説明

段ボールシートの斜行検出装置及び検出方法並びにスリッタスコアラ

【課題】 段ボールシートの斜行検出装置及び検出方法並びにスリッタスコアラに関し、スリッタスコアラ内部で発生する段ボールシートの斜行を検出できるようにする。
【解決手段】 スコアラ10よりもシート搬送方向上流側に設けられ、段ボールシート5のシート幅方向における位置を検出する第1の位置検出手段20と、スリッタ11よりもシート搬送方向下流側に設けられ、段ボールシート5のシート幅方向における位置を検出する第2の位置検出手段22と、第1の位置検出手段20及び第2の位置検出手段22により検出された段ボールシート5の位置情報に基づいて段ボールシート5の斜行量を算出する算出手段27aとをそなえて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシート製造装置のスリッタスコアラにおいて段ボールシートの斜行を検出する、段ボールシートの斜行検出装置及び検出方法並びにスリッタスコアラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は一般的な段ボールシート製造装置の全体構成を模式的に示す側面図である。図5に示すように、段ボールシート製造装置は、裏ライナ用オートスプライサ部100に装着された裏ライナ巻き取り紙から裏ライナ1を繰り出すとともに、中芯用オートスプライサ部101に装着された中芯巻き取り紙から中芯2を繰り出し、シングルフェーサ102において、中芯2を波型に段繰り、この中芯2の段山に糊付けした後、中芯2と裏ライナ1とを貼り合わせて片段シート(片面段ボールシート)3を形成する。その後、片段シート3をブリッジ取り上げコンベア103を通してブリッジ104に蓄積した後、グルーマシン105において片段シート3の中芯2側段頂部に糊付けし、ダブルフェーサ107へ搬送する。また、表ライナ用オートスプライサ部106に装着された表ライナ巻き取り紙から表ライナ4を繰り出し、ダブルフェーサ107で表ライナ4と片段シート3とを貼り合わせて加圧及び加熱して両面段ボールシート(以下、単に段ボールシートという)5を形成する。その後、スリッタスコアラ108において罫線を入れるとともに裁断した後、カットオフ109で段ボールシート5をシート幅方向に裁断してスタッカ110に積み上げる。
【0003】
ところで、上述した段ボールシート製造装置のスリッタスコアラ108は、図6に示すように、シート搬送方向に沿って段ボールシート5に罫線(折り目)を入れるスコアラ10と、スコアラ10よりもシート搬送方向下流側に設けられ、シート搬送方向に沿って段ボールシート5を裁断するスリッタ11とからなる。スコアラ10は、シート幅方向に延設されたスコアラ軸10bと、スコアラ軸10bの軸方向に複数並んで設けられ、段ボールシート5に罫線を入れるスコアラロール10aとを備えて構成されており、スリッタ11は、シート幅方向に延設されたスリッタ軸11bと、スリッタ軸11bの軸方向に複数並んで設けられ、段ボールシート5を裁断するスリッタロール11aとを備えて構成されている。
【0004】
また、スリッタロール11aにより裁断する位置(図6に示すスリッタ寸法L0)や、スコアラロール10aにより罫線を入れる位置(図6に示すスコアラ寸法L1,L2,L3)は予め製品毎に設定されており、このような製品情報をスリッタスコアラ108の制御装置(図示省略)に入力することで、この制御装置がスコアラロール10a及びスリッタロール11aを生産開始前に予め製品情報に応じた所定のシート幅方向位置に移動させてその位置で固定するようになっている。
【0005】
このようなスリッタスコアラ108では、スコアラロール10a及びスリッタロール11aは±0.5mmの誤差範囲内で正確に位置決めされるので、段ボールシート5が正常に直進していれば寸法ずれは生じないが、図7に示すように段ボールシート5が斜めに走行(斜行)した場合には寸法ずれが生じてしまう。このため、オペレータがスタッカ110で製品をチェックしているが、製品ができあがった後の製函工程で寸法ずれに気付くことが多い。
【0006】
そこで、例えば図8に示すような段ボールシートの斜行検出装置が開発されている。図8に示すように、段ボールシートの斜行検出装置は、スコアラ10よりもシート搬送方向上流側に設けられ、段ボールシート5の幅方向両端部を撮像するビジョンセンサ124と、段ボールシート5の下方に設けられ、ビジョンセンサ124による検出領域に向かって光を当てる光源としての蛍光灯125と、スコアラ10及びスリッタ11の全体をシート搬送方向に対して(又はシート幅方向に対して)段ボールシート5面内で傾ける駆動装置126と、ビジョンセンサ124により撮像された段ボールシート5のシート搬送方向に対する斜行量(即ち、正常走行時における段ボールシート5の中心線からの傾き量)に基づいて駆動装置126を制御する制御装置127とを備えて構成されている。
【0007】
なお、図8に示す符号120,121,122は段ボールシート5の反りや浮き上がりを矯正するための押さえロールである。また、スリッタ11よりもシート搬送方向直下流のシート幅方向両端側(操作側及び駆動側)には、シート幅方向両端側に位置するスリッタ11aにより裁断された段ボールシート5の裁ちくず(トリム)5aを吸い込むトリムシュータ123が設置されている。図8では、シート幅方向一端部に設けられたトリムシュータ123のみ示し、シート幅方向他端部に設けられたトリムシュータについては省略している。
【0008】
また、特許文献1には、スコアラ軸10bの軸方向一端部で且つトリムに対応した位置にダミーの罫線ロールを設け、このダミーの罫線ロールにより段ボールシートに対して制動抵抗を付加してシート幅方向での抵抗を均衡させるようにする技術が開示されている。
【特許文献1】実開平5−95726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来の段ボールシートの斜行検出装置では、スコアラ10よりもシート搬送方向上流側における段ボールシート5の斜行を検出することはできるが、スリッタスコアラ108内部で発生する段ボールシート5の斜行までは検出することはできない。このため、スリッタスコアラ108内部で段ボールシート5の斜行が発生した場合には寸法ずれが生じてしまう。
【0010】
また、特許文献1の技術では、スコアラの位置で段ボールシートに対する制動抵抗を付加するものであり、上記の従来の段ボールシートの斜行検出装置と同様に、スリッタスコアラ内部で発生する段ボールシートの斜行までは検出することができない。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、スリッタスコアラ内部で発生する段ボールシートの斜行を検出できるようにした、段ボールシートの斜行検出装置及び検出方法並びにスリッタスコアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、請求項1記載の本発明の段ボールシートの斜行検出装置は、段ボールシートにシート搬送方向に沿って罫入れを行うスコアラと、該スコアラよりもシート搬送方向下流側に設けられ、該段ボールシートをシート搬送方向に沿って裁断するスリッタとを備えた段ボールシート製造装置のスリッタスコアラにおいて該段ボールシートの斜行を検出する、段ボールシートの斜行検出装置であって、該スコアラよりもシート搬送方向上流側に設けられ、該段ボールシートのシート幅方向における位置を検出する第1の位置検出手段と、該スリッタよりもシート搬送方向下流側に設けられ、該段ボールシートのシート幅方向における位置を検出する第2の位置検出手段と、該第1の位置検出手段及び該第2の位置検出手段により検出された該段ボールシートの位置情報に基づいて該段ボールシートの斜行量を算出する算出手段とをそなえていることを特徴としている。
【0012】
請求項2記載の本発明の段ボールシートの斜行検出装置は、請求項1記載の装置において、該算出手段により算出された該段ボールシートの斜行量を報知する報知手段をそなえていることを特徴としている。
請求項3記載の本発明の段ボールシートの斜行検出装置は、請求項1又は2記載の装置において、該第1の位置検出手段及び該第2の位置検出手段が、該段ボールシートに対して非接触で該段ボールシートのシート幅方向における位置を検出する光学式センサであることを特徴としている。
【0013】
請求項4記載の本発明のスリッタスコアラは、請求項1〜3の何れか1項に記載の段ボールシートの斜行検出装置と、該スコアラ及び該スリッタの全体をシート搬送方向に対して傾ける駆動装置と、該算出手段により算出された該段ボールシートの斜行量に基づき、該スコアラ及び該スリッタの全体がシート搬送方向に対して該斜行量分だけ該段ボールシートの斜行方向と同じ方向に傾くように該駆動装置を制御する駆動制御手段とをそなえていることを特徴としている。
【0014】
請求項5記載の本発明の段ボールシートの斜行検出方法は、段ボールシートにシート搬送方向に沿って罫入れを行うスコアラと、該スコアラよりもシート搬送方向下流側に設けられ、該段ボールシートをシート搬送方向に沿って裁断するスリッタとを備えた段ボールシート製造装置のスリッタスコアラにおいて該段ボールシートの斜行を検出するための、段ボールシートの斜行検出方法であって、まず、該スコアラよりもシート搬送方向上流側で該段ボールシートのシート幅方向における第1の位置を検出するとともに、該スリッタよりもシート搬送方向下流側で該段ボールシートのシート幅方向における第2の位置を検出し、次に、該第1のステップで検出した該第1の位置及び該第2の位置に基づいて該段ボールシートの斜行量を算出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の本発明の段ボールシートの斜行検出装置によれば、算出手段が第1の位置検出手段及び第2の位置検出手段により検出された段ボールシートの位置情報に基づいて段ボールシートの斜行量を算出するので、スリッタスコアラ内部で発生する段ボールシートの斜行を検出することができる。
請求項2記載の本発明の段ボールシートの斜行検出装置によれば、算出手段により算出された段ボールシートの斜行量を報知する報知手段をそなえているので、スリッタスコアラ内部で段ボールシートが斜行していることをオペレータに報知することができる。
【0016】
請求項3記載の本発明の段ボールシートの斜行検出装置によれば、第1の位置検出手段及び第2の位置検出手段が、段ボールシートに対して非接触で段ボールシートの位置を検出する光学式センサであるので、段ボールシートに損傷を与えることなく段ボールシートのシート幅方向における位置を検出することができる。
請求項4記載の本発明のスリッタスコアラによれば、駆動制御手段が、算出手段により算出された段ボールシートの斜行量に基づき、スコアラ及びスリッタの全体がシート搬送方向に対して斜行量分だけ段ボールシートの斜行方向と同じ方向に傾くように駆動装置を制御するので、スコアラによる罫入れ位置やスリッタによる切断位置のずれを防止できる。
【0017】
請求項5記載の本発明の段ボールシートの斜行検出方法によれば、スコアラよりもシート搬送方向上流側で段ボールシートのシート幅方向における第1の位置を検出するとともに、スリッタよりもシート搬送方向下流側で段ボールシートのシート幅方向における第2の位置を検出し、第1の位置及び第2の位置に基づいて段ボールシートの斜行量を算出するので、スリッタスコアラ内部で発生する段ボールシートの斜行を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
(A)第1実施形態
図1及び図2は本発明の第1実施形態としての段ボールシートの斜行検出装置を説明するための図で、図1は段ボールシート製造装置のスリッタスコアラを模式的に示す斜視図、図2は段ボールシートの斜行状態を表示する表示装置の表示内容を模式的に示す図である。なお、図1において、前述した従来例と同一の部位については同一の符号を用いて示している。
【0019】
図1に示すように、スリッタスコアラ8は、段ボールシート5にシート搬送方向に沿って罫入れを行うスコアラ10と、スコアラ10よりもシート搬送方向下流側に設けられ、段ボールシート5をシート搬送方向に沿って裁断するスリッタ11とを備えて構成されている。スコアラ10は、シート幅方向に延設されたスコアラ軸10bと、スコアラ軸10bの軸方向に複数並んで設けられ、段ボールシート5に罫線を入れるスコアラロール10aとを備えて構成されており、スリッタ11は、シート幅方向に延設されたスリッタ軸11bと、スリッタ軸11bの軸方向に複数並んで設けられ、段ボールシート5を裁断するスリッタロール11aとを備えて構成されている。
【0020】
また、スリッタスコアラ8には、スコアラ10及びスリッタ11の全体(スリッタスコアラ)を一体ものとしてシート搬送方向に対して段ボールシート5面内において傾ける機能と、スコアラロール10a及びスリッタロール11aをそれぞれ個別にシート幅方向へ移動させる機能とを有する駆動装置50を備えている。
また、スコアラ10のシート搬送方向上流側、及び、スコアラ10とスリッタ11との間、及び、スリッタ11のシート搬送方向下流側の3箇所にシート幅方向に亘って延設され、段ボールシート5表面に接触して段ボールシート5の反りや浮き上がりを矯正する紙押さえロール120,121,122が設けられている。さらに、スリッタ11よりもシート搬送方向直下流のシート幅方向両端側(操作側及び駆動側)には、シート幅方向両端側に位置するスリッタロール11aにより裁断された段ボールシート5の裁ちくず(トリム)5aを吸い込むトリムシュータ123が設置されている。なお、図1では、シート幅方向一端部(図1上側)に設けられたトリムシュータ123のみ示し、シート幅方向他端部(図1下側)に設けられるトリムシュータについては図示を省略している。
【0021】
また、本実施形態にかかるスリッタスコアラ8には、第1トラッキングセンサ(第1の位置検出手段)20,第2トラッキングセンサ(第2の位置検出手段)22,コントローラ27及び表示装置(報知手段)28が備えられている。
第1トラッキングセンサ20は、スコアラ10よりもシート搬送方向上流側に設けられており、段ボールシート5のシート幅方向における位置(第1の位置)を検出するようになっている。また、第2トラッキングセンサ22は、スリッタ11よりもシート搬送方向下流側に設けられ、段ボールシート5のシート幅方向における位置(第2の位置)を検出するようになっている。第1トラッキングセンサ20及び第2トラッキングセンサ22は、段ボールシート5に対して非接触で段ボールシート5のシート幅方向における位置を検出する光学式マウスなどの公知の光学式センサであり、段ボールシート5に損傷を与えることなく段ボールシート5のシート幅方向における位置を検出することができる。
【0022】
また、第1トラッキングセンサ20及び第2トラッキングセンサ22は、段ボールシート5の搬送中心線CL上の段ボールシート5表面に近接した位置に固定されている。従って、段ボールシート5が斜行していない状態で予め第1トラッキングセンサ20及び第2トラッキングセンサ22をゼロにプリセットしておけば、その後段ボールシート5が斜行した場合、段ボールシート5のシート幅方向における移動量(即ち、搬送中心線CLからのずれ量)がわかる。
【0023】
コントローラ27には、算出部(算出手段)27a,駆動制御部(駆動制御手段)27b,表示制御部(表示制御手段)27cの各機能が組み込まれている。図2を参照して説明すると、算出部27aは、第1トラッキングセンサ20から得られた第1トラッキングセンサ20の位置S20における段ボールシート5の位置P20と、第2トラッキングセンサ22から得られた第2トラッキングセンサ22の位置S22における段ボールシート5の位置P22とを直線で結んで段ボールシート5の斜行状態を推測し、この推測した段ボールシート5の斜行状態から、段ボールシート5のシート搬送方向に対する斜行量(即ち、正常走行時における段ボールシート5の中心線CLからの傾き量)θを算出するようになっている。例えば、第1トラッキングセンサ20の位置S20における段ボールシート5のシート幅方向のずれ量をD20、第2トラッキングセンサ22の位置S22における段ボールシート5のシート幅方向のずれ量をD22、第1トラッキングセンサ20の位置S20から第2トラッキングセンサ22の位置S22までの距離をD1とすると、斜行量θは、tanθ=(D22−D20)/D1から求めることができる。なお、本発明にかかる斜行検出装置は、上述した第1トラッキングセンサ20,第2トラッキングセンサ22及び算出部27aを備えて構成される。
【0024】
駆動制御部(駆動制御手段)27bは、算出部27aにより算出された段ボールシート5のシート搬送方向に対する斜行量θに基づき、スコアラ10及びスリッタ11の全体がシート搬送方向に対して斜行量θ分だけ段ボールシート5の斜行方向と同じ方向に傾くように駆動装置50を制御するようになっている。
なお、前述したように、スリッタロール11aにより裁断する位置や、スコアラロール10aにより罫線を入れる位置は予め製品毎に設定されており、このような製品情報が図示しない入力装置から駆動制御部27bに入力されることにより、駆動制御部27bが生産開始前に駆動装置50を制御してスコアラロール10a及びスリッタロール11aをそれぞれ製品情報に応じた所定のシート幅方向位置に移動させてその位置で固定するようになっている。
【0025】
表示制御部27cは、図2に示すように、表示装置28の画面28aに、第1トラッキングセンサ20から得られた段ボールシート5の位置P20と、第2トラッキングセンサ22から得られた段ボールシート5の位置P22とをポインタ表示(図2に示すように例えば三角印で表示)するとともに、段ボールシート5の斜行状態を模式的に表示するようになっている。
【0026】
本発明の第1実施形態としての段ボールシートの斜行検出装置は、上述のごとく構成されているので、スリッタスコアラ8内部で発生する段ボールシート5の斜行を検出することができる。
また、段ボールシート5の斜行状態を表示装置28に表示するので、スリッタスコアラ8内部で段ボールシート5が斜行していることをオペレータに報知することができる。従って、オペレータは、段ボールシート5に寸法ずれが生じている可能性を知ることができ、早期の対応ができる。
【0027】
さらに、本斜行検出装置を備えたスリッタスコアラ8によれば、スリッタスコアラ8内部で段ボールシート5が斜行している場合、段ボールシート5の斜行に応じてスコアラ10及びスリッタ11の全体が自動でシート搬送方向に対して傾くので、スコアラ10による罫入れ位置やスリッタ11による切断位置のずれを防止することができる。
また、第1トラッキングセンサ20及び第2トラッキングセンサ22は、従来のようなビジョンセンサと比べて安価な光学式センサであるので、装置を低コストに抑えることができる。
【0028】
(B)第2実施形態
図3は本発明の第2実施形態としての段ボールシートの斜行検出装置を説明するための図で、段ボールシート製造装置のスリッタスコアラを模式的に示す斜視図である。なお、図3において、前述した第1実施形態と同一の部位については同一の符号を用いて示している。また、以下では、第1実施形態と異なる点について説明し、その他の構成については第1実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0029】
図3に示すように、本実施形態では、スコアラ10よりもシート搬送方向下流側で且つ紙押さえロール121よりもシート搬送方向上流側に第3トラッキングセンサ(第3の位置検出手段)21が設けられている。第3トラッキングセンサ21は、第1実施形態の第1トラッキングセンサ20及び第2トラッキングセンサ22と同様に構成されており、段ボールシート5のシート幅方向における位置を検出するようになっている。
【0030】
そして、算出部27aは、第1トラッキングセンサ20及び第2トラッキングセンサ22からの段ボールシート5の位置情報だけでなく、第3トラッキングセンサ21からの段ボールシート5の位置情報も用いて、スリッタスコアラ8内部における段ボールシート5の斜行量を算出するようになっている。この斜行量は、例えば、第1トラッキングセンサ20の位置S20から第3トラッキングセンサ21の位置S21までの斜行量と、第3トラッキングセンサ21の位置S21から第2トラッキングセンサ22の位置S22までの斜行量との平均(例えば、単純平均、あるいは、適宜の重み付けをした加重平均)から求めることができる。
【0031】
また、駆動制御部27bは、算出部27aにより算出された段ボールシート5の斜行量に基づいて、段ボールシート5の斜行に応じてスコアラ10及びスリッタ11の全体を自動でシート搬送方向に対して傾ける。
さらに、表示制御部27cは、表示装置28の画面28aに、第1トラッキングセンサ20から得られた段ボールシート5の位置P20と、第2トラッキングセンサ22から得られた段ボールシート5の位置P22と、第3トラッキングセンサ21から得られた段ボールシート5の位置をポインタ表示するとともに、段ボールシート5の斜行状態を模式的に表示する。
【0032】
本発明の第2実施形態としての段ボールシートの斜行検出装置は、上述のごとく構成されているので、スリッタスコアラ8内部で発生する段ボールシート5の斜行を第1実施形態よりも精度良く検出することができる。
また、段ボールシート5の斜行状態を第1実施形態よりも精度良く表示装置28に表示できるので、スリッタスコアラ8内部で段ボールシート5が斜行していることをより詳細にオペレータに報知することができる。従って、オペレータは、段ボールシート5に寸法ずれが生じている可能性を知ることができ、早期の対応ができる。
【0033】
さらに、本斜行検出装置を備えたスリッタスコアラ8によれば、第1実施形態よりも精度良くスコアラ10及びスリッタ11の全体を段ボールシート5の斜行に応じて自動でシート搬送方向に対して傾けるので、スコアラ10による罫入れ位置やスリッタ11による切断位置のずれをより確実に防止することが可能となる。
【0034】
(C)第3実施形態
図4は本発明の第3実施形態としての段ボールシートの斜行検出装置を説明するための図で、段ボールシート製造装置のスリッタスコアラを模式的に示す斜視図である。なお、図4において、前述した第2実施形態と同一の部位については同一の符号を用いて示している。また、以下では、第2実施形態と異なる点について説明し、その他の構成については第2実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0035】
図4に示すように、本実施形態では、スコアラ10よりもシート搬送方向下流側で且つ第3トラッキングセンサ21よりもシート搬送方向上流側に第1ビジョンセンサ(第1の斜行検出手段)23が設けられているとともに、第2トラッキングセンサ22よりもシート搬送方向下流側に第2ビジョンセンサ(第2の斜行検出手段)24が設けられている。第1ビジョンセンサ23及び第2ビジョンセンサ24は段ボールシート5の上方に固定されており、段ボールシート5の幅方向両端部を撮像するようになっている。また、段ボールシート5の下方には、第1ビジョンセンサ23による撮像領域に向かって光を当てる光源としての蛍光灯25と、第2ビジョンセンサ24による撮像領域に向かって光を当てる光源としての蛍光灯26とが設けられている。
【0036】
そして、算出部27aは、第1トラッキングセンサ20,第2トラッキングセンサ22及び第3トラッキングセンサ21からの段ボールシート5の位置情報だけでなく、第1ビジョンセンサ23及び第2ビジョンセンサ24からの段ボールシート5の斜行量情報も用いて、スリッタスコアラ8内部における段ボールシート5の斜行量を算出するようになっている。この斜行量は、例えば、第1トラッキングセンサ20の位置S20から第3トラッキングセンサ21の位置S21までの斜行量と、第3トラッキングセンサ21の位置S21から第2トラッキングセンサ22の位置S22までの斜行量と、第1ビジョンセンサ23及び第2ビジョンセンサ24から得られた斜行量との平均(例えば、単純平均、あるいは、適宜の重み付けをした加重平均)から求めることができる。
【0037】
また、駆動制御部27bは、算出部27aにより算出された段ボールシート5の斜行量に基づいて、段ボールシート5の斜行に応じてスコアラ10及びスリッタ11の全体を自動でシート搬送方向に対して傾ける。
さらに、表示制御部27cは、表示装置28の画面28aに、第1トラッキングセンサ20,第2トラッキングセンサ22及び第3トラッキングセンサ21から得られた段ボールシート5の位置をポインタ表示するとともに、第1ビジョンセンサ23及び第2ビジョンセンサから得られた画像情報も用いて段ボールシート5の斜行状態を模式的に表示するようになっている。
【0038】
本発明の第3実施形態としての段ボールシートの斜行検出装置は、上述のごとく構成されているので、スリッタスコアラ8内部で発生する段ボールシート5の斜行を第2実施形態よりも精度良く検出することができる。
また、段ボールシート5の斜行状態を第2実施形態よりも精度良く表示装置28に表示できるので、スリッタスコアラ8内部で段ボールシート5が斜行していることをより詳細にオペレータに報知することができる。従って、オペレータは、段ボールシート5に寸法ずれが生じている可能性を知ることができ、早期の対応ができる。
【0039】
さらに、本斜行検出装置を備えたスリッタスコアラ8によれば、第2実施形態よりも精度良くスコアラ10及びスリッタ11の全体を段ボールシート5の斜行に応じて自動でシート搬送方向に対して傾けるので、スコアラ10による罫入れ位置やスリッタ11による切断位置のずれをより確実に防止することが可能となる。
なお、始動時に第1ビジョンセンサ23及び第2ビジョンセンサ24から得られた斜行量に基づいてスコアラ10及びスリッタ11の全体を傾け、その後、第1トラッキングセンサ20,第2トラッキングセンサ22及び第3トラッキングセンサ21から得られた斜行量に基づいてスコアラ10及びスリッタ11の全体の傾きを適宜調整するようにしてもよい。
【0040】
(D)その他
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上記の実施形態では、報知手段として表示装置を用いたが、段ボールシート5の斜行量が所定量を超えたら警報を発する警報装置であってもよい。あるいは、これら表示装置及び警報装置の両方を用いてもよい。
【0041】
また、第1トラッキングセンサ20の設置位置は、スコアラ10よりもシート搬送方向上流側であればよく、紙押さえロール120よりもシート搬送方向上流側であってももちろんよい。さらに、第3トラッキングセンサ21の設置位置は、スコアラ10とスリッタ11との間であればよく、紙押さえロール121とスリッタ11との間であってももちろんよい。また、第1ビジョンセンサ23及び蛍光灯25の設置位置は、スコアラ10とスリッタ11との間であればよく、第1トラッキングセンサ21と紙押さえロール121との間や、紙押さえロール121とスリッタ11との間であってももちろんよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態としての段ボールシートの斜行検出装置を説明するための図で、段ボールシート製造装置のスリッタスコアラを模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態としての段ボールシートの斜行検出装置を説明するための図で、段ボールシートの斜行状態を表示する表示装置の表示内容を模式的に示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態としての段ボールシートの斜行検出装置を説明するための図で、段ボールシート製造装置のスリッタスコアラを模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明の第3実施形態としての段ボールシートの斜行検出装置を説明するための図で、段ボールシート製造装置のスリッタスコアラを模式的に示す斜視図である。
【図5】一般的な段ボールシート製造装置の全体構成を模式的に示す側面図である。
【図6】従来のスリッタスコアラ及び段ボールシートの上面図である。
【図7】従来の課題を説明するための図であって、スリッタスコアラ内部で段ボールシートが斜行したときの上面図である。
【図8】従来の段ボールシートの斜行検出装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
5 段ボールシート
5a 裁ちくず(トリム)
8 スリッタスコアラ
10 スコアラ
10a スコアラロール
10b スコアラ軸
11 スリッタ
11a スリッタロール
11b スリッタ軸
20 第1トラッキングセンサ(第1の位置検出手段)
21 第3トラッキングセンサ(第3の位置検出手段)
22 第2トラッキングセンサ(第2の位置検出手段)
23 第1ビジョンセンサ(第1の斜行検出手段)
24 第2ビジョンセンサ(第2の斜行検出手段)
25,26 蛍光灯
27 コントローラ
27a 算出部(算出手段)
27b 駆動制御部(駆動制御手段)
27c 表示制御部(表示制御手段)
28 表示装置(報知手段)
28a 表示装置の画面
50 駆動装置
120,121,122 紙押さえロール
123 トリムシュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールシートにシート搬送方向に沿って罫入れを行うスコアラと、該スコアラよりもシート搬送方向下流側に設けられ、該段ボールシートをシート搬送方向に沿って裁断するスリッタとを備えた段ボールシート製造装置のスリッタスコアラにおいて該段ボールシートの斜行を検出する、段ボールシートの斜行検出装置であって、
該スコアラよりもシート搬送方向上流側に設けられ、該段ボールシートのシート幅方向における位置を検出する第1の位置検出手段と、
該スリッタよりもシート搬送方向下流側に設けられ、該段ボールシートのシート幅方向における位置を検出する第2の位置検出手段と、
該第1の位置検出手段及び該第2の位置検出手段により検出された該段ボールシートの位置情報に基づいて該段ボールシートの斜行量を算出する算出手段とをそなえている
ことを特徴とする、段ボールシートの斜行検出装置。
【請求項2】
該算出手段により算出された該段ボールシートの斜行量を報知する報知手段をそなえている
ことを特徴とする、請求項1記載の段ボールシートの斜行検出装置。
【請求項3】
該第1の位置検出手段及び該第2の位置検出手段が、該段ボールシートに対して非接触で該段ボールシートのシート幅方向における位置を検出する光学式センサである
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の段ボールシートの斜行検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の段ボールシートの斜行検出装置と、
該スコアラ及び該スリッタの全体をシート搬送方向に対して傾ける駆動装置と、
該算出手段により算出された該段ボールシートの斜行量に基づき、該スコアラ及び該スリッタの全体がシート搬送方向に対して該斜行量分だけ該段ボールシートの斜行方向と同じ方向に傾くように該駆動装置を制御する駆動制御手段とをそなえている
ことを特徴とする、スリッタスコアラ。
【請求項5】
段ボールシートにシート搬送方向に沿って罫入れを行うスコアラと、該スコアラよりもシート搬送方向下流側に設けられ、該段ボールシートをシート搬送方向に沿って裁断するスリッタとを備えた段ボールシート製造装置のスリッタスコアラにおいて該段ボールシートの斜行を検出するための、段ボールシートの斜行検出方法であって、
まず、該スコアラよりもシート搬送方向上流側で該段ボールシートのシート幅方向における第1の位置を検出するとともに、該スリッタよりもシート搬送方向下流側で該段ボールシートのシート幅方向における第2の位置を検出し、
次に、該第1のステップで検出した該第1の位置及び該第2の位置に基づいて該段ボールシートの斜行量を算出する
ことを特徴とする、段ボールシートの斜行検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−305925(P2006−305925A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132683(P2005−132683)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】