説明

検査装置

【課題】クリームはんだ印刷の3次元自動検査において検査領域の自動的な設定を実現する。
【解決手段】斜めの撮像角度で基板を撮像する1次元カラーイメージセンサカメラと、直上方向からからクリームはんだ上面を照明する第1色相光光源と、横方向からクリームはんだ側面を照明する第2色相光光源とが構成する3次元撮像幾何光学配置において、カメラのピクセル配置に直交する方向に素基板あるいははんだ印刷基板を移動することによって基板全面画像を獲得し、銅箔パッド領域あるいは基板面領域あるいはクリームはんだ印刷領域を、基板画像の画素値によって自動的に選択し、検査領域を自動的に設定することにより、誰でもクリームはんだ印刷基板の3次元画像検査ができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロニクス工場等において、1次元イメージセンサカメラによりクリームはんだ印刷基板を3次元撮像して外観検査を行う検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のプリント基板への部品組みつけ工法はほぼ表面実装方式になり、素基板にクリームはんだを謄写版式に印刷塗布し、その上に部品を自動マウントし、クリームはんだをリフロー炉で加熱溶融して、基板への部品のはんだ付を完了する。この方式における部品実装不良は、クリームはんだ印刷工程、部品マウント工程、はんだ溶融工程で発生し得るので、それぞれの工程において品質を検査・確認する必要性が一般的に認識されるようになった。
中でもクリームはんだ印刷工程における印刷不良は、はんだ付不良の最大の原因であるため、はんだ印刷品質を自動検査する検査装置が使用されるようになっている。従来のこの種検査装置は、大別、2次元検出方式と3次元計測方式とがあり、前者は基板に対して垂直方向から撮った平面画像で印刷の平面方向の不良を検出する。また後者は3次元計測により、印刷はんだの高さ計測を行う。
3次元計測法は、はんだに斜め方向からレーザ光を投射して高さによる反射スポットの位置変化量から算出する方法や、既知のパタンを持つ構造光を投光して、その変形量から算出する方法などが開示されている(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2000−097631
【特許文献2】特開2005−337943
【0003】
これらの原理による3次元計測方式の検査装置は、すべてのはんだ印刷箇所を計測領域として教示しなければならないので、基板設計データ(ガーバーデータ等)とはんだ印刷箇所である銅箔パッド(あるいはランド)の形状データ・ライブラリにより、計測領域データを作成していた。このデータは、基板の種類ごとに作成する必要があり、大量の予備的作業と検査機のオペレータに高度のスキルを要求するために、検査機普及の障害になっていた。
【0004】
一方、本出願人は、基準となるプリント基板の全面を撮像し、その画像をもとにして外観検査を行うことにより、従来の教示作業を必要としない実装検査技術を考案し、開示している(特許文献3、4参照)。これらの開示技術は、基板に対して垂直な向きで直上方向に設置した1次元イメージセンサカメラによりはんだ付後基板の検査を行うものであって、総じて2次元画像の差画像処理を行う技術であるため、クリームはんだの3次元検査はできなかった。
【特許文献3】特開2004−296564
【特許文献4】特開2004−354265
【0005】
そこで本出願人は、先に傾斜カメラと角度と色相の異なる2種の光源を備えたクリームはんだ3次元検査技術を考案し、出願している(未公開)。この技術はしかしながら、はんだ印刷箇所の教示を、従来と同様の方法で行う必要があり、誰でも使える検査機としての課題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、クリームはんだ3次元検査装置において、検査領域の教示に大量の予備的作業と高度のスキルが要求され、検査機普及の障害になっていた点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、傾斜姿勢の1次元カラーイメージセンサカメラが、第1色相光光源が直上方向から基板を照明し、かつ第2色相光光源が横方向から照明する基板を撮像して、クリームはんだ印刷基板の全面3次元画像を獲得し、基準基板画像と検体基板画像の差画像処理によって異常箇所を検出する検査装置において、獲得した素基板画像において、画像画素値に基づいて銅箔パッド画像領域を抽出し、検査領域を設定することを主要な特徴とする。
また本発明は、傾斜姿勢の1次元カラーイメージセンサカメラが、第1色相光光源が直上方向から基板を照明し、かつ第2色相光光源が横方向から照明する基板を撮像して、クリームはんだ印刷基板の全面3次元画像を獲得し、基準基板画像と検体基板画像の差画像処理によって異常箇所を検出する検査装置において、獲得したクリームはんだ印刷後の基準基板画像において、画像画素値に基づいてクリームはんだ印刷画像領域を選択し、検査領域を設定することを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の検査装置は、傾斜姿勢の1次元カラーイメージセンサカメラが、第1色相光光源が直上方向から基板を照明し、かつ第2色相光光源が横方向から照明するクリームはんだ印刷基板の全面3次元画像を獲得する検査装置において、獲得した基板画像の画素値に基づいて検査領域を設定するので、基板種ごとの検査データ教示が格段に容易になるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
検査データ教示が容易な3次元クリームはんだ印刷検査装置を実現するという目的を、傾斜姿勢の1次元カラーイメージセンサカメラが、第1色相光光源が直上方向から、また第2色相光光源が横方向から照明する基板の全面画像を獲得し、獲得した基板画像の画素値に基づいて検査領域を設定することによって実現した。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明検査装置の第1実施例の全体構成図であって、基板1上にはクリームはんだ2が印刷され、基板1は1次元テーブル3に水平姿勢で保持されている。
【0011】
基板1の上方には、1次元カラーイメージセンサカメラ4と照明装置の第1色相光源5−1と第2色相光源5−2が配置されている。1次元カラーイメージセンサカメラ4はカラーラインCCDカメラであって、その視軸が基板1に対して斜めになるように傾斜姿勢で設置されている。
【0012】
図2(A)の光学配置模式図に示すように、照明・撮像系の構成は、下記のようになっている:
第1色相光源5−1は、基板の直上に設置され、第1色相光例えば青色の光束を基板に投射することによって、クリームはんだの上面を青色に着色する。一方第2色相光源5−2は、1次元カラーイメージセンサカメラ4よりも下方に設置され、第2色相光例えば赤色の光束を基板に投射することによって、クリームはんだの側面を赤色に着色する。
この幾何光学配置で、第1色相光源5−1と第2色相光源5−2の間に設置された斜め姿勢の1次元カラーイメージセンサカメラ4が基板を撮像すると、図2(B)の画像模式図に示すように、クリームはんだの3次元画像が得られ、しかもはんだの上面は青色画像領域となり、また側面は赤色画像領域となる。
赤色領域の奥行き(図2(B)の横幅に相当)はクリームはんだの側面画像の奥行きであるので、クリームはんだの高さに比例し、青色領域はクリームはんだの上面画像であるので、クリームはんだの面積に比例する。
良否判定は、基準基板と検体基板の画像同士の差画像処理を行い、閾値以上の差分を検出した場合に、不良と判定する(図2(C)参照)。
【0013】
上記の画像は、1次元イメージセンサカメラが視野全体を一定傾斜角で獲得するので、画像の奥行き(図2(B)の横幅)と基板実寸との関係が画像のどこでも一定である。従って、カメラの傾斜角から、三角法によって実寸を容易に算出することができる。これに反して、2次元イメージセンサカメラを用いた場合は、カメラを傾斜させると、視野が奥行き方向に広がるため、画像と基板の実寸の関係は、それぞれの箇所において異なってしまい、実寸の算出が容易ではない。
【0014】
クリームはんだのはみ出しやブリッジは、青色領域の広がり異常として検出される。
【0015】
図1において、1次元カラーイメージセンサカメラ4は、制御装置6に接続され、制御装置6は、1次元センサ撮像ユニット7、画像データ保存ユニット8、画像処理演算ユニット9、及びシステム全体を制御する統合システム制御ユニット10を有し、各ユニット7,8,9、及び10は、バス15を通じてデータの交換を行う。
【0016】
また、制御装置6には、教示データ等の入力を行う入力ユニット11と、検査結果等を印字する出力ユニット12と、外部装置との間でデータ送受を行う通信ユニット13と、画像や検査結果等を表示する表示ユニット14が接続されている。
【0017】
次に、図3(A)のフロー図に従って、この実施例検査装置の教示ステップを説明する。まず素基板1(図1)をテーブルに装填し(ST1)、基板のIDデータを教示し(ST2)、その後素基板を1次元テーブル3で移動して1次元カラーイメージセンサカメラ4でスキャン撮像する(ST3)。獲得した素基板の全面画像を表示ユニット14に表示し(図示せず)、銅箔パッド画像内の画素(たとえば図4Aの2)をポインタで指定すると、画像処理演算ユニット9が備えるバッド領域抽出プログラムが、自動的に銅箔パッド画像と同じカラー画素値(R値、G値、B値)を有する画素の領域を抽出する。銅箔パッド表面が反射光や小さな凹凸によって少し異なる画素値を有する箇所が存在するときは、その画像箇所を更にポインタで指定すれば、その画素値を有する領域も抽出される。クリームはんだを印刷しない回路パタンその他の銅箔部分が抽出された場合には、その箇所を該当箇所から除外する(ST4)。
【0018】

すべての銅箔パッド領域が正しく抽出されたことを確認したら、検査領域の設定に進む(ST5)。画像処理演算ユニット9が備える検査領域設定プログラムが、個々の銅箔パッド画像領域を個別領域として認識し、銅箔パッド画像領域に外接する長方形を形成し(図4Bの3)、長方形重心位置を算定し、検査領域重心として座標データを保存する。検査領域設定プログラムは次に、この重心を中心として外接長方形を定率で拡大し、検査領域として設定する(図4Bの4)。拡大率は、あらかじめ入力することができる。すべての検査領域はこのようにして、自動的に設定される。検査領域として拡大領域を設定する理由は、クリームはんだのはみだし不良やブリッジを検出するためである。検査領域教示が完了したら、素基板を除去する(ST6)。
【0019】
次に、クリームはんだが正しく印刷された基準基板とテスト基板を撮像し(ST7)、両基板画像を保存する(ST8)。基準基板の3次元全面画像とテスト基板の3次元全面画像を表示ユニット14に表示して、デフォルト画像精度とデフォルト検出感度の条件で両者の差画像処理を試行する。
このとき、テスト基板上の不良の見逃しがあれば、その検査領域のデフォルト画像精度あるいは検出感度を上げ、また、過検出が多ければ、その検査領域のそれらを下げることにより、この基板に最適な画像精度と検出感度に調節する(ST9)。
本実施例は、検査領域の画像精度と検出感度を個別に調整できるようにしているので、検査領域ごとの画像状況に応じた調節によって、全体均一レベル方式では困難であった過検出や不検出の発生可能性が大きく低減している。
全検査領域の画像精度と検出感度の調節が完了したら、テスト基板を除去する(ST10)。
【0020】
画像精度は、検査領域内の全画素を比較するか、間引いて行うか、選択できるようにしている。全画素を対象とすると、検査精度は当然アップするが、画像処理時間が長くなるので、基板の種類や不良の種類によって必要な画素密度を適用し、検査時間の短縮ができるようにしている。
また検査領域の検出感度は、差画像処理の閾値を上下させる差分感度と、閾値を超えた画素の広がりや移動の範囲を限定する感度とに大別される。異同画素の範囲を検出することによって、基板上に印刷されたクリームはんだの平面方向へのはみ出しや不足のみならず、高さの大小不良も検出できる。
【0021】
次に、この実施例における自動検査の動作を、図3(B)のフロー図に沿って説明する。
まず、図1において検体基板1を1次元テーブル3に装填し(ST11)、検体基板のIDデータを入力するか又は読取ると(ST12)、制御装置6の指令で検体基板1を1次元移動し、1次元センサ撮像ユニット7の制御によって1次元カラーイメージセンサカメラ4が検体基板1の全面をスキャン撮像する(ST13)。
【0022】
そこで画像処理演算ユニット9が、基準基板3次元画像と検体基板3次元画像の各検査領域について、差分画像処理を行い(ST14)、差分画像データから教示した画像精度と検出感度に基づいて不良領域を検出する。
【0023】
次に、検査結果を報告したら(ST15)、検体基板を除去する(ST16)。
【実施例2】
【0024】
本発明検査装置の第2実施例の全体構成は、図1に示したとおりであるので、説明を省略する。
【0025】
図5(A)のフロー図に従って、この実施例検査装置の教示ステップを説明する。まず素基板1(図1)をテーブルに装填し(ST21)、基板のIDデータを教示し(ST22)、その後素基板を1次元テーブル3で移動して1次元カラーイメージセンサカメラ4でスキャン撮像する(ST23)。獲得した素基板の全面画像を表示ユニット14に表示し(図示せず)、基板面画像内の画素(たとえば図4Aの1)をポインタで指定すると、画像処理演算ユニット9が備える基板面領域選択プログラムが、自動的に同じカラー画素値(R値、G値、B値)を有する画素の領域を選択する。基板面は一般的にレジスト塗装されているが、その下層の状況即ち、パタンがあるかないかなどにより画素値が異なる。その場合には、その画像箇所を更にポインタで指定すれば、その画素値を有する領域も選択される。(ST24)。
【0026】

基板面領域が正しく選択されたことを確認したら、検査領域の設定に進む(ST25)。画像処理演算ユニット9が備える検査領域設定プログラムが、基板面領域として選択されなかった個々の領域(図4Aの2)を銅箔パッド領域として認識し、銅箔パッド画像領域に外縁長方形を形成し(図4Bの3)、長方形重心位置を算定し、検査領域重心として座標データを保存する。検査領域設定プログラムは次に、この重心を中心として外縁長方形を定率拡大した長方形を作成し、検査領域として設定する(図4Bの4)。拡大率は、あらかじめ入力することができる。すべての検査領域はこのようにして、自動的に設定される。検査領域として拡大領域を設定する理由は、クリームはんだのはみだし不良やブリッジを検出するためである。検査領域教示が完了したら、素基板を除去する(ST6)。
【0027】
次に、クリームはんだが正しく印刷された基準基板とテスト基板を撮像し(ST27)、両基板画像を保存する(ST28)。基準基板の3次元全面画像とテスト基板の3次元全面画像を表示ユニット14に表示して、デフォルト画像精度とデフォルト検出感度の条件で両者の差画像処理を試行する。
このとき、テスト基板上の不良の見逃しがあれば、その検査領域のデフォルト画像精度あるいは検出感度を上げ、また、過検出が多ければ、その検査領域のそれらを下げることにより、この基板に最適な画像精度と検出感度に調節する(ST29)。
本実施例は、検査領域の画像精度と検出感度を個別に調整できるようにしているので、検査領域ごとの画像状況に応じた調節によって、全体均一レベル方式では困難であった過検出や不検出の発生可能性が大きく低減している。
全検査領域の画像精度と検出感度の調節が完了したら、テスト基板を除去する(ST30)。
【0028】
画像精度は、検査領域内の全画素を比較するか、間引いて行うか、選択できるようにしている。全画素を対象とすると、検査精度は当然アップするが、画像処理時間が長くなるので、基板の種類や不良の種類によって必要な画素密度を適用し、検査時間の短縮ができるようにしている。
また検査領域の検出感度は、差画像処理の閾値を上下させる差分感度と、閾値を超えた画素の広がりや移動の範囲を限定する感度とに大別される。異同画素の範囲を検出することによって、基板上に印刷されたクリームはんだの平面方向へのはみ出しや不足のみならず、高さの大小不良も検出できる。
【0029】
次に、この実施例における自動検査の動作を、図5(B)のフロー図に沿って説明する。
まず、図1において検体基板1を1次元テーブル3に装填し(ST31)、検体基板のIDデータを入力するか又は読取ると(ST32)、制御装置6の指令で検体基板1を1次元移動し、1次元センサ撮像ユニット7の制御によって1次元カラーイメージセンサカメラ4が検体基板1の全面をスキャン撮像する(ST33)。
【0030】
そこで画像処理演算ユニット9が、基準基板3次元画像と検体基板3次元画像の各検査領域について、差分画像処理を行い(ST34)、差分画像データから教示した画像精度と検出感度に基づいて不良領域を検出する。
【0031】
次に、検査結果を報告したら(ST35)、検体基板を除去する(ST36)。
【実施例3】
【0032】
本発明検査装置の第3実施例の全体構成は、図1に示したとおりであるので、説明を省略する。
【0033】
図7(A)のフロー図に従って、この実施例検査装置の教示ステップを説明する。まずはんだ印刷基板1(図1)をテーブルに装填し(ST41)、基板のIDデータを教示し(ST42)、その後はんだ印刷基板を1次元テーブル3で移動して1次元カラーイメージセンサカメラ4でスキャン撮像する(ST43)。獲得したはんだ印刷基板の3次元全面画像を表示ユニット14に表示し(図示せず)、基板面画像内の画素(たとえば図6Aの1’)をポインタで指定すると、画像処理演算ユニット9が備える基板面領域選択プログラムが、自動的に同じカラー画素値(R値、G値、B値)を有する画素の領域を選択する。基板面は一般的にレジスト塗装されているが、その下層の状況即ち、パタンがあるかないかなどにより画素値が異なる。その場合には、その画像箇所を更にポインタで指定すれば、その画素値を有する領域も選択される。(ST44)。
【0034】

基板面領域が正しく選択されたことを確認したら、検査領域の設定に進む(ST45)。画像処理演算ユニット9が備える検査領域設定プログラムが、基板面領域として選択されなかった個々の領域(図6Aの2’)をクリームはんだ領域として認識し、クリームはんだ画像領域に外縁長円形を形成し(図6Bの3’)、長円形重心位置を算定し、検査領域重心として座標データを保存する。検査領域設定プログラムは次に、この重心を中心として長円形に外接する長方形(図示せず)を定率拡大した長方形を作成し、検査領域として設定する(図6Bの4’)。拡大率は、あらかじめ入力することができる。すべての検査領域はこのようにして、自動的に設定される。検査領域として拡大領域を設定する理由は、クリームはんだのはみだし不良やブリッジを検出するためである。検査領域教示が完了したら、はんだ印刷基板を除去する(ST46)。
【0035】
次に、クリームはんだが正しく印刷された基準基板とテスト基板を撮像し(ST47)、両基板画像を保存する(ST48)。基準基板の3次元全面画像とテスト基板の3次元全面画像を表示ユニット14に表示して、デフォルト画像精度とデフォルト検出感度の条件で両者の差画像処理を試行する。
このとき、テスト基板上の不良の見逃しがあれば、その検査領域のデフォルト画像精度あるいは検出感度を上げ、また、過検出が多ければ、その検査領域のそれらを下げることにより、この基板に最適な画像精度と検出感度に調節する(ST49)。
本実施例は、検査領域の画像精度と検出感度を個別に調整できるようにしているので、検査領域ごとの画像状況に応じた調節によって、全体均一レベル方式では困難であった過検出や不検出の発生可能性が大きく低減している。
全検査領域の画像精度と検出感度の調節が完了したら、テスト基板を除去する(ST50)。
【0036】
画像精度は、検査領域内の全画素を比較するか、間引いて行うか、選択できるようにしている。全画素を対象とすると、検査精度は当然アップするが、画像処理時間が長くなるので、基板の種類や不良の種類によって必要な画素密度を適用し、検査時間の短縮ができるようにしている。
また検査領域の検出感度は、差画像処理の閾値を上下させる差分感度と、閾値を超えた画素の広がりや移動の範囲を限定する感度とに大別される。異同画素の範囲を検出することによって、基板上に印刷されたクリームはんだの平面方向へのはみ出しや不足のみならず、高さの大小不良も検出できる。
【0037】
次に、この実施例における自動検査の動作を、図7(B)のフロー図に沿って説明する。
まず、図1において検体基板1を1次元テーブル3に装填し(ST51)、検体基板のIDデータを入力するか又は読取ると(ST52)、制御装置6の指令で検体基板1を1次元移動し、1次元センサ撮像ユニット7の制御によって1次元カラーイメージセンサカメラ4が検体基板1の全面をスキャン撮像する(ST53)。
【0038】
そこで画像処理演算ユニット9が、基準基板3次元画像と検体基板3次元画像の各検査領域について、差分画像処理を行い(ST54)、差分画像データから教示した画像精度と検出感度に基づいて不良領域を検出する。
【0039】
次に、検査結果を報告したら(ST55)、検体基板を除去する(ST56)。
【産業上の利用可能性】
【0040】
傾斜角をもって基板を撮像する姿勢の1次元イメージセンサカメラと、真上方向から基板を照明する光源と横方向から基板を照明する光源によって3次元撮像幾何光学配置を構成し、基板画像の画素値選択によって基板の検査領域を自動的に教示し、クリームはんだ印刷品質の自動的な3次元画像検査を行う検査装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】検査装置の全体構成を示した説明図である。(全実施例)
【図2】検査装置における撮像の幾何光学配置と画像処理を説明する図である。(全実施例)
【図3】検査装置における教示と自動検査の動作を示したフロー図である。(実施例1)
【図4】検査装置における検査領域の設定を説明する図である。(実施例1、実施例2)
【図5】検査装置における教示と自動検査の動作を示したフロー図である。(実施例2)
【図6】検査装置における検査領域の設定を説明する図である。(実施例3)
【図7】検査装置における教示と自動検査の動作を示したフロー図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0042】
1 基板
2 クリームはんだ
4 1次元カラーイメージセンサカメラ
5 照明装置
6 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次元カラーイメージセンサカメラを傾斜姿勢に設置し、水平姿勢の基板をイメージセンサのピクセル配置に直交する方向に相対移動することによって基板の3次元画像を獲得する撮像手段と、
直上方向から基板を照明する第1色相光光源と、横方向から基板を照明する第2色相光光源とを備え、両光源で基板を二重照明する照明手段と、
獲得した素基板画像において、銅箔パッド画像画素値に基づいて銅箔パッド画像領域を抽出するバッド領域抽出手段と、
抽出された銅箔パッド領域に基づいて検査領域を設定する検査領域設定手段と、
検体基板画像と基準基板画像の差分画像処理を行う画像処理手段と、
クリームはんだ印刷後の検体基板と基準基板を照明手段が二重照明し、撮像手段が3次元画像を獲得し、画像処理手段が同一検査領域画像同士の差分画像処理を行い、設定閾値を超える差分のある画素を異同画素として検出する自動検査手段と、
異同画素が検出された検査領域と異同画素のアドレスを報告する報告手段と
より成る検査装置。
【請求項2】
1次元カラーイメージセンサカメラを傾斜姿勢に設置し、水平姿勢の基板をイメージセンサのピクセル配置に直交する方向に相対移動することによって基板の3次元画像を獲得する撮像手段と、
直上方向から基板を照明する第1色相光光源と、横方向から基板を照明する第2色相光光源とを備え、両光源で基板を二重照明する照明手段と、
獲得した素基板画像において、基板面画像の画素値に基づいて基板面画像領域を選択する基板面領域選択手段と、
選択された基板面画像領域以外の領域をバッド領域として抽出し、検査領域を設定する検査領域設定手段と、
検体基板画像と基準基板画像の差分画像処理を行う画像処理手段と、
クリームはんだ印刷後の検体基板と基準基板を照明手段が二重照明し、撮像手段が3次元画像を獲得し、画像処理手段が同一検査領域画像同士の差分画像処理を行い、設定閾値を超える差分のある画素を異同画素として検出する自動検査手段と、
異同画素が検出された検査領域と異同画素のアドレスを報告する報告手段と
より成る検査装置。
【請求項3】
1次元カラーイメージセンサカメラを傾斜姿勢に設置し、水平姿勢の基板をイメージセンサのピクセル配置に直交する方向に相対移動することによって基板の三次元画像を獲得する撮像手段と、
直上方向から基板を照明する第1色相光光源と、横方向から基板を照明する第2色相光光源とを備え、両光源で基板を二重照明する照明手段と、
獲得したクリームはんだ印刷後基板画像において、基板面画像の画素値に基づいて基板面画像領域を選択する基板面領域選択手段と、
選択された基板面画像領域以外の領域をクリームはんだ印刷領域として抽出し、検査領域を設定する検査領域設定手段と、
検体基板画像と基準基板画像の差分画像処理を行う画像処理手段と、
クリームはんだ印刷後の検体基板と基準基板を照明手段が二重照明し、撮像手段が3次元画像を獲得し、画像処理手段が同一検査領域画像同士の差分画像処理を行い、設定閾値を超える差分のある画素を異同画素として検出する自動検査手段と、
異同画素が検出された検査領域と異同画素のアドレスを報告する報告手段と
より成る検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−8588(P2009−8588A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171765(P2007−171765)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(599141283)株式会社形相研究所 (2)
【出願人】(302004609)株式会社十和田エンジニアリング (2)
【Fターム(参考)】