説明

測定システム及び測定装置

【目的】 金属製のチャンバやタンクなどの容器内で、無線式センサからの信号をいったん中継・受信してから容器外部に送信するために設置されたアンテナの位置や向きを、容器の外部から効率的に調整することができるような測定システム、及び、容器内に設置するタイプで小型化を容易に実現することができる測定装置を提供する。
【構成】 金属製の容器と、前記容器内の状況を検出するためのセンサ、及び、前記センサからのデータを前記容器内の空間に無線で送信するための無線送信部を備えた測定装置と、前記容器の内壁面側に固定され、前記容器内において前記センサからのデータを前記無線送信部から受信するためのアンテナと、前記容器の外側から前記容器の内部のアンテナの位置又は向きを調整可能とするためのジョイント部とを備えた測定システムである。また、筐体の外周面にアンテナ素子を螺旋状に巻回して成る測定装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャンバやタンクなどの容器の内部に在る薬品、食品、半導体ウエハ、その他の所定の物体の温度、圧力、湿度、又は振動を検出するセンサからのデータを、効率的に容器の外部に送信することができる測定システム、及びこの測定システムのために使用するのに適した測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、チャンバ内に収容した薬剤や食品をベルトコンベヤなどで搬送しながら、それらの温度をチャンバ内の任意の複数箇所に配置した小型の無線式センサで検出し、その検出データを無線によりチャンバの外部の記録装置や出力装置に送信するようにした測定システムが実用化されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、図10はこの特許文献1が開示している薬剤容器の連続殺菌システムの全体構成を示す図である。図10において、1はベルトコンベアなどの搬送装置(図示せず)により薬剤充填装置(図示せず)の場所まで所定速度で搬送されるバイアル瓶、2はこのバイアル瓶1の近傍に配置されて前記搬送装置により前記バイアル瓶1と一緒に搬送される温度測定機、3はこの温度測定機2に備えられた温度検出棒でその先端部が前記バイアル瓶1の内部に挿入される温度検出棒、4は前記温度測定機2に内蔵された無線送信部の一部を構成するアンテナ、6は前記搬送装置の途中に配置された乾燥滅菌機(チャンバ)、7は前記乾燥滅菌機(チャンバ)6の外部の近傍の位置に設置された受信機、8は前記受信機7から通信ケーブル9を介して伝送された前記各バイアル瓶1の測定温度データと前記各温度測定機2の識別データとを略リアルタイムに表示部8aに表示すると共に互いに関連付けて記録するためのバリテータ(商標)、10は前記バリテータ8からの前記記録データをイーサネット(商標)用ケーブル11を介して略リアルタイムに受信してデータベースに記録し表示するための管理コンピュータ、である。
【0004】
図10のシステムにおいては、前記温度測定機(無線式センサ)2は、略円筒状の筐体の内部に温度検出棒3の一部を収容し筐体の上面からアンテナを突出させたものが使用されている。また、前記アンテナ4は、前記温度検出棒3により検出された前記バイアル瓶1内の温度と自らの識別データを、所定時間毎に(例えば1秒毎に)前記受信機7に向けて無線で送信する。また、前記受信機7は、前記乾燥滅菌機(チャンバ)6内で加熱殺菌中のバイアル瓶1の測定温度を示すデータを各温度測定機2の識別データと共に前記無線送信部のアンテナ4から直接に(前記乾燥滅菌機(チャンバ)6の例えばプラスチック製の壁部を介して)無線で略リアルタイムに受信する。前記受信機7に受信された前記測定温度データ及び識別データは、略リアルタイムに前記バリテータ8に送信されて、そこで略リアルタイムに表示部8aに表示されると共に記録される。
【特許文献1】特許第3709416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の図10に示すようなシステムにおいて、チャンバの壁がプラスチックなどの電波を通過させる素材で形成されているときは、前記無線式センサとチャンバの外部機器との間で直接に信号を電波でやり取りできる。しかし、前記チャンバの内部を高精度に減圧状態に保つためなどの理由から前記チャンバを金属製とする必要がある場合は、前記無線式センサとチャンバの外部と間で電波を直接にやり取りできないため、チャンバ内に送受信アンテナを取り付けて、このアンテナを介してチャンバ内の無線式センサと外部機器との間で信号をやり取りする必要がある。
【0006】
ところで、前記チャンバ内の電波状況は、前記チャンバ内の無線式センサの位置や前記チャンバ内の障害物の有無などにより個々に変動する。そのため、前述のように金属製チャンバ内に無線式センサからのデータをいったん受信するための送受信アンテナを取り付ける場合には、前記チャンバ内に取り付ける前記送受信アンテナの位置や向きを前記チャンバ内の電波状況に応じて調整する必要がある。
【0007】
しかしながら、従来、特に内部を減圧状態に保つ真空チャンバの場合には、内部の減圧状態を保持する必要があるため、チャンバ内部に設置された前記送受信アンテナの位置などを外部から調整することができず、真空チャンバ内の電波状況に対応して前記送受信アンテナの位置や向きを調整することができなかった。また、従来は、真空チャンバではない通常の金属製チャンバの場合でも、金属製チャンバ内部に設置された前記送受信アンテナの位置などを外部から調整することがでないため、金属製チャンバ内の電波状況に即応して迅速に金属製チャンバ内の送受信アンテナの位置や向きを調整することができなかった。
【0008】
また、図10に示すような従来の無線式センサにおいては、筐体の上面からアンテナを突出するようにしているが、このような筐体の上方にアンテナを突出する方法では無線式センサの全体の小型化が困難であった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、金属製のチャンバやタンクなどの金属製の容器内で、無線式センサからの信号をいったん中継・受信してから容器外部に送信するために設置されたアンテナの位置や向きを、容器の外部から効率的に調整することができるような測定システムを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、従来のチャンバやタンクなどの容器内の任意の箇所に設置される無線式センサでは困難であった小型化を容易に実現することができる測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような課題を解決するための本発明による測定システムは、薬品、食品、半導体ウエハ、その他の所定の物体を保持するための金属製の容器と、前記容器内の所定の物体又は所定の空間の温度、圧力、湿度、又は振動を検出するためのセンサ、及び、前記センサからのデータを前記容器内の空間に無線で送信するための無線送信部を備えた測定装置と、前記容器の内壁面側に固定され、前記容器内において前記センサからのデータを前記無線送信部から受信するためのアンテナと、前記容器の外壁面側に固定され、前記アンテナと電気的に接続された外部送信部であって、前記アンテナにより受信されたデータを前記容器の外部に配置された記録装置又は出力装置に有線又は無線で送信するための外部送信部と、前記の容器の内壁面側に固定されたアンテナと前記の容器の外壁面側に固定された外部送信部とを互いに電気的に接続すると共に、前記容器の外側から前記の容器の内部のアンテナの位置を調整可能とするためのジョイント部と、を備えており、前記ジョイント部は、(1)前記容器の内壁面側に固定されており、その中に前記アンテナをその位置が変動可能なように収容するための収容部と、(2)前記容器の外壁面又はその近傍に配置された操作部であって、前記収容部内にその位置が変動可能に収容されている前記アンテナの端部と連結されており、前記容器の外側から前記アンテナの位置を変動させ調整するための操作部と、(3)前記操作部によりその位置が調整された後の前記アンテナの位置を固定するための固定部と、を含んでいる、ことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明による測定システムは、薬品、食品、半導体ウエハ、その他の所定の物体を保持するための金属製の容器と、前記容器内の所定の物体又は所定の空間の温度、圧力、湿度、又は振動を検出するためのセンサ、及び、前記センサからのデータを前記容器内の空間に無線で送信するための無線送信部を備えた測定装置と、前記容器の内壁面側に固定され、前記容器内において前記センサからのデータを前記無線送信部から受信するためのアンテナと、前記容器の外壁面側に固定され、前記アンテナと電気的に接続された外部送信部であって、前記アンテナにより受信されたデータを前記容器の外部に配置された記録装置又は出力装置に有線又は無線で送信するための外部送信部と、前記の容器の内壁面側に固定されたアンテナと前記の容器の外壁面側に固定された外部送信部とを互いに電気的に接続すると共に、前記容器の外側から前記の容器の内部のアンテナの位置又は向きを調整可能とするためのジョイント部と、を備えており、前記ジョイント部は、(1)前記容器の内壁面側に固定されており、その中に前記アンテナをその位置又は向きが変動可能なように収容するための収容部であって、少なくともその一部に「外周部が外力により変形可能な蛇腹状に形成された部分」を有する収容部と、(2)前記容器の外壁面又はその近傍に配置された操作部であって、前記収容部内にその位置又は向きが変動可能に収容されている前記アンテナの端部と連結されており、前記容器の外側から前記アンテナの位置又は向きを変動させ調整するための操作部と、(3)前記操作部によりその位置又は向きが調整された後の前記アンテナの位置又は向きを固定するための固定部と、を含んでいる、ことを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明による測定システムは、真空シール可能な閉塞空間を形成し、薬品、食品、半導体ウエハ、その他の所定の物体を所定の減圧状態で保持するための金属製の真空容器と、前記真空容器内の所定の物体又は所定の空間の温度、圧力、湿度、又は振動を検出するためのセンサ、及び、前記センサからのデータを前記真空容器内の空間に無線で送信するための無線送信部を備えた測定装置と、前記真空容器の内壁面側に固定され、前記真空容器内において前記センサからのデータを前記無線送信部から受信するためのアンテナと、前記真空容器の外壁面側に固定され、前記アンテナと電気的に接続された外部送信部であって、前記アンテナにより受信されたデータを前記真空容器の外部に配置された記録装置又は出力装置に有線又は無線で送信するための外部送信部と、前記の真空容器の内壁面側に固定されたアンテナと前記の真空容器の外壁面側に固定された外部送信部とを互いに電気的に接続すると共に、前記真空容器内の真空状態を保ちながら前記真空容器の外側から前記の真空容器の内部のアンテナの位置又は向きを調整可能とするためのジョイント部と、を備えており、前記ジョイント部は、(1)前記真空容器の内壁面側に固定されており、前記真空容器内の減圧空間に対して気密に遮断された空間を形成し、その中に前記アンテナをその位置又は向きが変動可能なように収容するための収容部であって、少なくともその一部に「外周部が外力により変形可能な蛇腹状に形成された部分」を有する収容部と、(2)前記真空容器の外壁面又はその近傍に配置された操作部であって、前記収容部内にその位置又は向きが変動可能に収容されている前記アンテナの端部と連結されており、前記真空容器の外側から前記アンテナの位置又は向きを変動させ調整するための操作部と、(3)前記操作部によりその位置又は向きが調整された後の前記アンテナの位置又は向きを固定するための固定部と、を含んでいる、ことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明による測定システムにおいては、前記収容部は、その内部に略棒状のアンテナが前記真空容器の内壁面に対して略垂直方向に移動可能に挿通されており、少なくともその一部に「外周部が外力により、前記真空容器の内壁面に対して略垂直方向にすなわち前記アンテナの長手方向に、変形可能な蛇腹状部分」を備えた保護管であり、前記操作部は、前記アンテナの位置を、前記真空容器の内壁面に対して略垂直方向にすなわち前記アンテナの長手方向に、調整するものである、ことが望ましい。
【0015】
また、本発明による測定システムにおいては、前記測定装置は、前記のセンサ及び無線送信部を保持するための、外形が略円筒状の筐体を含み、前記測定装置を構成する無線送信部は、前記筐体の外周面に略螺旋状に巻回されたアンテナ素子を含むものである、ことが望ましい。
【0016】
また、本発明による測定システムにおいては、前記の筐体の外周面にはガラス樹脂又はプラスチック樹脂などの樹脂から成る保護絶縁層が形成されており、前記アンテナ素子は、前記保護絶縁層の内部に存在している、ことが望ましい。
【0017】
また、本発明による測定システムにおいては、前記筐体の底部には、前記筐体の温度の変化を緩和するための断熱材が配置されている、ことが望ましい。
【0018】
また、本発明による測定装置は、上記の測定システムのために使用するのに適した測定装置であって、薬品、食品、半導体ウエハ、その他の所定の物体又は所定の空間の温度、圧力、湿度、又は振動を検出するためのセンサと、前記センサによる検出結果を外部に無線で送信するための無線送信部と、前記センサ及び無線送信部を保持するための外形が略円筒状の筐体と、を備え、前記無線送信部は、前記筐体の外周面に略螺旋状に巻回されたアンテナ素子を含んでいる、ことを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明による測定装置においては、前記の筐体の外周面にはガラス樹脂又はプラスチック樹脂などの樹脂から成る保護絶縁層が形成されており、前記アンテナ素子は、前記保護絶縁層の内部に存在している、ことが望ましい。
【0020】
さらに、本発明による測定装置においては、前記筐体の底部には、前記筐体の温度の変化を緩和するための断熱材が配置されている、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明においては、前記ジョイント部により、前記チャンバやタンクなどの容器の外側から、前記容器の内部のアンテナの位置を調整できるようにしている。よって、本発明によれば、前記容器の外側から、前記容器内の電波状況に対応して、前記容器の内部のアンテナの位置を(前記容器の内壁面と略垂直方向に)調整し、前記アンテナの電波の受信感度を上げることができるようになる。
【0022】
また、本発明において、前記ジョイント部の収容部の少なくとも一部に「外周部が外力により変形可能な蛇腹状に形成された部分」を有するようにしたときは、前記容器の外側から、前記容器の内部のアンテナの位置又は向きを容易に調整できるようになる。
【0023】
また、本発明においては、前記ジョイント部により、前記真空容器の外側から、前記真空容器内の減圧状態を保持したまま、前記真空容器の内部のアンテナの位置又は向きを調整できるようにしている。よって、本発明によれば、前記真空容器の外側から、前記真空容器内の電波状況に対応して、前記真空容器内の真空状態を保ちながら、前記真空容器の内部のアンテナの位置又は向きを調整し、前記アンテナの電波の受信感度を上げることができるようになる。また、特に、本発明においては、前記ジョイント部の収容部の少なくとも一部に「外周部が外力により変形可能な蛇腹状に形成された部分」を有するようにしているので、前記真空容器の外側から、前記真空容器内の真空状態を保ちながら、前記真空容器の内部のアンテナの位置又は向きを容易に調整できるようになる。
【0024】
また、本発明のように、容器内の薬品、食品、半導体ウエハ、その他の所定の物体又は所定の空間の温度、圧力、湿度、又は振動を検出するためのセンサと、前記センサによる検出結果を外部に無線で送信するための無線送信部と、前記センサ及び無線送信部を保持するための外形が略円筒状の筐体であってその外周面にアンテナ素子が略螺旋状(略渦巻き状)又はコイル状に巻回されている筐体とにより測定装置を構成したときは、筐体の外周面にアンテナ素子を略螺旋状又はコイル状に巻回するため、従来のように筐体の上方にアンテナを突出させる必要がなくなり、測定装置の全体のサイズを容易に小型化できるようになる。
【0025】
また、この測定装置において、前記筐体の外周面にガラス樹脂又はプラスチック樹脂などの樹脂から成る保護絶縁層を形成し、この保護絶縁層の内部に前記の略螺旋状又はコイル状に巻回されたアンテナ素子を埋め込むようにしたときは、前記アンテナ素子を有効に保護し、取り扱いが容易な測定装置を提供することができる。
【0026】
さらに、この測定装置において、前記筐体の底部に、前記筐体の温度の変化を緩和するための断熱材を配置するようにしたときは、容器内の温度などによる前記筐体の温度の変化を軽減してより高精度な測定を行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例1について述べるような形態である。
【実施例1】
【0028】
図1は本発明の実施例1による測定システムを示す図である。図1において、20は金属製で内部が減圧状態に保てるように構成された真空チャンバ、21は前記真空チャンバ20内の任意の複数箇所に設置されて前記真空チャンバ20内の空間やその中の薬品、食品、半導体ウエハ、その他の所定の物体の温度(又は、圧力、湿度、振動など)を検出するための無線式センサ、22は前記無線式センサ21の一部を構成する温度検出棒で図示しないバイアル瓶(図10の符号1参照)内の薬品などの検出対象物に接触又は挿入される温度検出棒、23は前記無線式センサ21の一部を構成するアンテナ素子で前記無線式センサ21の筐体の外周面に略螺旋状(略渦巻状)に巻回されたアンテナ素子、30は前記真空チャンバ20の外部に設置され前記無線式センサ21により取得されたデータを記録及び出力するためのデータ記録出力装置、31は前記無線式センサ21のアンテナ素子23からの電波を受信して前記データ記録出力装置30に転送するためのジョイント部、である。
【0029】
図2及び図3は本実施例1の前記無線式センサ21の構造を説明するための図である。図2及び図3において、24は、前記無線式センサ21の筐体である。本実施例1では、前記筐体24の外周面に、アンテナ素子23が略螺旋状(略渦巻状)に巻回されている。より詳しくは、図3の下方の詳細図に示すように、前記筐体24の外周面にまずガラス樹脂などの絶縁性樹脂材料から成る第1の薄膜層25が形成されており、その上に前記アンテナ素子23が巻回され、さらにその上にガラス樹脂などの絶縁性樹脂材料から成る第2の薄膜層26が形成されている。前記第1の薄膜層25は前記筐体24(金属製であることが多い)とアンテナ素子23とを絶縁するため、前記第2の薄膜層26は前記アンテナ素子23の絶縁と保護のためのものである。
【0030】
また、本実施例1では、前記無線センサ21の筐体24の下方の底部に、樹脂又はガラスなどを材料とする断熱材27が配置されている。この断熱材27により、前記筐体24などが周囲の熱で過度に加熱されることを防止して、前記無線式センサ21の検出精度を確保するようにしている。
【0031】
次に、図4は本実施例1のジョイント部31(図1参照)の構成を示す斜視図、図5はその側面図、図6はその分解図である。これらの図において、32は前記無線式センサ21(図1参照)からの電波を前記チャンバ20内でいったん受信するためのアンテナ35(図6参照)を収容するための例えばガラスなどの絶縁材料から成る保護管である。この保護管32は、図6に示すように、図示右側端部は閉塞されており、図示左側端部はパッキン34により、断面蛇腹状の筒状変形部33(真空チャンバ20の内部に配置される)の図示右側端部と気密に連結されている(図6の符号Aで示す拡大図を参照)。前記筒状変形部33は、金属製で図示左右方向に変形・伸縮可能に形成されている(例えば、本実施例1では、前記筒状変形部33は、外径22mm、内径8mmで、最大長が94mm、最小長が24mm、自由長が31mmに形成されている)。また前記筒状変形部33は、図6の紙面と直交する平面方向(図6の上下方向を含む)に変形・湾曲可能に形成されている。
【0032】
また、前記筒状変形部33の図示左側端部の内周面に形成された雌ネジ33cは、真空チャンバ20の外部に配置される保護管固定フランジ37の図示右側端部の外周面に形成された雄ネジ37aと嵌合される(図6の符号Bで示す拡大図を参照)。前記保護管固定フランジ37は、図6に示すように、取り付けネジ40がフランジ39(前記真空チャンバ20の外壁面に固定される)のネジ穴39bに挿入されることにより、前記フランジ39に取り付けられる。
【0033】
また、真空チャンバ29内の軸状の保護管36(前記アンテナ35が挿入される)の図示右側端部の外周面に形成された雄ネジ36aは、前記筒状変形部33の図示右側端部の内周面に形成された雌ネジ33b及び前記保護管32の図示左側端部の内周面に形成された雌ネジ32bに嵌合される。また、前記保護管32の図示左側端部と前記筒状変形部33の図示右側端部とはパッキン34により気密に連結される。
【0034】
また、前記軸状の保護管36の図示左側端部の外周面に形成された雄ネジ36bは、真空チャンバ20の外部に在る軸接続用ナット44に嵌合される。この軸接続用ナット44は、操作ツマミ41の蓋42及びネジ45により操作ツマミ41の図示右側端部に固定される。これにより、前記保護管36の図示左端部が前記操作ツマミ41に連結される(また、前記アンテナ35の図示左端部は、前記操作ツマミ41の内部の送受信回路に電気的に接続されている)。なお、前記操作ツマミ41の内部には、前記アンテナ35が前記無線式センサ21から受信したデータをチャンバ20の外部のデータ記録出力装置に送信するための送受信回路が収容されている(前記操作ツマミ41は、前記送受信回路の収容ケースを兼ねている)。なお、前記操作ツマミの図示左側端面には、チャンネル1コネクタ46とチャンネル2コネクタ47が備えられている。これらのチャンネル1コネクタ46及びチャンネル2コネクタ47は、前記無線式センサ21からの検出結果を示すデータの記録や出力(モニター表示)などを行うデータ記録出力装置(図1の符号30参照)や他の真空チャンバ内の無線式センサからの電波を受信するアンテナと接続するために使用される。
【0035】
前記保護管固定フランジ37の図示右側部分は、前記フランジ39の中央の開口部とこれに対応する真空チャンバ20の壁の開口部(図示せず)を介して、真空チャンバ20の内部に挿入されている。そして、この保護管固定フランジ37の図示右側部分の外周面に形成された雄ネジ37aは、前記筒状変形部33の図示左側端部の内周面に形成された雌ネジ33bに嵌合されている(図6の下方の符号Bで示す拡大図を参照)。これにより、前記真空チャンバ20の外側に配置された前記保護管固定フランジ37の図示右側端部(この図示右側端部は、前記フランジ39の中央の開口部及び真空チャンバ20の壁の開口部を介して、真空チャンバ20の内部に挿入されている)と、前記真空チャンバ20の内部に配置された筒状変形部33の図示左側端部とが連結されている(図6の下方の符号Bで示す拡大図を参照)。
【0036】
また、このとき(一部、上記で述べたことの繰り返しになるが)、前記筒状変形部33の図示左側端部及びパッキン38は、前記真空チャンバ20の壁の開口部(図5,6では図示せず)を介して、前記真空チャンバ20の外壁面側のフランジ39の図示右側端部39aに当接される。さらに、前記筒状変形部33の図示左側端部の内周面に形成された雌ネジ33cは、前記真空チャンバ20の外壁面側のフランジ39の図示右側端部39aから図示右側方向に突出する前記保護管固定フランジ37の図示右側端部の雄ネジ37aに嵌合される。そして、前記筒状変形部33の図示左側端部は、前記パッキン38が前記真空チャンバ20の外壁面側のフランジ39の図示右側端部39aに当接されることにより、前記真空チャンバ20の外壁面側のフランジ39の図示右側端部39aに、気密に固定される(図6の下方の符号Bで示す拡大図を参照)。
【0037】
なお、図5及び図6においては図示を省略しているが、実際には、前記真空チャンバ20の内壁面側にも、前記の真空チャンバ20の外壁面側のフランジ39に対向するフランジが配置されている。すなわち、実施例2に関して後述する図9を参照して説明すると、次のとおりである。図9に示すように、真空チャンバ20の壁の一部に、センサー・ポートやテスト・ポートなどのために使用できる開口部56が形成されている。この開口部56の中には、前記筒状変形部33などが挿通されている。前記開口部56の図示左側端部には、前記真空チャンバ20の外壁側のフランジ39に対向する内壁面側フランジ55(前記フランジ39とほぼ同等の形状を有している)が配置されている。前記外壁側のフランジ39と前記内壁側フランジ55とは、パッキン57により気密に、クランプバンドなどの接続手段により連結されている。前記筒状変形部33の図示左側端部は、前記2つのフランジ55,39の中央の開口部を通過して、前記保護管固定フランジ37に固定されている。
【0038】
以上より、本実施例1においては、前記真空チャンバ20の内部の減圧空間と「前記アンテナ35が存在する空間であって、前記保護管32、前記パッキン34、前記筒状変形部33、前記パッキン38、及び前記真空チャンバ20の外壁面側のフランジ20の図示右側端部39aにより気密に構成される空間」とは、互いに遮断された状態を保持するようになっている。また、本実施例1においては、前記の「前記保護管32、前記パッキン34、前記筒状変形部33、前記パッキン38、及び前記真空チャンバ20の外壁面側のフランジ20の図示右側端部39aにより気密に構成される空間(前記真空チャンバ20の内部の減圧空間とは遮断された空間)」の内部で、「前記保護管32、前記保護管36、及び前記フランジ37の内部に挿入されている前記アンテナ35」は、前記アンテナ35の図示左側端部が固定されている前記操作ツマミ41を操作することにより、前記筒状変形部33を図示左右方向に伸縮させることにより図6の左右方向に移動可能で、且つ、前記筒状変形部33を湾曲させることにより図6の紙面と直交する平面方向に移動可能となっている。
【0039】
また、図6において、37bは、前記保護管固定フランジ37の中を挿通している前記保護管36の外周面に、図示上方から当接し押圧することにより、前記保護管36を望ましい位置(前記操作ツマミ41により前記アンテナ35の位置が調整された場合における前記保護管36の調整後の位置)に固定するためのアンテナ位置固定ネジである。
【0040】
以上の説明の要点をまとめると、次のとおりである。本実施例1では、前述のように、前記保護管32と前記保護管36とが、連結されている。また、本実施例1では、前述のように、前記保護管32、前記筒状変形部33、及び前記真空チャンバ20の外壁面側のフランジ20の図示右側端部39aとが、前記真空チャンバ20の内部の減圧空間とは遮断可能で気密な空間を形成している。また、前記前記保護管36は、前記筒状変形部33、前記フランジ39の開口部、及び前記保護管固定フランジ37の開口部の中に挿通されている。また、前記保護管36の図示左側端部は、前記ナット44により、前記操作ツマミ41に固定されている(図5及び図6参照)。さらに、前記の互いに連結された前記保護管32と前記保護管36の中に、前記アンテナ35が挿入されている。前記アンテナ35の図示右端部は、前記保護管32の中で自由端となっている。他方、前記アンテナ35の図示左端部は、前記操作ツマミ41の内部の送受信回路に電気的に接続されている(図5参照)。
【0041】
以上より、本実施例1では、前記アンテナの図示左側端部が前記操作ツマミ41に固定されていると共に、前記筒状変形部33が図5の図示左右方向に伸縮可能に形成されているので、ユーザーが前記操作ツマミ41を操作することにより、前記アンテナ35の前記真空チャンバ20内の位置(図5の左右方向の位置)を調整できるようになっている。また、前述のように、前記筒状変形部33は湾曲可能(=図5の上下方向などを含む紙面と直交する平面方向に変形可能)にも形成されているので、ユーザーが前記操作ツマミ41を操作することにより、前記アンテナ35の前記真空チャンバ20内の向きの調整(図5の上下方向などを含む紙面と直交する平面方向への若干の距離の移動)ができるようになっている。
【0042】
よって、本実施例1によれば、前記真空チャンバ20内の電波状況に応じて、ユーザーが前記操作ツミマ41を操作して、前記真空チャンバ20内の減圧状態を保持したまま、前記真空チャンバ20内のアンテナ35を図5の図示左右方向に移動させてその位置を調整したり、前記アンテナ35の向きを調整したりすることができるようになっている。
【実施例2】
【0043】
次に、本実施例2による測定システムを図7、図8、及び図9に基づいて説明する。本実施例2の基本的構成は前記の実施例1と同様であるので、以下では、本実施例1と異なる部分を中心に述べて、その他の部分は説明を省略する。本実施例2では、これらの図に示すように、本実施例1で説明した保護管32と、本実施例1で説明した保護管36及び筒状変形部33との間に、フレシキブルチューブ52付きの保護管51を配置するようにしている。
【0044】
本実施例2では、前記フレシキブルチューブ52付きの保護管51の図示右側端部の外周面に形成された雄ネジ51aが前記保護管32の図示左側端部の内周面に形成された雌ネジ32b(図6の下方の符号Aで示す拡大図の符号32b参照)に嵌合・固定されている。また、前記フレシキブルチューブ52付きの保護管51と前記保護管32とは、パッキン53により気密に連結されている。
【0045】
また、本実施例2では、前記保護管36の図示右側端部の外周面に形成された雄ネジ36aが、前記筒状変形部33の図示右側端部33aの内周面に形成された雌ネジ33bと、前記フレシキブルチューブ52付きの保護管51の図示左側端部51aの内周面に形成された雌ネジ51b(図8の下方の符号Aで示す拡大図の符号51b参照)とに、嵌合されている。また、前記フレシキブルチューブ52付きの保護管51の図示左側端部51aと前記筒状変形部33の図示右側端部33aとは、パッキン34(図8の下方の符号Aで示す拡大図の符号34参照)により気密に連結されている。
【0046】
また、本実施例2では、図9に示すように、真空チャンバ20の壁の一部に、センサー・ポートやテスト・ポートなどのために使用できる開口部56が形成されている。この開口部56の中には、前記筒状変形部33などが挿通されている。前記開口部56の図示左側端部には、前記真空チャンバ20の外壁側のフランジ39に対向する内壁面側フランジ55(前記フランジ39とほぼ同等の形状を有している)が配置されている。前記外壁側のフランジ39と前記内壁側フランジ55とは、パッキン57により気密に、クランプバンドなどの接続手段により連結されている。前記筒状変形部33の図示左側端部は、前記2つのフランジ55,39の中央の開口部を通過して、前記保護管固定フランジ37に固定されている。
【0047】
以上より、本実施例2では、前記の保護管32、フレシキブルチューブ52付きの保護管51、及び保護管36が、この順序で、各パッキン53,34により、前記真空チャンバ20の減圧空間から気密に遮断されるように連結されている。また、前記の保護管32、フレシキブルチューブ52付きの保護管51、及び保護管36の中に、前記アンテナ35が挿入されている。そして、前記フレシキブルチューブ52は、これらの図の上下方向を含む紙面と直交する平面方向に湾曲可能に形成されている(図9参照)。
【0048】
よって、本実施例2によれば、ユーザーが前記操作ツマミ41を操作することにより、前記真空チャンバ20内の減圧状態を保持したまま、前記真空チャンバ20内のアンテナ35を図7の図示左右方向に移動させてその位置を調整することができる。さらに、本実施例2によれば、ユーザーが前記操作ツマミ41を操作することにより、前記真空チャンバ20内の減圧状態を保持したまま、前記アンテナ35の向きの調整(図7の紙面と直交する平面方向への移動)をすることができる。すなわち、本実施例2では、例えば、予めユーザーが前記フレキシブルチューブ52を予め所定の角度に曲げておいて、その後、前記真空チャンバ20内を減圧状態にした後に、前記真空チャンバ20の外部から、前記操作ツマミ41を図9(b)の矢印α1又はα2方向(図9(b)の紙面と直交する平面方向)に回動させると、前記フレキシブルチューブ52内のアンテナ35が同様に矢印α1又はα2方向に回動する結果、前記アンテナ35の図示右側の自由端の向きが変えられるようになっている。
【0049】
図9はこのような本実施例2による前記アンテナ35の調整動作を示す図である。図9(b)は、図9(a)に示す状態から、前記アンテナ35の位置を図示右側方向に移動させると共に、前記アンテナ35の向きを図示上方に変更・調整した場合を示す図である(この場合、前述のように、例えば、ユーザーが、前記真空チャンバ20の外部から、前記操作ツマミ41を図9(b)の矢印α1又はα2方向に回動させると、前記フレキシブルチューブ52内のアンテナ35が同様に矢印α1又はα2方向に回動するので、前記アンテナ35の図示右側の自由端の向きが変わることになる)。
【0050】
以上、本発明の各実施例について説明したが、本発明及び本発明を構成する各構成要件は、それぞれ、前記の各実施例及び前記の各実施例を構成する各要素として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記の各実施例1,2は、いずれも、本発明を金属製の真空チャンバ20に適用した場合を示しているが、本願の容器の外部から容器内部のアンテナの位置や向きを調整することができる測定システムの発明は、内部を減圧状態にしない金属製のチャンバやタンクなどの容器についても適用することができる。また、図2及び図3に示した筐体の外周面にアンテナ素子を巻回して成る測定装置の発明は、上記の各実施例1,2の金属製チャンバの内部に配置される測定装置に限られるものではなく、様々な容器内に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施例1による測定システムの全体構成を示す図。
【図2】本実施例1による測定システムを構成する無線式センサを示す図。
【図3】本実施例1による測定システムを構成する無線式センサを示す図。
【図4】本実施例1による測定システムを構成するアンテナのジョイント部を示す斜視図。
【図5】本実施例1による測定システムを構成するアンテナのジョイント部を示す側面図。
【図6】本実施例1による測定システムを構成するアンテナのジョイント部を示す分解側面図。
【図7】本発明の実施例2による測定システムを構成するアンテナのジョイント部を示す側面図。
【図8】本実施例2による測定システムを構成するアンテナのジョイント部を示す分解側面図。
【図9】本実施例2による測定システムのアンテナのジョイント部の動作を示す図。
【図10】従来の測定システムの一例を示す図。
【符号の説明】
【0052】
20 真空チャンバ
21 無線式センサ
23 アンテナ素子
24 筐体
25,26 薄膜層
27 断熱材
30 データ記録出力装置
31 ジョイント部
32,36,51 保護管
32b,33b,51b 雌ネジ
33 筒状変形部
34,38,53,57 パッキン
35 アンテナ
36a,36b,37a,51a 雄ネジ
37,39,55 フランジ
39b ネジ穴
40,45 ネジ
41 操作ツマミ
42 蓋
44 軸接続用ナット
46,47 コネクタ
52 フレシキブルチューブ
56 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬品、食品、半導体ウエハ、その他の所定の物体を保持するための金属製の容器と、
前記容器内の所定の物体又は所定の空間の温度、圧力、湿度、又は振動を検出するためのセンサ、及び、前記センサからのデータを前記容器内の空間に無線で送信するための無線送信部を備えた測定装置と、
前記容器の内壁面側に固定され、前記容器内において前記センサからのデータを前記無線送信部から受信するためのアンテナと、
前記容器の外壁面側に固定され、前記アンテナと電気的に接続された外部送信部であって、前記アンテナにより受信されたデータを前記容器の外部に配置された記録装置又は出力装置に有線又は無線で送信するための外部送信部と、
前記の容器の内壁面側に固定されたアンテナと前記の容器の外壁面側に固定された外部送信部とを互いに電気的に接続すると共に、前記容器の外側から前記の容器の内部のアンテナの位置を調整可能とするためのジョイント部と、を備えており、
前記ジョイント部は、
(1)前記容器の内壁面側に固定されており、その中に前記アンテナをその位置が変動可能なように収容するための収容部と、
(2)前記容器の外壁面又はその近傍に配置された操作部であって、前記収容部内にその位置が変動可能に収容されている前記アンテナの端部と連結されており、前記容器の外側から前記アンテナの位置を変動させ調整するための操作部と、
(3)前記操作部によりその位置が調整された後の前記アンテナの位置を固定するための固定部と、を含んでいる、ことを特徴とする測定システム。
【請求項2】
薬品、食品、半導体ウエハ、その他の所定の物体を保持するための金属製の容器と、
前記容器内の所定の物体又は所定の空間の温度、圧力、湿度、又は振動を検出するためのセンサ、及び、前記センサからのデータを前記容器内の空間に無線で送信するための無線送信部を備えた測定装置と、
前記容器の内壁面側に固定され、前記容器内において前記センサからのデータを前記無線送信部から受信するためのアンテナと、
前記容器の外壁面側に固定され、前記アンテナと電気的に接続された外部送信部であって、前記アンテナにより受信されたデータを前記容器の外部に配置された記録装置又は出力装置に有線又は無線で送信するための外部送信部と、
前記の容器の内壁面側に固定されたアンテナと前記の容器の外壁面側に固定された外部送信部とを互いに電気的に接続すると共に、前記容器の外側から前記の容器の内部のアンテナの位置又は向きを調整可能とするためのジョイント部と、を備えており、
前記ジョイント部は、
(1)前記容器の内壁面側に固定されており、その中に前記アンテナをその位置又は向きが変動可能なように収容するための収容部であって、少なくともその一部に「外周部が外力により変形可能な蛇腹状に形成された部分」を有する収容部と、
(2)前記容器の外壁面又はその近傍に配置された操作部であって、前記収容部内にその位置又は向きが変動可能に収容されている前記アンテナの端部と連結されており、前記容器の外側から前記アンテナの位置又は向きを変動させ調整するための操作部と、
(3)前記操作部によりその位置又は向きが調整された後の前記アンテナの位置又は向きを固定するための固定部と、を含んでいる、ことを特徴とする測定システム。
【請求項3】
真空シール可能な閉塞空間を形成し、薬品、食品、半導体ウエハ、その他の所定の物体を所定の減圧状態で保持するための金属製の真空容器と、
前記真空容器内の所定の物体又は所定の空間の温度、圧力、湿度、又は振動を検出するためのセンサ、及び、前記センサからのデータを前記真空容器内の空間に無線で送信するための無線送信部を備えた測定装置と、
前記真空容器の内壁面側に固定され、前記真空容器内において前記センサからのデータを前記無線送信部から受信するためのアンテナと、
前記真空容器の外壁面側に固定され、前記アンテナと電気的に接続された外部送信部であって、前記アンテナにより受信されたデータを前記真空容器の外部に配置された記録装置又は出力装置に有線又は無線で送信するための外部送信部と、
前記の真空容器の内壁面側に固定されたアンテナと前記の真空容器の外壁面側に固定された外部送信部とを互いに電気的に接続すると共に、前記真空容器内の真空状態を保ちながら前記真空容器の外側から前記の真空容器の内部のアンテナの位置又は向きを調整可能とするためのジョイント部と、を備えており、
前記ジョイント部は、
(1)前記真空容器の内壁面側に固定されており、前記真空容器内の減圧空間に対して気密に遮断された空間を形成し、その中に前記アンテナをその位置又は向きが変動可能なように収容するための収容部であって、少なくともその一部に「外周部が外力により変形可能な蛇腹状に形成された部分」を有する収容部と、
(2)前記真空容器の外壁面又はその近傍に配置された操作部であって、前記収容部内にその位置又は向きが変動可能に収容されている前記アンテナの端部と連結されており、前記真空容器の外側から前記アンテナの位置又は向きを変動させ調整するための操作部と、
(3)前記操作部によりその位置又は向きが調整された後の前記アンテナの位置又は向きを固定するための固定部と、を含んでいる、ことを特徴とする測定システム。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記収容部は、その内部に略棒状のアンテナが前記真空容器の内壁面に対して略垂直方向に移動可能に挿通されており、少なくともその一部に「外周部が外力により、前記真空容器の内壁面に対して略垂直方向にすなわち前記アンテナの長手方向に、変形可能な蛇腹状部分」を備えた保護管であり、
前記操作部は、前記アンテナの位置を、前記真空容器の内壁面に対して略垂直方向にすなわち前記アンテナの長手方向に、調整するものである、ことを特徴とする測定システム。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかにおいて、
前記測定装置は、前記のセンサ及び無線送信部を保持するための、外形が略円筒状の筐体を含み、
前記測定装置を構成する無線送信部は、前記筐体の外周面に略螺旋状に巻回されたアンテナ素子を含むものである、ことを特徴とする測定システム。
【請求項6】
請求項5において、前記の筐体の外周面にはガラス樹脂又はプラスチック樹脂などの樹脂から成る保護絶縁層が形成されており、前記アンテナ素子は、前記保護絶縁層の内部に存在している、ことを特徴とする測定システム。
【請求項7】
請求項5又は6において、前記筐体の底部には、前記筐体の温度の変化を緩和するための断熱材が配置されている、ことを特徴とする測定システム。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれかの測定システムのために使用するのに適した測定装置であって、
薬品、食品、半導体ウエハ、その他の所定の物体又は所定の空間の温度、圧力、湿度、又は振動を検出するためのセンサと、
前記センサによる検出結果を外部に無線で送信するための無線送信部と、
前記センサ及び無線送信部を保持するための外形が略円筒状の筐体と、
を備え、
前記無線送信部は、前記筐体の外周面に略螺旋状に巻回されたアンテナ素子を含んでいる、ことを特徴とする測定装置。
【請求項9】
請求項8において、前記の筐体の外周面にはガラス樹脂又はプラスチック樹脂などの樹脂から成る保護絶縁層が形成されており、前記アンテナ素子は、前記保護絶縁層の内部に存在している、ことを特徴とする測定装置。
【請求項10】
請求項8又は9において、前記筐体の底部には、前記筐体の温度の変化を緩和するための断熱材が配置されている、ことを特徴とする測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−299337(P2007−299337A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128760(P2006−128760)
【出願日】平成18年5月5日(2006.5.5)
【出願人】(505078962)アドバンセンス有限会社 (3)
【Fターム(参考)】