説明

水田用作業車

【課題】圃場条件に応じて推進力の調節することができる水田用作業車を提供する。
【解決手段】推進ラグ26の接地面26、又は反接地面28を補強部材35で補強するにあたり、補強部材35を、弾性輪体24を跨って左右の推進ラグ26に重合することで推進ラグ26の右部と左部を一体的に補強するように構成して複数の推進ラグ26に選択的に着脱可能に設けた。また、推進ラグ26を弾性輪体24の左右の周側面側から外周面に亘り一体的に突出形成して構成し、補強部材35を、推進ラグ26の接地面27側、又は反接地面28側の全体に重合するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪に補強部材を設けた水田用作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円環状のリム本体に溶接固定された金属ラグ板にゴム被覆を一連に焼き付け形成して車輪に設けられる全ての推進ラグを補強した水田用作業車は知られている。(特許文献1)
また、機体の沈下防止と推進力の確保のために、複数の補助ラグを突設した金属製の補助車輪を車輪の側面に着脱可能に設けた水田用作業車も知られている。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−154437
【特許文献2】特開平11−56037
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に示される水田用作業車は、全ての推進ラグが、金属ラグ板を骨材として、その周囲にゴム被覆を施したものであるから、推進ラグの硬度が高く、スリップを防止して大きな推進力を得ることはできる。
しかし、このように構成された推進ラグは柔軟性が損なわれており、旋回走行を行う際には推進ラグが圃場を掻き回すことで地盤を荒らして凹凸が生じるというデメリットもあり、推進力が十分足りている圃場条件ではかえって上記のデメリットの方が大きくなっていた。
【0005】
また、上記特許文献2に示される水田用作業車は、車輪と略同径の金属性の補助車輪を車輪の側面に着脱することで推進力の調節を可能としたものであるが、重量物である補助車輪を持ち運ぶこと自体が困難であり、そのため、圃場での作業走行中や圃場からの脱出時において、機体が十分な推進力を得ている場合には補助車輪を外し、推進力の低下に応じて補助車輪を着脱するようなことは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、円環状の弾性輪体を備え、該弾性輪体の左右の周側面側に一定の間隔で複数の羽状の推進ラグを突出形成した車輪を有する水田用作業車において、前記推進ラグの接地面、又は反接地面を補強部材で補強するにあたり、該補強部材を、前記弾性輪体を跨って左右の推進ラグに重合することで推進ラグの右部と左部を一体的に補強するように構成して前記複数の推進ラグに選択的に着脱可能に設けたことを第一の特徴とする。
【0007】
また、前記車輪は、その推進ラグを前記弾性輪体の左右の周側面側から外周面に亘り一体的に突出形成して構成されると共に、前記補強部材を、該推進ラグの接地面側、又は反接地面側の全体に重合するように構成したことを第二の特徴とする。
【0008】
そして、前記補強部材は前記推進ラグの接地面側に重合する第一部材と、反接地面側に重合する第二部材を有し、該第一部材と第二部材とを推進ラグの縁外で連結固定することで前記推進ラグに取り付けられることを第三の特徴とする。
【0009】
さらに、前記第一部材と第二部材とを、回動支軸を有する連結部材で連結したことを第四の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によると、補強部材を複数の推進ラグに選択的に着脱可能に設けることによって、補強部材自体が小型になり車輪に対する着脱が容易になる。
また、推進力の増減に応じて圃場内でその都度推進ラグの補強の有無を選択して補強部材を着脱することも可能なる。
さらに、複数ある推進ラグの内必要な箇所を選択して、又は必要な数量を選択して取付けるだけで、より圃場条件に応じた細かな推進力の調節を行うことができる。
そして、弾性輪体を跨いで推進ラグの右部と左部を一体的に補強するので、右部と左部を別体の補強部材で補強するものと比較して、応力が推進ラグの基部に集中することがなく、推進ラグの右部と左部とが互いに支えあって、左右の推進ラグを同一平面上に維持するように補強することができる。
【0011】
請求項2に係る発明によると、弾性輪体の左右、及び車輪の外周側に一体的に突出形成された推進ラグを補強部材で補強するにあたり、該補強部材は、前記推進ラグの接地面側又は反接地面側の全体に重合して補強するように構成したことにより、補強部材の左右部を連結する部材と推進ラグの車輪外周側を補強するための部材を兼用することができる。
【0012】
請求項3に係る発明によると、推進ラグの接地面側と反接地面側に重合する第一部材と第二部材とを推進ラグの縁外で連結固定することによって、車輪の推進ラグに補強部材を取り付けることができるので、車輪や、その推進ラグの構造を、補強部材の取り付けのために変更、又は改造することなく、車輪の推進ラグに補強部材を容易に着脱することが可能となる。
【0013】
請求項4に係る発明によると、第一部材と第二部材とを回動支軸を有する連結部材で連結したことによって、第一部材と第二部材とを単一の部品とすることができ、補強部材の部品点数を減らして、その持ち運びを容易にすることができる。
また、第一部材と第二部材との間の位置決め作業が不要となり、回動支軸を中心に両者を開き推進ラグを跨がせて挟んだ後に固定する、という簡単な作業で補強部材を取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】水田用作業車の側面図である。
【図2】補強部材を取り付けた後輪の(a)側面図・(b)正面図・(c)正面斜視図である。
【図3】第一実施形態の補強部材の(a)正面図・(b)第一部材と第二部材とを固定した状態を示す側面図・(c)第一部材と第二部材とが拡開した状態を示す側面図である。
【図4】第二実施形態の補強部材の(a)正面斜視図・(b)背面斜視図である。
【図5】第三実施形態の補強部材の(a)正面図・(b)背面図・(c)第一部材と第二部材とを固定した状態を示す側面図である。
【図6】第四実施形態の補強部材の(a)正面斜視図・(b)背面斜視図である。
【図7】第五実施形態の補強部材の(a)正面図・(b)背面図・(c)正面斜視図・(d)側面図である。
【図8】第六実施形態の補強部材の(a)背面図・(b)底面図である。
【図9】補強部材取付け方法の他例を示す(a)正面斜視図・(b)背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の水田用作業車の一例である乗用型田植機1について説明する。図1において乗用型田植機1は、走行機体2を前輪3,3と後輪4,4からなる車輪5によって支持すると共に、前記走行機体2の後部上部には運転席6を載置し、その前方には操作パネル7を装備し、該操作パネル7の上部にはステアリングハンドル8、その下方には操作部床面を形成するステップ9が設けてある。
【0016】
また、前記走行機体2の前部にはフロントステップ10を設け、該フロントステップ10の中央部にはボンネット11が立設している。そして、該走行機体2の後部には、リンク機構12を介して植付作業機13を昇降自在に装着している。この植付作業機13は、前方向に傾斜して設けられた苗載せ台14と、該苗載せ台13に保持されている苗を植え付けるプランタ15とを有し、該プランタ15の下方には植付け田面を整地するフロート16と該フロート16の前方に整地作業機17を設けているが、これらの基本構成は何れも従来通りである。
【0017】
図2に示すように、ボス部19とリム部23を複数のスポーク21(実施例では等間隔に3本設けられている)で連結したスポーク型の後輪4を構成している。そして、前記リム部23の外周には弾性材料によって一体的に突出形成した弾性輪体24が被覆してある。
【0018】
詳述すると、前記ボス部19の外周と前記スポーク21の基端部とを溶接により固着し、該スポーク21の先端とリム部23の内周とを溶接により固着している。
また、ボス部19の外周とスポーク21は略三角形状の補強板22を溶接により固着することによって強固に連結されており、ボス部19を車軸18に嵌挿し、ボス部19の外周から車軸18に亙って取付けピン20を挿通することによって、車軸18に対する後輪4の抜け止めがなされている。
【0019】
そして、前記リム部23の外周には弾性材料によって、直進ラグ25・・・を所定の間隔で多数突設すると共に、前記弾性輪体24の左右周側面24a,24b側から外周面24cに亘り一体的に突出形成する可撓性の推進ラグ26・・・を所定の間隔で多数突設している。
【0020】
尚、本書では前記推進ラグ26の前記弾性輪体24の右周側面側に突出する部分を右部30、左周側面側に突出する部分を左部31、及び外周面側に突出する部分を外周部32とし、前進時の推進力を得る際に土壌に上方から接地し、後下方へ泥土を蹴るように作用する面を接地面27、その裏面を反接地面28としている。
【0021】
代掻き後の水田のような軟弱な圃場を走行する水田用作業車は、旋回走行や圃場の出入り口の傾斜地走行で、車輪が圃場抵抗力の不足によって空転することがあった。
そこで本発明は、後輪の空転を防ぐために、所定の間隔で多数突設する前記推進ラグ26・・・に対して、選択的、且つ着脱可能に補強することができる補強部材35を設けることで後輪4,4の圃場抵抗力を調節可能としている。
【0022】
次に、本発明における補強部材35の第一実施形態を説明する。図2、及び図3に示すように、弾性輪体24に多数突設する前記推進ラグ26の中から所望の推進ラグ26に対して、その接地面27及び反接地面28に後輪4の径方向外側から弾性輪体24を跨ぐように金属材又は樹脂材からなる前記補強部材35を重合させて、選択的に補強可能にしている。
【0023】
前記補強部材35は、前記推進ラグ26の前記接地面側に重合する第一部材33と反接地面側に重合する第二部材34を有している。該第一部材33と第二部材34は板状部材からなり、図3の紙面における下端部から上方に向けて前記弾性輪体24を跨ぐための切欠部29を夫々設けており、上端部に回動支軸44を有する連結部材45,45で互いに連結し、該回動支軸44,44を中心に第一部材33と第二部材34とを開閉回動可能にしている。
また、第一部材33、及び第二部材34は弾性輪体24の径方向外側から弾性輪体24を跨ぐようにして取り付けると、推進ラグ26の接地面27及び反接地面28を挟んで全体的に覆うように重合する箱型形状を形成する。
【0024】
また、前記第一部材33は、その板面の前記連結部材45,45と対向する隅部に孔40,40を穿設し、蝶ボルト37,37の雄螺子部が螺合されるナット部38,38を溶接又は接着によって設けている。
そして、第一部材33の左右端部を内側に折り曲げて立ち上がり部41a,41bを形成し、該立ち上がり部41a,41bの中央端部に挿し込み部42a,42bを形成している。
【0025】
また、前記第二部材34は、その板面の前記連結部材45,45と対向する隅部に前記蝶ボルト37,37の雄螺子部を挿通する長孔39,39を設けている。
そして、第二部材34の上下端部を内側に折り曲げて、立ち上がり部41c,41dを形成し、該第二部材34の左右端部に長孔形状の挿し込み口43a,43bを形成している。
【0026】
また、前記推進ラグ26に前記補強部材35を固定する際には、前記弾性輪体24の車輪の径方向外側から該推進ラグ26の前記接地面27及び反接地面28を挟み込むように該第一部材33と第二部材34を重合させ、第二部材34設けた前記長孔39,39側から蝶ボルト37,37を挿通して、該蝶ボルト37,37とナット部38,38によって第一部材33と第二部材34を締め付け固定する。
そして、前記立ち上がり部41a,41b,41c,41dを設けたことにより、補強部材35は後輪4に取り付けた状態で推進ラグ26全体を覆う箱型となる。
【0027】
尚、前記補強部材35を推進ラグ26に装着した際、推進ラグ26の縁部に蝶ボルト37,37が当接する位置に前記第一部材33のナット部38,38、前記第二部材34の蝶ボルト37,37からなる固定部材を位置させることで、推進ラグ26と補強部材35の位置ずれを防止している。
【0028】
また、前記第一部材33の左右端部に形成した前記立ち上がり部41a,41bの挿し込み部42a,42bを前記第二部材34の左右端部に形成した長孔形状の前記挿し込み口43a,43bに挿通して係止することで、前記連結部材45,45、蝶ボルト37,37ナット部38,38、孔40,40、及び長孔39,39への負荷を軽減しながら、第一部材33と第二部材34との横ずれを防止している。
【0029】
以上の構成によって、補強部材35を複数の推進ラグ26・・・に選択的に着脱可能に設けることによって、補強部材35自体が小型になり後輪4,4に対する着脱が容易になる。
また、推進力の増減に応じて圃場内でその都度推進ラグ26の補強の有無を選択して補強部材35を着脱することも可能なる。
さらに、複数ある推進ラグ26・・・の内必要な箇所を選択して、又は必要な数量を選択して取付けるだけで、より圃場条件に応じた細かな推進力の調節を行うことができる。
そして、弾性輪体24を跨いで推進ラグ26の右部30と左部31を一体的に補強するので、右部30と左部31を別体の補強部材で補強するものと比較して、応力が推進ラグ26の基部に集中することがなく、推進ラグ26の右部30と左部31とが互いに支えあって、左右の推進ラグ26を同一平面上に維持するように補強することができる。
【0030】
また、弾性輪体24の左右、及び後輪4の外周側に一体的に突出形成された推進ラグ26を補強部材35で補強するにあたり、該補強部材35を前記推進ラグ26の接地面27側又は反接地面28側の全体に重合して補強するように構成したことにより、補強部材35の左右部を連結する部材と推進ラグ26の後輪4外周側を補強するための部材を兼用することができる。
【0031】
そして、推進ラグ26の接地面27側と反接地面28側に重合する第一部材33と第二部材34とを推進ラグ26の縁外で連結固定することによって、車輪5,5の推進ラグ26・・・に補強部材35を取り付けることができるので後輪4や、その推進ラグ26・・・の構造を、補強部材35の取り付けのために変更、又は改造することなく、後輪4,4の推進ラグ26・・・に補強部材35・・・を容易に着脱することが可能となる。
【0032】
また、第一部材33と第二部材34とを回動支軸44を有する連結部材45,45で連結したことによって、第一部材33と第二部材34とを単一の部品とすることができ、補強部材35の部品点数を減らして、その持ち運びを容易にすることができる。
そして、第一部材33と第二部材34との間の位置決め作業が不要となり、回動支軸44,44を中心に両者を開き推進ラグ26を跨がせて挟んだ後に固定する、という簡単な作業で補強部材35・・・を取り付けることが可能となる。
【0033】
図4は本願発明の第二実施形態を示すものである。本実施形態の補強部材35は、前述の第一実施形態のものが、前記第一部材33と第二部材34との固定を該第一部材33の孔40,40及びナット部38,38、第二部材34の長孔39,39及び蝶ボルト37,37からなる固定部材で行うのに対し、第一部材33と第二部材34との間に備えたクランプ46,46によって行うものである。
【0034】
前記クランプ46について詳述すると、前記第二部材34側の連結部材45,45に対向する隅部にはレバー軸48,48を中心に回動するレバー47,47と、該レバー47,47に枢支された係合環50,50が設けられている。一方、第一部材33には、その回動端部に折り返し部51,51を設けており、該折り返し部51,51に前記係合環50,50を引っかけてレバー47,47を倒伏することで折り返し部51,51に係合環50,50が係止され第一部材33と第二部材34が箱型形状に連結固定される。
【0035】
このように、前記補強部材35の固定部材をクランプ46,46で構成することで、前記蝶ボルト37,37やナット部38,38等の別体の固定部材を用いず、補強部材35・・・を推進ラグ26・・・に着脱することが可能になる。
【0036】
図5は本願発明の第三実施形態を示すものである。本実施形態の補強部材35は、第一部材33と第二部材34との間に連結部材45,45を設けず、推進ラグ26に対して補強部材35の固定を第一部材33及び第二部材34の板面の四隅に設けた孔40・・・、ナット部38・・・、長孔39・・・及び蝶ボルト37・・・からなる固定部材で行うものである。
【0037】
本実施形態のものは、推進ラグ26を第一部材33と第二部材34とで挟み込み、第二部材34に設けた前記長孔39・・・側から蝶ボルト37・・・を挿通して蝶ボルト37・・・とナット部38・・・によって、第一部材33と第二部材34の四隅を締め付け固定する。
【0038】
また、本実施形態のものは、推進ラグ26と4つの蝶ボルト37・・・との接当により推進ラグ26と補強部材35の位置ずれを防止している。
【0039】
図6は本願発明の第四実施形態を示すものである。本実施形態の補強部材35は、前述の各実施形態のものが、前記推進ラグ26の接地面27と反接地面28の両側を前記第一部材33と第二部材34からなる補強部材35で挟み込むものであるのに対し、該推進ラグ26の接地面27側、又は反接地面28側どちらか一方に補強部材35を選択的に着脱することが可能になっている。
【0040】
本実施形態の補強部材35は、補強板52を固定する固定板36,36、蝶ボルト37・・・及びナット部38・・・によって構成されている。
【0041】
また、前記補強板52は、前述の第三実施状態の第一部材33と同様に、その板面の四隅に孔40・・・を穿設し、溶接又は接着において、蝶ボルト37の雄螺子部が螺合されるナット部38・・・を設けている。
【0042】
そして、前記固定板36は、金属材又は樹脂材からなる長方形状の板で、図6の紙面における上下端部に蝶ボルト37の雄螺子部を挿通する孔40,40を設けている。
尚、固定板36は、該固定板36から蝶ボルト37,37が簡単に抜け落ちないように、固定板36の上下端部に蝶ボルト37,37の雄螺子部を挿通する孔40,40を設け、該孔40,40の内周に雌螺子部を設けた構造にしてもよい。
【0043】
本実施形態の補強部材35を取り付ける際には、推進ラグ26の接地面27、又は反接地面28どちらか一方に第一部材33の内側を重合させ、他方側から推進ラグ26の前記右部30、左部31に前記固定板36,36を重合させ該固定板36,36の孔40・・・側から蝶ボルト37・・・を挿通して、蝶ボルト37・・・とナット部38・・・によって第一部材33と固定板36,36を締め付け固定する。
【0044】
前記推進ラグ26に前記補強板52を重合した際、推進ラグ26の縁部、四隅に蝶ボルト37・・・が当接する位置に該補強板52のナット部38・・・、及び固定板36,36の蝶ボルト37・・・からなる固定部材を位置させることで、推進ラグ26の構造を変更すること無く該推進ラグ26に前記補強部材35・・・を着脱することができる。
【0045】
尚、前述の第三実施形態のものと同様に、推進ラグ26と4つの蝶ボルト37・・・との接当により推進ラグ26と補強部材35の位置ずれを防止している。
【0046】
図7は本願発明の第五実施形態を示すものである。本実施形態の補強部材35は、第一部材33と第二部材34とを同一形状に形成したものである。
【0047】
第五実施形態の補強部材35について詳述すると、第一部材33の右端部と右下端部を内側に折り曲げて右側立ち上がり部53と右下立ち上がり部54を形成し、第二部材34の形状は、該第一部材33と同一形状に形成している。
【0048】
また、第一部材33は、その板面の前記連結部材45,45と対向する隅部に孔40,40を穿設し、溶接又は接着において、蝶ボルト37,37の雄螺子部が螺合されるナット部38,38を設け、第二部材34は、その板面の連結部材45,45と対向する隅部に蝶ボルト37,37の雄螺子部を挿通する孔40,40を設けている。
【0049】
そして、前記第一部材33と第二部材34の内側を向い合わせて、該第一部材33と第二部材34の上端部に回動支軸44を有する連結部材45で互いに連結することで、前述の補強部材35の接地面55反接地面56、右側立ち上がり部53,53、右下立ち上がり部54,54、及び連結部材45とで箱型形状を形成する。
【0050】
図8は本願発明の第六実施形態を示すものである。本実施形態のものは、後輪4外径側面57、接地面55、反接地面56、右側面58、左側面59の五面が一体的に形成された箱型形状の補強部材35であり、該補強部材35を前記弾性輪体24の後輪4の径方向外側から被装し、補強部材35の反接地面56に設けた蝶ボルト60・・・先端の固定部49・・・によって圧着することによって補強部材35を全体的に覆うように固定している。
【0051】
詳述すると補強部材35は、図8(a)の紙面における下端部から上方に向けて前記弾性輪体24を跨ぐための切欠部29を補強部材35の前記接地面55側と反接地面56側に設けている。
【0052】
また、前記推進ラグ26の反接地面28の縁部より内側で、補強部材35の反接地面56側の四隅に螺孔61・・・を設け、その外側から蝶ボルト60・・・を該螺孔61・・・に挿通して、該蝶ボルト60・・・先端に固定部49・・・を溶接又は接着している。
【0053】
尚、固定部49・・・は、円錐形状で、円錐形状の角を丸くすることで、前記推進ラグ26に傷を付けない構造にしている。
また、前記螺孔61・・・より固定部49・・・を大きくすることで、前記補強部材35の該螺孔61・・・から蝶ボルト60が抜け落ちない構造にしている。
【0054】
そして、前記補強部材35を弾性輪体24の後輪4の径方向外側から該補強部材35の接地面55の内側と前記推進ラグ26の接地面27が重合するように被装し、補強部材35の反接地面56側に設けた蝶ボルト60・・・を閉めることで、固定部49・・・が該推進ラグ26の反接地面28に押し付けられ、推進ラグ26に補強部材35を圧着固定する。
【0055】
また、前記蝶ボルト60・・・を緩めることによって、推進ラグ26から前記補強部材35を容易に取り外すことができる。
そして、補強部材35の反接地面56の四隅に螺孔61・・・を設け、該反接地面56の外側から蝶ボルト60・・・を該螺孔61・・・に挿通して、該蝶ボルト60・・・の先端に固定部49・・・を溶接又は接着する構造だから補強部材35から蝶ボルト60が外れて無くす心配がない。
【0056】
尚、図9に示すように本願発明の前記補強部材35は、後輪4の径方向内側から前記弾性輪体24を跨がらせて推進ラグ26の右部30、左部31を補強するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 乗用型田植機
2 走行機体
3 前輪
4 後輪
5 車輪
13 植付作業機
23 リム部
24 弾性輪体
25 直進ラグ
26 推進ラグ
27 接地面
28 反接地面
29 切欠部
30 右部
31 左部
33 第一部材
34 第二部材
35 補強部材
44 回動支軸
45 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状の弾性輪体(24)を備え、該弾性輪体(24)の左右の周側面側に一定の間隔で複数の羽状の推進ラグ(26)を突出形成した車輪(5)を有する水田用作業車において、前記推進ラグ(26)の接地面(27)、又は反接地面(28)を補強部材(35)で補強するにあたり、該補強部材(35)を、前記弾性輪体(26)を跨って左右の推進ラグ(26)に重合することで推進ラグ(26)の右部(30)と左部(31)を一体的に補強するように構成して前記複数の推進ラグ(26)に選択的に着脱可能に設けたことを特徴とする水田用作業車。
【請求項2】
前記車輪(5)は、その推進ラグ(26)を前記弾性輪体(24)の左右の周側面側から外周面に亘り一体的に突出形成して構成されると共に、前記補強部材(35)を、該推進ラグ(26)の接地面(27)側、又は反接地面(28)側の全体に重合するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の水田用作業車。
【請求項3】
前記補強部材(35)は前記推進ラグ(26)の接地面側に重合する第一部材(33)と、反接地面側に重合する第二部材(34)を有し、該第一部材(33)と第二部材(34)とを推進ラグ(26)の縁外で連結固定することで前記推進ラグ(26)に取り付けられることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の水田用作業車。
【請求項4】
前記第一部材(33)と第二部材(34)とを、回動支軸(44)を有する連結部材(45)で連結したことを特徴とする請求項3に記載の水田用作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−156882(P2011−156882A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17601(P2010−17601)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】