説明

照明システム

【課題】各使用者がデスク上で使用する情報処理端末を利用して、使用者の好みの照明条件を、使用者が任意に選択するデスクの照明機器に反映させる。
【解決手段】
複数のデスクに設置されるデスク端末と、上記デスク端末にそれぞれ接続される複数の照明機器と、少なくとも一つの情報処理端末と、上記デスク端末へネットワークを介して接続されたサーバとでフリーデスク照明システムが構成される。デスクで使用される情報処理端末は、デスクの使用者を特定する個人識別コードと、デスクの照明機器を特定する端末識別コードの入力を受けて、これをサーバへ問い合わせるように構成される。サーバは個人識別コードに対応させた照明条件を保持する照明制御テーブルを備え、問い合わせに含まれる端末識別コードで特定されるデスク端末へ、個人識別コードに対応する照明条件を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の好みの色調や輝度に照明機器を調整する照明システム、更に詳しくは、使用者が任意に選択するデスクの照明機器の光出力を、自身が用いる情報処理端末を利用して、自身の好みに適合させる照明システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数ある共有デスクの任意のデスクを使用する際に、使用者の嗜好の照明条件でデスクに備えた照明機器を動作させるシステムを開示している。このシステムでは、使用者を特定する識別コードを記録しているICタグを使用し、使用者が携行するICタグのデータを読み取るタグリーダが各デスクに配備され、使用者が個人のICタグを、タグリーダにかざすことにより、タグリーダが読み取った個人識別コードに、このタグリーダのアドレスを加えた問い合わせをサーバへ送信する。サーバは、個人識別コードに対応させて照明条件を記憶するテーブルを備え、問い合わせに含まれる個人識別コードから特定の照明条件を読み出して、送信元のタグリーダへ照明条件を示す照明制御信号を送り出す。これによって、送信元のタグリーダが備えられたデスクの照明機器がこのデスクを使用する使用者の好みに応じて調整されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-151341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示される照明システムでは、使用者の個人識別コードが記録されたICタグを読み取るためのタグリーダといった個人認証を行うための特別なハードウェアが各デスクに必要であり、このハードウェアがシステム全体のコストを高くする要因となっている。また、使用者が任意のデスクを使用するフリーデスクの環境においては、使用者の情報処理端末が任意のデスクに持ち込んで使用され、各情報処理端末はLAN環境で使用されることが前提であることを考慮すると、この情報処理端末の通信機能を利用して、個人識別コード及びデスクに配備される照明機器を特定するアドレスを含む問い合わせ信号をサーバに送信することで、コストメリットの高いシステムを構築する上で有用である。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、複数の使用者で共通に使用するように用意された照明機器付きのデスクが利用できる環境において、人体検知センサを使用して各デスクでの照明機器のオン・オフ制御を行うと共に、照明機器と人体検知センサとをアドレスで管理し、使用者がデスク上に持ち込んで利用する情報処理端末を利用して使用者の個人識別コードと、照明機器のアドレスを特定して、使用者の好みの照明条件を、使用者が任意に選択するデスクの照明機器に反映させることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るフリーデスク照明システムは、複数のデスクに設置されるデスク端末と、
複数のデスクに備えられると共にそれぞれ上記デスク端末に接続される複数の照明機器と、少なくとも一つの情報処理端末と、上記デスク端末とネットワークを介して接続された情報処理端末よりなるサーバとを備える。
【0007】
上記のデスク端末は固有の端末識別コードを有すると共にデスクコントローラを備え、
上記のデスク端末は人体検知センサを有し、この人体検知センサは対応するデスクを利用する使用者の存在を認識した時に人体検出信号を出力するように構成される。
【0008】
上記デスクコントローラは人体検出信号を上記照明機器へ送信するように構成される。
【0009】
上記の照明機器は、人体検出信号を受けた時に点灯されるように構成される。
上記の少なくとも一つの情報処理端末はこの情報処理端末を使用する使用者を特定する個人識別コード及び上記の端末識別コードを入力する手段と、入力された個人識別コードと端末識別コードを含む問い合わせを上記サーバへ送信する手段を備える。
【0010】
上記サーバは、上記の照明器具の色調や輝度等を規定する照明パラメータを使用者識別コードにそれぞれ対応させて保持する照明制御テーブルを備える。
【0011】
上記サーバはサーバコントローラを有し、このサーバコントローラは上記問い合わせを受けた時に、ここに含まれる個人識別コードに合致する照明パラメータを上記照明制御テーブルから読み出し、問い合わせに含まれる端末識別コードで特定されるデスク端末へ、この照明パラメータを送信するように構成される。
【0012】
上記デスクコントローラは上記サーバから受信した照明パラメータに基づいて対応する上記照明機器の光出力を調整する制御信号を照明機器へ出力するように構成される。
【0013】
以上の構成を有する本発明のフリーデスク照明システムでは、使用者がデスクに着座した時にこのデスクの照明機器を点灯させ、次に使用者の情報処理端末で使用者を特定する個人識別コードとこのデスク、すなわち照明機器を特定する端末識別コードを入力することにより、これらのデータがサーバに送信され、サーバでこの使用者の好みに対応する照明パラメータが読み出され、この照明パラメータで照明機器の光出力が調整できる。すなわち、デスク端末は、人体検知による照明機器を点灯させる機能に加えて、個人について設定されている照明パラメータをサーバから受け取り、これに基づいて照明機器を制御する機能を有する。また、デスク上で使用する個人の情報処理端末を利用して、個人識別コードと、照明機器を特定する端末識別コードをサーバに送信することができるため、個人認証を行うために、例えば、顔認証や指紋認証のような装置を使用することを必要とせずに、デスクを替えても使用する使用者の好みの照明環境を再現できる。
【0014】
上記の情報処理端末には、照明パラメータの設定を行うと共に、この照明パラメータと個人識別コードとを含む設定情報を上記サーバへ送信する設定手段を備えることが好ましい。この場合、サーバは上記設定情報を受信した時に、この設定情報に含まれる個人識別コードと照明パラメータとを関連づけて上記照明制御テーブルに記憶するように構成される。この構成により、使用者は自身が使用する情報処理端末を使用して、好みの照明条件をサーバに記憶させることができ、何時でも、どのデスクからでも、照明条件を変更することができる。
【0015】
本発明のフリーデスク照明システムでは、照明機器がデスク端末からの人体検出信号が途切れた時に、電源をオフするように構成されることが好ましい。この場合、デスク端末は、サーバから受信した照明パラメータを保持するメモリに加えて、人体検出信号が途切れた時から次に人体検出信号が発生する迄の休止時間を監視するタイマーモジュールを備える。更に、デスクコントローラは、この休止時間が所定の時間よりも短い時に、メモリから照明パラメータを読み出して、これに基づいた制御信号で上記照明機器を制御するように構成される。
【0016】
従って、使用者が一時的にデスクを離れて戻ってきた場合は、一旦照明機器がオフされるものの、再度点灯する時は、直前の照明条件が反映され、引き続いて同じ照明環境が維持されるという利点がある。
【0017】
本発明の好ましい実施形態においては、サーバにデスクがどのエリアにあるのかを表すデスク管理テーブルが備えられる。この場合、サーバコントローラは、エリア毎に予め規定されたタイムスケジュールに基づいて、各デスクに備えられた照明機器を消灯するように構成された強制オフモジュールを備える。このため、異なる照明管理がなされる複数のエリアにデスクが配置されている場合、エリア毎に決められた所定の照明管理のタイムスケジュールに従って、デスクの照明を強制的にオフすることができる。
【0018】
これに関連して、サーバはタイムスケジュールをエリアに対応させて保持するタイムテーブルを備え、更に、このタイムテーブル中の任意のタイムスケジュールを変更するための変更手段を備える構成が望ましい。これにより、エリア毎の照明管理がサーバ側で容易に行える。
【0019】
更に、本発明のフリーデスク照明システムでは、個人が使用するデスクの照明機器の消費電力を、希望する期間毎に、容易に確認できる機能が付加されることが好ましい。この場合、情報処理端末は、個人識別コードと算出期間とを含む電力問い合わせをサーバへ送信する手段と、電力消費量を表示する表示手段を備える。一方、サーバは、各照明機器に関してその使用時間とこれを使用する使用者を特定する個人識別コードを保持するデスク使用履歴テーブルを備えるように構成される。サーバコントローラは電力計算モジュールを備え、この電力計算モジュールは、個人識別コード毎あるいは所属コード毎に、任意の算出期間に亘る照明機器の使用時間の積算値を使用履歴テーブルから読み出し、この積算値から電力消費量を算出するように構成される。電力計算モジュールは、電力問い合わせを受けると、サーバで受信した電力問い合わせに含まれる個人識別コードと算出期間に該当する電力消費量を情報処理端末へ送信して、情報処理端末の表示手段に表示させる。従って、デスク上で使用する情報処理端末を利用して、何時でも、希望する期間に亘って、個人が使用した照明機器の消費電力を確認することができる。
【発明の効果】
【0020】
複数の使用者で共通に使用するように用意された照明機器付きのデスクが利用できる環境において、人体検知センサに基づく照明機器のオンオフ制御により、省エネルギーを達成すると共に、使用者がデスク上に持ち込んで利用する情報処理端末の通信機能を利用して、個人識別コードと照明機器のアドレスを含む問い合わせをサーバに送信することができ、個人認証を行うための別途の認証装置を各デスクに設けることなく、使用者が任意に選択するデスクの照明機器に使用者の好みの照明環境を再現することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る照明システムを示す概略図。
【図2】同上の照明システムにおけるデスクのレイアウトの一例を示す平面図。
【図3】同上の照明システムで使用するデスク端末、照明機器、情報処理端末、サーバの内部構成を示すブロック図。
【図4】(A)(B)(C)は 同上の情報処理端末のディスプレイ上に表示される各種のウィンドウフォームを示す説明図。
【図5】同上のサーバ内に保持されるテーブルのデータ構造を示す説明図
【図6】同上のシステムの動作を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の照明システムは、複数の使用者で共通に使用するように用意された照明機器付きのデスクが利用できる環境において、使用者が利用する情報処理端末、所謂パーソナル情報処理端末を利用して、使用者の好みの照明条件を、使用者が任意に選択するデスクの照明機器に反映させることを可能とするシステムである。特に、本発明の照明システムは、事業所の従業員がフリーデスクで、従業員が携行する可搬型のパーソナル情報処理端末が利用できる事業所環境に適用される。
【0023】
本発明の照明システムは、図1〜2に示すように、複数のデスク10に其々配備されるデスク端末20と、複数のデスクに其々配備される照明機器40と、任意のデスクで使用される少なくとも一つの情報処理端末としてのパーソナル情報処理端末60と、情報処理端末で構成されるサーバ80を備える。
【0024】
各デスク端末20は、例えば、事業所内に設けられたローカルエリアネットワーク(LAN)によって、サーバ80と接続され、自己を識別する端末識別コード(IPアドレス)を有する。このデスク端末20は、内部にデスクコントローラ24を備え、所定のプログラムを実行するインテリジェント端末であり、人体検知センサ22が一体化されたモジュールとして提供される。人体検知センサ22は、デスク10に着座する使用者を検知するように構成される。各デスクに備え付けられる照明機器40は、同じデスクのデスク端末20と接続され、デスク端末20の端末識別コードによって、そのアドレスがサーバ80によって一意に識別される。
【0025】
図3に示すように、各デスク端末は、デスクコントローラ24、メモリ28、LANインターフェース29、機器インターフェース30を備える。デスクコントローラ24は、人体検知センサから所定時間継続して使用者の検知したことを示す出力を受けた時に、信号処理・通信処理27によって人体検出信号を作り出す。この人体検出信号は照明機器40を初期設定値でオンさせるためのものであり、機器インターフェース30と機器インターフェース49を介して照明機器40の照明コントローラ42へ送信される。照明機器40は、例えばLED照明具44と照明コントローラ42とで構成されており、照明コントローラ42は、初期設定値、例えば、色調が「白」で輝度が定格値の80%で、LED照明具44から光を出力する。メモリ28は、端末識別コードに加えて後述する照明パラメータを保持するために用意され、照明パラメータはデスクコントローラ24によって更新される。
【0026】
同図に示すように、使用者が利用する情報処理端末60としては、LAN通信インターフェース62及びキーボードやマウスなどのデータ入力手段66を備えた可搬型の情報処理端末が使用され、ここで実行されるアプリケーションプログラムによって、問い合わせ・設定モジュール64が作成される。この問い合わせ・設定モジュール64は、図4Aに示すように、使用者を特定する個人識別コードとデスク端末の入力を促すウィンドウフォームを、情報処理端末60のディスプレイ上に作成し、使用者によって個人識別コードと端末識別コードが入力されると、問い合わせ・設定モジュール64が個人識別コードと端末識別コードを含む問い合わせをサーバ80へ送信する。
【0027】
サーバ80は、デスク端末20からの光出力の色調や輝度の照明パラメータを保持するために用意され、記憶ユニット90、サーバコントローラ82に加えて、各デスク端末20及び情報処理端末60との間でデータ通信を行うためのLAN通信インターフェース89を備える。
【0028】
図5に示すように、記憶ユニット90には、個人識別コードに関連させて任意の照明パラメータを保持する照明制御テーブル92に加えて、デスクがどの使用者によって何時、どのくらいの時間使用されたかを記録するデスク使用履歴テーブル93、デスクが事業所内のどのエリアに配置されているかを示すデスク管理テーブル94、各エリアでの照明機器の消灯時間のデータを示すタイムテーブル95が設けられている。
【0029】
サーバコントローラ82は、LAN回線を介して情報処理端末60からの問い合わせを受けると、この問い合わせに含まれる個人識別コードに合致する照明パラメータを、照明制御テーブル92から読み出し、問い合わせに含まれる端末識別コードで特定されるデスク端末20へ、照明パラメータを返信する。この照明パラメータは、デスク端末20のメモリ28に保持され、デスクコントローラ24は、この照明パラメータを含む制御信号を作成して照明機器40の照明コントローラ42に送信する。この結果、LED照明具44は照明パラメータによって特定された固有の色調と輝度の光を出力する。
【0030】
各情報処理端末60で設定変更する際には、図4に示すように、使用者によって輝度や色調をそれぞれ規定の値から選択できるようになっており、選択した値が変更される毎に、問い合わせ・設定モジュール64はその値を示す制御信号をLAN回線を介して、或いは、直接に照明コントローラ42に出力して、リアルタイムでLED照明具からの光出力を調整するようになっている。このようにして変更された輝度や色調を含む照明パラメータは、図4に示すウィンドウフォーム内の設定ボタンを押すことで、問い合わせ・設定モジュール64からサーバ80へ、個人識別コードと端末識別コードと共に、照明設定コマンドとして送信される。サーバコントローラ82は、この照明設定コマンドに該当する個人識別コードが照明制御テーブル92に存在しない場合、新たにレコードを作成し、既にレコードが存在する場合は、その内容を新しい内容に書き換える。尚、このようにして設定された照明パラメータは、対応するデスク端末20に送信されて、そのメモリ28に保持される。
【0031】
図3に示すように、各デスク端末20のデスクコントローラ24には、タイマーモジュール26が設けられ、このタイマーモジュール26は、人体検出信号が途切れた後に人体検出信号を検出した時、その間の休止時間を計測するように構成される。このため、タイマーモジュールは、最後に人体検出信号が途切れた時刻をメモリ28に記憶させる構成となっている。この休止時間は、使用者が一時的にデスクを離れてすぐに戻ってきたかを示す指標として使用され、休止時間が所定の時間よりも短い場合は、人体検知センサ22の機能によって照明が一旦オフされるものの、再度着席した場合は、直前の照明条件を復活させる機能をデスク端末に与える。
【0032】
尚、休止時間は、問い合わせ・設定モジュール64にて、設定することも可能である。
すなわち、図6に示すように、人体検出信号が出力された時は、タイマーモジュール26は直前の休止時間をメモリ28に記憶されたデータから計算し、この休止時間が所定値よりも短ければ、メモリ28に記憶された直前の照明パラメータを含む制御信号を作成して、これを照明コントローラ42へ出力することで、直前の照明条件でLED照明具44の光出力を調整する。一方、休止時間が所定値より長ければ、新たな使用者によってデスクが使用されるものとして、照明機器を初期値でオンさせる。この場合、新しい使用者は、上述したように、このデスクで使用する情報処理端末60を用いて、個人識別コード、端末識別コードを入力することで、サーバ80へ送信する。これに伴って、サーバ80は対応する照明パラメータを読み出し、これを対応するデスク端末20に送信する。これにより、デスク端末20は受信した照明パラメータを含む制御信号を照明機器に出力して、照明機器40からの光出力を調整する。
【0033】
情報処理端末60で実行されるアプリケーションプログラムは、図4Bに示すような、ウィンドウフォームを提供し、使用者がデスク、すなわち、座席を変更した時に、変更後のデスクを特定する端末識別コードの入力を促す。ここで入力されたデータは、サーバ80に送信され、デスク使用履歴テーブル93に記憶される。このテーブル93には、図5に示すように、端末識別コード毎に、対応するデスクを使用した使用者の個人識別コードと、この使用者がデスクを使用した使用時間が記録される。サーバコントローラ82は、必要に応じて、使用者がどのデスクを何時、どれだけ使用したかを記録するデスク使用履歴のレポートが発行できるように構成される。
【0034】
図2に示すように、デスク10が、事業所内の複数のエリアA1、A2にそれぞれ配置される場合、各エリアで固有に決められた時間に従って、エリア毎に照明機器をオン/オフさせることが望まれる。このような時間依存の照明制御を果たすために、サーバ80には、図3及び図5に示されるように、デスクがどのエリアに属するかを保持するデスク管理テーブル94と、エリア毎に予め設定された照明機器のオフ時間を保持するタイムテーブル95が設けられている。これに対応して、サーバコントローラ82には、強制オフモジュール86が設けられ、エリアを示す所属コード毎にタイムテーブル95から読み出したオン時間に基づいて、所属コードに対応する端末識別コードで特定されるデスク端末に、照明機器の強制オフ信号を送信する。この強制オフ信号を受けて、各デスク端末20のデスクコントローラ24は照明機器40を強制的にオフさせて、エリア毎に一括した照明機器のオフ制御が行える。
【0035】
サーバコントローラ82は、更に、デスク管理テーブル94及びタイムテーブル内のデータを変更するための変更手段を備え、変更手段によってデスクが属するエリアの変更やエリア毎のオフ時間を変更することができる。
【0036】
本発明のシステムには、各使用者が利用したデスクでの照明機器の消費電力を算出する機能が備えられる。図4Bに示すように、情報処理端末60で実行されるアプリケーションプログラムは、消費電力の算出のためのウィンドウフォームを提供しており、開始日から任意の期間、例えば、一日、一月、一年を選択することで、選択された期間に亘る消費電力(W)と電気料金とが表示できるようになっている。このウィンドウフォームは、上記の消費電力をサーバへ問い合わせる手段であり、フォーム中の「消費電力算出」のボタンを押すことで、電力問い合わせがサーバ80に送信される。
【0037】
この消費電力算出の機能を実現するために、サーバ80には、図5に示すように、照明機器毎の定格電力を保持する電力テーブル96が設けられ、サーバコントローラ82には、電力計算モジュール88が含まれる。電力テーブル96の照明機器コードは、デスク管理テーブル94において端末識別コードと関連させて記録されている照明機器コードと同じである。このため、電力計算モジュール88は、消費電力の問い合わせを行う情報処理端末で特定される個人識別コードをキーとして、デスク使用履歴テーブル93を参照し、この個人識別コードで特定される端末識別コードと、その端末識別コードで決まる照明機器の使用時間と、その使用時間での輝度とを読み出す。端末識別コードは照明機器コードに対応しているため、使用者が使用した一つまたはそれ以上のデスクに属する照明機器についての、使用時間とその時の照明パラメータとが求められる。次に、電力計算モジュール88は、電力テーブル96から該当する照明機器コードに対応する定格電力を読み出し、使用時間毎に、照明パラメータに応じた百分率を定格電力に掛け合わせて使用時間毎の個別消費電力を求め、問い合わせで選択された期間に亘って、使用時間毎の個別消費電力を積算して合計の消費電力を求める。同時に、予め設定されている単位電力あたりの電気料金を消費電力に乗算して電気料金を算出する。電力計算モジュール88は、このようにして求められた合計の消費電力と電気料金を、LAN回線を介して、情報処理端末60へ送信する。これを受けて、問い合わせ元の情報処理端末は、図4Cのウィンドウフォームに、消費電力と電気料金を表示する。
【0038】
尚、この他に、本発明のシステムにおいては、デスク使用履歴テーブル、デスク管理テーブル、電力テーブルを参照して、各デスク端末についての照明機器の消費電力を算出する機能を備えることも可能である。この場合は、サーバコントローラ82にレポート作成モジュールが付加され、ここで発生させるレポート作成指令に基づいて、デスク使用履歴テーブルから、指定される任意の期間に亘って、デスク端末毎に、すなわち対応する照明機器毎の使用時間と、その時の照明パラメータを読み出す。このレポート作成モジュールは、同時に電力テーブルから該当する照明機器の定格電力を読み出し、指定される期間に含まれる個別の使用時間毎に、その時の照明パラメータで定格電力を補正した個別の消費電力を求め、デスク端末毎に、個別の消費電力の積算値と、その積算値に単位電気料金を積算して電気料金を求める。このようにして求められた、デスク端末毎、すなわち、デスク毎の消費電力と電気料金は、任意のレポート形式でサーバ82に付属するディスプレイに表示される、或いは、サーバにLAN回線で接続された別途の情報処理端末へ送信される。
【0039】
尚、本発明のシステムは、複数のデスクに備えられる照明機器40とデスク端末20に加えて、これに通信可能に接続されたサーバ80、情報処理端末60とで構成されるハードウェア主体の組み合わせであるとも定義できるが、通常構成のサーバ及び情報処理端末が利用できることを考慮すると、別の定義で規定することもできる。すなわち、本発明のシステムは、複数のデスクに備えられる照明機器40とデスク端末20を必須のハードウェアとして含み、現状技術水準の情報処理端末であるサーバで実行される特定のサーバプログラムと、現状技術水準の情報処理端末である情報処理端末で実行されるアプリケーションプログラムとを備えたハードウェア・ソフトウェア複合システムであるとも定義できる。この場合のサーバプログラムは、サーバ上で実行された時に、上述した機能を備えるサーバコントローラと、各テーブルをサーバ上に実現するものとして規定される。また、アプリケーションプログラムは、情報処理端末で実行された時に、上述の機能を備える問い合わせ・設定モジュールを実現するためのものとして規定される。
【0040】
上記各モジュールは、演算処理にて構成することも可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0041】
10 デスク
20 デスク端末
22 人体検知センサ
24 デスクコントローラ
26 タイマーモジュール
28 メモリ
40 照明機器
60 情報処理端末
80 サーバ
82 サーバコントローラ
86 強制オフモジュール
88 電力計算モジュール
92 照明制御テーブル
93 デスク使用履歴テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデスクに設置されるデスク端末と、
上記デスク端末に接続される照明機器と、
少なくとも一つの情報処理端末と、
上記デスク端末とネットワークを介して接続された情報処理端末よりなるサーバとを備えたフリーデスク照明システムであって、
上記のデスク端末は固有の端末識別コードを有すると共にデスクコントローラを備え、
上記のデスク端末は人体検知センサを有し、この人体検知センサは対応するデスクを利用する使用者の存在を認識した時に人体検出信号を出力するように構成され、
上記デスクコントローラは人体検出信号を上記照明機器へ送信するように構成され、
上記の照明機器は、人体検出信号を受けた時に点灯されるように構成され、
上記の少なくとも一つの情報処理端末はこの情報処理端末を使用する使用者を特定する個人識別コード及び上記の端末識別コードを入力する手段と、入力された個人識別コードと端末識別コードを含む問い合わせを上記サーバへ送信する手段を備え、
上記サーバは、上記の照明器具の色調や輝度等を規定する照明パラメータを使用者識別コードにそれぞれ対応させて保持する照明制御テーブルを備え、
上記サーバはサーバコントローラを有し、このサーバコントローラは上記問い合わせを受けた時に、ここに含まれる個人識別コードに合致する照明パラメータを上記照明制御テーブルから読み出し、問い合わせに含まれる端末識別コードで特定されるデスク端末へ、この照明パラメータを送信するように構成され、
上記デスクコントローラは上記サーバから受信された照明パラメータに基づいて対応する上記照明機器の光出力を調整する制御信号を照明機器へ出力するように構成されたことを特徴とするフリーデスク照明システム。
【請求項2】
上記情報処理端末は、上記照明パラメータの設定を行うと共に、この照明パラメータと上記個人識別コードとを含む設定情報を上記サーバへ送信する設定手段を有し、
上記サーバは上記設定情報を受信した時に、この設定情報に含まれる個人識別コードと照明パラメータとを関連づけて上記照明テーブルに記憶するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のフリーデスク照明システム。
【請求項3】
上記の照明機器は、上記デスク端末からの人体検出信号が途切れた時に、電源をオフするように構成され、
上記デスク端末は、上記サーバから受信した照明パラメータを保持するメモリを備え、
上記デスク端末は、人体検出信号が途切れた時から次に人体検出信号が発生する迄の休止時間を監視するタイマーモジュールを備え、
上記デスクコントローラは、この休止時間が所定の時間よりも短い時に、上記メモリから照明パラメータを読み出して、これに基づいた制御信号で上記照明機器を制御するように構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のフリーデスク照明システム。
【請求項4】
上記サーバは、更に、デスクがどのエリアにあるのかを表すデスクテーブルを有し、上記サーバコントローラは、エリア毎に予め規定されたタイムスケジュールに基づいて、各デスクに備えられた照明機器を消灯するように構成された強制オフモジュールを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のフリーデスク照明システム。
【請求項5】
上記サーバは上記タイムスケジュールをエリアに対応させて保持するタイムテーブルを備え、更に、上記タイムテーブル中の任意のタイムスケジュールを変更するための変更手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載のフリーデスク照明システム。
【請求項6】
上記サーバは、各照明機器に関してその使用時間とこれを使用する使用者を特定する個人識別コードを保持するデスク使用履歴テーブルを備え、
上記サーバコントローラは電力計算モジュールを備え、この電力計算モジュールは、個人識別コード毎に、任意の算出期間に亘る照明機器の使用時間の積算値を上記使用履歴テーブルから読み出し、この積算値から電力消費量を推定するように構成され、
上記情報処理端末は、個人識別コードと算出期間とを含む電力問い合わせを上記サーバへ送信する手段と、電力消費量を表示する表示手段を備え、
上記電力計算モジュールは、サーバで受信した電力問い合わせに含まれる個人識別コードと算出期間に該当する電力消費量を上記情報処理端末へ送信して、情報処理端末の表示手段に表示させるように構成されたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のフリーデスク照明システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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