説明

液体燃料燃焼装置

【課題】燃料タンク5を取り出す際、取手8を握った手が本体1内部に触れると、鉄板の端面やネジ等で怪我をしてしまうおそれがある。
【解決手段】燃料タンク5を本体1に着脱する際に取手8を握った手が本体1内部と接触しないよう保護する保護部材12を設けた。これにより、取手8を握って回動させたときに、保護部材12に手が触れることはあっても本体1内部にある鉄板の端面やネジ等に手が触れることはないため、怪我をするおそれがなく、安全に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体に着脱自在な燃料タンクを備えた液体燃料燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ファンヒーター等の液体燃料燃焼装置は、本体に着脱自在な燃料タンクを備え、この燃料タンクから液体燃料を供給して燃焼するようになっている。また、燃料タンクには持ち運びのために必要な取手が回動自在に設けられており、燃料タンクが本体に装着されているときは、取手は燃料タンク側に倒した状態となっている。
【0003】
さらに、燃焼装置本体の上面には燃料タンクを出し入れするためのタンク挿入口と、タンク挿入口を閉塞するフタが設けられており、給油のために燃料タンクを取り出すときは、フタを開けてから燃料タンクの取手を握って起立させて引き上げる。なお、通常、燃料タンクの取手はタンク挿入口とほぼ同じ高さに位置しているため、容易に取手を握って起立させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−2404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、燃焼装置の構造上の都合によっては、燃料タンクが収納される空間の高さに比べて燃料タンク自体の高さが低く設計されることがあり、この場合、取手はタンク挿入口よりも低い位置にあるため、タンク挿入口から本体の内部に手を入れなければ取手を掴むことができない。しかしながら、燃料タンクと本体内部の間隔は狭く、取手を握って引き起こす際に本体内部に手が接触してしまう。そして、この取手が回動する軌道上には本体を構成する鉄板の端面やネジ等があるため、ここに手が接触すると怪我をしてしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためのもので、燃料タンクを本体から取り出す際に怪我をしてしまうおそれのない液体燃料燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、本体に着脱自在な燃料タンクと、前記燃料タンクに回動自在に設けられた取手と、前記燃料タンクを本体に着脱する際に前記取手を握った手が本体内部と接触しないよう保護する保護部材を有することを特徴とする液体燃料燃焼装置である。
【0008】
また、本体に着脱自在な燃料タンクと、燃料タンクに回動自在に設けられた取手と、前記取手に設けられた握り部と、前記燃料タンクを本体内に収納した際に前記握り部と対向する面に本体の内側を覆う保護部材を備えることを特徴とする液体燃料燃焼装置である。
【0009】
また、前記燃料タンクを出し入れするタンク挿入口を有する天板と、前記天板が載置される枠板とを備え、前記保護部材は前記天板と前記枠板に挟み込まれて固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の液体燃料燃焼装置である。
【0010】
また、前記保護部材はツメ部を備え、前記枠板は前記保護部材の前記ツメ部が係合する係合孔を有することを特徴とする請求項3記載の液体燃料燃焼装置である。
【0011】
また、前記保護部材は前記取手を引き上げる軌道に対して鈍角となるテーパ面を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の液体燃料燃焼装置である。
【0012】
また、前記保護部材は裏側に突片を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の液体燃料燃焼装置である。
【発明の効果】
【0013】
上述のように構成することにより、本体内部の鉄板端面やネジ等の触れると怪我をするおそれのある部品は保護部材によって覆われて露出しないため、燃料タンクを本体から取り出す際に怪我をすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の燃焼装置の外観斜視図である。
【図2】本発明の燃料タンクが装着された状態を示す図である。
【図3】本発明の保護部材の(a)正面図、(b)側面図、(c)裏面図である。
【図4】取手を引き起こす軌道を示した図である。
【図5】保護部材を取り付ける手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好適と考える本発明の最良の形態を、本発明の作用効果を示して簡単に説明する。
【0016】
本発明は、本体に着脱自在な燃料タンクを備えた燃焼装置であって、燃料タンクを本体に着脱する際に取手を握った手が本体内部と接触しないよう保護する保護部材を備えている。
【0017】
燃料タンクを本体から取り出すときは、まず倒れた状態の燃料タンクの取手を握って回動させて引き起こす動作を行う。本体内部の取手が回動する軌道上には本体を構成する鉄板の端面やネジ等の触れると怪我をするおそれのある部品があるが、これらを覆うように保護部材が設けられている。つまり、取手を握って回動させたときに、保護部材に手が触れることはあっても本体内部にある鉄板の端面やネジ等に手が触れることはないため、怪我をする恐れがなく、安全に燃料タンクの着脱を行うことができるのである。
【実施例1】
【0018】
以下本発明の一実施例を図面により説明する。
【0019】
図1および2は本発明の燃焼装置を示した図であって、燃焼装置の本体1は、上面を構成する天板2、側面および背面を構成し天板2が載置される略コの字状の枠板3、開閉可能なフタ4を備えている。
【0020】
そして、天板2には液体燃料を供給するための燃料タンク5を出し入れするタンク挿入口6が設けられており、このタンク挿入口6の開口面からは下方に伸びるフランジ7が形成されている。
【0021】
燃料タンク5は、回動自在に設けられた取手8、取手8の少なくとも一辺を形成する握り部9を備えている。なお、本実施例では取手8に樹脂製の部材を被覆して握り部9を構成しているが、ここで言う握り部とは取手8を引き起こす際に手で握る部分であればよく、例えば金属部材を折り曲げて形成した取手8の一部であっても構わない。
【0022】
また、タンクガイド10と枠板3によって本体1内部にはタンク収納室11が形成されている。
【0023】
そして、燃料タンク5が本体1に装着されているときは、取手8は燃料タンク5に倒した状態となっており、この状態において握り部9が対向する面、つまり本体1の背面には天板2と枠板3に挟み込まれるようにして保護部材12が設けられている。
【0024】
この保護部材12は、例えばABS樹脂などの合成樹脂で形成され、図3に示すように、上端がカールするとともに、下端の左右2箇所にツメ部13を備え、このツメ部13は後述する枠板3に設けられた係合孔14に係合するようになっている。さらに、保護部材12の長手方向には、天板2のフランジ7が当接する段部15と、段部15の下にテーパ面16が形成され、このテーパ面16は図4のように、取手8を引き上げる軌道(破線で表示)に対する角θが鈍角となるように形成されている。そして、裏面には抜け防止のための突片17が設けられている。
【0025】
したがって、枠板3の端面や、天板2と枠板3を固定するネジ等の触ると怪我をするおそれのある部分はこの保護部材12によって覆われ、タンク収納室11には露出しないことになる。つまり、燃料タンク5を取り出そうとして握り部9を握って取手8を回動させたときに、保護部材12に手が触れることはあっても枠板3の端面やネジ等に手が触れることはないので安全に燃料タンク5を本体1から取り出すことができる。
【0026】
なお、取手8の握り部9を握った手が保護部材12に触れたとしても、その部分にはテーパ面16が形成されており、このテーパ面16は取手8を引き上げる軌道に対して鈍角であるため保護部材12に手が引っかかったりすることはなく、接触しても怪我をするものではない。
【0027】
ところで、保護部材12は樹脂で形成されていて力を加えると変形するため、捻るなどして無理に力を加えると内側から取り外されてしまうおそれがある。そこで、保護部材12の裏面には突片17を設けて、この突片17にストッパーの役割をさせることで、無理に力を加えたとしても内側からは取り外すことができないようにしている。これにより、例えば保護部材12をフランジ7の隙間から引き抜こうとしても、突片17の奥行き長さ以上に引き出さないと突片17がフランジ7に引っかかって抜くことができないし、反対に押し込んでフランジ7の下から外そうとしても突片17が枠板3に突き当たるため押し込むことはできなくなるのである。
【0028】
次に、保護部材12の取り付け方法について図5を用いて説明する。
【0029】
図5(a)は保護部材12を取り付ける前の状態であって、枠板3には保護部材12のツメ部13が係合する係合孔14が2箇所設けられている。そして、枠板3の係合孔14にツメ部13を係合させて、図5(b)に示すように保護部材12を枠板3に引っかけ、次に図5(c)に示すように枠板3に天板2を載置することにより、保護部材12は枠板3と天板2のフランジ7に挟み込まれて固定されることになる。その後、枠板3と天板2は本体1の背面よりネジで固定されるが、当然ながら、このネジは保護部材12によって覆われるためタンク収納室11には露出しない。
【0030】
つまり、保護部材12自体はネジ等による取り付けを必要としないため取り付けは簡単でありながら、保護部材12を挟み込む枠板3と天板2はネジによって固定されているので保護部材12が容易に外れたりする心配はない。さらに、通常の組み立て工程の途中に、保護部材12を引っ掛ける工程を追加するだけでよいので、組み立ての作業性が悪化するといった問題も発生しない。
【0031】
また、保護部材12を枠板3に引っ掛ける際には、ツメ部13と係合孔14を係合させているので保護部材12が横方向にズレてしまうことはない。
【0032】
本実施例では、燃料タンク5を本体1に装着して取手8を倒した際に握り部9が本体1の背面と対向するため、保護部材12は本体1の背面に設けられている。しかし、燃料タンク5の形状や装着する向きによっては握り部9と対向する面が本体1の側面になる場合もあり、この場合は、保護部材12は本体1の側面に設けることになる。なお、保護部材12を設ける面が側面であっても、背面の場合と同じ手順で取り付けられる。
【符号の説明】
【0033】
1 本体
2 天板
3 枠板
5 燃料タンク
6 タンク挿入口
8 取手
9 握り部
12 保護部材
13 ツメ部
14 係合孔
16 テーパ面
17 突片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に着脱自在な燃料タンクと、前記燃料タンクに回動自在に設けられた取手と、前記燃料タンクを本体に着脱する際に前記取手を握った手が本体内部と接触しないよう保護する保護部材を有することを特徴とする液体燃料燃焼装置。
【請求項2】
本体に着脱自在な燃料タンクと、前記燃料タンクに回動自在に設けられた取手と、前記取手に設けられた握り部と、前記燃料タンクを本体内に収納した際に前記握り部と対向する面に本体の内側を覆う保護部材を備えることを特徴とする液体燃料燃焼装置。
【請求項3】
前記燃料タンクを出し入れするタンク挿入口を有する天板と、前記天板が載置される枠板とを備え、前記保護部材は前記天板と前記枠板に挟み込まれて固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の液体燃料燃焼装置。
【請求項4】
前記保護部材はツメ部を備え、前記枠板は前記保護部材の前記ツメ部が係合する係合孔を有することを特徴とする請求項3記載の液体燃料燃焼装置。
【請求項5】
前記保護部材は前記取手を引き上げる軌道に対して鈍角となるテーパ面を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の液体燃料燃焼装置。
【請求項6】
前記保護部材は裏側に突片を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の液体燃料燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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