説明

無線画像通信システムおよび無線画像通信装置

【課題】使用中の通信チャネルを、操作者が指定する通信チャネルに変更することができる無線画像通信システムおよび無線画像通信装置を提供する。
【解決手段】内視鏡100は、画像データの送信に係る受信装置200との無線通信で使用中の通信チャネルを、当該使用中の通信チャネルとは異なる所定の通信チャネルに変更する指示を操作者から受け付け、当該指示に基づいて、所定の通信チャネルに関する情報を受信装置200に無線で送信する。受信装置200は、内視鏡100から無線で送信された情報を受信し、内視鏡100との無線通信で使用中の通信チャネルを、受信された情報が示す通信チャネルに変更する処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LAN等の無線通信方式を利用した無線通信により画像データを送信する送信機と、その画像データを受信する受信機とを有する無線画像通信システムに関する。また、本発明は、外部装置から無線で送信された画像データを受信する無線画像通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、細長の挿入部を体腔内や管路内に挿入して、体腔内や管路内の被写体像をモニタで観察できる内視鏡装置が広く利用されている。このような内視鏡装置は、一般に、体腔内や管路内に挿入される挿入部を有する内視鏡と、光源装置やビデオプロセッサを有する本体装置とを有し、内視鏡と本体装置は、光源装置から内視鏡へ照明光を導くライトガイドケーブルと、内視鏡で得られる撮像信号をビデオプロセッサへ伝送する信号ケーブルとで接続されている。これにより、内視鏡の移動範囲が制限され、また、内視鏡の操作性が妨げられていた。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1では、LED(発光ダイオード)等で構成された照明装置が内視鏡に内蔵されることで、内視鏡から延出するライトガイドケーブルが取り除かれている。また、撮像信号に映像信号処理を施してモニタ表示可能な映像信号を得る映像信号処理回路と、この映像信号を電波で送信する送信回路とが内視鏡に設けられ、この電波を受信して映像信号を復調する受信装置が内視鏡と別体に設けられることで、内視鏡から延出する信号ケーブルが取り除かれている。このような内視鏡装置は、一般に、ワイヤレス内視鏡装置とも呼ばれ、内視鏡の移動範囲の制限が緩和され、操作性が向上するという長所を有する。
【0004】
従来のワイヤレス内視鏡装置では、受信装置が内視鏡と別体に設けられているため、受信装置に設定されている通信チャネルに合わせて、送信側の内視鏡の通信チャネルの設定を行い、無線通信での接続を行う必要がある。受信装置と内視鏡の組み合わせを一意に決定し、通信チャネルを予め任意のチャネルに固定的に設定する方法も考えられる。しかしながら、複数の受信装置および複数の内視鏡を使用している病院においては、内視鏡の消毒滅菌処理と検査が同時に進行されるため、受信装置と内視鏡の組み合わせが一意に決定されない。また、電波の干渉を防ぐために、受信装置の通信チャネルは各々異なる設定が必要となる。
【0005】
無線通信に使用される通信方式として、高速なデータ通信が可能な無線LANで使用されているIEEE802.11のような無線通信方式を使用することが有効である。この無線通信方式では、周波数帯域を有効に使用するために複数の通信チャネルから任意の通信チャネルを選択して無線通信を行えるようになっている。各々の通信チャネルは、使用可能な周波数帯域の制限により、図15に示されるように、使用する周波数帯域の一部が他の通信チャネルと重なりあうように配置されている。このため、内視鏡装置は、動作開始時に、使用可能な通信チャネルの使用状況を調査して、最適な通信チャネルを決定し、受信装置と内視鏡の無線通信を開始する。
【0006】
内視鏡装置が画像データの通信を行っている間、例えばPC等でのファイル転送の開始により、他の無線端末の通信データ量が急に増加するなど、通信開始時に決定された通信チャネルの使用状況がデータ通信中に変化した場合、通信チャネルのビジー状態が発生する確率が増加し、送信レートが低下するなど、送信に影響を与えることがあった。また、内視鏡装置が設置された場所に隣接した場所での電気メス等の使用によりバースト的な通信障害が発生し、画像ノイズが発生する問題があった。
【0007】
これに対して、特許文献2では、通信中に通信チャネルを変更することが可能な移動体通信装置が提案されている。この移動体通信装置は、スイッチ操作によって通信チャネルの切替指令が入力された場合、通信チャネル切替処理を実行して、データ通信に使用する通信チャネルを、基地局から新たに指定される通信チャネルに変更する。この結果、通信チャネルを自動で切り替えることができるだけでなく、操作者の意志によっても切り替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭60−4811号公報
【特許文献2】特開平7−50871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2では、バースト的な通信障害は検知できないため、基地局によって指定された通信チャネルに切り替えられても、良好な通信を行えない場合が発生する。周囲の無線機器による通信チャネルの使用状況等を操作者が認識している場合には、使用中の通信チャネルでバースト的な通信障害が発生しても、通信状態が良いと操作者自身が判断している通信チャネルに切り替えることで良好な通信を行えることがある。しかしながら、特許文献2では、操作者が通信チャネルの切替を指示することはできるが、新たな通信チャネルは基地局によって指定されるので、切替後の通信チャネルの選択に関して、操作者の意思は反映されない。したがって、通信状態が良いと操作者が判断している通信チャネルに必ずしも切り替えられるわけではない。
【0010】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、使用中の通信チャネルを、操作者が指定する通信チャネルに変更することができる無線画像通信システムおよび無線画像通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、画像データを無線で送信する送信機と、前記送信機から送信される画像データを受信する受信機と、を有する無線画像通信システムであって、前記送信機は、前記画像データの送信に係る前記受信機との無線通信で使用中の通信チャネルを、当該使用中の通信チャネルとは異なる所定の通信チャネルに変更する指示を操作者から受け付ける通信チャネル変更指示部と、前記指示に基づいて、前記所定の通信チャネルに関する情報を前記受信機に無線で送信する送信部と、を有し、前記受信機は、前記送信機から無線で送信された前記情報を受信する受信部と、前記送信機との無線通信で使用中の通信チャネルを、受信された前記情報が示す通信チャネルに変更する処理を行う無線通信制御部と、を有する無線画像通信システムである。
【0012】
また、本発明の無線画像通信システムにおいて、前記送信機は、前記通信チャネル変更指示部が前記指示を受け付けた場合、前記所定の通信チャネルが使用可能であるか否かを判定する判定部を更に有し、前記送信部は、前記所定の通信チャネルが使用可能であると判定された場合、前記情報を送信する。
【0013】
また、本発明の無線画像通信システムにおいて、前記送信機は、前記情報が示す通信チャネルが使用可能ではないと判定された場合、操作者に通信チャネルを変更できないことを報知する報知部を更に有する。
【0014】
また、本発明の無線画像通信システムにおいて、前記受信機は、受信された前記情報に基づいて、前記情報が示す通信チャネルが使用可能であるか否かを判定する判定部を更に有し、前記無線通信制御部は、前記情報が示す通信チャネルが使用可能であると判定された場合、前記送信機との無線通信で使用中の通信チャネルを、使用可能であると判定された通信チャネルに変更する処理を行う。
【0015】
また、本発明の無線画像通信システムにおいて、前記無線通信制御部は、前記情報が示す通信チャネルが使用可能ではないと判定された場合、前記使用中の通信チャネルの変更を禁止する。
【0016】
また、本発明は、外部端末から無線で送信される画像データを受信すると共に、当該画像データの受信中に、操作者によって指示された所定の通信チャネルに関する情報を前記外部端末から受信する受信部と、受信された前記情報に基づいて、前記情報が示す通信チャネルが使用可能であるか否かを判定する判定部と、前記情報が示す通信チャネルが使用可能であると判定された場合、前記送信機との無線通信で使用中の通信チャネルを、使用可能であると判定された通信チャネルに変更する処理を行う無線通信制御部と、を有する無線画像通信装置である。
【0017】
また、本発明の無線画像通信装置は、前記判定部が判定した結果を示す判定結果情報を前記外部端末へ送信する送信部を更に有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、使用中の通信チャネルを、操作者が指定する通信チャネルに変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による内視鏡装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施形態による内視鏡の外観図である。
【図3】本発明の一実施形態による内視鏡の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態による受信装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態による内視鏡の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態による内視鏡の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態による内視鏡の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態による内視鏡の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態による受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態による受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態による受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態における通信チャネル設定テーブルの内容を示す参考図である。
【図13】本発明の一実施形態における探索テーブルの内容を示す参考図である。
【図14】通信チャネルが使用する周波数帯域を示す参考図である。
【図15】通信チャネルが使用する周波数帯域を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。図1は、本実施形態による内視鏡装置(無線画像通信システム)の構成を示している。本内視鏡装置は、撮影した画像データを無線通信により送信する内視鏡100(送信機:画像送信装置)と、内視鏡100から送信された画像データを受信し、画像をモニタに表示する受信装置200(受信機:画像受信装置)とから構成されている。内視鏡100は、操作者が操作指示を入力するための複数のスイッチおよびLEDからなる操作部100aを備えている。受信装置200は、IDの設定状態を示す複数のLEDからなるID表示部201を備えている。
【0021】
図2は、内視鏡100を操作スイッチの配置面から見た状態を示している。内視鏡100の操作部100aは、電源スイッチ101、通信チャネル設定スイッチ102(通信チャネル変更指示部)、通信チャネル表示LED103、通信状態表示LED104(報知部)、ID設定スイッチ105を備えている。
【0022】
通信チャネル設定スイッチ102は、受信装置200との無線通信で使用中の通信チャネルを他の通信チャネルに変更する指示を操作者が入力するスイッチである。操作者が通信チャネル設定スイッチ102を1回押す毎に通信チャネルが切り替わる。通信チャネル表示LED103は、複数のLEDから構成され、それぞれのLEDに番号が付加されている。使用中の通信チャネルを操作者に報知するため、使用中の通信チャネルに対応する番号(後述するCH番号)と同一の番号が割り当てられたLEDが点灯する。通信状態表示LED104は受信装置200との接続状態を報知する。
【0023】
ID設定スイッチ105は、内視鏡100と通信を行う予定の受信装置200とのペアリングのためのIDを設定するスイッチである。複数のIDが用意されており、任意のIDを設定できる。図1には示されていないが、受信装置200側にもIDを設定するスイッチが設けられていて、内視鏡100に設定されたIDと同一のIDが設定されている受信装置200との間で接続が可能となる。
【0024】
図3は内視鏡100の電気的構成を示している。内視鏡100は、制御部301(判定部)、ROM302、RAM303、撮像部304、照明部305、無線通信回路部306(送信部)、アンテナ307、操作部308、電源回路部309から構成されている。
【0025】
制御部301は、ROM302に格納されているプログラムに従って動作し、内視鏡100の動作シーケンスを制御する。ROM302は、FlashROM等の不揮発メモリであり、内視鏡100の制御のためのプログラムデータ、通信設定パラメータ、および通信チャネル設定テーブルを含む各種設定情報がROM302に格納される。通信設定パラメータは、通信チャネル(周波数)、SSID(Service Set Identifier)、WEP(Wired Equivalent Privacy)等を含む。通信チャネル設定テーブルの内容については、後述する。
【0026】
RAM303は、撮像部304から出力される画像データを一時的にバッファリングするバッファ、制御部301の演算等に使用するワークエリア、各種設定等を一時的に格納するエリアとして使用される。
【0027】
撮像部304は、入射する光を結像するレンズ、結像した光を電気信号へ変換する光電変換器(CCDやCMOSセンサ等)、光電変換器から出力されるアナログ電気信号をデジタル電気信号へ変換するADコンバータ(アナログ−デジタル変換器)等から構成される。
【0028】
照明部305は、照射レンズ、LED、LED駆動回路等から構成され、内視鏡100の先端部100b(図1)に配置されている。LEDから発せられた光は、照射レンズを介して体腔内の被観察体に照射される。なお、先端部100bではなく、操作部100aの内部にLEDを配置し、ライトガイドで先端部100bに導光する構成としてもよい。
【0029】
無線通信回路部306は、無線通信に必要な高周波回路部、符号化・復号化回路部、バッファメモリ等から構成され、アンテナ307が接続されている。本実施形態では、無線通信方式の一例として、IEEE802.11を使用するものとする。受信装置200との無線通信を実施するためには、受信装置200に設定されている通信チャネル、SSID等と同一の通信チャネル、SSID等の設定を行うことが必要である。
【0030】
操作部308(図1の操作部100aに相当)は、図2に示した電源スイッチ101、通信チャネル設定スイッチ102、通信チャネル表示LED103、通信状態表示LED104、ID設定スイッチ105を有し、これらボタン、スイッチ等の状態および状態変化を電気信号として出力する。
【0031】
電源回路部309は、バッテリー、DC/DCコンバータ等で構成され、電源スイッチ101がオンされたことを検知して、前述した各ブロックへ電源を供給する。
【0032】
図4は受信装置200の電気的構成を示している。受信装置200は、制御部401(無線通信制御部、判定部)、ROM402、RAM403、無線通信回路部404(受信部、送信部)、アンテナ405、画像信号処理部406、モニタ407、操作部408から構成されている。
【0033】
制御部401は、ROM402に格納されているプログラムに従って動作し、受信装置200の動作シーケンスを制御する。ROM402は、FlashROM等の不揮発メモリであり、受信装置200の制御のためのプログラムデータ、通信設定パラメータを含む各種設定情報、通信チャネル設定テーブル、および探索テーブルがROM402に格納される。通信チャネル設定テーブルおよび探索テーブルの詳細については、後述する。
【0034】
RAM403は、無線通信回路部404で受信された画像データを一時的にバッファリングするバッファ、制御部401の演算等に使用するワークエリア、各種設定等を一時的に格納するエリアとして使用される。
【0035】
無線通信回路部404は、無線通信に必要な高周波回路部、符号化・復号化回路部、バッファメモリ等から構成され、アンテナ405が接続されている。無線通信回路部404は、内視鏡100の無線通信回路部306と同様に無線LANのプロトコルに従って無線通信を行う。
【0036】
画像信号処理部406は、無線通信回路部404で受信された画像データをNTSC信号またはPAL信号に変換し、モニタ407に出力する。モニタ407は、液晶表示装置およびその制御回路から構成され、画像の表示を行うと共に、無線接続の状態を報知する報知部として動作する。
【0037】
操作部408は、図1には示されていないが受信装置200の背面に搭載されたID設定スイッチを有し、ID設定スイッチの設定状態に応じたIDを示す信号を電気信号として出力する。また、操作部408には、ID設定スイッチで選択されたIDをLEDで表示するID表示部201(図1)が配置されている。
【0038】
図12は通信チャネル設定テーブルの内容を示している。通信チャネル設定テーブルでは、通信チャネル群を識別するCH番号(CH_NO)に対して通信チャネルの番号が関連付けられている。IEEE802.11では、複数の通信チャネルから任意の通信チャネルを選択して無線通信を行うことができる。各通信チャネルの中心周波数は5MHz離れているが、各通信チャネルが約20MHzの周波数帯域を使用するため、図15に示されるように、隣接する通信チャネル間で、使用する周波数帯域の重なりが発生する。
【0039】
本実施形態では、13個の通信チャネルが用意されており、それら13個の通信チャネルは、各CH番号に対応する3個の通信チャネル群の少なくともいずれかに属している。例えば、CH番号1には、通信チャネル1,2,3,4からなる通信チャネル群が対応し、CH番号2には、通信チャネル3,4,5,6,7,8,9からなる通信チャネル群が対応し、CH番号3には、通信チャネル8,9,10,11,12,13からなる通信チャネル群が対応している。
【0040】
各通信チャネル群に属する通信チャネルのうち1つの通信チャネルが、後述する論理接続に使用される。例えば、CH番号1に対応する通信チャネル群では通信チャネル1が論理接続に使用され、CH番号2に対応する通信チャネル群では通信チャネル6が論理接続に使用され、CH番号3に対応する通信チャネル群では通信チャネル11が論理接続に使用される。図14に示されるように、通信チャネル1,6,11の周波数帯域は重ならない。1つの通信チャネル群は、論理接続に使用される1つの通信チャネル(図12において通信チャネルと記載)と、この通信チャネルと使用周波数帯域が一部重複する通信チャネル(図12において隣接チャネルと記載)とからなる。
【0041】
上記をより一般化すると、少なくとも他の1つの通信チャネルと使用周波数帯域が部分的に重なるn(n>1)個の通信チャネルが用意され、L(1≦L<n)個の通信チャネルが属するx(1<x≦n)個の通信チャネル群が用意されている。本実施形態に示す例では、n=13、L=4(CH番号1),7(CH番号2),6(CH番号3)、x=3である。
【0042】
図13は探索テーブルの内容を示している。探索テーブルでは、各CH番号に対して、探索順と共に、各通信チャネル群に属する通信チャネルの番号が関連付けられている。通信チャネルの番号として0が格納されている探索順があるが、この0は、後述する探索フェーズの終了を判定するのに利用する値である。探索フェーズでは、探索順に従った順番で通信チャネルの使用状況が検出される。
【0043】
次に、本実施形態による内視鏡装置の動作を説明する。本実施形態では、操作者が、使用する受信装置200の電源を投入した後、使用する内視鏡100の電源を投入することを想定している。以下、図5〜図8に従って、内視鏡100の動作を説明する。操作者は、受信装置200のID表示部201が表示するIDに合わせて内視鏡100のID設定スイッチ105によりIDの設定を行った後、内視鏡100の電源を投入する。内視鏡100の電源が投入されると、制御部301は内視鏡100の各機能ブロックを初期化する(ステップS501)。続いて、制御部301は、CH番号を示すパラメータCH_NOを1に初期化する(ステップS502)。
【0044】
続いて、内視鏡100は、以下のようにして無線通信の物理接続を行う。物理接続では、物理層での接続で使用する無線周波数とSSIDが決定され、通信相手と送受信されるパケットをハードウェア上に取り込める状態となる。具体的には、内視鏡100は、無線通信端末の探索フェーズに移行する。探索フェーズに移行すると、制御部301は、通信チャネル設定テーブルにおいて、CH_NOによって指定される通信チャネル(通信チャネル1,6,11のいずれか)の番号を通信チャネル設定テーブルから読み出し、その番号の通信チャネルに対応した通信設定パラメータをROM302から読み出して無線通信回路部306に設定する(ステップS503)。電源投入後の初回動作時には、通信チャネル1に対応した通信設定パラメータが設定される。
【0045】
無線通信端末の探索では、探索要求パケットが送信され、探索要求パケットに対する探索要求応答パケットの受信が所定期間行われる。このために制御部301は無線通信回路部306に探索要求パケットをブロードキャストで送信させる(ステップS504)。
【0046】
制御部301は、探索要求パケットの送信後、他の無線通信端末からの探索要求パケットを受信したか否かを判定する(ステップS505)。探索要求パケットを受信した場合、制御部301は無線通信回路部306に探索要求パケットの送信元への探索要求応答パケットを送信させる(ステップS506)。本実施形態の探索要求応答パケットには、ID設定スイッチで設定されたIDが含まれている。また、探索要求パケットを受信していない場合、制御部301は、探索要求応答パケットを受信したか否かを判定する(ステップS507)。
【0047】
探索要求応答パケットを受信した場合、制御部301は、ID設定スイッチ105により設定されたIDと探索要求応答パケットに含まれるIDとを比較し、両者が一致するか否かを判定する(ステップS508)。後述するように、受信装置200は探索フェーズにおいて通信チャネルを順番に変更しながら各通信チャネルの使用状況を検出している。接続予定の受信装置200が、内視鏡100に設定されている通信チャネルと同一の通信チャネルを使用している場合、ID設定スイッチ105により設定されたIDと同一のIDを含む探索要求応答パケットが受信される。したがって、IDに基づく判定を行うことにより、接続予定の受信装置200が存在していることを確認することができる。ID設定スイッチ105により設定されたIDと探索要求応答パケットに含まれるIDとが一致している場合、処理はステップS512に進む。
【0048】
ステップS506で探索要求応答パケットを送信した場合、ステップS507で探索要求応答パケットを受信していない場合、およびステップS508でID設定スイッチ105により設定されたIDと探索要求応答パケットに含まれるIDとが一致していない場合、制御部301は、ステップS504で探索要求パケットを送信してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS509)。所定時間が経過していない場合、処理はステップS505に戻る。また、所定時間が経過した場合、制御部301は、CH_NOの値に1を加算し、値を更新する(ステップS510)。
【0049】
続いて、制御部301は、CH_NOの値が3を超えているか否かを判定する(ステップS511)。CH_NOの値が3を超えている場合、処理はステップS502に戻る。また、CH_NOの値が3を超えていない場合、処理はステップS503に戻る。
【0050】
一方、ステップS508でID設定スイッチ105により設定されたIDと探索要求応答パケットに含まれるIDとが一致している場合、内視鏡100は論理接続フェーズへ移行する。論理接続を確立するため、制御部301は無線通信回路部306に受信装置200へのMACアドレス要求パケットを送信させる(ステップS512)。MACアドレス要求パケットの送信後、制御部301は、受信装置200からのMACアドレス要求応答パケットを受信したか否かを判定する(ステップS513)。
【0051】
後述するように、受信装置200では、内視鏡100との画像データの通信に使用する通信チャネルとして、周囲の無線通信端末が使用している通信チャネルとは電波干渉が発生しにくい通信チャネルが選択される。この通信チャネルが選択された後、MACアドレス要求パケットが受信された場合、受信装置200はMACアドレス要求応答パケットを返す。内視鏡100と受信装置200に同一の通信チャネルが設定されている場合、受信装置200からのMACアドレス要求応答パケットが内視鏡100で受信される。
【0052】
MACアドレス要求応答パケットを受信した場合、論理接続が完了する。MACアドレス要求パケットおよびMACアドレス要求応答パケットの送受信により、内視鏡100と受信装置200の間でMACアドレスが交換される。論理接続が完了すると、物理接続された複数の通信端末の中で、特定の2つの無線通信端末、すなわち内視鏡100と受信装置200の組合せが確定した状態となり、内視鏡100が画像データを送信する宛先(MACアドレス)が確定する。
【0053】
続いて、制御部301は、操作者が設定しようとしている通信チャネルに対応するCH番号を示すパラメータSW_NOの値をCH_NOの値と同じ値に設定する(ステップS515)。続いて、無線通信回路部306は、受信装置200に対して画像データを送信する(ステップS516)。ステップS516では、1画面分の画像データ、または1画面を複数に分割した1ブロック分の画像データ等の任意の量の画像データが送信される。続いて、制御部301は、操作者によって通信チャネル設定スイッチ102が押されたか否かを判定する(ステップS517)。
【0054】
通信チャネル設定スイッチ102が押された場合、制御部301は、使用中の通信チャネルを他の通信チャネルに変更するための通信チャネル変更処理を行う(ステップS518)。通信チャネル変更処理の後、処理はステップS516に戻り、次の画像データが送信される。
【0055】
一方、ステップS517で通信チャネル設定スイッチ102が押されていない場合、処理はステップS516に戻り、次の画像データが送信される。
【0056】
図6および図7は、ステップS518における通信チャネル変更処理の詳細を示している。以下で説明するように、ステップS518では、操作者が設定しようとしている通信チャネルが使用可能であるか否かを調べるための処理が行われた後、通信チャネルが使用可能であれば、通信チャネルの変更が行われる。
【0057】
内視鏡100の電源が投入された後、内視鏡100が最初に受信装置200に接続したときの通信チャネルに対応するCH番号がSW_NOの初期値としてステップS515で設定される。後述するように、受信装置200は、電源の投入後、最も通信環境が良い通信チャネルを設定して接続待ちになるため、ステップS518の開始時点でのSW_NOの初期値は、最も通信環境が良い通信チャネルを示すことになる。
【0058】
まず、制御部301は、SW_NOの値に1を加算し、値を更新する(ステップS601)。続いて、制御部301は、SW_NOの値が3を超えているか否かを判定する(ステップS602)。SW_NOの値が3を超えていない場合、処理はステップS604に進む。また、SW_NOの値が3を超えている場合、制御部301はSW_NOの値を1に初期化する(ステップS603)。
【0059】
続いて、制御部301は、以降の制御に使用するパラメータ(CH_NO_TMP、CH_NO、TERM_NUM[CH_NO]、SCAN_NO)に値を設定する(ステップS604)。CH_NO_TMPは、CH_NOの値を一時的に保持するパラメータであり、CH_NOの値と同一の値がCH_NO_TMPの値に設定される。CH_NOは、前述したようにCH番号を示すパラメータであり、操作者が設定しようとしている通信チャネルに対応するCH番号を示すパラメータSW_NOの値と同一の値がCH_NOの値に設定される。TERM_NUM[CH_NO]は、所定の条件を満たす通信チャネルを使用する周囲の無線通信端末の数を格納するパラメータであり、その値は0となる。SCAN_NOは、探索テーブルにおける探索順を格納するパラメータであり、その値は1となる。
【0060】
続いて、内視鏡100は、通信チャネルの探索フェーズに移行する。探索フェーズに移行すると、制御部301は、CH_NOとSCAN_NOで指定される通信チャネル(CH番号がCH_NO、探索順がSCAN_NOの通信チャネル)の番号を探索テーブルから読み出し、その通信チャネルに対応した通信設定パラメータをROM302から読み出して無線通信回路部306に設定する(ステップS605)。通信チャネルの探索では、探索要求パケットが送信され、探索要求パケットに対する探索要求応答パケットの受信が所定期間行われる。このために制御部301は無線通信回路部306に探索要求パケットをブロードキャストで送信させる(ステップS606)。内視鏡100と同一の通信チャネルが設定されている無線通信端末は、内視鏡100から送信された探索要求パケットを受信し、探索要求応答パケットを送信する。
【0061】
制御部301は、探索要求パケットの送信後、他の無線通信端末からの探索要求パケットを受信したか否かを判定する(ステップS607)。探索要求パケットを受信した場合、制御部301は無線通信回路部306に探索要求パケットの送信元への探索要求応答パケットを送信させる(ステップS608)。前述したように、探索要求応答パケットには、ID設定スイッチで指定されるIDが含まれる。この後、処理はステップS607に戻る。また、探索要求パケットを受信していない場合、制御部301は、他の無線通信端末からの探索要求応答パケットを受信したか否かを判定する(ステップS609)。探索要求応答パケットを受信した場合、制御部301は、TERM_NUM[CH_NO]の値(チャネル探索情報)を更新する処理を実行する(ステップS610)。この後、処理はステップS607に戻る。また、探索要求応答パケットを受信していない場合、処理はステップS611に進む。
【0062】
図8は、ステップS610の詳細を示している。制御部301は、SCAN_NOの値が1であるか否かを判定する(ステップS610a)。SCAN_NOの値が1であった場合、処理はステップS610cに進む。また、SCNA_NOの値が1でなかった場合、制御部301は、探索要求応答パケットのフレームの受信レベル(受信信号強度)が所定レベル以上であるか否かを判定する(ステップS610b)。フレームの受信レベルが所定レベル以上であった場合、処理はステップS610cに進む。また、フレームの受信レベルが所定レベル未満であった場合、処理はステップS607に戻る。処理がステップS610cに進んだ場合、制御部301は、TERM_NUM[CH_NO]の値に1を加算し、値を更新する(ステップS610c)。ステップS610cの処理の後、処理はステップS607に戻る。
【0063】
TERM_NUM[CH_NO]の値は、通信チャネル1,6,11のいずれかと同一の通信チャネルを使用している、または通信チャネル1,6,11のいずれかと使用周波数帯域が重複する通信チャネルを使用している周囲の無線通信端末の数を示している。ステップS610aにおいて、SCAN_NOの値が1であった場合、通信チャネル1,6,11のいずれかと同一の通信チャネルを他の無線通信端末が使用している。また、ステップS610bにおいて、フレームの受信レベルが所定レベル以上であった場合、通信チャネル1,6,11のいずれかと使用周波数帯域が重複する通信チャネルを他の無線通信端末が使用している。本実施形態では、各々の隣接チャネルにおいてフレームの受信レベルの閾値として共通の閾値を設定しているが、隣接チャネル毎に所定の受信レベルの閾値を設定してもよい。
【0064】
処理がステップS611に進んだ場合、制御部301は、ステップS606で探索要求パケットを送信してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS611)。所定時間が経過していない場合、処理はステップS607に戻る。また、所定時間が経過した場合、制御部301は、SCAN_NOの値に1を加算し、値を更新する(ステップS612)。
【0065】
続いて、制御部301は、CH_NOと更新後のSCAN_NOで指定される通信チャネル(CH番号がCH_NO、探索順がSCAN_NOの通信チャネル)の番号を探索テーブルから読み出し、その番号が0であるか否かを判定する(ステップS613)。CH_NOと更新後のSCAN_NOで指定される通信チャネルの番号が0でなかった場合、処理はステップS605に戻る。
【0066】
CH_NOと更新後のSCAN_NOで指定される通信チャネルの番号が0であった場合、制御部301は、CH番号によって指定される、変更予定の通信チャネル(通信チャネル1,6,11のいずれかとなる)が使用可能であるか否かを判定する(ステップS614)。本実施形態では、図8のステップS610で集計された無線端末数(TERM_NUM[CH_NO])が所定の閾値未満である場合に、制御部301は、通信チャネルが使用可能であると判断する。
【0067】
通信チャネルが使用可能であると判断した場合、制御部301は、無線通信回路部306に接続中の受信装置200へのCH変更要求を送信させる(ステップS615)。このCH変更要求には、使用可能であると判断された通信チャネルのCH番号を示すCH_NOの値が含まれる。CH変更要求の送信によって、操作者が設定しようとしている通信チャネルの情報が接続中の受信装置200へ送信されることになる。
【0068】
続いて、制御部301は、通信チャネルの変更が可能(OK)であることを示すCH変更要求応答を受信したか否かを判定する(ステップS616)。通信チャネルの変更が可能(OK)であることを示すCH変更要求応答を受信した場合、使用者が設定しようとしている通信チャネルが内視鏡100と受信装置200の両方で使用可能であることが確認されたことになる。この場合、制御部301は、通信チャネル設定テーブルにおいて、CH_NOによって指定される通信チャネル(通信チャネル1,6,11のいずれか)の番号を通信チャネル設定テーブルから読み出し、その番号の通信チャネルに対応した通信設定パラメータをROM302から読み出して無線通信回路部306に設定する(ステップS619)。続いて、処理はステップS516に戻る。これによって、使用者が通信チャネル設定スイッチ102の操作によって指定した通信チャネルが設定され、画像データの通信が行われる。
【0069】
ステップS614で通信チャネルが使用可能でないと判断された場合、およびステップS616で通信チャネルの変更が可能(OK)であることを示すCH変更要求応答を受信していない場合、制御部301は、通信状態表示LED104の状態をエラー表示状態とする。これによって、通信チャネルを変更できないことが操作者に報知される。
【0070】
続いて、制御部301は、CH_NOの値をCH_NO_TMPの値と同一の値に設定する(ステップS618)。続いて、処理はステップS619に進み、CH_NOによって指定される通信チャネルに対応した通信設定パラメータが無線通信回路部306に設定される。すなわち、通信チャネルの変更は行われず、ステップS503で設定された通信チャネルと同一の通信チャネルの設定が継続される。このように、操作者が設定しようとしている通信チャネルが使用可能でない場合、その通信チャネルへの変更は禁止されるようになっている。
【0071】
次に、図9〜図10に従って、受信装置200の動作を説明する。操作者は、受信装置200のID設定スイッチによりIDの設定を行った後、受信装置200の電源を投入する。受信装置200の電源が投入されると、制御部401は受信装置200の各機能ブロックを初期化する(ステップS701)。
【0072】
続いて、制御部401は、以降の制御に使用するパラメータCH_NOを初期化し(ステップS702)、続いてパラメータTERM_NUM[]、SCAN_NOを初期化する(ステップS703)。CH_NOは、前述したようにCH番号を示すパラメータであり、初期化時にはCH_NOの値は1となる。TERM_NUM[CH_NO]は、所定の条件を満たす通信チャネルを使用する周囲の無線通信端末の数を格納するパラメータであり、その値は0となる。
【0073】
続いて、受信装置200は、無線通信の物理接続を行う。具体的には、受信装置200は、通信チャネルの探索フェーズに移行する。探索フェーズに移行すると、制御部401は、CH_NOとSCAN_NOで指定される通信チャネル(CH番号がCH_NO、探索順がSCAN_NOの通信チャネル)の番号を探索テーブルから読み出し、その通信チャネルに対応した通信設定パラメータをROM402から読み出して無線通信回路部404に設定する(ステップS704)。通信チャネルの探索では、探索要求パケットが送信され、探索要求パケットに対する探索要求応答パケットの受信が所定期間行われる。このために制御部401は無線通信回路部404に探索要求パケットをブロードキャストで送信させる(ステップS705)。受信装置200と同一の通信チャネルが設定されている無線通信端末は、受信装置200から送信された探索要求パケットを受信し、探索要求応答パケットを送信する。
【0074】
制御部401は、探索要求パケットの送信後、他の無線通信端末からの探索要求パケットを受信したか否かを判定する(ステップS706)。探索要求パケットを受信した場合、制御部401は無線通信回路部404に探索要求パケットの送信元への探索要求応答パケットを送信させる(ステップS707)。前述したように、探索要求応答パケットには、ID設定スイッチで指定されるIDが含まれる。この後、処理はステップS710に進む。また、探索要求パケットを受信していない場合、制御部401は、他の無線通信端末からの探索要求応答パケットを受信したか否かを判定する(ステップS708)。探索要求応答パケットを受信した場合、制御部401は、TERM_NUM[CH_NO]の値(チャネル探索情報)を更新する処理を実行する(ステップS709)。この後、処理はステップS710に進む。また、探索要求応答パケットを受信していない場合、処理はステップS710に進む。
【0075】
ステップS709の処理は、図8に示した処理と同様であるので、説明を省略する。処理がステップS710に進んだ場合、制御部401は、ステップS705で探索要求パケットを送信してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS710)。所定時間が経過していない場合、処理はステップS706に戻る。また、所定時間が経過した場合、制御部401は、SCAN_NOの値に1を加算し、値を更新する(ステップS711)。
【0076】
続いて、制御部401は、CH_NOと更新後のSCAN_NOで指定される通信チャネル(CH番号がCH_NO、探索順がSCAN_NOの通信チャネル)の番号を探索テーブルから読み出し、その番号が0であるか否かを判定する(ステップS712)。CH_NOと更新後のSCAN_NOで指定される通信チャネルの番号が0でなかった場合、処理はステップS703に戻る。また、CH_NOと更新後のSCAN_NOで指定される通信チャネルの番号が0であった場合、制御部401は、CH_NOの値に1を加算し、値を更新する(ステップS713)。
【0077】
続いて、制御部401は、CH_NOの値が3を超えているか否かを判定する(ステップS714)。CH_NOの値が3を超えていない場合、処理はステップS703に戻る。また、CH_NOの値が3を超えている場合、制御部401は、TERM_NUM[CH_NO]の値に基づいて、使用する通信チャネルを決定する。具体的には、制御部401は、ステップS709で集計された無線通信端末数(TERM_NUM[1]、TERM_NUM[2]、TERM_NUM[3])を比較し、最も小さい無線通信端末数に対応した通信チャネルを、論理接続で使用する通信チャネルとして決定する(ステップS715)。
【0078】
具体的には、TERM_NUM[1]が最も小さい場合、CH番号1に対応した通信チャネル1が選択され、TERM_NUM[2]が最も小さい場合、CH番号2に対応した通信チャネル6が選択され、TERM_NUM[3]が最も小さい場合、CH番号3に対応した通信チャネル11が選択される。このように、TERM_NUM[CH_NO](CH_NO=1,2,3)の最小値に対応する通信チャネルを使用することによって、通信状態の最も良好な通信チャネルを選択することができる。通信チャネルの決定後、制御部401は、決定した通信チャネルに対応した通信設定パラメータをROM402から読み出して無線通信回路部404に設定する(ステップS716)。
【0079】
続いて、受信装置200は論理接続フェーズへ移行する。制御部401は、他の無線通信端末からの探索要求パケットを受信したか否かを判定する(ステップS717)。探索要求パケットを受信した場合、制御部401は無線通信回路部404に探索要求パケットの送信元への探索要求応答パケットを送信させる(ステップS718)。この後、処理はステップS717に戻る。また、探索要求パケットを受信していない場合、制御部401は、内視鏡100からのMACアドレス要求パケットを受信したか否かを判定する(ステップS719)。
【0080】
MACアドレス要求パケットを受信していない場合、処理はステップS717に戻る。また、MACアドレス要求パケットを受信した場合、制御部401は無線通信回路部404に内視鏡100へのMACアドレス要求応答パケットを送信させる(ステップS720)。続いて、制御部401は、画像データを受信したか否かを判定する(ステップS721)。無線通信回路部404は、画像データを受信した場合、制御部401に画像データの受信を通知する。
【0081】
画像データを受信した場合、制御部401は無線通信回路部404に内視鏡100へのACKを送信させる(ステップS722)。ACKの送信後、画像信号処理部406は、受信された画像データを処理し、モニタ407へ出力する。モニタ407は、画像データに基づく画像を表示する(ステップS723)。続いて、処理はステップS721に戻る。
【0082】
一方、画像データを受信していない場合、制御部401は、内視鏡100からのCH変更要求を受信したか否かを判定する(ステップS724)。CH変更要求を受信した場合、制御部401は、使用中の通信チャネルを、CH変更要求に基づく他の通信チャネルに変更するための通信チャネル変更処理を行う(ステップS725)。続いて、処理はステップS721に戻る。また、CH変更要求を受信していない場合、処理はステップS721に戻る。
【0083】
図11は、ステップS725の詳細を示している。制御部401は、以降の制御に使用するパラメータ(CH_NO_TMP、CH_NO、TERM_NUM[CH_NO]、SCAN_NO)を初期化する(ステップS801)。CH_NO_TMPは、CH_NOの値を一時的に保持するパラメータであり、CH_NOの値と同一の値がCH_NO_TMPの値に設定される。CH_NOは、前述したようにCH番号を示すパラメータであり、CH変更要求に含まれるCH番号の値と同一の値がCH_NOの値に設定される。TERM_NUM[CH_NO]は、所定の条件を満たす通信チャネルを使用する周囲の無線通信端末の数を格納するパラメータであり、その値は0となる。SCAN_NOは、探索テーブルにおける探索順を格納するパラメータであり、その値は1となる。
【0084】
ステップS801の処理に続いて行われるステップS802〜S810の処理はステップS704〜S712の処理と同様であるので、説明を省略する。ステップS810でCH_NOと更新後のSCAN_NOで指定される通信チャネルの番号が0であった場合、制御部401は、CH変更要求によって指示されるCH番号(CH_NO)に対応する通信チャネル(通信チャネル1,6,11のいずれかとなる)が使用可能であるか否かを判定する(ステップS813)。本実施形態では、ステップS807で集計された無線端末数(TERM_NUM[CH_NO])が所定の閾値未満である場合に、制御部401は、通信チャネルが使用可能であると判断する。
【0085】
通信チャネルが使用可能であると判断した場合、制御部401は、無線通信回路部404に対して、通信チャネルの変更が可能であることを示すCH変更要求応答を接続中の内視鏡100へ送信させる(ステップS816)。続いて、制御部401は、通信チャネル設定テーブルにおいて、CH_NOによって指定される通信チャネル(通信チャネル1,6,11のいずれか)の番号を通信チャネル設定テーブルから読み出し、その番号の通信チャネルに対応した通信設定パラメータをROM402から読み出して無線通信回路部404に設定する(ステップS817)。続いて、処理はステップS721に戻る。これによって、使用者が通信チャネル設定スイッチ102の操作によって指定した通信チャネルが設定され、画像データの通信が行われる。
【0086】
ステップS813で通信チャネルが使用可能でないと判断した場合、制御部401は、無線通信回路部404に対して、通信チャネルの変更が可能でないことを示すCH変更要求応答を接続中の内視鏡100へ送信させる(ステップS814)。続いて、制御部401は、CH_NOの値をCH_NO_TMPの値と同一の値に設定する(ステップS815)。続いて、処理はステップS817に進み、CH_NOによって指定される通信チャネルに対応した通信設定パラメータが無線通信回路部404に設定される。すなわち、通信チャネルの変更は行われず、ステップS802で設定された通信チャネルと同一の通信チャネルの設定が継続される。このように、操作者が設定しようとしている通信チャネルが使用可能でない場合、その通信チャネルへの変更は禁止されるようになっている。
【0087】
上記の動作では、初回動作時に制御部401は、CH番号(CH_NO)で指定される通信チャネル群を選択している(ステップS704)。また、制御部401は、その通信チャネル群に属する通信チャネル1,6,11のいずれかと同一の通信チャネルを使用している、または通信チャネル1,6,11のいずれかと使用周波数帯域が重複する通信チャネルを使用している周囲の無線通信端末の数を通信チャネルの使用状況として検出している(ステップS705〜S714)。さらに、制御部401は、通信チャネルの使用状況の検出結果に基づいて、論理接続で使用する通信チャネルを決定している(ステップS715)。
【0088】
このように、通信チャネル群に属する通信チャネルのみの使用状況を検出することによって、初回動作時に通信状態の良好な通信チャネルを効率良く選択することができる。また、ステップS715では、周囲の無線通信端末が使用している通信チャネルとは電波干渉が発生しにくい通信チャネルが選択されるので、通信エラーの発生を低減することができる。
【0089】
上述したように、本実施形態によれば、内視鏡100と受信装置200が無線通信に使用している通信チャネルを、操作者が指定する通信チャネルに変更することができる。
【0090】
また、内視鏡100と受信装置200において、変更予定の通信チャネルの使用状況を確認することによって、他の無線通信装置との無線帯域の競合を防止することができる。変更予定の通信チャネルの使用状況を確認する処理を内視鏡100と受信装置200の一方のみで行ってもよいが、内視鏡100と受信装置200の位置の違いによる通信チャネルの使用状況の違いが発生しうるため、内視鏡100と受信装置200の両方でこの処理を行うことがより望ましい。
【0091】
また、変更予定の通信チャネルが使用可能ではないと判定された場合、使用中の通信チャネルの変更を禁止することによって、他の無線通信装置との無線帯域の競合を防止することができる。
【0092】
また、使用可能ではないと判定された場合、操作者に通信チャネルを変更できないことを報知することによって、操作者に別の通信チャネルへの変更を促すことができる。
【0093】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0094】
100・・・内視鏡、101・・・電源スイッチ、102・・・通信チャネル設定スイッチ、103・・・通信チャネル表示LED、104・・・通信状態表示LED、105・・・ID設定スイッチ、200・・・受信装置、201・・・ID表示部、301,401・・・制御部、302,402・・・ROM、303,403・・・RAM、304・・・撮像部、305・・・照明部、306,404・・・無線通信回路部、307,405・・・アンテナ、308,408・・・操作部、406・・・画像信号処理部、407・・・モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを無線で送信する送信機と、前記送信機から送信される画像データを受信する受信機と、を有する無線画像通信システムであって、
前記送信機は、
前記画像データの送信に係る前記受信機との無線通信で使用中の通信チャネルを、等外使用中の通信チャネルとは異なる所定の通信チャネルに変更する指示を操作者から受け付ける通信チャネル変更指示部と、
前記指示に基づいて、前記所定の通信チャネルに関する情報を前記受信機に無線で送信する送信部と、
を有し、
前記受信機は、
前記送信機から無線で送信された前記情報を受信する受信部と、
前記送信機との無線通信で使用中の通信チャネルを、受信された前記情報が示す通信チャネルに変更する処理を行う無線通信制御部と、
を有する無線画像通信システム。
【請求項2】
前記送信機は、
前記通信チャネル変更指示部が前記指示を受け付けた場合、前記所定の通信チャネルが使用可能であるか否かを判定する判定部を更に有し、
前記送信部は、前記所定の通信チャネルが使用可能であると判定された場合、前記情報を送信する請求項1に記載の無線画像通信システム。
【請求項3】
前記送信機は、前記情報が示す通信チャネルが使用可能ではないと判定された場合、操作者に通信チャネルを変更できないことを報知する報知部を更に有する請求項2に記載の無線画像通信システム。
【請求項4】
前記受信機は、
受信された前記情報に基づいて、前記情報が示す通信チャネルが使用可能であるか否かを判定する判定部を更に有し、
前記無線通信制御部は、前記情報が示す通信チャネルが使用可能であると判定された場合、前記送信機との無線通信で使用中の通信チャネルを、使用可能であると判定された通信チャネルに変更する処理を行う請求項1に記載の無線画像通信システム。
【請求項5】
前記無線通信制御部は、前記情報が示す通信チャネルが使用可能ではないと判定された場合、前記使用中の通信チャネルの変更を禁止する請求項4に記載の無線画像通信システム。
【請求項6】
外部端末から無線で送信される画像データを受信すると共に、当該画像データの受信中に、操作者によって指示された所定の通信チャネルに関する情報を前記外部端末から受信する受信部と、
受信された前記情報に基づいて、前記情報が示す通信チャネルが使用可能であるか否かを判定する判定部と、
前記情報が示す通信チャネルが使用可能であると判定された場合、前記送信機との無線通信で使用中の通信チャネルを、使用可能であると判定された通信チャネルに変更する処理を行う無線通信制御部と、
を有する無線画像通信装置。
【請求項7】
前記判定部が判定した結果を示す判定結果情報を前記外部端末へ送信する送信部を更に有する請求項6に記載の無線画像通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−34744(P2012−34744A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175485(P2010−175485)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】