説明

硫黄濃度検出センサ及び硫黄濃度検出装置

【課題】耐久性が高くかつ酸素センサを用いない構成で、燃料などの酸化対象物質と酸素とが含まれる気流中の硫黄濃度を検出することを目的とする。
【解決手段】排気温上昇時に硫黄濃度検出センサ2内の温度センサにて検出される酸化触媒の温度Tcが排気温よりも高い側に離れ始めることで酸化触媒活性化温度を検出する。酸化触媒活性化温度は排気中の硫黄濃度に応じて高くなる知見に基づき、このときの排気温から硫黄濃度を算出できる。耐久性に問題のある構成は使用せずに温度センサにて済むので耐久性が高い。更に酸素センサを用いないので低コストな構成となる。このような硫黄濃度検出アセンブリ3を、内燃機関排気系のDPF12の上流側に配置することで、添加燃料あるいはポスト噴射を利用して排気中の硫黄濃度を検出できる。硫黄濃度検出のために特別な部位を設けないので内燃機関の小型化に貢献できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料などの酸化対象物質と酸素とが含まれる気流中の硫黄濃度を検出するセンサ及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の燃料には硫黄を含むものがあり、その燃料中の硫黄濃度は排気浄化触媒の浄化性能に影響する。このため燃料中の硫黄濃度を検出するための装置が知られている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0003】
特許文献1では、酸化物イオン導電性を有するプレート形状の固体電解質を基材とし、その一方の面には複硫酸塩からなる硫酸塩層が形成されたSOxセンサが開示されている。
【0004】
特許文献2では、触媒層のある酸素センサと触媒層のない酸素センサとを用い、この酸素センサがそれぞれリッチ出力となるまでの出力時間差により燃料中の硫黄濃度を検出している。
【0005】
特許文献3では、電熱触媒の前後にそれぞれ酸素センサを設け、これらの酸素センサ間の出力差から転化率を求め、被毒量と転化率のマップを参照して硫黄被毒量を検出し、硫黄被毒量と被毒カウンタHCNTの相関を参照して、燃料中の硫黄濃度を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−239706号公報(第5〜8頁、図1〜3)
【特許文献2】特開2008−255952号公報(第4〜7頁、図1〜3)
【特許文献3】特許第2785707号公報(第5〜6頁、図7〜10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし特許文献1では固体電解質の両面に電極を形成したものであり、その一方の電極は硫酸塩層の表面に形成されている。このような硫酸塩上に電極を形成した構成では内燃機関などの排気中に配置した場合には電極が劣化し易く、耐久性に問題がある。
【0008】
特許文献2,3はいずれも酸素センサを用いており、しかも実際に硫黄濃度を検出するためには2つの酸素センサを用いることが必須である。このためコスト増大の問題がある。
【0009】
本発明は、耐久性が高くかつ酸素センサを用いない構成で、燃料などの酸化対象物質と酸素とが含まれる気流中の硫黄濃度を検出することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用・効果について記載する。
請求項1に記載の硫黄濃度検出センサでは、酸化対象物質と酸素とが含まれる気流中に配置して気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出センサであって、酸化触媒とこの酸化触媒の内部に配置された温度センサとを備えたことを特徴とする。
【0011】
酸化触媒は、その酸化触媒活性化温度(触媒により酸化を開始する温度)以上に昇温させることにより、酸化対象物質を酸化できるようになる。この酸化触媒活性化温度は、酸化触媒に与えられる気流中の硫黄濃度に対応して規則的に変化することを、本発明者が見いだした。すなわち硫黄濃度が0ppmである基準状態での酸化触媒活性化温度から、気流中の硫黄濃度が増大するに従い、その硫黄濃度に応じて酸化触媒活性化温度が上昇することを見いだしたのである。
【0012】
酸化触媒が酸化触媒活性化温度以上の状態となることで酸化対象物質の酸化反応が開始されると、酸化触媒には反応熱による温度上昇が生じる。このため酸化触媒活性化温度以上での酸化触媒の温度状態は、酸化触媒活性化温度未満の状態とは異なるものとなる。
【0013】
本発明の硫黄濃度センサは、酸化触媒の内部に温度センサを配置した構成となっている。このように酸化触媒内に配置された温度センサにより、上述したごとく酸化触媒活性化温度に対応する酸化触媒の温度状態を把握することができる。
【0014】
したがって、このような温度センサが検出する温度状態に基づいて酸化触媒活性化温度や酸化触媒の活性化程度が判明し、このことから気流中の硫黄濃度を検出できる。
このように本発明の硫黄濃度センサは温度センサが酸化触媒の内部に配置された構造であり、硫酸塩に電極を配置するごとくの耐久性に問題のある構成は使用していないことから耐久性が高く、かつ酸素センサを用いない構成で実現できる。
【0015】
請求項2に記載の硫黄濃度検出センサでは、酸化対象物質と酸素とが含まれる気流中に配置して気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出センサであって、酸化触媒とこの酸化触媒の内部に配置された温度センサとを有する酸化触媒温度検出部と、硫黄捕集材とこの硫黄捕集材を介して気流が導入される位置に配置された酸化触媒とこの酸化触媒の内部に配置された温度センサとを有する酸化触媒基準温度検出部とを備えたことを特徴とする。
【0016】
酸化触媒基準温度検出部は、硫黄捕集材を介して気流が導入されているため、酸化触媒基準温度検出部に設けられている酸化触媒は硫黄濃度が0ppmである気流が導入されることになる。
【0017】
したがって硫黄捕集材が存在しない酸化触媒温度検出部にてその温度センサが検出する触媒活性化温度は、硫黄濃度に応じて高温化するが、酸化触媒基準温度検出部の温度センサが検出する触媒活性化温度は一定である。
【0018】
このため酸化触媒温度検出部と酸化触媒基準温度検出部とがそれぞれ検出する触媒活性化温度の差は、気流中の硫黄濃度を表すことになる。
このように硫黄濃度検出センサにおいて、酸化触媒温度検出部と酸化触媒基準温度検出部とを設けて、これらの間で検出する温度を比較することにより、高精度に硫黄濃度を検出することが可能となる。
【0019】
本発明の硫黄濃度センサは、温度センサが酸化触媒の内部に配置された酸化触媒温度検出部と、この構成に対して更に硫黄捕集材が配置された酸化触媒基準温度検出部とからなるものである。したがって硫酸塩に電極を配置するごとくの耐久性に問題のある構成は使用していないので耐久性が高く、かつ酸素センサを用いない構成で実現できる。
【0020】
請求項3に記載の硫黄濃度検出センサでは、請求項1に記載の硫黄濃度検出センサにおいて、前記酸化触媒の温度を調節する温度調節部を備えたことを特徴とする。
このように温度調節部を加えることにより、酸化触媒の温度を調節することができる。このため所望のタイミングで酸化触媒を安定的に活性化させることができ、前述したごとく温度センサにより検出される温度状態に基づいて、高精度に硫黄濃度を検出することが可能となる。
【0021】
前記請求項1の構成に温度調節部を加えた構成であるので、耐久性が高くかつ酸素センサを用いない構成は維持されている。
請求項4に記載の硫黄濃度検出センサでは、請求項2に記載の硫黄濃度検出センサにおいて、前記酸化触媒温度検出部及び前記酸化触媒基準温度検出部の温度を調節する温度調節部を備えたことを特徴とする。
【0022】
このように温度調節部を加えることにより、酸化触媒温度検出部及び酸化触媒基準温度検出部における酸化触媒の温度を調節することができる。このため所望のタイミングで各酸化触媒を安定的に活性化させることができ、前述したごとく各温度センサにより検出される温度の比較に基づいて、高精度に硫黄濃度を検出することが可能となる。
【0023】
前記請求項2の構成に温度調節部を加えた構成であるので、耐久性が高くかつ酸素センサを用いない構成は維持されている。
請求項5に記載の硫黄濃度検出装置では、請求項1に記載の硫黄濃度検出センサと、前記硫黄濃度検出センサの周囲を流れる気流の温度を検出する周囲温度検出部と、前記周囲温度検出部により検出された温度の上昇時に、前記硫黄濃度検出センサに設けられた温度センサにより検出された温度が、前記周囲温度検出部により検出された温度よりも高い側に離れ始めたときの前記周囲温度検出部により検出された温度に基づいて、気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出部とを備えたことを特徴とする。
【0024】
硫黄濃度検出センサの酸化触媒においては、周囲の温度が上昇することにより酸化触媒活性化温度以上となると酸化対象物質の酸化反応を開始する。この酸化反応の反応熱により酸化触媒は周囲温度よりも高くなる。
【0025】
すなわち酸化触媒で酸化反応が開始されると、酸化触媒の内部の温度センサが検出する温度は、周囲温度検出部にて検出されている温度よりも高い側に離れ始める。このような温度状態の変化が生じたタイミングでは、周囲温度検出部により検出された温度は酸化触媒活性化温度を表している。
【0026】
そして前述したごとく酸化触媒活性化温度の高さは硫黄濃度に対応している。したがって上述したごとく検出した酸化触媒活性化温度に基づいて硫黄濃度を検出できる。
本発明の硫黄濃度検出装置は請求項1の構成に周囲温度検出部と硫黄濃度検出部とを加えた構成である。したがって耐久性が高くかつ酸素センサを用いない構成は維持されている。
【0027】
請求項6に記載の硫黄濃度検出装置では、請求項1に記載の硫黄濃度検出センサと、前記硫黄濃度検出センサの周囲を流れる気流の温度を検出する周囲温度検出部と、前記周囲温度検出部により検出された温度が前記硫黄濃度検出センサの酸化触媒を活性化する温度より高い状態で、前記周囲温度検出部により検出された温度と前記硫黄濃度検出センサの温度センサにより検出された温度とに基づいて、気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出部とを備えたことを特徴とする。
【0028】
前述したごとく酸化触媒で酸化反応が開始されると、酸化触媒の内部の温度センサが検出する温度は、周囲温度検出部にて検出されている温度よりも高い側に離れ始める。
この周囲温度検出部により検出された温度と硫黄濃度検出センサの温度センサにより検出された温度との差は、酸化触媒活性化温度より高くなればなるほど反応が活性化されるので、大きくなる。
【0029】
しかし、同一温度では、酸化触媒活性化温度が低い場合ほど周囲温度検出部により検出された温度と硫黄濃度検出センサの温度センサにより検出された温度との差は大きくなる。逆に酸化触媒活性化温度が高い場合ほど周囲温度検出部により検出された温度と硫黄濃度検出センサの温度センサにより検出された温度との差は小さくなる。
【0030】
このため酸化触媒活性化温度以上の温度では、前記温度差によって酸化触媒活性化温度の高さが判明する。そして触媒活性化温度の高さは硫黄濃度の高さに対応することから、前記温度差は硫黄濃度の高さを表すことになる。
【0031】
このように硫黄濃度検出部は、周囲温度検出部により検出された温度と硫黄濃度検出センサの温度センサにより検出された温度とに基づいて気流中の硫黄濃度を検出できる。
本発明の硫黄濃度検出装置は請求項1の構成に周囲温度検出部と硫黄濃度検出部とを加えた構成である。したがって耐久性が高くかつ酸素センサを用いない構成は維持されている。
【0032】
請求項7に記載の硫黄濃度検出装置では、請求項2に記載の硫黄濃度検出センサと、前記硫黄濃度検出センサの周囲を流れる気流の温度を検出する周囲温度検出部と、前記周囲温度検出部により検出された温度の上昇時に、前記酸化触媒基準温度検出部により検出された温度が前記周囲温度検出部により検出された温度よりも高い側に離れ始めたときの温度を基準温度とし、前記酸化触媒温度検出部により検出された温度が前記周囲温度検出部により検出された温度よりも高い側に離れ始めたときの温度を硫黄濃度対応温度とし、前記基準温度と前記硫黄濃度対応温度とに基づいて、気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出部とを備えたことを特徴とする。
【0033】
硫黄濃度検出センサには酸化触媒基準温度検出部と酸化触媒温度検出部とが設けられて、酸化触媒基準温度検出部の温度センサにて、硫黄濃度0ppmでの酸化触媒活性化温度が基準温度として得られる。そして酸化触媒温度検出部にて実際の硫黄濃度に対応した酸化触媒活性化温度が硫黄濃度対応温度として得られる。
【0034】
したがって硫黄濃度検出部は、基準温度と硫黄濃度対応温度とを比較することにより、高精度に硫黄濃度を検出することが可能となる。
本発明の硫黄濃度検出装置は請求項2の構成に周囲温度検出部と硫黄濃度検出部とを加えた構成である。したがって耐久性が高くかつ酸素センサを用いない構成は維持されている。
【0035】
請求項8に記載の硫黄濃度検出装置では、請求項2に記載の硫黄濃度検出センサと、前記硫黄濃度検出センサの周囲を流れる気流の温度を検出する周囲温度検出部と、前記周囲温度検出部により検出された温度が前記硫黄濃度検出センサにおける酸化触媒温度検出部の酸化触媒を活性化する温度より高くなった状態で、前記周囲温度検出部により検出された温度と、前記酸化触媒温度検出部により検出された温度と、前記酸化触媒基準温度検出部により検出された温度とに基づいて、気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出部とを備えたことを特徴とする。
【0036】
酸化触媒温度検出部の酸化触媒が酸化触媒活性化温度以上の温度状態では、酸化触媒温度検出部と酸化触媒基準温度検出部との間で検出する温度差は、硫黄濃度に対応したものとなる。したがって硫黄濃度検出部は、酸化触媒温度検出部、酸化触媒基準温度検出部、周囲温度検出部のそれぞれにより検出される温度に基づいて硫黄濃度を検出することが可能となる。
【0037】
本発明の硫黄濃度検出装置は請求項2の構成に周囲温度検出部と硫黄濃度検出部とを加えた構成である。したがって耐久性が高くかつ酸素センサを用いない構成は維持されている。
【0038】
請求項9に記載の硫黄濃度検出装置では、請求項3に記載の硫黄濃度検出センサと、前記硫黄濃度検出センサの温度調節部により調節される温度を推定する調節温度推定部と、前記硫黄濃度検出センサの温度調節部により前記硫黄濃度検出センサの酸化触媒の温度を上昇させ、この上昇時に、前記調節温度推定部により推定されている調節温度よりも、前記硫黄濃度検出センサに設けられた温度センサにより検出された温度が高い側に離れ始めたときの前記調節温度推定部により推定されている調節温度に基づいて、気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出部とを備えたことを特徴とする。
【0039】
前述したごとく酸化触媒で酸化反応が開始されると、酸化触媒の内部の温度センサが検出する温度は、温度調節部が調節している温度よりも高い側に離れ始める。このタイミングで、調節温度推定部により推定された調節温度は触媒活性化温度を表している。
【0040】
酸化触媒の温度上昇は、硫黄濃度検出センサの温度調節部により実行している。このことにより硫黄濃度検出部は、所望のタイミングで酸化触媒を安定的に活性化させることができ、温度センサにより検出された温度と調節温度推定部により推定された調節温度とに基づいて、高精度に硫黄濃度を検出することが可能となる。
【0041】
本発明の硫黄濃度検出装置は請求項3の構成に調節温度推定部と硫黄濃度検出部とを加えた構成である。したがって耐久性が高くかつ酸素センサを用いない構成は維持されている。
【0042】
請求項10に記載の硫黄濃度検出装置では、請求項3に記載の硫黄濃度検出センサと、前記硫黄濃度検出センサの温度調節部により調節される温度を推定する調節温度推定部と、前記硫黄濃度検出センサの温度調節部により前記硫黄濃度検出センサの酸化触媒の温度を酸化触媒活性化温度より高くし、前記調節温度推定部により推定されている調節温度と前記硫黄濃度検出センサの温度センサにより検出された温度とに基づいて、気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出部とを備えたことを特徴とする。
【0043】
前述したごとく酸化触媒が酸化触媒活性化温度以上の温度状態であれば、高い方に移動すればするほど、調節温度推定部により推定された調節温度と硫黄濃度検出センサの温度センサにより検出された温度との差が大きくなると共に、この温度差に基づいて硫黄濃度が検出できる。
【0044】
このような温度状態の設定は、硫黄濃度検出センサの温度調節部により実行している。このことにより硫黄濃度検出部は、所望のタイミングで酸化触媒を安定的に酸化触媒活性化温度より高い状態にさせることができる。したがって硫黄濃度検出部は、温度センサにより検出された温度と調節温度推定部により推定された調節温度とに基づいて高精度に硫黄濃度を検出することが可能となる。
【0045】
本発明の硫黄濃度検出装置は請求項3の構成に調節温度推定部と硫黄濃度検出部とを加えた構成である。したがって耐久性が高くかつ酸素センサを用いない構成は維持されている。
【0046】
請求項11に記載の硫黄濃度検出装置では、請求項4に記載の硫黄濃度検出センサと、前記硫黄濃度検出センサの温度調節部により調節される温度を推定する調節温度推定部と、前記硫黄濃度検出センサの温度調節部により前記酸化触媒温度検出部及び前記酸化触媒基準温度検出部の温度を上昇させ、この上昇時に、前記酸化触媒基準温度検出部により検出された温度が前記調節温度推定部により推定された温度よりも高い側に離れ始めたときの温度を基準温度とし、前記酸化触媒温度検出部により検出された温度が前記調節温度推定部により推定された温度よりも高い側に離れ始めたときの温度を硫黄濃度対応温度とし、前記基準温度と前記硫黄濃度対応温度とに基づいて、気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出部とを備えたことを特徴とする。
【0047】
このように温度調節部により酸化触媒温度検出部及び酸化触媒基準温度検出部の温度を上昇させているので、所望のタイミングで各酸化触媒を安定的に活性化させることができ、各温度センサにより検出される基準温度と硫黄濃度対応温度とに基づいて、高精度に硫黄濃度を検出することが可能となる。
【0048】
本発明の硫黄濃度検出装置は請求項4の構成に調節温度推定部と硫黄濃度検出部とを加えた構成である。したがって耐久性が高くかつ酸素センサを用いない構成は維持されている。
【0049】
請求項12に記載の硫黄濃度検出装置では、請求項4に記載の硫黄濃度検出センサと、前記硫黄濃度検出センサの温度調節部により調節される温度を推定する調節温度推定部と、前記硫黄濃度検出センサの温度調節部により前記酸化触媒温度検出部及び前記酸化触媒基準温度検出部の温度を上昇させて酸化触媒活性化温度より高くし、前記調節温度推定部により推定された温度と、前記酸化触媒温度検出部により検出された温度と、前記酸化触媒基準温度検出部により検出された温度とに基づいて、気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出部とを備えたことを特徴とする。
【0050】
このように温度調節部により酸化触媒温度検出部及び酸化触媒基準温度検出部の温度を酸化触媒活性化温度より高くしているので、所望のタイミングで各酸化触媒を安定的に活性化させることができる。そして調節された温度と各温度センサにより検出される温度とに基づいて、高精度に硫黄濃度を検出することが可能となる。
【0051】
本発明の硫黄濃度検出装置は請求項4の構成に調節温度推定部と硫黄濃度検出部とを加えた構成である。したがって耐久性が高くかつ酸素センサを用いない構成は維持されている。
【0052】
請求項13に記載の硫黄濃度検出装置では、請求項5〜12のいずれか一項に記載の硫黄濃度検出装置において、内燃機関は排気系に酸化対象物質として燃料を導入するものであり、前記硫黄濃度検出センサは内燃機関の排気系に配置されて、排気中の硫黄濃度を検出することを特徴とする。
【0053】
このように硫黄濃度検出装置を排気系に配置し、排気系での処理のために排気系に導入される燃料を酸化対象物質として利用して、排気中の硫黄濃度を検出することができる。
排気は内燃機関において燃料が燃焼したことにより発生したものであることから、硫黄濃度検出装置は、排気系に導入された燃料のみでなく、内燃機関で燃焼に用いられた燃料について、その硫黄濃度を検出していることになる。
【0054】
したがって燃料中の硫黄濃度を検出する特別な部位を設けることはないので、内燃機関の小型化に貢献できる。
請求項14に記載の硫黄濃度検出装置では、請求項13に記載の硫黄濃度検出装置において、排気系への燃料導入は排気系での燃料添加又は燃焼室内でのポスト噴射によるものであることを特徴とする。
【0055】
排気系への燃料導入としては、排気系での燃料添加や、燃焼室内でメイン燃料噴射後に行われるポスト噴射を挙げることができる。
請求項15に記載の硫黄濃度検出装置では、請求項5〜14のいずれか一項に記載の硫黄濃度検出装置において、前記酸化触媒は、内燃機関の排気系に設けられたDPFに配置された酸化触媒であることを特徴とする。
【0056】
このように酸化触媒としては、内燃機関排気系のDPFに設けられている酸化触媒を利用できる。このことにより特別に燃料中の硫黄濃度を検出するための酸化触媒を設ける必要がなくなるので、内燃機関の小型化に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施の形態1の硫黄濃度検出センサを内部に組み付けた硫黄濃度検出アセンブリの縦断面図。
【図2】硫黄濃度検出センサの周囲温度Taと温度センサにより検出される触媒温度Tcとの関係を示すグラフ。
【図3】周囲温度Ta(又は触媒温度Tc)から硫黄濃度を求めるための硫黄濃度マップMAPsの構成説明図。
【図4】実施の形態1の硫黄濃度検出アセンブリをディーゼルエンジンの排気系に取り付けた状態を示す断面図。
【図5】周囲温度Taが酸化触媒活性化温度TaXを通過した際の触媒温度Tcの変化状態を示すグラフ。
【図6】実施の形態1のECUが実行する硫黄濃度検出処理のフローチャート。
【図7】実施の形態2の硫黄濃度検出センサを内部に組み付けた硫黄濃度検出アセンブリの縦断面図。
【図8】実施の形態2のECUが実行する硫黄濃度検出処理のフローチャート。
【図9】実施の形態3のECUが実行する硫黄濃度検出処理のフローチャート。
【図10】異なる硫黄濃度における触媒温度Tcの差を説明するグラフ。
【図11】周囲温度Taと温度差dTとから硫黄濃度を求めるための硫黄濃度マップMAPdtの構成説明図。
【図12】実施の形態4のECUが実行する硫黄濃度検出処理のフローチャート。
【図13】実施の形態5の硫黄濃度検出センサを内部に組み付けた硫黄濃度検出アセンブリの縦断面図。
【図14】酸化触媒活性化温度と酸化触媒活性化基準温度との温度差Dxから、硫黄濃度を求めるための硫黄濃度マップMAPsstの構成説明図。
【図15】実施の形態5のECUが実行する硫黄濃度検出処理のフローチャート。
【図16】同じく基準温度検出処理のフローチャート。
【図17】同じく硫黄濃度対応温度検出処理のフローチャート。
【図18】実施の形態6の硫黄濃度検出センサを内部に組み付けた硫黄濃度検出アセンブリの縦断面図。
【図19】実施の形態6のECUが実行する硫黄濃度検出処理のフローチャート。
【図20】同じく基準温度検出処理のフローチャート。
【図21】同じく硫黄濃度対応温度検出処理のフローチャート。
【図22】実施の形態7で用いる、周囲温度Taと酸化触媒の温度差dBSとから硫黄濃度を求める硫黄濃度マップMAPdbsの構成説明図。
【図23】実施の形態7のECUが実行する硫黄濃度検出処理のフローチャート。
【図24】実施の形態8のECUが実行する硫黄濃度検出処理のフローチャート。
【図25】実施の形態9において硫黄濃度検出センサをDPF内に配置した硫黄濃度検出装置を示す縦断面図。
【図26】実施の形態10において硫黄濃度検出センサをDPF内に配置した硫黄濃度検出装置を示す縦断面図。
【図27】他の実施の形態において硫黄濃度検出センサをDPF内に配置した硫黄濃度検出装置を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0058】
[実施の形態1]
〈実施の形態1の構成〉図1は本実施の形態の硫黄濃度検出センサ2を内部に組み付けた硫黄濃度検出アセンブリ3を示している。
【0059】
硫黄濃度検出センサ2は、外側に酸化触媒4が形成され、この酸化触媒4の内部に温度センサ6が配置されている構成である。この構成により温度センサ6は、酸化触媒4の温度を測定している。
【0060】
硫黄濃度検出アセンブリ3は、ハウジング8とカバー10とを備える。硫黄濃度検出センサ2は、温度センサ6の基部にてハウジング8に固定されている。カバー10は、通気性のために通気口10aが多数形成されている。硫黄濃度検出センサ2の酸化触媒4はこのカバー10内の空間に配置されている。
【0061】
酸化触媒4は、通気口10aからカバー10内に導入される気流中の炭化水素などの酸化対象物質を、気流中に存在する酸素と反応させる触媒である。この酸化触媒4としては、白金やパラジウムが挙げられる。例えば、ディーゼルエンジンのDPF(Diesel Particulate Filter)において用いられている酸化触媒が使用される。
【0062】
温度センサ6としては、サーミスタなどの抵抗温度計や熱電対が使用され、その電圧信号が信号線6aから外部に出力される。
〈実施の形態1の作用〉ここで硫黄濃度検出センサ2の周囲温度(例えばカバー10内に導入される気流の温度)Taと、温度センサ6により検出される酸化触媒4内の温度(触媒温度Tc)とは、本発明者の実験により図2に示す関係にあることが判明している。
【0063】
周囲温度Ta(ここでは気流の温度)を次第に上昇させた場合、気流中の硫黄濃度が0ppmである場合には、周囲温度Ta0までは、周囲温度Ta=触媒温度Tcであったが、周囲温度Taが温度Ta0を越えると、触媒温度Tcは周囲温度Taより高い側に離れ始める。これは酸化触媒4により気流中の酸化対象物質を酸化する反応が開始されて、反応熱によって酸化触媒4が周囲温度Taよりも昇温したことを示している。
【0064】
すなわち気流中の硫黄濃度が0ppmである場合の酸化触媒活性化温度は温度Ta0である。
しかし気流中の硫黄濃度が500ppmである場合には、温度Ta0では酸化反応が開始されず、それより高い温度Ta1(=Tc1)で酸化反応が開始されて触媒温度Tcは周囲温度Taより高い側に離れ始める。
【0065】
すなわち気流中の硫黄濃度が500ppmである場合の酸化触媒活性化温度は温度Ta1(>Ta0)である。
同様にして硫黄濃度が1000ppmである場合の酸化触媒活性化温度は温度Ta2(>Ta1)である。そして、硫黄濃度が1500ppmである場合の酸化触媒活性化温度は温度Ta3(>Ta2)である。
【0066】
この酸化触媒活性化時の周囲温度Ta(又は酸化触媒活性化時の触媒温度Tc)と硫黄濃度との関係をグラフに表したものが、図3に示す硫黄濃度マップMAPsである。
したがって触媒温度Tcが周囲温度Taから高い側に離れ始める周囲温度Taを検出することで、気流中の硫黄濃度が検出できることになる。
〈実施の形態1による硫黄濃度検出例〉図4にディーゼルエンジンの排気系に設けられたDPF12よりも上流に、図1に示した硫黄濃度検出アセンブリ3を取り付ける。尚、このDPF12は、コージェライトのハニカム基材に白金やパラジウムの酸化触媒がコートしてあるものである。この酸化触媒は、硫黄濃度検出センサ2の酸化触媒4と同種の場合もあり、異なる種類の場合もある。
【0067】
硫黄濃度検出センサ2における温度センサ6が検出する触媒温度Tcを表す検出信号は、電子制御ユニット(以下「ECU」と称する)14に読み込まれる。ECU14は、ディーゼルエンジンの運転状態、ここでは燃料噴射量、回転速度及び燃料添加量に基づいて、DPF12に導入される排気温Teを推定計算している。
【0068】
そしてECU14は、このように推定計算した排気温Teを、気流の温度である周囲温度Taとして用いて、この周囲温度Taと触媒温度Tcとに基づいて、図5に示すごとくの温度変化を示す酸化触媒活性化温度TaX(酸化触媒活性化時の触媒温度TcXと同じ)を求める。そしてこの酸化触媒活性化温度TaXに基づいて図3に示した硫黄濃度マップMAPsから排気中の硫黄濃度SXを算出する。
【0069】
この一連の処理はECU14により図6に示すごとく実行される。この硫黄濃度検出処理について説明する。本処理は一定時間周期で繰り返し実行される処理である。尚、図6中の個々の処理内容に対応するステップを「S〜」で表す。
【0070】
硫黄濃度検出処理(図6)が開始されると、まず硫黄濃度検出条件が成立しているか否かが判定される(S102)。硫黄濃度検出条件は、ディーゼルエンジン運転が安定状態にあり、DPF12に対して上流から浄化のための燃料添加がなされている場合に成立する。尚、燃料添加弁による排気系での燃料添加ではなく、燃焼室内におけるメイン燃料噴射後に行われるポスト噴射によってDPF12を浄化するエンジンでは、燃料添加の代わりにポスト噴射をしていることが条件となる。このようにして排気流に加えられる燃料が硫黄濃度検出センサ2にて利用される主な酸化対象物質となる。
【0071】
硫黄濃度検出条件が成立していなければ(S102でNO)、このまま本処理を出る。
硫黄濃度検出条件が成立すると(S102でYES)、次に周囲温度Ta(ここでは排気温Te)が緩慢に上昇中か否かが判定される(S104)。排気温Teは前述したごとくECU14がディーゼルエンジンの運転状態から算出している。尚、排気温Teが急激に上昇している場合には、検出精度が低下するので、排気温Teは緩慢に上昇していることが条件とされている。
【0072】
排気温Teが上昇していない場合、あるいは上昇していても急激な上昇では(S104でNO)、このまま本処理を出る。
検出条件が成立しており(S102でYES)、かつ排気温Teが緩慢に上昇している場合には(S104でYES)、次に硫黄濃度検出センサ2の出力値から得られている触媒温度Tcが排気温Teから高い側に離れ始めたか否かが判定される(S106)。
【0073】
すなわち、Tc=Teの状態(図5にて酸化触媒活性化温度TaXより低い状態)から、Tc>Teの状態(図5にて酸化触媒活性化温度TaX以上の状態)へ移行したタイミングか否かが判定される(S106)。尚、触媒温度Tcと排気温Teとの比較は、測定誤差あるいは計算誤差を含めた範囲内の差は同一として扱っている。
【0074】
ここでTc=Teであったり、既にTc>Teとなっていた場合には(S106でNO)、次に、今回の酸化触媒活性化温度TaXは設定済みか否かが判定される(S108)。
【0075】
この酸化触媒活性化温度TaXの設定は、後述するステップS110の処理によりなされる。すなわち、今回の条件(S102,S104,S106)成立により、ステップS110の処理にて周囲温度Ta(排気温Te)を酸化触媒活性化温度TaXに設定する処理がなされているか否かが判定される。
【0076】
ここでは、未だ全ての条件(S102,S104,S106)は成立していないので(S108でNO)、このまま本処理を出る。
前記図5に示したごとく触媒温度Tcが周囲温度Taから高い側に離れ始めた場合には(S106でYES)、酸化触媒活性化温度TaXに、周囲温度Taとして現在算出されている排気温Teの値が設定される(S110)。
【0077】
そして触媒温度Tcと周囲温度Ta(排気温Te)との差が判定値ΔT以上か否かが判定される(S112)。この判定値ΔTは、触媒温度Tcが周囲温度Taから高い側に離れたことを確実に判定するために設けられている。
【0078】
当初は、Tc−Ta≧ΔTが成立していないので(S112でNO)、このまま本処理を出る。
次の実行周期では、ステップS102でYES、ステップS104でYESと判定されると、次にステップS106の判定がなされる。このときは既に前回にて離れ始めたと判定されているので、今回はNOと判定される。そして今回の酸化触媒活性化温度TaXは設定済みとなっているので(S108でYES)、前述したTc−Ta≧ΔTが成立しているか否かが判定される(S112)。成立していない場合には(S112でNO)、このまま本処理を出る。
【0079】
以後、Tc−Ta≧ΔTが成立するまでは、ステップS108ではYESと判定されるが、ステップS112ではNOと判定される状態が継続する。
そしてTc−Ta≧ΔTが成立すると(S112でYES)、ステップS110にて既に設定していた酸化触媒活性化温度TaXの値が確定するので、この酸化触媒活性化温度TaXに基づいて前述した硫黄濃度マップMAPs(図3)から排気中の硫黄濃度SXを求める(S114)。
【0080】
このようにして今回の検出条件成立時に排気中の硫黄濃度が検出できたので、硫黄濃度検出処理終了設定を実行して(S116)、本処理を出る。
以後は、新たに検出条件(S102)が成立するまでは、ステップS102でNOと判定されるので、本処理での実質的な処理はなされない。
〈実施の形態1と請求項との関係〉上述した構成において、硫黄濃度検出センサ2及びECU14が硫黄濃度検出装置に相当する。ECU14が周囲温度検出部及び硫黄濃度検出部に相当する。ECU14によるディーゼルエンジンの運転状態から排気温Te算出する処理が周囲温度検出部としての処理に相当し、硫黄濃度検出処理(図6)が硫黄濃度検出部としての処理に相当する。
〈実施の形態1の効果〉(1)本実施の形態における硫黄濃度の検出は、酸化触媒4の酸化触媒活性化温度が気流中の硫黄濃度に応じて高くなる知見に基づくものである。
【0081】
このために周囲温度Ta(排気温Te)の上昇時に、温度センサ6にて検出される酸化触媒4の温度Tcが周囲温度Taよりも高い側に離れ始めたときを(S106でYES)、酸化触媒活性化温度TaXに到達したものとする。そして、そのときの周囲温度Taを用いて硫黄濃度マップMAPsから排気中の硫黄濃度SXを算出している(S114)。
【0082】
このように温度センサ6により酸化触媒4の温度Tcの状態を検出することで、結果として硫黄濃度SXが検出できることから、硫酸塩に電極を配置するごとくの耐久性に問題のある構成は使用せずに済む。このため耐久性が高い。
【0083】
更に酸素センサを用いずに実現できるので低コストな構成となる。
(2)図4に示したごとく硫黄濃度検出アセンブリ3を、内燃機関の排気系に存在するDPF12の上流側に配置することで、DPF12の浄化処理のために添加される燃料あるいはポスト噴射を利用して、排気中の硫黄濃度を検出することができる。
【0084】
したがって燃料の硫黄濃度を検出するために内燃機関に特別な部位を設ける必要はないので、内燃機関の小型化に貢献できる。
[実施の形態2]
〈実施の形態2の構成〉図7は本実施の形態の硫黄濃度検出センサ102を内部に組み付けた硫黄濃度検出アセンブリ103を示している。
【0085】
硫黄濃度検出センサ102は、酸化触媒温度検出部105と温度調節部107とからなる。酸化触媒温度検出部105は前記実施の形態1の硫黄濃度検出センサ2(図1)と同一構成及び機能である。すなわち酸化触媒温度検出部105は、外側に酸化触媒104が形成され、この酸化触媒104内に温度センサ106が配置された構成であり、温度センサ106は酸化触媒104の温度を検出している。この温度に対応する電圧信号が信号線106aから外部に出力される。酸化触媒104の種類については前記実施の形態1にて述べたごとくである。
【0086】
温度調節部107は、導線107aから通電することにより発熱する電熱器であり、耐熱性のセラミックヒータなどが用いられている。この温度調節部107は円筒形であり、内部空間に酸化触媒温度検出部105を配置している。したがって導線107aへの通電制御により酸化触媒温度検出部105を加熱自在としている。
【0087】
硫黄濃度検出アセンブリ103は前記実施の形態1と同様にハウジング108とカバー110とを備える。酸化触媒温度検出部105と温度調節部107とは、それぞれ基部にてハウジング108に固定されている。カバー110は通気口110aが多数形成されている。硫黄濃度検出センサ102はこのカバー110に覆われた状態でハウジング108に固定されている。
〈実施の形態2の作用〉酸化触媒温度検出部105の周囲温度Taと、温度センサ106により検出される酸化触媒104内の温度(触媒温度Tc)との関係は、前記図2にて述べたごとくである。そして周囲温度Taと硫黄濃度との関係は、前記図3に示す硫黄濃度マップMAPsのごとくである。したがって触媒温度Tcが周囲温度Taから高い側に離れ始める周囲温度Taを検出することで、気流中の硫黄濃度が検出できることになる。
【0088】
本実施の形態の硫黄濃度検出センサ102では温度調節部107を備えているので、酸化触媒温度検出部105を加熱することでその温度を調節できる。このため硫黄濃度検出アセンブリ103を前記図4と同様に内燃機関の排気系に取り付けた場合に、酸化触媒温度検出部105の温度を温度調節部107により調節することで、排気中の硫黄濃度を検出できる。
〈実施の形態2による硫黄濃度検出例〉本実施の形態のECUは図8に示すごとくの硫黄濃度検出処理を一定時間周期で繰り返すことで、硫黄濃度の検出を行う。
【0089】
硫黄濃度検出処理(図8)について説明する。まず硫黄濃度検出条件が成立しているか否かが判定される(S202)。この硫黄濃度検出条件は前記図6のステップS102で説明したごとくである。
【0090】
硫黄濃度検出条件が成立すると(S202でYES)、次に温度調節部107に対する通電制御を実行して酸化触媒104を次第に昇温させる処理を開始する(S204)。
次に温度調節部107に対する通電量と排気温Teとから演算F(あるいはマップ)により、酸化触媒104が調節される温度(調節温度Ti)が推定される(S205)。ここで排気温Teについては前記実施の形態1にて述べたごとくディーゼルエンジンの運転状態から推定する。
【0091】
すなわちステップS205の演算F(あるいはマップ)では、排気温Teである排気の気流中にて、温度調節部107から空間を介して受ける熱量により酸化触媒104が到達する温度を、調節温度Tiとして推定算出している。
【0092】
そして温度調節部107による昇温処理中に、酸化触媒温度検出部105の温度センサ106が検出する触媒温度Tcが、調節温度Tiから高い側に離れ始めたか否かが判定される(S206)。すなわち次第に調節温度Tiが上昇している際に、Tc=Tiの状態から、Tc>Tiの状態に移行したタイミングか否かが判定される。尚、触媒温度Tcと調節温度Tiとの比較は、測定誤差あるいは計算誤差を含めた範囲内の差は同一として扱っている。
【0093】
ここでTc=Tiであったり、既にTc>Tiとなっていた場合には(S206でNO)、次に、今回の酸化触媒活性化温度TaXは設定済みか否かが判定される(S208)。
【0094】
この酸化触媒活性化温度TaXの設定は、後述するステップS210の処理のことであり、今回の条件(S202,S206)成立により、ステップS210の処理にて調節温度Tiを酸化触媒活性化温度TaXに設定する処理がなされているか否かが判定される。
【0095】
ここでは、未だ全ての条件(S202,S206)は成立していないので(S208でNO)、このまま本処理を出る。
触媒温度Tcが調節温度Tiから高い側に離れ始めた場合には(S206でYES)、酸化触媒活性化温度TaXに、現在算出されている調節温度Tiが設定される(S210)。
【0096】
そして触媒温度Tcと調節温度Tiとの差が判定値ΔT以上か否かが判定される(S212)。この判定値ΔTは、触媒温度Tcが調節温度Tiから高い側に離れたことを確実に判定するために設けられている。
【0097】
当初は、Tc−Ti≧ΔTが成立していないので(S212でNO)、このまま本処理を出る。
次の実行周期では、ステップS202でYESと判定されると、ステップS204,S205の処理の次にステップS206の判定がなされる。このときは既に前回にて離れ始めたと判定されているので、今回はNOと判定される。そして今回の酸化触媒活性化温度TaXは設定済みとなっているので(S208でYES)、前述したTc−Ti≧ΔTが成立しているか否かが判定される(S212)。成立していない場合には(S212でNO)、このまま本処理を出る。
【0098】
以後、Tc−Ti≧ΔTが成立するまでは、ステップS208ではYESと判定されるが、ステップS212ではNOと判定される状態が継続する。
そしてTc−Ti≧ΔTが成立すると(S212でYES)、ステップS210にて既に設定していた酸化触媒活性化温度TaXの値が確定するので、この酸化触媒活性化温度TaXに基づいて、前記硫黄濃度マップMAPs(図3)から排気中の硫黄濃度SXを求める(S214)。
【0099】
このようにして今回の検出条件成立時に排気中の硫黄濃度が検出できたので、硫黄濃度検出処理終了設定を実行して(S216)、本処理を出る。
以後は、新たに検出条件(S202)が成立するまでは、ステップS202でNOと判定されるので、本処理での実質的な処理はなされない。
〈実施の形態2と請求項との関係〉上述した構成において、硫黄濃度検出センサ102及びECUが硫黄濃度検出装置に相当する。ECUが調節温度推定部及び硫黄濃度検出部に相当する。ECUによる硫黄濃度検出処理(図8)が調節温度推定部(ステップS205が相当する)及び硫黄濃度検出部としての処理に相当する。
〈実施の形態2の効果〉(1)本実施の形態における硫黄濃度の検出は、酸化触媒104の酸化触媒活性化温度が気流中の硫黄濃度に応じて高くなる知見に基づくものである。
【0100】
このため温度調節部107への通電により、酸化触媒104の温度(調節温度Ti)が次第に上昇するように調節し、この調節温度Tiの上昇時に、温度センサ106にて検出される酸化触媒104の温度Tcが調節温度Tiよりも高い側に離れ始めたときを(S206でYES)、酸化触媒104が酸化触媒活性化温度TaXに到達したものとしている。そしてこの酸化触媒活性化温度TaXの値を用いて硫黄濃度マップMAPsから排気中の硫黄濃度SXを算出している(S214)。
【0101】
このように所望のタイミングで酸化触媒104を安定的に活性化させることができるので、酸化触媒104の温度状態に基づいて、高精度に硫黄濃度を検出することが可能となる。
【0102】
硫酸塩に電極を配置するごとくの耐久性に問題のある構成は使用していないので耐久性が高い。更に酸素センサを用いずに実現できるので低コストな構成となる。
(2)前記実施の形態1の効果(2)と同じ効果を生じる。
【0103】
[実施の形態3]
〈実施の形態3の構成〉本実施の形態では、前記図1の硫黄濃度検出アセンブリ3と前記図4の配置構成を採用している。そして本実施の形態のECUは図6の処理の代わりに、図9に示す硫黄濃度検出処理を一定時間周期で繰り返し実行する。他の構成は前記実施の形態1と同じなので、同一構成は同一符号にて説明する。
〈実施の形態3の作用〉前記図2に表されているように、特定の周囲温度Taでは、気流中の硫黄濃度に応じて、酸化触媒4の温度が異なる。例えば図10に示すごとく特定の周囲温度Taとして、温度Ta10を選択する。この周囲温度Ta10は、前記図2では温度Ta3に相当し、気流中の硫黄濃度が1500ppmであった場合の酸化触媒活性化温度に相当する。
【0104】
この周囲温度Ta10では、触媒温度Tcは、気流中の硫黄濃度が0ppmの場合は温度Tc10であり、500ppmの場合は温度Tc11であり、1000ppmの場合は温度Tc12であり、1500ppmの場合は温度Tc13である。更に硫黄濃度が1500ppmを越える場合も温度Tc13となる。
【0105】
特定の周囲温度Taとして温度Ta11を選択すると、この周囲温度Ta11では、触媒温度Tcは、気流中の硫黄濃度が0ppmの場合は温度Tc20であり、500ppmの場合は温度Tc21であり、酸化触媒活性化温度がこの周囲温度Ta11以上となるような硫黄濃度では温度Tc22である。
【0106】
すなわち酸化触媒活性化温度が、特定の周囲温度Taよりも低い側となる硫黄濃度では、特定の周囲温度Taに対して触媒温度Tcが高くなるため、触媒温度Tcと特定の周囲温度Taとの間に温度差が生じる。
【0107】
このことから周囲温度Taを0ppmでの酸化触媒活性化温度よりも高い温度にして、触媒温度Tcを実測すれば、気流中の硫黄濃度検出が可能となる。図9の硫黄濃度検出処理は、このことを利用して気流中の硫黄濃度を検出する処理である。
〈実施の形態3による硫黄濃度検出例〉硫黄濃度検出処理(図9)について説明する。まず硫黄濃度検出条件が成立しているか否かが判定される(S302)。この硫黄濃度検出条件は前記図6のステップS102で説明したごとくである。成立していなければ(S302でNO)、このまま本処理を出る。
【0108】
硫黄濃度検出条件が成立すると(S302でYES)、次に温度センサ6が検出している触媒温度Tcが周囲温度Taより高いか否かが判定される(S304)。尚、周囲温度Taは前記実施の形態1にて述べたごとく、排気温Teに相当し、この排気温TeはECUによりディーゼルエンジンの運転状態から推定されている。
【0109】
Tc≦Taであれば(S304でNO)、このまま本処理を出る。
Tc>Taとなると(S304でYES)、式1のごとく触媒温度Tcと周囲温度Ta(排気温Te)との温度差dTが算出される(S306)。
【0110】
[式1] dT←Tc−Ta
そして周囲温度Taと温度差dTとに基づいて、硫黄濃度マップMAPdtから排気中の硫黄濃度SXを算出する(S308)。
【0111】
硫黄濃度マップMAPdtは、図11に示すごとく周囲温度Taと温度差dTにより、排気中の硫黄濃度SXを決定するマップであり、この内容は図10にて説明した関係に基づいて設定されている。すなわち硫黄濃度0ppmでの酸化触媒活性化温度Ta0から伸びる実線は0ppmでの周囲温度Taに対応した温度差dTの変化を示している。したがってこの実線より低い領域の温度差dTにてマップデータが存在する。そしてマップデータが存在する部分では、破線の等高線にて示すごとく、周囲温度Taが高いほど高い硫黄濃度が設定され、温度差dTが大きいほど低い硫黄濃度が設定されている。
【0112】
このようして排気中の硫黄濃度SXが検出されると、硫黄濃度検出処理終了設定を実行して(S310)、本処理を出る。
以後は、新たに検出条件(S302)が成立するまでは、ステップS302でNOと判定されるので、本処理での実質的な処理はなされない。
〈実施の形態3と請求項との関係〉上述した構成において、硫黄濃度検出センサ2及びECUが硫黄濃度検出装置に相当する。ECUが周囲温度検出部及び硫黄濃度検出部に相当する。ECUによるディーゼルエンジンの運転状態から排気温Te算出する処理が周囲温度検出部としての処理に相当し、硫黄濃度検出処理(図9)が硫黄濃度検出部としての処理に相当する。
〈実施の形態3の効果〉(1)図11の硫黄濃度マップMAPdtを用いることにより、酸化触媒活性化温度より高い周囲温度TaとされてdT>0(℃)となっていれば、温度のみで容易に排気中の硫黄濃度SXを検出することができる。
【0113】
そして硫酸塩に電極を配置するごとくの耐久性に問題のある構成は使用していないので耐久性が高い。更に酸素センサを用いずに実現できるので低コストな構成となる。
(2)前記実施の形態1の効果(2)と同じ効果が生じる。
【0114】
[実施の形態4]
〈実施の形態4の構成〉本実施の形態では、前記図7の硫黄濃度検出アセンブリ103と前記図4の配置構成を採用している。そして本実施の形態のECUは図8の処理の代わりに、図12に示す硫黄濃度検出処理を一定時間周期で繰り返し実行する。他の構成は前記実施の形態1と同じなので、同一構成は同一符号にて説明する。
〈実施の形態4の作用〉前記実施の形態3にて説明した硫黄濃度マップMAPdt(図11)の周囲温度Taは排気温Teを用いたものであるが、積極的に温度調節部107により酸化触媒104の温度を調節した場合には、この調節温度Tiを周囲温度Taの代わりに用いても同一の硫黄濃度マップMAPdt(図11)が利用できる。
【0115】
したがって周囲温度Taを調節温度Tiに代えた硫黄濃度マップMAPdt(図11)を用いて、硫黄濃度検出処理(図12)を実行することで排気中の硫黄濃度SXの検出が可能となる。
〈実施の形態4による硫黄濃度検出例〉硫黄濃度検出処理(図12)について説明する。この処理が開始されると、まず硫黄濃度検出条件が成立しているか否かが判定される(S402)。この硫黄濃度検出条件は前記図6のステップS102で説明したごとくである。成立していなければ(S402でNO)、このまま本処理を出る。
【0116】
硫黄濃度検出条件が成立すると(S402でYES)、次に温度調節部107に対する通電制御を実行して酸化触媒104を加熱する処理を開始する(S404)。この加熱処理は酸化触媒104をほぼ一定の温度に調節する処理である。
【0117】
次に前記図8のステップS205にて説明したごとく温度調節部107に対する通電量と排気温Teとから演算F(あるいはマップ)により、調節温度Tiを推定する(S406)。
【0118】
次に温度センサ106が検出している触媒温度Tcが調節温度Tiより高いか否かを判定する(S408)。
Tc≦Tiであれば(S408でNO)、このまま本処理を出る。
【0119】
Tc>Tiとなると(S408でYES)、式2のごとく触媒温度Tcと調節温度Tiとの温度差dTを算出する(S410)。
[式2] dT←Tc−Ti
そして調節温度Tiと温度差dTとに基づいて、硫黄濃度マップMAPdt(図11)から排気中の硫黄濃度SXを算出する(S412)。すなわち周囲温度Taを調節温度Tiに置きかえて、硫黄濃度マップMAPdtから排気中の硫黄濃度SXを算出する。
【0120】
このようして排気中の硫黄濃度SXが検出されると、硫黄濃度検出処理終了設定を実行して(S414)、本処理を出る。
以後は、新たに検出条件(S402)が成立するまでは、ステップS402でNOと判定されるので、本処理での実質的な処理はなされない。
〈実施の形態4と請求項との関係〉上述した構成において、硫黄濃度検出センサ102及びECUが硫黄濃度検出装置に相当する。ECUが調節温度推定部及び硫黄濃度検出部に相当する。ECUによる硫黄濃度検出処理(図12)が調節温度推定部(ステップS406が相当する)及び硫黄濃度検出部としての処理に相当する。
〈実施の形態4の効果〉(1)周囲温度Taを調節温度Tiに代えて図11の硫黄濃度マップMAPdtを用いることにより、酸化触媒活性化温度より高い調節温度TiとされてdT>0(℃)となっていれば、温度のみで容易に排気中の硫黄濃度SXを検出することができる。
【0121】
しかも温度調節部107により所望のタイミングで酸化触媒104を安定的に活性化させることができるので、排気中の硫黄濃度SXを高精度に検出することが可能となる。
硫酸塩に電極を配置するごとくの耐久性に問題のある構成は使用していないので耐久性が高い。更に酸素センサを用いずに実現できるので低コストな構成となる。
【0122】
(2)前記実施の形態1の効果(2)と同じ効果が生じる。
[実施の形態5]
〈実施の形態5の構成〉図13は本実施の形態の硫黄濃度検出センサ502を内部に組み付けた硫黄濃度検出アセンブリ503を示している。
【0123】
硫黄濃度検出センサ502は、酸化触媒温度検出部504と酸化触媒基準温度検出部506との組み合わせにより構成されている。
酸化触媒温度検出部504は前記実施の形態1の図1にて説明した硫黄濃度検出センサ2と同じ構成であり、酸化触媒508内に温度センサ510を配置した構成である。
【0124】
酸化触媒基準温度検出部506は、外側が硫黄捕集材512により全体的に被覆されているが、硫黄捕集材512の内部は、酸化触媒温度検出部504と同じ構成とされている。すなわち硫黄捕集材512内部には、酸化触媒514と、更にその内部に温度センサ516が配置された構成となっている。
【0125】
酸化触媒温度検出部504と酸化触媒基準温度検出部506とは、ハウジング518に隣接して配置されて固定化されている。そしてカバー520に覆われることで硫黄濃度検出アセンブリ503を構成している。
【0126】
酸化触媒基準温度検出部506において、酸化触媒514の外側を覆っている硫黄捕集材512は、カバー520の通気口520aを通過してくる気流中の硫黄成分を捕集して酸化触媒514まで硫黄成分を到達させないようにするために設けられている。
【0127】
このような硫黄捕集材512としては、炭酸カルシウムが用いられる。これ以外の物質としてカリウム、ナトリウム、セシウムなどのアルカリ金属の酸化物、バリウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属の酸化物、ランタン、イットリウムなどの希土類の酸化物から選ばれた少なくとも1つと白金やパラジウムなどの貴金属触媒との混合物を用いても良い。
〈実施の形態5の作用〉上述したごとく酸化触媒温度検出部504の酸化触媒508は気流中に露出しているので、前記実施の形態1にて説明したごとく、その酸化触媒活性化温度は硫黄濃度に影響される。
【0128】
しかし酸化触媒基準温度検出部506の酸化触媒514は硫黄捕集材512に覆われているので、気流中に硫黄成分が存在しても、その硫黄成分は酸化触媒514には到達せず、燃料などの酸化対象物質のみが到達する。このため酸化触媒514は、気流中の硫黄濃度にかかわらず酸化触媒活性化温度は硫黄濃度0ppmでの温度状態を維持する。
【0129】
したがって酸化触媒温度検出部504の温度センサ510では、前記図2に示したごとく、気流中の硫黄濃度が高くなるほど、検出する酸化触媒活性化温度は、温度Ta0から温度Ta1,Ta2,Ta3へと高くなる。しかし酸化触媒基準温度検出部506の温度センサ516では、気流中の硫黄濃度が高くなっても、検出する酸化触媒活性化温度は温度Ta0を維持することになる。
【0130】
このため酸化触媒基準温度検出部506における温度センサ516の信号線516aからの出力電圧は、基準電圧とすることができる。この基準電圧が表す酸化触媒活性化温度と、酸化触媒温度検出部504における温度センサ510の信号線510aからの出力電圧が表す酸化触媒活性化温度とを比較することにより、高精度に硫黄濃度が検出できる。
【0131】
すなわち酸化触媒温度検出部504の温度センサ510が検出する酸化触媒活性化温度(図2では温度Ta0〜Ta3)と酸化触媒基準温度検出部506の温度センサ516が検出する酸化触媒活性化基準温度(図2では温度Ta0)との温度差Dxと、硫黄濃度との関係は、図14に示すごとくの硫黄濃度マップMAPsstとして設定できる。
【0132】
ECUでは、この硫黄濃度マップMAPsstを利用して、例えば後述する図15,16,17に示す処理により硫黄濃度を高精度に検出することができる。
〈実施の形態5による硫黄濃度検出例〉本実施の形態の硫黄濃度検出アセンブリ503を前記図4と同様に内燃機関の排気系に取り付ける。そして本実施の形態のECUは、図15に示す硫黄濃度検出処理を一定周期で実行し、この図15の処理中に、図16に示す基準温度検出処理と、図17に示す硫黄濃度対応温度検出処理とを実行することにより硫黄濃度の検出を行う。
【0133】
硫黄濃度検出処理(図15)が開始されると、まず硫黄濃度検出条件が成立しているか否かが判定される(S502)。この硫黄濃度検出条件は前記図6のステップS102で説明したごとくである。成立していなければ(S502でNO)、このまま本処理を出る。
【0134】
硫黄濃度検出条件が成立すると(S502でYES)、次に周囲温度Ta(ここでは排気温Te)が緩慢に上昇中か否かが判定される(S504)。排気温TeはECUが前述のごとくディーゼルエンジンの運転状態から算出している。
【0135】
周囲温度Taが上昇していない場合、あるいは上昇していても急激な上昇では(S504でNO)、このまま本処理を出る。
検出条件が成立しており(S502でYES)、かつ周囲温度Taが緩慢に上昇している場合には(S504でYES)、次に基準温度検出処理(図16)が実行される(S506)。この基準温度検出処理(図16)は、後述するごとく硫黄濃度が0ppmでの酸化触媒活性化温度を酸化触媒活性化基準温度Tsstとして求める処理である。
【0136】
基準温度検出処理(図16)の次には硫黄濃度対応温度検出処理(図17)が実行される(S508)。この硫黄濃度対応温度検出処理(図17)は、後述するごとく気流中の実際の硫黄濃度に対応して高温化する酸化触媒活性化温度を硫黄濃度対応温度TsXとして求める処理である。
【0137】
硫黄濃度対応温度検出処理(図17)の次には両処理が終了したか否かが判定される(S510)。すなわち今回の硫黄濃度検出条件成立時において、酸化触媒活性化基準温度Tsstと硫黄濃度対応温度TsXとが共に確定したか否かを判定する。
【0138】
基準温度検出処理(図16)と硫黄濃度対応温度検出処理(図17)との少なくとも一方が終了設定していない状態、すなわち検出中であれば(S510でNO)、本処理を出る。
【0139】
以後、基準温度検出処理(図16)と硫黄濃度対応温度検出処理(図17)との両方が終了設定していない状態では、ステップS510でNOと判定する状態が継続する。
基準温度検出処理(図16)と硫黄濃度対応温度検出処理(図17)との両方で終了設定すると(S510でYES)、確定した酸化触媒活性化基準温度Tsstと硫黄濃度対応温度TsXとの温度差Dx(=TsX−Tsst)に基づいて、前述した硫黄濃度マップMAPsst(図14)から硫黄濃度を算出する(S512)。
【0140】
例えば、図14で温度差Dx=dTS(℃)であるとすると、硫黄濃度はSY(ppm)となる。
そして硫黄濃度検出処理終了設定を実行して(S514)、本処理を出る。
【0141】
以後は、新たに検出条件(S502)が成立するまでは、ステップS502でNOと判定されるので、本処理での実質的な処理はなされない。
酸化触媒活性化基準温度Tsstを検出するための基準温度検出処理(図16)について説明する。本処理が開始されると、まず今回の検出条件成立時において基準温度検出終了が未設定か否かが判定される(S532)。初期においては未設定であるので(S532でYES)、次に酸化触媒基準温度検出部506の温度センサ516の出力値から得られている触媒温度ThBが周囲温度Ta(排気温Te)から高い側に離れ始めたか否かが判定される(S534)。
【0142】
すなわち緩慢に周囲温度Taが上昇している際に、ThB=Taの状態から、ThB>Taの状態に移行したタイミングか否かが判定される。尚、触媒温度ThBと周囲温度Taとの比較は、測定誤差あるいは計算誤差を含めた範囲内の差は同一として扱っている。
【0143】
ここでThB=Taであったり、既にThB>Taとなっていた場合には(S534でNO)、次に、今回の酸化触媒活性化基準温度Tsstは設定済みか否かが判定される(S536)。
【0144】
この酸化触媒活性化基準温度Tsstの設定は、後述するステップS538の処理のことであり、今回の条件(S534)成立後に、ステップS538の処理にて周囲温度Ta(排気温Te)を酸化触媒活性化基準温度Tsstに設定する処理を実行しているか否かを判定する。
【0145】
ここでは、未だ条件(S534)は成立していないので(S536でNO)、このまま本処理を出る。
酸化触媒基準温度検出部506側の触媒温度ThBが周囲温度Taから高い側に離れ始めた場合には(S534でYES)、酸化触媒活性化基準温度Tsstに、現在算出されている周囲温度Ta(排気温Te)の値が設定される(S538)。
【0146】
そして触媒温度ThBと周囲温度Ta(排気温Te)との差が判定値ΔT以上か否かが判定される(S540)。この判定値ΔTは、触媒温度ThBが周囲温度Ta(排気温Te)から高い側に離れたことを確実に判定するために設けられている。
【0147】
当初は、ThB−Ta(Te)≧ΔTが成立していないので(S540でNO)、このまま本処理を出る。
次の実行周期でステップS534の判定がなされると、このときは既に前回にて離れ始めたと判定されているので、今回はNOと判定される。そして今回の酸化触媒活性化基準温度Tsstは設定済みとなっているので(S536でYES)、前述したThB−Ta(Te)≧ΔTが成立しているか否かが判定される(S540)。成立していない場合には(S540でNO)、このまま本処理を出る。
【0148】
以後、ThB−Ta(Te)≧ΔTが成立するまでは、ステップS536ではYESと判定されるが、ステップS540ではNOと判定される状態が継続する。
そしてThB−Ta(Te)≧ΔTが成立すると(S540でYES)、ステップS538にて既に設定していた酸化触媒活性化基準温度Tsstの値が確定する。
【0149】
したがって基準温度検出終了設定を実行して(S542)、本処理を出る。
以後は、硫黄濃度検出処理(図15)にて新たに検出条件(S502)が成立するまでは、今回の検出においては基準温度検出終了未設定ではないとして(S532でNO)、基準温度検出処理(図16)での実質的な処理はなされない。
【0150】
硫黄濃度対応温度TsXを検出するための硫黄濃度対応温度検出処理(図17)について説明する。本処理が開始されると、まず今回の検出条件成立時において硫黄濃度対応温度検出終了が未設定か否かが判定される(S562)。初期においては未設定であるので(S562でYES)、次に酸化触媒温度検出部504の温度センサ510の出力値から得られている触媒温度ThSが周囲温度Ta(排気温Te)から高い側に離れ始めたか否かが判定される(S564)。
【0151】
すなわち緩慢に周囲温度Taが上昇している際に、ThS=Taの状態から、ThS>Taの状態に移行したタイミングか否かが判定される。尚、触媒温度ThSと周囲温度Taとの比較は、測定誤差あるいは計算誤差を含めた範囲内の差は同一として扱っている。
【0152】
ここでThS=Taであったり、既にThS>Taとなっていた場合には(S564でNO)、次に、今回の硫黄濃度対応温度TsXは設定済みか否かが判定される(S566)。
【0153】
この硫黄濃度対応温度TsXの設定は、後述するステップS568の処理のことであり、今回の条件(S564)成立後に、ステップS568の処理にて、周囲温度Ta(排気温Te)を硫黄濃度対応温度TsXに設定する処理を実行しているか否かを判定する。
【0154】
ここでは、未だ条件(S564)は成立していないので(S566でNO)、このまま本処理を出る。
酸化触媒温度検出部504側の触媒温度ThSが周囲温度Taから高い側に離れ始めた場合には(S564でYES)、硫黄濃度対応温度TsXに現在算出されている周囲温度Ta(排気温Te)の値が設定される(S568)。
【0155】
そして触媒温度ThSと周囲温度Ta(排気温Te)との差が判定値ΔT以上か否かを判定する(S570)。この判定値ΔTは、触媒温度ThSが周囲温度Ta(排気温Te)から高い側に離れたことを確実に判定するために設けられている。
【0156】
当初は、ThS−Ta(Te)≧ΔTが成立していないので(S570でNO)、このまま本処理を出る。
次の実行周期でステップS564の判定がなされると、このときは既に前回にて離れ始めたと判定されているので、今回はNOと判定される。そして今回の硫黄濃度対応温度TsXは設定済みとなっているので(S566でYES)、前述したThS−Ta(Te)≧ΔTが成立しているか否かを判定する(S570)。成立していない場合には(S570でNO)、このまま本処理を出る。
【0157】
以後、ThS−Ta(Te)≧ΔTが成立するまでは、ステップS566ではYESと判定されるが、ステップS570ではNOと判定される状態が継続する。
そしてThS−Ta(Te)≧ΔTが成立すると(S570でYES)、ステップS568にて既に設定していた硫黄濃度対応温度TsXの値が確定する。
【0158】
したがって硫黄濃度対応温度検出終了設定を実行して(S572)、本処理を出る。
以後は、硫黄濃度検出処理(図15)にて新たに検出条件(S502)が成立するまでは、今回の検出においては硫黄濃度対応温度検出終了未設定ではないとして(S562でNO)、硫黄濃度対応温度検出処理(図17)での実質的な処理はなされない。
【0159】
このように基準温度検出処理(図16)と硫黄濃度対応温度検出処理(図17)とが実行されることにより、硫黄濃度検出処理(図15)では硫黄濃度が算出できる。
〈実施の形態5と請求項との関係〉上述した構成において、硫黄濃度検出センサ502及びECUが硫黄濃度検出装置に相当する。ECUが周囲温度検出部及び硫黄濃度検出部に相当する。ECUによるディーゼルエンジンの運転状態から排気温Te算出する処理が周囲温度検出部としての処理に相当し、硫黄濃度検出処理(図15)、基準温度検出処理(図16)及び硫黄濃度対応温度検出処理(図17)が硫黄濃度検出部としての処理に相当する。
〈実施の形態5の効果〉(1)前記実施の形態1の効果と共に次の効果を生じる。
【0160】
本実施の形態では前記実施の形態1に対して更に硫黄濃度が0ppmでの酸化触媒活性化温度を酸化触媒活性化基準温度Tsst(前記図2の温度Ta0に相当)として求めている。そして、この酸化触媒活性化基準温度Tsstから、実際の酸化触媒活性化温度である硫黄濃度対応温度TsXが離れている温度差Dxを計算して硫黄濃度を決定している。
【0161】
このように酸化触媒活性化基準温度Tsstに基づいて温度差Dxを設定していることから、より高精度に硫黄濃度を検出することができる。
[実施の形態6]
〈実施の形態6の構成〉図18は本実施の形態の硫黄濃度検出センサ602を内部に組み付けた硫黄濃度検出アセンブリ603を示している。
【0162】
硫黄濃度検出センサ602は、酸化触媒温度検出部604、酸化触媒基準温度検出部606及び温度調節部608からなる。
酸化触媒温度検出部604は前記実施の形態5の酸化触媒温度検出部504(図13)と同一構成及び機能である。すなわち酸化触媒温度検出部604は、外側に酸化触媒610が形成され、この酸化触媒610内に温度センサ612が配置された構成であり、酸化触媒610の温度を検出している。酸化触媒610の種類については前記実施の形態1にて述べたごとくである。
【0163】
酸化触媒基準温度検出部606は、前記実施の形態5の酸化触媒基準温度検出部506(図13)と同一構成及び機能である。すなわち外側が硫黄捕集材614により全体的に被覆されているが、硫黄捕集材614の内部は、酸化触媒温度検出部604と同じ構成とされている。すなわち硫黄捕集材614内部には、酸化触媒616とその内部に温度センサ618が配置された構成となっている。硫黄捕集材614については前記実施の形態5にて述べたごとくである。
【0164】
温度調節部608は、基本的には前記図7に示した温度調節部107と同様であり、導線608aから通電することにより発熱する電熱器であり、耐熱性のセラミックヒータなどが用いられている。温度調節部608は円筒形であり、内部空間に酸化触媒温度検出部604及び酸化触媒基準温度検出部606を配置している。したがって導線608aへの通電制御により酸化触媒温度検出部604と酸化触媒基準温度検出部606との両者について加熱自在としている。
【0165】
硫黄濃度検出アセンブリ603は、前記実施の形態1と同様にハウジング620とカバー622とを備える。酸化触媒温度検出部604、酸化触媒基準温度検出部606及び温度調節部608は、それぞれ基部にてハウジング620に固定されることで硫黄濃度検出センサ602を形成している。そしてこの硫黄濃度検出センサ602が通気口622aが多数形成されているカバー622に覆われることで硫黄濃度検出アセンブリ603が形成されている。
〈実施の形態6の作用〉酸化触媒温度検出部604の温度センサ612が検出する酸化触媒610の温度と、酸化触媒基準温度検出部606の温度センサ618が検出する酸化触媒616の温度との関係は、前記実施の形態5にて説明したごとくであり、前記図2に示すごとくの関係にある。そしてこの関係から前記図14に示した硫黄濃度マップMAPsstが設定されている。
【0166】
本実施の形態では、前記実施の形態2と同様に、周囲温度Taを温度調節部608への通電制御により徐々に昇温させる。このことにより、前記実施の形態5にて説明したごとく、酸化触媒基準温度検出部606の温度センサ618にて酸化触媒活性化基準温度Tsstを求め、酸化触媒温度検出部604の温度センサ612にて硫黄濃度対応温度TsXを求めることができる。そしてこれらの温度Tsst,TsXに基づいて硫黄濃度を検出することができる。
〈実施の形態6による硫黄濃度検出例〉本実施の形態の硫黄濃度検出アセンブリ603を前記図4と同様に内燃機関の排気系に取り付ける。そして本実施の形態のECUは、図19に示す硫黄濃度検出処理を一定周期で実行し、この図19の処理中に、図20に示す基準温度検出処理と、図21に示す硫黄濃度対応温度検出処理とを実行することにより最終的に硫黄濃度の検出を行う。
【0167】
硫黄濃度検出処理(図19)が開始されると、まず硫黄濃度検出条件が成立しているか否かが判定される(S602)。この硫黄濃度検出条件は前記図6のステップS102で説明したごとくである。成立していなければ(S602でNO)、このまま本処理を出る。
【0168】
硫黄濃度検出条件が成立すると(S602でYES)、次に温度調節部608に対する通電制御を実行して、酸化触媒温度検出部604の酸化触媒610と酸化触媒基準温度検出部606の酸化触媒616とを、次第に昇温させる処理を開始する(S604)。この処理は前記図8のステップS204の処理と同じである。
【0169】
次に温度調節部608に対する通電量と排気温Teとから演算Fw(あるいはマップ)により、酸化触媒610,616が調節される温度(調節温度Ti)が推定される(S605)。この処理は前記図8のステップS205の処理と同様な計算手法であるが硫黄濃度検出アセンブリ603の構成に対応した計算にて行われる。
【0170】
そしてこのような温度調節部608による昇温処理中において、基準温度検出処理(図20)が実行される(S606)。この基準温度検出処理(図20)は、後述するごとく硫黄濃度が0ppmでの酸化触媒活性化温度を酸化触媒活性化基準温度Tsstとして求める処理である。
【0171】
基準温度検出処理(図20)の次には硫黄濃度対応温度検出処理(図21)が実行される(S608)。この硫黄濃度対応温度検出処理(図21)は、後述するごとく気流中の実際の硫黄濃度に対応して高温化する酸化触媒活性化温度を硫黄濃度対応温度TsXとして求める処理である。
【0172】
硫黄濃度対応温度検出処理(図21)の次には両処理が終了したか否かが判定される(S610)。すなわち今回の硫黄濃度検出条件成立時において、酸化触媒活性化基準温度Tsstと硫黄濃度対応温度TsXとが共に確定したか否かを判定する。
【0173】
基準温度検出処理(図20)と硫黄濃度対応温度検出処理(図21)との少なくとも一方が終了設定していない状態、すなわち検出中であれば(S610でNO)、本処理を出る。
【0174】
以後、基準温度検出処理(図20)と硫黄濃度対応温度検出処理(図21)との両方が終了設定していない状態では、ステップS610でNOと判定する状態が継続する。
基準温度検出処理(図20)と硫黄濃度対応温度検出処理(図21)との両方で終了設定すると(S610でYES)、確定した酸化触媒活性化基準温度Tsstと硫黄濃度対応温度TsXとの温度差Dx(=TsX−Tsst)に基づいて、前述した硫黄濃度マップMAPsst(図14)から硫黄濃度を算出する(S612)。この処理は前記図15のステップS512と同じである。
【0175】
そして硫黄濃度検出処理終了設定を実行して(S614)、本処理を出る。
以後は、新たに検出条件(S602)が成立するまでは、ステップS602でNOと判定されるので、本処理での実質的な処理はなされない。
【0176】
酸化触媒活性化基準温度Tsstを検出するための基準温度検出処理(図20)について説明する。本処理が開始されると、まず今回の検出条件成立時において基準温度検出終了が未設定か否かが判定される(S632)。初期においては未設定であるので(S632でYES)、次に酸化触媒基準温度検出部606の温度センサ618の出力値から得られている触媒温度ThBが調節温度Tiから高い側に離れ始めたか否かが判定される(S634)。すなわち次第に調節温度Tiが上昇している際に、ThB=Tiの状態から、ThB>Tiの状態に移行したタイミングか否かが判定される。尚、触媒温度ThBと調節温度Tiとの比較は、測定誤差あるいは計算誤差を含めた範囲内の差は同一として扱っている。
【0177】
ここでThB=Tiであったり、既にThB>Tiとなっていた場合には(S634でNO)、次に、今回の酸化触媒活性化基準温度Tsstは設定済みか否かが判定される(S636)。
【0178】
この酸化触媒活性化基準温度Tsstの設定は、後述するステップS638の処理のことであり、今回の条件(S634)成立後に、ステップS638の処理にて調節温度Tiを酸化触媒活性化基準温度Tsstに設定する処理を実行しているか否かを判定する。
【0179】
ここでは、未だ条件(S634)は成立していないので(S636でNO)、このまま本処理を出る。
酸化触媒基準温度検出部606側の触媒温度ThBが調節温度Tiから高い側に離れ始めた場合には(S634でYES)、酸化触媒活性化基準温度Tsstに、現在算出されている調節温度Tiの値を設定する(S638)。
【0180】
そして触媒温度ThBと調節温度Tiとの差が判定値ΔT以上か否かが判定される(S640)。この判定値ΔTは、触媒温度ThBが調節温度Tiから高い側に離れたことを確実に判定するために設けられている。
【0181】
当初は、ThB−Ti≧ΔTが成立していないので(S640でNO)、このまま本処理を出る。
次の実行周期でステップS634の判定がなされると、このときは既に前回にて離れ始めたと判定されているので、今回はNOと判定される。そして今回の酸化触媒活性化基準温度Tsstは設定済みとなっているので(S636でYES)、前述したThB−Ti≧ΔTが成立しているか否かを判定する(S640)。成立していない場合には(S640でNO)、このまま本処理を出る。
【0182】
以後、ThB−Ti≧ΔTが成立するまでは、ステップS636ではYESと判定されるが、ステップS640ではNOと判定される状態が継続する。
そしてThB−Ti≧ΔTが成立すると(S640でYES)、ステップS638にて既に設定していた酸化触媒活性化基準温度Tsstの値が確定する。したがって基準温度検出終了設定を実行して(S642)、本処理を出る。
【0183】
以後は、硫黄濃度検出処理(図19)にて新たに検出条件(S602)が成立するまでは、基準温度検出処理(図20)での実質的な処理はなされない。
硫黄濃度対応温度TsXを検出するための硫黄濃度対応温度検出処理(図21)について説明する。本処理が開始されると、まず今回の検出条件成立時において硫黄濃度対応温度検出終了が未設定か否かが判定される(S662)。初期においては未設定であるので(S662でYES)、次に酸化触媒温度検出部604の温度センサ612の出力値から得られている触媒温度ThSが調節温度Tiから高い側に離れ始めたか否かを判定する(S664)。
【0184】
すなわち次第に調節温度Tiが上昇している際に、ThS=Tiの状態から、ThS>Tiの状態に移行したタイミングか否かが判定される。尚、触媒温度ThSと調節温度Tiとの比較は、測定誤差あるいは計算誤差を含めた範囲内の差は同一として扱っている。
【0185】
ここでThS=Tiであったり、既にThS>Tiとなっていた場合には(S664でNO)、次に、今回の硫黄濃度対応温度TsXは設定済みか否かを判定する(S666)。
【0186】
この硫黄濃度対応温度TsXの設定は、後述するステップS668の処理のことであり、今回の条件(S664)成立後に、ステップS668の処理にて、調節温度Tiを硫黄濃度対応温度TsXに設定する処理がなされているか否かを判定する。
【0187】
ここでは、未だ条件(S664)は成立していないので(S666でNO)、このまま本処理を出る。
酸化触媒温度検出部604側の触媒温度ThSが調節温度Tiから高い側に離れ始めた場合には(S664でYES)、硫黄濃度対応温度TsXに現在算出されている調節温度Tiの値を設定する(S668)。
【0188】
そして触媒温度ThSと調節温度Tiとの差が判定値ΔT以上か否かが判定される(S670)。この判定値ΔTは、触媒温度ThSが調節温度Tiから高い側に離れたことを確実に判定するために設けられている。
【0189】
当初は、ThS−Ti≧ΔTが成立していないので(S670でNO)、このまま本処理を出る。
次の実行周期でステップS664の判定がなされると、このときは既に前回にて離れ始めたと判定されているので、今回はNOと判定される。そして今回の硫黄濃度対応温度TsXは設定済みとなっているので(S666でYES)、前述したThS−Ti≧ΔTが成立しているか否かを判定する(S670)。成立していない場合には(S670でNO)、このまま本処理を出る。
【0190】
以後、ThS−Ti≧ΔTが成立するまでは、ステップS666ではYESと判定されるが、ステップS670ではNOと判定される状態が継続する。
そしてThS−Ti≧ΔTが成立すると(S670でYES)、ステップS668にて既に設定していた硫黄濃度対応温度TsXの値が確定する。したがって硫黄濃度対応温度検出終了設定を実行して(S672)、本処理を出る。
【0191】
以後は、硫黄濃度検出処理(図19)にて新たに検出条件(S602)が成立するまでは、硫黄濃度対応温度検出処理(図21)での実質的な処理はなされない。
このように基準温度検出処理(図20)と硫黄濃度対応温度検出処理(図21)とが実行されることにより、硫黄濃度検出処理(図19)にて硫黄濃度が算出できる。
〈実施の形態6と請求項との関係〉上述した構成において、硫黄濃度検出センサ602及びECUが硫黄濃度検出装置に相当する。ECUが調節温度推定部及び硫黄濃度検出部に相当する。ECUによる硫黄濃度検出処理(図19)、基準温度検出処理(図20)及び硫黄濃度対応温度検出処理(図21)が調節温度推定部(ステップS605が相当する)及び硫黄濃度検出部としての処理に相当する。
〈実施の形態6の効果〉(1)前記実施の形態2の効果と共に次の効果を生じる。
【0192】
本実施の形態では温度調節部608への通電により各酸化触媒610,616の温度(調節温度Ti)を上昇させている。この調節温度Tiの上昇時に、硫黄濃度が0ppmである酸化触媒活性化温度を酸化触媒活性化基準温度Tsstとして求め、更に実際の硫黄濃度に対応した酸化触媒活性化温度を硫黄濃度対応温度TsXとして求めている。そして硫黄濃度対応温度TsXと酸化触媒活性化基準温度Tsstとの温度差Dxから硫黄濃度を決定している。
【0193】
このように酸化触媒活性化基準温度Tsstに基づいて温度差Dxを設定していることから、より高精度に硫黄濃度を検出することができる。
[実施の形態7]
〈実施の形態7の構成〉本実施の形態では、前記図13の硫黄濃度検出アセンブリ503と前記図4の配置構成を採用している。
【0194】
尚、ECUでは後述する硫黄濃度検出処理(図23)が実行される。この硫黄濃度検出処理(図23)では、周囲温度Ta(排気温Te)に対応して、酸化触媒温度検出部504と酸化触媒基準温度検出部506とから触媒温度ThS,ThBを求め、この触媒温度ThS,ThBに基づいて気流中の硫黄濃度を検出している。
〈実施の形態7の作用〉ここで前記図10に示した関係を、酸化触媒基準温度検出部506が検出する触媒温度ThBと酸化触媒温度検出部504が検出する触媒温度ThSとの差(温度差dBS=ThB−ThS)と、周囲温度Ta(排気温Te)との関係に変換してマップ化すると、図22に示すごとくの硫黄濃度マップMAPdbsとなる。
【0195】
この硫黄濃度マップMAPdbs(図22)では、実線より低い領域の温度差dBSにてマップデータが存在する。そしてマップデータが存在する部分では、破線の等高線にて示すごとく、温度差dBSが大きいほど高い硫黄濃度が設定され、周囲温度Taが高いほど高い硫黄濃度が設定されている。尚、実線部分では硫黄濃度の高さは不明であるが、少なくともその直下の領域以上の硫黄濃度であることを示している。
【0196】
ECUでは、硫黄濃度検出処理(図23)を実行することにより、触媒温度ThS,ThBの温度差dBSを求め、この温度差dBSに基づいて硫黄濃度マップMAPdbs(図22)により硫黄濃度を求めることができる。
〈実施の形態7による硫黄濃度検出例〉硫黄濃度検出処理(図23)について説明する。本処理は一定時間周期で繰り返し実行される処理である。本処理が開始されると、まず硫黄濃度検出条件が成立しているか否かが判定される(S702)。この硫黄濃度検出条件は前記図6のステップS102で説明したごとくである。成立していなければ(S702でNO)、このまま本処理を出る。
【0197】
硫黄濃度検出条件が成立すると(S702でYES)、次に酸化触媒温度検出部504の温度センサ510が検出している触媒温度ThSが周囲温度Taより高いか否かが判定される(S704)。尚、周囲温度Taは前記実施の形態1にて述べたごとく、排気温Teに相当し、この排気温TeはECUによりディーゼルエンジンの運転状態から推定されている。
【0198】
ThS≦Taであれば(S704でNO)、このまま本処理を出る。
ThS>Taとなると(S704でYES)、式3のごとく酸化触媒基準温度検出部506の温度センサ516が検出する触媒温度ThBと酸化触媒温度検出部504の温度センサ510が検出する触媒温度ThSとの温度差dBSを算出する(S706)。
【0199】
[式3] dBS←ThB−ThS
そして周囲温度Ta(Te)と温度差dBSとに基づいて、前述した硫黄濃度マップMAPdbs(図22)から排気中の硫黄濃度SXを算出する(S708)。
【0200】
このようして排気中の硫黄濃度SXが検出されると、硫黄濃度検出処理終了設定を実行して(S710)、本処理を出る。
以後は、新たに検出条件(S702)が成立するまでは、ステップS702でNOと判定されるので、本処理での実質的な処理はなされない。
〈実施の形態7と請求項との関係〉上述した構成において、硫黄濃度検出センサ502及びECUが硫黄濃度検出装置に相当する。ECUが周囲温度検出部及び硫黄濃度検出部に相当する。ECUによるディーゼルエンジンの運転状態から排気温Te算出する処理が周囲温度検出部としての処理に相当し、硫黄濃度検出処理(図23)が硫黄濃度検出部としての処理に相当する。
〈実施の形態7の効果〉(1)周囲温度Taが、酸化触媒温度検出部504における酸化触媒508の酸化触媒活性化温度より高くなった状態で、酸化触媒基準温度検出部506と酸化触媒温度検出部504との温度差dBSに基づいて図22の硫黄濃度マップMAPdbsから硫黄濃度SXを算出している。このように温度のみで容易に排気中の硫黄濃度SXを検出することができる。
【0201】
しかも温度差dBSは酸化触媒基準温度検出部506と酸化触媒温度検出部504との間の実測した温度差であるので、より高精度に硫黄濃度を検出できる。
そして硫酸塩に電極を配置するごとくの耐久性に問題のある構成は使用していないので耐久性が高い。更に酸素センサを用いずに実現できるので低コストな構成となる。
【0202】
(2)前記実施の形態1の効果(2)と同じ効果が生じる。
[実施の形態8]
〈実施の形態8の構成〉本実施の形態では、前記図18の硫黄濃度検出アセンブリ603と前記図4の配置構成を採用している。
【0203】
尚、ECUでは後述する硫黄濃度検出処理(図24)が実行される。この硫黄濃度検出処理では、温度調節部608により周囲温度Taを調節温度Tiに調節した状態で、酸化触媒温度検出部604と酸化触媒基準温度検出部606とから触媒温度ThS,ThBを求め、この触媒温度ThS,ThBに基づいて気流中の硫黄濃度を検出している。
〈実施の形態8の作用〉本実施の形態では、前記実施の形態6と同様に酸化触媒温度検出部604及び酸化触媒基準温度検出部606を、温度調節部608への通電制御により昇温させる。この昇温では、酸化触媒温度検出部604における酸化触媒610の酸化触媒活性化温度より高い温度(調節温度Ti)にする。このことにより、酸化触媒温度検出部604の酸化触媒610のみでなく、酸化触媒基準温度検出部606の酸化触媒616についても、その酸化触媒活性化温度を越えた温度に昇温することができる。
【0204】
したがって、周囲温度Taの代わりに調節温度Tiを用いることで、前記硫黄濃度マップMAPdbs(図22)から前記温度差dBS(=ThB−ThS)に基づいて硫黄濃度SXを算出することができる。
〈実施の形態8による硫黄濃度検出例〉硫黄濃度検出処理(図24)について説明する。本処理は一定時間周期で繰り返し実行される処理である。本処理が開始されると、まず硫黄濃度検出条件が成立しているか否かが判定される(S802)。この硫黄濃度検出条件は前記図6のステップS102で説明したごとくである。成立していなければ(S802でNO)、このまま本処理を出る。
【0205】
硫黄濃度検出条件が成立すると(S802でYES)、次に温度調節部608に対する通電制御を実行して酸化触媒温度検出部604の酸化触媒610と酸化触媒基準温度検出部606の酸化触媒616とを加熱する処理を開始する(S804)。この加熱処理は酸化触媒610,616を一定の温度に制御するものである。
【0206】
次に温度調節部608に対する通電量と排気温Teとから演算Fw(あるいはマップ)により、酸化触媒610,616が調節される温度(調節温度)Tiが推定される(S806)。この処理は前記図19のステップS605の処理と同じである。
【0207】
次に酸化触媒温度検出部604の温度センサ612が検出している触媒温度ThSが調節温度Tiより高いか否かが判定される(S808)。
ThS≦Tiであれば(S808でNO)、このまま本処理を出る。
【0208】
ThS>Tiとなると(S808でYES)、酸化触媒温度検出部604の酸化触媒610と酸化触媒基準温度検出部606の酸化触媒616とが、共に酸化触媒活性化温度を越えていることを示している。この場合には前記式3のごとく酸化触媒基準温度検出部606の温度センサ618が検出する触媒温度ThBと酸化触媒温度検出部604の温度センサ612が検出する触媒温度ThSとの温度差dBS(=ThB−ThS)が算出される(S810)。
【0209】
そして周囲温度Taに代えて調節温度Tiを用いることで、調節温度Tiと温度差dBSとに基づいて前述した硫黄濃度マップMAPdbs(図22)から排気中の硫黄濃度SXを算出する(S812)。
【0210】
このようして排気中の硫黄濃度SXが検出されると、硫黄濃度検出処理終了設定を実行して(S814)、本処理を出る。
以後は、新たに検出条件(S802)が成立するまでは、ステップS802でNOと判定されるので、本処理での実質的な処理はなされない。
〈実施の形態8と請求項との関係〉上述した構成において、硫黄濃度検出センサ602及びECUが硫黄濃度検出装置に相当する。ECUが調節温度推定部及び硫黄濃度検出部に相当する。ECUによる硫黄濃度検出処理(図24)が調節温度推定部(ステップS806に相当する)及び硫黄濃度検出部としての処理に相当する。
〈実施の形態8の効果〉(1)前記実施の形態7と同様な効果を生じる。
【0211】
更に温度調節部608により所望のタイミングで各酸化触媒610,616を安定的に活性化できるので、排気中の硫黄濃度を、より高精度に検出することが可能となる。
[実施の形態9]
〈実施の形態9の構成〉本実施の形態の硫黄濃度検出センサ702を図25に示す。この硫黄濃度検出センサ702はディーゼルエンジンの排気系に設けられているDPF704に一体化されて形成されている。
【0212】
DPF704は前記図4に示したDPF12と同様にコージェライトのハニカム基材に白金やパラジウムの酸化触媒がコートしてあるものである。
したがって硫黄濃度検出センサ702は、DPF704にコートされている酸化触媒と、この酸化触媒の温度を検出する温度センサ706とからなる。そしてECU708は、温度センサ706から酸化触媒の温度Tcを検出し、更にDPF704の上流側に配置されている排気温センサ710から排気温Teを検出する。
【0213】
このことによりECU708は、前記実施の形態1の硫黄濃度検出処理(図6)あるいは前記実施の形態3の硫黄濃度検出処理(図9)を実行することにより、排気中の硫黄濃度を検出する。
〈実施の形態9の作用〉前記実施の形態1又は前記実施の形態3にて説明したごとくである。
〈実施の形態9による硫黄濃度検出例〉前記実施の形態1又は前記実施の形態3にて説明したごとくである。尚、排気温Teとしては直接、排気温センサ710から検出している点が異なる。
〈実施の形態9と請求項との関係〉上述した構成において、硫黄濃度検出センサ702及びECU708が硫黄濃度検出装置に相当する。排気温センサ710が周囲温度検出部に相当し、ECU708が硫黄濃度検出部に相当する。ECU14による硫黄濃度検出処理(図6又は図9)が硫黄濃度検出部としての処理に相当する。
〈実施の形態9の効果〉(1)前記実施の形態1又は前記実施の形態3の効果が生じる。特に排気温Teは排気温センサ710にて直接的に検出しているので、より高精度な硫黄濃度が得られる。
【0214】
[実施の形態10]
〈実施の形態10の構成〉本実施の形態の硫黄濃度検出センサ802を図26に示す。この硫黄濃度検出センサ802はディーゼルエンジンの排気系に設けられているDPF804に一体化されて形成されている。
【0215】
DPF804は前記図25に示したDPF704と同様に酸化触媒がコートしてあり、これに温度センサ806が配置されている。更にDPF804の上流には排気温センサ810が配置されている。
【0216】
これらの構成に対して、更にDPF804の前面の一部に硫黄捕集材812を取り付けており、その下流側におけるDPF804内部には温度センサ814が配置されている。
したがって硫黄濃度検出センサ802は、DPF804にコートされている酸化触媒と、この酸化触媒の温度をDPF804の径方向において異なる位置にて検出する2つの温度センサ806,814と、硫黄捕集材812とからなる。
【0217】
そしてECU816は、温度センサ806から触媒温度ThSを、温度センサ814から触媒温度ThBを検出し、更にDPF804の上流側に配置されている排気温センサ810から排気温Teを検出する。
【0218】
このことにより、ECU816は前記実施の形態5の処理(図15,16,17)あるいは前記実施の形態7の硫黄濃度検出処理(図23)を実行することにより、排気中の硫黄濃度を検出する。
〈実施の形態10の作用〉硫黄捕集材812直下の温度センサ814へは硫黄捕集材812を介して排気が導入される。このためその温度センサ814周りにある酸化触媒には硫黄濃度が0ppmである排気が流れることになる。このことにより前記図13の酸化触媒基準温度検出部506の機能を、硫黄捕集材812と温度センサ814とDPF804の酸化触媒との組み合わせが果たすことにる。そして前記図13の酸化触媒温度検出部504の機能を、温度センサ806とDPF804の酸化触媒との組み合わせが果たすことになる。
【0219】
この他は前記実施の形態5又は前記実施の形態7にて説明したごとくである。
〈実施の形態10による硫黄濃度検出例〉前記実施の形態5又は前記実施の形態7にて説明したごとくである。尚、排気温Teとしては直接、排気温センサ810から検出している点が異なる。
〈実施の形態10と請求項との関係〉上述した構成において、硫黄濃度検出センサ802及びECU816が硫黄濃度検出装置に相当する。排気温センサ810が周囲温度検出部に相当し、ECU816が硫黄濃度検出部に相当する。ECUによる処理(図15〜17)、又は硫黄濃度検出処理(図23)が硫黄濃度検出部としての処理に相当する。
〈実施の形態10の効果〉(1)前記実施の形態5又は前記実施の形態7の効果が生じる。特に排気温Teは排気温センサ810にて直接的に検出しているので、より高精度な硫黄濃度が得られる。
【0220】
[その他の実施の形態]
・前記実施の形態1〜8では、排気温TeはECUが内燃機関の運転状態から推定していたが、前記実施の形態9,10に示したごとく排気温センサ710,810を配置して、直接検出しても良い。
【0221】
・前記実施の形態5〜8,10では、硫黄捕集材512,614,812を用いていたが、この硫黄捕集材512,614,812が硫黄を捕集して能力が低下した場合に、取り付けたままで再生するために加熱装置を取り付けても良い。
【0222】
例えば、前記実施の形態10(図26)の硫黄捕集材812に対して、図27に示すごとく内部に電熱線812aを配置する。そしてECU816により加熱給電部812bから電熱線812aへの通電量を調節することにより、硫黄捕集材812を硫黄離脱温度まで昇温させて硫黄捕集能力を回復させることができる。
【0223】
前記図13や前記図18にて示したごとく酸化触媒基準温度検出部506,606を備えた硫黄濃度検出センサ502,602を排気系に配置している前記実施の形態5〜8についても、硫黄捕集材512,614に電熱線を配置して、加熱することにより硫黄捕集能力を回復させても良い。
【0224】
尚、前記図18に示した酸化触媒基準温度検出部606は温度調節部608を備えているので、電熱線を別途設けることなく、温度調節部608により硫黄捕集材614を加熱して硫黄捕集能力を回復させても良い。
【0225】
・前記各実施の形態では、硫黄濃度検出センサ2,102,502,602,702,802は、内燃機関の排気系、特に燃料添加やポスト噴射により酸化対象物質としての燃料が供給されるディーゼルエンジンの排気系において、DPFの上流側に配置あるいはDPF内に形成した。これ以外の用途に適用しても良く、酸化対象物質と酸素とが含まれる気流中における硫黄濃度を検出することができる。
【0226】
・前記図13及び図18に示した硫黄濃度検出センサ502,602では、酸化触媒基準温度検出部506,606は、酸化触媒温度検出部504,604と同一の構成に対して、硫黄捕集材512,614で覆った形状であった。したがって熱容量が酸化触媒基準温度検出部506,606と酸化触媒温度検出部504,604とでは、酸化触媒基準温度検出部506,606の方が少し大きくなる。
【0227】
このため酸化触媒温度検出部504,604側については、硫黄を捕集しない多孔体を外側に設けることで、酸化触媒基準温度検出部506,606と同じ熱容量としても良い。このことにより、より正確に触媒温度ThB,ThS間の比較が可能となる。
【0228】
・前記実施の形態1にて述べた硫黄濃度検出条件としては、前述した硫黄濃度検出条件に対して更に論理積条件として、直前に給油がなされた条件を加えても良い。このことにより給油直後のみ硫黄濃度検出処理が実行できるので、効率的な検出ができる。
【符号の説明】
【0229】
2…硫黄濃度検出センサ、3…硫黄濃度検出アセンブリ、4…酸化触媒、6…温度センサ、6a…信号線、8…ハウジング、10…カバー、10a…通気口、12…DPF、14…ECU、102…硫黄濃度検出センサ、103…硫黄濃度検出アセンブリ、104…酸化触媒、105…酸化触媒温度検出部、106…温度センサ、106a…信号線、107…温度調節部、107a…導線、108…ハウジング、110…カバー、110a…通気口、502…硫黄濃度検出センサ、503…硫黄濃度検出アセンブリ、504…酸化触媒温度検出部、506…酸化触媒基準温度検出部、508…酸化触媒、510…温度センサ、510a…信号線、512…硫黄捕集材、514…酸化触媒、516…温度センサ、516a…信号線、518…ハウジング、520…カバー、520a…通気口、602…硫黄濃度検出センサ、603…硫黄濃度検出アセンブリ、604…酸化触媒温度検出部、606…酸化触媒基準温度検出部、608…温度調節部、608a…導線、610…酸化触媒、612…温度センサ、614…硫黄捕集材、616…酸化触媒、618…温度センサ、620…ハウジング、622…カバー、622a…通気口、702…硫黄濃度検出センサ、704…DPF、706…温度センサ、708…ECU、710…排気温センサ、802…硫黄濃度検出センサ、804…DPF、806…温度センサ、810…排気温センサ、812…硫黄捕集材、812a…電熱線、812b…加熱給電部、814…温度センサ、816…ECU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化対象物質と酸素とが含まれる気流中に配置して気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出センサであって、
酸化触媒とこの酸化触媒の内部に配置された温度センサとを備えたことを特徴とする硫黄濃度検出センサ。
【請求項2】
酸化対象物質と酸素とが含まれる気流中に配置して気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出センサであって、
酸化触媒とこの酸化触媒の内部に配置された温度センサとを有する酸化触媒温度検出部と、
硫黄捕集材とこの硫黄捕集材を介して気流が導入される位置に配置された酸化触媒とこの酸化触媒の内部に配置された温度センサとを有する酸化触媒基準温度検出部と、
を備えたことを特徴とする硫黄濃度検出センサ。
【請求項3】
請求項1に記載の硫黄濃度検出センサにおいて、前記酸化触媒の温度を調節する温度調節部を備えたことを特徴とする硫黄濃度検出センサ。
【請求項4】
請求項2に記載の硫黄濃度検出センサにおいて、前記酸化触媒温度検出部及び前記酸化触媒基準温度検出部の温度を調節する温度調節部を備えたことを特徴とする硫黄濃度検出センサ。
【請求項5】
請求項1に記載の硫黄濃度検出センサと、
前記硫黄濃度検出センサの周囲を流れる気流の温度を検出する周囲温度検出部と、
前記周囲温度検出部により検出された温度の上昇時に、前記硫黄濃度検出センサに設けられた温度センサにより検出された温度が、前記周囲温度検出部により検出された温度よりも高い側に離れ始めたときの前記周囲温度検出部により検出された温度に基づいて、気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出部と、
を備えたことを特徴とする硫黄濃度検出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の硫黄濃度検出センサと、
前記硫黄濃度検出センサの周囲を流れる気流の温度を検出する周囲温度検出部と、
前記周囲温度検出部により検出された温度が前記硫黄濃度検出センサの酸化触媒を活性化する温度より高い状態で、前記周囲温度検出部により検出された温度と前記硫黄濃度検出センサの温度センサにより検出された温度とに基づいて、気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出部と、
を備えたことを特徴とする硫黄濃度検出装置。
【請求項7】
請求項2に記載の硫黄濃度検出センサと、
前記硫黄濃度検出センサの周囲を流れる気流の温度を検出する周囲温度検出部と、
前記周囲温度検出部により検出された温度の上昇時に、前記酸化触媒基準温度検出部により検出された温度が前記周囲温度検出部により検出された温度よりも高い側に離れ始めたときの温度を基準温度とし、前記酸化触媒温度検出部により検出された温度が前記周囲温度検出部により検出された温度よりも高い側に離れ始めたときの温度を硫黄濃度対応温度とし、前記基準温度と前記硫黄濃度対応温度とに基づいて、気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出部と、
を備えたことを特徴とする硫黄濃度検出装置。
【請求項8】
請求項2に記載の硫黄濃度検出センサと、
前記硫黄濃度検出センサの周囲を流れる気流の温度を検出する周囲温度検出部と、
前記周囲温度検出部により検出された温度が前記硫黄濃度検出センサにおける酸化触媒温度検出部の酸化触媒を活性化する温度より高くなった状態で、前記周囲温度検出部により検出された温度と、前記酸化触媒温度検出部により検出された温度と、前記酸化触媒基準温度検出部により検出された温度とに基づいて、気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出部と、
を備えたことを特徴とする硫黄濃度検出装置。
【請求項9】
請求項3に記載の硫黄濃度検出センサと、
前記硫黄濃度検出センサの温度調節部により調節される温度を推定する調節温度推定部と、
前記硫黄濃度検出センサの温度調節部により前記硫黄濃度検出センサの酸化触媒の温度を上昇させ、この上昇時に、前記調節温度推定部により推定されている調節温度よりも、前記硫黄濃度検出センサに設けられた温度センサにより検出された温度が高い側に離れ始めたときの前記調節温度推定部により推定されている調節温度に基づいて、気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出部と、
を備えたことを特徴とする硫黄濃度検出装置。
【請求項10】
請求項3に記載の硫黄濃度検出センサと、
前記硫黄濃度検出センサの温度調節部により調節される温度を推定する調節温度推定部と、
前記硫黄濃度検出センサの温度調節部により前記硫黄濃度検出センサの酸化触媒の温度を酸化触媒活性化温度より高くし、前記調節温度推定部により推定されている調節温度と前記硫黄濃度検出センサの温度センサにより検出された温度とに基づいて、気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出部と、
を備えたことを特徴とする硫黄濃度検出装置。
【請求項11】
請求項4に記載の硫黄濃度検出センサと、
前記硫黄濃度検出センサの温度調節部により調節される温度を推定する調節温度推定部と、
前記硫黄濃度検出センサの温度調節部により前記酸化触媒温度検出部及び前記酸化触媒基準温度検出部の温度を上昇させ、この上昇時に、前記酸化触媒基準温度検出部により検出された温度が前記調節温度推定部により推定された温度よりも高い側に離れ始めたときの温度を基準温度とし、前記酸化触媒温度検出部により検出された温度が前記調節温度推定部により推定された温度よりも高い側に離れ始めたときの温度を硫黄濃度対応温度とし、前記基準温度と前記硫黄濃度対応温度とに基づいて、気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出部と、
を備えたことを特徴とする硫黄濃度検出装置。
【請求項12】
請求項4に記載の硫黄濃度検出センサと、
前記硫黄濃度検出センサの温度調節部により調節される温度を推定する調節温度推定部と、
前記硫黄濃度検出センサの温度調節部により前記酸化触媒温度検出部及び前記酸化触媒基準温度検出部の温度を上昇させて酸化触媒活性化温度より高くし、前記調節温度推定部により推定された温度と、前記酸化触媒温度検出部により検出された温度と、前記酸化触媒基準温度検出部により検出された温度とに基づいて、気流中の硫黄濃度を検出する硫黄濃度検出部と、
を備えたことを特徴とする硫黄濃度検出装置。
【請求項13】
請求項5〜12のいずれか一項に記載の硫黄濃度検出装置において、内燃機関は排気系に酸化対象物質として燃料を導入するものであり、前記硫黄濃度検出センサは内燃機関の排気系に配置されて、排気中の硫黄濃度を検出することを特徴とする硫黄濃度検出装置。
【請求項14】
請求項13に記載の硫黄濃度検出装置において、排気系への燃料導入は排気系での燃料添加又は燃焼室内でのポスト噴射によるものであることを特徴とする硫黄濃度検出装置。
【請求項15】
請求項5〜14のいずれか一項に記載の硫黄濃度検出装置において、前記酸化触媒は、内燃機関の排気系に設けられたDPFに配置された酸化触媒であることを特徴とする硫黄濃度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2013−68089(P2013−68089A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205125(P2011−205125)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】