説明

物品保持装置

【課題】紐状取手を有する取手付きの物品を適切に保持できる物品保持装置を提供する。
【解決手段】物品保持装置10は、互いに接近および離反可能であり、接近時に物品本体A1を両側方から挟持する一対の挟持体12を備える。各挟持体12の下部には、物品本体A1の下方に対して進退可能であり、進出時に物品本体A1の下面を支持する下面支持体13を設ける。挟持体12は、物品本体A1の側面のうち紐状取手A2がない部分に当接する挟持部31と、紐状取手A2に当接してこの紐状取手A2を物品本体A1の側面に略沿った状態に撓ませる取手当接部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取手を有する取手付きの物品を適切に保持できる物品保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された物品保持装置が知られている。この従来の物品保持装置は、互いに接近および離反可能であり接近時に物品を両側方から挟持する一対の挟持体と、これら一対の挟持体のうちの一方の挟持体に設けられ両挟持体にて挟持された物品の側面に吸着するバキュームカップとを備えている。
【特許文献1】特公平8−22699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の物品保持装置を用いて、例えば略直方体状の物品本体の側面から可撓性の取手が突出した物品を保持しようとした場合には、挟持体が取手を介して物品本体の側面に当接して挟持体と物品本体の側面との間で取手が挟まれ、挟持体と物品本体の側面との間に取手の厚さ寸法に対応した間隙ができるため、両挟持体の挟持力およびバキュームカップの吸着力が低下し、物品の落下等の不具合が生じるおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、取手を有する取手付きの物品を適切に保持できる物品保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の物品保持装置は、物品本体とこの物品本体の側面から突出する可撓性の取手とを有する物品を保持する物品保持装置であって、互いに接近および離反可能であり、接近時に物品本体を両側方から挟持する対をなす挟持体と、物品本体の下方に対して進退可能であり、進出時に物品本体の下面を支持する下面支持体とを備え、前記挟持体は、取手収容部と、物品本体の側面に取手を挟まないように当接する挟持部と、取手に当接してこの取手を物品本体の側面に略沿った状態に撓ませて前記取手収容部内に位置させる取手当接部とを有するものである。
【0006】
請求項2記載の物品保持装置は、請求項1記載の物品保持装置において、挟持部は、互いに離間対向する対をなす上下方向長手状の角柱部材を有し、取手当接部は、前記両角柱部材に架設された板部材を有し、前記両角柱部材間の取手収容部内に、取手が前記板部材との当接により物品本体の側面に略沿った状態になって収容されるものである。
【0007】
請求項3記載の物品保持装置は、請求項2記載の物品保持装置において、下面支持体は、進出時に物品本体の下方に進出して物品本体の下面を支持し、退避時に物品本体の下方から退避して物品本体の下面の支持を解除する下面支持部を有し、前記下面支持部は、挟持部の角柱部材の下方から物品本体の下方に進出するものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、挟持体の挟持部が物品本体の側面に取手を挟まないように当接するため、取手を有する取手付きの物品を適切に保持でき、しかも、挟持体の取手当接部が取手に当接してこの取手を物品本体の側面に略沿った状態に撓ませて取手収容部内に位置させるため、取手の不用意な引っ掛かりを防止できる。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、挟持体の両角柱部材間の取手収容部内に、取手が板部材との当接により物品本体の側面に略沿った状態になって収容されるため、取手の不用意な引っ掛かりを効果的に防止できる。
【0010】
請求項3に係る発明によれば、下面支持体の下面支持部は挟持部の角柱部材の下方から物品本体の下方に進出するため、下面支持部で取手を破損する不具合等を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の物品保持装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図5において、1は物品供給装置で、この物品供給装置1は、コンベヤ等にて構成され、ケース等の取手付きの物品Aを待機位置に順次供給する。また、2は台車スタッカーで、この台車スタッカー2は、台車Bを待機位置に順次供給する。さらに、3a,3bは搬送装置で、これら搬送装置3a,3bは、コンベヤ等にて構成され、例えば複数個(例えば8個)の物品Aが1段に2個ずつ複数段に積み付けられた台車Bを1台ずつ順次搬送する。
【0013】
そして、物品供給装置1と台車スタッカー2との間に位置には、積付装置であるロボットパレタイザー5が配設されている。ロボットパレタイザー5は、台車スタッカー2の待機位置の台車Bを保持して搬送装置3a,3bの搬送始端位置まで移載する台車移載動作、および物品供給装置1の待機位置の物品Aを保持して搬送装置3a,3bの搬送始端位置の台車B上まで移載して複数段状に積み付ける物品移載動作等を行う。
【0014】
ここで、取手付きの物品Aは、図6に示すように、上方に向って開口した外形略直方体状で上面開口状の物品本体A1と、物品本体A1の左右の両側面から突出する左右一対の弾性変形可能な可撓性の取手である紐状取手A2とを有している。
【0015】
物品本体A1は、平面視で略矩形状で、左右方向長さ寸法が前後方向長さ寸法より長く、この物品本体A1の左右方向長さ寸法が台車Bの幅寸法と略同じである。台車Bの長さ寸法は、物品本体A1の前後方向長さ寸法の略2倍であり、1台の台車B上に2個の物品Aが互いに隣接した状態で載置される。
【0016】
紐状取手A2は、帯形状の紐状部材aにて略U字状に形成され、この紐状部材aの両端部が物品本体A1の側面上部の中央部に取り付けられている。紐状取手A2は、撓み弾性変形する前の状態(自然状態)時には、上端側から下端側に向って物品本体A1の鉛直状の側面から徐々に離れる傾斜状態となっている。この傾斜状態の紐状取手A2の物品本体A1の側面からの突出長さL1は、例えば略100mmである(図1参照)。
【0017】
そして、ロボットパレタイザー5による物品Aの保持時には、紐状取手A2は、撓み弾性変形により物品本体A1の側面に略沿った状態である鉛直状態となって物品本体A1の側面中央部に位置し、この鉛直状態の紐状取手A2の物品本体A1の側面からの突出長さL2は、例えば略40mmである。この際、紐状取手A2には無理な負荷はかからず、保持解除すれば、紐状取手A2は弾性復元力により掴み易い元の傾斜状態に復帰する。
【0018】
ロボットパレタイザー5は、図1に示すように、基台6を備え、基台6にはロボットアーム7の基端部が取り付けられ、このロボットアーム7の先端部にはハンド装置としてのロボットハンドである物品保持装置10が上下方向の回動軸8を中心として回動可能に取り付けられている。
【0019】
物品保持装置10は、図1ないし図3に示すように、ロボットアーム7の作動に応じて所定の移動範囲内で鉛直方向および水平方向を含む全方向に移動可能な移動体であるベース体11を備え、このベース体11の上面中央部にロボットアーム7の回動軸8の下端部が取り付けられている。
【0020】
また、物品保持装置10は、ベース体11に水平移動可能に設けられ、互いに接近および離反可能すなわち例えば接離移動可能で、接近時に物品本体A1を左右両側方から両側面に直接当接して挟持、つまり物品本体A1の左右両側面を挟持する左右一対の把持材等の挟持体12と、各挟持体12の下部に水平移動可能に設けられ、物品本体A1の下方に対して進退可能で、進出時に物品本体A1の下面における前後左右の4箇所を支持するフォーク等の下面支持体13とを備えている。
【0021】
ベース体11は左右方向長手状の前後一対の平行なガイドレール部14を有しており、各挟持体12は、互いに離間対向する挟持体12を互いに接近および離反させる伸縮可能な挟持体駆動手段である複数本、例えば2本のエアシリンダ等の挟持体用シリンダ15の作動によりベース体11に対してガイドレール部14に沿って移動する。
【0022】
挟持体用シリンダ15は、シリンダ本体16と、このシリンダ本体16内に対して出入りするロッド17とを有している。シリンダ本体16は、取付枠18を介してベース体11に取り付けられている。ロッド17の先端部は、図2に示されるように、一方の挟持体12の上端部のロッド取付部19に取り付けられている。また、ベース体11の左右方向両端部にはプーリ等の回転体20が上下方向の軸21を中心として回転可能に取り付けられ、これら互いに離間対向する両回転体20には、タイミングベルト等の無端体22が回行可能に掛け渡されている。無端体22の一方側である後側(図2中、上側)には一方の挟持体12の上端部の連結部23が連結され、無端体22の他方側である前側(図2中、下側)には他方の挟持体12の上端部の連結部24が連結されている。
【0023】
そして、挟持体用シリンダ15が伸びると、無端体22が一方向に向って回行し、一対の挟持体12が互いに接近する方向に向って同時に接近移動する。挟持体用シリンダ15が縮むと、無端体22が他方向に向って回行し、一対の挟持体12が互いに離反する方向に向って同時に離反移動する。
【0024】
また、各挟持体12は、図3および図4に示されるように、両挟持体12の接近時に、物品Aの物品本体A1の側面のうち、紐状取手A2を物品本体A1の側面との間で挟まないように、紐状取手A2がない部分(紐状取手A2を避けた位置の部分であって、図3中斜線を施した部分E以外の部分)、すなわち例えば物品本体A1の側面における前後端近傍部分に直接当接する挟持部31を有している。また、各挟持体12は、両挟持体12の接近時に、物品Aの紐状取手A2に当接してこの紐状取手A2を物品本体A1の側面に略沿った状態に撓み弾性変形させて取手収容部36内に収容位置させる取手当接部32を有している。
【0025】
挟持部31は、互いに離間対向する前後一対の上下方向長手状で断面4角形状、例えば正方形状で中空状の4角パイプ等の角柱部材34にて構成されている。また、取手当接部32は、互いに平行な両角柱部材34に架設された略矩形板状で鉛直状の板部材35にて構成されている。そして、両挟持体12の接近時には、物品本体A1の側面前後側に当接した前後一対の両角柱部材34間の空間部である取手収容部36内に、紐状取手A2が板部材35との当接により物品本体A1の側面に略沿った状態になって収容される。
【0026】
ここで、挟持部31の角柱部材34の上端部が、ガイドレール部14に嵌合した嵌合溝37が形成された取付部であるスライド部38に取り付けられている。角柱部材34は、物品本体A1の側面に面状に直接当接する側面当接面40を物品本体A1と対向する側の内面に有している。そして、角柱部材34の物品本体A1と対向する側とは反対の外面下部に、取手当接部32の板部材35の長手方向両端部が溶接等により固着されている。この板部材35は、紐状取手A2に当接する取手当接面41を物品本体A1と対向する側の内面に有している。
【0027】
また、取手当接部32である板部材35の外面には、下面支持体13を物品Aの物品本体A1の下方に対して進退させる伸縮可能な支持体駆動手段であるエアシリンダ等の支持体用シリンダ45が取付枠46を介して取り付けられている。すなわち、挟持体12の取手当接部32の外面側に、下面支持体13が支持体用シリンダ45および取付枠46を介して設けられ、各下面支持体13は支持体用シリンダ45の作動により挟持体12に対して水平移動して物品本体A1の下方に対して進退する。すなわち、各下面支持体13は支持体用シリンダ45の作動に基づき進出位置および退避位置間で移動する。
【0028】
支持体用シリンダ45は、シリンダ本体48と、このシリンダ本体48内に対して出入りするロッド49とを有している。シリンダ本体48は、取付枠46を介して板部材35の外面に取り付けられている。ロッド49の先端部は、下面支持体13の鉛直状のロッド取付板部50に取り付けられている。このロッド取付板部50の長手方向両端部には下方に向って膨出する膨出部分50aが形成され、各膨出部分50aの下端部から細長い板状で水平状の下面支持部51が内方に向って突出している。
【0029】
そして、支持体用シリンダ45が伸びると、下面支持体13は、挟持体12に対して内方に向って進出位置まで移動して物品本体A1の下方に進出する。支持体用シリンダ45が縮むと、下面支持体13は、挟持体12に対して外方に向って退避位置まで移動して物品本体A1の下方から退避する。そして、下面支持体13の下面支持部51は、下面支持体13の進出時には角柱部材34の下方の近傍位置から物品本体A1の下方に進出して物品本体A1の下面を支持し、下面支持体13の退避時には物品本体A1の下方から退避して物品本体A1の下面の支持を解除する。下面支持部51の上面が物品本体A1の下面を支持する支持面52となっている。
【0030】
なお、ベース体11の下面の近傍には、挟持体用シリンダ15のグリスやガイドレール部14のグリス等の異物が、両挟持体12にて挟持した上面開口状の物品A内に落下することを防止するトレイ形状のごみ受けである異物受け55が水平状に配設されている。異物受け55はこの長手方向両端部が取付板56を介してベース体11の端部に取り付けられ、この異物受け55は挟持体12のスライド部38に形成された挿通孔57に挿通されている。
【0031】
次に、上記ロボットパレタイザー5の動作等を説明する。
【0032】
図7を参照しつつ、ロボットパレタイザー5による物品移載動作を説明する。
【0033】
まず、図7(a)に示すように、一対の挟持体12を互いに離反させ下面支持体13を退避位置に位置させた状態で、ロボットアーム7の作動によりロボットハンドである物品保持装置10全体を下降させ、一対の挟持体12を物品供給装置1の待機位置の物品Aの物品本体A1の両側方に位置させる。
【0034】
そして、図7(b)に示すように、挟持体用シリンダ15の作動つまり電磁弁閉オンにより一対の挟持体12を互いに接近させると、挟持部31の角柱部材34の側面当接面40が物品本体A1の両側面に当接し、両挟持部31にて物品本体A1が所望の挟持圧で挟持されて物品Aがセンタリングされ、また同時に、取手当接部32の板部材35の取手当接面41が両紐状取手A2に当接し、その紐状取手A2は、撓み弾性変形して物品本体A1の側面に略沿った鉛直状態になり、両角柱部材34間の取手収容部36内に収容される。
【0035】
次いで、図7(c)に示すように、支持体用シリンダ45の作動つまり電磁弁オンにより一対の下面支持体13を退避位置から進出位置まで移動させると、4本の下面支持部51が、挟持部31の角柱部材34の下方の近傍位置から物品本体A1の下方に進出する。
【0036】
そして、この状態でロボットアーム7が作動し、物品Aは、挟持部31の側面当接面40にて物品本体A1の両側面が挟持されるとともに取手当接部32の取手当接面41にて紐状取手A2が取手収容部36内に収容されかつ下面支持部51の支持面52にて物品本体A1の下面が支持された状態で、搬送装置3a,3bの搬送始端位置の台車Bまたは台車B上に既に積み付けられた物品Aの上方位置まで移載される。
【0037】
次いで、挟持体用シリンダ15が作動つまり電磁弁がオフ(センターオープン)すると、挟持部31による物品本体A1の挟持圧(把持圧力)が減少してフリーになる。この際、挟持部31は定位置で移動せず、物品本体A1の側面に当接した状態が維持される。
【0038】
その後、支持体用シリンダ45の作動つまり電磁弁オフにより一対の下面支持体13を進出位置から退避位置まで移動させて4本の下面支持部51を物品本体A1の下方から退避させると、図7(d)に示すように、物品Aは、自重によって挟持部31にて案内されながら落下し、例えば台車B上に既に積み付けられた物品Aの上面上に積み付けられる。この際、紐状取手A2は、取手当接部32の板部材35の取手当接面41から離れると、弾性復元力により元の傾斜状態に復帰する。
【0039】
次いで、図7(e)に示すように、挟持体用シリンダ15の作動つまり電磁弁開オンにより一対の挟持体12を互いに離反させた後、ロボットアーム7を作動させて次の物品Aに対する移載動作を行う。そして、このような物品移載動作の繰り返しにより台車B上に所定個数の物品Aが段積みされ、所定個数の物品Aが段積みされた台車Bは搬送装置3a,3bにて次工程に搬送される。そして、台車Bが次工程に搬送させていくと、ロボットパレタイザー5が台車移載動作を開始する。
【0040】
そこで、図8を参照しつつ、ロボットパレタイザー5による台車移載動作を説明する。
【0041】
図8(a)に示すように、一対の挟持体12を互いに離反させ下面支持体13を退避位置に位置させた状態で、ロボットアーム7の作動により物品保持装置10全体を下降させ、一対の挟持体12を台車スタッカー2の待機位置の台車Bの台車枠両側方に位置させる。
【0042】
そして、図8(b)に示すように、挟持体用シリンダ15の作動つまり電磁弁閉オンにより一対の挟持体12を互いに接近させると、挟持部31の角柱部材34の側面当接面40が台車Bの台車枠の両側面に当接し、両挟持部31にて台車Bが所望の挟持圧で挟持されて台車Bがセンタリングされる。
【0043】
次いで、図8(c)に示すように、支持体用シリンダ45の作動つまり電磁弁オンにより一対の下面支持体13を退避位置から進出位置まで移動させると、4本の下面支持部51が、挟持部31の角柱部材34の下方の近傍位置から台車Bの台車枠の下方に進出する。
【0044】
そして、この状態でロボットアーム7が作動し、台車Bは、挟持部31の側面当接面40にて台車枠の両側面が挟持されかつ下面支持部51の支持面52にて台車枠の下面が支持された状態で、搬送装置3a,3bの搬送始端位置の上方位置まで移載される。
【0045】
次いで、挟持体用シリンダ15が作動つまり電磁弁がオフ(センターオープン)すると、挟持部31による台車Bの挟持圧(把持圧力)が減少してフリーになる。この際、挟持部31は定位置で移動せず、台車Bの台車枠の側面に当接した状態が維持される。
【0046】
そして、図8(d)に示すように、この状態でロボットアーム7の作動により物品保持装置10全体を下面支持部51の支持面52が台車Bの台車枠の下面から離れる位置まで下降させ、台車Bを搬送装置3a,3bの搬送始端位置上に着地させる。
【0047】
次いで、図8(e)に示すように、挟持体用シリンダ15の作動つまり電磁弁開オンにより一対の挟持体12を互いに離反させると同時に、支持体用シリンダ45の作動つまり電磁弁オフにより一対の下面支持体13を退避位置まで移動させて4本の下面支持部51を台車の下方から退避させた後、ロボットアーム7を作動させて次の動作を行う。
【0048】
そして、上記物品保持装置10によれば、挟持体12の挟持部31が、物品本体A1の側面にその側面との間で紐状取手A2を挟まないように直接当接するため、挟持部31と物品本体A1の側面との間で紐状取手A2を挟むことがなく、紐状取手A2を有する取手付きの物品Aを所望の保持力をもって適切に保持でき、積付けの乱れも防止できる。
【0049】
また、挟持体12の取手当接部32が、紐状取手A2に当接してこの紐状取手A2を物品本体A1の側面に略沿った状態に撓ませて取手収容部36内に位置させるため、ロボットアーム7の作動による移動時等において紐状取手A2が他の部材に不用意に引っ掛かることを適切に防止できる。
【0050】
さらに、挟持体12の両角柱部材34間の取手収容部36内に、紐状取手A2が板部材35との当接により物品本体A1の側面に略沿った状態になって収容されるため、紐状取手A2が両角柱部材34間から外方に突出することがなく、紐状取手A2の不用意な引っ掛かりを効果的に防止できる。
【0051】
また、下面支持体13の下面支持部51は挟持部31の角柱部材34の下方から物品本体A1の下方に進出するため、下面支持部51が紐状取手A2に向って進出することがなく、下面支持部51で紐状取手A2を破損する不具合等を防止できる。
【0052】
さらに、ベース体11の下面の近傍には異物受け55が配設されているため、挟持体用シリンダ15のグリスやガイドレール部14のグリス等の異物が蓋のない物品Aの内部に落下することを確実に防止できる。
【0053】
なお、上記実施の形態では、対をなす挟持体12の両方が移動して互いに接近および離反する構成について説明したが、例えばいずれか一方の挟持体12のみが他方に対して接近および離反方向に移動して互いに接近および離反する構成でもよい。
【0054】
また、下面支持体13が挟持体12に設けられた構成には限定されず、例えば下面支持体13がベース体11に設けられた構成等でもよい。
【0055】
さらに、各挟持部31が物品本体A1の側面前後側に当接する前後一対で2本の角柱部材34にて構成されたものには限定されず、例えば各挟持部31が物品本体A1の側面の外周側(図3中斜線を施した部分E以外の部分)に当接する前後上下で4本の角柱部材にて構成されたもの等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態に係る物品保持装置の正面図である。
【図2】同上物品保持装置の平面図である。
【図3】同上物品保持装置の側面図である。
【図4】同上物品保持装置の要部斜視図である。
【図5】同上物品保持装置を備えた設備の概略平面図である。
【図6】同上物品保持装置にて保持する取手付きの物品の斜視図である。
【図7】同上物品保持装置を備えたロボットパレタイザーによる物品移載動作の説明図である。
【図8】同上物品保持装置を備えたロボットパレタイザーによる台車移載動作の説明図である。
【符号の説明】
【0057】
10 物品保持装置
12 挟持体
13 下面支持体
31 挟持部
32 取手当接部
34 角柱部材
35 板部材
36 取手収容部
51 下面支持部
A 物品
A1 物品本体
A2 取手である紐状取手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品本体とこの物品本体の側面から突出する可撓性の取手とを有する物品を保持する物品保持装置であって、
互いに接近および離反可能であり、接近時に物品本体を両側方から挟持する対をなす挟持体と、
物品本体の下方に対して進退可能であり、進出時に物品本体の下面を支持する下面支持体とを備え、
前記挟持体は、
取手収容部と、
物品本体の側面に取手を挟まないように当接する挟持部と、
取手に当接してこの取手を物品本体の側面に略沿った状態に撓ませて前記取手収容部内に位置させる取手当接部とを有する
ことを特徴とする物品保持装置。
【請求項2】
挟持部は、互いに離間対向する対をなす上下方向長手状の角柱部材を有し、
取手当接部は、前記両角柱部材に架設された板部材を有し、
前記両角柱部材間の取手収容部内に、取手が前記板部材との当接により物品本体の側面に略沿った状態になって収容される
ことを特徴とする請求項1記載の物品保持装置。
【請求項3】
下面支持体は、進出時に物品本体の下方に進出して物品本体の下面を支持し、退避時に物品本体の下方から退避して物品本体の下面の支持を解除する下面支持部を有し、
前記下面支持部は、挟持部の角柱部材の下方から物品本体の下方に進出する
ことを特徴とする請求項2記載の物品保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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