水田作業機
【課題】 水田作業機において、対地作業装置を水田作業装置に支持した場合、水田作業装置を田面から大きく上昇させた際の対地作業装置と機体の後輪との干渉を避けながら、リンク機構の長さを抑えることができるように構成する。
【解決手段】 水田作業装置5の前側下方に位置する作業位置と、作業位置よりも後方に位置する退避位置A5とに、対地作業装置54を移動自在に構成する。水田作業装置5が接地位置から上昇位置に上昇するのに伴って、対地作業装置54を作業位置から退避位置A5に移動させ、水田作業装置5が上昇位置から接地位置に下降するのに伴って、対地作業装置54を退避位置A5から作業位置に移動させる移動手段83を備える。
【解決手段】 水田作業装置5の前側下方に位置する作業位置と、作業位置よりも後方に位置する退避位置A5とに、対地作業装置54を移動自在に構成する。水田作業装置5が接地位置から上昇位置に上昇するのに伴って、対地作業装置54を作業位置から退避位置A5に移動させ、水田作業装置5が上昇位置から接地位置に下降するのに伴って、対地作業装置54を退避位置A5から作業位置に移動させる移動手段83を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置(苗植付装置や直播装置等)を昇降自在に支持した水田作業機(乗用型田植機や乗用型直播機等)に関する。
【背景技術】
【0002】
水田作業機の一例である乗用型田植機では例えば特許文献1に開示されているように、機体の後部にリンク機構(特許文献1の図1及び図2の7)を介して、苗植付装置(水田作業装置に相当)(特許文献1の図1及び図2の6)を昇降自在に支持し、整地装置(対地作業装置に相当)(特許文献1の図1及び図2の14)を、苗植付装置の前側下方に支持したものがある。これにより、整地装置により田面を整地しながら、苗植付装置による苗の植え付けを行うことができる。
乗用型田植機では一般に、一回の植付行程が終了して畦際に達すると、苗植付装置を田面から大きく上昇させて、畦際での旋回を行い、次の苗植付装置を田面に下降させながら次の植付行程に入る。この場合、苗植付装置の前側下方に整地装置を支持しているので、苗植付装置と一緒に整地装置が上昇及び下降する。
【0003】
【特許文献1】特開平11−262308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、対地作業装置を水田作業装置の前側下方に支持した場合、水田作業装置の前側下方から対地作業装置が前方に突出した状態となる。
これにより、前述のように畦際での旋回時等に水田作業装置を田面から大きく上昇させると、対地作業装置が機体の後輪(特許文献1の図1の2)に干渉することが考えられるので、リンク機構を充分に長いものに構成して、対地作業装置が機体の後輪に干渉しないように構成する必要がある。しかしながら、前述のようにリンク機構を長いものに構成すると、水田作業機の全長が長いものになってしまうので、路上や作業地での操縦性と言う面で不利になる。
【0005】
本発明は水田作業機において、機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、対地作業装置を水田作業装置に支持した場合、水田作業装置を田面から大きく上昇させる際の対地作業装置と機体の後輪との干渉を避けながら、リンク機構の長さを抑えることができるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成)
本発明の第1特徴は、水田作業機において次のように構成することにある。
機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、水田作業装置に対地作業装置を支持する。田面に接地する接地位置と、接地位置の上方に位置する上昇位置とに亘って、水田作業装置を昇降自在に構成する。水田作業装置の前側下方に位置する作業位置と、作業位置よりも後方に位置する退避位置とに、対地作業装置を移動自在に構成する。水田作業装置が接地位置から上昇位置に上昇するのに伴って、対地作業装置を作業位置から退避位置に移動させ、水田作業装置が上昇位置から接地位置に下降するのに伴って、対地作業装置を退避位置から作業位置に移動させる移動手段を備える。
【0007】
本発明の第2特徴は、水田作業機において次のように構成することにある。
機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、水田作業装置に対地作業装置を支持する。水田作業装置に備えられた接地体が田面に接地する接地位置と、接地位置の上方に位置する上昇位置とに亘って、水田作業装置を昇降自在に構成する。水田作業装置の前側下方に位置する作業位置と、作業位置よりも後方で水田作業装置の接地体の下方に位置する退避位置とに、対地作業装置を移動自在に構成する。水田作業装置が接地位置から上昇位置に上昇するのに伴って、対地作業装置を作業位置から退避位置に移動させ、水田作業装置が上昇位置から接地位置に下降するのに伴って、対地作業装置を退避位置から作業位置に移動させる移動手段を備える。
【0008】
(作用)
本発明の第1特徴によると、水田作業装置を接地位置に位置させ、対地作業装置を水田作業装置の前側下方に位置する作業位置に位置させた状態において、水田作業装置を接地位置から上昇させ始めると、これに伴って対地作業装置が作業位置よりも後方に位置する退避位置に自動的に移動する。これにより、水田作業装置の上昇位置において、水田作業装置と機体の後輪との間に対地作業装置が存在しなくなるので、対地作業装置の分だでリンク機構を短くすることができるのであり、水田作業装置を機体の後輪に接近させることができる。
本発明の第1特徴によると、水田作業装置を上昇位置に位置させ、対地作業装置を退避位置に位置させた状態において、水田作業装置を上昇位置から下降させ始めると、これに伴って対地作業装置が作業位置に自動的に移動する。
【0009】
本発明の第2特徴によると、水田作業装置を接地位置に位置させ、対地作業装置を水田作業装置の前側下方に位置する作業位置に位置させた状態において、水田作業装置を接地位置から上昇させ始めると、これに伴って対地作業装置が作業位置よりも後方で水田作業装置の接地体の下方に位置する退避位置に自動的に移動する。これにより、水田作業装置の上昇位置において、水田作業装置と機体の後輪との間に対地作業装置が存在しなくなるので、対地作業装置の分だでリンク機構を短くすることができるのであり、水田作業装置を機体の後輪に接近させることができる。
この場合、前述の退避位置は水田作業装置の接地体の下方に位置しており、退避位置の付近に特に障害物は存在しないので、対地作業装置を支障なく退避位置に移動させることができる。
本発明の第2特徴によると、水田作業装置を上昇位置に位置させ、対地作業装置を退避位置に位置させた状態において、水田作業装置を上昇位置から下降させ始めると、これに伴って対地作業装置が作業位置に自動的に移動する。
【0010】
(発明の効果)
本発明の第1特徴(第2特徴)によると、水田作業機において、機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、対地作業装置を水田作業装置に支持した場合、水田作業装置を田面から大きく上昇させた際の対地作業装置と機体の後輪との干渉を避けながら、リンク機構の長さを抑えることができるようになり、水田作業機の全長を抑えて、路上や作業地での操縦性を向上させることができた。
本発明の第1特徴(第2特徴)によると、水田作業装置の上昇位置への上昇及び接地位置への下降に伴って、対地作業装置が退避位置及び作業位置に自動的に移動するので、操作性の良いものとなった。
【0011】
本発明の第2特徴によると、対地作業装置を退避位置に移動させる場合、退避位置を特に障害物の存在しない水田作業装置の接地体の下方に設定することにより、対地作業装置を支障なく退避位置に移動させることができるようになって、対地作業装置の作業及び退避位置への移動の確実性を向上させることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[1]
図1に示すように、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2で支持された機体の後部に、リンク機構3により4条植型式の苗植付装置5(水田作業装置に相当)が昇降自在に支持され、リンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えられて、水田作業機の一例である乗用型田植機が構成されている。
【0013】
次に、苗植付装置5について説明する。
図1,4,5に示すように、苗植付装置5は、1個のフィードケース17、2個の伝動ケース6、伝動ケース6の後部に回転駆動自在に支持された一対の回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、中央のセンターフロート9(接地体に相当)及びサイドフロート10(接地体に相当)、4個の苗のせ面を備えて左右方向に往復横送り駆動される苗のせ台11等を備えて構成されている。左右方向に配置された支持フレーム18に、フィードケース17及び伝動ケース6が固定されており、リンク機構3の後部に接続された支持部材19の下部の前後軸芯P1(図2及び図3参照)周りに、フィードケース17がローリング自在に支持されている(苗植付装置5が前後軸芯P1周りにローリング自在に支持されている)。
【0014】
図2,3,4に示すように、伝動ケース6にガイドレール38が左右方向に支持され、苗のせ台11の下部がガイドレール38に沿って横移動自在に支持されている。支持フレーム18の右及び左側部に支持フレーム26が固定され上方に延出されて、右及び左の支持フレーム26の上部及び下部に亘って支持フレーム20,28が固定されている。苗のせ台11の上部の前面にガイドレール27が固定されており、右及び左の支持フレーム26に支持されたローラー21に、ガイドレール27及び苗のせ台11が横移動自在に支持されている。
【0015】
図2及び図3に示すように、支持アーム29が支持部材19に固定されて上方に延出されており、ガイドレール27の右及び左側部に固定されたブラケット27aと、支持アーム29とに亘って右及び左のバネ47が接続されている。右及び左のバネ47により苗植付装置5が機体と平行な姿勢に付勢されているのであり、苗のせ台11が往復横送り駆動されるのに伴って、右又は左のバネ47が引き延ばされると、右又は左のバネ47の付勢力により苗植付装置5の右又は左への傾斜が抑えられる。
【0016】
図1,2,5に示すように、運転座席12の後側に、肥料を貯留するホッパー13、及び2つの植付条に対応した2個の繰り出し部14が備えられており、繰り出し部14の横側にブロア15が備えられている。センターフロート9に2個の作溝器16が固定され、サイドフロート11に1個の作溝器16が固定されて、4個の作溝器16が備えられており、繰り出し部14と作溝器16とに亘って4本の搬送ホース22が接続されている。
【0017】
[2]
図1,2,3,4に示すように、エンジン(図示せず)の動力が植付クラッチ23(図10参照)及びPTO軸24を介して、支持フレーム18を貫通する入力軸25に伝達されて、入力軸25からフィードケース17に伝達される。入力軸25の動力がフィードケース17の横送り変速機構(図示せず)を介して、苗のせ台11を往復横送り駆動する横送り軸(図示せず)に伝達され、入力軸25の動力がフィードケース17の伝動チェーン30、伝動ケース6に亘って架設された伝動軸31、伝動ケース6の入力軸32、伝動チェーン33、少数条クラッチ34及び駆動軸35を介して回転ケース7に伝達される。フィードケース17及び伝動ケース6に亘って円筒状のカバー36が固定されており、カバー36により伝動軸31が覆われている。
【0018】
植付クラッチ23が伝動状態に操作されると、苗のせ台11が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が図1の紙面反時計方向に回転駆動され、苗のせ台11の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面Gに植え付ける。植付クラッチ23が遮断状態に操作されると、苗のせ台11の往復横送り駆動及び回転ケース7の回転駆動が停止する。
【0019】
図1に示すように、エンジン(図示せず)の動力が施肥クラッチ37(図10参照)を介して繰り出し部14に伝達されており、施肥クラッチ37により繰り出し部14の作動及び停止を行う。これにより、前述のような苗の植え付けに伴って、ホッパー13から肥料が所定量ずつ繰り出し部14によって繰り出され、ブロア15の送風により肥料が搬送ホース22を通って作溝器16に供給されるのであり、作溝器16を介して肥料が田面Gに供給される。
【0020】
[3]
次に、苗植付装置5の昇降制御機構について説明する。
図2,5,6に示すように、支持フレーム18の右及び左側部に固定されたブラケット39の横軸芯P2周りに支持軸41が回転自在に支持されて、支持軸41に固定された支持アーム41aが後方に延出されており、支持軸41の支持アーム41aの後端の横軸芯P3周りに、センターフロート9及びサイドフロート10の後部が上下に揺動自在に支持されている。人為的に操作可能な植付深さレバー42が支持軸41に固定されて前方上方に延出されており、支持フレーム18,28及びフィードケース17に亘って固定されたレバーガイド43に、植付深さレバー42が挿入されている。
【0021】
図5,6,10に示すように、植付深さレバー42により支持軸41の支持アーム41aを回動操作して、横軸芯P3(センターフロート9及びサイドフロート10)の位置を上下に変更することにより、植付設定高さA1(設定深さ)(田面Gから支持軸41(横軸芯P2)までの高さ)を変更することができるのであり、植付深さレバー42をレバーガイド43に係合させることにより、横軸芯P3(センターフロート9及びサイドフロート10)の位置を固定して、植付設定高さA1(設定深さ)を設定することができる。
【0022】
図5,6,7に示すように、センターフロート9の前端部の左側部にブラケット9aが固定されて、センターフロート9のブラケット9aに操作ロッド45が接続され、操作ロド45が支持フレーム18を貫通して上方に延出されており、操作ロッド45の上端部にブラケット45aが固定されている。支持フレーム18にブラケット46が固定されて、ブラケット46の前後軸芯P4周りに天秤状の連係アーム48が揺動自在に支持されており、連係アーム48の端部に接続された連係ロッド49が支持フレーム18を貫通して下方に延出され、支持軸41に固定された連係アーム41bに、連係ロッド49の下端部が接続されている。
【0023】
図6,7,10に示すように、油圧シリンダ4に作動油を給排操作する機械操作式の制御弁50が機体に備えられており、制御弁50にワイヤ51のインナー51aが接続されている。ワイヤ51のアウター51bが操作ロッド45のブラケット45aに固定され、ワイヤ51のインナー51aが連係アーム48の端部に接続されている。
【0024】
図6,7,10に示す状態においてセンターフロート9が田面Gに接地追従するので、操作ロッド45及び操作ロッド45のブラケット45aは田面Gから一定の高さに位置している。植付深さレバー42がレバーガイド43に係合して固定されているので、支持軸41の連係アーム41b及び連係ロッド49により、連係アーム48が苗植付装置5に固定された状態(前後軸芯P4周りに揺動しない状態)となっている。
【0025】
以上の構造により、機体の姿勢変化等により苗植付装置5が上下動すると、連係アーム48が苗植付装置5と一緒に上下動して、連係アーム48によりワイヤ51のインナー51aが押し引き操作され、ワイヤ51のインナー51aにより制御弁50が操作される。制御弁50により作動油の給排操作が行われ、油圧シリンダ4により苗植付装置5が昇降駆動されて、植付設定高さA1(設定深さ)が維持される(苗植付装置5(植付アーム8)による苗の植付深さが設定深さに維持される)(昇降制御機構)。
【0026】
図6,7,10に示すように、植付深さレバー42により横軸芯P3(センターフロート9及びサイドフロート10)の位置を変更すると、新たな植付設定高さA1(設定深さ)が設定される。これに伴い支持軸41の連係アーム41b及び連係ロッド49により、連係アーム48の姿勢が前後軸芯P4周りに変更されて、操作ロッド45のブラケット45aと連係アーム48の端部との上下間隔(ワイヤ51のインナー51aの出ている長さ)が、植付設定高さA1(設定深さ)の変更に関係なく、制御弁50の中立位置に対応するものに維持される。
【0027】
[4]
次に、苗植付装置5の昇降操作について説明する。
図1及び図10に示すように、前輪1を操向操作する操縦ハンドル52の右横側に昇降操作レバー53が備えられて、昇降操作レバー53は上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作自在に構成されており、昇降操作レバー53と制御弁50、植付及び施肥クラッチ23,37とが機械的に連係されている。
【0028】
図10に示すように、昇降操作レバー53を上昇位置に操作すると、植付及び施肥クラッチ23,37が遮断状態に操作され、前項[3]に記載の昇降制御機構が停止した状態で、制御弁50が上昇位置に操作されて苗植付装置5が上昇する。昇降操作レバー53を中立位置に操作すると、植付及び施肥クラッチ23,37が遮断状態に操作され、前項[3]に記載の昇降制御機構が停止した状態で、制御弁50が中立位置に操作されて苗植付装置5の昇降が停止する。
【0029】
図10に示すように、昇降操作レバー53を下降位置に操作すると、植付及び施肥クラッチ23,37が遮断状態に操作され、前項[3]に記載の昇降制御機構が停止した状態で、制御弁50が下降位置に操作されて苗植付装置5が下降し、センターフロート9が田面Gに接地すると、前項[3]に記載の昇降制御機構が作動する。昇降操作レバー53を植付位置に操作すると、前述の昇降操作レバー53を下降位置に操作した状態に加えて、植付及び施肥クラッチ23,37が伝動状態に操作される。
【0030】
[5]
次に、苗植付装置5と機体との間に備えられる整地装置54(対地作業装置に相当)について説明する。
図2,3,4に示すように、支持フレーム18の左側部に支持フレーム55が固定されて、支持フレーム55にボス部材64が固定され、伝動軸31及び入力軸32の横軸芯P5周りに、伝動ケース56がボス部材64に上下に揺動自在に支持されている。支持フレーム18の右側部に支持フレーム57が固定されて、支持フレーム57の横軸芯P5(伝動軸31及び入力軸32の横軸芯P5)周りに、支持アーム58が上下に揺動自在に支持されており、伝動ケース56及び支持アーム58に亘って、断面正方形状の駆動軸61が回転自在に支持されている。
【0031】
図9に示すように、合成樹脂により一体的に形成された小幅の回転体62が備えられている。回転体62はボス部62a、ボス部62aに形成された断面正方形状の取付孔62b、ボス部62aから放射状に延出されたアーム部62c、アーム部62cの端部に接続された凸状の整地部62dを備えて構成されており、隣接するアーム部62cの間に大きな空間62eが形成されている。
【0032】
図3及び図4に示すように、多数の回転体62のボス部62a(取付孔62b)に駆動軸61が挿入されて、回転体62が駆動軸61に固定されており、駆動軸61の中央部にスペーサ63が外嵌されて、回転体62の位置が決められている。回転体62とスペーサ63との間、回転体62と伝動ケース56及び支持アーム58との間に、円盤部材59が駆動軸61に固定されている。図9に示すように、円盤部材59は回転体62と略同じ外径を備えて、多数の長孔59aが放射状に形成されている。
【0033】
図3,4,9に示すように、多数の回転体62において、全ての回転体62のアーム部62c(空間62e)の位相(位置)が一致するように、回転体62が駆動軸61に固定されている。スペーサ63によって分けられた右側の多数の回転体62と左側の多数の回転体62とにおいても、回転体62のアーム部62c(空間62e)の位相(位置)が一致するように構成されている。全ての円盤部材59において、円盤部材59の長孔59aの位相(位置)と、回転体62の空間62eの位相(位置)とが一致するように構成されている。平面視(図4参照)でスペーサ63の位置にPTO軸24が配置されており、苗植付装置5が大きく上昇した際に、PTO軸24が円盤部材59の間に入り込んで回転体62に干渉しないようにしている。
【0034】
図2,3,4に示すように、駆動軸61、回転体62及び円盤部材59、伝動ケース56及び支持アーム58等により整地装置54が構成されている。苗植付装置5(センターフロート9及びサイドフロート10)と機体(後輪2)との間に、整地装置54が備えられており、伝動ケース56及び支持アーム58が横軸芯P5周りに上下に揺動することによって、整地装置54が昇降自在に支持されている。
【0035】
図2及び図4に示すように、整地装置54の横幅と略同じ横幅を備えたカバー60が支持フレーム18の前部に固定されて、カバー60が整地装置54の後方に位置し、センターフロート9及びサイドフロート10の前方に位置するように構成されており、整地装置54から後方に飛散する泥が、センターフロート9及びサイドフロート10に堆積しないようにしている。この場合、植付設定高さA1(設定深さ)が最低位置(設定深さが最深位置)に設定されても、カバー60の下端部が田面Gに接地しないように、カバー60の下端部の位置が設定されている。
【0036】
図1,3,4に示すように、丸棒状のガード部材65が支持フレーム55,57に備えられて後方に延出されており、ガード部材65が伝動ケース56及び支持アーム58、ガイドレール38の横外側に位置して、ガード部材65により伝動ケース56及び支持アーム58、ガイドレール38が保護されている。ガード部材65が支持フレーム55,57に回転自在に支持されており、ガード部材65を図1に示す後方に向く姿勢から真下に向く姿勢に変更することによって、ガード部材65を苗植付装置5のスタンドとしても使用することができる。
【0037】
[6]
次に、整地装置54の駆動構造について説明する。
図4に示すように、入力軸32に接続された伝動軸66が、ボス部材64及び伝動ケース56の内部に配置されており、伝動ケース56の内部において、伝動軸66と駆動軸61とに亘って伝動チェーン67が巻回されている。伝動ケース6及びボス部64に亘って円筒状のカバー36が固定されており、カバー36により伝動軸66が覆われている。
【0038】
前項[2][4]に記載のように、植付クラッチ23(図10参照)が伝動状態に操作されると、苗のせ台11が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が図1の紙面反時計方向に回転駆動され、苗のせ台11の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面Gに植え付けるのであり、伝動軸31及び入力軸32の動力が整地装置54に伝達されて、回転体62及び円盤部材59(整地装置54)が図2の紙面反時計方向に回転駆動される。植付クラッチ23が遮断状態に操作されると、苗のせ台11の往復横送り駆動及び回転ケース7の回転駆動が停止するのであり、回転体62及び円盤部材59(整地装置54)が停止する。
【0039】
この場合、回転体62及び円盤部材59(整地装置54)が、機体の走行速度よりも高速で回転駆動される(右及び左の後輪2の外周部の周速度よりも、回転体62及び円盤部材59(整地装置54)の外周部の周速度が高速になるように回転駆動される)。これにより、植付アーム8の前方の田面Gが回転体62及び円盤部材59(整地装置54)によって整地(代掻き)されるのであり、回転体62及び円盤部材59(整地装置54)から後方に飛散する泥が、カバー60によって止められる。
【0040】
[7]
次に、整地装置54の昇降駆動構造について説明する。
図2,3,8に示すように、左の支持フレーム26にブラケット26aが固定されて、板材を折り曲げて構成された支持部材68が、左の支持フレーム26のブラケット26aにボルト連結されており、支持部材68に固定されたボス部68aに操作軸69が回転自在に支持されている。支持部材68の後側部(苗のせ台11側)において、操作軸69に扇型ギヤ70及び操作アーム71が固定されており、左の支持フレーム26のブラケット26aと支持部材68との間から操作アーム71が突出して、操作アーム71と伝動ケース56とに亘って左の操作ロッド72が接続されている。
【0041】
図2,3,8に示すように、支持部材68の後側部(苗のせ台11側)において、電動モータ73及び減速機構74が固定されて、減速機構74のピニオンギヤ74aが扇型ギヤ70に咬合しており、電動モータ73及び減速機構74が袋状のカバー75によって覆われている。支持部材68の前側部において、カバーで覆われた制御装置40が固定されて、操作軸69の角度を検出するポテンショメータ76が固定されており、ポテンショメータ76の検出値が制御装置40に入力されている。
【0042】
図2,3,8に示すように、右の支持フレーム26にブラケット26bが固定されて、右の支持フレーム26のブラケット26bの前後軸芯P6周りに、正面視(図3参照)で「く」字状の操作アーム77が揺動自在に支持されている。扇型ギヤ70に固定されたブラケット70aと操作アーム77の端部とに亘って、操作ロッド78が接続されており、操作アーム77の端部と支持アーム58とに亘って、右の操作ロッド72が接続されている。
【0043】
図2,3,8に示すように、電動モータ73及び減速機構74により扇型ギヤ70が図8の紙面反時計方向に回転駆動されると、操作アーム71が上方に駆動されて、右の操作ロッド72により伝動ケース56が上昇する。扇型ギヤ70により操作ロッド78を介して、操作アーム77が図3の紙面時計方向に回転駆動されて、左の操作ロッド72により支持アーム58が上昇する。これにより、整地装置54が上昇する。
逆に、電動モータ73及び減速機構74により扇型ギヤ70が図8の紙面時計方向に回転駆動されると、操作アーム71が下方に駆動されて、右の操作ロッド72により伝動ケース56が下降する。扇型ギヤ70により操作ロッド78を介して、操作アーム77が図3の紙面反時計方向に回転駆動されて、左の操作ロッド72により支持アーム58が下降する。これにより、整地装置54が下降する。
【0044】
この場合、図10に示すように、苗植付装置5(センターフロート9及びサイドフロート10)が田面Gに接地しても、回転体62及び円盤部材59(整地装置54)が田面Gに接地しない上方位置A3、及び苗植付装置5(センターフロート9及びサイドフロート10)が田面Gに接地すると、回転体62及び円盤部材59(整地装置54)も田面Gに接地する作業位置A4が設定されており、電動モータ73により上方及び作業位置A3,A4の範囲で整地装置54が昇降する。
【0045】
[8]
次に、整地装置54の整地制御について説明する。
図3,5,10に示すように、支持フレーム18にポテンショメータ44が固定され、支持軸41に固定された連係アーム41cがポテンショメータ44の検出部に接続されており、ポテンショメータ44により支持軸41の角度が検出される。ポテンショメータ44の検出値が制御装置40に入力されており、制御装置40において、ポテンショメータ44の検出値に基づいて、植付設定高さA1(設定深さ)を認識することができるのであり、ポテンショメータ76の検出値に基づいて、苗植付装置5(植付設定高さA1(設定深さ))に対する整地装置54の高さを認識することができる。
【0046】
図10に示すように、回転体62及び円盤部材59(整地装置54)による整地(代掻き)にとって、作業位置A4において適正な高さである整地設定高さA2(整地深さ)が制御装置40に設定されている。これにより前項[3]に記載のように、植付深さレバー42によって植付設定高さA1(設定深さ)が設定(変更)されると、ポテンショメータ44,76の検出値に基づいて、苗植付装置5(植付設定高さA1(設定深さ))に対する整地装置54の高さが、作業位置A4において整地設定高さA2(整地深さ)となるように、制御装置40により電動モータ73が操作されて、整地装置54が昇降される。
【0047】
前項[3]及び図10に示すように、油圧シリンダ4により苗植付装置5が昇降駆動されて、植付設定高さA1(設定深さ)が維持されると(苗植付装置5(植付アーム8)による苗の植付深さが設定深さに維持されると)、苗植付装置5と一緒に整地装置54が昇降されて、苗植付装置5(植付設定高さA1(設定深さ))に対する整地装置54の高さが、作業位置A4において整地設定高さA2(整地深さ)に維持される。
【0048】
図3及び図10に示すように、ポテンショメータ式のダイヤル設定器79が支持部材68に備えられて、ダイヤル設定器79の設定信号が制御装置40に入力されており、ダイヤル設定器79により整地設定高さA2(整地深さ)を低側(深側)及び高側(浅側)に調節することができる。
ダイヤル設定器79を標準位置に操作していると、整地設定高さA2(整地深さ)に変更はない。植付深さレバー42をレバーガイド43の一目盛りだけ操作した際の植付設定高さA1(設定深さ)の変更量に対して、ダイヤル設定器79を低側(深側)及び高側(浅側)に操作することにより、最大で前述の植付設定高さA1(設定深さ)の変更量を越える範囲(約150%)に、整地設定高さA2(整地深さ)を低側(深側)及び高側(浅側)に変更することができる。
【0049】
[9]
次に、昇降操作レバー53の操作に伴う整地装置54の昇降について説明する。
図3及び図10に示すように、プッシュオン・プッシュオフ式の操作スイッチ80が支持部材68に備えられており、操作スイッチ80の操作信号が制御装置40に入力されている。昇降操作レバー53が植付位置に操作されたことを検出するリミットスイッチ81が備えられて、リミットスイッチ81の検出信号が制御装置40に入力されており、リミットスイッチ81により植付及び施肥クラッチ23,37が伝動及び遮断状態が認識される。機体に対するリンク機構3の上下角度を検出するポテンショメータ82が備えられ、ポテンショメータ82の検出値が制御装置40に入力されており、ポテンショメータ82の検出値に基づいて、機体に対する苗植付装置5の高さH1を検出することができる。
【0050】
図2,3,4に示すように、右及び左の操作ロッド72に電動シリンダ83(移動手段に相当)が備えられて、電動シリンダ83により右及び左の操作ロッド72を伸縮駆動することができるように構成されており、制御装置40により電動シリンダ83が操作される。この場合、図10に示すように、電動シリンダ83の最収縮状態において、扇型ギヤ70及び操作アーム71が上限まで上方に駆動されると、整地装置54が上方位置A3となる。図12(ロ)に示すように、扇型ギヤ70及び操作アーム71が上限まで上方に駆動された状態で、電動シリンダ83が最伸長状態になると、整地装置54(回転体62及び円盤部材59)が、センターフロート9及びサイドフロート10の下方に位置する退避位置A5(作業位置A4よりも後方で水田作業装置の接地体の下方に位置する退避位置)に位置する(途中で作業位置A4を通過するのであり、整地装置54が作業位置A4と退避位置A5とに亘って移動する状態に相当)。
【0051】
図10及び図11に示すように、ポテンショメータ82の検出値に基づいて、機体に対する苗植付装置5の高さH1が検出され(ステップS1)、機体に対する苗植付装置5の高さH1が設定高さH2よりも低い場合(ステップS2)、電動シリンダ83の最収縮状態において、以下の操作が行われる。
【0052】
図10及び図11に示すように、操作スイッチ80がON位置に操作されている場合において(ステップS3)、昇降操作レバー53が植付位置に操作されると(植付及び施肥クラッチ23,37が伝動状態に操作されると)(ステップS4)、制御装置40によって電動モータ73が操作されて、整地装置54が作業位置A4に下降する(ステップS5)。昇降操作レバー53が下降位置、中立位置及び上昇位置に操作されると(植付及び施肥クラッチ23,37が遮断状態に操作されると)(ステップS4)、制御装置40により電動モータ73が操作されて、整地装置54が上方位置A3に上昇する(ステップS6)。
【0053】
図10及び図11に示すように、操作スイッチ80がOFF位置に操作されていると(ステップS3)、昇降操作レバー53に関係なく(植付及び施肥クラッチ23,37の伝動及び遮断状態に関係なく)、制御装置40により電動モータ73が操作されて、整地装置54が上方位置A3に上昇する(ステップS6)。例えば、センターフロート9及びサイドフロート10を田面Gに接地させた状態で、センターフロート9及びサイドフロート10により田面Gを整地しながら旋回する場合(スライディングターン)に対して、操作スイッチ80をOFF位置に操作することは有効である。
【0054】
図10及び図11に示すように、ポテンショメータ82の検出値に基づいて、機体に対する苗植付装置5の高さH1が検出され(ステップS1)、機体に対する苗植付装置5の高さH1が設定高さH2よりも高い場合(ステップS2)、機体に対する苗植付装置5の高さH1に応じて電動シリンダ83が伸縮作動する(ステップS7)。
【0055】
図12(イ)に示すように、扇型ギヤ70及び操作アーム71が上限まで上方に駆動された状態において、機体に対する苗植付装置5の高さH1が設定高さH2であると、整地装置54が上昇位置A3に位置し(電動シリンダ83の最収縮状態)、図12(ロ)に示すように、機体に対する苗植付装置5の高さH1がリンク機構3の上限であると、整地装置54が退避位置A5に位置する(電動シリンダ83の最伸長状態)。これにより、機体に対する苗植付装置5の高さH1に応じて、整地装置54の位置が上昇位置A3及び退避位置A5の間で変化する。
【0056】
図10から図12(イ)(ロ)に示すように、昇降操作レバー53が植付位置に操作された状態(センターフロート9及びサイドフロート10が田面Gに接地し、整地装置54が作業位置A4又は上方位置A3に位置した状態)において、昇降操作レバー53が下降位置に操作されると、整地装置54が上方位置A3に上昇する(上方位置A3に位置する)。次に、昇降操作レバー53が上昇位置に操作されると、苗植付装置5が上昇するのに伴って、機体に対する苗植付装置5の高さH1が設定高さH2を高側に越えると、機体に対する苗植付装置5の高さH1に応じて、整地装置54が上昇位置A3から退避位置A5側に移動するのであり、機体に対する苗植付装置5の高さH1がリンク機構3の上限に達すると、整地装置54が退避位置A5に位置する。
【0057】
図12(ロ)から図12(イ)及び図10に示すように、機体に対する苗植付装置5の高さH1がリンク機構3の上限である状態(整地装置54が退避位置A5に位置する状態)において、昇降操作レバー53が下降位置に操作されると、苗植付装置5が下降するのに伴って(機体に対する苗植付装置5の高さH1に応じて)、整地装置54が退避位置A5から上方位置A3側に移動するのであり、機体に対する苗植付装置5の高さH1が設定高さH2に達すると、整地装置54が上方位置A3に位置し、センターフロート9が田面Gに接地すると、前項[3]に記載の昇降制御機構が作動する。次に、操作スイッチ80がON位置に操作されている場合において、昇降操作レバー53が植付位置に操作されると、整地装置54が作業位置A4に下降する。
【0058】
前述のように、苗植付装置5の上昇に伴って整地装置54が上方位置A3(作業位置A4)から退避位置A5に移動する場合、及び苗植付装置5の下降に伴って整地装置54が退避位置A5から作業位置A4(上方位置A3)に移動する場合、整地装置54が後輪2に干渉しないように、整地装置54の移動軌跡が設定されている。
【0059】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]の図11のズテップS7において、機体に対する苗植付装置5の高さH1に応じて、整地装置54の位置が上昇位置A3及び退避位置A5の間で変化するように構成するのではなく、以下のように構成してもよい。
【0060】
昇降操作レバー53が植付位置に操作された状態(センターフロート9及びサイドフロート10が田面Gに接地し、整地装置54が作業位置A4又は上方位置A3に位置した状態)において、昇降操作レバー53が下降位置に操作されると、整地装置54が上方位置A3に上昇する(上方位置A3に位置する)。
【0061】
次に昇降操作レバー53が上昇位置に操作されて、苗植付装置5が上昇し、機体に対する苗植付装置5の高さH1が設定高さH2に達すると、直ちに整地装置54が退避位置A5に移動し(この場合、整地装置54が退避位置A5に移動しても田面Gに接地しない高さに、設定高さH2を設定する)、機体に対する苗植付装置5の高さH1がリンク機構3の上限に達するまで、整地装置54を退避位置A5に維持する。
【0062】
機体に対する苗植付装置5の高さH1がリンク機構3の上限である状態(整地装置54が退避位置A5に位置する状態)において、昇降操作レバー53が下降位置に操作されて苗植付装置5が下降しても、整地装置54を退避位置A5に維持し、機体に対する苗植付装置5の高さH1が設定高さH2に達すると、直ちに整地装置54が上方位置A3に移動し、センターフロート9が田面Gに接地すると、昇降制御機構が作動する。次に操作スイッチ80がON位置に操作されている場合において、昇降操作レバー53が植付位置に操作されると、整地装置54が作業位置A4に下降する。
【0063】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]において、右及び左の操作ロッド72を廃止し、図13に示すように構成してもよい。
図13に示すように、電動モータ73及び減速機構74が支持フレーム18(図3及び図4参照)の中央部付近に固定されている。整地装置54の左右中央のスペーサ63の部分にリング部材84が相対回転自在に外嵌され、減速機構74とリング部材84とに亘って操作ロッド85が接続されている。この場合、操作ロッド85に電動シリンダ83が備えられて、操作ロッド85を伸縮駆動することができるように構成されている。
【0064】
図13に示すように、電動モータ73及び減速機構74により操作ロッド85及びリング部材84を介して、前項[6]に記載のように、苗植付装置5(植付設定高さA1(設定深さ))に対する整地装置54の高さが、作業位置A4において整地設定高さA2(整地深さ)となるように、整地装置54が昇降される。整地装置54の左右中央が支持されて昇降されることにより、図3及び図4に示す右及び左の操作ロッド72による整地装置54の昇降のアンバランスを解消することができる。
【0065】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]において、電動シリンダ83を廃止し、電動モータ73及び減速機構74の作動範囲を充分に大きくして、電動モータ73及び減速機構74により、整地装置54を上方位置A3(作業位置A4)及び退避位置A5に亘って移動させるように構成してもよい。
【0066】
[発明の実施の第4別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]〜[発明の実施の第3別形態]において、電動モータ73及び減速機構74を廃止し、人為的に操作される昇降レバー(図示せず)の操作によって、整地装置54を昇降するように構成してもよい。
【0067】
前述の[発明を実施するための最良の形態]〜[発明の実施の第4別形態]において、水田作業装置及び対地作業装置として、ペースト状の肥料を田面に供給する施肥装置、直播装置、薬剤散布装置及び米ぬか散布装置、溝切り器(不耕起田植用の溝)、溝切り器(排水用の溝)、シート敷設装置(ロール状に巻かれたシート(雑草防止用)を田面に展開させながら敷設する)を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】乗用型田植機の全体側面図
【図2】苗植付装置及び整地装置の側面図
【図3】苗植付装置及び整地装置の正面図
【図4】苗植付装置及び整地装置の平面図
【図5】センターフロート及びサイドフロートの付近の平面図
【図6】センターフロート及び植付深さレバーの付近の側面図
【図7】センターフロートの前端部の左側部の付近の正面図
【図8】左の支持フレーム、電動モータ及び減速機構、扇型ギヤの付近の正面図
【図9】回転体及び円盤部材の斜視図
【図10】苗植付装置と整地装置との連係状態を示す図
【図11】昇降操作レバーの操作に伴う整地装置の昇降の流れを示す図
【図12】(イ)機体に対する苗植付装置の高さが設定高さであり、整地装置が上昇位置に位置した状態(電動シリンダの最収縮状態)を示す側面図、(ロ)機体に対する苗植付装置の高さがリンク機構の上限であり、整地装置が退避位置に位置した状態(電動シリンダの最伸長状態)を示す側面図
【図13】発明の実施の第1別形態における整地装置の平面図
【符号の説明】
【0069】
3 リンク機構
5 水田作業装置
9,10 接地体
54 対地作業装置
83 移動手段
A4 作業位置
A5 退避位置
G 田面
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置(苗植付装置や直播装置等)を昇降自在に支持した水田作業機(乗用型田植機や乗用型直播機等)に関する。
【背景技術】
【0002】
水田作業機の一例である乗用型田植機では例えば特許文献1に開示されているように、機体の後部にリンク機構(特許文献1の図1及び図2の7)を介して、苗植付装置(水田作業装置に相当)(特許文献1の図1及び図2の6)を昇降自在に支持し、整地装置(対地作業装置に相当)(特許文献1の図1及び図2の14)を、苗植付装置の前側下方に支持したものがある。これにより、整地装置により田面を整地しながら、苗植付装置による苗の植え付けを行うことができる。
乗用型田植機では一般に、一回の植付行程が終了して畦際に達すると、苗植付装置を田面から大きく上昇させて、畦際での旋回を行い、次の苗植付装置を田面に下降させながら次の植付行程に入る。この場合、苗植付装置の前側下方に整地装置を支持しているので、苗植付装置と一緒に整地装置が上昇及び下降する。
【0003】
【特許文献1】特開平11−262308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、対地作業装置を水田作業装置の前側下方に支持した場合、水田作業装置の前側下方から対地作業装置が前方に突出した状態となる。
これにより、前述のように畦際での旋回時等に水田作業装置を田面から大きく上昇させると、対地作業装置が機体の後輪(特許文献1の図1の2)に干渉することが考えられるので、リンク機構を充分に長いものに構成して、対地作業装置が機体の後輪に干渉しないように構成する必要がある。しかしながら、前述のようにリンク機構を長いものに構成すると、水田作業機の全長が長いものになってしまうので、路上や作業地での操縦性と言う面で不利になる。
【0005】
本発明は水田作業機において、機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、対地作業装置を水田作業装置に支持した場合、水田作業装置を田面から大きく上昇させる際の対地作業装置と機体の後輪との干渉を避けながら、リンク機構の長さを抑えることができるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成)
本発明の第1特徴は、水田作業機において次のように構成することにある。
機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、水田作業装置に対地作業装置を支持する。田面に接地する接地位置と、接地位置の上方に位置する上昇位置とに亘って、水田作業装置を昇降自在に構成する。水田作業装置の前側下方に位置する作業位置と、作業位置よりも後方に位置する退避位置とに、対地作業装置を移動自在に構成する。水田作業装置が接地位置から上昇位置に上昇するのに伴って、対地作業装置を作業位置から退避位置に移動させ、水田作業装置が上昇位置から接地位置に下降するのに伴って、対地作業装置を退避位置から作業位置に移動させる移動手段を備える。
【0007】
本発明の第2特徴は、水田作業機において次のように構成することにある。
機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、水田作業装置に対地作業装置を支持する。水田作業装置に備えられた接地体が田面に接地する接地位置と、接地位置の上方に位置する上昇位置とに亘って、水田作業装置を昇降自在に構成する。水田作業装置の前側下方に位置する作業位置と、作業位置よりも後方で水田作業装置の接地体の下方に位置する退避位置とに、対地作業装置を移動自在に構成する。水田作業装置が接地位置から上昇位置に上昇するのに伴って、対地作業装置を作業位置から退避位置に移動させ、水田作業装置が上昇位置から接地位置に下降するのに伴って、対地作業装置を退避位置から作業位置に移動させる移動手段を備える。
【0008】
(作用)
本発明の第1特徴によると、水田作業装置を接地位置に位置させ、対地作業装置を水田作業装置の前側下方に位置する作業位置に位置させた状態において、水田作業装置を接地位置から上昇させ始めると、これに伴って対地作業装置が作業位置よりも後方に位置する退避位置に自動的に移動する。これにより、水田作業装置の上昇位置において、水田作業装置と機体の後輪との間に対地作業装置が存在しなくなるので、対地作業装置の分だでリンク機構を短くすることができるのであり、水田作業装置を機体の後輪に接近させることができる。
本発明の第1特徴によると、水田作業装置を上昇位置に位置させ、対地作業装置を退避位置に位置させた状態において、水田作業装置を上昇位置から下降させ始めると、これに伴って対地作業装置が作業位置に自動的に移動する。
【0009】
本発明の第2特徴によると、水田作業装置を接地位置に位置させ、対地作業装置を水田作業装置の前側下方に位置する作業位置に位置させた状態において、水田作業装置を接地位置から上昇させ始めると、これに伴って対地作業装置が作業位置よりも後方で水田作業装置の接地体の下方に位置する退避位置に自動的に移動する。これにより、水田作業装置の上昇位置において、水田作業装置と機体の後輪との間に対地作業装置が存在しなくなるので、対地作業装置の分だでリンク機構を短くすることができるのであり、水田作業装置を機体の後輪に接近させることができる。
この場合、前述の退避位置は水田作業装置の接地体の下方に位置しており、退避位置の付近に特に障害物は存在しないので、対地作業装置を支障なく退避位置に移動させることができる。
本発明の第2特徴によると、水田作業装置を上昇位置に位置させ、対地作業装置を退避位置に位置させた状態において、水田作業装置を上昇位置から下降させ始めると、これに伴って対地作業装置が作業位置に自動的に移動する。
【0010】
(発明の効果)
本発明の第1特徴(第2特徴)によると、水田作業機において、機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、対地作業装置を水田作業装置に支持した場合、水田作業装置を田面から大きく上昇させた際の対地作業装置と機体の後輪との干渉を避けながら、リンク機構の長さを抑えることができるようになり、水田作業機の全長を抑えて、路上や作業地での操縦性を向上させることができた。
本発明の第1特徴(第2特徴)によると、水田作業装置の上昇位置への上昇及び接地位置への下降に伴って、対地作業装置が退避位置及び作業位置に自動的に移動するので、操作性の良いものとなった。
【0011】
本発明の第2特徴によると、対地作業装置を退避位置に移動させる場合、退避位置を特に障害物の存在しない水田作業装置の接地体の下方に設定することにより、対地作業装置を支障なく退避位置に移動させることができるようになって、対地作業装置の作業及び退避位置への移動の確実性を向上させることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[1]
図1に示すように、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2で支持された機体の後部に、リンク機構3により4条植型式の苗植付装置5(水田作業装置に相当)が昇降自在に支持され、リンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えられて、水田作業機の一例である乗用型田植機が構成されている。
【0013】
次に、苗植付装置5について説明する。
図1,4,5に示すように、苗植付装置5は、1個のフィードケース17、2個の伝動ケース6、伝動ケース6の後部に回転駆動自在に支持された一対の回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、中央のセンターフロート9(接地体に相当)及びサイドフロート10(接地体に相当)、4個の苗のせ面を備えて左右方向に往復横送り駆動される苗のせ台11等を備えて構成されている。左右方向に配置された支持フレーム18に、フィードケース17及び伝動ケース6が固定されており、リンク機構3の後部に接続された支持部材19の下部の前後軸芯P1(図2及び図3参照)周りに、フィードケース17がローリング自在に支持されている(苗植付装置5が前後軸芯P1周りにローリング自在に支持されている)。
【0014】
図2,3,4に示すように、伝動ケース6にガイドレール38が左右方向に支持され、苗のせ台11の下部がガイドレール38に沿って横移動自在に支持されている。支持フレーム18の右及び左側部に支持フレーム26が固定され上方に延出されて、右及び左の支持フレーム26の上部及び下部に亘って支持フレーム20,28が固定されている。苗のせ台11の上部の前面にガイドレール27が固定されており、右及び左の支持フレーム26に支持されたローラー21に、ガイドレール27及び苗のせ台11が横移動自在に支持されている。
【0015】
図2及び図3に示すように、支持アーム29が支持部材19に固定されて上方に延出されており、ガイドレール27の右及び左側部に固定されたブラケット27aと、支持アーム29とに亘って右及び左のバネ47が接続されている。右及び左のバネ47により苗植付装置5が機体と平行な姿勢に付勢されているのであり、苗のせ台11が往復横送り駆動されるのに伴って、右又は左のバネ47が引き延ばされると、右又は左のバネ47の付勢力により苗植付装置5の右又は左への傾斜が抑えられる。
【0016】
図1,2,5に示すように、運転座席12の後側に、肥料を貯留するホッパー13、及び2つの植付条に対応した2個の繰り出し部14が備えられており、繰り出し部14の横側にブロア15が備えられている。センターフロート9に2個の作溝器16が固定され、サイドフロート11に1個の作溝器16が固定されて、4個の作溝器16が備えられており、繰り出し部14と作溝器16とに亘って4本の搬送ホース22が接続されている。
【0017】
[2]
図1,2,3,4に示すように、エンジン(図示せず)の動力が植付クラッチ23(図10参照)及びPTO軸24を介して、支持フレーム18を貫通する入力軸25に伝達されて、入力軸25からフィードケース17に伝達される。入力軸25の動力がフィードケース17の横送り変速機構(図示せず)を介して、苗のせ台11を往復横送り駆動する横送り軸(図示せず)に伝達され、入力軸25の動力がフィードケース17の伝動チェーン30、伝動ケース6に亘って架設された伝動軸31、伝動ケース6の入力軸32、伝動チェーン33、少数条クラッチ34及び駆動軸35を介して回転ケース7に伝達される。フィードケース17及び伝動ケース6に亘って円筒状のカバー36が固定されており、カバー36により伝動軸31が覆われている。
【0018】
植付クラッチ23が伝動状態に操作されると、苗のせ台11が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が図1の紙面反時計方向に回転駆動され、苗のせ台11の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面Gに植え付ける。植付クラッチ23が遮断状態に操作されると、苗のせ台11の往復横送り駆動及び回転ケース7の回転駆動が停止する。
【0019】
図1に示すように、エンジン(図示せず)の動力が施肥クラッチ37(図10参照)を介して繰り出し部14に伝達されており、施肥クラッチ37により繰り出し部14の作動及び停止を行う。これにより、前述のような苗の植え付けに伴って、ホッパー13から肥料が所定量ずつ繰り出し部14によって繰り出され、ブロア15の送風により肥料が搬送ホース22を通って作溝器16に供給されるのであり、作溝器16を介して肥料が田面Gに供給される。
【0020】
[3]
次に、苗植付装置5の昇降制御機構について説明する。
図2,5,6に示すように、支持フレーム18の右及び左側部に固定されたブラケット39の横軸芯P2周りに支持軸41が回転自在に支持されて、支持軸41に固定された支持アーム41aが後方に延出されており、支持軸41の支持アーム41aの後端の横軸芯P3周りに、センターフロート9及びサイドフロート10の後部が上下に揺動自在に支持されている。人為的に操作可能な植付深さレバー42が支持軸41に固定されて前方上方に延出されており、支持フレーム18,28及びフィードケース17に亘って固定されたレバーガイド43に、植付深さレバー42が挿入されている。
【0021】
図5,6,10に示すように、植付深さレバー42により支持軸41の支持アーム41aを回動操作して、横軸芯P3(センターフロート9及びサイドフロート10)の位置を上下に変更することにより、植付設定高さA1(設定深さ)(田面Gから支持軸41(横軸芯P2)までの高さ)を変更することができるのであり、植付深さレバー42をレバーガイド43に係合させることにより、横軸芯P3(センターフロート9及びサイドフロート10)の位置を固定して、植付設定高さA1(設定深さ)を設定することができる。
【0022】
図5,6,7に示すように、センターフロート9の前端部の左側部にブラケット9aが固定されて、センターフロート9のブラケット9aに操作ロッド45が接続され、操作ロド45が支持フレーム18を貫通して上方に延出されており、操作ロッド45の上端部にブラケット45aが固定されている。支持フレーム18にブラケット46が固定されて、ブラケット46の前後軸芯P4周りに天秤状の連係アーム48が揺動自在に支持されており、連係アーム48の端部に接続された連係ロッド49が支持フレーム18を貫通して下方に延出され、支持軸41に固定された連係アーム41bに、連係ロッド49の下端部が接続されている。
【0023】
図6,7,10に示すように、油圧シリンダ4に作動油を給排操作する機械操作式の制御弁50が機体に備えられており、制御弁50にワイヤ51のインナー51aが接続されている。ワイヤ51のアウター51bが操作ロッド45のブラケット45aに固定され、ワイヤ51のインナー51aが連係アーム48の端部に接続されている。
【0024】
図6,7,10に示す状態においてセンターフロート9が田面Gに接地追従するので、操作ロッド45及び操作ロッド45のブラケット45aは田面Gから一定の高さに位置している。植付深さレバー42がレバーガイド43に係合して固定されているので、支持軸41の連係アーム41b及び連係ロッド49により、連係アーム48が苗植付装置5に固定された状態(前後軸芯P4周りに揺動しない状態)となっている。
【0025】
以上の構造により、機体の姿勢変化等により苗植付装置5が上下動すると、連係アーム48が苗植付装置5と一緒に上下動して、連係アーム48によりワイヤ51のインナー51aが押し引き操作され、ワイヤ51のインナー51aにより制御弁50が操作される。制御弁50により作動油の給排操作が行われ、油圧シリンダ4により苗植付装置5が昇降駆動されて、植付設定高さA1(設定深さ)が維持される(苗植付装置5(植付アーム8)による苗の植付深さが設定深さに維持される)(昇降制御機構)。
【0026】
図6,7,10に示すように、植付深さレバー42により横軸芯P3(センターフロート9及びサイドフロート10)の位置を変更すると、新たな植付設定高さA1(設定深さ)が設定される。これに伴い支持軸41の連係アーム41b及び連係ロッド49により、連係アーム48の姿勢が前後軸芯P4周りに変更されて、操作ロッド45のブラケット45aと連係アーム48の端部との上下間隔(ワイヤ51のインナー51aの出ている長さ)が、植付設定高さA1(設定深さ)の変更に関係なく、制御弁50の中立位置に対応するものに維持される。
【0027】
[4]
次に、苗植付装置5の昇降操作について説明する。
図1及び図10に示すように、前輪1を操向操作する操縦ハンドル52の右横側に昇降操作レバー53が備えられて、昇降操作レバー53は上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作自在に構成されており、昇降操作レバー53と制御弁50、植付及び施肥クラッチ23,37とが機械的に連係されている。
【0028】
図10に示すように、昇降操作レバー53を上昇位置に操作すると、植付及び施肥クラッチ23,37が遮断状態に操作され、前項[3]に記載の昇降制御機構が停止した状態で、制御弁50が上昇位置に操作されて苗植付装置5が上昇する。昇降操作レバー53を中立位置に操作すると、植付及び施肥クラッチ23,37が遮断状態に操作され、前項[3]に記載の昇降制御機構が停止した状態で、制御弁50が中立位置に操作されて苗植付装置5の昇降が停止する。
【0029】
図10に示すように、昇降操作レバー53を下降位置に操作すると、植付及び施肥クラッチ23,37が遮断状態に操作され、前項[3]に記載の昇降制御機構が停止した状態で、制御弁50が下降位置に操作されて苗植付装置5が下降し、センターフロート9が田面Gに接地すると、前項[3]に記載の昇降制御機構が作動する。昇降操作レバー53を植付位置に操作すると、前述の昇降操作レバー53を下降位置に操作した状態に加えて、植付及び施肥クラッチ23,37が伝動状態に操作される。
【0030】
[5]
次に、苗植付装置5と機体との間に備えられる整地装置54(対地作業装置に相当)について説明する。
図2,3,4に示すように、支持フレーム18の左側部に支持フレーム55が固定されて、支持フレーム55にボス部材64が固定され、伝動軸31及び入力軸32の横軸芯P5周りに、伝動ケース56がボス部材64に上下に揺動自在に支持されている。支持フレーム18の右側部に支持フレーム57が固定されて、支持フレーム57の横軸芯P5(伝動軸31及び入力軸32の横軸芯P5)周りに、支持アーム58が上下に揺動自在に支持されており、伝動ケース56及び支持アーム58に亘って、断面正方形状の駆動軸61が回転自在に支持されている。
【0031】
図9に示すように、合成樹脂により一体的に形成された小幅の回転体62が備えられている。回転体62はボス部62a、ボス部62aに形成された断面正方形状の取付孔62b、ボス部62aから放射状に延出されたアーム部62c、アーム部62cの端部に接続された凸状の整地部62dを備えて構成されており、隣接するアーム部62cの間に大きな空間62eが形成されている。
【0032】
図3及び図4に示すように、多数の回転体62のボス部62a(取付孔62b)に駆動軸61が挿入されて、回転体62が駆動軸61に固定されており、駆動軸61の中央部にスペーサ63が外嵌されて、回転体62の位置が決められている。回転体62とスペーサ63との間、回転体62と伝動ケース56及び支持アーム58との間に、円盤部材59が駆動軸61に固定されている。図9に示すように、円盤部材59は回転体62と略同じ外径を備えて、多数の長孔59aが放射状に形成されている。
【0033】
図3,4,9に示すように、多数の回転体62において、全ての回転体62のアーム部62c(空間62e)の位相(位置)が一致するように、回転体62が駆動軸61に固定されている。スペーサ63によって分けられた右側の多数の回転体62と左側の多数の回転体62とにおいても、回転体62のアーム部62c(空間62e)の位相(位置)が一致するように構成されている。全ての円盤部材59において、円盤部材59の長孔59aの位相(位置)と、回転体62の空間62eの位相(位置)とが一致するように構成されている。平面視(図4参照)でスペーサ63の位置にPTO軸24が配置されており、苗植付装置5が大きく上昇した際に、PTO軸24が円盤部材59の間に入り込んで回転体62に干渉しないようにしている。
【0034】
図2,3,4に示すように、駆動軸61、回転体62及び円盤部材59、伝動ケース56及び支持アーム58等により整地装置54が構成されている。苗植付装置5(センターフロート9及びサイドフロート10)と機体(後輪2)との間に、整地装置54が備えられており、伝動ケース56及び支持アーム58が横軸芯P5周りに上下に揺動することによって、整地装置54が昇降自在に支持されている。
【0035】
図2及び図4に示すように、整地装置54の横幅と略同じ横幅を備えたカバー60が支持フレーム18の前部に固定されて、カバー60が整地装置54の後方に位置し、センターフロート9及びサイドフロート10の前方に位置するように構成されており、整地装置54から後方に飛散する泥が、センターフロート9及びサイドフロート10に堆積しないようにしている。この場合、植付設定高さA1(設定深さ)が最低位置(設定深さが最深位置)に設定されても、カバー60の下端部が田面Gに接地しないように、カバー60の下端部の位置が設定されている。
【0036】
図1,3,4に示すように、丸棒状のガード部材65が支持フレーム55,57に備えられて後方に延出されており、ガード部材65が伝動ケース56及び支持アーム58、ガイドレール38の横外側に位置して、ガード部材65により伝動ケース56及び支持アーム58、ガイドレール38が保護されている。ガード部材65が支持フレーム55,57に回転自在に支持されており、ガード部材65を図1に示す後方に向く姿勢から真下に向く姿勢に変更することによって、ガード部材65を苗植付装置5のスタンドとしても使用することができる。
【0037】
[6]
次に、整地装置54の駆動構造について説明する。
図4に示すように、入力軸32に接続された伝動軸66が、ボス部材64及び伝動ケース56の内部に配置されており、伝動ケース56の内部において、伝動軸66と駆動軸61とに亘って伝動チェーン67が巻回されている。伝動ケース6及びボス部64に亘って円筒状のカバー36が固定されており、カバー36により伝動軸66が覆われている。
【0038】
前項[2][4]に記載のように、植付クラッチ23(図10参照)が伝動状態に操作されると、苗のせ台11が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が図1の紙面反時計方向に回転駆動され、苗のせ台11の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して田面Gに植え付けるのであり、伝動軸31及び入力軸32の動力が整地装置54に伝達されて、回転体62及び円盤部材59(整地装置54)が図2の紙面反時計方向に回転駆動される。植付クラッチ23が遮断状態に操作されると、苗のせ台11の往復横送り駆動及び回転ケース7の回転駆動が停止するのであり、回転体62及び円盤部材59(整地装置54)が停止する。
【0039】
この場合、回転体62及び円盤部材59(整地装置54)が、機体の走行速度よりも高速で回転駆動される(右及び左の後輪2の外周部の周速度よりも、回転体62及び円盤部材59(整地装置54)の外周部の周速度が高速になるように回転駆動される)。これにより、植付アーム8の前方の田面Gが回転体62及び円盤部材59(整地装置54)によって整地(代掻き)されるのであり、回転体62及び円盤部材59(整地装置54)から後方に飛散する泥が、カバー60によって止められる。
【0040】
[7]
次に、整地装置54の昇降駆動構造について説明する。
図2,3,8に示すように、左の支持フレーム26にブラケット26aが固定されて、板材を折り曲げて構成された支持部材68が、左の支持フレーム26のブラケット26aにボルト連結されており、支持部材68に固定されたボス部68aに操作軸69が回転自在に支持されている。支持部材68の後側部(苗のせ台11側)において、操作軸69に扇型ギヤ70及び操作アーム71が固定されており、左の支持フレーム26のブラケット26aと支持部材68との間から操作アーム71が突出して、操作アーム71と伝動ケース56とに亘って左の操作ロッド72が接続されている。
【0041】
図2,3,8に示すように、支持部材68の後側部(苗のせ台11側)において、電動モータ73及び減速機構74が固定されて、減速機構74のピニオンギヤ74aが扇型ギヤ70に咬合しており、電動モータ73及び減速機構74が袋状のカバー75によって覆われている。支持部材68の前側部において、カバーで覆われた制御装置40が固定されて、操作軸69の角度を検出するポテンショメータ76が固定されており、ポテンショメータ76の検出値が制御装置40に入力されている。
【0042】
図2,3,8に示すように、右の支持フレーム26にブラケット26bが固定されて、右の支持フレーム26のブラケット26bの前後軸芯P6周りに、正面視(図3参照)で「く」字状の操作アーム77が揺動自在に支持されている。扇型ギヤ70に固定されたブラケット70aと操作アーム77の端部とに亘って、操作ロッド78が接続されており、操作アーム77の端部と支持アーム58とに亘って、右の操作ロッド72が接続されている。
【0043】
図2,3,8に示すように、電動モータ73及び減速機構74により扇型ギヤ70が図8の紙面反時計方向に回転駆動されると、操作アーム71が上方に駆動されて、右の操作ロッド72により伝動ケース56が上昇する。扇型ギヤ70により操作ロッド78を介して、操作アーム77が図3の紙面時計方向に回転駆動されて、左の操作ロッド72により支持アーム58が上昇する。これにより、整地装置54が上昇する。
逆に、電動モータ73及び減速機構74により扇型ギヤ70が図8の紙面時計方向に回転駆動されると、操作アーム71が下方に駆動されて、右の操作ロッド72により伝動ケース56が下降する。扇型ギヤ70により操作ロッド78を介して、操作アーム77が図3の紙面反時計方向に回転駆動されて、左の操作ロッド72により支持アーム58が下降する。これにより、整地装置54が下降する。
【0044】
この場合、図10に示すように、苗植付装置5(センターフロート9及びサイドフロート10)が田面Gに接地しても、回転体62及び円盤部材59(整地装置54)が田面Gに接地しない上方位置A3、及び苗植付装置5(センターフロート9及びサイドフロート10)が田面Gに接地すると、回転体62及び円盤部材59(整地装置54)も田面Gに接地する作業位置A4が設定されており、電動モータ73により上方及び作業位置A3,A4の範囲で整地装置54が昇降する。
【0045】
[8]
次に、整地装置54の整地制御について説明する。
図3,5,10に示すように、支持フレーム18にポテンショメータ44が固定され、支持軸41に固定された連係アーム41cがポテンショメータ44の検出部に接続されており、ポテンショメータ44により支持軸41の角度が検出される。ポテンショメータ44の検出値が制御装置40に入力されており、制御装置40において、ポテンショメータ44の検出値に基づいて、植付設定高さA1(設定深さ)を認識することができるのであり、ポテンショメータ76の検出値に基づいて、苗植付装置5(植付設定高さA1(設定深さ))に対する整地装置54の高さを認識することができる。
【0046】
図10に示すように、回転体62及び円盤部材59(整地装置54)による整地(代掻き)にとって、作業位置A4において適正な高さである整地設定高さA2(整地深さ)が制御装置40に設定されている。これにより前項[3]に記載のように、植付深さレバー42によって植付設定高さA1(設定深さ)が設定(変更)されると、ポテンショメータ44,76の検出値に基づいて、苗植付装置5(植付設定高さA1(設定深さ))に対する整地装置54の高さが、作業位置A4において整地設定高さA2(整地深さ)となるように、制御装置40により電動モータ73が操作されて、整地装置54が昇降される。
【0047】
前項[3]及び図10に示すように、油圧シリンダ4により苗植付装置5が昇降駆動されて、植付設定高さA1(設定深さ)が維持されると(苗植付装置5(植付アーム8)による苗の植付深さが設定深さに維持されると)、苗植付装置5と一緒に整地装置54が昇降されて、苗植付装置5(植付設定高さA1(設定深さ))に対する整地装置54の高さが、作業位置A4において整地設定高さA2(整地深さ)に維持される。
【0048】
図3及び図10に示すように、ポテンショメータ式のダイヤル設定器79が支持部材68に備えられて、ダイヤル設定器79の設定信号が制御装置40に入力されており、ダイヤル設定器79により整地設定高さA2(整地深さ)を低側(深側)及び高側(浅側)に調節することができる。
ダイヤル設定器79を標準位置に操作していると、整地設定高さA2(整地深さ)に変更はない。植付深さレバー42をレバーガイド43の一目盛りだけ操作した際の植付設定高さA1(設定深さ)の変更量に対して、ダイヤル設定器79を低側(深側)及び高側(浅側)に操作することにより、最大で前述の植付設定高さA1(設定深さ)の変更量を越える範囲(約150%)に、整地設定高さA2(整地深さ)を低側(深側)及び高側(浅側)に変更することができる。
【0049】
[9]
次に、昇降操作レバー53の操作に伴う整地装置54の昇降について説明する。
図3及び図10に示すように、プッシュオン・プッシュオフ式の操作スイッチ80が支持部材68に備えられており、操作スイッチ80の操作信号が制御装置40に入力されている。昇降操作レバー53が植付位置に操作されたことを検出するリミットスイッチ81が備えられて、リミットスイッチ81の検出信号が制御装置40に入力されており、リミットスイッチ81により植付及び施肥クラッチ23,37が伝動及び遮断状態が認識される。機体に対するリンク機構3の上下角度を検出するポテンショメータ82が備えられ、ポテンショメータ82の検出値が制御装置40に入力されており、ポテンショメータ82の検出値に基づいて、機体に対する苗植付装置5の高さH1を検出することができる。
【0050】
図2,3,4に示すように、右及び左の操作ロッド72に電動シリンダ83(移動手段に相当)が備えられて、電動シリンダ83により右及び左の操作ロッド72を伸縮駆動することができるように構成されており、制御装置40により電動シリンダ83が操作される。この場合、図10に示すように、電動シリンダ83の最収縮状態において、扇型ギヤ70及び操作アーム71が上限まで上方に駆動されると、整地装置54が上方位置A3となる。図12(ロ)に示すように、扇型ギヤ70及び操作アーム71が上限まで上方に駆動された状態で、電動シリンダ83が最伸長状態になると、整地装置54(回転体62及び円盤部材59)が、センターフロート9及びサイドフロート10の下方に位置する退避位置A5(作業位置A4よりも後方で水田作業装置の接地体の下方に位置する退避位置)に位置する(途中で作業位置A4を通過するのであり、整地装置54が作業位置A4と退避位置A5とに亘って移動する状態に相当)。
【0051】
図10及び図11に示すように、ポテンショメータ82の検出値に基づいて、機体に対する苗植付装置5の高さH1が検出され(ステップS1)、機体に対する苗植付装置5の高さH1が設定高さH2よりも低い場合(ステップS2)、電動シリンダ83の最収縮状態において、以下の操作が行われる。
【0052】
図10及び図11に示すように、操作スイッチ80がON位置に操作されている場合において(ステップS3)、昇降操作レバー53が植付位置に操作されると(植付及び施肥クラッチ23,37が伝動状態に操作されると)(ステップS4)、制御装置40によって電動モータ73が操作されて、整地装置54が作業位置A4に下降する(ステップS5)。昇降操作レバー53が下降位置、中立位置及び上昇位置に操作されると(植付及び施肥クラッチ23,37が遮断状態に操作されると)(ステップS4)、制御装置40により電動モータ73が操作されて、整地装置54が上方位置A3に上昇する(ステップS6)。
【0053】
図10及び図11に示すように、操作スイッチ80がOFF位置に操作されていると(ステップS3)、昇降操作レバー53に関係なく(植付及び施肥クラッチ23,37の伝動及び遮断状態に関係なく)、制御装置40により電動モータ73が操作されて、整地装置54が上方位置A3に上昇する(ステップS6)。例えば、センターフロート9及びサイドフロート10を田面Gに接地させた状態で、センターフロート9及びサイドフロート10により田面Gを整地しながら旋回する場合(スライディングターン)に対して、操作スイッチ80をOFF位置に操作することは有効である。
【0054】
図10及び図11に示すように、ポテンショメータ82の検出値に基づいて、機体に対する苗植付装置5の高さH1が検出され(ステップS1)、機体に対する苗植付装置5の高さH1が設定高さH2よりも高い場合(ステップS2)、機体に対する苗植付装置5の高さH1に応じて電動シリンダ83が伸縮作動する(ステップS7)。
【0055】
図12(イ)に示すように、扇型ギヤ70及び操作アーム71が上限まで上方に駆動された状態において、機体に対する苗植付装置5の高さH1が設定高さH2であると、整地装置54が上昇位置A3に位置し(電動シリンダ83の最収縮状態)、図12(ロ)に示すように、機体に対する苗植付装置5の高さH1がリンク機構3の上限であると、整地装置54が退避位置A5に位置する(電動シリンダ83の最伸長状態)。これにより、機体に対する苗植付装置5の高さH1に応じて、整地装置54の位置が上昇位置A3及び退避位置A5の間で変化する。
【0056】
図10から図12(イ)(ロ)に示すように、昇降操作レバー53が植付位置に操作された状態(センターフロート9及びサイドフロート10が田面Gに接地し、整地装置54が作業位置A4又は上方位置A3に位置した状態)において、昇降操作レバー53が下降位置に操作されると、整地装置54が上方位置A3に上昇する(上方位置A3に位置する)。次に、昇降操作レバー53が上昇位置に操作されると、苗植付装置5が上昇するのに伴って、機体に対する苗植付装置5の高さH1が設定高さH2を高側に越えると、機体に対する苗植付装置5の高さH1に応じて、整地装置54が上昇位置A3から退避位置A5側に移動するのであり、機体に対する苗植付装置5の高さH1がリンク機構3の上限に達すると、整地装置54が退避位置A5に位置する。
【0057】
図12(ロ)から図12(イ)及び図10に示すように、機体に対する苗植付装置5の高さH1がリンク機構3の上限である状態(整地装置54が退避位置A5に位置する状態)において、昇降操作レバー53が下降位置に操作されると、苗植付装置5が下降するのに伴って(機体に対する苗植付装置5の高さH1に応じて)、整地装置54が退避位置A5から上方位置A3側に移動するのであり、機体に対する苗植付装置5の高さH1が設定高さH2に達すると、整地装置54が上方位置A3に位置し、センターフロート9が田面Gに接地すると、前項[3]に記載の昇降制御機構が作動する。次に、操作スイッチ80がON位置に操作されている場合において、昇降操作レバー53が植付位置に操作されると、整地装置54が作業位置A4に下降する。
【0058】
前述のように、苗植付装置5の上昇に伴って整地装置54が上方位置A3(作業位置A4)から退避位置A5に移動する場合、及び苗植付装置5の下降に伴って整地装置54が退避位置A5から作業位置A4(上方位置A3)に移動する場合、整地装置54が後輪2に干渉しないように、整地装置54の移動軌跡が設定されている。
【0059】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]の図11のズテップS7において、機体に対する苗植付装置5の高さH1に応じて、整地装置54の位置が上昇位置A3及び退避位置A5の間で変化するように構成するのではなく、以下のように構成してもよい。
【0060】
昇降操作レバー53が植付位置に操作された状態(センターフロート9及びサイドフロート10が田面Gに接地し、整地装置54が作業位置A4又は上方位置A3に位置した状態)において、昇降操作レバー53が下降位置に操作されると、整地装置54が上方位置A3に上昇する(上方位置A3に位置する)。
【0061】
次に昇降操作レバー53が上昇位置に操作されて、苗植付装置5が上昇し、機体に対する苗植付装置5の高さH1が設定高さH2に達すると、直ちに整地装置54が退避位置A5に移動し(この場合、整地装置54が退避位置A5に移動しても田面Gに接地しない高さに、設定高さH2を設定する)、機体に対する苗植付装置5の高さH1がリンク機構3の上限に達するまで、整地装置54を退避位置A5に維持する。
【0062】
機体に対する苗植付装置5の高さH1がリンク機構3の上限である状態(整地装置54が退避位置A5に位置する状態)において、昇降操作レバー53が下降位置に操作されて苗植付装置5が下降しても、整地装置54を退避位置A5に維持し、機体に対する苗植付装置5の高さH1が設定高さH2に達すると、直ちに整地装置54が上方位置A3に移動し、センターフロート9が田面Gに接地すると、昇降制御機構が作動する。次に操作スイッチ80がON位置に操作されている場合において、昇降操作レバー53が植付位置に操作されると、整地装置54が作業位置A4に下降する。
【0063】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]において、右及び左の操作ロッド72を廃止し、図13に示すように構成してもよい。
図13に示すように、電動モータ73及び減速機構74が支持フレーム18(図3及び図4参照)の中央部付近に固定されている。整地装置54の左右中央のスペーサ63の部分にリング部材84が相対回転自在に外嵌され、減速機構74とリング部材84とに亘って操作ロッド85が接続されている。この場合、操作ロッド85に電動シリンダ83が備えられて、操作ロッド85を伸縮駆動することができるように構成されている。
【0064】
図13に示すように、電動モータ73及び減速機構74により操作ロッド85及びリング部材84を介して、前項[6]に記載のように、苗植付装置5(植付設定高さA1(設定深さ))に対する整地装置54の高さが、作業位置A4において整地設定高さA2(整地深さ)となるように、整地装置54が昇降される。整地装置54の左右中央が支持されて昇降されることにより、図3及び図4に示す右及び左の操作ロッド72による整地装置54の昇降のアンバランスを解消することができる。
【0065】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]において、電動シリンダ83を廃止し、電動モータ73及び減速機構74の作動範囲を充分に大きくして、電動モータ73及び減速機構74により、整地装置54を上方位置A3(作業位置A4)及び退避位置A5に亘って移動させるように構成してもよい。
【0066】
[発明の実施の第4別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]〜[発明の実施の第3別形態]において、電動モータ73及び減速機構74を廃止し、人為的に操作される昇降レバー(図示せず)の操作によって、整地装置54を昇降するように構成してもよい。
【0067】
前述の[発明を実施するための最良の形態]〜[発明の実施の第4別形態]において、水田作業装置及び対地作業装置として、ペースト状の肥料を田面に供給する施肥装置、直播装置、薬剤散布装置及び米ぬか散布装置、溝切り器(不耕起田植用の溝)、溝切り器(排水用の溝)、シート敷設装置(ロール状に巻かれたシート(雑草防止用)を田面に展開させながら敷設する)を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】乗用型田植機の全体側面図
【図2】苗植付装置及び整地装置の側面図
【図3】苗植付装置及び整地装置の正面図
【図4】苗植付装置及び整地装置の平面図
【図5】センターフロート及びサイドフロートの付近の平面図
【図6】センターフロート及び植付深さレバーの付近の側面図
【図7】センターフロートの前端部の左側部の付近の正面図
【図8】左の支持フレーム、電動モータ及び減速機構、扇型ギヤの付近の正面図
【図9】回転体及び円盤部材の斜視図
【図10】苗植付装置と整地装置との連係状態を示す図
【図11】昇降操作レバーの操作に伴う整地装置の昇降の流れを示す図
【図12】(イ)機体に対する苗植付装置の高さが設定高さであり、整地装置が上昇位置に位置した状態(電動シリンダの最収縮状態)を示す側面図、(ロ)機体に対する苗植付装置の高さがリンク機構の上限であり、整地装置が退避位置に位置した状態(電動シリンダの最伸長状態)を示す側面図
【図13】発明の実施の第1別形態における整地装置の平面図
【符号の説明】
【0069】
3 リンク機構
5 水田作業装置
9,10 接地体
54 対地作業装置
83 移動手段
A4 作業位置
A5 退避位置
G 田面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、前記水田作業装置に対地作業装置を支持して、
田面に接地する接地位置と、前記接地位置の上方に位置する上昇位置とに亘って、前記水田作業装置を昇降自在に構成し、
前記水田作業装置の前側下方に位置する作業位置と、前記作業位置よりも後方に位置する退避位置とに、前記対地作業装置を移動自在に構成して、
前記水田作業装置が接地位置から上昇位置に上昇するのに伴って、前記対地作業装置を作業位置から退避位置に移動させ、前記水田作業装置が上昇位置から接地位置に下降するのに伴って、前記対地作業装置を退避位置から作業位置に移動させる移動手段を備えてある水田作業機。
【請求項2】
機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、前記水田作業装置に対地作業装置を支持して、
前記水田作業装置に備えられた接地体が田面に接地する接地位置と、前記接地位置の上方に位置する上昇位置とに亘って、前記水田作業装置を昇降自在に構成し、
前記水田作業装置の前側下方に位置する作業位置と、前記作業位置よりも後方で水田作業装置の接地体の下方に位置する退避位置とに、前記対地作業装置を移動自在に構成して、
前記水田作業装置が接地位置から上昇位置に上昇するのに伴って、前記対地作業装置を作業位置から退避位置に移動させ、前記水田作業装置が上昇位置から接地位置に下降するのに伴って、前記対地作業装置を退避位置から作業位置に移動させる移動手段を備えてある水田作業機。
【請求項1】
機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、前記水田作業装置に対地作業装置を支持して、
田面に接地する接地位置と、前記接地位置の上方に位置する上昇位置とに亘って、前記水田作業装置を昇降自在に構成し、
前記水田作業装置の前側下方に位置する作業位置と、前記作業位置よりも後方に位置する退避位置とに、前記対地作業装置を移動自在に構成して、
前記水田作業装置が接地位置から上昇位置に上昇するのに伴って、前記対地作業装置を作業位置から退避位置に移動させ、前記水田作業装置が上昇位置から接地位置に下降するのに伴って、前記対地作業装置を退避位置から作業位置に移動させる移動手段を備えてある水田作業機。
【請求項2】
機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、前記水田作業装置に対地作業装置を支持して、
前記水田作業装置に備えられた接地体が田面に接地する接地位置と、前記接地位置の上方に位置する上昇位置とに亘って、前記水田作業装置を昇降自在に構成し、
前記水田作業装置の前側下方に位置する作業位置と、前記作業位置よりも後方で水田作業装置の接地体の下方に位置する退避位置とに、前記対地作業装置を移動自在に構成して、
前記水田作業装置が接地位置から上昇位置に上昇するのに伴って、前記対地作業装置を作業位置から退避位置に移動させ、前記水田作業装置が上昇位置から接地位置に下降するのに伴って、前記対地作業装置を退避位置から作業位置に移動させる移動手段を備えてある水田作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−220247(P2008−220247A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−62152(P2007−62152)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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