説明

積層圧電素子及び超音波モータ

【課題】当該積層圧電素子の積層精度を、積層圧電素子完成後に検出可能であり、且つこれを実現する為のスペース及び素子を新たに必要としない積層圧電素子及びこの積層圧電素子を具備する超音波モータを提供すること。
【解決手段】第1の内部電極群23a,25a,27aは、第1の圧電材料21aの端部において形成された第1の露出部群29a,33a,31aを備え、且つ、第2の内部電極群23b,25b,27bは、第2の圧電材料21bの端部において形成された第2の露出部群29b,33b,31bを備える積層圧電素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層圧電素子及び超音波モータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁型モータに代わる新しいモータとして、積層圧電素子等の振動体の振動を利用した超音波モータが注目されている。この超音波モータは、従来の電磁型モータと比較して、ギア無しで低速高推力が得られる点、保持力が高い点、ストロークが長く、高分解能である点、静粛性に富む点、磁気的ノイズを発生せず磁気的ノイズの影響を受けない点等の利点を有している。
【0003】
このような超音波モータでは、振動体として主に積層圧電素子が用いられている。積層圧電素子によれば、例えば同じ厚さの単一の板状の圧電体と比較した場合、低い印加電圧で、より大きな変形歪や発生力を得ることができる。従って、積層圧電素子は、近年特に超音波モータ等の振動駆動装置を構成する振動体として用いられている。
【0004】
ところで、積層圧電素子は、近年の小型化及び高精度化等に起因して、積層化時の積層精度の向上が望まれている。なお、良好な積層精度が維持されなければ、積層時にずれが生じ、ずれが大きくなると、当然ながら積層圧電素子本来の機能が充分に発揮されない。
【0005】
例えば、電極層のずれは圧電素子としての対向電極の面積が減少して圧電特性の低下を招き、スルーホール電極のずれは極端な場合は導通不能を招き電極層間をつなぐことができなくなり、たとえつながったとしても不完全で導体電極の電気抵抗が増加してしまい、電力損失の発生を招き得る。また、積層精度が良好でない場合、当該積層圧電素子の対象性が崩れてしまい、当該積層圧電素子を用いた超音波モータにおいて、駆動方向による駆動速度の差や位置精度の差が生じてしまう。
【0006】
このような事情に鑑みて、例えば特許文献1には、次のような積層圧電素子の製造方法が開示されている。
【0007】
すなわち、特許文献1に開示されている積層圧電素子の製造方法では、電気−機械エネルギー変換機能を有する材料で構成される圧電体層と、電極材料の電極層とを交互に複数重ねて積層したものを一次積層体とし、この一次積層体を焼結して積層圧電素子を形成する積層圧電素子の製造方法において、各電極層に対する平面内2次元方向の位置ずれを検出する印を前記圧電体層上に設ける。
【0008】
これにより、特許文献1に開示された技術によれば、積層圧電素子の積層状態の良否を簡単に判別することができる積層圧電素子の製造方法が提供される。
【特許文献1】特開平11−233846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術によれば、積層工程中においては、ずれが視認可能となるものの、積層工程後に個々に切断された積層圧電素子(完成品としての積層圧電素子)においては、ずれを視認することができない。
【0010】
また、特許文献1に開示されている技術において、各電極層に対する平面内2次元方向の位置ずれを検出する為に前記圧電体層上に設けられた印は、位置ずれ検出の為にのみ設けられた印である。従って、この印を設ける為のスペース及び材料が別途必要となる。
【0011】
さらには、特許文献1に開示されている技術を用いて、前記圧電体層の短辺方向、長辺方向、及び積層方向に垂直な平面内での回転方向の位置ずれを検出する為には、個々の圧電体層にそれぞれ2つ以上の位置ずれ検出の為の印を設ける必要がある。この場合、位置ずれ検出の為の印を設けるスペース及び材料が更に必要となり、製造効率が低下してしまう。
【0012】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたもので、積層圧電素子の積層精度(当該積層圧電素子を構成する矩形形状の圧電材料における短辺方向、長辺方向、及びその積層方向に垂直な平面内での回転方向におけるずれ)を、積層圧電素子完成後に検出可能であり、且つこれを実現する為の新たな材料及びスペースを要しない積層圧電素子及びこの積層圧電素子を具備する超音波モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するために、本発明の第1の態様による積層圧電素子は、第1の内部電極群が形成され、その形成面に平行な方向への断面形状が矩形である第1の圧電材料と、第2の内部電極群が形成され、その形成面に平行な方向への断面形状が前記第1の圧電材料と同一である第2の圧電材料と、が交互に複数枚積層されて構成されてなる積層圧電素子であって、前記第1の内部電極群は、前記第1の圧電材料の前記断面形状を構成する4辺のうち、対向しない2つの辺を含む少なくとも2以上の辺に向けて延出され、前記第1の圧電材料の端部において形成された第1の露出部群を備え、且つ、前記第2の内部電極群は、前記第2の圧電材料の前記断面形状を構成する4辺のうち、対向しない2つの辺を含む少なくとも2以上の辺に向けて延出され、前記第2の圧電材料の端部において形成された第2の露出部群を備え、前記第1の露出部群と前記第2の露出部群に基づき、前記第1の圧電材料と前記第2の圧電材料の積層精度が検出可能であることを特徴とする。
【0014】
前記の目的を達成するために、本発明の第2の態様による超音波モータは、第1の内部電極群が形成され、その形成面に平行な方向への断面形状が矩形である第1の圧電材料と、第2の内部電極群が形成され、その形成面に平行な方向への断面形状が前記第1の圧電材料と同一である第2の圧電材料と、が交互に複数枚積層されて構成されてなる積層圧電素子を備え、前記積層圧電素子に縦振動モードと屈曲振動モードとを同時に発生させることで楕円振動を発生させ、該楕円振動により駆動力を得て被駆動部材を駆動する超音波モータであって、前記第1の内部電極群は、前記第1の圧電材料の前記断面形状を構成する4辺のうち、対向しない2つの辺を含む少なくとも2以上の辺に向けて延出され、前記第1の圧電材料の端部において形成された第1の露出部群を備え、且つ、前記第2の内部電極群は、前記第2の圧電材料の前記断面形状を構成する4辺のうち、対向しない2つの辺を含む少なくとも2以上の辺に向けて延出され、前記第2の圧電材料の端部において形成された第2の露出部群を備え、前記第1の露出部群と前記第2の露出部群に基づき、前記第1の圧電材料と前記第2の圧電材料の積層精度が検出可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、積層圧電素子の積層精度(当該積層圧電素子を構成する矩形形状の圧電材料における短辺方向、長辺方向、及びその積層方向に垂直な平面内での回転方向におけるずれ)を、積層圧電素子完成後に検出可能であり、且つこれを実現する為の新たな材料及びスペースを要しない積層圧電素子及びこの積層圧電素子を具備する超音波モータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施に係る積層圧電素子及び超音波モータについて、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る積層圧電素子を用いた超音波モータの一構成例を示す図である。同図に示すように、積層圧電素子3と、該積層圧電素子3の保持部材5と、被駆動部材7と、前記積層圧電素子3における楕円振動(詳細は後述する)から駆動力を得て前記被駆動部材7を駆動する為の駆動力導出部材9と、積層圧電素子3の外部電極11と、積層圧電素子3へ給電する為の例えばリード線から成る給電部材13とを具備する。なお、外部電極11と給電部材13とは、はんだ接合部15によってはんだ接合されている。
【0018】
ここで、保持部材5によって保持された積層圧電素子3は、駆動力導出部材9を介して、被駆動部材7に対して垂直に押圧力を加えるようにして被駆動部材7に接している。
【0019】
ところで、給電部材13を介して、積層圧電素子3の外部電極11に位相差を有する2つの交番信号を印加すると、当該積層圧電素子3において、縦振動モードと屈曲振動モードとが合成された楕円振動が発生する。
【0020】
そして、積層圧電素子3に取り付けられた駆動力導出部材9も、当然ながら前記積層圧電素子3と同様の楕円振動を行う。この駆動力導出部材9の楕円運動によって、上述したように駆動力導出部材9に接している被駆動部材7が駆動される。
【0021】
図2(a),(b)は、前記積層圧電素子3を構成する圧電材料の一構成例を示す図である。本一実施形態においては、前記積層圧電素子3は、図2(a)に示す圧電材料21aと、図2(b)に示す圧電材料21bとが交互に複数枚積層、焼結されて構成される。
【0022】
図2(a)に示すように圧電材料21aにおいて、その表面に形成された3領域の内部電極23a,25a,27aは、それぞれ次のような外周への露出部を有する。すなわち、前記内部電極23aは、短辺Cに向かって延出された露出部29aを有する。前記内部電極25aは、短辺Bに向かって延出された露出部33aを有する。前記内部電極27aは、長辺Aに向かって延出された露出部31aを有する。
【0023】
同様に、図2(b)に示すように圧電材料21bにおいて、その表面に形成された3領域の内部電極23b,25b,27bは、次のような外周への露出部を有する。すなわち、前記内部電極23bは、短辺Cに向かって延出された露出部29bを有する。前記内部電極25bは、短辺Bに向かって延出された露出部33bを有する。前記内部電極27bは、長辺Aに向かって延出された露出部31bを有する。
【0024】
ここで、前記圧電材料21aにおける内部電極23a,25a,27aと前記圧電材料21bにおける内部電極23b,25b,27bとは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ対応して重なるように配置されている。
【0025】
一方、前記圧電材料21aにおける露出部29a,31a,33aと前記圧電材料21bにおける露出部29b,31b,33bとは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ互いに重なり合わないように(互いに重複しないように)配置されている。
【0026】
なお、圧電材料21a及び圧電材料21bの材料としては、例えばジルコン酸チタン酸鉛等を用いる。また、圧電材料21a及び圧電材料21bにおける紙面垂直方向の厚さは、10〜200μm程度の任意の厚さとする。
【0027】
また、内部電極23a,25a,27a及び内部電極23b,25b,27bの材料としては、例えば圧電材料焼結時の温度に耐え得る銀パラジウムなどの高融点な導電性材料を用いる。
【0028】
図3(a),(b)は、図2(a),(b)に示す圧電材料21a,21bが交互に複数枚積層且つ焼結される際の積層の一例を示す模式図である。同図に示すように、上述した圧電材料21a,21bを交互に複数枚積層し焼結した後に、次のようにして前記露出部同士を短絡して外部電極を形成する。
【0029】
すなわち、前記露出部29a同士を短絡して外部電極43を形成する。前記露出部29b同士を短絡して外部電極41を形成する。前記露出部31a同士を短絡して外部電極45を形成する。前記露出部31b同士を短絡して外部電極47を形成する。前記露出部33a同士を短絡して外部電極51を形成する。前記露出部33b同士を短絡して外部電極49を形成する。
【0030】
なお、外部電極41,43,45,47,49,51の材料は、厚さ10μm以上の銀パラジウム又は銀等の導電性材料とする。
【0031】
ところで、例えば前記外部電極41,43間に分極処理を行うことにより、積層方向における共通領域である内部電極23a,23bのみが圧電活性領域となる。ここで、外部電極41,43間に交番信号を加えると当該積層圧電素子3に振動が発生する。
【0032】
同様に、例えば前記外部電極45,47間に分極処理を行うことにより、積層方向における共通領域である内部電極27a,27bのみが圧電活性領域となる。ここで、外部電極45,47間に交番信号を加えると当該積層圧電素子3に振動が発生する。また同様に、例えば前記外部電極49,51間に分極処理を行うことにより、積層方向における共通領域である内部電極25a,25bのみが圧電活性領域となる。ここで、外部電極49,51間に交番信号を加えると当該積層圧電素子3に振動が発生する。
【0033】
前記内部電極23a,23bによる圧電活性領域、及び内部電極25a,25bによる圧電活性領域は、積層圧電素子3において縦振動モード及び屈曲振動モードを同時に励起する際、もしくは屈曲振動モードのみの励起の際に使用する。他方、内部電極27a,27bによる圧電活性領域は、積層圧電素子3における縦振動モードの励起もしくは当該積層圧電素子3の振動状態の検出に使用する。
【0034】
なお、上述した分極の方向は任意とする。すなわち、同一の圧電材料において、内部電極23a,23b間の圧電活性領域と、内部電極25a,25b間の圧電活性領域とに関して、分極の方向は同一でなくても構わない。また、積層する圧電材料21a,21bの枚数は任意とする。
【0035】
ところで、内部電極23a,25a,27a,23b,25b,27bにおける寸法ばらつきや滲み、又は圧電材料21a,21bの積層精度の低下(長辺方向のずれ、短辺方向のずれ、或いは積層方向に垂直な面内における回転ずれ)が生じてしまうと、このずれ等が生じた内部電極とこれに対向する内部電極との共通領域(重なり合う領域)が減少してしまい、圧電活性領域が圧電材料全体に占める割合も減少してしまう。そして、このことは当該積層圧電素子の駆動特性の低下や導通不良を引き起こす原因となる。
【0036】
なお、一般には、積層圧電素子の駆動特性の低下や導通不良を引き起こす原因としては、内部電極の寸法バラツキや滲みよりも、内部電極の積層精度の低下によるものが多い。従って、個々の積層圧電素子に対して積層精度の検査を実行することが望ましいが、圧電材料は鉛系物質を含む為、X線透過画像による検査は困難である。従って、上述したずれ量の測定には、通常、抜き取り断面観察による破壊検査が行われており、個々の積層圧電素子の検査は行われていない。
【0037】
しかしながら、本一実施形態に係る積層圧電素子3によれば、図3(b)に示すように積層された圧電材料21a,21bにおける長辺(図2(a),(b)における辺A)で形成される外部電極設置面A´、及び短辺(図2(a),(b)における辺B,C)で形成される外部電極設置面B´,C´に露出した各々の前記露出部を用いて、当該積層圧電素子3における積層精度を次のように検査することができる。
【0038】
以下、図4(a),(b)を参照して、前記外部電極設置面C´における積層精度の検査方法について説明する。図4(a)は短辺方向における積層精度が良好な場合の外部電極設置面C´の一例を示し、図4(b)は短辺方向における積層精度が良好でない場合の外部電極設置面C´の一例を示す図である。
【0039】
圧電材料21a,21bの短辺方向における積層精度が良好な場合には、図4(a)に示すように前記外部電極43からはみ出した前記露出部29a、及び前記外部電極41からはみ出した前記露出部29bが略一直線上に並ぶ。
【0040】
圧電材料21a,21bの短辺方向における積層精度が良好でない場合には、図4(b)に示すように前記外部電極43からはみ出した前記露出部29a、及び前記外部電極41からはみ出した前記露出部29bが略一直線上ではなく乱雑に並ぶ。
【0041】
同様に、圧電材料21a,21bの短辺方向における積層精度については、外部電極設置面B´における露出部33a,33bの配列精度から検査することもできる。また、圧電材料21a,21bの長辺方向における積層精度については、外部電極設置面A´における露出部31a,31bの配列精度から検査することができる。
【0042】
そして当然ながら、積層方向に垂直な平面内での回転方向の積層精度については、上述したように求められた長辺方向における露出部のずれと、短辺方向における露出部のずれと、に基づいて導き出される。
【0043】
なお、露出部29a,29b,31a,31b,33a,33bの幅を、図4(a),(b)に示すように外部電極41,43,45,47,49,51の幅よりも大きく形成することで、外部電極41,43,45,47,49,51を印刷等により形成した後であっても、外部電極41,43,45,47,49,51からはみ出した露出部29a,29b,31a,31b,33a,33bの配列精度を観察することが可能となる。ここで、露出部29a,29b,31a,31b,33a,33bの幅は、例えば0.2mm以上が好ましい。
【0044】
しかしながら、露出部29a,29b,31a,31b,33a,33bの幅を、図4(a),(b)に示すように外部電極41,43,45,47,49,51の幅よりも大きく形成せずとも、外部電極41,43,45,47,49,51の厚さを例えば10μm程度とすることで、外部電極41,43,45,47,49,51を印刷等により形成した後であっても、当該外部電極41,43,45,47,49,51を介して露出部29a,29b,31a,31b,33a,33bを観察することが可能となり、露出部29a,29b,31a,31b,33a,33bの配列精度を検出できる。
【0045】
なお、当然ながら、積層圧電素子3に外部電極41,43,45,47,49,51を形成する工程以前の方が、露出部29a,29b,31a,31b,33a,33bの視認性は良好であり、上述した積層精度の検査は容易である。
【0046】
ところで、上述した方法により積層精度を検査した後、所定の積層精度基準を上回る積層精度を有する積層圧電素子3について、外部電極41,43,45,47,49,51に対して、例えばリード線やフレキシブルプリント基板等の給電部材63,65,61を接続する。図5に示す例では、外部電極41,43に対して給電部材61を接続し、外部電極45,47に対して給電部材63を接続し、外部電極49,51に対して給電部材65を接続している。
【0047】
図6は、保持部材5と、駆動力導出部材9と、給電部材13aとを接続した積層圧電素子3の一例を示す図である。
【0048】
同図に示す給電部材13aのように、例えばフレキシブルプリント基板を用いて、一つの給電部材13aに複数の外部電極からの接続線を集約することにより、部品点数を少なくすることができ、給電部材13aの接続工程を簡略化することができる。つまり、外部電極の印刷工程及び給電部材の接続工程を簡略化した、生産性の高い積層圧電素子及び超音波モータを実現することができる。なお、フレキシブルプリント基板は比較的軽量である為、リード線を外部電極にはんだ接合する場合に比べて、振動損失の低減効果はより大きくなる。
【0049】
なお、図1を参照して説明した超音波モータにおける積層圧電素子3では、少なくとも当該超音波モータの駆動方向と略平行な方向における積層精度が検出可能となるように、各々の前記露出部が延出され、外部電極11及び給電部材13が設けられている。
【0050】
これにより、当該超音波モータの駆動方向に対する積層圧電素子3の対称性を、上述したように非破壊で検査することができる。従って、超音波モータの駆動方向における圧電材料の積層精度の不良に起因して生じ得る問題である、進行方向による特性の差が生じることを防ぐことができる。
【0051】
以上説明したように、本一実施形態によれば、当該積層圧電素子を構成する矩形形状の圧電材料における短辺方向、長辺方向、及びその積層方向に垂直な平面内での回転方向におけるずれを、積層圧電素子完成後に検出可能であり、且つこれを実現する為の新たな材料及びスペースを要しない積層圧電素子及びこの積層圧電素子を具備する超音波モータを提供することができる。
【0052】
具体的には、本一実施形態に係る積層圧電素子では、各々の内部電極から外面へ延出して形成した各々の露出部を、積層精度を検出する為のマークとして兼用する。
【0053】
従って、当該積層圧電素子の積層精度検出のみの為に、別途材料及びスペースを必要とすることなく、上述した長辺方向、短辺方向、及び積層方向に垂直な平面内の回転方向について、非破壊で且つ個々の圧電材料に関して検査することができる。
【0054】
ところで、本一実施形態に係る超音波モータによれば、給電部材に起因する振動損失を抑制して高効率化することができるという効果を更に奏する。以下、図1、図7及び図8を参照して詳細に説明する。
【0055】
まず、図1に示す前記外部電極11及び前記給電部材13は、当該超音波モータを駆動させる為の必須構成要件である。しかしながら、給電部材13は、前記積層圧電素子3の振動を損失させてしまう負荷でもある。つまり、給電部材13は、従来より超音波モータにおける効率低下の原因となっている。
【0056】
具体的には、例えば給電部材13の延出方向が、積層圧電素子3の縦振動又は屈曲振動の方向と一致した場合に、積層圧電素子3における振動損失はより顕著となる。
【0057】
図7は、図1に示す超音波モータを、駆動力導出部材9近傍の変位に係る等価質量mと、駆動力導出部材9近傍の振動によって発生する力Fと、給電部材13による負荷を示す負荷係数K,Cとによってモデル化して示した図である。
【0058】
ここで、駆動力導出部材9近傍の振動方向における運動方程式は、
【数1】

【0059】
と表される。負荷係数K、Cは給電部材13の延出方向、種類、大きさ、接合方法、及び駆動力導出部材9までの距離等によって決定される係数である。変位量Xは、駆動力導出部材9近傍の主な変位方向への変位量を示す。
【0060】
さらに、積層圧電素子3における圧電効果によって発生する前記力Fは一定である為、前記(式1)は、
【数2】

【0061】
と表すことができる。
【0062】
ここで、給電部材13の延出方向を、図7に示す振動方向Xと独立な方向にすることによって、(式2)におけるK及びCの値を小さくすることができる。すなわち、積層圧電素子3の設計変更や製造方法の変更をせずとも、給電部材13の延出方向を前記振動方向Xと独立な方向にすることによって、給電部材13による振動損失を低減した高効率な超音波モータを実現することができる。
【0063】
なお、図7を参照して説明したモデルにおける前記振動方向Xは、積層圧電素子3の縦振動における振動方向及び屈曲振動における振動方向の双方に見立てることができる。つまり、図7を参照して説明したモデルは、積層圧電素子3の縦振動及び屈曲振動の双方に適用できる一般化されたモデルである。
【0064】
従って、給電部
材13の延出方向を、積層圧電素子3における縦振動及び屈曲振動の双方と独立な方向にすることで、給電部材13による振動損失を最も低減することができる。具体的には、給電部材13の延出方向を、積層圧電素子3における縦振動及び屈曲振動における振動方向と90°の角度をなす方向とするのが好ましい。
【0065】
なお、給電部材13による振動損失が小さい程、前記駆動力導出部材9近傍における振動の加速度は大きくなる。つまり、より高効率な超音波モータとなる。
【0066】
以上説明したように、図1に示すように給電部材13の延出方向を、積層圧電素子3における縦振動の方向及び屈曲振動の方向とは独立な方向とすることにより、給電部材13による振動損失を図8に示すグラフのように低減することができる。図8は、縦軸に積層圧電素子3の振動振幅をとり、横軸に積層圧電素子3の振動周波数をとったグラフを示す図である。
【0067】
図8において特性曲線71は、本一実施形態に係る超音波モータの特性曲線である。他方、特性曲線73は、従来の超音波モータ(給電部材の延出方向が、積層圧電素子3における縦振動の方向又は屈曲振動の方向と一致している超音波モータ)の特性曲線である。
【0068】
すなわち、本一実施形態に係る超音波モータのように、給電部材13の延出方向を、積層圧電素子3における縦振動の方向及び屈曲振動の方向とは独立な方向にした場合、特性曲線71に示されるように振動振幅の損失が少ない良好な駆動効率を得ることができる。
【0069】
本一実施形態に係る超音波モータでは、このように給電部材に起因する振動損失を低減させることで駆動効率を高めている。
【0070】
そして、本一実施形態によれば、上述したように給電部材13による振動損失を低減できる為、給電部材13及び外部電極41,43,45,47,49,51を積層圧電素子3の振動における腹に対応する位置に設けることも可能となり、給電部材13及び外部電極41,43,45,47,49,51の設置場所に制限の無い、設計の自由度が高い超音波モータを提供することができる。
【0071】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、種々の変形及び応用が可能なことは勿論である。
【0072】
上述したように、長辺A方向におけるずれと、短辺B方向におけるずれ又は短辺C方向におけるずれと、を検出することができれば、必然的に積層方向に垂直な平面内での回転方向におけるずれを検出することができる。このことに鑑みて、圧電材料における内部電極及び露出部の構成は、図2を参照して説明した構成以外にも,例えば以下のような構成を挙げることができる。
【0073】
(第1変形例)
図9(a)は本第1変形例における圧電材料21aの構成を示す図であり、図9(b)は本第1変形例における圧電材料21bの構成を示す図である。
【0074】
図9(a)に示すように、本第1変形例において圧電材料21aは、内部電極101a,103a,105aを有している。内部電極101aは長辺Aに延出した露出部102aを備えており、内部電極103aは長辺Aに延出した露出部104aを備えており、内部電極105aは短辺Cへ延出した露出部106aを備えている。
【0075】
図9(b)に示すように、本第1変形例において圧電材料21bは、内部電極101b,103b,105bを有している。内部電極101bは長辺Aに延出した露出部102bを備えており、内部電極103bは長辺Aに延出した露出部104bを備えており、内部電極105bは短辺Cへ延出した露出部106bを備えている。
【0076】
ここで、前記圧電材料21aにおける内部電極101a,103a,105aと前記圧電材料21bにおける内部電極101b,103b,105bとは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ対応して重なるように配置されている。
【0077】
一方、前記圧電材料21aにおける露出部102a,104a,106aと前記圧電材料21bにおける露出部102b,104b,106bとは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ互いに重なり合わないように(互いに重複しないように)配置されている。
【0078】
(第2変形例)
図10(a)は本第2変形例における圧電材料21aの構成を示す図であり、図10(b)は本第2変形例における圧電材料21bの構成を示す図である。
【0079】
図10(a)に示すように、本第2変形例において圧電材料21aは、内部電極111a,113a,115a,117aを有している。内部電極111aは長辺Aに延出した露出部112aを備えており、内部電極113aは長辺Aに延出した露出部114aを備えており、内部電極115aは短辺Bへ延出した露出部116aを備えており、内部電極117aは短辺Cへ延出した露出部118aを備えている。
【0080】
図10(b)に示すように、本第2変形例において圧電材料21bは、内部電極111b,113b,115b,117bを有している。内部電極111bは長辺Aに延出した露出部112bを備えており、内部電極113bは長辺Aに延出した露出部114bを備えており、内部電極115bは短辺Bへ延出した露出部116bを備えており、内部電極117bは短辺Cへ延出した露出部118bを備えている。
【0081】
ここで、前記圧電材料21aにおける内部電極111a,113a,115a,117aと前記圧電材料21bにおける内部電極111b,113b,115b,117bとは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ対応して重なるように配置されている。
【0082】
一方、前記圧電材料21aにおける露出部112a,114a,116a,118aと前記圧電材料21bにおける露出部112b,114b,116b,118bとは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ互いに重なり合わないように(互いに重複しないように)配置されている。
【0083】
(第3変形例)
図11(a)は本第3変形例における圧電材料21aの構成を示す図であり、図11(b)は本第3変形例における圧電材料21bの構成を示す図である。
【0084】
図11(a)に示すように、本第3変形例において圧電材料21aは、内部電極121a,123a,125a,127aを有している。内部電極121aは短辺Cに延出した露出部122aを備えており、内部電極123aは長辺Aに延出した露出部124aを備えており、内部電極125aは長辺Aへ延出した露出部126aを備えており、内部電極127aは短辺Cへ延出した露出部128aを備えている。
【0085】
図11(b)に示すように、本第3変形例において圧電材料21bは、内部電極121b,123b,125b,127bを有している。内部電極121bは短辺Cに延出した露出部122bを備えており、内部電極123bは長辺Aに延出した露出部124bを備えており、内部電極125bは長辺Aへ延出した露出部126bを備えており、内部電極127bは短辺Cへ延出した露出部128bを備えている。
【0086】
ここで、前記圧電材料21aにおける内部電極121a,123a,125a,127aと前記圧電材料21bにおける内部電極121b,123b,125b,127bとは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ対応して重なるように配置されている。
【0087】
一方、前記圧電材料21aにおける露出部122a,124a,126a,128aと前記圧電材料21bにおける露出部122b,124b,126b,128bとは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ互いに重なり合わないように(互いに重複しないように)配置されている。
【0088】
(第4変形例)
図12(a)は本第4変形例における圧電材料21aの構成を示す図であり、図12(b)は本第4変形例における圧電材料21bの構成を示す図である。
【0089】
図12(a)に示すように、本第4変形例において圧電材料21aは、内部電極131a,133a,135a,137a,139aを有している。内部電極131aは短辺Cに延出した露出部132aを備えており、内部電極133aは短辺Bに延出した露出部134aを備えており、内部電極135aは短辺Bへ延出した露出部136aを備えており、内部電極137aは短辺Cへ延出した露出部138aを備えており、内部電極139aは長辺Aへ延出した露出部140aを備えている。
【0090】
図12(b)に示すように、本第4変形例において圧電材料21bは、内部電極131b,133b,135b,137b,139bを有している。内部電極131bは短辺Cに延出した露出部132bを備えており、内部電極133bは短辺Bに延出した露出部134bを備えており、内部電極135bは短辺Bへ延出した露出部136bを備えており、内部電極137bは短辺Cへ延出した露出部138bを備えており、内部電極139bは長辺Aへ延出した露出部140bを備えている。
【0091】
ここで、前記圧電材料21aにおける内部電極131a,133a,135a,137a,139aと前記圧電材料21bにおける内部電極131b,133b,135b,137b,139bとは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ対応して重なるように配置されている。
【0092】
一方、前記圧電材料21aにおける露出部132a,134a,136a,138a,140aと前記圧電材料21bにおける露出部132b,134b,136b,138b,140bとは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ互いに重なり合わないように(互いに重複しないように)配置されている。
【0093】
(第5変形例)
図13(a)は本第5変形例における圧電材料21aの構成を示す図であり、図13(b)は本第5変形例における圧電材料21bの構成を示す図である。
【0094】
図13(a)に示すように、本第5変形例において圧電材料21aは、内部電極141a,143a,145a,147a,149aを有している。内部電極141aは短辺Cに延出した露出部142aを備えており、内部電極143aは長辺Aに延出した露出部144aを備えており、内部電極145aは長辺Aへ延出した露出部146aを備えており、内部電極147aは短辺Cへ延出した露出部148aを備えており、内部電極149aは長辺Aへ延出した露出部150aを備えている。
【0095】
図13(b)に示すように、本第5変形例において圧電材料21bは、内部電極141b,143b,145b,147b,149bを有している。内部電極141bは短辺Cに延出した露出部142bを備えており、内部電極143bは長辺Aに延出した露出部144bを備えており、内部電極145bは長辺Aへ延出した露出部146bを備えており、内部電極147bは短辺Cへ延出した露出部148bを備えており、内部電極149bは長辺Aへ延出した露出部150bを備えている。
【0096】
ここで、前記圧電材料21aにおける内部電極141a,143a,145a,147a,149aと前記圧電材料21bにおける内部電極141b,143b,145b,147b,149bとは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ対応して重なるように配置されている。
【0097】
一方、前記圧電材料21aにおける露出部142a,144a,146a,148a,150aと前記圧電材料21bにおける露出部142b,144b,146b,148b,150bとは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ互いに重なり合わないように(互いに重複しないように)配置されている。
【0098】
(第6変形例)
図14(a)は本第6変形例における圧電材料21aの構成を示す図であり、図14(b)は本第6変形例における圧電材料21bの構成を示す図である。
【0099】
図14(a)に示すように、本第6変形例において圧電材料21aは、内部電極171a,173a,175aを有している。内部電極171aは長辺Aに延出した露出部172aを備えており、内部電極173aは長辺Aに延出した露出部174a1及び短辺Bへ延出した露出部174a2を備えており、内部電極175aは長辺Aへ延出した露出部176a1及び短辺Cへ延出した露出部176a2を備えている。
【0100】
図14(b)に示すように、本第6変形例において圧電材料21bは、内部電極171b,173b,175bを有している。内部電極171bは長辺Aに延出した露出部172bを備えており、内部電極173bは長辺Aに延出した露出部174b1及び短辺Bへ延出した露出部174b2を備えており、内部電極175bは長辺Aへ延出した露出部176b1及び短辺Cへ延出した露出部176b2を備えている。
【0101】
ここで、前記圧電材料21aにおける内部電極171a,173a,175aと前記圧電材料21bにおける内部電極171b,173b,175bとは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ対応して重なるように配置されている。
【0102】
一方、前記圧電材料21aにおける露出部172a,174a1,174a2,176a1,176a2と前記圧電材料21bにおける露出部172b,174b1,174b2,176b1,176b2とは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ互いに重なり合わないように(互いに重複しないように)配置されている。
【0103】
(第7変形例)
図15(a)は本第7変形例における圧電材料21aの構成を示す図であり、図15(b)は本第7変形例における圧電材料21bの構成を示す図である。
【0104】
図15(a)に示すように、本第7変形例において圧電材料21aは、内部電極181a,183a,185a,187aを有している。内部電極181aは長辺Aに延出した露出部182aを備えており、内部電極183aは長辺Aに延出した露出部184aを備えており、内部電極185aは長辺Aへ延出した露出部186a1及び短辺Bへ延出した露出部186a2を備えており、内部電極187aは長辺Aへ延出した露出部188a1及び短辺Cへ延出した露出部188a2を備えている。
【0105】
図15(b)に示すように、本第7変形例において圧電材料21bは、内部電極181b,183b,185b,187bを有している。内部電極181bは長辺Aに延出した露出部182bを備えており、内部電極183bは長辺Aに延出した露出部184bを備えており、内部電極185bは長辺Aへ延出した露出部186b1及び短辺Bへ延出した露出部186b2を備えており、内部電極187bは長辺Aへ延出した露出部188b1及び短辺Cへ延出した露出部188b2を備えている。
【0106】
ここで、前記圧電材料21aにおける内部電極181a,183a,185a,187aと前記圧電材料21bにおける内部電極181b,183b,185b,187bとは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ対応して重なるように配置されている。
【0107】
一方、前記圧電材料21aにおける露出部182a,184a、186a1,186a2,188a1,188a2と前記圧電材料21bにおける露出部182b,184b、186b1,186b2,188b1,188b2とは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ互いに重なり合わないように(互いに重複しないように)配置されている。
【0108】
(第8変形例)
なお、圧電材料21aのみ積層方向に垂直な平面内での回転方向における積層精度を検出することが可能なように構成しても勿論よく、このような構成を採った場合でも上述した効果を奏する積層圧電素子及び該積層圧電素子を具備する超音波モータを提供することができる。例えば、図16(a)は本第8変形例における圧電材料21aの構成を示す図であり、図16(b)は本第8変形例における圧電材料21bの構成を示す図である。
【0109】
図16(a)に示すように、本第8変形例において圧電材料21aは、内部電極191a,193a,195a,197a,199aを有している。内部電極191aは長辺Aに延出した露出部192aを備えており、内部電極193aは長辺Aに延出した露出部194aを備えており、内部電極195aは長辺Aへ延出した露出部196a1及び短辺Bへ延出した露出部196a2を備えており、内部電極197aは長辺Aへ延出した露出部198a1及び短辺Cへ延出した露出部198a2を備えており、内部電極199aは長辺Aへ延出した露出部200aを備えている。
【0110】
図16(b)に示すように、本第8変形例において圧電材料21bは、内部電極191b,193b,195b,197b,199bを有している。内部電極191bは長辺Aに延出した露出部192bを備えており、内部電極193bは長辺Aに延出した露出部194bを備えており、内部電極195bは長辺Aへ延出した露出部196bを備えており、内部電極197bは長辺Aへ延出した露出部198bを備えており、内部電極199bは長辺Aへ延出した露出部200bを備えている。
【0111】
ここで、前記圧電材料21aにおける内部電極191a,193a,195a,197a,199aと前記圧電材料21bにおける内部電極191b,193b,195b,197b,199bとは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ対応して重なるように配置されている。
【0112】
一方、前記圧電材料21aにおける露出部192a,194a、196a1,196a2,198a1,198a2,200aと前記圧電材料21bにおける露出部192b,194b、196b,198b,200bとは、圧電材料21aと圧電材料21bとが交互に複数枚積層される際に、それぞれ互いに重なり合わないように(互いに重複しないように)配置されている。
【0113】
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図2】(a),(b)は、前記積層圧電素子3を構成する圧電材料の一構成例を示す図。
【図3】(a)は、図2に示す圧電材料が複数枚積層且つ焼結される際の積層の一例を示す模式図。(b)は、積層圧電素子における外部電極設置面を示す図。
【図4】(a)は短辺方向における積層精度が良好な場合の外部電極設置面C´の一例を示す図。(b)は短辺方向における積層精度が良好でない場合の外部電極設置面C´の一例を示す図。
【図5】外部電極への給電部材の一接続例を示す図。
【図6】保持部材と駆動力導出部材と給電部材とを接続した圧電素子を示す図。
【図7】本発明の一実施形態に係る超音波モータを、駆動力導出部材近傍の圧電素子の変位に係る等価質量mと、駆動力導出部材近傍の圧電素子の振動によって発生する力Fと、給電部材による負荷K,Cとによってモデル化して示した図。
【図8】縦軸に圧電素子の振動振幅をとり、横軸に圧電素子の振動周波数をとったグラフを示す図。
【図9】(a),(b)は、第1変形例における圧電材料の構成例を示す図。
【図10】(a),(b)は、第2変形例における圧電材料の構成例を示す図。
【図11】(a),(b)は、第3変形例における圧電材料の構成例を示す図。
【図12】(a),(b)は、第4変形例における圧電材料の構成例を示す図。
【図13】(a),(b)は、第5変形例における圧電材料の構成例を示す図。
【図14】(a),(b)は、第6変形例における圧電材料の構成例を示す図。
【図15】(a),(b)は、第7変形例における圧電材料の構成例を示す図。
【図16】(a),(b)は、第8変形例における圧電材料の構成例を示す図。
【符号の説明】
【0115】
3…積層圧電素子、 5…保持部材、 7…被駆動部材、 9…駆動力導出部材、 11…外部電極、 13,13a…給電部材、 15…接合部、 21a,21b…圧電材料、 23a,23b,25a,25b,27a,27b…内部電極、 41,43,45,47,49,51…外部電極、 63,65,67…給電部材、 71,73…特性曲線、 101a,101b,103a,103b,105a,105b,111a,111b,113a,113b,115a,115b,117a,117b,121a,121b,123a,123b,125a,125b,127a,127b,131a,131b,133a,133b,135a,135b,137a,137b,139a,139b,141a,141b,143a,143b,145a,145b,147a,147b,149a,149b,171b,173a,173b,175a,175b,181a,181b,183a,183b,185a,185b,187a,187b,191a,191b,193a,193b,195a,195b,197a,197b,199a,199b…内部電極、 29a,29b,31a,31b,33a,33b,33a.33b,102a,102b,104a,104b,106a,106b,112a,112b,114a,114b,116a,116b,118a,118b,122a,122b,124a,124b,126a,126b,128a,128b,132a,132b,134a,134b,136a,136b,138a,138b,140a,140b,142a,142b,144a,144b,146a,146b,148a,148b,150a,150b,172a,172b,174a1,174a2,174b1,174b2,176a1,176a2,176b1,176b2,184a,184b,186a1,186a2,186b1,186b2,188a1,188a2,188b1,188b2,192a,192b,194a,194b,196a1,196a2,196b,198a1,198a2,198b,200a,200b…露出部、 A…長辺、 B…短辺、 C…短辺、 A,B,C…外部電極設置面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の内部電極群が形成され、その形成面に平行な方向への断面形状が矩形である第1の圧電材料と、
第2の内部電極群が形成され、その形成面に平行な方向への断面形状が前記第1の圧電材料と同一である第2の圧電材料と、が交互に複数枚積層されて構成されてなる積層圧電素子であって、
前記第1の内部電極群は、前記第1の圧電材料の前記断面形状を構成する4辺のうち、対向しない2つの辺を含む少なくとも2以上の辺に向けて延出され、前記第1の圧電材料の端部において形成された第1の露出部群を備え、且つ、
前記第2の内部電極群は、前記第2の圧電材料の前記断面形状を構成する4辺のうち、対向しない2つの辺を含む少なくとも2以上の辺に向けて延出され、前記第2の圧電材料の端部において形成された第2の露出部群を備え、
前記第1の露出部群と前記第2の露出部群に基づき、前記第1の圧電材料と前記第2の圧電材料の積層精度が検出可能であることを特徴とする積層圧電素子。
【請求項2】
前記第1の露出部群に電気的に接続する第1の外部電極群と、
前記第2の露出部群に電気的に接続する第2の外部電極群と、をさらに有し、
前記第1の外部電極群の幅及び/又は厚さが、前記第1の露出部群を視認可能な値に設定され、且つ、
前記第2の外部電極群の幅及び/又は厚さが、前記第2の露出部群を視認可能な値に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の積層圧電素子。
【請求項3】
第1の内部電極群が形成され、その形成面に平行な方向への断面形状が矩形である第1の圧電材料と、
第2の内部電極群が形成され、その形成面に平行な方向への断面形状が前記第1の圧電材料と同一である第2の圧電材料と、が交互に複数枚積層されて構成されてなる積層圧電素子を備え、前記積層圧電素子に縦振動モードと屈曲振動モードとを同時に発生させることで楕円振動を発生させ、該楕円振動により駆動力を得て被駆動部材を駆動する超音波モータであって、
前記第1の内部電極群は、前記第1の圧電材料の前記断面形状を構成する4辺のうち、対向しない2つの辺を含む少なくとも2以上の辺に向けて延出され、前記第1の圧電材料の端部において形成された第1の露出部群を備え、且つ、
前記第2の内部電極群は、前記第2の圧電材料の前記断面形状を構成する4辺のうち、対向しない2つの辺を含む少なくとも2以上の辺に向けて延出され、前記第2の圧電材料の端部において形成された第2の露出部群を備え、
前記第1の露出部群と前記第2の露出部群に基づき、前記第1の圧電材料と前記第2の圧電材料の積層精度が検出可能であることを特徴とすることを特徴とする超音波モータ。
【請求項4】
前記第1の露出部群に電気的に接続する第1の外部電極群と、
前記第2の露出部群に電気的に接続する第2の外部電極群と、をさらに有し、
前記第1の外部電極群の幅及び/又は厚さが、前記第1の露出部群を視認可能な値に設定され、且つ、
前記第2の外部電極群の幅及び/又は厚さが、前記第2の露出部群を視認可能な値に設定されていることを特徴とする請求項3に記載の超音波モータ。
【請求項5】
前記第1の圧電材料と前記第2の圧電材料の積層精度の検出方向は、前記駆動方向と略平行な方向を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の超音波モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−117559(P2009−117559A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287895(P2007−287895)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】