案内装置
【課題】 圧縮気体を用いることなく簡単な構造で磨耗粉の除去が可能な案内装置を提供する。
【解決手段】 楕円運動する振動体と、該振動体の楕円運動を伝達するための摩擦部材とを有する超音波モータと、摩擦部材に当接する当接面を有し、摩擦部材と当接面との摩擦駆動により移動可能に設けられた可動体63と、当接面に対向する対向面を超音波モータの両側に有してなり、超音波モータを覆う摩耗粉飛散防止用筐体とを含む案内装置において、対向面にそれぞれ複数の溝を形成し、当接面と対向面の間隔及び溝の形状を、可動体63の移動に伴って溝に摩耗粉が捕獲されるように設定した。
【解決手段】 楕円運動する振動体と、該振動体の楕円運動を伝達するための摩擦部材とを有する超音波モータと、摩擦部材に当接する当接面を有し、摩擦部材と当接面との摩擦駆動により移動可能に設けられた可動体63と、当接面に対向する対向面を超音波モータの両側に有してなり、超音波モータを覆う摩耗粉飛散防止用筐体とを含む案内装置において、対向面にそれぞれ複数の溝を形成し、当接面と対向面の間隔及び溝の形状を、可動体63の移動に伴って溝に摩耗粉が捕獲されるように設定した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波モータの摩擦駆動により直線運動や回転運動を行う可動体を駆動させる案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波モータは、最小振幅がナノメートルオーダーと小さく、高分解能の位置決めが可能であり、しかも同サイズの他の電磁モータと比較して駆動力が大きいといった特徴を有している。かかる特徴を生かし、これまでカメラのレンズズーム機構や腕時計のバイブレーションアラームなど主として回転運動系において実用化されているが、最近では直線運動系への適用もなされている。
【0003】
図8に、特許文献1に開示された、超音波モータを可動体の駆動源とした従来の案内装置の一例を示す。この案内装置は、図8に示すように、ベース盤61上にクロスローラガイドのような一対のガイド部材62を介して可動体であるステージ63が設けられ、そのステージ63を超音波モータで直線的に案内するようになっている。
【0004】
この従来の案内装置において、ステージ63の一方の側面には、ガイド部材62に平行に駆動力伝達部材64が設けられ、ステージ63の他方の側面には、駆動力伝達部材64と平行にリニアスケール65が設置されている。また、リニアスケール65と対向する位置には測定ヘッド66を設けて位置検出手段67を構成するとともに、駆動力伝達部材64と対向する位置には一つの超音波モータ500を設けて、超音波モータの摩擦部材56を上記駆動力伝達部材64の当接面64aに対して垂直に当接させてある。
【0005】
なお、図中、57は超音波モータを収容する筐体、68は位置検出手段67より得られた位置情報を基にステージ63の駆動条件を制御する制御部、69は制御部68から出力された信号を基に超音波モータを駆動させるための指令信号を出力するドライバーである。
【0006】
図9は、この案内装置に用いる筐体57内に収容されてなる超音波モータの断面を示している。超音波モータ500は、筐体内に4つのスプリング58で保持された振動体55を有してなる。この振動体55は、圧電セラミック板52と、その圧電セラミック板52の一方の主面に形成された電極膜53a,53b,53c,53dと、圧電セラミック板52の他方の主面ほぼ全面に形成された共通電極膜(不図示)とによって構成されている。尚、圧電セラミック板52の一方の主面に形成された、4分割された電極膜53a,53b,53c,53dは、対角に位置する電極膜53aと電極膜53dが結線され、他の対角に位置する電極膜53bと電極膜53cが結線される。また、この振動体55の一方端面にはセラミックスやガラスからなる摩擦部材56が設けられている。
【0007】
以上のように構成された超音波モータにおいて、共通電極膜をアースするとともに、電極膜53bと電極膜53dにそれぞれ位相を異ならせた電圧を印加すると、圧電セラミック板52に縦振動と横振動が生じ、これらの振動の合力によって摩擦部材56が楕円運動する。
【0008】
また、超音波モータ500は、筐体57内においてその両側面をスプリング58により保持されているが、摩擦部材が設けられている側とは反対側の端面にはスプリング59が設けられており、そのスプリング59によって押圧されて振動体55をステージ63に設けられた駆動力伝達部材64に押し付けて予圧を与えるようになっている。
【0009】
特許文献1に開示された案内装置は、以上のような構成になっており、超音波モータ500を駆動すると、その摩擦部材56の摩擦駆動によってステージ63をガイド部材62に沿って移動させることができ、ステージ63の移動に伴う位置検出手段67からの位置情報と、予め設定してあるステージ63の基準位置情報との偏差に応じて変化するパラメータを基に制御部68にて例えばPID演算処理を行ってドライバー69に超音波モータ51への指令信号を出力するフィードバック制御を行うことにより、ステージ63を移動、位置決めするようになっていた。
【0010】
ところが、超音波モータ500の摩擦部材56やステージ63の駆動力伝達部材64は互いに摩耗し、その摩耗粉が駆動力伝達部材64の当接面64aに付着するという問題がある。この付着量が多くなると摩擦部材56の振動によって摩耗粉が周囲に飛散したり、ベース盤61に堆積した摩耗粉がステージ63の移動時の振動によって周囲に飛散したりするため、周囲の雰囲気を汚染するといった課題があった。特に半導体製造装置のようにウエハ上に粉塵の付着量が制限されている装置では大きな問題となる。
【0011】
そこで、特許文献1には、上記問題を解決するために、摩耗粉飛散防止筐体に圧縮気体の噴射孔と排気溝を有する摩耗粉除去パッドを設けることが開示されている。
【特許文献1】特開2003−251541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に開示された方式では、圧縮気体を使用するため真空中で使用するためには圧縮空気が真空中に漏れないように差動排気を行う必要があるために真空排気系が追加で必要となること、摩耗粉除去パッドが非常に大きくなることと、また差動排気用の配管を引き回すためにステージの位置決め精度が悪化するといった課題があった。
【0013】
そこで、本発明は、圧縮気体を用いることなく簡単な構造で磨耗粉の除去が可能な案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の目的を達成するために、本発明に係る案内装置は、楕円運動する振動体と、該振動体の楕円運動を伝達するための摩擦部材とを有する超音波モータと、前記摩擦部材に当接する当接面を有し、前記摩擦部材と前記当接面との摩擦駆動により移動可能に設けられた可動体と、前記当接面に対向する対向面を前記超音波モータの両側に有してなり、前記超音波モータを覆う摩耗粉飛散防止用筐体とを含む案内装置において、
前記対向面にそれぞれ複数の溝を形成し、前記当接面と前記対向面の間隔及び前記溝の形状を、前記可動体の移動に伴って前記溝に摩耗粉が捕獲されるように設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上の本発明に係る案内装置は、前記対向面に複数の溝を形成し、前記当接面と前記対向面の間隔及び前記溝の形状を、前記可動体の移動に伴って前記溝に摩耗粉が捕獲されるように設定しているので、圧縮気体を用いることなく簡単な構造で磨耗粉の除去が可能な案内装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、実施の形態の図において、従来例と同一部分については同一符号で示している。
【0017】
図1は、本発明に係る実施の形態の案内装置であって、超音波モータを可動体の駆動源としている。また、図2Aは図1の案内装置におけるステージ63と超音波モータ部分とを示す平面図であって、本発明の案内装置における摩耗粉除去手段の構成がわかるように、摩耗粉飛散防止カバー5の上面を取り除いて示している。また、図2Bは、図2AのA−A線についての断面図である。尚、図2Aにおいて、超音波モータ部分は断面図で示している。
【0018】
この実施の形態の案内装置は、図1等に示すように、従来例と同様、ベース盤61上にクロスローラガイドの如き一対のガイド部材62を備え、これらガイド部材62によって可動体としてのステージ63を直線的に往復運動可能に案内するようになっている。
また、ステージ63はその一方の側面にガイド部材62に対して平行に取り付けた駆動力伝達部材64を、ステ―ジ63の他方の側面には、上記駆動力伝達部材64と平行にリニアスケール65をそれぞれ有している。そして、そのリニアスケール65と対向する位置には測定ヘッド66を設けて位置検出手段67を構成するとともに、上記駆動力伝達部材64と対向する位置には一つの超音波モータ(不図示)を配置し、超音波モータ500の摩擦部材56を上記駆動力伝達部材64の当接面に対して垂直に当接させてある。
【0019】
なお、図中、68は位置検出手段67より得られた位置情報を基にステージ63の駆動条件を制御する制御部、69は上記制御部68から出力された信号を基に超音波モータを駆動させるための指令信号を出力するドライバーであり、5は超音波モータ500より発生する摩耗粉の飛散を防止する摩耗粉飛散防止用筐体1を収容する摩耗粉飛散防止カバーである。また、3は摩耗粉を吸着する静電吸着シートを固定するベースである。
また、図1に示す超音波モータの構造及び超音波モータの取り付け構造は、図8及び図9に示したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0020】
以下、本発明の特徴的な部分である摩耗粉飛散防止機構の詳細について図2A、図2Bを参照しながら説明する。
まず、本実施の形態の案内装置において、図3A等に示す摩耗粉飛散防止用筐体1は、超音波モータ500を覆っており、駆動力伝達部材64と超音波モータ500の間にある摩耗粉を周囲に飛散させないようにしている。
【0021】
ここで特に、本実施の形態では、摩耗粉飛散防止用筐体1は、駆動力伝達部材64に対向する対向面における超音波モータ500の両側に摩耗粉収集溝2a、2bを有していて、その対向面と駆動力伝達部材64の当接面との間隔及び摩耗粉収集溝2a、2bの形状を、ステージ(可動体)の移動に伴って摩耗粉収集溝2a、2bに摩耗粉が捕獲されるように設定して、摩耗粉の飛散を効果的に防止している。
【0022】
すなわち、本発明は、
(1)摩耗粉飛散防止用筐体1の対向面と駆動力伝達部材64の当接面との間隔と、
(2)超音波モータ500の両側に設けた摩耗粉収集溝2a、2bの形状を、
適切な範囲に設定すると、
ステージ(可動体)の移動による、摩耗粉飛散防止用筐体1の対向面と駆動力伝達部材64の当接面との相対的な運動により、
圧縮空気や吸引機構を用いることなく、摩耗粉収集溝2a、2bに摩耗粉を効果的に捕獲できることを見出して完成させたものである。
前記摩耗粉収集溝2a、2bは、その長手方向が前記可動体の移動方向に略直交することが好ましい。
これは、可動体が移動によって描く軌跡と溝2a、2bの成す角度が90°であれば、摩耗粉の長手方向に飛散してきた摩耗粉が摩耗粉収集溝2a、2bで乱反射を起こすため、摩耗粉収集効果が十分に発生する。
なお、ここで、摩耗粉収集溝2a、2bの移動方向が略直交とは、可動体が移動によって描く軌跡と溝2a、2bの成す角度が90°±20°の範囲を示す。さらに、上記角度は、90°±2°とすることがより好ましい。
さらに、摩耗粉収集溝2a、2bは、互いに平行であることが好ましい。これは、摩耗粉収集溝2a、2bが片側に1個しかないと摩耗粉の飛散速度がほとんど減衰しないため、摩耗粉が摩耗粉収集溝2a、2bから飛び出してしまうが、2個以上かつ平行であれば2回の摩耗粉の乱反射によって摩耗粉の飛散速度が減衰するため、摩耗粉収集効果が十分に発生する。
【0023】
本発明において、摩耗粉収集溝2a、2bに摩耗粉をより効果的に捕獲するためには、駆動力伝達部材64の表面(当接面)とそれに対向する摩耗粉飛散防止用筐体1の対向面の距離Tは、10〜300μmとすることが好ましい。この点、当該距離を0.5〜10μmの範囲に設定している特許文献1の構成とは顕著に異なっている。
【0024】
これは、本発明に係る構成において、両者の距離Tが10μm未満であると、圧縮空気や吸引機構を用いていない本発明に係る構成では摩耗粉が駆動力伝達部材64の当接面と摩耗粉飛散防止用筐体1との隙間に噛み込み易くなるからである。すなわち、本発明は、ステージ(可動体)の移動に伴う摩耗粉飛散防止用筐体1の対向面と駆動力伝達部材64の当接面との相対的な運動により、摩耗粉収集溝2a、2bに摩耗粉を捕獲するものであるから、摩耗粉飛散防止用筐体1の対向面と駆動力伝達部材64の当接面の間で磨耗粉が3次元的に運動していることが好ましく、特許文献1の構成に比較して広い間隔が必要になるからであると思われる。
【0025】
逆に距離Tが300μmを超えると、駆動力伝達部材64の当接面64aから摩耗粉飛散防止用筐体1までの距離が離れすぎるため、飛散した摩耗粉をその周囲にまき散らし、使用環境を汚染し、ステージ63のガイド部材62等に噛み込むと、ステージ63の移動精度に悪影響を与えるからである。さらに、距離Tは、10〜100μmとすることがより好ましい。
【0026】
尚、この摩耗粉飛散防止用筐体1の材質は超音波モータ500の振動と共振しないアルミニウム合金やステンレス合金等の金属もしくはアルミナやジルコニア等のセラミックスが好ましい。
【0027】
また、摩耗粉飛散防止用筐体1の摩耗粉収集溝2a、2bの深さと幅はそれぞれ、1〜5mmの範囲に設定することが好ましい。即ち、深さ及び幅が1mm未満もしくは5mmを超えると、摩耗粉収集溝2a、2bに摩耗粉を捕獲する効率が低下するからである。この範囲外になると、摩耗粉の乱反射が起きなくなり、隙間からの排出量が増加する傾向がある。また、摩耗粉収集溝2a、2bが片側に1個しかないと摩耗粉の捕獲効率が悪く、片側に2個以上の摩耗粉収集溝を設けることが好ましい。
【0028】
このように、本発明は、駆動力伝達部材64の表面(当接面)とそれと対向する摩耗粉飛散防止筐体1の対向面の間隔を、摩耗粉が当接面と対向面の間で反射を繰り返しながら運動するように設定し、摩耗粉を摩耗粉収集溝2a、2bの内壁で乱反射させることにより摩耗粉収集溝2a、2b内に閉じ込めて捕獲するものである。
【0029】
したがって、本発明では、摩耗粉収集溝2a、2b内に捕獲した磨耗粉を溝外部に放出しないように、例えば、図4に示すように、摩耗粉収集溝2a、2bの開口幅を、溝内部の最大幅より狭くすることが好ましい。このようにすると、溝の側壁と対向面とのなす角度が鋭角になり摩耗粉収集溝2a、2b内に捕獲された磨耗粉が溝外部に放出されにくくできる。尚、図4に示すように、摩耗粉収集溝2a、2bの底面における幅を最大幅としておくと、溝の側壁で反射した磨耗粉が溝の内部に向けて反射される確率が高くなり、より効果的に、捕獲した磨耗粉が溝外部に放出されないようにできる。
【0030】
また、本実施の形態の案内装置では、摩耗粉飛散防止カバー5を設けてより確実に磨耗粉の外部への飛散を防止している。すなわち、本実施の形態において、摩耗粉飛散防止筐体1は駆動力伝達部材64の当接面との間にわずかな隙間があるため、摩耗粉収集溝2a、2bを配置しても完全には摩耗粉の排出を止めることはできない。そこで駆動力伝達部材64に摩耗粉飛散防止筐体1を囲う摩耗粉飛散防止カバー5を取り付けている。
【0031】
この摩耗粉飛散防止カバー5は、駆動力伝達部材64との間に隙間ができないように取り付けるとともに、ベース3上の静電吸着シート4a、4bに対しては10〜500μmの隙間を設けて接触しないようにしている。このように取り付けた摩耗粉飛散防止カバー5は、ステージ63と一緒に移動し、摩耗粉飛散防止筐体1より飛び出した摩耗粉を摩耗粉飛散防止カバー5の上面内側及び側面内側で受け止めてベース3に落下させ、ベース3上に設けられた後述する静電吸着シート4a、4bに吸着させ、落下した摩耗粉が直接周囲に飛散することを防止している。
尚、この摩耗粉飛散防止カバー5の材質は超音波モータ500の振動と共振しないアルミニウム合金やステンレス合金等の金属もしくはアルミナやジルコニア等のセラミックスが好ましい。
【0032】
さらに本実施の形態の案内装置では、図3A、図3Bに示すような、静電吸着シート4a、4bを備えている。なお、図3Aは上面図、図3Bは図3AのB−B線についての断面図である。本実施の形態の案内装置では、図3Aに示すようにステージ63が超音波モータに対して右側に移動させると摩耗粉飛散防止カバー5が一緒に移動するためベース3の表面が露出する。また、反対に左側に移動してもベース3aが露出する。したがって、このベース3の表面が露出すると、静電吸着シート4a、4bが無い場合には、ステージ63が移動する時の振動によってベース3上に付着した摩耗粉が再度浮遊して周囲を汚染する。また、露出しない場合であっても、摩耗粉飛散防止カバー5とベース3の隙間からもわずかに摩耗粉が排出される。
【0033】
そこで、本実施の形態の案内装置では、摩耗粉の浮遊及び排出を完全に防止するために静電吸着シート4a、4bを設けている。本実施の形態において、この静電吸着シート4a、4bは、2つの櫛歯状のアルミ製電極を互い違いになるように配置し、例えば、50μmのポリイミド樹脂で挟み込んだ構造となっている。以上の構造で、2つの櫛歯状のアルミ製電極間に−1kVから−5kVの電圧を印加して表面に静電気を発生させて摩耗粉を吸着させる。例えば、アルミ製電極の一方には−1kVから−5kVの電圧を印加するとともに、もう一方はアースに接地する。このような静電吸着シート4a、4bを設けることによって、ステージ63が移動しても周囲への飛散量を大幅に低減することができる。尚、本発明において、静電吸着シート4a、4bの構造は、かかる構造に限定されるものではなく、磨耗粉を吸着できるものであればよい。
【0034】
以上、本実施形態では、可動体が直線運動する案内装置を例にとって説明したが、可動体が回転運動する案内装置にも適用できることは言う迄もなく、さらに、可動体を駆動させる超音波モータについても、多重モード型のものに限らず、単一振動モードの定在波型や進行波、複数振動モードのモード変換型、複合振動型の超音波モータであっても構わない。
このように、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々改良や変更したものにも適用できることはいう迄もない。
【実施例】
【0035】
以下、本発明に係る実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例では、図2の摩耗粉飛散防止筐体1及び摩耗粉飛散防止カバー5と静電吸着シート4a、4bを備えた図1に示す本発明の案内装置と、図8の摩耗粉飛散防止筐体を備えていない従来の案内装置を用意し、各案内装置のステージ63を10時間移動させた後のステージ63の上面部に付着する摩耗粉の付着量について比較した。
本実施例及び従来例において、実験に使用する案内装置の仕様は以下のようにした。
案内装置を構成するガイド部材62には、ストロークが100mmのクロスローラガイドを用い、上記ガイド部材62によって5kgの重さを有するステージ63を移動させるようにした。また、ステージ63の一方の側面にはアルミナセラミック製の駆動力伝達部材64を配置し、超音波モータ51との当接面64aの表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で0.05μmとした。
【0036】
一方、ステージ63の駆動源である超音波モータ51は、振動体55を、長さ30mm、幅7.5mm、厚み3mmの直方体をしたチタン酸ジルコン酸鉛系の圧電セラミック体52により形成し、振動体55の端面に、長さ4.2mm、直径3mmの円柱状をしたアルミナセラミック製の摩擦部材56を接合したものを用いた。なお、摩擦部材56の駆動
力伝達部材64との当接面は、曲率半径が7mmの球面とした。
【0037】
また、本発明の案内装置に用いる静電吸着シート4a、4bへの印加電圧は−2kVとした。尚、摩耗粉飛散防止筐体1のみ(データ1)と摩耗粉飛散防止筐体1と摩耗粉飛散防止カバー5の場合(データ2)及び、摩耗粉飛散防止筐体1と摩耗粉飛散防止カバー5と静電吸着シート4a、4bへの電圧印加を行った場合(データ3)の3種類の実験を行った。
【0038】
実験にあたっては、制御部18に予め設定しておくステージ63の移動プロファイルとして、移動距離100mm、加減速度0.03G、最高速度100mm/secに設定した台形制御とし、超音波モータ51を40kHzの駆動周波数で駆動させるようにした。
そして、ステージ63上に摩耗粉測定用の試料(100mm×100mm)をセットし、上記条件にてステージ63を10時間駆動させ、走行試験後に摩耗粉測定用の試料面に付着した粒径1μm以上の摩耗粉の量をステージ上にセットした光学顕微鏡(倍率2000倍)で検出した。その結果を図5に示す。
【0039】
上記実験方法に基づいて行った実験結果では、図5に示すように摩耗粉飛散防止筐体1及び摩耗粉飛散防止カバー5を持たない従来の案内装置では、摩耗粉の付着量が100個と多かったのに対し、図2に示す摩耗粉飛散防止筐体1のみを有する本発明の案内装置では、摩耗粉の付着量が30個であった。また、摩耗粉飛散防止筐体1と摩耗粉飛散防止カバー5を有する場合には10個に低減した。さらに静電吸着シート4a、4bに電圧を印加することによって摩耗粉の付着量は2個にまで軽減した。よって、本発明の案内装置は摩耗粉の飛散を大幅に減少させることができる。
【0040】
(実施例2)
実施例1に用いた、摩耗粉飛散防止筐体1のみの案内装置を用い、摩耗粉飛散防止筐体1の対向面と駆動力伝達部材64との当接面との距離を5、10、50、100、200、300、400μmに変えて実験を行った。尚、摩耗粉飛散防止筐体1の摩耗粉収集溝2は、前記溝幅及び深さを2mmとした。また、前記溝はそれぞれ、その長手方向が前記可動体の移動方向に直角に2つ配置するとともに、2つの前記溝が互いに平行になるように配置した。
【0041】
ここで、ステージ63の移動プロファイル、摩耗粉の量の検出方法は、実施例1と同様にして行った。その結果を図6に示す。
図6に示すように摩耗粉飛散防止筐体1の対向面と駆動力伝達部材64との当接面との距離を10〜300μmの間に設定すると摩耗粉の付着量は30個以下になるが、300μmを超えると摩耗粉の付着量は増大してカバーの効果が低くなる。また、10μm未満になると、摩耗粉が摩耗粉飛散防止筐体1の対向面と駆動力伝達部材64との当接面に噛み込んでステージ63が動作しなくなる。
【0042】
(実施例3)
さらに、実施例1に用いた、摩耗粉飛散防止筐体1のみの案内装置を用い、摩耗粉飛散防止筐体1の摩耗粉収集溝2は、前記溝幅及び深さをそれぞれ0.5、1、2、3、4、5、6、7mmに変えて実験を行った。また、前記溝はそれぞれ、その長手方向が前記可動体の移動方向に直角に2本配置するとともに、2つの前記溝が互いに平行になるように配置した。尚、摩耗粉飛散防止筐体1の対向面と駆動力伝達部材64との当接面との距離は上記実験で摩耗粉飛散の少ない200μmとした。
ここで、ステージ63の移動プロファイル、摩耗粉の量の検出方法は、実施例1と同様にして行った。その結果を図7に示す。
【0043】
図7に示すように溝幅及び溝深さを1〜5mmに設定すると摩耗粉の付着量は30個以下になるが、1mm未満もしくは5mmを超えると溝の効果が低くなり、摩耗粉の付着量は増大する。尚、この溝の開講幅を、内部の最大幅より狭くすると摩耗粉の収集効果はあるが、逆に内部の最大幅より広くすると摩耗粉が乱反射せずに外部に流出し、摩耗粉の付着量が増大する。
【0044】
(実施例4)
さらに、実施例1に用いた、摩耗粉飛散防止筐体1のみの案内装置を用い、摩耗粉飛散防止筐体1の摩耗粉収集溝2は、前記溝本数を1,2,3本に変えて実験を行った。また、前記溝本数を2本で前記溝の長手方向が前記可動体の移動方向に対して0、60、70、80、90、100、110、120度になるように角度を変えて実験を行った。尚、前記溝は互いに平行になるように配置するとともに、摩耗粉飛散防止筐体1の対向面と駆動力伝達部材64との当接面との距離は上記実験で摩耗粉飛散の少ない200μmとした。
ここで、ステージ63の移動プロファイル、摩耗粉の量の検出方法は、実施例1と同様にして行った。その結果を表1に示す。
【0045】
表1
【0046】
表1に示すように、摩耗粉収集溝2a、2bが、2本以上あると摩耗粉の飛散速度が減衰するため摩耗粉の付着量は30個以下となるが、摩耗粉収集溝2a、2bが片側に1本しかないと摩耗粉の飛散速度がほとんど減衰しないため、摩耗粉が摩耗粉収集溝2a、2bから飛び出して摩耗粉の付着量が増大する。
さらに、前記溝の長手方向が前記可動体の移動方向に対する角度が90°±20°の範囲内であれば摩耗粉の付着量は30個以下となるが、逆に90°±20°の範囲内を超えると摩耗粉の乱反射が起きにくくなり、摩耗粉の付着量が増大する。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る案内装置は、直線運動や回転運動する可動体を超音波モータにて駆動させる案内装置に関するものであり、特に精密加工機械、精密測定装置、半導体製造装置に用いられる大気中及び真空中で用いられる案内装置として好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る実施の形態に対する案内装置の構成を示す斜視図である。
【図2A】図1の案内装置におけるステージ部分と超音波モータ部の構成を示す平面図である。
【図2B】図2AのA−A線についての断面図である。
【図3A】図2Aにおいて、ステージを移動させたときの様子を示す平面図である。
【図3B】図3AのB−B線についての断面図である。
【図4】本実施の形態における摩耗粉収集溝のより好ましい形態を示す部分断面図である。
【図5】本発明に係る実施例1の案内装置における摩耗粉収集効果を示すグラフである。
【図6】本発明に係る実施例2の案内装置における摩耗粉収集効果を示すグラフである。
【図7】本発明に係る実施例3の案内装置における摩耗粉収集効果を示すグラフである。
【図8】従来例に係る案内装置の構成を示す斜視図である。
【図9】超音波モータの構成を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0049】
1:摩耗粉飛散防止用筐体、
2a、2b:摩耗粉収集溝、
3:ベース、
4a、4b:静電吸着シート、
5:摩耗粉飛散防止カバー、
56:摩擦部材、
61:ベース盤、
62:ガイド部材、
63:ステージ、
64:駆動力伝達部材、
64a:当接面、
65:リニアスケール、
66:測定ヘッド、
67:位置検出手段、
68:制御部、
69:ドライバー、
500:超音波モータ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波モータの摩擦駆動により直線運動や回転運動を行う可動体を駆動させる案内装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波モータは、最小振幅がナノメートルオーダーと小さく、高分解能の位置決めが可能であり、しかも同サイズの他の電磁モータと比較して駆動力が大きいといった特徴を有している。かかる特徴を生かし、これまでカメラのレンズズーム機構や腕時計のバイブレーションアラームなど主として回転運動系において実用化されているが、最近では直線運動系への適用もなされている。
【0003】
図8に、特許文献1に開示された、超音波モータを可動体の駆動源とした従来の案内装置の一例を示す。この案内装置は、図8に示すように、ベース盤61上にクロスローラガイドのような一対のガイド部材62を介して可動体であるステージ63が設けられ、そのステージ63を超音波モータで直線的に案内するようになっている。
【0004】
この従来の案内装置において、ステージ63の一方の側面には、ガイド部材62に平行に駆動力伝達部材64が設けられ、ステージ63の他方の側面には、駆動力伝達部材64と平行にリニアスケール65が設置されている。また、リニアスケール65と対向する位置には測定ヘッド66を設けて位置検出手段67を構成するとともに、駆動力伝達部材64と対向する位置には一つの超音波モータ500を設けて、超音波モータの摩擦部材56を上記駆動力伝達部材64の当接面64aに対して垂直に当接させてある。
【0005】
なお、図中、57は超音波モータを収容する筐体、68は位置検出手段67より得られた位置情報を基にステージ63の駆動条件を制御する制御部、69は制御部68から出力された信号を基に超音波モータを駆動させるための指令信号を出力するドライバーである。
【0006】
図9は、この案内装置に用いる筐体57内に収容されてなる超音波モータの断面を示している。超音波モータ500は、筐体内に4つのスプリング58で保持された振動体55を有してなる。この振動体55は、圧電セラミック板52と、その圧電セラミック板52の一方の主面に形成された電極膜53a,53b,53c,53dと、圧電セラミック板52の他方の主面ほぼ全面に形成された共通電極膜(不図示)とによって構成されている。尚、圧電セラミック板52の一方の主面に形成された、4分割された電極膜53a,53b,53c,53dは、対角に位置する電極膜53aと電極膜53dが結線され、他の対角に位置する電極膜53bと電極膜53cが結線される。また、この振動体55の一方端面にはセラミックスやガラスからなる摩擦部材56が設けられている。
【0007】
以上のように構成された超音波モータにおいて、共通電極膜をアースするとともに、電極膜53bと電極膜53dにそれぞれ位相を異ならせた電圧を印加すると、圧電セラミック板52に縦振動と横振動が生じ、これらの振動の合力によって摩擦部材56が楕円運動する。
【0008】
また、超音波モータ500は、筐体57内においてその両側面をスプリング58により保持されているが、摩擦部材が設けられている側とは反対側の端面にはスプリング59が設けられており、そのスプリング59によって押圧されて振動体55をステージ63に設けられた駆動力伝達部材64に押し付けて予圧を与えるようになっている。
【0009】
特許文献1に開示された案内装置は、以上のような構成になっており、超音波モータ500を駆動すると、その摩擦部材56の摩擦駆動によってステージ63をガイド部材62に沿って移動させることができ、ステージ63の移動に伴う位置検出手段67からの位置情報と、予め設定してあるステージ63の基準位置情報との偏差に応じて変化するパラメータを基に制御部68にて例えばPID演算処理を行ってドライバー69に超音波モータ51への指令信号を出力するフィードバック制御を行うことにより、ステージ63を移動、位置決めするようになっていた。
【0010】
ところが、超音波モータ500の摩擦部材56やステージ63の駆動力伝達部材64は互いに摩耗し、その摩耗粉が駆動力伝達部材64の当接面64aに付着するという問題がある。この付着量が多くなると摩擦部材56の振動によって摩耗粉が周囲に飛散したり、ベース盤61に堆積した摩耗粉がステージ63の移動時の振動によって周囲に飛散したりするため、周囲の雰囲気を汚染するといった課題があった。特に半導体製造装置のようにウエハ上に粉塵の付着量が制限されている装置では大きな問題となる。
【0011】
そこで、特許文献1には、上記問題を解決するために、摩耗粉飛散防止筐体に圧縮気体の噴射孔と排気溝を有する摩耗粉除去パッドを設けることが開示されている。
【特許文献1】特開2003−251541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に開示された方式では、圧縮気体を使用するため真空中で使用するためには圧縮空気が真空中に漏れないように差動排気を行う必要があるために真空排気系が追加で必要となること、摩耗粉除去パッドが非常に大きくなることと、また差動排気用の配管を引き回すためにステージの位置決め精度が悪化するといった課題があった。
【0013】
そこで、本発明は、圧縮気体を用いることなく簡単な構造で磨耗粉の除去が可能な案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の目的を達成するために、本発明に係る案内装置は、楕円運動する振動体と、該振動体の楕円運動を伝達するための摩擦部材とを有する超音波モータと、前記摩擦部材に当接する当接面を有し、前記摩擦部材と前記当接面との摩擦駆動により移動可能に設けられた可動体と、前記当接面に対向する対向面を前記超音波モータの両側に有してなり、前記超音波モータを覆う摩耗粉飛散防止用筐体とを含む案内装置において、
前記対向面にそれぞれ複数の溝を形成し、前記当接面と前記対向面の間隔及び前記溝の形状を、前記可動体の移動に伴って前記溝に摩耗粉が捕獲されるように設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上の本発明に係る案内装置は、前記対向面に複数の溝を形成し、前記当接面と前記対向面の間隔及び前記溝の形状を、前記可動体の移動に伴って前記溝に摩耗粉が捕獲されるように設定しているので、圧縮気体を用いることなく簡単な構造で磨耗粉の除去が可能な案内装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、実施の形態の図において、従来例と同一部分については同一符号で示している。
【0017】
図1は、本発明に係る実施の形態の案内装置であって、超音波モータを可動体の駆動源としている。また、図2Aは図1の案内装置におけるステージ63と超音波モータ部分とを示す平面図であって、本発明の案内装置における摩耗粉除去手段の構成がわかるように、摩耗粉飛散防止カバー5の上面を取り除いて示している。また、図2Bは、図2AのA−A線についての断面図である。尚、図2Aにおいて、超音波モータ部分は断面図で示している。
【0018】
この実施の形態の案内装置は、図1等に示すように、従来例と同様、ベース盤61上にクロスローラガイドの如き一対のガイド部材62を備え、これらガイド部材62によって可動体としてのステージ63を直線的に往復運動可能に案内するようになっている。
また、ステージ63はその一方の側面にガイド部材62に対して平行に取り付けた駆動力伝達部材64を、ステ―ジ63の他方の側面には、上記駆動力伝達部材64と平行にリニアスケール65をそれぞれ有している。そして、そのリニアスケール65と対向する位置には測定ヘッド66を設けて位置検出手段67を構成するとともに、上記駆動力伝達部材64と対向する位置には一つの超音波モータ(不図示)を配置し、超音波モータ500の摩擦部材56を上記駆動力伝達部材64の当接面に対して垂直に当接させてある。
【0019】
なお、図中、68は位置検出手段67より得られた位置情報を基にステージ63の駆動条件を制御する制御部、69は上記制御部68から出力された信号を基に超音波モータを駆動させるための指令信号を出力するドライバーであり、5は超音波モータ500より発生する摩耗粉の飛散を防止する摩耗粉飛散防止用筐体1を収容する摩耗粉飛散防止カバーである。また、3は摩耗粉を吸着する静電吸着シートを固定するベースである。
また、図1に示す超音波モータの構造及び超音波モータの取り付け構造は、図8及び図9に示したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0020】
以下、本発明の特徴的な部分である摩耗粉飛散防止機構の詳細について図2A、図2Bを参照しながら説明する。
まず、本実施の形態の案内装置において、図3A等に示す摩耗粉飛散防止用筐体1は、超音波モータ500を覆っており、駆動力伝達部材64と超音波モータ500の間にある摩耗粉を周囲に飛散させないようにしている。
【0021】
ここで特に、本実施の形態では、摩耗粉飛散防止用筐体1は、駆動力伝達部材64に対向する対向面における超音波モータ500の両側に摩耗粉収集溝2a、2bを有していて、その対向面と駆動力伝達部材64の当接面との間隔及び摩耗粉収集溝2a、2bの形状を、ステージ(可動体)の移動に伴って摩耗粉収集溝2a、2bに摩耗粉が捕獲されるように設定して、摩耗粉の飛散を効果的に防止している。
【0022】
すなわち、本発明は、
(1)摩耗粉飛散防止用筐体1の対向面と駆動力伝達部材64の当接面との間隔と、
(2)超音波モータ500の両側に設けた摩耗粉収集溝2a、2bの形状を、
適切な範囲に設定すると、
ステージ(可動体)の移動による、摩耗粉飛散防止用筐体1の対向面と駆動力伝達部材64の当接面との相対的な運動により、
圧縮空気や吸引機構を用いることなく、摩耗粉収集溝2a、2bに摩耗粉を効果的に捕獲できることを見出して完成させたものである。
前記摩耗粉収集溝2a、2bは、その長手方向が前記可動体の移動方向に略直交することが好ましい。
これは、可動体が移動によって描く軌跡と溝2a、2bの成す角度が90°であれば、摩耗粉の長手方向に飛散してきた摩耗粉が摩耗粉収集溝2a、2bで乱反射を起こすため、摩耗粉収集効果が十分に発生する。
なお、ここで、摩耗粉収集溝2a、2bの移動方向が略直交とは、可動体が移動によって描く軌跡と溝2a、2bの成す角度が90°±20°の範囲を示す。さらに、上記角度は、90°±2°とすることがより好ましい。
さらに、摩耗粉収集溝2a、2bは、互いに平行であることが好ましい。これは、摩耗粉収集溝2a、2bが片側に1個しかないと摩耗粉の飛散速度がほとんど減衰しないため、摩耗粉が摩耗粉収集溝2a、2bから飛び出してしまうが、2個以上かつ平行であれば2回の摩耗粉の乱反射によって摩耗粉の飛散速度が減衰するため、摩耗粉収集効果が十分に発生する。
【0023】
本発明において、摩耗粉収集溝2a、2bに摩耗粉をより効果的に捕獲するためには、駆動力伝達部材64の表面(当接面)とそれに対向する摩耗粉飛散防止用筐体1の対向面の距離Tは、10〜300μmとすることが好ましい。この点、当該距離を0.5〜10μmの範囲に設定している特許文献1の構成とは顕著に異なっている。
【0024】
これは、本発明に係る構成において、両者の距離Tが10μm未満であると、圧縮空気や吸引機構を用いていない本発明に係る構成では摩耗粉が駆動力伝達部材64の当接面と摩耗粉飛散防止用筐体1との隙間に噛み込み易くなるからである。すなわち、本発明は、ステージ(可動体)の移動に伴う摩耗粉飛散防止用筐体1の対向面と駆動力伝達部材64の当接面との相対的な運動により、摩耗粉収集溝2a、2bに摩耗粉を捕獲するものであるから、摩耗粉飛散防止用筐体1の対向面と駆動力伝達部材64の当接面の間で磨耗粉が3次元的に運動していることが好ましく、特許文献1の構成に比較して広い間隔が必要になるからであると思われる。
【0025】
逆に距離Tが300μmを超えると、駆動力伝達部材64の当接面64aから摩耗粉飛散防止用筐体1までの距離が離れすぎるため、飛散した摩耗粉をその周囲にまき散らし、使用環境を汚染し、ステージ63のガイド部材62等に噛み込むと、ステージ63の移動精度に悪影響を与えるからである。さらに、距離Tは、10〜100μmとすることがより好ましい。
【0026】
尚、この摩耗粉飛散防止用筐体1の材質は超音波モータ500の振動と共振しないアルミニウム合金やステンレス合金等の金属もしくはアルミナやジルコニア等のセラミックスが好ましい。
【0027】
また、摩耗粉飛散防止用筐体1の摩耗粉収集溝2a、2bの深さと幅はそれぞれ、1〜5mmの範囲に設定することが好ましい。即ち、深さ及び幅が1mm未満もしくは5mmを超えると、摩耗粉収集溝2a、2bに摩耗粉を捕獲する効率が低下するからである。この範囲外になると、摩耗粉の乱反射が起きなくなり、隙間からの排出量が増加する傾向がある。また、摩耗粉収集溝2a、2bが片側に1個しかないと摩耗粉の捕獲効率が悪く、片側に2個以上の摩耗粉収集溝を設けることが好ましい。
【0028】
このように、本発明は、駆動力伝達部材64の表面(当接面)とそれと対向する摩耗粉飛散防止筐体1の対向面の間隔を、摩耗粉が当接面と対向面の間で反射を繰り返しながら運動するように設定し、摩耗粉を摩耗粉収集溝2a、2bの内壁で乱反射させることにより摩耗粉収集溝2a、2b内に閉じ込めて捕獲するものである。
【0029】
したがって、本発明では、摩耗粉収集溝2a、2b内に捕獲した磨耗粉を溝外部に放出しないように、例えば、図4に示すように、摩耗粉収集溝2a、2bの開口幅を、溝内部の最大幅より狭くすることが好ましい。このようにすると、溝の側壁と対向面とのなす角度が鋭角になり摩耗粉収集溝2a、2b内に捕獲された磨耗粉が溝外部に放出されにくくできる。尚、図4に示すように、摩耗粉収集溝2a、2bの底面における幅を最大幅としておくと、溝の側壁で反射した磨耗粉が溝の内部に向けて反射される確率が高くなり、より効果的に、捕獲した磨耗粉が溝外部に放出されないようにできる。
【0030】
また、本実施の形態の案内装置では、摩耗粉飛散防止カバー5を設けてより確実に磨耗粉の外部への飛散を防止している。すなわち、本実施の形態において、摩耗粉飛散防止筐体1は駆動力伝達部材64の当接面との間にわずかな隙間があるため、摩耗粉収集溝2a、2bを配置しても完全には摩耗粉の排出を止めることはできない。そこで駆動力伝達部材64に摩耗粉飛散防止筐体1を囲う摩耗粉飛散防止カバー5を取り付けている。
【0031】
この摩耗粉飛散防止カバー5は、駆動力伝達部材64との間に隙間ができないように取り付けるとともに、ベース3上の静電吸着シート4a、4bに対しては10〜500μmの隙間を設けて接触しないようにしている。このように取り付けた摩耗粉飛散防止カバー5は、ステージ63と一緒に移動し、摩耗粉飛散防止筐体1より飛び出した摩耗粉を摩耗粉飛散防止カバー5の上面内側及び側面内側で受け止めてベース3に落下させ、ベース3上に設けられた後述する静電吸着シート4a、4bに吸着させ、落下した摩耗粉が直接周囲に飛散することを防止している。
尚、この摩耗粉飛散防止カバー5の材質は超音波モータ500の振動と共振しないアルミニウム合金やステンレス合金等の金属もしくはアルミナやジルコニア等のセラミックスが好ましい。
【0032】
さらに本実施の形態の案内装置では、図3A、図3Bに示すような、静電吸着シート4a、4bを備えている。なお、図3Aは上面図、図3Bは図3AのB−B線についての断面図である。本実施の形態の案内装置では、図3Aに示すようにステージ63が超音波モータに対して右側に移動させると摩耗粉飛散防止カバー5が一緒に移動するためベース3の表面が露出する。また、反対に左側に移動してもベース3aが露出する。したがって、このベース3の表面が露出すると、静電吸着シート4a、4bが無い場合には、ステージ63が移動する時の振動によってベース3上に付着した摩耗粉が再度浮遊して周囲を汚染する。また、露出しない場合であっても、摩耗粉飛散防止カバー5とベース3の隙間からもわずかに摩耗粉が排出される。
【0033】
そこで、本実施の形態の案内装置では、摩耗粉の浮遊及び排出を完全に防止するために静電吸着シート4a、4bを設けている。本実施の形態において、この静電吸着シート4a、4bは、2つの櫛歯状のアルミ製電極を互い違いになるように配置し、例えば、50μmのポリイミド樹脂で挟み込んだ構造となっている。以上の構造で、2つの櫛歯状のアルミ製電極間に−1kVから−5kVの電圧を印加して表面に静電気を発生させて摩耗粉を吸着させる。例えば、アルミ製電極の一方には−1kVから−5kVの電圧を印加するとともに、もう一方はアースに接地する。このような静電吸着シート4a、4bを設けることによって、ステージ63が移動しても周囲への飛散量を大幅に低減することができる。尚、本発明において、静電吸着シート4a、4bの構造は、かかる構造に限定されるものではなく、磨耗粉を吸着できるものであればよい。
【0034】
以上、本実施形態では、可動体が直線運動する案内装置を例にとって説明したが、可動体が回転運動する案内装置にも適用できることは言う迄もなく、さらに、可動体を駆動させる超音波モータについても、多重モード型のものに限らず、単一振動モードの定在波型や進行波、複数振動モードのモード変換型、複合振動型の超音波モータであっても構わない。
このように、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々改良や変更したものにも適用できることはいう迄もない。
【実施例】
【0035】
以下、本発明に係る実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例では、図2の摩耗粉飛散防止筐体1及び摩耗粉飛散防止カバー5と静電吸着シート4a、4bを備えた図1に示す本発明の案内装置と、図8の摩耗粉飛散防止筐体を備えていない従来の案内装置を用意し、各案内装置のステージ63を10時間移動させた後のステージ63の上面部に付着する摩耗粉の付着量について比較した。
本実施例及び従来例において、実験に使用する案内装置の仕様は以下のようにした。
案内装置を構成するガイド部材62には、ストロークが100mmのクロスローラガイドを用い、上記ガイド部材62によって5kgの重さを有するステージ63を移動させるようにした。また、ステージ63の一方の側面にはアルミナセラミック製の駆動力伝達部材64を配置し、超音波モータ51との当接面64aの表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で0.05μmとした。
【0036】
一方、ステージ63の駆動源である超音波モータ51は、振動体55を、長さ30mm、幅7.5mm、厚み3mmの直方体をしたチタン酸ジルコン酸鉛系の圧電セラミック体52により形成し、振動体55の端面に、長さ4.2mm、直径3mmの円柱状をしたアルミナセラミック製の摩擦部材56を接合したものを用いた。なお、摩擦部材56の駆動
力伝達部材64との当接面は、曲率半径が7mmの球面とした。
【0037】
また、本発明の案内装置に用いる静電吸着シート4a、4bへの印加電圧は−2kVとした。尚、摩耗粉飛散防止筐体1のみ(データ1)と摩耗粉飛散防止筐体1と摩耗粉飛散防止カバー5の場合(データ2)及び、摩耗粉飛散防止筐体1と摩耗粉飛散防止カバー5と静電吸着シート4a、4bへの電圧印加を行った場合(データ3)の3種類の実験を行った。
【0038】
実験にあたっては、制御部18に予め設定しておくステージ63の移動プロファイルとして、移動距離100mm、加減速度0.03G、最高速度100mm/secに設定した台形制御とし、超音波モータ51を40kHzの駆動周波数で駆動させるようにした。
そして、ステージ63上に摩耗粉測定用の試料(100mm×100mm)をセットし、上記条件にてステージ63を10時間駆動させ、走行試験後に摩耗粉測定用の試料面に付着した粒径1μm以上の摩耗粉の量をステージ上にセットした光学顕微鏡(倍率2000倍)で検出した。その結果を図5に示す。
【0039】
上記実験方法に基づいて行った実験結果では、図5に示すように摩耗粉飛散防止筐体1及び摩耗粉飛散防止カバー5を持たない従来の案内装置では、摩耗粉の付着量が100個と多かったのに対し、図2に示す摩耗粉飛散防止筐体1のみを有する本発明の案内装置では、摩耗粉の付着量が30個であった。また、摩耗粉飛散防止筐体1と摩耗粉飛散防止カバー5を有する場合には10個に低減した。さらに静電吸着シート4a、4bに電圧を印加することによって摩耗粉の付着量は2個にまで軽減した。よって、本発明の案内装置は摩耗粉の飛散を大幅に減少させることができる。
【0040】
(実施例2)
実施例1に用いた、摩耗粉飛散防止筐体1のみの案内装置を用い、摩耗粉飛散防止筐体1の対向面と駆動力伝達部材64との当接面との距離を5、10、50、100、200、300、400μmに変えて実験を行った。尚、摩耗粉飛散防止筐体1の摩耗粉収集溝2は、前記溝幅及び深さを2mmとした。また、前記溝はそれぞれ、その長手方向が前記可動体の移動方向に直角に2つ配置するとともに、2つの前記溝が互いに平行になるように配置した。
【0041】
ここで、ステージ63の移動プロファイル、摩耗粉の量の検出方法は、実施例1と同様にして行った。その結果を図6に示す。
図6に示すように摩耗粉飛散防止筐体1の対向面と駆動力伝達部材64との当接面との距離を10〜300μmの間に設定すると摩耗粉の付着量は30個以下になるが、300μmを超えると摩耗粉の付着量は増大してカバーの効果が低くなる。また、10μm未満になると、摩耗粉が摩耗粉飛散防止筐体1の対向面と駆動力伝達部材64との当接面に噛み込んでステージ63が動作しなくなる。
【0042】
(実施例3)
さらに、実施例1に用いた、摩耗粉飛散防止筐体1のみの案内装置を用い、摩耗粉飛散防止筐体1の摩耗粉収集溝2は、前記溝幅及び深さをそれぞれ0.5、1、2、3、4、5、6、7mmに変えて実験を行った。また、前記溝はそれぞれ、その長手方向が前記可動体の移動方向に直角に2本配置するとともに、2つの前記溝が互いに平行になるように配置した。尚、摩耗粉飛散防止筐体1の対向面と駆動力伝達部材64との当接面との距離は上記実験で摩耗粉飛散の少ない200μmとした。
ここで、ステージ63の移動プロファイル、摩耗粉の量の検出方法は、実施例1と同様にして行った。その結果を図7に示す。
【0043】
図7に示すように溝幅及び溝深さを1〜5mmに設定すると摩耗粉の付着量は30個以下になるが、1mm未満もしくは5mmを超えると溝の効果が低くなり、摩耗粉の付着量は増大する。尚、この溝の開講幅を、内部の最大幅より狭くすると摩耗粉の収集効果はあるが、逆に内部の最大幅より広くすると摩耗粉が乱反射せずに外部に流出し、摩耗粉の付着量が増大する。
【0044】
(実施例4)
さらに、実施例1に用いた、摩耗粉飛散防止筐体1のみの案内装置を用い、摩耗粉飛散防止筐体1の摩耗粉収集溝2は、前記溝本数を1,2,3本に変えて実験を行った。また、前記溝本数を2本で前記溝の長手方向が前記可動体の移動方向に対して0、60、70、80、90、100、110、120度になるように角度を変えて実験を行った。尚、前記溝は互いに平行になるように配置するとともに、摩耗粉飛散防止筐体1の対向面と駆動力伝達部材64との当接面との距離は上記実験で摩耗粉飛散の少ない200μmとした。
ここで、ステージ63の移動プロファイル、摩耗粉の量の検出方法は、実施例1と同様にして行った。その結果を表1に示す。
【0045】
表1
【0046】
表1に示すように、摩耗粉収集溝2a、2bが、2本以上あると摩耗粉の飛散速度が減衰するため摩耗粉の付着量は30個以下となるが、摩耗粉収集溝2a、2bが片側に1本しかないと摩耗粉の飛散速度がほとんど減衰しないため、摩耗粉が摩耗粉収集溝2a、2bから飛び出して摩耗粉の付着量が増大する。
さらに、前記溝の長手方向が前記可動体の移動方向に対する角度が90°±20°の範囲内であれば摩耗粉の付着量は30個以下となるが、逆に90°±20°の範囲内を超えると摩耗粉の乱反射が起きにくくなり、摩耗粉の付着量が増大する。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る案内装置は、直線運動や回転運動する可動体を超音波モータにて駆動させる案内装置に関するものであり、特に精密加工機械、精密測定装置、半導体製造装置に用いられる大気中及び真空中で用いられる案内装置として好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る実施の形態に対する案内装置の構成を示す斜視図である。
【図2A】図1の案内装置におけるステージ部分と超音波モータ部の構成を示す平面図である。
【図2B】図2AのA−A線についての断面図である。
【図3A】図2Aにおいて、ステージを移動させたときの様子を示す平面図である。
【図3B】図3AのB−B線についての断面図である。
【図4】本実施の形態における摩耗粉収集溝のより好ましい形態を示す部分断面図である。
【図5】本発明に係る実施例1の案内装置における摩耗粉収集効果を示すグラフである。
【図6】本発明に係る実施例2の案内装置における摩耗粉収集効果を示すグラフである。
【図7】本発明に係る実施例3の案内装置における摩耗粉収集効果を示すグラフである。
【図8】従来例に係る案内装置の構成を示す斜視図である。
【図9】超音波モータの構成を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0049】
1:摩耗粉飛散防止用筐体、
2a、2b:摩耗粉収集溝、
3:ベース、
4a、4b:静電吸着シート、
5:摩耗粉飛散防止カバー、
56:摩擦部材、
61:ベース盤、
62:ガイド部材、
63:ステージ、
64:駆動力伝達部材、
64a:当接面、
65:リニアスケール、
66:測定ヘッド、
67:位置検出手段、
68:制御部、
69:ドライバー、
500:超音波モータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楕円運動する振動体と、該振動体の楕円運動を伝達するための摩擦部材とを有する超音波モータと、
前記摩擦部材に当接する当接面を有し、前記摩擦部材と前記当接面との摩擦駆動により移動可能に設けられた可動体と、
前記当接面に対向する対向面を前記超音波モータの両側に有してなり、前記超音波モータを覆う摩耗粉飛散防止用筐体とを含む案内装置において、
前記対向面にそれぞれ複数の溝を形成し、前記当接面と前記対向面の間隔及び前記溝の形状を、前記可動体の移動に伴って前記溝に摩耗粉が捕獲されるように設定した案内装置。
【請求項2】
前記溝はそれぞれ、その長手方向が前記可動体の移動方向に略直交する請求項1記載の案内装置。
【請求項3】
前記各対向面において2以上形成された溝は、互いに平行である請求項1または2に記載の案内装置。
【請求項4】
前記摩耗粉飛散防止用筐体を覆う摩耗粉飛散防止カバーをさらに設けた請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の案内装置。
【請求項5】
前記摩耗粉飛散防止用筐体の下に、磨耗粉を吸着する吸着シートを設けた請求項4に記載の案内装置。
【請求項6】
前記当接面と前記対向面の間隔を10μm〜300μmの範囲に設定し、前記溝幅及び深さを1mm〜5mmの範囲に設定した請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の案内装置。
【請求項7】
前記溝の開口幅は、内部の最大幅より狭い請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の案内装置。
【請求項8】
前記溝の底面の幅が前記最大幅である請求項7に記載の案内装置。
【請求項1】
楕円運動する振動体と、該振動体の楕円運動を伝達するための摩擦部材とを有する超音波モータと、
前記摩擦部材に当接する当接面を有し、前記摩擦部材と前記当接面との摩擦駆動により移動可能に設けられた可動体と、
前記当接面に対向する対向面を前記超音波モータの両側に有してなり、前記超音波モータを覆う摩耗粉飛散防止用筐体とを含む案内装置において、
前記対向面にそれぞれ複数の溝を形成し、前記当接面と前記対向面の間隔及び前記溝の形状を、前記可動体の移動に伴って前記溝に摩耗粉が捕獲されるように設定した案内装置。
【請求項2】
前記溝はそれぞれ、その長手方向が前記可動体の移動方向に略直交する請求項1記載の案内装置。
【請求項3】
前記各対向面において2以上形成された溝は、互いに平行である請求項1または2に記載の案内装置。
【請求項4】
前記摩耗粉飛散防止用筐体を覆う摩耗粉飛散防止カバーをさらに設けた請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の案内装置。
【請求項5】
前記摩耗粉飛散防止用筐体の下に、磨耗粉を吸着する吸着シートを設けた請求項4に記載の案内装置。
【請求項6】
前記当接面と前記対向面の間隔を10μm〜300μmの範囲に設定し、前記溝幅及び深さを1mm〜5mmの範囲に設定した請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の案内装置。
【請求項7】
前記溝の開口幅は、内部の最大幅より狭い請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の案内装置。
【請求項8】
前記溝の底面の幅が前記最大幅である請求項7に記載の案内装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2006−272531(P2006−272531A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−98212(P2005−98212)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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