説明

無線機

【課題】コストアップを抑制しつつ、マルチパスフェージングが生じている環境下でも良好な受信を行うことができる無線機を提供する。
【解決手段】マルチパスフェージングが生じていることによりRSSIが低下していると判断したことに基づいて(ステップS16がYes)、キャリア検出閾値を下げることによって受信感度をそれまでよりも高くする(ステップS20)。このようにして受信感度を高くすることから、アンテナの指向性制御やダイバーシチ受信を行う場合とは異なり、ハードウェアの変更を必要としない。よって、コストアップを抑制しつつ、マルチパスフェージングが生じている環境下でも良好な受信を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線機に関し、特にマルチパスフェージングが生じても良好な受信を行うことができる無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
無線機が受信する電波の信号強度は、マルチパスフェージングが生じることによって低下する場合があることが知られている。そこで、マルチパスフェージングが生じている状況でも良好な受信を維持するために、アンテナの指向性制御や、ダイバーシチ受信が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−237180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、アンテナの指向性制御やダイバーシチ受信を行うためには、そのためのハードウェア構成が必要となることからコストアップとなる。
【0005】
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、コストアップを抑制しつつ、マルチパスフェージングが生じている環境下でも良好な受信を行うことができる無線機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、アンテナと、外部から送信された電波をそのアンテナを介して受信する受信部とを備えた無線機であって、前記受信部は、受信電波の信号強度を検出する受信信号強度検出手段と、前記受信信号強度検出手段によって検出された信号強度が所定の閾値以下となっていることに基づいて、マルチパスフェージングによって信号強度が低下しているか否かを判断するマルチパスフェージング判断手段と、受信閾値レベルを変更することで前記受信電波の受信感度を制御する受信感度制御手段とを備え、前記受信感度制御手段は、前記マルチパスフェージング判断手段が、マルチパスフェージングによって信号強度が低下していると判断したことに基づいて、受信感度をそれまでよりも高くすることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、マルチパスフェージングが生じていることにより受信電波の信号強度が低下していると判断したことに基づいて、受信閾値レベルを下げることによって受信感度をそれまでよりも高くする。このようにして受信感度を高くすることから、アンテナの指向性制御やダイバーシチ受信を行う場合とは異なり、ハードウェアの変更を必要としない。よって、コストアップを抑制しつつ、マルチパスフェージングが生じている環境下でも良好な受信を行うことができる。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、前記マルチパスフェージング判断手段は、前記受信電波に商用電源周波数に由来するノイズ成分が含まれているか否かに基づいてマルチパスフェージングが生じているか否かを判断することを特徴とする。
【0009】
受信電波の信号強度が低くなる場合として、マルチパスフェージング以外にも、通信エリア外に無線機が位置している場合が考えられるが、受信電波に商用電源周波数に由来するノイズ成分が含まれている場合には、ノイズ成分が含まれているものの、本来受信すべき信号も受信されている、すなわち、通信エリア内であることを意味する。よって、このように、受信電波に商用電源周波数に由来するノイズ成分が含まれているか否かに基づいてマルチパスフェージングが生じているか否かを判断すれば、信号強度が低下している原因がマルチパスフェージングによるものか否かを精度よく判断することができる。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、前記受信部は、複数の受信チャンネルにおいて受信電波が受信可能であり、前記複数の受信チャンネルの間で受信チャンネルを切り替える受信チャンネル切り替え手段をさらに備え、前記受信信号強度検出手段は、受信チャンネル毎に、受信電波の信号強度を検出し、前記マルチパスフェージング判断手段は、受信チャンネル毎に、マルチパスフェージングによって信号強度が低下しているか否かを判断し、前記受信チャンネル切り替え手段は、複数の受信チャンネルにおいて信号強度が所定の閾値以下である場合であって、前記マルチパスフェージング判断手段においては、特定の受信チャンネルのみマルチパスフェージングによって信号強度が低下していると判断された場合、受信チャンネルをその特定のチャンネルに設定し、前記受信感度制御手段は、その特定のチャンネルに設定された状態で、受信感度をそれまでよりも高くすることを特徴とする。
【0011】
たとえば、ETC(登録商標)システムにおいては、互いに隣接する複数の路側機からそれぞれ異なるチャンネルの電波が送信されるため、自車両の正面のゲートからの電波のみならず、隣のゲートからの電波を受信してしまうこともある。しかしながら、仮に、隣のゲートからの電波にマルチパスフェージングによる信号強度の低下が生じているとすると、隣のゲートからの電波は極めて弱い電波であり、商用電源周波数に由来するノイズ成分が含まれていたとしても、それを検出することはできない。そのため、商用電源周波数に由来するノイズ成分が含まれていることに基づいてマルチパスフェージングが生じていると判断できる場合には、正面のゲートからの電波であると考えることができる。そこで、この請求項に係る発明のように、複数のチャンネルにおいて、信号強度が所定の閾値以下である場合であって、マルチパスフェージング判断手段においては、特定の受信チャンネルのみマルチパスフェージングによって信号強度が低下していると判断された場合、受信チャンネルをその特定のチャンネルに設定すれば、正面ゲートのチャンネルに正しくチャンネルを設定することができる。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、前記無線機は、送信部も備えており、車両に搭載されて、駐車場に設置された料金決済用の無線通信機との間で、料金決済のための信号の送受信を行うものであることを特徴とする。
【0013】
駐車場においては、電波を反射する反射物が種々存在することも多く、また、料金決済の際には停車して送受信を行うことから、マルチパスフェージングによって信号強度が低下している場合に、移動することによってマルチパスフェージングを解消することが期待できない。よって、このように、駐車場に設置された料金決済用の無線通信機との間で、料金決済のための信号の送受信を行う無線機の場合には、受信感度を高くすることによって良好な受信を行うことができるようにする意義が大きい。
【0014】
また、請求項5記載の発明は、前記無線機は、アンテナを複数本備え、前記受信部は、前記複数のアンテナから使用するアンテナを切り替えるアンテナ切り替え手段をさらに備え、前記アンテナ切り替え手段は、使用中のアンテナにおいて、前記マルチパスフェージング判断手段が、前記受信電波に商用電源周波数に由来するノイズ成分が含まれている ことに基づいてマルチパスフェージングが生じていると判断した場合、他のアンテナに切り替えることを特徴とする。
【0015】
前述のように、受信電波に商用電源周波数に由来するノイズ成分が含まれているか否かに基づいてマルチパスフェージングが生じているか否かを判断すると、精度よくマルチパスフェージングを判断することができる。そのため、このようにすれば、他のアンテナへの切り替え判断が適切になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】DSRC車載器Aの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】制御マイコン1が行う処理であって、マルチパスフェージング判断処理および受信感度制御処理を示すフローチャートである。
【図3】マルチパスフェージングによりRSSIが低下する状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に説明する実施形態のDSRC車載器Aは、本発明の無線機が、DSRC通信規格に対応し、且つ、車両に搭載される無線機に適用されたものである。
【0018】
図1は、このDSRC車載器Aの電気的構成をブロック図により示している。この図1に示すように、DSRC車載器Aは、制御用マイコン1と、この制御用マイコン1から送信されるデータを変調しアンテナAaを通じてデータを送信する送信部2と、アンテナAaを通じて外部からデータを受信する受信部3と、局部発振器4と、送受切替スイッチ5および6と、高周波BPF7とを備えている。
【0019】
制御用マイコン1は、DSRC通信用のチャンネルを制御するため、局部発振器4にチャンネル制御信号を与えると、局部発振器4は当該チャンネルに応じた周波数の搬送波信号を生成して送受切替スイッチ5に与える。これら局部発振器4および局部発振器4にチャンネル制御信号を与える制御用マイコン1が特許請求の範囲の受信チャンネル切替手段として機能する。
【0020】
送受切替スイッチ5は、制御用マイコン1から切替制御可能に構成され、局部発振器4から与えられた搬送波信号を送信部2または受信部3に与えるように構成されている。
【0021】
送信部2はLPF8と送信変調部9とを備えており、制御用マイコン1から送信用のデジタルデータが与えられると、LPF8により帯域制限すると共に、送信変調部9により搬送波信号で変調し、当該変調信号を送受切替スイッチ6に与える。
【0022】
送受切替スイッチ6は、制御用マイコン1から切替制御可能に構成され、データの送信時には送信部2と高周波BPF7との間を導通接続するように構成されている。これにより、変調信号が高周波BPF7およびアンテナAaを通じて外部(駐車場に設置された料金決済用の無線通信機など)に送信される。
【0023】
逆に送受切替スイッチ5は、データ受信時には高周波BPF7と受信部3との間を導通接続するように構成されている。受信部3は、周波数変換器10、中間周波BPF11、復調部12とを備えて構成される。
【0024】
周波数変換器10は、データ受信時には局部発振器4から所定のチャンネルの搬送波信号が与えられることによって高周波BPF7や図示しないアンプを通じて得られる受信信号をダウンコンバートする。中間周波BPF11は、チャンネル周波数帯域を含む所定周波数範囲でフィルタリングし、この受信信号を復調部12が復調し、受信データが制御用マイコン1に与えられるように構成されている。
【0025】
復調部12は、RSSI回路13、ピークホールド回路14、比較器15、QPSK復調回路16、ASK復調回路17、ゲート回路18から構成される。RSSI回路13は、受信電波の信号強度(RSSI(Receive Signal Strength Indicator))を測定し、測定したRSSIをピークホールド回路14およびASK復調回路17に出力する。
【0026】
ピークホールド回路14は、所定期間におけるRSSIの最大値を保持する回路である。このピークホールド回路14によって保持された最大値(以下、RSSI電圧)は比較器15、および制御用マイコン1に出力される。なお、RSSI回路13およびピークホールド回路14が特許請求の範囲の受信信号強度検出手段に相当する。
【0027】
比較器15では、ピークホールド回路14から供給されたRSSI電圧を制御用マイコン1から与えられるキャリア検出閾値と比較し、RSSI電圧がキャリア検出閾値以上である場合、キャリア検出信号を制御用マイコン1に与えるように構成されている。なお、キャリア検出閾値が特許請求の範囲の受信信号閾値に相当する。
【0028】
制御用マイコン1は、タイマを用いてチャンネルを切り替えつつ各チャンネルにおけるRSSIを検出する。そして、各チャンネルにおいてキャリア検出信号が供給されているか否か、および、各チャンネルにおけるRSSIに基づいて、受信チャンネルを決定する。
【0029】
QPSK復調回路16は、中間周波BPF11から供給される受信信号をQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)復調方式にて復調する。ASK復調回路17は、中間周波BPF11から供給される受信信号をASK(Amplitude Shift Keying)復調方式にて復調する。これらの復調回路16、17によって復調された検波信号はゲート回路18に出力される。
【0030】
ゲート回路18は、キャリア検出信号が検出されていることを条件として復調回路16、17から与えられる検波信号をデータに復調して制御用マイコン1に与えることによって制御用マイコン1がデータを受け付けるようになっている。
【0031】
ここで、本実施形態のDSRC車載器Aの送受信チャンネルについて説明する。DSRC車載器Aは、前述のようにDSRC通信規格に対応しており、下記の7つのチャンネル(キャリア周波数)を有する。
1ch Up:5835MHz、Down:5795MHz
2ch Up:5845MHz、Down:5805MHz
3ch Up:5840MHz、Down:5800MHz
4ch Up:5830MHz、Down:5790MHz
5ch Up:5825MHz、Down:5785MHz
6ch Up:5820MHz、Down:5780MHz
7ch Up:5815MHz、Down:5775MHz
(Up→車載器側送信周波数、Down→路側機側送信周波数)
【0032】
送受信チャンネルは、RSSIがキャリア検出閾値以上のチャンネルに設定されるが、一旦チャンネルを設定しても、マルチパスフェージングによってRSSIが閾値以下に低下する場合がある。そこで、制御用マイコン1は、図2に示す処理を行うことにより、マルチパスフェージングによってRSSIが低下していると判断した場合には、受信感度を高くする制御を行う。また、チャンネルを設定する前は、この制御をチャンネル毎に行う。この制御を図2に基づいて詳しく説明する。なお、この図2に示す制御は、所定の周期毎に実行する。
【0033】
まず、ステップS10では、RSSIがキャリア検出閾値以上であるか否かを判断する。前述のように、図2に示す処理は所定の周期毎に実行するので、このステップS10が肯定判断になった場合には、RSSIが、キャリア検出閾値より小さい状態からキャリア検出閾値以上になったことになり、この場合、車両が通信可能エリアに入ったことを意味する。そこで、このステップS10が肯定判断である場合には、ステップS12へ進み、受信感度を変えずに通信を開始し(ステップS12)、受信感度をそのままとして通信を終了する(ステップS14)。
【0034】
ステップS10が否定判断の場合にはステップS16へ進む。ステップS16では、ハム成分を検出したか否かを判断する。このハム成分とは、商用電源周波数に由来するノイズ成分のことであり、このステップS16の判断は、ピークホールド回路14から周期的に供給されるRSSIの変動周期が、商用電源周波数(50Hzあるいは60Hz)であるか否かにより行う。
【0035】
ハム成分は本来の信号成分に重畳しているものであるため、ハム成分が含まれている場合には、受信すべき本来の信号も受信されていることを意味する。加えて、ハム成分が含まれていることは、受信電波が、商用電源で動作する機器(あるいはその付近)で反射してアンテナAaに到達したことも意味している。よって、ハム成分が検出できる場合には、マルチパスフェージングが生じていると考えることができる。
【0036】
図3は、マルチパスフェージングによりRSSIが低下する状態を説明する図である。図3において、時刻t1からt2までRSSIがある一定のレベルに低下している。また、この時刻t1からt2までの期間の信号には、図3に示すように、100(120)Hzのノイズ成分が含まれている。このノイズ成分は、商用電源周波数の2倍の周波数であり、上述のハム成分に相当する。この図3に示すように、ハム成分は、商用電源周波数の2倍の周波数であることが多いことが知られている。
【0037】
駐車場に設置された料金決済用の無線通信機との間で信号の送受信を行う場合、車両は、料金決済の際に停車している場合が多い。そのため、図3に示すように、マルチパスフェージングにより、ある期間に渡り、RSSIが一定のレベルに低下してしまうことが考えられる。
【0038】
そこで、ステップS16が肯定判断の場合にはステップS20へ進み、DSRC車載器Aの感度を上げる。この感度を上げる処理は、具体的には、比較器15に与えるキャリア検出閾値をそれまでよりも低い閾値に変更する処理である。キャリア検出閾値を低く設定すれば、キャリア検出信号が比較器15から供給されることが多くなる。よって、感度が高くなるのである。
【0039】
そして、ステップS22において通信を終了した後は、ステップS24において、受信感度を元に戻す。すなわち、キャリア信号閾値を元に戻す。その後、この図2の処理を終了する。
【0040】
一方、ステップS16が否定判断の場合、すなわち、ハム成分も検出できない場合には、本来受信すべき信号も受信できないと考えることができる。そこで、ステップS16が否定判断の場合にはステップ18へ進み、通信エリア外と判断し通信を終了する。
【0041】
以上、説明した本実施形態によれば、マルチパスフェージングが生じていることによりRSSIが低下していると判断したことに基づいて(ステップS16がYes)、キャリア検出閾値を下げることによって受信感度をそれまでよりも高くする(ステップS20)。このようにして受信感度を高くすることから、アンテナの指向性制御やダイバーシチ受信を行う場合とは異なり、ハードウェアの変更を必要としない。よって、コストアップを抑制しつつ、マルチパスフェージングが生じている環境下でも良好な受信を行うことができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、受信電波にハム成分が含まれているか否かに基づいて、マルチパスフェージングが生じているか否かを判断しているので、RSSIが低下している原因がマルチパスフェージングによるものか否かを精度よく判断することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0044】
たとえば、前述の実施形態では、ある受信チャンネルにおいて、マルチパスフェージングによってRSSIが低下したと判断した場合に、その受信チャンネルの受信感度を高くしていたが、以下の態様も可能である。すなわち、複数の受信チャンネルにおいてRSSIがキャリア検出閾値以下である場合であって、特定の受信チャンネルのみマルチパスフェージングによってRSSIが低下していると判断された場合、受信チャンネルをその特定のチャンネルに設定して、その特定のチャンネルに設定された状態で、受信感度をそれまでよりも高くするようにしてもよい。このようにすれば、ETCゲートにおいて、一時的に隣接するゲートからの電波を受信したとしても、正面ゲートのチャンネルに正しくチャンネルを設定することができるなど、複数の受信チャンネルから適切なチャンネルを設定することができる。
【0045】
また、前述の実施形態では、アンテナAaを1本のみ備えていたが、複数のアンテナを備えるとともに、複数のアンテナから使用するアンテナを切り替えるアンテナ切替手段を備えるダイバーシチ構成としてもよい。そして、アンテナ切替手段は、使用中のアンテナにおいて、受信電波にハム成分が含まれていることに基づいてマルチパスフェージングが生じていると判断した場合、他のアンテナに切り替えるようにしてもよい。前述のように、受信電波にハム成分が含まれているか否かに基づいてマルチパスフェージングが生じているか否かを判断すると、精度よくマルチパスフェージングを判断することができる。そのため、このようにすれば、他のアンテナへの切り替え判断が適切になる。
【0046】
また、前述の実施形態では、複数の受信チャンネルの電波を受信できるようになっていたが、一つの受信チャンネルの電波のみ受信できるようになっていてもよい。また、前述の実施形態は、DSRC通信規格に対応したものであったが、その他の無線機にも本発明は適用できる。また、本発明を、送信部を備えない無線機に適用してもよい。また、本発明を車両に搭載されない無線機に適用してもよい。
【符号の説明】
【0047】
A:DSRC車載器、 Aa:アンテナ、 1:制御用マイコン、 2:送信部、 3:受信部、 4:局部発振器、 5:送受切替スイッチ、 6:送受切替スイッチ、 7:高周波BPF、 8:LPF、 9:送信変調部、 10:周波数変換器、 11:中間周波BPF、 12:復調部、 13:RSSI回路、 14:ピークホールド回路、 15:比較器、 16:QPSK復調回路、 17:ASK復調回路、 18:ゲート回路
S10、16:マルチパスフェージング判断手段、 S20:受信感度制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、外部から送信された電波をそのアンテナを介して受信する受信部とを備えた無線機であって、
前記受信部は、
受信電波の信号強度を検出する受信信号強度検出手段と、
前記受信信号強度検出手段によって検出された信号強度が所定の閾値以下であることに基づいて、マルチパスフェージングによって信号強度が低下しているか否かを判断するマルチパスフェージング判断手段と、
受信閾値レベルを変更することで前記受信電波の受信感度を制御する受信感度制御手段とを備え、
前記受信感度制御手段は、前記マルチパスフェージング判断手段が、マルチパスフェージングによって信号強度が低下していると判断したことに基づいて、受信感度をそれまでよりも高くすることを特徴とする無線機。
【請求項2】
請求項1において、
前記マルチパスフェージング判断手段は、前記受信電波に商用電源周波数に由来するノイズ成分が含まれているか否かに基づいてマルチパスフェージングが生じているか否かを判断することを特徴とする無線機。
【請求項3】
請求項2において、
前記受信部は、
複数の受信チャンネルにおいて受信電波が受信可能であり、
前記複数の受信チャンネルの間で受信チャンネルを切り替える受信チャンネル切り替え手段をさらに備え、
前記受信信号強度検出手段は、受信チャンネル毎に、受信電波の信号強度を検出し、
前記マルチパスフェージング判断手段は、受信チャンネル毎に、商用電源周波数に由来するノイズ成分が含まれているか否かに基づいて、マルチパスフェージングによって信号強度が低下しているか否かを判断し、
前記受信チャンネル切り替え手段は、複数の受信チャンネルにおいて信号強度が所定の閾値以下である場合であって、前記マルチパスフェージング判断手段においては、特定の受信チャンネルのみマルチパスフェージングによって信号強度が低下していると判断された場合、受信チャンネルをその特定のチャンネルに設定し、
前記受信感度制御手段は、その特定のチャンネルに設定された状態で、受信感度をそれまでよりも高くすることを特徴とする無線機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
前記無線機は、送信部も備えており、
車両に搭載されて、駐車場に設置された料金決済用の無線通信機との間で、料金決済のための信号の送受信を行うものであることを特徴とする無線機。
【請求項5】
請求項2において、
前記無線機は、アンテナを複数本備え、
前記受信部は、前記複数のアンテナから使用するアンテナを切り替えるアンテナ切り替え手段をさらに備え、
前記アンテナ切り替え手段は、使用中のアンテナにおいて、前記マルチパスフェージング判断手段が、前記受信電波に商用電源周波数に由来するノイズ成分が含まれていることに基づいてマルチパスフェージングが生じていると判断した場合、他のアンテナに切り替えることを特徴とする無線機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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