説明

筐体構造、及び電子機器

【課題】筐体の周囲を覆うフレーム状のグリップを、筐体に対し回転可能に結合する筐体構造であって、収納時に筐体とグリップが擦れる問題を解消するとともに、筐体をグリップから引き出して水平に自立できるようにする。
【解決手段】筐体1・2の周囲を覆うフレーム状のグリップ3を、筐体2に対し回転可能に結合する筐体構造であって、筐体1の周囲に、出没可能な可動部材6を備える。さらに、可動部材6を突出方向に付勢する付勢手段(8)を備える。具体的には、筐体1の両側部に可動部材6をそれぞれ備える。また、筐体1・2には撮影レンズ及び画像モニター4を備える。そして、筐体は、撮影レンズを備えるレンズブロック2と、画像モニター4を備える表示ブロック1と、を回転可能に結合して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の周囲を覆うフレーム状のグリップを備える筐体構造と、その筐体構造を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、撮影レンズ及びグリップ部を有する本体に対して画像モニターを回転可能にヒンジ部で結合したデジタルカメラが提案されている。
また、撮影レンズ及びグリップ部を有する本体に対し画像モニターを直交軸回りに回転可能に二軸ヒンジ部で結合したビデオカメラが広く知られている(例えば特許文献2参照)。
さらに、特許文献3において、撮影レンズを有する本体に対して、表示モニターを回転可能に結合するとともに、グリップも回転可能に結合したカメラが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−139606号公報
【特許文献2】特開平10−65946号公報
【特許文献3】特開2004−147145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、いずれのカメラも、撮影レンズの向きと画像モニターの向きを個別に自由自在に向けて、グリップ性に問題なく撮影することができず、また、テーブルなどに載置した状態において、撮影レンズや画像モニターを自由な方向にそれぞれ向けて撮影することができない。
【0005】
これを解決するため、例えば撮影レンズを有するレンズブロックに、液晶表示部を有する表示ブロックをヒンジ部で回転可能に結合して、これらレンズブロック及び表示ブロックによる筐体の周囲を覆うフレーム状のグリップを設け、そのグリップをレンズブロックに対し別のヒンジ部で回転可能に結合する構造が考えられる。その場合、フレーム状のグリップの内方で表示ブロックも回転可能となる。
【0006】
ところが、フレーム状のグリップの内方に筐体を収納するため、収納時に筐体とグリップが擦れる問題があり、また、筐体をグリップから引き出してカメラを自立させた場合、グリップの厚さだけ筐体が高く、水平に自立しないという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、筐体の周囲を覆うフレーム状のグリップを、筐体に対し回転可能に結合する筐体構造であって、収納時に筐体とグリップが擦れる問題を解消するとともに、筐体をグリップから引き出して水平に自立できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、本発明は、筐体の周囲を覆うフレーム状のグリップを、筐体に対し回転可能に結合する筐体構造であって、前記筐体の周囲に、出没可能な可動部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、収納時に筐体とグリップが擦れる問題を解消できるとともに、筐体をグリップから引き出して水平に自立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成を示すもので、カメラの自立状態を示した斜視図である。
【図2】図1の筐体とグリップの関係を示した縦断面図である。
【図3】図2の筐体のグリップへの収納状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
図1は本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成としてカメラの自立状態を示したもので、1は表示ブロック、2はレンズブロック、3はグリップ、4は画像モニター、5はシャッターボタン、6は可動部材である。
【0012】
図示のように、カメラは、画像モニター4及びその隣に並ぶシャッターボタン5を有する表示ブロック1と、図示しない裏面側に撮影レンズを有するレンズブロック2と、これら筐体を構成する二つの表示ブロック1及びレンズブロック2の周囲を覆うコ字型のフレーム形状に形成したグリップ3とから構成されている。
【0013】
そして、小さなレンズブロック2に対し大きな表示ブロック1とグリップ3が二軸ヒンジ部を介してそれぞれ回転可能に結合されている。
すなわち、レンズブロック2に対して、第1ヒンジ部を介して表示ブロック1が回転可能に結合されるとともに、第2ヒンジ部を介してグリップ3が回転可能に結合されている。
二軸ヒンジ部は、レンズブロック2に表示ブロック1を結合する第1ヒンジ部の回転軸線と、レンズブロック2にグリップ3を結合する第2ヒンジ部の回転軸線が互いに直交している。
【0014】
従って、レンズブロック2に対し表示ブロック1が第1ヒンジ部の回転軸線を中心に回転する。
また、図示のように、レンズブロック2及び表示ブロック1に対しグリップ3が第2ヒンジ部の回転軸線を中心に回転する。
【0015】
具体的には、グリップ3は270度回転し、使用時にグリップ3の角度を変えることで様々なスタイルで撮影ができる。
例えば、グリップ3を開いて三脚スタンドのように立てて撮影したり、グリップ3のコ字型フレーム形状を活かして壁面などのフックに掛けて撮影したり、グリップ3をグリップしてカムコーダーのような持ち方でも撮影ができる。
【0016】
そして、表示ブロック1の両側部、すなわち、図示では上下面に可動部材6がそれぞれ設けられている。
この上下の可動部材6は、潤滑性の良い樹脂などにより形成されて、図2に示すように、表示ブロック1の上下面に各々形成した穴7にそれぞれ出没可能に組み込まれている。
さらに、可動部材6は、穴7に内蔵したコイルスプリング8により突出方向に付勢されている。
【0017】
ここで、可動部材6の突出量hは、図示のように、グリップ3の上下辺部の厚さに、表示ブロック1とグリップ3の上下辺部との隙間を加えた量である。
なお、可動部材6の穴7からの脱落を防止するための突起などの抜け止め対策が適宜施されている。
【0018】
以上、実施形態のグリップ3付きのカメラ1によれば、表示ブロック1及びレンズブロック2に対しグリップ3を開いてテーブルなどに置くと、図1及び図2に示したように、表示ブロック1下のコイルスプリング8の付勢により突出状態の可動部材6とグリップ3とで水平な自立状態に保持される。
また、上下逆にした場合でも、同様に水平な自立状態となる。
従って、グリップ3より表示ブロック1が小さいことによる傾きを可動部材6により補正して、その水平な自立状態でシャッターボタン5を押して、水平状態で撮影することができる。
【0019】
なお、自立させたときに、自重でコイルスプリング8が撓み、そのとき、カメラが水平になるように、可動部材6のストロークとコイルスプリング8のバネ定数を予め決めておいてもよい。
【0020】
図3は表示ブロック1のグリップ3への収納状態を示したもので、表示ブロック1及びレンズブロック2にグリップ3を重ねると、図示のように、上下の可動部材6がコイルスプリング8の付勢に抗して穴7に没入された状態となる。
この場合、表示ブロック1にグリップ3を重ねる過程において、可動部材6がグリップ3の上下辺部にそれぞれ接しながら穴7に没入されていく。
従って、表示ブロック1がグリップ3の上下辺部にぶつかったり擦れたりすることを防止することができる。
【0021】
なお、可動部材6を、図2に点線で示すように、滑らかな面取り形状とすることで、表示ブロック1に対しグリップ3を開閉操作する際において、可動部材6とグリップ3の上下辺部との接触動作を滑らかにして、操作荷重も軽減することができる。
【0022】
(変形例)
以上の実施形態においては、カメラとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、カメラを備える携帯電話など他の電子機器であってもよい。
また、実施形態では、表示ブロックの両側部に可動部材を備えたが、一側面のみに備えてもよい。
さらに、実施形態では、コイルスプリングにより可動部材を突出方向に付勢したが、他のバネなどの付勢手段であってもよい。
また、筐体の構成及び形状、グリップ及び可動部材の形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0023】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。
付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
筐体の周囲を覆うフレーム状のグリップを、筐体に対し回転可能に結合する筐体構造であって、
前記筐体の周囲に、出没可能な可動部材を備えることを特徴とする筐体構造。
<請求項2>
前記可動部材を突出方向に付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の筐体構造。
<請求項3>
前記筐体の両側部に前記可動部材をそれぞれ備えることを特徴とする請求項1または2に記載の筐体構造。
<請求項4>
前記筐体に撮影レンズ及び画像モニターを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の筐体構造。
<請求項5>
前記撮影レンズを備えるレンズブロックと、
前記画像モニターを備える表示ブロックと、を回転可能に結合して前記筐体が構成されることを特徴とする請求項4に記載の筐体構造。
<請求項6>
請求項1から5のいずれか一項に記載の筐体構造を備えることを特徴とする電子機器。
【符号の説明】
【0024】
1 筐体
2 筐体
3 グリップ
4 画像モニター
5 シャッターボタン
6 可動部材
7 穴
8 付勢手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の周囲を覆うフレーム状のグリップを、筐体に対し回転可能に結合する筐体構造であって、
前記筐体の周囲に、出没可能な可動部材を備えることを特徴とする筐体構造。
【請求項2】
前記可動部材を突出方向に付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の筐体構造。
【請求項3】
前記筐体の両側部に前記可動部材をそれぞれ備えることを特徴とする請求項1または2に記載の筐体構造。
【請求項4】
前記筐体に撮影レンズ及び画像モニターを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の筐体構造。
【請求項5】
前記撮影レンズを備えるレンズブロックと、
前記画像モニターを備える表示ブロックと、を回転可能に結合して前記筐体が構成されることを特徴とする請求項4に記載の筐体構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の筐体構造を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−159809(P2012−159809A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21360(P2011−21360)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】