説明

格納式防滑手段を具備する改良型靴底

地面に接するようになる本底の面に配設される折り畳み式防滑手段(12)を具備する防滑靴の種類のための本底(6)であって、地面への密着性を向上させるための前記防滑手段が、硬質又は半硬質の支持部材(10)に固定されており、該支持部材が本底にヒンジ結合されることで、ヒンジ/靴底から持ち上げている軸以外でそれに並行でない対称軸に関して少なくとも180度旗のように回転させることにより本底から持ち上げられることを特徴とする本底。各前記支持部材は、本底の使用中には、ソール部に設けられたそれ専用の1つの凹部又は溝(8)に収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は履物工業に関し、さらに詳しくは、地面が特に滑りやすいところ、例えば凍結した、積雪した或いはぬかるんだ地面で使用される靴のための本底の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる状況下では、誰もが立っているのは困難であることはよく知られている。 そうした滑るという危険は、公知の鋲付き靴或いは特殊な高密着性本底を備えた靴を使用することにより明らかに回避できる。しかし、そうした靴は、重量及び強度に関して厳密な特性を有する専門的な靴であり、通常の靴としては使用できない。
【0003】
かつてはシールスキン等を靴に付け、凍結した地面への本底の接触を防ぐことにより、鋲付き靴を用いることが回避できた。それと同じ原則に基づいて、ゴム製の被覆物が今日市販されているが、そうした被覆物は取り外し可能に靴に固定されなければならず、また地面に対する面上に多くの鋲やフックを備えている。
【0004】
しかしながら、そうした解決方法では、住居に入る又は道路を離れ建物に入るときは必ず、被覆物を靴から取り除いて何とかしてその鋲又はフックが床に損傷を与えないようにすることをユーザに強いるという重大な問題点がある。そうした動作は、それ自体厄介であり、ユーザは再び装着するのに備えて、被覆物を携帯しなければならないことが求められるのは、自ずと明らかである。
【0005】
かかる問題を解決するために、出願人名を同じくするイタリア特許第1299575号において、適切な支持部材に固定されている鋲又はフックを備えた本底を開示している。該支持部材は180度折り畳み可能で、本底に端部を直接ヒンジ結合させることで引き出し位置から引き込み位置に回転させ、適合する鏡面対称の溝に収容し元の形状に戻すことができる。鏡面対称の溝は、接地面の厚み内で形成されるのが好ましい。
【0006】
そうした公知の本底が、望ましい密着性の強化を提供するとしても、それらは市場の特定の要求を満たせてはいない。
【0007】
かかる公知の装置の第1の限界として、ソール部及踵部両方に配置される上記の折り畳み式鋲支持部材各々が、靴底及び踵部それぞれの対応する領域が占める空間の半分より少ない空間を占めるようにしなければならないことが挙げられる。これは、各支持部材が使用位置(鋲が引き出された状態)及び休止位置(鋲が引き込まれた状態)の両方において、互いに結合する2つの鏡面対称の溝の内一方の溝に収容されることに起因している。かかる鏡面対称の溝はもちろん靴底(ソール部又は踵部)の対応する領域に設置されなければならず、特に踵部では大きさや、本底全体の構造を極度に弱体化させないという両方の理由で鋲支持部材の延長が制限される。
【0008】
第2の限界として、対応する折り畳み式鋲支持部材によって占められている鏡面対称の溝には、よごれ、土、泥などが集まりやすく、そのためユーザはふさがれた溝を完全に掃除してから対応する鋲支持部材を折り畳んで溝の内部に入れなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の目的は、地面への密着性を向上させるための折り畳み可能な手段を設け、ソール部及び踵部の接地面に配設してソール部及び踵部其々の使用可能な表面全体を利用するようにした靴底を提供することである。
【0010】
本発明の第2の目的は、上述したタイプの靴底を提供し、その中で両適用態様において使用するただ1つのプリント(押圧跡)或いは収容溝を上記地面への密着性を向上させる手段の各々に対して備えることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、接地する面に、複数の硬いフック又は鋲或いは高密着性のゴム材料でコーティングを施したもの等の密着性を向上させる防滑手段を備えた靴底を提供することにより、これを達成している。かかる防滑手段は、上記本底に固設されないが、地面に接触する引き出された位置から道路を傷めない隠された位置に移動できるよう固定される。本発明によれば、かかる地面への密着性を向上させる手段は適切な立体の支持部材のものに固定されており、該支持部材のものは本底にヒンジ結合されることで、ヒンジ/靴底から持ち上げている軸以外でそれに並行でない対称軸のまわりに少なくとも180度旗のように回転することにより靴底から持ち上げられている。踵及び/又はソールのかかる支持部材の各々は、踵部及びソール部それぞれの対応する位置に設けられたそれ専用の1つの凹部或いは溝に収容される。
【0012】
好適な実施例では、回転・折り畳み支持部材は2つの対照的な面を有しており、その中の1面に上記密着性を向上させる手段が固定されている。第1の位置、すなわち使用位置においては、鋲又はゴム材料で被覆されたものが地面に対する滑り止め効果を確保するに十分なだけ本底から突出している。第2の位置、すなわち休止位置においては、鋲又はゴム製の被覆物は靴底方向に向いており、支持部材を受ける押圧跡の底部の対応する位置に形成された適切な凹部内に収容されるため、靴底の連続性がいかなる突出もなく回復される。
【0013】
本発明の更なる特徴や効果は、好適な実施形態の限定されない例として示す添付図面による以下の詳細な説明から、より容易に理解できるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図面を参照すると、本発明による折り畳み式フック12(又は高密着性ゴム材料でできた領域)付き防滑靴底6には、道路に接触するようになる面に少なくとも溝又は押圧跡8を備えている。かかる押圧跡8はきれいな状態で硬質又は半硬質の支持部材10を受けることができる。該支持部材10は、大変様々な形で成形(図示のように)されるが、少なくとも対称軸を有することを特徴としている。かかる支持部材10には複数の鋲或いは好ましくは半硬質プラスチック材料である高密着性材料でできた領域12を保持している。鋲又はフック12はその全長に渡って均一に分布している。
【0015】
本発明特有の特徴によれば、公知の方法で靴底に固定され、それに並行な回転軸を有するヒンジ部材11の上記対称軸の一端に、かかる支持部材10がヒンジ結合されている。言い換えれば、旗のように回転して支持手段10を上げているのが上記ヒンジ部材11であり、一方、それ自身の対称軸に関する180度の折り畳み回転が、本底6に関して回転するヒンジ部材11に上記支持部材を回転自在に連結しているピンPのまわりに発生する。
【0016】
上記から分かるように、本発明による防滑装置の実用性は、すなわち、ユーザは、屋内で使用する滑らかな本底から滑り易い表面用の鋲付き本底に移行するのに、鋲12付き支持部材10を持ち上げる、回す、下ろすという簡単な動作のみを行う必要がある、ということである。
【0017】
図で示した実施例では、上記ヒンジ部材11は本底6に両端をヒンジ結合させる小さな弧から成っており、該弧にはピンPが固定されている。このピンは上記の弧11に固定されたピンPのまわりに回転可能な支持部材10の対称軸と一致する長手方向軸を有している。
【0018】
既に述べたように、両使用構成において、ただ1つの押圧跡又は溝8だけで鋲あるいは、高密着性材料で出来た領域である12の支持手段10を受けることができるので、押圧跡8に接地面の凹部に入るものとしてよく知られている土やその他の物質から成る障害物や詰まり物を無くせるという極めて大きな効果を有している。
【0019】
本発明の好適な実施例を上述した。しかし、添付の請求項に示す本発明の範囲から逸脱しない限り当業者により多くの修正が行われてもよい。例えば、鋲又はフック12の支持部材10を、それを受ける本底に関してヒンジ結合する代わりに、スナップ式に固定することで、それを取り外して180度回転後に再び挿入して、鋲付き面又は滑らかな面のどちらも表に現れるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図において:
【図1】通常の構成における靴底の正面図である。
【図2】本発明の斜視図であり、密着性向上手段のための支持部材を示し、さらには、その支持部材を旗のように回転させて靴底から持ち上げ、それから鋲又は高密着性ゴム製物質が固定されている面が外側に向くように対称軸のまわりに180度回転しているのを示している。
【図3】本発明を示す図2と同様の斜視図であり、さらに、鋲又は高密着性ゴム製物質が外側を向き突出している状態で、上記の支持部材が靴底内のその初期位置に戻っているところを示している。
【図4】図1と同様に、低密着性の地面に対しての使用構成で開示される靴底を示している。
【符号の説明】
【0021】
6 靴底、本底
8 溝、押圧跡
10 支持部材
11 ヒンジ部材
12 鋲、フック、高密着性材料でできた領域
P ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に接するようになる本底の面に配設される折り畳み式防滑手段(12)を具備する種類の防滑靴のための本底(6)であって、
地面への密着性を向上させるための前記防滑手段が、硬質又は半硬質の支持部材(10)に固定されており、該支持部材が本底にヒンジ結合されることで、ヒンジ/靴底から持ち上げている軸以外で、それに並行でない対称軸に関して少なくとも180度旗のように回転させることにより本底から持ち上げられ、踵部及び/又はソール部のかかる支持部材の其々が、踵部及びソール部其々に設けられたそれ専用の1つの凹部又は溝(8)に収容されることを特徴とする種類の防滑靴のための本底。
【請求項2】
前記折り畳み式支持部材(10)は2つの対照的な面を有し、その一方の面には鋲又はゴム材料でできた被覆物からなる前記密着性を向上させる手段(12)が固定されており、そのため第1位置である使用位置において、前記鋲(12)が地面に対する滑り止め効果を確保するに十分なだけ本底(6)から突出しており、一方で第2位置である休止位置において、鋲又はゴム製の被覆物が靴底側を向いて、支持部材を受ける押圧跡(8)の底部の対応する位置に形成されている適切な凹部内に収容されることにより靴底の連続性がいかなる突出もなく回復されることを特徴とする、請求項1に記載の本底。
【請求項3】
前記防滑手段(12)のための前記支持部材(10)は、公知の方法で靴底に固定され、それに並行な回転軸を有し、それにより旗のように回転させて支持手段(10)を持ち上げることを可能にしているヒンジ部材(11)に関する上記対称軸の一端部にヒンジ結合されており、かかるヒンジ部材(11)によって、一方でそれ自身の対称軸に関して180度の折り畳み回転が、本底(6)に関して回転するヒンジ部材(11)にかかる支持手段を回転自在に連結するピン(P)のまわりに生じることを特徴とする、請求項1又は2に記載の本底。
【請求項4】
前記ヒンジ部材(11)が本底(6)にヒンジ結合されている両端を有し、ピン(P)が固定されている小弧からなり、かかる小弧(11)に固定されているピン(P)のまわりに回転可能である支持部材(10)の対称軸と一致するその長手方向軸を該ピンが有することを特徴とする、請求項1乃至3に記載の本底。
【請求項5】
「引き出された」及び「引き込まれた」構造の両方において、ただ1つの押圧跡又は溝(8)が、鋲又は高密着性材料でできた領域の支持手段(10)を受け、それにより前記押圧跡(8)に接地面の凹部に入る土や他の物質による障害物又は詰まり物が無くなることを特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記載の本底。
【請求項6】
鋲又は高密着性材料でできた領域(12)の前記支持手段(10)及びそれに対応する押圧跡又は溝(8)が「ソール」及び「踵」部両方に形成されることを特徴とする、請求項1乃至5いずれかに記載の本底。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に接するようになる本底の面に配設される折り畳み式防滑手段(12)を具備する種類の防滑靴のための本底(6)であって、
地面への密着性を向上させるための前記防滑手段が、半硬質の支持部材(10)に固定されており、該支持部材が本底にヒンジ結合されることで、ヒンジ/靴底から持ち上げている軸以外で、それに並行でないそれ自身の対称軸に関して少なくとも180度旗のように回転させることにより本底から持ち上げられ、踵部及び/又はソール部のかかる支持部材の其々が、踵部及びソール部其々接地面の厚みの中に設けられたそれ専用の1つの凹部又は溝(8)に収容され、前記ソール部がソール部の底からの複数の突起を備えていることを特徴とする種類の防滑靴のための本底。
【請求項2】
前記折り畳み式支持部材(10)は2つの対照的な面を有し、その一方の面には鋲又はゴム材料でできた被覆物からなる前記密着性を向上させる手段(12)が固定されており、そのため第1位置である使用位置において、前記鋲(12)が地面に対する滑り止め効果を確保するに十分なだけ本底(6)から突出しており、一方で第2位置である休止位置において、鋲又はゴム製の被覆物が靴底側を向いて、支持部材を受ける押圧跡(8)の底部の対応する位置に形成されている適切な凹部内に収容されることにより靴底の連続性がいかなる突出もなく回復されることを特徴とする、請求項1に記載の本底。
【請求項3】
前記防滑手段(12)のための前記支持部材(10)は、公知の方法で靴底に固定され、それに並行な回転軸を有し、それにより旗のように回転させて支持手段(10)を持ち上げることを可能にしているヒンジ部材(11)に関する上記対称軸の一端部にヒンジ結合されており、かかるヒンジ部材(11)によって、一方でそれ自身の対称軸に関して180度の折り畳み回転が、本底(6)に関して回転するヒンジ部材(11)にかかる支持手段を回転自在に連結するピン(P)のまわりに生じることを特徴とする、請求項1又は2に記載の本底。
【請求項4】
前記ヒンジ部材(11)が本底(6)にヒンジ結合されている両端を有し、ピン(P)が固定されている小弧からなり、かかる小弧(11)に固定されているピン(P)のまわりに回転可能である支持部材(10)の対称軸と一致するその長手方向軸を該ピンが有することを特徴とする、請求項1乃至3に記載の本底。
【請求項5】
「引き出された」及び「引き込まれた」構造の両方において、ただ1つの押圧跡又は溝(8)が、鋲又は高密着性材料でできた領域の支持手段(10)を受け、それにより前記押圧跡(8)に接地面の凹部に入る土や他の物質による障害物又は詰まり物が無くなることを特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記載の本底。
【請求項6】
鋲又は高密着性材料でできた領域(12)の前記支持手段(10)及びそれに対応する押圧跡又は溝(8)が「ソール」及び「踵」部両方に形成されることを特徴とする、請求項1乃至5いずれかに記載の本底。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−505324(P2006−505324A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−549544(P2004−549544)
【出願日】平成15年11月4日(2003.11.4)
【国際出願番号】PCT/IT2003/000714
【国際公開番号】WO2004/041016
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(505113676)エーエル.ピーアイ.エス.アール.エル. (2)
【Fターム(参考)】