説明

歩行型耕耘機

【課題】歩行型耕耘機において、後進の際耕耘装置が回転駆動しないように後進耕耘けん制装置を設ける。
【解決手段】走行変速レバー51の左右方向操作によってミッションケース2内の走行系伝動機構を前進、中立、後進に切替操作し、耕耘変速レバー52の左右方向操作によって耕耘爪軸5駆動状態と駆動停止の中立状態とに切替操作し、これら両変速レバー51,52を上下に配置する歩行型耕耘機において、前記走行変速レバー51と前記耕耘変速レバー52との間に、耕耘変速レバー52が中立位置にあるときには切欠凹部60Xに入り込んで前記走行変速レバー51の後進位置への移動を許容し、中立位置以外では切欠凹部60Xを閉ざして該後進位置への移動を規制する牽制部材60を設け、上記切欠凹部60Xの有効幅Lを調整自在に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型耕耘機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耕耘装置を設けた歩行型耕耘機において、後進の際耕耘装置が回転駆動しないように後進耕耘けん制装置を設けた構成がある(特許文献1)。
すなわち、耕耘装置を正転・逆転・中立に変速連動するロータリ変速アームと、機体の走行を前進・後進・中立に変速連動する走行変速アームとの間に、変速規制具を揺動可能に設けた簡単な構造で、機体後進時に耕耘装置が作動する危険をなくするものである。すなわち、上記公知公報のものは、板状の変速規制具をブラケットに軸支し変速規制具の上面にロータリ変速アームが中立位置で落ち込む凹部を形成し、下面に走行変速アームが後退位置に回動するのを阻止する球状凸部を形成するもので、ロータリ変速アームを中立位置にすると変速規制具が上方に逃げ得て後進走行が可能となる構成である。
【特許文献1】特開平9−30287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ロータリ変速アームが中立位置で落ち込む凹部幅は固定されていて製作誤差を吸収するためには余裕をもって成形する必要があり、変速規制具が回動することとも相俟って、ロータリ変速アームの牽制動作に誤作動を引き起こし易い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記に鑑み、請求項1に記載の発明は、走行変速レバー(51)の左右方向操作によってミッションケース(2)内の走行系伝動機構を前進、中立、後進に切替操作し、耕耘変速レバー(52)の左右方向操作によって耕耘爪軸(5)駆動状態と駆動停止の中立状態とに切替操作し、これら両変速レバー(51,52)を上下に配置する歩行型耕耘機において、前記走行変速レバー(51)と前記耕耘変速レバー(52)との間に、耕耘変速レバー(52)が中立位置にあるときには許容凹部(60X)に入り込んで前記走行変速レバー(51)の後進位置への移動を許容し、中立位置以外では許容凹部(60X)を閉ざして該後進位置への移動を規制する牽制部材(60)を設け、上記切欠凹部(60X)の有効幅(L)を調整自在に設けてなる歩行型耕耘機の構成とする。
【0005】
上記のように構成すると、走行変速レバー(51)を後進位置に移動操作するには牽制部材(60)の下方回動を必要とするが、耕耘変速レバー(52)が耕耘爪軸(5)が駆動される状態にあるときは、牽制部材(60)の下方回動が規制されて走行変速レバー(51)の後進変速を阻止して当該後進操作が牽制される。また、耕耘変速レバー(51)が中立位置では、許容凹部(60X)によって牽制部材(60)の変位を許容し、走行系の後進側操作を可能とする。ボルト63等を備えて許容凹部(60X)の一部に進入させ牽制効果を生むものであるが、牽制部材(60)の変位を許容する許容凹部(60X)の有効幅(L)は、牽制部材(60)の前記凸部(60c)の内側縁部とボルト(63)先端等との間隔にあり、上記許容凹部(60X)の有効幅(L)は調整可能に設けられる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、牽制部材は走行変速レバー51に接し後進変速位置への移行に連動してこの牽制部材を変位させる一側縁部と、耕耘変速レバー52側において前記牽制部材の変位を規制する牽制凸部60cとこの変位を許容する許容凹部60Xとを備える他側縁部とからなり、上記許容凹部60Xは牽制凸部60cと対向するボルト63との間に設けられ、該ボルト63は着脱自在に設けてなる請求項1に記載の歩行型耕耘機とする。
【0007】
ボルト63を取り外すことによって走行系が後進でありながら耕耘装置7の正転耕耘を可能にしている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によると、牽制部材(60)の変位を許容する許容凹部(60X)の許容幅(L)は、牽制部材(60)の前記凸部(60c)の内側縁部とボルト(63)先端等との間隔にあり、上記許容凹部(60X)の有効幅(L)は調整可能に設けられ、耕耘変速レバー(52)又はこのレバー(52)の連動部材の位置に見合って許容凹部(60X)の有効幅(L)を調整でき、牽制部材(60)の製作誤差を吸収し得る。
【0009】
請求項2に記載の発明によると、ボルト63を取り外すことによって走行系が後進でありながら耕耘装置7の耕耘を可能にして耕耘作業の多様化に対応する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上記技術思想に基づき具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
図1は歩行型耕耘機の側面図であり、耕耘機の機体1は、側面視へ字型に形成されたミッションケース2と該ミッションケース2の前側に設ける支持フレーム3等を備える。このうちミッションケース2の前側ケース2a下部には車軸4を突設し左右車輪4L,4Rを支持し、後側ケース2b下部には耕耘軸5を突設して耕耘爪6,6…を設けて耕耘装置7を構成する。
【0011】
耕耘装置7の上面はロータリカバー8で覆う構成であり、後面は後部カバー9で覆う構成としている。ロータリカバー8の後端側にはホルダ10を備え、抵抗棒11を高さ調節自在に連結保持している。この抵抗棒ホルダ10に尾輪ホルダ12aを連結一体的に設け、2重筒軸の伸縮軸12bを介して尾輪13を上下高さ調節自在に設けている。14は尾輪高さ調節用ハンドルで、これを操作することによって尾輪ホルダ12aに対する伸縮軸12bの突出長さが変わって尾輪13の高さを調節できる。
【0012】
前記支持フレーム3にはエンジン15を設け、ベルト伝動機構を介してエンジン出力をミッションケース2内伝動機構に伝達する構成である。16はベルト伝動機構を覆うベルトカバーである。
【0013】
前記ミッションケース2の上部において、操作ハンドル17の基部を装着し、該ハンドル17は後方斜め上方に向けて設けられ、平面視ループ状に形成されている。18はクラッチレバーで、横軸19回りの上下回動によって前記ベルト伝動機構部に構成する走行クラッチを入り切りに連動可能の構成であり、このクラッチレバー18を操作ハンドル17の把持部と重なる状態に押下げるときはクラッチ「入」となり、手を離すと図外バネの復帰付勢力でクラッチを「切」となす構成である。
【0014】
ついでミッションケース2内伝動構成について説明する。
前記エンジン15の出力軸21とミッションケース2内入力軸22とをベルト伝動機構の伝動ベルト23によって連動し、入力軸22と走行第1軸24との間に、前進高速・前進低速・後進の3段に切り替えられる変速ギヤを設ける。すなわち、入力軸22上の2段ギヤ25を軸に沿って摺動自在でかつ軸を連動可能に設け、走行第1軸24には、該軸24と一体の高速ギヤ26、低速ギヤ27aと後進連動ギヤ27bとを一体構成した2段ギヤ27、及び耕耘第1軸28に設けた後進カウンタギヤ29及び中間ギヤ30によって、前記2段ギヤ27を連動し、前記2段ギヤ25を高速ギヤ26、低速ギヤ27a、後進連動ギヤ27bに順次かみ合わせることにより、走行第1軸24は高速・低速・及び後進に連動される構成である。走行第1軸24と走行第2軸31とは中継ギヤ32、33にて減速連動され、走行第2軸31と前記車軸4との間はチェン34による伝動の構成である。
【0015】
一方耕耘装置7の伝動構成は、入力軸22の広幅ギヤ38から前記耕耘第1軸28上の2段摺動ギヤ40の小径ギヤ40aを耕耘第2軸41の中継ギヤ42に噛み合わせることにより該第2軸41を正転連動し、チェン43連動することによって前記耕耘軸5を正転連動する。また、前記2段摺動ギヤ40の大径ギヤ40bを前記耕耘第2軸41に設ける逆転連動ギヤ44に噛み合わせ、中継ギヤ45を介して耕耘第2軸41上の前記中継ギヤ42を連動して当該耕耘第2軸41を逆転連動し、チェン43連動にて前記耕耘軸5を逆転連動する構成である。
【0016】
51は走行変速レバー、52は耕耘変速レバーで、ミッションケース2の上部に設けたレバーガイド53を貫通して設けられ、後方上方に向かい前記操作ハンドル17と平行状に配設される。走行変速レバー51は、その屈曲先端部に作動プレート51aを一体的に設け、該作動プレート51aの基部側を縦支軸54に支持させてなるから作動プレート51aの先端部が左右に往復移動しうる構成としている。作動プレート51aの左右の往復移動は、ミッションケース2外に突出するシフタステー55をその長手方向に往復摺動させる構成である。このシフタステー55にはシフタ56を備え、入力軸22上の前記2段ギヤ25を軸22方向に摺動し、レバーガイド53の水平方向に形成した走行変速ガイド孔53aに沿って、前進高速(い)、中立(ろ)、前進低速(は)、中立(に)、後進(ほ)の順、またはその逆方向に切り替えられる構成である。
【0017】
また、耕耘変速レバー52は、その屈曲先端部に作動プレート52aを設け、前記走行変速レバー51と同軸の前記縦支軸54に支持させて設けこの作動プレート52aの先端部が左右に往復移動しうる構成としている。作動プレート52aは、前記走行変速用シフタステー55と並行状態に設けるシフタステー57をその長手方向に往復摺動させ、該シフタステー57に一体のシフタ58にて、耕耘第1軸41上の前記2段摺動ギヤ40を該軸41に沿って摺動させ、レバーガイド53の耕耘変速ガイド孔53bに沿って、逆転(へ)、中立(と)、正転(ち)の順、またはその逆方向に切り替えできる構成としている。
【0018】
前記走行変速レバー51の作動プレート51aと、前記耕耘変速レバー52の作動プレート52aとは上下に相接近させて配設され、その各先端部でシフタステー55,57を作動するが、該先端部に牽制用丸棒51b及び牽制用角棒52bを設けてなる。牽制用丸棒51b又は牽制用角棒52bの間には、上縁部60aが牽制用丸棒51bに対向し、下縁部60bが牽制用角棒52bに対向すべく牽制部材(以下牽制プレート)60を、背面側の横支軸61の回りに回動すべくアーム部60cをもって支持している。さらに上縁部60aが走行変速レバー51と一体の牽制用丸棒51a側に接触すべくバネ62で付勢する構成としている。
【0019】
上記牽制プレート60の上縁部60aは階段状に形成され、前記牽制用丸棒51bの後進変速相当位置(ホ)では高く、他の前進高速相当位置(イ)、中立相当位置(ロ)、前進低速相当位置(ハ)、中立相当位置(ニ)の各位置にあるときは一律に低く形成され、後進変速相当(ホ)では該牽制プレート60は牽制用丸棒51bに押し下げられて上記横支軸61の回りに下方に回動する構成である(図3中仮想線)。一方牽制プレート60の下縁部60bにおいて、該プレート60の左右一側(図4,5中左側)を凸部60cとなし以外を切欠段部60dとなすと共に、左右他側(図4,5中右側)にボルト63保持用の螺合部64を備え、階段状に形成される上記凸部60c、切欠段部60c及び該ボルト63の装着固定によって許容凹部60Xを形成してなる。そして逆転変速相当位置(ヘ)と正転変速相当位置(チ)では牽制プレート60の下方回動を牽制し、中央の中立相当位置(ト)において許容凹部60Xは牽制用角棒52bの進入を許容して牽制プレート60は下方回動可能の構成としている。上記の走行変速レバー51の牽制連動部材としての牽制用丸棒51b、耕耘変速レバー52の牽制連動部材としての牽制用角棒52b、牽制プレート60等によって変速牽制手段Kを構成している。65はロックナットである。
【0020】
上記のように構成すると、バネ62の付勢力によって牽制プレート60は牽制用丸棒51bに接触する状態にあり、走行変速レバー51を、前進高速相当位置(イ)、中立相当位置(ロ)、前進低速相当位置(ハ)、中立相当位置(ニ)の各位置の間で変速操作するときは牽制プレート60は図 中実線の位置にあって、下方の牽制用角棒52bの作動を牽制せず、耕耘変速レバー51でもって自由に正転変速相当位置(ヘ)、中立相当位置(ト)、及び逆転変速相当位置(チ)への変速を行い得るものである。
【0021】
ところで、走行変速レバー51を後進変速相当位置(ホ)に移動操作する際には牽制プレート50の下方回動を必要とするため、牽制用角棒52bが正転変速相当位置(ヘ)又は逆転変速相当位置(チ)にあるときは、牽制プレート60の下方回動が規制されて牽制用丸棒51bが中立相当位置(ニ)から後進変速相当位置(ホ)への移行を阻止して当該後進操作が牽制される。また、牽制用角棒52bが中立相当位置(ト)のときは、下縁部の切欠段部60cによって牽制プレート60の下方回動を許容し、走行系の後進側操作を可能とする。
【0022】
なお、本実施例では、ボルト63を備えて許容凹部60Xの一部に進入して牽制効果を生むものであるが、牽制プレート60の下方回動を許容する許容凹部60Xの許容幅Lは、牽制プレート60の前記凸部60cの内側縁部とボルト63の先端との間隔であり、ボルト63の螺合部64に対して微小距離進退させることができ、所定の間隔をもってロックナット63aで固定することができる。このため、牽制プレート60に対する牽制用角棒52bの位置に見合う許容凹部60Xに形成でき、牽制プレート60の製作誤差を吸収し得る。
【0023】
また、前記ボルト63を取り外すことによって走行系が後進でありながら耕耘装置7の正転耕耘を可能にしている。なお、この後進耕耘の状態は、ブザー等によって報知することが望ましく、ボルト63の装着状態と非装着状態を区別しうる後進耕耘検出手段66を構成する。例えば、ボルト63の頭部と牽制プレート60との間にリードスイッチを設けボルト63頭部の接近を感知してブザー67回路を開き、非接近状態のときはブザー67回路を閉じてブザー67鳴動によって注意を喚起できる。
【0024】
図6、図7は、変速牽制手段Kの異なる例を示すものである。ミッションケース2の上部に、牽制プレート70を構成する。即ち、牽制部材としての牽制プレート70の左右に丸棒状の摺動支持アーム71L,71Rをベースプレート72L,72Rを介してボルト締めして設け、ミッションケース2側に設けた左右ホルダ73L,73Rに上方から貫入して常時はバネ74L,74Rで上方に向け付勢する構成としている。なお、牽制プレート70の形状及び牽制連動部材としての走行変速レバー51杆身、耕耘変速レバー52杆身は、夫々前記第1の実施例の牽制プレート60、牽制用丸棒61b、及び牽制用角棒62bと同じ機能であるため詳細を省略する。
【0025】
上記のように、牽制プレート70の構成とすると、第1実施例における効果とともに、牽制プレート70が上下に直線的に移動するため、牽制プレート70の移動量は回動による移動に比較して誤差が少なく、該牽制プレート70の製作が容易となる。また、ミッションケース2の上部に摺動支持アーム71L,71Rを着脱自在に設けるものであるから組み付けが容易である。さらに、牽制プレート70によって牽制連動する牽制連動部材は走行変速レバー51及び耕耘変速レバー52自身の杆身が相当するものであるから、第1実施例のように各別の牽制用丸棒61bや牽制用角棒62bを具備する必要がなく構成が簡単となる。
【0026】
なお、図7におけるように、牽制プレート70のボルト63を引き出し状態で固定して後進において耕耘爪軸を逆転させ溝明け作業を行わせることができる。
図8、図9は上記の例とは異なる変速牽制手段を構成するものである。
【0027】
すなわち、レバーガイド53の裏面に牽制プレート75を構成するものであり、レバーガイド53の走行変速レバーガイド53aと耕耘変速レバーガイド53bの間であって、後進側変速段側に支軸76を設け、該支軸76にはL型の牽制プレート75A(図8)又はこの牽制プレート75に対して先端形状を異ならせた牽制プレート75B(図9)を揺動自在に支持する。該これら牽制プレート75A,75Bは常時はバネ77で付勢されていて、中央部端縁75aがレバーガイド53の側壁部に衝接する状態では、上側の端部75bが走行変速レバーガイド53aの後進位置(ほ)に対応すべく形成している。そして、走行変速レバー51の該後進位置(ほ)への移行は、牽制プレート75A,75Bを支軸76回りに回動して図8(C)(図9(C))に示す状態に変更され、耕耘変速レバー52の逆転(へ)又は正転(ち)位置への移行を阻止する構成である。なお、耕耘変速レバー52が逆転(ヘ)位置にある状態で(図8(C),図9(C))、走行変速レバー51を中立(に)から後進位置(ほ)へ移行しようとすると、牽制プレート75A,75Bの上側の端部75bが耕耘変速レバー52の杆身に接触して後進変速を規制している(図8(B))。同様に耕耘変速レバー52が正転(ち)位置にある状態で走行変速レバー51を中立(に)から後進位置(ほ)へ移行しようとすると、牽制プレート75A,75Bの腹部75cが耕耘変速レバー52の杆身に接触して後進変速を規制できる。
【0028】
上記のように、牽制プレート75A,75Bは耕耘変速が逆転(へ)又は正転(ち)位置にあって、走行変速として後進を選択しようとするとこれが規制され、中立位置(と)にあるときのみ後進変速を可能するものであるから、後進耕耘を牽制するため安全であり、構成も簡単であって容易に実施できる。
【0029】
なお、前記のように、耕耘変速レバー52が逆転(ヘ)位置にある状態で走行変速レバー51を中立(に)から後進位置(ほ)へ移行しようとすると、牽制プレート75の先端75cが耕耘変速レバー52の杆身に接触して後進変速を規制し、同様に耕耘変速レバー52が正転(ち)位置にある状態で走行変速レバー51を中立(に)から後進位置(ほ)へ移行しようとすると、牽制プレート75の腹部75dが耕耘変速レバー52の杆身に接触して後進変速を規制するが、このような時、牽制プレート75Bにおけるように、先端75bあるいは腹部75cが耕耘変速レバー52を中立に復帰移動させるよう構成してもよい(図9(B)(C))。このようにすると、オペレータの意図通りの後進変速が得られる一方、耕耘が強制中断されて安全である。
【0030】
図10,図11は耕耘装置7の一例を示すものであり、前記チェン43に連動するスプロケット80aは筒軸80と一体に構成され、該筒軸80の内周に形成する内歯部に、耕耘出力軸5L,5Rを、そのスプロケット部が内歯部に嵌合しつつ軸芯を水平軸芯に対して左右端部側が下方に傾斜する傾斜軸芯として軸承支持して回転連動可能に設けている。各耕耘出力軸5L,5Rには、耕耘爪軸81L,81Rがピン82,82を介して連結されている。
【0031】
耕耘爪6,6…は、最外側の湾曲爪6aを除き通常のナタ爪を使用されるもので、筒軸状耕耘爪軸81L,81Rの外周にホルダ84,84…を配設して各ホルダ84に着脱自在に取付られる。このうち図10に示す配設では、耕耘爪軸5L,5Rの正転連動と爪の先端部がケース2側に向くために傾斜軸芯と相俟って耕耘跡の土壌が略平らな耕耘作業を得られる。一方、図11におけるように、耕耘爪6a及び耕耘爪6,6…の装着状態を維持しながら左右の耕耘爪軸5L、5Rを夫々内外入れ替えて耕耘出力軸5L,5Rに装着し、耕耘変速レバー52操作によって逆転による耕耘作業を行うと、逆転によって持ち回されようとする掘削土壌を外方に跳ね出すこととなり、機体の進行中央部に溝を形成する溝成形作業を行うことができる。
【0032】
上記のように、傾斜爪軸と耕耘爪軸の内外振り替え装着によるだけで、耕耘爪6,6…のホルダ84からの差し替えの手間なく、通常耕耘作業と溝成形作業とを耕耘装置の正転・逆転切り替えによって行うことができて便利である。
【0033】
図例では、各筒状の耕耘爪軸5L,5Rの内外夫々に径大で椀状のシール85保護用円筒体86,87を設ける構成であるから、前記のように内外振り替え装着によってもシール85保護が図れて便利である上、耕耘爪軸5端部を保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】全体側面図。
【図2】伝動機構線図。
【図3】要部の側断面図。
【図4】変速牽制手段の作用説明図。
【図5】変速牽制手段の作用説明図。
【図6】他の変速牽制手段の作用説明図。
【図7】他の変速牽制手段の作用説明図。
【図8】参考例を示すレバーガイド部正面図(A)(B)(C)。
【図9】他の参考例を示すレバーガイド部正面図(A)(B)(C)。
【図10】耕耘装置の背面図。
【図11】耕耘装置の背面図。
【符号の説明】
【0035】
2 ミッションケース
5 耕耘爪軸
51 走行変速レバー
52 耕耘変速レバー
60 牽制プレート(牽制部材)
60X 許容凹部
L 有効幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行変速レバー(51)の左右方向操作によってミッションケース(2)内の走行系伝動機構を前進、中立、後進に切替操作し、耕耘変速レバー(52)の左右方向操作によって耕耘爪軸(5)駆動状態と駆動停止の中立状態とに切替操作し、これら両変速レバー(51,52)を上下に配置する歩行型耕耘機において、前記走行変速レバー(51)と前記耕耘変速レバー(52)との間に、耕耘変速レバー(52)が中立位置にあるときには許容凹部(60X)に入り込んで前記走行変速レバー(51)の後進位置への移動を許容し、中立位置以外では許容凹部(60X)を閉ざして該後進位置への移動を規制する牽制部材(60)を設け、上記許容凹部(60X)の有効幅(L)を調整自在に設けてなる歩行型耕耘機。
【請求項2】
牽制部材(60)は走行変速レバー(51)に接し後進変速位置への移行に連動してこの牽制部材(60)を変位させる一側縁部と、耕耘変速レバー(52)側において前記牽制部材(60)の変位を規制する牽制凸部(60c)とこの変位を許容する許容凹部(60X)とを備える他側縁部とからなり、上記許容凹部(60X)は牽制凸部(60c)と対向するボルト(63)との間に設けられ、該ボルト(63)は着脱自在に設けてなる請求項1に記載の歩行型耕耘機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−184026(P2008−184026A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19231(P2007−19231)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】