説明

来訪者対応機能を有するドアホンシステム

【課題】 ホームヘルパーが訪問介護する場合、家族はホームヘルパーを出迎えるためにホームヘルパーが到着するまで自宅に待機しなければならないという問題がある。または被介護側の高齢者が一人暮らしの場合には、ホームヘルパーを玄関まで出迎えなければならず、体が動き難い高齢者にとっては、不便であるという問題がある。
【解決手段】 ドアホン子機2は呼出ボタン202を押下した来訪者に対して応答し、IDを受信した場合に、受信したIDとあらかじめ登録されているIDとの比較で合致かつ現在日時が来訪予定日時の条件に合致した場合にドアを開錠する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅等に設置されるドアホンシステムに関し、特にドア自動開錠技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ホームヘルパーが訪問介護する場合において、被介護側の家族はホームヘルパーを出迎えるためにホームヘルパーが到着するまで待機していなければならない。または被介護側の高齢者が一人暮らしの場合には、ホームヘルパーを玄関まで出迎えなければならず、体が動き難い高齢者にとっては、不便であるという問題がある。
【0003】
これを解決する技術として例えば、特許文献1がある。特許文献1には、来訪者があったとき、応答する前に画像データをもとに来訪者を特定するドアホンシステムに係る技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−104384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、予め訪問する訪問者の画像データを登録し設定しておかなければならず、例えば、急に担当のヘルパーを変更する場合には利用できないという問題がある。
【0006】
よって本発明の目的は、予定していた訪問者が急に変更された場合であっても利用可能なドアホンシステムの技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、呼出ボタンを有するドアホン子機と前記ドアホン子機を収容するドアホン親機から成るドアホンシステムにおいて、前記ドアホン親機は、来訪予定の来訪者のIDもしくはパスワードと来訪予定日時を関連付けて登録する来訪予定登録手段と、自ドアホンシステムが制御するドアを開錠するまたは自ドアホンシステムが備える来訪通知手段を起動する来訪対応手段を有し、前記ドアホン子機は、来訪者からIDもしくはパスワードを取得するIDパスワード取得手段と、取得したIDもしくはパスワードを前記ドアホン親機へ通知するIDパスワード通知手段を有し、前記呼出ボタンが押下された場合に、前記ドアホン子機は前記呼出ボタンを押下した来訪者から取得したIDもしくはパスワードを前記ドアホン親機へ通知し、前記ドアホン親機は、前記ドアホン子機から通知されたIDもしくはパスワードが前記来訪予定登録手段に登録されているか否かを判定し、登録されていると判定し且つ現在の時刻が当該来訪者の来訪予定日時の条件に合致したならば、前記来訪対応手段を制御して前記ドアを開錠するまたは前記来訪通知手段を起動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、予め訪問者がドアホン子機よりIDを入力すると、ドアホン親機はIDと共に来訪者の来訪予定日時があっている場合にドアを開錠する。したがって、被介護側の家族は訪問者を出迎えるために待機していなくともよい。また被介護側の高齢者がわざわざ玄関まで出向かなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明によるドアホンシステムの全体構成図である。
【図2】本発明によるドアホンシステムの親機および子機の内部ブロック構成図である。
【図3】本発明によるドアホン親機の動作フローチャートである。
【図4】本発明によるドアホン子機の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0011】
図1は本発明によるドアホンシステムの全体構成図である。
【0012】
1は本発明によるドアホン親機(以下、親機)であって、屋内の居間等に設置され、居住者は本親機1を操作して来訪者と会話する。また、本親機1は、回線網3を介して、連絡先4と接続される。2は本発明によるドアホン子機(以下、子機)であって、門,玄関,入口等に設置され、来訪者は本子機2を介して屋内の居住者と会話する。5はドアである。
【0013】
図2は本発明によるドアホンシステムの親機および子機の内部ブロック構成図である。
【0014】
親機1は、主制御部101と、日時制御部102と、ID生成部103と、登録部104と、通信制御部105と、外線通話制御部106と、子機インターフェース107と、呼出ボタン受信部108と、通話制御部109と、親機スピーカ110と、親機マイク111と、ID受信部112と、ID比較部113と、ドア開錠制御部114とから構成される。
【0015】
主制御部101は、日時制御部102、ID生成部103、登録部104、外線通話制御部106、呼出ボタン受信部108、通話制御部109、ID受信部112、ID比較部113、ドア開錠制御部114と接続し、各部の制御を行う。
【0016】
日時制御部102は、現在の日時を管理し、主制御部101からの要求に応じて現在の日時を主制御部101に渡す。
【0017】
ID生成部103は、IDを生成し、通信制御部105へ渡す。
【0018】
登録部104は、受信した来訪予定日時情報と、生成したIDを登録する。
【0019】
外線通話制御部106は、通信制御部105と接続し、外線通話を行う。
【0020】
呼出ボタン受信部108は、子機2からの呼出ボタンが押下された旨の信号を受信する。
【0021】
通話制御部109は、親機スピーカ110と親機マイク111に接続され、居住者と来訪者間の通話を制御する。
【0022】
ID受信部112は、子機2から通知されたIDを受信する。
【0023】
ID比較部113は、登録部104に登録されているIDと、ID受信部で受信したIDを比較する。
【0024】
ドア開錠制御部114は、主制御部101からの要求に応じてドアを開錠する。
【0025】
105は回線網3を介して連絡先4と通信する通信制御部、107は子機2と繋がる子機インターフェース、110は子機2からの来訪者の音声を再生する親機スピーカ、111は本親機を操作する居住者の音声を入力する親機マイクである。
【0026】
子機2は、親機インターフェース201と、呼出ボタン202と、子機マイク203と、子機スピーカ204と、操作部205とから構成される。
【0027】
201は親機1と繋がる親機インターフェース、202は来訪者が来訪時に押下する呼出ボタン、203は来訪者の音声を入力する子機マイク、204は来訪者への音声を流す子機スピーカ、205は来訪者がID入力等の操作をする操作部である。
【0028】
図3は本発明によるドアホン親機の動作フローチャートである。以下、図1,図2を併用し、親機1の動作について説明する。本フローは親機1の電源が投入された状態からスタートする(S300)。
【0029】
来訪予定日時情報受信モードでなければ(S301,NOかつS302,NO)、本親機1は通常のドアホンとして動作する。この通常のドアホンとしての動作の詳細は省く。
【0030】
来訪予定日時情報受信モードとは、通話中、DTMF信号等を受信すると日時情報として登録できる状態である。通話中に特定の操作があった場合(S302,YES)、来訪予定日時情報受信モードに移行する(S303)。
【0031】
来訪予定日時情報受信モードで外線通話制御部106を介して通話中に、DTMF信号にて通話相手から来訪予定日時情報を受信すると(S304,YES)、主制御部101は、ID生成部103へ信号を送り、ID生成部103はIDを生成し(S305)、通信制御部105へ送る。通信制御部105は、生成したIDを、回線網3を介して通話相手に通知する(S306)。その後、生成したIDと来訪予定日時情報を登録部104に登録し(S307)、処理を終了する(S308)。
【0032】
尚、本実施例ではステップ304でDTMF信号から来訪予定日時情報を受信したが、本願はこれに限定されない。例えば、相手の音声信号を解析して来訪予定日時情報を取得するようにしてもよいし、メール受信機能を設けて受信したメールの本文またはタイトルに記載された来訪予定日時情報を取得するようにしてもよい。
【0033】
尚、本実施例ではID生成部103がIDを生成して通話相手に通知しているが、本願はこれに限定されない。例えば、来訪予定日時情報とともにIDをDTMF信号にて受信し、受信した来訪予定日時情報およびIDを登録部104に登録するようにしてもよい。
【0034】
図4は本発明によるドアホン子機の動作フローチャートである。以下、図1,図2を併用し、子機2の動作について説明する。本フローは親機1、子機2の電源が投入された状態からスタートする(S400)。
【0035】
来訪者が呼出ボタン202を押下したことを呼出ボタン受信部108が受信すると(S401,YES)、主制御部101はさらに来訪者からIDの入力を待つ。
【0036】
来訪者が操作部205にてIDを入力し、ID受信部112が受信すると(S402,YES)、主制御部101へ送る。主制御部101は当該IDが登録部104に登録されているか検索し、IDが登録されているならば、日時制御部102へ通知し、現在時刻が来訪予定日時の条件に合致しているか比較を行い、現在時刻が来訪予定日時の条件に合致したならば(S406,YES)、ドア開錠制御部114がドア5へ信号を送り、ドア5を開錠し(S407)処理を終了する(S408)。
【0037】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0038】
本発明では、予め登録部104にIDと来訪予定日時情報を対応付けて登録し、来訪者が来訪時に当該IDを入力すると、親機1は入力されたIDと来訪予定日時の条件と照合し、合致した場合にのみ開錠する。これにより、ID(またはパスワード)と来訪時刻を判断して、ドアを開錠するので、より高いセキュリティを実現することができる。
【0039】
また、本発明では、来訪者から来訪予定日時情報を受信すると、一時的なID(またはパスワード)をランダムに生成し、該IDを来訪者へ通知する。
【0040】
これにより、例えば来訪するヘルパーが急に変更になった場合であってもドアを開錠することができる。
【符号の説明】
【0041】
1・・・本発明によるドアホン親機
2・・・本発明によるドアホン子機
3・・・回線網
4・・・連絡先
5・・・ドア
101・・・主制御部
102・・・日時制御部
103・・・ID生成部
104・・・登録部
105・・・通信制御部
106・・・外線通話制御部
107・・・子機インターフェース
108・・・呼出ボタン受信部
109・・・通話制御部
110・・・親機スピーカ
111・・・親機マイク
112・・・ID受信部
113・・・ID比較部
114・・・ドア開錠制御部
201・・・親機インターフェース
202・・・呼出ボタン
203・・・子機マイク
204・・・子機スピーカ
205・・・操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼出ボタンを有するドアホン子機と前記ドアホン子機を収容するドアホン親機から成るドアホンシステムにおいて、
前記ドアホン親機は、
来訪予定の来訪者のIDもしくはパスワードと来訪予定日時を関連付けて登録する来訪予定登録手段と、
自ドアホンシステムが制御するドアを開錠するまたは自ドアホンシステムが備える来訪通知手段を起動する来訪対応手段を有し、
前記ドアホン子機は、
来訪者からIDもしくはパスワードを取得するIDパスワード取得手段と、
取得したIDもしくはパスワードを前記ドアホン親機へ通知するIDパスワード通知手段と、を有し、
前記呼出ボタンが押下された場合に、前記ドアホン子機は前記呼出ボタンを押下した来訪者から取得したIDもしくはパスワードを前記ドアホン親機へ通知し、
前記ドアホン親機は、前記ドアホン子機から通知されたIDもしくはパスワードが前記来訪予定登録手段に登録されているか否かを判定し、登録されていると判定し且つ現在の時刻が当該来訪者の来訪予定日時の条件に合致したならば、前記来訪対応手段を制御して前記ドアを開錠するまたは前記来訪通知手段を起動することを特徴とする来訪者対応機能を有するドアホンシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のドアホンシステムにおいて、
前記ドアホン親機は、
前記来訪予定登録手段に登録する来訪者の連絡先に係る情報を予め登録する連絡先情報登録手段と、
ネットワークを介して前記連絡先情報登録手段に登録されている連絡先と通信する連絡先通信手段と、
ランダムな一時的なパスワードを生成する一時パスワード生成手段と、をさらに有し、
前記連絡先情報登録手段に登録されている連絡先から来訪予定日時に係る情報を受信した場合に、前記一時パスワード生成手段は一時的なパスワードを生成し、前記生成したパスワードを当該連絡先へ通知すると共に、前記生成したパスワードと前記来訪予定日時に係る情報を前記来訪者のIDと関連付けて前記来訪予定登録手段に登録することを特徴とする来訪者対応機能を有するドアホンシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−74442(P2013−74442A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211700(P2011−211700)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】