説明

照明手段及び同照明手段を少なくとも1つ有するプロジェクタ

照明手段(1)の少なくとも1つの実施形態において、照明手段(1)は少なくとも1つの半導体レーザ(2)を有しており、半導体レーザ(2)は360nm以上485nm以下の波長の一次放射(P)を放出するように形成されている。照明手段(1)はさらに少なくとも1つの変換手段(3)を有しており、変換手段(3)は半導体レーザ(2)に後置されており、一次放射(P)の少なくとも一部を、一次放射(P)とは異なるより大きな波長を有する二次放射(S)に変換するように形成されている。この場合、照明手段(1)から放出される放射(R)は最大で50μmのコヒーレンス長を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明手段に関する。本発明はさらにそのような照明手段を少なくとも1つ有するプロジェクタに関する。
【0002】
本発明の課題は高い輝度の照明手段を提供することである。本発明の別の課題はこのような照明手段を少なくとも1つ有するプロジェクタを提供することである。
【0003】
この照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、照明手段は少なくとも1つの光電子半導体チップを含んでいる。この半導体チップは紫外スペクトル領域又は可視スペクトル領域の電磁放射を発生させるように形成されている。この半導体チップは発光ダイオード又は半導体レーザであってよい。
【0004】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、照明手段は、360nm以上485nm以下の、とりわけ380nm以上460nm以下の波長の一次放射を放射するように形成された少なくとも1つの半導体レーザを有している。言い換えれば、一次放射は少なくとも1つの半導体レーザを介して生成される。照明手段は特に発光ダイオードを有していなくてもよい。その場合、一次放射は専ら半導体レーザを介して生成される。
【0005】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、照明手段は少なくとも1つの変換手段を有している。この変換手段は一次放射の放射方向において半導体レーザの後に配置されており、一次放射の少なくとも一部を二次放射に変換するように形成されている。二次放射は一次放射とは異なる波長、有利には一次放射よりも長い波長を有する。
【0006】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、照明手段から放出される放射は、二次放射または二次放射と一次放射の混合によって形成されている。照明手段から放出される放射が混合放射ならば、放射は好ましくは照明手段を離れるときには既に混合されている。照明手段から放出される放射はとりわけ放射横断面の全体にわたって均一である。言い換えれば、放射横断面の全体にわたって、照明手段から放出された放射の色度座標は色度図において放射横断面全体の平均値から最大で0.05単位しか、とりわけ最大で0.025単位しか偏差しない。
【0007】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、照明手段から放出される放射は最大で50μmのコヒーレンス長を有する。好ましくは、コヒーレンス長は最大で10μm、とりわけ最大で2.5μmである。言い換えれば、照明手段から放出される放射は可干渉でない非コヒーレント放射である。これにより、例えば投影目的でコヒーレント放射を使用した場合に生じうるスペックルパターンのような効果を回避することができる。
【0008】
照明手段において変換手段を使用するのは、とりわけ、下記の考えに基づいている。照明手段の一次放射は半導体レーザによって生成されるものであるため、比較的大きなコヒーレンス長を有し、可干渉である。特に相互に無関係な複数の色中心又は光点を含む変換手段を使用することにより、非コヒーレント二次放射が生成される。
【0009】
それゆえ、二次放射は特に非コヒーレントである。というのも、複数の例えば色中心はばらばらに一次放射を吸収し、相互に相関せずに、変換された放射、つまり二次放射を時間的にずれて放出するからである。また、個々の例えば色中心の間の空間的に定義された関係も普通は与えられていない。
【0010】
したがって、個々の例えば色中心から放出される二次放射は、隣接する色中心から放出される二次放射に対して固定的な又は決められた位相関係を有していない。その上、二次放射は一次放射に比べて比較的大きなスペクトル幅を有している。これにより、コヒーレンス長も短くなる。
【0011】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、コヒーレンス長は放射の平均波長の平方と照明手段から放出される放射のスペクトル帯域幅との比に定数係数を乗じたもの以下である。
【数1】

ここで、Lは照明手段から放出される放射のコヒーレンス長であり、λ0は照明手段から放出される放射の平均波長であり、Δλはそのスペクトル幅である。特に、コヒーレンス長は上式によって得られる値の最大で90%、特に最大で75%である。
【0012】
上に示した式によって、放射のコヒーレンス長を放射帯域幅と平均波長とに依存して推定することができる。係数kは大きさ1のオーダーの実数であり、放射のスペクトルの包絡線に依存する。言い換えれば、照明手段から放出される放射は、相応のスペクトル幅を有する放射に関して上式に従って得られるコヒーレンス長よりも短いコヒーレンス長を有することができる。つまり、コヒーレンス長を例えばレーザに基づいた広帯域スペクトル光源の場合よりも特に短くすることができる。
【0013】
照明手段から放出される放射が二次放射と一次放射との混合放射ならば、この場合、放射は短いコヒーレンス長を有する。これは、一次放射と二次放射との混合によって、位相関係が、したがってまた可干渉性が破壊されていることに因る。
【0014】
コヒーレンス長は例えば干渉計によって求めることができる。この干渉計は例えば互いに可変の長さ差を示す2つの干渉計アームを有している。放射が両方のアームによって偏向され、続いて重ね合わされると、アーム長差に依存して干渉パターンが現れる。干渉パターンがもはや現れなくなるアーム長差の長さがコヒーレンス長である。
【0015】
照明手段の少なくとも1つの実施形態では、照明手段は、360nm以上485nm以下の波長の一次放射を放出するように形成された少なくとも1つの半導体レーザを含んでいる。さらに、照明手段は半導体レーザに対して並置された少なくとも1つの変換手段を含んでいる。この変換手段は、一次放射の少なくとも一部を、一次放射とは異なる、より長い波長の二次放射に変換するように形成されている。この場合、照明手段から放出される放射は最大で50μmのコヒーレンス長を示す。
【0016】
一次放射はコヒーレント放射を放出する半導体レーザによって効率的に成形可能、特に集束可能である。これにより、変換手段における一次放射の出力密度を高くすることができる。これに付随して、二次放射の高出力密度と二次放射のほぼ点状の放射も達成される。コヒーレンス長が短ければ、例えば照明手段から放出された放射を投光する場合に、例えばスペックルパターンを防止することができる。
【0017】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、変換手段は有機材料を含まない、又はほぼ含まない。例えば、変換手段はガラス又は焼結セラミックスでできた母材を含んでいる。母材中には、例えば蛍光粒子又は蛍光顔料が埋め込まれている。有機材料は特に一次放射が高輝度の場合に生じることのある光化学損傷に対して限られた耐性しか有していないことが多い。変換手段が有機材料を含んでいなければ、高輝度の二次放射を達成することができる。
【0018】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、この少なくとも1つの変換手段は少なくとも1つのセリウムドープ又はユーロピウムドープされた蛍光材料を含んでいる。
【0019】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、この少なくとも1つの変換手段は、少なくとも107/μm3、有利には少なくとも5*107/μm3、特に有利には108/μm3の濃度の色中心又は光点を有している。色中心又は光点は変換手段内で有利にはランダムに分布している。したがって、隣り合う色中心又は光点の間に固定的ないしは規則的な格子状の空間的関係は存在しておらず、色中心又は光点は二次放射を互いに独立して放射する。このような高密度の色中心又は光点が互いに独立して放射することにより、二次放射の特に短いコヒーレンス長が実現できる。
【0020】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、変換手段内の一次放射によって、真空中の光速と変換手段の減衰時間との積をコヒーレンス長で割ったものに等しい数の色中心又は光点が励起される。
【数2】

ここで、Lはコヒーレンス長であり、cは真空中の光速であり、Tは変換手段の特に指数関数的な減衰時間であり、Nは一次放射によって励起される色中心又は光点の数である。好ましくは、Nは上式の右辺の10倍以上、とりわけ50倍以上である。
【0021】
言い換えれば、励起される色中心又は光点が多ければ多いほど、変換手段の減衰時間は大きくなる。例えば、Nは106より大きい、とりわけ108より大きい。励起される色中心又は光点の数が減衰時間に比して大きければ、短いコヒーレンス長が可能である。
【0022】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、変換手段を出たときの二次放射の輝度は少なくとも部分的には少なくとも1kW/cm2である。好ましくは、輝度は10kW/cm2を、特に有利には100kW/cm2を、とりわけ1000kW/cm2を超える。
【0023】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、照明手段は熱伝導性の第1支持体を含んでいる。前記少なくとも1つの変換手段は少なくとも間接的に、とりわけ直接的に第1支持体に取り付けられている。好ましくは、変換手段の材料は第1支持体の材料と直接接している。これにより、効率的な熱結合と、第1支持体を介した変換手段からの熱の効率的な排出とが保証される。
【0024】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、第1支持体は少なくとも二次放射の一部に対して透過性又は反射性をもつように形成されている。透過性とはここでは、二次放射の少なくとも90%、有利には少なくとも95%が散乱や吸収なしに第1支持体を通り抜けることを意味している。反射性とは、第1支持体に当たった二次放射の少なくとも90%、有利には少なくとも95%が第1支持体で反射されることを意味する。
【0025】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、第1支持体は一次放射に対して透過性又は不透過性をもつように形成されている。透過性とは、一次放射の少なくとも90%、有利には少なくとも95%が散乱や吸収されることなく第1支持体を突き抜けることを意味する。不透過性とは、一次放射の最大で1%しか第1支持体を突き抜けることができないことを意味する。
【0026】
照明手段の少なくとも1つの実施形態では、照明手段は少なくとも1つのコリメータ光学系を有している。このコリメータ光学系は一次放射及び/又は二次放射の放射方向において変換手段の後に配置されている。変換によって生じた二次放射の放射角はこのコリメータ光学系を介して減少及び/又は調節することができる。コリメータ光学系はアクロマチックレンズであってよい。
【0027】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、コリメータ光学系を通過した後の二次放射の放射角は少なくとも部分的に最大で10°、有利には最大で5°、特に最大で1.5°である。二次放射の放射角が小さければ、例えば後置された光学素子での二次放射のビーム案内とビーム成形が軽減される。
【0028】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、前記少なくとも1つのコリメータ光学系は二次放射から平行なビームを成形するように形成されている。ここでは、平行とはビームの放射角が最大で1°、有利には最大で0.5°であることを意味する。これは、小さな空間に高輝度の二次放射を発生させることによって可能である。
【0029】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、照明手段は一次放射によって照射される変換手段の少なくとも1つのスポットを有する。ここで、スポットとは、一次放射が変換手段に入射するときに通る変換手段の面、好ましくは繋がり合った面である。
【0030】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、変換手段は光入射面、とりわけスポットの領域、及び/又は光出射面を粗面化したものである。これにより、変換手段への光入射結合と変換手段からの光出射結合が改善される。また、光入射面と光出射面とにおいて光の散乱が行われる。放射のコヒーレンス長はこの散乱を介して短くすることができる。
【0031】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つのスポットは最大で0.5mm2の、有利には最大で0.1mm2の面積を有する。スポットの面積は例えば10μm2以上10000μm2以下の範囲内、とりわけ100μm2以上2000μm2の範囲内である。言い換えれば、二次放射は点状の領域で生成されている。
【0032】
変換手段の一次放射に対する放射入射面が粗面化されている場合には、スポットの面積とは、一次放射によって実際に照明されている面積を一次放射のビーム軸に対して垂直なとりわけ仮想的な平面に射影することによって得られる面積を意味する。
【0033】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、照明手段は同一のスポットを照射する少なくとも2つの半導体レーザを有している。言い換えれば、これら少なくとも2つの半導体レーザは、製造及び調整の精度の範囲内で、変換手段の同じ位置を照射する。同一のスポットを照明するのに2つの半導体レーザを使用することにより、二次放射に関して特に高い輝度を実現することができる。変換手段が少なくとも2つの異なる蛍光材料からできている場合には、スポットを照射する半導体レーザは、二次放射を特に効率的に発生させることができるように、一次放射の波長が異なっていてよい。
【0034】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、照明手段は第1支持体の他に少なくとも1つの第2支持体を有している。変換手段は少なくとも間接的に、とりわけ直接的にこれらの支持体に接している。
【0035】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、変換手段は第1支持体と第2支持体の間にある。とりわけ、変換手段の材料は第1及び第2の支持体の材料それぞれに直接接している。
【0036】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、一次放射はこれら支持体の少なくとも1つを通り抜ける。特に、一次放射が第1支持体も第2支持体も通り抜けるようにしてよい。
【0037】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、変換手段は第1支持体の主面に配置されている。この主面は二次放射に対して反射性を有するように形成されている、又は二次放射に対して反射作用を有するコーティングを備えているので、主面では二次放射の少なくとも90%が、特に少なくとも95%が反射される。同様に、主面は好ましくは一次放射に関しても反射性を有するように形成されている、又は反射性コーティングを備えている。言い換えれば、変換は変換手段を通過することによって行われるのではなく、支持体での反射を介して行われる。そして、一次及び/又は二次放射のビーム路、ビーム軸又は主放射方向は、第1支持体の主面において方向転換を受ける。
【0038】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、照明手段は少なくとも3つの半導体レーザを含んでいる。これら半導体レーザの2つの半導体レーザは変換手段の少なくとも2つの異なるスポットを照明する。照明手段から放出される放射は赤、緑及び青の光を含んでいる。
【0039】
例えば、前記半導体レーザのうちの2つは、異なるスポットでの変換を介して一次放射の青色光又は紫外光から赤色光と緑色光を生成するために使用される。青色光は変換によって生成されたものでもよいし、3つの半導体レーザのうちの1つの半導体レーザの一次放射によって形成されたものであってもよい。照明手段から放出される放射は、例えば赤、緑、青の、とりわけ変換によって生成された光の混合であるか、又は例えば二次放射の赤色光及び緑色光と一次放射の青色光との混合である。半導体レーザによって照明されるスポットにおいて互いに異なる変換手段又は変換手段の混合を使用してもよい。そうすることで、例えば、スポットのうちの1つは赤色の二次放射だけを放出し、また別のスポットは緑色の二次放射だけを放出する。
【0040】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、赤、緑及び青の光は互いに独立して生成可能である。これは、変換手段のスポットが異なる半導体レーザによって照射されること、並びに半導体レーザの強度が時間領域において可変に設定可能であることによって実現できる。つまり、異なる時点に、とりわけ互いに独立して、異なる強度を設定することが可能である。同様に、少なくとも1つの半導体レーザと変換手段との間に、一次放射の強度を調節する部材を配置することも可能である。
【0041】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、赤、緑及び青の光はビーム路の少なくとも一部を一緒に通過する。言い換えれば、赤、緑及び青の光は互いに平行に案内され、少なくともビーム路の部分区間に沿って製造公差の範囲内で同一のビーム軸を有する。好ましくは、赤、緑及び青の光はそれぞれ平行なビームである。
【0042】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、照明手段は二次放射のビーム路中に配置された少なくとも1つの変調器を含んでいる。この変調器は透過又は反射を介して二次放射の強度を変調するように形成されている。この変調器は、液晶ユニット、マイクロミラーアクチュエータ、空間光変調器(Spatial Light Modulator、略してSLM)であってよい。同様に、少なくとも1つのポッケルスセル又はカーセルによって変調器を形成することも可能である。変調器が透過性の作用を有する場合には、変調器を通過する二次放射の強度を時間に依存して調節することができる。変調器が反射性の作用を有する場合には、反射率又は反射方向が時間的に可変である。
【0043】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、照明手段から放出される放射の強度及び/又は色度座標は少なくとも10MHz、特に少なくとも25MHzの周波数で調節可能である。この調節は例えばディジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micro-mirror Device、略してDMD)によって行うことができる。このように高い調節速度のおかげで、この照明手段を例えばプロジェクタにおいて、特にいわゆるフライングスポットプロジェクタにおいて使用することが可能になる。
【0044】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、第1支持体は機械的に可動に支承されており、互いに異なる変換手段を備えた少なくとも2つの領域を有している。支持体の位置をずらすと、一次放射は例えば違う領域を、したがってまた違う変換手段を照射する。とりわけ、第1支持体は1つの方向に、特に専ら一次放射のビーム軸に対して垂直な方向にのみ可動であるので、第1支持体の運動によって例えば一次放射及び/又は二次放射のビーム路が変化することはない、又は実質的に変化することはない。このため、つまり、二次放射の色度座標は第1支持体を位置決め又は動かすことによって決めることができる。
【0045】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、変換手段が取り付けられた第1支持体は機械的に可動に支承されている。一次放射のビーム軸に対して垂直な方向における支持体の動きは、少なくとも一時的に、少なくとも1cm/sの速度で、とりわけ少なくとも5cm/sの速度で行われる。これにより、変換手段の熱負荷を制限することができる。
【0046】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、第1及び/又は第2支持体は少なくとも40W/(m K)の、有利には少なくとも120W/(m K)の、とりわけ少なくとも300W/(m K)の熱伝導性を有する。例えば、第1支持体は炭化ケイ素、サファイア、ダイアモンド又は例えばAINのような特に透過性のあるセラミックスでできている。
【0047】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、照明手段は変換手段に後置された少なくとも1つのピンホールアパーチャを含んでいる。照明手段を出るときの散乱放射がピンホールアパーチャによって防止されるので、照明手段から放出される放射は決められた小さな空間領域内に放出され、例えば照明手段の後に配置された光学素子においてビーム成形が可能となる。
【0048】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、変換手段が取り付けられている第1支持体の主平面における1つの領域は、スポットの平均直径の最大で3倍、特に最大で2倍、好ましくは最大で1.2倍に相当する直径を有する。
【0049】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、照明手段はビーム路中又はビーム路上に配置された偏向ユニット及び/又は結像ユニットを有している。偏向ユニットはマイクロミラーアクチュエータによって形成されていてよい。結像ユニットは液晶マスクであってよい。
【0050】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、変換手段は半導体レーザから熱的に切り離されている。つまり、変換手段から半導体レーザへ、また半導体レーザから変換手段への熱クロストークが存在しない、又は無視できる程度にしか存在しない。このため、照明手段の強度と色度座標とに関して特に安定した動作が可能になる。
【0051】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、照明手段は少なくとも1つの半導体レーザに取り付けられた表面実装可能なパッケージを含んでいる。同様に、少なくとも1つの変換手段も部分的に又は完全にパッケージ内に配置されていてよい。このパッケージは例えば刊行物US 2007/0091945 A1に従って形成されている。なお、この刊行物に記載されているパッケージと方法とに関する開示内容は参照により本明細書の開示内容の一部を成す。 同様に、上記パッケージは刊行物US 2008/0116551 A1によるパッケージであってもよい。この刊行物に記載されている部材及びこのような部材の製造方法に関する開示内容は参照により本明細書の開示内容の一部を成す。
【0052】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、上記パッケージはいわゆるトランジスタシングルアウトラインパッケージ、略してTOパッケージとして形成されている。
【0053】
照明手段の少なくとも1つの実施形態によれば、照明手段全体の体積は0.01mm3以上60mm3以下の範囲内、特に0.4mm3以上8mm3以下の範囲内である。
【0054】
本発明はさらにプロジェクタに関する。このプロジェクタは前記請求項の少なくとも1つに従った少なくとも1つの照明手段と、少なくとも1つの偏向ユニット及び/又は少なくとも1つの結像ユニットを含んでいる。
【0055】
本明細書に記載されている照明手段が使用できるいくつかの用途として、例えばディスプレイ又は表示装置のバックライトがある。
【0056】
さらに、本明細書に記載されている照明手段は、投影目的の照明装置、ヘッドライト又はスポットライト、又は一般照明においても使用することができる。
【0057】
以下に、図面を参照しつつ、上記照明手段と上記プロジェクタを実施例に基づいて詳しく説明する。なお、個々の図において、同じ要素には同じ参照記号を付してある。しかし、個々の要素間の関係は縮尺通りではなく、理解し易いように誇張して拡大表示されていることもある。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第1支持体を有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図2】第1支持体を有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図3】第1支持体を有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図4】第1支持体を有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図5】第1支持体を有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図6】第2支持体を有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図7】第2支持体を有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図8】第2支持体を有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図9】光学系として形成された第1支持体を有する照明手段の実施例を概略的に示す。
【図10】さまざまな変換手段を有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図11】さまざまな変換手段を有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図12】複数の半導体レーザが1つのスポットを照射する、本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図13】本発明の照明手段の別の実施例を概略的に示す。
【図14】本発明の照明手段の別の実施例を概略的に示す。
【図15】本発明の照明手段の別の実施例を概略的に示す。
【図16】本発明のプロジェクタの実施例を概略的に示す。
【図17】本発明のプロジェクタの実施例を概略的に示す。
【図18】本発明の別の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図19】本発明の別の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図20】パッケージを有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図21】パッケージを有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図22】パッケージを有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図23】パッケージを有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図24】パッケージを有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図25】パッケージを有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図26】パッケージを有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図27】パッケージを有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図28】パッケージを有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【図29】パッケージを有する本発明の照明手段の実施例を概略的に示す。
【0059】
図1には、照明手段1の実施例が示されている。半導体レーザ2は一重矢印線によって表された一次放射Pを放出する。一次放射Pは370nmから400nmの波長を有する。一次放射Pの放射方向において半導体レーザ2の後には変換手段3がある。変換手段3は第1支持体4の主面40上に層として配置されている。変換手段3の、主面40に垂直な方向における層厚は、およそ1μmから1000μm、有利には3μm以上300μm以下である。変換手段3は少なくともセリウム及び/又はユーロピウムドープされた蛍光材料を含む。
【0060】
一次放射Pは変換手段3によって吸収され、波長のより長い二次放射Sに変換される。二次放射Sの主放射方向は二重矢印線によって表されている。レーザ放射である一次放射Pは二次放射Sに比べてコヒーレンス長が非常に長い。多数の色中心又は光点を有する変換手段3を使用することにより、コヒーレンス長を強く短縮し、例えばスペックルパターンによる妨害作用を阻止することができる。
【0061】
放射方向上、変換手段3から後に少しの距離のところに、コリメータ光学系6が配置されている。コリメータ光学系6に達する二次放射Sは近似的に平行なビームに成形される。コリメータ光学系6はいわゆるアクロマチックレンズであってよい。
【0062】
任意選択的に、コリメータ光学系6を放射方向上でフィルタ15の後に配置してもよい。フィルタ15は色フィルタ及び/又は偏光フィルタであってよい。フィルタ15は所定のスペクトル成分をフィルタアウトすることができる。とりわけ、フィルタ15は一次放射Pに対して不透過に形成されていてよい。この場合、山型矢印線で表された照明手段から放出される放射Rは単に二次放射Sの少なくとも一部である。
【0063】
図2の実施例では、変換手段3は直径Dの狭い領域41内でのみ第1支持体4の主面40に取り付けられている。直径dのスポット7は、一次放射Pによって照射される、変換手段3の半導体レーザ2側の面として定義される。直径比D/dは大きさ1のオーダーである。スポット7は10μm2以上10,000μm2以下の面積を有する。スポット7は例えばシルクスクリーン印刷又はリトグラフ処理によって構造化して支持体4上に塗布してもよい。このように小さなスポット7を一次放射Pによって実現するために、半導体レーザ2と変換手段3との間に、図2に示されていないレンズを配置してもよい。
【0064】
図3によれば、照明手段1はピンホールアパーチャ12を含んでいる。ピンホールアパーチャ12は、支持体4上に平面的に配置された変換手段3の半導体レーザ2側の主面に配置されている。例えば、ピンホールアパーチャは金、銀、白金、パラジウム、チタン、クローム又は二次放射を非常に良く反射する他の金属によるメタライゼーションによって形成されている。同様に、ピンホールアパーチャ12は例えばブラッグミラーの形態の誘電体の積層体によって形成されていてもよい。この場合、ピンホールアパーチャ12は例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ニオブ及び/又は酸化ネオジムの積層体を有している。個々の層は好ましくは二次放射Sの波長の1/4の光学的厚さを有する。また、ピンホールアパーチャ12の材料が吸収作用を有しており、例えばカーボンブラックであることも可能である。
【0065】
二次放射Sのパワーは数十mWから数百mWであるが、数Wであってもよい。変換手段3での変換により生じた熱を排出するために、支持体4は好ましくは熱伝導性の高い材料、例えばサファイア又は炭化ケイ素で形成されている。同様に、支持体4はガラス又はセラミックスで形成されていてもよい。熱伝導性を高めるために、支持体4に別の材料が添加されていてもよい。
【0066】
図4の実施例では、ピンホールアパーチャ12は変換手段3と支持体4との間にある。ピンホールアパーチャ12の材料は変換手段3と支持体4との間の接着の改善に利用できる。
【0067】
図5では、ピンホールアパーチャ12は、支持体4の、変換手段3とは反対側の主面にある。支持体4は二次放射Sの波長に対して透過性を有するように形成されており、好ましくは25μm以上500μm以下の範囲の厚さを有する。
【0068】
図6では、照明手段1は第2支持体5を含んでいる。変換手段3は第1支持体4と第2支持体5との間にあり、支持体4,5の材料と直接接している。さらに、照明手段1は2つのホルダー16を含んでいる。ホルダー16は好ましくは金属でできており、支持体4,5からの熱放散を改善する。
【0069】
第1支持体4は一次放射Pに対しても二次放射Sに対しても透過性を有している。第2支持体5は一次放射Pに対しては透過性を有しており、二次放射Sに対しては反射性を有するように作用することができる。支持体4,5のこのような構成のおかげで、照明手段1から放出される放射Rが一次放射Pと二次放射Sとの混合であることが可能である。
【0070】
変換手段3はシルクスクリーン印刷によって支持体4上に塗布された蛍光体層であってよい。その場合、第2支持体5は例えば変換手段3上に接着されている。変換手段3は例えば結晶材料及び/又はセラミックス材料を含む、又は結晶材料及び/又はセラミックス材料からできており、この中に色中心がランダムに分布している。変換手段が結晶材料から形成されている場合、例えば、変換手段3である薄い小板が大きな結晶から切り取られる。変換手段3のこの小板を薄い接着層を介して例えば第1支持体に貼り付けることができる。この場合、接着剤は好ましくは高い熱伝導性と耐放射線性を有する。
【0071】
あるいは、変換手段3をウェハボンディング法によって支持体4,5に取り付けることも可能である。この場合、支持体4,5の主面上と同じように、変換手段3の主平面の上に酸化ケイ素層が塗布される。すると、圧力と熱とによって酸化ケイ素層が変換手段3と支持体4,5との間を媒介して永続的な接続が形成される。酸化ケイ素層は図6には図示されていない。
【0072】
第1支持体4と変換手段3とを接続する別の方法は、セラミックス層と透過層と変換手段3を含む変換層とを統合することである。この場合、透過層ないしは第1支持体4の出発原料、つまり例えば酸化アルミニウムパウダーが厚い層として伸ばされる。その後、この層の上に変換手段3の出発原料が薄く載せられる。続いて、焼結によってただ1つのセラミックス層が生じさせることができる。したがって、この場合、第1支持体4と変換手段3を一体形成することができる。
【0073】
図7の実施例では、第1支持体4の主面40には、ブラッグミラーであるコーティング8が塗布されている。コーティング8は一次放射Pに対しては透過性であり、二次放射Sに対しては高い反射性を有している。照明手段から放出される放射Rは一次放射Pと二次放射Sとの混合である。変換手段3からの熱排出を改善するために、変換手段3は再び第1支持体4と第2支持体5との間にある。
【0074】
図8の実施例では、第2支持体5は円錐台状の凹部を有しており、この凹部の中に変換手段3がある。第2支持体5の側面51は二次放射Sを反射するように形成されている。例えば、第2支持体5は金属で中実に形成されている。
【0075】
図8とは違い、側面51が放物面形状を有していてもよい。その場合、側面51での二次放射Sの反射によって平行なビームが生じる。側面51はビーム路9に関して回転対称に形成されていてよい。ビーム路9は一次放射Pと照明手段1から放出される放射Pの主放射方向によって決まっている。
【0076】
図9には、第1支持体4をレンズ状に形成した実施例が示されている。これにより、二次放射Sは、第1支持体4の、変換手段3とは反対側の湾曲した外面において、光軸の方向とビーム路9の方向とに偏向される。照明手段1は付加的なコリメーションのために凹凸レンズとして形成されたレンズ17を含んでいる。レンズ17と第1支持体4との境界面での二次放射Sの屈折は図9では概略的にしか示されていない。
【0077】
図9とは違い、第1支持体40の半導体レーザ2側の主面40は平坦でなく、湾曲していてもよい。同様に、変換手段3が第1支持体4の図示されていない凹部の中にあってもよい。
【0078】
図10の実施例では、支持体4上の狭い領域に取り付けられた3つの異なる変換手段3a−cに、ライトガイドを介してただ1つの半導体レーザ2から一次放射Pが供給される。変換手段3a−c、支持体4、コリメータ光学系6及びフィルタ15a−cの構成は、例えば図2の実施例と同様であってよい。
【0079】
変換手段3a−cは赤、緑及び青の光を生成するように形成されている。フィルタ15a−cは、変換手段3a−cの各変換手段から放出された二次放射のスペクトル範囲を透過させるように形成されている。フィルタ15a−cは一次放射Pに対しては不透過性である。照明手段から放出される放射Rは二次放射Sa−cの混合である。
【0080】
図11の照明手段1の実施例では、照明手段1は3つの異なる一次放射Pa−cを発生させる半導体レーザ2a−cを有している。3つの異なる変換手段3a−cによって、異なる波長を有する3つの二次放射Sa−cが生成される。照明手段から放出される放射Rはこれら3つの二次放射Sa−cの混合である。
【0081】
半導体レーザ2a−cがそれぞれ僅かに異なる波長の放射を放出することが可能なので、異なる変換手段3a−cを効率的にポンピングすることができる。代替的に、半導体レーザ2a−cは同一の半導体レーザであってもよい。その場合、半導体レーザ2a−cの制御ないしは給電は簡略化される。
【0082】
図12に示されている照明手段1では、4つの半導体レーザ2がレンズ17を介して1つの光ファイバに結合されており、特に高い輝度の二次放射Sを得るために一緒に変換手段3のスポット7を照射する。
【0083】
図13によれば、照明手段1は変調器11を有している。変調器11は例えば液晶マスク、マイクロミラーアクチュエータ、カーセル又はポッケルスセルによって形成されている。変調器11は反射又は透過によって一次放射P又は二次放射Sの特に強度を調節することができる。変調器11は少なくとも10MHz、特に少なくとも25MHzの周波数で変調又は応答することができることが好ましい。
【0084】
図13Aによれば、変調器11は、一次放射Pの光路上、半導体レーザ2と変換手段との間にある。図13Bによれば、変調器11は、二次放射Sの光路上、コリメータ光学系6と支持体4との間に配置されている。
【0085】
図13Cでは、モジュレータ11は、4つの半導体レーザ2からの一次放射Pを変換手段3へと案内する光ファイバの中に組み込まれている。
【0086】
また、図13Dのように、変調器11は光路上、フィルタ15の後に配置されていてもよい。これにより、一次放射Pと二次放射Sとの混合放射を変調することができる。
【0087】
図14の実施例では、照明手段1は3つの同じ半導体レーザ2a−cを有している。一次放射Pa−cは青色スペクトル領域の波長を有している。一次放射Pb、Pcは変換手段3b、3cによって緑色の二次放射Sbと赤色の二次放射Scに変換される。一次放射Paの変換は行われない。この場合、照明手段1から放出される放射Rは一次放射Paと二次放射Sb、Scとの混合である。
【0088】
図15には、変換手段3が半導体レーザ2に直接取り付けられている照明手段1の実施例が示されている。その結果、特に、変換手段3は半導体レーザ2と熱結合されている。
【0089】
図16には、プロジェクタ10の実施例が示されている。3つの照明手段1a−cは赤、緑及び青の二次放射Sa−cを放出する。二次放射Sa−cはミラー18a−cによって共通のビーム路9へと偏向される。ミラー18a−cはダイクロイックミラーとして形成されていてもよく、例えば複数の誘電体層を含んでいる。この共通のビーム路9上には変調器11がある。二次放射Sa−cの強度と照明手段1から放出される放射Rの色度座標はこの変調器11によって高い周波数で変調することができる。
【0090】
変調器11の後には偏向ユニット13が配置されている。偏向ユニット13はマイクロミラーアクチュエータ又は高速可動のミラーによって形成されていてよい。近似的に平行なビームである放射Rは偏向ユニット13によって偏向され、素速く投影面19へと案内され、投影面19に像が現れる。図16のプロジェクタ10は特にいわゆるフライングスポットプロジェクタである。
【0091】
また、図16とは違い、3つの異なる変調器11がそれぞれ二次放射Sa−cの光路上にあってもよい。
【0092】
図17のプロジェクタ10は、共通のビーム路9上で変調器11の後に配置された結像ユニット14を使用する。結像ユニット14は、液晶マスク又はディジタルマイクロミラーデバイス、略してDMDを有していてよい。結像ユニット14の後には、照明手段1又はプロジェクタ10から放出された放射Rを投影面19上に結像するレンズ17が配置されている。レンズ17はレンズ系であってよい。
【0093】
図18の照明手段1は、支持体4の小領域41に取り付けられたただ1つの変換手段3を有している。変換手段3の後にはコリメータ光学系6が配置されている。放射方向上、コリメータ光学系6の後には、偏向ユニット13がある。偏向ユニット13は可動ミラー又は光ファイバであってよい。二次放射Sは偏向ユニット13によって二次放射Sa−cに分割される。これらの二次放射Sa−cはそれぞれ白色光又は赤、緑及び青にスペクトル分割された光であってよい。任意選択的に、二次放射Sa−cの後にはそれぞれ結像ユニット14a−c及び/又はフィルタ15が配置されている。照明手段1から放出される放射Rは、フィルタ15及び/又は結像ユニット14a−cを通過した二次放射Sa−cから構成されている。
【0094】
図19の実施例では、支持体4は可動に支承されている。言い換えれば、支持体4はビーム路9に対して垂直な方向にスライド及び位置決めできる。支持体4上には、互いに異なる変換手段3a−cとともに3つの領域41a−cが設けられている。変換手段3a−cは、主面40に対して垂直な方向にそれぞれ異なる厚さを有していてよい。支持体4の運動方向は二重矢印で表されている。
【0095】
第1支持体4がビーム路9に対して垂直な方向にスライドすることにより、第1支持体4の位置に依存して異なる領域41a−cが、したがってまた異なる変換手段3a−cが一次放射Pによって照射される。したがって、照明手段1から放出される放射Rの色度座標及び/又は強度は第1支持体の位置に依存して定めることができる。
【0096】
図19Aによれば、例えば緑色の光が、図19Bによれば、例えば赤色の光が、図19Cによれば、例えば青色の光が生成される。照明手段1から放出される放射Rの色度座標はフィルタ15によってさらに狭めることができる。なお、フィルタ15は任意選択的にコリメータ光学系6の後に配置されていてもよい。
【0097】
図19の照明手段1は、例えば、第1支持体の位置に依存して異なる色を放出するレーザポイントで使用することができる。この場合、第1支持体4は例えば第1支持体4の係合によって固定可能な例えば3つの位置に保持される。照明手段1が放射Rを放出する間は、第1支持体4の位置は変えないのが好ましい。
【0098】
同様に、第1支持体4は比較的速く動くので、変換手段3a−cが順番に素速く一次放射Pによって照射されることも可能である。こうすることで、例えば一次放射Pの変換に起因する変換手段3a−cの熱負荷が軽減される。第1支持体4が例えば回転によって高速で動く場合には、照明手段1を例えばプロジェクタにおいて使用することができる。この場合、特に半導体レーザ2と第1支持体4との間に、変換手段3a−cとともに図19に図示されていない変調器が存在する。
【0099】
図20の実施例では、特にちょうど1つの半導体レーザ2だけが完全にパッケージ20内にある。パッケージ20は表面実装可能なパッケージ、例えばSMTハンダ付け可能なパッケージであってよい。パッケージ20はいわゆるトランジスタシングルアウトラインパッケージ、略してTOパッケージとして形成されていてもよい。パッケージ20は、例えばハンダ付け又は導電性接着剤によって、照明手段1に属していない本体21に固定されている。パッケージ20を本体21に固定することで、好ましくは照明手段1の電気配線が行われる。ここで、本体21は特にヒートシンク又はプリント基板として形成されていてよい。
【0100】
半導体レーザ2は比較的大きな放射角を有する一次放射Pを本体21の主面23と平行な方向に放出する。一次放射Pは矢印線によって表されている。一次放射Pはその後、プリズム22を介して主面23に垂直な方向に偏向される。プリズム22は、例えば全反射によって、又は半導体レーザ2とは反対の側の図示されていない反射コーティングによって作用する。
【0101】
放射方向上、プリズム22の後には、第1支持体4の半導体レーザ2側の面に層として設けられた変換手段3が存在する。第1支持体4は好ましくは図20に図示されていない二次放射Sに対して透過性であり、一次放射Pに対して透過性又は不透過性のいずれかである。
【0102】
第1支持体4の、変換手段3が取り付けられていない領域には、ピンホールアパーチャ12の材料が存在する。これにより、変換手段3が存在する領域においてのみ照明手段1から放射が出射することが保証される。
【0103】
図21の実施例では、プリズム22と半導体レーザ2との間にレンズ17が配置されている。レンズ17により、一次放射Pを変換手段3へと集束することが可能である。
【0104】
図21によれば、パッケージ20は例えばプラスチック基材によって一体的に形成されている。同様に、パッケージ20は複数の部分から構成されていてもよい。
【0105】
図22に示されているように、変換手段3を母材の中に埋め込んでもよい。母材は好ましくは第1支持体4と同じ材料で形成されている。そうすることで、特に、変換手段3と第1支持体4を一体形成することができる。例えば、変換手段3と第1支持体4の材料を共通の焼結プロセスによって互いに結合ないし接続することができる。
【0106】
図23から分かるように、第1支持体4の両面に変換手段3a、bが取り付けられている。第1支持体4は薄い透過性セラミックス板であってよい。第1支持体4は変換手段3a、bごと第2支持体5に取り付けられている。変換手段3a、b及び第1支持体4は、任意選択的に、第2支持体5の凹部の中に完全に又は部分的に入っていてよい。変換手段3a、3bは同一又は異なる蛍光体を含んでいてよい。
【0107】
図24の実施例でも、第1支持体4は例えばセラミックス小板であるが、第1支持体4の一方の面には変換手段3が、変換手段3及び半導体レーザとは反対側の面にはフィルタ15が配置されており、層を成している。任意選択的に、第2支持体5が顔料、粒子又は色素の添加物を有し、それによって第2支持体5がフィルタ15の機能を引き受けることも可能である。
【0108】
図25の照明手段1は2つの異なる変換手段3a、bを有している。変換手段3a、bは第1支持体4の熱伝導性母材の中に埋め込まれている。これにより、変換手段3からの効率的な熱伝導が行われる。また、図25とは違い、例えば変換手段3bが第2支持体5を形成している母材の中に埋め込まれていることも可能である。
【0109】
変換手段3a、bと第1支持体4及びプリズム22との間には、コーティング8が存在している。コーティング8は一次放射Pは透過させ、図示されていない二次放射Sは反射するので、照明手段1からの二次放射Sの出射結合率は向上している。
【0110】
図26には、例えば図20〜25のいずれか1つによる照明手段1の上面図が示されている。パッケージ20は円形の輪郭を有している。円形凹部の中には、一次放射Pを放出する半導体レーザ2a−cが存在している。一次放射Pはプリズム22を介して変換手段3の方向へ偏向され、二次放射Sa−cに変換され、図平面に対して垂直な方向で照明手段1から出ていく。
【0111】
半導体レーザ2a−cは同一に形成されていてもよいし、異なって形成されていてもよい。半導体レーザ2a−cが本体21に直接取り付けられており、本体21と直接電気的に接触していることも可能である。
【0112】
図27の照明手段1では、半導体レーザ2a、2bは、一次放射Pa、bを逆平行に放出するように配置されている。一次放射Pa、bは2つのプリズム22によって変換手段3の方向へ偏向される。
【0113】
図28の実施例では、変換手段3はプリズム22に取り付けられている。なお、プリズム22は同時に第1支持体4を形成している。変換手段3が取り付けられた、プリズム22の半導体レーザ2側の面は、一次放射Pも二次放射Sも反射するように作用する。これにより、変換手段3の層厚を低減することができる。なぜならば、一次放射Pがプリズム22で反射するおかげで、変換手段3の2倍の厚さを利用できるからである。
【0114】
第2支持体5は例えば一次放射Pに対しては不透過性であり、二次放射Sに対しては透過性である。好ましくは、第2支持体5は二次放射Sに対しては透過性であり、例えば反射防止作用を有する、図28には図示されていないコーティングを備えている。
【0115】
図29の実施例では、半導体レーザ2も変換手段3も直接第1支持体4に取り付けられている。一次放射Pはパッケージ20に取り付けられたプリズム22によって変換手段3と支持体4の方向に偏向される。照明手段1から放出される放射Rは透過性のある熱伝導性の第1支持体4を通り抜ける。第1支持体4の主面40には、例えば半導体レーザ2に給電する導電路が配置されている。任意選択的に、図29に図示されていないピンホールアパーチャが支持体4に取り付けられていてもよい。
【0116】
以上に説明した発明は実施例に基づく上記説明によって限定されない。むしろ、本発明はあらゆる新規の特徴ならびにそれらの特徴のあらゆる組み合わせを含むものであり、これには殊に特許請求の範囲に記載した特徴のあらゆる組み合わせが含まれる。このことはこのような特徴またはこのような組み合わせ自体が特許請求の範囲あるいは実施例に明示的には記載されていない場合であっても当てはまる。
【0117】
本特許出願は、ドイツ連邦共和国特許出願第10 2008 063 634.7の優先権を主張するものであり、当該ドイツ出願の開示内容は参照により本願明細書の開示内容の一部をなす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの半導体レーザ(2)と少なくとも1つの変換手段(3)とを有する照明手段(1)であって、
前記半導体レーザ(2)は360nm以上485nm以下の波長の一次放射(P)を放出するように形成されており、
前記変換手段(3)は前記半導体レーザ(2)に後置されており、前記一次放射(P)の少なくとも一部を、前記一次放射(P)とは異なるより大きな波長を有する二次放射(S)に変換するように形成されており、
前記照明手段(1)から放出される放射(R)は最大で50μmのコヒーレンス長を有する
ことを特徴とする照明手段(1)。
【請求項2】
前記変換手段(3)から出射するときの前記二次放射(S)の輝度は少なくとも部分的に少なくとも1kW/cm2である、請求項1記載の照明手段(1)。
【請求項3】
前記照明手段(1)は熱伝導性の第1支持体(4)を含んでおり、前記変換手段(3)が少なくとも間接的に前記第1支持体(4)に取り付けられており、前記第1支持体(4)は前記二次放射(S)の少なくとも一部に対しては透過性又は反射性を有し、前記一次放射(P)に対しては透過性又は不透過性である、請求項1又は2記載の照明手段(1)。
【請求項4】
前記照明手段(1)は前記変換手段(3)に後置された少なくとも1つのコリメータ光学系(6)を含んでおり、当該コリメータ光学系(6)を通過した後の前記二次放射(S)の放射角は少なくとも部分的に最大で10°である、請求項1から3のいずれか1項記載の照明手段(1)。
【請求項5】
前記一次放射(P)によって照射される、前記変換手段(3)の少なくとも1つのスポット(7)の面積は最大で0.5mm2である、請求項1から4のいずれか1項記載の照明手段(1)。
【請求項6】
少なくとも2つの半導体レーザ(2)が同一のスポット(7)を照射する、請求項1から5のいずれか1項記載の照明手段(1)。
【請求項7】
前記変換手段(3)は前記第1支持体(4)と第2支持体(5)との間にあり、少なくとも間接的に前記支持体(4,5)に接触しており、前記一次放射(P)は前記支持体(4,5)の少なくとも一方を通過する、請求項1から6のいずれか1項記載の照明手段(1)。
【請求項8】
前記変換手段(3)が取り付けられている前記第1支持体(4)の主面(40)は少なくとも前記二次放射(S)に対しては反射性を有するか、又は反射コーティング(8)を備えており、ビーム路(9)は前記第1支持体(4)によって方向を変化させられる、請求項1から7のいずれか1項記載の照明手段(1)。
【請求項9】
前記照明手段(1)は少なくとも3つの半導体レーザ(2)を含んでおり、前記半導体レーザ(2)の少なくとも2つの半導体レーザは少なくとも1つの変換手段(3)の少なくとも2つの異なるスポット(7)を照射し、前記照明手段(1)から放出される放射(R)は赤、緑及び青の光を含んでいる、請求項1から8のいずれか1項記載の照明手段(1)。
【請求項10】
前記赤、緑及び青の光は互いに独立して生成可能であり、前記ビーム路(9)の少なくとも一部を一緒に通過する、請求項1から9のいずれか1項記載の照明手段(1)。
【請求項11】
前記照明手段(1)は前記二次放射(S)のビーム路(9)上に配置された少なくとも1つの変調器(11)を含んでおり、当該変調器(11)は透過又は反射によって前記二次放射(S)の強度を調節するように形成されている、請求項1から10のいずれか1項記載の照明手段(1)。
【請求項12】
前記照明手段(1)から放出される放射(R)の強度及び/又は色度座標は少なくとも10MHzの周波数で変調可能である、請求項1から11のいずれか1項記載の照明手段(1)。
【請求項13】
前記第1支持体(4)は機械的に可動に支承されており、互いに異なる変換手段(3)が設けられた少なくとも2つの領域(41)を有しており、前記支持体(4)の運動により前記二次放射(S)の色度座標を定めることができる、請求項1から12のいずれか1項記載の照明手段(1)。
【請求項14】
前記第1支持体(4)は少なくとも40W/(m K)の熱伝導性を有しており、
少なくとも1つのピンホールアパーチャ(12)が前記変換手段(3)に後置されているか、又は前記変換手段(3)は、最大で前記スポット(7)の平均直径(d)の3倍に相当する直径(D)を有する、前記第1支持体(4)の領域(41)に取り付けられており、
偏向ユニット(13)及び/又は結像ユニット(14)が前記ビーム路(9)上に存在する、
請求項1から13のいずれか1項記載の照明手段(1)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項記載の少なくとも1つの照明手段(1)と、少なくとも1つの偏向ユニット(13)及び/又は少なくとも1つの結像ユニット(14)とを有することを特徴とするプロジェクタ(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A)】
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【図13B)】
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【図13C)】
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【図13D)】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A)】
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【図19B)】
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【図19C)】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公表番号】特表2012−512508(P2012−512508A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541077(P2011−541077)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【国際出願番号】PCT/DE2009/001448
【国際公開番号】WO2010/069282
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】