汚濁物浄化装置及び汚濁物浄化システム
【課題】荒天時における装置の保護が容易であり、エネルギーコストを抑えて水底に沈殿した有機性の汚濁物堆積汚泥を効率的に浄化処理することができる汚濁物浄化装置及び汚濁物浄化システムの提供。
【解決手段】被処理水域の水底に沈殿した有機性の汚濁物堆積汚泥を圧力流体供給装置2から供給される圧力流体により浄化処理する汚濁物浄化装置1であって、前記汚濁物堆積汚泥に圧力流体を供給する圧力流体供給管11を備え、該圧力流体供給管11の一端111は、前記汚濁物堆積汚泥の近傍又は内部まで延出し前記汚濁物堆積汚泥に圧力流体を供給して該汚濁物堆積汚泥を撹拌し、前記圧力流体供給管11の他端112に、前記圧力流体供給装置2が備える圧力流体供給口21に着脱可能な接続部を有することを特徴とする。
【解決手段】被処理水域の水底に沈殿した有機性の汚濁物堆積汚泥を圧力流体供給装置2から供給される圧力流体により浄化処理する汚濁物浄化装置1であって、前記汚濁物堆積汚泥に圧力流体を供給する圧力流体供給管11を備え、該圧力流体供給管11の一端111は、前記汚濁物堆積汚泥の近傍又は内部まで延出し前記汚濁物堆積汚泥に圧力流体を供給して該汚濁物堆積汚泥を撹拌し、前記圧力流体供給管11の他端112に、前記圧力流体供給装置2が備える圧力流体供給口21に着脱可能な接続部を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚濁物浄化装置及び汚濁物浄化システムに関し、詳しくは、海、川又は湖沼等における堆積汚泥の減少を目的とした汚濁物浄化装置及び汚濁物浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
海、川又は湖沼等において魚介類の養殖を行う場合、同一場所で長期間養殖を行い続けることにより、養殖に使用される飼料の残渣や養殖される魚介類の排泄物等が徐々に水底に堆積し、汚泥化して水質を悪化させ、魚介類の生育に悪影響を与える問題がある。
【0003】
水質悪化の最大の原因は水底の非活性化にある。すなわち、飼料の残渣や排泄物が水底に堆積することにより、やがてその堆積汚泥中が嫌気状態となり、好気性微生物による分解が停滞し、嫌気性微生物の活動が活発となることによって、腐敗、酸欠状態が進行し、有害な硫化水素等が発生して水質を悪化させる。特に魚介類の養殖は閉鎖水域で行われることが多いため、水質の悪化は深刻な問題である。
【0004】
従来では、このような水質悪化の問題に対処するため、定期的に浚渫作業を行うようにしている(例えば特許文献1)。しかし、堆積汚泥を浚渫するには大規模な工事を必要とするばかりでなく、浚渫された大量の汚泥の処分の問題もある。
【0005】
そこで、近年、堆積汚泥の浚渫を行うことなく、水底の堆積汚泥を浄化する試みがなされている。
【0006】
例えば、特許文献2には、水上に浮上する浮体から水中に延ばした駆動軸の先端に水中翼を設け、風力等の動力源によって水中翼を回転させると共に、水中に凝集触媒浄化剤を設置することにより、水中翼の回転によって水中を撹拌し、巻き上げた汚泥を凝集触媒浄化剤に吸着させて浄化を行うことが開示されている。
【0007】
この技術では、堆積汚泥を効率良く撹拌するためには、水中翼が水底付近に配置されるように駆動軸を延ばす必要がある。しかし、水底付近に水中翼を配置すると、荒天時の波浪によって水上の浮体が左右に揺動して駆動軸が傾斜することにより、水中翼が水底に対して傾斜し、水中翼の先端が水底に衝突して破損してしまう危険がある。また、水底が水面に対して傾斜している場合は、水底に対して水中翼を平行に回転することができず、堆積汚泥を効率良く撹拌することができなかった。
【0008】
一方、このような水中翼を用いることなく、嫌気状態の堆積汚泥に対して空気(気泡)を供給し、堆積汚泥中を好気状態とすることにより、好気性微生物による分解を促進する技術も提案されている(特許文献2〜7)。
【0009】
しかしながら、荒天時においては、水上に設けられたポンプ等の機器が暴風や高波等に晒されることになるため、これを容易に保護できる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3426813号公報
【特許文献2】特開2007−203278号公報
【特許文献2】特開2003−125669号公報
【特許文献4】特開2003−265063号公報
【特許文献5】特開2004−160442号公報
【特許文献6】特開2006−314954号公報
【特許文献7】特開2008−187987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の課題は、荒天時における装置の保護が容易であり、エネルギーコストを抑えて水底に沈殿した有機性の汚濁物堆積汚泥を効率的に浄化処理することができる汚濁物浄化装置及び汚濁物浄化システムを提供することにある。
【0012】
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0014】
(請求項1)
被処理水域の水底に沈殿した有機性の汚濁物堆積汚泥を圧力流体供給装置から供給される圧力流体により浄化処理する汚濁物浄化装置であって、
前記汚濁物堆積汚泥に圧力流体を供給する圧力流体供給管を備え、
該圧力流体供給管の一端は、前記汚濁物堆積汚泥の近傍又は内部まで延出し前記汚濁物堆積汚泥に圧力流体を供給して該汚濁物堆積汚泥を撹拌し、
前記圧力流体供給管の他端に、前記圧力流体供給装置が備える圧力流体供給口に着脱可能な接続部を有することを特徴とする汚濁物浄化装置。
【0015】
(請求項2)
前記圧力流体供給管の一端に、該圧力流体供給管から送り出される前記圧力流体により前記汚濁物堆積汚泥を撹拌する撹拌機を有し、
前記圧力流体の供給により汚濁物堆積汚泥を撹拌することを特徴とする請求項1記載の汚濁物浄化装置。
【0016】
(請求項3)
前記撹拌機は前記圧力流体供給管から送り出される前記圧力流体を噴射する噴射口と、該噴射口からの前記圧力流体の噴射により回転する回転体とを有することを特徴とする請求項2記載の汚濁物浄化装置。
【0017】
(請求項4)
前記噴射口は、前記回転体に設けられ、該回転体の回転方向に対する後方に向けて圧力流体を噴射することにより、該回転体の回転推進力を生成することを特徴とする請求項3記載の汚濁物浄化装置。
【0018】
(請求項5)
前記回転体は、前記汚濁物堆積汚泥を撹拌する撹拌板を備えることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の汚濁物浄化装置。
【0019】
(請求項6)
前記噴射口は、前記回転体に設けられ、該回転体が備える前記撹拌板の回転方向に対する背面に向けて圧力流体を噴射することにより、該回転体の回転推進力を生成することを特徴とする請求項5記載の汚濁物浄化装置。
【0020】
(請求項7)
前記汚濁物堆積汚泥の撹拌領域を周囲から遮蔽する遮蔽板を備えることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の汚濁物浄化装置。
【0021】
(請求項8)
前記圧力流体は、空気、水、酸素又はオゾンの1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の汚濁物浄化装置。
【0022】
(請求項9)
請求項1〜8の何れかに記載の汚濁物浄化装置と、前記圧力流体供給装置とからなる汚濁物浄化システムであって、
被処理水域における前記汚濁物浄化装置の総数が、前記圧力流体供給装置の圧力流体供給口の総数よりも多く、
複数の前記汚濁物浄化装置のうちの一部が、選択的に、前記圧力流体供給装置の圧力流体供給口に接続されていることを特徴とする汚濁物浄化システム。
【0023】
(請求項10)
前記圧力流体供給装置は水面に浮かんでおり、複数の前記汚濁物浄化装置間を移動可能であることを特徴とする請求項9記載の汚濁物浄化システム。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、荒天時における装置の保護が容易であり、エネルギーコストを抑えて水底に沈殿した有機性の汚濁物堆積汚泥を効率的に浄化処理することができる汚濁物浄化装置及び汚濁物浄化システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る汚濁物浄化装置の一例を示す概略側面図
【図2】撹拌機の第1態様を示す側面図
【図3】撹拌機が備える噴射口及び回転体の拡大図
【図4】撹拌機の第2態様を示す斜視図
【図5】撹拌機の第3態様を示す斜視図
【図6】撹拌機が複数の回転体を備える態様を示す側面図
【図7】回転体の回転方向の他の例を説明する図
【図8】回転体の回転方向の外周側に遮蔽板を設けた一例を示す斜視図
【図9】回転体の保護手段を備えた撹拌機の一例を示す斜視図
【図10】バネを有する複数の脚部を備える撹拌機の一例を示す側面図
【図11】撹拌機が補助鎖により吊り下げられた状態を示す側面図
【図12】複数の撹拌機を備える圧力流体供給管の一例を示す側面図
【図13】複数の圧力流体供給口を備える圧力流体供給装置の一例を示す側面図
【図14】本発明に係る汚濁物浄化装置の他の例を示す概略側面図
【図15】圧力流体供給装置との接続解除時における汚濁物浄化装置の一例を示す側面図
【図16】圧力流体供給装置との接続解除時における汚濁物浄化装置の他の例を示す側面図
【図17】本発明に係る汚濁物浄化システムの一例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0027】
図1は、本発明に係る汚濁物浄化装置の一例を示す概略側面図である。
【0028】
まず、図1において、Aは汚濁物浄化処理の対象となる被処理水域の水面であり、Bはその水底である。被処理水域としては、格別限定されず、海、川又は湖沼等や、水族館の水槽等の水槽、ゴルフ場の池等の人工の池等を好ましく例示できる。
【0029】
被処理水域では、飼料の残渣や排泄物、あるいは例えば河川や排水路等から運ばれた有機物などが、水底Bにおける非活性化によって汚泥化し、汚濁物堆積汚泥Sを生じる。
【0030】
水底Bまでの水深は、格別限定されないが、1〜20mの範囲であることが好ましく、3〜10mの範囲であることがより好ましい。
【0031】
本発明の汚濁物浄化装置1は、このような被処理水域の水底Bに沈殿した有機性の汚濁物堆積汚泥Sを浄化処理する。
【0032】
図1において、1は汚濁物浄化装置であり、2は圧力流体供給装置である。
【0033】
汚濁物浄化装置1は、汚濁物堆積汚泥Sに圧力流体を供給する圧力流体供給管11を備えている。
【0034】
圧力流体供給管11の一端111は、水底Bに沈殿した汚濁物堆積汚泥Sの近傍まで延出している。
【0035】
一方、圧力流体供給管11の他端112は、圧力流体供給口21に対して着脱可能な接続手段を有し、図示するように、該圧力流体供給口21に、着脱可能に、接続されている。接続手段としては、格別限定されず、工具を必要とすることなく着脱可能であるものが好ましく、具体的にはカプラー等を好ましく例示できる。
【0036】
図示するように、圧力流体供給装置2において、上述した圧力流体供給口21は、一端に圧力流体発生手段であるブロワ23を備える配管24の他端に形成されている。
【0037】
圧力流体供給装置2は、これら、圧力流体供給口21と、ブロワ23と、配管24と、ブロワ23に電力を供給する電力供給手段である太陽電池25とを、浮体22に搭載して構成されている。これにより、圧力流体供給装置2は、ブロワ23から生じた加圧空気を、圧力流体として、圧力流体供給管11の他端112に供給するように構成されている。
【0038】
これにより、他端112と圧力流体供給口21の接続時において、圧力流体供給装置2からの圧力流体を、汚濁物浄化装置1の圧力流体供給管11に導入できるようにしている。
【0039】
図示の例において、汚濁物浄化装置1の一端111は、被処理水域の水底Bに、該水底Bに沈殿した汚濁物堆積汚泥Sを撹拌する回転体を有する撹拌機3を備えている。
【0040】
図2は、図1に示す撹拌機3の拡大側面図であり、撹拌機3の第1態様を示している。
【0041】
図2に示す通り、撹拌機3は、フレーム32と、該フレーム32に回転可能に支持される回転体31とを備えている。図中Rは、回転体31の回転方向を示している。
【0042】
フレーム32は、複数の脚部32cを備え、該脚部32cの下端は、被処理水域の水底Bに接地されている。これにより、回転体31を水底Bに対して所定の距離に保持することができ、汚泥の浄化処理を安定させることができる。
【0043】
複数の脚部32cの下端同士を環状に連結して、環状部分で水底Bに接地させるようにしてもよい。
【0044】
フレーム32は、水底Bに対する回転体31の距離を調整可能に構成されることも好ましいことである。
【0045】
フレーム32は、圧力流体供給管11の一端111から送り出される圧力流体を導入する導入口33を備えている。
【0046】
一方、回転体31は、導入口33に導入された圧力流体を噴射する噴射口34を備えている。
【0047】
本態様において、導入口33と噴射口34とは、回転体31の内部に設けられた圧力流体の流路Fを介して接続されている。
【0048】
回転体31は、回転軸311と、該回転軸311から回転径方向に腕状に延設された4つの延設部312とからなり、噴射口34は、この延設部312の延設方向(回転径方向)に沿って複数設けられている。
【0049】
フレーム32と回転体31とは、フレーム32が備える連結部35において連結されている。
【0050】
図示の例において、連結部35は筒状の連結部本体35aを有している。
【0051】
連結部本体35aの一端側には、回転体31の回転軸311が、流路Fを連結部本体35aの内部に開口するように、回転可能に挿入されている。連結部本体35aと回転軸311との間の間隙にはOリング等からなるシール部材35b、35bが設けられており、この間隙を密封している。
【0052】
連結部本体35aの他端側には導入口33が設けられており、連結部本体35aの内部に圧力流体を導入するようにしている。
【0053】
また、本態様において、回転体31は、汚濁物堆積汚泥Bを撹拌する撹拌板313を備えている。
【0054】
撹拌板313は、延設部312の延設方向(回転径方向)に沿って固定されている。
【0055】
図3は、図2に示した第1態様に係る回転体31が備える噴射口34及び撹拌板313を説明する拡大図であり、回転体31の回転径方向から見た様子を示している。
【0056】
図3に示される通り、本態様において、噴射口34は、延設部312に一端を固定された細管340の他端に形成されている。細管340の内部は、延設部312内に形成されている圧力流体の流路Fと連通している。
【0057】
本態様において、噴射口34は、撹拌板313の回転方向Rに対する背面313aに向けて圧力流体を噴射するように配向されている。さらに、図示の通り、噴射口34の噴射方向は、水平方向よりも下方、即ち、水底B方向に向けられている。
【0058】
また、撹拌板313の背面313aは、噴射口34に対して凹湾曲となる形状を有している。
【0059】
以上に説明した第1態様に係る撹拌機3を備える汚泥撹拌装置1に、圧力流体供給装置2から圧力流体が供給されると、噴射口34は、圧力流体供給管11の一端111から送り出される圧力流体を、撹拌板313の回転方向Rに対する背面313aに向けて圧力流体を噴射する。
【0060】
噴射口34から噴射され撹拌板313の背面313aに衝突した圧力流体は、背面311aの凹湾曲に沿って、主に回転方向Rの反対方向に向けて拡散する。
【0061】
これにより、回転方向Rの後方に向けて拡散された圧力流体からの反作用により、回転体31を回転方向Rに回転するための回転推進力を生成して、回転体31を回転させる。
【0062】
同時に、撹拌板313の背面313aに衝突した圧力流体が、水底Bに沈殿した汚濁物堆積汚泥S方向に拡散される。
【0063】
この結果、回転体3の回転と圧力空気の供給により汚濁物堆積汚泥Sが撹拌されて浄化される。
【0064】
特に、本態様では、噴射口34からの圧力流体の噴射により回転体31が回転すると共に、該回転体31の回転に伴って該噴射口34自身も水中を旋回移動することになる。
【0065】
通常、水中では水の抵抗による圧力流体の圧力損失が大きくなるため、水中において汚濁物堆積汚泥Sを十分に撹拌するためには、噴射口は圧力を局部に集中させて噴射しなければならず、広範囲の汚濁物堆積汚泥Sを十分に撹拌することが困難であった。
【0066】
これに対して、本態様では、噴射口34自身も水中を旋回移動するから、圧力空気の供給による汚濁物堆積汚泥Sの撹拌が、広範囲に及ぶ効果を奏する。
【0067】
また、上述したように、噴射口34の噴射方向が水底B方向に配向されていると、撹拌板313の背面313aに衝突した圧力流体は、水底B方向に向けて拡散され易くなるため、汚濁物堆積汚泥Sの撹拌効率が更に向上する。
【0068】
本発明では、このように汚濁物堆積汚泥Sの撹拌効率に優れるため、汚濁物堆積汚泥Sと周辺の水とが混合され、汚濁物堆積汚泥S中の酸欠状態が改善される。これにより、好気性微生物による分解を進行し、嫌気性微生物の活動を阻害して、汚濁物堆積汚泥Sの浄化処理がなされる。
【0069】
さらに、本発明において、回転体31は、噴射口34からの圧力流体の噴射により回転可能とされているため、特許文献2に記載の水底B付近まで延出される駆動軸などの他の駆動手段を備える必要がない。そのため、圧力流体供給装置2と撹拌機3とを接続する圧力流体供給管11をゴム等の可動性(可撓性)の高い部材から形成することが可能となる。これにより、例えば波浪によって水面上に設置された圧力流体供給装置2が揺れても、その揺れが圧力流体供給管11により吸収され、撹拌機3に伝播することが防止される。従って、回転体31の破損を好適に防止して、水底Bの近傍において安定に回転させることが可能となる効果を奏する。
【0070】
撹拌機3を形成する材質は、格別限定されるものではないが、特にフレーム32と回転体31との摺動部についてはSUS316等のステンレス鋼を好ましく用いることができる。
【0071】
本発明において、回転体31の形状は、噴射口34からの圧力流体の噴射により回転可能であれば格別限定されない。
【0072】
回転体31が備えることができる撹拌板313の形状は格別限定されず、図2に示した湾曲板状の他に、平板状等を好ましく例示できる。特に、図2に示したように、湾曲板状の撹拌板313を用いて、回転方向Rの前面に凸湾曲面を配し、背面に凹湾曲面を配することが好ましく、これにより、凸湾曲面によって回転時の水の抵抗を低減でき、さらに、凹湾曲面によって圧力流体を回転方向Rの後方、下方及び外周側に広く拡散できるため、汚濁物堆積汚泥Sの撹拌効率が向上する効果を奏する。
【0073】
回転体31が備えることができる撹拌板313の枚数は格別限定されず、1又は複数枚を適宜備えることができる。
【0074】
回転体31の回転径L(図2)は、格別限定されるものではないが、200〜1500mmの範囲であることが好ましく、800〜1000mmの範囲であることがより好ましい。
【0075】
また、回転体31の回転速度は、格別限定されるものではないが、3〜10rpmの範囲であることが好ましく、5〜6rpmの範囲であることがより好ましい。本発明において、回転体31の回転速度は、例えば圧力流体の圧力を調整することにより容易に制御できる。
【0076】
以上の説明では、回転体31が、フレーム32により上方から支持される例を示したが、これに限定されるものではなく、例えばフレーム32により下方から支持されてもよい。
【0077】
本発明において、撹拌機3の構成は、回転体31を、噴射口34からの圧力流体の噴射により回転可能であれば、上述した第1の態様に限定されるものではない。以下に、他の態様について説明する。
【0078】
図4は、撹拌機3の第2態様を示す斜視図である。図中、同一の符号は、同一の構成を指している。
【0079】
第2の態様において、噴射口34は、図2及び3に示した態様と同様に回転体31に固定されているが、その噴射方向は、主に回転体31の回転方向Rの後方に向けて配向されている点で異なる。
【0080】
即ち、噴射口34から回転方向Rの後方に向けて噴射された圧力流体からの反作用により、回転体31を回転方向Rに回転するための回転推進力を生成することが可能とされている。
【0081】
図示の例では、腕状の延設部312の外端を回転方向Rの後方に屈曲させ、その先端に噴射口34を形成することにより、回転方向Rの後方に向けて噴射するようにしているが、これに限定されず、図3に示した第1態様において、細管340の先端を回転方向Rの後方に向けることで、噴射口を回転方向Rの後方に向けて配向させてもよい。
【0082】
これにより、第1態様と同様の効果が得られ、特に、第1態様と比較して、回転体31が、噴射口34から噴射された圧力流体からの反作用を直接的に受けることになるため、回転効率に更に優れる効果を奏する。一方、第1態様のように圧力流体を撹拌板313に衝突させて拡散させるものではないため、圧力流体の拡散性は比較的小さいものとなる。
【0083】
図5は、撹拌機3の第3態様を示す斜視図である。図中、同一の符号は、同一の構成を指している。
【0084】
第3態様において、噴射口34は、回転体31とは独立してフレーム32に固定されている。それ故、第3態様においては、回転体31に圧力流体の流路は設けられていない。
【0085】
第3態様において、噴射口34からの圧力流体の噴射方向は、回転体31が備える撹拌板313の背面313aに向けて配向されている。
【0086】
即ち、噴射口34から噴射される加圧空気により撹拌板313の背面313aを押圧することで、回転体31を回転方向Rに回転するための回転推進力を生成することが可能とされている。
【0087】
第3態様では、噴射口34がフレーム32に固定されているため、第1態様及び第2態様のように噴射口34自身が移動することはない。
【0088】
また、第3の態様では、回転体31が備える撹拌板313の枚数が多いほど、噴射口34からの加圧空気により押圧される機会が増えるため、回転推進力を得易くなる。具体的には、1つの回転体31あたり4〜20枚程度の枚数の撹拌板313を備えることが好ましい。また、第3の態様では、圧力供給管11を分岐させて、複数の噴射口34をフレーム32の複数箇所に分散して設けることも、回転するための推力が得易くなるため好ましい。
【0089】
以上、第1〜第3の態様の説明において、噴射口34からの圧力流体の噴射により回転体31を回転可能とするための構成を例示したが、本発明においては、噴射口34からの圧力流体の噴射により回転体31を回転可能であれば、回転機構はこれらの例に限定されるものではない。また、第1〜第3の態様に示したような種々の回転機構を組み合わせて用いることも好ましいことである。
【0090】
具体的には、例えば、(a)第1態様に係る構成(図2)において、第2態様に示したように、延設部312の外端を回転方向Rの後方に屈曲させ、その先端に、回転方向Rに対する後方に向けて圧力流体を噴射する噴射口34を増設する構成や、あるいは、(b)第1態様又は第2態様に係る構成において、圧力流体供給管11を分岐させて、撹拌板313の回転方向Rに対する背面313a向けて圧力流体を噴射する噴射口34をフレーム32に固定して増設する構成等を例示できる。
【0091】
以上の説明では、撹拌機3が1つの回転体31を有する構成について説明したが、本発明において、撹拌機3が有する回転体31の数は1つに限定されず、2以上を適宜設けることができる。
【0092】
図6は、撹拌機3が複数(図示の例では3つ)の回転体31を備える態様を示す側面図である。図中、同一の符号は、同一の構成を指している。
【0093】
図6に示される通り、それぞれの回転体31は、1つのフレーム32に支持されている。
【0094】
フレーム32は、導入口33から導入された加圧空気を圧送可能な配管32aを備えている。図示の例では、フレーム32の一部が中空状とされることで配管32aを成している。
【0095】
かかる配管32aを介して、それぞれの回転体31に対して設けられた噴射口34に加圧空気を供給できるようになっている。つまり、加圧空気は、フレーム32の配管32aから分岐して、それぞれの回転体31に対して設けられた噴射口34に分配供給されるようになっている。
【0096】
以上の説明では、フレーム32が備える配管32aから圧力流体を分岐させて分配供給させる例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、圧力流体供給管11を分岐させて複数の一端111を形成して連結部35に直接、圧力流体を分配供給させるようにしてもよい。
【0097】
また、以上の説明では、圧力流体供給管11の一端111が備える回転体31の回転軸311が、水底Bに対して略垂直である例を示したが、回転軸311の水底Bに対する角度は何ら限定されるものではない。
【0098】
図7は、回転体31の回転方向の他の例を示す斜視図である。
【0099】
図7の例において、撹拌機3は3つの回転体31a、31b、31cを備えており、図6に示した例と同様に、フレーム32が備える流路32aから、それぞれの回転体31a、31b、31cに設けられた噴射口34a、34b、34cに圧力流体を分配供給している。
【0100】
各々の回転体31a、31b又は31cにおいては、回転軸311から放射状に伸びる腕状の配管の先端に環状の流路を形成し、複数の噴射口34a、34b又は34cが、該環状の流路からその接線方向に開口している。
【0101】
図7に示される通り、これら回転体31a、31b、31cの回転軸311は、水底Bに対して略平行とされている。
【0102】
各々の回転体31a、31b、31cの回転方向Ra、Rb、Rcは、互いに同一でもよく、あるいは異なっていてもよい。図7の例では、隣接する回転体31a、31b、31c同士で、回転方向Ra、Rb、Rcが互いに逆向きとなるように、噴射口34a、34b、34cの配向方向を隣接する回転体31a、31b、31c間で逆向きに配置している。
【0103】
隣接する回転体31a、31b、31c同士で、回転方向Ra、Rb、Rcが互いに逆向きであることにより、隣接する回転体31a、31b、31c間において互いに逆向きの撹拌流同士が渦流を形成し易くなる。渦流は、撹拌効率に優れると共に、該渦流中に汚泥が保持され易いため、周辺領域に汚泥を撒き散らすことなく、処理中の汚泥に対してより継続的に浄化処理を施すことを可能とする効果を奏する。
【0104】
なお、図6に示したように、回転体31の回転軸311が、水底Bに対して略垂直である場合は、隣接する回転体31同士で回転方向Rが同方向である方が、隣接する回転体31間に渦流が発生し易くなるため好ましい。
【0105】
図8は、汚濁物浄化装置1が、汚濁物堆積汚泥Sの撹拌領域Cを周囲から遮蔽する遮蔽板12を備える一例を示す斜視図である。
【0106】
図8の例において、汚濁物浄化装置1は、回転体31の回転範囲の外周側側面に遮蔽板12を備えている。
【0107】
遮蔽板12を設けることにより、汚濁物堆積汚泥Sを周囲に分散させることなく、撹拌領域C内において継続的に浄化処理できるようになる。
【0108】
また、撹拌領域C内において撹拌流が定着され易くなり、回転体31の回転が促進され、撹拌効率が向上する。
【0109】
また、撹拌領域C内において酸素量もより効率的に上昇する。従って、撹拌領域C内では、汚泥中に酸素をより効率的に混入できる効果を奏する。
【0110】
図示の例に限定されず、遮蔽板12は、例えば、回転体31の回転範囲の上面側(汚濁物堆積汚泥Sとは反対側の面側)に設けられてもよい。
【0111】
さらに、回転体31の回転範囲の外周側側面及び上面側の両方に遮蔽板12を設けてもよい。この場合、好ましくは回転体31の回転範囲の上面側に、撹拌領域C内から外部に圧力流体を逃がすための孔を設けることが好ましい。これにより、特に圧力流体が気体を含む場合に、遮蔽板12で遮蔽された撹拌領域C内に気体が充満して浄化処理が不安定化することが防止される。
【0112】
以上、図8の例においては、図2に示した第2態様に係る撹拌機3に基づいて説明したが、これに限定されるものではない。
【0113】
図9は、フレーム32が、回転体31を水底Bに存在する岩や大型のゴミ等の障害物から保護するための保護手段32bを備えた一例を示す斜視図である。
【0114】
図9において、保護手段32bは、フレーム32が備える複数の脚部32cに支持され、回転体31と水底Bとの間に、該回転体31の回転範囲全体に亘って介在することにより、水底Bに存在する岩や大型のゴミ等の障害物から回転体31を保護している。
【0115】
図示の例において、保護手段32bは、金属又は樹脂等の剛直な素材から形成された網状体からなる。
【0116】
保護手段33bの形状は、網状体に限定されず、例えば一方向に並列されたパイプ等の棒状体の集合体から形成されてもよい。
【0117】
保護手段33bを備えることにより、撹拌機3が、水底Bに存在する岩や大型のゴミ等の障害物に乗り上げるように設置されても、回転体31が保護され、浄化処理を安定して行うことが可能となる効果を奏する。
【0118】
以上、図9の例においては、図2に示した第2態様に係る撹拌機3に基づいて説明したが、これに限定されるものではない。
【0119】
また、図10に示すように、フレーム32が備える複数の脚部32cは、それぞれが、バネ32dを有することにより、脚部32cにかかる水底Bからの負荷に応じて伸縮可能であることが好ましい。これにより、複数の脚部32cのうち何れかが岩等の異物B1を踏むことにより撹拌機3が水底Bに対して意図しない傾斜を生じることを防止して、浄化処理を安定して行うことが可能となる効果を奏する。
【0120】
さらに、本発明においては、撹拌機3は、必ずしも水底Bと接地している必要はなく、水底Bに対して所定の高さに設置されてもよい。
【0121】
図11において、撹拌機3は、回転体311と水底Bとの間の距離hが所定の値となるように、補助鎖4によって圧力流体供給手段2から吊り下げられている。
【0122】
補助鎖4は、圧力流体供給手段2に設けられたウインチ5に巻回されることで、距離hを調節可能に構成されている。
【0123】
撹拌機3を水底Bに接地させて処理を行う場合でも、撹拌機3が補助鎖4によって吊り下げ可能に構成されることで、浄化処理後に撹拌機3を移動する際に、補助鎖4によって吊り下げながら移動でき、圧力流体供給管11に荷重などによる負担をかけることを防ぐ効果が得られる。
【0124】
また、本発明の汚濁物浄化装置1は、図12に示す通り、圧力流体供給管11が分岐部13において分岐されて複数(図示の例では2つ)の一端111を備えることにより、複数(図示の例では2つ)の撹拌機3を備えることができる。
【0125】
さらに、本発明においては、図13に示す通り、圧力流体供給装置2が複数(図示の例では2つ)の圧力流体供給口21を備えることにより、1つの圧力流体供給装置2に対して、本発明の汚濁物浄化装置1を複数(図示の例では2つ)接続することができる。
【0126】
図13の例においては、1つのブロワ23から圧力流体を圧送する配管24を、2手に分岐させ、各々の先端に合計2つの圧力流体供給口21を形成している。
【0127】
この例に限定されず、圧力流体供給装置2は、複数の圧力流体供給口21毎に、ブロワ23及び配管24を独立して有することもできる。
【0128】
以上の説明では、主に、汚濁物浄化装置1が撹拌機3を備える場合について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0129】
図14に示す通り、本発明の汚濁物浄化装置1においては、撹拌機3を備えず、圧力流体供給管11の一端111が、汚濁物堆積汚泥Sの近傍又は内部まで延出し、該一端111から該汚濁物堆積汚泥Sに圧力流体供給装置2からの圧力流体を供給して、該汚濁物堆積汚泥Sを撹拌できればよい。
【0130】
図14に示される汚濁物浄化装置1は、撹拌機3を備えない分、圧力流体供給管11の一端111を、比較的軽量且つ小型に形成することが可能となる。比較的軽量且つ小型の一端111から圧力流体を供給すると、該一端111はその反作用により水底Bの表面に沿って移動する。このとき、特に、被処理水域の条件によっては、図示したように、水底Bに凹凸が形成されている場合がある。このような場合、一端111は、水底Bの表面を移動した後、水底Bの凹部に嵌り込むように捕捉され、該凹部において継続的な浄化処理を行うようになる。汚濁物堆積汚泥Sは、水底Bにおける凹部に堆積され易いため、一端111からの圧力流体の供給により浄化処理される。
【0131】
浄化処理を効率化する上で、一端111が水底Bの表面を好適に移動し、且つ、凹部に捕捉され易くするために、一端111を水底Bに接地させた際に、若干(好ましくは1m〜2mの範囲で)圧力流体供給管11の長さが余るように汚濁物浄化装置1を調整することが好ましい。
【0132】
また、圧力流体供給管11の一端111は、錘を備えることも好ましい。これにより、圧力流体の供給に伴う反作用により一端111が移動することを抑制ないし防止することができる。
【0133】
上述したように、本発明の汚濁物浄化装置1において、圧力流体供給管11の他端112は、圧力流体供給口21に対して着脱可能な接続手段を有している。
【0134】
このため、例えば暴風や高波等の荒天時には、汚濁物浄化装置1と圧力流体供給装置2との接続を解除して、ブロワや太陽電池等の繊細な機器を搭載する圧力流体供給装置2を安全な水域ないし陸上の安全な場所に移動して保護することが容易である。また、天候が回復すれば、圧力流体供給装置2を汚濁物浄化装置1の位置まで移動して処理を再開できる。
【0135】
図15は、圧力流体供給装置2との接続解除時における汚濁物浄化装置1の一例を示す側面図である。
【0136】
図15に示す通り、圧力流体供給装置2との接続が解除された汚濁物浄化装置1は、被処理水域の水面Aに浮かぶ浮体14に接続されている。
【0137】
図示の例において、圧力流体供給装置11の他端112は、水中に配置されている。
【0138】
浮体14の汚濁物浄化装置1に対する接続位置については、水中から圧力流体供給装置11の他端112を手繰り寄せることが可能であれば、格別限定されないが、好ましくは、図示したように、圧力流体供給装置11に接続されることが好ましく、特に、圧力流体供給装置11における他端112近傍に接続されることが好ましい。これにより、浮体14から圧力流体供給装置11の他端112を手繰り寄せることが容易となるから、再び圧力流体供給装置2に接続するための作業効率が向上する効果を奏する。
【0139】
図16は、圧力流体供給装置2との接続解除時における汚濁物浄化装置1の他の例を示す側面図である。
【0140】
図16に示す例では、図15に示した例と同様に、圧力流体供給装置2との接続が解除された汚濁物浄化装置1は、被処理水域の水面Aに浮かぶ浮体14に接続されているが、圧力流体供給装置11の他端112は、浮体14に支持されることにより、水面よりも上方に露出されている点で異なる。
【0141】
このように、浮体14が、圧力流体供給管11の他端112を水面Aよりも上方に露出するように支持することにより、再び圧力流体供給装置2に接続するための作業効率が更に向上する効果を奏する。
【0142】
本発明において、浮体14には、旗などの目印が設けられてもよい。さらに、宣伝広告等を標示する標示体が設けられてもよい。また、標示体は、浮体14に接続された汚濁物浄化装置1の浄化処理スケジュールを書き換え可能に標示できるものであることも好ましいことである。
【0143】
本発明において、浮体14は、汚濁物浄化装置1と圧力流体供給装置2とが接続された状態にあるときは、汚濁物浄化装置1から取り外しされてもよい。
【0144】
また、圧力流体供給装置2との接続解除時における汚濁物浄化装置1の漂流を防止するために、汚濁物浄化装置1は、水底Bに接地される錨手段を備えてもよい。
【0145】
次に、以上に説明した本発明の汚濁物浄化装置1と圧力流体供給装置2とによって構成される汚濁物浄化システムについて説明する。
【0146】
図17は、本発明に係る汚濁物浄化システムの一例を説明する図であり、被処理水域の水面Aを上方から見た様子を示している。
【0147】
図17(A)に示すように、被処理水域には、12体の汚濁物浄化装置1が設置されている(ここでは、汚濁物浄化装置1の設置位置によって4体毎に1A、1B又は1Cの符号で区別している。)。
【0148】
それぞれの汚濁物浄化装置1(1A、1B、1C)は、図16に示した例と同様に、浮体14に支持されることにより、圧力流体供給管11の他端112を水面Aよりも上方に露出している。
【0149】
この被処理水域の水面A上には、圧力流体供給装置2が1体設けられており、該圧力流体供給装置2は、4つの圧力流体供給口21を備えている。
【0150】
即ち、被処理水域における汚濁物浄化装置1(1A、1B、1C)の総数が、圧力流体供給装置2の圧力流体供給口21の総数よりも多い状態が形成されている。
【0151】
上述したように、圧力流体供給管11の他端112は、これら圧力流体供給口21に着脱可能な接続部を有している。
【0152】
図17(A)においては、12体の汚濁物浄化装置1(1A、1B、1C)のうち、汚濁物浄化装置1Aのみが、選択的に、圧力流体供給装置2が備える4つの圧力流体供給口21にそれぞれ接続されている。この状態で4つの汚濁物浄化装置1Aは、所定時間、圧力流体による汚濁物堆積汚泥Sの浄化処理を行う。
【0153】
一方、他の汚濁物浄化装置1(1B、1C)は、圧力流体供給装置2の圧力流体供給口21に接続されておらず、圧力流体による汚濁物堆積汚泥Sの浄化処理を行っていない。
【0154】
4つの汚濁物浄化装置1Aによる浄化処理が終わったら、圧力流体供給装置2は、4つの汚濁物浄化装置1Aとの接続を解除され、移動された後、図17(B)に示されるように、次の汚濁物浄化装置1Bと接続され、同様に浄化処理が行われる。
【0155】
4つの汚濁物浄化装置1Bによる浄化処理が終われば、更なる次の汚濁物浄化装置1Cと接続され、同様に浄化処理が行われる(不図示)。
【0156】
汚濁物浄化装置1A〜1Cを一巡した圧力流体供給装置2は、再度汚濁物浄化装置1Aに接続され、処理をルーチン化することができる。
【0157】
このように、圧力流体供給管11の他端112が、圧力流体供給口21に着脱可能な接続部を有していることにより、被処理水域における汚濁物浄化装置1(1A、1B、1C)の総数が、圧力流体供給装置2の圧力流体供給口21の総数よりも多い状態において、広範囲に亘る水域の浄化を効率よく行うことが可能となる効果を奏する。また、圧力流体供給装置2の設置数が少なくてよいため、処理が低コスト化される効果を奏する。
【0158】
本発明にかかる汚濁物浄化システムにおいては、図17に示した通り、圧力流体供給装置2は移動可能であることが好ましい。圧力流体供給装置2の移動は、例えば、圧力流体供給装置2がモーター及びスクリューを備えることにより水面Aを自走させて行ってもよいし、あるいは、他の船などによって牽引させて行ってもよい。
【0159】
これにより、圧力流体供給装置2を汚濁物浄化装置1の近傍まで移動させることができるため、例えば圧力流体供給装置2を固定して配管を延ばして接続する場合などと比較して、圧力損失を減少できる効果を奏する。
【0160】
このように、汚濁物浄化装置1の近傍まで接近させる観点から、圧力流体供給装置2は、図17に示した通り、水面Aに浮上して設置されていることが好ましいが、これに限定されず、例えば圧力流体供給装置2が陸上に設置されても良い。ここで、陸上とは、水面Aからの浮力によらず圧力流体供給装置2を載置可能なものを意味しており、例えば、岸や桟橋上などを好ましく例示できる。
【0161】
以上の説明では、図16に示した例の場合について説明したが、これに限定されず、例えば図15に示したように、圧力流体供給装置2と非接続時の圧力流体供給装置11の他端112が水中に配置されている場合であってもよい。
【0162】
また、本発明においては、被処理水域における汚濁物浄化装置1(1A、1B、1C)の総数が、圧力流体供給装置2の圧力流体供給口21の総数よりも多い状態が形成されている例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、汚濁物浄化装置1の総数と圧力流体供給装置2の圧力流体供給口21の総数との比が1:1であってもよく、あるいは、汚濁物浄化装置1の総数が、圧力流体供給装置2の圧力流体供給口21の総数よりも少なくてもよい。
【0163】
以上の説明では、圧力流体供給装置2が備える圧力流体発生手段がブロワ23であり、圧力流体が加圧空気である場合について示したが、これに限定されるものではない。
【0164】
本発明において、圧力流体を形成する流体としては、空気、水、酸素又はオゾンの1種又は2種以上の混合物を好ましく例示できる。なお、オゾンの供給は、生態系に害を及ぼさない範囲で行われる。
【0165】
圧力流体発生手段23は、これら流体を加圧するために、ブロワの他にポンプや気液混合装置等を適宜組み合わせて構成される。
【0166】
また、圧力流体は、水底B近傍の水よりも酸素濃度が高いことが好ましい。水面A近傍の水は、比較的酸素濃度が高いため、圧力流体として好適に用いることができる。
【0167】
水底B近傍の水よりも酸素濃度が高い圧力流体を用いることにより、汚泥発生の原因となる嫌気性微生物が殺菌されると共に、好気性微生物による汚泥の分解が促進されて、有害な硫化水素等の発生を防止して水質を効率的に浄化することができる。さらに、溶存酸素濃度の増加によって、魚介類や海藻等の生態系の復活がさらに促進される。
【0168】
さらに、水底B近傍の水よりも酸素濃度が高い圧力流体を用いることにより、汚泥の撹拌と酸素供給の両方を協働的に効率良く行うことができる。そのため、太陽電池のような発生電力が比較的低い電力供給手段を用いても好適に電力を賄うことができ、効率的な浄化処理を行うことが可能となる。
【0169】
圧力流体供給装置2は、噴射口34が設置される水深等に応じて圧力流体発生手段23により生成される圧力流体の圧力を調整する圧力調整手段を備えることも好ましいことである。圧力調整手段としては、格別限定されないが、圧力調整弁等を好ましく例示できる。噴射口34が設置される水深に伴って水圧が上昇するため、噴射される圧力流体の圧力は、水圧分を加算するように設定される。圧力調整手段を設けることによって、回転体31の回転速度の調整も可能となる。
【0170】
特に圧力流体供給管11の一端111が撹拌機3を備える場合は、水底B近傍において回転体31を回転可能な圧力まで流体を加圧できる圧力流体発生手段23が用いられる。
【0171】
圧力流体供給装置2は、圧力流体に酸化剤を添加する酸化剤添加手段を備えてもよい。酸化剤としては、汚泥を酸化分解可能であれば格別限定されず、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、臭素酸塩、亜臭素酸塩、次亜臭素酸塩、過酸化水素等を好ましく例示できる。圧力流体に酸化剤が添加されることにより、汚泥の分解を早めることができる効果を奏する。なお、酸化剤の添加は、生態系に害を及ぼさない範囲で行われる。
【0172】
本発明において、噴射口34(撹拌機3を備えない場合は一端111)の形状は、格別限定されるものではないが、圧力流体が気体を含む場合は、微細気泡発生手段を備えることが好ましい。
【0173】
微細気泡発生手段としては、散気板やメンブレンディフュザー等を好ましく例示できる。
【0174】
微細気泡は、滞留時間が長く、さらに気体に含まれる酸素の溶解速度も速まるため、被処理水域の水中の酸素濃度をより速やかに、より高濃度に上昇させることが可能となる。
【0175】
一般的に、微細気泡は噴射時(気泡生成時)における圧力損失が大きいため、噴射のみによっては充分な拡散が生じ難いが、本発明においては、特に上述した撹拌機の第1態様及び第2態様においては撹拌機3が備える回転体31の回転によって汚泥が巻き上げられると共に噴射口34自身も移動していくので、微細気泡が汚泥中に広範囲に渡って効率的に混合される効果を奏する。
【0176】
以上の説明では、電力供給手段24として太陽電池を例に説明したが、これに限定されるものではなく、蓄電池等であってもよい。また、電力供給手段24は、陸上から供給される電力を受電して供給する装置であってもよい。
【0177】
本発明の汚濁物浄化装置1により処理された水底Bには、好気性微生物担持体を散布することが好ましい。好気性微生物担持体としては、焼却粉砕された牡蠣殻等を好ましく例示できる。焼却粉砕された牡蠣殻は、好気性微生物を担持する性質に優れるため、水底Bにおける処理済みの領域に、好ましくは数10cm程度の厚さとなるように散布することにより、水質浄化が更に促進される効果を奏する。
【符号の説明】
【0178】
1:汚濁物浄化装置
11:圧力流体供給管
111:一端
112:他端
12:遮蔽板
13:分岐部
14:浮体
2:圧力流体供給装置
21:圧力流体供給口
22:浮体
23:圧力流体発生手段
24:配管
25:電力供給手段
3:撹拌機
31:回転体
311:回転軸
312:延設部
313:撹拌板
32:フレーム
33:導入口
34:噴射口
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚濁物浄化装置及び汚濁物浄化システムに関し、詳しくは、海、川又は湖沼等における堆積汚泥の減少を目的とした汚濁物浄化装置及び汚濁物浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
海、川又は湖沼等において魚介類の養殖を行う場合、同一場所で長期間養殖を行い続けることにより、養殖に使用される飼料の残渣や養殖される魚介類の排泄物等が徐々に水底に堆積し、汚泥化して水質を悪化させ、魚介類の生育に悪影響を与える問題がある。
【0003】
水質悪化の最大の原因は水底の非活性化にある。すなわち、飼料の残渣や排泄物が水底に堆積することにより、やがてその堆積汚泥中が嫌気状態となり、好気性微生物による分解が停滞し、嫌気性微生物の活動が活発となることによって、腐敗、酸欠状態が進行し、有害な硫化水素等が発生して水質を悪化させる。特に魚介類の養殖は閉鎖水域で行われることが多いため、水質の悪化は深刻な問題である。
【0004】
従来では、このような水質悪化の問題に対処するため、定期的に浚渫作業を行うようにしている(例えば特許文献1)。しかし、堆積汚泥を浚渫するには大規模な工事を必要とするばかりでなく、浚渫された大量の汚泥の処分の問題もある。
【0005】
そこで、近年、堆積汚泥の浚渫を行うことなく、水底の堆積汚泥を浄化する試みがなされている。
【0006】
例えば、特許文献2には、水上に浮上する浮体から水中に延ばした駆動軸の先端に水中翼を設け、風力等の動力源によって水中翼を回転させると共に、水中に凝集触媒浄化剤を設置することにより、水中翼の回転によって水中を撹拌し、巻き上げた汚泥を凝集触媒浄化剤に吸着させて浄化を行うことが開示されている。
【0007】
この技術では、堆積汚泥を効率良く撹拌するためには、水中翼が水底付近に配置されるように駆動軸を延ばす必要がある。しかし、水底付近に水中翼を配置すると、荒天時の波浪によって水上の浮体が左右に揺動して駆動軸が傾斜することにより、水中翼が水底に対して傾斜し、水中翼の先端が水底に衝突して破損してしまう危険がある。また、水底が水面に対して傾斜している場合は、水底に対して水中翼を平行に回転することができず、堆積汚泥を効率良く撹拌することができなかった。
【0008】
一方、このような水中翼を用いることなく、嫌気状態の堆積汚泥に対して空気(気泡)を供給し、堆積汚泥中を好気状態とすることにより、好気性微生物による分解を促進する技術も提案されている(特許文献2〜7)。
【0009】
しかしながら、荒天時においては、水上に設けられたポンプ等の機器が暴風や高波等に晒されることになるため、これを容易に保護できる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3426813号公報
【特許文献2】特開2007−203278号公報
【特許文献2】特開2003−125669号公報
【特許文献4】特開2003−265063号公報
【特許文献5】特開2004−160442号公報
【特許文献6】特開2006−314954号公報
【特許文献7】特開2008−187987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の課題は、荒天時における装置の保護が容易であり、エネルギーコストを抑えて水底に沈殿した有機性の汚濁物堆積汚泥を効率的に浄化処理することができる汚濁物浄化装置及び汚濁物浄化システムを提供することにある。
【0012】
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0014】
(請求項1)
被処理水域の水底に沈殿した有機性の汚濁物堆積汚泥を圧力流体供給装置から供給される圧力流体により浄化処理する汚濁物浄化装置であって、
前記汚濁物堆積汚泥に圧力流体を供給する圧力流体供給管を備え、
該圧力流体供給管の一端は、前記汚濁物堆積汚泥の近傍又は内部まで延出し前記汚濁物堆積汚泥に圧力流体を供給して該汚濁物堆積汚泥を撹拌し、
前記圧力流体供給管の他端に、前記圧力流体供給装置が備える圧力流体供給口に着脱可能な接続部を有することを特徴とする汚濁物浄化装置。
【0015】
(請求項2)
前記圧力流体供給管の一端に、該圧力流体供給管から送り出される前記圧力流体により前記汚濁物堆積汚泥を撹拌する撹拌機を有し、
前記圧力流体の供給により汚濁物堆積汚泥を撹拌することを特徴とする請求項1記載の汚濁物浄化装置。
【0016】
(請求項3)
前記撹拌機は前記圧力流体供給管から送り出される前記圧力流体を噴射する噴射口と、該噴射口からの前記圧力流体の噴射により回転する回転体とを有することを特徴とする請求項2記載の汚濁物浄化装置。
【0017】
(請求項4)
前記噴射口は、前記回転体に設けられ、該回転体の回転方向に対する後方に向けて圧力流体を噴射することにより、該回転体の回転推進力を生成することを特徴とする請求項3記載の汚濁物浄化装置。
【0018】
(請求項5)
前記回転体は、前記汚濁物堆積汚泥を撹拌する撹拌板を備えることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の汚濁物浄化装置。
【0019】
(請求項6)
前記噴射口は、前記回転体に設けられ、該回転体が備える前記撹拌板の回転方向に対する背面に向けて圧力流体を噴射することにより、該回転体の回転推進力を生成することを特徴とする請求項5記載の汚濁物浄化装置。
【0020】
(請求項7)
前記汚濁物堆積汚泥の撹拌領域を周囲から遮蔽する遮蔽板を備えることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の汚濁物浄化装置。
【0021】
(請求項8)
前記圧力流体は、空気、水、酸素又はオゾンの1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の汚濁物浄化装置。
【0022】
(請求項9)
請求項1〜8の何れかに記載の汚濁物浄化装置と、前記圧力流体供給装置とからなる汚濁物浄化システムであって、
被処理水域における前記汚濁物浄化装置の総数が、前記圧力流体供給装置の圧力流体供給口の総数よりも多く、
複数の前記汚濁物浄化装置のうちの一部が、選択的に、前記圧力流体供給装置の圧力流体供給口に接続されていることを特徴とする汚濁物浄化システム。
【0023】
(請求項10)
前記圧力流体供給装置は水面に浮かんでおり、複数の前記汚濁物浄化装置間を移動可能であることを特徴とする請求項9記載の汚濁物浄化システム。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、荒天時における装置の保護が容易であり、エネルギーコストを抑えて水底に沈殿した有機性の汚濁物堆積汚泥を効率的に浄化処理することができる汚濁物浄化装置及び汚濁物浄化システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る汚濁物浄化装置の一例を示す概略側面図
【図2】撹拌機の第1態様を示す側面図
【図3】撹拌機が備える噴射口及び回転体の拡大図
【図4】撹拌機の第2態様を示す斜視図
【図5】撹拌機の第3態様を示す斜視図
【図6】撹拌機が複数の回転体を備える態様を示す側面図
【図7】回転体の回転方向の他の例を説明する図
【図8】回転体の回転方向の外周側に遮蔽板を設けた一例を示す斜視図
【図9】回転体の保護手段を備えた撹拌機の一例を示す斜視図
【図10】バネを有する複数の脚部を備える撹拌機の一例を示す側面図
【図11】撹拌機が補助鎖により吊り下げられた状態を示す側面図
【図12】複数の撹拌機を備える圧力流体供給管の一例を示す側面図
【図13】複数の圧力流体供給口を備える圧力流体供給装置の一例を示す側面図
【図14】本発明に係る汚濁物浄化装置の他の例を示す概略側面図
【図15】圧力流体供給装置との接続解除時における汚濁物浄化装置の一例を示す側面図
【図16】圧力流体供給装置との接続解除時における汚濁物浄化装置の他の例を示す側面図
【図17】本発明に係る汚濁物浄化システムの一例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0027】
図1は、本発明に係る汚濁物浄化装置の一例を示す概略側面図である。
【0028】
まず、図1において、Aは汚濁物浄化処理の対象となる被処理水域の水面であり、Bはその水底である。被処理水域としては、格別限定されず、海、川又は湖沼等や、水族館の水槽等の水槽、ゴルフ場の池等の人工の池等を好ましく例示できる。
【0029】
被処理水域では、飼料の残渣や排泄物、あるいは例えば河川や排水路等から運ばれた有機物などが、水底Bにおける非活性化によって汚泥化し、汚濁物堆積汚泥Sを生じる。
【0030】
水底Bまでの水深は、格別限定されないが、1〜20mの範囲であることが好ましく、3〜10mの範囲であることがより好ましい。
【0031】
本発明の汚濁物浄化装置1は、このような被処理水域の水底Bに沈殿した有機性の汚濁物堆積汚泥Sを浄化処理する。
【0032】
図1において、1は汚濁物浄化装置であり、2は圧力流体供給装置である。
【0033】
汚濁物浄化装置1は、汚濁物堆積汚泥Sに圧力流体を供給する圧力流体供給管11を備えている。
【0034】
圧力流体供給管11の一端111は、水底Bに沈殿した汚濁物堆積汚泥Sの近傍まで延出している。
【0035】
一方、圧力流体供給管11の他端112は、圧力流体供給口21に対して着脱可能な接続手段を有し、図示するように、該圧力流体供給口21に、着脱可能に、接続されている。接続手段としては、格別限定されず、工具を必要とすることなく着脱可能であるものが好ましく、具体的にはカプラー等を好ましく例示できる。
【0036】
図示するように、圧力流体供給装置2において、上述した圧力流体供給口21は、一端に圧力流体発生手段であるブロワ23を備える配管24の他端に形成されている。
【0037】
圧力流体供給装置2は、これら、圧力流体供給口21と、ブロワ23と、配管24と、ブロワ23に電力を供給する電力供給手段である太陽電池25とを、浮体22に搭載して構成されている。これにより、圧力流体供給装置2は、ブロワ23から生じた加圧空気を、圧力流体として、圧力流体供給管11の他端112に供給するように構成されている。
【0038】
これにより、他端112と圧力流体供給口21の接続時において、圧力流体供給装置2からの圧力流体を、汚濁物浄化装置1の圧力流体供給管11に導入できるようにしている。
【0039】
図示の例において、汚濁物浄化装置1の一端111は、被処理水域の水底Bに、該水底Bに沈殿した汚濁物堆積汚泥Sを撹拌する回転体を有する撹拌機3を備えている。
【0040】
図2は、図1に示す撹拌機3の拡大側面図であり、撹拌機3の第1態様を示している。
【0041】
図2に示す通り、撹拌機3は、フレーム32と、該フレーム32に回転可能に支持される回転体31とを備えている。図中Rは、回転体31の回転方向を示している。
【0042】
フレーム32は、複数の脚部32cを備え、該脚部32cの下端は、被処理水域の水底Bに接地されている。これにより、回転体31を水底Bに対して所定の距離に保持することができ、汚泥の浄化処理を安定させることができる。
【0043】
複数の脚部32cの下端同士を環状に連結して、環状部分で水底Bに接地させるようにしてもよい。
【0044】
フレーム32は、水底Bに対する回転体31の距離を調整可能に構成されることも好ましいことである。
【0045】
フレーム32は、圧力流体供給管11の一端111から送り出される圧力流体を導入する導入口33を備えている。
【0046】
一方、回転体31は、導入口33に導入された圧力流体を噴射する噴射口34を備えている。
【0047】
本態様において、導入口33と噴射口34とは、回転体31の内部に設けられた圧力流体の流路Fを介して接続されている。
【0048】
回転体31は、回転軸311と、該回転軸311から回転径方向に腕状に延設された4つの延設部312とからなり、噴射口34は、この延設部312の延設方向(回転径方向)に沿って複数設けられている。
【0049】
フレーム32と回転体31とは、フレーム32が備える連結部35において連結されている。
【0050】
図示の例において、連結部35は筒状の連結部本体35aを有している。
【0051】
連結部本体35aの一端側には、回転体31の回転軸311が、流路Fを連結部本体35aの内部に開口するように、回転可能に挿入されている。連結部本体35aと回転軸311との間の間隙にはOリング等からなるシール部材35b、35bが設けられており、この間隙を密封している。
【0052】
連結部本体35aの他端側には導入口33が設けられており、連結部本体35aの内部に圧力流体を導入するようにしている。
【0053】
また、本態様において、回転体31は、汚濁物堆積汚泥Bを撹拌する撹拌板313を備えている。
【0054】
撹拌板313は、延設部312の延設方向(回転径方向)に沿って固定されている。
【0055】
図3は、図2に示した第1態様に係る回転体31が備える噴射口34及び撹拌板313を説明する拡大図であり、回転体31の回転径方向から見た様子を示している。
【0056】
図3に示される通り、本態様において、噴射口34は、延設部312に一端を固定された細管340の他端に形成されている。細管340の内部は、延設部312内に形成されている圧力流体の流路Fと連通している。
【0057】
本態様において、噴射口34は、撹拌板313の回転方向Rに対する背面313aに向けて圧力流体を噴射するように配向されている。さらに、図示の通り、噴射口34の噴射方向は、水平方向よりも下方、即ち、水底B方向に向けられている。
【0058】
また、撹拌板313の背面313aは、噴射口34に対して凹湾曲となる形状を有している。
【0059】
以上に説明した第1態様に係る撹拌機3を備える汚泥撹拌装置1に、圧力流体供給装置2から圧力流体が供給されると、噴射口34は、圧力流体供給管11の一端111から送り出される圧力流体を、撹拌板313の回転方向Rに対する背面313aに向けて圧力流体を噴射する。
【0060】
噴射口34から噴射され撹拌板313の背面313aに衝突した圧力流体は、背面311aの凹湾曲に沿って、主に回転方向Rの反対方向に向けて拡散する。
【0061】
これにより、回転方向Rの後方に向けて拡散された圧力流体からの反作用により、回転体31を回転方向Rに回転するための回転推進力を生成して、回転体31を回転させる。
【0062】
同時に、撹拌板313の背面313aに衝突した圧力流体が、水底Bに沈殿した汚濁物堆積汚泥S方向に拡散される。
【0063】
この結果、回転体3の回転と圧力空気の供給により汚濁物堆積汚泥Sが撹拌されて浄化される。
【0064】
特に、本態様では、噴射口34からの圧力流体の噴射により回転体31が回転すると共に、該回転体31の回転に伴って該噴射口34自身も水中を旋回移動することになる。
【0065】
通常、水中では水の抵抗による圧力流体の圧力損失が大きくなるため、水中において汚濁物堆積汚泥Sを十分に撹拌するためには、噴射口は圧力を局部に集中させて噴射しなければならず、広範囲の汚濁物堆積汚泥Sを十分に撹拌することが困難であった。
【0066】
これに対して、本態様では、噴射口34自身も水中を旋回移動するから、圧力空気の供給による汚濁物堆積汚泥Sの撹拌が、広範囲に及ぶ効果を奏する。
【0067】
また、上述したように、噴射口34の噴射方向が水底B方向に配向されていると、撹拌板313の背面313aに衝突した圧力流体は、水底B方向に向けて拡散され易くなるため、汚濁物堆積汚泥Sの撹拌効率が更に向上する。
【0068】
本発明では、このように汚濁物堆積汚泥Sの撹拌効率に優れるため、汚濁物堆積汚泥Sと周辺の水とが混合され、汚濁物堆積汚泥S中の酸欠状態が改善される。これにより、好気性微生物による分解を進行し、嫌気性微生物の活動を阻害して、汚濁物堆積汚泥Sの浄化処理がなされる。
【0069】
さらに、本発明において、回転体31は、噴射口34からの圧力流体の噴射により回転可能とされているため、特許文献2に記載の水底B付近まで延出される駆動軸などの他の駆動手段を備える必要がない。そのため、圧力流体供給装置2と撹拌機3とを接続する圧力流体供給管11をゴム等の可動性(可撓性)の高い部材から形成することが可能となる。これにより、例えば波浪によって水面上に設置された圧力流体供給装置2が揺れても、その揺れが圧力流体供給管11により吸収され、撹拌機3に伝播することが防止される。従って、回転体31の破損を好適に防止して、水底Bの近傍において安定に回転させることが可能となる効果を奏する。
【0070】
撹拌機3を形成する材質は、格別限定されるものではないが、特にフレーム32と回転体31との摺動部についてはSUS316等のステンレス鋼を好ましく用いることができる。
【0071】
本発明において、回転体31の形状は、噴射口34からの圧力流体の噴射により回転可能であれば格別限定されない。
【0072】
回転体31が備えることができる撹拌板313の形状は格別限定されず、図2に示した湾曲板状の他に、平板状等を好ましく例示できる。特に、図2に示したように、湾曲板状の撹拌板313を用いて、回転方向Rの前面に凸湾曲面を配し、背面に凹湾曲面を配することが好ましく、これにより、凸湾曲面によって回転時の水の抵抗を低減でき、さらに、凹湾曲面によって圧力流体を回転方向Rの後方、下方及び外周側に広く拡散できるため、汚濁物堆積汚泥Sの撹拌効率が向上する効果を奏する。
【0073】
回転体31が備えることができる撹拌板313の枚数は格別限定されず、1又は複数枚を適宜備えることができる。
【0074】
回転体31の回転径L(図2)は、格別限定されるものではないが、200〜1500mmの範囲であることが好ましく、800〜1000mmの範囲であることがより好ましい。
【0075】
また、回転体31の回転速度は、格別限定されるものではないが、3〜10rpmの範囲であることが好ましく、5〜6rpmの範囲であることがより好ましい。本発明において、回転体31の回転速度は、例えば圧力流体の圧力を調整することにより容易に制御できる。
【0076】
以上の説明では、回転体31が、フレーム32により上方から支持される例を示したが、これに限定されるものではなく、例えばフレーム32により下方から支持されてもよい。
【0077】
本発明において、撹拌機3の構成は、回転体31を、噴射口34からの圧力流体の噴射により回転可能であれば、上述した第1の態様に限定されるものではない。以下に、他の態様について説明する。
【0078】
図4は、撹拌機3の第2態様を示す斜視図である。図中、同一の符号は、同一の構成を指している。
【0079】
第2の態様において、噴射口34は、図2及び3に示した態様と同様に回転体31に固定されているが、その噴射方向は、主に回転体31の回転方向Rの後方に向けて配向されている点で異なる。
【0080】
即ち、噴射口34から回転方向Rの後方に向けて噴射された圧力流体からの反作用により、回転体31を回転方向Rに回転するための回転推進力を生成することが可能とされている。
【0081】
図示の例では、腕状の延設部312の外端を回転方向Rの後方に屈曲させ、その先端に噴射口34を形成することにより、回転方向Rの後方に向けて噴射するようにしているが、これに限定されず、図3に示した第1態様において、細管340の先端を回転方向Rの後方に向けることで、噴射口を回転方向Rの後方に向けて配向させてもよい。
【0082】
これにより、第1態様と同様の効果が得られ、特に、第1態様と比較して、回転体31が、噴射口34から噴射された圧力流体からの反作用を直接的に受けることになるため、回転効率に更に優れる効果を奏する。一方、第1態様のように圧力流体を撹拌板313に衝突させて拡散させるものではないため、圧力流体の拡散性は比較的小さいものとなる。
【0083】
図5は、撹拌機3の第3態様を示す斜視図である。図中、同一の符号は、同一の構成を指している。
【0084】
第3態様において、噴射口34は、回転体31とは独立してフレーム32に固定されている。それ故、第3態様においては、回転体31に圧力流体の流路は設けられていない。
【0085】
第3態様において、噴射口34からの圧力流体の噴射方向は、回転体31が備える撹拌板313の背面313aに向けて配向されている。
【0086】
即ち、噴射口34から噴射される加圧空気により撹拌板313の背面313aを押圧することで、回転体31を回転方向Rに回転するための回転推進力を生成することが可能とされている。
【0087】
第3態様では、噴射口34がフレーム32に固定されているため、第1態様及び第2態様のように噴射口34自身が移動することはない。
【0088】
また、第3の態様では、回転体31が備える撹拌板313の枚数が多いほど、噴射口34からの加圧空気により押圧される機会が増えるため、回転推進力を得易くなる。具体的には、1つの回転体31あたり4〜20枚程度の枚数の撹拌板313を備えることが好ましい。また、第3の態様では、圧力供給管11を分岐させて、複数の噴射口34をフレーム32の複数箇所に分散して設けることも、回転するための推力が得易くなるため好ましい。
【0089】
以上、第1〜第3の態様の説明において、噴射口34からの圧力流体の噴射により回転体31を回転可能とするための構成を例示したが、本発明においては、噴射口34からの圧力流体の噴射により回転体31を回転可能であれば、回転機構はこれらの例に限定されるものではない。また、第1〜第3の態様に示したような種々の回転機構を組み合わせて用いることも好ましいことである。
【0090】
具体的には、例えば、(a)第1態様に係る構成(図2)において、第2態様に示したように、延設部312の外端を回転方向Rの後方に屈曲させ、その先端に、回転方向Rに対する後方に向けて圧力流体を噴射する噴射口34を増設する構成や、あるいは、(b)第1態様又は第2態様に係る構成において、圧力流体供給管11を分岐させて、撹拌板313の回転方向Rに対する背面313a向けて圧力流体を噴射する噴射口34をフレーム32に固定して増設する構成等を例示できる。
【0091】
以上の説明では、撹拌機3が1つの回転体31を有する構成について説明したが、本発明において、撹拌機3が有する回転体31の数は1つに限定されず、2以上を適宜設けることができる。
【0092】
図6は、撹拌機3が複数(図示の例では3つ)の回転体31を備える態様を示す側面図である。図中、同一の符号は、同一の構成を指している。
【0093】
図6に示される通り、それぞれの回転体31は、1つのフレーム32に支持されている。
【0094】
フレーム32は、導入口33から導入された加圧空気を圧送可能な配管32aを備えている。図示の例では、フレーム32の一部が中空状とされることで配管32aを成している。
【0095】
かかる配管32aを介して、それぞれの回転体31に対して設けられた噴射口34に加圧空気を供給できるようになっている。つまり、加圧空気は、フレーム32の配管32aから分岐して、それぞれの回転体31に対して設けられた噴射口34に分配供給されるようになっている。
【0096】
以上の説明では、フレーム32が備える配管32aから圧力流体を分岐させて分配供給させる例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、圧力流体供給管11を分岐させて複数の一端111を形成して連結部35に直接、圧力流体を分配供給させるようにしてもよい。
【0097】
また、以上の説明では、圧力流体供給管11の一端111が備える回転体31の回転軸311が、水底Bに対して略垂直である例を示したが、回転軸311の水底Bに対する角度は何ら限定されるものではない。
【0098】
図7は、回転体31の回転方向の他の例を示す斜視図である。
【0099】
図7の例において、撹拌機3は3つの回転体31a、31b、31cを備えており、図6に示した例と同様に、フレーム32が備える流路32aから、それぞれの回転体31a、31b、31cに設けられた噴射口34a、34b、34cに圧力流体を分配供給している。
【0100】
各々の回転体31a、31b又は31cにおいては、回転軸311から放射状に伸びる腕状の配管の先端に環状の流路を形成し、複数の噴射口34a、34b又は34cが、該環状の流路からその接線方向に開口している。
【0101】
図7に示される通り、これら回転体31a、31b、31cの回転軸311は、水底Bに対して略平行とされている。
【0102】
各々の回転体31a、31b、31cの回転方向Ra、Rb、Rcは、互いに同一でもよく、あるいは異なっていてもよい。図7の例では、隣接する回転体31a、31b、31c同士で、回転方向Ra、Rb、Rcが互いに逆向きとなるように、噴射口34a、34b、34cの配向方向を隣接する回転体31a、31b、31c間で逆向きに配置している。
【0103】
隣接する回転体31a、31b、31c同士で、回転方向Ra、Rb、Rcが互いに逆向きであることにより、隣接する回転体31a、31b、31c間において互いに逆向きの撹拌流同士が渦流を形成し易くなる。渦流は、撹拌効率に優れると共に、該渦流中に汚泥が保持され易いため、周辺領域に汚泥を撒き散らすことなく、処理中の汚泥に対してより継続的に浄化処理を施すことを可能とする効果を奏する。
【0104】
なお、図6に示したように、回転体31の回転軸311が、水底Bに対して略垂直である場合は、隣接する回転体31同士で回転方向Rが同方向である方が、隣接する回転体31間に渦流が発生し易くなるため好ましい。
【0105】
図8は、汚濁物浄化装置1が、汚濁物堆積汚泥Sの撹拌領域Cを周囲から遮蔽する遮蔽板12を備える一例を示す斜視図である。
【0106】
図8の例において、汚濁物浄化装置1は、回転体31の回転範囲の外周側側面に遮蔽板12を備えている。
【0107】
遮蔽板12を設けることにより、汚濁物堆積汚泥Sを周囲に分散させることなく、撹拌領域C内において継続的に浄化処理できるようになる。
【0108】
また、撹拌領域C内において撹拌流が定着され易くなり、回転体31の回転が促進され、撹拌効率が向上する。
【0109】
また、撹拌領域C内において酸素量もより効率的に上昇する。従って、撹拌領域C内では、汚泥中に酸素をより効率的に混入できる効果を奏する。
【0110】
図示の例に限定されず、遮蔽板12は、例えば、回転体31の回転範囲の上面側(汚濁物堆積汚泥Sとは反対側の面側)に設けられてもよい。
【0111】
さらに、回転体31の回転範囲の外周側側面及び上面側の両方に遮蔽板12を設けてもよい。この場合、好ましくは回転体31の回転範囲の上面側に、撹拌領域C内から外部に圧力流体を逃がすための孔を設けることが好ましい。これにより、特に圧力流体が気体を含む場合に、遮蔽板12で遮蔽された撹拌領域C内に気体が充満して浄化処理が不安定化することが防止される。
【0112】
以上、図8の例においては、図2に示した第2態様に係る撹拌機3に基づいて説明したが、これに限定されるものではない。
【0113】
図9は、フレーム32が、回転体31を水底Bに存在する岩や大型のゴミ等の障害物から保護するための保護手段32bを備えた一例を示す斜視図である。
【0114】
図9において、保護手段32bは、フレーム32が備える複数の脚部32cに支持され、回転体31と水底Bとの間に、該回転体31の回転範囲全体に亘って介在することにより、水底Bに存在する岩や大型のゴミ等の障害物から回転体31を保護している。
【0115】
図示の例において、保護手段32bは、金属又は樹脂等の剛直な素材から形成された網状体からなる。
【0116】
保護手段33bの形状は、網状体に限定されず、例えば一方向に並列されたパイプ等の棒状体の集合体から形成されてもよい。
【0117】
保護手段33bを備えることにより、撹拌機3が、水底Bに存在する岩や大型のゴミ等の障害物に乗り上げるように設置されても、回転体31が保護され、浄化処理を安定して行うことが可能となる効果を奏する。
【0118】
以上、図9の例においては、図2に示した第2態様に係る撹拌機3に基づいて説明したが、これに限定されるものではない。
【0119】
また、図10に示すように、フレーム32が備える複数の脚部32cは、それぞれが、バネ32dを有することにより、脚部32cにかかる水底Bからの負荷に応じて伸縮可能であることが好ましい。これにより、複数の脚部32cのうち何れかが岩等の異物B1を踏むことにより撹拌機3が水底Bに対して意図しない傾斜を生じることを防止して、浄化処理を安定して行うことが可能となる効果を奏する。
【0120】
さらに、本発明においては、撹拌機3は、必ずしも水底Bと接地している必要はなく、水底Bに対して所定の高さに設置されてもよい。
【0121】
図11において、撹拌機3は、回転体311と水底Bとの間の距離hが所定の値となるように、補助鎖4によって圧力流体供給手段2から吊り下げられている。
【0122】
補助鎖4は、圧力流体供給手段2に設けられたウインチ5に巻回されることで、距離hを調節可能に構成されている。
【0123】
撹拌機3を水底Bに接地させて処理を行う場合でも、撹拌機3が補助鎖4によって吊り下げ可能に構成されることで、浄化処理後に撹拌機3を移動する際に、補助鎖4によって吊り下げながら移動でき、圧力流体供給管11に荷重などによる負担をかけることを防ぐ効果が得られる。
【0124】
また、本発明の汚濁物浄化装置1は、図12に示す通り、圧力流体供給管11が分岐部13において分岐されて複数(図示の例では2つ)の一端111を備えることにより、複数(図示の例では2つ)の撹拌機3を備えることができる。
【0125】
さらに、本発明においては、図13に示す通り、圧力流体供給装置2が複数(図示の例では2つ)の圧力流体供給口21を備えることにより、1つの圧力流体供給装置2に対して、本発明の汚濁物浄化装置1を複数(図示の例では2つ)接続することができる。
【0126】
図13の例においては、1つのブロワ23から圧力流体を圧送する配管24を、2手に分岐させ、各々の先端に合計2つの圧力流体供給口21を形成している。
【0127】
この例に限定されず、圧力流体供給装置2は、複数の圧力流体供給口21毎に、ブロワ23及び配管24を独立して有することもできる。
【0128】
以上の説明では、主に、汚濁物浄化装置1が撹拌機3を備える場合について説明したが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0129】
図14に示す通り、本発明の汚濁物浄化装置1においては、撹拌機3を備えず、圧力流体供給管11の一端111が、汚濁物堆積汚泥Sの近傍又は内部まで延出し、該一端111から該汚濁物堆積汚泥Sに圧力流体供給装置2からの圧力流体を供給して、該汚濁物堆積汚泥Sを撹拌できればよい。
【0130】
図14に示される汚濁物浄化装置1は、撹拌機3を備えない分、圧力流体供給管11の一端111を、比較的軽量且つ小型に形成することが可能となる。比較的軽量且つ小型の一端111から圧力流体を供給すると、該一端111はその反作用により水底Bの表面に沿って移動する。このとき、特に、被処理水域の条件によっては、図示したように、水底Bに凹凸が形成されている場合がある。このような場合、一端111は、水底Bの表面を移動した後、水底Bの凹部に嵌り込むように捕捉され、該凹部において継続的な浄化処理を行うようになる。汚濁物堆積汚泥Sは、水底Bにおける凹部に堆積され易いため、一端111からの圧力流体の供給により浄化処理される。
【0131】
浄化処理を効率化する上で、一端111が水底Bの表面を好適に移動し、且つ、凹部に捕捉され易くするために、一端111を水底Bに接地させた際に、若干(好ましくは1m〜2mの範囲で)圧力流体供給管11の長さが余るように汚濁物浄化装置1を調整することが好ましい。
【0132】
また、圧力流体供給管11の一端111は、錘を備えることも好ましい。これにより、圧力流体の供給に伴う反作用により一端111が移動することを抑制ないし防止することができる。
【0133】
上述したように、本発明の汚濁物浄化装置1において、圧力流体供給管11の他端112は、圧力流体供給口21に対して着脱可能な接続手段を有している。
【0134】
このため、例えば暴風や高波等の荒天時には、汚濁物浄化装置1と圧力流体供給装置2との接続を解除して、ブロワや太陽電池等の繊細な機器を搭載する圧力流体供給装置2を安全な水域ないし陸上の安全な場所に移動して保護することが容易である。また、天候が回復すれば、圧力流体供給装置2を汚濁物浄化装置1の位置まで移動して処理を再開できる。
【0135】
図15は、圧力流体供給装置2との接続解除時における汚濁物浄化装置1の一例を示す側面図である。
【0136】
図15に示す通り、圧力流体供給装置2との接続が解除された汚濁物浄化装置1は、被処理水域の水面Aに浮かぶ浮体14に接続されている。
【0137】
図示の例において、圧力流体供給装置11の他端112は、水中に配置されている。
【0138】
浮体14の汚濁物浄化装置1に対する接続位置については、水中から圧力流体供給装置11の他端112を手繰り寄せることが可能であれば、格別限定されないが、好ましくは、図示したように、圧力流体供給装置11に接続されることが好ましく、特に、圧力流体供給装置11における他端112近傍に接続されることが好ましい。これにより、浮体14から圧力流体供給装置11の他端112を手繰り寄せることが容易となるから、再び圧力流体供給装置2に接続するための作業効率が向上する効果を奏する。
【0139】
図16は、圧力流体供給装置2との接続解除時における汚濁物浄化装置1の他の例を示す側面図である。
【0140】
図16に示す例では、図15に示した例と同様に、圧力流体供給装置2との接続が解除された汚濁物浄化装置1は、被処理水域の水面Aに浮かぶ浮体14に接続されているが、圧力流体供給装置11の他端112は、浮体14に支持されることにより、水面よりも上方に露出されている点で異なる。
【0141】
このように、浮体14が、圧力流体供給管11の他端112を水面Aよりも上方に露出するように支持することにより、再び圧力流体供給装置2に接続するための作業効率が更に向上する効果を奏する。
【0142】
本発明において、浮体14には、旗などの目印が設けられてもよい。さらに、宣伝広告等を標示する標示体が設けられてもよい。また、標示体は、浮体14に接続された汚濁物浄化装置1の浄化処理スケジュールを書き換え可能に標示できるものであることも好ましいことである。
【0143】
本発明において、浮体14は、汚濁物浄化装置1と圧力流体供給装置2とが接続された状態にあるときは、汚濁物浄化装置1から取り外しされてもよい。
【0144】
また、圧力流体供給装置2との接続解除時における汚濁物浄化装置1の漂流を防止するために、汚濁物浄化装置1は、水底Bに接地される錨手段を備えてもよい。
【0145】
次に、以上に説明した本発明の汚濁物浄化装置1と圧力流体供給装置2とによって構成される汚濁物浄化システムについて説明する。
【0146】
図17は、本発明に係る汚濁物浄化システムの一例を説明する図であり、被処理水域の水面Aを上方から見た様子を示している。
【0147】
図17(A)に示すように、被処理水域には、12体の汚濁物浄化装置1が設置されている(ここでは、汚濁物浄化装置1の設置位置によって4体毎に1A、1B又は1Cの符号で区別している。)。
【0148】
それぞれの汚濁物浄化装置1(1A、1B、1C)は、図16に示した例と同様に、浮体14に支持されることにより、圧力流体供給管11の他端112を水面Aよりも上方に露出している。
【0149】
この被処理水域の水面A上には、圧力流体供給装置2が1体設けられており、該圧力流体供給装置2は、4つの圧力流体供給口21を備えている。
【0150】
即ち、被処理水域における汚濁物浄化装置1(1A、1B、1C)の総数が、圧力流体供給装置2の圧力流体供給口21の総数よりも多い状態が形成されている。
【0151】
上述したように、圧力流体供給管11の他端112は、これら圧力流体供給口21に着脱可能な接続部を有している。
【0152】
図17(A)においては、12体の汚濁物浄化装置1(1A、1B、1C)のうち、汚濁物浄化装置1Aのみが、選択的に、圧力流体供給装置2が備える4つの圧力流体供給口21にそれぞれ接続されている。この状態で4つの汚濁物浄化装置1Aは、所定時間、圧力流体による汚濁物堆積汚泥Sの浄化処理を行う。
【0153】
一方、他の汚濁物浄化装置1(1B、1C)は、圧力流体供給装置2の圧力流体供給口21に接続されておらず、圧力流体による汚濁物堆積汚泥Sの浄化処理を行っていない。
【0154】
4つの汚濁物浄化装置1Aによる浄化処理が終わったら、圧力流体供給装置2は、4つの汚濁物浄化装置1Aとの接続を解除され、移動された後、図17(B)に示されるように、次の汚濁物浄化装置1Bと接続され、同様に浄化処理が行われる。
【0155】
4つの汚濁物浄化装置1Bによる浄化処理が終われば、更なる次の汚濁物浄化装置1Cと接続され、同様に浄化処理が行われる(不図示)。
【0156】
汚濁物浄化装置1A〜1Cを一巡した圧力流体供給装置2は、再度汚濁物浄化装置1Aに接続され、処理をルーチン化することができる。
【0157】
このように、圧力流体供給管11の他端112が、圧力流体供給口21に着脱可能な接続部を有していることにより、被処理水域における汚濁物浄化装置1(1A、1B、1C)の総数が、圧力流体供給装置2の圧力流体供給口21の総数よりも多い状態において、広範囲に亘る水域の浄化を効率よく行うことが可能となる効果を奏する。また、圧力流体供給装置2の設置数が少なくてよいため、処理が低コスト化される効果を奏する。
【0158】
本発明にかかる汚濁物浄化システムにおいては、図17に示した通り、圧力流体供給装置2は移動可能であることが好ましい。圧力流体供給装置2の移動は、例えば、圧力流体供給装置2がモーター及びスクリューを備えることにより水面Aを自走させて行ってもよいし、あるいは、他の船などによって牽引させて行ってもよい。
【0159】
これにより、圧力流体供給装置2を汚濁物浄化装置1の近傍まで移動させることができるため、例えば圧力流体供給装置2を固定して配管を延ばして接続する場合などと比較して、圧力損失を減少できる効果を奏する。
【0160】
このように、汚濁物浄化装置1の近傍まで接近させる観点から、圧力流体供給装置2は、図17に示した通り、水面Aに浮上して設置されていることが好ましいが、これに限定されず、例えば圧力流体供給装置2が陸上に設置されても良い。ここで、陸上とは、水面Aからの浮力によらず圧力流体供給装置2を載置可能なものを意味しており、例えば、岸や桟橋上などを好ましく例示できる。
【0161】
以上の説明では、図16に示した例の場合について説明したが、これに限定されず、例えば図15に示したように、圧力流体供給装置2と非接続時の圧力流体供給装置11の他端112が水中に配置されている場合であってもよい。
【0162】
また、本発明においては、被処理水域における汚濁物浄化装置1(1A、1B、1C)の総数が、圧力流体供給装置2の圧力流体供給口21の総数よりも多い状態が形成されている例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、汚濁物浄化装置1の総数と圧力流体供給装置2の圧力流体供給口21の総数との比が1:1であってもよく、あるいは、汚濁物浄化装置1の総数が、圧力流体供給装置2の圧力流体供給口21の総数よりも少なくてもよい。
【0163】
以上の説明では、圧力流体供給装置2が備える圧力流体発生手段がブロワ23であり、圧力流体が加圧空気である場合について示したが、これに限定されるものではない。
【0164】
本発明において、圧力流体を形成する流体としては、空気、水、酸素又はオゾンの1種又は2種以上の混合物を好ましく例示できる。なお、オゾンの供給は、生態系に害を及ぼさない範囲で行われる。
【0165】
圧力流体発生手段23は、これら流体を加圧するために、ブロワの他にポンプや気液混合装置等を適宜組み合わせて構成される。
【0166】
また、圧力流体は、水底B近傍の水よりも酸素濃度が高いことが好ましい。水面A近傍の水は、比較的酸素濃度が高いため、圧力流体として好適に用いることができる。
【0167】
水底B近傍の水よりも酸素濃度が高い圧力流体を用いることにより、汚泥発生の原因となる嫌気性微生物が殺菌されると共に、好気性微生物による汚泥の分解が促進されて、有害な硫化水素等の発生を防止して水質を効率的に浄化することができる。さらに、溶存酸素濃度の増加によって、魚介類や海藻等の生態系の復活がさらに促進される。
【0168】
さらに、水底B近傍の水よりも酸素濃度が高い圧力流体を用いることにより、汚泥の撹拌と酸素供給の両方を協働的に効率良く行うことができる。そのため、太陽電池のような発生電力が比較的低い電力供給手段を用いても好適に電力を賄うことができ、効率的な浄化処理を行うことが可能となる。
【0169】
圧力流体供給装置2は、噴射口34が設置される水深等に応じて圧力流体発生手段23により生成される圧力流体の圧力を調整する圧力調整手段を備えることも好ましいことである。圧力調整手段としては、格別限定されないが、圧力調整弁等を好ましく例示できる。噴射口34が設置される水深に伴って水圧が上昇するため、噴射される圧力流体の圧力は、水圧分を加算するように設定される。圧力調整手段を設けることによって、回転体31の回転速度の調整も可能となる。
【0170】
特に圧力流体供給管11の一端111が撹拌機3を備える場合は、水底B近傍において回転体31を回転可能な圧力まで流体を加圧できる圧力流体発生手段23が用いられる。
【0171】
圧力流体供給装置2は、圧力流体に酸化剤を添加する酸化剤添加手段を備えてもよい。酸化剤としては、汚泥を酸化分解可能であれば格別限定されず、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、臭素酸塩、亜臭素酸塩、次亜臭素酸塩、過酸化水素等を好ましく例示できる。圧力流体に酸化剤が添加されることにより、汚泥の分解を早めることができる効果を奏する。なお、酸化剤の添加は、生態系に害を及ぼさない範囲で行われる。
【0172】
本発明において、噴射口34(撹拌機3を備えない場合は一端111)の形状は、格別限定されるものではないが、圧力流体が気体を含む場合は、微細気泡発生手段を備えることが好ましい。
【0173】
微細気泡発生手段としては、散気板やメンブレンディフュザー等を好ましく例示できる。
【0174】
微細気泡は、滞留時間が長く、さらに気体に含まれる酸素の溶解速度も速まるため、被処理水域の水中の酸素濃度をより速やかに、より高濃度に上昇させることが可能となる。
【0175】
一般的に、微細気泡は噴射時(気泡生成時)における圧力損失が大きいため、噴射のみによっては充分な拡散が生じ難いが、本発明においては、特に上述した撹拌機の第1態様及び第2態様においては撹拌機3が備える回転体31の回転によって汚泥が巻き上げられると共に噴射口34自身も移動していくので、微細気泡が汚泥中に広範囲に渡って効率的に混合される効果を奏する。
【0176】
以上の説明では、電力供給手段24として太陽電池を例に説明したが、これに限定されるものではなく、蓄電池等であってもよい。また、電力供給手段24は、陸上から供給される電力を受電して供給する装置であってもよい。
【0177】
本発明の汚濁物浄化装置1により処理された水底Bには、好気性微生物担持体を散布することが好ましい。好気性微生物担持体としては、焼却粉砕された牡蠣殻等を好ましく例示できる。焼却粉砕された牡蠣殻は、好気性微生物を担持する性質に優れるため、水底Bにおける処理済みの領域に、好ましくは数10cm程度の厚さとなるように散布することにより、水質浄化が更に促進される効果を奏する。
【符号の説明】
【0178】
1:汚濁物浄化装置
11:圧力流体供給管
111:一端
112:他端
12:遮蔽板
13:分岐部
14:浮体
2:圧力流体供給装置
21:圧力流体供給口
22:浮体
23:圧力流体発生手段
24:配管
25:電力供給手段
3:撹拌機
31:回転体
311:回転軸
312:延設部
313:撹拌板
32:フレーム
33:導入口
34:噴射口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水域の水底に沈殿した有機性の汚濁物堆積汚泥を圧力流体供給装置から供給される圧力流体により浄化処理する汚濁物浄化装置であって、
前記汚濁物堆積汚泥に圧力流体を供給する圧力流体供給管を備え、
該圧力流体供給管の一端は、前記汚濁物堆積汚泥の近傍又は内部まで延出し前記汚濁物堆積汚泥に圧力流体を供給して該汚濁物堆積汚泥を撹拌し、
前記圧力流体供給管の他端に、前記圧力流体供給装置が備える圧力流体供給口に着脱可能な接続部を有することを特徴とする汚濁物浄化装置。
【請求項2】
前記圧力流体供給管の一端に、該圧力流体供給管から送り出される前記圧力流体により前記汚濁物堆積汚泥を撹拌する撹拌機を有し、
前記圧力流体の供給により汚濁物堆積汚泥を撹拌することを特徴とする請求項1記載の汚濁物浄化装置。
【請求項3】
前記撹拌機は前記圧力流体供給管から送り出される前記圧力流体を噴射する噴射口と、該噴射口からの前記圧力流体の噴射により回転する回転体とを有することを特徴とする請求項2記載の汚濁物浄化装置。
【請求項4】
前記噴射口は、前記回転体に設けられ、該回転体の回転方向に対する後方に向けて圧力流体を噴射することにより、該回転体の回転推進力を生成することを特徴とする請求項3記載の汚濁物浄化装置。
【請求項5】
前記回転体は、前記汚濁物堆積汚泥を撹拌する撹拌板を備えることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の汚濁物浄化装置。
【請求項6】
前記噴射口は、前記回転体に設けられ、該回転体が備える前記撹拌板の回転方向に対する背面に向けて圧力流体を噴射することにより、該回転体の回転推進力を生成することを特徴とする請求項5記載の汚濁物浄化装置。
【請求項7】
前記汚濁物堆積汚泥の撹拌領域を周囲から遮蔽する遮蔽板を備えることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の汚濁物浄化装置。
【請求項8】
前記圧力流体は、空気、水、酸素又はオゾンの1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の汚濁物浄化装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載の汚濁物浄化装置と、前記圧力流体供給装置とからなる汚濁物浄化システムであって、
被処理水域における前記汚濁物浄化装置の総数が、前記圧力流体供給装置の圧力流体供給口の総数よりも多く、
複数の前記汚濁物浄化装置のうちの一部が、選択的に、前記圧力流体供給装置の圧力流体供給口に接続されていることを特徴とする汚濁物浄化システム。
【請求項10】
前記圧力流体供給装置は水面に浮かんでおり、複数の前記汚濁物浄化装置間を移動可能であることを特徴とする請求項9記載の汚濁物浄化システム。
【請求項1】
被処理水域の水底に沈殿した有機性の汚濁物堆積汚泥を圧力流体供給装置から供給される圧力流体により浄化処理する汚濁物浄化装置であって、
前記汚濁物堆積汚泥に圧力流体を供給する圧力流体供給管を備え、
該圧力流体供給管の一端は、前記汚濁物堆積汚泥の近傍又は内部まで延出し前記汚濁物堆積汚泥に圧力流体を供給して該汚濁物堆積汚泥を撹拌し、
前記圧力流体供給管の他端に、前記圧力流体供給装置が備える圧力流体供給口に着脱可能な接続部を有することを特徴とする汚濁物浄化装置。
【請求項2】
前記圧力流体供給管の一端に、該圧力流体供給管から送り出される前記圧力流体により前記汚濁物堆積汚泥を撹拌する撹拌機を有し、
前記圧力流体の供給により汚濁物堆積汚泥を撹拌することを特徴とする請求項1記載の汚濁物浄化装置。
【請求項3】
前記撹拌機は前記圧力流体供給管から送り出される前記圧力流体を噴射する噴射口と、該噴射口からの前記圧力流体の噴射により回転する回転体とを有することを特徴とする請求項2記載の汚濁物浄化装置。
【請求項4】
前記噴射口は、前記回転体に設けられ、該回転体の回転方向に対する後方に向けて圧力流体を噴射することにより、該回転体の回転推進力を生成することを特徴とする請求項3記載の汚濁物浄化装置。
【請求項5】
前記回転体は、前記汚濁物堆積汚泥を撹拌する撹拌板を備えることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の汚濁物浄化装置。
【請求項6】
前記噴射口は、前記回転体に設けられ、該回転体が備える前記撹拌板の回転方向に対する背面に向けて圧力流体を噴射することにより、該回転体の回転推進力を生成することを特徴とする請求項5記載の汚濁物浄化装置。
【請求項7】
前記汚濁物堆積汚泥の撹拌領域を周囲から遮蔽する遮蔽板を備えることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の汚濁物浄化装置。
【請求項8】
前記圧力流体は、空気、水、酸素又はオゾンの1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の汚濁物浄化装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載の汚濁物浄化装置と、前記圧力流体供給装置とからなる汚濁物浄化システムであって、
被処理水域における前記汚濁物浄化装置の総数が、前記圧力流体供給装置の圧力流体供給口の総数よりも多く、
複数の前記汚濁物浄化装置のうちの一部が、選択的に、前記圧力流体供給装置の圧力流体供給口に接続されていることを特徴とする汚濁物浄化システム。
【請求項10】
前記圧力流体供給装置は水面に浮かんでおり、複数の前記汚濁物浄化装置間を移動可能であることを特徴とする請求項9記載の汚濁物浄化システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−200656(P2012−200656A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66753(P2011−66753)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(591159608)東京日進ジャバラ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(591159608)東京日進ジャバラ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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