例えば、0.05モル%)あるいは1モル%またはそれよりも高い量(例えば、5モル%または10モル%)を一般に使用することができる。典型的な濃度は0.5〜2重量モル%である。ドーパント 対 表面上のホスト金属のモル比は、典型的には、2〜25:98〜75、通常5〜20:95〜80、特に8〜15:92〜85である。表面でのドーパントの量は、例えば、X線光電子分光法(XPS)によって決定できる。
【0155】
表面ドープ粒子は、このようなドープ酸化物および塩を調製するための標準的な方法のいずれか1つによって得ることができる。これらの方法としては、以下に記載の技術などが挙げられる。ドーパントは必ずしも酸化物として存在する必要はなく、クロリドなどの塩として、あるいは、過塩素酸塩または硝酸塩などの酸素含有アニオンの塩として存在する必要があることが理解される。しかし、バルクドーピング技術は、概して、同様に表面ドーピングをもたらす場合もあり、これらの技術を本発明で使用することができる。このような技術は、ホスト格子の粒子(TiO/ZnO)と、クロリドまたは過塩素酸塩もしくは硝酸塩などの酸素含有アニオンなどの塩の形態の第2の成分との溶液または懸濁液中、典型的には水溶液中での配合、次いでその典型的には少なくとも300℃の温度での焼成による焼成技術を包含する。ドープ物質の調製に使用され得る他の経路としては、J. Mat. Sci. (1997) 36, 6001-6008 に記載の種類の沈殿方法が挙げられ、この方法では、ドーパント塩の溶液およびホスト金属(Ti/Zn)のアルコキシドの溶液を混合し、そして、混合した溶液を次に加熱して、アルコキシドを酸化物に変換する。ドープ物質の沈殿が得られるまで加熱を続ける。調製のさらなる詳細は、WO00/60994およびWO01/40114に見つけることができる。
【0156】
このような焼成技術などによって結晶格子の表面形成部分にドーパントをもたらす一方で、他の技術では、ドーパントが、粒子表面上に単に吸着されるか、または、粒子表面上に分離した層として残存することが理解される。ドーパントは、初期に発生したフリーラジカルをクエンチすることができると、結晶格子内に存在しなければならないと考えられ得る。
【0157】
チタニアのルチル形態は、アナターゼ形態よりも光活性が低いことが知られているので好ましい。酸化亜鉛は、還元酸化亜鉛粒子(すなわち、酸素イオンに対して過剰の亜鉛イオンを有する粒子)の形態であってもよい。
【0158】
適切なドーパントレベルで前駆体を含む混合金属をフレームまたはプラズマに暴露して所望の生成物を得るフレーム熱分解またはプラズマ経路によって、ドープTiOまたはドープZnOを得ることができる。
【0159】
このような粒子のさらなる詳細な議論は、WO99/60994に見つけることができる。
【0160】
本発明で使用する酸化物粒子は、無機または有機コーティングを有していてもよい。例えば、粒子は、アルミニウム、ジルコニウムまたはケイ素などの元素の酸化物(特に、シリカ、または、例えば、ケイ酸アルミニウム)でコーティングされていてもよい。また、金属酸化物の粒子は、1またはそれよりも多くの有機物質、例えば、ポリオール類、アミン類、アルカノールアミン類、ポリマー状有機ケイ素化合物(例えば、RSi[{OSi(Me)}xOR、式中、RはC−C10アルキルであり、Rはメチルまたはエチルであり、そして、xは4から12の整数である)、親水性ポリマー(ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースおよびキサンタンガムなど)、または界面活性剤(例えば、TOPOなど)でコーティングされていてもよい。所望に応じて、無機または有機コーティング剤を別々にまたはそれらを組み合わせたコーティング技術によって、表面ドーピングを実施してもよい。従って、例えば、未ドープの酸化物を有機または無機コーティング剤(シリカなど)とともに、例えば、酸化マンガンでコーティングすることができる。概して、酸化物粒子をコーティングして、酸化物粒子を親水性にする必要はなく、その結果、水相のために粒子はコーティングされないはずである。しかし、粒子が有機相または油相に存在しなければならない場合、その表面に疎水性またはオイル分散性が与えられなければならない。これは、例えば、適切な疎水性ポリマーの直接付与によって、あるいは、例えば、シリカなどの(親水特性を与える)酸化物のコーティング、そこに、金属ソープまたは長鎖(例えば、C12−C22)カルボン酸またはその金属塩(ステアリン酸、ステアリン酸塩、詳細には、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウムおよびステアリン酸亜鉛など)などの疎水性分子のコーティングを間接的に付与することによって達成され得る。
【0161】
用語「コーティング」が完全な被覆に限定されると解釈すべきでないことを理解すべきである。実際には、コーティングが、フリーラジカルと、粒子の表面上または表面のドーパントとの相互作用に対するバリアとして作用し得るので、概して、コーティングが完全でないことが有益である。従って、最大の捕捉効果が所望される場合、好ましくはコーティングは不連続であるべきである。しかし、コーティングが連続し得る場合において、表面上のドーパントがそれにもかかわらずに作用し、粒子内部で生成したフリーラジカルをクエンチし得ることが理解される。ポリマー状または短鎖であってもよいシランおよびシリコーンあるいはモノマーシランのコーティングは一般に連続的であるので、これらは、概して、それほど好ましくない。従って、無機酸化物でのコーティングが概して好ましい。なぜなら、一般に、これらは粒子表面上に完全なコーティングをもたらさないからである。
【0162】
典型的なコーティング手順は、粒子存在下、水酸化アンモニウムなどのアルカリをテトラエチルオルトシリケートなどのオルトシリケートと混合することによるシリカの堆積を含む。あるいは、第1に、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(MPS)等のシランで粒子をコーティングすることができ、次いで、シリケート(例えば、ケイ酸ナトリウム)を添加する。シランは、粒子表面に結合し、次に重合してシリカを形成するシリケート用の支持体として作用する。同様の技術を他の無機酸化物に使用することができる。
【0163】
粒子の平均の主な粒径は、一般に、約1〜200nm、例えば、約1〜150nm、好ましくは約1〜100nm、より好ましくは約1〜50nm、最も好ましくは約20〜50nmである。捕捉効果が本質的に触媒的であると考えられるので、粒子を最小にして、その表面積、従って、表面上のドープ物質の面積を最大にすることが望ましい。この小さなサイズは、必要なドーパントが少なくなるという利点を有し、このことによって、結果として、ドーパントによって引き起こされるあらゆる着色効果が減少するという利点がある。
【0164】
粒子が実質的に球状である場合、粒径は直径を示すと解釈される。しかし、本発明は、非球状の粒子も含み、このような場合には、粒径とは最大の大きさを指す。
【0165】
本発明の組成物は、単相、または水相もしくは油相のいずれか、または多相であってもよい。典型的な2相組成物としては、水中油または油中水処方物が挙げられる。単相組成物に関して、酸化物粒子は、もちろん、この相に分散性でなければならない。従って、組成物が水性または疎水性である場合、組成物がオイルベースである場合、粒子は、望ましくは、親水性である。しかし、適切な混合技術によって、油相中に未処理のTiOを分散させることが可能であってもよい。2相または多相組成物に関して、粒子は保護される成分(またはそれらの成分のうちの1つ)を含む相に存在しなければならない。確かに、保護されるべき成分が水相および油相の一方に存在しないとしても、水相および油相の両方に粒子が存在することが望ましいはずである。望ましくは、水分散性粒子 対 油分散性粒子の重量比は、1:4〜4:1、好ましくは1:2〜2:1、理想的には、ほぼ等しい重量割合である。
【0166】
本発明は、有機活性成分を含む農学または園芸学での使用を意図した全ての組成物、ならびに、一般には局所塗布用の有機活性成分を含む獣医学組成物に適用できる。概して、活性成分は、殺生物剤であるが、例えば、植物成長促進剤または調節剤であってもよい。従って、本発明の組成物は、典型的には、除草剤、殺真菌剤、殺虫剤、殺細菌剤、ダニ駆除剤(acaricides)、軟体動物駆除剤、ダニ殺し剤(miticides)または殺鼠剤であり、これらは広範な範囲または選択的であってもよい。本発明は、特に、UV光によって悪影響を受ける迅速なノックダウン殺虫剤に有用である。獣医学組成物は、例えば、無菌製剤または負傷治癒製剤の形態を取ってもよい。
【0167】
また、本発明の組成物は、例えば、殺虫剤および殺鼠剤と共に、家庭で使用するために処方されてもよい。従って、本発明は、また、少なくとも1つの有機殺生物剤、ならびに、第2の元素をドープした二酸化チタンおよび/または酸化亜鉛ならびに/あるいは還元酸化亜鉛を含む、家庭での使用に適した組成物を提供する。
【0168】
本発明の組成物は、現在このような組成物で用いられる有機活性成分を任意に含んでいてもよい。
【0169】
本発明で使用され得る適切な除草剤としては、トリアジン類、アミド類(特に、ハロアセトアニリド類)、カルバメート類、トルイジン類(ジニトロアニリン類)、尿素類、植物成長ホルモン類(特に、フェノキシ酸類)およびジフェニルエーテル類が挙げられる。従って、使用してもよい除草剤としては、フェノキシアルカン酸類、ビピリジニウム類、フタル酸化合物とのベンゾニトリル類、ジニトロアニリン類、酸アミド類、カルバメート類、チオカルバメート類、トリアジン類を含む複素環式窒素化合物、ピリジン類、ピリダジノン類、スルホニル尿素類、イミダゾール類および置換尿素類ならびにハロゲン化脂肪族カルボン酸類、いくつかの無機および有機物質、ならびに生物学的に重要なアミノ酸の誘導体が挙げられる。本発明で使用され得る特定の除草剤としては、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)および2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸(2,4,5−T)が挙げられる。適切なトリアジン類としては、2−クロロ−、2−メチルチオ−、2−メトキシ−4,6−ビス−(アルキルアミノ)−s−トリアジン類ならびに数種の2−アジド置換トリアジン類が挙げられる。典型的な除草剤の尿素類としては、モヌロン(3−p−クロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素ならびにジウロン、ネブロン、フェヌロンおよびクロロズーロンが挙げられる。適切なカルバメート類としては、N−フェニルカルバメートおよびイソプロピルカルボアニレート(プロファム)およびその置換誘導体(イソプロピル m−クロロカルボアニレート(クロルプロファム)を含む)、ならびに、バルバン、スウェップ、ジクロルメートおよびテルブトールが挙げられる。適切なチオカルバメート類としては、EPTC、メタム、ベルノレート、CDEC、ペブレート、ジアレート、トリアレート、ブチレート、モリネート、シクロエート、チオベンカルブおよびエチオレートが挙げられる。適切なアミド除草剤としては、ソラン、ジクリル、プロパニル、ジペハミド(dipehamid)、プロパクロール、アラクロール、CDAA、ナプタラム、ブタクロール、プリナクロール(prynachlor)およびナプロパミドが挙げられる。適切な塩素化脂肪族酸類としては、トリオクロロ酢酸(TCA)、ダラポンおよび2,2,3−トリクロロプロピオン酸が挙げられる。適切な塩素化安息香酸類としては、クロラムベン、DCPA、ジカンバ、ジクロベニルおよび2,3,6−TBAが挙げられる。使用され得るフェノール性除草剤としては、ブロモキシニル、イオキシニル、DNOCおよびジノセブが挙げられる。使用され得る適切なジニトロアニリン類としては、ベネフィン、トリフルラリン、ニトラリン、オリザリン、イソプロパリン、ジニトラミン、フルクロラリン、プロフルラリンおよびブトラリンが挙げられる。適切なビピリジニウム除草剤としては、ジクワットおよびパラクワット塩およびその誘導体が挙げられる。
【0170】
本発明で使用され得る適切な殺虫剤としては、ニコチノイド類、ロテノイド類、サバジラ子および植物 ryania speciosa の誘導体およびピレスロイド類、ならびに、有機塩素殺虫剤、有機リン殺虫剤、カルバメート殺虫剤および様々な昆虫成長調節剤が挙げられる。
【0171】
適切なニコチノイド類とてしては、ニコチンサルフェートおよびイミドクロプリド(imidocloprid)が挙げられる。ピレスロイド類は、現在その大半が合成品である殺虫剤の大きなグループを構成し、レスメスリン、フェノトリン、シフェノトリン、エンペントリン、プラレトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、アルファシペルメトリン、テトラメトリンおよびデルタテトラメトリンが挙げられ、それらの誘導体とともに、その異性体、特に光学異性体が挙げられる。適切な有機塩素殺虫剤としては、メトキシクロールおよびペルセンに加えてDDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)、ならびに、リンダン、トキサフェン、クロルダン、ヘプタクロール、アルドリン、ジエルドリンおよびエンドリンが挙げられる。適切な有機リン殺虫剤としては、フェニルホスホロチオエートエステル類、フェニルホスホロジチオエートエステル類、フェノール類のホスホノチオエートエステル類、ビニルホスフェート類、複素環式エノール類のホスホロチオエートエステル類およびs−メチル複素環類のホスホロチオエートエステル類に加えて、リン酸および無水モノチオリン酸、脂肪族ホスホロチオエートエステル類が挙げられる。これらのうち、具体的に言及することができ、フェンクロルホス、シアノホス、プロパホスおよびテメホスに加えて、パラチオン、メチルパラチオン、ジカプトン(dicapthon)、クロルチオン、フェニトロチオン、フェンチオンおよびフェンスルホチオンが挙げられる。使用され得る適切なカルバメート殺虫剤としては、カルバリル、カルボフラン、プロポキスル、ジオキサカルブ、ベンジオカルブ、メキサカーベット(mexacarbate)、イソプロカルブおよびエチオフェンカルブが挙げられる。適切なダニ駆除剤としては、クロルフェネトール、クロロベンジレート、ジコホール、テトラジホン、スルフェノン(sulphenone)、オーベックス(ovex)、プロパルジット、シヘキサチンおよびジエノクロールが挙げられる。
【0172】
上記記載の殺虫剤の数種は齧歯類を殺傷するのに適しているが、使用され得る他の殺鼠剤としては、急性殺鼠剤および慢性毒物が挙げられ、抗凝固薬を含む。これらは、胃の毒物、接触毒物または燻蒸剤であってもよい。このような抗凝固剤としては、ジクマロール、ワルファリン、クマテトラリー(coumatetraly)、クマクロール、ジフェナクム、ブロジファクム、ブロマジオロン、ピンドン、ジファシノンおよびクロロファシノンが挙げられる。
【0173】
また、本発明の組成物において使用され得る殺虫剤は、昆虫が多くの病因によって攻撃されるので、微生物剤の形態であってもよい。これらとしては、細菌剤、特に、バチルス微生物、とりわけ、bacillus thuringiensis(b.t.)株(b.t. aizawa、israelensis、kurstakiおよびtenebrionisなど)、真菌剤、原生動物およびウイルスが挙げられる。
【0174】
本発明の組成物で使用され得る適切な殺真菌剤としては、チオカルバメートおよびチウラム誘導体、フタルイミド類およびトリクロロメチルチオカルボキシイミド類、芳香族炭化水素類およびジカルボキシイミド類に加えて、硫黄、銅、水銀およびスズなどの元素が挙げられる。具体例としては、フェルバム、ジラム、チラム、ジネブ、マネブおよびマンコゼブならびにジメチルチオカルバメート類およびエチレンビス−ジチオカルバメート類が挙げられる。他の有用な殺真菌剤としては、カプタン、ホルペット、カプタホルおよびジクロフルアニドが挙げられる。適切な芳香族炭化水素類としては、オキサゾリジンジオン類(ビンクロゾリンなど)、クロゾリネート、ヒダントイン(イプロジオンなど)およびスクシンイミド(プロシミドンなど)に加えて、キントゼン、ジノカップ、クロロネブ、ジクロラン、ジクロンおよびクロロタロニルが挙げられる。使用され得る他の殺真菌剤としては、グアニジン塩(ドジンなど)、キノン類(ジチアノンなど)、キノキサリン類(キノメチオネートなど)、ピリダジン類(ジクロメジンなど)、チアジアゾール類(エトリジアゾールなど)、ピロール類(フェンピクロニルなど)、キノリン類(エトキシキンなど)およびトリアジン類(アニラジンなど)が挙げられる。使用され得る他の殺真菌剤としてはミトコンドリアの呼吸阻害剤が挙げられ、これは、概して、カルボキシアニリド類であり、カルボックス(carbox)、オキシカルボキシン、フルトラニル、フェンフラム、メプロニル、メトフロキサムおよびメトスルホバックスが挙げられる。使用され得るさらなる殺真菌剤としては微小管重合阻害剤が挙げられ、チアベンダゾール、フベリダゾール、カルベンダジン、ベノミルおよびチオファネートメチルが挙げられる。他の適切な殺真菌剤としては、ケイ素原子を取り込むフルシラゾール、ミクロブタニル、フルトリアホルおよびイミベンコナゾールに加えて、脂肪親和性の大きな基に1−窒素を介して結合した1,2,4−トリアゾール基を有するトリアゾール類などのC−14脱メチル化阻害剤を含むステロール生合成の阻害剤、特に、トリアジメホン、プロピコナゾール、テブコナゾール、シプロコナゾールおよびテトラコナゾールが挙げられる。使用してもよい他の殺真菌剤としては、RNA生合成阻害剤、リン脂質生合成阻害剤、メラニン生合成阻害剤、真菌タンパク質生合成阻害剤および細胞壁生合成阻害剤が挙げられる。
【0175】
本発明の組成物は液体または固体の形態であってもよい。液体組成物は、水性または非水性であってもよく、一方、固体形態としては、パウダーまたはダスト、顆粒および錠剤が挙げられる。殺鼠剤に関して、特に、当該組成物は、殺鼠剤および特定の酸化物で処理した餌の形態(特に、食糧、例えば、穀物)を取ってもよい。
【0176】
組成物の活性成分の濃度は、広範な範囲で変動してもよいが、典型的には0.5〜95、例えば1〜50重量%である。
【0177】
本発明の組成物は、好ましくは、0.5重量%〜95重量%(w/w)の活性成分を含む。
【0178】
農学または園芸学で使用する本発明の組成物は、概して、キャリアを含み、処理される土地(例えば、植物、種子または土壌であってもよい)への適用を容易にするか、あるいは、保存、輸送または取り扱いを容易にする。キャリアは、固体または液体、ならびに、通常は気体であるが液体を形成するために圧縮されている物質であってもよい。
【0179】
当該組成物は、例えば、エマルション濃縮物、溶液、水中油エマルション、湿潤パウダー、可溶パウダー、懸濁濃縮物、ダスト、顆粒、水分散性顆粒、マイクロカプセルおよびゲルの形態であってもよい。他の物質、例えば、フィラー、溶媒、固体キャリア、表面活性化化合物(界面活性剤)、ならびに、任意の固体および/または液体の助剤および/または補助剤が存在していてもよい。当該組成物は、例えば、スプレー、霧化、分散または注ぐことによって、分散剤用に処方されてもよい。
【0180】
使用してもよい溶媒としては、芳香族炭化水素類(例えば、置換ナフチレン類)、フタル酸エステル類(ジブチルまたはジオクチルフタレートなど)、脂肪族炭化水素類(例えば、シクロヘキサンまたはパラフィン)、アルコール類およびグリコール類ならびにそのエーテル類およびエステル類(例えば、エタノール、エチレングリコールモノ−およびジメチルエーテル)、ケトン類(シクロヘキサノンなど)、強い極性溶媒(N−メチル−2−ピロリドンまたはγ−ブチロラクトンなど)、より高級なアルキルピロリドン類(例えば、n−オクチルピロリドンまたはシクロヘキシルピロリドン)、エポキシ化植物油エステル類(例えば、メチル化ココナッツまたは大豆油のエステル)および水が挙げられる。また、混合物を使用してもよい。
【0181】
固体キャリアは、ダスト、湿潤パウダー、水分散性顆粒または他の顆粒、ならびに、鉱物フィラー(シリカ、方解石、タルク、カオリン、モンモリロナイトまたはアタパルジャイトなど)を含む顆粒または他の粒子に使用してもよい。高度に分散したシリカゲルまたはポリマーの添加によって物性を改善してもよい。顆粒用のキャリアは、多孔性物質(例えば、軽石、カオリン、海泡石、ベントナイト)であってもよく、非吸着性キャリアは方解石またはサンドであってもよい。
【0182】
当該組成物は、適用する前に使用者が続けて希釈できる濃縮物として処方することができる。界面活性剤である少量のキャリアの存在によって、この希釈工程が容易となる。従って、好ましくは、本発明の組成物は、好ましくは界面活性剤を含む。例えば、組成物は、2またはそれよりも多くのキャリアを含んでいてもよく、その少なくとも1つは界面活性剤である。このような界面活性剤は、非イオン、アニオン、カチオンまたは両性イオンであってもよい。
【0183】
本発明の組成物は、例えば、湿潤パウダー、水分散性顆粒、ダスト、顆粒、溶液、乳化可能濃縮物、エマルション、懸濁濃縮物およびエアロゾルとして処方されてもよい。湿潤パウダーは、通常、5〜90%w/wの活性成分および3〜10%w/wの分散剤および/または湿潤剤、望ましくは0〜10%w/wの安定剤(単数または複数)および/または他の添加剤(浸透剤または粘着剤など)を含む。ダストは、通常、湿潤パウダーの組成と同様の組成(ただし、分散剤は含まない)を有するダスト濃縮物として処方される。水分散性顆粒は、通常、0.15mm〜2.0mmの大きさを有し、0.5〜90%w/wの活性成分および0〜20%w/wの添加剤(安定化剤、界面活性剤、徐放調節剤および結合剤など)を含むように調製される。乳化可能濃縮物は、通常、溶媒または溶媒の混合物に加えて、1〜80%w/vの活性成分、2〜20%w/vの乳化剤および0〜20%w/vの他の添加剤(安定化剤、浸透剤および腐食防止剤など)を含む。懸濁濃縮物は、通常、5〜75%w/vの活性成分、0.5〜15%w/vの分散剤、0.1〜10%w/vの懸濁化剤(保護コロイドおよびチキソトロピック剤など)、0〜10%w/vの他の添加剤(消泡剤、腐食防止剤、安定化剤、浸透剤および粘着剤など)および水または有機液体を含み、活性成分は実質的には不溶性であり、特定の有機固体または無機塩が処方物中に溶解して存在し、沈降および結晶化の防止の際に援助してもよく、あるいは水の凍結防止剤として援助してもよい。
【0184】
また、上記に示した第1の実施態様に関する実施例は当該実施態様を示す。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】図1は、得られた結果を示す。ドープTiOの捕捉活性は、市販製品の捕捉活性よりも明らかに有意に優れており、DPPHの損失率が約3倍よりも大きい。
【図2】図2は、含水人工皮膚に2%アボベンゾンを含む処方物に関して0の時点および120分の時点で360nmでの光透過の結果を示す。
【図3】図3は、含水人工皮膚に2%アボベンゾン(AVO)および5%オクチルメトキシシンナメート(OMC)を含む処方物に関して360nmでの光透過の結果を示す。
【図4】図4は、キュベットに2%アボベンゾンを含む処方物に関して0の時点および120分の時点で360nmでの光透過の結果を示す。
【図5】図5は、PVCフィルムの光分解におけるTiOへのMnおよびVの添加の効果の結果を示す。
【図6】図6は、PVCフィルムの光分解におけるTiOへのMnおよびVの添加の効果の結果を示す。
【図7】図7は、PVCフィルムの光分解におけるTiOへのMnおよびVの添加の効果の結果を示す。
【図8】図8は、PVCフィルムへのMnドープZnOの添加(573Kでのか焼)の効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子表面のドーパント濃度が粒子コアのドーパント濃度よりも高くなるように1またはそれよりも多くの他の元素でドープされたTiOまたはZnOの粒子。
【請求項2】
親水性または疎水性物質の不連続層でコーティングされている、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
疎水性ポリマーでコーティングされている、請求項2に記載の粒子。
【請求項4】
第1に、アルミニウム、ジルコニウムまたはケイ素の酸化物でコーティングされ、次いで、長鎖カルボン酸塩でコーティングされている、請求項2に記載の粒子。
【請求項5】
上記請求項のいずれか1項に記載の粒子の製造方法であって、粒子コアのドーパント塩の濃度が粒子表面での濃度に到達するのに不十分な時間、TiOまたはZnOの粒子をドーパント塩の溶液または懸濁液と接触して配置する工程、次いで、得られる粒子を焼成する工程を包含する方法。
【請求項6】
粒子を少なくとも500℃の温度でベースにする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項5または6のいずれか1項に記載の方法によって調製した、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項8】
化粧品または局所医薬の使用に適したUV日焼け止め組成物であって、(a)感光性でり、そして/あるいは、組成物の別の成分および/または未ドープのTiOおよび/または未ドープのZnOによって分解し得る、1またはそれよりも多くの有機成分、および(b)1またはそれよりも多くの他の元素で表面がドープされたTiOおよび/またはZnOを含む組成物。
【請求項9】
水性処方物であり、かつ、TiOおよび/またはZnOの表面のみがドープされている、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
油性処方物である、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項11】
水中油または油中水処方物である、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項12】
TiOおよび/またはZnOが両方の相に存在する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
TiOおよび/またはZnOが親水性または疎水性物質の不連続層でコーティングされている、請求項8〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
TiOおよび/またはZnOが疎水性ポリマーでコーティングされている、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
TiOおよび/またはZnOが、第1に、アルミニウム、ジルコニウムまたはケイ素の酸化物でコーティングされ、次いで、長鎖カルボン酸塩でコーティングされている、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
1またはそれよりも多くの該有機成分がUV日焼け止め剤である、請求項8〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
有機日焼け止め剤がUVA領域のUV光を吸収する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
有機日焼け止め剤が、パラアミノ安息香酸、そのエステルもしくは誘導体、メトキシシンナメートエステル、ベンゾフェノン、ジベンゾイルメタン、アルキル−β−β−フェニルアクリレート、トリアジン、カンファー誘導体、有機顔料、シリコーンベース日焼け止め剤または2−フェニルベンズイミダゾリル−5スルホン酸またはフェニルジベンズイミダゾリルスルホン酸である、請求項16または17に記載の組成物。
【請求項19】
1またはそれよりも多くの脂質、有機溶媒、シリコーン、増粘剤、解乳化剤、UVB日焼け止め剤、消泡剤、加湿剤、芳香剤、保存剤、表面活性化フィラー、金属イオン封鎖剤、アニオン、カチオン、非イオンもしくは両性ポリマー、液体発泡剤、アルカリ化剤もしくは酸性化剤、着色剤または金属酸化物顔料を含む、請求項8〜18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
日焼け止め剤である、請求項8〜19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
1またはそれよりも多くの有機UV日焼け止め剤、あるいは、感光性であるか、そして/または、UV日焼け止め組成物中の別の成分によって分解される他の成分の濃度を減少するための上記請求項のいずれかに記載のドープTiO/ZnOの使用。
【請求項22】
上記請求項のいずれかに記載のドープTiO/ZnOを有機UV日焼け止め組成物に導入する工程を包含し、感光性であるか、そして/あるいは、組成物の別の成分および/または未ドープのTiOおよび/または未ドープのZnOによって分解し得る、1またはそれよりも多くの成分を含む有機UV日焼け止め組成物の効力を増強させるための方法。
【請求項23】
上記請求項のいずれかに記載のドープTiOおよび/またはZnOをUV日焼け止め組成物に導入する工程を包含し、UV日焼け止め組成物における有毒化合物の生成を減少させる方法。
【請求項24】
感光性であるか、そして/または、組成物の別の成分によって分解される、一定量の1またはそれよりも多くの有機もしくは無機成分、ならびに、1またはそれよりも多くの他の元素によって、少なくとも、TiOおよび/またはZnOの表面上または表面にドープされた一定量のTiOおよび/またはZnOを含む組成物。
【請求項25】
第2の元素でドープされたTiOおよび/またはZnOを含まないことを除いて同一処方を有する組成物のUV感光性物理的要因の低下率よりも、少なくとも5%少ないUV感光性物理的要因の低下率を有する、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
物理的要因が引張強さである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
物理的要因が色である、請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
未ドープのTiOおよび/またはZnOを必要に応じて未ドープのTiOおよび/またはZnO粒子として含む、請求項8〜27のいずれかに記載の組成物。
【請求項29】
前記TiOおよび/またはZnOが顔料として存在する、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
熱可塑性もしくは熱硬化性または感光性のポリマー物質上のコーティングおよび/または該物質中の添加剤の形態である、請求項8〜29のいずれかに記載の組成物。
【請求項31】
三次元製品の形態、または、フィルムの形態、または、写真フィルムの形態、または、コーティング組成物の形態、または、塗料もしくはワニスの形態である、請求項8〜30のいずれかに記載の組成物。
【請求項32】
隣接した組成物を光の悪影響から保護するために、少なくとも、TiOおよび/またはZnOの表面にまたは表面上に1またはそれよりも多くの他の元素をドープしたTiOおよび/またはZnOあるいは還元ZnOを含むことを意図したセルフサポーティングポリマー組成物。
【請求項33】
TiOおよび/またはZnOが表層に存在する、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記組成物の非表層が木材でない、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記組成物の非表層が合成品である、請求項33または34に記載の組成物。
【請求項36】
少なくとも、TiOおよび/またはZnOの表面にまたは表面上に1またはそれよりも多くの他の元素をドープしたTiOおよび/またはZnOあるいは還元ZnOを含むワニス組成物。
【請求項37】
請求項25〜31の1またはそれよりも多くの特徴を有する、請求項32〜36のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項38】
ポリマー組成物中の1またはそれよりも多くの光安定剤の濃度を減少させるための上記請求項のいずれかに記載の表面ドープTiO/ZnOの使用。
【請求項39】
ポリマー組成物の感光性物理的要因の低下率を減少させるための上記請求項のいずれかに記載の表面ドープTiO/ZnOの使用。
【請求項40】
感光性であるか、そして/または、組成物の別の成分によって分解される1またはそれよりも多くの成分を含むポリマー組成物の物理的要因の安定性を改善するための方法であって、上記請求項のいずれかに記載の表面ドープTiO/ZnOを該組成物に導入する工程を包含する方法。
【請求項41】
少なくとも1つの獣医学的、農学的および/または園芸学的に活性な有機化合物、ならびに、少なくとも、二酸化チタンおよび/または酸化亜鉛の表面にまたは表面上に1またはそれよりも多くの他の元素をドープした二酸化チタンおよび/または酸化亜鉛を含む、獣医学的、農学的または園芸学的な使用に適した組成物。
【請求項42】
活性化合物が、除草剤、殺真菌剤、殺虫剤、ダニ駆除剤、ダニ殺し剤または殺鼠剤である、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
少なくとも1つの有機殺生物剤、ならびに、少なくとも、二酸化チタンおよび/または酸化亜鉛の表面にまたは表面上に1またはそれよりも多くの他の元素をドープした二酸化チタンおよび/または酸化亜鉛を含む、家庭での使用に適した組成物。
【請求項44】
ドーパントが、マンガン、セレン、セリウム、クロム、バナジウムまたは鉄である、上記請求項のいずれかに記載の組成物または粒子または方法または使用。
【請求項45】
ドーパントが、Mn2+もしくは他のマンガンまたはV4+である、上記請求項のいずれかに記載の粒子または組成物または方法または使用。
【請求項46】
ドーパントが0.05%〜10モル%の量で存在する、上記請求項のいずれかに記載の組成物または粒子または方法または使用。
【請求項47】
ドーパントが0.5〜2重量モル%の量で存在する、請求項46に記載の組成物または粒子または方法または使用。
【請求項48】
ドープ酸化物がドープ二酸化チタンである、上記請求項のいずれかに記載の組成物または粒子または方法または使用。
【請求項49】
二酸化チタンがルチル形態である、上記請求項のいずれかに記載の組成物または粒子または方法または使用。
【請求項50】
還元酸化亜鉛を含む、請求項8〜49のいずれかに記載の組成物または方法または使用。
【請求項51】
0.5〜20重量モル%のドープ二酸化チタンおよび/または酸化亜鉛を含む、上記組成物請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項52】
ドープ酸化物または還元酸化物が、1〜200nm、好ましくは1〜100nm、または100〜500nmの粒径を有する、上記請求項のいずれかに記載の組成物または粒子または方法または使用。
【請求項53】
活性化合物が殺虫剤である、請求項42に記載の組成物。
【請求項54】
1またはそれよりも多くのフィラー、有機溶媒または界面活性剤を含む、上記組成物請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項55】
水性または非水性の液体、パウダー、顆粒または錠剤の形態である、上記組成物請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項56】
獣医学的、農学的、園芸学的または家庭での使用に適した組成物における1またはそれよりも多くの獣医学的、農学的および/または園芸学的に活性な化合物の濃度を減少させるための上記請求項のいずれかに記載の表面ドープTiO/ZnOの使用。
【請求項57】
獣医学的、農学的、園芸学的または家庭での使用に適した組成物における1またはそれよりも多くの獣医学的、農学的および/または園芸学的に活性な化合物の貯蔵安定性を増加させるための上記請求項のいずれかに記載の表面ドープTiO/ZnOの使用。
【請求項58】
1またはそれよりも多くの獣医学、農学もしくは園芸学または家庭において活性な有機化合物を包含する、獣医学的、農学的、園芸学的または家庭での使用に適した組成物の効力を増大させるための方法であって、上記請求項のいずれかに記載の表面ドープTiO/ZnOを組成物に導入する工程を包含する方法。
【請求項59】
上記組成物請求項のいずれかに記載の組成物で土地を処理する工程を包含する、該土地において農学的または園芸学的な品種を処理する方法。
【請求項60】
ドーパント 対 表面でのホスト金属のモル比が2〜25 対 98〜75である、上記請求項のいずれかに記載の粒子または組成物または方法または使用。
【請求項61】
ドーパント 対 表面でのホスト金属のモル比が8〜75 対 92〜25である、請求項60に記載の粒子または組成物または方法または使用。
【請求項62】
粒子表面のドーパントの濃度が、粒子のバルクにおける濃度よりも高い、上記請求項のいずれかに記載の粒子または組成物または方法または使用。
【請求項63】
粒子コアおよび/または粒子のバルクにドーパントが存在しない、請求項1〜61のいずれかに記載の粒子または組成物または方法または使用。
【請求項64】
ドーパントが粒子のバルクに存在し、バルクドーパントが、その表面ドーパントまたは各表面ドーパントとは異なる、上記請求項のいずれかに記載の粒子または組成物または方法または使用。
【請求項65】
添付の図面のいずれかを適切に参照して特許請求の範囲に実質的に記載した請求項1;8、24、32、36、41または43;22、23、40、58〜59;または21、38、39、56または57にそれぞれ記載の粒子または組成物または方法または使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−525397(P2007−525397A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550290(P2006−550290)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000257
【国際公開番号】WO2005/072680
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(301062455)オクソニカ リミテッド (6)
【Fターム(参考)】