説明

木造建築用の接合金具及び木造建築物における柱と梁の連結構造

【課題】差し込み部を連結溝に差し込む際に差し込み部と連結溝との位置が多少ずれたとしても、差し込み部を連結溝に対し容易に差し込むことができる木造建築用の接合金具及び木造建築物における柱と梁の連結構造を提供する。
【解決手段】連結溝21は上方から下方へいくにしたがって幅寸法が徐々に小さくなっており、差し込み部41も連結溝21の形状に対応して上方から下方へいくにしたがって幅寸法が徐々に小さくなっている。連結溝21の上端部は差し込み部41の下端部よりも幅寸法が大きくなっており、差し込み部41の下端部を連結溝21の上端部に差し込んだ状態では、差し込み部41の側面と連結溝21の側面との間に隙間があく。差し込み部41が連結溝21に完全に差し込まれた状態では、差し込み部41は連結溝21に対しガタのない状態でぴったり嵌り込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築用の接合金具及び木造建築物における柱と梁の連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木造建築物の柱と梁とを接合する木造建築用の接合金具には、例えば特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載された建築物の2部材連結金具は垂直板状部を有しており、垂直板状部には切り欠きやボルト挿通穴が形成されている。
柱と梁とを接合する場合には、まず柱に、2部材連結金具をボルトによって固定する。そして、垂直板状部を梁の溝に入れてから、ボルトを梁と垂直板状部の切り欠きやボルト挿通穴に挿通し、このボルトの梁から突出した部分にナットを螺合する。
【0003】
上記従来の接合金具の垂直板状部は比較的薄い鋼板等から成っている。地震等が発生した場合には、垂直板状部の切り欠きやボルト挿通穴の内周面がボルトに強く当たることになるが、薄い鋼板等から成る垂直板状部の切り欠きやボルト挿通穴の内周部の厚さ寸法が小さいため、ボルトには大きなせん断力が加わることになり、ボルトが破断するおそれがある。
【0004】
そこで、連結溝を有する柱側部材と、前記連結溝に差し込まれる差し込み部を有する梁側部材とから成る接合金具を使用することが考えられる。この種の接合金具では、差し込み部を連結溝に差し込んで、柱側部材と梁側部材とを連結するので、連結溝と差し込み部が大きな面積で接合することになり、上記のような問題が発生することはない。差し込み部が連結溝に対しガタのない状態とするためには、差し込み部を連結溝にぴったり嵌まる幅寸法に形成する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−240440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、差し込み部を連結溝に差し込む際に、多少でも位置がずれると差し込み部を連結溝に差し込むことができないという問題がある。
実際の建築作業では、柱側部材を柱に取り付け、また梁側部材を梁に取り付けてから、梁をクレーン等で吊り上げて、この梁側部材の差し込み部を立設した柱に取り付けた柱側部材の連結溝に差し込むことになる。この作業において差し込み部と連結溝との位置がずれないように保つことは殆ど不可能であり、結局、上記のような差し込み部と連結溝とによって連結される接合金具は採用することができなかった。
【0007】
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、差し込み部を連結溝に差し込む際に差し込み部と連結溝との位置が多少ずれたとしても、差し込み部を連結溝に対し容易に差し込むことができる木造建築用の接合金具及び木造建築物における柱と梁の連結構造を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、柱と梁とを接合する木造建築用の接合金具であって、柱に当接する柱当接板と、前記柱当接板に固着され梁側へ突出する支持板と、前記支持板に固着され前記支持板の突出する方向と直交する方向へ突出し、且つ前記柱当接板から離間して備えられた離間板とから成り、前記柱当接板と前記支持板と前記離間板とによって画成され、且つ上面が開口する一対の連結溝が形成された柱側取付部材と、梁に当接する梁当接板と、前記梁当接板に固着され柱側へ突出する一対の側板と、前記一対の側板に設けられた一対の差し込み部とによって構成された梁側取付部材とを有し、前記差し込み部を前記連結溝に上方から差し込んで、前記柱側取付部材と前記梁側取付部材とを連結する木造建築用の接合金具において、前記連結溝は上方から下方へいくにしたがって幅寸法が徐々に小さくなるように形成され、前記差し込み部は前記連結溝の形状に対応して上方から下方へいくにしたがって幅寸法が徐々に小さくなるように形成されており、前記柱側取付部材と前記梁側取付部材とを連結した状態で、前記差し込み部が前記連結溝に嵌り込むことを特徴とする木造建築用の接合金具である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載した木造建築用の接合金具において、柱当接板の下端部には梁側へ突出する底板が固着されており、支持板と離間板は前記柱当接板と前記底板の両方に固着され、梁当接板の上端部には柱側へ突出する天板が固着されており、側板と差し込み部は前記梁当接板と前記天板の両方に固着されていることを特徴とする木造建築用の接合金具である。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載した木造建築用の接合金具において、差し込み部を連結溝に差し込んだ状態で支持板と離間板の上端面は天板の下面に当接し、且つ側板と差し込み部の下端面は底板の上面に当接することを特徴とする木造建築用の接合金具である。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載した木造建築用の接合金具において、柱当接板には柱に貫通するボルトを挿通する穴が形成され、前記穴から突出するボルトの先端部に螺合するナットは差し込み部に僅かな隙間を開けて備えられることを特徴とする木造建築用の接合金具である。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1から5に記載の木造建築用の接合金具によって柱と梁が接合されていることを特徴とする木造建築物における柱と梁の連結構造である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の木造建築用の接合金具及び木造建築物における柱と梁の連結構造によれば、差し込み部を連結溝に差し込む際に差し込み部と連結溝との位置が多少ずれたとしても、差し込み部を連結溝に対し容易に差し込むことができる。従って、差し込み部と連結溝とを有する接合金具を採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る木造建築用の接合金具の斜視図である。
【図2】図1の木造建築用の接合金具を柱と梁に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図3】木造建築用の接合金具の差し込み部を連結溝に差し込む様子を示す側面図である。
【図4】差し込み部を連結溝にさらに差し込んだ状態を示す側面図である。
【図5】差し込み部を連結溝に完全に差し込んだ状態を示す側面図である。
【図6】柱側取付部と梁側取付部とを連結した状態を示す斜視図である。
【図7】図6の木造建築用の接合金具のA−A断面図である。
【図8】図6の木造建築用の接合金具のB−B断面図である。
【図9】柱脚構造用金具の斜視図である。
【図10】柱の下端部を下側から見た斜視図である。
【図11】柱脚構造用金具によって柱を土台に連結した状態を示す側面図である。
【図12】柱脚構造用金具によって柱を土台に連結した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係る木造建築用の接合金具1を図1から図8にしたがって説明する。木造建築用の接合金具1は柱側取付部3と梁側取付部23とによって構成されている。
柱側取付部3の詳細な構成について説明する。なお、左右方向、前後方向及び上下方向をいうときは図3から図5を基準とする。
符号5は柱当接板を示し、この柱当接板5の前後方向の両端部には4つのボルト挿通穴9がそれぞれ形成されており、4つのボルト挿通穴9は上下方向に間隔をあけて配置されている。
柱当接板5の下端面には底板11が固着されており、この底板11は柱当接板5の右方向へ突出している。底板11の右端部にはボルト挿通穴13が形成されている。
【0016】
符号15は支持板を示し、この支持板15は柱当接板5の前後方向の中心部に備えられており、支持板15は柱当接板5の右方向へ突出している。この支持板15は柱当接板5と底板11の両方に固着されている。支持板15の上端部にはナット17が固定されている。
支持板15の右端部には離間板19が一体に設けられており、この離間板19は柱当接板5から離間した状態となっている。離間板19は支持板15から前後方向へ突出しており、この離間板19の下端部は、支持板15と同様に底板11に固着されている。従って、離間板19、支持板15、底板11及び柱当接板5が一体となり、頑丈な構造となる。
【0017】
離間板19は下方へいくにしたがって柱当接板5に近づく方向へ傾斜している。
支持板15の前後方向の両側には、柱当接板5と支持板15と離間板19とによって画成された一対の連結溝21が形成されており、一対の連結溝21は上面と前側(後側)の側面が開口している。
上記したように離間板19は下方へいくにしたがって柱当接板5に近づく方向へ傾斜しているので、一対の連結溝21は上方から下方へいくにしたがって幅寸法が徐々に小さくなっている。
また、柱当接板5の左側面には左方向へ真っ直ぐに突出する位置決めパイプ22が固定されている。
【0018】
梁側取付部23の詳細な構成について説明する。
符号25は梁当接板を示し、この梁当接板25には上下方向に間隔をあけて2つのボルト挿通穴27が形成されている。梁当接板25の左側面の下端部にはナット29が固定されている。
梁当接板25の上端面には天板31が固着されており、この天板31は梁当接板25の左方向へ突出している。天板31の左端部にはボルト挿通穴33が形成されている。
【0019】
符号35は一対の側板を示し、一対の側板35は梁当接板25の前後方向の両端面に固着されており、更に一対の側板35は天板31に固着されている。一対の側板35は、その基端部が互いに平行に配置され左方向へ延びており、途中部分から互いに近づく方向へ傾斜している(図7参照)。
【0020】
一対の側板35の左端部には一対の差し込み板37が一体に形成されており、一対の差し込み板37は互いに平行に配置されている。また、一対の差し込み板37の上端部は、一対の側板35と同様に天板31に固着されている。従って、一対の側板35、一対の差し込み板37、天板31及び梁当接板25が一体となり、頑丈な構造となる。
また、一対の側板35の内面には、上下方向へ延びる一対の凸条39が形成され、一対の凸条39は前後方向に互いに間隔をあけて配置されている。一対の凸条39は下方へいくにしたがって差し込み板37に近づく方向へ傾斜している。凸条39と離間板19は同じ傾斜角度に設定されている。
【0021】
差し込み板37と凸条39とによって差し込み部41が構成されており、この差し込み部41は前述した連結溝21の形状に対応して上方から下方へいくにしたがって幅寸法が徐々に小さくなるように形成されている。
また、一対の凸条39の対向面には半円状の切り欠き43がそれぞれ形成されており、これらの切り欠き43は互いに対向している。切り欠き43は梁当接板25のボルト挿通穴27に対向する位置に配置されている。
【0022】
図2に示すように柱側取付部3を柱Sに取り付けておく。
この柱側取付部3が柱Sに取り付けられた状態について説明する。
柱側取付部3の位置決めパイプ22は柱Sに形成された図示しない位置決め穴に挿入されている。従って、柱側取付部3を柱Sの所定の位置に容易に取り付けることが可能となっている。柱当接板5は柱Sに形成された図示しない凹部に嵌め込まれており、柱当接板5の右側面と柱Sの右側面は同一面となっている。柱Sにはボルト45が貫通しており、このボルト45は柱当接板5のボルト挿通穴9に挿通されている。ボルト挿通穴9から突出するボルト45の先端部には図示しない座金が通されてから、ナット46が螺合されている。
【0023】
また、同図に示すように梁側取付部23を梁Rに取り付けておく。
この梁側取付部23が梁Rに取り付けられた状態について説明する。
梁側取付部23は梁Rの端部に形成された図示しない溝に嵌め込まれており、天板31、差し込み板37の左側面と梁Rの図示しない溝が形成されていない部分の左側面は同一面となっている。また、天板31の上面と梁Rの図示しない溝が形成されていない部分の上面も同一面となっている。梁Rには2つのラグスクリューボルト47が埋設されており、2つのラグスクリューボルト47の雌ネジ部49は梁側取付部23のボルト挿通穴27にそれぞれ対向している。そして、座金を通したボルト51はボルト挿通穴27に挿通され、このボルト51は雌ネジ部49に螺合されている。
【0024】
前述したように一対の凸条39には切り欠き43が形成されているので、ボルト51を雌ネジ部49に取り付ける際に、一対の凸条39の間に通過させることができるようになっている。
【0025】
次に、柱と梁とを接合する方法について説明する。
図11に示すように柱Sは後述する柱脚構造用金具61を介して土台Dに連結されている。
梁Rをクレーン等で吊り上げて、柱Sに取り付けられた梁側取付部23の差し込み部41を、梁Rに取り付けられた柱側取付部3の連結溝21の上方に位置させる。次に、梁Rを水平姿勢のまま下降させて、図3に示すように差し込み部41を連結溝21に上方から入れる。
【0026】
前述したように連結溝21は上方から下方へいくにしたがって幅寸法が徐々に小さくなっており、差し込み部41も連結溝21の形状に対応して上方から下方へいくにしたがって幅寸法が徐々に小さくなっている。従って、連結溝21の上端部は差し込み部41の下端部よりも幅寸法が大きくなっている。
【0027】
上記のように連結溝21の上端部は差し込み部41の下端部よりも幅寸法が大きくなっているので、差し込み部41の位置が多少ずれたとしても、差し込み部41の下端部を連結溝21の上端部に容易に差し込むことが可能である。従って、差し込み部41の下端部を連結溝21の上端部に差し込んだ状態では、差し込み部41の側面と連結溝21の側面との間に隙間があくことになる。
よって、梁Rが傾く等して差し込み部41と連結溝21との位置が多少ずれたとしても、差し込み部41を連結溝21に対して差し込む作業に支障をきたすことはない。
【0028】
前述したように凸条39と離間板19は同じ傾斜角度に設定されているので、図4に示すように梁Rをさらに下降させると、凸条39の右側面が離間板19の左側面に摺接し、差し込み部41が離間板19にガイドされて、差し込み部41が連結溝21の下端部まで入り込む。そして、図5に示すように差し込み部41の下端面が底板11の上面に当接して、差し込み部41が連結溝21に完全に差し込まれた状態となる。
【0029】
この状態では、凸条39が離間板19に当接し、且つ差し込み板37が柱当接板5に当接する(図7、図8参照)。即ち、差し込み部41は離間板19と柱当接板5とによって挟まれる。従って、差し込み部41は連結溝21に対しガタのない状態でぴったり嵌り込むことになる。
また、側板35の下端面も底板11の上面に当接し、天板31の下面は支持板15と離間板19の上端面に当接する。
ボルト45の先端部に螺合されたナット46は、差し込み板37に僅かな隙間を開けて備えられる。
【0030】
次いで、ボルト53(図2参照)を天板31のボルト挿通穴33に挿通し、このボルト53をナット17に螺合する。また、ボルト55を底板11のボルト挿通穴13に挿通し、このボルト55をナット29に螺合する。
これにより図6に示すように柱Sと梁Rとが木造建築用の接合金具1によって接合される。
【0031】
前述したように凸条39の右側面は離間板19の左側面に当接し、差し込み板37の左側面は柱当接板5の右側面に当接している(図7、図8参照)。また、差し込み板37、側板35及び凸条39の下端面は底板11の上面に当接しており、支持板15と離間板19の上端面は天板31の下面に当接している。従って、差し込み部41と連結溝21とは大きな面積で接合されることになる。
【0032】
このように差し込み部41と連結溝21とは大きな面積で接合されるので、地震が発生して柱Sと梁Rが激しく揺れても、差し込み部41の一部分に集中して大きなせん断力が加わることがなく、荷重を金具全体で受けることになる。従って、差し込み部41等が破損するのを防止することができる。
【0033】
更に、ボルト45の先端部に螺合されたナット46は、差し込み板37に僅かな隙間を開けて備えられているので、ナット46は差し込み板37を押える役割を果たす。従って、差し込み板37が外側へ開いてしまうのを防止することができる。
このように木造建築用の接合金具1を用いた木造建築物における柱と梁の連結構造では、左右方向、前後方向及び上下方向の力に対し十分な強度をもって柱Sと梁Rとを接合することが可能である。
【0034】
次に、柱脚構造用金具61の構成について図9から図12にしたがって説明する。
図9において符号63は鋼製の本体部を示し、この本体部63は底板65、底板65の左右の両端部に設けられた側板67、底板65の中間部に設けられた中間板69及び天板71とから成っている。この本体部63は前側と後側に開口している。
【0035】
底板65には2つのボルト挿通穴75が形成されており、2つのボルト挿通穴75は中間板69の左右両側に配置されている。また、天板71にも2つのボルト挿通穴77が形成されており、2つのボルト挿通穴77も中間板69の左右両側に配置されている。
天板71の上面には上方へ真っ直ぐに突出する位置決めパイプ79が固定されている。
【0036】
符号81、83は鋼製の一対の挟持プレートを示し、一対の挟持プレート81、83は天板71の左右の両端部に溶接によって固定されており、一対の挟持プレート81、83は互いに対向している。挟持プレート81、83には4つのネジ挿通穴87がそれぞれ形成されている。
【0037】
符号85は三角形状の支持プレートを示し、この支持プレート85は左側の挟持プレート81に一対備えられている。一対の支持プレート85は挟持プレート81の前後方向の両端部に配置されており、一対の支持プレート85は挟持プレート81の右側面と天板71の上面に溶接によって固定されている。
また、支持プレート85は右側の挟持プレート83にも一対備えられている。一対の支持プレート85は挟持プレート83の前後方向の両端部に配置されており、一対の支持プレート85は挟持プレート83の左側面と天板71の上面に溶接によって固定されている。
【0038】
図10に示すように柱Sの下端部の左右の両側面には切り欠き89がそれぞれ形成されている。なお、図10では柱Sの下面が上側を向いている。
切り欠き89の両側には、切り欠き89に連なる溝91がそれぞれ形成されている。
図12において符号93は木製の閉鎖板を示し、この閉鎖板93には、挟持プレート83の4つのネジ挿通穴87に対向する4つのネジ挿通穴95が形成されている。
【0039】
次いで、柱Sを土台Dに連結する方法について説明する。
図11に示すように土台Dにはアンカーボルト99が2つ埋設されており、これらのアンカーボルト99の先端部は土台Dの上面から突出している。
また、柱Sの下端部にはラグスクリューボルト101が2つ埋設されている。
【0040】
柱脚構造用金具61の2つのボルト挿通穴75を2つのアンカーボルト99の先端部に挿入して、柱脚構造用金具61を土台Dに載置する。そして、アンカーボルト99の先端部に座金103をそれぞれ通してから、先端部にナット105をそれぞれ螺合して、柱脚構造用金具61を土台Dに固定する。
【0041】
次に、柱Sの下面に形成された図示しない位置決め穴を柱脚構造用金具61の位置決めパイプ79に嵌める。この位置決めパイプ79によって柱Sを柱脚構造用金具61に対し容易に位置決めすることができる。
次いで、切り欠き89と溝91を挟持プレート81、83と支持プレート85に挿入して、柱Sを柱脚構造用金具61に載せる。この柱Sの下端部は一対の挟持プレート81、83に挟持されることになる。
【0042】
そして、ボルト107に座金109を装着してから、このボルト107を柱脚構造用金具61のボルト挿通穴77に挿通し、ボルト107をラグスクリューボルト101の雌ネジ部111に螺合して、柱Sを柱脚構造用金具61に固定する。
次いで、閉鎖板93を切り欠き89に嵌め込んでから、ネジ113を閉鎖板93のネジ挿通穴95と挟持プレート81、83のネジ挿通穴87に挿通して、ネジ113を柱Sに螺合する。
これにより柱Sは柱脚構造用金具61を介して土台Dに連結される。
【0043】
前述したように柱Sの下端部は一対の挟持プレート81、83に挟持されているので地震等により柱Sが激しく揺れても、柱Sとラグスクリューボルト101との間が開いてしまうことがない。従って、柱Sの繊維方向、即ち上下方向の割れを防止することができる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
上記実施の形態では、連結溝21を、上面と前側(後側)の側面が開口するように構成したが、連結溝21を、上面だけが開口し、その他の面が全て閉鎖するように構成してもよい。
【0045】
また、側板35の左端部を傾斜させたが、側板35の左端部を傾斜させないで真っ直ぐに延びる構成としてもよい。
さらに、差し込み部41を差し込み板37と凸条39とによって構成したが、即ち、差し込み部41を分離した2つの部材によって構成したが、差し込み部41を1つの部材によって構成してもよい。
【0046】
柱脚構造用金具61の挟持プレート81、83を本体部63の天板71に溶接によって固定し、また、支持プレート85を挟持プレート81と天板71に溶接によって固定したが、本体部63、挟持プレート81及び支持プレート85を鋳造によって一体に形成してもよい。
柱脚構造用金具61において、支持プレート85は四角形の平板状等、三角形状以外の形状としてもよく、また支持プレート85を設けない構成とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、木造建築用の接合金具の製造業等に利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…木造建築用の接合金具 3…柱側取付部 5…柱当接板
9、13…ボルト挿通穴 11…底板 15…支持板
17…ナット 19…離間板 21…連結溝
22…位置決めパイプ 23…梁側取付部 25…梁当接板
27、33…ボルト挿通穴 29…ナット 31…天板
35…側板 37…差し込み板 39…凸条
41…差し込み部 43…切り欠き 45…ボルト
46…ナット 47…ラグスクリューボルト 49…雌ネジ部
51、53、55…ボルト
61…柱脚構造用金具 63…本体部 65…底板
67…側板 69…中間板 71…天板
75、77…ボルト挿通穴 79…位置決めパイプ
81、83…挟持プレート 85…支持プレート 87…ネジ挿通穴
89…切り欠き 91…溝 93…閉鎖板
95…ネジ挿通穴 99…アンカーボルト
101…ラグスクリューボルト 103…座金 105…ナット
107…ボルト 109…座金 111…雌ネジ部
113…ネジ S…柱 R…梁 D…土台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と梁とを接合する木造建築用の接合金具であって、
柱に当接する柱当接板と、前記柱当接板に固着され梁側へ突出する支持板と、前記支持板に固着され前記支持板の突出する方向と直交する方向へ突出し、且つ前記柱当接板から離間して備えられた離間板とから成り、前記柱当接板と前記支持板と前記離間板とによって画成され、且つ上面が開口する一対の連結溝が形成された柱側取付部材と、
梁に当接する梁当接板と、前記梁当接板に固着され柱側へ突出する一対の側板と、前記一対の側板に設けられた一対の差し込み部とによって構成された梁側取付部材とを有し、
前記差し込み部を前記連結溝に上方から差し込んで、前記柱側取付部材と前記梁側取付部材とを連結する木造建築用の接合金具において、
前記連結溝は上方から下方へいくにしたがって幅寸法が徐々に小さくなるように形成され、前記差し込み部は前記連結溝の形状に対応して上方から下方へいくにしたがって幅寸法が徐々に小さくなるように形成されており、前記柱側取付部材と前記梁側取付部材とを連結した状態で、前記差し込み部が前記連結溝に嵌り込むことを特徴とする木造建築用の接合金具。
【請求項2】
請求項1に記載した木造建築用の接合金具において、柱当接板の下端部には梁側へ突出する底板が固着されており、支持板と離間板は前記柱当接板と前記底板の両方に固着され、梁当接板の上端部には柱側へ突出する天板が固着されており、側板と差し込み部は前記梁当接板と前記天板の両方に固着されていることを特徴とする木造建築用の接合金具。
【請求項3】
請求項2に記載した木造建築用の接合金具において、差し込み部を連結溝に差し込んだ状態で支持板と離間板の上端面は天板の下面に当接し、且つ側板と差し込み部の下端面は底板の上面に当接することを特徴とする木造建築用の接合金具。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載した木造建築用の接合金具において、柱当接板には柱に貫通するボルトを挿通する穴が形成され、前記穴から突出するボルトの先端部に螺合するナットは差し込み部に僅かな隙間を開けて備えられることを特徴とする木造建築用の接合金具。
【請求項5】
請求項1から5に記載の木造建築用の接合金具によって柱と梁が接合されていることを特徴とする木造建築物における柱と梁の連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−46874(P2012−46874A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187004(P2010−187004)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000173371)
【Fターム(参考)】