根菜類収穫機
【課題】本発明は、これらの野菜販売用収穫方法と加工用収穫方法の変更に対応できる根菜類収穫機を提供しようとするものである。
【解決手段】走行部Aで走行可能にした機体フレーム1上に掘り起こした根菜類を後方へ搬送する引抜搬送装置24を設け、この引抜搬送装置24の後部に根菜類の茎葉部を挟持後送する茎葉部挟持搬送装置45i,45oと該茎葉部挟持搬送装置45i,45oで挟持して吊り下げた根菜類の可食部を切り落とす茎葉切断装置47を設けた根菜類収穫機において、茎葉切断装置47の茎葉部挟持搬送装置45i,45oに対する上下間隔を調整可能にすると共に、根菜類を左右から挟み込むように接近回転して切断する第1回転刃46oと第2回転刃46iで茎葉切断装置47を構成し、これらの第1回転刃46oと第2回転刃46iを刃先形状の異なる円盤刃で構成したことを特徴とする根菜類収穫機とした。
【解決手段】走行部Aで走行可能にした機体フレーム1上に掘り起こした根菜類を後方へ搬送する引抜搬送装置24を設け、この引抜搬送装置24の後部に根菜類の茎葉部を挟持後送する茎葉部挟持搬送装置45i,45oと該茎葉部挟持搬送装置45i,45oで挟持して吊り下げた根菜類の可食部を切り落とす茎葉切断装置47を設けた根菜類収穫機において、茎葉切断装置47の茎葉部挟持搬送装置45i,45oに対する上下間隔を調整可能にすると共に、根菜類を左右から挟み込むように接近回転して切断する第1回転刃46oと第2回転刃46iで茎葉切断装置47を構成し、これらの第1回転刃46oと第2回転刃46iを刃先形状の異なる円盤刃で構成したことを特徴とする根菜類収穫機とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人参や大根や蕪等の根菜類を圃場から引き抜き、切断装置で茎葉部や可食部(茎葉部を除いた部分)の一部を付けたままの茎葉部を切り除いて可食部を収穫する根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人参や大根或いは蕪等の根菜類を収穫する根菜類収穫機としては、特許文献1,2に記載の如く、掘り起こした根菜類を引抜搬送装置で機体後方へ搬送しながら引抜搬送装置の後部に設けた茎葉切断装置で茎葉部と可食部を切り離して可食部のみを収穫する技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006‐034248号公報
【特許文献2】特開2009‐106196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
根菜類の収穫は、茎の一部を付けたままで可食部を出荷する野菜販売用収穫方法とジュース加工のために茎の部分を完全に取り除いて可食部のみを収穫する加工用収穫方法が有るが、根菜類は、茎の部分は柔らかく切断し易いが、可食部の部分は茎よりも切断し難く茎葉の切断刃と球根部分の切断刃は別にしなければならない。
【0005】
本発明は、これらの野菜販売用収穫方法と加工用収穫方法の変更に対応できる根菜類収穫機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、走行部Aで走行可能にした機体フレーム1上に掘り起こした根菜類を後方へ搬送する引抜搬送装置24を設け、この引抜搬送装置24の後部に根菜類の茎葉部を挟持後送する茎葉部挟持搬送装置45i,45oと該茎葉部挟持搬送装置45i,45oで挟持して吊り下げた根菜類の可食部を切り落とす茎葉切断装置47を設けた根菜類収穫機において、茎葉切断装置47の茎葉部挟持搬送装置45i,45oに対する上下間隔を調整可能にすると共に、根菜類を左右から挟み込むように接近回転して切断する第1回転刃46oと第2回転刃46iで茎葉切断装置47を構成し、これらの第1回転刃46oと第2回転刃46iを刃先形状の異なる円盤刃で構成したことを特徴とする根菜類収穫機とした。
【0007】
この構成で、茎葉切断装置47の茎葉部挟持搬送装置45i,45oに対する上下間隔を調整することで、可食部に茎葉の一部を付けたままで茎葉部を切断にしたり茎葉部を完全に取り除いて可食部の一部を切断したりした収穫方法に変更出来、切断箇所が茎葉部や可食部に変更されても第1回転刃46oと第2回転刃46iの刃先形状が異なることでどちらかの円盤刃で効果的に切断されて効率的に収穫を行える。
【0008】
請求項2記載の発明は、第1回転刃46oと第2回転刃46iのどちらか一方或いは両方を適宜に刃先形状の違う別の回転刃と交換可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【0009】
この構成で、第1回転刃46oと第2回転刃46iのどちらか一方或いは両方を茎葉部切断或いは可食部切断に対応した円盤刃に交換してより効果的な切断が行える。
請求項3記載の発明は、第1回転刃46oと第2回転刃46iのどちらか一方を重ね位相を変えると外周縁が略円弧状になる二枚の鋸円盤刃にしたことを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【0010】
この構成で、第1回転刃46oと第2回転刃46iのどちらか一方を外周縁が円弧状の円盤刃にして茎葉部を効果的に切断したり、外周縁を鋸状にした鋸円盤刃として可食部を効果的に切断したり出来る。
【0011】
請求項4記載の発明は、第1回転刃46oと第2回転刃46iのどちらか一方を円盤刃の外周縁を厚み方向に凹凸としたことを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【0012】
この構成で、外周縁を厚み方向に凹凸とした円盤刃で可食部を切断すると、切断の際に発生する可食部の破片が外周縁に溜まらず長時間の収穫作業が可能となる。
請求項5記載の発明は、機体の外側に位置する第1回転刃46oの下方に切断した根菜類の可食部を機体中央側へ押し出す押出ディスク49を設け、この押出ディスク49の外周縁に深さの異なる突起縁を形成するか円盤状押出ディスク49を偏心して取り付けるかしたことを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【0013】
この構成で、押出ディスク49の回転で可食部が周縁部に接触して押し出される根菜類の横押し出し位置が機体の中央側で前後に異なって分散して横移動を停滞させない。
請求項6記載の発明は、第1回転刃46oと押出ディスク49の間にスペーサー48を設け、このスペーサー48の直径は第1回転刃46oと同径、もしくは第1回転刃46oよりも小径とし、また、スペーサー48の外周縁部を刃状に形成したことを特徴とする請求項5に記載の根菜類収穫機とした。
【0014】
この構成で、第1回転刃46oに押出ディスク49が張り付いて作物に接触しなくなることや、押出ディスク49が上下動して押し出す力が変わってしまうことが防止され、確実に茎葉部または胴部を切断された根菜類を同じ方向に飛ばすことができる。
【0015】
また、スペーサー48の外周縁部を刃状に形成したことにより、胴部切断の際に大径の可食部に接触するとスペーサー48の外周縁部でも切断されるため、確実に可食部を切断できる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明から請求項4に記載の発明によれば、根菜類の茎の一部を付けたままで可食部を出荷する野菜販売用収穫方法とジュース加工のために茎の部分を完全に取り除いて可食部のみを収穫する加工用収穫方法の変更が容易に行える。
【0017】
請求項5記載の発明或いは請求項6に記載の発明によれば、茎葉切断装置47で茎葉部或いは可食部を切断した後に可食部の機体の中央への移動が効率的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】根菜類収穫機の側面図
【図2】根菜類収穫機の平面図
【図3】根菜類収穫機の背面図
【図4】根菜類収穫機の要部側面図
【図5】根菜類収穫機の要部平面図
【図6】選別搬送部及び収容部の側面図
【図7】茎葉切断部の要部正面図
【図8】茎葉切断部の要部平面図
【図9】茎葉切断部の要部側面図
【図10】茎葉切断部の要部背面図
【図11】第1回転刃と第2回転刃の上下位置調整構造を示す第一実施例の側断面図
【図12】第1回転刃と第2回転刃の上下位置調整構造を示す第二実施例の側断面図
【図13】第一実施例の円盤刃の平面図
【図14】第一実施例の円盤刃の側面図
【図15】第二実施例の円盤刃の平面図
【図16】第一実施例の押出ディスクの取付を示す平面図
【図17】第二実施例の押出ディスクの取付を示す平面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態について説明する。
根菜類収穫機の実施例として示す人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を或いは可食部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理しながら機体左右他側へ搬送する引継搬送部Eと、該引継搬送部Eから人参を引き継いで人参を機体後側へ搬送しつつ搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、選別搬送部Fから排出される人参を収容する収容部Gとから構成される。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0020】
まず、走行部Aの構成について説明する。
図1〜図3で示すように、走行部Aは、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0021】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
図1及び図2で示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
【0022】
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0023】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
図1〜図3で示すように、左右引抜フレーム15,15の機体前側に左右従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ17,17を装着し、該左右従動プーリ16,16と左右駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ19…によって該左右挟持搬送ベルト18,18を張圧し、左右挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0024】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を縦ラグ25aで引き起こす縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を横ラグ26aで掬い上げる横引起し装置26と、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部に引抜搬送装置24の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪31を設ける。
【0025】
さらに、前記引抜フレーム15,15の機体前側下部から機体前後方向おいて略中間位置に亘って左右のソイラフレーム32,32を取り付け、該ソイラフレーム32,32の前側端部に左右の振動アーム33,33の前側端部を取り付ける。そして、前記機体フレーム1の前側にエンジン7の駆動力を受けて回転する振動シャフト34を引抜搬送装置24に向けて延出し、該振動シャフト34と該振動アーム33,33の後側端部との間に振動アーム33,33を振動させる側面視V字形状の振動ロッド35を取り付けて振動装置36を構成する。機体内側の振動アーム33は、振動ロッド35の下端側に回動自在に取り付ける。
【0026】
そして、前記ソイラフレーム32,32と振動アーム33,33との連結部に人参の周囲の土を切り解す左右のソイラ37,37を機体前側に向けて取り付け、振動アーム33,33の該ソイラ37,37の基部を取り付けた箇所の内側に左右の土落しステー38,38の基部を取り付け、振動装置36を構成する。
【0027】
なお、前記ソイラ37は、土中に進入して人参の周囲の土を解す刃部37bと、該刃部37bからに後上方に向かう円弧状の取付部37aとから構成すると、ソイラ37が土中に進入する際にかかる抵抗が分散されて小さくなるので、機体の進行が円滑になり作業能率が向上すると共に、土質や天候などによる圃場条件の違いや人参の種類や生育状態の違いに合わせてソイラ37の上下位置調節が容易に行なえるので、人参が掘り取りやすくなり、作業能率が向上する。
【0028】
さらに、振動装置36を振動させる振動シャフト34の回転数は、ミッションケース8の変速動作に連動しない構成とすることによって、走行速度が低速の場合でも振動幅が変わらないので、低速作業時でも高速作業時でも左右のソイラ37,37を同じ幅で振動させることができるので、作業能率が向上するとともに、人参の周囲の土が切り解されて抜き残しが少なくなるので、収穫作業後に抜き残された人参を抜き取る作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0029】
また、該土落しステー38,38の後部に、人参に付着した土を落とす、ポリプロピレンやアクリル等の合成樹脂、あるいは棕櫚や羊歯など天然素材を用いた土落しブラシ39,39を取り付ける。なお、該土落しブラシ39,39は、上下に亘って同じ長さの毛を用いると、人参に接触する機会の多い上側の毛が摩耗した際、土落しブラシ39,39の上下を転換させれば摩耗していない毛を人参に接触させることができるので、土落しブラシ39,39を長持ちさせることができる。
【0030】
さらに、前記土落しブラシ39,39の左右の間隔を機体前側が最も広く幅W1、機体後側に向かうほど狭くなるように配置するとともに、土落しブラシ39,39の左右幅の最も狭い部分幅W2を左右外側方向に向けて構成する。
【0031】
そして、前記左右のソイラ37,37の前端部に圃場面に垂れている茎葉を掬い上げる左右の掬上突起40,40を先端部が前記横引起し装置26の横ラグ26aよりも前方に位置するように配置する。また、該掬上突起40,40の前側に掬上突起40,40で掬い上げられた茎葉を引抜搬送装置24の挟持始端部に案内する左右の案内バー41,41を、平面視で「ハ」の字型となるように機体後側に向かうほど案内バー41,41同士の左右間隔が小さくなるように取り付ける。
【0032】
なお、該案内バー41,41はピアノ線などの柔軟性に富み、且つある程度の硬さを有する円柱形の弾性材で構成すると、振動幅が大きくなり、茎葉の絡み付き防止効果が向上する。
【0033】
さらに、前記掬上突起40,40よりも左右幅が広く且つ掬上突起40,40の上面を覆う後上り傾斜姿勢の左右の分草体42,42を夫々設ける。なお、分草体42,42の上部には、前記案内バー41,41が突出する空間部を形成する。
【0034】
また、前記引抜搬送通路Rの下方で且つ土落しブラシ39,39の後端部よりも後方の機体フレーム1上に、引抜搬送装置24で搬送中の人参のひげ根尾部を切断する尾部切断装置43を取り付けることにより、収穫部Cが構成される。
【0035】
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
図1〜図3及び図9で示すように、前記伝動ケース22に駆動力を伝動する左右伝動軸94,94を取り付け、該左右伝動軸94,94の上部に左右伝動ケース95,95を取り付けると共に、該左右伝動ケース95,95内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右第1ギアユニット96,96を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右伝動軸94,94に左右第2ギアユニット97,97を機体後側に向かって取り付け、該左右第2ギアユニット97,97の後端部に左右第1出力軸98,98を機体上方に向けて軸着する。
【0036】
そして、前記左右第1ギアユニット96,96の前端部に左右第2出力軸99,99を機体下方に向けて軸着し、該左右第2出力軸99,99に左右肩揃え駆動プーリ100,100を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース95,95の前端下部に左右肩揃え従動プーリ101,101を軸着した左右回転軸102,102を設け、該左右肩揃え従動プーリ101,101と前記左右肩揃え駆動プーリ100,100との前後間に複数の左右肩揃えテンションプーリ103,103…を回転自在に取り付ける。そして、該左右肩揃え従動プーリ101,101と前記左右肩揃え駆動プーリ100,100と左右肩揃えテンションプーリ103,103…との間に左右肩揃え搬送ベルト104,104を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から引き継がれる人参の茎葉部の切断位置を略一定に揃える機体内外側一対の肩揃え装置44i,44oが、引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される。
【0037】
また、前記左右第1出力軸98,98に左右茎葉搬送駆動プーリ106,106を軸着し、前記左右第1ギアユニット96,96よりも機体前側で且つ肩揃え装置44i,44oの上方に左右茎葉搬送従動プーリ107,107を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ106,106と左右茎葉搬送従動プーリ107,107とに左右茎葉搬送ベルト108,108を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置109が、前記左右伝動ケース95,95の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される。(ここで、「排葉」とは切断された茎葉部を意味する)
さらに、前記左右第1出力軸98,98の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ110,110を軸着し、前記左右伝動ケース95,95の上方に左右残葉搬送従動プーリ111,111を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ110,110と左右残葉搬送従動プーリ111,111との前後間に複数の左右残葉搬送テンションプーリ112,112…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ110,110と左右残葉搬送従動プーリ111,111と左右残葉搬送テンションプーリ112,112…とに左右残葉搬送ベルト113,113を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置114が、前記排葉搬送装置109の上方に構成される。
【0038】
上記排葉搬送装置109と残葉搬送装置114とから、機体内外側一対の茎葉部挟持搬送装置45i,45oが構成される。
そして、前記機体外側の肩揃え装置44oの後方で且つ機体外側の茎葉搬送装置45oを構成する機体外側の第1ギアユニット96から下方へ突出する駆動軸28に搬送中の人参の茎葉部を切断する円盤形状の第1回転刃46oを取り付け、機体内側の肩揃え装置44iの後方で且つ機体内側の茎葉搬送装置45iを構成する機体内側の第1ギアユニット96から下方へ突出する駆動軸28に搬送中の人参の茎葉部を切断する円盤形状の第2回転刃46iを回転駆動するように取り付け、該第2回転刃46iを第1回転刃46oよりも下方に配置して茎葉切断装置47を構成する。なお、第1切断刃46oと第2切断刃46iとは、外周縁部がオーバーラップする配置とし、前側で根菜類を挟み込むように回転させ、第1回転刃46oと第2回転刃46iは外周刃先が滑らかな円弧状の円刃と外周刃先が凹凸の鋸丸刃を組み合わせた構成とする。
【0039】
また、前記第2切断刃46iの下方で且つ第1切断刃46oの駆動軸28の下方に第1切断刃46o及び第2切断刃46iの板厚よりも厚いスペーサー48を装着し、該スペーサー48の下方に、切断前の人参の可食部に側方から接触して弾性変形し、茎葉部切断後の人参を弾性復元力によって茎葉部挟持搬送装置45i,45oの搬送方向に対して直交する方向である機体内側方向に押し出し、後述する残葉処理コンベア57に人参の肩部が残葉処理ローラ56を配置した側の機体内側に向けられた状態で落下させる押出ディスク49を装着する。該押出ディスク49は、ゴム等の変形し易く弾性力の強い弾性体で構成し、前記第1切断刃46oと共に回転する構成とする。なお、スペーサー48は、最大径の人参が接触しない程度の外径とする。
【0040】
なお、スペーサー48を円盤刃にすることも考えられる。
また、押出ディスク49は第1切断刃46oと略同径、もしくは第1切断刃46oよりもやや大径とすると、押出ディスク49が人参の肩部に接触しやすくなり、人参の肩部が機体内側方向を向いた姿勢にすることができ、残葉処理コンベア57で確実に根部に残った茎葉部が処理され、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0041】
また、押出ディスク49は、図16の如く、第1回転刃46oの外周円の内側で偏芯して取り付け、人参の植付間隔と同期して回転しないようにすることで、人参の飛ばし位置が分散するようにする。
【0042】
また、押出ディスク49の外周は、図17の如く、部分的に凹凸を大きくして大小の人参を飛ばし易くする。
さらに、押出ディスク49は、外周縁が下向きになった皿状にしたり、外周縁にスリットを設けて柔らかくしたりしても良い。
【0043】
なお、押出ディスク49は、適宜に取り外しできるようにする。
そして、スペーサー48の厚みは、第1切断刃46o、第2切断刃46iの平均的な厚みが1mm前後であるので、2mm前後とすると第1切断刃46o及び第2切断刃46iが押出ディスク49を巻き込みにくくなる。
【0044】
第1回転刃46oと第2回転刃46iの駆動軸28への取付は、図11に示す如く、第1回転刃46o(第2回転刃46i)を駆動回転する駆動軸28と、第1回転刃46oと第2回転刃46iを取付け固定する取付部材81と、取付部材81の高さ位置を調節する調節ノブ82を設け、該取付部材81は、駆動軸28に対して一体回転且つ軸芯方向スライド自在に取り付け、調節ノブ82は、駆動軸28に対してネジ部82c,28bを介して係合し、取付部材81に対して回転自在で且つ取付部材81と一体的に軸芯方向スライド可能に取り付けた構成としている。調節ノブ82の外周は六角形状として回し易くする。六角形状の角部はわすかにカットしても良い。
【0045】
駆動軸28の下端には、座金91を介してニップル92を取り付け、駆動軸28の中心に設ける注油孔を通して角柱部28aへグリスを供給する。座金91は、調節ノブ82の抜け止めになる。
【0046】
従って、調節ノブ82を回転操作するだけの容易な操作で、取付部材81が上下移動して、第1回転刃46oと第2回転刃46iの切断高さすなわち根菜類の茎葉部挟持搬送装置45i,45oからの間隔が調節可能となり、茎葉部の身を切断したり肩部近くの可食部を切断したり、変更出来る。
【0047】
また、駆動軸28に対する調節ノブ82の回転を規制する回転規制手段(スプリング82aとボール82b)を設けているので、駆動軸28の駆動回転中に調節ノブ82が駆動軸28に対して回転して第1回転刃46oと第2回転刃46iの切断高さが変化するのが防止され、切断処理を適確に行える。回転規制手段(スプリング82aとボール82b)を設ける位置は六角形状の最大径となる頂点に向けて設ける。
【0048】
なお、上記回転規制手段は、調節ノブ82を駆動軸28に対して回転方向に一体的に固定するよう構成でき、また、調節ノブ82が駆動軸28に対して一定角度以上回転しようとするとその回転に対する抵抗が大きくなるように構成することもできる。
【0049】
図示例は、後者の構成をとることで、第1回転刃46oと第2回転刃46iの切断高さを調節するとき、上記回転規制手段の解除操作が必要なく、その回転規制手段による抵抗に抗して調節ノブ82を駆動軸28に対して回転操作するだけで調節が可能となり、調節操作が非常に容易に行える。更に、取付部材81に対する第1回転刃46o(第2回転刃46i)の固定を解除する(図例ではネジ止めを外す)と、第1回転刃46oと第2回転刃46iの回転中心側に形成した孔を調節ノブ82を通過できるように、その孔の大きさと調節ノブ82の大きさを設定している。これにより、調節ノブ82を外すことなく、第1回転刃46o(第2回転刃46i)を取り外すことができ、回転刃の交換が容易に行える。
【0050】
図12に第1回転刃46oと第2回転刃46iの上下移動固定手段の別実施例を示す。駆動軸28の下部に形成した回り止め用の角柱部28aにその軸線方向のみに移動可能に取付部材81を挿通し、この取付部材81に第1回転刃46o(第2回転刃46i)を固定するとともに、取付部材81を上下に位置決めする調節ノブ82を駆動軸28の下端のねじ部28bに調節ノブ82の下部に形成したネジ孔82cを螺合させて取付ける。調節ノブ82には、角柱部28aの外周を転動可能なスプリング82aにより弾圧されるボール82bによる回転規制手段を内設する。第1回転刃46o(第2回転刃46i)を保持する支持部27cと取付部材81との間には係合球体83を介在して支持部27cと取付部材81とが一体的に回転するようにしつつ第1回転刃46o(第2回転刃46i)側を止め輪83aによって回転軸芯方向への移動を規制し、また、取付部材81の下部側外周に形成した溝と調節ノブ82の上部側の回転方向複数箇所に形成した孔とに係合球体84を介在させ、更に、その係合球体84が飛出さないように止め輪84aを取り付ける。これにより、調節ノブ82は、取付部材81に対して回転自在で且つ取付部材81と一体的に軸芯方向スライド可能となる。
【0051】
図12の縦断面図は、断面左半分側が回動調節状態で、断面右半分側が回動固定状態を示している。駆動軸28の下部に回り止めの角柱部28aを介して固定スリーブ85とその下端の大径部86を固定する。固定スリーブ85には、外周面を等分周して軸線方向溝による係止溝85a…を形成し、その下方に形成したねじ部85bに第1回転刃46o(第2回転刃46i)の支持部27dと連結する筒部87を螺合する。この筒部87には通孔87bを形成し、固定スリーブ85の係止溝85a…との間に介在可能な係合球体87aを通孔87bから進退自在に設けるとともに、筒部87の外周には係合球体87aの進退を制御するスライドスリーブ88を設ける。
【0052】
スライドスリーブ88は、筒部87の外周に形成した軸線方向溝87cに介在する係合球体88aによって軸線方向にスライド動作可能に構成する。このスライドスリーブ88は、筒部87の上端の支持部27dに達する上限位置から大径部86に達する下限位置の範囲をスライドストローク範囲とし、コイルスプリング89を設けて下限位置に付勢する。また、筒部87の係合球体87aの進退を制御するテーパ88bを形成し、このテーパ88bはスライドストロークの下限位置で係合球体87aを内方の係止溝85a…内に拘束して筒部87の回動を規制し、一方、スライドストロークの上限位置で係合球体87aの拘束を解除して支持部27dの回動を許容するように傾斜面を形成する。
【0053】
上記の構成で、第1回転刃46oと第2回転刃46iは、上下させて茎葉部挟持搬送装置45i,45o(詳しくは肩揃え装置44i,44o)との間隔を狭くしたり広くすることで茎葉部を切断したり可食部を切断したりするようになる。
【0054】
第1ギアユニット96と第1回転刃46oとの間及び第1ギアユニット96と第2回転刃46iの固定スリーブ85との間で駆動軸28を覆う蛇腹90を設けて葉が巻き付かないようにしている。
【0055】
なお、調節ノブ82とスライドスリーブ88は、慣性力を小さくするために中空にすると良い。
機体の外側に位置する第1回転刃46oは機外から交換し易いので、図14の如く、二枚の鋸円盤刃NH1,NH2を重ねた状態に取り付け、上下の鋸円盤刃NH1,NH2の取付位相を合わせて外周縁を凹凸の大きな鋸刃状にして可食部切断に適したり、位相をずらせて外周縁を凹凸の少ない或いは凹凸の無い円刃状にして茎葉部の切断に適したりするようにすると良い。二枚の鋸円盤刃NH1,NH2は、外周の鋸刃が同一でも異なっていても良い。
【0056】
第1回転刃46oと第2回転刃46iは、図15の如く、外周円状の周縁部に窪みKを設けて先端の摩耗によって鋸刃状になる形状にしても良い。また、第1回転刃46oと第2回転刃46iは、外周刃縁を厚み方向に波打たせた形状にしても良い。外周刃縁を波打たせた円盤刃は機体外側の第1回転刃46oのみでも良く、第1回転刃46oと第2回転刃46iを外周刃縁が波打った円盤刃とする場合には、先端交差部を接触させて研がれるようにしても良い。
【0057】
なお、第1回転刃46oと第2回転刃46iを肩揃え搬送ベルト104の第2出力軸99に設けることも考えられる。
前記茎葉切断装置47の後側に、茎葉部を切断された人参の落下姿勢の変化を規制する規制プレート50を設け、該茎葉切断装置47の下方で且つ後述する残葉処理コンベア57の上方に、落下してくる人参を受けるクッションプレート51を、残葉処理コンベア57の搬送方向に沿って少なくとも人参の落下位置よりも搬送方向下手側に亘って配置する。
【0058】
なお、該規制プレート50及びクッションプレート51は、ゴムや塩化ビニル等の軟質材で構成すると、衝突の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値を向上させることができる。
【0059】
また、前記機体内側及び外側の茎葉部挟持搬送装置45i,45oの終端部から茎葉切断装置47によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ52を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
【0060】
上記構成により、機体外側の第1切断刃46oの回転軸80の下方に装着された押出ディスク49は、茎葉部切断前の作物に接触すると弾性変形し、茎葉部切断後の人参を弾性復元力によって押し出し、切り残された茎葉部が残る人参の肩部を茎葉部挟持搬送装置45i,45oの搬送経路に対して直交する方向である機体内側方向に向けることができるので、残葉処理コンベア57に設けた残葉処理ローラ56で確実に茎葉部を除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。この押出ディスク49は機体外側に設けられているので、正常に引抜搬送装置24に挟持搬送されてきた人参であれば、機体外側に向かって押し出されることはない。
【0061】
また、茎葉切断装置47の後側に、茎葉部を切断された人参の落下姿勢の変化を規制する規制プレート50を設けたことにより、落下中に人参の姿勢が変化することを防止でき、人参の肩部に残る茎葉部を残葉処理コンベア57で確実に除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0062】
そして、茎葉切断装置47の下方で且つ残葉処理コンベア57の上方に、落下してきた人参を受けるクッションプレート51を設けたことにより、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0063】
また、押出ディスク49に押し出された人参は、下端部(以下、「尻尾部」という)から落下するが、収穫作業中は一定方向に動き続けている残葉処理コンベア57上に落下すると残葉処理コンベア57の搬送力により、肩部が搬送方向の反対側を向いてしまうことがある。しかしながら、クッションプレート51を残葉処理コンベア57の上方に設けたことにより、人参はクッションプレート51に接触して残葉処理コンベア57の搬送方向に沿う姿勢となってから残葉処理コンベア57に載って搬送されるので、残葉処理コンベア57で確実に茎葉部を除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0064】
さらに、茎葉切断装置47で人参から切断された排葉切断された茎葉部を圃場に排出する排葉シュータ52が、既掘り側人参を収穫し終えた側に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側人参を収穫していない側の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト18,18や左右従動プーリ16,16等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0065】
次に、引継搬送部Eについて説明する。
前記茎葉切断装置47の下方に前後残葉処理フレーム53を設け、該前後残葉処理フレーム53の左右両側の前後間に左右残葉処理ローラ54,54を回転自在に取り付ける。そして、該左右残葉処理ローラ54,54にゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト55を無端状に巻回し、該残葉処理ベルト55の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト55と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ56を取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア57を構成する。
【0066】
また、該残葉処理コンベア57の始端側で且つ機体前側に茎葉切断装置47よりも機体前側に落下した作物を受ける格子状の受け台58を下り傾斜姿勢で設け、機体左右一側部で且つ該受け台58よりも機体内側に汲上搬送駆動ローラ59を設けると共に、左右他側部側に汲上搬送従動ローラ60を設ける。そして、前記残葉処理コンベア57よりも機体前側で且つ残葉処理コンベア57に隣接させて、汲上搬送駆動ローラ59と汲上搬送従動ローラ60とに汲上搬送ベルト61を無端状に巻回して、前記残葉処理コンベア57と受け台58とから人参を引き継いで機体左右他側に汲上搬送する汲上搬送コンベア62が構成される。
【0067】
前記残葉処理コンベア57と上り傾斜姿勢に設ける汲上搬送コンベア62とから、引継搬送部Eが構成される。
上記構成により、残葉処理コンベア57を構成する残葉処理ローラ56が、茎葉切断装置47で切り残された人参の残葉を千切り取りながら汲上搬送コンベア62に人参を搬送するため、人参の商品価値が向上すると共に、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。
【0068】
また、残葉処理コンベア57を構成する残葉処理ベルト55をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置47で茎葉部を切除された人参が落下しても残葉処理ベルト55が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。
【0069】
そして、残葉処理コンベア57の始端側で且つ機体前側に格子状の受け台58を下り傾斜姿勢に設けたことによって、茎葉切断装置47よりも機体前側で茎葉部が千切れる等して落下した人参を、機外に落とすことなく受け止めることができると共に、受けた人参を汲上搬送コンベア62に向かって移動させることができるので、収穫作業後に機外に落ちた人参を拾い集める作業が省略されて作業者の労力が軽減されると共に、茎葉切断装置47よりも機体前側で落下した人参を搬送経路に戻すことができるので、作業能率が向上する。
【0070】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
図2、図3及び図6で示すように、操縦部Bの後部に左右選別搬送フレーム63,63を取り付け、該左右選別搬送フレーム63,63の機体前側の左右間に選別搬送駆動ローラ64を回転自在に取り付け、該選別搬送駆動ローラ64よりも機体後側に選別搬送従動ローラ65を回転自在に取り付ける。また、前記選別搬送駆動ローラ64と選別搬送従動ローラ65との間に選別搬送テンションローラ66を回転自在に取り付ける。そして、前記選別搬送駆動ローラ64と選別搬送従動ローラ65と選別搬送テンションローラ66とに複数の弾性体突起を備える弾性体ベルト67を無端状に巻回することによって、後上り傾斜姿勢の選別搬送コンベア68が構成される。さらに、該選別搬送コンベア68を始端部が引継搬送部Eの汲上コンベア62の終端下方に位置するように配置する。
【0071】
また、前記選別搬送従動ローラ65の回転軸にシュータ69を上下回動自在に取り付け、該シュータ69の機体左右外側にシュータ69を上下回動させる操作レバー70を取り付けることによって、選別搬送部Fが構成される。
【0072】
上記のように、シュータ69を上下回動自在に設けたことによって、シュータ69を下方回動させると人参を後述する収容部Gに設置するコンテナやフレコンバッグ等の収容容器73に緩やかに落とすことができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0073】
また、シュータ69を上方に回動させると、選別搬送コンベア68の終端側を塞ぐストッパとなるため、人参が満杯になったコンテナを交換する際、選別搬送コンベア68を停止させなくても人参が終端部から落下することを防止することができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止されて人参の品質が向上すると共に、選別搬送コンベア68の動力の入切を頻繁に行う必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0074】
また、シュータ69を上方回動させてストッパとし、選別搬送コンベア68を停止させないことによって、人参は選別搬送コンベア68の終端側に溜まるので、従来のように汲上搬送コンベア58の搬送終端部から落下してきた人参が選別搬送コンベア68の搬送始端部に滞留している人参に接触して傷付くことが防止されるので、人参の商品価値が向上する。
【0075】
さらに、シュータ69の機体左右外側にシュータ69を上下回動させる操作レバー70を取り付けたことによって、補助作業者は後述する補助作業座席78に座ったままシュータ69を上下回動させることができるので、補助作業者の労力が軽減される。
【0076】
次に、収容部Gについて説明する。
図1〜図3で示すように、前記左右選別搬送フレーム63,63の下部に左右支持フレーム71,71を設け、該左右支持フレーム71,71に伸縮自在なダンパ72の一端を取り付ける。そして、左右選別搬送フレーム63,63の後下部に人参を収容するコンテナやフレコンバッグ、袋体等の収容容器73を設置する収容容器置台74を上下回動自在に且つ上り傾斜姿勢に取り付けると共に、該収容容器置台74にダンパ72の他端を取り付ける。
【0077】
また、該収容容器置台74の後端部に予備の収容容器73を設置する予備収容容器置台75を上下回動自在で且つ上り傾斜姿勢で取り付ける。さらに、前記収容容器置台74や選別搬送コンベア68や右クローラ6Rよりも機体左右他側に機体前後方向に長い人参を収容した収容容器73を積載する収容容器積載台76を機体内側へ折り畳み自在に取り付ける。
【0078】
そして、該収容容器積載台76の機体外側に、収容容器積載台76の上方を越えて且つ選別搬送コンベア68に向けて屈曲させた支持フレーム77を取り付け、該支持フレーム77の上に補助作業者が着座する補助作業座席78を取り付ける。そして、前記収容容器積載台76の後部に予備の収容容器73を設置する第2予備収容容器置台79を取り付けて、収容部Gが構成される。
【0079】
上記のように、上り傾斜姿勢に設けられた収容容器置台74に伸縮自在なダンパ72の他端を取り付けていることによって、収容容器73に人参が収容されて重くなるにつれて収容容器置台74が下降するため、人参が収容容器73の一部に偏って投入されることが防止されるので、収容容器73交換の頻度が減少し、作業者の労力が軽減される。
【0080】
また、収容容器置台74の後部に予備の収容容器73を設置する予備収容容器置台75を設けたことによって、人参が満載された収容容器73が収容容器置台74から取り除かれるとダンパ72が伸びて収容容器置台74が上り傾斜姿勢に戻り、予備収容容器置台75に設置されている収容容器74が収容容器置台74に滑り落ちて設置されるので、収容容器73を手作業で設置する必要がなくなり、作業者の労力が軽減されると共に作業能率が向上する。
【0081】
そして、機体左右外側に収容容器積載台76を機体内側へ折り畳み自在に取り付けていることによって、圃場へ向かう際や圃場から帰る際には収容容器積載台76を機体内側に折り畳んで機体の左右幅をコンパクトにすることができるので、小型のトラックにも積み込みやすく、輸送性が向上する。
【0082】
さらに、収容容器積載台76の上方を越えて且つ選別搬送コンベア68に向けて屈曲させた支持フレーム77上に補助作業座席78を設けたことによって、補助作業者は選別搬送コンベア68に近い位置で選別作業ができるので選別精度が向上すると共に、収容容器73が収容容器積載台76上を移動するのを妨げないため、作業能率が向上する。
【0083】
また、収容容器積載台76の後部に第2予備収容容器置台79を取り付けたことによって、機体に多くの収容容器73を搭載しておくことができるので、長時間連続して収穫作業を続けることができ、作業能率が向上する。
【符号の説明】
【0084】
A 走行部
1 機体フレーム
24 引抜搬送装置
45i,45o 茎葉部挟持搬送装置
46o 第1回転刃
46i 第2回転刃
47 茎葉切断装置
48 スペーサー
49 押出ディスク
【技術分野】
【0001】
本発明は、人参や大根や蕪等の根菜類を圃場から引き抜き、切断装置で茎葉部や可食部(茎葉部を除いた部分)の一部を付けたままの茎葉部を切り除いて可食部を収穫する根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人参や大根或いは蕪等の根菜類を収穫する根菜類収穫機としては、特許文献1,2に記載の如く、掘り起こした根菜類を引抜搬送装置で機体後方へ搬送しながら引抜搬送装置の後部に設けた茎葉切断装置で茎葉部と可食部を切り離して可食部のみを収穫する技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006‐034248号公報
【特許文献2】特開2009‐106196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
根菜類の収穫は、茎の一部を付けたままで可食部を出荷する野菜販売用収穫方法とジュース加工のために茎の部分を完全に取り除いて可食部のみを収穫する加工用収穫方法が有るが、根菜類は、茎の部分は柔らかく切断し易いが、可食部の部分は茎よりも切断し難く茎葉の切断刃と球根部分の切断刃は別にしなければならない。
【0005】
本発明は、これらの野菜販売用収穫方法と加工用収穫方法の変更に対応できる根菜類収穫機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、走行部Aで走行可能にした機体フレーム1上に掘り起こした根菜類を後方へ搬送する引抜搬送装置24を設け、この引抜搬送装置24の後部に根菜類の茎葉部を挟持後送する茎葉部挟持搬送装置45i,45oと該茎葉部挟持搬送装置45i,45oで挟持して吊り下げた根菜類の可食部を切り落とす茎葉切断装置47を設けた根菜類収穫機において、茎葉切断装置47の茎葉部挟持搬送装置45i,45oに対する上下間隔を調整可能にすると共に、根菜類を左右から挟み込むように接近回転して切断する第1回転刃46oと第2回転刃46iで茎葉切断装置47を構成し、これらの第1回転刃46oと第2回転刃46iを刃先形状の異なる円盤刃で構成したことを特徴とする根菜類収穫機とした。
【0007】
この構成で、茎葉切断装置47の茎葉部挟持搬送装置45i,45oに対する上下間隔を調整することで、可食部に茎葉の一部を付けたままで茎葉部を切断にしたり茎葉部を完全に取り除いて可食部の一部を切断したりした収穫方法に変更出来、切断箇所が茎葉部や可食部に変更されても第1回転刃46oと第2回転刃46iの刃先形状が異なることでどちらかの円盤刃で効果的に切断されて効率的に収穫を行える。
【0008】
請求項2記載の発明は、第1回転刃46oと第2回転刃46iのどちらか一方或いは両方を適宜に刃先形状の違う別の回転刃と交換可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【0009】
この構成で、第1回転刃46oと第2回転刃46iのどちらか一方或いは両方を茎葉部切断或いは可食部切断に対応した円盤刃に交換してより効果的な切断が行える。
請求項3記載の発明は、第1回転刃46oと第2回転刃46iのどちらか一方を重ね位相を変えると外周縁が略円弧状になる二枚の鋸円盤刃にしたことを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【0010】
この構成で、第1回転刃46oと第2回転刃46iのどちらか一方を外周縁が円弧状の円盤刃にして茎葉部を効果的に切断したり、外周縁を鋸状にした鋸円盤刃として可食部を効果的に切断したり出来る。
【0011】
請求項4記載の発明は、第1回転刃46oと第2回転刃46iのどちらか一方を円盤刃の外周縁を厚み方向に凹凸としたことを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【0012】
この構成で、外周縁を厚み方向に凹凸とした円盤刃で可食部を切断すると、切断の際に発生する可食部の破片が外周縁に溜まらず長時間の収穫作業が可能となる。
請求項5記載の発明は、機体の外側に位置する第1回転刃46oの下方に切断した根菜類の可食部を機体中央側へ押し出す押出ディスク49を設け、この押出ディスク49の外周縁に深さの異なる突起縁を形成するか円盤状押出ディスク49を偏心して取り付けるかしたことを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機とした。
【0013】
この構成で、押出ディスク49の回転で可食部が周縁部に接触して押し出される根菜類の横押し出し位置が機体の中央側で前後に異なって分散して横移動を停滞させない。
請求項6記載の発明は、第1回転刃46oと押出ディスク49の間にスペーサー48を設け、このスペーサー48の直径は第1回転刃46oと同径、もしくは第1回転刃46oよりも小径とし、また、スペーサー48の外周縁部を刃状に形成したことを特徴とする請求項5に記載の根菜類収穫機とした。
【0014】
この構成で、第1回転刃46oに押出ディスク49が張り付いて作物に接触しなくなることや、押出ディスク49が上下動して押し出す力が変わってしまうことが防止され、確実に茎葉部または胴部を切断された根菜類を同じ方向に飛ばすことができる。
【0015】
また、スペーサー48の外周縁部を刃状に形成したことにより、胴部切断の際に大径の可食部に接触するとスペーサー48の外周縁部でも切断されるため、確実に可食部を切断できる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明から請求項4に記載の発明によれば、根菜類の茎の一部を付けたままで可食部を出荷する野菜販売用収穫方法とジュース加工のために茎の部分を完全に取り除いて可食部のみを収穫する加工用収穫方法の変更が容易に行える。
【0017】
請求項5記載の発明或いは請求項6に記載の発明によれば、茎葉切断装置47で茎葉部或いは可食部を切断した後に可食部の機体の中央への移動が効率的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】根菜類収穫機の側面図
【図2】根菜類収穫機の平面図
【図3】根菜類収穫機の背面図
【図4】根菜類収穫機の要部側面図
【図5】根菜類収穫機の要部平面図
【図6】選別搬送部及び収容部の側面図
【図7】茎葉切断部の要部正面図
【図8】茎葉切断部の要部平面図
【図9】茎葉切断部の要部側面図
【図10】茎葉切断部の要部背面図
【図11】第1回転刃と第2回転刃の上下位置調整構造を示す第一実施例の側断面図
【図12】第1回転刃と第2回転刃の上下位置調整構造を示す第二実施例の側断面図
【図13】第一実施例の円盤刃の平面図
【図14】第一実施例の円盤刃の側面図
【図15】第二実施例の円盤刃の平面図
【図16】第一実施例の押出ディスクの取付を示す平面図
【図17】第二実施例の押出ディスクの取付を示す平面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態について説明する。
根菜類収穫機の実施例として示す人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで機体後方に搬送しながら茎葉部を或いは可食部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて人参に残った茎葉部を処理しながら機体左右他側へ搬送する引継搬送部Eと、該引継搬送部Eから人参を引き継いで人参を機体後側へ搬送しつつ搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、選別搬送部Fから排出される人参を収容する収容部Gとから構成される。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
【0020】
まず、走行部Aの構成について説明する。
図1〜図3で示すように、走行部Aは、機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジン7の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右ドライブシャフト9,9に取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0021】
次に、操縦部Bの構成について説明する。
図1及び図2で示すように、前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10を取り付け、該操縦部フレーム10には操縦座席11を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル12を取り付ける。そして、該操縦パネル12に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14を取り付ける。
【0022】
上記構成により、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0023】
次に、収穫部Cの構成について説明する。
図1〜図3で示すように、左右引抜フレーム15,15の機体前側に左右従動プーリ16,16を回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ17,17を装着し、該左右従動プーリ16,16と左右駆動プーリ17,17との間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト18,18を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ19…によって該左右挟持搬送ベルト18,18を張圧し、左右挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20を取り付け、該回動フレーム20の後端部に前記左右駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22を、回動支点Xを中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレーム20とを昇降シリンダ23で連結し、該昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置24を構成する。
【0024】
また、該引抜搬送装置24の前方に人参の茎葉部を縦ラグ25aで引き起こす縦引起し装置25と、該縦引起し装置25が引起した茎葉部を横ラグ26aで掬い上げる横引起し装置26と、ハンドル29を回すと上下伸縮する伸縮ロッド30の下端部に引抜搬送装置24の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪31を設ける。
【0025】
さらに、前記引抜フレーム15,15の機体前側下部から機体前後方向おいて略中間位置に亘って左右のソイラフレーム32,32を取り付け、該ソイラフレーム32,32の前側端部に左右の振動アーム33,33の前側端部を取り付ける。そして、前記機体フレーム1の前側にエンジン7の駆動力を受けて回転する振動シャフト34を引抜搬送装置24に向けて延出し、該振動シャフト34と該振動アーム33,33の後側端部との間に振動アーム33,33を振動させる側面視V字形状の振動ロッド35を取り付けて振動装置36を構成する。機体内側の振動アーム33は、振動ロッド35の下端側に回動自在に取り付ける。
【0026】
そして、前記ソイラフレーム32,32と振動アーム33,33との連結部に人参の周囲の土を切り解す左右のソイラ37,37を機体前側に向けて取り付け、振動アーム33,33の該ソイラ37,37の基部を取り付けた箇所の内側に左右の土落しステー38,38の基部を取り付け、振動装置36を構成する。
【0027】
なお、前記ソイラ37は、土中に進入して人参の周囲の土を解す刃部37bと、該刃部37bからに後上方に向かう円弧状の取付部37aとから構成すると、ソイラ37が土中に進入する際にかかる抵抗が分散されて小さくなるので、機体の進行が円滑になり作業能率が向上すると共に、土質や天候などによる圃場条件の違いや人参の種類や生育状態の違いに合わせてソイラ37の上下位置調節が容易に行なえるので、人参が掘り取りやすくなり、作業能率が向上する。
【0028】
さらに、振動装置36を振動させる振動シャフト34の回転数は、ミッションケース8の変速動作に連動しない構成とすることによって、走行速度が低速の場合でも振動幅が変わらないので、低速作業時でも高速作業時でも左右のソイラ37,37を同じ幅で振動させることができるので、作業能率が向上するとともに、人参の周囲の土が切り解されて抜き残しが少なくなるので、収穫作業後に抜き残された人参を抜き取る作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0029】
また、該土落しステー38,38の後部に、人参に付着した土を落とす、ポリプロピレンやアクリル等の合成樹脂、あるいは棕櫚や羊歯など天然素材を用いた土落しブラシ39,39を取り付ける。なお、該土落しブラシ39,39は、上下に亘って同じ長さの毛を用いると、人参に接触する機会の多い上側の毛が摩耗した際、土落しブラシ39,39の上下を転換させれば摩耗していない毛を人参に接触させることができるので、土落しブラシ39,39を長持ちさせることができる。
【0030】
さらに、前記土落しブラシ39,39の左右の間隔を機体前側が最も広く幅W1、機体後側に向かうほど狭くなるように配置するとともに、土落しブラシ39,39の左右幅の最も狭い部分幅W2を左右外側方向に向けて構成する。
【0031】
そして、前記左右のソイラ37,37の前端部に圃場面に垂れている茎葉を掬い上げる左右の掬上突起40,40を先端部が前記横引起し装置26の横ラグ26aよりも前方に位置するように配置する。また、該掬上突起40,40の前側に掬上突起40,40で掬い上げられた茎葉を引抜搬送装置24の挟持始端部に案内する左右の案内バー41,41を、平面視で「ハ」の字型となるように機体後側に向かうほど案内バー41,41同士の左右間隔が小さくなるように取り付ける。
【0032】
なお、該案内バー41,41はピアノ線などの柔軟性に富み、且つある程度の硬さを有する円柱形の弾性材で構成すると、振動幅が大きくなり、茎葉の絡み付き防止効果が向上する。
【0033】
さらに、前記掬上突起40,40よりも左右幅が広く且つ掬上突起40,40の上面を覆う後上り傾斜姿勢の左右の分草体42,42を夫々設ける。なお、分草体42,42の上部には、前記案内バー41,41が突出する空間部を形成する。
【0034】
また、前記引抜搬送通路Rの下方で且つ土落しブラシ39,39の後端部よりも後方の機体フレーム1上に、引抜搬送装置24で搬送中の人参のひげ根尾部を切断する尾部切断装置43を取り付けることにより、収穫部Cが構成される。
【0035】
次に、茎葉切断部Dについて説明する。
図1〜図3及び図9で示すように、前記伝動ケース22に駆動力を伝動する左右伝動軸94,94を取り付け、該左右伝動軸94,94の上部に左右伝動ケース95,95を取り付けると共に、該左右伝動ケース95,95内に複数のギアを噛み合わせて構成する左右第1ギアユニット96,96を機体前側に向かって取り付ける。また、前記伝動ケース22内部の左右伝動軸94,94に左右第2ギアユニット97,97を機体後側に向かって取り付け、該左右第2ギアユニット97,97の後端部に左右第1出力軸98,98を機体上方に向けて軸着する。
【0036】
そして、前記左右第1ギアユニット96,96の前端部に左右第2出力軸99,99を機体下方に向けて軸着し、該左右第2出力軸99,99に左右肩揃え駆動プーリ100,100を軸着する。さらに、前記左右伝動ケース95,95の前端下部に左右肩揃え従動プーリ101,101を軸着した左右回転軸102,102を設け、該左右肩揃え従動プーリ101,101と前記左右肩揃え駆動プーリ100,100との前後間に複数の左右肩揃えテンションプーリ103,103…を回転自在に取り付ける。そして、該左右肩揃え従動プーリ101,101と前記左右肩揃え駆動プーリ100,100と左右肩揃えテンションプーリ103,103…との間に左右肩揃え搬送ベルト104,104を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から引き継がれる人参の茎葉部の切断位置を略一定に揃える機体内外側一対の肩揃え装置44i,44oが、引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される。
【0037】
また、前記左右第1出力軸98,98に左右茎葉搬送駆動プーリ106,106を軸着し、前記左右第1ギアユニット96,96よりも機体前側で且つ肩揃え装置44i,44oの上方に左右茎葉搬送従動プーリ107,107を回転自在に取り付ける。そして、該左右茎葉搬送駆動プーリ106,106と左右茎葉搬送従動プーリ107,107とに左右茎葉搬送ベルト108,108を無端状に巻回することによって、前記引抜搬送装置24から人参の茎葉部を引き継いで機体後方に排出する排葉搬送装置109が、前記左右伝動ケース95,95の上部外周で且つ引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に構成される。(ここで、「排葉」とは切断された茎葉部を意味する)
さらに、前記左右第1出力軸98,98の上端部に左右残葉搬送駆動プーリ110,110を軸着し、前記左右伝動ケース95,95の上方に左右残葉搬送従動プーリ111,111を回転自在に取り付けるとともに、該左右残葉搬送駆動プーリ110,110と左右残葉搬送従動プーリ111,111との前後間に複数の左右残葉搬送テンションプーリ112,112…を取り付ける。そして、前記左右残葉搬送駆動プーリ110,110と左右残葉搬送従動プーリ111,111と左右残葉搬送テンションプーリ112,112…とに左右残葉搬送ベルト113,113を無端状に巻回することによって、茎葉の上部を挟持して機体後方に搬送する残葉搬送装置114が、前記排葉搬送装置109の上方に構成される。
【0038】
上記排葉搬送装置109と残葉搬送装置114とから、機体内外側一対の茎葉部挟持搬送装置45i,45oが構成される。
そして、前記機体外側の肩揃え装置44oの後方で且つ機体外側の茎葉搬送装置45oを構成する機体外側の第1ギアユニット96から下方へ突出する駆動軸28に搬送中の人参の茎葉部を切断する円盤形状の第1回転刃46oを取り付け、機体内側の肩揃え装置44iの後方で且つ機体内側の茎葉搬送装置45iを構成する機体内側の第1ギアユニット96から下方へ突出する駆動軸28に搬送中の人参の茎葉部を切断する円盤形状の第2回転刃46iを回転駆動するように取り付け、該第2回転刃46iを第1回転刃46oよりも下方に配置して茎葉切断装置47を構成する。なお、第1切断刃46oと第2切断刃46iとは、外周縁部がオーバーラップする配置とし、前側で根菜類を挟み込むように回転させ、第1回転刃46oと第2回転刃46iは外周刃先が滑らかな円弧状の円刃と外周刃先が凹凸の鋸丸刃を組み合わせた構成とする。
【0039】
また、前記第2切断刃46iの下方で且つ第1切断刃46oの駆動軸28の下方に第1切断刃46o及び第2切断刃46iの板厚よりも厚いスペーサー48を装着し、該スペーサー48の下方に、切断前の人参の可食部に側方から接触して弾性変形し、茎葉部切断後の人参を弾性復元力によって茎葉部挟持搬送装置45i,45oの搬送方向に対して直交する方向である機体内側方向に押し出し、後述する残葉処理コンベア57に人参の肩部が残葉処理ローラ56を配置した側の機体内側に向けられた状態で落下させる押出ディスク49を装着する。該押出ディスク49は、ゴム等の変形し易く弾性力の強い弾性体で構成し、前記第1切断刃46oと共に回転する構成とする。なお、スペーサー48は、最大径の人参が接触しない程度の外径とする。
【0040】
なお、スペーサー48を円盤刃にすることも考えられる。
また、押出ディスク49は第1切断刃46oと略同径、もしくは第1切断刃46oよりもやや大径とすると、押出ディスク49が人参の肩部に接触しやすくなり、人参の肩部が機体内側方向を向いた姿勢にすることができ、残葉処理コンベア57で確実に根部に残った茎葉部が処理され、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0041】
また、押出ディスク49は、図16の如く、第1回転刃46oの外周円の内側で偏芯して取り付け、人参の植付間隔と同期して回転しないようにすることで、人参の飛ばし位置が分散するようにする。
【0042】
また、押出ディスク49の外周は、図17の如く、部分的に凹凸を大きくして大小の人参を飛ばし易くする。
さらに、押出ディスク49は、外周縁が下向きになった皿状にしたり、外周縁にスリットを設けて柔らかくしたりしても良い。
【0043】
なお、押出ディスク49は、適宜に取り外しできるようにする。
そして、スペーサー48の厚みは、第1切断刃46o、第2切断刃46iの平均的な厚みが1mm前後であるので、2mm前後とすると第1切断刃46o及び第2切断刃46iが押出ディスク49を巻き込みにくくなる。
【0044】
第1回転刃46oと第2回転刃46iの駆動軸28への取付は、図11に示す如く、第1回転刃46o(第2回転刃46i)を駆動回転する駆動軸28と、第1回転刃46oと第2回転刃46iを取付け固定する取付部材81と、取付部材81の高さ位置を調節する調節ノブ82を設け、該取付部材81は、駆動軸28に対して一体回転且つ軸芯方向スライド自在に取り付け、調節ノブ82は、駆動軸28に対してネジ部82c,28bを介して係合し、取付部材81に対して回転自在で且つ取付部材81と一体的に軸芯方向スライド可能に取り付けた構成としている。調節ノブ82の外周は六角形状として回し易くする。六角形状の角部はわすかにカットしても良い。
【0045】
駆動軸28の下端には、座金91を介してニップル92を取り付け、駆動軸28の中心に設ける注油孔を通して角柱部28aへグリスを供給する。座金91は、調節ノブ82の抜け止めになる。
【0046】
従って、調節ノブ82を回転操作するだけの容易な操作で、取付部材81が上下移動して、第1回転刃46oと第2回転刃46iの切断高さすなわち根菜類の茎葉部挟持搬送装置45i,45oからの間隔が調節可能となり、茎葉部の身を切断したり肩部近くの可食部を切断したり、変更出来る。
【0047】
また、駆動軸28に対する調節ノブ82の回転を規制する回転規制手段(スプリング82aとボール82b)を設けているので、駆動軸28の駆動回転中に調節ノブ82が駆動軸28に対して回転して第1回転刃46oと第2回転刃46iの切断高さが変化するのが防止され、切断処理を適確に行える。回転規制手段(スプリング82aとボール82b)を設ける位置は六角形状の最大径となる頂点に向けて設ける。
【0048】
なお、上記回転規制手段は、調節ノブ82を駆動軸28に対して回転方向に一体的に固定するよう構成でき、また、調節ノブ82が駆動軸28に対して一定角度以上回転しようとするとその回転に対する抵抗が大きくなるように構成することもできる。
【0049】
図示例は、後者の構成をとることで、第1回転刃46oと第2回転刃46iの切断高さを調節するとき、上記回転規制手段の解除操作が必要なく、その回転規制手段による抵抗に抗して調節ノブ82を駆動軸28に対して回転操作するだけで調節が可能となり、調節操作が非常に容易に行える。更に、取付部材81に対する第1回転刃46o(第2回転刃46i)の固定を解除する(図例ではネジ止めを外す)と、第1回転刃46oと第2回転刃46iの回転中心側に形成した孔を調節ノブ82を通過できるように、その孔の大きさと調節ノブ82の大きさを設定している。これにより、調節ノブ82を外すことなく、第1回転刃46o(第2回転刃46i)を取り外すことができ、回転刃の交換が容易に行える。
【0050】
図12に第1回転刃46oと第2回転刃46iの上下移動固定手段の別実施例を示す。駆動軸28の下部に形成した回り止め用の角柱部28aにその軸線方向のみに移動可能に取付部材81を挿通し、この取付部材81に第1回転刃46o(第2回転刃46i)を固定するとともに、取付部材81を上下に位置決めする調節ノブ82を駆動軸28の下端のねじ部28bに調節ノブ82の下部に形成したネジ孔82cを螺合させて取付ける。調節ノブ82には、角柱部28aの外周を転動可能なスプリング82aにより弾圧されるボール82bによる回転規制手段を内設する。第1回転刃46o(第2回転刃46i)を保持する支持部27cと取付部材81との間には係合球体83を介在して支持部27cと取付部材81とが一体的に回転するようにしつつ第1回転刃46o(第2回転刃46i)側を止め輪83aによって回転軸芯方向への移動を規制し、また、取付部材81の下部側外周に形成した溝と調節ノブ82の上部側の回転方向複数箇所に形成した孔とに係合球体84を介在させ、更に、その係合球体84が飛出さないように止め輪84aを取り付ける。これにより、調節ノブ82は、取付部材81に対して回転自在で且つ取付部材81と一体的に軸芯方向スライド可能となる。
【0051】
図12の縦断面図は、断面左半分側が回動調節状態で、断面右半分側が回動固定状態を示している。駆動軸28の下部に回り止めの角柱部28aを介して固定スリーブ85とその下端の大径部86を固定する。固定スリーブ85には、外周面を等分周して軸線方向溝による係止溝85a…を形成し、その下方に形成したねじ部85bに第1回転刃46o(第2回転刃46i)の支持部27dと連結する筒部87を螺合する。この筒部87には通孔87bを形成し、固定スリーブ85の係止溝85a…との間に介在可能な係合球体87aを通孔87bから進退自在に設けるとともに、筒部87の外周には係合球体87aの進退を制御するスライドスリーブ88を設ける。
【0052】
スライドスリーブ88は、筒部87の外周に形成した軸線方向溝87cに介在する係合球体88aによって軸線方向にスライド動作可能に構成する。このスライドスリーブ88は、筒部87の上端の支持部27dに達する上限位置から大径部86に達する下限位置の範囲をスライドストローク範囲とし、コイルスプリング89を設けて下限位置に付勢する。また、筒部87の係合球体87aの進退を制御するテーパ88bを形成し、このテーパ88bはスライドストロークの下限位置で係合球体87aを内方の係止溝85a…内に拘束して筒部87の回動を規制し、一方、スライドストロークの上限位置で係合球体87aの拘束を解除して支持部27dの回動を許容するように傾斜面を形成する。
【0053】
上記の構成で、第1回転刃46oと第2回転刃46iは、上下させて茎葉部挟持搬送装置45i,45o(詳しくは肩揃え装置44i,44o)との間隔を狭くしたり広くすることで茎葉部を切断したり可食部を切断したりするようになる。
【0054】
第1ギアユニット96と第1回転刃46oとの間及び第1ギアユニット96と第2回転刃46iの固定スリーブ85との間で駆動軸28を覆う蛇腹90を設けて葉が巻き付かないようにしている。
【0055】
なお、調節ノブ82とスライドスリーブ88は、慣性力を小さくするために中空にすると良い。
機体の外側に位置する第1回転刃46oは機外から交換し易いので、図14の如く、二枚の鋸円盤刃NH1,NH2を重ねた状態に取り付け、上下の鋸円盤刃NH1,NH2の取付位相を合わせて外周縁を凹凸の大きな鋸刃状にして可食部切断に適したり、位相をずらせて外周縁を凹凸の少ない或いは凹凸の無い円刃状にして茎葉部の切断に適したりするようにすると良い。二枚の鋸円盤刃NH1,NH2は、外周の鋸刃が同一でも異なっていても良い。
【0056】
第1回転刃46oと第2回転刃46iは、図15の如く、外周円状の周縁部に窪みKを設けて先端の摩耗によって鋸刃状になる形状にしても良い。また、第1回転刃46oと第2回転刃46iは、外周刃縁を厚み方向に波打たせた形状にしても良い。外周刃縁を波打たせた円盤刃は機体外側の第1回転刃46oのみでも良く、第1回転刃46oと第2回転刃46iを外周刃縁が波打った円盤刃とする場合には、先端交差部を接触させて研がれるようにしても良い。
【0057】
なお、第1回転刃46oと第2回転刃46iを肩揃え搬送ベルト104の第2出力軸99に設けることも考えられる。
前記茎葉切断装置47の後側に、茎葉部を切断された人参の落下姿勢の変化を規制する規制プレート50を設け、該茎葉切断装置47の下方で且つ後述する残葉処理コンベア57の上方に、落下してくる人参を受けるクッションプレート51を、残葉処理コンベア57の搬送方向に沿って少なくとも人参の落下位置よりも搬送方向下手側に亘って配置する。
【0058】
なお、該規制プレート50及びクッションプレート51は、ゴムや塩化ビニル等の軟質材で構成すると、衝突の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値を向上させることができる。
【0059】
また、前記機体内側及び外側の茎葉部挟持搬送装置45i,45oの終端部から茎葉切断装置47によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ52を設けて、茎葉切断部Dを構成する。
【0060】
上記構成により、機体外側の第1切断刃46oの回転軸80の下方に装着された押出ディスク49は、茎葉部切断前の作物に接触すると弾性変形し、茎葉部切断後の人参を弾性復元力によって押し出し、切り残された茎葉部が残る人参の肩部を茎葉部挟持搬送装置45i,45oの搬送経路に対して直交する方向である機体内側方向に向けることができるので、残葉処理コンベア57に設けた残葉処理ローラ56で確実に茎葉部を除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。この押出ディスク49は機体外側に設けられているので、正常に引抜搬送装置24に挟持搬送されてきた人参であれば、機体外側に向かって押し出されることはない。
【0061】
また、茎葉切断装置47の後側に、茎葉部を切断された人参の落下姿勢の変化を規制する規制プレート50を設けたことにより、落下中に人参の姿勢が変化することを防止でき、人参の肩部に残る茎葉部を残葉処理コンベア57で確実に除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0062】
そして、茎葉切断装置47の下方で且つ残葉処理コンベア57の上方に、落下してきた人参を受けるクッションプレート51を設けたことにより、落下の衝撃で人参が傷付くことを防止でき、人参の商品価値が向上する。
【0063】
また、押出ディスク49に押し出された人参は、下端部(以下、「尻尾部」という)から落下するが、収穫作業中は一定方向に動き続けている残葉処理コンベア57上に落下すると残葉処理コンベア57の搬送力により、肩部が搬送方向の反対側を向いてしまうことがある。しかしながら、クッションプレート51を残葉処理コンベア57の上方に設けたことにより、人参はクッションプレート51に接触して残葉処理コンベア57の搬送方向に沿う姿勢となってから残葉処理コンベア57に載って搬送されるので、残葉処理コンベア57で確実に茎葉部を除去することができ、後工程でこの茎葉部を取り除く作業が必要なく、作業能率が向上する。
【0064】
さらに、茎葉切断装置47で人参から切断された排葉切断された茎葉部を圃場に排出する排葉シュータ52が、既掘り側人参を収穫し終えた側に茎葉を排出するように下方傾斜姿勢に設けられていることによって、排出された茎葉が未掘り側人参を収穫していない側の人参の上に落下し、排葉が左右挟持搬送ベルト18,18や左右従動プーリ16,16等に絡み付いて収穫部Cを停止させて収穫作業を妨げることが防止できるので、作業能率が向上すると共に、人参の上に落下した排葉が収穫する人参の視認性を妨げることを防止できる。
【0065】
次に、引継搬送部Eについて説明する。
前記茎葉切断装置47の下方に前後残葉処理フレーム53を設け、該前後残葉処理フレーム53の左右両側の前後間に左右残葉処理ローラ54,54を回転自在に取り付ける。そして、該左右残葉処理ローラ54,54にゴムやウレタン等の弾性体で構成する残葉処理ベルト55を無端状に巻回し、該残葉処理ベルト55の上部に人参の根部に残った残葉を残葉処理ベルト55と共に挟み込んで回転して切除する残葉処理ローラ56を取り付けて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア57を構成する。
【0066】
また、該残葉処理コンベア57の始端側で且つ機体前側に茎葉切断装置47よりも機体前側に落下した作物を受ける格子状の受け台58を下り傾斜姿勢で設け、機体左右一側部で且つ該受け台58よりも機体内側に汲上搬送駆動ローラ59を設けると共に、左右他側部側に汲上搬送従動ローラ60を設ける。そして、前記残葉処理コンベア57よりも機体前側で且つ残葉処理コンベア57に隣接させて、汲上搬送駆動ローラ59と汲上搬送従動ローラ60とに汲上搬送ベルト61を無端状に巻回して、前記残葉処理コンベア57と受け台58とから人参を引き継いで機体左右他側に汲上搬送する汲上搬送コンベア62が構成される。
【0067】
前記残葉処理コンベア57と上り傾斜姿勢に設ける汲上搬送コンベア62とから、引継搬送部Eが構成される。
上記構成により、残葉処理コンベア57を構成する残葉処理ローラ56が、茎葉切断装置47で切り残された人参の残葉を千切り取りながら汲上搬送コンベア62に人参を搬送するため、人参の商品価値が向上すると共に、収穫作業後に人手で残葉を切除する作業を省略することができ、作業能率が向上する。
【0068】
また、残葉処理コンベア57を構成する残葉処理ベルト55をゴムやウレタン等の弾性体で構成したことによって、茎葉切断装置47で茎葉部を切除された人参が落下しても残葉処理ベルト55が落下の衝撃を軽減するので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の品質が向上する。
【0069】
そして、残葉処理コンベア57の始端側で且つ機体前側に格子状の受け台58を下り傾斜姿勢に設けたことによって、茎葉切断装置47よりも機体前側で茎葉部が千切れる等して落下した人参を、機外に落とすことなく受け止めることができると共に、受けた人参を汲上搬送コンベア62に向かって移動させることができるので、収穫作業後に機外に落ちた人参を拾い集める作業が省略されて作業者の労力が軽減されると共に、茎葉切断装置47よりも機体前側で落下した人参を搬送経路に戻すことができるので、作業能率が向上する。
【0070】
次に、選別搬送部Fについて説明する。
図2、図3及び図6で示すように、操縦部Bの後部に左右選別搬送フレーム63,63を取り付け、該左右選別搬送フレーム63,63の機体前側の左右間に選別搬送駆動ローラ64を回転自在に取り付け、該選別搬送駆動ローラ64よりも機体後側に選別搬送従動ローラ65を回転自在に取り付ける。また、前記選別搬送駆動ローラ64と選別搬送従動ローラ65との間に選別搬送テンションローラ66を回転自在に取り付ける。そして、前記選別搬送駆動ローラ64と選別搬送従動ローラ65と選別搬送テンションローラ66とに複数の弾性体突起を備える弾性体ベルト67を無端状に巻回することによって、後上り傾斜姿勢の選別搬送コンベア68が構成される。さらに、該選別搬送コンベア68を始端部が引継搬送部Eの汲上コンベア62の終端下方に位置するように配置する。
【0071】
また、前記選別搬送従動ローラ65の回転軸にシュータ69を上下回動自在に取り付け、該シュータ69の機体左右外側にシュータ69を上下回動させる操作レバー70を取り付けることによって、選別搬送部Fが構成される。
【0072】
上記のように、シュータ69を上下回動自在に設けたことによって、シュータ69を下方回動させると人参を後述する収容部Gに設置するコンテナやフレコンバッグ等の収容容器73に緩やかに落とすことができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
【0073】
また、シュータ69を上方に回動させると、選別搬送コンベア68の終端側を塞ぐストッパとなるため、人参が満杯になったコンテナを交換する際、選別搬送コンベア68を停止させなくても人参が終端部から落下することを防止することができるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止されて人参の品質が向上すると共に、選別搬送コンベア68の動力の入切を頻繁に行う必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0074】
また、シュータ69を上方回動させてストッパとし、選別搬送コンベア68を停止させないことによって、人参は選別搬送コンベア68の終端側に溜まるので、従来のように汲上搬送コンベア58の搬送終端部から落下してきた人参が選別搬送コンベア68の搬送始端部に滞留している人参に接触して傷付くことが防止されるので、人参の商品価値が向上する。
【0075】
さらに、シュータ69の機体左右外側にシュータ69を上下回動させる操作レバー70を取り付けたことによって、補助作業者は後述する補助作業座席78に座ったままシュータ69を上下回動させることができるので、補助作業者の労力が軽減される。
【0076】
次に、収容部Gについて説明する。
図1〜図3で示すように、前記左右選別搬送フレーム63,63の下部に左右支持フレーム71,71を設け、該左右支持フレーム71,71に伸縮自在なダンパ72の一端を取り付ける。そして、左右選別搬送フレーム63,63の後下部に人参を収容するコンテナやフレコンバッグ、袋体等の収容容器73を設置する収容容器置台74を上下回動自在に且つ上り傾斜姿勢に取り付けると共に、該収容容器置台74にダンパ72の他端を取り付ける。
【0077】
また、該収容容器置台74の後端部に予備の収容容器73を設置する予備収容容器置台75を上下回動自在で且つ上り傾斜姿勢で取り付ける。さらに、前記収容容器置台74や選別搬送コンベア68や右クローラ6Rよりも機体左右他側に機体前後方向に長い人参を収容した収容容器73を積載する収容容器積載台76を機体内側へ折り畳み自在に取り付ける。
【0078】
そして、該収容容器積載台76の機体外側に、収容容器積載台76の上方を越えて且つ選別搬送コンベア68に向けて屈曲させた支持フレーム77を取り付け、該支持フレーム77の上に補助作業者が着座する補助作業座席78を取り付ける。そして、前記収容容器積載台76の後部に予備の収容容器73を設置する第2予備収容容器置台79を取り付けて、収容部Gが構成される。
【0079】
上記のように、上り傾斜姿勢に設けられた収容容器置台74に伸縮自在なダンパ72の他端を取り付けていることによって、収容容器73に人参が収容されて重くなるにつれて収容容器置台74が下降するため、人参が収容容器73の一部に偏って投入されることが防止されるので、収容容器73交換の頻度が減少し、作業者の労力が軽減される。
【0080】
また、収容容器置台74の後部に予備の収容容器73を設置する予備収容容器置台75を設けたことによって、人参が満載された収容容器73が収容容器置台74から取り除かれるとダンパ72が伸びて収容容器置台74が上り傾斜姿勢に戻り、予備収容容器置台75に設置されている収容容器74が収容容器置台74に滑り落ちて設置されるので、収容容器73を手作業で設置する必要がなくなり、作業者の労力が軽減されると共に作業能率が向上する。
【0081】
そして、機体左右外側に収容容器積載台76を機体内側へ折り畳み自在に取り付けていることによって、圃場へ向かう際や圃場から帰る際には収容容器積載台76を機体内側に折り畳んで機体の左右幅をコンパクトにすることができるので、小型のトラックにも積み込みやすく、輸送性が向上する。
【0082】
さらに、収容容器積載台76の上方を越えて且つ選別搬送コンベア68に向けて屈曲させた支持フレーム77上に補助作業座席78を設けたことによって、補助作業者は選別搬送コンベア68に近い位置で選別作業ができるので選別精度が向上すると共に、収容容器73が収容容器積載台76上を移動するのを妨げないため、作業能率が向上する。
【0083】
また、収容容器積載台76の後部に第2予備収容容器置台79を取り付けたことによって、機体に多くの収容容器73を搭載しておくことができるので、長時間連続して収穫作業を続けることができ、作業能率が向上する。
【符号の説明】
【0084】
A 走行部
1 機体フレーム
24 引抜搬送装置
45i,45o 茎葉部挟持搬送装置
46o 第1回転刃
46i 第2回転刃
47 茎葉切断装置
48 スペーサー
49 押出ディスク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行部(A)で走行可能にした機体フレーム(1)上に掘り起こした根菜類を後方へ搬送する引抜搬送装置(24)を設け、この引抜搬送装置(24)の後部に根菜類の茎葉部を挟持後送する茎葉部挟持搬送装置(45i,45o)と該茎葉部挟持搬送装置(45i,45o)で挟持して吊り下げた根菜類の可食部を切り落とす茎葉切断装置(47)を設けた根菜類収穫機において、茎葉切断装置(47)の茎葉部挟持搬送装置(45i,45o)に対する上下間隔を調整可能にすると共に、根菜類を左右から挟み込むように接近回転して切断する第1回転刃(46o)と第2回転刃(46i)で茎葉切断装置(47)を構成し、これらの第1回転刃(46o)と第2回転刃(46i)を刃先形状の異なる円盤刃で構成したことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
第1回転刃(46o)と第2回転刃(46i)のどちらか一方或いは両方を適宜に刃先形状の違う別の回転刃と交換可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
第1回転刃(46o)と第2回転刃(46i)のどちらか一方を重ね位相を変えると外周縁が略円弧状になる二枚の鋸円盤刃にしたことを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
第1回転刃(46o)と第2回転刃(46i)のどちらか一方を円盤刃の外周縁を厚み方向に凹凸としたことを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項5】
機体の外側に位置する第1回転刃(46o)の下方に切断した根菜類の可食部を機体中央側へ押し出す押出ディスク(49)を設け、この押出ディスク(49)の外周縁に深さの異なる突起縁を形成するか円盤状押出ディスク(49)を偏心して取り付けるかしたことを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項6】
第1回転刃(46o)と押出ディスク(49)の間にスペーサー(48)を設け、このスペーサー(48)の直径は第1回転刃(46o)と同径、もしくは第1回転刃(46o)よりも小径とし、また、スペーサー(48)の外周縁部を刃状に形成したことを特徴とする請求項5に記載の根菜類収穫機。
【請求項1】
走行部(A)で走行可能にした機体フレーム(1)上に掘り起こした根菜類を後方へ搬送する引抜搬送装置(24)を設け、この引抜搬送装置(24)の後部に根菜類の茎葉部を挟持後送する茎葉部挟持搬送装置(45i,45o)と該茎葉部挟持搬送装置(45i,45o)で挟持して吊り下げた根菜類の可食部を切り落とす茎葉切断装置(47)を設けた根菜類収穫機において、茎葉切断装置(47)の茎葉部挟持搬送装置(45i,45o)に対する上下間隔を調整可能にすると共に、根菜類を左右から挟み込むように接近回転して切断する第1回転刃(46o)と第2回転刃(46i)で茎葉切断装置(47)を構成し、これらの第1回転刃(46o)と第2回転刃(46i)を刃先形状の異なる円盤刃で構成したことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
第1回転刃(46o)と第2回転刃(46i)のどちらか一方或いは両方を適宜に刃先形状の違う別の回転刃と交換可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
第1回転刃(46o)と第2回転刃(46i)のどちらか一方を重ね位相を変えると外周縁が略円弧状になる二枚の鋸円盤刃にしたことを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
第1回転刃(46o)と第2回転刃(46i)のどちらか一方を円盤刃の外周縁を厚み方向に凹凸としたことを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項5】
機体の外側に位置する第1回転刃(46o)の下方に切断した根菜類の可食部を機体中央側へ押し出す押出ディスク(49)を設け、この押出ディスク(49)の外周縁に深さの異なる突起縁を形成するか円盤状押出ディスク(49)を偏心して取り付けるかしたことを特徴とする請求項1に記載の根菜類収穫機。
【請求項6】
第1回転刃(46o)と押出ディスク(49)の間にスペーサー(48)を設け、このスペーサー(48)の直径は第1回転刃(46o)と同径、もしくは第1回転刃(46o)よりも小径とし、また、スペーサー(48)の外周縁部を刃状に形成したことを特徴とする請求項5に記載の根菜類収穫機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−130310(P2012−130310A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286230(P2010−286230)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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