説明

真空処理方法及び真空搬送装置

【課題】許容値を越えた位置ずれに対しても適切に処置することができ、しかも、ウエハ異常およびセンサ異常にも適切に対応することが出来る半導体処理装置を提供する。
【解決手段】真空ロボット回転時のウエハの遮光角度を検出するθ軸センサ、及び、真空ロボット伸縮時のウエハの遮光距離を検出するR軸センサの出力に基づいて、ウエハの真空ロボットに対する位置補正量を求め、位置補正量が所定の規格値を外れていた場合に位置データの変更動作を行い、更に所定の許容値を外れていた場合は動作停止を行う。また、真空ロボットハンドとウエハの状態を確認し、問題なければリトライ動作にて位置データの変更動作を行う。また、距離データが所定の規格値を越えていた場合には位置ずれ警告として上位装置に警告を報告し、更に所定の許容値を越えた場合には位置ずれエラーとして動作停止を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体処理装置の処理室等の間で、半導体被処理基板(以下、「ウエハ」という。)を移動させることに関し、更に詳細には、ウエハの位置を補正する真空処理方法及び真空搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造では、処理室等を相互に接続させて、接続された処理室等の間で、ウエハを移送できるようにすることが望ましい。このような移送は、真空搬送室であるバッファ室や処理室を構成する真空容器の側壁の内部を連通する通路を通してこれら内部の室間でウエハを移送する真空搬送装置によって行われる。真空搬送装置は、一般に、半導体エッチングシステム、材料堆積システム、フラットパネルディスプレイエッチングシステムを含む、種々のウエハ処理モジュールと連携して使用される。
【0003】
真空処理における清浄度および高処理精度への要求が増すにつれて、処理工程中および処理工程間を真空条件下で連続して行うため真空搬送装置が採用されている。真空搬送装置は、例えば、ウエハが授受されるポートや容器とウエハが実際に処理される処理室、例えば、その表面をエッチングされたり膜を堆積させたりする複数の処理室との間に設置される。そして、真空搬送装置内に設置されたロボットアームを利用して、これら容器と処理室との間でウエハを搬送してやり取りすることができるように構成されている。
【0004】
一方、このようなロボットの使用において、ウエハを移送するにあたって幾つかの問題が生じていた。例えば、ウエハをロードロック室等の一方の室から目的箇所である別の処理室等他方の室内へ移送する場合に、目的箇所の所望の位置にウエハが適切に設置または位置決めされない問題が生じる虞がある。例えば、特許文献1には、ウエハの中心が適切に設置または位置決めされない場合に、ウエハの位置補正を行うシステムとして、R軸方向にセンサを設けて検出する方式が記載されている。
【特許文献1】特開2007−123556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術であるウエハの位置補正のシステムでは、以下の問題点があった。
(1)補正量Sθ、補正量SRが規格値を外れた場合、補正動作を行うようにしているが、この補正量Sθ、補正量SRには規格値しかないため、規格値を外れた全ての補正量に対して補正動作を行う。したがって、センサ出力不良等による想定外の補正量に対しても補正動作を行うことになる。
(2)ウエハ位置ずれエラーの場合は、事前の警告もなしに装置が停止する。
(3)補正動作後のセンサ出力データをクリアしないため、補正動作後に真空ロボットの収縮動作を行い、そのまま伸張させると、前回動作時のθ軸センサ出力と本伸張時のR軸センサ出力値で計算を行うため、実際の真空ロボットに対する位置データとは異なる計算結果となる。
(4)計算に使用するセンサの出力が複数回ある等のセンサ異常の場合でも、補正計算を行う。
【0006】
本発明の目的は、センサ出力不良等による想定外の補正量、また真空ロボットに対する位置データの誤計算に対しても適切に処置することができ、スループットの高い真空処理装置または真空処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の真空処理方法は、真空搬送室であるバッファ室の内部に配置された真空ロボットによりウエハを上記バッファ室に連結された複数の真空容器のうちの少なくとも1つに搬送し、上記真空容器の内部に配置された試料台上に上記ウエハを載置して処理する真空処理方法であって、上記真空ロボットの回転時に上記ウエハの遮光角度を検出するθ軸センサと、上記真空ロボットの伸縮時に上記ウエハの遮光距離を検出するR軸センサとの出力に基づいて、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置補正量を求め、上記位置補正量が所定の規格値を外れた場合には、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置データの変更動作を行い、更に、所定の許容値を越えた場合には、補正範囲量オーバーエラーとして動作停止を行い、動作停止後は、上記ウエハの上記真空ロボットに対する上記位置補正量と、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置ずれを確認し位置補正データ変更のリトライ動作が出来ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、θ軸センサ及びR軸センサの出力に基づいて、ウエハの真空ロボットに対する回転方向の補正量と直進方向の補正量を求めて、これらが所定の規格値を外れていた場合に位置データの変更動作を行い、許容値を超えていれば補正量範囲オーバーエラーとして動作を停止することができ、かつ補正量範囲オーバーエラー時はウエハクリアにて補正動作のリトライを行うこともできる。また、上記θ軸センサ及び上記R軸センサの出力に基づいて得られた距離データの差が規格値を越えていた場合には、位置ずれエラーとして警告を発信することで、ウエハ保持力低下の警告およびしても適切に対処することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0010】
図1は、本発明の実施例である半導体処理装置100の全体構成図を示している。半導体処理装置100は、複数(4個)の処理室101,102,103,104と、複数(3個)のカセット設置台105との間でウエハを移送することができる。
【0011】
処理室101,102,103,104は、プラズマエッチング、層の堆積、および/またはスパッタリングを実行するための処理室であっても良い。これら処理室101,102,103,104は、所定の圧力(真空圧)に減圧される内部の空間にウエハ等試料が載置される試料台を有した真空処理容器から構成され、その内部の空間に処理用のガスを供給しつつ図示しない電界または磁界の供給手段から電界または磁界を印加して処理室のウエハ上方の空間にプラズマを形成し、試料の表面を処理する処理容器となっている。
【0012】
真空処理装置である半導体処理装置100のバッファ室110は、内部が前記処理室101等の内部と同等の圧力に調節可能な真空容器から構成され、ウエハを真空側に導入するために実装された複数のロードロック室106,107が接続されている。なお、処理室101,102,103,104、バッファ室110、ロードロック室106,107は、減圧された条件で試料を搬送、処理を行う真空側ブロックを構成している。
【0013】
複数のロードロック室106,107は、大気ロボット108が内部の空間に配置された大気搬送室109に接続され、この大気搬送室109は、ウエハが収納されるカセットがその上面に載置されるカセット載置台105を前面側に備えている。ロードロック室106,107は、カセットが連結される大気搬送室109と真空側ブロックとの間でのウエハの取り出しや受け渡しのための開閉機構であるとともに、可変圧インタフェースとして機能する。
【0014】
大気ロボット108は、戴置されるカセット戴置台105に戴置されたカセットからウエハを取り出して、大気搬送室109に運び、大気搬送室109内でウエハのセンタリング及びノッチ合わせを行った後、再び、ロードロック室106または107に搬入する。
【0015】
ロードドック室または107に搬入されたウエハは、その内側に配置された試料台上に載置される。内部が減圧された後、試料台内に配置された複数のピン形状のウエハプッシャーに持ち上げられた状態で真空ロボット111のアーム先端部のハンドがウエハ下方に移動してそのハンド上へウエハの受渡しが行われる。ウエハの受渡しが完了すると真空ロボット111のアームが縮み、ハンド上に載せられたウエハがバッファ室110内に運び込まれる。
【0016】
バッファ室110内で、真空ロボット111の回転動作により、処理室101,102,103,104の方向に向きが変更され、真空ロボット111のアームの伸張動作により、ウエハが、処理室101,102,103,104に移送されて、処理室内で、プラズマエッチング、層の堆積、および/またはスパッタリングなどの処理が実行される。
【0017】
これらの処理は密封された処理室内で行われる。例えば、処理室101の内側に搬送されたウエハは、図示しない試料台上に載置される。この際、ロードロック室106または107内側の構成と同様に、試料台内部に配置された上下に移動してウエハを上下に昇降させる複数のプッシャピンを備えている。
【0018】
これらのプッシャピンが上方に移動した状態で、その上方に位置する真空ロボット111のアーム先端側のハンド上に載せられたウエハがアームの下降に伴ってプッシャピン上に載せられた後、アームがバッファ室110内に移動してウエハの試料台への受渡しが行われる。アームの移動後に、プッシャピンは下方に移動され試料台内に格納されて、ウエハが試料台上の上面の誘電体製膜に被覆されたウエハ載置面上に載せられる。
【0019】
その後、処理室101内に処理用ガスが導入されると共に、処理室101内は図示しない真空ポンプの動作により排気されて所定の圧力(真空圧)に調節される。また、誘電体製膜内に配置された静電吸着用の電極に電力が印加されることで生起されるウエハと誘電体製膜との間の静電吸着力により、試料台上のウエハ載置面上にウエハが吸着、保持される。
【0020】
さらに、ウエハ載置面の表面とウエハ裏面との間には、He等の熱伝達用のガスが導入されて、ウエハと試料台との間の熱伝達が調節されてウエハの表面の温度が所望の範囲に調節される。この状態で、処理室101内のウエハ上方の空間に電界または磁界が供給されて処理用ガスがプラズマ化され、このプラズマを用いてウエハ表面が処理される。
【0021】
この処理の終了後に、静電吸着電極に印加された電力が除かれて静電吸着力が低減された後、プッシャピンを上昇させてウエハがウエハ載置面から上方に持ち上げられる。処理室101の密封しているゲートバルブが開放された後、真空ロボット111のアームが伸張されて先端側のハンドがウエハの下方に位置するように移動される。プッシャピンの下方の移動によって、ウエハがハンド上の保持面上に載せられてアームに受け渡される。プッシャピンはその後、再び試料台内部に格納される。
【0022】
このように、処理室101,102,103,104内での処理の実行後、処理済のウエハが真空ロボット111に受け渡され、真空ロボット111のアームの収縮動作、真空ロボット111の回転動作、真空ロボット111のアームの伸張動作の組合せにより、ウエハが処理室同士または処理室とロードロック室との間を移送される。
【0023】
上記真空ロボット111または大気ロボット108の動作は、図示しない各々用の制御装置により調節される。このような制御装置は、真空処理装置100全体の動作を制御する制御装置と指令を授受可能に接続されるか、またはこれと一体となっていても良い。
【0024】
このような真空ロボット111によるウエハの受け渡しまたは搬送の際には、例え動作が制御された真空ロボット111あるいはそのアーム上に載せられたウエハは、所期の位置から距離が離れてズレた位置に保持される場合が有り、このため、搬送先の目的の位置に精密に位置決めして載置できなくなる虞が有る。
【0025】
すなわち、ウエハの受渡しの際に、ウエハとアームまたはこの先端側のハンド上の所定の位置との間にズレが生じたり、搬送中にウエハがアームまたはハンド上で位置が移動したりする問題が生じる。例えば、ウエハがプッシャピンにより持ち上げられて真空ロボット111のアームがその動作を制御されてウエハ下方の所定の位置にアーム先端側のハンドが配置されたとしても、ウエハがプッシャピンで持ち上げられたその位置がアームまたはハンドにウエハを載せる際の基準となる位置と異なっている場合には、上記ズレが生じてしまう。これは、ウエハを持ち上げる際に静電吸着力が特定の大きさ以上残っていたり、プッシャピンの配置や形状、位置の不均等があると生起しやすい。また、ウエハのウエハ載置面上に載置された状態でその載置の基準となる位置からズレている場合にも、受渡しでの基準位置からのズレが生じてしまう。
【0026】
このようなウエハの位置の変動があると、処理室内の試料台等の目的箇所でのウエハ載置面へのウエハの位置決めが不安定となり、ウエハを保持する吸着力のウエハ面上で不均一や処理の不均一を生起して処理の歩留まりを低下させてしまう。また、ウエハの受渡しの際に安定してアームまたはハンド上に載置できず搬送中にウエハが落下したり装置内部の表面と接触したりして事故や汚染が生起するという問題が生じていた。このため、ウエハをアームまたはハンドの上面や試料台上の載置面の目的の位置に精度良く載置すること、または受渡しすることが求められている。
【0027】
さらに、ウエハを搬送する際の真空ロボット111の動作により、アームの上面でウエハがその位置を移動してしまう場合がある。これを抑制しようとして、ウエハの外形や径に合わせてその外終縁と接してウエハを保持するピンをアーム上に配置して、ウエハの位置を固定することが考えられる。しかし、この場合、アームの位置を高精度に制御しなければウエハ外周縁を複数ピンで接触または支持できないため、適正な支持ができずウエハが落下したり傾いて搬送されたりして目的箇所に適正に載置できないという事故が増大して却って処理の効率を低下させてしまう。或いは、真空ロボット111のコストが増大して装置全体の製造コストが増大するという問題が生起する。或いはまた、ピンとウエハ外周端縁との接触により塵埃が生起して異物となってウエハや処理室等の装置内を汚染して処理の歩留まりが低下したり、クリーニングの頻度を増大させて処理効率が低下してしまう。
【0028】
このため、本実施例では、ウエハの裏面をアーム先端側のハンド上の面または複数の点で支持するとともにウエハ外周縁の周囲に隙間をあけてこれを保持する技術が採用される。
本実施例の構成では、真空ロボット111の停止や移動によって、ウエハの搬送中のウエハの位置の移動が生じる虞が有る場合に、生じたウエハの位置の移動(ズレ)を検出し、これに対応して真空処理装置の搬送や処理の動作を調節する。
【0029】
図2は、半導体処理装置100の真空搬送装置200(バッファ室110)内のセンサ取り付け位置を示している。真空搬送装置200には、これを構成する真空容器の側面に複数個の処理室101,102,103,104と複数個のロードロック室106,107が連結され、これら内部を連通する通路を介してこれら処理室とロードロック室との間でウエハの移送が可能となっている。
【0030】
本実施例では、真空ロボット111は、バッファ室110の中央近傍にその中心203が配置され、この中心203を軸として所定の角度θの回転が可能となっている。この中心203を中心軸とした真空ロボット111またはそのアームの回転動作をθ軸の動作またはθ軸(周り)の回転という。
【0031】
さらに、真空ロボット111は、所定のθ軸の回転角度位置で、そのアームを中心203側とバッファ室110の外周側(処理室側)とを結ぶ方向に伸縮可能してその先端部のウエハ載置用のハンドの位置をバッファ室110内と処理室内とを往き、戻りの移動をさせることが可能となっている。この伸縮の動作をR軸(方向)の動作という。
【0032】
本発明では、半導体処理装置100の真空搬送装置200(バッファ室110)内に、真空ロボット111の動作方向であるθ軸及びR軸のそれぞれに。θ軸センサ201、R軸センサ202を設けている。(ロードロック室2室、処理室4室の装置構成の場合は、θ軸用が6ケ、R軸用が6ケとなる。)
θ軸センサ201は、真空ロボット111の中心203を中心とした円周上に、複数個(少なくとも処理室およびロードロック室の個数)配置され、本実施例では、バッファ室110の上下各々に配置された1対を1個とする指向性の高い光センサであって上下の一方から他方へ向かう光の量を検出するセンサであり、上下のセンサの取り付け位置でのセンサ対の間のウエハの有無あるいはその通過がウエハの遮光によって検出されるものである。このような対のセンサを真空ロボット111の回転動作時にウエハがその間を通過する半径位置に配置することで、真空ロボット111の回転時のθ軸センサ201の出力を用いて、真空ロボット中心からウエハ中心までの距離を算出することができる。
【0033】
また、R軸センサ202は、真空ロボット111のアームの伸縮方向、即ち、各処理室あるいはロードロック室と中心203とを結ぶ方向に沿った線上に配置され、本実施例ではθ軸センサ201と同様に指向性の高い光センサであって、ウエハが載せられたアームの伸張動作の際のウエハの遮光によってそのセンサの取り付け位置での通過あるいはウエハの有無が検出される。本実施例ではθ軸センサ201と同様に指向性の高い光センサであって、ウエハが載せられたアームの伸張動作の際のウエハの遮光によってそのセンサの取り付け位置での通過あるいはウエハの有無が検出される。アームの伸縮時のR軸センサ202の出力を用いて、真空ロボット111のハンド中心とウエハ中心との距離を算出することができる。
【0034】
上記θ軸センサ201、R軸センサ202は、後述するウエハが処理室退避位置、あるいは待機位置にある場合に、ウエハがこれらの対の間に位置して有無が検出されない位置に配置されている。すなわち、本実施例では上記θ軸センサ201、R軸センサ202はウエハの通過とその時刻を検出するためのものであり、ウエハの有無を検出するものではない。
【0035】
これらのθ軸センサ201、R軸センサ202から求められる変位量を計算し、所定の規格値以上の変位量がある場合に限り位置の補正を行なう。尚、この変位量の求め方は、ティーチング時の値を絶対値とし、それからの差分にて変位量を求めるものである。
【0036】
ティーチングは、大気ロボット108側と真空ロボット111側とでそれぞれ行なわれる。真空ロボット111側で行なうのは、真空ロボット111の動作原点から各処理室までの回転角度と、搬入前の退避位置から各処理室間までの距離のあわせ込みである。つまり、アームまたはハンドの位置を可動の範囲内で自由に調節可能な真空ロボット111あるいはその制御装置に対して、その動作の基準となる位置をその上に載せられるウエハの特定の位置または処理室101内部の試料台等の装置内の目的箇所の特定の位置に対する相対的な位置の情報として記憶させ、設定するものである。
【0037】
例えば、アームのハンド上の特定の位置に載せられたウエハの特定位置と処理室101の試料台上の特定位置とが所定の距離に配置されるアームの位置を基準となる位置の情報として設定する。このような基準の位置の情報に基づいて真空ロボット111のθ軸方向の回転やR軸方向の伸縮の動作によるアームの位置が調節される。尚、これら調整は、ハンド中心と各処理室の中心が合致するように治具を用いて行う。
【0038】
図3には、上記ティーチングにおけるθ軸センサ201を用いた真空ロボット111またはウエハの位置の情報を検出する要領を模式的に示している。
【0039】
遮光角度θ1は、θ軸センサ201のON−OFFを読み取ることで、
θ1=θon−θoff(deg)・・・(1)
により求められ、この求められたθ1より、距離Aは、
A=cos(θ1/2)×L1(mm)・・・(2)
となる。
また、θ軸センサ201の取り付け距離Llと求められた距離Aより、距離Bは、
B=√(L12−A2)(mm)・・・(3)
となる。
また、ウエハ半径rと、求められた距離Bより、距離Cは、
C=√(r2−B2)(mm)・・・(4)
となる。
【0040】
上記の検出では、装置の動作によってその量が変動しにくい中心203とθ軸センサ201との間の距離L1を用いた。このような構成により、ティーチングあるいは装置の処理中の動作時の位置の検出の精度を向上させることができる。
【0041】
以上より、真空ロボット中心203からウエハ中心までの距離Dは、
D=A−C(mm)・・・(5)
となる。
【0042】
図4は、ティーチング時のR軸センサ202の検出要領を示している。
本発明では、アーム伸び時にR軸センサ202がウエハにより遮光される間隔を読み取ることでセンサ取り付け位置L2の距離を求める。
遮光距離E、はR軸センサ202のON−OFFを読み取ることで、
E=Ron−Roff(mm)・・・(6)
と求められ、この求められたEとウエハ半径rより、距離Fは、
F=√((r2−(E/2)2)(mm)・・・(7)
となる。
【0043】
ティーチング時における、この距離Fと、R軸センサ取り付け位置L2は同じでなければならないため、
L2=F(mm)・・・(8)
となる。
また、ティーチング時における変位量Gは0のため、
G=L2−F=0(mm)・・・(9)
となる。
【0044】
したがって、ティーチング時における真空ロボット111がウエハを処理室外でハンド上に保持してθ軸方向に回転可能な状態におけるウエハの特定の位置であるウエハの中心の位置(以下、処理室退避位置)から真空ロボット中心203までの距離Jは、
J=√(D2−G2)(mm)・・・(10)
となる。
【0045】
また、真空ロボット111がそのアームを伸張させてウエハを処理室内の試料台上方まで移動させた状態で試料台の中心とウエハの中心とが略一致する状態におけるウエハの特定の位置であるハンド上のウエハの中心の位置(以下、処理室内搬送位置)との距離Kは、
K=J+TR(mm)・・・(11)
となる。なお、TRは、ティーチングにおける距離Kと距離Jとの差であり、上記処理室退避位置と処理室内搬送位置との間の距離である。
【0046】
これらティーチングにより求められたDおよびGと、通常運転時に求められるDとGの変位量を求め、計算することで位置補正を行なうものである。通常運転時における動作を例にとり、以下、説明する。
【0047】
ロードロック室106,107に搬入されたウエハは、ウエハプッシャーにて真空ロボット111のハンド上ヘウエハの受渡しを行ない、受渡しが完了すると真空ロボット111のアームが縮み、ウエハがバッファ室110内に運び込まれる。この時、真空ロボット111のアームが縮む際に、ウエハによりセンサ202が遮光される。この遮光された間隔を読み取ることで、ウエハの位置の比較を行なうことが可能となる。
【0048】
図5は、通常運転時のR軸センサ202の検出要領を示している。
この遮光された距離をE’とすると、
E’=R’縮on−R’縮off(mm)・・・(12)
となる。
次に、真空ロボット111は、所定の処理室に搬入するための回転動作に入り、ここでも同様にウエハによりR軸センサ202が遮光される。ここでは、遮光された角度θ1が読み出され、これにより真空ロボット中心203からウエハ中心までの距離Dを計算することができる。
【0049】
通常運転時のθ軸センサ201の検出要領は、図3に示されたθ軸センサの検出要領と同様である。
遮光角度θ1’は、θ軸センサ201を読み取ることで、
θ1’=θ’on−θ1’off(deg)・・・(13)
と求められ、この求められたθ1’より、距離A’は、
A’= cos(θ1’/2)×L1(mm)・・・(14)
となる。
また、センサ距離Llと求められたA’より、距離B’は、
B’= √(L12−A’2)(mm)・・・(15)
となり、また、ウエハ半径rと求められた距離B’より、距離C’は、
C’=√(r2−B’2)(mm)…(16)
となる。
以上より、通常運転時の真空ロボット中心203からウエハ中心までの距離D’は、
D’=A’−C’(mm)・・・(17)
となる。
【0050】
真空ロボット111は、目的の箇所である処理室またはロードロック室の方向に所定の角度だけθ軸回転して、停止する。この位置は、目的の室とバッファ室110との間を連通しゲートバルブにより開閉されるゲートの前(バッファ室110側)であり、ウエハはこの位置で一旦停止して待機して、図示しないセンサによりウエハがアームのハンド上に搭載されているか否かが検出される。センサの出力からウエハの搭載が確認されない場合には、ウエハが落下したか位置が大きくずれていると判断され、搬送の不良としてエラーが報知されるとともに装置における処理の動作が停止される。ティーチングにて決定された位置まで真空ロボット111のアームが伸びる動作へと進む。この伸びる動作時にウエハによりR軸センサ202が遮光され、この遮光された距離Eを読み取ることで、ティーチング時との変位量を計算にて求めることができる。
【0051】
検出距離E’は、R軸センサ202のON−OFFを読み取ることで、
E’=R’伸on−R’伸off(mm)・・・(18)
と求められ、この求められたE’とウエハ半径rより、距離F’は、
F’=√((r2−(E’/2)2)(mm)・・・(19)
となる。
ティーチング時との変位量G’は、R軸センサ取り付け位置L2とF’より
G’=L2−F’(mm)‥・(20)
となる。処理室退避位置から真空ロボット中心203までの距離J’は、
J’=√(D’2−G’2)(mm)…(21)
となり、また、真空ロボット111の中心から処理室までの距離K’は、
K’=J’+TR(mm)…(22)
となる。
【0052】
これより、回転方向の補正量Sθは、
Sθ=tan−1((G’−G)/K’)(deg)・・・(23)
となり、また、直進方向の補正量SRは、
SR=K−K’(mm)・・・(24)
となる。
【0053】
以上より、求められたSθ,SRが所定の値よりも大きい場合には、真空ロボット111の位置データの変更動作を行い、その動作を調節して上記Sθ,SRの値を低減して0に近づけるように、ウエハの位置を調節する。すなわち、ウエハの位置の補正を行う。これにより、実際の処理における搬送中に検出されたウエハの位置のズレを修正して、搬送の目的箇所である試料台の載置面の特定位置と搬送対象のウエハの中心とをできるだけ接近させて精度良くウエハを試料台の載置面上に載置させることができる。
【0054】
また、(12)(18)より読み出された距離の差が許容値を外れていた場合と、下式(27)(28)の差が所定の規格値を外れていた場合は、「ウエハ位置ズレ警告」とし、上位装置に警告を報告する。また、許容値を外れていた場合は、センサ検出後にハンド上でウエハが位置ずれを起こしたと考えられるので、「ウエハ位置ずれエラー」として、これを装置使用者等にディスプレーやブザー等で報知して、搬送動作または装置におけるウエハの処理の動作を停止する。このような検出結果の比較について、これに必要な距離、位置の情報を示す図6を用いて説明する。
【0055】
ティーチング時に求められる真空ロボット中心203からウエハ中心までの距離Mは、
M=L3−E/2−Ron(mm)・・・(25)
となり、また、通常運転時のM’は、
M’=L3−E’/2−R’on(mm)・・・(26)
となる。
この差Pは、
P=M−M’(mm)・・・〈27〉
となる。また、(10)(21)式より求められた処理室退避位置から真空ロボット中心203までの距離J及びJ’の差Qは、
Q=J−J’(mm)‥・(28)
となる。
【0056】
このPとQとの差が所定の規格値を外れていた場合は、「ウエハ位置ズレ警告」とし、上位装置に警告を報告する。また、許容値を超えていた場合は「ウエハ位置ずれエラー」とし、センサ検出後にハンド上でウエハが位置ずれを起こしたと考えられるので、「ウエハ位置ずれエラー」として、これを装置使用者等にディスプレーやブザー等で報知して、搬送動作または装置におけるウエハの処理の動作を停止する。
【0057】
図7〜9は、半導体処理装置におけるウエハの搬送動作フローの一例を示している。まず、図7のウエハの搬送動作フローでは、ステップS601において、ウエハの搬送動作フローが開始され、ステップS602において、ウエハの搬送パターンの選択が行われる。
【0058】
次に、ステップS603において、選択された搬送パターンに従って、ウエハを取り出すロードロック室あるいは処理室の方向を向くように、真空ロボット111のθ軸方向の回転動作が行われる。
【0059】
次いで、ステップS604において、ウエハの取り出しのために、真空ロボット111のアームのR軸方向の伸張動作が行われる。処理室内で試料台上のウエハをそのアーム先端側のハンド上面に受け渡された真空ロボット111は、ステップS605において、アームのR軸方向の収縮動作を行う。
【0060】
真空ロボット111のアームのR軸方向の収縮動作時に、ステップS606において、R軸センサ202により、遮光距離Eを検出し、検出距離の読み出しを行う(式12に対応)。次に、ステップS607において、真空ロボット111がθ軸方向に回転する。真空ロボット111のθ軸方向の回転時に、ステップS608において、θ軸センサ201により、遮光角度θ1’の検出と読み出しが行われる(式13に対応)。
【0061】
真空ロボット111がθ軸方向に回転して、選択された搬送パターンの処理室またはロードロック室の方向を向いた後、ステップS609において、真空ロボット111のアームのR軸方向の伸張動作が行われる。
【0062】
真空ロボット111のアームのR軸方向の伸張動作時に、ステップS610において、R軸センサ202により、遮光距離E’を検出し、検出距離の読み出しを行う(式18に対応)。
【0063】
次いで、図8のウエハの搬送動作フロー(続き)により説明する。θ軸サンサ201及びR軸センサ204により検出し読み出された遮光角度θ、遮光距離E,E’を用いて、ステップS615において、位置補正計算が行われる。これらの位置の計算に用いられる情報を出力するセンサは、ウエハが取り出しされる処理室に対応するR軸方向のセンサ202及びウエハが搬入される処理室に対応するR軸方向のセンサ202と、これらの間をウエハを搬送中に真空ロボット111が行うθ軸方向の回転の際のウエハの通過を検出するθ軸センサ201の3箇所(3対)のセンサであり、ウエハの搬出と搬入の際の各々の位置のズレ量を3つのセンサで行っている。
【0064】
なお、遮光角度θ1’を用いた距離A’,B’,C’,D’の計算(式14,15,16,17に対応)は、ステップS615に先立って、必要なデータが揃った段階で早めに計算しても良い。なお、ステップS611において、θ軸センサ201の出力値が許容値以下の場合は、ステップS613にてウエハ異常として「補正計算不可エラー」を上位装置に報告し、ステップS614にて動作停止となる。
【0065】
ここで言うθ軸センサ201の許容値とはウエハ径の寸法とセンサ取り付け位置によって決定される遮光幅を意味し、例えば真空ロボット111のアーム等ウエハ以外の物体で遮光される場合と切り離すものである。また、この許容値によりウエハの有無およびウエハの割れ等の異常も検知することが出来る。
【0066】
ステップS611において正常と判断された場合は、ステップS612に移行し、計算に使用するθ軸センサ201およびR軸センサ202が複数回出力されなかったか、また、θ軸センサ201およびR軸センサ202の両方の出力があるかを確認し、異常と判断された場合は、ステップS613にてウエハ異常として「補正計算不可エラー」と上位装置に報告し、ステップS614にて動作停止となる。異常として判断されなかった場合は、ステップS615に移行する。
【0067】
次に、ステップS616において、ステップS606におけるR軸の収縮時の検出距離とステップS610におけるR軸の伸張時の検出距離(E,E’)の差が規格以内であるかどうかの判断がなされる。検出距離の差が規格値を外れていた場合には、ステップS617にて許容値内であるかを確認し、規格値を外れるものの許容値内であれば、ステップS622にて「ウエハ位置ずれ警告」を上位装置に報告し、ステップS620に移行する。
【0068】
ステップS617にて許容値を外れていた場合は、ステップS618にて「ウエハ位置ずれエラー」を上位装置に報告し、ステップS619にて動作停止を行う。また、この際に、搬送中の「ウエハ位置ずれエラー」が生起したとして、これを装置使用者等にディスプレーやブザー等で報知する。
【0069】
ステップS616において、検出距離の差が許容値以内であると判断された場合には、ステップS620に移行する。次にステップS620において、ステップS606におけるR軸の収縮時の遮光距離とステップS608におけるθ軸方向の回転時の検出角度から求まる処理室退避位置から真空ロボット中心203までの距離の差Q(式28に対応)と、ステップS610におけるR軸の伸張時の検出距離から求まる真空ロボット中心からウエハ中心までの距離Mの差P(式27に対応)とを計算し、PとQとの差が所定の規格値以内であるかどうかの判断がなされる。
【0070】
PとQとの差が規格値の範囲を外れていた場合には、ステップS621にて許容値内であるかを確認し、規格値を外れるものの許容値内であれば、ステップS622にて「ウエハ位置ずれ警告」を上位装置に報告し、ステップS623に移行する。ステップS621にて許容値を外れていた場合は、ステップS618にて「ウエハ位置ずれエラー」を上位装置に報告し、ステップS619にて動作停止を行う。また、この際に、搬送中の「ウエハ位置ずれエラー」が生起したとして、これを装置使用者等にディスプレーやブザー等で報知する。
【0071】
次いで、図8のウエハの搬送動作フロー(続き)により説明する。ステップS623において、ステップS608におけるθ軸方向の回転時の検出角度と、ステップS610におけるR軸の伸張時の検出距離から計算された位置補正量(回転方向の補正量Sθ,直進方向の補正量SR、式23,24に対応)が、所定の規格値以内であるかどうかが判断される。
【0072】
位置補正量(Sθ,SR)が所定の規格値以内である場合、即ち、位置補正量が小さくて位置データの変更の必要がない場合には、位置データの変更を行うことなく、ステップS635に移行して、真空ロボット111の位置補正を終了し、θ軸センサおよびR軸センサのデータをクリアする。
【0073】
また、位置補正量(Sθ,SR)が所定の規格値を外れていた場合には、ステップS624において、許容値内にあるかを判断し、規格値を外れるものの許容値内にある場合には、ステップS633において、位置データの変更を行ってウエハ又は真空ロボット111のアームの位置の調整を済ませた後、ステップS635に移行して、真空ロボットの位置補正を終了し、θ軸センサおよびR軸センサのデータをクリアする。
【0074】
また、許容値を外れていた場合には、ステップS625において、「補正量範囲オーバ−エラー」と判断され、ステップS626にて動作停止が行われる。ステップS626において動作停止が行われた場合には、ステップS627においてウエハクリアの動作を行い、ステップS628にてロードロック室に真空ロボット111のアームを伸張させる。
【0075】
この真空ロボット111の伸張動作により、ステップS629の「補正量範囲オーバ−エラー」が発生し、ステップS630に移行し再度動作停止となり、ステップS631に移行される。ステップS631では、ロードロック室で真空ロボットハンドとウエハの位置関係を確認し、真空ロボットハンド内にウエハが載置されていれば、ステップS634にてリトライ動作を行い、位置データの変更を行ってウエハ又は真空ロボット111のアームの位置の調整を済ませた後、ステップS635に移行して、真空ロボットの位置補正を終了し、θ軸センサおよびR軸センサのデータをクリアする。また、真空ロボットハンド内にウエハが正常に載置されていない場合は、ステップS632にて動作停止となる。
【0076】
なお、ステップS628において伸張されるロードロック室は、ロードロック室106およびロードロック室107のどちらでも良い。このロードロック室106およびロードロック室107はウエハと真空ロボットハンドが確認できるように、上部から覗けるようにする。この覗き窓112および覗き窓113は、外圧に耐えられる材料であって、視認性が良い透明体で構成することが望ましい。
【0077】
また、ステップS633および634において位置データの変更を行い補正終了となった場合、センサデータがクリアされているので、再度真空ロボットを伸張させてもθ軸センサのデータがないので、補正計算を行う条件が成立しないため、「補正計算不可エラー」を報告し、動作停止となる。
【0078】
なお、上記の実施例1では、半導体処理装置の処理室が4室、ロードロック室が2室、カセット戴置台が3台の例を示したが、処理室、ロードロック室、カセット戴置台の個数は、これに限定されず、任意の個数の装置を構成することができる。また、処理室で行う処理として、プラズマエッチング、層の堆積、および/またはスパッタリングなどの処理を例示したが、処理はこれらに限定されない。
【0079】
また、ステップS616で判断される位置補正量として、式23,24に対応した回転方向の補正量Sθ,直進方向の補正量SRを例示したが、θ軸センサとR軸センサの出力に基づいて計算される位置補正量としては、式23,24に対応した回転方向の補正量Sθ,直進方向の補正量SR以外に他の位置補正量を用いることができる。
【0080】
また、図6の動作フローでは、ステップS612とステップS613とステップS616の順番により、許容値以内かどうか規格値以内かどうかの判断が行われているが、これらの各判断ステップSの順序やステップSの数を変更しても良い。
【0081】
また、ステップS612、ステップS613、ステップS616で使用される所定の許容値と所定の規格値は、規格値が比較的小さい値で、位置データの変更が必要かどうかの判断に用いられるのに対し、許容値は、比較的大きい値であって、動作停止が必要かどうかの判断に用いられるものである。
【0082】
これらの許容値と規格値は、半導体処理装置におけるウエハの搬送動作を迅速かつ確実に行うように最適な所定の値が設定される。ステップS612、ステップS613で用いられる所定の許容値は同じ値である必要はなく、また、ハンド上のウエハの位置ずれエラーを判断するために用いられる他の距離データに対応して、異なる所定の値を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、本発明の実施例の半導体処理装置の全体構成を示す図である。
【図2】図2は、半導体処理装置の真空搬送装置(バッファ室)内のセンサ取付位置を示す図である。
【図3】図3は、θ軸センサの検出要領を示す図である。
【図4】図4は、ティーチング時のR軸センサの検出要領を示す図である。
【図5】図5は、通常運転時のR軸センサの検出要領を示す図である。
【図6】図6は、ウエハの位置ずれの検出に必要な距離、位置の情報を示す図である。
【図7】図7は、ウエハの搬送動作フローを示す図である。
【図8】図8は、ウエハの搬送動作フロー(続き)を示す図である。
【図9】図9は、ウエハの搬送動作フロー(続き)を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
100 半導体処理装置
101 処理室1
102 処理室2
103 処理室3
104 処理室4
105 カセット戴置台
106 ロードロック室
107 ロードロック室
108 大気ロボット
109 大気搬送室
110 バッファ室
111 真空ロボット
112 覗き窓
113 覗き窓
200 真空搬送装置
201 θ軸センサ
202 R軸センサ
203 真空ロボット中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空搬送室であるバッファ室の内部に配置された真空ロボットによりウエハを上記バッファ室に連結された複数の真空容器のうちの少なくとも1つに搬送し、上記真空容器の内部に配置された試料台上に上記ウエハを載置して処理する真空処理方法であって、
上記真空ロボットの回転時に上記ウエハの遮光角度を検出するθ軸センサと、上記真空ロボットの伸縮時に上記ウエハの遮光距離を検出するR軸センサとの出力に基づいて、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置補正量を求め、上記位置補正量が所定の規格値を外れた場合には、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置データの変更動作を行い、更に、所定の許容値を越えた場合には、補正範囲量オーバーエラーとして動作停止を行い、動作停止後は、上記ウエハの上記真空ロボットに対する上記位置補正量と、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置ずれを確認し位置補正データ変更のリトライ動作が出来ることを特徴とする半導体処理装置における真空処理方法。
【請求項2】
真空搬送室であるバッファ室の内部に配置された真空ロボットによりウエハを上記バッファ室に連結された複数の真空容器のうちの少なくとも1つに搬送し、上記真空容器の内部に配置された試料台上に上記ウエハを載置して処理する真空処理方法であって、
上記真空ロボットの回転時に上記ウエハの遮光角度を検出するθ軸センサと、上記真空ロボットの伸縮時に上記ウエハの遮光距離を検出するR軸センサとの出力において、上記θ軸センサの出力が許容値以下の場合、また上記θ軸センサおよび上記R軸センサの出力を複数回検出した時、また上記θ軸センサもしくは上記R軸センサの出力がどちらか一方のみであった場合には、補正計算エラーを出力し動作停止を行うことを特徴とする半導体処理装置における真空処理方法。
【請求項3】
真空搬送室であるバッファ室の内部に配置された真空ロボットによりウエハを上記バッファ室に連結された複数の真空容器のうちの少なくとも1つに搬送し、上記真空容器の内部に配置された試料台上に上記ウエハを載置して処理する真空処理方法であって、
上記真空ロボットの回転時に上記ウエハの遮光角度を検出するθ軸センサ及び/または上記真空ロボットの伸縮時に上記ウエハの遮光距離を検出するR軸センサの出力に基づいて、上記ウエハの上記真空ロボットに対する距離データを求め、上記距離データが所定の規格値を越えた場合には、位置ずれ警告を上位装置に報告し、
上記θ軸センサと上記R軸センサとの出力に基づいて、上記ウエハの上記真空ロボットに対する距離データを求め、上記距離データが更に所定の許容値を越えた場合には、位置ずれエラーとして動作停止を行うことを特徴とする半導体処理装置における真空処理方法。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体処理装置における真空処理方法において、
上記真空ロボットの回転時に上記ウエハの遮光角度を検出するθ軸センサ及び/または上記真空ロボットの伸縮時に上記ウエハの遮光距離を検出するR軸センサの出力に基づいて、上記ウエハの上記真空ロボットに対する距離データを求め、上記距離データが所定の規格値を越えた場合には、位置ずれ警告を上位装置に報告し、
上記θ軸センサと上記R軸センサとの出力に基づいて、上記ウエハの上記真空ロボットに対する距離データを求め、上記距離データが更に所定の許容値を越えた場合には、位置ずれエラーとして動作停止を行うことを特徴とする半導体処理装置における真空処理方法。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体処理装置における真空処理方法において、
上記θ軸センサと上記R軸センサの双方の出力に基づいて上記真空ロボット中心から処理室までの距離Kを計算して、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置の回転方向の補正量Sθと直進方向の補正量SRとを求め、上記回転方向の補正量Sθと上記直進方向の補正量SRが所定の規格値を外れた場合には、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置データの変更動作を行い、更に所定の許容値を超えた場合には、補正範囲量オーバーエラーとして動作停止を行い、動作停止後は、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置補正量と、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置ずれを確認し、位置補正データ変更のリトライ動作が出来ることを特徴とする半導体処理装置における真空処理方法。
【請求項6】
請求項3に記載の半導体処理装置における真空処理方法において、
上記R軸センサの出力に基づいて得られた上記真空ロボットの伸張時と収縮時の遮光距離Eの差が所定の規格値を越えた場合には、位置ずれ警告を上位装置に報告し、上記R軸センサとの出力に基づいて、上記ウエハの上記真空ロボットに対する距離データを求め、上記距離データが更に所定の許容値を越えた場合には、位置ずれエラーとして動作停止を行うことを特徴とする半導体処理装置における真空処理方法。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体処理装置における真空処理方法において、
上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置データの変更動作完了後、上記R軸センサと上記θ軸センサのデータをクリアすることを特徴とする半導体処理装置における真空処理方法。
【請求項8】
真空ロボットを備えたバッファ室と、
上記バッファ室に接続された複数の処理室と複数のロードロック室との間で、上記真空ロボットを用いてウエハの移送を行う真空搬送装置において、
上記バッファ室内に、上記真空ロボットの回転時に上記ウエハの遮光角度を検出する複数のθ軸センサと、上記真空ロボットの伸縮時に上記ウエハの遮光距離を検出する複数のR軸センサとを備え、
上記θ軸センサと上記R軸センサの双方の出力に基づいて上記真空ロボット中心から上記処理室までの距離Kを計算して、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置の回転方向の補正量Sθと直進方向の補正量SRとを求め、上記回転方向の補正量Sθ及び/または上記直進方向の補正量SRが所定の規格値を外れた場合には、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置データの変更動作を行い、
上記回転方向の補正量Sθ及び/または上記直進方向の補正量SRが更に所定の許容値を外れた場合には、補正範囲量オーバーエラーとして動作停止を行い、動作停止後は、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置補正量と、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置ずれを確認し位置補正データ変更のリトライ動作が出来ることを特徴とする真空搬送装置。
【請求項9】
真空ロボットを備えたバッファ室と、
上記バッファ室に接続された複数の処理室と複数のロードロック室との間で、ウエハの移送を行う上記真空ロボットとを備えた真空搬送装置において、
上記バッファ室内に、上記真空ロボットの回転時に上記ウエハの遮光角度を検出する複数のθ軸センサと、上記真空ロボットの伸縮時に上記ウエハの遮光距離を検出する複数のR軸センサとを備え、
上記θ軸センサと上記R軸センサとの出力に基づいて、上記ウエハの上記真空ロボットに対する距離データを求め、上記距離データが所定の規格値を超えた場合には、位置ずれ警告を上位装置に報告し、
上記θ軸センサと上記R軸センサとの出力に基づいて、上記ウエハの上記真空ロボットに対する距離データを求め、上記距離データが更に所定の許容値を越えた場合には、位置ずれエラーとして動作停止を行うことを特徴とする真空搬送装置。
【請求項10】
請求項8に記載の真空搬送装置において、
上記R軸センサの出力に基づいて得られた上記真空ロボットの伸張時と収縮時の遮光距離Eの差が所定の規格値を越えた場合には、位置ずれ警告を上位装置に報告し、
上記R軸センサの出力に基づいて得られた上記真空ロボットの伸張時と収縮時の遮光距離Eの差が更に所定の許容値を越えた場合には、位置ずれエラーとして動作停止を行うことを特徴とする真空搬送装置。
【請求項11】
請求項8に記載の真空搬送装置において、
上記R軸センサの出力に基づいて得られた上記真空ロボット中心から上記ウエハ中心までの距離Mの変化量と、上記R軸センサと上記θ軸センサの出力に基づいて得られた上記処理室退避位置から上記ウエハ中心までの距離Jの変化量の差が所定の規格値を越えた場合には、位置ずれ警告を上位に報告し、
上記R軸センサと上記θ軸センサの出力に基づいて得られた上記処理室退避位置から上記ウエハ中心までの距離Jの変化量の差が更に所定の許容値を超えた場合には、位置ズレエラーとして動作停止を行うことを特徴とする真空搬送装置。
【請求項12】
真空ロボットを備えたバッファ室と、
上記バッファ室に接続された複数の処理室と、
上記バッファ室に接続された複数のロードロック室と、
上記ロードロック室に接続され、大気ロボットを備えたアライナーユニットと、
上記アライナーユニットに接続された複数のカセット戴置台と、
を備えており、上記真空ロボットにより、上記ロードロック室内、あるいは、上記処理室内に配置されたウエハを受け取って回転動作と伸縮動作により、他のロードロック室、あるいは、処理室にウエハを移送する半導体処理装置において、
上記バッファ室内に、上記真空ロボットの回転時に上記ウエハの遮光角度を検出する複数のθ軸センサと、上記真空ロボットの伸縮時に上記ウエハの遮光距離を検出する複数のR軸センサとを備え、
上記θ軸センサと上記R軸センサとの出力に基づいて、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置補正量を求め、上記位置補正量が所定の許容値を外れた場合には、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置データの変更動作を行い、
上記θ軸センサと上記R軸センサとの出力に基づいて、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置補正量を求め、上記位置補正量が更に所定の規格値を外れた場合には、補正範囲量オーバーエラーとして動作停止を行い、動作停止後は、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置補正量と、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置ずれを確認し位置補正データ変更のリトライ動作が出来、
上記θ軸センサ及び/または上記記R軸センサとの出力に基づいて、上記ウエハの上記真空ロボットに対する距離データを求め、上記距離データが所定の許容値を越えた場合には、位置ずれ警告を上位装置に報告し、
上記θ軸センサ及び/または上記記R軸センサとの出力に基づいて、上記ウエハの上記真空ロボットに対する距離データを求め、上記距離データが更に所定の許容値を超えた場合には、位置ズレエラーとして動作停止を行うことを特徴とする真空搬送装置。
【請求項13】
請求項8に記載の真空搬送装置において、
上記θ軸センサと上記R軸センサの双方の出力に基づいて上記真空ロボット中心から上記処理室までの距離Kを計算して、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置の回転方向の補正量Sθと直進方向の補正量SRとを求め、上記回転方向の補正量Sθと上記直進方向の補正量SRが所定の規格値を外れた場合には、上記ウエハの上記真空ロボットに対する位置データの変更動作を行い、変更動作完了後はセンサ出力値をクリアすることを特徴とする真空搬送装置。
【請求項14】
真空ロボットを備えたバッファ室と、
上記バッファ室に接続された複数の処理室と、
上記バッファ室に接続された複数のロードロック室と、
上記ロードロック室に接続され、大気ロボットを備えたアライナーユニットと、
上記アライナーユニットに接続された複数のカセット戴置台と、
を備えており、上記真空ロボットにより、上記ロードロック室内、あるいは、上記処理室内に配置されたウエハを受け取って回転動作と伸縮動作により、他のロードロック室、あるいは、上記処理室にウエハを移送する半導体処理装置において、
上記バッファ室内に、上記真空ロボットの回転時に上記ウエハの遮光角度を検出する複数のθ軸センサと、上記真空ロボットの伸縮時に上記ウエハの遮光距離を検出する複数のR軸センサとを備え、
上記θ軸センサと上記R軸センサとの出力において、上記θ軸センサの出力が許容値以下の場合には、補正計算不可エラーとして動作停止を行い、
上記θ軸センサおよび上記R軸センサの出力が複数回あった場合には、補正計算不可エラーとして動作停止を行い、
上記θ軸センサと上記R軸センサとの出力において、θ軸センサもしくはR軸センサの出力がどちらか一方のみであった場合には、補正計算不可エラーとして動作停止を行うことを特徴とする半導体処理装置における真空処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−62215(P2010−62215A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223882(P2008−223882)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】