既設管の更生方法、浮体固定治具、管体運搬用キット、及び管体構造
【課題】本発明は、管体の運搬時に作業員が既設管内において作業することができ、管体の運搬作業と平行して、管体の連結作業を行うこともできる新規な既設管の更生方法、浮体固定治具、管体運搬用キット、及び管体構造を提供することを目的とする
【解決手段】二本の伸縮部材3を、浮体10上面から屹立させた状態、且つ、管体100の全長Lに対して50%以上の間隔Mを開けた状態で、浮体10の長さ方向に沿う中心線上に固定し、二本の伸縮部材3が固定された浮体10の長さ方向を管体100の軸心方向に沿わせた状態で、浮体10を管体100内に配置し、更に、二本の伸縮部材3を各々伸ばすことによって浮体10を管体100内壁に向かって押圧固定する。
【解決手段】二本の伸縮部材3を、浮体10上面から屹立させた状態、且つ、管体100の全長Lに対して50%以上の間隔Mを開けた状態で、浮体10の長さ方向に沿う中心線上に固定し、二本の伸縮部材3が固定された浮体10の長さ方向を管体100の軸心方向に沿わせた状態で、浮体10を管体100内に配置し、更に、二本の伸縮部材3を各々伸ばすことによって浮体10を管体100内壁に向かって押圧固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管の管路内において、複数の管体が連結された更生管を敷設することによって既設管を更生する既設管の更生方法、浮体固定治具、管体運搬用キット、及び管体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、老朽化した下水路、農業用水路、及び電力水路などの管路内に水が存在する既設管を更生する方法として、管体を既設管の管路内に存在する水に浮かせながら、管路に沿って順次運搬し、運搬先において順次管体を連結することによって複数の管体が連結された更生管を既設管内に敷設する方法が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の発明は、既設管路の下流側を堰き止めて満管(満水)状態とした上で、運搬する管体内部に浮袋状の浮体を挿入し、係る浮体の有する浮力によって、軸心方向を水平方向に向けた状態(開口を横向きにして寝かせた状態の管体)の管体における内壁上部を下支えするようにして、既設管内に満たされた水に管体を浮かせるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6‐81980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の発明を実施するためには、既設管を満管状態とする必要がある。既設管を満管状態にすれば、管体の運搬時に作業員が既設管内に入ることができない。又、管体の運搬後は、作業員が既設管内に入り、隣り合う管体同士の軸心を合わせた上で、連結する作業が行われるが、この作業を行うにあたっては、満管状態の既設管から水を抜く必要が生じる。従って、管体の運搬作業と平行して、管体の連結作業を行うことはできない。
【0006】
本発明は、前記技術的課題を解決するために開発されたものであり、管体の運搬時に作業員が既設管内において作業することができ、管体の運搬作業と平行して、管体の連結作業を行うこともできる新規な既設管の更生方法、浮体固定治具、管体運搬用キット、及び管体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明第一の既設管の更生方法は、管体内に浮体を固定することによって、管体に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与する浮体固定工程と、浮体が固定された管体複数個を、既設管内に存する流水に浮かべながら順次運搬する運搬工程と、運搬された一の管体の軸心を、先に運搬された別の管体の軸心に合わせる高さ調整工程と、軸心が合わされた一の管体と先に運搬された別の管体とを連結することによって、既設管の管路に沿って、複数の管体が連結された更生管を敷設する連結工程と、を実行する既設管の更生方法であって、前記浮体固定工程では、二本の伸縮部材を、浮体の上面から屹立させた状態、且つ、管体の全長に対して50%以上の間隔を開けた状態で、浮体の長さ方向に沿う中心線上に固定し、二本の伸縮部材が固定された浮体の長さ方向を管体の軸心方向に沿わせた状態で、浮体を管体内に配置し、更に、二本の伸縮部材を各々伸ばすことによって浮体を管体内壁に向かって押圧固定し、前記高さ調整工程では、二本の伸縮部材にて浮体を支えつつ、二本の伸縮部材を各々縮めながら浮体を浮揚させて管体の喫水を深くし、もって管体の軸心を、先に運搬された別の管体の軸心に合わせることを特徴とする(以下、本発明第一方法と称する。)。
【0008】
本発明第二の既設管の更生方法は、管体内に浮体を固定することによって、管体に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与する浮体固定工程と、浮体が固定された管体複数個を、既設管内に存する流水に浮かべながら順次運搬する運搬工程と、運搬された一の管体の軸心を、先に運搬された別の管体の軸心に合わせる高さ調整工程と、軸心が合わされた一の管体と先に運搬された別の管体とを連結することによって、既設管の管路に沿って、複数の管体が連結された更生管を敷設する連結工程と、を実行する既設管の更生方法であって、前記浮体固定工程では、管体の全長に対して50%以上の長さを有する基台に対し、二本の伸縮部材を、基台上面から屹立させた状態、且つ、管体の全長に対して50%以上の間隔を開けた状態で、基台の長さ方向に沿って固定し、基台に固定された二本の伸縮部材の並びを管体の軸心線上に沿わせた状態で、基台が積載された浮体を管体内に配置し、更に、二本の伸縮部材を各々伸ばすことによって浮体を管体内壁に向かって押圧固定し、前記高さ調整工程では、二本の伸縮部材にて浮体を支えつつ、二本の伸縮部材を各々縮めながら浮体を浮揚させて管体の喫水を深くし、もって管体の軸心を、先に運搬された別の管体の軸心に合わせることを特徴とする(以下、本発明第二方法と称する。)。
【0009】
本発明第二方法においては、浮体固定工程では、基台が浮体に固定された状態で、基台が積載された浮体を管体内に配置することが好ましい態様となる。
【0010】
本発明第一方法及び本発明第二方法においては、前記浮体として、バラストタンクを備えてなるものを用いることが好ましい態様となる。
【0011】
本発明の浮体固定治具は、管体内に浮体を固定し、管体に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与するために用いられる浮体固定治具であって、管体の全長に対して50%以上の長さを有する基台と、基台上面から屹立した状態、且つ、管体の全長に対して50%以上の間隔を開けた状態で、基台の長さ方向に沿って固定される二本の伸縮部材と、を具備することを特徴とする。
【0012】
本発明の浮体固定治具においては、伸縮部材が、油圧によって伸縮可能となされたものが好ましい態様となる。
【0013】
本発明の浮体固定治具においては、二本の伸縮部材同士を架橋する架橋部材を更に具備するものが好ましい態様となる。
【0014】
本発明の浮体固定治具においては、架橋部材が、二本の伸縮部材の各上端に固定されるものであることが好ましい態様となる。
【0015】
本発明の浮体固定治具においては、二本の伸縮部材における伸縮の程度を制御する制御部を更に具備するものが好ましい態様となる。
【0016】
本発明の管体運搬用キットは、管体に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与するための管体運搬用キットであって、浮体と、前記本発明の浮体固定治具と、を具備することを特徴とする。
【0017】
本発明の管体運搬用キットにおいては、前記浮体には、バラストタンクが備えられてなるものが好ましい態様となる。
【0018】
本発明の管体運搬用キットにおいては、前記バラストタンクが、中空の柱体であり、前記浮体の長さ方向に沿って前記浮体に貫通された状態、且つ、少なくとも一端部が前記浮体から突出された状態にて、前記浮体に備えられてなり、前記浮体から突出された一端部には、前記バラストタンク内に連通する注入口が設けられてなるものが好ましい態様となる。
【0019】
本発明の管体運搬用キットにおいては、複数の前記バラストタンクが、それぞれ前記浮体の長さ方向に沿う中心線を挟んで対象となる位置に備えられてなるものが好ましい態様となる。
【0020】
本発明の管体運搬用キットにおいては、前記バラストタンクに設けられた注入口が、前記浮体の下面側に向かって開口されてなるものが好ましい態様となる。
【0021】
本発明の管体構造は、管体に、浮体が固定されてなる管体構造であって、管体と、浮体と、前記本発明の浮体固定治具と、を具備し、基台に固定された二本の伸縮部材の並びを管体の軸心上に沿わせた状態で、基台が積載された浮体が管体内に配置されてなり、更に、二本の伸縮部材が各々伸ばされることによって浮体が管体内壁に向かって押圧固定されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、管体の運搬時に作業員が既設管内において作業することができ、管体の運搬作業と平行して、管体の連結作業を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1(a)は、管体を示す側面断面図であり、(b)は、連結された状態の管体を示す側面断面図である。
【図2】図2は、浮体を示す平面図(a)と、側面図(b)と、正面図(c)である。
【図3】図3は、浮体固定治具を示す側面図(a)と、正面図(b)である。
【図4】図4(a)〜(c)は、浮体固定工程を説明する説明図である。
【図5】図5は、浮体が固定された管体(本発明の管体構造)に対し、更に、衝撃緩衝治具及び補助輪を取り付けた状態を一部透過状態で示す側面図(a)と、正面図(b)である。
【図6】図6は、運搬工程を説明する説明図である。
【図7】図7は、運搬工程において、浮体に衝突した流水の状態を説明する説明図である。
【図8】図8(a)は、支持土台を示す正面図であり、図8(b)は、支持土台によって支持された管体を示す正面図である。
【図9】図9(a)及び(b)は、高さ調整工程を説明する説明図である。
【図10】図10は、支持部材を用いて、浮体を管体に支持した状態を示す正面図である。
【図11】図11は、別の支持部材を用いて、浮体を管体に支持した状態を示す側面図(a)と、正面図(b)である。
【図12】図12は、既設管の管路に沿って敷設された更生管を示す側面図である。
【図13】図13は、二本の伸縮部材における伸縮の程度を制御する制御部を更に備えた浮体固定治具と、水準器を更に備えた浮体を示すブロック図である。
【図14】図14は、浮体固定治具に備えられた制御部における論理演算を示すフローチャートである。
【図15】図15は、別の浮体を示す側面図(a)と、正面図(b)である。
【図16】図16は、浮体が固定された管体(本発明の管体構造)を示す側面図(a)と、正面図(b)である。
【図17】図17(a)は、更に別の浮体を示す斜視図であり、図17(b)は、浮体に備えられたカップを一部透過して示す斜視図である。
【図18】図18は、伸縮部材を示す正面図である。
【図19】図19(a)は、伸縮部材を浮体に固定する状態を示す説明図であり、図19(b)は伸縮部材が浮体に固定された状態を示す側面図である。
【図20】図20は、浮体が固定された管体(本発明の管体構造)を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0025】
<実施形態1>
実施形態1は、本発明第二方法を実施するものである。本発明第二方法においては、管体100内に浮体10を固定することによって、管体100に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与する浮体固定工程と、浮体10が固定された複数個の管体100を、既設管P内に存する流水に浮かべながら順次運搬する運搬工程と、運搬された一の管体100の軸心を、先に運搬された別の管体100の軸心に合わせる高さ調整工程と、軸心が合わされた一の管体100と先に運搬された別の管体100とを連結することによって、既設管Pの管路に沿って、複数の管体100が連結された更生管Rを敷設する連結工程と、を実行する。以下、本実施形態において用いた管体100、浮体10、及び管体100に浮体10を固定するための浮体固定治具1を順に説明し、次いで、本実施形態に係る本発明第二方法の実施を説明する。
【0026】
‐管体100‐
図1(a)に示す管体100は、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)と樹脂モルタルとが積層されたプラスチック複合管である。この管体100における中空円筒状の管本体部100cの一方の端部には、係る管本体部100cよりも大径の受け口100aが備えられている。管本体部100cの他方の端部には、先端に向かって先細りさせた外周面形状を有する差し口100bが形成されている。差し口100bの外周面には、止水ゴム100dが設けられている。この管体100における管本体部100cの内径φは2000mmとなっており、全長Lは4000mmとなっている。
【0027】
図1(b)に示すように、管体100同士の連結は、一の管体100の挿し口100bを、別の管体100の受け口100aに挿入することにより行われる。一の管体100の挿し口100bを、別の管体100の受け口100aに挿入して連結すれば、差し口100bと受け口100aとが、止水ゴム100dを介して水密状態となる。
【0028】
‐浮体10‐
図2に示す浮体10は、発泡スチロール製のブロックを主体10aとし、その上面全体に補強板としての合板10bが貼り付けられたものである。
【0029】
以下、この浮体10の各部の形状及び構成を説明するが、説明の便宜上、この浮体10の形状を四角柱に類似するものとみなし、主体10aの上面に貼り付けられた合板10bの上面を甲板部11、浮体10の下面を底部12、この浮体10が固定された管体100を運搬する際に進行側となる端面を前端部13、進行側に対し反対となる端面を後端部14、進行側に向かって浮体10の右側となる側面を右側部15R、左側となる側面を左側部15L、と称する。
【0030】
浮体10の甲板部11は平坦面であり、後端部14側の両角が丸められている。又、甲板部11上には、その幅方向に沿って角材16が並べられ、固定されている。角材16は、甲板部11の長さ方向に沿って一定の間隔をあけて複数本並列配置されている。更に、甲板部11上の後端部14寄りの位置、且つ、浮体10の長さ方向に沿う中心線を挟んで対向する位置二箇所には、それぞれ支持部材17が取り付けられている。各支持部材17は、アーム171とアーム171の先端に設けられた車輪172とからなる。
【0031】
各支持部材17は、アーム171の基端が、浮体10の甲板部11に軸止されることによって、甲板部11の所定箇所に取り付けられている。各支持部材11は、浮体10の甲板部11に軸止された基端を回転軸として、各指示部材11の近傍に存する浮体10の右側部15R、又は左側部15Lに向かって回動しながら各々倒れることができる。各支持部材17は、それぞれ浮体10の右側部15R、又は左側部15Lに向かって倒された際に、少なくともアーム171の先端に設けられた車輪が、右側部15R、又は左側部15Lからはみ出すように、アーム171の長さ、及び、その取り付け位置が設定されている。
【0032】
浮体10の底部12は甲板部11と平行な平坦面であり、浮体10の前端部13は、甲板部11と垂直な平坦面である。
【0033】
浮体10の後端部14には、甲板部11の後端辺から底部12内側に向かって斜めに角を切り落とした如きのテーパー形状を有する緩衝部18が形成されている。
【0034】
浮体10の右側部15R及び左側部15Lには、前記管体100における管体100内下部の内壁面二箇所に当接し得る曲面形状を有する当接部19R、19Lがそれぞれ形成されている。
【0035】
なお、浮体10としては、甲板部11から底部12に向かう方向に負荷される押圧力によって、前記管体100の内壁面に押圧固定され得る形状を有し、前記管体100に押圧固定された際に、軸心方向を水平方向に向けた状態の前記管体100に対して、水に浮かび得る浮力を付与し得るものであれば、その形状及び素材について得に限定されるものではない。浮体10の主体10aとしては、発泡スチロールを素材とするものの他、例えば、発泡ウレタンを素材とするものや、プラスチック製の中空成形品を挙げることができる。又、浮体10の合成が確保されるのであれば、合板10bは必ずしも浮体10に備える必要はない。
【0036】
‐浮体固定治具1‐
図3に示す浮体固定治具1は、基台2と、基台2の上面から屹立した状態で基台2に固定される二本の伸縮部材3と、を具備する。
【0037】
基台2は、スチール製で一定の厚みを有し、その長さ(管体100へ配置された際、管体100の軸心方向に沿わされる方向の長さ)Nが、管体100の全長Lに対し50%以上の長さに設定されている。又、基台2の下面には、幅方向に沿う凹溝21が、長さ方向に沿って一定の間隔をあけて複数条設けられている。
【0038】
伸縮部材3は、中空円筒状のシリンダ部31と、シリンダ部31に挿入されたロッド部32と、シリンダ部31内に供給されるオイルの量を調整することができるポンプ部33と、を具備する。この伸縮部材3は、ポンプ部33を操作し、シリンダ部31内に存するオイルの量を調整することによって、ロッド部32を伸縮させる複動式の油圧ジャッキである。
【0039】
二本の伸縮部材3は、それぞれシリンダ部31の下端が前記基台2の上面に溶接されることによって、基台2に固定されており、二本の伸縮部材3の間隔Mは、管体100の全長Lに対し、50%以上の間隔Mを開けた状態で基台2に固定されている。
【0040】
又、本実施形態に係る浮体固定治具1は、二本の伸縮部材3同士を架橋する架橋部材4を更に具備する。架橋部材4によって二本の伸縮部材3同士が架橋されれば、伸縮部材3の剛性が向上し、後述する浮体固定工程の際に、二本の伸縮部材3に負荷が与えられても、二本の伸縮部材3同士の間隔を維持することができる。
【0041】
この架橋部材4は、スチール製の長板の幅方向を湾曲させたものである。架橋部材4の湾曲面の曲率半径は、管体100における管本体部100cの内壁の曲率半径とほぼ一致する。この架橋部材4は、湾曲面の凹側に二本の伸縮部材3のロッド部32の上端がそれぞれ溶接されることによって、各伸縮部材3に固定されている。
【0042】
ところで、本実施形態においては、伸縮部材3として、油圧によって伸縮可能となされた複動式の油圧ジャッキを用いているが、単動式の油圧ジャッキを用いても良い。伸縮部材3として、油圧によって伸縮可能となされたものを用いれば、伸縮部材3を伸縮させる作業が簡便且つ迅速となる。但し、本発明においては、必ずしも油圧によって伸縮可能となされた伸縮部材3を用いる必要は無く、例えば、ネジの螺合を利用したネジ式の伸縮部材3や、電動式の伸縮部材3を用いても良い。
【0043】
又、伸縮部材3を基台2に固定する固定手段としては、溶接によるものに限られない。例えば、接着剤を用いて伸縮部材3を基台2に接着固定したり、ネジなどを用いて伸縮部材3を基台2に締結固定したり、基台2に設けた嵌合用の穴に伸縮部材3を嵌め込んで固定したりしても良い。
【0044】
なお付言するに、本発明の管体運搬用キットは、この浮体固定治具1と、前記浮体10と、が具備されたものである。
【0045】
‐本発明第二方法の実施‐
本発明第二方法においては、まず、管体100内に浮体10を固定することによって、管体100に対して、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与する浮体固定工程を実行する。
【0046】
本実施形態においては、この浮体固定工程を実行するにあたり、まず、浮体10を管体100内に挿入する(図4(a)参照)。この際、管体100においては、差し口100b側より受け口100a側の重量が大きいことから、バランス配分を考慮して、浮体10の後端部14を、管体100の受け口100aから突出させた状態で配置する。
【0047】
次いで、浮体10の上面に、基台2に固定された二本の伸縮部材3の並びを管体100の軸心線上に沿わせた状態で、浮体固定治具1を積載する(図4(b)参照)。この際、浮体10の甲板部11に並列配置された複数本の角材16と、浮体固定治具1における基台2の下面に設けた複数条の凹溝21とを嵌合させることによって、浮体10上に積載された浮体固定治具1の動きを制限している。
【0048】
この状態で、作業員が浮体固定治具1におけるポンプ部33を操作することによって、二本の伸縮部材3を各々伸ばす方向に動作させれば、図4(c)に示すように、各伸縮部材3の上端に固定された架橋部材4が管体100の内壁(図中上部の内壁)に押し付けられ、その際に生じる反作用を受けた基台2によって、浮体10が管体100の内壁(図中下部の内壁)に向かって押圧固定される。
【0049】
これによって、管体100に、浮体10が固定されてなる本発明の管体構造が構築される。
【0050】
ここで、浮体10の底部12は平坦面であることから、係る底部12は、管体100における内壁には接触せず、結果、浮体10の底部12と管体100の内壁面との間には管体100の軸心方向に沿って貫通する間隙5が生じる。
【0051】
なお、本実施形態においては、図5に示すように、管体100の受け口100a側及び差し口100b側の両管側部の位置に、ローラ61が備えられた衝撃緩衝治具6がローラ61を管体100の外側に向けた状態でボルト62を介して取り付けられ、又、管体100の受け口100a側の下方部の位置に、補助輪7がバイス71を介して取り付けられる。
【0052】
次いで、本発明方法においては、浮体10が固定された管体100複数個を、既設管P内に存する流水に浮かべながら運搬する運搬工程を実行する。
【0053】
図6に示すように、浮体固定工程を終えて、浮体10が固定された管体100は、既設管Pに連通する発進側縦坑M1を経由して、既設管Pまで吊り下ろされる。既設管Pには、発進側縦抗M1から到達側縦抗M2に到る施工区間にわたって、管体100を浮かせることができる水位の流水が図中矢印で示す方向に流れている。なお、流水の水位が管体100を浮かせるに十分な水位に満たない場合は、施工区間の下流側に堰を設けて流水を堰止めるなどして、施工区間に必要とする水位を確保すれば良い。
【0054】
運搬工程においては、まず、吊り下ろされた管体100における受け口100aを上流側に向けた状態で、管本体部100cにナイロンスリング93を巻きつける。
【0055】
巻きつけたナイロンスリング93から延ばされた一端には、ワイヤ91の一端部に設けたフック92が接続される。ワイヤ91の他端は、発進側縦抗M1近辺の所定位置に設置されたウインチ9に巻き回されている。
【0056】
流水に管体100を浮かせた後、ウインチ9を作動させることによってワイヤ91を徐々に繰り出せば、管体100が下流側に向けて運搬される。本実施形態においては、ワイヤ91を所定速度にて繰り出すことにより管体100の流下速度をコントロールしながら運搬することができる。これより、流水の速度にかかわらず、所望の速度にて管体100を運搬することができる。なお、管体100に取り付けられた衝撃緩衝治具6に設けられたローラ61、及び補助輪7は、管体100が流水に安定した状態で浮かんでいるときは、既設管Pの内壁から離れた状態となっている。
【0057】
運搬工程時、ワイヤ91の繰り出しによる速度コントロールを受けながら運搬される管体100の後端部14には、流水が常時衝突することになる。この点につき、本実施形態においては、浮体10の後端部14に緩衝部18が形成されているから、図7に示すように、緩衝部18に衝突する流水を衝突面に沿って下方向に案内することができ、もって、衝突する流水の衝撃を緩和することができる。又、浮体10の底部12と管体100内下部の内壁面との間には管体100の軸心方向に沿って貫通する間隙5が存在することから、緩衝部18に沿って下方向に案内された流水は、間隙5内を通過して下流側に流出する。これにより、運搬時における管体100のバランスが安定する。更に、間隙5内を通過する流水が、管体100の重心を下げるため、管体100が周方向へ回転すること(ローリング)が抑制される。
【0058】
加えて、本実施形態においては、管体100に衝撃緩衝治具6、及び補助輪7が取り付けられているから、運搬工程時において、流水によって管体100があおられてバランスを失った際には、前記衝撃緩衝治具6に備えられたローラ61や補助輪7が既設管Pの内壁に接触することによって管体100に与えられる衝撃が緩和される。
【0059】
運搬先(この場合、到達側立坑M2近辺)に到達された管体100は、順次、支持土台94上に載置される。本実施形態においては前記支持土台94として、図8(a)に示す支持土台94を用いた。この支持土台94は、二本のジャッキ941と、受け部942とを具備する。
【0060】
前記二本のジャッキ941は、いずれもベース部9411と、前記ベース部9411に一端が固定されてなるロッド部9412と、前記ロッド部9412と芯鞘構造にて連結された筒状部9413と、前記筒状部9413の上端に固定されたナット部9415と、前記ナット部9415と螺合された状態で前記筒状部9413に挿入されたボルト部9416とを具備する。なお、前記ロッド部9412と前記ボルト部9416とは、前記筒状部9413内にて端部同士が当接されている。又、前記ボルト部9416の他端には前記ボルト部9416を回転させる操作レバー9417が設けられている。即ち、このジャッキ941は、前記操作レバー9417を操作することによって、前記ボルト部9416を回転させれば、前記ボルト部9416と前記ナット部9415との螺合位置が変更され、もって、前記ロッド部9412が伸縮する仕組みとなっている。
【0061】
前記受け部942は、スチール製の帯板を湾曲させて円弧状に形成したものである。
【0062】
前記支持土台94は、前記受け部942が前記二本のジャッキ941間に架設されることによって形成されたものであり、前記受け部942の両端が、それぞれ固定片943を介して前記二本のジャッキ941における各筒状部9413の上端側に固定され、且つ、前記受け部942の中ほど二箇所が、それぞれ架橋片944を介して前記二本のジャッキ941における各筒状部9413の下端側に固定されている。なお、前記受け部942を前記二本のジャッキ941間に架設するにあたり、前記受け部942の両端を前記二本のジャッキ941における各筒状部9413の上端側に直接固定せずに、固定片943を介して固定した理由は、前記ボルト部941の他端に設けられた操作レバー9417を操作するためのスペースを確保するためである。
【0063】
係る構成を有する支持土台94は、前記受け部942の曲率半径が、管体100の受け口100aの外周面の曲率半径と同一となるように設定された支持土台94aと、管体100の管本体部100cの外周面の曲率半径と同一となるように設定された支持土台94bとの二種類用意される。
【0064】
先頭の管体100が運搬先に到達したら、既設管Pの底部に、支持土台94aと支持土台94bとを一定の間隔を開けて配置する。なお、支持土台94bは、支持土台94aより、到達側立坑M2側に配置される。
【0065】
既設管Pの底部に、支持土台94(94a、94b)を配置するにあたっては、まず、既設管Pの底部に存在する汚泥などの堆積物を除去する。次いで、前記二本のジャッキ941における前記ベース部9411を既設管Pの底部に当接させれば、前記二本のジャッキ941が既設管Pの底部から屹立された状態にて、前記支持土台94が既設管Pの底部に配置される。この際、前記二本のジャッキ941の各位置が、それぞれ既設管Pの軸心を挟む位置となるようにする。
【0066】
支持土台94a、94bを既設管Pの底部に配置した後、管体100から衝撃緩衝治具6及び補助輪7を外す。その後、浮体固定治具1にて浮体10を支えつつ、二本の伸縮部材3を各々縮めながら浮体10を浮揚させて管体100の喫水を深くし、管体100における受け口100aを支持土台94aに載せると共に、管体100における管本体部100cを支持土台94bに載せる(図8(b)参照)。なお、前記支持土台94における二本のジャッキ941の間隔は、前記受け部942に管体100が載せられた際に管体100からジャッキ941が図中左右に張り出さないように、管体100の受け口100aの外径より短く設定されている。
【0067】
その後、支持土台94a、94bにおける各ジャッキ941に設けられた操作レバー9417を操作し、ロッド部9412を伸縮させることによって、支持土台94a、94bによる管体100の支持高さを決定する。
【0068】
ここで、前記操作レバー9417は、各ジャッキ941におけるボルト部9416の上端に設けられていることから、作業中、前記操作レバー9417は作業者の手元に近い位置となり、前記操作レバー9417の操作が容易となる。又、既設管P内に存する流水が濁っている場合にあっても、前記操作レバー9417の位置が、流水の水面近くとなるため、前記操作レバー9417の操作は容易となる。
【0069】
前記支持土台94a、94bの支持高さが決定された後、管体100の上部には、更にジャッキ式の浮上防止材95が配置されると共に、管体100を図中左右から挟むようにしてジャッキ式の浮上防止材95が配置される。これにより、管体100が既設管Pの所定位置に支持固定される。管体100を支持固定した後、浮体10及び浮体固定治具1は、管体100内から取り出される。又、ナイロンスリング93も外される。
【0070】
先頭の管体100が支持固定された後、後続する管体100が運搬されてきたら、後続する管体(特許請求の範囲における「一の管体」に相当)100と、支持固定された管体(特許請求の範囲における「別の管体」に相当)100とを連結する連結工程を行う。
【0071】
但し、流水に浮いた状態で運搬されてきた後続する管体100の軸心の位置は、支持固定された管体100の軸心の位置より高い位置にある。そのため、本発明方法においては、各管体100同士を連結するに先立ち、後続する管体100の軸心を、支持固定された管体100の軸心に合わせる高さ調整工程を実行する。この高さ調整工程は、浮体固定治具1にて浮体10を支えつつ、二本の伸縮部材3を各々縮めながら浮体10を浮揚させて後続する管体100の喫水を深くし、もって管体100の軸心を、支持固定された管体100の軸心に合わせることによって行う(図9(a)参照)。
【0072】
この作業の際、各伸縮部材3の縮む程度が相違し、各伸縮部材3の長さが互いに異なった状態になると、浮体固定治具1が歪み、図9(b)に示すように浮体10が傾いた状態となる。しかしながら、浮体10は、基台2によって、その上面が広範囲にわたって支持されており、又、各伸縮部材3も基台2に固定されているから、浮体10が多少傾いたとしても、直ちに浮体固定治具1が外れて、浮体10が管体100から飛び出したり、管体100が急落したりする事態にはならない。従って、高さ調整工程中、作業者が浮体10の傾きを確認したならば、短い方の伸縮部材3の縮む方向への動作を停止し、長い方の伸縮部材3の縮む方向への動作を継続するか、或いは、短い方の伸縮部材3を再度伸ばす方向へ動作させることによって、各伸縮部材3の伸縮の程度をそろえ、もって浮体10の傾きを是正すれば良い。
【0073】
ところで、各伸縮部材3が縮められて、浮体10が浮揚すると、浮体10の自由度が増して、浮体10が動き易くなる。即ち、自由度が増した浮体10は、幅方向に傾いたり、流水に押されるようにして下流側に動き易くなったりする。
【0074】
この点につき、本実施形態においては、図10に示すように、浮体10の甲板部11を覆う合板10b上に配した一対の支持部材17を浮体10の外側に向けてそれぞれ倒し、アーム171の先端に設けた車輪172を管体100の受け口100a内壁に当接させて、支持部材17を心張り棒のようにして浮体10を管体100に支持することにより、浮体10が幅方向に傾くことを抑制することができる。
【0075】
又、本実施形態においては、図11に示すように、別の支持部材96として管体100の外径より長い角棒を更に用い、この別の支持部材96を浮体10に設けた角材16に沿って配置すると共に、別の支持部材96における浮体10からはみ出させた両端部を管体100の受け口100aの端部と当接させることにより、浮体10が流水に押されるようにして下流側に動くことを抑制することもできる。
【0076】
後続する管体100の軸心を支持固定された管体100の軸心に合わせたら、後続する管体100に取り付けられた衝撃緩衝治具6を外し、後続する管体100の挿し口100bを支持固定された管体100の受け口100aに挿入することによって、隣接する管体100同士を連結する連結工程を行う。
【0077】
後続する管体100と支持固定された管体100とを連結したら、後続する管体100から浮体10、浮体固定治具1、及びナイロンスリング93を外す。次いで、後続する管体100の受け口100aを図示しない別のジャッキで持ち上げながら後続する管体100に取り付けられた補助輪7を取り外し、支持土台94a及び浮上防止材95を用いて支持固定する。
【0078】
以下同様にして、複数個の管体100を連結し、支持固定すれば、既設管Pの管路に沿って、複数の管体100が連結された更生管Rが敷設される(図12参照)。なお、更生管Rを敷設した後、既設管Pの内壁と更生管Rの外壁との間には、モルタル等の裏込め材を充填することが好ましい。
【0079】
本実施形態においては、浮体固定工程において、管体100の全長Lに対して50%以上の長さNを有する基台2と、基台2上面から屹立した状態、且つ、管体100の全長Lに対して50%以上の間隔Mを開けた状態で、基台2の長さ方向に沿って固定される二本の伸縮部材3と、を具備する浮体固定治具1を用いているから、浮体固定治具1が積載された浮体10を管体100内に挿入し、二本の伸縮部材3を各々伸ばすだけで、浮体10を管体100の内壁に向かって確実に押圧固定することができる。
【0080】
前記実施形態1においては、各伸縮部材3の伸縮方向を垂直方向に沿わしているが、たとえ、伸縮部材3の伸縮方向が垂直方向よりずれていたとしても、二本の伸縮部材3の下端は共通の基台2の上面に固定されているから、確実に浮体10を押圧固定することができる。
【0081】
又、高さ調整工程においては、浮体10が基台2によって、広範囲にわたって支持されており、各伸縮部材3も基台2に固定されているから、二本の伸縮部材3の伸縮の程度が相違して浮体10が多少傾いたとしても、直ちに浮体固定治具1が外れて、浮体10が管体100から飛び出したり、管体100が急落したりする事態にはならない。
【0082】
なお、基台2の長さNについては、長くなれば長くなるほど、より広範囲にわたって浮体10を押さえつけることができることから、基台2の長さNの上限は特に限定されるものではない。又、基台2の長さNが管体100の全長より長く、管体100に浮体10を固定した状態において、基台2の端部が管体100の開口から突出しても良い。但し、基台2の端部が極端に管体100の開口から突出すると作業性が悪くなる場合があることから、本発明においては、基台2の長さNが管体100の全長に対し、50〜200%(好ましくは75〜100%)となるように設定することが好ましい。
【0083】
又、二本の伸縮部材3の間隔Mについては、広くなれば広くなるほど、より安定して浮体10を支持することができることから、二本の伸縮部材3の間隔Mの上限は特に限定されるものではない。又、二本の伸縮部材3の間隔Mが管体100の全長より長くなっても、実施形態1のように、各伸縮部材3を架橋する架橋部材4を伸縮部材3の上端に固定すれば、浮体10を押圧固定することができる。従って、実施形態1のように、各伸縮部材3を架橋する架橋部材4を伸縮部材3の上端に固定する場合にあっては、二本の伸縮部材3の間隔Mが管体100の全長に対し、50〜200%(好ましくは75〜100%)となるように設定することが好ましい。なお、各伸縮部材3を架橋する架橋部材4を伸縮部材3の上端に固定しない場合にあっては、二本の伸縮部材3の間隔Mは、管体100の全長に対し、50〜100%(好ましくは75〜90%)となるように設定することが好ましい。
【0084】
又、前記実施形態1においては、作業員がポンプ部33を操作することによって伸縮部材3を伸縮させ、各伸縮部材3の伸縮の程度を作業員が調整しているが、例えば、図13に示すブロック図のように、二本の伸縮部材3における伸縮の程度を制御部Cによって制御しても良い。
【0085】
このブロック図に示す制御部Cによる制御は、浮体10に水準器Vを配し、水準器Vが計測した浮体10の傾きに関するデータを制御部Cが受け取り、このデータに応じて、制御部Cが各伸縮部材3(浮体10の前端部13側に配された伸縮部材3を伸縮部材3F、浮体10の後端部14側に配された伸縮部材3を伸縮部材3Rとする。)の伸縮の程度を制御するものである。この制御部Cによる各伸縮部材3の縮む方向への動作の制御に関するフローチャートを図14に示す。
【0086】
高さ調整工程において、作業者が伸縮スイッチSをONにし、制御部Cに各伸縮部材3を縮める旨の信号が与えられると(S1)、制御部Cは、各伸縮部材3に対し、縮む方向への動作を行うよう命令する(S2)。この命令を受けた各伸縮部材3は、各々縮む方向への動作を開始する。なお、各伸縮部材3が縮む方向へ動作している最中に、作業者が伸縮スイッチSをOFFにした場合にあっては、制御部Cに各伸縮部材3の動作を停止する旨の信号が与えられ、制御部Cは、各伸縮部材3に対し、縮む方向への動作を停止する命令し、この命令を受けた各伸縮部材3は、各々縮む方向への動作を停止するものとする。
【0087】
各伸縮部材3が縮む方向への動作を行っている間、制御部Cは、水準器Vから得られる浮体10の傾きに関するデータを判定し(S3)、浮体10の傾きが設定値以上(例えば±10℃以上)となった時点で、制御部Cは、その傾きの正負によって、浮体10の前端部13又は後端部14のいずれがより高位置にあるかを判断する(S4)。
【0088】
浮体10の前端部13が高位置にあると判断された場合、制御部Cは、浮体10の前端部13側に配された伸縮部材3Fに対し、縮む方向への動作を停止する命令を与える(S5)。この命令を受けた伸縮部材3Fは、縮む方向への動作を停止する。
【0089】
一方、浮体10の後端部14が高位置にあると判断された場合、制御部Cは、浮体10の後端部14側に配された伸縮部材3Rに対し、縮む方向への動作を停止する命令を与える(S7)。この命令を受けた伸縮部材3Rは、縮む方向への動作を停止する。
【0090】
その後、制御部Cに、水準器Vから浮体10の水平が回復した旨のデータが与えられると(S6、S8)、制御部Cは、各伸縮部材3に対し、縮む方向への動作を再開する旨の命令を与える(S2)。この命令を受けた停止していた方の伸縮部材3は縮む方向への動作を再開させる。
【0091】
その後、制御部Cは、水準器Vから得られる浮体10の傾きに関するデータを再度判定する(S3)。
【0092】
この制御部Cによる一連の論理演算の繰り返しにより、高さ調整工程において、浮体10の傾きが極端に大きくなることを防止することができる。
【0093】
ところで、本実施形態においては、浮体10として、図2に示す構造のものを用いたが、浮体10としては、図15に示すような、バラストタンク50を備えたものを用いることが好ましい。
【0094】
図15に示す浮体10は、発泡スチロール製のブロックを主体10aとし、その上面全体に合板10bが貼り付けられたものであり、図2に示す浮体10に対し、図15に示す浮体10が異なる点は、中空の円柱体からなる複数のバラストタンク50が、前記浮体10に備えられてなる点にあり、その余は同様の構成を有する。
【0095】
前記浮体10に貫通された前記複数のバラストタンク50は、前記浮体10の長さ方向に沿って前記浮体10に貫通された状態、且つ、両端部が前記浮体10の前端13側と後端14側からそれぞれ突出された状態にて、それぞれ前記浮体10の長さ方向に沿う中心線を挟んで対象となる位置に備えられている。なお、本実施形態においては、前記バラストタンク50の数が奇数(五本)であるため、その内の一本のバラストタンク50aは、前記浮体10の長さ方向に沿う中心線上に備えられているが、本発明においては、この配置についても、前記複数のバラストタンク50が、それぞれ前記浮体10の長さ方向に沿う中心線を挟んで対象となる位置に備えられている状態に含まれる。
【0096】
又、前記バラストタンク50における前記浮体10から突出された両端部には、注入口51がそれぞれ設けられている。各注入口51は、浮体10の下面側に向かって開口している。なお、前記バラストタンク50における前記注入口51と対向する位置には、操作レバー挿入口55がそれぞれ設けられている。
【0097】
前記注入口51には、ゴム製の第一蓋体53が備えられている。第一蓋体53は、前記注入口51に嵌挿し得る外径を有する蓋本体部531と、前記蓋本体部531の片側面に設けられた前記注入口51より大径のフランジ部532とからなる。この第一蓋体53は、前記注入口51に対し、前記蓋本体部531が前記バラストタンク50の外側から嵌挿されることによって、前記注入口51を閉塞するものである。
【0098】
前記蓋体53における蓋本体部531には、前記操作レバー挿入口55を通じて挿通された操作レバー54の一端が連結されている。前記操作レバー54の他端は、前記操作レバー挿入口55を通じて前記バラストタンク50外に突出されており、係る操作レバー54の他端には、ゴム製の第二蓋体56が備えられている。この第二蓋体56は、前記操作レバー挿入口55に嵌挿し得る外径を有する蓋本体部561と、前記蓋本体部561の片側面に設けられた前記操作レバー挿入口55より大径のフランジ部562とからなる。この第二蓋体56は、前記操作レバー挿入口55に対し、前記蓋本体部561が前記バラストタンク50の外側から嵌挿されることによって、前記操作レバー挿入口55を閉塞するものである。なお、前記操作レバー54の長さは、前記バラストタンク50の外径より長く設定されているため、前記注入口51が第一蓋体53によって閉塞されているときは、前記操作レバー挿入口55は、第二蓋体56によって閉塞されない。
【0099】
更に、前記バラストタンク50における前記浮体10の後端部14側から突出された端部には、空気抜き口52が設けられている。この空気抜き口52は、浮体10の上面側に向かって開口している。
【0100】
この浮体10を、前記浮体固定治具1を用いて管体100に固定すれば、図16に示す本発明の管体構造が構築される。
【0101】
この管体構造を既設管P内に存する流水に浮かべ、前記操作レバー54を押し下げて前記注入口51を開けば、開かれた注入口51を介して、既設管Pに存する流水がバラスト水として前記バラストタンク50内に注入される。即ち、浮体10の浮力は、バラスト水の注入量に応じて適宜変更される。なお、バラスト水の注入中、前記バラストタンク50内に存する空気は、前記空気抜き口52を介して前記バラストタンク50外へ排出される。
【0102】
ここで、バラストタンク50内へのバラスト水の注入及び排出は、前記浮体10から突出されたバラストタンク50の両端部に設けられた各注入口51のいずれか一方、若しくは両方を介して行うことができることから、管体100の運搬方向前方、若しくは後方にいる作業者にとって、バラスト水の注入作業は、非常に容易に行うことができる。
【0103】
なお、バラストタンク50内にバラスト水が過剰量注入されて、浮体10の浮力が所定値以下となった場合には、前記操作レバー54を操作して、各注入口51を開くと共に各操作レバー挿入口55をそれぞれ第二蓋体にて閉塞した上で、前記空気抜き口52を介して、コンプレッサーなどから供給される空気をバラストタンク50内に圧入し、各注入口51からバラスト水を排出すれば、浮体10の浮力を回復させることができる。
【0104】
なお、バラストタンク50内へのバラスト水の注入及び排出は、浮体10の長さ方向に沿う中心線上により近く配置されたバラストタンク50(この場合、バラストタンク50a)から行い、順次、その外側に配置されたバラストタンク50に行うことが好ましい。このような順序にて、バラストタンク50内へのバラスト水の注入及び排出を行えば、作業中に浮体10が大きく傾くことを防止することができる。
【0105】
このように浮体10として、バラストタンク50よって浮力調整が可能となされたものを用いれば、前記運搬工程において、既設管P内に存する流水の水位が高く、管体100の管頂部が既設管Pの管頂部に接触するような場合にあっても、バラストタンク50内にバラスト水を注入して浮力を低減させることによって、管体100の喫水を深くすることができる。
【0106】
又、前記高さ調整工程においても、バラストタンク50内にバラスト水を注入することによって、後続する管体100の喫水を深くし、もって後述する管体100の軸心を、支持固定された管体100の軸心に合わせることができる。
【0107】
即ち、浮体10として、バラストタンク50よって浮力調整が可能となされたものを用いれば、浮体固定治具1に備えられた伸縮部材3を縮めることによって高さ調整を行う場合と、浮体10に備えられたバラストタンク50内にバラスト水を注入することによって高さ調整を行う場合と、その両方の手段を併用して高さ調整を行う場合と、を適宜選択することができる。
【0108】
なお、図15に示す浮体10においては、バラスト水として既設管P内に存する流水を利用すべく、前記注入口51が浮体10の下面側向かって開口された構成としているが、前記注入口51を浮体10の上面側に向かって開口させ、係る注入口51からバラスト水としての水道水などをバラストタンク50内に注ぎ入れる構成としても良い。
【0109】
又、バラストタンク50は、必ずしもその両端を前記浮体10から突出させた状態にて浮体10に備えられる場合に限られず、少なくともバラストタンク50の一端が前記浮体10から突出されてなり、突出された一端部分に注入口51が設けられていれば良い。この場合、管体100の運搬方向前方、又は後方にいる作業者のいずれか注入口51に近い方にいる者が、バラスト水の注入及び排出作業を行うことになる。
【0110】
<実施形態2>
実施形態2は、本発明第一方法を実施するものである。本発明第一方法においては、管体100内に浮体10を固定することによって、管体100に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与する浮体固定工程と、浮体10が固定された管体100複数個を、既設管P内に存する流水に浮かべながら順次運搬する運搬工程と、運搬された一の管体100の軸心を、先に運搬された別の管体100の軸心に合わせる高さ調整工程と、軸心が合わされた一の管体100と先に運搬された別の管体100とを連結することによって、既設管Pの管路に沿って、複数の管体100が連結された更生管Rを敷設する連結工程と、を実行する。以下、本実施形態において用いた管体100、浮体10、及び伸縮部材3を順に説明し、次いで、本実施形態に係る本発明第一方法の実施を説明する。
【0111】
‐管体100‐
管体100として、前記実施形態1と同じものを用いた。
【0112】
‐浮体10‐
図17(a)に示す実施形態2に係る浮体10は、発泡スチロール製のブロックを主体10aとし、その上面全体に繊維強化樹脂からなる板材10cが貼り付けられたものであり、前記実施形態1に係る浮体10とほぼ同様の形状を有する。
【0113】
浮体10における甲板部11には、その長さ方向に沿う中心線上に所定深さの穴81が2箇所設けられており、この穴81には、穴81の内径と同一の外径を有する繊維強化樹脂製のカップ82が挿入されている。このカップ82の上縁にはフランジ部83が設けられており、このフランジ部83の下面を穴81の周縁に当接させた状態で、カップ82が板材10cに接着固定されている。なお、二つの穴81同士の間隔mは、管体100の全長に対し50%以上となるように設定されている。
【0114】
図17(b)に示すように、カップ82の内壁には、カップ82の上縁からカップ82内中ほどにかけて垂下する垂直溝84と、垂直溝84の下端から水平方向、且つ、カップ82の開口側から見て時計の針の回転方向に折れ曲がる水平溝85と、からなるL字状の係止溝86が設けられている。この係止溝86は、カップ82の内壁二箇所に設けられており、各係止溝86における垂直溝84は、カップ82の中心軸を挟んで互いに対向する位置に配されている。
【0115】
実施形態2に係る浮体10のその他の構成は、前記実施形態1に係る浮体10と同様であることから、繰り返しを避けるべく、ここでは説明を省略する。
【0116】
‐伸縮部材3‐
図18に示す実施形態2に係る伸縮部材3は、中空円筒状のシリンダ部31と、シリンダ部31に挿入されたロッド部32と、シリンダ部31内に供給されるオイルの量を調整することができるポンプ部33と、を具備する。この伸縮部材3は、ポンプ部33を操作し、シリンダ部31内に存するオイルの量を調整することによって、ロッド部32を伸縮させる複動式の油圧ジャッキである。
【0117】
シリンダ部31の外径は、前記カップ82の内径と同じかやや小さめに設定されている。シリンダ部31の下端近辺には、二つの係止突起34が設けられている。この係止突起34は、シリンダ部31の中心軸を挟んで互いに対向する位置に配されている。
【0118】
更に、伸縮部材3の上端には、当接板41が溶接固定されている。この当接板41は、スチール製の板材を湾曲させたものである。湾曲させた当接板41の曲率半径は、管体100における管本体部100cの内壁の曲率半径とほぼ一致する。この当接板41は、湾曲面の凹側が伸縮部材3の上端に溶接されることによって、伸縮部材3に固定されている。
【0119】
‐本発明第一方法の実施‐
本実施形態において、浮体固定工程を実行するにあたっては、まず、浮体10に設けられた各カップ82に二本の伸縮部材3を挿入固定する。図19(a)に示すように、この挿入固定は、カップ82における係止溝86の垂直溝84に沿って、伸縮部材3におけるシリンダ部31に設けられた係止突起34を差し込むことによって、伸縮部材3をカップ82に挿入し、伸縮部材3を軸心を中心に時計の針の回転方向に向かって回転させることによって、係止突起34を水平溝85の奥まで導くことによって行われる。
【0120】
これにより、図19(b)に示すように、浮体10には、二本の伸縮部材3が、浮体10の上面から屹立した状態、且つ、浮体10の長さ方向に沿って、管体100の全長に対して50%以上の間隔を開けた状態で固定される。
【0121】
次いで、本実施形態においては、二本の伸縮部材3が固定された浮体10を、管体100内に挿入する。
【0122】
この状態で、作業員がポンプ部33を操作することによって二本の伸縮部材3を各々伸ばせば、図20に示すように、各伸縮部材3の上端に固定された当接板41が管体100の内壁(図中上部の内壁)に押し付けられ、その際に生じる反作用によって、浮体10が管体100の内壁(図中下部の内壁)に向かって押圧固定される。
【0123】
その余の工程は、前記実施形態1と同様であることから、繰り返しを避けるべくここでは説明を省略する。勿論、前記実施形態1と同様、前記浮体10として、バラストタンク50を備えてなるものを用いても良い。
【0124】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、老朽化した下水路、農業用水路、及び電力水路などの管路内に水が存在する既設管を更生する手段として利用することができる。
【符号の説明】
【0126】
1 浮体固定治具
2 基台
3 伸縮部材
4 架橋部材
5 間隙
6 衝撃緩衝治具
7 補助輪
82 カップ
9 ウインチ
10 浮体
50 バラストタンク
51 注入口
100 管体
P 既設管
R 更生管
L 管体の全長
N 基台の長さ
M 伸縮部材同士の間隔
V 水準器
C 制御部
S 伸縮スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管の管路内において、複数の管体が連結された更生管を敷設することによって既設管を更生する既設管の更生方法、浮体固定治具、管体運搬用キット、及び管体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、老朽化した下水路、農業用水路、及び電力水路などの管路内に水が存在する既設管を更生する方法として、管体を既設管の管路内に存在する水に浮かせながら、管路に沿って順次運搬し、運搬先において順次管体を連結することによって複数の管体が連結された更生管を既設管内に敷設する方法が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の発明は、既設管路の下流側を堰き止めて満管(満水)状態とした上で、運搬する管体内部に浮袋状の浮体を挿入し、係る浮体の有する浮力によって、軸心方向を水平方向に向けた状態(開口を横向きにして寝かせた状態の管体)の管体における内壁上部を下支えするようにして、既設管内に満たされた水に管体を浮かせるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6‐81980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の発明を実施するためには、既設管を満管状態とする必要がある。既設管を満管状態にすれば、管体の運搬時に作業員が既設管内に入ることができない。又、管体の運搬後は、作業員が既設管内に入り、隣り合う管体同士の軸心を合わせた上で、連結する作業が行われるが、この作業を行うにあたっては、満管状態の既設管から水を抜く必要が生じる。従って、管体の運搬作業と平行して、管体の連結作業を行うことはできない。
【0006】
本発明は、前記技術的課題を解決するために開発されたものであり、管体の運搬時に作業員が既設管内において作業することができ、管体の運搬作業と平行して、管体の連結作業を行うこともできる新規な既設管の更生方法、浮体固定治具、管体運搬用キット、及び管体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明第一の既設管の更生方法は、管体内に浮体を固定することによって、管体に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与する浮体固定工程と、浮体が固定された管体複数個を、既設管内に存する流水に浮かべながら順次運搬する運搬工程と、運搬された一の管体の軸心を、先に運搬された別の管体の軸心に合わせる高さ調整工程と、軸心が合わされた一の管体と先に運搬された別の管体とを連結することによって、既設管の管路に沿って、複数の管体が連結された更生管を敷設する連結工程と、を実行する既設管の更生方法であって、前記浮体固定工程では、二本の伸縮部材を、浮体の上面から屹立させた状態、且つ、管体の全長に対して50%以上の間隔を開けた状態で、浮体の長さ方向に沿う中心線上に固定し、二本の伸縮部材が固定された浮体の長さ方向を管体の軸心方向に沿わせた状態で、浮体を管体内に配置し、更に、二本の伸縮部材を各々伸ばすことによって浮体を管体内壁に向かって押圧固定し、前記高さ調整工程では、二本の伸縮部材にて浮体を支えつつ、二本の伸縮部材を各々縮めながら浮体を浮揚させて管体の喫水を深くし、もって管体の軸心を、先に運搬された別の管体の軸心に合わせることを特徴とする(以下、本発明第一方法と称する。)。
【0008】
本発明第二の既設管の更生方法は、管体内に浮体を固定することによって、管体に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与する浮体固定工程と、浮体が固定された管体複数個を、既設管内に存する流水に浮かべながら順次運搬する運搬工程と、運搬された一の管体の軸心を、先に運搬された別の管体の軸心に合わせる高さ調整工程と、軸心が合わされた一の管体と先に運搬された別の管体とを連結することによって、既設管の管路に沿って、複数の管体が連結された更生管を敷設する連結工程と、を実行する既設管の更生方法であって、前記浮体固定工程では、管体の全長に対して50%以上の長さを有する基台に対し、二本の伸縮部材を、基台上面から屹立させた状態、且つ、管体の全長に対して50%以上の間隔を開けた状態で、基台の長さ方向に沿って固定し、基台に固定された二本の伸縮部材の並びを管体の軸心線上に沿わせた状態で、基台が積載された浮体を管体内に配置し、更に、二本の伸縮部材を各々伸ばすことによって浮体を管体内壁に向かって押圧固定し、前記高さ調整工程では、二本の伸縮部材にて浮体を支えつつ、二本の伸縮部材を各々縮めながら浮体を浮揚させて管体の喫水を深くし、もって管体の軸心を、先に運搬された別の管体の軸心に合わせることを特徴とする(以下、本発明第二方法と称する。)。
【0009】
本発明第二方法においては、浮体固定工程では、基台が浮体に固定された状態で、基台が積載された浮体を管体内に配置することが好ましい態様となる。
【0010】
本発明第一方法及び本発明第二方法においては、前記浮体として、バラストタンクを備えてなるものを用いることが好ましい態様となる。
【0011】
本発明の浮体固定治具は、管体内に浮体を固定し、管体に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与するために用いられる浮体固定治具であって、管体の全長に対して50%以上の長さを有する基台と、基台上面から屹立した状態、且つ、管体の全長に対して50%以上の間隔を開けた状態で、基台の長さ方向に沿って固定される二本の伸縮部材と、を具備することを特徴とする。
【0012】
本発明の浮体固定治具においては、伸縮部材が、油圧によって伸縮可能となされたものが好ましい態様となる。
【0013】
本発明の浮体固定治具においては、二本の伸縮部材同士を架橋する架橋部材を更に具備するものが好ましい態様となる。
【0014】
本発明の浮体固定治具においては、架橋部材が、二本の伸縮部材の各上端に固定されるものであることが好ましい態様となる。
【0015】
本発明の浮体固定治具においては、二本の伸縮部材における伸縮の程度を制御する制御部を更に具備するものが好ましい態様となる。
【0016】
本発明の管体運搬用キットは、管体に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与するための管体運搬用キットであって、浮体と、前記本発明の浮体固定治具と、を具備することを特徴とする。
【0017】
本発明の管体運搬用キットにおいては、前記浮体には、バラストタンクが備えられてなるものが好ましい態様となる。
【0018】
本発明の管体運搬用キットにおいては、前記バラストタンクが、中空の柱体であり、前記浮体の長さ方向に沿って前記浮体に貫通された状態、且つ、少なくとも一端部が前記浮体から突出された状態にて、前記浮体に備えられてなり、前記浮体から突出された一端部には、前記バラストタンク内に連通する注入口が設けられてなるものが好ましい態様となる。
【0019】
本発明の管体運搬用キットにおいては、複数の前記バラストタンクが、それぞれ前記浮体の長さ方向に沿う中心線を挟んで対象となる位置に備えられてなるものが好ましい態様となる。
【0020】
本発明の管体運搬用キットにおいては、前記バラストタンクに設けられた注入口が、前記浮体の下面側に向かって開口されてなるものが好ましい態様となる。
【0021】
本発明の管体構造は、管体に、浮体が固定されてなる管体構造であって、管体と、浮体と、前記本発明の浮体固定治具と、を具備し、基台に固定された二本の伸縮部材の並びを管体の軸心上に沿わせた状態で、基台が積載された浮体が管体内に配置されてなり、更に、二本の伸縮部材が各々伸ばされることによって浮体が管体内壁に向かって押圧固定されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、管体の運搬時に作業員が既設管内において作業することができ、管体の運搬作業と平行して、管体の連結作業を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1(a)は、管体を示す側面断面図であり、(b)は、連結された状態の管体を示す側面断面図である。
【図2】図2は、浮体を示す平面図(a)と、側面図(b)と、正面図(c)である。
【図3】図3は、浮体固定治具を示す側面図(a)と、正面図(b)である。
【図4】図4(a)〜(c)は、浮体固定工程を説明する説明図である。
【図5】図5は、浮体が固定された管体(本発明の管体構造)に対し、更に、衝撃緩衝治具及び補助輪を取り付けた状態を一部透過状態で示す側面図(a)と、正面図(b)である。
【図6】図6は、運搬工程を説明する説明図である。
【図7】図7は、運搬工程において、浮体に衝突した流水の状態を説明する説明図である。
【図8】図8(a)は、支持土台を示す正面図であり、図8(b)は、支持土台によって支持された管体を示す正面図である。
【図9】図9(a)及び(b)は、高さ調整工程を説明する説明図である。
【図10】図10は、支持部材を用いて、浮体を管体に支持した状態を示す正面図である。
【図11】図11は、別の支持部材を用いて、浮体を管体に支持した状態を示す側面図(a)と、正面図(b)である。
【図12】図12は、既設管の管路に沿って敷設された更生管を示す側面図である。
【図13】図13は、二本の伸縮部材における伸縮の程度を制御する制御部を更に備えた浮体固定治具と、水準器を更に備えた浮体を示すブロック図である。
【図14】図14は、浮体固定治具に備えられた制御部における論理演算を示すフローチャートである。
【図15】図15は、別の浮体を示す側面図(a)と、正面図(b)である。
【図16】図16は、浮体が固定された管体(本発明の管体構造)を示す側面図(a)と、正面図(b)である。
【図17】図17(a)は、更に別の浮体を示す斜視図であり、図17(b)は、浮体に備えられたカップを一部透過して示す斜視図である。
【図18】図18は、伸縮部材を示す正面図である。
【図19】図19(a)は、伸縮部材を浮体に固定する状態を示す説明図であり、図19(b)は伸縮部材が浮体に固定された状態を示す側面図である。
【図20】図20は、浮体が固定された管体(本発明の管体構造)を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0025】
<実施形態1>
実施形態1は、本発明第二方法を実施するものである。本発明第二方法においては、管体100内に浮体10を固定することによって、管体100に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与する浮体固定工程と、浮体10が固定された複数個の管体100を、既設管P内に存する流水に浮かべながら順次運搬する運搬工程と、運搬された一の管体100の軸心を、先に運搬された別の管体100の軸心に合わせる高さ調整工程と、軸心が合わされた一の管体100と先に運搬された別の管体100とを連結することによって、既設管Pの管路に沿って、複数の管体100が連結された更生管Rを敷設する連結工程と、を実行する。以下、本実施形態において用いた管体100、浮体10、及び管体100に浮体10を固定するための浮体固定治具1を順に説明し、次いで、本実施形態に係る本発明第二方法の実施を説明する。
【0026】
‐管体100‐
図1(a)に示す管体100は、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)と樹脂モルタルとが積層されたプラスチック複合管である。この管体100における中空円筒状の管本体部100cの一方の端部には、係る管本体部100cよりも大径の受け口100aが備えられている。管本体部100cの他方の端部には、先端に向かって先細りさせた外周面形状を有する差し口100bが形成されている。差し口100bの外周面には、止水ゴム100dが設けられている。この管体100における管本体部100cの内径φは2000mmとなっており、全長Lは4000mmとなっている。
【0027】
図1(b)に示すように、管体100同士の連結は、一の管体100の挿し口100bを、別の管体100の受け口100aに挿入することにより行われる。一の管体100の挿し口100bを、別の管体100の受け口100aに挿入して連結すれば、差し口100bと受け口100aとが、止水ゴム100dを介して水密状態となる。
【0028】
‐浮体10‐
図2に示す浮体10は、発泡スチロール製のブロックを主体10aとし、その上面全体に補強板としての合板10bが貼り付けられたものである。
【0029】
以下、この浮体10の各部の形状及び構成を説明するが、説明の便宜上、この浮体10の形状を四角柱に類似するものとみなし、主体10aの上面に貼り付けられた合板10bの上面を甲板部11、浮体10の下面を底部12、この浮体10が固定された管体100を運搬する際に進行側となる端面を前端部13、進行側に対し反対となる端面を後端部14、進行側に向かって浮体10の右側となる側面を右側部15R、左側となる側面を左側部15L、と称する。
【0030】
浮体10の甲板部11は平坦面であり、後端部14側の両角が丸められている。又、甲板部11上には、その幅方向に沿って角材16が並べられ、固定されている。角材16は、甲板部11の長さ方向に沿って一定の間隔をあけて複数本並列配置されている。更に、甲板部11上の後端部14寄りの位置、且つ、浮体10の長さ方向に沿う中心線を挟んで対向する位置二箇所には、それぞれ支持部材17が取り付けられている。各支持部材17は、アーム171とアーム171の先端に設けられた車輪172とからなる。
【0031】
各支持部材17は、アーム171の基端が、浮体10の甲板部11に軸止されることによって、甲板部11の所定箇所に取り付けられている。各支持部材11は、浮体10の甲板部11に軸止された基端を回転軸として、各指示部材11の近傍に存する浮体10の右側部15R、又は左側部15Lに向かって回動しながら各々倒れることができる。各支持部材17は、それぞれ浮体10の右側部15R、又は左側部15Lに向かって倒された際に、少なくともアーム171の先端に設けられた車輪が、右側部15R、又は左側部15Lからはみ出すように、アーム171の長さ、及び、その取り付け位置が設定されている。
【0032】
浮体10の底部12は甲板部11と平行な平坦面であり、浮体10の前端部13は、甲板部11と垂直な平坦面である。
【0033】
浮体10の後端部14には、甲板部11の後端辺から底部12内側に向かって斜めに角を切り落とした如きのテーパー形状を有する緩衝部18が形成されている。
【0034】
浮体10の右側部15R及び左側部15Lには、前記管体100における管体100内下部の内壁面二箇所に当接し得る曲面形状を有する当接部19R、19Lがそれぞれ形成されている。
【0035】
なお、浮体10としては、甲板部11から底部12に向かう方向に負荷される押圧力によって、前記管体100の内壁面に押圧固定され得る形状を有し、前記管体100に押圧固定された際に、軸心方向を水平方向に向けた状態の前記管体100に対して、水に浮かび得る浮力を付与し得るものであれば、その形状及び素材について得に限定されるものではない。浮体10の主体10aとしては、発泡スチロールを素材とするものの他、例えば、発泡ウレタンを素材とするものや、プラスチック製の中空成形品を挙げることができる。又、浮体10の合成が確保されるのであれば、合板10bは必ずしも浮体10に備える必要はない。
【0036】
‐浮体固定治具1‐
図3に示す浮体固定治具1は、基台2と、基台2の上面から屹立した状態で基台2に固定される二本の伸縮部材3と、を具備する。
【0037】
基台2は、スチール製で一定の厚みを有し、その長さ(管体100へ配置された際、管体100の軸心方向に沿わされる方向の長さ)Nが、管体100の全長Lに対し50%以上の長さに設定されている。又、基台2の下面には、幅方向に沿う凹溝21が、長さ方向に沿って一定の間隔をあけて複数条設けられている。
【0038】
伸縮部材3は、中空円筒状のシリンダ部31と、シリンダ部31に挿入されたロッド部32と、シリンダ部31内に供給されるオイルの量を調整することができるポンプ部33と、を具備する。この伸縮部材3は、ポンプ部33を操作し、シリンダ部31内に存するオイルの量を調整することによって、ロッド部32を伸縮させる複動式の油圧ジャッキである。
【0039】
二本の伸縮部材3は、それぞれシリンダ部31の下端が前記基台2の上面に溶接されることによって、基台2に固定されており、二本の伸縮部材3の間隔Mは、管体100の全長Lに対し、50%以上の間隔Mを開けた状態で基台2に固定されている。
【0040】
又、本実施形態に係る浮体固定治具1は、二本の伸縮部材3同士を架橋する架橋部材4を更に具備する。架橋部材4によって二本の伸縮部材3同士が架橋されれば、伸縮部材3の剛性が向上し、後述する浮体固定工程の際に、二本の伸縮部材3に負荷が与えられても、二本の伸縮部材3同士の間隔を維持することができる。
【0041】
この架橋部材4は、スチール製の長板の幅方向を湾曲させたものである。架橋部材4の湾曲面の曲率半径は、管体100における管本体部100cの内壁の曲率半径とほぼ一致する。この架橋部材4は、湾曲面の凹側に二本の伸縮部材3のロッド部32の上端がそれぞれ溶接されることによって、各伸縮部材3に固定されている。
【0042】
ところで、本実施形態においては、伸縮部材3として、油圧によって伸縮可能となされた複動式の油圧ジャッキを用いているが、単動式の油圧ジャッキを用いても良い。伸縮部材3として、油圧によって伸縮可能となされたものを用いれば、伸縮部材3を伸縮させる作業が簡便且つ迅速となる。但し、本発明においては、必ずしも油圧によって伸縮可能となされた伸縮部材3を用いる必要は無く、例えば、ネジの螺合を利用したネジ式の伸縮部材3や、電動式の伸縮部材3を用いても良い。
【0043】
又、伸縮部材3を基台2に固定する固定手段としては、溶接によるものに限られない。例えば、接着剤を用いて伸縮部材3を基台2に接着固定したり、ネジなどを用いて伸縮部材3を基台2に締結固定したり、基台2に設けた嵌合用の穴に伸縮部材3を嵌め込んで固定したりしても良い。
【0044】
なお付言するに、本発明の管体運搬用キットは、この浮体固定治具1と、前記浮体10と、が具備されたものである。
【0045】
‐本発明第二方法の実施‐
本発明第二方法においては、まず、管体100内に浮体10を固定することによって、管体100に対して、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与する浮体固定工程を実行する。
【0046】
本実施形態においては、この浮体固定工程を実行するにあたり、まず、浮体10を管体100内に挿入する(図4(a)参照)。この際、管体100においては、差し口100b側より受け口100a側の重量が大きいことから、バランス配分を考慮して、浮体10の後端部14を、管体100の受け口100aから突出させた状態で配置する。
【0047】
次いで、浮体10の上面に、基台2に固定された二本の伸縮部材3の並びを管体100の軸心線上に沿わせた状態で、浮体固定治具1を積載する(図4(b)参照)。この際、浮体10の甲板部11に並列配置された複数本の角材16と、浮体固定治具1における基台2の下面に設けた複数条の凹溝21とを嵌合させることによって、浮体10上に積載された浮体固定治具1の動きを制限している。
【0048】
この状態で、作業員が浮体固定治具1におけるポンプ部33を操作することによって、二本の伸縮部材3を各々伸ばす方向に動作させれば、図4(c)に示すように、各伸縮部材3の上端に固定された架橋部材4が管体100の内壁(図中上部の内壁)に押し付けられ、その際に生じる反作用を受けた基台2によって、浮体10が管体100の内壁(図中下部の内壁)に向かって押圧固定される。
【0049】
これによって、管体100に、浮体10が固定されてなる本発明の管体構造が構築される。
【0050】
ここで、浮体10の底部12は平坦面であることから、係る底部12は、管体100における内壁には接触せず、結果、浮体10の底部12と管体100の内壁面との間には管体100の軸心方向に沿って貫通する間隙5が生じる。
【0051】
なお、本実施形態においては、図5に示すように、管体100の受け口100a側及び差し口100b側の両管側部の位置に、ローラ61が備えられた衝撃緩衝治具6がローラ61を管体100の外側に向けた状態でボルト62を介して取り付けられ、又、管体100の受け口100a側の下方部の位置に、補助輪7がバイス71を介して取り付けられる。
【0052】
次いで、本発明方法においては、浮体10が固定された管体100複数個を、既設管P内に存する流水に浮かべながら運搬する運搬工程を実行する。
【0053】
図6に示すように、浮体固定工程を終えて、浮体10が固定された管体100は、既設管Pに連通する発進側縦坑M1を経由して、既設管Pまで吊り下ろされる。既設管Pには、発進側縦抗M1から到達側縦抗M2に到る施工区間にわたって、管体100を浮かせることができる水位の流水が図中矢印で示す方向に流れている。なお、流水の水位が管体100を浮かせるに十分な水位に満たない場合は、施工区間の下流側に堰を設けて流水を堰止めるなどして、施工区間に必要とする水位を確保すれば良い。
【0054】
運搬工程においては、まず、吊り下ろされた管体100における受け口100aを上流側に向けた状態で、管本体部100cにナイロンスリング93を巻きつける。
【0055】
巻きつけたナイロンスリング93から延ばされた一端には、ワイヤ91の一端部に設けたフック92が接続される。ワイヤ91の他端は、発進側縦抗M1近辺の所定位置に設置されたウインチ9に巻き回されている。
【0056】
流水に管体100を浮かせた後、ウインチ9を作動させることによってワイヤ91を徐々に繰り出せば、管体100が下流側に向けて運搬される。本実施形態においては、ワイヤ91を所定速度にて繰り出すことにより管体100の流下速度をコントロールしながら運搬することができる。これより、流水の速度にかかわらず、所望の速度にて管体100を運搬することができる。なお、管体100に取り付けられた衝撃緩衝治具6に設けられたローラ61、及び補助輪7は、管体100が流水に安定した状態で浮かんでいるときは、既設管Pの内壁から離れた状態となっている。
【0057】
運搬工程時、ワイヤ91の繰り出しによる速度コントロールを受けながら運搬される管体100の後端部14には、流水が常時衝突することになる。この点につき、本実施形態においては、浮体10の後端部14に緩衝部18が形成されているから、図7に示すように、緩衝部18に衝突する流水を衝突面に沿って下方向に案内することができ、もって、衝突する流水の衝撃を緩和することができる。又、浮体10の底部12と管体100内下部の内壁面との間には管体100の軸心方向に沿って貫通する間隙5が存在することから、緩衝部18に沿って下方向に案内された流水は、間隙5内を通過して下流側に流出する。これにより、運搬時における管体100のバランスが安定する。更に、間隙5内を通過する流水が、管体100の重心を下げるため、管体100が周方向へ回転すること(ローリング)が抑制される。
【0058】
加えて、本実施形態においては、管体100に衝撃緩衝治具6、及び補助輪7が取り付けられているから、運搬工程時において、流水によって管体100があおられてバランスを失った際には、前記衝撃緩衝治具6に備えられたローラ61や補助輪7が既設管Pの内壁に接触することによって管体100に与えられる衝撃が緩和される。
【0059】
運搬先(この場合、到達側立坑M2近辺)に到達された管体100は、順次、支持土台94上に載置される。本実施形態においては前記支持土台94として、図8(a)に示す支持土台94を用いた。この支持土台94は、二本のジャッキ941と、受け部942とを具備する。
【0060】
前記二本のジャッキ941は、いずれもベース部9411と、前記ベース部9411に一端が固定されてなるロッド部9412と、前記ロッド部9412と芯鞘構造にて連結された筒状部9413と、前記筒状部9413の上端に固定されたナット部9415と、前記ナット部9415と螺合された状態で前記筒状部9413に挿入されたボルト部9416とを具備する。なお、前記ロッド部9412と前記ボルト部9416とは、前記筒状部9413内にて端部同士が当接されている。又、前記ボルト部9416の他端には前記ボルト部9416を回転させる操作レバー9417が設けられている。即ち、このジャッキ941は、前記操作レバー9417を操作することによって、前記ボルト部9416を回転させれば、前記ボルト部9416と前記ナット部9415との螺合位置が変更され、もって、前記ロッド部9412が伸縮する仕組みとなっている。
【0061】
前記受け部942は、スチール製の帯板を湾曲させて円弧状に形成したものである。
【0062】
前記支持土台94は、前記受け部942が前記二本のジャッキ941間に架設されることによって形成されたものであり、前記受け部942の両端が、それぞれ固定片943を介して前記二本のジャッキ941における各筒状部9413の上端側に固定され、且つ、前記受け部942の中ほど二箇所が、それぞれ架橋片944を介して前記二本のジャッキ941における各筒状部9413の下端側に固定されている。なお、前記受け部942を前記二本のジャッキ941間に架設するにあたり、前記受け部942の両端を前記二本のジャッキ941における各筒状部9413の上端側に直接固定せずに、固定片943を介して固定した理由は、前記ボルト部941の他端に設けられた操作レバー9417を操作するためのスペースを確保するためである。
【0063】
係る構成を有する支持土台94は、前記受け部942の曲率半径が、管体100の受け口100aの外周面の曲率半径と同一となるように設定された支持土台94aと、管体100の管本体部100cの外周面の曲率半径と同一となるように設定された支持土台94bとの二種類用意される。
【0064】
先頭の管体100が運搬先に到達したら、既設管Pの底部に、支持土台94aと支持土台94bとを一定の間隔を開けて配置する。なお、支持土台94bは、支持土台94aより、到達側立坑M2側に配置される。
【0065】
既設管Pの底部に、支持土台94(94a、94b)を配置するにあたっては、まず、既設管Pの底部に存在する汚泥などの堆積物を除去する。次いで、前記二本のジャッキ941における前記ベース部9411を既設管Pの底部に当接させれば、前記二本のジャッキ941が既設管Pの底部から屹立された状態にて、前記支持土台94が既設管Pの底部に配置される。この際、前記二本のジャッキ941の各位置が、それぞれ既設管Pの軸心を挟む位置となるようにする。
【0066】
支持土台94a、94bを既設管Pの底部に配置した後、管体100から衝撃緩衝治具6及び補助輪7を外す。その後、浮体固定治具1にて浮体10を支えつつ、二本の伸縮部材3を各々縮めながら浮体10を浮揚させて管体100の喫水を深くし、管体100における受け口100aを支持土台94aに載せると共に、管体100における管本体部100cを支持土台94bに載せる(図8(b)参照)。なお、前記支持土台94における二本のジャッキ941の間隔は、前記受け部942に管体100が載せられた際に管体100からジャッキ941が図中左右に張り出さないように、管体100の受け口100aの外径より短く設定されている。
【0067】
その後、支持土台94a、94bにおける各ジャッキ941に設けられた操作レバー9417を操作し、ロッド部9412を伸縮させることによって、支持土台94a、94bによる管体100の支持高さを決定する。
【0068】
ここで、前記操作レバー9417は、各ジャッキ941におけるボルト部9416の上端に設けられていることから、作業中、前記操作レバー9417は作業者の手元に近い位置となり、前記操作レバー9417の操作が容易となる。又、既設管P内に存する流水が濁っている場合にあっても、前記操作レバー9417の位置が、流水の水面近くとなるため、前記操作レバー9417の操作は容易となる。
【0069】
前記支持土台94a、94bの支持高さが決定された後、管体100の上部には、更にジャッキ式の浮上防止材95が配置されると共に、管体100を図中左右から挟むようにしてジャッキ式の浮上防止材95が配置される。これにより、管体100が既設管Pの所定位置に支持固定される。管体100を支持固定した後、浮体10及び浮体固定治具1は、管体100内から取り出される。又、ナイロンスリング93も外される。
【0070】
先頭の管体100が支持固定された後、後続する管体100が運搬されてきたら、後続する管体(特許請求の範囲における「一の管体」に相当)100と、支持固定された管体(特許請求の範囲における「別の管体」に相当)100とを連結する連結工程を行う。
【0071】
但し、流水に浮いた状態で運搬されてきた後続する管体100の軸心の位置は、支持固定された管体100の軸心の位置より高い位置にある。そのため、本発明方法においては、各管体100同士を連結するに先立ち、後続する管体100の軸心を、支持固定された管体100の軸心に合わせる高さ調整工程を実行する。この高さ調整工程は、浮体固定治具1にて浮体10を支えつつ、二本の伸縮部材3を各々縮めながら浮体10を浮揚させて後続する管体100の喫水を深くし、もって管体100の軸心を、支持固定された管体100の軸心に合わせることによって行う(図9(a)参照)。
【0072】
この作業の際、各伸縮部材3の縮む程度が相違し、各伸縮部材3の長さが互いに異なった状態になると、浮体固定治具1が歪み、図9(b)に示すように浮体10が傾いた状態となる。しかしながら、浮体10は、基台2によって、その上面が広範囲にわたって支持されており、又、各伸縮部材3も基台2に固定されているから、浮体10が多少傾いたとしても、直ちに浮体固定治具1が外れて、浮体10が管体100から飛び出したり、管体100が急落したりする事態にはならない。従って、高さ調整工程中、作業者が浮体10の傾きを確認したならば、短い方の伸縮部材3の縮む方向への動作を停止し、長い方の伸縮部材3の縮む方向への動作を継続するか、或いは、短い方の伸縮部材3を再度伸ばす方向へ動作させることによって、各伸縮部材3の伸縮の程度をそろえ、もって浮体10の傾きを是正すれば良い。
【0073】
ところで、各伸縮部材3が縮められて、浮体10が浮揚すると、浮体10の自由度が増して、浮体10が動き易くなる。即ち、自由度が増した浮体10は、幅方向に傾いたり、流水に押されるようにして下流側に動き易くなったりする。
【0074】
この点につき、本実施形態においては、図10に示すように、浮体10の甲板部11を覆う合板10b上に配した一対の支持部材17を浮体10の外側に向けてそれぞれ倒し、アーム171の先端に設けた車輪172を管体100の受け口100a内壁に当接させて、支持部材17を心張り棒のようにして浮体10を管体100に支持することにより、浮体10が幅方向に傾くことを抑制することができる。
【0075】
又、本実施形態においては、図11に示すように、別の支持部材96として管体100の外径より長い角棒を更に用い、この別の支持部材96を浮体10に設けた角材16に沿って配置すると共に、別の支持部材96における浮体10からはみ出させた両端部を管体100の受け口100aの端部と当接させることにより、浮体10が流水に押されるようにして下流側に動くことを抑制することもできる。
【0076】
後続する管体100の軸心を支持固定された管体100の軸心に合わせたら、後続する管体100に取り付けられた衝撃緩衝治具6を外し、後続する管体100の挿し口100bを支持固定された管体100の受け口100aに挿入することによって、隣接する管体100同士を連結する連結工程を行う。
【0077】
後続する管体100と支持固定された管体100とを連結したら、後続する管体100から浮体10、浮体固定治具1、及びナイロンスリング93を外す。次いで、後続する管体100の受け口100aを図示しない別のジャッキで持ち上げながら後続する管体100に取り付けられた補助輪7を取り外し、支持土台94a及び浮上防止材95を用いて支持固定する。
【0078】
以下同様にして、複数個の管体100を連結し、支持固定すれば、既設管Pの管路に沿って、複数の管体100が連結された更生管Rが敷設される(図12参照)。なお、更生管Rを敷設した後、既設管Pの内壁と更生管Rの外壁との間には、モルタル等の裏込め材を充填することが好ましい。
【0079】
本実施形態においては、浮体固定工程において、管体100の全長Lに対して50%以上の長さNを有する基台2と、基台2上面から屹立した状態、且つ、管体100の全長Lに対して50%以上の間隔Mを開けた状態で、基台2の長さ方向に沿って固定される二本の伸縮部材3と、を具備する浮体固定治具1を用いているから、浮体固定治具1が積載された浮体10を管体100内に挿入し、二本の伸縮部材3を各々伸ばすだけで、浮体10を管体100の内壁に向かって確実に押圧固定することができる。
【0080】
前記実施形態1においては、各伸縮部材3の伸縮方向を垂直方向に沿わしているが、たとえ、伸縮部材3の伸縮方向が垂直方向よりずれていたとしても、二本の伸縮部材3の下端は共通の基台2の上面に固定されているから、確実に浮体10を押圧固定することができる。
【0081】
又、高さ調整工程においては、浮体10が基台2によって、広範囲にわたって支持されており、各伸縮部材3も基台2に固定されているから、二本の伸縮部材3の伸縮の程度が相違して浮体10が多少傾いたとしても、直ちに浮体固定治具1が外れて、浮体10が管体100から飛び出したり、管体100が急落したりする事態にはならない。
【0082】
なお、基台2の長さNについては、長くなれば長くなるほど、より広範囲にわたって浮体10を押さえつけることができることから、基台2の長さNの上限は特に限定されるものではない。又、基台2の長さNが管体100の全長より長く、管体100に浮体10を固定した状態において、基台2の端部が管体100の開口から突出しても良い。但し、基台2の端部が極端に管体100の開口から突出すると作業性が悪くなる場合があることから、本発明においては、基台2の長さNが管体100の全長に対し、50〜200%(好ましくは75〜100%)となるように設定することが好ましい。
【0083】
又、二本の伸縮部材3の間隔Mについては、広くなれば広くなるほど、より安定して浮体10を支持することができることから、二本の伸縮部材3の間隔Mの上限は特に限定されるものではない。又、二本の伸縮部材3の間隔Mが管体100の全長より長くなっても、実施形態1のように、各伸縮部材3を架橋する架橋部材4を伸縮部材3の上端に固定すれば、浮体10を押圧固定することができる。従って、実施形態1のように、各伸縮部材3を架橋する架橋部材4を伸縮部材3の上端に固定する場合にあっては、二本の伸縮部材3の間隔Mが管体100の全長に対し、50〜200%(好ましくは75〜100%)となるように設定することが好ましい。なお、各伸縮部材3を架橋する架橋部材4を伸縮部材3の上端に固定しない場合にあっては、二本の伸縮部材3の間隔Mは、管体100の全長に対し、50〜100%(好ましくは75〜90%)となるように設定することが好ましい。
【0084】
又、前記実施形態1においては、作業員がポンプ部33を操作することによって伸縮部材3を伸縮させ、各伸縮部材3の伸縮の程度を作業員が調整しているが、例えば、図13に示すブロック図のように、二本の伸縮部材3における伸縮の程度を制御部Cによって制御しても良い。
【0085】
このブロック図に示す制御部Cによる制御は、浮体10に水準器Vを配し、水準器Vが計測した浮体10の傾きに関するデータを制御部Cが受け取り、このデータに応じて、制御部Cが各伸縮部材3(浮体10の前端部13側に配された伸縮部材3を伸縮部材3F、浮体10の後端部14側に配された伸縮部材3を伸縮部材3Rとする。)の伸縮の程度を制御するものである。この制御部Cによる各伸縮部材3の縮む方向への動作の制御に関するフローチャートを図14に示す。
【0086】
高さ調整工程において、作業者が伸縮スイッチSをONにし、制御部Cに各伸縮部材3を縮める旨の信号が与えられると(S1)、制御部Cは、各伸縮部材3に対し、縮む方向への動作を行うよう命令する(S2)。この命令を受けた各伸縮部材3は、各々縮む方向への動作を開始する。なお、各伸縮部材3が縮む方向へ動作している最中に、作業者が伸縮スイッチSをOFFにした場合にあっては、制御部Cに各伸縮部材3の動作を停止する旨の信号が与えられ、制御部Cは、各伸縮部材3に対し、縮む方向への動作を停止する命令し、この命令を受けた各伸縮部材3は、各々縮む方向への動作を停止するものとする。
【0087】
各伸縮部材3が縮む方向への動作を行っている間、制御部Cは、水準器Vから得られる浮体10の傾きに関するデータを判定し(S3)、浮体10の傾きが設定値以上(例えば±10℃以上)となった時点で、制御部Cは、その傾きの正負によって、浮体10の前端部13又は後端部14のいずれがより高位置にあるかを判断する(S4)。
【0088】
浮体10の前端部13が高位置にあると判断された場合、制御部Cは、浮体10の前端部13側に配された伸縮部材3Fに対し、縮む方向への動作を停止する命令を与える(S5)。この命令を受けた伸縮部材3Fは、縮む方向への動作を停止する。
【0089】
一方、浮体10の後端部14が高位置にあると判断された場合、制御部Cは、浮体10の後端部14側に配された伸縮部材3Rに対し、縮む方向への動作を停止する命令を与える(S7)。この命令を受けた伸縮部材3Rは、縮む方向への動作を停止する。
【0090】
その後、制御部Cに、水準器Vから浮体10の水平が回復した旨のデータが与えられると(S6、S8)、制御部Cは、各伸縮部材3に対し、縮む方向への動作を再開する旨の命令を与える(S2)。この命令を受けた停止していた方の伸縮部材3は縮む方向への動作を再開させる。
【0091】
その後、制御部Cは、水準器Vから得られる浮体10の傾きに関するデータを再度判定する(S3)。
【0092】
この制御部Cによる一連の論理演算の繰り返しにより、高さ調整工程において、浮体10の傾きが極端に大きくなることを防止することができる。
【0093】
ところで、本実施形態においては、浮体10として、図2に示す構造のものを用いたが、浮体10としては、図15に示すような、バラストタンク50を備えたものを用いることが好ましい。
【0094】
図15に示す浮体10は、発泡スチロール製のブロックを主体10aとし、その上面全体に合板10bが貼り付けられたものであり、図2に示す浮体10に対し、図15に示す浮体10が異なる点は、中空の円柱体からなる複数のバラストタンク50が、前記浮体10に備えられてなる点にあり、その余は同様の構成を有する。
【0095】
前記浮体10に貫通された前記複数のバラストタンク50は、前記浮体10の長さ方向に沿って前記浮体10に貫通された状態、且つ、両端部が前記浮体10の前端13側と後端14側からそれぞれ突出された状態にて、それぞれ前記浮体10の長さ方向に沿う中心線を挟んで対象となる位置に備えられている。なお、本実施形態においては、前記バラストタンク50の数が奇数(五本)であるため、その内の一本のバラストタンク50aは、前記浮体10の長さ方向に沿う中心線上に備えられているが、本発明においては、この配置についても、前記複数のバラストタンク50が、それぞれ前記浮体10の長さ方向に沿う中心線を挟んで対象となる位置に備えられている状態に含まれる。
【0096】
又、前記バラストタンク50における前記浮体10から突出された両端部には、注入口51がそれぞれ設けられている。各注入口51は、浮体10の下面側に向かって開口している。なお、前記バラストタンク50における前記注入口51と対向する位置には、操作レバー挿入口55がそれぞれ設けられている。
【0097】
前記注入口51には、ゴム製の第一蓋体53が備えられている。第一蓋体53は、前記注入口51に嵌挿し得る外径を有する蓋本体部531と、前記蓋本体部531の片側面に設けられた前記注入口51より大径のフランジ部532とからなる。この第一蓋体53は、前記注入口51に対し、前記蓋本体部531が前記バラストタンク50の外側から嵌挿されることによって、前記注入口51を閉塞するものである。
【0098】
前記蓋体53における蓋本体部531には、前記操作レバー挿入口55を通じて挿通された操作レバー54の一端が連結されている。前記操作レバー54の他端は、前記操作レバー挿入口55を通じて前記バラストタンク50外に突出されており、係る操作レバー54の他端には、ゴム製の第二蓋体56が備えられている。この第二蓋体56は、前記操作レバー挿入口55に嵌挿し得る外径を有する蓋本体部561と、前記蓋本体部561の片側面に設けられた前記操作レバー挿入口55より大径のフランジ部562とからなる。この第二蓋体56は、前記操作レバー挿入口55に対し、前記蓋本体部561が前記バラストタンク50の外側から嵌挿されることによって、前記操作レバー挿入口55を閉塞するものである。なお、前記操作レバー54の長さは、前記バラストタンク50の外径より長く設定されているため、前記注入口51が第一蓋体53によって閉塞されているときは、前記操作レバー挿入口55は、第二蓋体56によって閉塞されない。
【0099】
更に、前記バラストタンク50における前記浮体10の後端部14側から突出された端部には、空気抜き口52が設けられている。この空気抜き口52は、浮体10の上面側に向かって開口している。
【0100】
この浮体10を、前記浮体固定治具1を用いて管体100に固定すれば、図16に示す本発明の管体構造が構築される。
【0101】
この管体構造を既設管P内に存する流水に浮かべ、前記操作レバー54を押し下げて前記注入口51を開けば、開かれた注入口51を介して、既設管Pに存する流水がバラスト水として前記バラストタンク50内に注入される。即ち、浮体10の浮力は、バラスト水の注入量に応じて適宜変更される。なお、バラスト水の注入中、前記バラストタンク50内に存する空気は、前記空気抜き口52を介して前記バラストタンク50外へ排出される。
【0102】
ここで、バラストタンク50内へのバラスト水の注入及び排出は、前記浮体10から突出されたバラストタンク50の両端部に設けられた各注入口51のいずれか一方、若しくは両方を介して行うことができることから、管体100の運搬方向前方、若しくは後方にいる作業者にとって、バラスト水の注入作業は、非常に容易に行うことができる。
【0103】
なお、バラストタンク50内にバラスト水が過剰量注入されて、浮体10の浮力が所定値以下となった場合には、前記操作レバー54を操作して、各注入口51を開くと共に各操作レバー挿入口55をそれぞれ第二蓋体にて閉塞した上で、前記空気抜き口52を介して、コンプレッサーなどから供給される空気をバラストタンク50内に圧入し、各注入口51からバラスト水を排出すれば、浮体10の浮力を回復させることができる。
【0104】
なお、バラストタンク50内へのバラスト水の注入及び排出は、浮体10の長さ方向に沿う中心線上により近く配置されたバラストタンク50(この場合、バラストタンク50a)から行い、順次、その外側に配置されたバラストタンク50に行うことが好ましい。このような順序にて、バラストタンク50内へのバラスト水の注入及び排出を行えば、作業中に浮体10が大きく傾くことを防止することができる。
【0105】
このように浮体10として、バラストタンク50よって浮力調整が可能となされたものを用いれば、前記運搬工程において、既設管P内に存する流水の水位が高く、管体100の管頂部が既設管Pの管頂部に接触するような場合にあっても、バラストタンク50内にバラスト水を注入して浮力を低減させることによって、管体100の喫水を深くすることができる。
【0106】
又、前記高さ調整工程においても、バラストタンク50内にバラスト水を注入することによって、後続する管体100の喫水を深くし、もって後述する管体100の軸心を、支持固定された管体100の軸心に合わせることができる。
【0107】
即ち、浮体10として、バラストタンク50よって浮力調整が可能となされたものを用いれば、浮体固定治具1に備えられた伸縮部材3を縮めることによって高さ調整を行う場合と、浮体10に備えられたバラストタンク50内にバラスト水を注入することによって高さ調整を行う場合と、その両方の手段を併用して高さ調整を行う場合と、を適宜選択することができる。
【0108】
なお、図15に示す浮体10においては、バラスト水として既設管P内に存する流水を利用すべく、前記注入口51が浮体10の下面側向かって開口された構成としているが、前記注入口51を浮体10の上面側に向かって開口させ、係る注入口51からバラスト水としての水道水などをバラストタンク50内に注ぎ入れる構成としても良い。
【0109】
又、バラストタンク50は、必ずしもその両端を前記浮体10から突出させた状態にて浮体10に備えられる場合に限られず、少なくともバラストタンク50の一端が前記浮体10から突出されてなり、突出された一端部分に注入口51が設けられていれば良い。この場合、管体100の運搬方向前方、又は後方にいる作業者のいずれか注入口51に近い方にいる者が、バラスト水の注入及び排出作業を行うことになる。
【0110】
<実施形態2>
実施形態2は、本発明第一方法を実施するものである。本発明第一方法においては、管体100内に浮体10を固定することによって、管体100に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与する浮体固定工程と、浮体10が固定された管体100複数個を、既設管P内に存する流水に浮かべながら順次運搬する運搬工程と、運搬された一の管体100の軸心を、先に運搬された別の管体100の軸心に合わせる高さ調整工程と、軸心が合わされた一の管体100と先に運搬された別の管体100とを連結することによって、既設管Pの管路に沿って、複数の管体100が連結された更生管Rを敷設する連結工程と、を実行する。以下、本実施形態において用いた管体100、浮体10、及び伸縮部材3を順に説明し、次いで、本実施形態に係る本発明第一方法の実施を説明する。
【0111】
‐管体100‐
管体100として、前記実施形態1と同じものを用いた。
【0112】
‐浮体10‐
図17(a)に示す実施形態2に係る浮体10は、発泡スチロール製のブロックを主体10aとし、その上面全体に繊維強化樹脂からなる板材10cが貼り付けられたものであり、前記実施形態1に係る浮体10とほぼ同様の形状を有する。
【0113】
浮体10における甲板部11には、その長さ方向に沿う中心線上に所定深さの穴81が2箇所設けられており、この穴81には、穴81の内径と同一の外径を有する繊維強化樹脂製のカップ82が挿入されている。このカップ82の上縁にはフランジ部83が設けられており、このフランジ部83の下面を穴81の周縁に当接させた状態で、カップ82が板材10cに接着固定されている。なお、二つの穴81同士の間隔mは、管体100の全長に対し50%以上となるように設定されている。
【0114】
図17(b)に示すように、カップ82の内壁には、カップ82の上縁からカップ82内中ほどにかけて垂下する垂直溝84と、垂直溝84の下端から水平方向、且つ、カップ82の開口側から見て時計の針の回転方向に折れ曲がる水平溝85と、からなるL字状の係止溝86が設けられている。この係止溝86は、カップ82の内壁二箇所に設けられており、各係止溝86における垂直溝84は、カップ82の中心軸を挟んで互いに対向する位置に配されている。
【0115】
実施形態2に係る浮体10のその他の構成は、前記実施形態1に係る浮体10と同様であることから、繰り返しを避けるべく、ここでは説明を省略する。
【0116】
‐伸縮部材3‐
図18に示す実施形態2に係る伸縮部材3は、中空円筒状のシリンダ部31と、シリンダ部31に挿入されたロッド部32と、シリンダ部31内に供給されるオイルの量を調整することができるポンプ部33と、を具備する。この伸縮部材3は、ポンプ部33を操作し、シリンダ部31内に存するオイルの量を調整することによって、ロッド部32を伸縮させる複動式の油圧ジャッキである。
【0117】
シリンダ部31の外径は、前記カップ82の内径と同じかやや小さめに設定されている。シリンダ部31の下端近辺には、二つの係止突起34が設けられている。この係止突起34は、シリンダ部31の中心軸を挟んで互いに対向する位置に配されている。
【0118】
更に、伸縮部材3の上端には、当接板41が溶接固定されている。この当接板41は、スチール製の板材を湾曲させたものである。湾曲させた当接板41の曲率半径は、管体100における管本体部100cの内壁の曲率半径とほぼ一致する。この当接板41は、湾曲面の凹側が伸縮部材3の上端に溶接されることによって、伸縮部材3に固定されている。
【0119】
‐本発明第一方法の実施‐
本実施形態において、浮体固定工程を実行するにあたっては、まず、浮体10に設けられた各カップ82に二本の伸縮部材3を挿入固定する。図19(a)に示すように、この挿入固定は、カップ82における係止溝86の垂直溝84に沿って、伸縮部材3におけるシリンダ部31に設けられた係止突起34を差し込むことによって、伸縮部材3をカップ82に挿入し、伸縮部材3を軸心を中心に時計の針の回転方向に向かって回転させることによって、係止突起34を水平溝85の奥まで導くことによって行われる。
【0120】
これにより、図19(b)に示すように、浮体10には、二本の伸縮部材3が、浮体10の上面から屹立した状態、且つ、浮体10の長さ方向に沿って、管体100の全長に対して50%以上の間隔を開けた状態で固定される。
【0121】
次いで、本実施形態においては、二本の伸縮部材3が固定された浮体10を、管体100内に挿入する。
【0122】
この状態で、作業員がポンプ部33を操作することによって二本の伸縮部材3を各々伸ばせば、図20に示すように、各伸縮部材3の上端に固定された当接板41が管体100の内壁(図中上部の内壁)に押し付けられ、その際に生じる反作用によって、浮体10が管体100の内壁(図中下部の内壁)に向かって押圧固定される。
【0123】
その余の工程は、前記実施形態1と同様であることから、繰り返しを避けるべくここでは説明を省略する。勿論、前記実施形態1と同様、前記浮体10として、バラストタンク50を備えてなるものを用いても良い。
【0124】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、老朽化した下水路、農業用水路、及び電力水路などの管路内に水が存在する既設管を更生する手段として利用することができる。
【符号の説明】
【0126】
1 浮体固定治具
2 基台
3 伸縮部材
4 架橋部材
5 間隙
6 衝撃緩衝治具
7 補助輪
82 カップ
9 ウインチ
10 浮体
50 バラストタンク
51 注入口
100 管体
P 既設管
R 更生管
L 管体の全長
N 基台の長さ
M 伸縮部材同士の間隔
V 水準器
C 制御部
S 伸縮スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体内に浮体を固定することによって、管体に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与する浮体固定工程と、
浮体が固定された管体複数個を、既設管内に存する流水に浮かべながら順次運搬する運搬工程と、
運搬された一の管体の軸心を、先に運搬された別の管体の軸心に合わせる高さ調整工程と、
軸心が合わされた一の管体と先に運搬された別の管体とを連結することによって、既設管の管路に沿って、複数の管体が連結された更生管を敷設する連結工程と、
を実行する既設管の更生方法であって、
前記浮体固定工程では、
二本の伸縮部材を、浮体の上面から屹立させた状態、且つ、管体の全長に対して50%以上の間隔を開けた状態で、浮体の長さ方向に沿う中心線上に固定し、
二本の伸縮部材が固定された浮体の長さ方向を管体の軸心方向に沿わせた状態で、浮体を管体内に配置し、更に、二本の伸縮部材を各々伸ばすことによって浮体を管体内壁に向かって押圧固定し、
前記高さ調整工程では、
二本の伸縮部材にて浮体を支えつつ、二本の伸縮部材を各々縮めながら浮体を浮揚させて管体の喫水を深くし、もって管体の軸心を、先に運搬された別の管体の軸心に合わせることを特徴とする既設管の更生方法。
【請求項2】
管体内に浮体を固定することによって、管体に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与する浮体固定工程と、
浮体が固定された管体複数個を、既設管内に存する流水に浮かべながら順次運搬する運搬工程と、
運搬された一の管体の軸心を、先に運搬された別の管体の軸心に合わせる高さ調整工程と、
軸心が合わされた一の管体と先に運搬された別の管体とを連結することによって、既設管の管路に沿って、複数の管体が連結された更生管を敷設する連結工程と、
を実行する既設管の更生方法であって、
前記浮体固定工程では、
管体の全長に対して50%以上の長さを有する基台に対し、二本の伸縮部材を、基台上面から屹立させた状態、且つ、管体の全長に対して50%以上の間隔を開けた状態で、基台の長さ方向に沿って固定し、
基台に固定された二本の伸縮部材の並びを管体の軸心線上に沿わせた状態で、基台が積載された浮体を管体内に配置し、更に、二本の伸縮部材を各々伸ばすことによって浮体を管体内壁に向かって押圧固定し、
前記高さ調整工程では、
二本の伸縮部材にて浮体を支えつつ、二本の伸縮部材を各々縮めながら浮体を浮揚させて管体の喫水を深くし、もって管体の軸心を、先に運搬された別の管体の軸心に合わせることを特徴とする既設管の更生方法。
【請求項3】
請求項2に記載の既設管の更生方法において、
浮体固定工程では、
基台が浮体に固定された状態で、基台が積載された浮体を管体内に配置する既設管の更生方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の既設管の更生方法において、
前記浮体として、バラストタンクを備えてなるものを用いる既設管の更生方法。
【請求項5】
管体内に浮体を固定し、管体に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与するために用いられる浮体固定治具であって、
管体の全長に対して50%以上の長さを有する基台と、
基台上面から屹立した状態、且つ、管体の全長に対して50%以上の間隔を開けた状態で、基台の長さ方向に沿って固定される二本の伸縮部材と、
を具備することを特徴とする浮体固定治具。
【請求項6】
請求項5に記載の浮体固定治具において、
伸縮部材が、油圧によって伸縮可能となされたものである浮体固定治具。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の浮体固定治具において、
二本の伸縮部材同士を架橋する架橋部材を更に具備する浮体固定治具。
【請求項8】
請求項7に記載の浮体固定治具において、
架橋部材が、二本の伸縮部材の各上端に固定される浮体固定治具。
【請求項9】
請求項5ないし8のいずれか1項に記載の浮体固定治具において、
二本の伸縮部材における伸縮の程度を制御する制御部を更に具備する浮体固定治具。
【請求項10】
管体に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与するための管体運搬用キットであって、
浮体と、
請求項5ないし9のいずれか1項に記載の浮体固定治具と、
を具備することを特徴とする管体運搬用キット。
【請求項11】
請求項10に記載の管体運搬用キットにおいて、
前記浮体には、バラストタンクが備えられてなる管体運搬用キット。
【請求項12】
請求項11に記載の管体運搬用キットにおいて、
前記バラストタンクが、中空の柱体であり、
前記浮体の長さ方向に沿って前記浮体に貫通された状態、且つ、少なくとも一端部が前記浮体から突出された状態にて、前記浮体に備えられてなり、
前記浮体から突出された一端部には、前記バラストタンク内に連通する注入口が設けられてなる管体運搬用キット。
【請求項13】
請求項12に記載の管体運搬用キットにおいて、
複数の前記バラストタンクが、それぞれ前記浮体の長さ方向に沿う中心線を挟んで対象となる位置に備えられてなる管体運搬用キット。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の管体運搬用キットにおいて、
前記バラストタンクに設けられた注入口が、前記浮体の下面側に向かって開口されてなる管体運搬用キット。
【請求項15】
管体に、浮体が固定されてなる管体構造であって、
管体と、
浮体と、
請求項4ないし8のいずれか1項に記載の浮体固定治具と、
を具備し、
基台に固定された二本の伸縮部材の並びを管体の軸心上に沿わせた状態で、基台が積載された浮体が管体内に配置されてなり、更に、二本の伸縮部材が各々伸ばされることによって浮体が管体内壁に向かって押圧固定されてなることを特徴とする管体構造。
【請求項1】
管体内に浮体を固定することによって、管体に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与する浮体固定工程と、
浮体が固定された管体複数個を、既設管内に存する流水に浮かべながら順次運搬する運搬工程と、
運搬された一の管体の軸心を、先に運搬された別の管体の軸心に合わせる高さ調整工程と、
軸心が合わされた一の管体と先に運搬された別の管体とを連結することによって、既設管の管路に沿って、複数の管体が連結された更生管を敷設する連結工程と、
を実行する既設管の更生方法であって、
前記浮体固定工程では、
二本の伸縮部材を、浮体の上面から屹立させた状態、且つ、管体の全長に対して50%以上の間隔を開けた状態で、浮体の長さ方向に沿う中心線上に固定し、
二本の伸縮部材が固定された浮体の長さ方向を管体の軸心方向に沿わせた状態で、浮体を管体内に配置し、更に、二本の伸縮部材を各々伸ばすことによって浮体を管体内壁に向かって押圧固定し、
前記高さ調整工程では、
二本の伸縮部材にて浮体を支えつつ、二本の伸縮部材を各々縮めながら浮体を浮揚させて管体の喫水を深くし、もって管体の軸心を、先に運搬された別の管体の軸心に合わせることを特徴とする既設管の更生方法。
【請求項2】
管体内に浮体を固定することによって、管体に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与する浮体固定工程と、
浮体が固定された管体複数個を、既設管内に存する流水に浮かべながら順次運搬する運搬工程と、
運搬された一の管体の軸心を、先に運搬された別の管体の軸心に合わせる高さ調整工程と、
軸心が合わされた一の管体と先に運搬された別の管体とを連結することによって、既設管の管路に沿って、複数の管体が連結された更生管を敷設する連結工程と、
を実行する既設管の更生方法であって、
前記浮体固定工程では、
管体の全長に対して50%以上の長さを有する基台に対し、二本の伸縮部材を、基台上面から屹立させた状態、且つ、管体の全長に対して50%以上の間隔を開けた状態で、基台の長さ方向に沿って固定し、
基台に固定された二本の伸縮部材の並びを管体の軸心線上に沿わせた状態で、基台が積載された浮体を管体内に配置し、更に、二本の伸縮部材を各々伸ばすことによって浮体を管体内壁に向かって押圧固定し、
前記高さ調整工程では、
二本の伸縮部材にて浮体を支えつつ、二本の伸縮部材を各々縮めながら浮体を浮揚させて管体の喫水を深くし、もって管体の軸心を、先に運搬された別の管体の軸心に合わせることを特徴とする既設管の更生方法。
【請求項3】
請求項2に記載の既設管の更生方法において、
浮体固定工程では、
基台が浮体に固定された状態で、基台が積載された浮体を管体内に配置する既設管の更生方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の既設管の更生方法において、
前記浮体として、バラストタンクを備えてなるものを用いる既設管の更生方法。
【請求項5】
管体内に浮体を固定し、管体に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与するために用いられる浮体固定治具であって、
管体の全長に対して50%以上の長さを有する基台と、
基台上面から屹立した状態、且つ、管体の全長に対して50%以上の間隔を開けた状態で、基台の長さ方向に沿って固定される二本の伸縮部材と、
を具備することを特徴とする浮体固定治具。
【請求項6】
請求項5に記載の浮体固定治具において、
伸縮部材が、油圧によって伸縮可能となされたものである浮体固定治具。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の浮体固定治具において、
二本の伸縮部材同士を架橋する架橋部材を更に具備する浮体固定治具。
【請求項8】
請求項7に記載の浮体固定治具において、
架橋部材が、二本の伸縮部材の各上端に固定される浮体固定治具。
【請求項9】
請求項5ないし8のいずれか1項に記載の浮体固定治具において、
二本の伸縮部材における伸縮の程度を制御する制御部を更に具備する浮体固定治具。
【請求項10】
管体に対し、軸心方向を水平方向に向けた状態で水に浮かび得る浮力を付与するための管体運搬用キットであって、
浮体と、
請求項5ないし9のいずれか1項に記載の浮体固定治具と、
を具備することを特徴とする管体運搬用キット。
【請求項11】
請求項10に記載の管体運搬用キットにおいて、
前記浮体には、バラストタンクが備えられてなる管体運搬用キット。
【請求項12】
請求項11に記載の管体運搬用キットにおいて、
前記バラストタンクが、中空の柱体であり、
前記浮体の長さ方向に沿って前記浮体に貫通された状態、且つ、少なくとも一端部が前記浮体から突出された状態にて、前記浮体に備えられてなり、
前記浮体から突出された一端部には、前記バラストタンク内に連通する注入口が設けられてなる管体運搬用キット。
【請求項13】
請求項12に記載の管体運搬用キットにおいて、
複数の前記バラストタンクが、それぞれ前記浮体の長さ方向に沿う中心線を挟んで対象となる位置に備えられてなる管体運搬用キット。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の管体運搬用キットにおいて、
前記バラストタンクに設けられた注入口が、前記浮体の下面側に向かって開口されてなる管体運搬用キット。
【請求項15】
管体に、浮体が固定されてなる管体構造であって、
管体と、
浮体と、
請求項4ないし8のいずれか1項に記載の浮体固定治具と、
を具備し、
基台に固定された二本の伸縮部材の並びを管体の軸心上に沿わせた状態で、基台が積載された浮体が管体内に配置されてなり、更に、二本の伸縮部材が各々伸ばされることによって浮体が管体内壁に向かって押圧固定されてなることを特徴とする管体構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−215281(P2012−215281A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180729(P2011−180729)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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