説明

燃料補給装置および作業機械

【課題】給油作業が容易である燃料補給装置および作業機械を提供する。
【解決手段】トラックフレーム3と同程度の高さ位置に補助的な燃料タンクである下部燃料タンク50を設け、外部からは下部燃料タンク50へ給油するようにし、燃料ポンプ60の起動条件が満たされていれば、下部燃料タンク50に給油された燃料を給油ポンプ60で上部燃料タンク40に供給できるように構成した。これにより、地上のタンクローリ等から給油ガンおよび給油ホースを上部旋回体9に設けられている上部燃料タンク40にまで導く必要がなくなり、給油が容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主燃料タンクと補助燃料タンクとを有する燃料補給装置、および、この燃料補給装置を備える作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械として、下部走行体にポストを介して設置された上部旋回体を備えるハイポスト仕様のクローラクレーンが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−179385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のハイポスト仕様のクローラクレーンでは、燃料の給油のためには、地上のタンクローリから給油ガンおよび給油ホースを上部旋回体に設けられている燃料タンクにまで導く必要があった。しかし、燃料タンクが高所に設けられているため、給油ガンおよび給油ホースを燃料タンクまで導くのが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明による燃料補給装置は、下部走行体にポストを介して設置された上部旋回体に設けられる主燃料タンクと、下部走行体に設けられる補助燃料タンクと、主燃料タンクと補助燃料タンクとを接続する燃料ホースと、補助燃料タンクの燃料を主燃料タンクへ補給する燃料ポンプと、燃料ポンプの駆動を許可するか否かを選択する燃料スイッチと、補助燃料タンクの燃料を主燃料タンクへ補給可能か否かを判断する補給可否判断手段と、燃料スイッチで燃料ポンプの駆動が許可され、かつ、補給可否判断手段で補助燃料タンクの燃料を主燃料タンクへ補給可能であると判断されたときに、燃料ポンプを駆動するように制御する燃料ポンプ駆動制御手段とを備えることを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の燃料補給装置において、燃料ホースが主燃料タンクと補助燃料タンクとの間で接続されているか否かを判断する燃料ホース接続状態判断手段をさらに備え、補給可否判断手段は、少なくとも燃料ホース接続状態判断手段で燃料ホースが主燃料タンクと補助燃料タンクとの間で接続されていないと判断されると、補助燃料タンクの燃料を主燃料タンクへ補給可能ではないと判断することを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項1に記載の燃料補給装置において、上部旋回体の旋回操作がされているか否かを判断する旋回操作有無判断手段をさらに備え、補給可否判断手段は、少なくとも旋回操作有無判断手段で上部旋回体の旋回操作がされていると判断されると、補助燃料タンクの燃料を主燃料タンクへ補給可能ではないと判断することを特徴とする。
(4) 請求項4の発明は、請求項1に記載の燃料補給装置において、上部旋回体を旋回可能とするゲートロック解除状態であるか、上部旋回体を旋回不可能とするゲートロック状態であるかを判断するゲートロック状態判断手段をさらに備え、補給可否判断手段は、少なくともゲートロック状態判断手段でゲートロック解除状態であると判断されると、補助燃料タンクの燃料を主燃料タンクへ補給可能ではないと判断することを特徴とする。
(5) 請求項5の発明による作業機械は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料補給装置と、下部走行体と、下部走行体にポストを介して設置された上部旋回体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、給油作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明が適用される作業機械の側面図である。
【図2】本発明が適用される作業機械の一部分について後方から見たときの図である。
【図3】給油ポンプ60の駆動を制御するための制御装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1〜3を参照して、本発明による燃料補給装置および作業機械の一実施の形態を説明する。図1は、本発明が適用される作業機械の側面図であり、図2は、この作業機械の一部分について後方から見たときの図である。この作業機械は、いわゆるハイポスト仕様のクローラクレーンであり、運転室や作業機械本体が地上から高い位置に設けられている。この作業機械(クレーン)1は、後述の下部走行体2、ポスト7、上部旋回体9、中間デッキ21等により構成されている。なお、図1,2では、ブーム等の記載を省略している。
【0009】
2は自走可能なクローラ式の下部走行体で、該下部走行体2は、トラックフレーム3と、該トラックフレーム3のサイドフレーム3Aに設けられた駆動輪4および遊動輪(不図示)と、これら駆動輪4と遊動輪とに巻回された履帯6とにより大略構成されている。そして、駆動輪4によって履帯6を周回させることにより、作業現場を下部走行体2が走行する構成となっている。
【0010】
7はトラックフレーム3の上面側に立設されたポストで、該ポスト7は、後述する上部旋回体9を下部走行体2上の高い位置で支持するものである。ここで、ポスト7は、長尺な円筒部7Aと、該円筒部7Aの下端部に環状に設けられたフランジ部7Bとにより大略構成されている。
【0011】
そして、ポスト7のフランジ部7Bを、複数本のボルト(図示せず)を用いて下部走行体2のトラックフレーム3に固定することにより、ポスト7の円筒部7Aはトラックフレーム3から鉛直上向きに延びている。また、ポスト7(円筒部7A)の上端部には、旋回輪8を介して後述の上部旋回体9が取付けられ、ポスト7の上下方向の途中部位には、上部旋回体9の点検作業を行うときの足場等となる中間デッキ21が取付けられる構成となっている。31は地上と中間デッキ21との間を作業者が昇降するための階段であり、32は、中間デッキ21と、上部旋回体9側面の足場であるサイドウォーク33との間を作業者が昇降するための階段である。
【0012】
9はポスト7の上端部に旋回輪8を介して旋回可能に取付けられた上部旋回体で、該上部旋回体9は、旋回輪8上に取付けられたベースとなる旋回フレーム10と、該旋回フレーム10の前部右側に設けられ運転室を画成するキャブ11と、旋回フレーム10の後端側に設けられ吊荷との重量バランスをとるカウンタウエイト12と、該カウンタウエイト12の前側に位置して旋回フレーム10上に設けられた建屋カバー13とにより大略構成されている。
【0013】
建屋カバー13内には、不図示のエンジン、油圧ポンプが配置されている。そして、油圧ポンプは、エンジンによって駆動されることにより、不図示の作動油タンクに貯溜された作動油を、コントロールバルブ、油圧管路等(いずれも図示せず)を通じてクレーン1に搭載された各種の油圧アクチュエータへと吐出するものである。また、建屋カバー13内には、エンジンに供給する燃料を貯蔵するための主たる燃料タンクである上部燃料タンク40が設けられている。
【0014】
上部燃料タンク40へ外部から直接給油しようとした場合、たとえば、地上のタンクローリ等から給油ガンおよび給油ホースを上部旋回体9上に設けられている上部燃料タンク40にまで導く必要がある。しかし、上部燃料タンク40が高所に設けられているため、給油ガンおよび給油ホースを上部燃料タンク40まで導くのが困難である。そこで、本実施の形態では、低い位置にあるトラックフレーム3と同程度の高さ位置に補助的な燃料タンクである下部燃料タンク50を設け、外部からは下部燃料タンク50へ給油するようにし、下部燃料タンク50に給油された燃料を給油ポンプ60で上部燃料タンク40に供給するように構成した。以下、詳述する。
【0015】
下部燃料タンク50は、トラックフレーム3に接続されたフレーム35に固定されている。下部燃料タンク50の上部には、給油ポンプ60が取り付けられている。給油ポンプ60の吸入側の配管は、下部燃料タンク50に接続されている。給油ポンプ60の吐出側の配管は、ポスト7に沿って上方に向かって延在する配管61に接続されている。配管61の上端は、中間デッキ21の上方に位置しており、ホース62の一端が接続されている。ホース62の他端には、急速継手63のたとえば雄側の継手63Aが接続されている。なお、急速継手63は、配管等の接続に用いられる、迅速な接続および切断が可能な継手である。
【0016】
急速継手63のたとえば雌側の継手63Bは、配管64の一端に接続されている。配管64の他端は、上部燃料タンク40に接続されている。継手63Bは、サイドウォーク33の下部であって、中間デッキ21上の作業者やオペレータの手が届く高さ位置に配設されている。すなわち、中間デッキ21上の作業者やオペレータが継手63Aと継手63Bとを接続できるように継手63Bの位置が決められている。
【0017】
ホース62は、下部走行体2に対して上部旋回体9が所定の位置に回動したときに急速継手63を介して配管64と接続可能となるように、その長さが適宜定められている。たとえば、図1に示すように、下部走行体2の駆動輪4が存在する方向と、上部旋回体9のキャブ11が存在する方向(前方)とがおおよそ一致するように上部旋回体9を旋回させたときに、継手63Aと継手63Bとが接続可能となる。
【0018】
図3は、給油ポンプ60の駆動を制御するための制御装置の構成を示す図である。この制御装置100は、制御回路101と、上部燃料タンク第1上限検出センサ121と、上部燃料タンク第2上限検出センサ122と、下部燃料タンク下限検出センサ123と、接続状態検出センサ124と、ゲートロック検出センサ125と、外部表示灯126と、燃料ポンプ起動スイッチ127とを備えている。制御回路101は、後述する各センサやスイッチからの入力信号に基づいて、給油ポンプ60や外部表示灯126を制御する回路であり、CPU、メモリ、ポンプの駆動回路、外部表示灯の駆動回路などを有する。
【0019】
上部燃料タンク第1上限検出センサ121は、上部燃料タンク40の燃料が上部燃料タンク40の容量の上限にまで達したか否か(すなわち満タンとなったか否か)を検出するセンサである。上部燃料タンク第2上限検出センサ122は、上部燃料タンク40の燃料が上部燃料タンク40の容量の上限のたとえば90%程度の容量(以下、単に準上限容量と呼ぶ)にまで達したか否かを検出するセンサである。下部燃料タンク下限検出センサ123は、下部燃料タンク50の燃料があらかじめ設定した下限容量にまで減ったか否かを検出するセンサである。これらのセンサ121〜123には、たとえば燃料に接触しているか否かを静電容量の変化によって検出するセンサや、フロート式のレベルスイッチなど、各種のセンサを用いることができる。
【0020】
接続状態検出センサ124は、継手63Aと継手63Bとが接続されているか否かを検出するセンサである。ゲートロック検出センサ125は、キャブ11内に設けられた不図示のゲートロックレバーがゲートロック位置に操作されているか、または、ゲートロック解除位置に操作されているかを検出するセンサである。なお、ゲートロックレバーがゲートロック解除位置に操作されている場合には、上部旋回体9の旋回が可能となり、ゲートロックレバーがゲートロック位置に操作されている場合には、上部旋回体9の旋回が禁止される。
【0021】
外部表示灯126は、燃料ポンプ60の駆動状態や上部燃料タンク40への給油状態を報知するための表示灯であり、作業者やオペレータが燃料ポンプ起動スイッチ127の近傍にいるときだけでなく、地上に降りた後も、作業者やオペレータから視認されうる位置に配設されている。燃料ポンプ起動スイッチ127は、燃料ポンプ60の起動を指示するための操作スイッチであり、たとえば、継手63Bの近傍、すなわち、急速継手63の着脱をする中間デッキ21上の作業者やオペレータが操作可能な位置に配設されている。なお、燃料ポンプ60は、単に燃料ポンプ起動スイッチ127が操作されても、後述する起動条件が揃っていない場合には起動されない。
【0022】
このように構成されるクレーン1では、下部燃料タンク50から上部燃料タンク40への給油を次のようにして行う。たとえば、クレーン1のオペレータが休憩等でクレーン1から離れる際に、オペレータが次のような操作を行うことで、下部燃料タンク50から上部燃料タンク40へ給油が行われる。まず、オペレータは、キャブ11内の不図示の操作レバーを操作することで、下部走行体2に対して上部旋回体9を図1に示すような位置に回動させる。配管64にホース62を接続できるようにするためである。そして、オペレータは、キャブ11から離れる際に、不図示のゲートロックレバーをゲートロック位置に操作する。なお、周知のとおり、ゲートロックレバーをゲートロック位置に操作しないと、オペレータがキャブ11から降りられない。
【0023】
次いで、オペレータは、階段32を経由して中間デッキ21へ降りて、不図示のホース掛け等に掛けてあるホース62を外し、ホース62の継手63Aを配管64の継手63Bに接続する。その後、オペレータは、燃料ポンプ60を起動するように燃料ポンプ起動スイッチ127を操作する。オペレータによる上述の操作が行われると、後に述べる起動条件が揃っていれば、燃料ポンプ60が起動して、下部燃料タンク50から上部燃料タンク40へ給油が行われる。
【0024】
このようにして給油が行われた後、後述するように、上部燃料タンク40が満タンとなるか、下部燃料タンク50の燃料の残量が少なくなると燃料ポンプ60が自動的に停止して給油が終了する。また、オペレータが燃料ポンプ60を停止させるように燃料ポンプ起動スイッチ127を操作することで燃料ポンプ60を停止させて給油を終了させることができる。給油終了後、たとえば休憩から戻ってきたオペレータは、ホース62の継手63Aを配管64の継手63Bから外して、ホース62を不図示のホース掛け等に掛ける。
【0025】
なお、このようにして上部燃料タンク40へ給油が行われると下部燃料タンク50の燃料が減ることになる。そこで、たとえば、オペレータは、上部燃料タンク40への給油に際してタンクローリ等を手配する。そして、たとえば、タンクローリ等の運転手がタンクローリ等から下部燃料タンク50へ給油を行う。この場合、下部燃料タンク50が地上からさほど高くない位置に設けられているため、下部燃料タンク50への給油が容易である。このようにすることで、下部燃料タンク50が燃料でいつも満たされているようにしておけばよい。
【0026】
−−−燃料ポンプ60の起動条件について−−−
制御回路101は、次の起動条件(a)〜(d)が全て揃っているときに、燃料ポンプ起動スイッチ127から燃料ポンプ60を起動する操作信号を受信すると、燃料ポンプ60を起動する。
(a) ゲートロックレバーがゲートロック位置に操作されていることを示す検出信号がゲートロック検出センサ125から入力されている
(b) 継手63Aと継手63Bとが接続されていることを示す検出信号が接続状態検出センサ124から入力されている
(c) 上部燃料タンク40の燃料が上部燃料タンク40の容量の上限にまで達していないことを示す検出信号が第1上限検出センサ121から入力されている
(d) 下部燃料タンク50の燃料があらかじめ設定した下限容量にまで減っていないことを示す検出信号が下部燃料タンク下限検出センサ123から入力されている
【0027】
また、制御回路101は、燃料ポンプ60の起動後も上述した起動条件(a)〜(d)を監視しており、起動条件(a)〜(d)が1つでも満たさなくなった場合には、燃料ポンプ60を停止させる。なお、起動条件(a)〜(d)の意味合いについて以下に説明する。
【0028】
起動条件(a)は、燃料ポンプ60の駆動中に上部旋回体9の旋回を禁止するために設けられた条件である。ホース62を配管64に接続したまま上部旋回体9が旋回されるとホース62の破断等を招き、燃料ポンプ60から供給される燃料が外部に漏れてしまうこととなるからである。
【0029】
起動条件(b)は、ホース62を配管64に接続しない状態で燃料ポンプ60が起動されることを禁止するために設けられた条件である。ホース62が配管64に接続されていないと、燃料ポンプ60から供給される燃料がホース62から外部に漏れてしまうこととなるからである。
【0030】
起動条件(c)は、上部燃料タンク40の燃料が上部燃料タンク40の容量の上限に達した状態で、さらに上部燃料タンク40に給油されること禁止するために設けられた条件である。上部燃料タンク40の燃料が上部燃料タンク40の容量の上限に達した後もなお給油が継続されると、上部燃料タンク40から燃料があふれ出てしまうこととなるからである。また、起動条件(c)は、給油中に上部燃料タンク40の燃料が上部燃料タンク40の容量の上限に達したときに燃料ポンプ60を自動的に停止させるための条件でもある。
【0031】
起動条件(d)は、下部燃料タンク50の燃料があらかじめ設定した下限容量よりも減った状態で燃料ポンプ60が起動されることを禁止するために設けられた条件である。下部燃料タンク50の燃料があらかじめ設定した下限容量よりも減った状態で燃料ポンプ60が駆動されると燃料ポンプ60が空気を吸うこととなり、このまま駆動され続けると燃料ポンプ60の破損を招く恐れがあるからである。また、起動条件(d)は、給油中に下部燃料タンク50の燃料があらかじめ設定した下限容量まで減ったときに燃料ポンプ60を自動的に停止させるための条件でもある。
【0032】
上述のようにして燃料ポンプ60が起動されると、制御回路101は、給油状態に応じて外部表示灯126の表示状態を制御する。具体的には、制御回路101は、燃料ポンプ60が駆動中であり、かつ、上部燃料タンク40の燃料が上述した準上限容量にまで達していないことを示す検出信号が上部燃料タンク第2上限検出センサ122から入力されている時には、外部表示灯126を連続的に点灯させる。また、制御回路101は、燃料ポンプ60が駆動中であり、かつ、上部燃料タンク40の燃料が準上限容量に達したことを示す検出信号が上部燃料タンク第2上限検出センサ122から入力されている時には、外部表示灯126を点滅させる。
【0033】
制御回路101は、上述した起動条件(a)〜(d)が1つでも満たさなくなった場合、および、燃料ポンプ起動スイッチ127から燃料ポンプ60を停止する操作信号を受信した場合には、上述したように燃料ポンプ60を停止させるとともに、点灯または点滅させていた外部表示灯126を消灯させる。たとえば、制御回路101は、上部燃料タンク40の燃料が上部燃料タンク40の容量の上限に達したことを示す検出信号が第1上限検出センサ121から入力されると、燃料ポンプ60を停止させるとともに、外部表示灯126を消灯させる。
【0034】
オペレータは、外部表示灯126の表示状態を視認することで、現在どのような給油状態であるのかを把握できる。たとえば、休憩から戻ってきたオペレータが、外部表示灯126が消灯していることを視認すれば、燃料ポンプ60が停止していることを認識できる。また、休憩から戻ってきたオペレータが、外部表示灯126が点滅していることを視認すれば、給油がまもなく終了することを認識できる。また、休憩から戻ってきたオペレータが、外部表示灯126が点灯していることを視認すれば、給油終了までまだ少し時間がかかることを認識できる。
【0035】
本実施の形態のクレーン1では、次の作用効果を奏する。
(1) トラックフレーム3と同程度の高さ位置に補助的な燃料タンクである下部燃料タンク50を設け、外部からは下部燃料タンク50へ給油するようにし、燃料ポンプ60の起動条件が満たされていれば、下部燃料タンク50に給油された燃料を給油ポンプ60で上部燃料タンク40に供給できるように構成した。これにより、地上のタンクローリ等から給油ガンおよび給油ホースを上部旋回体9に設けられている上部燃料タンク40にまで導く必要がなくなり、給油が容易となる。
【0036】
(2) 起動条件(a)〜(d)が全て揃っているときに、燃料ポンプ起動スイッチ127から燃料ポンプ60を起動する操作信号を受信すると、燃料ポンプ60を起動するように構成した。これにより、燃料ポンプ60を起動することが適当ではない場合に燃料ポンプ60が起動されることによって生じる不具合を防止できる。
【0037】
(3) 燃料ポンプ60の起動後も、起動条件(a)〜(d)が1つでも満たさなくなった場合には、燃料ポンプ60を停止させるように構成した。これにより、燃料ポンプ60の駆動を継続することが適当ではない場合に燃料ポンプ60が起動されることによって生じる不具合を防止できる。また、オペレータの休憩時間等を利用して、無人で給油を済ますことができるので、効率的である。
【0038】
(4) ゲートロックレバーがゲートロック位置に操作されていることを示す検出信号がゲートロック検出センサ125から入力されていることを起動条件の1つとするように構成した。これにより、ホース62を配管64に接続したまま上部旋回体9が旋回されてホース62が破断等されて、燃料ポンプ60から供給される燃料が外部に漏れてしまうというような不具合を防止できる。
【0039】
(5) 継手63Aと継手63Bとが接続されていることを示す検出信号が接続状態検出センサ124から入力されていることを起動条件の1つとするように構成した。これにより、ホース62が配管64に接続されないまま燃料ポンプ60が起動されて、燃料がホース62から外部に漏れてしまうというような不具合を防止できる。
【0040】
(6) 上部燃料タンク40の燃料が上部燃料タンク40の容量の上限にまで達していないことを示す検出信号が第1上限検出センサ121から入力されていることを起動条件の1つとするように構成した。これにより、上部燃料タンク40から燃料があふれ出てしまうというような不具合を防止できる。
【0041】
(7) 下部燃料タンク50の燃料があらかじめ設定した下限容量にまで減っていないことを示す検出信号が下部燃料タンク下限検出センサ123から入力されていることを起動条件の1つとするように構成した。これにより、燃料ポンプ60が空気を吸ったまま駆動され続けることで破損するというような不具合を防止できる。
【0042】
(8) 給油状態に応じて外部表示灯126の表示状態を制御するように構成した。これにより、外部表示灯126の表示状態を視認することで、現在どのような給油状態であるのかを把握できるので、利便性が高い。
【0043】
−−−変形例−−−
(1) 上述の説明では、起動条件の1つとして、「ゲートロックレバーがゲートロック位置に操作されていることを示す検出信号がゲートロック検出センサ125から入力されている」(起動条件(a))ことを必要とした。また、起動条件の1つとして、「継手63Aと継手63Bとが接続されていることを示す検出信号が接続状態検出センサ124から入力されている」(起動条件(b))ことを必要とした。しかし、本発明は、これに限定されず、たとえば、上述した起動条件(a)や起動条件(b)を必須の条件としなくてもよい。
【0044】
(2) 上述の説明では、起動条件の1つとして、「ゲートロックレバーがゲートロック位置に操作されていることを示す検出信号がゲートロック検出センサ125から入力されている」(起動条件(a))ことを必要とした。しかし、本発明はこれに限定されない。たとえば、上部旋回体9の旋回操作がされているか否かを検出する検出センサを設け、上述した起動条件(a)に代えて、「上部旋回体9の旋回操作がされていないことを示す検出信号が当該検出センサから入力されている」ことを起動条件の1つとしてもよく、上述した作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0045】
(3) たとえば、ホース62と配管64とを接続したままで、ゲートロック解除状態となったときには、オペレータに警報を発するようにしてもよい。具体的には、たとえば、継手63Aと継手63Bとが接続されていることを示す検出信号が接続状態検出センサ124から入力されているときに、ゲートロックレバーがゲートロック解除位置に操作されていることを示す検出信号がゲートロック検出センサ125から入力されると、制御回路101がたとえばキャブ11内に設けた警報装置を作動させるように構成してもよい。また、この場合には、上部旋回体9の旋回操作がされたとしても上部旋回体9が旋回しないようにインターロックをかけるようにしてもよい。
【0046】
(4) 上述の説明では、センサ121〜123には、静電容量式のセンサや、フロート式のレベルスイッチなどを用いるように構成しているが、これらに代えて、連続的に液面の高さを検出可能なセンサを用いてもよい。
【0047】
(5) たとえば、下部走行体2に対する上部旋回体9の回転位置が所定の位相範囲内にあるか否かを検出するセンサを設け、当該センサによって、下部走行体2に対する上部旋回体9の回転位置が所定の位相範囲内にあることが検出された場合でないと燃料ポンプ60を起動できないように構成してもよい。
(6) 上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0048】
なお、本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、下部走行体にポストを介して設置された上部旋回体に設けられる主燃料タンクと、下部走行体に設けられる補助燃料タンクと、主燃料タンクと補助燃料タンクとを接続する燃料ホースと、補助燃料タンクの燃料を主燃料タンクへ補給する燃料ポンプと、燃料ポンプの駆動を許可するか否かを選択する燃料スイッチと、補助燃料タンクの燃料を主燃料タンクへ補給可能か否かを判断する補給可否判断手段と、燃料スイッチで燃料ポンプの駆動が許可され、かつ、補給可否判断手段で補助燃料タンクの燃料を主燃料タンクへ補給可能であると判断されたときに、燃料ポンプを駆動するように制御する燃料ポンプ駆動制御手段とを備えることを特徴とする各種構造の燃料補給装置、およびこの燃料補給装置を備える各種構造の作業機械を含むものである。
【符号の説明】
【0049】
1 作業機械(クレーン) 2 下部走行体
3 トラックフレーム 7 ポスト
40 上部燃料タンク 50 下部燃料タンク
60 給油ポンプ 63 急速継手
100 制御装置 101 制御回路
121 上部燃料タンク第1上限検出センサ
122 上部燃料タンク第2上限検出センサ
123 下部燃料タンク下限検出センサ 124 接続状態検出センサ
125 ゲートロック検出センサ 126 外部表示灯
127 燃料ポンプ起動スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体にポストを介して設置された上部旋回体に設けられる主燃料タンクと、
前記下部走行体に設けられる補助燃料タンクと、
前記主燃料タンクと前記補助燃料タンクとを接続する燃料ホースと、
前記補助燃料タンクの燃料を前記主燃料タンクへ補給する燃料ポンプと、
前記燃料ポンプの駆動を許可するか否かを選択する燃料スイッチと、
前記補助燃料タンクの燃料を前記主燃料タンクへ補給可能か否かを判断する補給可否判断手段と、
前記燃料スイッチで前記燃料ポンプの駆動が許可され、かつ、前記補給可否判断手段で前記補助燃料タンクの燃料を前記主燃料タンクへ補給可能であると判断されたときに、前記燃料ポンプを駆動するように制御する燃料ポンプ駆動制御手段とを備えることを特徴とする燃料補給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料補給装置において、
前記燃料ホースが前記主燃料タンクと前記補助燃料タンクとの間で接続されているか否かを判断する燃料ホース接続状態判断手段をさらに備え、
前記補給可否判断手段は、少なくとも前記燃料ホース接続状態判断手段で前記燃料ホースが前記主燃料タンクと前記補助燃料タンクとの間で接続されていないと判断されると、前記補助燃料タンクの燃料を前記主燃料タンクへ補給可能ではないと判断することを特徴とする燃料補給装置。
【請求項3】
請求項1に記載の燃料補給装置において、
前記上部旋回体の旋回操作がされているか否かを判断する旋回操作有無判断手段をさらに備え、
前記補給可否判断手段は、少なくとも前記旋回操作有無判断手段で前記上部旋回体の旋回操作がされていると判断されると、前記補助燃料タンクの燃料を前記主燃料タンクへ補給可能ではないと判断することを特徴とする燃料補給装置。
【請求項4】
請求項1に記載の燃料補給装置において、
前記上部旋回体を旋回可能とするゲートロック解除状態であるか、上部旋回体を旋回不可能とするゲートロック状態であるかを判断するゲートロック状態判断手段をさらに備え、
前記補給可否判断手段は、少なくとも前記ゲートロック状態判断手段でゲートロック解除状態であると判断されると、前記補助燃料タンクの燃料を前記主燃料タンクへ補給可能ではないと判断することを特徴とする燃料補給装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料補給装置と、
下部走行体と、
前記下部走行体にポストを介して設置された上部旋回体とを備えることを特徴とする作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−189886(P2011−189886A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59365(P2010−59365)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(503032946)日立住友重機械建機クレーン株式会社 (104)
【Fターム(参考)】