説明

根菜類収穫機

【課題】収穫野菜を収容したコンテナの取扱いについて、載置台上の容易な移動を確保した上で、操縦部の乗降に支障を生じることなく、コンパクトな機体格納スペースで最大限のコンテナ積載を可能とする根菜類収穫機を提供する。
【解決手段】根菜類収穫機は、既刈側配置の操縦パネル(12)と、未刈側に配置の引抜搬送装置(24)と、選別用の搬送装置(81)と、その選別作物を収容するコンテナを載置する収容容器載置台(97)と、コンテナを機体側部に収容する貯留台(103)とを設け、この貯留台(103)を操縦パネル(12)の近傍に及ぶ範囲に折畳式に構成し、上記貯留台(103)の前側でコンテナを受けて載置する補助収容部材(211)を設け、この補助収容部材(211)を貯留台(103)の前端位置からその上側に折畳み可能に支持する折畳支持部材(216)を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引抜装置、搬送装置等を備えてニンジン等の収穫根菜作物の収穫から選別、コンテナ収容の作業を行う根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
根菜類収穫機について、特許文献1記載の発明のように、コンテナの載置台にローラを直線上に設け、コンテナを移動しやすくした技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−054625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された根菜類収穫機では、載置台にコンテナの移動を補助するローラを並べており、コンテナを引くための力は軽減されるものの、コンテナの積載量が限られていることから、コンテナの積降ろし作業のために作業能率の低下と共に、作業者に大きな労力負担が要求される。
この場合に、コンテナの積載量を増加するために、載置台を長く構成すると、操縦部の側方が塞がれて乗降に支障が生じることとなり、コンテナの積降ろし作業の頻度が減少しても煩わしい乗降動作による負担が増大し、結果として作業能率の低下を招くとともに、大きな格納スペースを要する機体全長の増大を招くこととなる。
【0005】
本発明の目的は、コンテナの取扱いについて、載置台のコンテナの容易な移動スペースを確保した上で、操縦部の乗降に支障を生じることなく、コンパクトな機体格納スペースで最大限のコンテナ積載を可能とする野菜収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、機体幅の片側である既刈側に配置の操縦部を構成する操縦パネル(12)と、他側である未刈側に配置の引抜搬送装置(24)と、この引抜搬送装の下方で受けた作物を収穫選別して機体後部に搬送する搬送装置(81)と、その搬送作物をコンテナに収容するための収容容器載置台(97)と、この収容容器載置台(97)から送られるコンテナを機体側部に収容する貯留台(103)とを設け、この貯留台(103)を操縦パネル(12)の近傍に及ぶ範囲に折畳式に構成した根菜類収穫機において、上記貯留台(103)の前側でコンテナを受けて載置する補助収容部材(211)を設け、この補助収容部材(211)を貯留台(103)の前端位置からその上側に折畳み可能に支持する折畳支持部材(216)を設けたことを特徴とする。
【0007】
上記根菜類収穫機は、貯留台の前端に設けた折畳み可能な補助収容部材がコンテナを貯留台の前端から受けることができ、また、折畳支持部材を介して支持される補助収容部材を貯留台の上側に折畳むことにより、操縦部の側方が開放される。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記貯留台(103)は、折畳み可能な矩形状のキャリアフレーム(214)によって支持したコンテナ搬送装置(109)によって構成するとともに、上記キャリアフレーム(214)の幅内にコンテナ搬送装置の駆動モータ(109a)を設けたことを特徴とする。
上記根菜類収穫機は、貯留台をコンテナ搬送駆動可能に構成してキャリアフレームの幅内に駆動モータを設けたことにより、貯留台と補助収容部材とを近接配置が可能となる。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または2の構成において、前記操縦パネル(12)の前側にコンテナを収容載置する延設収容部材(212)を折畳支持部材(217)によって折畳み可能に支持し、この延設収容部材(212)にコンテナを案内するための接続案内部材(218)を前記補助収容部材(211)に及ぶ範囲に設けたことを特徴とする。
上記根菜類収穫機は、補助収容部材からコンテナを収容する折畳み可能な延設収容部材を設けたことから、収容量が増加し、また、接続案内部材により補助収容部材から延設収容部材までコンテナを移動できる。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3の構成において、前記延設収容部材(212)の後端部に操縦パネル(12)の前面に臨むパイプ状のガード部材(219)を設けたことを特徴とする。
上記根菜類収穫機の操縦部は、延設収容部材のパイプ状のガード部材で保護される。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4の構成において、前記キャリアフレーム(214)の前端部にコンテナの移動を規制するコンテナストッパ(215)を下降収納可能に設け、かつ、コンテナストッパ(215)を上昇付勢する付勢部材(222)を設けたことを特徴とする。
上記根菜類収穫機は、下降収納可能なコンテナストッパにより貯留台の前端までコンテナが載置保持される。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5の構成において、前記コンテナストッパ(215)をX字型に軸支した左右2つのリンク(221)によって構成し、これら両リンク(221)を前記付勢部材(222)によって連結し、操縦パネル(12)側のリンク(221)の上端に下降収納用の押込部(221a)を形成するとともに、この押込部(221a)を貯留台(103)の折畳みに伴って機体と干渉する位置に配置したことを特徴とする。
上記根菜類収穫機は、X字型に軸支した左右2つのリンクによるストッパが連動上昇付勢され、操縦部側の押込部が押込操作によって下降収納される。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項2から6のいずれかの構成において、前記キャリアフレーム(214)を機体から着脱可能に構成するとともに、フォークリフトで支持するためのフォーク受部(231)およびコンテナ搬送装置(109)の駆動電源である蓄電部材(232)をキャリアフレーム(214)に設け、搬送制御用のスイッチ(233)を操縦パネル(12)に設けたたことを特徴とする。
上記根菜類収穫機は、フォーク受部を有する着脱自在な貯留台をコンテナを積載したまま取り外しでき、その蓄電部材により操縦部から搬送制御できる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明の構成により、貯留台の前端に設けた折畳み可能な補助収容部材がコンテナを貯留台の前端から受けることができ、貯留台がコンテナで満たされても、補助収容部材上に余分にコンテナを積載することができるので、コンテナの積み降ろし作業の頻度が減少し、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
また、折畳支持部材を介して支持される補助収容部材を貯留台の上側に折畳むことにより、操縦部の側方が開放されるので操縦部の乗降が容易となり、作業能率を確保することができる上に、機体の前後長がコンパクトになるため、非作業時の倉庫等への機体格納が容易となる。
【0015】
請求項2の発明の構成により、請求項1の効果に加え、貯留台をコンテナ搬送駆動可能に構成してキャリアフレームの幅内に駆動モータを設けたことにより、貯留台と補助収容部材とを近接して配置することができるので、貯留台がコンテナを搬送して補助収容部材に引継が容易となり、作業能率が向上する。
また、外付けモータ等による機体幅寸法の増大を回避できるため、作業時の根菜類収穫機の左右幅をコンパクトにすることができ、機体旋回時に駆動モータを壁等にぶつけて破損させることが防止される。
【0016】
請求項3の発明の構成により、請求項1または2の効果に加え、補助収容部材からコンテナを収容する折畳み可能な延設収容部材を設けたことから、収容量が増加してコンテナの積み降ろし作業の頻度が減少し、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減され、このとき、補助収容部材に及ぶ接続案内部材上を滑らせて移動させることができるので、作業者はコンテナを持ち上げて移動させる必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0017】
請求項4の発明の構成により、請求項3の効果に加え、延設収容部材の後端部に設けたパイプ状のガード部材が操縦部の前面に臨んで位置する構成としたことにより、延設収容部材に載置したコンテナが機体の揺れ等によって後側に移動してもガード部材がコンテナを受け止めるため、操縦部が破損することが防止される。
【0018】
請求項5の発明の構成により、請求項2から4のいずれかの効果に加え、キャリアフレームの前端部にコンテナの移動を制限するコンテナストッパを設け、このコンテナストッパを下降待避可能に付勢部材により上昇付勢したことにより、貯留台から補助収容部材にコンテナを移動させるときだけコンテナストッパを退避させることができるので、走行時の振動でコンテナが補助収容部材に移動したりコンテナが押し出されて圃場に落下することが防止され、落下した作物を拾い集める必要が無くなり、その結果、落下によって作物が傷付くことが防止されるため、作物の商品価値が向上する。そして、コンテナストッパを上方に付勢する付勢部材を設けたことにより、コンテナを移動させると自動的にコンテナストッパが遮断状態となるので、作業者がコンテナストッパを元に戻す作業が省略され、作業能率が向上する。
【0019】
請求項6の発明の構成により、請求項5の効果に加え、上記コンテナストッパは左右2つのリンクをそれぞれの一端が昇降可能にX字型に軸支したことにより、コンテナの左右二箇所をコンテナストッパで押さえることができるので、確実にコンテナの移動が防止され、落下した作物を拾う作業が省略されて、作業者の労力が軽減される。
また、左右二点を押さえることにより、コンテナの姿勢が乱れることを防止できるので、貯留台の容量を隙間無く十分に活用することができ、コンテナ交換の頻度を小さくし、作業者の労力を軽減できる。
そして、付勢部材が左右のコンテナストッパをそれぞれ上方に付勢していることにより、一方のコンテナストッパを下降させると他方が追従するため、作業者はコンテナストッパのどちらか一側だけを操作すればコンテナストッパの作用状態と非作用状態を切り替えるができ、作業能率を向上することができる。
さらに、操縦部側のコンテナストッパの上側端部に押込部を形成したことにより、操縦部に搭乗する作業者が足でコンテナストッパを操作することができるので、作業者は操縦部から移動する必要がなく、作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
また、貯留台を操縦部側に折り畳むと、押込部が機体フレームに接触してコンテナストッパが非作用状態となるため、折り畳んだ貯留台が機体外側に突出することを防止でき、倉庫等への収容が容易となる。
【0020】
請求項7の発明の構成により、請求項2から6のいずれかの効果に加え、貯留台を着脱自在に構成し、そのキャリアフレームの下部にフォーク受部材を設けたことにより、コンテナを積載したまま貯留台を取り外し、フォークリフト等でコンテナの回収地点まで移動する作業を行うことができるので、作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
また、貯留台に蓄電部材を設けたことにより、この蓄電部材に蓄えられた電気を用いて駆動モータを作動させることができるので、貯留台を機体から取り外してもコンテナ搬送装置を作動させることができ、いっそう作業者の労力が軽減されると共に、いっそう作業能率が向上する。
そして、操縦部にコンテナ搬送装置の制御スイッチを設けたことにより、作業者は操縦作業を行いながらコンテナの搬送を行うことができるので、作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】根菜類収穫機の側面図
【図2】根菜類収穫機の平面図
【図3】貯留台の既刈側の要部拡大側面図
【図4】図3の貯留台の平面図
【図5】キャリアフレーム前端部の斜視図
【図6】根菜類収穫機の可搬式貯留台の構成例の平面図(a)およびその背面図(b)
【図7】根菜類収穫機の選別作業座席の構成例の平面図
【図8】廃物容器支持台の要部拡大平面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態として示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機は、図1、図2の機体側面図および平面図に示すように、機体フレーム1を走行可能に支持する左右のクローラ6L,6Rによる走行部と、機体幅の片側に配置の操縦座席11および操縦パネル12による操縦部と、機体幅の他側の引抜搬送装置24による収穫部と、機体後部の茎葉切断装置61、残葉処理装置81および選別搬送装置87による収穫処理部と、その後端部で収穫作物のコンテナRを配置する収容容器載置台97による回収部と、収穫作物を回収したコンテナRを操縦部側で順送り積載する貯留台103による収容部とから構成される。なお、以下の説明において、機体幅の操縦部側を既刈側、収穫部側を未刈側と云う。
【0023】
収容部について詳細に説明すると、貯留台103は、機体の外側部を操縦パネル12の近傍に及び、機体内側に折畳んで収納可能に構成し、この貯留台103の前端からコンテナを受ける補助収容部材211と、この補助収容部材211の側方で操縦パネル12の前側に更にコンテナを受ける延設収容部材212を設ける。
【0024】
貯留台103は、図3、図4の既刈側の要部拡大側面図およびその平面図に示すように、キャリアフレーム214を機体内側に折畳んで収納可能に構成し、このキャリアフレーム214に左右並列の2条のベルトコンベヤによるコンテナ搬送装置109を電動駆動部109aとともに支持して構成し、また、キャリアフレーム214の先端には、後述の可動式のコンテナストッパ215を設ける。
【0025】
補助収容部材211は、操縦部の乗降位置に配置し、コンテナの引継ぎのために貯留台103と上面高さを共通に構成し、貯留台103のキャリアフレーム214の先端に取付けた折畳支持部材216によって貯留台103の上側に折畳み可能に連結支持するとともに延設収容部材212の補強部材として構成し、また、補助収容部材211の底部をステップ兼用とするべく、ごみ抜き等の一部を除き、板またはレールにより構成する。
【0026】
延設収容部材212は、操縦部の前側に取付けた折畳支持部材217によって折畳み可能に構成し、その補助収容部材211の側の側端部には、コンテナを案内支持するための接続案内部材218を補助収容部材に及ぶ範囲に設けて補助収容部材211からコンテナを引継ぎ可能に構成する。また、コンテナの後退を規制して操縦部の前照灯10aを保護するためのパイプ材によるガード部材219を延設収容部材212の後端部に設ける。
【0027】
貯留台103のコンテナストッパ215は、キャリアフレーム214の前端部に下方への押込み操作で下降待避するようにスプリング復帰式に可動構成する。すなわち、図5のキャリアフレーム前端部の斜視図に示すように、X字型に軸支した左右2つの丸パイプ状のリンク221,221によって構成し、それぞれの上端を上方に張出すように両リンク221,221をスプリング222で連結し、押込操作によって下降待避可能に構成する。また、操縦部側のリンク221の上端には機体との干渉によって下降待避動作する押込部221aを形成し、貯留台103の折畳み格納に伴って押込部221aが機体と干渉する位置に配置する。
【0028】
上述の構成による根菜類収穫機は、貯留台103の前端からコンテナを受けて載置する補助収容部材211を設け、この補助収容部材を貯留台の前端位置からその上側に折畳み可能に支持する折畳支持部材216を設けたことから、昇降スペース、格納性を確保した上でコンテナ収容スペースを拡大することができる。
【0029】
すなわち、貯留台103の前端に設けた折畳み可能な補助収容部材211材がコンテナを貯留台103の前端から受けることができるので、貯留台103がコンテナで満たされても、補助収容部材211上に余分にコンテナを積載することができることから、コンテナの積み降ろし作業の頻度が減少し、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0030】
また、折畳支持部材216を介して支持される補助収容部材211を貯留台103の上側に折畳むことによって操縦部の側方が開放されるので操縦部に対する乗降が容易となり、作業能率を確保することができる上に、機体の前後長がコンパクトになるため、非作業時の倉庫等への機体格納が容易となる。
【0031】
また、貯留台103をキャリアフレーム214によって支持したコンテナ搬送装置109によって構成するとともに、キャリアフレームの幅内にコンテナ搬送装置109の駆動モータ109aを設けたことから、補助収容部材へのコンテナ移行の作業性と機体の格納性を確保することができる。
【0032】
すなわち、貯留台をコンテナ搬送駆動可能に構成してキャリアフレームの幅内に駆動モータを設けたことにより、貯留台と補助収容部材とを近接して配置することができるので、貯留台がコンテナを搬送して補助収容部材に引継が容易となり、作業能率が向上する。また、外付けモータ等による機体幅寸法の増大を回避できるため、作業時の根菜類収穫機の左右幅をコンパクトにすることができ、機体旋回時に駆動モータを壁等にぶつけて破損させることが防止される。
【0033】
また、操縦部の前側にコンテナを収容する延設収容部材212を折畳支持部材217によって折畳み可能に支持し、この延設収容部材にコンテナを案内するための接続案内部材218を補助収容部材に及ぶ範囲に設けたことから、その延設収容部材により、収容量が増加してコンテナの積み降ろし作業の頻度が減少し、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減され、このとき、補助収容部材に及ぶ接続案内部材上を滑らせて移動させることができるので、作業者はコンテナを持ち上げて移動させる必要が無く、作業者の労力が軽減される。
【0034】
また、延設収容部材212の後端部に操縦部の前面に臨むパイプ状のガード部材219を設けたことから、延設収容部材212に載置したコンテナが機体の揺れ等によって後側に移動してもガード部材がコンテナを受け止めるため、操縦部が破損することが防止される。
【0035】
また、貯留台のキャリアフレームの前端部にコンテナの移動を規制するコンテナストッパ215を下降待避可能に設け、かつ、コンテナストッパ215を上昇付勢する付勢部材222を設けたことから、コンテナ保持を確保できるとともに、押込み操作でコンテナ移動が可能となるので、貯留台から補助収容部材にコンテナを移動させるときだけコンテナストッパを退避させることができ、走行時の振動でコンテナが補助収容部材に移動したりコンテナが押し出されて圃場に落下することが防止され、落下した作物を拾い集める必要が無くなり、その結果、落下によって作物が傷付くことが防止されるため、作物の商品価値が向上する。そして、コンテナストッパを上方に付勢する付勢部材により、コンテナを移動させると自動的にコンテナストッパが遮断状態となるので、作業者がコンテナストッパを元に戻す作業が省略され、作業能率が向上する。
【0036】
この場合において、コンテナストッパをX字型に軸支した左右2つのリンク221,221によって構成し、これら両リンク221,221を付勢部材222によって連結し、操縦部側のリンク221の上端に下降待避用の押込部221aを形成するとともに、この押込部221aを貯留台103の折畳みに伴って機体と干渉する位置に配置したことにより、コンテナ載置効率と移送作業能率の最大化、機体格納性の向上が可能となる。
【0037】
すなわち、コンテナストッパは左右2つのリンクをそれぞれの一端が昇降可能にX字型に軸支したことにより、コンテナの左右二箇所をコンテナストッパで押さえることができるので、確実にコンテナの移動が防止され、落下した作物を拾う作業が省略されて、作業者の労力が軽減される。
【0038】
また、左右二点を押さえることにより、コンテナの姿勢が乱れることを防止できるので、貯留台の容量を隙間無く十分に活用することができ、コンテナ交換の頻度を小さくし、作業者の労力を軽減できる。
そして、付勢部材が左右のコンテナストッパをそれぞれ上方に付勢していることにより、一方のコンテナストッパを下降させると他方が追従するため、作業者はコンテナストッパのどちらか一側だけを操作すればコンテナストッパの作用状態と非作用状態を切り替えるができ、作業能率を向上することができる。
さらに、操縦部側のコンテナストッパの上側端部に押込部を形成したことにより、操縦部に搭乗する作業者が足でコンテナストッパを操作することができるので、作業者は操縦部から移動する必要がなく、作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
また、貯留台を操縦部側に折り畳むと、押込部が機体の固定フレーム部に接触してコンテナストッパが非作用状態となるため、折り畳んだ貯留台が機体外側に突出することを防止でき、倉庫等への収容が容易となる。
【0039】
(可搬式貯留台)
次に、可搬式貯留台の構成例について説明する。
可搬式貯留台は、図6の根菜類収穫機の構成例の平面図(a)およびその背面図(b)に示すように、貯留台103を機体に対して着脱可能に構成し、その外側からフォーク支持操作ができるように、キャリアフレーム214に前後配置のフォーク受部231,231をコンテナ搬送装置109のベルトコンベヤの間のスペースに設ける。キャリアフレーム214の機体内側には当板を設けてフォークによる損傷を防止する。
【0040】
また、キャリアフレーム214にはバッテリやキャパシタ等の蓄電部材による搬送用電源232を設け、コンテナ搬送装置109を起動する制御スイッチ233を操縦部のコントロールボックスに配置し、同スイッチ233のオン操作により、駐車ブレーキの作動時を条件に搬送動作を継続してコンテナを前方に連続搬送可能に構成する。蓄電部材は、制御システムにより貯留台103が本機装着中に充電する。
【0041】
上記構成の可搬式貯留台は、貯留台103を着脱自在に構成し、そのキャリアフレーム214にフォーク受部231,231を設けたことにより、コンテナを積載したまま貯留台103を取り外し、フォークリフト等でコンテナの回収地点まで移動することができるので、作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
また、貯留台103に蓄電部材による搬送用電源232を設けたことにより、貯留台103を機体から取り外してもコンテナ搬送装置109を作動させることができ、いっそう作業者の労力が軽減されると共に、いっそう作業能率が向上する。
そして、操縦部にコンテナ搬送装置109の制御スイッチ233を設けたことにより、作業者は操縦作業を行いながらコンテナの搬送を行うことができるので、作業能率が向上する。
【0042】
(選別作業座席)
次に、選別作業座席の構成例について説明する。
選別作業座席は、図7の根菜類収穫機の構成例の平面図に示すように、キャリアフレーム214に差し込んだコの字型に屈曲する座席支持フレーム116により補助作業座席117を支持するとともに、機体の前側の隣接位置に同様にキャリアフレーム214に差し込んだコの字型に屈曲する他の座席支持フレーム241により他の補助作業座席242を設ける。いずれも収穫処理部の選別搬送装置87に臨んで配置し、両座席による同時選別の際は、その範囲を除いてコンテナを2段積みに積載する。また、貯留台103を折畳み収納する際は、いずれも機体後側に倒伏可能に構成する。
【0043】
選別搬送装置87は、一人作業時と二人作業時に対応して搬送スピードを低速と高速に切替えできるように切替スイッチを設ける。また、作業人数によって切替えできるように、HSTレバーによる主変速に解除選択が可能な牽制を設ける。さらに、前側の座席242を二人目の作業用として着座センサ242aを設け、その検出により搬送スピードを高速に切替えるように制御を構成する。
【0044】
次に、廃物容器支持台115について説明する。
廃物容器支持台115は、図8の要部拡大平面図に示すように、貯留台103の後端部に設けて屑回収コンテナRを配置し、生育不良、形状異常、傷物などの商品として不適格な人参を回収する。そのフレームは、2つのV字状に曲げた屈曲部材251,251の双方の頂点を中央に配置して互いに溶接したX字状リブによって構成することにより強度を確保することができる。、
【符号の説明】
【0045】
1 機体フレーム
6L,6R クローラ
10a 前照灯
11 操縦座席
12 操縦パネル
24 引抜搬送装置
87 選別搬送装置
97 収容容器載置台
103 貯留台
109 コンテナ搬送装置
109a 駆動モータ(電動駆動部)
211 補助収容部材
212 延設収容部材
214 キャリアフレーム
215 コンテナストッパ
216 折畳支持部材
217 折畳支持部材
218 接続案内部材
219 ガード部材
221 リンク
221a 押込部
222 スプリング(付勢部材)
231 フォーク受部
232 搬送用電源
233 制御スイッチ(搬送制御スイッチ)
R コンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体幅の片側である既刈側に配置の操縦部を構成する操縦パネル(12)と、他側である未刈側に配置の引抜搬送装置(24)と、この引抜搬送装の下方で受けた作物を収穫選別して機体後部に搬送する搬送装置(81)と、その搬送作物をコンテナに収容するための収容容器載置台(97)と、この収容容器載置台(97)から送られるコンテナを機体側部に収容する貯留台(103)とを設け、この貯留台(103)を操縦パネル(12)の近傍に及ぶ範囲に折畳式に構成した根菜類収穫機において、
上記貯留台(103)の前側でコンテナを受けて載置する補助収容部材(211)を設け、この補助収容部材(211)を貯留台(103)の前端位置からその上側に折畳み可能に支持する折畳支持部材(216)を設けたことを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
前記貯留台(103)は、折畳み可能な矩形状のキャリアフレーム(214)によって支持したコンテナ搬送装置(109)によって構成するとともに、上記キャリアフレーム(214)の幅内にコンテナ搬送装置の駆動モータ(109a)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
前記操縦パネル(12)の前側にコンテナを収容載置する延設収容部材(212)を折畳支持部材(217)によって折畳み可能に支持し、この延設収容部材(212)にコンテナを案内するための接続案内部材(218)を前記補助収容部材(211)に及ぶ範囲に設けたことを特徴とする請求項1または2記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
前記延設収容部材(212)の後端部に操縦パネル(12)の前面に臨むパイプ状のガード部材(219)を設けたことを特徴とする請求項3記載の根菜類収穫機。
【請求項5】
前記キャリアフレーム(214)の前端部にコンテナの移動を規制するコンテナストッパ(215)を下降収納可能に設け、かつ、コンテナストッパ(215)を上昇付勢する付勢部材(222)を設けたことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の根菜類収穫機。
【請求項6】
前記コンテナストッパ(215)をX字型に軸支した左右2つのリンク(221)によって構成し、これら両リンク(221)を前記付勢部材(222)によって連結し、操縦パネル(12)側のリンク(221)の上端に下降収納用の押込部(221a)を形成するとともに、この押込部(221a)を貯留台(103)の折畳みに伴って機体と干渉する位置に配置したことを特徴とする請求項5記載の根菜類収穫機。
【請求項7】
前記キャリアフレーム(214)を機体から着脱可能に構成するとともに、フォークリフトで支持するためのフォーク受部(231)およびコンテナ搬送装置(109)の駆動電源である蓄電部材(232)をキャリアフレーム(214)に設け、搬送制御用のスイッチ(233)を操縦パネル(12)に設けたたことを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の根菜類収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−17421(P2013−17421A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153259(P2011−153259)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】