説明

曲線自在型枠、曲線自在型枠用定規部材及び曲線自在型枠装置

【課題】任意の曲率に合わせて型枠を組むことができ、しかも必要強度を確保した上で製品の曲面精度を向上させることができ、更には施工性の向上を図ることができる曲線自在型枠、曲線自在型枠用定規部材、及び曲線自在型枠装置を得る。
【解決手段】曲線自在型枠10は金属製で可撓性を有する矩形平板状の堰板部12と、その上縁部、下縁部に形成された上フランジ部14、下フランジ部16を備えている。上フランジ部14、下フランジ部16には、所定の間隔で切欠部18が形成されている。なお、上下のフランジ部14、16間にはバー状のリブ20が取り付けられて補強されている。上記構成により、任意の曲線に沿って曲線自在型枠10を曲げていくことが可能となる。その際、所定の曲線を規定する曲線自在型枠用定規部材が使用され、かかる曲線自在型枠用定規部材を相対する上フランジ部14間に掛け渡してピンで固定することにより曲面が修正されていく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の曲線に合わせて型枠を設置することを可能とする曲線自在型枠、曲線自在型枠用定規部材及び曲線自在型枠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、曲線自在型枠の先行技術が開示されている。簡単に説明すると、この曲線自在型枠では、熱可塑性樹脂シート又は熱硬化性樹脂シートから成る矩形平板状の堰板を備えている。堰板の裏面側には、複数本の枠材及び桟木が所定の間隔で固定されている。これらの堰板を横方向に繋いでいくことにより、連続した堰板が形成される。
【0003】
一方、目的の曲線の曲率に合うように曲げ加工した支保工パイプを予め用意しておく。そして、支保工パイプに沿って堰板を曲げていき、型枠緊結金具等を使って支保工パイプに堰板を固定していく。このようにすれば、一種類の堰板で曲線の曲率に応じた型枠を組むことができ、転用性に優れている。
【特許文献1】特開平9−310488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記先行技術による場合、曲線の曲率に合うように曲げ加工した支保工パイプを予め用意しておく必要があるが、一般にパイプ材を任意の曲率に合わせて曲げていくことは難しく、支保工の曲線精度が低下する。支保工の曲線精度が低下すれば、得られたコンクリート基礎等の製品の曲面精度も低くなり、商品価値が下がるという問題がある。
【0005】
また、施工現場で、堰板を曲げながら支保工へ保持させるためには多数の型枠緊結金具等による締結作業が必要となるため、施工作業が非常に煩雑になるという問題もある。
【0006】
なお、曲線自在型枠には、本来的に打設されたコンクリートから受ける荷重に耐えるだけの強度を有することが要求される点にも配慮する必要がある。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、任意の曲率に合わせて型枠を組むことができ、しかも必要強度を確保した上で製品の曲面精度を向上させることができ、更には施工性の向上を図ることができる曲線自在型枠、曲線自在型枠用定規部材、及び曲線自在型枠装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明に係る曲線自在型枠は、可撓性を有しておりかつ打設されたコンクリートを堰き止める堰板部と、この堰板部の上縁側から当該堰板部と交差する方向へ延出されたフランジ部と、を含んで構成された曲線自在型枠であって、前記フランジ部には複数の切欠部が形成されており、当該切欠部が形成されたことにより前記堰板部が平面視で曲線状に変形可能とされている、ことを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項1記載の発明において、前記曲線自在型枠は、基礎の両面が曲面で構成されるように基礎幅に合わせて平行に一対設置される、ことを特徴としている。
【0010】
請求項3記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項1記載の発明において、前記曲線自在型枠は、基礎の片面のみが曲面で構成されるように基礎の片側にのみ設置される、ことを特徴としている。
【0011】
請求項4記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項1記載の発明において、前記曲線自在型枠は、断面形状が逆T字形状とされた布基礎のベース部を形成する際に使用される、ことを特徴としている。
【0012】
請求項5記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記切欠部が形成されたことによるフランジ部の最弱部は、堰板部の表面上に位置されている、ことを特徴としている。
【0013】
請求項6記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記切欠部は、平面視で略三角形状又は略半楕円形状或いはこれに準ずる形状に形成されている、ことを特徴としている。
【0014】
請求項7記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の発明において、前記フランジ部と前記堰板部とが交差する部位には、補強用のリブが配置されている、ことを特徴としている。
【0015】
請求項8記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項7記載の発明において、前記補強用のリブは、堰板部の上縁から下縁に亘って直線状に配置される縦補強部材である、ことを特徴としている。
【0016】
請求項9記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の発明において、前記フランジ部は堰板部の上縁及び下縁の双方に設けられており、当該下縁側のフランジ部の切欠部形成部位には、前記切欠部を補強する第1切欠部補強部材が設けられている、ことを特徴としている。
【0017】
請求項10記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項9記載の発明において、前記切欠部が形成された前記フランジ部の先端部は、前記第1切欠部補強部材の当該フランジ部側への落とし込みによる装着を可能とする係合部が設けられている、ことを特徴としている。
【0018】
請求項11記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項9又は請求項10記載の発明において、前記下縁側のフランジ部の下面には、当該下縁側のフランジ部に沿って長尺薄板状に形成されると共に当該下縁側のフランジ部の下面に敷かれて使用されかつ当該下縁側のフランジ部と係合可能に構成された第2切欠部補強部材が設けられている、ことを特徴としている。
【0019】
請求項12記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項8乃至請求項11のいずれか一項に記載の発明において、前記堰板部の外周面には、前記縦補強部材と交差するように配置されると共に縦補強部材と一体となって前記切欠部を補強する第3切欠部補強部材が装着されている、ことを特徴としている。
【0020】
請求項13記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の発明において、前記曲線自在型枠は、高さ方向に段積み可能とされている、ことを特徴としている。
【0021】
請求項14記載の本発明に係る曲線自在型枠用定規部材は、平板から構成されると共に所定の曲線形状を再現可能に構成され、所定の間隔をあけて対向配置された一対の請求項1又は請求項2、請求項4乃至請求項13のいずれか一項に記載の曲線自在型枠の双方のフランジ部間、或いは請求項3に記載の曲線自在型枠と当該曲線自在型枠と対になって使用される平面視で直線状の一般型枠とのフランジ部間に掛け渡されて使用される、ことを特徴としている。
【0022】
請求項15記載の本発明に係る曲線自在型枠用定規部材は、平板から構成されると共に所定の曲線形状を再現可能に構成され、所定の間隔をあけて対向配置された一対の請求項1又は請求項2、請求項4乃至請求項13のいずれか一項に記載の曲線自在型枠の各フランジ部、或いは請求項3に記載の曲線自在型枠と当該曲線自在型枠と対になって使用される平面視で直線状の一般型枠とのフランジ部に対応して別個独立に設けられて載置されると共に前記所定の間隔を規定する連結部材によって相互に連結されて使用される、ことを特徴としている。
【0023】
請求項16記載の本発明に係る曲線自在型枠用定規部材は、請求項11に記載された曲線自在型枠で使用される第2切欠部補強部材は、所定の曲線形状を再現可能に構成されて定規としての機能を兼ね備えている、ことを特徴としている。
【0024】
請求項17記載の本発明に係る曲線自在型枠用定規部材は、請求項14乃至請求項16のいずれか一項に記載の発明において、前記一対の曲線自在型枠又は前記一対の曲線自在型枠と一般型枠とが前記所定の間隔をあけて対向配置されるように保持する保持部を備えている、ことを特徴としている。
【0025】
請求項18記載の本発明に係る曲線自在型枠用定規部材は、請求項17記載の発明において、前記保持部は、前記一対の曲線自在型枠の各フランジ部又は前記一対の曲線自在型枠と一般型枠との各フランジ部にそれぞれ係合されることで、前記所定の間隔を規定する、ことを特徴としている。
【0026】
請求項19記載の本発明に係る曲線自在型枠及び曲線自在型枠用定規部材を用いた曲線自在型枠装置は、請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の曲線自在型枠及び請求項14乃至請求項16のいずれか一項に記載の曲線自在型枠用定規部材には、曲線自在型枠用定規部材が規定する曲線に沿って曲線自在型枠が曲げられるように曲線自在型枠用定規部材に対する曲線自在型枠の位置決めをしかつ曲線自在型枠をその状態に保持する位置決め保持手段が設けられている、ことを特徴とする。
【0027】
請求項20記載の本発明に係る曲線自在型枠及び曲線自在型枠用定規部材を用いた曲線自在型枠装置は、請求項19記載の発明において、前記位置決め保持手段は、曲線自在型枠用定規部材に設けられた第1の位置決め孔と、この第1の位置決め孔と同軸上に曲線自在型枠のフランジ部に設けられた第2の位置決め孔と、第1の位置決め孔及び第2の位置決め孔内へ挿入されるピン状の係合部材と、を含んで構成されている、ことを特徴としている。
【0028】
請求項1記載の本発明によれば、曲線自在型枠は堰板部とその上縁側から堰板部と交差する方向へ延出されたフランジ部とを含んで構成されているが、本発明では、フランジ部に複数の切欠部を形成し、この切欠部が形成されたことにより堰板部を平面視で曲線状に変形させることができる。更に言及すると、切欠部の形成ピッチを細かく設定すれば、それだけ緻密な曲面を再現することができる。つまり、任意の曲率に合わせて型枠を組むことができるだけでなく、製品の曲面精度を高めることができる。
【0029】
しかも、本発明では、堰板部の上縁側にフランジ部が存在することにより、型枠に要求される強度を確保することができる。
【0030】
請求項2記載の本発明によれば、曲線自在型枠は基礎の両面が曲面で構成されるように基礎幅に合わせて平行に一対設置されるので、全体形状が曲面形状を成す基礎が精度良く形成される。
【0031】
請求項3記載の本発明によれば、曲線自在型枠は基礎の片面のみが曲面で構成されるように基礎の片側にのみ設置されるので、全体形状が曲面と平面で囲まれた形状を成す基礎が精度良く形成される。
【0032】
請求項4記載の本発明によれば、曲線自在型枠は、断面形状が逆T字形状とされた布基礎のベース部を形成する際に使用されるので、布基礎の連結ばりの部分だけでなくベース部への活用も可能である。
【0033】
請求項5記載の本発明によれば、切欠部が形成されたことによるフランジ部の最弱部が、堰板部の表面上に位置されているので、堰板部はフランジ部の最弱部が設定された位置を起点として自在に曲げ変形することができる。従って、目標の曲線に対する追従性を向上させることができる。
【0034】
請求項6記載の本発明によれば、切欠部は平面視で略三角形状又は略半楕円形状或いはこれに準ずる形状に形成されているので、堰板部を曲げていく際に歪みを最小限に抑えて円滑に曲げていくことができる。
【0035】
請求項7記載の本発明によれば、フランジ部と堰板部とが交差する部位に補強用のリブが配置されているので、当該部位を効果的に補強することができる。従って、コンクリート打設時の流動圧等によって、堰板部やフランジ部が変形する等して堰板部の曲面精度が損なわれるのを防止することができる。
【0036】
請求項8記載の本発明によれば、堰板部の上縁から下縁に亘って直線状に補強用のリブが配置されているので、堰板部を充分に補強することができる。
【0037】
請求項9記載の本発明によれば、フランジ部は堰板部の上縁及び下縁の双方に設けられており、当該下縁側のフランジ部の切欠部形成部位には切欠部を補強する第1切欠部補強部材が設けられているので、切欠部をピンポイント的に補強することができる。このため、切欠部を起点とした変形等が生じ、堰板部を曲げた際の曲面精度が低下するのを抑制することができる。
【0038】
請求項10記載の本発明によれば、フランジ部の先端部には第1切欠部補強部材のフランジ部側への落とし込みによる装着を可能とする係合部が設けられているので、コンクリートの打設後に堰板部に作用する圧力によって第1切欠部補強部材が半径方向外側へ外れるのを防止することができる。また、第1切欠部補強部材は落とし込みにより装着することができるので、第1切欠部補強部材の組付作業が容易になる。
【0039】
請求項11記載の本発明によれば、下縁側のフランジ部の下面には、当該下縁側のフランジ部に沿って長尺薄板状に形成されると共に当該下縁側のフランジ部の下面に敷かれて使用され、かつ当該下縁側のフランジ部と係合可能な係合部を備えた第2切欠部補強部材が設けられているので、切欠部が第1切欠部補強部材と第2切欠部補強部材の双方によって補強される。特に、落とし込みによって装着される第1切欠部補強部材が使用される場合には、第1切欠部補強部材と第2切欠部補強部材とで切欠部を上下から挟み込むようにして補強するため、効果的に補強される利点がある。
【0040】
請求項12記載の本発明によれば、堰板部の外周面には、縦補強部材と交差するように配置されると共に縦補強部材と一体となって切欠部を補強する第3切欠部補強部材が装着されているので、切欠部に対する補強がより一層強化される。つまり、堰板部がコンクリートから受ける圧力で膨らむのを第3切欠部補強部材が縦補強部材と一体となって抑制することにより、切欠部に作用する応力集中を低減し、その結果として切欠部を補強するのと同等の効果が得られる。
【0041】
請求項13記載の本発明によれば、曲線自在型枠は高さ方向に段積み可能とされているため、低い基礎のみならず高い基礎も容易に作ることができる。
【0042】
請求項14記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2、請求項4乃至請求項13のいずれか一項に記載の曲線自在型枠を所定の間隔をあけて対向配置させた後、曲線自在型枠用定規部材が双方のフランジ部間に掛け渡されて使用される。或いは、請求項3に記載の曲線自在型枠とこれと対になって使用される平面視で直線状の一般型枠とを対向して配置させた後、曲線自在型枠用定規部材が双方のフランジ部間に掛け渡されて使用される。この曲線自在型枠用定規部材を曲線自在型枠に対して使用することにより(即ち、曲線自在型枠用定規部材を基準として曲線自在型枠を曲面化していくことにより)、所定の曲線形状を再現することができる。
【0043】
しかも、本発明の曲線自在型枠用定規部材は平板から構成されているため、例えば、原板をプレス成形することにより製作することができる。従って、支保工に曲げ加工によるパイプを使った従来技術に比し、寸法精度を出し易くかつ製作も容易である。
【0044】
請求項15記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2、請求項4乃至請求項13のいずれか一項に記載の曲線自在型枠を所定の間隔をあけて対向配置させた後、各フランジ部に対応して別個独立に設けられた曲線自在型枠用定規部材をそれぞれ載置させ、更に前記所定の間隔を規定する連結部材によって双方の曲線自在型枠用定規部材を相互に連結されて使用される。或いは、請求項3に記載の曲線自在型枠とこれと対になって使用される平面視で直線状の一般型枠とを対向して配置させた後、各フランジ部に対応して別個独立に設けられた曲線自在型枠用定規部材をそれぞれ載置させ、更に前記所定の間隔を規定する連結部材によって双方の曲線自在型枠用定規部材を相互に連結されて使用される。この独立タイプの曲線自在型枠用定規部材を曲線自在型枠に対して使用することにより(即ち、曲線自在型枠用定規部材を基準として曲線自在型枠を曲面化していくことにより)、所定の曲線形状を再現することができる。
【0045】
しかも、本発明の曲線自在型枠用定規部材は平板から構成されているため、例えば、原板をプレス成形することにより製作することができる。従って、支保工に曲げ加工によるパイプを使った従来技術に比し、寸法精度を出し易くかつ製作も容易である。
【0046】
さらに、本発明の曲線自在型枠用定規部材を用いた場合、曲線自在型枠の間隔を変える場合(即ち、コンクリートの厚さを変える場合)には、一方の曲線自在型枠用定規部材についてはそのままにしておき、他方の曲線自在型枠用定規部材或いは一般型枠と連結部材のみを変更後の間隔に合うものにすればよい。
【0047】
請求項16記載の本発明によれば、請求項11に記載された曲線自在型枠で使用される第2切欠部補強部材は、所定の曲線形状を再現可能に構成されて定規としての機能を兼ね備えているので、曲線自在型枠を上下から曲線自在型枠用定規部材に沿って曲げていくことができる。
【0048】
請求項17記載の本発明によれば、曲線自在型枠用定規部材が一対の曲線自在型枠又は一対の曲線自在型枠と一般型枠とを所定の間隔をあけて対向配置する保持部を備えているので、曲線自在型枠用定規部材の装着と同時に保持部による保持作用が得られる。つまり、曲線自在型枠用定規部材をワンタッチで一対の曲線自在型枠又は一対の曲線自在型枠と一般型枠とに装着することができ、装着と同時に曲線自在型枠同士又は曲線自在型枠と一般型枠との間隔を設定通りに矯正してその状態を保持することができる。
【0049】
請求項18記載の本発明によれば、保持部は、一対の曲線自在型枠の各フランジ部又は一対の曲線自在型枠と一般型枠との各フランジ部にそれぞれ係合されることで所定の間隔を規定するため、フランジ部ごとに係合力が作用する分、保持部による保持力が高くなる。
【0050】
請求項19記載の本発明によれば、請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の曲線自在型枠及び請求項14乃至請求項16のいずれか一項に記載の曲線自在型枠用定規部材には位置決め保持手段が設けられており、この位置決め保持手段を使って曲線自在型枠用定規部材に対する曲線自在型枠の位置決めをすることにより、曲線自在型枠用定規部材が規定する曲線に沿って曲線自在型枠が曲げられてその状態に保持される。従って、両者の相対的な位置関係がより一層正確になる。
【0051】
請求項20記載の本発明によれば、互いに対向して配置された曲線自在型枠のフランジ部間に曲線自在型枠用定規部材が掛け渡されるように配置した後、第1の位置決め孔と第2の位置決め孔とが同軸上に位置するように微調整し、その後ピン状の係合部材を第1の位置決め孔及び第2の位置決め孔内へ挿入させる。これにより、曲線自在型枠の曲面形状が、曲線自在型枠用定規部材が規定する曲線形状に合致する。
【0052】
このように本発明によれば、曲線自在型枠のフランジ部間に曲線自在型枠用定規部材を配置した後、相互の位置決め孔を一致させる微調整をし、係合部材を第1の位置決め孔及び第2の位置決め孔内へ挿入させるだけで位置決め保持させることができるので、型枠施工が非常に容易になる。
【発明の効果】
【0053】
以上説明したように請求項1記載の本発明に係る曲線自在型枠は、可撓性を有しておりかつ打設されたコンクリートを堰き止める堰板部と、この堰板部の上縁側から当該堰板部と交差する方向へ延出されたフランジ部と、を含んで構成された曲線自在型枠において、フランジ部に複数の切欠部を形成し、当該切欠部を形成したことにより堰板部を平面視で曲線状に変形可能としたので、任意の曲率に合わせて型枠を組むことができ、しかも必要強度を確保した上で製品の曲面精度の向上を図ることができるという優れた効果を有する。
【0054】
請求項2記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項1記載の発明において、曲線自在型枠は基礎の両面が曲面で構成されるように基礎幅に合わせて平行に一対設置されるので、両面が曲面形状の基礎を精度良く容易に形成することができるという優れた効果を有する。
【0055】
請求項3記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項1記載の発明において、曲線自在型枠は基礎の片面のみが曲面で構成されるように基礎の片側にのみ設置されるので、曲面と平面で囲まれた形状の基礎を精度良く容易に形成することができるという優れた効果を有する。
【0056】
請求項4記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項1記載の発明において、曲線自在型枠は、断面形状が逆T字形状とされた布基礎のベース部を形成する際に使用されるので、曲面形状を有する布基礎のベース部を効率良く形成することができるという優れた効果を有する。
【0057】
請求項5記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発明において、切欠部が形成されたことによるフランジ部の最弱部が堰板部の表面上に位置されているので、目標の曲線に対する追従性を向上させることができ、その結果、製品の曲面精度のより一層の向上を図ることができるという優れた効果を有する。
【0058】
請求項6記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発明において、切欠部は平面視で略三角形状又は略半楕円形状或いはこれに準ずる形状に形成されているので、曲面の再現精度を上げることができるという優れた効果を有する。
【0059】
請求項7記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の発明において、フランジ部と堰板部とが交差する部位に補強用のリブを配置したので、フランジ部と堰板部の双方を効果的に補強することができ、その結果、製品の曲面精度のより一層の向上を図ることができるという優れた効果を有する。
【0060】
請求項8記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項7記載の発明において、堰板部の上縁から下縁に亘って直線状に補強用のリブが配置されているので、コンクリート打設時に作用する圧力に対する耐力を高めることができるという優れた効果を有する。
【0061】
請求項9記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の発明において、フランジ部は堰板部の上縁及び下縁の双方に設けられており、当該下縁側のフランジ部の切欠部形成部位には切欠部を補強する第1切欠部補強部材が設けられているので、堰板部の曲面精度を高く維持しつつ、切欠部の強度低下を補うことができるという優れた効果を有する。
【0062】
請求項10記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項9記載の発明において、フランジ部の先端部には第1切欠部補強部材のフランジ部側への落とし込みによる装着を可能とする係合部が設けられているので、第1切欠部補強部材の取付状態を安定させることができると共に第1切欠部補強部材の組付作業性を向上させることができるという優れた効果を有する。
【0063】
請求項11記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項9又は請求項10記載の発明において、下縁側のフランジ部の下面には、当該下縁側のフランジ部に沿って長尺薄板状に形成されると共に当該下縁側のフランジ部の下面に敷かれて使用され、かつ当該下縁側のフランジ部と係合可能な係合部を備えた第2切欠部補強部材が設けられているので、切欠部をより効果的に補強することができるという優れた効果を有する。
【0064】
請求項12記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項8乃至請求項11のいずれか一項に記載の発明において、堰板部の外周面には、縦補強部材と交差するように配置されると共に縦補強部材と一体となって切欠部を補強する第3切欠部補強部材が装着されているので、切欠部に対する補強をより一層強化することができるという優れた効果を有する。
【0065】
請求項13記載の本発明に係る曲線自在型枠は、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の発明において、曲線自在型枠は高さ方向に段積み可能とされているため、製作可能な基礎の自由度を高めることができるという優れた効果を有する。
【0066】
請求項14記載の本発明に係る曲線自在型枠用定規部材は、平板から構成されると共に所定の曲線形状を再現可能に構成され、所定の間隔をあけて対向配置された一対の請求項1又は請求項2、請求項4乃至請求項13のいずれか一項に記載の曲線自在型枠の双方のフランジ部間、或いは請求項3に記載の曲線自在型枠と当該曲線自在型枠と対になって使用される平面視で直線状の一般型枠とのフランジ部間に掛け渡されて使用される構成としたので、簡単な構成で製品の曲面精度のより一層の向上を図ることができるという優れた効果を有する。
【0067】
請求項15記載の本発明に係る曲線自在型枠用定規部材は、平板から構成されると共に所定の曲線形状を再現可能に構成され、所定の間隔をあけて対向配置された一対の請求項1又は請求項2、請求項4乃至請求項13のいずれか一項に記載の曲線自在型枠の各フランジ部、或いは請求項3に記載の曲線自在型枠と当該曲線自在型枠と対になって使用される平面視で直線状の一般型枠とのフランジ部に対応して別個独立に設けられて載置されると共に前記所定の間隔を規定する連結部材によって相互に連結されて使用される構成としたので、簡単な構成で製品の曲面精度のより一層の向上を図ることができると共に様々な厚さの製品に容易に対応することができるという優れた効果を有する。
【0068】
請求項16記載の本発明に係る曲線自在型枠用定規部材は、請求項11に記載された曲線自在型枠で使用される第2切欠部補強部材は、所定の曲線形状を再現可能に構成されて定規としての機能を兼ね備えているので、曲線自在型枠を上下から曲線自在型枠用定規部材に沿って曲げていくことができ、曲面精度をより一層向上させることができるという優れた効果を有する。
【0069】
請求項17記載の本発明に係る曲線自在型枠用定規部材は、請求項14乃至請求項16のいずれか一項に記載の発明において、曲線自在型枠用定規部材が一対の曲線自在型枠又は一対の曲線自在型枠と一般型枠とを所定の間隔をあけて対向配置する保持部を備えているので、曲線自在型枠用定規部材をワンタッチで一対の曲線自在型枠又は一対の曲線自在型枠と一般型枠とに装着することができ、作業効率を格段に向上させることができるという優れた効果を有する。
【0070】
請求項18記載の本発明に係る曲線自在型枠用定規部材は、請求項17記載の発明において、保持部は、一対の曲線自在型枠の各フランジ部又は一対の曲線自在型枠と一般型枠との各フランジ部にそれぞれ係合されることで所定の間隔を規定するため、曲面保持性能を向上させることができるという優れた効果を有する。
【0071】
請求項19記載の本発明に係る曲線自在型枠及び曲線自在型枠用定規部材を用いた曲線自在型枠装置は、請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の曲線自在型枠及び請求項14乃至請求項16のいずれか一項に記載の曲線自在型枠用定規部材に、曲線自在型枠用定規部材が規定する曲線に沿って曲線自在型枠が曲げられるように曲線自在型枠用定規部材に対する曲線自在型枠の位置決めをしかつ曲線自在型枠をその状態に保持する位置決め保持手段を設けたので、曲線自在型枠と曲線自在型枠用定規部材との相対的な位置関係がより一層正確になり、製品の曲面精度のより一層の向上を図ることができるという優れた効果を有する。
【0072】
請求項20記載の本発明に係る曲線自在型枠装置は、請求項19記載の発明において、曲線自在型枠用定規部材に設けられた第1の位置決め孔と、この第1の位置決め孔と同軸上に曲線自在型枠のフランジ部に設けられた第2の位置決め孔と、第1の位置決め孔及び第2の位置決め孔内へ挿入されるピン状の係合部材と、を含んで位置決め保持手段を構成したので、型枠施工を非常に容易に行うことが可能となり、その結果、施工性の向上を図ることができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
〔第1実施形態〕
以下、図1〜図6を用いて、本発明に係る曲線自在型枠、曲線自在型枠用定規部材及び曲線自在型枠装置の第1実施形態について説明する。
【0074】
(曲線自在型枠10について)
図1には、本実施形態に係る曲線自在型枠10の三面図が示されている。また、図2には、曲線自在型枠10の斜視図が示されている。
【0075】
これらの図に示されるように、曲線自在型枠10は、矩形平板状に裁断された金属製の堰板部12を備えている。堰板部12は可撓性を有しており、打設されたコンクリートを堰き止める役割を果たしている。堰板部12の上縁部及び下縁部には、所定幅の上フランジ部14及び下フランジ部16が折り曲げにより一体に形成されている。上フランジ部14及び下フランジ部16は同一方向へ折り曲げられており、かつ互いに平行に延出されている。
【0076】
上記上フランジ部14及び下フランジ部16には、平面視で二等辺三角形状の切欠部18が堰板部12の長辺方向に沿って所定の間隔で形成されている。各切欠部18の先端部18A(二等辺三角形の二つの斜辺が交差する頂点)は、堰板部12のフランジ側の板面12Aに略一致するようにカットされている(図1(A)参照)。これらの切欠部18が形成されたことにより、堰板部12は切欠部18の先端部18Aを起点として平面視で曲線状に曲げ変形可能とされている。より正確に説明すると、堰板部12は、上フランジ部14から対応する下フランジ部16までの短冊状の平面領域を一つの単位とする平面要素の連続体(集合体)として曲面を形成していく。従って、上フランジ部14及び下フランジ部16の形成ピッチが細かければ細かい程、曲面精度は高くなる。
【0077】
また、上記上フランジ部14及び下フランジ部16の中央部間には、狭幅の板材として構成された補強用のリブ20がそれぞれ配置されている。各補強用のリブ20は、堰板部12のフランジ側の板面12Aに溶接等の固着手段によって固着されている。これにより、堰板部12は補強用のリブ20が設定された部分で高強度化され、コンクリートから受ける荷重に耐えるようになっている。なお、上フランジ部14及び下フランジ部16の先端部14A、16Aは互いに接近する方向へ屈曲されており、補強用のリブ20の固着面と反対側の面に当接されている。また、補強用のリブ20は堰板部12のフランジ側の板面12Aと接合されていることは必須であるが、上フランジ部14及び下フランジ部16とは接合してもよいし、当接させるだけでもよい。本実施形態では、リブ20の上下の端部は上フランジ部14及び下フランジ部16にそれぞれ溶接により接合されている。
【0078】
さらに、上記上フランジ部14及び下フランジ部16の両側には、一対のピン挿通孔22が形成されている。また、堰板部12の短辺部に位置する左右の補強用のリブ20には、上中下三ケ所に連結孔26が形成されている。ピン挿通孔22は後述する曲線自在型枠用定規部材30との位置決めに利用される孔であり、又曲面形状の保持機能を有している。また、連結孔26は曲線自在型枠10が横方向に連接される場合に隣接する曲線自在型枠10の境界位置にある補強用のリブ20同士を後述するクランプ52で連結するための孔である。
【0079】
(曲線自在型枠用定規部材30について)
図3には、本実施形態に係る曲線自在型枠用定規部材30の斜視図(曲線自在型枠装置40の分解斜視図)が示されている。
【0080】
この図に示されるように、曲線自在型枠用定規部材30は、平板をプレス成形して打ち抜くことにより、所定の曲線形状(R形状)が再現されるように全体として枠状に形成されている。具体的には、曲線自在型枠用定規部材30は、所定の曲率半径で描かれた円弧形状の第1R部30A及び第2R部30Bと、第1R部30A及び第2R部30Bの長手方向の端部同士を繋ぐ基端部30C及び終端部30Dと、第1R部30Aと第2R部30Bとの中間部同士を繋ぐ複数の連結部30Eと、によって構成されている。なお、基端部30Cは第1R部30A及び第2R部30Bから張り出されており、平面視でT字状に形成されている。
【0081】
上記構成の曲線自在型枠用定規部材30は、図3に二点鎖線で示される如く、前述した曲線自在型枠10を互いに対向して配置した状態で上方から載置され、双方の曲線自在型枠10の上フランジ部14間に掛け渡されるようにして使用される。そして、第1R部30A及び第2R部30Bには、曲線自在型枠10の上フランジ部14に形成されたピン挿通孔22に重なるようにピン挿通孔24が所定の間隔で形成されている。なお、図3に示される曲線自在型枠用定規部材30では、基端部30Cが平面視でT字状に形成されているため、基端部30Cの両端部にもピン挿通孔24が形成されている。
【0082】
また、曲線自在型枠用定規部材30の中間部に形成された矩形状の開口部32は、コンクリート打設時の注入口として利用される他、乾燥用にも供される。
【0083】
(曲線自在型枠装置40について)
図3及び図5に示されるように、曲線自在型枠装置40は、前述した曲線自在型枠10及び曲線自在型枠用定規部材30と、略ボルト形状のピン42と、によって構成されている。
【0084】
つまり、既に説明したように曲線自在型枠10の上フランジ部14に形成されたピン挿通孔22及び曲線自在型枠用定規部材30の第1R部30A及び第2R部30Bに形成されたピン挿通孔24と、これらのピン挿通孔22、24内へ上方側から挿入される(落とし込まれる)ピン42と、によって本発明の位置決め保持手段が構成されており、曲線自在型枠装置40は、曲線自在型枠10及び曲線自在型枠用定規部材30の他に、前記位置決め保持手段を含めた状態のものを指している。
【0085】
係合部材としてのピン42の軸径(外径)は、第2の位置決め孔としてのピン挿通孔22及び第1の位置決め孔としてのピン挿通孔24の内径と一致するように形成されている。従って、ピン42をピン挿通孔24、22内へこの順に挿入させていくと、曲線自在型枠用定規部材30の第1R部30Aと第2R部30Bを基準として曲線自在型枠10の曲面形状が修正されて設定通りの曲面(平面視では曲線)が再現される構成である。
【0086】
(本実施形態の作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0087】
図4及び図5には施工例が平面図と斜視図で示されている。これらの図に示されるように、本実施形態に係る曲線自在型枠装置40を用いてコンクリート基礎等を構築する場合、まず最初にコンクリート基礎等の仕上がり曲面に沿って一対の曲線自在型枠10が所定の間隔をあけて設置される。このとき、堰板部12は、上縁部及び下縁部に形成された上フランジ部14及び下フランジ部16の切欠部18の先端部18Aを起点として所定の曲率で曲げられていく。例えば、図4に示されるように、この施工例では、第1壁部44では曲率半径R1が比較的短い2.0mで曲線自在型枠10が曲げられており、第2壁部46では曲率半径R2が比較的長い12.5mで曲線自在型枠10が曲げられている。
【0088】
なお、本実施形態の曲線自在型枠10は切欠部18の侠角が広がる凸曲面に曲げられるだけでなく、切欠部18の侠角が狭められる凹曲面にも曲げられる。また、第3壁部48及び第4壁部50はストレート形状のコンクリート基礎部分であるが、この部分にも本実施形態の曲線自在型枠10が曲げられることなく使用される。但し、ストレート形状の部分には、従来通りの平面的な型枠を使用してもよい。
【0089】
なお、図5に示されるように、曲線自在型枠10が周方向に隣接する部位では、補強用のリブ20が周方向に二枚重ねの状態となる。この部分には、上中下三ケ所に形成された連結孔26の各位置で二枚のリブ20を挟むように平面視で略コ字状とされたクランプ52を挿入し、ボルト54及びナット56で固定する。なお、クランプ52に替えてレバーを用いてもよいし、ボルト・ナットを使用せずにワンタッチで装着することができる連結(金)具を用いてもよい。
【0090】
次に、図3に示されるように、設置された曲線自在型枠10の上フランジ部14間に掛け渡されるように、曲線自在型枠用定規部材30が上方から載置される。このとき、曲線自在型枠用定規部材30のピン挿通孔24と曲線自在型枠10の上フランジ部14のピン挿通孔22とが同軸上に位置するように(即ち、双方のピン挿通孔22、24が重なるように)ある程度微調整しておく。なお、曲線自在型枠用定規部材30は、コンクリート基礎等の製品に応じて、又曲率に応じて、必要な種類及び枚数分、予め製作されている。
【0091】
次に、図3及び図5に示されるように、曲線自在型枠用定規部材30のピン挿通孔24及び曲線自在型枠10の上フランジ部14のピン挿通孔22内へピン42が上方から挿入される。このピン42が順次完全に挿入されることにより(即ち、ピン42の頭部42A(図3参照)が曲線自在型枠用定規部材30の第1R部30A及び第2R部30Bのピン挿通孔24の周囲に当接状態となることにより)、曲線自在型枠10の半径方向のずれが修正されていき、曲線自在型枠用定規部材30によって規定される所定の曲線(所定の曲率の曲面)が正確に再現されると共にその状態で保持される。
【0092】
その後、曲線自在型枠用定規部材30の開口部32からコンクリートが打設されて必要日数養生させることにより製品としてのコンクリート基礎が構築される。
【0093】
このように本実施形態に係る曲線自在型枠10では、鋼板等の金属材料によって構成された矩形平板状の堰板部12の上縁部及び下縁部に上フランジ部14及び下フランジ部16を形成し、これらの上フランジ部14及び下フランジ部16に所定の間隔で切欠部18を形成したので、堰板部12を任意の曲率に合わせて曲げていくことができる。更に言及すると、切欠部18の形成ピッチを細かく設定すれば、それだけ緻密な曲面を再現することができる。つまり、任意の曲率に合わせて型枠を組むことができるだけでなく、製品の曲面精度を高めることができる。しかも、堰板部12は可撓性を有するが、上縁部及び下縁部に上フランジ部14及び下フランジ部16を設けることで、コンクリートから受ける圧力に耐えるだけの強度(曲線自在型枠10に要求される強度)を確保することができる。以上を総括すると、本実施形態に係る曲線自在型枠10によれば、任意の曲率に合わせて型枠を組むことができ、しかも必要強度を確保した上で製品の曲面精度の向上を図ることができる。
【0094】
また、本実施形態に係る曲線自在型枠10では、切欠部18が形成されたことによる上フランジ部14及び下フランジ部16の最弱部(即ち、切欠部18の先端部18A)を堰板部12のフランジ側の板面12A上に位置させたので、堰板部12は切欠部18の先端部18Aを起点として自在に曲げ変形することができる。従って、目標の曲線に対する追従性を向上させることができる。その結果、本実施形態によれば、製品の曲面精度のより一層の向上を図ることができる。更に言及すると、前記の如く本実施形態の曲線自在型枠10は曲げ変形が自在であるため、一つの曲線自在型枠10の中で凸曲面部と凹曲面部の双方を形成する(平面視でS字状に形成する)ことも可能である。
【0095】
さらに、本実施形態に係る曲線自在型枠10では、堰板部12のフランジ側の板面12Aに上フランジ部14から下フランジ部16までの長さを有する補強用のリブ20を設けて両者に接合したので、上フランジ部14及び下フランジ部16と堰板部12との双方を効果的に補強することができる。従って、コンクリート打設時の流動圧等によって堰板部12の曲面精度が損なわれるのを防止することができる。その結果、本実施形態によれば、製品の曲面精度のより一層の向上を図ることができる。
【0096】
加えて、本実施形態に係る曲線自在型枠10では、上フランジ部14、下フランジ部16及び補強用のリブ20によって型枠パネルの剛性をある程度高く保つことができるので、型枠パネルの横方向寸法を大きくすることができる(型枠パネルを大型化することができる)。従って、曲線自在型枠10を横方向に連結する場合にジョイント固定箇所を減らすことができるというメリットもある。
【0097】
また、本実施形態に係る曲線自在型枠用定規部材30では、平板をプレス成形することにより構成されると共に、所定曲率半径の曲線を描くように裁断された第1R部30A及び第2R部30Bを有するので、かかる第1R部30A及び第2R部30Bに沿って曲線自在型枠10を曲げていくことにより、予め規定された通りの曲面形状が再現される。しかも、この曲線自在型枠用定規部材30は前記の如く平板をプレス成形することにより形成されているため、支保工に曲げ加工によるパイプを使った従来技術に比し、寸法精度を出し易くかつ製作も容易である。その結果、本実施形態によれば、簡単な構成で製品の曲面精度のより一層の向上を図ることができる。
【0098】
さらに、本実施形態に係る曲線自在型枠装置40では、上記の曲線自在型枠10と曲線自在型枠用定規部材30との組み合わせに位置決め保持手段(ピン挿通孔22、24及びピン42)を付加したので、曲線自在型枠用定規部材30が規定する曲線に沿って曲線自在型枠10が曲げられてその状態に保持される。従って、両者の相対的な位置関係がより一層正確になる。その結果、本実施形態によれば、製品の曲面精度のより一層の向上を図ることができる。
【0099】
特に、本実施形態に係る曲線自在型枠装置40では、位置決め保持手段をピン挿通孔22、24とピン42とによって構成し、ピン42をピン挿通孔22、24内へ挿入させることにより、位置決めが完了するので、型枠施工が非常に容易になる。その結果、本実施形態によれば、施工性の向上を図ることができる。更に、施工性の向上により、施工時間を大幅に短縮でき、工期の短縮化を図ることができる。
【0100】
〔本実施形態の補足説明(その1)〕
なお、上述した本実施形態では、曲線自在型枠10の上フランジ部14及び下フランジ部16に平面視で二等辺三角形状の切欠部18を形成したが、これに限らず、種々の形状の切欠部を採用可能である。例えば、平面視で波形形状やパルス波形状にフランジ部を形成し、谷部が堰板部12のフランジ側の板面12A上に位置される構成を採ってもよい。ただ、平面視で略三角形状、略半楕円形状或いはこれに準ずる形状で切欠部を形成すると、切欠部形成部位の断面積が徐々に減少していくので、曲線自在型枠10を曲げたときに歪みが出難くなるという利点がある。
【0101】
また、上述した本実施形態では、曲線自在型枠用定規部材30を金属製としたが、これに限らず、木製や樹脂製等でもよい。例えば、樹脂製等にした場合、レーザー加工によって精度良く任意の曲率のR部を再現することができる。
【0102】
さらに、上述した本実施形態では、位置決め保持手段としてピン挿通孔22及びピン42を用いたが、ピン42に替えてボルト及びナットを用いてもよい。
【0103】
また、上述した本実施形態では、曲線自在型枠10を横方向に並べていったが、曲線自在型枠10を積み重ねて使用すれば任意の高さの曲面を得ることができる。従って、特殊サイズの型枠を作る必要がなくなる。この点については、後述する第2実施形態で図面を用いて説明することにする。
【0104】
さらに、上述した本実施形態では、補強用のリブ20を上フランジ部14から下フランジ部16まで同一幅で設定したが、これに限らず、少なくとも上フランジ部14と堰板部12とが交差する部分に補強用のリブが設定されていればよい。この場合においても、ある程度の補強効果は期待できる。また、同一幅のリブ20以外にも上フランジ部14側及び下フランジ部16側で幅広となり、それ以外の中間部では狭幅となる異形のリブを採用してもよい。さらに、断面形状がハット形状とされたリブを用いてもよい。
【0105】
また、上述した本実施形態では、曲線自在型枠用定規部材30は一対の曲線自在型枠10の上フランジ部14間に掛け渡されるように載置される構成としたが、これに限らず、一対の曲線自在型枠10の上フランジ部14間に曲線自在型枠用定規部材を装着させる構成にしてもよい。すなわち、例えば、曲線自在型枠用定規部材30の第1R部30A及び第2R部30Bの周縁部に折り曲げや溶接等による鉤状のフランジ部を適宜間隔で設けておき、単に曲線自在型枠用定規部材30を載置させるのではなく、上方側から一対の上フランジ部14に嵌合させるようにしてもよい。この構成を具体化したものが後述する第2実施形態に含まれているので、その説明のときに詳細に説明することにする。
【0106】
さらには、図6に示されるように、互いに対向して配置された曲線自在型枠10の各上フランジ部14に対応して別個独立に曲線自在型枠用定規部材を設けてもよい。簡単に説明すると、この曲線自在型枠用定規部材60では、図3に示される曲線自在型枠用定規部材30の第1R部30Aに相当する第1定規部材62と、第2R部30Bに相当する第2定規部材64とを備えている。換言すれば、第1定規部材62及び第2定規部材64は、前述した図3の曲線自在型枠用定規部材30を第1R部30Aと第2R部30Bとに二分割したものと観ることができる。
【0107】
第1定規部材62は一方の曲線自在型枠10の上フランジ部14上に載置され、この状態でピン42がピン挿通孔24、22内へこの順に挿入されることにより、一方の曲線自在型枠10が第1定規部材62の曲線形状に沿って位置決め及び保持される構成である。
【0108】
第2定規部材64も第1定規部材62と同様に使用される。すなわち、第2定規部材64は他方の曲線自在型枠10の上フランジ部14上に載置され、この状態でピン42がピン挿通孔24、22内へこの順に挿入されることにより、他方の曲線自在型枠10が第2定規部材64の曲線形状に沿って位置決め及び保持される。
【0109】
その後、連結部材としてのセパレータ66が上方側から第1定規部材62の上フランジ部14及び第2定規部材64の上フランジ部14へ係合されることにより、双方の曲線自在型枠10が所定の隙間をあけて保持される。なお、セパレータ66は、バー状の連結部68と、この連結部68の両端部下面にそれぞれ固定されると共に断面形状が略L字状とされかつ第1定規部材62、第2定規部材64に嵌合可能とされた一対の保持部70と、によって構成されている。保持部70は底部70Aの他に長辺部70Bと短辺部70Cとを有しており、底部70Aの幅は第1定規部材62及び第2定規部材64の板幅に一致されている。また、短辺部70Cの長さは第1定規部材62、第2定規部材64の板厚に一致されており、コンクリート基礎等の製品の仕上がり面に影響を及ぼさないような配慮がなされている。仕上がり面(上端面)が定規の位置よりも低い場合には、保持部70をコ字状にしてもよい。また、曲線自在型枠10自体ある程度の重量があるため、より単純化するのであれば、セパレータ自体を側面視でコ字状に形成してもよい。
【0110】
上記曲線自在型枠用定規部材60によっても、前述した図3の曲線自在型枠用定規部材30と同様の作用・効果が得られる。加えて、この曲線自在型枠用定規部材60を用いた場合、一方の曲線自在型枠10と他方の曲線自在型枠10との間隔を変える場合(即ち、コンクリートの厚さを変える場合)には、第1定規部材62についてはそのままにしておき、第2定規部材64とセパレータ66のみを変更後の間隔に合うものにすればよい。このように図6の曲線自在型枠用定規部材60によれば、様々な厚さの製品に容易に対応することができるというメリットがある。
【0111】
〔第2実施形態〕
次に、図7〜図20を用いて、本発明に係る曲線自在型枠、曲線自在型枠用定規部材及び曲線自在型枠装置の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0112】
(曲線自在型枠80について)
図7には、本実施形態に係る曲線自在型枠80の単体の斜視図が示されている。また、図8には、曲線自在型枠80を曲面状に設置した状態が曲線自在型枠用定規部材30(第1実施形態参照)と共に斜視図にて描かれている。
【0113】
これらの図に示されるように、曲線自在型枠80は、矩形平板状に裁断された金属製の堰板部12を備えている。堰板部12は可撓性を有しており、打設されたコンクリートを堰き止める役割を果たしている。堰板部12の上縁部及び下縁部には、所定幅の上フランジ部84及び下フランジ部86が折り曲げにより一体に形成されている。上フランジ部84及び下フランジ部86は同一方向へ折り曲げられており、かつ互いに平行に延出されている。
【0114】
さらに、上フランジ部84の先端部84A及び下フランジ部86の先端部86Aは、互いに接近する方向へ直角に折り曲げられている。下フランジ部86の先端部86Aについては、後述する第1切欠部補強部材94が落とし込みにより下フランジ部86上に装着された際に、その後にコンクリート打設時の圧力がかかっても当該第1切欠部補強部材94の先端縁と係合することで第1切欠部補強部材94の下フランジ部86からの脱落を防止する意義を有している。上フランジ部84の先端部84Aは、曲線自在型枠80自体が上下反転された状態でも使用可能なように対称形状をなしていることから、反転された場合には同様の意義を発揮する。
【0115】
上記上フランジ部84及び下フランジ部86には、平面視で狭幅矩形状の切欠部88が堰板部12の長辺方向に沿って所定の間隔で形成されている。各切欠部88の根元は、堰板部12のフランジ側の板面12Aに略一致するようにカットされている。これらの切欠部88が形成されたことにより、堰板部12は切欠部88の根元を起点として平面視で曲線状に曲げ変形可能とされている。
【0116】
また、上記堰板部12における上フランジ部84及び下フランジ部86の中央部間には、断面形状が凸字形状とされた補強用の縦桟90が溶接により固着されている。これにより、堰板部12は縦桟90が設定された部分で閉断面構造となり、高強度化・高剛性化されて、コンクリート打設時にコンクリートから受ける荷重に耐えるようになっている。なお、補強用の縦桟90は堰板部12のフランジ側の板面12Aと接合されていることは必須であるが、上フランジ部84及び下フランジ部86には接合されていてもよいし、当接させるだけでもよい。本実施形態では、縦桟90の上下の端部は上フランジ部14及び下フランジ部16にそれぞれ溶接により接合されている。
【0117】
さらに、上記上フランジ部84及び下フランジ部86の両側には、一対のピン挿通孔22が形成されている。また、堰板部12の短辺部に位置する左右の補強用の縦桟92には、上中下三ケ所に連結孔26が形成されている。ピン挿通孔22は後述する曲線自在型枠用定規部材82との位置決めに利用される孔であり、又曲面形状の保持機能を有している。また、連結孔26は曲線自在型枠80が横方向に連接される場合に隣接する曲線自在型枠80の境界位置にある補強用の縦桟92同士をクランプ52(第1実施形態の図5参照)で連結するための孔である。
【0118】
<補強部材の構成>
以下、上記曲線自在型枠80に採用されている補強部材の構成について説明する。
【0119】
図9に示されるように、曲線自在型枠80の隣接する一対の下フランジ部86の境界部には、平鋼によって構成された切欠部補強用の第1切欠部補強部材94が落とし込みにより装着されている。第1切欠部補強部材94の板幅は下フランジ部86の板幅に略一致されており、下フランジ部86上に第1切欠部補強部材94が載置可能とされている。第1切欠部補強部材94の外縁中央部には、切欠部88に係合可能な突起状の係合部94Aが形成されている。従って、第1切欠部補強部材94の下フランジ部86への装着に際しては係合部94Aが切欠部88に係合されるように、第1切欠部補強部材94が切欠部88の上方側から落とし込まれる。さらに、第1切欠部補強部材94の装着後に、堰板部12の外周面にマグネット96が取付けられ、これによりコンクリート打設時の圧力が堰板部12に作用しても、第1切欠部補強部材94が切欠部88から外れないようにしている。
【0120】
また、(図10及び)図11に示されるように、下フランジ部86の下面側には、堰板部12の曲面形状に合致する帯板状の第2切欠部補強部材98が敷かれている。第2切欠部補強部材98の所定位置には広義には係合部として把握される複数のピン100が立設されており、下フランジ部86に形成されたピン挿通孔22(図12参照)に挿通されることで位置決めがなされている。これにより、切欠部88が補強されている。
【0121】
なお、図11及び図12(B)に示されるピン100が立設された第2切欠部補強部材98は曲線自在型枠80が一段のみ使用される場合に好適であるが、後述するように曲線自在型枠80が複数個段積みされる場合には、図12(A)に示されるように、ピン100が立設されておらず、ピン挿通孔102のみが形成された同様形状の第2切欠部補強部材104の方が組付作業が容易であり、より好適といえる。この場合、ピン42が下フランジ部86の上から落とし込まれて、下フランジ部86のピン挿通孔102及び第2切欠部補強部材104のピン挿通孔102に挿入されることで両者の位置決めがなされる。なお、予めピン100が立設された第2切欠部補強部材98とピン42が後から挿入される第2切欠部補強部材104のいずれであっても、切欠部88に対する補強効果は同じである。
【0122】
上記第1切欠部補強部材94及び第2切欠部補強部材98(又は第2切欠部補強部材104)が装着された状態では、下フランジ部86の切欠部88は上下から挟持された状態(サンドイッチ構造)となり、より補強効果が高められるようになっている。但し、例えば、曲線自在型枠80が一段のみ使用される場合には、第1切欠部補強部材94及び第2切欠部補強部材98のいずれか一方のみを使用するだけでも、補強効果としては充分である。
【0123】
また、図10及び図13に示されるように、上述した縦桟90の下部側には、隣り合う縦桟90を横方向に連結する第3切欠部補強部材106が配設されている。図13に示されるように、この第3切欠部補強部材106の内周側には、縦桟90の断面形状に合致する切欠108が所定間隔で形成されている。さらに、第3切欠部補強部材106の切欠108の両側には、一対のピン挿通孔110が形成されている。一方、図11に示されるように、縦桟90の下部所定位置には、平板状の支持プレート112が予め溶接されている。この支持プレート112には第3切欠部補強部材106のピン挿通孔110と同軸上にピン挿通孔(図示省略)が形成されている。そして、第3切欠部補強部材106の切欠108に縦桟90を嵌合させながら、縦桟90の支持プレート112上に第3切欠部補強部材106を載置させ、この状態でピン114を上方から挿入させることにより、第3切欠部補強部材106が横桟として装着される構成である。なお、図10では図面を見易くするために支持プレート112を矩形平板状に描いているが、実際には縦桟90の外周部に略半円形状の鍔部として構成されたフランジが溶接されている。
【0124】
<ベース型枠について>
図10及び図14に示されるように、本実施形態では、一対の曲線自在型枠80を平行に配置して曲面形状の基礎120を形成するが、この基礎120は断面形状が逆T字形状とされた布基礎であるため、ベース部122用の型枠が必要となる。そこで、本実施形態では、曲線自在型枠をベース型枠124としても使用しており、以下に簡単に説明する。
【0125】
ベース型枠124は、堰板部126とその上縁側に形成された上フランジ部128とによって構成されており、断面形状は上下反対のL字形状とされている。隣接する上フランジ部128間には平面視で矩形状の切欠部130が形成されており、上述した曲線自在型枠80と基本的な作りは同じとされている。また、上フランジ部128の両サイドには一対の挿通孔132が形成されており、L字状の支持棒134が挿入可能とされている。なお、支持棒134は基礎地盤138に打ち込まれる。
【0126】
また、このベース型枠124はそれ自体では自立しないので、樹脂材料で構成されたクランプ形状の補助具136が下縁側から挟み込まれている。この補助具136が装着されることにより、基礎地盤138上にベース型枠124が自立した状態で配置可能とされている。
【0127】
なお、本実施形態では、先に一対のベース型枠124を使って基礎120のベース部122を形成し、その後に一対の曲線自在型枠80を使って基礎120の連続ばり部分が形成される。ベース部122を形成し終わると、ベース型枠124は撤去されるが、補助具136はそのまま存置されて埋め戻されるようになっている。
【0128】
(曲線自在型枠用定規部材82について)
図8には、前述した第1実施形態で説明した曲線自在型枠用定規部材30との組み合わせで曲線自在型枠80が使用される例が示されているが、本実施形態では、更に改良された曲線自在型枠用定規部材82が使用されるので、以下に詳細に説明する。
【0129】
図15には、本実施形態に係る曲線自在型枠用定規部材82が曲線自在型枠80と共に斜視図で示されている。なお、本実施形態では、曲線自在型枠80と曲線自在型枠用定規部材82とで曲線自在型枠装置150が構成されている。
【0130】
この図に示されるように、曲線自在型枠用定規部材82は、平板をプレス成形して打ち抜き及び曲げ加工することにより、所定の曲線形状(R形状)が再現されるように全体として枠状に形成されている。具体的には、曲線自在型枠用定規部材82は、所定の曲率半径で描かれた円弧形状の第1R部82A及び第2R部82Bと、第1R部82A及び第2R部82Bの長手方向の端部同士を繋ぐ基端部(図示省略)及び終端部82Dと、第1R部82Aと第2R部82Bとの中間部同士を繋ぐ複数の連結部82Eと、第1R部82Aの外周縁部から屈曲垂下された外側フランジ部82Fと、第2R部82Bの内周縁部から屈曲垂下された内側フランジ部82Gと、によって構成されている。なお、図示は省略するが、基端部は第1R部82A及び第2R部82Bから径方向外側へそれぞれ張り出されており、曲線自在型枠用定規部材82は平面視で略T字状に形成されている。また、外側フランジ部82Fと内側フランジ部82Gとの内周面間の距離は、上述した曲線自在型枠用定規部材82の上フランジ部84と下フランジ部86との外周面間の距離に略一致するように各部の寸法設定がなされている。
【0131】
さらに、上記曲線自在型枠用定規部材82の下面には、外側フランジ部82Fと平行にレール状の外側保持部82Hが溶接により固着されている。外側フランジ部82Fと外側保持部82Hとの内周面間の距離は、曲線自在型枠80の外側の上フランジ部84の幅と略同一に設定されている。同様に、上記曲線自在型枠用定規部材82の下面には、内側フランジ部82Gと平行にレール状の内側保持部82Iが溶接により固着されている。内側フランジ部82Gと内側保持部82Iとの内周面間の距離は、曲線自在型枠80の内側の上フランジ部84の幅と略同一に設定されている。
【0132】
上記構成の曲線自在型枠用定規部材82は、前述した曲線自在型枠80を互いに対向して配置した状態で上方から被嵌され、双方の曲線自在型枠80の上フランジ部84間に掛け渡されるようにして使用される。このとき、外側フランジ部82Fと外側の上フランジ部84との間に形成された外側溝部140内に、曲線自在型枠80の外側の上フランジ部84が相対的に嵌合されると共に、内側フランジ部82Gと内側の上フランジ部84との間に形成された内側溝部142内に、曲線自在型枠80の内側の上フランジ部84が相対的に嵌合されるようになっている。これにより、一対の曲線自在型枠80間の間隙寸法が矯正され、予め設定された所定の間隔で立設された状態で保持される構成である。なお、本実施形態の曲線自在型枠80では、前述した第1実施形態で説明した曲線自在型枠用定規部材30とは異なり、ピン42は使用しない構成であるため、ピン挿通孔24も形成されていない。
【0133】
一方、図16には、上記とは異なる構成の曲線自在型枠用定規部材144が示されている。この曲線自在型枠用定規部材144は、プレス成形により全ての要素が一体に製作できる点に特徴がある。なお、曲線自在型枠用定規部材144の構成要素の内、上記曲線自在型枠用定規部材82と同様の構成要素に、同様の符号(例えば、「第1R部144A」等)を付す。
【0134】
この曲線自在型枠用定規部材144では、コンクリート打設時の注入口として利用される開口部32を形成する際に外側フランジ部82F及び内側フランジ部82Gに替わるものとして、切り起こしによる爪状の外側係合部144H及び外側係合片144Iが形成されている。なお、外側係合部144H及び外側係合片144Iは互いに対向する位置に形成されているが、曲線自在型枠用定規部材144の周方向(長手方向)に沿って互い違いに配列されるように形成してもよい。上記構成によっても、曲線自在型枠用定規部材82と同様の機能を果たす。
【0135】
(曲線自在型枠装置150について)
この第2実施形態では、曲線自在型枠用定規部材82、144の構成に起因して、即ち曲線自在型枠用定規部材82に対して嵌合構造とされているため、第1実施形態では必要であったピン42が不要となる。従って、上述したように、この第2実施形態では、曲線自在型枠80と曲線自在型枠用定規部材82、144と、によって曲線自在型枠装置150が構成されている。
【0136】
(段積み時の構成について)
次に、図17を用いて、段積み時の構成について説明する。
【0137】
図17は、曲線自在型枠80を三段に段積みした状態が示されている。この図に示されるように、上述した曲線自在型枠80は段積みが可能であり、下段側に配置される曲線自在型枠80の上フランジ部84に上段側に配置される曲線自在型枠80の下フランジ部86が載置されることにより、基礎高さ方向に数段に積み上げることができる。
【0138】
このように曲線自在型枠80が段積みされる場合、コンクリートの打設後の締固め時に曲線自在型枠80の上下の継ぎ目に堰板部12を膨らます方向への高い圧力がかかるので、下段側の曲線自在型枠80の上フランジ部84と上段側の曲線自在型枠80の下フランジ部86との間に前述した図12(A)に示されるタイプの第2切欠部補強部材104が介在されている。
【0139】
つまり、一段目の曲線自在型枠80の設置後に、当該曲線自在型枠80の上フランジ部84の上面に第2切欠部補強部材104が載置され、続いて二段目の曲線自在型枠80が第2切欠部補強部材104上に設置される。この際、二段目の曲線自在型枠80の下フランジ部86、第2切欠部補強部材104、一段目の曲線自在型枠80の上フランジ部84にそれぞれ形成されたピン挿通孔22、102が同軸上に位置されるように調整しておき、最後にピン152をピン挿通孔102内へ差し込む。その後、下フランジ部86、第2切欠部補強部材98、上フランジ部84を三枚重ねの状態で図示しないクランプ等の固定部材が補助的に装着される構成である。これにより、上下の曲線自在型枠80が第2切欠部補強部材104を介して相互に連結されるようになっている。
【0140】
なお、曲線自在型枠80を段積みする際には、倒れ防止用の支保部材156が設置される。
【0141】
(本実施形態の作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0142】
図10等に示されるように、本実施形態に係る曲線自在型枠装置150を用いて布基礎等のコンクリート基礎等を構築する場合、まず最初に一対のベース型枠124が所定の曲面形状で互いに平行となるように配置されてコンクリートが打設され、ベース部122が先行して形成される。ベース部122が形成された後、当該ベース部122上に一対の曲線自在型枠80が所定の曲面形状で互いに平行となるように配置される。次に、曲線自在型枠80の上方側から曲線自在型枠用定規部材82又は曲線自在型枠用定規部材144が被嵌されて一対の曲線自在型枠80間の隙間が所定の間隙寸法になるように調整される。その後、開口部32からコンクリートが打設されて、連続ばり部分が形成される。
【0143】
図18は、上記の如くして基礎160に部分的な曲面形状部162を形成した住宅164の外観を示したものである。このように住宅164の出隅に相当する部分に基礎形状に合わせて曲面で構成された外壁を有する居室部166が形成されている点に特徴がある。この住宅164はあくまでも一例に過ぎないが、このような外観にアクセントを持つ住宅164を任意に建築することができるという点で住宅プランニングの自由度を高めることができる。
【0144】
以上説明した如く、本実施形態に係る曲線自在型枠80、曲線自在型枠用定規部材82、及び曲線自在型枠装置150によっても、基本的には第1実施形態の曲線自在型枠10、曲線自在型枠用定規部材30、及び曲線自在型枠装置40と同様のコンセプトを踏襲しているので、前述した第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
【0145】
すなわち、本実施形態に係る曲線自在型枠80では、鋼板等の金属材料によって構成された矩形平板状の堰板部12の上縁部及び下縁部に上フランジ部84及び下フランジ部86を形成し、これらの上フランジ部84及び下フランジ部86に所定の間隔で切欠部88を形成したので、堰板部12を任意の曲率に合わせて曲げていくことができる。更に言及すると、切欠部88の形成ピッチを細かく設定すれば、それだけ緻密な曲面を再現することができる。図19はこのことを示した概略図であり、(A)は切欠部88の形成ピッチを粗くして平面視で緩やかな円弧形の基礎を形成する場合の設置例であり、(C)は切欠部88の形成ピッチを細かくして平面視で円形の基礎を形成する場合の設置例であり、(B)は切欠部88の形成ピッチを(A)と(C)との中間程度に設定して中間的な曲率の基礎を形成する場合の設置例である。つまり、任意の曲率に合わせて型枠を組むことができるだけでなく、切欠部88の形成ピッチを調整することにより製品の曲面精度を高めることができる。しかも、堰板部12は可撓性を有するが、上縁部及び下縁部に上フランジ部84及び下フランジ部86を設けることで、断面係数が上がり、コンクリートから受ける圧力に耐えるだけの強度(曲線自在型枠80に要求される強度)を確保することができる。以上を総括すると、本実施形態に係る曲線自在型枠80によれば、任意の曲率に合わせて型枠を組むことができ、しかも必要強度を確保した上で製品の曲面精度の向上を図ることができる。
【0146】
また、本実施形態に係る曲線自在型枠80では、切欠部88が形成されたことによる上フランジ部84及び下フランジ部86の最弱部(即ち、切欠部88の根元)を堰板部12のフランジ側の板面12A上に位置させたので、堰板部12は切欠部88の根元を起点として自在に曲げ変形することができる。従って、目標の曲線に対する追従性を向上させることができる。その結果、本実施形態によれば、製品の曲面精度のより一層の向上を図ることができる。更に言及すると、前記の如く本実施形態の曲線自在型枠80は曲げ変形が自在であるため、一つの曲線自在型枠80の中で凸曲面部と凹曲面部の双方を形成する(平面視でS字状に形成する)ことも可能である。図20はこのことを示した概略図であり、(A)は円弧面形状の基礎168を製作した例であり、(B)はS字状の基礎170を製作した例であり、(C)はトンネル172に応用した例であり、(D)はアーチ型の門174を製作した例である。
【0147】
さらに、本実施形態に係る曲線自在型枠80では、堰板部12のフランジ側の板面12Aに上フランジ部84から下フランジ部86までの長さを有する補強用の縦桟90を設けたので、上フランジ部84及び下フランジ部86と堰板部12との双方を効果的に補強することができる。従って、コンクリート打設時の流動圧等によって堰板部12の曲面精度が損なわれるのを防止することができる。その結果、本実施形態によれば、製品の曲面精度のより一層の向上を図ることができる。
【0148】
加えて、本実施形態に係る曲線自在型枠80では、上フランジ部84、下フランジ部86及び補強用の縦桟90によって型枠パネルの剛性をある程度高く保つことができるので、型枠パネルの横方向寸法を大きくすることができる(型枠パネルを大型化することができる)。従って、曲線自在型枠80を横方向に連結する場合にジョイント固定箇所を減らすことができるというメリットもある。
【0149】
さらに、本実施形態では、曲線自在型枠80を段積みした際には、第2切欠部補強部材104を介装してより強固に切欠部88を補強することとしたので、コンクリート打設時のコンクリート漏れ(この漏れは下段へいくほど増幅される。)を効果的に抑制することができる。
【0150】
また、本実施形態に係る曲線自在型枠用定規部材82では、外側保持部82H及び内側保持部82Iを除き平板をプレス成形することにより構成されると共に、所定曲率半径の曲線を描くように裁断された第1R部82A及び第2R部82Bを有するので、かかる第1R部82A及び第2R部82Bに沿って曲線自在型枠80を曲げていくことにより、予め規定された通りの曲面形状が再現される。しかも、この曲線自在型枠用定規部材82は前記の如く平板をプレス成形することにより形成されているため、支保工に曲げ加工によるパイプを使った従来技術に比し、寸法精度を出し易くかつ製作も容易である。その結果、本実施形態によれば、簡単な構成で製品の曲面精度のより一層の向上を図ることができる。
【0151】
さらに、本実施形態に係る曲線自在型枠用定規部材82では、互いに平行に配置された外側フランジ部82Fと外側保持部82H並びに内側フランジ部82Gと内側保持部82Iを備えているので、曲線自在型枠用定規部材82をワンタッチで曲線自在型枠80に装着することができる。従って、作業性を向上させることができる。
【0152】
加えて、外側フランジ部82Fと外側保持部82H並びに内側フランジ部82Gと内側保持部82Iが一対の曲線自在型枠80を所定の間隔をあけた状態に保つ保持手段を構成するので、第1実施形態では必要であった位置決め保持手段(ピン挿通孔22、24及びピン42)が不要になる。従って、ピン42の挿入作業等が不要になるので、その分、施工時間を短縮することができる。
【0153】
また、本実施形態に係る曲線自在型枠装置150では、前記の通り、曲線自在型枠80と曲線自在型枠用定規部材82、144との組み合わせによって装置が構成され、位置決め保持手段(ピン挿通孔22、24及びピン42)が不要になるので、ワンタッチでの型枠組みが可能となり、現場での作業効率を著しく向上させることができると共に、構造の簡素化、低コスト化、工期の短縮を図ることができる。
【0154】
〔本実施形態の補足説明(その2)〕
上述した各実施形態では、曲線自在型枠80を一対平行に配置して基礎120そのものが曲面形状に形成されていたが、これに限らず、片面には曲線自在型枠80を用い反対側の面には一般的に使用される平面視で直線状の型枠を使用して平面視で例えば蒲鉾型の基礎等を構築するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】第1実施形態に係る曲線自在型枠の三面図に係り、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
【図2】図1に示される曲線自在型枠の斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る曲線自在型枠用定規部材及び曲線自在型枠装置の斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る曲線自在型枠の施工例を示す平面図である。
【図5】図4に示される施工例の斜視図である。
【図6】別の実施形態に係る曲線自在型枠用定規部材の斜視図である。
【図7】第2実施形態に係る曲線自在型枠の斜視図である。
【図8】図7に示される曲線自在型枠の使用状態を曲線自在型枠用定規部材と共に示す斜視図である。
【図9】第1切欠部補強部材の装着状態を示す要部拡大斜視図である。
【図10】第2実施形態に係る曲線自在型枠装置を使った基礎構築時の様子を示す斜視図である。
【図11】第2切欠部補強部材を単体で示す拡大斜視図である。
【図12】第2切欠部補強部材の装着の様子を示す斜視図であり、(A)は図11図示のタイプを使った例であり、(B)は図11図示のタイプの変形例を使った例である。
【図13】第3切欠部補強部材を単体で示す拡大斜視図である。
【図14】ベース基礎の三面図である。
【図15】第2実施形態に係る曲線自在型枠用定規部材を曲線自在型枠と共に示す斜視図である。
【図16】図15に示される曲線自在型枠用定規部材の変形例を示す図15に対応する斜視図である。
【図17】第2実施形態に係る曲線自在型枠を用いて段積みした構成を示す正面図である。
【図18】住宅外観に曲面形状部を有する建築例を示す外観斜視図である。
【図19】切欠部の形成ピッチと再現される曲面との関係を説明するための説明図である。
【図20】曲面形状を活かして種々の建築構造物を構築することができることを示すための説明図である。
【符号の説明】
【0156】
10 曲線自在型枠
12 堰板部
14 上フランジ部
16 下フランジ部
18 切欠部
18A 先端部(最弱部)
20 リブ
22 ピン挿通孔(第2の位置決め孔、位置決め保持手段)
24 ピン挿通孔(第1の位置決め孔、位置決め保持手段)
30 曲線自在型枠用定規部材
30A 第1R部
30B 第2R部
40 曲線自在型枠装置
42 ピン(位置決め保持手段)
60 曲線自在型枠用定規部材
62 第1定規部材(一方の曲線自在型枠用定規部材)
64 第2定規部材(他方の曲線自在型枠用定規部材)
66 セパレータ(連結部材)
80 曲線自在型枠
82 曲線自在型枠用定規部材
80A 第1R部
80B 第2R部
82F 外側フランジ部(保持部)
82G 内側フランジ部(保持部)
82H 外側保持部(保持部)
82I 内側保持部(保持部)
84 上フランジ部
84A 先端部(係合部)
86 下フランジ部
86A 先端部(係合部)
88 切欠部
90 縦桟(縦補強部材)
94 第1切欠部補強部材
98 第2切欠部補強部材
104 第2切欠部補強部材
106 第3切欠部補強部材
120 基礎
122 ベース部
124 ベース型枠
126 堰板部
128 上フランジ部
130 切欠部
144 曲線自在型枠用定規部材
144A 第1R部
144B 第2R部
144F 外側フランジ部(保持部)
144G 内側フランジ部(保持部)
144H 外側保持部(保持部)
144I 内側保持部(保持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有しておりかつ打設されたコンクリートを堰き止める堰板部と、この堰板部の上縁側から当該堰板部と交差する方向へ延出されたフランジ部と、を含んで構成された曲線自在型枠であって、
前記フランジ部には複数の切欠部が形成されており、当該切欠部が形成されたことにより前記堰板部が平面視で曲線状に変形可能とされている、
ことを特徴とする曲線自在型枠。
【請求項2】
前記曲線自在型枠は、基礎の両面が曲面で構成されるように基礎幅に合わせて平行に一対設置される、
ことを特徴とする請求項1記載の曲線自在型枠。
【請求項3】
前記曲線自在型枠は、基礎の片面のみが曲面で構成されるように基礎の片側にのみ設置される、
ことを特徴とする請求項1記載の曲線自在型枠。
【請求項4】
前記曲線自在型枠は、断面形状が逆T字形状とされた布基礎のベース部を形成する際に使用される、
ことを特徴とする請求項1記載の曲線自在型枠。
【請求項5】
前記切欠部が形成されたことによるフランジ部の最弱部は、堰板部の表面上に位置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の曲線自在型枠。
【請求項6】
前記切欠部は、平面視で略三角形状又は略半楕円形状或いはこれに準ずる形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の曲線自在型枠。
【請求項7】
前記フランジ部と前記堰板部とが交差する部位には、補強用のリブが配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の曲線自在型枠。
【請求項8】
前記補強用のリブは、堰板部の上縁から下縁に亘って直線状に配置される縦補強部材である、
ことを特徴とする請求項7記載の曲線自在型枠。
【請求項9】
前記フランジ部は堰板部の上縁及び下縁の双方に設けられており、当該下縁側のフランジ部の切欠部形成部位には、前記切欠部を補強する第1切欠部補強部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の曲線自在型枠。
【請求項10】
前記切欠部が形成された前記フランジ部の先端部は、前記第1切欠部補強部材の当該フランジ部側への落とし込みによる装着を可能とする係合部が設けられている、
ことを特徴とする請求項9記載の曲線自在型枠。
【請求項11】
前記下縁側のフランジ部の下面には、当該下縁側のフランジ部に沿って長尺薄板状に形成されると共に当該下縁側のフランジ部の下面に敷かれて使用されかつ当該下縁側のフランジ部と係合可能に構成された第2切欠部補強部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項9又は請求項10記載の曲線自在型枠。
【請求項12】
前記堰板部の外周面には、前記縦補強部材と交差するように配置されると共に縦補強部材と一体となって前記切欠部を補強する第3切欠部補強部材が装着されている、
ことを特徴とする請求項8乃至請求項11のいずれか一項に記載の曲線自在型枠。
【請求項13】
前記曲線自在型枠は、高さ方向に段積み可能とされている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の曲線自在型枠。
【請求項14】
平板から構成されると共に所定の曲線形状を再現可能に構成され、所定の間隔をあけて対向配置された一対の請求項1又は請求項2、請求項4乃至請求項13のいずれか一項に記載の曲線自在型枠の双方のフランジ部間、或いは請求項3に記載の曲線自在型枠と当該曲線自在型枠と対になって使用される平面視で直線状の一般型枠とのフランジ部間に掛け渡されて使用される、
ことを特徴とする曲線自在型枠用定規部材。
【請求項15】
平板から構成されると共に所定の曲線形状を再現可能に構成され、所定の間隔をあけて対向配置された一対の請求項1又は請求項2、請求項4乃至請求項13のいずれか一項に記載の曲線自在型枠の各フランジ部、或いは請求項3に記載の曲線自在型枠と当該曲線自在型枠と対になって使用される平面視で直線状の一般型枠とのフランジ部に対応して別個独立に設けられて載置されると共に前記所定の間隔を規定する連結部材によって相互に連結されて使用される、
ことを特徴とする曲線自在型枠用定規部材。
【請求項16】
請求項11に記載された曲線自在型枠で使用される第2切欠部補強部材は、所定の曲線形状を再現可能に構成されて定規としての機能を兼ね備えている、
ことを特徴とする曲線自在型枠用定規部材。
【請求項17】
前記一対の曲線自在型枠又は前記一対の曲線自在型枠と一般型枠とが前記所定の間隔をあけて対向配置されるように保持する保持部を備えている、
ことを特徴とする請求項14乃至請求項16のいずれか一項に記載の曲線自在型枠用定規部材。
【請求項18】
前記保持部は、前記一対の曲線自在型枠の各フランジ部又は前記一対の曲線自在型枠と一般型枠との各フランジ部にそれぞれ係合されることで、前記所定の間隔を規定する、
ことを特徴とする請求項17記載の曲線自在型枠用定規部材。
【請求項19】
請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の曲線自在型枠及び請求項14乃至請求項16のいずれか一項に記載の曲線自在型枠用定規部材には、曲線自在型枠用定規部材が規定する曲線に沿って曲線自在型枠が曲げられるように曲線自在型枠用定規部材に対する曲線自在型枠の位置決めをしかつ曲線自在型枠をその状態に保持する位置決め保持手段が設けられている、
ことを特徴とする曲線自在型枠及び曲線自在型枠用定規部材を用いた曲線自在型枠装置。
【請求項20】
前記位置決め保持手段は、曲線自在型枠用定規部材に設けられた第1の位置決め孔と、この第1の位置決め孔と同軸上に曲線自在型枠のフランジ部に設けられた第2の位置決め孔と、第1の位置決め孔及び第2の位置決め孔内へ挿入されるピン状の係合部材と、を含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項19記載の曲線自在型枠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−342659(P2006−342659A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83276(P2006−83276)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】