説明

無線周波数識別システム

【課題】高周波を使用する無線周波数識別技術の実施を提供する。
【解決手段】読取器は、RFIDタグに通電する低周波信号を発する。RFIDタグが、高周波信号で応答する。RFIDタグ上のアンテナは、RFIDタグに電力供給する低周波信号を受信すると共振回路として機能する。一実施形態では、高周波信号は、ミリメートル周波信号である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、電気通信システムの分野に関し、特に、高周波を使用する無線周波数識別技術の実施に関するものである。
【背景技術】
【0002】
「無線周波数識別(RFID)」システムは、製品追跡、サプライチェーンマネジメント、及び多くの物流作業において様々な方法で使用されている。RFIDタグの用途には、消費者品目の在庫量管理におけるバーコードの交換、図書館又は書店の書籍追跡、輸送コンテナ及びトラック/トレーラ追跡、及び家畜追跡がある。自動車の分野においては、RFIDは、車両を起動する自動車キーに、かつタイヤ追跡のために使用されている。輸送の支払いは、RFIDスマートカードの使用により可能にされる。
【0003】
典型的なRFIDシステムは、固有の製品コードが与えられたデジタルメモリチップを有するトランスポンダを収容する1つ又はそれよりも多くの小さな廉価タグを含むことから成る。受動的なタグの場合、基地局(又は読取器)は、RFIDタグを起動してそれに信号を出させる信号を発する。読取器は、次に、この信号を受信し、そこに符号化されたデータを復号することができる。RFID技術で公知のように、RFID読取器は、RF電力をRFIDタグに伝達する。RFIDタグは、無線周波数送信リンク及び後方散乱返信リンクを利用して、RFID読取器により質問され、かつそれに応答する。一部のRFIDタグは、RFID読取器から受信した信号からタイミング(又は、クロック)信号を回復するのに使用される復調器を収容する。回復されたクロック信号は、次に、後方散乱返信リンクにおいて使用されるクロック信号を供給するデジタル制御発振器を制御する値を発生するのに利用される。
【0004】
RFIDシステムには、特定の周波数での作動帯域が割り当てられてきた。低周波(125kHz)RFIDタグは、認可なしで全世界的に使用することができる。更に、900MHzタグは、典型的に倉庫業務及び出荷において使用され、一方、より低い周波数(125KHz、13.56MHz)は、一般的に在庫作業又は棚卸し作業に対して使用される。
【0005】
低周波及び高周波RFIDシステムの各々は、長短所がある。例えば、一般的に低周波数になるほどRF電力の発生がより容易かつ廉価である。多くの用途に低コストRFIDタグシステムが必要であるので、低周波が一般的に使用されている。しかし、低周波システムは、物理的にアンテナの大型化が必要であり、その結果として、不要な区域に信号が伝播される可能性がある。これらの現象を補正する信号処理は可能であるが、タグを高価すぎるものにするであろう。低搬送周波数によっても、許容データ転送速度に上限が課せられる。より集約的かつ高価な信号処理技術を使用しなければ、1kbps/kHzのデータ伝送ビット速度に近づくことは困難であり、従って、125kHzシステムは、約100kbpsのデータ速度での転送で最高のレベルに達すると考えられ、これは、一部の用途では適切以上であるが、他の用途では制限になるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
57〜64GHz範囲(60GHz帯域)には、電磁スペクトルのミリ波部分に位置し、かつ大部分は商業レベルの無線用途に利用されていない非常に高い周波数の帯域がある。このスペクトルは、米国のFCCにより及び世界中の他の団体により認可されていないものである。このスペクトルにおいて達成することができるより高いデータ転送速度に加えて、60GHz帯域のエネルギ伝播には、優れた干渉耐性、高セキュリティ、及び周波数再利用のような多くの他の恩典を可能にする固有の特性がある。しかし、ミリメートル周波信号を受信するように設計されたRFIDタグは、低周波信号を受信するように設計されたタグよりも高価である。従って、必要なものは、低及び高周波信号の両方の恩典を利用することができるRFIDシステムである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示して特許請求するのは、第1の周波数を有する第1のRF信号を送信するための無線周波数(RF)読取器と第1のRF信号を受信するように構成されたRFIDタグとを含むRFIDシステムである。RFIDタグは、更に、第1のRF信号に応答して第2の周波数を有する第2のRF信号を送信するように構成される。一実施形態では、第2の周波数は、30GHzと300GHzの間であり、第1の周波数は、30GHz未満である。
【0008】
本発明の他の態様、特徴、及び技術は、本発明の例示的な実施形態の以下の説明に鑑みて当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態によるRFIDタグを示す図である。
【図2A】本発明のある一定の実施形態によるRFIDシステムを示す図である。
【図2B】本発明のある一定の実施形態によるRFIDシステムを示す図である。
【図3】本発明の別の実施形態によるRFIDシステムを示す図である。
【図4】本発明の更に別の実施形態によるRFIDシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様は、二重周波数RFIDシステムである。ある一定の実施形態では、RFIDシステムにおいて異なる無線周波数を使用することが好ましい場合がある。従って、より低い周波数を使用してRFIDタグに通電することができ、一方、より高い周波数(例えば、ミリメートル周波数)を使用して、範囲が制限されたラジオ無線周波数通信を行うことができる。本明細書での「より高い周波数」への言及は、30GHz〜300GHz間(ミリメートル帯域)の全ての周波数を含むミリメートル帯域の周波数を指すことを認めるべきである。ミリメートル帯域の周波数は、極高周波(EFH)としても公知である。これとは対照的に、本明細書での「より低い周波数」への言及は、ミリメートル帯域幅未満の全ての周波数を含み、特に、125kHz、900MHz、1.8GHz、及び2.4GHzの周波数に中心のある周波数を含む。
【0011】
本発明の別の態様は、RFIDタグの電力要件を最小にしながら、ミリメートル周波数送信の近視野伝播特性を利用することである。ミリメートル周波信号は、コーナまわりで曲がるか又は障壁を通過して潜在的に意図せぬ領域に伝播するより長い波長と比較すると、固有のセキュリティ利点を有する。タグ上のアンテナの設計により、タグからの送信を非常に指向性が高いもの又は代替的に全指向性にさえすることができる。RFID読取器は、従って、特定のアセットから選択的に送受信することができる。
【0012】
一実施形態では、ミリメートル周波数(例えば、60GHz)RFIDタグは、より低い周波数(例えば、900MHz)信号で起動させることができる。このような実施形態では、RFIDタグのアンテナは、誘導特性及び容量特性の両方をもたらしながら共振回路としての役割を果たし、受領エネルギからその内部回路に電力供給することができる。
より低い周波数を使用して電力供給された状態で、ミリメートル周波数タグは、次に、より高い周波数(例えば、60GHzの帯域)で応答信号を送信することができる。この構成は、アセット位置に関して従来のRFIDシステムよりも遥かに位置特異な情報をもたらすであろう。
【0013】
別の実施形態では、本発明のRFIDシステムは、RFID読取器が特定のタグ付きアセットに関する情報を受信することを可能にすると考えられる。従来、RFID読取器の起動は、読取器の受信地域内の全てのRFIDタグに応答させていたであろう。従って、タグ付きアセットを特定して、その特定のRFIDタグ上に記憶されたデータを受信することは不可能であると考えられる。しかし、本発明により、ユーザは、特定のタグ付きアセットを特定し、かつそのRFIDタグからの情報だけを受信することができる。一例として、ユーザは、RFID読取器を関連のタグ付きアセットに向けることができる。RFID読取器を起動させれば、読取器の受信地域にわたって低周波送信が伝播するであろう。しかし、返信信号(例えば、60GHz)の方向性があれば、望ましいRFIDタグからのRF信号だけがRFID読取器により検出されることになる。従って、ユーザは、関連のアセットを特定し、かつ低周波ポーリング信号に応答してアセット特異情報を受信することができる。
【0014】
本発明の更に別の態様は、音声/映像コンテンツの「デジタル権利管理(DRM)」を実施する60GHzRFIDシステムに対するものである。DRMは、視聴、複写、及び/又はアクセスのようなユーザ活動の持続的な制御を行うために特定のユーザ権利をメディアと結ぶコンテンツに対するユーザ権利のデジタル管理である。そのために、一実施形態では、60GHz帯域で送信するRFIDタグを使用して、ユーザがDRM−保護付きコンテンツを転送するように要求したマルチメディア装置の位置を確認することができる。DRMコンプライアンスは、コンテンツソース(例えば、パーソナルコンピュータ、セットトップボックスなど)にマルチメディア装置内に組み込まれたRFIDタグをポーリングさせることにより達成することができる。60GHz帯域信号(又は、あらゆるミリメートル帯域信号)の伝播特性があれば、マルチメディアの装置からの応答により、実際はローカル装置であることが確認される。同様に、定期的なポーリングを行って、コンテンツが複写されたマルチメディア装置がローカルのままであることを確認することができる。
【0015】
ミリメートル周波信号の方向性を考慮すると、単一のアセット上に複数のRFIDタグを設置することが必要であると考えられる。一部の実施形態では、複数のRFIDタグは、同じ識別番号を有し、かつタグ付きアセットの異なる表面上に設置することができる。
しかし、そうすることにより、個々のRFIDタグ信号間の干渉が引き起こされる場合がある。従って、別の実施形態は、遅延信号を読取器に返送するように構成することができるRFIDタグに対するものである。このようにすれば、読取器は、干渉を最小にしながら単一アセット上の複数のRFIDタグをポーリングすることができると考えられる。
【0016】
本発明の別の態様は、RFIDシステムを60GHz無線ネットワークと一体化することである。一実施形態では、60GHzネットワークは、装着された機器を定期的にポーリングして、新しいネットワーク化されたクライアントの存在、及び既存のネットワーク化された機器のステータスのあらゆる変化を評価することができる。新しいネットワーク機器を認証し、かつ接続性を確立するために60GHz送受信機及び同期クロッキングシステムを使用する際に重要な商業レベルの用途もある。60GHzでの作動に基づく新しいネットワークプロトコルが出現している。それによって大きい情報源を秒単位又はミリ秒単位で無線送信することができるように、数ギガビット〜何十ギガビット/秒もの速度かつローカル区域内で真に大きい帯域幅をもたらすことが可能になる。60GHzの搬送周波数で通信する大規模に広帯域の無線装置の機能により、複数のかつ階層的記憶システムの必要性が低減され、かつ複雑なデータベースシステム内のハードドライブ、大判紙テキスト、CD、及び他の記憶装置のような今日の大きく厄介な記憶装置が小型化されることになる。
【0017】
一実施形態では、RFIDタグ内の送信機アンテナは、送信対象の信号のミリメートル帯域幅周波数を考慮すると、以前に達成可能なサイズよりも遥かに小さいものとすることができる。特に、60GHzでの波長は、0.5mmであり、アンテナ寸法は、通常、約1波長の半分又はそれ未満である。このために、アンテナ及び/又はRFIDタグ全体を半導体素子又はパッケージ内に組み込むことができると考えられる。様々なアンテナ構成及び偏光が、全指向性ビームから狭ビームまで及び直線偏光から円偏光の範囲にわたって可能であることを認めるべきである。
【0018】
本明細書で使用する時、用語「a」又は「an」は、1つ又は1つよりも多いを意味するものとする。用語「複数」は、2つ又は2つよりも多いを意味するものとする。用語「別の」は、第2の又はそれよりも多いものと定められる。用語「including」及び/又は「having」は、制約がないものである(例えば、compising)。
本明細書を通じた「一実施形態」、「ある一定の実施形態」、「実施形態」、又は類似の用語への言及は、その実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書を通じて様々な位置でのこのような語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指しているというわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、非制限的に1つ又はそれよりも多くの実施形態にあらゆる適切な方法で組み合わせることができる。
【0019】
用語「又は」は、本明細書で使用する時、包含的として、又はいずれか1つ又はあらゆる組合せを意味するように解釈されるものとする。従って、「A、B、又はC」は、「A;B;C;A及びB;A及びC;B及びC;A、B、及びCのいずれか」を意味する。この定義に対する例外は、要素、機能、段階、又は行為の組合せが何らかの点で本質的に互いに相容れない時にのみ発生することになる。
【0020】
図をここで参照すると、図1は、本発明の一実施形態によるRFIDタグ100を示している。上述のように、タグ100は、位置を見つける及び/又はそうでなければ識別すべきであるアセットの1つ又はそれよりも多くの表面上に設置することができる。この実施形態のシステムは、アンテナ104を機械的に有害な曲げ応力から保護する機械的に保護する構造102を含む。アンテナ104は、良好な導電率特性を有する金属材料製とすることができる。アンテナ104は、更に、一実施形態では60GHzの帯域内であるミリメートル帯域(例えば、30GHz〜300GHz)内の周波数を有する信号を送信するように構成することができる、一実施形態では、アンテナはまた、低周波ポーリング信号(例えば、125kHz、900MHz、1.8GHz、2.4GHzなど)に応答して共振回路として機能し、かつ誘導電流を生成して、応答してプロセッサ回路システム106に電力を供給するように構成される。一実施形態では、プロセッサ回路106は、着信ポーリング信号を検出する回路、簡単な制御プロセッサ、及びデータ値を記憶するメモリを含む。プロセッサ回路106は、アンテナ104を利用してミリ波周波数でデータを送信することにより読取器からのポーリングに応答するようにプログラムすることができる。従って、RFIDタグ100の一態様は、タグが送信する信号よりも低いRF信号により起動されるか、又は電力を供給すべきである。
【0021】
この実施形態では、アンテナ104は、プロセッサ回路106とは独立に取り付けられ、一方、他の実施形態では、アンテナ104は、半導体パッケージの不可欠な部分として装着するか、又は更に、半導体基板上にエッチングされた回路の不可欠な部分とすることができる。アンテナ104は、印刷ループ又はワイヤループアンテナとすることができることを認めるべきである。更に、アンテナ104に対して上述の共振特性は、同様に、誘導子及びコンデンサ(図示せず)で構成された別々の共振回路を使用して与えることができる。
【0022】
RFIDタグ100は、アップコンバートのための低電力60GHz発振器を含むことができることを更に認識すべきである。更に、タグ100の高伝播損失及び低電力要件のために、何らかのアンテナビーム制御を行うことが望ましいであろう。一実施形態では、ビーム制御は、後方指向性アンテナで行うことができ、一方、別の実施形態では、ビーム制御は、送信周波数を変えることにより行うことができる。
【0023】
図2Aは、本発明の一実施形態を実施するシステム200を示している。図示のように、システム200は、受信地域210にわたってより低い周波数(例えば、125kHz、900MHz、1.8GHz、2.4GHzなど)で無線周波エネルギを放射する読取器205を含む。読取器205は、システムコントローラ215により制御される。システムコントローラ215が読取器から遠く離れているように示されているが、他の実施形態では、コントローラ215は、読取器205に一体化することもできる。更に、読取器205から放射される電力が全方向性であるように示されているが、多くの他の放射形状及び方向性を用いることができる。
【0024】
読取器205は、一実施形態では部屋又は何らかの他の密閉領域とすることができる閉鎖区域220内に位置するように示されている。ある一定の実施形態では、読取器205の低周波送信は、密閉区域220を貫通することができるが、高周波数送信(例えば、ミリメートル周波数)が貫通することはできない。
【0025】
対応するアセットに装着することができるRFIDタグa1〜a4はまた、密閉区域220内のように示されている。RFIDタグa1〜a4は、RF放射パターン225、230、235、及び240を有する。一実施形態では、RFIDタグa1〜a4は、RF放射パターン225、230、235、及び240を有するミリメートル帯域(例えば、60GHzの帯域)の高周波信号を発する。一実施形態では、RFIDタグa1〜a4は、図1のRFIDタグ100と同様に設計される。更に、別のRFIDタグb1は、閉鎖区域220の外側であるが読取器205の受信地域210内に位置してRF放射パターン245を有するように示されている。図示の放射パターンは全方向性であるが、同様に多くの他の形状及び方向性を有することができる。例えば、一部の実施形態では、放射パターン225、230、235、及び240は、指向性が高いとすることができる。
【0026】
RFIDタグa1〜a4及びb1が全て受信地域210内であることを考慮すると、読取器205により発せられた低周波信号を受信して電子回路に電力供給することができることになる。しかし、それらの信号の超高周波のために及び閉鎖区域220を貫通することができないために、閉鎖区域220内のRFIDタグ(すなわち、a1〜a4)からの応答のみが読取器205により受信されることになる。従って、システム200は、特定のアセットの存在を確認できるだけでなく、そのようなアセットに関する位置特異情報(例えば、アセットが特定の部屋の中にある)を判断することもできる。
【0027】
更に、RFIDタグa1〜a4からのミリメートル周波数応答が、閉鎖区域220を貫通することはできないという事実により、それらのタグによって中継される情報のセキュリティは、相応に増大する。これは、RFIDタグが機密のアセット特異情報を安全に送信することを可能にする。
【0028】
上述のように、発すべき信号が指向性である時、複数のタグをアセット上で使用することができる。しかし、データ衝突の可能性を防止するために、そのようなタグは、異なる遅延で応答するようにプログラムされるであろう。従って、アセットがポーリングされた時、品目の方位に関係なく、少なくとも1つのタグは応答することができるべきであり、かつ1つよりも多いタグが応答する場合、読取器は、依然として正確にそのような応答を受信することができることになる。一実施形態では、遅延期間は所定のものであるが、別の実施形態では、応答遅延は、ランダム値である。代替的に、遅延期間は、特定のアセット上のタグの位置の関数とすることができる。
【0029】
同じく図2Aを参照すると、一実施形態では、システム200を使用して、保護付きマルチメディアコンテンツに関する「デジタル権利管理(DRM)」システムを実施することができる。例えば、読取器205は、マルチメディアソース(例えば、パーソナルコンピュータ、セットトップボックスなど)内に収容することができ、一方、RFIDタグa1〜a4及びb1は、そのソースにその保護付きコンテンツを要求する様々なマルチメディア装置に収容される。DRMコンプライアンスは、要求されたコンテンツを転送する前にマルチメディアコンテンツシステムがマルチメディア装置に関してポーリングするので達成可能である。60GHzの帯域信号の伝播特性を考慮すると、応答信号は、コンテンツソースにローカルである要求側装置からのみ受信されることになる。図2Aの実施形態では、これは、コンテンツが、RFIDタグa1〜a4でタグ付けされたローカル装置に転送されるであろうが、RFIDタグb1でタグ付けされた装置には転送されないことを意味する。
【0030】
図2Bをここで参照すると、本発明の別の実施形態によるRFIDシステム250が示されている。この実施形態では、2つの隣接した部屋255及び260が示されており、各々は、それぞれ伝播パターン275及び280を有する読取器265及び270を含む。一実施形態では、読取器265及び270は、システムコントローラ285に接続される。部屋255は、読取器265、並びにRFIDタグc1〜c4を含む。部屋260は、読取器270、並びにRFIDタグb1〜b4を含む。ある一定の実施形態では、RF読取器265及び270は、比較的低い周波数(例えば、ミリメートル帯域未満)を有する信号を発し、一方、RFIDタグb1〜b4及びc1〜c4は、ミリ波長範囲(例えば、60GHzの帯域)の周波数を有する応答信号を電子メールで送る。一実施形態では、RFIDタグb1〜b4及びc1〜c4は、図1のRFIDタグ100と同様に設計される。
【0031】
システム250を使用して、特定の読取器が同じ部屋内のタグから応答信号を受信するだけであるので、どの部屋255及び260に特定のアセットがあるかを特定することができる。たとえ読取器265及び270のRF信号が物理的障壁を超えて伝播するとしても、ローカルRFタグからの応答信号だけが検出されることになる。このようにして、応答タグ信号の限られた伝播特性のために、より詳細な位置情報を取得することができる。
更に、応答タグ信号の限られた伝播パターンで、不要にRFIDタグb1〜b4及びc1〜c4のコスト増になることもなく、ステム250の上述のセキュリティ上の利点が得られる。その理由は、タグが、読取器265及び270の低周波信号を使用して起動されるからである。
【0032】
図3は、本発明の別の実施形態を実施するシステム300を示している。この実施形態では、システム300は、受信地域310にわたって比較的低い周波数(例えば、ミリメートル帯域未満)で第1のRF信号、及び放射パターン325を有するミリメートル帯域周波数で第2のRF信号を放出する読取器305を含む。読取器305は、読取器305に対してローカルであるか、又は読取器305からリモートとすることができるシステムコントローラ315により制御することができる。更に、読取器305から放射される電力が全方向性であるように示されているが、多くの他の放射形状及び方向性を用いることができる。
【0033】
読取器305は、一実施形態では部屋又は何らかの他の密閉領域とすることができる閉鎖区域320内に位置するように示されている。ある一定の実施形態では、読取器305の低周波送信は、密閉区域320を貫通することができ、一方、高周波送信(例えば、ミリメートル周波数)は、密閉区域320を貫通することができない。
【0034】
また、対応するアセットに装着することができるRFIDタグd1〜d4は、密閉区域320内であるように示されている。RFIDタグd1〜d4は、パターン310に類似した伝播パターンを有する低周波RF信号(例えば、125kHz、900MHz、1.8GHz、2.4GHzなど)を発する。
【0035】
一実施形態では、読取器305は、受信地域310内にあるあらゆるタグに通電する低周波信号(例えば、ミリメートル帯域未満)を発することができる。次に、読取器305は、パターン325を有する第2の高周波信号(例えば、ミリメートル帯域)を発することができる。一実施形態では、この第2の信号を使用して、受信地域325内のあらゆるタグに応答させることができる。従って、図3の実施形態では、タグd1だけが、読取器の伝播パターン325内の唯一のタグであるので、読取器305に応答する。一実施形態では、タグd1による応答は、読取器305により検出可能である低周波RF信号の形態になる。
【0036】
このようにして、システム300を使用して、特定のアセットの存在を確認するだけでなく、そのようなアセットに関する位置特異情報(例えば、アセットが特定の部屋の中にある)を判断することもできる。更に、システム300により、ユーザは、特定のタグ付きアセットを特定し、かつそのRFIDタグからの情報だけを受信することができる。一例として、ユーザは、RFID読取器を関連のタグ付きアセットに向けることができる。
RFID読取器の起動は、読取器の受信地域を通して低周波送信を伝播させ、従って、受信地域内の全てのタグが通電されるであろう。一実施形態では、ミリメートルの帯域信号である第2の信号は、限られた範囲のタグだけにより検出される(それゆえに、第2の信号に応答する)。従って、ユーザは、関連のアセットを特定してアセット特異情報を受信することができる。
【0037】
図4は、方向性アンテナが使用され、かつ4つのアセット410、420、430、及び440の各々が装着された4面の各々に1つの4つの個々のタグを有するRFIDシステム400の実施形態を示している。この実施形態では、システム400は、2つの可能な位置460a及び460bの一方であるように示される読取器によりモニタされる閉鎖された部屋450から成るが、明らかに、読取器は、部屋450の中のいずれか他の位置にあるとすることもできる。図示のように、読取器は、任意的なコントローラ470に接続されている。しかし、コントローラ470は、代替的に読取器205内に一体化することができる。
【0038】
システム400においては、アセット410、420、430、及び440の各々は、図示のように方向性の高いアンテナの伝播パターンを有する4つのRFIDタグ(例えば、タグ100)が添付されている。読取器が位置460aから460bに移動する時、送信パターンは、470aから470bに移動する。
【0039】
読取器が位置470aにある時、一実施形態では60GHzの帯域とすることができるタグの信号の方向性を考慮すると、アセット410及び420の存在だけを検出することになる。同様に、読取器が位置470bに移動した時、アセット430及び440だけが検出される。図示されていないが、読取器は、アセット410〜440のいずれか1つにアクセスしてその特定のアセットだけを検出することができる。このようにして、RFIDシステム400を使用して、アセットに関する位置特異情報が可能である。更に、ユーザは、単にタグの指向性信号パターンの近くに読取器を設置することにより、関連のアセットを特定して低周波ポーリング信号に応答してアセット特異情報を受信することができる。
【0040】
単一のアセットからの複数の応答信号が互いに干渉し合う場合があることを考慮して、一実施形態では、システム400のRFIDタグは、読取器へ遅延信号を返信するように構成することができる。このようにすれば、読取器は、干渉を最小にしながら単一のアセット上の複数のRFIDタグをポーリングすることができると考えられる。
【0041】
上述のように、ある一定の実施形態では、本発明のRFIDタグ(例えば、タグ100)は、ミリ波周波数(例えば、60GHz)により、読取器がこの周波数で又は遥かに低い周波数で送信するかを問わず、作動させることができる。すなわち、読取器からの送信周波数を利用してタグ上の回路に通電することができ、従って、RFIDタグのコスト及び複雑さが低減される。更に、本発明に関して受動的RFIDタグに対して生じるのと同じ利点は、能動的タグが利用されるRFIDシステムの構成にも適用可能である。能動的タグは、バッテリのような電源を有する。
【0042】
先の説明は、特定の実施形態に関するものであるが、当業者は、本明細書で説明する特定の実施形態に対する修正及び/又は変形を考えることができることは理解される。この説明の範囲に該当するあらゆるそのような修正又は変形は、同様に本明細書に含まれることも意図する。本明細書の説明は、単に例示的であることを意図しており、本発明の範囲を制限しないものとすることは理解される。
【符号の説明】
【0043】
200 本発明を実施するシステム
205 読取器
210 受信地域
215 システムコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
「デジタル権利管理(DRM)」を実施するためのシステムであって、
関連のRFIDタグを有し、かつDRM−保護付きコンテンツを受信する要求を無線で送信するように構成された要求側マルチメディア装置と、
無線周波数識別(RFID)読取器を含むマルチメディアコンテンツソースと、
を含み、
前記コンテンツソースは、
前記要求側マルチメディア装置から前記要求を受信し、
前記要求側マルチメディア装置の前記RFIDタグをポーリングし、
前記ポーリングに基づいて前記要求側装置から57GHzと64GHzの間の周波数を有する応答信号を受信し、かつ
前記応答信号に応答して前記DRM−保護付きコンテンツを送信する、
ように構成される、
ことを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−217209(P2012−217209A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−161832(P2012−161832)
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【分割の表示】特願2009−534654(P2009−534654)の分割
【原出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(593181638)ソニー エレクトロニクス インク (371)
【Fターム(参考)】