説明

液晶表示装置

【課題】調光制御信号のパルス幅が数10μsec以下まで制御可能なLED駆動回路を有する液晶表示装置を提供する。
【解決手段】LED駆動回路が、入力される制御電圧が一定の電圧となるように昇圧電圧を出力する昇圧回路と、前記昇圧回路に入力する制御電圧を生成する抵抗回路と、前記抵抗回路を流れる電流から基準電流を生成する1段目のカレントミラー回路と、前記1段目のカレントミラー回路から出力された前記基準電流から駆動電流を生成する2段目のカレントミラー回路と、前記2段目のカレントミラー回路で生成された前記駆動電流が供給される少なくとも1個の発光ダイオードを有する発光ダイオード列と、入力される調光制御信号に基づき、前記2段目のカレントミラー回路に流れる基準電流をバイパスし、前記発光ダイオード列の点灯、消灯を制御する調光制御回路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に係り、特に、バックライトの光源を構成する白色発光ダイオードの駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示装置は、液晶表示パネルと、液晶表示パネルに光を照射するバックライトとで構成されるが、携帯電話機などの携帯機器の表示部として使用される液晶表示装置では、バックライトの光源として白色発光ダイオードで構成される。
この白色発光ダイオードのLED駆動回路として、調光制御信号(PWM)による調光制御機能を備えたLED駆動回路が知られている。
図5は、従来のLED駆動回路の回路構成を示す回路図であり、調光制御信号(PWM)による調光制御機能を備えたLED駆動回路の一例を示す図である。
図5に示すLED駆動回路は、昇圧回路1と、1個、或いは、直列接続された2個以上の白色発光ダイオード(LED)からなる白色発光ダイオード列5と、白色発光ダイオード列5を流れる電流を設定する抵抗素子2とで構成される。
昇圧回路1は、抵抗素子2の両端に生じる電圧が制御電圧(VCONT)として入力され、制御電圧(VCONT)と基準電圧(Vref)との差の電圧を出力するオペアンプ(OP)の出力電圧に基づき、内部の制御回路10が制御電圧(VCONT)が一定の電圧になるように、入力電圧(Vin)を昇圧して出力電圧(Vout)を生成する。
白色発光ダイオード列5には、昇圧回路1の出力電圧(Vout)が印加される。ここで、抵抗素子2に印可される制御電圧(VCONT)が一定になるように制御されるため、白色発光ダイオード列5に流れる電流は、抵抗素子2に印可される制御電圧(VCONT)と、抵抗素子2の抵抗値で設定される。
このLED回路では、昇圧回路1の昇圧動作を、調光制御信号(PWM)によってオン、オフ制御することで白色発光ダイオード列5の点灯、消灯を制御している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の図5に示す回路構成では、昇圧回路1の昇圧動作自体をオン、オフ制御するため、応答時間に限界があり、調光制御信号(PWM)のパルス幅が数10μsec以下になるような制御はできないという問題がある。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、調光制御信号のパルス幅が数10μsec以下まで制御可能なLED駆動回路を有する液晶表示装置を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルの裏側に配置されるバックライトを備え、前記バックライトは、光源としての白色発光ダイオードを有し、前記白色発光ダイオードを駆動するLED駆動回路を備える液晶表示装置であって、前記LED駆動回路は、入力される制御電圧が一定の電圧となるように昇圧電圧を出力する昇圧回路と、前記昇圧回路に入力する制御電圧を生成する抵抗回路と、前記抵抗回路を流れる電流が供給される入力側トランジスタと、前記入力側トランジスタに流れる電流に比例した基準電流が流れる出力側トランジスタとを有する1段目のカレントミラー回路と、前記基準電流が供給される入力側トランジスタと、前記入力側トランジスタに流れる電流に比例した駆動電流が流れる出力側トランジスタとを有する2段目のカレントミラー回路と、前記駆動電流が供給される少なくとも1個の発光ダイオードを有する発光ダイオード列と、入力される調光制御信号に基づき、前記2段目のカレントミラー回路の前記入力側トランジスタに供給される前記基準電流をバイパスし、前記発光ダイオード列の点灯、消灯を制御する調光制御回路とを備える。
(2)(1)において、前記2段目のカレントミラー回路は、前記出力側トランジスタを複数個有し、前記2段目のカレントミラー回路の前記複数個の出力側トランジスタの各々の出力側トランジスタに流れる前記駆動電流は、前記発光ダイオード列に供給される。
(3)(1)において、前記発光ダイオード列を複数有し、前記2段目のカレントミラー回路は、前記出力側トランジスタを複数個有し、前記2段目のカレントミラー回路の前記複数個の出力側トランジスタの各々の出力側トランジスタに流れる前記駆動電流は、前記複数の発光ダイオード列の各々の発光ダイオード列に供給される。
【発明の効果】
【0005】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明によれば、調光制御信号のパルス幅が数10μsec以下まで制御可能なLED駆動回路を有する液晶表示装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1の液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。
本実施例の液晶表示装置は、液晶表示パネと、液晶表示パネルの裏側に配置されるバックライト(BL)とで構成される。
本実施例の液晶表示装置は、液晶表示パネルと、直下型バックライト(BL)とを有する。液晶表示パネルは、第1基板(SUB1)と第2基板(SUB2)とを有し、第1基板(SUB1)には、薄膜トランジスタ、画素電極などが形成され、第2基板(SUB2)には、遮光膜、カラーフィルタなどが形成される。なお、対向電極は、IPS方式などの横電界方式の液晶表示パネルであれば、第1基板(SUB1)に形成され、VA方式などの縦電界方式の液晶表示パネルであれば、第2基板(SUB2)に形成される。
液晶表示パネルは、第1基板(SUB1)と第2基板(SUB2)とをシール材を介して貼り合わせ、第1基板(SUB1)と第2基板(SUB2)との間に液晶を注入・封止して構成される。また、第1基板(SUB1)と第2基板(SUB2)の外側にはそれぞれ偏光板(図示せず)が設けられる。なお、本発明は、液晶表示パネルの構造とは直には関係がないので、液晶表示パネルの構造については省略する。
【0007】
第1基板(SUB1)の一方の長辺側の周辺には、映像線駆動回路(DRD)が配置され、第1基板(SUB1)の一方の短辺側の周辺には、走査線駆動回路(DRG)が配置される。
映像線駆動回路(DRD)と走査線駆動回路(DRG)とは、表示制御回路(タイミングコントローラ)30により、制御・駆動される。
なお、図1では、映像線駆動回路(DRD)と走査線駆動回路(DRG)とは、それぞれ2個の半導体チップで構成される場合について説明したが、映像線駆動回路(DRD)と走査線駆動回路(DRG)とは、1個の半導体チップで構成してもよい。
バックライト(BL)は光源として白色発光ダイオード(図示せず)を有し、この白色発光ダイオードは、LED駆動回路50で駆動される。また、LED駆動回路50には、表示制御回路30から調光制御信号(PWM)が入力される。なお、LED駆動回路50には、外部から調光制御信号(PWM)を入力するようにしてもよい。
【0008】
図2は、本発明の実施例1のLED駆動回路50の回路構成を示す回路図である。
本実施例のLED駆動回路50は、昇圧回路1と、昇圧回路1の出力電圧(Vout)を制御するための制御電圧(VCONT)を生成する抵抗素子2と、1個、或いは、直列接続された2個以上の白色発光ダイオードからなる白色発光ダイオード列5と、抵抗素子2に流れる電流から基準電流を生成するための1段目のカレントミラー回路3と、基準電流から白色発光ダイオード列5の駆動電流を生成するための2段目のカレントミラー回路4と、2段目のカレントミラー回路に流れる基準電流をバイパスすることで、白色発光ダイオード列5の点灯、消灯を制御する調光制御回路6とで構成される。
昇圧回路1は、内部の制御回路10により、入力される制御電圧(VCONT)が一定の電圧になるように、入力電圧(Vin)を昇圧して出力電圧(Vout)を生成する。なお、この回路は、DC−DCコンバータ用ICや、昇圧機能を持つLEDドライバIC等を利用することで容易に構成できる。
抵抗素子2に生じる電圧が制御電圧(VCONT)として昇圧回路1に印加されるため、この制御電圧(VCONT)が一定になるように昇圧回路1の動作が制御される。
その結果、抵抗素子2に流れる電流は、抵抗素子2の抵抗値と、抵抗素子2の両端に印可される制御電圧(VCONT)とから決定される。この電流を基準電流として利用する。
【0009】
1段目のカレントミラー回路3は、入力側トランジスタ(TR1)と、出力側トランジスタ(TR2)の2個のPNP型バイポーラトランジスタと、トランジスタ(TR1,TR2)のそれぞれのエミッタと出力電圧(Vout)との間に接続された抵抗素子(R1,R2)とを有し、R1,R2の抵抗素子の抵抗値の比率がミラー比となる回路である。このミラー比で、1段目のカレントミラー回路3は基準電流を取り出し、2段目のカレントミラー回路4に流し込む。
2段目のカレントミラー回路4も、入力側トランジスタ(TR3)と、出力側トランジスタ(TR4)の2個のNPN型バイポーラトランジスタと、トランジスタ(TR3,TR4)のそれぞれのエミッタに接続された接地抵抗(R3,R4)とを有し、R3、R4の抵抗素子の抵抗値の比率がミラー比となる回路である。このミラー比によって、2段目のカレントミラー回路4は、所要のLED駆動電流を生成し、白色発光ダイオード列5に流し込む。これにより、白色発光ダイオード列5の各白色発光ダイオードに駆動電流が流れ、白色発光ダイオード列5の各白色発光ダイオードが発光する。
2段目のカレントミラー回路4と出力電圧(Vout)との間に接続される白色発光ダイオード列5は、図2に示す例では、4個の白色発光ダイオードが直列に接続されているが、この個数は、必要に応じて、1個以上の個数で適宜増減させることができる。
【0010】
調光制御回路6は、調光制御信号(PWM)がHighレベルの時にオンとなり、調光制御信号(PWM)がLowレベルの時にオフとなるTR5のNPN型バイポーラトランジスタと、トランジスタ(TR5)がオンの時にオフとなり、トランジスタ(TR5)がオフの時にオンとなるTR6のNPN型バイポーラトランジスタとを有する。
したがって、調光制御回路6は、調光制御信号(PWM)がHighレベルの時は、何も行わず、前述した動作によって白色発光ダイオード列5の各白色発光ダイオードが発光する。また、調光制御信号(PWM)がLowレベルの時は、2段目のカレントミラー回路4に流れ込む電流をバイパスして、トランジスタ(TR6)に流し込む。これにより、白色発光ダイオード列5に流れる電流も停止し、白色発光ダイオード列5の各白色発光ダイオードが消灯する。
なお、調光制御回路6は、図2の例ではバイポーラトランジスタを使用しているが、電界効果トランジスタで構成してもよく、種々のスイッチング手段が適用可能である。
【0011】
[実施例2]
図3は、本発明の実施例2のLED駆動回路50の回路構成を示す回路図である。
本実施例のLED駆動回路50は、前述の実施例のLED駆動回路50に対し、電力消費に対するマージン確保などの実使用上の調整を加えた回路である。
本実施例のLED駆動回路50は、図2に示すLED駆動回路50において、71、72、73の抵抗素子が追加されていることと、2段目のカレントミラー回路4において、白色発光ダイオード列5を駆動するトランジスタと抵抗素子が、TR4、TR7のNPN型バイポーラトランジスタと、R4、R5の抵抗素子の2系統の並列回路となっている点で異なっている。
本実施例のLED駆動回路50の動作は、図2に示すLED駆動回路50と同様であるが、抵抗素子(71,72)は、カレントミラー回路3のトランジスタ(TR1,TR2)に代わって電力消費を負担する。抵抗素子73も2段目のカレントミラー回路4のトランジスタ(TR4,TR7)に代わって電力消費を負担している。
カレントミラー回路4において、TR4、TR7のトランジスタと、R4,TR5の抵抗素子が並列化されているのも、1系統当たりの電力消費を低減して素子の故障を回避するためである。
なお、カレントミラー回路4において、トランジスタと抵抗の並列化は2系統に限らず、電力消費量によって増加させることができる。
【0012】
[実施例3]
図4は、本発明の実施例3のLED駆動回路50の回路構成を示す回路図である。
本実施例のLED駆動回路50は、図2に示すLED駆動回路50において、白色発光ダイオード列5が、5a、5bの2系統の並列回路となっており、かつ、5a、5bの2系統の白色発光ダイオード列を駆動するために、TR4、TR7のNPN型バイポーラトランジスタと、R4、R5の抵抗素子の2系統の並列回路となっている点で異なっている。
本実施例のLED駆動回路の動作は、図2に示すLED駆動回路と同様であるが、カレントミラー回路4において、トランジスタ(TR4)と、抵抗素子(R4)とで、白色発光ダイオード列(5a)を駆動し、トランジスタ(TR5)と、抵抗素子(R5)とで、白色発光ダイオード列(5b)を駆動する。
なお、カレントミラー回路4において、白色発光ダイオード列、トランジスタ、および抵抗素子の並列化は2系統に限らず、適宜増加させることができる。
また、白色発光ダイオード列(5a)、白色発光ダイオード列(5b)の白色発光ダイオード数は、図1の白色発光ダイオード列5よりも低減させてもよい。
以上説明したように、本実施例によれば、調光制御信号(PWM)による調光制御において、オン、オフ制御されるのは2段目のカレントミラー回路のみであり、昇圧回路自体は動作状態のままとなる。そのため応答時間はカレントミラー回路のトランジスタに依存し、1μsec程度のパルス幅でも制御が可能となる。
また、昇圧回路1については市販されているLEDドライバIC、昇圧回路用のIC等を利用できるため、安価に回路を構成できる。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本
発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1の液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1のLED駆動回路の回路構成を示す回路図である。
【図3】本発明の実施例2のLED駆動回路の回路構成を示す回路図である。
【図4】本発明の実施例3のLED駆動回路の回路構成を示す回路図である。
【図5】従来のLED駆動回路の回路構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0014】
1 昇圧回路
2 抵抗素子
3,4 カレントミラー回路
5,5a,5b 白色発光ダイオード列
6 調光制御回路
71〜73,R1〜R5 抵抗素子
10 制御回路
30 表示制御回路(タイミングコントローラ)
50 LED駆動回路
TR1,TR2 PNP型バイポーラトランジスタ
TR3〜TR7 NPN型バイポーラトランジスタ
OP オペアンプ
SUB1 第1基板
SUB2 第2基板
BL バックライト
DRD 映像線駆動回路
DRG 走査線駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルの裏側に配置されるバックライトを備え、
前記バックライトは、光源としての白色発光ダイオードを有し、
前記白色発光ダイオードを駆動するLED駆動回路を備える液晶表示装置であって、
前記LED駆動回路は、入力される制御電圧が一定の電圧となるように昇圧電圧を出力する昇圧回路と、
前記昇圧回路に入力する制御電圧を生成する抵抗回路と、
前記抵抗回路を流れる電流が供給される入力側トランジスタと、前記入力側トランジスタに流れる電流に比例した基準電流が流れる出力側トランジスタとを有する1段目のカレントミラー回路と、
前記基準電流が供給される入力側トランジスタと、前記入力側トランジスタに流れる電流に比例した駆動電流が流れる出力側トランジスタとを有する2段目のカレントミラー回路と、
前記駆動電流が供給される少なくとも1個の発光ダイオードを有する発光ダイオード列と、
入力される調光制御信号に基づき、前記2段目のカレントミラー回路の前記入力側トランジスタに供給される前記基準電流をバイパスし、前記発光ダイオード列の点灯、消灯を制御する調光制御回路とを備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記2段目のカレントミラー回路は、前記出力側トランジスタを複数個有し、
前記2段目のカレントミラー回路の前記複数個の出力側トランジスタの各々の出力側トランジスタに流れる前記駆動電流は、前記発光ダイオード列に供給されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記発光ダイオード列を複数有し、
前記2段目のカレントミラー回路は、前記出力側トランジスタを複数個有し、
前記2段目のカレントミラー回路の前記複数個の出力側トランジスタの各々の出力側トランジスタに流れる前記駆動電流は、前記複数の発光ダイオード列の各々の発光ダイオード列に供給されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−175382(P2009−175382A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13281(P2008−13281)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(503273790)株式会社日立ディスプレイデバイシズ (97)
【Fターム(参考)】