説明

移動ロボットの本体位置決め方法

【課題】移動ロボットが搭載マニピュレータで作業を行う際に、複雑な多関節型の搭載マニピュレータにおいても、簡単な処理により、最適な位置・姿勢でハンドリング作業を行うことができる移動ロボットの位置決め方法を提供する。
【解決手段】マニピュレータの可動範囲を示す立体を水平に切断した複数の水平面内におけるマニピュレータの操作性の評価値の分布データを持ち、移動ロボットが作業を行う際には、マニピュレータの操作性の評価値の分布データから求めたマニピュレータの操作性が良好な点と、移動ロボットの作業点が一致するように移動ロボットのロボット本体の位置決めを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多関節マニピュレータを搭載した移動ロボットの本体位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マニピュレータを搭載した移動ロボットによって、対象物のハンドリング等の作業を行う場合、移動ロボット本体の位置決めが重要な問題になる。これは、移動ロボット本体の作業時の位置・姿勢が不適切であると、作業中に搭載アームの可動範囲の制限から、アームが必要な位置・姿勢を取ることができなかったり、無理な姿勢・作業動作で作業を行うことになるためである。これまで、この問題に対しては多くの場合、移動ロボットのプログラマーが経験的に移動ロボットの位置・姿勢を試行錯誤で設定したり、シミュレーションで作業可能なロボットの位置・姿勢を見つけ出すということで対応されてきた。しかしながら、人手による実機やシミュレータを用いた試行錯誤の探索作業は非常に煩雑で、多くの時間を要していた。
【0003】
そこで、外界の情報検出や対象物の探索、把持動作可能な範囲の判断などの機能を持つ作業用移動ロボットが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、搭載アームの位置決め誤差が最小になる領域において、物体のハンドリング作業を行うようにロボット本体の位置決めを行う手法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−159399号公報
【非特許文献1】山崎他:「複数の作業姿勢候補を持つ移動ロボットの動作計 画」,第24回日本ロボット学会学術講演会予稿集3E17
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、移動ロボット本体の位置決めを試行錯誤で行うのは時間がかかる。把持動作可能な範囲の判断機能を持つ移動ロボットであれば、移動ロボット本体の位置決めにおいて時間短縮が期待できる。しかし、最適な移動ロボット本体の位置を見つけるには専門的な知識や経験を要し、容易ではない。
【0005】
また、水平面内で動作するスカラ型ロボットのような比較的単純な構成のマニピュレータでは、誤差の発生が平面内に限定されるため、搭載アームの位置決め誤差が最小になる領域でロボット本体の位置決めを行う手法は、比較的容易に適用可能である。ところが、多関節構成のマニピュレータに当該位置決め手法を適用した場合には、必ずしも最適な移動ロボット本体の位置・姿勢での物体のハンドリング作業になるとは限らない。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、複雑な多関節型のマニピュレータを搭載した移動ロボットでハンドリング作業を行うに際しても、移動ロボット本体の最適な位置・姿勢で作業を行える位置決めを簡単な処理により実現できる位置決め方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、多関節のマニピュレータを搭載した移動ロボットの本体位置決め方法であって、前記マニピュレータの手先の可動範囲を3次元分布で結んで得られる仮想立体を生成し、この仮想立体を水平面で切断して得られる水平面内における前記マニピュレータの操作性の評価値の分布データを、複数の水平面について生成し、前記分布データに基づいて、該水平面における前記マニピュレータの操作性が良好な点を判別し、前記移動ロボットが作業を行う作業点についてのデータを取得し、この移動ロボットの作業点と前記分布データから求めた前記マニピュレータの操作性が良好な点が一致するように前記移動ロボットのロボット本体の位置決めを行うことを特徴とする移動ロボットの本体位置決め方法が提供される。
【0008】
本発明の移動ロボットの本体位置決め方法は、前記マニピュレータの操作性の評価値は、前記マニピュレータの可操作度の指標および前記マニピュレータの各軸の可動範囲限界までの距離の指標について、それぞれ重み付けして合成して得られた指標を利用することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の移動ロボットの本体位置決め方法は、前記分布データは、離散的な異なる高さのマニピュレータの分布データから、マニピュレータの操作性が良好な点群を、太さを持った滑らかな曲線で結んで近似曲線を生成し、マニピュレータの手先位置から移動ロボット本体の位置を逆算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多関節の複雑な構成のマニピュレータを搭載した移動ロボットにおいても、最適な位置・姿勢での物体のハンドリング作業を行える位置決めを、簡単な処理で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る本体位置決め方法を適用するマニピュレータを搭載した移動ロボットの一例を示す外観図である。この移動ロボット1は、ロボット本体下部に移動のための一対の車輪2が設けられている。ロボット本体の側部には、一対のマニピュレータ3が搭載され、ロボット本体の頭部には、作業対象物の位置や姿勢を認識・計測するためのカメラ5が配設されている。マニピュレータ3の手先には、実際にハンドリング等の作業を行う手先等のエンドエフェクタ4が設けられている。また、ロボット本体の内部には、位置・姿勢を決定し、ハンドリング作業を実行するために、ロボット本体の各部を制御するための制御部(図示しない)が内蔵されている。
【0013】
移動ロボット1によって対象物のハンドリング作業等を行う際には、ロボット本体下部に設けられた車輪2を駆動させて、移動ロボット1を作業の実施に最も適した場所に移動させる。最適な場所に移動後、ロボット本体に搭載したマニピュレータ3を駆動させて目的の作業を実施する。
【0014】
多くの場合、移動ロボット1に搭載したマニピュレータ3は、作業を遂行するのに十分な自由度を持っている。マニピュレータ3は、車輪2の自由度数3を加えると7自由度以上となるから、移動ロボットは冗長なシステムとなっている。したがって、マニピュレータ3の手先(エンドエフェクタ4)を任意の位置に任意の姿勢で到達させるための解は、移動ロボットでは複数存在することになる。
【0015】
そこで、移動ロボットによるハンドリング作業遂行の際には、搭載されたマニピュレータ3が所定の位置において所定の姿勢をとるだけでは不十分である。すなわち、無理な姿勢や作業動作でハンドリング作業を行うことにならないように、移動ロボット本体を最適な位置・姿勢に位置決めする必要がある。
【0016】
一般に、多関節マニピュレータの手先が届く範囲は、当該マニピュレータの関節機構や、マニピュレータの各部の長さ等に依存し、個々の多関節マニピュレータにおいて固有のものとなる。マニピュレータの可動範囲についても同様である。移動ロボットには、左右の腕となる多関節マニピュレータを搭載し、両手でハンドリング作業をするものがあるが、手先が届く範囲あるいは可動範囲がある領域として定まってくる。この可動範囲内に作業対象物が存在しないと、マニピュレータでハンドリング等の作業を行うことができない。マニピュレータの手先は、ロボットアームの機構の構成等に関係するので、可動範囲内であればどの位置であっても同様に到達できるわけではなく、また、どのようなロボットの姿勢からでも同様に到達できるわけではない。移動ロボットの現在位置およびそこでの姿勢により、到達しやすい場所あるいは到達しにくい場所、現在位置から動きやすい場所・方向あるいは動きにくい場所・方向等が存在する。従って、作業遂行の際のマニピュレータ手先の位置・姿勢は、作業を行いやすい場所・姿勢となるように、設定をする必要がある。
【0017】
移動ロボットに搭載したマニピュレータの可動範囲を3次元でつないでいくと、立体形状を呈し視覚的に表現することができる。しかも、可動範囲を示す領域には、ハンドリング作業のし易い位置や姿勢だけでなく、作業のしにくい位置や姿勢が含まれることになる。すなわち、可動範囲を示す領域内ではあっても、できるだけ移動ロボットが安全に、しかもロボットアームの機構等を損ねる虞の無い位置や姿勢で、ハンドリング作業を実行するのが望ましい。
【0018】
そこで、可動範囲を示す領域内において、ハンドリング作業のし易い位置や姿勢と作業のしにくい位置や姿勢を区分けするのが好適となる。
【0019】
一般的に、マニピュレータによってハンドリング作業される作業対象物は、同一平面内(例えばテーブル等)の異なる位置に置かれる場合が多いから、上記した立体形状を水平に切断した複数の水平面を考え、それぞれの水平面内にマニピュレータの作業性の良否を反映させることができる。
【0020】
このような考えに基づき、ロボット本体のマニピュレータの操作性の評価値の分布状態の一例を示すと図2のように表わすことができる。一般に、多関節のマニピュレータの場合、可動範囲(手先が届く範囲)は、図2に示すように、球もしくは楕円体に近い形の一部となる。
【0021】
さらに、図2に示す2つの水平面6、7は、異なる高さ平面内におけるその点のマニピュレータの動き易さを評価した結果を示したものである。ロボット本体の足元近くの黒色の領域から、ロボット本体からやや離れた白色の領域になるにつれ、マニピュレータの手先が動き易い場所であることを示している。また、最も動き易い赤色の領域を、他の高さも含めて表示したのが赤い球の一部を成す立体領域8である。この立体領域8内においてマニピュレータの手先を操作して作業を行うことで、スムーズな作業の実行が期待できることになる。
【0022】
さて、図2においては、マニピュレータの動き易さを評価した結果を表した水平面を示したが、ここで言うマニピュレータの動き易さを評価する指標はさまざまなものが考えられる。図3は、マニピュレータの根元(付け根)の高さをZ(mm)とし、Z=0mm、Z=200mm、Z=400mmと複数の異なる高さとしたとき、マニピュレータの可操作度(manipulability)およびマニピュレータ各軸の可動範囲限界までの距離(joint limit data)の指標を、マニピュレータの操作性の評価値とした場合の、評価結果を示したものである。図3(a)はZ=400mmの場合を、図3(b)はZ=200mmの場合を、図3(c)はZ=0mmの場合を、それぞれ示している。
【0023】
一般的に、マニピュレータの可操作度については、多種の捉え方が存在する。例えば、マニピュレータの各関節の角度より求められる一般のn×mのヤコビアン行列(関節微小角変位ベクトルからエンドエフェクタ微小変位ベクトルへの写像を表す行列)で定義し、操作性の評価に利用するものがある。
【0024】
可操作度μは、指示されたどの方向へも手先を動かすことができるマニピュレータの能力を表す尺度で、下記に式で表わされるものが、よく知られている。
【数2】

【0025】
図2において、右側に示す縦に並んだ数値は、上記式(1)で算出した数値の一例である。これによれば、6.4程度を超えると、マニピュレータが動き易いことがわかる。しかしながら、6.2程度では、直ちにマニピュレータの操作性として不適ということを表わしてはいない。すなわち、個々の移動ロボットにより、マニピュレータの機構や、性能が異なるからである。したがって、当該数値は、マニピュレータの可操作度を表わす式あるいは定義が変われば、当然に変わるものという、位置付けとなるものである。
【0026】
図3(a)、(b)、(c)において、X軸はロボット本体の前後方向を表わし、Y軸はロボット本体の横方向を表わしている。図3によれば、マニピュレータの根元(付け根)と同じ高さ(Z=0mm)では、ロボット本体の手前や関節部分を除いて、広範囲に可動範囲限界が広がっているのがわかる。一方、Z=400mmとロボット本体の頭上付近では、可動範囲限界が小さくなっているのがわかる。また、それぞれの高さにおいて、マニピュレータの可操作度(manipulability)と、マニピュレータ各軸の可動範囲限界までの距離(joint limit data)について、非常に似かよった評価が得られるが、さりとて全く同じ評価ではないことがわかる。
【0027】
このように、可動範囲領域内において、マニピュレータを動作させる高さが異なると、また評価指標が異なると、マニピュレータが動き易いと評価される領域が異なることがわかる。これは、選択する指標の特徴により、どのような要素をマニピュレータの動き易さとして重要視するかが異なるためである。
【0028】
本実施形態においては、マニピュレータの動き易さを評価する指標として、可操作度(manipulability)と各軸の可動範囲限界までの距離(joint limit data)の両者を重視し、これらを選択した。さらに、これら2つの評価指標に重み付けをして、評価結果を合成することとした。重み付けにより、また評価結果を合成することにより、より動き易いと評価される領域が把握できるからである。図4は、一例として、Z=0mmのデータについて、重み付け1:1で、両者の評価結果を合成した結果を示している。このように、各高さにおける異なる評価指標を利用した評価結果を重み付けして合成することで、各高さにおける一つの評価結果データが得られる。そして、この評価結果データを利用し、最も可操作度が高く、各軸(関節)が可動範囲限界から遠い場所を、マニピュレータがハンドリング等の作業を行う場所として選択し、そこで作業が行えるように移動ロボット本体の位置決めを行うことで、マニピュレータが無理な姿勢・作業動作を取らずに、スムーズな作業を行えることが期待される。
【0029】
ここまでで、複数の異なる高さにおける平面内での、マニピュレータの動き易さを評価したデータ(操作性の評価値の分布データ)が揃った。これらのデータを持った移動ロボットが作業を行う際に、作業点の高さが、ロボット内部に保有するマニピュレータの操作性の評価値の分布データの高さと同じ場合には、操作性の評価値の分布データが示すマニピュレータの操作性が良好な点(エリア)と、移動ロボットの作業点が一致するようにロボット本体の位置決めを行なえば良い。
【0030】
しかしながら、データを保持する容量の制限から、各高さにおける複数のデータを大量にロボット内部に保持しておくのは現実的ではない。そこで、図5に示すように、複数の水平面内におけるマニピュレータの操作性の評価値の分布データが示すマニピュレータの操作性が良好な点(領域)群を、滑らかな曲線(太さを持つ曲線)で結んだ近似曲線9を求める。そして、その近似曲線9上の、作業点の高さと同じ高さの点と、移動ロボットの作業点が一致するようにロボット本体を位置決めすれば、多くのデータを保持する必要が無くなる。
【0031】
なお、図6は、離散的な異なる高さのデータから近似曲線を生成している様子を示したものである。ここでは、Z=−400mm〜+400mmで、100mmおきの9つの高さのデータを用いて、近似曲線を生成している。図6において、□でプロットされた点は、ロボット本体の前後方向のデータである。また、△でプロットされた点は、ロボット本体の左右方向のデータである。以上のデータを利用することで、移動ロボットが搭載アームの可動範囲内において、最も作業が行いやすい、作業に適した場所を決定し、それを元に、手先位置から移動ロボット本体の位置を逆算することで、移動ロボット本体の位置決めを行うことができる。
【0032】
以上説明した、移動ロボットが本体位置決めを行う際に利用する、マニピュレータの操作性の評価値の分布データおよびデータ上のマニピュレータの操作性が良好な点群を結ぶ近似曲線の作成方法手順を図7に示す。まず、マニピュレータの可動範囲を示す立体を水平に切断した複数の水平面内におけるマニピュレータの操作性の各評価値の分布データを作成する(ステップS701)。次いで、各評価値におけるマニピュレータの操作性の複数の評価値を重み付けして合成し、各評価面におけるマニピュレータの操作性の評価値の分布データを作成する(ステップS702)。次いで、異なる高さの各評価面の間について、マニピュレータの操作性が良好な点群をなだらかな近似曲線で結ぶ(ステップS703)。
【0033】
次に、このようにして得られた近似曲線を、移動ロボットが本体位置決めを行う際に利用する手順について、図8を用いて説明する。
【0034】
まず、移動ロボットの作業点の高さと同じ高さの水平面における、マニピュレータの操作性の評価値の分布データを持つかどうかを確認する(ステップS801)。次いで、作業点の高さと同じ高さのマニピュレータの操作性の評価値の分布データを持つかどうかを判断する(ステップS802)。分布データを持つ場合には、Yesをとる。この場合には、操作性の評価値の分布データが示すマニピュレータの操作性が良好な点と、移動ロボットの作業点が一致するように移動ロボットの本体を位置決めする(ステップS803)。分布データを持たない場合には、Noをとる。この場合には、複数の水平面内における操作性の評価値の分布データが示すマニピュレータの操作性が良好な点群をなだらかな曲線で結んだ近似曲線上の、作業点の高さと同じ高さの点と、移動ロボットの作業点が一致するように移動ロボットの本体を位置決めする(ステップS804)。
【0035】
本実施形態によれば、多関節の複雑な構成のマニピュレータを搭載した移動ロボットにおいても、最適な位置・姿勢での物体のハンドリング作業を行える位置決めを、短時間でかつ簡単な処理で実現することができる。また、すべての水平面内におけるマニピュレータの操作性の評価値の分布データを持たなくても、離散的な異なる高さの面における分布データから良好な作業点群を結んだ近似曲線を利用できるので、移動ロボットに搭載するデータ保持部を小型化することができる。
【0036】
なお、本発明は上記の実施形態のそのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る移動ロボットの一例を示す外観図である。
【図2】ロボット本体のマニピュレータの操作性の評価値の分布状態の一例を示す図である。
【図3】マニピュレータ部の可動範囲を示す立体を水平に切断した複数の高さの水平面内におけるマニピュレータの操作性の評価値の分布状態の一例を示す図である。
【図4】マニピュレータの可操作度とマニピュレータ各軸の可動範囲限界までの距離の指標を重み付けして合成した指標の分布状態を示す図である。
【図5】所定高さにおける異なる評価指標を利用した評価結果を重み付けした合成指標を示す図である。
【図6】離散的な異なる高さのデータから近似曲線を生成している様子を示した図である。
【図7】マニピュレータの操作性の評価値の分布データおよびデータ上のマニピュレータの操作性が良好な点群を結ぶ近似曲線を作成するフローを示す図である。
【図8】近似曲線を、移動ロボットが本体位置決めを行う際に利用するフローを示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1…移動ロボット(ロボット本体)
2…移動ロボット車輪
3…移動ロボット搭載マニピュレータ
4…エンドエフェクタ
5…カメラ
6、7…異なる高さ平面内におけるその点のマニピュレータの動き易さを評価した水平面
8…マニピュレータが最も動き易い赤色の領域を、他の高さも含めて表示した立体領域
9…マニピュレータの操作性が良好な点群を太さのある滑らかな曲線で結んだ近似曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多関節のマニピュレータを搭載した移動ロボットの本体位置決め方法であって、
前記マニピュレータの手先の可動範囲を3次元分布で結んで得られる仮想立体を生成し、
この仮想立体を水平面で切断して得られる水平面内における前記マニピュレータの操作性の評価値の分布データを、複数の水平面について生成し、
前記分布データに基づいて、該水平面における前記マニピュレータの操作性が良好な点を判別し、
前記移動ロボットが作業を行う作業点についてのデータを取得し、
この移動ロボットの作業点と前記分布データから求めた前記マニピュレータの操作性が良好な点が一致するように前記移動ロボットのロボット本体の位置決めを行うことを特徴とする移動ロボットの本体位置決め方法。
【請求項2】
前記マニピュレータの操作性の評価値は、前記マニピュレータの可操作度の指標を利用することを特徴とする請求項1に記載の移動ロボットの本体位置決め方法。
【請求項3】
前記マニピュレータの可操作度の指標は、前記マニピュレータの手先の可動範囲を示す領域内ではあっても、ロボットアームの機構等を損ねる虞の無い位置や姿勢を除くために用いられることを特徴とする請求項2に記載の移動ロボットの本体位置決め方法。
【請求項4】
前記マニピュレータの可操作度の指標は、次式で表わされることを特徴とする請求項2記載の移動ロボットの本体位置決め方法。
【数1】

【請求項5】
前記マニピュレータの操作性の評価値は、前記マニピュレータの各軸の可動範囲限界までの距離を指標して利用することを特徴とする請求項1に記載の移動ロボットの本体位置決め方法。
【請求項6】
前記マニピュレータの操作性の評価値は、前記マニピュレータの可操作度の指標および前記マニピュレータの各軸の可動範囲限界までの距離の指標について、それぞれ重み付けして合成して得られた指標を利用することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の移動ロボットの本体位置決め方法。
【請求項7】
前記分布データは、離散的な異なる高さのマニピュレータの分布データから、マニピュレータの操作性が良好な点群を、太さを持った滑らかな曲線で結んで近似曲線を生成し、マニピュレータの手先位置から移動ロボット本体の位置を逆算することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の移動ロボットの本体位置決め方法。
【請求項8】
前記近似曲線は、移動ロボット本体の前後方向のデータと、移動ロボット本体の左右方向のデータに基づいて生成することを特徴とする請求項7に記載の移動ロボットの本体位置決め方法。

【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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