説明

燃焼機器

【課題】 タンク収納室内に納められた給油タンクが燃焼運転によって振動しガタツキ音が発生するのを防止可能な燃焼機器を提供する。
【解決手段】 機器本体1のタンク収納室11内下部に設置された油受けタンク12に給油タンク10の給油口13を設置する時、油受けタンク12の所定位置に案内する角部案内板27上に設置された三角リブ28の体積を大きくして、給油タンク10の周縁部23に三角リブ28が当接して支持可能とすることで、角部案内板27の補強をしつつ燃焼運転中に発生する振動で給油タンク10が共振してガタツキ音が発生するのを抑制することができ、更に、三角リブ28が周縁部23の垂直方向上部と当接するので、給油タンク10内の燃料が消費され重量が軽くなり振幅が大きくなることを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃油を燃焼させて室内の暖房を行う燃焼機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものにおいては、図7に示すようなものがあった。
101は機器本体であり、102は燃料を貯蔵するカートリッジ式の給油タンク、103は給油タンク102の巻き締めされた周縁部、104は給油タンク102を収納するタンク収納室、105はタンク収納室104下部にあり給油タンク102の給油口を受ける油受けタンク、106は図示しないバーナーに燃料を送る燃料ポンプ、107は給油タンク102を油受けタンク105の所定位置に案内するタンク案内板、108はタンク案内板107のコーナー部に設けられ周縁部103と当接する突起である。
【0003】
このような構成の燃焼機器において、給油タンク102をタンク収納室104の所定位置に装着した時、タンク案内板107と一体に設けられた突起108が周縁部103と当接することで、燃焼運転時の振動によって給油タンク102が共振し、ガタツキ音が発生することを防止するものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実登2552504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この従来のものでは、略四角筒状に形成された一つの鋼板で構成されるタンク案内板107に突起108が一体に形成されているため、機器本体101に強い衝撃が加わる等でタンク案内板107や突起108が変形すると、給油タンク102をタンク収納室104内から抜き差しできず、燃焼運転が不可能になる。
【0006】
また、突起108が変形したことで部品の交換が必要になった時、突起108はタンク案内板107と一体に形成されているので、交換するにはタンク案内板107を全て取り替える必要があり作業効率が悪い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では機器本体と、燃料を燃焼させる燃焼部と、燃料を貯蔵したカートリッジ式の給油タンクと、該給油タンクを構成する鋼板の接続面を巻き締めた周縁部と、前記給油タンクを着脱自在に設置し燃焼部へ送る燃料を貯蔵する油受けタンクと、該油受けタンクの上方に給油タンクを案内するタンク案内板と、該タンク案内板の角部には、複数の突起片を設けた角部案内板とを備えた燃焼機器において、前記突起片のうち少なくとも一つは給油タンクの周縁部の垂直方向上部と当接するように形成したものである。
【0008】
また、請求項2では、前記突起片は断面三角形であり、一辺が周縁部と当接するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の請求項1によれば、角部案内板に設置された突起片の少なくとも一つが周縁部と当接するように形成したことで、新たに部品を追加することなく角部案内板の補強と給油タンクの支持が同時にでき、角部案内板の突起片の形状を変化させているので、突起片が変形してもタンク案内板を全て交換する必要がなく作業効率が上がり、更に、突起片が周縁部の垂直方向上部と当接するので、給油タンク内の燃料量が少なくなり共振の振幅が大きくなることを抑制できる。
【0010】
また、この発明の請求項2によれば、突起片の一辺が給油タンクの周縁部に当接するので、当接範囲を広く取ることで共振によるガタツキ音の発生を最大限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の一実施形態を示す燃焼機器の正面斜視図
【図2】同実施形態の機器本体内部構造を示す正面図
【図3】同実施形態の給油タンクを示す側面図
【図4】同実施形態のタンク案内板を説明する要部斜視図
【図5】同実施形態の突起片を説明する要部拡大図
【図6】同実施形態の給油タンク支持構造を説明する要部拡大図
【図7】従来の燃焼機器の一実施形態を示す上部断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る発明の一実施形態を図1、2に基づいて説明する。
1は機器本体であり、2は機器本体1の上面を構成する上面板、3は上面板2にあり各種スイッチで操作を行う操作部、4は機器本体1の左右側面を構成する側面板、5は側面板4上にあり機器本体1を運搬する時に手を入れ込む取手部、6は機器本体1の正面を構成する正面板、7は正面板6上にあり温風を吹き出す温風吹き出し口、8は機器本体1の底板上に設置された脚部、9は脚部8を設置する置き台である。
【0013】
10は内部に燃料を貯蔵するカートリッジ式の給油タンクであり、11は給油タンク10を内部に納めるタンク収納室、12はタンク収納室11の底面にあり給油タンク10内に貯蔵された燃料を給油口13からの供給を受けて一定量貯めておく油受けタンクである。
【0014】
14は燃焼部で、油受けタンク12から燃料ポンプ15で送られた燃料を気化させ、給気管16より送風された燃焼用空気を混合して燃焼させるバーナを内部に備えた外筒17よりなる。
【0015】
18は熱交換器部で、外筒17より導かれた高温の排気ガスについて配管内部の蛇行した排気ガス通路を通過させることにより、排気ガスの熱と対流ファン19によって送風される空気とを効率よく熱交換させる熱交換器20と、該熱交換器20で熱交換を行った後の排気ガスを室外へ導く排気管21とからなる。
【0016】
次に、給油タンク10の形状に関して図3に基づいて詳細に説明する。
22は鋼板をプレス加工で絞って形成されるタンク本体板であり、23はタンク本体板22とタンク側面板24の端辺を図中のAで示されるように巻き締め加工することで形成される周縁部、25は給油タンク10を給油時等に持ち上げて運ぶためのタンク取手部、このタンク本体板22と、周縁部23と、タンク側面板24と、タンク取手部25とで給油タンク10は構成されている。
【0017】
次に、給油タンク10の支持に関して図4から図6に基づいて説明する。
26は油受けタンク12に給油タンク10を設置した時タンク本体板22の垂直方向と平行な面に対して隣り合うタンク案内板であり、27はタンク本体板22とタンク側面板24の垂直方向と平行な面に対して隣り合う断面略L字状の角部案内板で、このタンク案内板26と角部案内板27とで給油タンク10を油受けタンク12の上方である所定位置に案内している。
【0018】
28は角部案内板27のコーナー部に設置され鋼板同士の接続面を固定して補強する別部品の突起片としての三角リブであり、角部案内板27のコーナー部の垂直方向に所定の間隔を空けて複数個設置され、二辺が角部案内板27にそれぞれ隣接することで接続面を補強している。
【0019】
そして、周縁部23と隣り合う箇所に設置された三角リブ28の体積を増加させることで、給油タンク10がタンク収納室11内に設置された時に周縁部23と三角リブ28の一辺が当接し、燃焼運転中に対流ファン19が駆動する等によって発生する振動によって給油タンク10が共振してガタツキ音が発生することを抑えることができる。
【0020】
また、角部案内板27に設置された別部品の三角リブ28で給油タンク10を支持することから、外部からの衝撃によって三角リブ28が設置箇所から外れてもタンク収納室11内に給油タンク10を設置できるので燃焼運転を継続することができ、三角リブ28を交換する時も角部案内板27のみを取り外すだけで可能となるので作業性がよい。
【0021】
また、周縁部23と当接する三角リブ28を給油タンク10の上部側に設置することで、給油タンク10内に貯蔵された燃料が減少して重量が軽くなり共振による振幅が大きくなっても、給油タンク10の上部側を支持して共振を防止するので、振幅が大きくなることがなくガタツキ音の発生が抑制される。
【0022】
また、三角リブ28が巻き締めされた周縁部23に当接することで、給油等をするために給油タンク10を抜き差しする時に周縁部23と三角リブ28が擦れるが、周縁部23は巻き締めされていることで厚みがあるため傷が残りにくく、給油タンク10の外観を損ねるおそれがない。
【0023】
以上により、角部案内板27の上部に給油タンク10の周縁部23と当接するよう体積を増加した三角リブ28を少なくとも一つ設置することで、燃焼運転中の振動によって給油タンク10が共振してガタツキ音が発生することが防止でき、三角リブ28と垂直方向上部にある巻き締めされた周縁部23とが当接することで、燃料が減少して給油タンク10の重量が軽くなり共振しやすくなった時の振幅を抑制することができ、巻き締め加工されたことで厚みがある周縁部23に当接することで、給油等で給油タンク10を抜き差しする時に三角リブ28と擦れても傷が付きくく外観を損ねるおそれがない。
【符号の説明】
【0024】
1 機器本体
10 給油タンク
12 油受けタンク
14 燃焼部
23 周縁部
26 タンク案内板
27 角部案内板
28 三角リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体と、燃料を燃焼させる燃焼部と、燃料を貯蔵したカートリッジ式の給油タンクと、該給油タンクを構成する鋼板の接続面を巻き締めた周縁部と、前記給油タンクを着脱自在に設置し燃焼部へ送る燃料を貯蔵する油受けタンクと、該油受けタンクの上方に給油タンクを案内するタンク案内板と、該タンク案内板の角部には、複数の突起片を設けた角部案内板とを備えた燃焼機器において、前記突起片のうち少なくとも一つは給油タンクの周縁部の垂直方向上部と当接するように形成したことを特徴とする燃焼機器。
【請求項2】
前記突起片は断面三角形であり、一辺が周縁部と当接することを特徴とする請求項1に記載の燃焼機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−78043(P2012−78043A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225383(P2010−225383)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】