説明

有機EL照明装置

【課題】照明上の特殊な演出効果を発揮する有機EL照明装置を得る。
【解決手段】有機EL照明装置は、直流またはパルス状の駆動波形を生成しその駆動波形に応じた駆動電圧を出力する駆動回路と、発光面およびその周縁部側に設けられた複数の給電部を含み、駆動回路から出力された駆動電圧が複数の給電部から供給される有機ELパネルと、を備え、有機ELパネルを点灯させる際、駆動回路は、有機ELパネルを点灯させるための指示信号を受け取った時点(T1)から第1周波数F1を有する駆動電圧を有機ELパネルに所定の時間の間供給することによって、発光面内の周縁部側に比べて発光面内の中央部側の方が遅く明るくなるように有機ELパネルを点灯させ、その後、駆動回路は、第1周波数F1よりも低い第2周波数F2を有する駆動電圧を有機ELパネルに供給することによって、有機ELパネルを点灯状態とさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ELパネル(EL:Electro Luminescence)を備える有機EL照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2010−232286号公報(特許文献1)に開示されるように、有機ELパネルを備える有機EL照明装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−232286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2010−232286号公報(特許文献1)に開示される有機EL照明装置は、発光面内の全体を均一に発光させることを可能にすることに留まるものである。
【0005】
本発明は、たとえば、発光面内の周縁部に比べて発光面内の中央部の方が遅く明るくなるように有機ELパネルを点灯させたり、発光面内の周縁部に比べて発光面内の中央部の方が早く暗くなるように有機ELパネルを消灯させたりするといったように、照明上の特殊な演出効果を発揮することが可能な有機EL照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の或る局面に基づく有機EL照明装置は、直流またはパルス状の駆動波形を生成し、上記駆動波形に応じた駆動電圧を出力する駆動回路と、発光面および上記発光面の周縁部側に設けられた複数の給電部を含み、上記駆動回路から出力された上記駆動電圧が複数の上記給電部から供給される有機ELパネルと、を備え、消灯状態にある上記有機ELパネルに上記駆動回路が上記駆動電圧を供給することによって上記有機ELパネルを点灯させる際、上記駆動回路は、上記有機ELパネルを点灯させるための指示信号を受け取った時点から第1周波数を有する上記駆動電圧を上記有機ELパネルに所定の時間の間供給することによって、上記発光面内の上記周縁部側に比べて上記発光面内の中央部側の方が遅く明るくなるように上記有機ELパネルを点灯させ、上記駆動回路は、上記第1周波数を有する上記駆動電圧を上記有機ELパネルに上記所定の時間の間供給した後、上記第1周波数よりも低い第2周波数を有する上記駆動電圧を上記有機ELパネルに供給することによって、上記有機ELパネルを点灯状態とさせる。
【0007】
好ましくは、上記所定の時間の間、上記駆動回路は、上記第1周波数の周波数値が徐々に低くなるように変化させる。好ましくは、上記駆動回路は、上記駆動波形のデューティを制御するPWM制御部を含み、上記所定の時間の間、上記PWM制御部は、上記駆動波形の上記デューティを変化させる。
【0008】
好ましくは、上記駆動回路は、上記駆動電圧の電圧値を制御する電圧制御部を含み、上記所定の時間の間、上記電圧制御部は、上記駆動電圧の上記電圧値を変化させる。好ましくは、本発明の或る局面に基づく上記の有機EL照明装置は、上記駆動回路と複数の上記給電部との間に配置されるスイッチ手段をさらに備え、上記所定の時間の間、上記スイッチ手段は、上記駆動回路と複数のうちの一部の上記給電部との間の電気的接続を切断することによって、上記有機ELパネルに上記駆動電圧を供給する上記給電部の数を減少させる。
【0009】
本発明の他の局面に基づく有機EL照明装置は、直流またはパルス状の駆動波形を生成し、上記駆動波形に応じた駆動電圧を出力する駆動回路と、発光面および上記発光面の周縁部側に設けられた複数の給電部を含み、上記駆動回路から出力された上記駆動電圧が複数の上記給電部から供給される有機ELパネルと、を備え、上記有機ELパネルは、上記駆動回路から第3周波数を有する上記駆動電圧を供給されることによって点灯状態とされ、上記点灯状態にある上記有機ELパネルへの上記駆動電圧の供給を上記駆動回路が停止することによって上記有機ELパネルを消灯させる際、上記駆動回路は、上記有機ELパネルを消灯させるための指示信号を受け取った時点から上記第3周波数よりも高い第4周波数を有する上記駆動電圧を上記有機ELパネルに所定の時間の間供給することによって、上記発光面内の上記周縁部側に比べて上記発光面内の中央部側の方が早く暗くなるように上記有機ELパネルを消灯させ、上記駆動回路は、上記第4周波数を有する上記駆動電圧を上記有機ELパネルに上記所定の時間の間供給した後、上記有機ELパネルへの上記駆動電圧の供給を停止することによって、上記有機ELパネルを消灯状態とさせる。
【0010】
好ましくは、上記所定の時間の間、上記駆動回路は、上記第4周波数の周波数値が徐々に高くなるように変化させる。好ましくは、上記駆動回路は、上記駆動波形のデューティを制御するPWM制御部を含み、上記所定の時間の間、上記PWM制御部は、上記駆動波形の上記デューティを変化させる。
【0011】
好ましくは、上記駆動回路は、上記駆動電圧の電圧値を制御する電圧制御部を含み、上記所定の時間の間、上記電圧制御部は、上記駆動電圧の上記電圧値を変化させる。好ましくは、本発明の他の局面に基づく上記の有機EL照明装置は、上記駆動回路と複数の上記給電部との間に配置されるスイッチ手段をさらに備え、上記所定の時間の間、上記スイッチ手段は、上記駆動回路と複数のうちの一部の上記給電部との間の電気的接続を切断することによって、上記有機ELパネルに上記駆動電圧を供給する上記給電部の数を減少させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、たとえば、発光面内の周縁部に比べて発光面内の中央部の方が遅く明るくなるように有機ELパネルを点灯させたり、発光面内の周縁部に比べて発光面内の中央部の方が早く暗くなるように有機ELパネルを消灯させたりするといったように、照明上の特殊な演出効果を発揮することが可能な有機EL照明装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1における有機EL照明装置の全体的な構成を模式的に示す図である。
【図2】実施の形態1における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルを示す平面図である。
【図3】図2中のIII−III線に沿った矢視断面図である。
【図4】図2中のIV−IV線に沿った矢視断面図である。
【図5】実施の形態1における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルと駆動回路とが互いに接続された状態を模式的に示す図である。
【図6】実施の形態1における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルに対して駆動回路から供給される駆動電圧と時間との関係を示す図である。
【図7】実施の形態1における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルの発光部を等価的に示す図である。
【図8】実施の形態1における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルに対してパルス幅の比較的広い駆動波形を有する電圧を供給した際の、実際に有機ELパネルの発光部内の各位置に印加される駆動電圧と時間との関係を示す図である。
【図9】実施の形態1における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルに対してパルス幅の比較的狭い駆動波形を有する電圧を供給した際の、実際に有機ELパネルの発光部内の各位置に印加される駆動電圧と時間との関係を示す図である。
【図10】実施の形態1における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルを示す他の平面図である。
【図11】実施の形態1における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルの発光面内における輝度分布の時間的な変化を示す図である。
【図12】実施の形態1の第1変形例における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルに対して駆動回路から供給される駆動電圧と時間との関係を示す図である。
【図13】実施の形態1の第2変形例における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルに対して駆動回路から供給される駆動電圧と時間との関係を示す図である。
【図14】実施の形態1の第2変形例における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルの発光面内における輝度分布の時間的な変化を示す図である。
【図15】実施の形態1の第3変形例における有機EL照明装置の全体的な構成を模式的に示す図である。
【図16】実施の形態2における有機EL照明装置の全体的な構成を模式的に示す図である。
【図17】実施の形態2における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルに対して駆動回路から供給される駆動電圧と時間との関係を示す図である。
【図18】実施の形態2における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルの発光面内における輝度分布の時間的な変化を示す図である。
【図19】実施の形態2における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルに対して駆動回路から供給される他の駆動電圧と時間との関係を示す図である。
【図20】実施の形態2における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルの発光面内における他の輝度分布の時間的な変化を示す図である。
【図21】実施の形態3における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルに対して駆動回路から供給される駆動電圧と時間との関係を示す図である。
【図22】実施の形態3における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルの発光面内における輝度分布の時間的な変化を示す図である。
【図23】実施の形態3の第1変形例における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルに対して駆動回路から供給される駆動電圧と時間との関係を示す図である。
【図24】実施の形態3の第1変形例における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルの発光面内における輝度分布の時間的な変化を示す図である。
【図25】実施の形態3の第2変形例における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルに対して駆動回路から供給される駆動電圧と時間との関係を示す図である。
【図26】実施の形態3の第2変形例における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルの発光面内における輝度分布の時間的な変化を示す図である。
【図27】実施の形態3の第3変形例における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルに対して駆動回路から供給される駆動電圧と時間との関係を示す図である。
【図28】実施の形態3の第3変形例における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルの発光面内における輝度分布の時間的な変化を示す図である。
【図29】実施の形態4における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルに対して駆動回路から供給される駆動電圧と時間との関係を示す図である。
【図30】実施の形態4における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルの発光面内における輝度分布の時間的な変化を示す図である。
【図31】実施の形態5における有機EL照明装置の全体的な構成を模式的に示す図である。
【図32】実施の形態6における有機EL照明装置の全体的な構成を模式的に示す図である。
【図33】実施の形態7における有機EL照明装置の全体的な構成を模式的に示す図である。
【図34】実施の形態8における有機EL照明装置の全体的な構成を模式的に示す図である。
【図35】実施の形態8における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルに対して駆動回路から供給される駆動電圧と時間との関係、ならびにトランジスタの動作と時間との関係を示す図である。
【図36】実施の形態8の変形例における有機EL照明装置に用いられる有機ELパネルに対して駆動回路から供給される駆動電圧と時間との関係、ならびにトランジスタの動作と時間との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に基づいた各実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。各実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。各実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0015】
[実施の形態1]
図1を参照して、本実施の形態における有機EL照明装置100の全体的な構成について説明する。有機EL照明装置100は、有機ELパネル10と、有機ELパネル10を駆動するための駆動回路20と、有機ELパネル10に電力を供給するための電源30と、を備える。
【0016】
図1に示すように、駆動回路20は、マイコン21、メモリー22、トランジスタ23、および定電圧回路24を含む。マイコン21、トランジスタ23、定電圧回路24、および有機ELパネル10は、直列に接続される。トランジスタ23は、たとえばFET(Field effect transistor)であり、マイコン21の出力ポートに接続される。トランジスタ23は、有機ELパネル10に流す電流のON/OFFを切り換える。
【0017】
マイコン21は、操作部40等の、外部に配置された指示信号入力手段に接続される。マイコン21は、たとえば、有機ELパネル10を点灯させるための指示信号(点灯指示信号)、有機ELパネル10を消灯させるための指示信号(消灯指示信号)、または、有機ELパネル10の輝度を変化させるための指示信号(調光指示信号)を、操作部40から受け取る。
【0018】
マイコン21は、操作部40から受け取った指示信号に応じて、メモリー22内に記憶されている所定のプログラムを実行する。マイコン21は、トランジスタ23および定電圧回路24を当該プログラムの内容に応じて制御する。本実施の形態においては、マイコン21の制御によって、直流またはパルス状の駆動波形が生成されるとともに、この駆動波形に応じた駆動電圧が駆動回路20から出力される。駆動回路20から出力された駆動電圧は、有機ELパネル10に供給される。
【0019】
(有機ELパネル10)
図2〜図4を参照して、有機ELパネル10について説明する。有機ELパネル10は、発光面18を有する。図2は、発光面18側から見た有機ELパネル10を示す平面図である。図2においては、透明基板11が、一点鎖線を用いて透過的に図示されている。図2においては、透明基板11を通して、陽極12および有機層13等が透視されるように図示されている。図3は、図2中のIII−III線に沿った矢視断面図である。図4は、図2中のIV−IV線に沿った矢視断面図である。
【0020】
図2〜図4に示すように、有機ELパネル10は、有機ELを含む発光手段である。有機ELパネル10は、透明基板11(カバー層)、陽極12、有機層13、陰極14、絶縁層15、封止層16、発光面18を含む。陽極12、有機層13、および陰極14は、透明基板11の表面に順次積層される。
【0021】
透明基板11は、たとえば各種のガラス基板から構成される。透明基板11を構成する部材としては、PET(Polyethylene Terephthalate)またはポリカーボネイト等のフィルム基板が用いられてもよい。発光面18は、透明基板11の下面に形成される。
【0022】
陽極12は、透明性を有する導電膜である。陽極12を形成するためには、スパッタリング法等によって、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等が透明基板11上に成膜される。フォトリソグラフィ法等によりITO膜が所定の形状にパターニングされることによって、陽極12が形成される。
【0023】
有機層13(発光部)は、電力が供給されることによって光(可視光)を生成することができる。有機層13は、単層の発光層から構成されていてもよく、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、および電子輸送層などが順次積層されることによって構成されていてもよい。
【0024】
陰極14は、たとえばアルミニウム(AL)である。陰極14は、真空蒸着法等によって有機層13を覆うように形成される。陰極14を所定の形状にパターニングするために、真空蒸着の際にはマスクが用いられるとよい。
【0025】
絶縁層15は、陽極12と陰極14との間を電気的に絶縁するために設けられる。絶縁層15は、たとえばスパッタリング法を用いて、陽極12上および陽極12の外周付近にSiOなどが成膜されることによって形成される。陽極12上および陽極12の外周付近に成膜された絶縁層15は、フォトリソグラフィ法等を用いて、陽極12の外縁(陽極12と陰極14とを互いに分離する箇所)を囲うように所望のパターンに形成される。
【0026】
封止層16は、絶縁性を有する。封止層16は、有機層13を水分等から保護するために形成される。封止層16は、たとえばガラス基板を用いて、周囲をエポキシ系の光硬化型接着剤で接着させることによって形成される。封止層16は、陽極12、有機層13、および陰極14の略全体を透明基板11上に封止する。陽極12の一部と陰極14の一部とは、電気的な接続のために、封止層16から露出している。
【0027】
陽極12の封止層16から露出している部分(図3参照)は、陽極接続部12Lおよび陽極接続部12Rを構成する。陽極接続部12L,12Rと陽極12とは互いに同じ材料で構成される。陽極接続部12Lおよび陽極接続部12Rは、発光面18の周縁部側に位置するとともに、発光面18を挟んで相互に反対側に位置している。
【0028】
陰極14の封止層16から露出している部分(図4参照)は、陰極接続部14Lおよび陰極接続部14Rを構成する。陰極接続部14L,14Rと陰極14とは互いに同じ材料で構成される。陰極接続部14Lおよび陰極接続部14Rは、発光面18の周縁部側に位置するとともに、発光面18を挟んで相互に反対側に位置している。
【0029】
以上のように構成される透明基板11、陽極12、有機層13、陰極14、絶縁層15、および封止層16等は、図示しない枠体または筐体などによって保持され、天井または壁面などに固定される。
【0030】
図5に示すように、有機ELパネル10と駆動回路20とが互いに接続された状態においては、陽極接続部12Lの略中央の位置と、陽極接続部12R内の略中央の位置とに、駆動回路20のOLED+端子が並列に接続される。陽極接続部12Lと駆動回路20のOLED+端子とが接続された部分に、給電部12L1が形成される。陽極接続部12Rと駆動回路20のOLED+端子とが接続された部分に、給電部12R1が形成される。
【0031】
同様に、有機ELパネル10と駆動回路20とが互いに接続された状態においては、陰極接続部14Lの略中央の位置と、陰極接続部14R内の略中央の位置とに、駆動回路20のOLED−端子が並列に接続される。陰極接続部14Lと駆動回路20のOLED−端子とが接続された部分に、給電部14L1が形成される。陰極接続部14Rと駆動回路20のOLED−端子とが接続された部分に、給電部14R1が形成される。
【0032】
有機ELパネル10としては、駆動回路20から出力された駆動電圧が給電部12L1,12R1,14L1,14R1を通して供給されることによって、有機層13が発光する。有機層13において生成された光は、透明基板11(発光面18)側から外部に取り出される。図2〜図4においては、透明基板11の下面の一部の領域に発光面18が形成されるように図示しているが、実際には、有機層13において生成された光は、透明基板11の下面の全体から取り出される。したがって、有機ELパネル10としては、図2〜図4に示す発光面18の外周部分からも発光される。
【0033】
(有機EL照明装置100の動作)
図6を参照して、有機EL照明装置100の動作について説明する。図6は、有機EL照明装置100の有機ELパネル10が点灯される際の、時間Tと、駆動回路20から有機ELパネル10に供給される駆動電圧Vとの関係を示す図である。
【0034】
有機EL照明装置100においては、消灯状態にある有機ELパネル10に駆動回路20が駆動電圧を供給することによって、有機ELパネル10が点灯される。図6に示すように、T0≦時間T<T1の際に、有機ELパネル10が消灯しているとする。この際、駆動回路20から有機ELパネル10に供給される駆動電圧Vの値は0であり、有機ELパネル10は消灯状態にある。
【0035】
有機ELパネル10が点灯される際、駆動回路20は、有機ELパネル10を点灯させるための指示信号を受け取った時点(時間T=T1)から、第1周波数F1を有する所定の駆動電圧を、有機ELパネル10に対して所定の時間(T1≦時間T<T2)の間供給する。T1≦時間T<T2においては、有機ELパネル10は遷移状態(詳細は後述する)を形成する。
【0036】
駆動回路20は、第1周波数F1を有する駆動電圧を有機ELパネル10に上記の所定の時間(T1≦時間T<T2)の間供給した後、T2≦時間Tからは、第2周波数F2を有する所定の駆動電圧を有機ELパネル10に対して供給する。ここで、第2周波数F2の値は、第1周波数F1の値よりも低い。
【0037】
第2周波数F2はたとえば100Hzであり、第1周波数F1はたとえば450KHzである。T2≦時間Tにおいては、第2周波数F2を有する所定の駆動電圧が有機ELパネル10に供給されることによって、有機ELパネル10は、通常の点灯状態を形成し、物体などを所望の明るさで照明することが可能となる。
【0038】
上述のとおり、有機ELパネル10(図2など参照)の発光面18は、陽極12および陰極14に挟まれた有機層13(発光部)を備える。このため、有機ELパネル10における発光部は、ダイオードとコンデンサーとが互いに並列接続されたものが、所定の方向に沿って複数配列されたものと等価的にみなすことができる。
【0039】
図7を参照して、ダイオードとコンデンサーとが互いに並列接続されたものをOLED1、OLED2、、、OLEDnとすると、発光面18内における有機ELパネル10の発光部は、図7に示すようにOLED1、OLED2、、、OLEDn、、、OLED2、OLED1が並列接続されたものとなる。
【0040】
図7においては、一方向に沿って並ぶOLED1、OLED2、、、OLEDn、、、OLED2、OLED1のみが図示されている。有機EL照明装置100の動作を厳密に説明する上では、2次元方向の分布も考慮する必要があるが、2次元方向の分布も一方向の分布も原理上は同一の特性を有するため、ここでは一方向に沿って並ぶOLED1、OLED2、、、OLEDn、、、OLED2、OLED1に基づき、有機EL照明装置100の動作について以下説明するものとする。加えて、ITOなどから構成される陽極12の抵抗に比べてAgなどから構成される陰極14の抵抗は極めて小さいため、図7においては、陰極14の抵抗については記載していない。
【0041】
図7に示す等価回路に対して、駆動回路20からパルス状の駆動電圧を供給したとする。図8(A)は、時間T=TAの際に閾値電圧V1よりも高い所定の電圧をOLED1に対して供給した場合の、OLED1に実際に印加される駆動電圧Vと時間Tとの関係(電圧波形)を模式的に示す図である。
【0042】
図8(A)に示すように、発光面18の周縁部に最も近いOLED1においては、陽極12の陽極抵抗の影響および発光部におけるコンデンサ成分の影響をほとんど受けることがないため、時間T=TAの際に所定の電圧が供給された場合、その供給とほぼ同時(時間T=TA)に、駆動電圧V2(V2>V1)がOLED1に印加される。時間T=TBの際に電圧の供給を停止した場合、その停止とほぼ同時(時間T=TB)に、OLED1に印加される駆動電圧は0となる。
【0043】
図8(B)は、時間T=TAの際に閾値電圧V1よりも高い所定の電圧をOLED2に対して供給した場合の、OLED2に実際に印加される駆動電圧Vと時間Tとの関係(電圧波形)を模式的に示す図である。
【0044】
図8(B)に示すように、発光面18の周縁部から離れたOLED2においては、陽極12の陽極抵抗の影響および発光部におけるコンデンサ成分の影響を受けることによって、時間T=TAの際に所定の電圧が供給された場合、時間T=TA1(TA<TA1)の際に、駆動電圧V2(V2>V1)がOLED2に印加される。時間T=TBの際に電圧の供給を停止した場合、時間T=TB1(TB<TB1)の際に、OLED2に印加される駆動電圧は0となる。
【0045】
図8(C)は、時間T=TAの際に閾値電圧V1よりも高い所定の電圧をOLEDnに対して供給した場合の、OLEDnに実際に印加される駆動電圧Vと時間Tとの関係(電圧波形)を模式的に示す図である。
【0046】
図8(C)に示すように、発光面18の略中央に位置するOLEDnにおいては、陽極12の陽極抵抗の影響および発光部におけるコンデンサ成分の影響を多く受けることによって、時間T=TAの際に所定の電圧が供給された場合、時間T=TA2(TA<TA1<TA2)の際に、駆動電圧V2(V2>V1)がOLEDnに印加される。時間T=TBの際に電圧の供給を停止した場合、時間T=TB2(TB<TB1<TB2)の際に、OLEDnに印加される駆動電圧は0となる。
【0047】
図8(A)、図8(B)、および図8(C)に示すように、パルス状の駆動電圧が供給された有機ELパネル10の発光面18内における電圧波形としては、給電部12L1,12R1,14L1,14R1(図5参照)から離れるにつれて、なまったものとなる。
【0048】
図8(C)に示すように、ここでは、TA≦時間T<TBの間に有機ELパネル10に供給される電圧に対してOLEDnに実際に印加される駆動電圧が閾値電圧V1よりも高くなるように、駆動電圧のパルス幅(時間TAと時間TBとの間の時間差)が設定されている。OLEDnに印加される駆動電圧の電圧波形はなまったものとなっているが、OLEDnに実際に印加される駆動電圧が閾値電圧V1を超えている間は、OLEDnは、OLED1およびOLED2と同様の明るさ(輝度)で発光することとなる。
【0049】
一方で、図7に示す等価回路に対して、駆動回路20から、パルス幅が図8(A)、図8(B)、および図8(C)に示す場合よりも狭いパルス状の駆動電圧を供給したとする。図9(A)は、時間T=TCの際に閾値電圧V1よりも高い所定の電圧をOLED1に対して供給した場合の、OLED1に実際に印加される駆動電圧Vと時間Tとの関係(電圧波形)を模式的に示す図である。
【0050】
図9(A)に示すように、発光面18の周縁部に最も近いOLED1においては、陽極12の陽極抵抗の影響および発光部におけるコンデンサ成分の影響をほとんど受けることがないため、時間T=TCの際に所定の電圧が供給された場合、その供給とほぼ同時(時間T=TC)に、駆動電圧V2(V2>V1)がOLED1に印加される。時間T=TDの際に電圧の供給を停止した場合、その停止とほぼ同時(時間T=TD)に、OLED1に印加される駆動電圧は0となる。
【0051】
図9(B)は、時間T=TCの際に閾値電圧V1よりも高い所定の電圧をOLED2に対して供給した場合の、OLED2に実際に印加される駆動電圧Vと時間Tとの関係(電圧波形)を模式的に示す図である。
【0052】
図9(B)に示すように、発光面18の周縁部から離れたOLED2においては、陽極12の陽極抵抗の影響および発光部におけるコンデンサ成分の影響を受けることによって、時間T=TCの際に所定の電圧が供給された場合、時間T=TC1(TC<TC1)の際に、駆動電圧V2(V2>V1)がOLED2に印加される。時間T=TDの際に電圧の供給を停止した場合、時間T=TD1(TD<TD1)の際に、OLED2に印加される駆動電圧は0となる。
【0053】
図9(C)は、時間T=TCの際に閾値電圧V1よりも高い所定の電圧をOLEDnに対して供給した場合の、OLEDnに実際に印加される駆動電圧Vと時間Tとの関係(電圧波形)を模式的に示す図である。
【0054】
図9(C)に示すように、発光面18の略中央に位置するOLEDnにおいては、陽極12の陽極抵抗の影響および発光部におけるコンデンサ成分の影響を多く受けることによって、時間T=TCの際に所定の電圧が供給された場合、時間T=TC2(TC<TC1<TC2)の際に、駆動電圧V3(V2>V3>V1)がOLEDnに印加される。時間T=TDの際に電圧の供給を停止した場合、時間T=TD2(TD<TD1<TD2)の際に、OLEDnに印加される駆動電圧は0となる。
【0055】
図9(A)、図9(B)、および図9(C)に示すように、比較的狭いパルス幅を有するパルス状の駆動電圧が供給された有機ELパネル10の発光面18内における電圧波形としても、給電部12L1,12R1,14L1,14R1(図5参照)から離れるにつれて、なまったものとなる。
【0056】
さらに、図9(C)に示す場合においては、OLEDnに実際に印加される駆動電圧が閾値電圧V1を超えている時間は、図8(C)の場合に比べて短い。図9(C)に示す場合のOLEDnは、OLED1およびOLED2に比べて暗い明るさ(輝度)で発光することとなる。このように、狭いパルス幅では、発光面18内において輝度分布が生じる割合が高くなる。
【0057】
本実施の形態の有機EL照明装置100は、この原理を利用する。有機ELパネル10に対して通常の点灯状態(図6参照)を形成させる際には、図8(A)、図8(B)、および図8(C)に示すような比較的広いパルス幅を有する第2周波数F2(図6参照)の駆動電圧が、有機ELパネル10に対して供給される。点灯状態においては、有機ELパネル10は発光面18が均一に発光するように点灯する。
【0058】
一方、有機EL照明装置100は、有機ELパネル10を消灯状態から点灯状態に遷移させる際には(遷移状態の際には)、図9(A)、図9(B)、および図9(C)に示すような比較的狭いパルス幅を有する第1周波数F1(図6参照)の駆動電圧が、有機ELパネル10に対して供給される。上述のとおり、第1周波数F1の値は、第2周波数F2の値よりも高い。すなわち、遷移状態においては、図9(A)、図9(B)、および図9(C)に示すような輝度分布が生じるような第1周波数F1を有する駆動電圧が、有機ELパネル10に対して供給される。
【0059】
図10および図11に示すように、有機ELパネル10の発光面18内におけるX−X線上に沿った位置X1および位置X2の間の輝度分布は、消灯状態(T0≦時間T<T1)においては輝度L=0で均一となる。遷移状態(T1≦時間T<T2)においては、発光面18の周縁部に比べて、発光面18の中央部の方が暗くなる。点灯状態(T2≦時間T)においては所定の輝度で均一となる。ここで、遷移状態(T1≦時間T<T2)の時間間隔としては、たとえば、1秒≦(T2−T1)≦10秒程度であることが好ましい。
【0060】
(作用・効果)
以上説明したように、有機EL照明装置100においては、有機ELパネル10が点灯されるにあたって有機ELパネル10が消灯状態、遷移状態、および点灯状態を順次形成することによって、発光面18内の周縁部に比べて発光面18内の中央部の方が遅く明るくなる。したがって、有機EL照明装置100によれば、照明上の特殊な演出効果を発揮することが可能となる。
【0061】
なお、本実施の形態においては、点灯状態(T2≦時間T)の際に有機ELパネル10が均一に発光するように駆動されるが、点灯状態(T2≦時間T)の際に、有機ELパネル10は必ずしも均一に発光していなくてもよく、実質的に均一に近い状態で発光していてもよく、多少の輝度ムラが存在する状態で発光していてもよい。
【0062】
(第1変形例)
図6を参照して上述したように、実施の形態1においては、遷移状態の際に有機ELパネル10に供給される駆動電圧の第1周波数F1の値は、点灯状態の際に有機ELパネル10に供給される駆動電圧の第2周波数F2の値よりも高くなるように設定される。
【0063】
図12に示すように、点灯状態の際に有機ELパネル10に供給される駆動電圧としては、直流に応じた駆動電圧が有機ELパネル10に供給されてもよい。この場合も、第1周波数F1の値は、第2周波数F2(周波数=0)の値よりも高くなる。すなわち、第1周波数F1の値が第2周波数F2の値よりも高い場合には、点灯状態の際に、直流に応じた駆動電圧が有機ELパネル10に供給される場合が含まれるものである。
【0064】
本変形例における有機EL照明装置においても、有機ELパネル10が点灯されるにあたって有機ELパネル10が消灯状態、遷移状態、および点灯状態を順次形成することによって、発光面18内の周縁部に比べて発光面18内の中央部の方が遅く明るくなる。したがって、本変形例における有機EL照明装置によっても、照明上の特殊な演出効果を発揮することが可能となる。
【0065】
(第2変形例)
図13に示すように、本変形例の遷移状態においては、有機ELパネル10を点灯させるための指示信号を受け取った時点(時間T=T1)から、駆動回路20は、第1周波数F1A,F1B,F1Cを有する所定の駆動電圧を、有機ELパネル10に対して所定の時間(T1≦時間T<T2)の間に順次供給する。本変形例の駆動回路20は、第1周波数F1A,F1B,F1Cの各周波数値が、順に低くなるように変化させる。
【0066】
T1≦時間T<T1Aの間に、駆動回路20は、第1周波数F1Aを有する駆動電圧を有機ELパネル10に対して供給する。次に、T1A≦時間T<T1Bの間に、駆動回路20は、第1周波数F1Bを有する駆動電圧を有機ELパネル10に対して供給する。ここで、第1周波数F1Bの値は、第1周波数F1Aの値よりも低い。第1周波数F1Aはたとえば500KHzであり、第1周波数F1Bはたとえば450KHzである。
【0067】
第1周波数F1Aよりも低い第1周波数F1Bを有する駆動電圧が有機ELパネル10に対して供給されることによって、発光面18内における輝度分布は緩和される方向(発光面18の全体としての輝度が均一に近づく方向)に変化する。
【0068】
その後、T1B≦時間T<T2の間に、駆動回路20は、第1周波数F1Cを有する駆動電圧を有機ELパネル10に対して供給する。第1周波数F1Cの値は、第1周波数F1Bの値よりも低い。第1周波数F1Cは、たとえば100Hzである。この場合、波形なまりは発光面18の輝度に影響を与えない程度であるため、発光面18内はほぼ均一に発光する。100Hz程度の周波数であれば、駆動回路20においてスイッチングロスが発生することも少なく、使用者がフリッカを感じることもほとんどない。
【0069】
T2≦時間Tにおいては、第2周波数F2を有する所定の駆動電圧(ここでは直流)が有機ELパネル10に供給されることによって、有機ELパネル10は、通常の点灯状態を形成する。
【0070】
図14に示すように、本変形例の有機ELパネル10は、T0≦時間T<T1の消灯状態から、T1≦時間T<T1A、T1A≦時間T<T1B、およびT1B≦時間T<T2の3段階の輝度変化を含む遷移状態を経て、T2≦時間Tの点灯状態を形成する。
【0071】
遷移状態において複数の輝度変化が得られることによって、本変形例の有機ELパネル10は、発光面18内の周縁部に比べて発光面18内の中央部の方を遅く明るくさせる際に(消灯状態から点灯状態に遷移する遷移状態の際に)、滑らかに輝度を変化させることができる。したがって、本変形例の有機EL照明装置によれば、照明上のより品質の高い演出効果を発揮することが可能となる。
【0072】
(第3変形例)
図15に示すように、本変形例における有機EL照明装置101は、有機ELパネル10の陽極12(アノード)および陰極14(カソード)をショートするためのトランジスタ25をさらに備える。トランジスタ25は、たとえばFET(Field effect transistor)であり、有機ELパネル10の陽極12および陰極14に対してそれぞれ接続される。
【0073】
図7〜図9を参照して上述したように、有機ELパネル10にパルス状の駆動電圧を供給すると、有機ELパネル10の陽極12の陽極抵抗の影響および発光部におけるコンデンサ成分の影響を受けることによって、有機ELパネル10における電圧波形がなまる。上述の実施の形態1の有機EL照明装置100に用いられる駆動回路20(図1参照)においては、有機ELパネル10と直列接続されたトランジスタ23をONまたはOFFすることによって、有機ELパネル10に対してパルス状の駆動電圧が供給される。
【0074】
上述の実施の形態1の有機EL照明装置100の有機ELパネル10においては、トランジスタ23がONからOFFに切り換えられた場合であっても、有機ELパネル10のコンデンサ成分の影響によって駆動電圧は十分に放電されず、有機ELパネル10に供給された駆動電圧は、発光開始電圧(閾値電圧)付近で保持されてしまう。
【0075】
そのため、上述の実施の形態1の有機ELパネル10においては、次にトランジスタ23をONにした場合、発光開始電圧(閾値電圧)付近の電圧値を起点とする波形なまりに基づいて、発光面18内の周縁部に比べて発光面18内の中央部の方が遅く明るくなるという照明上の演出が行なわれる。
【0076】
これに対して本変形例においては、トランジスタ23がONからOFFに切り換えられた場合に、トランジスタ25の動作によって、有機ELパネル10のコンデンサ成分として残留している駆動電圧が0に戻される。トランジスタ25は、トランジスタ23と交互にONになることによって、トランジスタ23がOFFのときに、有機ELパネル10のコンデンサ成分に充電された電荷を放電する。
【0077】
トランジスタ25の動作によって、トランジスタ23がONからOFFに切り換えられた場合であっても、有機ELパネル10の両端における電圧は0になる。本変形例の有機ELパネル10においては、次にトランジスタ23をONにした場合、0の電圧値を起点とする波形なまりに基づいて、発光面18内の周縁部に比べて発光面18内の中央部の方が遅く明るくなるという照明上の演出が行なわれる。
【0078】
したがって本変形例の有機EL照明装置101によれば、上述の実施の形態1の有機EL照明装置100に比べて、遷移状態の際に発光面18内に輝度ムラが多く形成されるため、照明上のより際立った演出効果を発揮することが可能となる。
【0079】
[実施の形態2]
図16に示す有機EL照明装置102のように、駆動回路20は、PWM制御部21A(PWM:Pulse Width Modulation)、およびまたは、電圧制御部24Aを含んでいてもよい。換言すると、駆動回路20には、PWM制御部21Aのみが含まれていてもよく、電圧制御部24Aのみが含まれていてもよい。
【0080】
駆動回路20にPWM制御部21Aが含まれる場合、PWM制御部21Aは、マイコン21内に設けられるとよい。駆動回路20に電圧制御部24Aが含まれる場合、電圧制御部24Aは、定電圧回路24内に設けられるとよい。有機EL照明装置102には、上述のトランジスタ25(図15参照)がさらに設けられていてもよい。
【0081】
図17および図18を参照して、駆動回路20がPWM制御部21Aを含む場合、PWM制御部21Aは、遷移状態の際に有機ELパネル10に供給する駆動電圧(駆動波形)のデューティを制御する。本実施の形態におけるPWM制御部21Aは、T1≦T<T1Cの際はデューティを50%に設定し、T1C≦T<T2の際はデューティを75%に設定する。
【0082】
T1B≦T<T1Cの際に比べてT1C≦T<T2の際の方が、発光面18内の全体としての輝度が明るくなる。発光面18内の周縁部に比べて発光面18内の中央部の方を遅く明るくさせる際に(消灯状態から点灯状態に遷移する遷移状態の際に)、滑らかに輝度を変化させることが可能となる。
【0083】
図19および図20を参照して、駆動回路20が電圧制御部24Aを含む場合、電圧制御部24Aは、遷移状態の際に有機ELパネル10に供給する駆動電圧の電圧値を制御する。本実施の形態における電圧制御部24Aは、T1≦T<T1Aの際は駆動電圧を電圧値VAに設定し、T1A≦T<T2の際は駆動電圧を電圧値VBに設定する。電圧値VAは、電圧値VBの約半分の値である。
【0084】
T1≦T<T1AからT1A≦T<T1Bに遷移する際、駆動電圧を上記のように変化させることによって、発光面18内においては輝度ムラが多く形成される。当該構成によれば、照明上のより際立った演出効果を発揮することが可能となる。
【0085】
[実施の形態3]
上述の各実施の形態および各変形例においては、有機ELパネル10が点灯される際の動作について説明した。本実施の形態における有機EL照明装置によれば、有機ELパネル10が消灯される際に、発光面18内の周縁部に比べて発光面18内の中央部の方が早く暗くなるように有機ELパネルを消灯させたりするといった、照明上の特殊な演出効果を発揮することができる。
【0086】
図21および図22を参照して、具体的には、有機ELパネル10は、T3≦時間T<T4の際に、第3周波数F3を有する所定の駆動電圧が供給されることによって、通常の点灯状態を形成している。
【0087】
有機ELパネル10が消灯される際、駆動回路20は、有機ELパネル10を消灯させるための指示信号を受け取った時点(時間T=T4)から、第4周波数F4を有する所定の駆動電圧を、有機ELパネル10に対して所定の時間(T4≦時間T<T5)の間供給する。
【0088】
ここで、第4周波数F4の値は、第3周波数F3の値よりも高い。第3周波数F3はたとえば100Hzであり、第4周波数F4はたとえば450KHzである。T4≦時間T<T5においては、有機ELパネル10は遷移状態を形成する。
【0089】
駆動回路20は、第4周波数F4を有する駆動電圧を有機ELパネル10に上記の所定の時間(T4≦時間T<T5)の間供給した後、T5≦時間Tからは、有機ELパネル10への駆動電圧の供給を停止する。有機ELパネル10は、消灯状態を形成する。
【0090】
本実施の形態の有機EL照明装置は、有機ELパネル10に対して通常の点灯状態(図21参照)を形成させる際には、上述の図8(A)、図8(B)、および図8(C)に示すような比較的広いパルス幅を有する第3周波数F3(図21参照)の駆動電圧が、有機ELパネル10に対して供給される。点灯状態においては、有機ELパネル10は発光面18が均一に発光するように点灯する。
【0091】
一方、本実施の形態の有機EL照明装置は、有機ELパネル10を点灯状態から消灯状態に遷移させる際には(遷移状態の際には)、上述の図9(A)、図9(B)、および図9(C)に示すような比較的狭いパルス幅を有する第4周波数F4(図21参照)の駆動電圧が、有機ELパネル10に対して供給される。上述のとおり、第4周波数F4の値は、第3周波数F3の値よりも高い。すなわち、遷移状態においては、図9(A)、図9(B)、および図9(C)に示すような輝度分布が生じるような第4周波数F4を有する駆動電圧が有機ELパネル10に対して供給される。
【0092】
図22に示すように、位置X1および位置X2の間の輝度分布は、点灯状態(T3≦時間T<T4)においては所定の輝度で均一となる。遷移状態(T4≦時間T<T5)においては、発光面18内の周縁部に比べて、発光面18の中央部内の方が暗くなる。消灯状態(T5≦時間T)においては、輝度L=0となる。
【0093】
(作用・効果)
以上説明したように、本実施の形態の有機EL照明装置においては、有機ELパネル10が消灯されるにあたって有機ELパネル10が点灯状態、遷移状態、および消灯状態を順次形成することによって、発光面18の周縁部内に比べて発光面18の中央部内の方が早く暗くなる。したがって、本実施の形態の有機EL照明装置によっても、照明上の特殊な演出効果を発揮することが可能となる。
【0094】
(第1変形例)
図23に示すように、本変形例の遷移状態においては、有機ELパネル10を消灯させるための指示信号を受け取った時点(時間T=T4)から、駆動回路20は、第4周波数F4A,F4B,F4Cを有する所定の駆動電圧を、有機ELパネル10に対して所定の時間(T4≦時間T<T5)の間に順次供給する。本変形例の駆動回路20は、第4周波数F4A,F4B,F4Cの各周波数値が、順に高くなるように変化させる。
【0095】
T4≦時間T<T4Aの間に、駆動回路20は、第4周波数F4Aを有する駆動電圧を有機ELパネル10に対して供給する。次に、T4A≦時間T<T4Bの間に、駆動回路20は、第4周波数F4Bを有する駆動電圧を有機ELパネル10に対して供給する。ここで、第4周波数F4Bの値は、第4周波数F4Aの値よりも高い。第4周波数F4Aはたとえば100Hzであり、第4周波数F4Bはたとえば450KHzである。
【0096】
その後、T4B≦時間T<T5の間に、駆動回路20は、第4周波数F4Cを有する駆動電圧を有機ELパネル10に対して供給する。第4周波数F4Cの値は、第4周波数F4Bの値よりも高い。第4周波数F4Cは、たとえば500KHzである。
【0097】
駆動回路20は、第4周波数F4Cを有する駆動電圧を有機ELパネル10に上記の所定の時間(T4B≦時間T<T5)の間供給した後、T5≦時間Tからは、有機ELパネル10への駆動電圧の供給を停止する。有機ELパネル10は、消灯状態を形成する。
【0098】
図24に示すように、本変形例の有機ELパネル10は、T3≦時間T<T4の点灯状態から、T4≦時間T<T4A、T4A≦時間T<T4B、およびT4B≦時間T<T5の3段階の輝度変化を含む遷移状態を経て、T5≦時間Tの消灯状態を形成する。
【0099】
遷移状態において複数の輝度変化が得られることによって、本変形例の有機ELパネル10は、発光面18内の周縁部に比べて発光面18内の中央部の方を早く暗くさせる際に(点灯状態から消灯状態に遷移する遷移状態の際に)、滑らかに輝度を変化させることができる。したがって、本変形例の有機EL照明装置によれば、照明上のより品質の高い演出効果を発揮することが可能となる。
【0100】
(第2変形例)
図25および図26を参照して、駆動回路20がPWM制御部21A(図16参照)を含む場合、PWM制御部21Aは、遷移状態の際に有機ELパネル10に供給する駆動電圧(駆動波形)のデューティを制御する。本変形例におけるPWM制御部21Aは、T4≦T<T4Aの際はデューティを75%に設定し、T4A≦T<T5の際はデューティを50%に設定する。
【0101】
T4≦T<T4Aの際に比べてT4A≦T<T4Bの際の方が、発光面18内の全体としての輝度が暗くなる。発光面18内の周縁部に比べて発光面18内の中央部の方を早く暗くさせる際に(点灯状態から消灯状態に遷移する遷移状態の際に)、滑らかに輝度を変化させることが可能となる。
【0102】
(第3変形例)
図27および図28を参照して、駆動回路20が電圧制御部24A(図16参照)を含む場合、電圧制御部24Aは、遷移状態の際に有機ELパネル10に供給する駆動電圧の電圧値を制御する。本変形例における電圧制御部24Aは、T4≦T<T4Cの際は駆動電圧を電圧値VBに設定し、T4C≦T<T5の際は駆動電圧を電圧値VAに設定する。電圧値VAは、電圧値VBの約半分の値である。
【0103】
T4B≦T<T4CからT4C≦T<T5に遷移する際、駆動電圧を上記のように変化させることによって、発光面18内においては輝度ムラが多く形成される。照明上のより際立った演出効果を発揮することが可能となる。
【0104】
[実施の形態4]
上述の実施の形態1,2および各変形例においては、有機ELパネル10が点灯される際の動作について説明した。上述の実施の形態3および各変形例においては、有機ELパネル10が消灯される際の動作について説明した。
【0105】
本実施の形態における有機EL照明装置は、有機ELパネル10の輝度が変化される際に(有機ELパネル10が調光される際に)、発光面18内の周縁部に比べて発光面18内の中央部の方が遅く明るくなるように有機ELパネルを調光させたりするといった、照明上の特殊な演出効果を発揮する。
【0106】
図29および図30を参照して、具体的には、有機ELパネル10は、T6≦時間T<T7の際に、デューティが25%である第6周波数F6を有する所定の駆動電圧が供給されることによって、輝度が25%である点灯状態を形成している。
【0107】
輝度が25%から75%にまで上昇するように有機ELパネル10が調光される際、駆動回路20は、有機ELパネル10を調光させるための指示信号を受け取った時点(時間T=T7)から、第7周波数F7A,F7B,F7Cを有する所定の駆動電圧を、有機ELパネル10に対して所定の時間(T7≦時間T<T8)の間に順に供給する。本実施の形態の駆動回路20は、第7周波数F7A,F7B,F7Cの各デューティおよび各周波数値を以下のように変化させる。
【0108】
T7≦時間T<T7Aの間に、駆動回路20は、第7周波数F7Aを有する駆動電圧を有機ELパネル10に対して供給する。ここで、第6周波数F6の周波数値はたとえば100Hzであり、第6周波数F6のデューティはたとえば25%である。第7周波数F7Aの周波数値はたとえば500KHzであり、第7周波数F7Aのデューティはたとえば40%である。
【0109】
次に、T7A≦時間T<T7Bの間に、駆動回路20は、第7周波数F7Bを有する駆動電圧を有機ELパネル10に対して供給する。第7周波数F7Bの周波数値はたとえば450KHzであり、第7周波数F7Bのデューティはたとえば40%である。
【0110】
その後、T7B≦時間T<T8の間に、駆動回路20は、第7周波数F7Cを有する駆動電圧を有機ELパネル10に対して供給する。第7周波数F7Cの周波数値はたとえば100Hzであり、第7周波数F7Cのデューティはたとえば50%である。
【0111】
駆動回路20は、第7周波数F7Cを有する駆動電圧を有機ELパネル10に上記の所定の時間(T7B≦時間T<T8)の間供給した後、T8≦時間Tからは、第8周波数F8を有する駆動電圧を有機ELパネル10に対して供給する。第8周波数F8の周波数値はたとえば100Hzであり、第8周波数F8のデューティはたとえば75%である。
【0112】
図30に示すように、本実施の形態の有機ELパネル10は、T6≦時間T<T7の点灯状態から、T7≦時間T<T7A、T7A≦時間T<T7B、およびT7B≦時間T<T8の3段階の輝度変化を含む遷移状態を経て、T8≦時間Tの点灯状態を形成する。有機ELパネル10の輝度は、T6≦時間T<T7の点灯状態に比べて、T8≦時間Tの点灯状態の方が明るい。
【0113】
本変形例の有機ELパネル10は、点灯状態からこの点灯状態よりも明るい点灯状態に遷移する遷移状態の際に、発光面18内の周縁部に比べて発光面18内の中央部の方を遅く明るくさせることが可能になる。本変形例の有機ELパネル10は、遷移状態において複数の輝度変化が得られることによって、滑らかに輝度を変化させることもできる。したがって、本変形例の有機EL照明装置によっても、照明上のより品質の高い演出効果を発揮することが可能となる。
【0114】
本実施の形態の有機EL照明装置においては、上述の逆の順序で有機ELパネル10が調光されてもよい。その構成によれば、点灯状態からこの点灯状態よりも暗い点灯状態に遷移する際に、発光面18内の周縁部に比べて発光面18内の中央部の方を早く暗くさせることができるとともに、滑らかに輝度を変化させることができる。当該構成によっても、照明上のより品質の高い演出効果を発揮することが可能となる。
【0115】
[実施の形態5]
図31を参照して、本実施の形態における有機EL照明装置103においては、陽極12の給電部12L1と駆動回路20とが互いに接続されており、有機ELパネル10に対しては給電部12L1,14L1,14R1から給電される。
【0116】
本実施の形態における有機EL照明装置103によれば、上述の各実施の形態のような駆動波形を有する駆動電圧を有機ELパネル10に供給すると、輝度分布としては、発光面18内の陽極接続部12L側の方が明るくて、発光面18内の陽極接続部12R側の方が暗くなる。点灯の際には、陽極接続部12R側の方が陽極接続部12Lの方に比べて遅く明るくなるような演出効果を発揮することが可能となる。消灯の際には、陽極接続部12R側の方が陽極接続部12Lの方に比べて早く暗くなるような演出効果を発揮することが可能となる。
【0117】
[実施の形態6]
図32を参照して、本実施の形態における有機EL照明装置104は、有機ELパネル10Aおよび有機ELパネル10Bを備える。有機ELパネル10Aおよび有機ELパネル10Bは、同形状を有するとともに、互いに隣接するように配置される。
【0118】
有機ELパネル10Aにおいては、陽極12の給電部12L1と駆動回路20とが互いに接続されており、有機ELパネル10Aに対しては給電部12L1,14L1,14R1から給電される。有機ELパネル10Bにおいては、陽極12の給電部12R1と駆動回路20とが互いに接続されており、有機ELパネル10Bに対しては給電部12R1,14L1,14R1から給電される。
【0119】
本実施の形態における有機EL照明装置104によれば、上述の各実施の形態のような駆動波形を有する駆動電圧を有機ELパネル10A,10Bに供給すると、輝度分布としては、有機ELパネル10Aの発光面18については陽極接続部12L側が明るくなるとともに陽極接続部12R側が暗くなり、有機ELパネル10Bの発光面18については陽極接続部12Lが暗くなるとともに陽極接続部12Rが明るくなる。
【0120】
点灯の際には、有機ELパネル10A,10Bの全体としての発光面18内の周縁部に比べて、有機ELパネル10A,10Bの全体としての発光面18内の中央部の方が遅く明るくなるように点灯されるような演出効果を発揮することが可能となる。消灯の際には、有機ELパネル10A,10Bの全体としての発光面18内の周縁部に比べて、有機ELパネル10A,10Bの全体としての発光面18内の中央部の方が早く暗くなるように消灯されるような演出効果を発揮することが可能となる。
【0121】
[実施の形態7]
図33を参照して、本実施の形態における有機EL照明装置105は、有機ELパネル10A〜10Cと、駆動回路20A,20Bとを備える。有機ELパネル10A〜10Cは、同形状を有するとともに、互いに隣接するように配置される。
【0122】
有機ELパネル10Aにおいては、陽極12の給電部12L1と駆動回路20Bとが互いに接続されており、有機ELパネル10Aに対しては給電部12L1,14L1,14R1から給電される。有機ELパネル10Bにおいては、陽極12の給電部12L1,12R1と駆動回路20Aとが互いに接続されており、有機ELパネル10Bに対しては給電部12L1,12R1,14L1,14R1から給電される。有機ELパネル10Cにおいては、陽極12の給電部12R1と駆動回路20Bとが互いに接続されており、有機ELパネル10Cに対しては給電部12R1,14L1,14R1から給電される。
【0123】
本実施の形態における有機EL照明装置105によれば、上述の各実施の形態のような駆動波形を有する駆動電圧を有機ELパネル10A〜10Cに供給すると、輝度分布としては、有機ELパネル10Aの発光面18については陽極接続部12L側が明るくなるとともに陽極接続部12R側が暗くなり、有機ELパネル10Bの発光面18については陽極接続部12L側および陽極接続部12R側の双方が明るくなり、有機ELパネル10Cの発光面18については陽極接続部12L側が暗くなるとともに陽極接続部12R側が明るくなる。
【0124】
点灯の際には、有機ELパネル10A〜10Cの全体として、デューティおよび電圧値を制御することによって、発光面18内の周縁部に比べて発光面18内の中央部の方が遅く明るくなるように点灯されるような演出効果を発揮することが可能となる。消灯の際には、有機ELパネル10A〜10Cの全体として、デューティおよび電圧値を制御することによって、発光面18内の周縁部に比べて発光面18内の中央部の方が早く暗くなるように消灯されるような演出効果を発揮することが可能となる。
【0125】
[実施の形態8]
図34を参照して、本実施の形態における有機EL照明装置106は、陽極12の陽極接続部12Lに、給電部12L1,12L2,12L3が設けられる。同様に、陽極12の陽極接続部12Rに、給電部12R1,12R2,12R3が設けられる。
【0126】
給電部12L1は、給電部12L2よりも陽極接続部12L内において陰極接続部14R寄りに位置し、給電部12L3は、給電部12L2よりも陽極接続部12L内において陰極接続部14L寄りに位置する。給電部12R1は、給電部12R2よりも陽極接続部12R内において陰極接続部14R寄りに位置し、給電部12R3は、給電部12R2よりも陽極接続部12R内において陰極接続部14R寄りに位置する。
【0127】
駆動回路20から給電部12L1,12L3を通した有機ELパネル10(陽極接続部12L)への給電は、トランジスタ28の動作によって、接続および非接続が切り換えられる。同様に、駆動回路20から給電部12R1,12R3を通した有機ELパネル10(陽極接続部12R)への給電も、トランジスタ28の動作によって、接続および非接続が切り換えられる。トランジスタ28(スイッチ手段)は、たとえばFET(Field effect transistor)から構成される。
【0128】
トランジスタ28は、駆動回路20内のマイコンの出力ポートに接続されている。駆動回路20は、有機ELパネル10の駆動のタイミングと同期して、トランジスタ28を制御することが可能である。
【0129】
図35(A)および図35(B)に示すように、本実施の形態の有機EL照明装置106においては、遷移状態中のT1≦時間T<T1Bの際に、トランジスタ28がOFF(非接続)の状態とされる。有機ELパネル10が消灯状態から点灯状態に遷移する遷移状態の際のT1≦時間T<T1Bにおいては、有機ELパネル10に対しては給電部12L2,12R2,14L1,14R1から給電される。
【0130】
有機ELパネル10が消灯状態から点灯状態に遷移する遷移状態の際のT1B≦時間T<T2においては、トランジスタ28がON(接続)の状態とされる。T1B≦時間T<T2においては、有機ELパネル10に対しては給電部12L1,12L2,12L3,12R1,12R2,12R3,14L1,14R1から給電される。
【0131】
遷移状態の中の駆動周波数が比較的高い時間(T1≦時間T<T1B)の間に、トランジスタ28が、駆動回路20と複数のうちの一部の給電部(給電部12L1,12L3,12R1,12R3)との間の電気的接続を遮断することによって、有機ELパネル10に対して駆動回路20からの駆動電圧を供給する給電部の数が減少する。
【0132】
T1≦時間T<T1Bの間においては、陽極12への駆動電圧の供給量が低くなるため、発光面18内に輝度ムラが多く形成される。発光面18の周縁部に比べて発光面18の中央部の方が遅く明るくなるという照明上の演出が行なわれる際に、より際立った演出効果を発揮することが可能となる。
【0133】
T1B≦時間Tにおいては、トランジスタ28がON(接続)の状態とされることによって、給電部の数が増加する。駆動回路20は、有機ELパネル10の発光面18内を均一に発光させることが可能となる。
【0134】
本実施の形態においては、有機ELパネル10が消灯状態から点灯状態に遷移する際の態様に基づいて説明したが、有機ELパネル10が点灯状態から消灯状態に遷移する際にも、トランジスタ28は上記と同様の動作を行なってもよい。
【0135】
たとえば図25に示すT4B≦時間T<T5の間においてトランジスタ28がOFF(非接続)の状態とされることによって、T4B≦時間T<T5の間においては、陽極12への駆動電圧の供給量が低くなるため、発光面18内に輝度ムラが多く形成される。発光面18内の周縁部に比べて発光面18内の中央部の方が早く暗くなるという照明上の演出が行なわれる際に、より際立った演出効果を発揮することが可能となる。
【0136】
(変形例)
上述の実施の形態8においては、有機ELパネル10が点灯状態から消灯状態に遷移する際、遷移状態の略前半にわたって、トランジスタ28がOFF(非接続)の状態とされる。
【0137】
図36(A)および図36(B)を参照して、遷移状態の全てにわたって、トランジスタ28がOFF(非接続)の状態とされてもよい。当該構成によっても、発光面18内の周縁部に比べて発光面18内の中央部の方が遅く明るくなるという照明上の演出が行なわれる際に、より際立った演出効果を発揮することが可能となる。
【0138】
有機ELパネル10が点灯状態から消灯状態に遷移する際にも、トランジスタ28は、上記と同様の動作を行なってもよい。
【0139】
たとえば図25に示すT4≦時間T<T5の間においてトランジスタ28がOFF(非接続)の状態とされることによって、T4≦時間T<T5の間においては、陽極12への駆動電圧の供給量が低くなるため、発光面18内に輝度ムラが多く形成される。発光面18内の周縁部に比べて発光面18内の中央部の方が早く暗くなるという照明上の演出が行なわれる際に、より際立った演出効果を発揮することが可能となる。
【0140】
以上、本発明に基づいた各実施の形態および各変形例について説明したが、今回開示された各実施の形態および各変形例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0141】
10,10A,10B,10C 有機ELパネル、11 透明基板、12 陽極、12L,12R 陽極接続部、12L1,12L2,12L3,12R1,12R2,12R3,14L1,14R1 給電部、13 有機層、14 陰極、14L,14R 陰極接続部、15 絶縁層、16 封止層、18 発光面、20,20A,20B 駆動回路、21 マイコン、21A 制御部、22 メモリー、23,25,28 トランジスタ、24 定電圧回路、24A 電圧制御部、30 電源、40 操作部、100,101,102,103,104,105,106 照明装置、F1,F1A,F1B,F1C 第1周波数、F2 第2周波数、F3 第3周波数、F4,F4A,F4B,F4C 第4周波数、F6 第6周波数、F7A,F7B,F7C 第7周波数、F8 第8周波数。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流またはパルス状の駆動波形を生成し、前記駆動波形に応じた駆動電圧を出力する駆動回路と、
発光面および前記発光面の周縁部側に設けられた複数の給電部を含み、前記駆動回路から出力された前記駆動電圧が複数の前記給電部から供給される有機ELパネルと、を備え、
消灯状態にある前記有機ELパネルに前記駆動回路が前記駆動電圧を供給することによって前記有機ELパネルを点灯させる際、前記駆動回路は、前記有機ELパネルを点灯させるための指示信号を受け取った時点から第1周波数を有する前記駆動電圧を前記有機ELパネルに所定の時間の間供給することによって、前記発光面内の前記周縁部側に比べて前記発光面内の中央部側の方が遅く明るくなるように前記有機ELパネルを点灯させ、
前記駆動回路は、前記第1周波数を有する前記駆動電圧を前記有機ELパネルに前記所定の時間の間供給した後、前記第1周波数よりも低い第2周波数を有する前記駆動電圧を前記有機ELパネルに供給することによって、前記有機ELパネルを点灯状態とさせる、
有機EL照明装置。
【請求項2】
前記所定の時間の間、前記駆動回路は、前記第1周波数の周波数値が徐々に低くなるように変化させる、
請求項1に記載の有機EL照明装置。
【請求項3】
前記駆動回路は、前記駆動波形のデューティを制御するPWM制御部を含み、
前記所定の時間の間、前記PWM制御部は、前記駆動波形の前記デューティを変化させる、
請求項1または2に記載の有機EL照明装置。
【請求項4】
前記駆動回路は、前記駆動電圧の電圧値を制御する電圧制御部を含み、
前記所定の時間の間、前記電圧制御部は、前記駆動電圧の前記電圧値を変化させる、
請求項1から3のいずれかに記載の有機EL照明装置。
【請求項5】
前記駆動回路と複数の前記給電部との間に配置されるスイッチ手段をさらに備え、
前記所定の時間の間、前記スイッチ手段は、前記駆動回路と複数のうちの一部の前記給電部との間の電気的接続を切断することによって、前記有機ELパネルに前記駆動電圧を供給する前記給電部の数を減少させる、
請求項1から4のいずれかに記載の有機EL照明装置。
【請求項6】
直流またはパルス状の駆動波形を生成し、前記駆動波形に応じた駆動電圧を出力する駆動回路と、
発光面および前記発光面の周縁部側に設けられた複数の給電部を含み、前記駆動回路から出力された前記駆動電圧が複数の前記給電部から供給される有機ELパネルと、を備え、
前記有機ELパネルは、前記駆動回路から第3周波数を有する前記駆動電圧を供給されることによって点灯状態とされ、
前記点灯状態にある前記有機ELパネルへの前記駆動電圧の供給を前記駆動回路が停止することによって前記有機ELパネルを消灯させる際、前記駆動回路は、前記有機ELパネルを消灯させるための指示信号を受け取った時点から前記第3周波数よりも高い第4周波数を有する前記駆動電圧を前記有機ELパネルに所定の時間の間供給することによって、前記発光面内の前記周縁部側に比べて前記発光面内の中央部側の方が早く暗くなるように前記有機ELパネルを消灯させ、
前記駆動回路は、前記第4周波数を有する前記駆動電圧を前記有機ELパネルに前記所定の時間の間供給した後、前記有機ELパネルへの前記駆動電圧の供給を停止することによって、前記有機ELパネルを消灯状態とさせる、
有機EL照明装置。
【請求項7】
前記所定の時間の間、前記駆動回路は、前記第4周波数の周波数値が徐々に高くなるように変化させる、
請求項6に記載の有機EL照明装置。
【請求項8】
前記駆動回路は、前記駆動波形のデューティを制御するPWM制御部を含み、
前記所定の時間の間、前記PWM制御部は、前記駆動波形の前記デューティを変化させる、
請求項6または7に記載の有機EL照明装置。
【請求項9】
前記駆動回路は、前記駆動電圧の電圧値を制御する電圧制御部を含み、
前記所定の時間の間、前記電圧制御部は、前記駆動電圧の前記電圧値を変化させる、
請求項6から8のいずれかに記載の有機EL照明装置。
【請求項10】
前記駆動回路と複数の前記給電部との間に配置されるスイッチ手段をさらに備え、
前記所定の時間の間、前記スイッチ手段は、前記駆動回路と複数のうちの一部の前記給電部との間の電気的接続を切断することによって、前記有機ELパネルに前記駆動電圧を供給する前記給電部の数を減少させる、
請求項6から9のいずれかに記載の有機EL照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2013−89453(P2013−89453A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228849(P2011−228849)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】