説明

積付装置および積付方法

【課題】適切な積付作業ができる積付装置を提供する。
【解決手段】積付装置1は、回動部10を有する装置本体4を備える。回動部10にはベース体12を回動可能に設ける。ベース体12には、物品Wを両側方から挟持する固定挟持体23および可動挟持体31を設ける。ベース体12には、物品Wの下面を支持する下面支持体41を移動可能に設ける。積付作業時には、保持物品Wを積付物品Wの上方位置に平面視で保持物品Wが積付物品Wに対して傾斜した状態でかつ保持物品Wの一角部と積付物品Wの一角部とが平面視で一致した状態になるように位置させる。次いで保持物品Wの一部のみを積付物品W上に載せた後、平面視で保持物品Wの積付物品Wに対する傾斜をなくし、その後、下面支持体を移動させて保持物品を積付物品上に互いに嵌合した状態に積み付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切な積付作業ができる積付装置および積付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された積付装置が知られている。
【0003】
この従来の積付装置は、鉛直軸線を中心として回動可能な回動部を有する装置本体を備えている。回動部にはベース体が設けられ、ベース体には物品を両側方から挟持する一方側挟持体および他方側挟持体が設けられている。また、一方側挟持体には物品の一側面に外側方から引っ掛かる第1フック体が設けられ、他方側挟持体には物品の他側面に外側方から引っ掛かる第2フック体が第1フック体とは異なる高さに位置するように設けられている。
【0004】
そして、積付作業時には、物品を両挟持体および両フック体にて傾けた状態に保持し、この傾けた状態の保持物品を既に積み付けられた積付物品に向って下動させ、保持物品の一部のみを積付物品上に載せる。次いで、両フック体による保持を解除して保持物品を自重で回動させることにより、保持物品を積付物品上に互いに嵌合した状態に積み付ける。
【特許文献1】特開2002−11685号公報(図6ないし図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の積付装置では、フック体による保持解除によって保持物品を積付物品上に積み付ける際に、保持物品と積付物品との嵌合、すなわち例えば保持物品の下面部に形成された嵌合凸部と積付物品の上面部に形成された嵌合凹部との嵌合に不具合が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、保持物品を積付物品上にこれら物品同士が適切に嵌合した状態に積み付けることができ、適切な積付作業ができる積付装置および積付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の積付装置は、鉛直軸線を中心として回動可能な回動部を有する装置本体と、前記回動部に水平軸線を中心として回動可能に設けられたベース体と、このベース体に設けられ、少なくとも一方が他方に対して接近および離反可能で、物品を両側方から挟持する一方側挟持体および他方側挟持体と、前記ベース体に作用位置および非作用位置に移動可能に設けられ、作用位置に位置した状態で物品の下面を支持する下面支持体とを備え、積付作業時には、少なくとも前記一方側挟持体、前記他方側挟持体および前記下面支持体にて保持した保持物品を既に積み付けられた積付物品の上方位置に平面視で保持物品が積付物品に対して傾斜した状態でかつ保持物品の一角部と積付物品の一角部とが平面視で一致した状態になるように位置させ、次いで前記ベース体の水平軸線を中心とする回動により保持物品の一部のみを積付物品上に載せた後、前記回動部の鉛直軸線を中心とする回動により平面視で保持物品の積付物品に対する傾斜をなくし、その後、前記下面支持体を非作用位置に移動させることにより保持物品を積付物品上に互いに嵌合した状態に積み付けるものである。
【0008】
請求項2記載の積付装置は、鉛直軸線を中心として回動可能な回動部を有する装置本体と、前記回動部に設けられたベース体と、このベース体に設けられ、少なくとも一方が他方に対して接近および離反可能で、物品を両側方から挟持する一方側挟持体および他方側挟持体と、前記ベース体に作用位置、非作用位置およびこれら作用位置と非作用位置との間の中間停止位置に移動可能に設けられ、作用位置に位置した状態で物品の下面を支持する下面支持体とを備え、積付作業時には、少なくとも前記一方側挟持体、前記他方側挟持体および前記下面支持体にて保持した保持物品を既に積み付けられた積付物品の上方位置に平面視で保持物品が積付物品に対して傾斜した状態でかつ保持物品の一角部と積付物品の一角部とが平面視で一致した状態になるように位置させ、次いで前記下面支持体を中間停止位置に移動させることにより保持物品を自重で回動させて保持物品の一部のみを積付物品上に載せた後、前記回動部の鉛直軸線を中心とする回動により平面視で保持物品の積付物品に対する傾斜をなくし、その後、前記下面支持体を非作用位置に移動させることにより保持物品を積付物品上に互いに嵌合した状態に積み付けるものである。
【0009】
請求項3記載の積付装置は、請求項1または2記載の積付装置において、物品に対して進退可能な側面押し体を備え、下面支持体を非作用位置に移動させた後、前記側面押し体を物品に対して進出させて物品の側面を押すものである。
【0010】
請求項4記載の積付方法は、物品を保持し、この保持した保持物品を既に積み付けられた積付物品の上方位置に平面視で保持物品が積付物品に対して傾斜した状態でかつ保持物品の一角部と積付物品の一角部とが平面視で一致した状態になるように位置させ、次いで、保持物品の一部のみを積付物品上に載せた後、平面視で保持物品の積付物品に対する傾斜をなくし、その後、保持物品を積付物品上に互いに嵌合した状態に積み付けるものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、保持物品を既に積み付けられた積付物品の上方位置に平面視で保持物品が積付物品に対して傾斜した状態でかつ保持物品の一角部と積付物品の一角部とが平面視で一致した状態になるように位置させ、次いでベース体の横軸線を中心とする回動により保持物品の一部のみを積付物品上に載せた後、回動部の縦軸線を中心とする回動により平面視で保持物品の積付物品に対する傾斜をなくし、その後、下面支持体を非作用位置に移動させることにより保持物品を積付物品上に互いに嵌合した状態に積み付けるため、保持物品を積付物品上にこれら物品同士が適切に嵌合した状態に積み付けることができ、適切な積付作業ができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、保持物品を既に積み付けられた積付物品の上方位置に平面視で保持物品が積付物品に対して傾斜した状態でかつ保持物品の一角部と積付物品の一角部とが平面視で一致した状態になるように位置させ、次いで下面支持体を中間停止位置に移動させることにより保持物品を自重で回動させて保持物品の一部のみを積付物品上に載せた後、回動部の縦軸線を中心とする回動により平面視で保持物品の積付物品に対する傾斜をなくし、その後、下面支持体を非作用位置に移動させることにより保持物品を積付物品上に互いに嵌合した状態に積み付けるため、保持物品を積付物品上にこれら物品同士が適切に嵌合した状態に積み付けることができ、適切な積付作業ができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、下面支持体を非作用位置に移動させた後、側面押し体を物品に対して進出させて物品の側面を押すため、物品同士をより一層適切に嵌合させることができ、より適切な積付作業ができる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、保持物品を積付物品上にこれら物品同士が適切に嵌合した状態に積み付けることができ、適切な積付作業ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の積付装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1において、1は積付装置で、この積付装置1は、ステーションコンベヤであるローラコンベヤ2上の物品Wを保持して所定位置まで運び、その物品Wを図示しないパレットコンベヤ上のパレットに予め設定された積付パターンに積み付けるロボットパレタイザである。
【0017】
物品Wは、例えば内部に商品が収容された外形略直方体形状の合成樹脂製のケース(オリコンケース)である。物品Wは、上面部に形成され矩形環状をなす一方側嵌合部である嵌合凹部W1を有し、下面部に形成され嵌合凹部W1内に嵌合可能な形状をなす他方側嵌合部である嵌合凸部W2を有している。そして、一の物品W上に他の物品Wが積み付けられる場合には、下側の一の物品Wの嵌合凹部W1内に上側の他の物品Wの嵌合凸部W2が嵌まり込み、嵌合凹部W1と嵌合凸部W2とが互いに嵌合する。
【0018】
積付装置1は、図1に示すように、装置本体4を備え、この装置本体4は、基台5とこの基台5に立設されたロボットアーム6とを有している。
【0019】
ロボットアーム6は、基台5に鉛直軸線を中心として回動可能に立設された基部7を有している。基部7には第1アーム部8の下端部が水平軸線を中心として回動可能に連結され、第1アーム部8の上端部には第2アーム部9の基端部が水平軸線を中心として回動可能に連結されている。第2アーム部9の先端部には、回動部10が鉛直軸線Yを中心として回動可能に連結されている。この回動部10は、ロボットアーム6の作動により所定領域内において少なくとも鉛直方向(上下方向)および水平方向に移動可能である。そして、ロボットアーム6の先端部である回動部10には、物品Wを1個保持可能なロボットハンド11が取り付けられている。
【0020】
ロボットハンド11は、図1ないし図7に示すように、装置本体4のロボットアーム6の回動部10に水平軸線Xを中心として上下方向に回動可能に設けられた長手状のベース体12を備えている。
【0021】
ベース体12は、ベース本体部13を有し、このベース本体部13から連結部14が上方に向って突出し、この連結部14の上端部が回動部10の被連結部15に水平方向の軸部(水平軸線X)16を中心として回動可能に連結されている。
【0022】
ベース体12と回動部10との間には、ベース体12を回動部10に対して水平軸線Xを中心として回動させる駆動手段、すなわち例えばエアシリンダ等の伸縮可能なベース体用シリンダ18が架設されている。ベース体用シリンダ18は、シリンダ本体部18aと、このシリンダ本体部18a内に対して出入りするロッド部18bとを有している。シリンダ本体部18aの上端部が回動部10の被連結部19に水平方向の軸20を介して回動可能に連結され、ロッド18bの下端部がベース本体部13の被連結部21に水平方向の軸22を介して回動可能に連結されている。
【0023】
そして、ベース体用シリンダ18が伸びると、ベース体12は、水平軸線Xを中心として回動して水平方向に対して所定角度傾斜した傾斜状態になり、ロボットハンド11全体が傾斜状態になる。ベース体用シリンダ18が縮むと、ベース体12は、水平軸線Xを中心として回動して水平方向に沿った水平状態になり、ロボットハンド11全体が水平状態に復帰する。
【0024】
ベース体12のベース本体部13には、物品Wの一側面を支持する一方側挟持体である固定パーム等の固定挟持体23が固設されている。固定挟持体23は、物品Wの一側面と接触してこの一側面を支持する略矩形板状の支持部である支持板部24を有している。支持板部24の略中央には、図6および図7に示されるように、水平方向長手状の略矩形状の貫通孔25が形成されている。
【0025】
また、ベース体12のベース本体部13のガイドレール30には、物品Wの他側面を支持する他方側挟持体である可動パーム等の可動挟持体31がカイドレール30に沿って移動可能に取り付けられている。すなわち、固定挟持体23と離間対向し固定挟持体23に対して接近および離反可能つまり接近移動および離反移動可能で、固定挟持体23に対する接近移動により固定挟持体23とともに物品Wを両側方から挟持する可動挟持体31がベース体12のベース本体部13に移動可能に設けられている。可動挟持体31は、物品Wの他側面、つまり固定挟持体23の支持板部24と接触する側面とは反対側の側面と接触してこの他側面を支持する略矩形板状の支持部である支持板部32を有している。
【0026】
可動挟持体31とベース体12との間には、可動挟持体31をベース体12に対してカイドレール30に沿って移動させる駆動手段、すなわち例えばエアシリンダ等の伸縮可能な挟持体用シリンダ34が架設されている。挟持体用シリンダ34は、シリンダ本体部34aと、このシリンダ本体部34a内に対して出入りするロッド部34bとを有している。シリンダ本体部34aはベース本体部13に固着され、ロッド部34bの先端部が可動挟持体31の上部に固着されている。
【0027】
そして、挟持体用シリンダ34が伸びると、可動挟持体31は、固定挟持体23に対して離反移動、つまり固定挟持体23から離反する離反方向に移動する。挟持体用シリンダ34が縮むと、可動挟持体31は、固定挟持体23に対して接近移動、つまり固定挟持体23に接近する接近方向に移動する。
【0028】
さらに、ベース体12のベース本体部13のガイドレール40には、物品Wの下面を支持するフォーク等の下面支持体41がガイドレール40に沿って移動可能に取り付けられている。すなわち、作用位置および非作用位置に移動可能で、作用位置に位置した状態で物品Wの下面を支持する下面支持体41がベース体12のベース本体部13に移動可能に設けられている。下面支持体41は、物品Wの下面と接触してこの下面を支持する複数本、例えば4本の支持部である支持棒部42を下部に有している。
【0029】
下面支持体41とベース体12との間には、下面支持体41をベース体12に対してカイドレール40に沿って移動させる駆動手段、すなわち例えばエアシリンダ等の伸縮可能な下面支持体用シリンダ44が架設されている。下面支持体用シリンダ44は、シリンダ本体部44aと、このシリンダ本体部44a内に対して出入りするロッド部44bとを有している。シリンダ本体部44aはベース本体部13に固着され、ロッド部44bの先端部が下面支持体41の上部に固着されている。
【0030】
そして、下面支持体用シリンダ44が伸びると、下面支持体41は、固定挟持体23に対して離反移動して非作用位置に移動し、支持棒部42が物品Wの下方位置に位置しない状態になる。下面支持体用シリンダ44が縮むと、下面挟持体41は、固定挟持体23に対して接近移動して作用位置に移動し、支持棒部42の略全体が物品Wの下方位置に位置する状態になる。
【0031】
なお、図3に示すように、近接スイッチ等にて構成された検知手段である中間停止位置検知センサ45をベース体12に設けた場合、この中間停止位置検知センサ45からの検知信号に基づき下面支持体41を作用位置と非作用位置との間の中間停止位置に一時停止させる構成とすることが可能となる。
【0032】
また、ベース体12には、物品Wの上面に対して進退可能で物品Wの上面に対する進出により物品Wの上面を支持する略板状のケース押さえ等の上面支持体51が移動可能に設けられている。
【0033】
上面支持体51は、可動板部である昇降板部52と、この昇降板部52に取り付けられ物品Wの上面に接触してこの上面を支持する弾性変形可能なゴム製或いは樹脂製等の支持部53とを有している。昇降板部52は、上面支持体51をベース体12に対して移動つまり昇降させて物品Wに対して進退させる駆動手段、すなわち例えばエアシリンダ等の伸縮可能な上面支持体用シリンダ54に固着されている。すなわち、上面支持体用シリンダ54は、シリンダ本体部54aとこのシリンダ本体部54a内に対して出入りするロッド部54bとを有し、シリンダ本体部54aはベース本体部13の長手方向中央に固着され、ロッド部54bの下端部に上面支持体51の昇降板部52が固着されている。つまり上面支持体51は上面支持体用シリンダ54を介してベース体12のベース本体部13に昇降可能に設けられている。
【0034】
そして、上面支持体用シリンダ54が伸びると、上面支持体51は、ベース体12に対して下降して物品Wの上面に向って進出する。上面支持体用シリンダ54が縮むと、上面支持体51は、ベース体12に対して上昇して物品Wの上面から後退する。
【0035】
また、固定挟持体23および可動挟持体31の少なくともいずれか一方、すなわち例えば固定挟持体23には、貫通孔25を通って物品Wの一側面に対して進退可能で物品Wの一側面に対する進出により物品Wの一側面を押す略板状のケース押し込み体等の側面押し体61が移動可能に設けられている。
【0036】
側面押し体61は、図6および図7に示すように、固定挟持体23の貫通孔25に対応した略矩形板状で貫通孔25を通過可能な可動板部62と、この可動板部62の表面全体に貼り付けられ物品Wの一側面に面接触してこの一側面を押す弾性変形可能なゴム製或いは樹脂製等の押板部63とを有している。
【0037】
可動板部62は、側面押し体61を固定挟持体23に対して移動させて物品Wに対して進退させる駆動手段、すなわち例えばエアシリンダ等の伸縮可能な側面押し体用シリンダ64に固着されている。すなわち、側面押し体用シリンダ64は、シリンダ本体部64aとこのシリンダ本体部64a内に対して出入りするロッド部64bとを有し、シリンダ本体部64aは固定挟持体23のブラケット部23aに固着され、ロッド部64bの先端部に側面押し体61の可動板部62が固着されている。つまり側面押し体61は側面押し体用シリンダ64を介して固定挟持体23のブラケット部23aに移動可能に設けられている。
【0038】
そして、側面押し体用シリンダ64が伸びると、側面押し体61は、固定挟持体23に対して移動して貫通孔25を通って物品Wの一側面に向って進出し、固定挟持体23の支持板部24の物品Wと対向する側の面である内面24aから突出する突出状態になる(図7参照)。側面押し体用シリンダ64が縮むと、側面押し体61は、固定挟持体23に対して貫通孔25を通って移動して物品Wの一側面から後退し、支持板部24の内面24aから突出しない非突出状態になる。
【0039】
なお、積付装置1は、CPUおよびメモリ等にて構成された制御手段65を備え、この制御手段65にはロボットアーム6およびロボットハンド11の駆動手段等が電気的に接続され、この制御手段65の制御信号に基づきロボットアーム6およびロボットハンド11が作動する。
【0040】
次に、積付装置1を使用して積付作業をする場合について説明する。
【0041】
図8に示すように、水平状態のロボットハンド11にてローラコンベヤ2上の物品Wを1個保持する。
【0042】
すなわち例えば、制御手段65の制御により可動挟持体31を固定挟持体23に対して接近移動させることにより、可動挟持体31の支持板部32と固定挟持体23の支持板部24とにて物品Wを両側方から挟持する。次いで、下面支持体41を非作用位置から作用位置に移動させることで支持棒部42の略全体を物品Wの下方位置に位置させた後、上面支持体51を下降させて物品Wの上面へ進出させることにより、上面支持体51の支持部53と下面支持体41の支持棒部42とにて物品Wを上下から挟持する。
【0043】
そして、水平状態のロボットハンド11は1個の物品Wである保持物品Wを保持した状態のまま、ロボットアーム6の作動により図示しないパレットの上方位置まで移動する。
【0044】
ここで、例えばパレット上に既に先行の物品Wが積み付けられ、この積付物品W上に保持物品Wを積み付ける場合、図9に示すように、水平状態のロボットハンド11にて保持した保持物品W、つまり固定挟持体23、可動挟持体31、上面支持体51および下面支持体41にて水平状態に保持した保持物品Wを、積付物品Wの上方位置に平面視で保持物品Wが積付物品Wに対して傾斜した状態でかつ保持物品Wの一角部W0と積付物品Wの一角部とが平面視で一致した状態になるように位置させる。
【0045】
すなわち例えば、水平状態の保持物品Wの中心を通る中心線aが積付物品Wの中心を通る中心線bに対して平面視で傾斜した状態で、かつ、水平状態の保持物品Wの下面部の嵌合凸部W2の一角部と積付物品Wの上面部の嵌合凹部W1の一角部とが平面視で一致した状態になるように、保持物品Wを積付物品Wの上方位置に位置させる。
【0046】
次いで、図10および図11に示すように、ベース体用シリンダ18の伸び作動に基づくベース体12の回動部10に対する水平軸線Xを中心とする回動によりロボットハンド11全体を水平状態から傾斜状態に変化させ、保持物品Wの一部であって積付物品Wの一角部と平面視で一致した一角部を含む下面部一部のみ、つまり嵌合凸部W2の一辺部のみを積付物品Wの嵌合凹部W1内における積付物品Wの上面部上に載せた後、ロボットアーム6の図示しないモータの作動に基づく回動部10の鉛直軸線Yを中心とする回動によりロボットハンド11全体を回動させ、平面視で保持物品Wの積付物品Wに対する傾斜をなくして保持物品Wの中心線aと積付物品Wの中心線bとを平面視で一致させる。
【0047】
その後、図12および図13に示すように、上面支持体51を上昇させて保持物品Wの上面から後退させることにより上面支持体51による物品Wの上面支持を解除してから、下面支持体41を作用位置から非作用位置に移動させることにより下面支持体41による物品Wの下面支持を解除する。すると、保持物品Wは、嵌合凸部W2の一辺部を中心として自重で下方回動して積付物品W上に互いに嵌合した状態となって積み付けられる。すなわち例えば、保持物品Wの下面部の嵌合凸部W2が積付物品Wの上面部の嵌合凹部W1内に嵌まり込み、保持物品Wの嵌合凹部W1と積付物品Wの嵌合凸部W2とが互いに嵌合した状態になって、保持物品Wが積付物品W上に積み付けられる。
【0048】
ここで、物品Wの寸法誤差等の何らの原因により、嵌合凹部W1と嵌合凸部W2との嵌合に不具合が生じる場合がある。すなわち例えば図14に示すように、保持物品Wである上側の物品Wが積付物品Wである下側の物品Wに対して一方側つまり固定挟持体23側に若干ずれて積み付けられる場合がある。
【0049】
そこで、このような場合のために、図15に示すように、側面押し体用シリンダ64の伸び作動に基づいて側面押し体61が物品Wの一側面に対して進出する。
【0050】
そして、図14に示すように保持物品Wが積付物品Wに対して一方側に若干ずれて積み付けられていた場合には、側面押し体61は、側面押し体用シリンダ64の伸び作動により固定挟持体23の支持板部24の内面24aから物品W側に突出する突出状態になり、物品Wの一側面を押圧する。
【0051】
物品Wの一側面が側面押し体61にて押圧されると、保持物品Wである上側の物品Wが積付物品Wである下側の物品Wに対して若干移動して上側の物品Wの下側の物品Wに対するずれが修正され、嵌合凹部W1と嵌合凸部W2とが互いに嵌合した状態になる。
【0052】
その後、図16に示すように、ロボットアーム6の作動によりロボットハンド11を上昇させる。
【0053】
次いで、ロボットアーム6の作動によりロボットハンド11をローラコンベヤ2上の所定位置まで移動させ、この移動途中で、ベース体12の水平軸線Xを中心とする回動によりロボットハンド11を水平状態に戻すとともに、可動挟持体31を固定挟持体23に対して離反移動させて元の待機位置に戻し、かつ、側面押し体用シリンダ64の縮み作動に基づいて側面押し体61を元の非突出状態に戻す。そして、その水平状態のロボットハンド11にて、ローラコンベヤ2上の次の物品Wを保持して上記動作を行い、この動作の繰り返しによりパレットコンベヤ上のパレット上に物品Wが積付パターンで積み付けられる。
【0054】
そして、この積付装置1によれば、固定挟持体23、可動挟持体31、下面支持体41および上面支持体51にて保持した保持物品Wを積付物品Wの上方位置に平面視で保持物品Wが積付物品Wに対して傾斜した状態でかつ保持物品Wの一角部と積付物品Wの一角部とが平面視で一致した状態になるように位置させ、次いでベース体12の横軸線である水平軸線Xを中心とする回動により保持物品Wの一部のみを積付物品W上に載せた後、回動部10の縦軸線である鉛直軸線Yを中心とする回動により平面視で保持物品Wの積付物品Wに対する傾斜をなくし、その後、上面支持体51および下面支持体41による支持を解除して保持物品Wを積付物品W上に嵌合凹部W1と嵌合凸部W2とが互いに嵌合した状態に積み付けるため、保持物品Wを積付物品W上にこれら物品同士が適切に嵌合した状態に積み付けることができ、適切な積付作業ができる。
【0055】
また、下面支持体41を非作用位置に移動させた後、側面押し体61を物品Wに対して進出させて物品Wの側面を押すことで、嵌合凹部W1と嵌合凸部W2とを互いに確実に嵌合でき、より一層適切な積付作業ができる。
【0056】
さらに、保持物品Wの積付物品W上への積付の際における衝撃を抑制でき、物品Wの損傷等を防止できる。
【0057】
また、保持物品Wの積付物品W上への積付時にパレットが不用意に動くようなことがなく、パレットを停止させておく余分な装置の設置が必要でない。
【0058】
なお、積付装置1は、図17に示すように、ベース体用シリンダ18等を備えず、装置本体4のロボットアーム6の回動部10にベース体12の連結部14a,14bを固着した構成でもよい。また、この積付装置1では、ベース体12に中間停止位置検知センサ45が設けられ、下面支持体41は、中間停止位置検知センサ45からの検知信号に基づいて中間停止位置に停止し、支持棒部42の先端部のみが物品Wの下方位置に位置する状態になる。
【0059】
そして、この図17に示す積付装置1では、図1に示すものとは異なり、ベース体12を回動部10に対して回動させる代わりに、図18に示すように、上面支持体51を上昇させて保持物品Wの上面から後退させることにより上面支持体51による物品Wの上面支持を解除してから、下面支持体41を作用位置から中間停止位置まで移動させることにより、保持物品Wを自重で下方回動させて保持物品Wの下面部一部のみつまり嵌合凸部W2の一辺部のみを積付物品Wの嵌合凹部W1内における積付物品Wの上面部上に載せる。
【0060】
その後、上面支持体51を再度下降させて上面支持体51にて物品Wの上面を支持してから、ロボットアーム6の図示しないモータの作動に基づく回動部10の鉛直軸線Yを中心とする回動によりロボットハンド11全体を回動させ、平面視で保持物品Wの積付物品Wに対する傾斜をなくして保持物品Wの中心線aと積付物品Wの中心線bとを平面視で一致させる。
【0061】
次いで、上面支持体51を上昇させて保持物品Wの上面から後退させることにより上面支持体51による物品Wの上面支持を解除してから、下面支持体41を中間停止位置から非作用位置に移動させることにより下面支持体41による物品Wの下面支持を解除する。すると、図1に示すものと同様、保持物品Wは、嵌合凸部W2の一辺部を中心として自重で下方回動して積付物品W上に互いに嵌合した状態となって積み付けられる。すなわち例えば保持物品Wの下面部の嵌合凸部W2が積付物品Wの上面部の嵌合凹部W1内に嵌まり込み、保持物品Wの嵌合凹部W1と積付物品Wの嵌合凸部W2とが互いに嵌合した状態になって保持物品Wが積付物品W上に積み付けられる。
【0062】
また、この図17に示す積付装置1でも、上側の物品Wが下側の物品Wに対して若干ずれて積み付けられた場合、側面押し体61の物品Wの一側面に対する進出により側面押し体61にて物品Wの一側面が押されてずれが修正され、嵌合凹部W1と嵌合凸部W2とが互いに嵌合した状態になる。
【0063】
このように図17に示す積付装置1によっても、図1に示すものと同様、保持物品Wを積付物品W上にこれら物品同士が適切に嵌合した状態に積み付けることができ、適切な積付作業ができ、また下面支持体41を非作用位置に移動させた後、側面押し体61を物品Wに対して進出させて物品Wの側面を押すことで、嵌合凹部W1と嵌合凸部W2とを互いに確実に嵌合でき、より適切な積付作業ができる等の作用効果を奏することができる。
【0064】
また一方、例えば図示しないが、一方側挟持体および他方側挟持体の両方が互いに接近・離反するようにベース体12にそれぞれ移動可能に設けられた構成等でもよい。
【0065】
また、例えば側面押し体が一方側挟持体および他方側挟持体の両方にそれぞれ物品の側面に対して進退可能に設けられた構成等でもよい。
【0066】
さらに、例えば上面支持体を有さず、一方側挟持体、他方側挟持体および下面支持体にて物品を保持する構成等でもよい。
【0067】
また、例えば保持物品Wが積付物品Wに対して一方側にずれて積み付けられたことを検知する検知手段を設け、この検知手段からの検知信号に基づいて側面押し体用シリンダ64を作動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施の形態に係る積付装置の正面図である。
【図2】同上積付装置のロボットハンドの正面図である。
【図3】同上ロボットハンドの平面図である。
【図4】同上ロボットハンドの側面図である。
【図5】同上ロボットハンドの側面図である。
【図6】図2のA矢視図である。
【図7】同上ロボットハンドの部分正面図である。
【図8】同上ロボットハンドの動作を説明する正面図である。
【図9】同上ロボットハンドの動作を説明する平面図である。
【図10】同上ロボットハンドの動作を説明する正面図である。
【図11】同上ロボットハンドの動作を説明する平面図である。
【図12】同上ロボットハンドの動作を説明する正面図である。
【図13】同上ロボットハンドの動作を説明する平面図である。
【図14】保持物品が積付物品に対してずれた状態を示す平面図である。
【図15】同上ロボットハンドの動作を説明する正面図である。
【図16】同上ロボットハンドの動作を説明する正面図である。
【図17】本発明の他の実施の形態に係る積付装置の正面図である。
【図18】同上積付装置のロボットハンドの動作を説明する正面図である。
【図19】同上ロボットハンドの動作を説明する正面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 積付装置
4 装置本体
10 回動部
12 ベース体
23 一方側挟持体である固定挟持体
31 他方側挟持体である可動挟持体
41 下面支持体
61 側面押し体
W 物品
X 水平軸線
Y 鉛直軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直軸線を中心として回動可能な回動部を有する装置本体と、
前記回動部に水平軸線を中心として回動可能に設けられたベース体と、
このベース体に設けられ、少なくとも一方が他方に対して接近および離反可能で、物品を両側方から挟持する一方側挟持体および他方側挟持体と、
前記ベース体に作用位置および非作用位置に移動可能に設けられ、作用位置に位置した状態で物品の下面を支持する下面支持体とを備え、
積付作業時には、少なくとも前記一方側挟持体、前記他方側挟持体および前記下面支持体にて保持した保持物品を既に積み付けられた積付物品の上方位置に平面視で保持物品が積付物品に対して傾斜した状態でかつ保持物品の一角部と積付物品の一角部とが平面視で一致した状態になるように位置させ、
次いで前記ベース体の水平軸線を中心とする回動により保持物品の一部のみを積付物品上に載せた後、前記回動部の鉛直軸線を中心とする回動により平面視で保持物品の積付物品に対する傾斜をなくし、その後、前記下面支持体を非作用位置に移動させることにより保持物品を積付物品上に互いに嵌合した状態に積み付ける
ことを特徴とする積付装置。
【請求項2】
鉛直軸線を中心として回動可能な回動部を有する装置本体と、
前記回動部に設けられたベース体と、
このベース体に設けられ、少なくとも一方が他方に対して接近および離反可能で、物品を両側方から挟持する一方側挟持体および他方側挟持体と、
前記ベース体に作用位置、非作用位置およびこれら作用位置と非作用位置との間の中間停止位置に移動可能に設けられ、作用位置に位置した状態で物品の下面を支持する下面支持体とを備え、
積付作業時には、少なくとも前記一方側挟持体、前記他方側挟持体および前記下面支持体にて保持した保持物品を既に積み付けられた積付物品の上方位置に平面視で保持物品が積付物品に対して傾斜した状態でかつ保持物品の一角部と積付物品の一角部とが平面視で一致した状態になるように位置させ、
次いで前記下面支持体を中間停止位置に移動させることにより保持物品を自重で回動させて保持物品の一部のみを積付物品上に載せた後、前記回動部の鉛直軸線を中心とする回動により平面視で保持物品の積付物品に対する傾斜をなくし、その後、前記下面支持体を非作用位置に移動させることにより保持物品を積付物品上に互いに嵌合した状態に積み付ける
ことを特徴とする積付装置。
【請求項3】
物品に対して進退可能な側面押し体を備え、
下面支持体を非作用位置に移動させた後、前記側面押し体を物品に対して進出させて物品の側面を押す
ことを特徴とする請求項1または2記載の積付装置。
【請求項4】
物品を保持し、この保持した保持物品を既に積み付けられた積付物品の上方位置に平面視で保持物品が積付物品に対して傾斜した状態でかつ保持物品の一角部と積付物品の一角部とが平面視で一致した状態になるように位置させ、
次いで、保持物品の一部のみを積付物品上に載せた後、平面視で保持物品の積付物品に対する傾斜をなくし、その後、保持物品を積付物品上に互いに嵌合した状態に積み付ける
ことを特徴とする積付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−214194(P2009−214194A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57644(P2008−57644)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】