説明

根菜類収穫機

【課題】
収穫作業開始時に作物が落下時に傷付くことを防止すると共に、作業終了後に容易に収納状態に変更可能な根菜類収穫機を提供する。
【解決手段】
機体フレーム1の左右一側に作物を圃場から引き抜いて後上方に搬送する引抜搬送装置24を設け、引抜搬送装置24から作物を引き継いで左右一側から左右他側に搬送する選別搬送装置87を設け、選別搬送装置87の搬送終端側を上下動自在に構成し、作物を収容する収容部材97を開口状態で吊り下げ支持する吊下げ部材98を選別搬送装置87の搬送終端側に設け、収容部材97を下方から支持する回収部118を機体フレーム1に回動自在に設けた根菜類収穫機において、吊下げ部材98で選別搬送装置87の搬送終端側と回収部118を連結し、選別搬送装置87の搬送終端側の上昇に伴い回収部118が収納位置まで移動する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を圃場から引き抜き収穫する根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の根菜類収穫機としては、選別された作物を収容袋で回収し、収容袋を支持する載置台を傾斜させて機体から降ろす技術が存在する。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4247578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された根菜類収穫機では、作業終了後に載置台を折り畳む際、作業者が載置台を持ち上げてやらねばならず、作業者の労力が増加する問題がある。
【0005】
また、収容袋を吊り下げるハンガーは選別搬送コンベアの上下動に連動して上下動するため、選別搬送コンベアを下げると収容袋が縮んで収容袋全体に弛みが生じ、この弛みの分作物の収容スペースが減ってしまうという問題がある。
【0006】
この弛みを解消するには、定期的に機体の走行や選別搬送コンベアの駆動を停止させてから選別搬送コンベアを上昇させ、収容袋を吊り上げて収容スペースを確保しなければならず、その間、作物の収穫作業や収穫した作物の選別作業が停止してしまうため、作業能率が低下してしまうという問題がある。
【0007】
さらに、収穫作業時には、載置台は圃場面に対して略水平姿勢であるため、作物が選別搬送コンベアから収容袋に落下する距離が長くなり、落下の衝撃で作物が傷付き、商品価値が低下してしまう問題がある。
【0008】
本発明は、この問題を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、機体フレーム(1)の左右一側に作物を圃場から引き抜いて後上方に搬送する引抜搬送装置(24)を設け、該引抜搬送装置(24)から作物を引き継いで左右一側から左右他側に搬送する選別搬送装置(87)を設け、該選別搬送装置(87)の搬送終端側を上下動自在に構成し、作物を収容する収容部材(97)を開口状態で吊り下げ支持する吊下げ部材(98)を選別搬送装置(87)の搬送終端側に設け、該収容部材(97)を下方から支持する回収部(118)を前記機体フレーム(1)に回動自在に設けた根菜類収穫機において、前記吊下げ部材(98)で選別搬送装置(87)の搬送終端側と回収部(118)を連結し、前記選別搬送装置(87)の搬送終端側の上昇に伴い回収部(118)が収納位置まで移動する構成としたことを特徴とする根菜類収穫機とした。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記選別搬送装置(87)の搬送終端側に吊下げ部材(98)を装着する吊下げ支持部材(95)を回動自在に設け、前記回収部(118)の側方端部に持上取付部材(119)を設け、前記吊下げ部材(98)の一側端部を吊下げ支持部材(95)に取り付け、吊下げ部材(98)の他側端部を持上取付部材(119)に取り付け、前記選別搬送装置(87)の搬送終端側を収納位置まで上昇させると回収部(118)が連動して収納位置まで回動する構成としたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機とした。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記回収部(118)の回動軸(110a)に回収部(118)を上方に向けて付勢する第1付勢部材(110b)を設け、収容部材(97)に所定重量以上の作物が投入されると下方回動する構成としたことを特徴とする請求項1または2記載の根菜類収穫機とした。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記選別搬送装置(87)の搬送終端側の下方に収容部材(97)の左右一側で且つ前後方向略中央部を引っ掛けて支持する補助引掛け部材(105)を設け、該補助引掛け部材(105)を解除操作する手動操作部材(106a)を設け、該手動操作部材(106a)を選別搬送装置(87)側に付勢する第2付勢部材(106b)を設け、収穫作業時には前記手動操作部材(106a)を収容部材(97)の内部に接触させる構成としたことを特徴とする請求項1または2記載の根菜類収穫機とした。
【0013】
請求項5記載の発明は、前記吊下げ部材(98)の左右両側に収容部材(97)を引っ掛ける引掛け部材(99f)を取り付ける取付部(99a,99b)を夫々形成し、該左右一側の取付部(99b)が左右他側の取付部(99a)よりも下方に位置する構成したことを特徴とする請求項1または2記載の根菜類収穫機とした。
【0014】
請求項6記載の発明は、前記選別搬送装置(87)を上昇または下降させる昇降部材(88)を設け、該昇降部材(88)を昇降操作する昇降操作部材(92a,92b)を選別搬送装置(87)の下側に配置すると共に、選別搬送装置(87)よりも後方で且つ該昇降操作装置(92a,92b)の近傍に補助作業座席(91)を設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の根菜類収穫機とした。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、選別搬送装置(87)の搬送終端側と回収部(118)を吊下げ部材(98)で連結し、選別搬送装置(87)の上昇に伴って回収部(118)が収納位置まで移動する構成としたことにより、作業者は回収部(118)を持ち上げることなく収納状態にすることができるので、作業者の労力が軽減される。
【0016】
また、収容部材(97)を吊り下げる吊下げ部材(98)を用いて選別搬送装置(87)の搬送終端側と回収部(118)を連結することにより、別途連結用の部材を用意する必要が無く、部品数の削減が図られると共に、連結用の部材を載置するスペースが不要となる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、回動自在な吊下げ支持部材(95)と回収部(118)の左右他側端部に設ける持上取付部材(119)を吊下げ部材(98)で連結し、選別搬送装置(87)を収納位置まで上昇させると回収部(118)が連動して収納位置まで回動する構成としたことにより、作業者は取付部材(119)と吊下げ部材(98)とを連結する作業を行なえば回収部(118)を持ち上げることなく収納状態にすることができるので、作業者の労力が軽減される。
【0018】
また、回収部(118)を収納位置まで回動させると吊下げ部材(98)が回収部(118)と上下方向に直線状に並ぶ位置に移動する構成となるため、吊下げ部材(98)が機体フレーム(1)からはみ出すことを防止でき、機体の収納スペースが余分に広がることが防止される。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、回収部(118)を上方に向けて付勢する第1付勢部材(110b)を設けたことにより、作業者が回収部(118)を少ない力で持ち上げることができるので、作業者の労力が軽減される。
【0020】
また、選別搬送装置(87)の搬送終端側から収容部材(97)の底部までの距離を短くすることができるので、作物が落下の衝撃で傷付くことが防止され、作物の商品価値が向上する。
【0021】
そして、第1付勢部材(110b)の付勢力により、回収部(118)は左右他側端部に向かうほど上方に位置する上方傾斜姿勢となり、回収部(118)に載置された収容部材(97)も上方傾斜姿勢となるため、収容部材(97)に投入された作物を収容部材(97)の左右一側端部に集めることができるので、収容部材(97)の重量増加による回収部(118)の下降開始を遅らせることができ、選別搬送装置(87)から収容部材(97)の底部までの距離を短く保つことができる。
【0022】
さらに、収容部材(97)に作物が収容されて重量が増加し、第1付勢部材(110b)の付勢力を上回ると回収部(118)が自動的に下降するため、作物の収容量の増加に合わせて収容部材(97)の底部が水平姿勢に近付き、作物を左右他側に移動させて均平にすることができるので、収容部材(97)の左右一側端部から作物が溢れ出ることが防止される。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、収容部材(97)の左右一側で且つ前後方向略中央部に補助引掛け部材(105)を引っ掛けて支持することにより、収容部材(97)の前後間に生じる弛みを防止することができるので、収容部材(97)の前後中央部及びその周辺が弛みで周囲よりも低くなることが防止され、収容部材(97)から作物が落下して傷付くことが防止される。
【0024】
また、手動操作部材(106a)を操作することにより補助引掛け部材(105)を収容袋(97)から外す構成としたことにより、収容部材(97)を機外に降ろす際、作業者は選別搬送装置(87)と収容部材(97)との間に手を入れて補助引掛け部材(105)を外す必要が無く、作業能率が向上する。
【0025】
そして、手動操作部材(106a)を選別搬送装置(87)側に付勢する第2付勢部材(106b)を設けたことにより、補助引掛け部材(105)を外した状態で作業者が手動操作部材(106a)から手を離すと、手動操作部材(106a)は自動的に選別搬送装置(87)側に回動するので、作業者は手動操作部材(106a)を操作することなく片付けることができ、作業能率が向上する。
【0026】
さらに、この手動操作部材(106a)を収容部材(97)の内部に接触させることにより、収容部材(97)は手動操作部材(106a)に引っ張られて伸びるため、収容部材(97)に発生した弛みを取ることができるので、弛みに作物が入り込んで収容部材(97)の収容量を小さくしてしまうことが防止され、収容部材(97)の交換を頻繁に行う必要が無く、作業能率が向上する。
【0027】
請求項5記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、吊下げ部材(98)の左右一側に形成する取付部(99b)を、左右他側に形成する上下方向上向きの取付部(99a)よりも下方に形成し、この左右の取付部(99a,99b)にそれぞれ引掛け部材(99f)を設けたことにより、左右一側の引掛け部材(99f)が左右他側の引掛け部材(99f)よりも下方に位置するため、左右両側の引掛け部材(99f)に収容部材(97)を引っ掛けると左右一側から左右他側への傾斜角度が大きくなるので、収容部材(97)の上端部から収容した作物が落下しにくく、落下の衝撃で作物が傷付くことを防止でき、作物の商品価値の低下が防止される。
【0028】
また、落下した作物を拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減される。
請求項6記載の発明によれば、請求項1から5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、昇降部材(88)を操作する昇降操作部材(92a,92b)を選別搬送装置(87)の下側近傍に設けたことにより、選別搬送装置(87)で搬送中の作物を選別する補助作業者がその場から動くことなく昇降操作部材(92a,92b)を操作することができるので、選別搬送装置(87)を昇降させる必要があれば即座に操作することができ、作業能率が向上する。
【0029】
また、選別搬送装置(87)よりも後方で且つ昇降操作装置(92a,92b)の近傍に補助作業座席(91)を設けたことにより、補助作業者は補助作業座席(91)に座ったまま昇降操作装置(92a,92b)を操作することができるので、長時間の作業を行う場合でも作業者が疲れにくく、作業者の労力が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】根菜類収穫機の側面図
【図2】根菜類収穫機の平面図
【図3】選別搬送部の背面図
【図4】(a)清掃プレートの斜視図、(b)清掃プレートの側面図
【図5】潤滑油供給装置の側面図
【図6】選別搬送部と載置排出部の背面図
【図7】選別搬送部の平面図
【図8】選別搬送コンベアの要部背面図
【図9】茎葉切断部の肩揃え装置の要部平面図
【図10】選別搬送部と載置排出部の背面図
【図11】茎葉切断部の側面図
【図12】茎葉切断部の平面図
【図13】茎葉切断部の肩揃え装置の要部平面図
【図14】(a)肩揃え装置の搬送体の平面図、(b)肩揃え装置の搬送体の側面図、(c)肩揃え装置の搬送体の正面図
【図15】肩揃え装置の側面断面図
【図16】載置排出部の平面図
【図17】載置排出部の側面図
【図18】別実施例の選別搬送部と載置排出部の背面図
【図19】別実施例の選別搬送部と載置排出部の背面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図17に示すように、実施例の一つとして示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理する残葉処理部Eと、残葉処理部Eから人参を引き継いで人参を機体左右一側から左右他側へと搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、該選別搬送部Fから排出される人参の収容部材を配置する収容部Gと、収容部材の底部を載置すると共に圃場に排出する載置排出部Hから構成される。
【0032】
なお、本件においては、平面図において、機体の進行方向に対して左側を機体左右一側、機体の進行方向に対して右側を機体左右他側と称する。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0033】
まず、走行部Aの構成について説明する。
図1、図2で示すように、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0034】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
図1、図2で示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
【0035】
また、前記操縦部フレーム10の機体左右他側(機体右側)にエンジン7を冷却するラジエータ(図示省略)を保護すると共に冷却風を取り込むラジエータカバー10aを着脱自在に取り付けることにより。操縦部Bが構成される。
【0036】
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0037】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
図1、図2で示すように、左右引抜フレーム15,15の機体前側に左右従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ17,17を装着し、該左右従動プーリ16,16と左右駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ19…によって該左右挟持搬送ベルト18,18を付勢し、左右挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0038】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を引き起こす縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を掬い上げる横引起し装置26と、該横引起し装置26の前部に設ける分草杆27と、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部に引抜搬送装置24の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪31と、前記エンジン7の駆動力で回転するシャフト32の回転によって振動する振動フレーム33に取り付けた人参の左右の土を振動によって解す左右振動ソイラ34,34とを設ける。
【0039】
そして、前記引抜搬送装置24で搬送中の人参に接触して付着した泥土を除去する左右の泥落し体34a,34aを振動ソイラ34,34の土中に進入しない部分に設けると共に、前記引抜搬送通路Rの下方に引抜搬送装置24で搬送中の人参のひげ根を切断する尻尾切装置35を設けて、収穫部Cを構成する。
【0040】
上記構成により、機体前側に分草杆27を備える横引起し装置26と、縦引起し装置25を設けることによって、圃場に倒伏した人参の茎葉を掻き上げながら収穫作業ができ、収穫する人参の視認性が向上するので引き抜き位置が合わせやすく、作物の抜き残しが減少するため作業能率が向上する。
【0041】
また、人参に左右振動ソイラ34,34等が接触して傷つくことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
そして、振動ソイラ34,34の土中に進入しない部分に左右の泥落し体34a,34aを設けたことにより、搬送中の人参に付着した泥土を除去することができるので、機体の掃除にかかる時間が短縮されてメンテナンス性が向上すると共に、作業者や選別作業者が人参の形状や傷等の異常の有無を目視することができるので、人参の選別精度が向上する。
【0042】
さらに、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部にゲージ輪31を設けたことによって、ゲージ輪31を圃場面に接地させるとそれ以上引抜搬送装置24が下降しなくなるので、操縦者の操縦ミスや予期せぬ地面の凹凸によって引抜搬送装置24の下端部が圃場面に接触して破損することが防止される。
【0043】
そして、機体フレーム9と左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、昇降シリンダ23を操縦部Bの昇降操作レバー14を操作することによって伸縮させる構成としたことによって、昇降操作レバー14の操作により収穫部C全体の上下高さを調節することができるので、収穫部Cの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節しするとともに圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて引抜搬送始端部の位置調節を行え、人参の抜き残しが防止されるので作業能率が向上する。
【0044】
また、旋回時に収穫部Cを上昇させておくと、収穫部Cの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が向上する。
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
【0045】
図1及び図11〜図15で示すように、前記伝動ケース22に駆動力を伝道する左右の伝動軸36,36を取り付け、該左右の伝動軸36,36の上部に左右伝動ケース37,37を取り付けると共に、該左右の伝動ケース37,37内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右の第1ギアユニット38,38を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右の伝動軸36,36に左右の第2ギアユニット39,39を機体後側に向かって取り付け、該左右の第2ギアユニット39,39の後端部に左右の第1出力軸40,40を機体上方に向けて軸着する。
【0046】
そして、前記の左右第1ギアユニット38,38の前端部に左右の第2出力軸41,41を機体下方に向けて軸着し、該左右の第2出力軸41,41に左右の位置揃え駆動スプロケット42,42を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース37,37の前下部に側面視L字型の左右の位置揃えフレーム43,43を取り付け、該位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、該孔部44,44に左右の位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した左右回転軸46,46を取り付ける。また、該位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃え駆動スプロケット42,42との前後間で且つ位置揃え駆動スプロケット42,42よりも機体内側位置に左右の位置揃えテンションスプロケット47,47を回転自在に取り付ける。さらに、該位置揃えテンションスプロケット47,47と位置揃え駆動スプロケット42,42と位置揃え従動スプロケット45,45とに左右の位置揃えチェーン48,48を無端状に巻回する。
【0047】
なお、前記位置揃え駆動スプロケット42,42は、位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径のものを用いてもよい。
そして、前記伝動ケース37,37に左右の受け板49,49を前後方向に位置調節可能に取り付け、該受け板49,49と位置揃えフレーム43,43との間に、前記位置揃え従動スプロケット45,45を付勢して位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させる左右の付勢バネ50,50を取り付ける。該付勢バネ50,50は、受け板49,49を前後に移動させることにより、位置揃え従動スプロケット47,47にかかる付勢力を変更することができ、人参の種類や生育状態、茎葉部の平均的な太さに応じて変更することで、様々な作業条件に対応することができる。
【0048】
また、前記左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成、該孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45の回転軸46,46を貫通させて設けたことにより、位置揃え従動スプロケット45,45を左右方向に移動させて位置調節することができるので、非作業時及び茎葉部が通過中でない、あるいは径の小さい茎葉部が通過する際は、位置揃え従動スプロケット47,47は付勢バネ50,50に押圧されて前側で且つ機体内側方向に向かって押圧され、大径の茎葉部が通過する際には位置揃え従動スプロケット47,47は機体外側方向に向かって押圧される構成となり、大径の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く作業能率が向上する。
【0049】
加えて、位置揃え装置54L,54Rの搬送始端側から搬送終端側までの左右間隔が、大径の茎葉部が通過して負荷がかかったときのみ略直線状となるので、それ以外の場合には位置揃え装置の左右間隔を搬送始端側から搬送終端側に向かって広がる構成となり、位置揃え装置54L,54Rの左右間隔を通過する人参が左右方向にふらつくことを防止でき、人参の茎葉部の切断位置揃えが適正に行なわれる。
【0050】
さらに、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過できず、人参の茎葉部の切断位置が上がり過ぎ、根部に茎葉部が残ることを防止でき、後処理でこの茎葉部を取り除く作業が不要となり、作業能率が向上すると共に、人参が持ち上げられ過ぎ、根部を後述する茎葉切断装置61に切断されてしまうことを防止できるので、人参が傷付くことが無く、商品価値が向上する。
【0051】
そして、前記位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…に、位置揃えチェーン48,48の上部と下部と茎葉部の接触面を覆う正面視コの字型のガイドカバー51…を取り付け、位置揃えガイド体52を構成する。
【0052】
なお、図14(a)〜(c)で示すように、該ガイドカバー51…は、平面視において前後一側方を凸状のR部51a、前後他側方を凹状のR部51bを形成し、茎葉部との接触面に前後他側方に、後続のガイドカバー51の前後一側方の凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを形成する。直線部では前方のガイドカバー51の凹状のR部51bに後続のガイドカバー51の凸状のR部51aが入り込み、この後続の凸状のR部を前方の突出部51cが覆うことによって、ガイドカバー51同士の間隔部を覆うことができるので、ガイドカバー51同士の間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることが防止され、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0053】
また、ガイドカバー51は凸状のR部51aと凹状のR部51bを有し、リンク48aに1つずつ取り付けられていることにより、ガイドカバー51同士は干渉し合うことが無く位置揃えチェーン48,48の移動に追従することができるので、位置揃え装置54L,54Rの移動がスムーズになり、作業能率が向上する。
【0054】
加えて、位置揃えチェーン48,48が円弧軌跡で移動する際、突出部51cを有することにより、ガイドカバー51同士の間に大きな間隔部が生じないため、この間隔部に人参の茎葉部が噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0055】
なお、位置揃えガイド体52は、複数のガイドカバー51…ではなく、位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う、断面形状コの字型としてもよい。
そして、前記位置揃えチェーン48,48の巻回域内で且つ位置揃え従動スプロケット45,45と位置揃えテンションスプロケット47,47との間に、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から茎葉部接触面に向かって押圧する左右のテンションプレート53L,53Rを機体左右方向に位置調節自在に取り付けることにより、左右の位置揃え装置54L,54Rが引抜搬送装置24の搬送方向後側の下方位置に構成される。
【0056】
該テンションプレート53L,53Rは、前記伝動ケース37,37に長穴を形成して取付軸53a,53aをボルト等着脱可能な部材で位置調節に取り付け、該取付軸53a,53aの端部に板体53b,53bを溶着して構成する。
【0057】
なお、テンションプレート53L,53Rは、左右の位置揃え装置54L,54Rに略平行位置に設けてもよいが、機体外側の位置揃え装置53Rの前側にテンションプレート52Rを設ける場合、機体内側の位置揃え装置53Lのテンションプレート52Lは位置揃え装置53Rのテンションプレート52Rよりも機体後側に設けると、大径の茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間を通過する際、テンションプレート52Lまたはテンションプレート52Rの無い側に位置揃えチェーン48及び位置揃えガイド体52が移動するので、人参の茎葉部の径が大きくても位置揃え装置54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0058】
加えて、テンションプレート53L,53Rの張力は、前記付勢バネ50,50の張力よりも弱く設定すると、大径の茎葉部が通過して負荷がかかると位置揃えチェーン48,48が適正な位置まで撓んで退避することができ、54L,54Rに噛み込まれることを防止でき、機体を停止させて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要がなく、作業能率が向上する。
【0059】
そして、前記位置揃え駆動スプロケット42,42の近傍で且つ位置揃えガイド体52,52の外側位置で伝動ケース37,37に長穴を形成し、この長穴に位置揃えガイド体52,52の表面に付着した茎葉部の切れ端や泥等を落とす左右のスクレーパ55,55を位置揃えガイド体52,52の軌跡に沿って位置調節時際に取り付ける。
【0060】
なお、スクレーパ55,55は、後下り傾斜姿勢で配置することにより、茎葉部の切れ端や泥を下方に落下させやすくなる。
そして、前記左右第1ギアユニット38,38の位置揃え装置54L,54Rの後方位置に左右の切断刃回転軸56,56を軸着し、該切断刃回転軸56,56に左右のベアリング57,57を回転自在に取り付ける。そして、前記左右のベアリング57,57に左右の支持プレート59,59を取り付け、該支持プレート59,59に左右の茎葉切断刃60,60を取り付けて、茎葉切断装置61が構成される。
【0061】
また、前記左右第1出力軸40,40に左右茎葉搬送駆動プーリ62,62を軸着し、前記左右第1ギアユニット38,38よりも機体前側で且つ位置揃え装置54L,54Rの上方に左右茎葉搬送従動プーリ63,63を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ62,62と左右茎葉搬送従動プーリ63,63とに左右排葉搬送ベルト64,64を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置65が、前記左右の伝動ケース37,37の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端側の下方に構成される。
【0062】
さらに、前記左右第1出力軸40,40の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ66,66を軸着し、前記伝動ケース37,37の上方に左右残葉搬送従動プーリ67,67を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67との前後間に複数の左右の残葉搬送テンションプーリ68,68…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ66,66と左右残葉搬送従動プーリ67,67と左右残葉搬送テンションプーリ68,68…とに左右残葉搬送ベルト69,69を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置70が、前記排葉搬送装置65の上方に構成される。
【0063】
上記排葉搬送装置65と残葉搬送装置70の終端部から茎葉切断装置61によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ71を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
上記構成により、左右の位置揃え駆動スプロケット42,42が、茎葉部が通過する位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間する位置に配置されることにより、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付いて位置揃え装置54L,54Rを停止させてしまうことを防止できるので、収穫作業が中断されず、作業能率が向上する。
【0064】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42を位置揃え従動スプロケット45,45及び位置揃えテンションスプロケット47,47よりも小径としたことにより、位置揃え駆動スプロケット42,42がいっそう位置揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間するので、位置揃え駆動スプロケット42,42や第2出力軸41,41に茎葉部が絡み付くことをいっそう防止でき、作業能率がさらに向上する。
【0065】
そして、位置揃え従動スプロケット45,45を付勢する左右の付勢バネ50,50を設けたことにより、位置揃え装置54L,54Rに茎葉部が接触する際に左右の位置揃えチェーン48,48に生じる弛みを吸収させることができ、位置揃えチェーン48,48がすぐに張り状態に戻るため、径の異なる茎葉部が連続して通過するときでも位置揃え装置54L,54Rが確実に人参の茎葉部を受けることができ、人参の茎葉部の切断位置が適正に揃えられて茎葉部が適正に切断され、後工程で茎葉部を除去する必要が無く、作業能率が向上する。
【0066】
また、左右の受け板49,49を前後方向に移動させることで付勢バネ50,50の張力が調節されることにより、人参の生育状況や品種による茎葉部の径の差異、あるいは天候や土質等、作業場所の作業条件に合わせて張力を適正に変更できるので、人参の茎葉切断位置の位置揃えを適正に行い茎葉部を確実に切断することにより、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0067】
さらに、左右の位置揃えフレーム43,43に機体左右方向の孔部44,44を形成し、この孔部44,44に位置揃え従動スプロケット45,45を軸着した回転軸46,46を移動自在に設けたことにより、負荷がかからない状態では、付勢バネ50,50に付勢された位置揃え従動スプロケット45,45は茎葉部の搬送経路寄りに移動するので、小径の茎葉部が通過する際に位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0068】
また、大径の茎葉部が通過する際、左右の位置揃え装置54L,54Rに大きな負荷がかかると、位置揃え従動スプロケット45,45は孔部44,44に沿って茎葉部の移動経路から離間する方向に移動するので、位置揃え装置54L,54Rの前側の左右間隔が広くなり、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの間隔部に噛み込まれることを防止でき、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0069】
なお、人参の茎葉部が須らく大径であることが収穫作業前にわかっている場合には、位置揃え従動スプロケット45,45を左右の位置揃え装置54L,54Rの左右間から離間する方向に移動させ、位置揃え装置54L,54Rの搬送方向上手側の左右間隔を広くしておくと、位置揃え装置54L,54Rが茎葉部を噛み込むことを防止でき、噛み込んだ茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0070】
そして、位置揃えチェーン48,48を構成する複数のリンク48a…毎にガイドカバー51…を取り付けて位置揃えガイド体52を構成したことにより、任意の箇所のガイドカバー51を自在に着脱できるので、一部のガイドカバー51が損傷しても、新しいガイドカバー51に取り替えるだけで適正な位置揃え性能が維持され、茎葉部が適正に切断されるので、作業能率が向上する。
【0071】
また、位置揃えガイド体52全体を取り替える必要がないので、コストダウンを図ることができる。
さらに、ガイドカバー51の着脱は、工具を必要とせず手作業で行なえるので、交換作業を容易に行なうことができる。
【0072】
そして、ガイドカバー51が位置揃えチェーン48の上面と下面と茎葉部との接触面を覆う正面視コの字形状としたことにより、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間に空間部が生じないので、ガイドカバー51と位置揃えチェーン48との間で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0073】
また、ガイドカバー51に凸上のR部51aと凹状のR部51bとを形成し、後続のガイドカバー51の凸状のR部51aを前側のガイドカバー51の凹状のR部51bに近接させて位置揃えチェーン48に取り付けることにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…は追従して移動できるので、位置揃え装置54L,54Rは一定の周速で動作するため、茎葉部を受けて人参の茎葉部の切断位置を適正に揃えることができ、後工程で人参に残る茎葉部を取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0074】
さらに、凸状のR部51a上に向かって突出する突出部51cを設けたことにより、位置揃えチェーン48が位置揃え従動スプロケット45などの周囲を円弧軌道で移動する際、ガイドカバー51…同士の前後間に生じる空間部をこの突出部51cが覆うため、ガイドカバー51…同士の前後間の空間部で茎葉部を挟み込んでしまい、人参が適正な切断位置に揃えられず茎葉部が切り残されることを防止でき、後工程で茎葉部を除去する作業が必要なく、作業能率が向上するとともに、人参の根部が切断されることを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0075】
そして、位置揃えチェーン48,48の巻回域内に左右のテンションプレート53L,53Rを設けたことにより、位置揃えチェーン48,48を巻回域内から押圧するため、大径の茎葉部が通過する際、テンションプレート53Lまたはテンションプレート53Rが押圧していない部分の位置揃えチェーン48,48は位置揃え駆動スプロケット42,42の方向へ退避できるので、茎葉部が位置揃え装置54L,54Rの左右間に噛み込まれることが無く、機体を止めて噛み込まれた茎葉部を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【0076】
また、位置揃え駆動スプロケット42,42の外周を移動する位置揃えガイド体52,52に付着した茎葉部の破片や泥等の夾雑物を擦り落とす左右のスクレーパ55,55を設けたことによって、茎葉部の移動経路から離れて位置で位置揃えガイド体52,52に付着した夾雑物を除去することができるので、茎葉部の破片が位置揃え装置54L,54Rの各部に絡み付くことが防止され、機体を止めて絡み付いた茎葉部の破片を取り除く必要が無く作業能率が向上すると共に、泥の塊が人参の根部を傷つけることが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0077】
さらに、スクレーパ55,55は長穴に沿って取り付け位置を変更することができるので、収穫作業を行う圃場の人参の茎葉部の径の平均に合わせて最適な位置にスクレーパ55,55を設定し、確実に茎葉部の破片や泥等の夾雑物を位置揃えガイド体52,52から除去することにより、上記の効果がさらに向上する。
【0078】
そして、茎葉切断装置61で人参から切断された排葉(切断された茎葉部)を圃場に排出する排葉シュータ71が、既掘り側(人参を収穫し終えた側)に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側(人参を収穫していない側)の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト19,19や左右従動プーリ17,17等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0079】
次に、残葉処理部Eについて説明する。
図1〜図3で示すように、前記茎葉切断装置61の下方に前後残葉処理フレーム72,72を設け、該残葉処理フレーム72,72の機体左右一側の前後間に第1残葉処理ローラ73aを回転自在に取り付ける。また、前記残葉処理フレーム72,72の機体左右他側の前後間で且つ第1残葉処理ローラ73aよりも下方位置に第2残葉処理ローラ73bを回転自在に取り付ける。そして、該第1残葉処理ローラ73aと第2残葉処理ローラ73bとにゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト74を無端状に巻回する。さらに、該残葉処理ベルト74の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト74と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ75を取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア76を構成することにより、残葉処理部Eが構成される。
【0080】
なお、該残葉処理コンベア76は、機体左右一側から左右他側に向けて2〜5度程度傾斜している。
これにより、落下した人参は残葉処理ベルト74の駆動と傾斜による移動により移動するので、残葉処理コンベア76上で人参の移動が停止することがなく、手作業で停止した人参を動かす必要がなく、作業能率が向上する。また、残葉処理コンベア76が若干(約2〜5度)傾斜していることにより、機体が圃場の状態等により機体左右一側方向に傾斜しても残葉処理コンベア76は地面に対して略水平状態となるに留まるので、人参が残葉処理コンベア76上に停滞したり、残葉処理コンベア76の搬送方向とは逆方向に移動することがなく、こうした人参を手作業で搬送経路に戻す必要がなく、作業能率が向上する。
【0081】
上記構成により、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ローラ75が、茎葉切断装置61で切り残された人参の残葉を千切り取るため、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。
【0082】
また、残葉処理コンベア76を構成する残葉処理ベルト74をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置61で茎葉部を切除されて人参が落下しても残葉処理ベルト74が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。
【0083】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
図2〜図5及び図6、図9で示すように、前記残葉処理コンベア76よりも機体前側で且つ下方位置に前後の第1搬送フレーム77,77を前後方向に所定間隔を開けて配置し、該第1搬送フレーム77,77の機体内側端部(機体左右他側端部)で且つ外側に前後の第2搬送フレーム78,78を前後方向に所定間隔を空けて且つ搬送終端部側が上下回動自在に配置する。そして、該第1搬送フレーム77,77の機体左右一側端部に前後の駆動スプロケット79,79を夫々回転自在に取り付け、第1搬送フレーム77,77の機体左右他側端部に前後の中継スプロケット80,80を夫々回転自在に且つ駆動スプロケット79,79よりも下方位置に取り付けると共に、第2搬送フレーム78,78の機体左右他側端部に前後の従動スプロケット81,81を夫々回転自在に取り付ける。
【0084】
また、該駆動スプロケット79,79と中継スプロケット80,80と従動スプロケット81,81とに前後の伝動チェーン82,82を夫々無端状に巻回し、前記中継スプロケット80,80の上部に伝動チェーン82,82を付勢する前後のテンションスプロケット83,83を前記第1搬送フレーム77,77で且つ伝動チェーン82,82に接触する位置に回転自在に取り付ける。
【0085】
さらに、該伝動チェーン82,82に人参を載せて搬送するプラスチック等合成樹脂またはゴムで構成する複数の搬送バー84…を回転自在に取り付ける。
そして、前記第2搬送フレーム78,78の左右間に支持プレート86を取り付け、該支持プレート86と機体フレーム1との間に選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させる昇降シリンダ88を伸縮自在に取り付けて、機体左右一側から左右他側に亘って人参を搬送する選別搬送コンベア87を構成する。さらに、該選別搬送コンベア87の搬送終端部の下部に、選別搬送コンベア87の搬送終端部から排出される人参を滑らせて移動させる、ゴム板や塩ビ板等の軟質部材で構成する排出シュータ89を端部が下方に垂れ下がる姿勢で取り付ける。
【0086】
なお、昇降シリンダ88は電動式でも油圧式でも空圧式でもよく、手動で伸縮操作するものでもよい。
そして、前記選別搬送コンベア87の搬送方向上手側、即ち第1搬送フレーム77,77側の伝動チェーン82,82の巻回域内に、選別搬送コンベア87の搬送バー84…に付着した泥土や葉屑、根屑等の夾雑物を除去する清掃プレート120を前記第1搬送フレーム77,77の傾斜姿勢と同じ上方傾斜姿勢で、且つ着脱自在に設ける。さらに、該清掃プレート120の搬送方向上手側及び下手側の端部をそれぞれ下方に向けて屈曲させると共に、V字型の清掃スリット120a…を前後方向に複数形成する。V字型の清掃スリット120a…は、搬送方向上手側に中央の突出部が位置し、搬送方向下手側に向かって前後方向に広がる形状とする。
【0087】
また、清掃プレート120は、搬送バー84…に接触して上方に押し上げる位置に配置すると共に、伝動チェーン82,82の前後間に収まる前後幅で構成する。即ち、伝動チェーン82,82の真下には、清掃プレート120は位置しない構成となる。
【0088】
なお、前記清掃スリット120a…はバーリング加工によって形成し、非接触面側に凸部(図示省略)を形成する。また、清掃スリット120a…の搬送方向上手側端部で且つ清掃プレート120の板厚内に鋸刃形状の切断体121を形成し、清掃スリット120a…に葉屑等の夾雑物が引っ掛かった場合、搬送バー84…が搬送方向下手側に進むと夾雑物が切断体121によって切断される構成とする。
【0089】
そして、前記第2搬送フレーム78,78で且つ伝動チェーン82,82の上部に、該伝動チェーン82,82に潤滑油を供給する注油タンク122,122をそれぞれ設ける。該注油タンク122の下端部には開口部を形成し、この開口部と略同径のボール123を内装すると共に、該ボール123を下方に付勢するスプリング124を設ける。さらに、前記注油タンク122内の内圧を増減させて潤滑油の流出量を変更する送油ボタン125を、注油タンク122の上部に配置する。
【0090】
前記ボール123は伝動チェーン82,82に接触すると上方に押し上がり、潤滑油を伝動チェーン82,82に供給する構成であり、常時接触する構成とすると過剰供給になるため、注油タンク122の上下位置を変更可能に構成するか、注油タンク122を着脱自在に構成すると、必要なときだけ潤滑油の供給を行なうことができるので、潤滑油の節約が図られる。加えて、余分な潤滑油が伝動チェーン82,82に供給されないことにより、潤滑油が圃場に落ちて土壌や人参を汚染することが防止されるので、環境の保全や人参の品質が保全される。
【0091】
また、前記機体フレーム1の機体左右他側の後部で且つ選別搬送コンベア87よりも機体後側に、前記選別搬送コンベア87で搬送中の人参の選別作業や選別搬送コンベア87の操作を行なう補助作業者が搭乗する搭乗ステップ90を配置し、該搭乗ステップ90上で且つ選別搬送コンベア88の中継スプロケット80,80を配置した近傍位置に補助作業座席91を取り付ける。
【0092】
さらに、前記昇降シリンダ88を伸縮操作して選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させる上昇踏みペダル92aと下降踏みペダル92bとを選別搬送コンベア87の搬送経路の下方に配置する。
【0093】
そして、該搭乗ステップ90上で且つ補助作業座席91に着座した補助作業者が足で踏んで操作できる位置に配置することによって、選別搬送部Fが構成される。
上記構成によれば、駆動スプロケット79,79よりも中継スプロケット80,80を下方に配置したことにより、選別搬送コンベア87のうち駆動スプロケット79,79から中継スプロケット80,80を配置した区間は、機体内側方向(機体左右他側方向)に約2〜5度傾斜して、残葉処理コンベア76と略平行姿勢とすることにより、人参が残葉処理コンベア76の何処から落下しても残葉処理コンベア76と選別搬送コンベア87の搬送始端部との落差が略同じなので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止でき、商品価値が向上する。
【0094】
また、選別搬送コンベア87の搬送方向上手側である第1搬送フレーム77,77側の伝動チェーン82,82の巻回域内に、搬送バー84…に付着した泥土や葉屑、根屑等の夾雑物を擦り落とす清掃プレート120を設けたことにより、搬送バー84…に付着した夾雑物を収穫作業中に除去して圃場に落とすことができるので、作業後の清掃にかかる時間や労力の軽減が図られるため、メンテナンス性が向上する。
【0095】
そして、清掃プレート120に搬送方向上手側から下手側に亘って複数の清掃スリット120a…を形成したことにより、清掃プレート120に付着した夾雑物を下方に落下させやすくなるので、清掃プレート120に夾雑物が溜まって清掃性能が低下したり、接触する搬送バー84…に夾雑物を付着させてしまうことが防止される。
【0096】
さらに、搬送バー84…が上方に押し上げられる位置に清掃プレート120を配置したことにより、搬送バー84…が段差を乗り越える際の振動や接触抵抗によって付着した泥土が落ちやすくなるため、搬送バー84…に泥土が残りにくく、清掃作業に要する時間や労力が軽減されてメンテナンス性が向上する。
【0097】
加えて、清掃プレート120と搬送バー84…が密着することにより、搬送バー84…に絡み付いた葉屑や根屑が清掃スリット120a…に入り込むとせん断力によって葉屑や根屑が引き込まれるので、夾雑物が選別搬送コンベア87に残りにくくなり、作業終了後に夾雑物を取り除く作業に要する時間や労力が軽減される。
【0098】
また、清掃プレート120に搬送バー84…が接触すると搬送バー84…が回転するため、搬送バー84…に絡み付いた夾雑物を回転力で取り除きやすくなるため、いっそう掃除に要する時間と労力が軽減される。
【0099】
そして、清掃スリット120a…を、搬送方向上手側に中心部が位置するV字形状に形成したことにより、一端が細く他端が太い人参は、搬送バー84…の回転によって搬送方向下手側に搬送されるにつれて機体前側または機体後側に移動するため、人参が一箇所に固まってしまうことが防止され、作業者は人参を目視しやすくなり、選別精度が向上する。
【0100】
加えて、直線状の搬送バー84…が清掃スリット120a…に入り込むことが防止されるので、選別搬送コンベア87が突然停止してしまうことがなく、作業能率が向上する。
さらに、清掃プレート120を着脱自在に構成したことにより、清掃時に清掃プレート120を取り外して付着した夾雑物を除去することができるので、確実に夾雑物を取り除くことができ、メンテナンス性が向上する。
【0101】
そして、清掃スリット120a…をバーリング加工で形成し、清掃プレート120の非作用面(裏面)に凸部を形成したことにより、搬送バー84…は清掃プレート120の平坦な面に接触するので、搬送バー84…が摩擦で摩耗しにくくなり、耐久性が向上する。
【0102】
加えて、清掃スリット120a…に入り込んだ夾雑物は、下方に突出する凸部に引っ掛かりやすくなるので、搬送中にいっそう除去されやすくなり、清掃作業に要する時間や労力が軽減される。
【0103】
また、清掃スリット120a…の搬送方向上手側端部で且つ清掃プレート120の板厚内に鋸刃形状の切断体121を形成したことにより、夾雑物が搬送バー84…から離れないことがあっても、切断体121に引っ掛かれば引きちぎられるので、搬送バー84…の進行が妨げられることが防止され、作業能率が向上する。
【0104】
加えて、人参に切り残された茎葉部が清掃スリット120a…に入り込んだ場合にも、切断体121に茎葉部が触れた状態で人参が搬送されると茎葉部が引きちぎられるので、搬送バー84…の進行が妨げられることが防止されて作業能率が向上すると共に、人参に茎葉部が残りにくくなり、収穫後に作業者が人参から茎葉部を除去する作業が省略されるので、作業者の労力が軽減される。
【0105】
そして、伝動チェーン82,82の上部に注油タンク122,122を設けたことにより、人参の収穫作業をしながらでも伝動チェーン82,82に潤滑油を供給することができるので、油切れにより選別搬送コンベア87が動かなくなることが防止されるので、作業能率が向上する共に、耐久性が向上する。
【0106】
さらに、ボール123が伝動チェーン82,82に接触して押し上げられたときだけ潤滑油が漏出する構成としたことにより、過剰な量の潤滑油が伝動チェーン82,82に放出されることが防止されるので、潤滑油の節約が図られると共に、潤滑油が圃場に落ちて土壌や人参を汚染することが防止されるので、環境の保全や人参の品質が保全される。
【0107】
また、ボール123を伝動チェーン82,82に押し当てた状態にすると、伝動チェーン82,82が動いている間は潤滑油が供給されるので、自動的に注油作業を行うことができ、メンテナンス性が向上する。
【0108】
そして、潤滑油の流出量を変更する送油ボタン125を注油タンク122に設けたことにより、潤滑油の漏出量が少ない、または出が悪い場合、作業者は送油ボタン125を押して注油タンク122内の圧力を増圧し、潤滑油の漏出量を増やすことができるので、伝動チェーン82,82に潤滑油が十分に供給されて、選別搬送コンベア87の動作を円滑に保つことができる。
【0109】
また、昇降シリンダ88を操作する上昇踏みペダル92aと下降踏みペダル92bを補助作業座席91に着座した補助作業者の足が届く位置に設けたことにより、補助作業者は補助作業座席91に着座したまま選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上下動させることができ、作業能率が向上するとともに作業者の労力が軽減される。
【0110】
さらに、上昇踏みペダル92aと下降踏みペダル92bを設けたことにより、補助作業者は選別搬送コンベア87の上下動を足だけで操作することができ、手を搬送中の人参の選別作業に集中させられるので選別精度が向上すると共に、手を選別搬送コンベア87の構成部材で挟んだり切ったりすることが防止でき、作業の安全性が向上する。
【0111】
次に、収容部Gの構成について説明する。
図2及び図6〜図10で示すように、前記選別搬送コンベア87の前後の第2搬送フレーム78,78の搬送方向下手側(左右他側部)に回動シャフト93を機体前後方向に貫通させて取り付け、該回動シャフト93の前後両端側で且つ第2搬送フレーム78,78の外側に夫々摩擦抵抗体94,94を軸着する。
【0112】
該摩擦抵抗体94,94は皿バネやスプリングワッシャ、ゴムリング等、強い摩擦抵抗を有する部材であればどのようなものを用いてもよい。
また、前記回動シャフト93の前後両端部に前後のハンガーアーム95,95の基部側を摩擦抵抗体94,94よりも前後方向外側に設け、第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95との間に挟み込んだ摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗によりハンガーアーム95,95が上方または下方に抵抗力以上の移動力がかかったときのみ上方または下方に移動可能に構成する。
【0113】
なお、図6、図8及び図9で示すように、ハンガーアーム95,95は左右方向略中央部に屈曲部95a,95aを形成し、該屈曲部95a,95aから機体外側端部に亘って上方に向かう形状、即ち正面視あるいは背面視で逆“へ”の字形状に屈曲させた形状とすると、選別搬送コンベア87を上昇させた際にハンガーアーム95,95が下方に回動しても、前後の第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95との間に隙間が生じなくなり、補助作業者が選別搬送コンベア87の搬送終端部に向かって腕を伸ばしていても、第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95とに腕を挟まれることがなく、作業者の安全性が向上する。
【0114】
また、ハンガーフレーム95,95が第2搬送フレーム78,78の搬送終端側の近傍に位置することにより、ハンガーフレーム95,95がどの傾斜角度であっても第2搬送フレーム78,78よりも下方に位置するので、補助作業者の選別作業スペースが広くなるので、選別精度が向上すると共に、作業能率が向上する。
【0115】
そして、前記ハンガーアーム95,95の端部側に前後方向に亘って選別搬送コンベア87の機体前後端部よりも前後方向に突出するハンガーフレーム96を取り付け、該ハンガーフレーム96の前後両端部に人参を収容する収容袋(フレキシブルコンテナバッグ)97を前後左右の4点を引っ掛けて吊り下げ支持する前後一対の吊下げハンガー98,98を左右方向に回動自在に取り付ける。
【0116】
さらに、該吊下げハンガー98,98の機体外側端部に上方向きの逆U字型(∩型)の外側吊下げ体99a,99aを夫々溶着すると共に、機体内側端部を下方向きのU字型の内側吊下げ体99b,99bを溶着し、該外側吊下げ体99a,99aと内側吊下げ体99b,99bに収容袋97を吊り下げる吊下げフック99f,99f,99f,99fを上下移動自在に取り付ける。
【0117】
なお、外側吊下げ体99a,99a及び内側吊下げ体99b,99bを溶着する代わりに、吊下げハンガー98,98の機体外側端部を逆U字型(∩型)に折り曲げ、機体内側端部をU字型に折り曲げて、吊下げフック99f,99f,99f,99fを上下方向に移動自在に取付可能な構成としてもよい。
【0118】
該吊下げハンガー98,98は、吊り下げる収容袋97の上側開口部が平面視で略四角形となるように、収容袋97の4箇所の角部を前後の外側吊下げ体99a,99a及び前後の内側吊下げ体99b,99bで吊り下げる。
【0119】
なお、図9示すように、前記吊下げハンガー98,98をハンガーフレーム96から取り外し、前記外側吊下げ体99a,99aをハンガーフレーム96の前後端部に引っ掛け、内側吊下げ体99b、99bを後述する回収台118の機体外側端部に設ける支持突起119に引っ掛けることにより、選別コンベア87を上方回動させると回収台118が吊下げハンガー98,98に引き上げられて自動的に収容姿勢、即ち機体フレーム1に対して略直交姿勢にすることができるので、回収台118を手作業で持ち上げる必要が無くなり、作業者の労力が軽減される。
【0120】
また、選別搬送コンベア87を上限まで回動させて収納状態にした際、吊下げハンガー98,98は機体フレーム1に対して直交姿勢となるので、収納時に機体フレーム1の外側にはみ出す部材がなく、収納時にはみ出た部材が破損することが防止されると共に、収納スペースを余分に取ることが防止される。
【0121】
吊下げハンガー98,98で回収台118を引き上げる際、吊下げハンガー98,98の姿勢は、収容袋97を開口状態で吊り下げる姿勢を基準として約180度回転させた姿勢となる。
【0122】
さらに、図6〜図8で示すように、前記ハンガーフレーム96に、直射日光を遮断するバイザープレート126を前後の吊下げハンガー98,98と略水平姿勢で取り付ける。該バイザープレート126は、ハンガーフレーム96と共に回動し、選別搬送コンベア87を上下動させても吊下げハンガー98,98と略水平姿勢となる構成とする。
【0123】
上記構成により、収容袋97内に射し込む直射日光をバイザープレート126が遮断するため、長時間直射日光に晒された人参が乾燥等で萎びたり割れたりすることを防止できるので、人参の品質が低下しにくく、人参の商品価値が向上する。
【0124】
そして、前記第2搬送フレーム78,78の搬送終端部の前後外側で且つ回動シャフト93の取付位置よりも機体外側方向に前後のハンガーアーム95,95を受け止めて下方回動を規制する下限規制突起100,100を取り付ける。さらに、機体前側の第2搬送フレーム78の外側で機体前側の下限規制突起100よりも上方且つ回動シャフト93寄りの位置に、機体前側のハンガーアーム95を受け止めて上方回動を規制する上限規制突起101を取り付ける。
【0125】
また、前記回動シャフト93の機体後側もしくは前後両側に雌ネジを刻んだ孔部(図示せず)を形成し、該孔部にねじ込む雄ネジ(図示せず)を刻んだ調節ノブ102を挿し込み、該調節ノブ102を回転させて摩擦抵抗体94,94を間に挟んだ第2選別フレーム78,78とハンガーアーム95,95との前後間隔を変更することにより、摩擦抵抗力が変化する構成とする。
【0126】
上記調節ノブ102を回動シャフト93の機体後側端部に設けると補助作業座席91に搭乗した補助作業者が操作し易く、回動シャフト93の機体前側端部に設けると操縦座席11に搭乗した作業者が操作し易くなり、摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗力の調節が容易となる。
【0127】
さらに、前記回動シャフト93よりも選別搬送コンベア87の搬送終端側で且つ機体後側の第2搬送フレーム78の下側に前後方向に摺動自在なスライド軸103を設け、該スライド軸103に機体前側方向に付勢力をかけるスプリング104を軸着する。そして、該スプリング104の機体前側端部に選別搬送コンベア87の下部に入り込む収容袋97の機体内側の前後中間部を吊り下げて弛みを防止する補助フック105を設け、前記スライド軸103の後側端部で且つ第2フレーム78の外側に作業者がスライド軸103を前後摺動させるスライドノブ106を取り付ける。
【0128】
そして、該スライドノブ106に、作業者がスライドノブ106を手で操作し易くするフックレバー106aを設け、該フックレバー106aの基部にフックレバー106aを選別搬送コンベア87側、即ち機体内側に向けて付勢するトルクスプリング106bを取り付ける。
【0129】
前記フックレバー106aは、収穫作業時には収容袋97の機体内側の内部に接触させて収容袋97の機体内側を付勢させることにより、収容袋97の機体内側に弛みが発生することを防止できるので、弛みに人参が入り込んで収容量を無駄にすることが防止され、収容袋97の交換を頻繁に行う必要が無くなり、作業能率が向上する。また、フックレバー106aの表面にゴム等の軟質材で構成するチューブを装着すると、収容袋97に収容された人参がフックレバー106aに接触して傷付くことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
【0130】
これに加えて、バイザープレート126はハンガーフレーム96と共に回動して常に吊下げハンガー98,98と略水平姿勢となるため、選別搬送コンベア87を上下動させても直射日光が収容袋97内に入り込みにくく、人参の劣化を防いで商品価値を向上させることができると共に、バイザープレート126が吊下げハンガー98,98の動きを妨げることが防止される。
【0131】
さらに、フックレバー106aは、非作業時(収納時)はトルクスプリング106bの力によって選別搬送コンベア87の底部に押し当てられるため、機体外側にフックレバー106aが突出することが防止されるので、収納時にフックレバー106aが接触により破損することが防止されると共に、収納スペースが余分に取られることがなくなる。
【0132】
なお、前記スライド軸103は非操作時に選別搬送コンベア87の機体後端部から前後中間部と同じか若干機体前側まで亘って設けると、補助フック105の位置を合わせ易くなる。また、スライド軸103を機体前側から後側に向かって設けてもよく、この場合操縦座席11に搭乗する作業者がスライド軸103の操作を行なうことができる。
【0133】
そして、図10で示すように、選別搬送コンベア87の下方で且つ回動シャフト93よりも選別搬送コンベア87の搬送方向上手側に、収容袋97の機体内側の吊り帯97iを引っ掛ける吊り帯フック107を取り付け、前記ハンガーフレーム96の上部に機体外側の吊り帯97oを引っ掛ける吊り帯ピン108を機体上方に向けて配置することにより、収容袋吊下げ装置85が構成される。
【0134】
該機体内外側の吊り帯97i,97oは、人参を収容した収容袋97をフォークリフトやホイストに引っ掛けて吊り下げるための部材である。
次に、上記収容部Gの動作について説明する。
【0135】
人参の収穫作業開始時には、前記選別搬送コンベア87の搬送終端部から収容袋97までの人参の落下距離を最小限にするため、該選別搬送コンベア87を最下位置まで下降させる。また、前後の吊下げハンガー98,98の外側吊下げ体99a,99aと内側吊下げ体99b,99bに設けた吊下げフック99f,99f,99f,99fに収容袋97の四隅を引っ掛けて、上側開口部を平面視で略四角形状とする。
【0136】
そして、前後のハンガーアーム95,95を上限規制突起101に接触するまで上方回動させ、前後の吊下げハンガー98,98を機体内側端部から機体外側端部に向かって上方に傾斜する姿勢とする。吊下げハンガー98,98が機体外側方向に向かって上方に傾斜する姿勢となることにより、吊り下げられている収容袋97も機体内側端部から機体外側端部に向かって上方に傾斜する上り傾斜姿勢となる。
【0137】
このとき、吊り下げられた収容袋97のうち、選別搬送コンベア87の搬送終端部側から人参が排出される機体内側は弛むため上下長さが短くなり、機体外側は殆ど弛みが生じないため上下長さが長くなる。
【0138】
なお、収容袋97は、布材や合成繊維等で柔軟に構成したものとする。
また、前記収容袋97の機体内側端部に排出シュータ89の機体外側端部を入り込ませ、収容袋97の機体内側端部を選別搬送コンベア87の搬送終端側の下方に入り込ませ、収容袋97の前後方向略中心部に形成した吊り孔(図示せず)に補助フック105を引っ掛ける。さらに、収容袋Bの機体内側の吊り帯97iを吊り帯フック107に引っ掛けると共に、機体外側の吊り帯97oをハンガーフレーム96上の吊り帯ピン108に引っ掛ける。
【0139】
前記ハンガーアーム95,95は摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗力により、作業者が設定した傾斜姿勢で保持されるが、放置すると勝手に下方回動し始める場合には調節ノブ102を回転させて、第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95との間に配置された摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗力を調節する。調節ノブ102を締め方向に回転させると摩擦抵抗体94,94の接触面積・接触圧が増加して摩擦抵抗力が強くなり、ハンガーアーム95,95が勝手に移動することが防止される。なお、緩め方向に回転させると摩擦抵抗体94,94の接触面積・接触圧が減少して、摩擦抵抗力が弱くなる。
【0140】
また、収穫作業が進行し、収容袋97に収容された人参が一定量を超えると、補助作業者が上昇踏みペダル92aを足踏み操作し、昇降シリンダ88を伸ばして選別搬送コンベア87の搬送終端部側を上昇させる。
【0141】
選別搬送コンベア87が上昇している間は、前記ハンガーアーム95,95が下降しようとする力が摩擦抵抗体96,96の摩擦抵抗力を上回るため、ハンガーアーム95,95が下降する。ハンガーアーム95,95の下降は、収容袋97に人参の収容スペースを確保すべく選別搬送コンベア87を上昇させている間のみ発生する。
【0142】
ハンガーアーム95,95が下方回動することにより、吊下げハンガー98,98がハンガーフレーム96を支点として回動し、吊下げハンガー98.98の機体外側が下方に回動すると共に、機体内側が上方に回動する。収容袋97の機体外側は設置の段階で上方に位置しているので殆ど位置の変化はないが、機体内側は吊下げハンガー98,98の移動により、上方に引き上げられる。これにより、収容袋97の機体内側に生じていた弛みが上昇量に応じて解消される。
【0143】
なお、この動作による選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97との落差の変化は殆どなく、また排出シュータ89の端部は、収容袋97の内部に垂れ下がって入り込んでいるため、収容袋97からはみ出すことがない。
【0144】
また、収穫作業が進行し、収容袋97に収容された人参が一定量を超える度に選別搬送コンベア87の搬送終端部を上昇させ、ハンガーアーム95,95を下方回動させると共に、収容袋97の機体内側を上方に引き上げて、収容袋97内の人参の収容スペースを確保すると共に、機体内側に偏る人参の山を崩していく。
【0145】
そして、選別搬送コンベア87を上方に回動させ、吊下げハンガー98,98が略水平姿勢になると、収容袋97の機体内側の弛みが解消され、機体内側と外側の上下高さが略同じになる。この状態となると、収容袋97には約200kgの人参が収容されているため、作業者は機体の走行を停止して収容袋97を機外に下ろす。
【0146】
このとき、ハンガーアーム95,95が下限規制突起100,100に接触する構成とする。
しかしながら、あと数メートルで圃場内の人参を全て収穫できる場合等、収容袋97を交換すると手間が多くなる場合には、収容袋97の上部開口部を閉じる蓋部を吊下げハンガー98,98の外側吊下げ体99a,99aに引っ掛け、収容袋97の機体外側から左右方向中央部の近傍までの上下高さを長くしてやると、数メートル(数kg)分の人参であれば収容可能となり、収容袋97の交換の手間が省け、作業能率が向上する。
【0147】
なお、この状態でも選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97との落差の変化は殆どない。
そして、収容袋97の収容量が一杯になると、機体や引抜搬送装置24、選別搬送コンベア87等を停止させ、吊下げフック99f,99f,99f,99fから収容袋97取り外すと共に、フックレバー106aを操作してスライドノブ106を介して機体後方に引っ張り、補助フック105を収容袋97から取り外す。補助フック105はスプリング104の付勢力によって、フックレバー106aから手を離すと選別搬送コンベア87、及び装着時の収容袋97の前後方向略中央部に自動的に復帰する。
【0148】
また、操作ハンドル116を操作して、載置台112を前方または後方に下降させることにより、人参が収容された収容袋97は自重で載置台112を滑り降りるので、収容袋97を機体前側に降ろしたときは機体を後退させ、収容袋97を機体後側に降ろしたときは機体を前進させることにより、約200kgの人参を収容した収容袋97が収容部Gから降ろされて圃場に設置される。
【0149】
そして、収穫作業が終了すると、ハンガーアーム95,95を再び上限規制突起101に接触させ、選別搬送コンベア87を最上位置まで上方回動させる。
上記構成及び動作により、収容袋97の機体外側には作業の開始から交換時まで殆ど弛みが生じないため、弛みに人参が入り込んで収容袋97の収容量を減らしてしまうことが防止され、収容袋97の交換の頻度が減り、作業能率が交換すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0150】
従来の収容袋の取り付け方では、機体内外両側に弛みが生じるため、この弛みに人参が入り込み、収容袋が持ち上げられても弛みが取れなくなり、一回の収容量が減少し、収容袋の交換頻度が高くなっていた。
【0151】
また、収容袋に生じた弛みを選別搬送コンベアを上下動させて解消し、収容スペースを確保することはできたが、弛みを取る度に作業者は選別搬送コンベアを操作せねばならず、作業能率を低下させていた。特に選別を行う補助作業者の場合、操作中の選別精度が低下していた。
【0152】
そして、選別搬送コンベア87の搬送終端部と収容袋97の機体左右一側部との落差が常に略一定であるので、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0153】
さらに、通常はハンガーアーム95,95の回動を摩擦抵抗体96,96によって規制し、選別搬送コンベア87を上昇させている間のみハンガーアーム95,95が下方回動する構成としたことにより、収容袋97の人参の収容量の変化に合わせて選別搬送コンベア87を操作すると連動して吊下げハンガー98,98の機体内側を上方に移動させることができるので、収容袋97の収容量を自動的に増大させられると共に、収容袋97の機体内側の弛みが自動的に解消されるので、弛みを取るために選別搬送コンベア87を上下動させる必要がなく、作業能率が格段に向上する。
【0154】
また、ハンガーアーム95,95の上方傾斜姿勢の限度を決める上限規制突起101を機体前側の第2搬送フレーム78に設けたことにより、作業者はハンガーアーム98,98をセットする位置がわかりやすく、収容袋97が満杯になるようにハンガーアーム95,95の位置を決めることができる。
【0155】
加えて、上限規制突起101が機体前側の第2搬送フレーム78にのみ設けられたことにより、上限規制突起101は選別搬送コンベア87で搬送中の人参の選別を行う補助作業者の作業範囲内に存在しないため、補助作業者が動作する際にぶつかったり衣服に引っ掛かったりすることが防止され、作業者の負担が軽減される。
【0156】
下限規制部材100,100は機体後側の第2搬送フレーム78にも設けられるが、設けられる位置は吊下げハンガー98,98の機体内側端部が位置しており、しかも通常選別作業を終えている領域であるため、補助作業者の動作に干渉することはないので、問題はない。
【0157】
なお、作業者がハンガーアーム95,95を上段規制突起101に接触させ忘れることを防止するために、後側の第2搬送フレーム78に注意書きを記しておくと、設定忘れが防止できる。
【0158】
そして、吊下げハンガー98,98の機体外側端部に外側吊下げ体99a,99aを上方に向けて設け、機体内側端部に内側吊下げ体99b,99bを設けたことにより、機体内側の吊下げフック99f,99fが機体外側の吊下げフック99f,99fよりも下方に位置するので、収容袋97を設置した際に収容袋97の機体外側と機体内側の上下高さの差が大きくなるので、収容袋97の機体外側からいっそう人参がこぼれにくくなる。
【0159】
また、吊下げハンガー98の左右両端部を折り曲げて外側吊下げ体99a及び内側吊下げ体99bを形成すると、一本の棒材で構成することができるので、コストダウンを図ることができる。
【0160】
そして、収容袋97の機体内側に設けた吊り帯97iを選別搬送コンベア87下の吊り帯フック107に引っ掛けると共に、機体外側に設けた吊り帯97oをハンガーフレーム96上の吊り帯ピン108に引っ掛けることにより、収容袋97を吊り帯97i,97oが引っ張るので、収容袋97に生じる弛みを軽減することができる。
【0161】
さらに、収容袋97の前後方向略中央部の孔部に補助フック105を引っ掛けることにより、収容袋97の機体内側の前後方向略中央部に生じる弛みを小さくすることができるので、人参が機体内側の弛みに入り込みにくく、収容スペースが十分に確保できる。
【0162】
そして、スライドノブ106を機体後方に引っ張ると、スライド軸103が機体後方に摺動して補助フック105が収容袋97から外れるので、人参で満杯になった収容袋97と選別搬送コンベア87の搬送終端部の下方との間に生じる狭いスペースに手を進入させなくても補助フック105を外すことができるので、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0163】
また、ハンガーアーム95,95を上限規制突起101に接触させ、選別搬送コンベア87を最上位置まで回動させると、吊下げハンガー98,98が回動して吊下げハンガー98,98の機体外側端部が機体フレーム1の端部よりも内側に位置するので、機体フレーム1からはみ出した吊下げハンガー98,98が壁等にぶつかることがなく、機体の破損が防止される。
【0164】
また、排出シュータ89の端部を収容袋97の内側に垂れ下がらせたことにより、排出シュータ89と収容袋97との間の人参が落下し得る空間部がなくなるので、選別搬送コンベア87から排出される人参が落下することを防止でき、人参の商品価値が向上する。該排出シュータ89の機体前後方向の幅は、選別搬送コンベア87の機体前後方向の幅と略同じにすると、上記の人参の落下防止効果がいっそう向上する。
【0165】
次に、載置排出部Hの構成について説明する。
図2、図16及び図17で示すように、前記機体フレーム1の機体左右他側後部に前後支持プレート109,109を機体左右方向に取り付け、該前後支持プレート109,109の機体外側端部に載置部フレーム110を、左右回動軸110aを回動支点として機体左右方向に回動自在に取り付ける。そして、該載置部フレーム110の後下部に上下回動軸111aを設け、該上下回動軸111aの上部に前後の吊下ハンガー98,98に吊り下げられる収容袋97の底部を載置支持する載置台112を上下回動自在に取り付ける。
【0166】
また、前記載置部フレーム110の後側の左右他側端部に後側支持プレート113を設け、前記上下回動軸111aの左右他側端部に回動プレート114の下端部を機体前後方向に回動自在に軸着するとともに、該回動プレート114の上部と後側支持プレート113の上部との間に伸縮自在な伸縮ロッド115を取り付ける。
【0167】
さらに、該伸縮ロッド115の機体後側の端部に伸縮ロッド115を伸縮させる操作ハンドル116を取り付けるとともに、前記載置台112の左右両側及び後側に収容袋97の落下を防止する落下防止板117B,117L,117Rを取り付けることにより、回収台118が構成される。該回収台118の機体外側端部(機体右側端部)には、回収台118の折り畳み作業時に前記吊下げハンガー98,98の一側端部を引っ掛ける支持突起119を取り付ける。
【0168】
上記落下防止板117B,117L,117Rのうち、機体左側、即ち機体内側に配置される左落下防止板117Lの下部側に、水や夾雑物を排出する排出開口部117sを形成し、回収台118を機体フレーム1側に回動させると水や夾雑物が排出開口部117sから圃場に落下する構成とする。
【0169】
そして、前記左右回動軸110aに、回収台118を常時上方に付勢して上方傾斜姿勢で保持するトルクスプリング110bを取り付け、収容袋97に収容された人参の重量が増加すると自動的に機体フレーム1に対して略水平姿勢になるまで下方回動する構成とする。
【0170】
前記収容袋吊下げ装置85と回収台118とにより、載置排出部Hが構成される。
なお、伸縮ロッド115は一方の棒材の表面に螺子溝を刻み、他方の中空の棒材の内面に螺子溝を刻み、互いの棒体の螺子溝を合わせて操作ハンドル116で回転させて伸縮する構成としているが、電動シリンダや油圧シリンダに置き換えてもよく、その場合は操作ハンドル116をスイッチやレバーに置き換えてもよい。
【0171】
以下、本件人参の収穫機の別実施例を説明する。
図18で示すように、前記選別搬送コンベア87の搬送方向上手側、即ち第1搬送フレーム77,77側の伝動チェーン82,82の下方に、巻回域下側の伝動チェーン82,82を上方に押し上げる前後のテンションスプロケット127,127を上下位置変更可能に配置する。該前後のテンションスプロケット127,127の上下動機構は、機体後側の第1搬送フレーム77にL字形状の調節長穴128を形成し、前記テンションスプロケット127,127を軸着した一本の回転軸127aの機体後側の端部を調節長穴128から機体後方に突出させ、回転軸127aを機体上方に付勢するリターンスプリング129を設けて構成する。
【0172】
前記回転軸127aを操作していないときは、テンションスプロケット127,127は上方に移動して伝動チェーン82,82を上方に押し上げ、巻回域上側の搬送バー84…の下端部に巻回域下側の搬送バー84…の上端部を接触させる構成とする。また、回転軸127aの端部をL字型の調節長穴128に沿って下方移動させ、切欠部128aに前記回転軸127aを引っ掛けると、テンションスプロケット127,127は下方に移動して巻回域下側の搬送バー84…を巻回域上側の搬送バー84…から離間させる構成とする。
【0173】
そして、前記テンションスプロケット127,127の下方で且つ第1搬送フレーム77,77の前後間には、何らの部材も設けない。
上記構成により、テンションスプロケット127,127で伝動チェーン82,82を上方に押し上げると、巻回域上側の搬送バー84…の下端部と巻回域下側の搬送バー84…の上端部が接触するため、接触の衝撃で搬送バー84…に付着した泥土等の夾雑物を振るい落とすことができるので、清掃作業に要する時間や労力が軽減され、メンテナンス性が向上する。
【0174】
また、搬送バー84…同士が擦れ合う際に生じるせん断力により、搬送バー84…に巻き付いた葉屑や根屑を削いで下方に落とすことができるので、選別搬送コンベア87に夾雑物が滞留することが防止され、清掃作業に要する時間や労力が軽減され、メンテナンス性が向上する。
【0175】
そして、テンションスプロケット127,127を下方移動させ、伝動チェーン82,82に接触しない状態に切り替えることにより、夾雑物の除去が必要ないときには搬送バー84…同士が接触しない状態にすることができるので、接触抵抗による振動や伝動ミスの発生が防止され、人参の搬送が安定して行われる。
【0176】
さらに、テンションスプロケット127,127の下方で且つ第1搬送フレーム77,77の前後間には何も部材を設けないことにより、落下する夾雑物は何かに引っ掛かることなく圃場に落下するので、清掃作業が容易になり、メンテナンス性が向上する。
【0177】
図19で示すように、駆動スプロケット79,79を駆動カムスプロケット130,130に置き換えて、間欠的に選別搬送コンベア87の搬送方向上手側に振動を加える構成としてもよい。このとき、駆動カムスプロケット130,130の径は、中継スプロケット80,80や従動スプロケット81,81の径よりも小径とする。
【0178】
そして、第1選別フレーム77,77に、伝動チェーン82,82の巻回域下側に上方から接触して付勢する前後の固定テンションスプロケット131,131を設ける。また、上下回動自在な前後のテンションアーム132,132を設け、該前後のテンションアーム132,132を上方に付勢するテンションスプリング133,133を設け、前記前後のテンションアーム132,132の端部に前後の回動テンションスプロケット134,134を回転自在に設けて自動テンション機構135,135を構成する。そして、前記回動テンションスプロケット134,134を伝動チェーン82,82の下側から接触させることにより、駆動カムスプロケット130,130の回転による伝動チェーン82,82の張力の変化の影響が選別搬送コンベア87の駆動に与える影響を最小限にする構成となる。
【0179】
さらに、前記中継スプロケット80,80の上方に、伝動チェーン82,82を上方から押さえるアイドルスプロケット136,136を設け、選別搬送コンベア87の中央部付近から後端部にかけて駆動カムスプロケット130,130の振動が伝わらない構成とする。
【0180】
そして、機体後側の中継スプロケット80と従動スプロケット81の左右間に入力スプロケット137を設け、該入力スプロケット137を左右方向に移動自在に構成する。また、該入力スプロケット137に軸着した回転軸137aに、入力スプロケット137の回転により風を起こす送風ファン138を取り付ける。該送風ファン138の送風方向は機体後側から前側に向かう構成とする。
【0181】
上記構成により、選別搬送コンベア87のうち、駆動カムスプロケット130,130と中継スプロケット80,80の左右間に亘って間欠的に振動を発生させることができるので、泥土等の夾雑物が振るい落とされるため、掃除に要する時間や労力が軽減され、メンテナンス性が向上する。
【0182】
また、自動テンション機構135,135で伝動チェーン82,82に常に一定の付勢力をかける構成としたことにより、駆動カムスプロケット130,130の回転による伝動チェーン82,82の張力の変化を抑えることができるので、選別搬送コンベア87の搬送速度が変化したり、張力の低いときに伝動チェーン82,82が外れたりすることが防止され、作業能率が向上する。
【0183】
そして、固定テンションスプロケット131,131が伝動チェーン82,82を上方から接触することにより、巻回域上側の搬送バー84…と巻回域下側の搬送バー84…を接近させることができるので、搬送バー84…同士の接触により、夾雑物が確実に落とされるため、メンテナンス性が向上する。
【0184】
さらに、駆動カムスプロケット130,130を中継スプロケット80,80や従動スプロケット81,81よりも小径に構成したことにより、高周波の振動を発生させることができるので、夾雑物が搬送バー84…から除去されやすくなる。
【0185】
また、中継スプロケット80,80と従動スプロケット81,81の左右間に亘って振動が伝わらない構成としたことにより、選別対象の人参が上下に跳ねることを防止できるので、選別作業者が人参の大きさや形状を見極めやすくなるため、選別精度が向上する。
【0186】
そして、送風ファン138を選別搬送コンベア87の搬送経路に設けたことにより、振動で落とし切れなかった夾雑物や粉塵を風で飛ばして除去することができるので、夾雑物や粉塵が選別対象の人参を覆い隠すことが防止され、選別精度が向上する。
【0187】
さらに、送風ファン138の風向きを機体後側から前側に向かう構成としたことにより、吹き飛ばされる夾雑物や粉塵が補助作業座席91に着座した選別作業者に当たることが無く、作業者の労力が軽減される。
【0188】
また、送風ファン138を軸着した入力スプロケット137を左右方向に移動させることができるので、作業者は夾雑物や粉塵を除去したい位置に容易に送風ファン138を移動させることができ、作業能率が向上する。
【符号の説明】
【0189】
1 機体フレーム
24 引抜搬送装置
87 選別搬送コンベア(選別搬送装置)
88 昇降シリンダ(昇降部材)
91 補助作業座席
92a 上昇踏みペダル(昇降操作部材)
92b 下降踏みペダル(昇降操作部材)
97 収容袋(収容部材)
98 吊下げハンガー(吊下げ部材)
99a 外側吊下げ体(取付部)
99b 内側吊下げ体(取付部)
99f 吊下げフック(引掛け部材)
105 補助フック(引掛け部材)
106a フックレバー(手動操作部材)
106b トルクスプリング(第2付勢部材)
110a 左右回動軸(回動軸)
110b トルクスプリング(第1付勢部材)
118 回収台(回収部)
119 支持突起(持上取付部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(1)の左右一側に作物を圃場から引き抜いて後上方に搬送する引抜搬送装置(24)を設け、該引抜搬送装置(24)から作物を引き継いで左右一側から左右他側に搬送する選別搬送装置(87)を設け、該選別搬送装置(87)の搬送終端側を上下動自在に構成し、作物を収容する収容部材(97)を開口状態で吊り下げ支持する吊下げ部材(98)を選別搬送装置(87)の搬送終端側に設け、該収容部材(97)を下方から支持する回収部(118)を前記機体フレーム(1)に回動自在に設けた根菜類収穫機において、
前記吊下げ部材(98)で選別搬送装置(87)の搬送終端側と回収部(118)を連結し、前記選別搬送装置(87)の搬送終端側の上昇に伴い回収部(118)が収納位置まで移動する構成としたことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
前記選別搬送装置(87)の搬送終端側に吊下げ部材(98)を装着する吊下げ支持部材(95)を回動自在に設け、前記回収部(118)の側方端部に持上取付部材(119)を設け、前記吊下げ部材(98)の一側端部を吊下げ支持部材(95)に取り付け、吊下げ部材(98)の他側端部を持上取付部材(119)に取り付け、前記選別搬送装置(87)の搬送終端側を収納位置まで上昇させると回収部(118)が連動して収納位置まで回動する構成としたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
前記回収部(118)の回動軸(110a)に回収部(118)を上方に向けて付勢する第1付勢部材(110b)を設け、収容部材(97)に所定重量以上の作物が投入されると下方回動する構成としたことを特徴とする請求項1または2記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
前記選別搬送装置(87)の搬送終端側の下方に収容部材(97)の左右一側で且つ前後方向略中央部を引っ掛けて支持する補助引掛け部材(105)を設け、該補助引掛け部材(105)を解除操作する手動操作部材(106a)を設け、該手動操作部材(106a)を選別搬送装置(87)側に付勢する第2付勢部材(106b)を設け、収穫作業時には前記手動操作部材(106a)を収容部材(97)の内部に接触させる構成としたことを特徴とする請求項1または2記載の根菜類収穫機。
【請求項5】
前記吊下げ部材(98)の左右両側に収容部材(97)を引っ掛ける引掛け部材(99f)を取り付ける取付部(99a,99b)を夫々形成し、該左右一側の取付部(99b)が左右他側の取付部(99a)よりも下方に位置する構成したことを特徴とする請求項1または2記載の根菜類収穫機。
【請求項6】
前記選別搬送装置(87)を上昇または下降させる昇降部材(88)を設け、該昇降部材(88)を昇降操作する昇降操作部材(92a,92b)を選別搬送装置(87)の下側に配置すると共に、選別搬送装置(87)よりも後方で且つ該昇降操作装置(92a,92b)の近傍に補助作業座席(91)を設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の根菜類収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−115157(P2012−115157A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265313(P2010−265313)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】