説明

管理機

【課題】ロータリカバーの回動位置を作業状況に応じて容易に調節することができる管理機を提供する。
【解決手段】エンジン11と、前記エンジン11の前方に配置されるミッションケース13と、前記ミッションケース13の下方に配置される駆動輪15と、前記ミッションケース13の後方に配置されるロータリ耕耘装置2と、前記ミッションケース13の上部から前方へ突出されるハンドル19と、を備える管理機1において、前記ロータリ耕耘装置2は、前記ミッションケース13から後方へ延出されるロータリフレーム24と、前記ロータリフレーム24に対して上下に回動可能に支持されて耕耘爪23の上部を覆う上カバー31・32と、前記上カバー31・32の左右外側に上下に回動可能に支持されるサイドカバー33と、を有し、前記サイドカバー33を上下に回動操作可能な操作具を前記サイドカバー33の前部に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリ耕耘装置を備える管理機に関し、より詳細には、ロータリ耕耘装置のロータリカバーに設けられる操作具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータリ耕耘装置をエンジン及びミッションケースの後方に備える管理機は公知となっている。このような管理機において、ロータリ耕耘装置は、耕耘爪の上部を覆うロータリカバーとして上カバーとサイドカバーとを有していた。作業者は、当該管理機を用いて揚土作業を行う場合、上カバー及びサイドカバーを上方に回動させて、耕耘爪により耕耘した耕耘土がこれらのカバーで案内されながら、両側方へ跳ね上がるようにしていた。
【0003】
前記ロータリ耕耘装置においては、上カバー及びサイドカバーは前後方向の軸を中心に上下に回動可能に構成されていた。左右の上カバーにはスイングアームが設けられ、双方のスイングアームの重合部分がミッションケースから後方へ突設されたロータリフレーム上の支持ポストに固定されていた。そして、上カバーの開き角度は、作業者が支持ポストに対する各スイングアームの固定位置を変更することにより調節していた。一方、サイドカバーの開き角度は、作業者がサイドカバーを直接持って所望の角度まで上下に回動させることにより調節していた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、このような管理機においては、ハンドルが前記ミッションケース上のハンドル台に前後振り替え可能に取り付けられていた。そのため、作業者は、ハンドルを前後に振り替えることにより、前後のいずれかの方向を進行方向として、当該管理機を用いて揚土作業を行うことができるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−110581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
作業者は、上述の特許文献1に記載の管理機を用いて、ハンドルを機体前方に振り替えて揚土作業を行う場合、即ちロータリ耕耘装置との間にエンジンやミッションケースを挟んだ状態でハンドルを操作しながら揚土作業を行う場合、作業時期(作業開始時等)や作物の生育状態や畝の高さ等の作業状況に応じて、サイドカバーの開き角度を変更して、耕耘土を跳ね上げる距離を調節することがあった。この角度調節を行うとき、作業者はハンドルを操作するための作業位置から離れて、ロータリ耕耘装置の左右側方まで回り込む必要があった。つまり、エンジンやミッションケースの前方に位置する前記作業位置からサイドカバーまでの距離が長くて、作業者の手が届かなかったり、届いても開き角度の微調節が行いにくかったりしたため、作業者は開き角度を調節する際にはロータリ耕耘装置の側方まで移動する必要があった。そのため、角度調節が面倒なものとなっていた。
【0007】
そこで、本発明は係る課題に鑑み、ロータリカバーの回動位置を作業状況に応じて容易に調節することができる管理機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、エンジンと、前記エンジンの前方に配置されるミッションケースと、前記ミッションケースの下方に配置される駆動輪と、前記ミッションケースの後方に配置されるロータリ耕耘装置と、前記ミッションケースの上部から前方へ突出されるハンドルと、を備える管理機において、前記ロータリ耕耘装置は、前記ミッションケースから後方へ延出されるロータリフレームと、前記ロータリフレームに対して上下に回動可能に支持されて耕耘爪の上部を覆う上カバーと、前記上カバーの左右外側に上下に回動可能に支持されるサイドカバーと、を有し、前記サイドカバーを上下に回動操作可能な操作具を前記サイドカバーの前部に設けるものである。
【0010】
請求項2においては、前記操作具は、前記駆動輪と前記上カバーの間に、折曲部を有するものである。
【0011】
請求項3においては、前記操作具は、前記サイドカバーに固定されるとともに、前記サイドカバーの回動軸から延設されるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
請求項1の発明によれば、作業者がハンドルを操作するための作業位置付近からサイドカバーの回動位置を調節することが可能となる。従って、サイドカバーの角度を調節するためにロータリ耕耘装置の側方に回り込む必要がなく、ロータリカバーの回動位置を作業状況に応じて容易に調節することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、作業者が操作具によりサイドカバーを回動操作する際に、操作具を他のカバーや駆動輪等の管理機のいずれの部分にも干渉しないように操作することができる。また、作業者が作業位置から操作具によりサイドカバーを回動操作する際に力を加え易くなる。
【0015】
請求項3の発明によれば、回動軸と操作具を一体的に構成できるため、部品点数を削減でき、コストの低減化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る管理機の全体構成を示す側面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る管理機においてロータリ耕耘装置のロータリカバーを開いた状態を示す側面図。
【図3】ロータリ耕耘装置の上部の構成を示す斜視図。
【図4】ロータリ耕耘装置の上部の構成を示す背面図。
【図5】本発明の別実施形態に係る管理機の全体構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、図1及び図2を用いて、本発明の一実施形態に係る管理機1の全体構成について説明する。なお、以下において、図1及び図2における矢印F方向を機体前方とし、矢印B方向を機体後方とする。また、本実施形態では、矢印B方向を進行方向とし、管理機1は機体後方に進行するものとする。
【0018】
図1に示すように、管理機1においては、エンジンフレーム12がトランスミッションのミッションケース13の前面から前方へ突出されて、エンジン11がエンジンフレーム12の前上部に搭載されている。ミッションケース13の前側下部には、車軸14が左右両側方に突設されている。車軸14の左右両端部には、駆動輪15が取り付けられている。そして、エンジン11からの動力が、伝動ケース16内のベルトやプーリ等を介してミッションケース13に伝達され、該ミッションケース13内の変速機構を介して車軸14に伝達されるように構成されている。
【0019】
ハンドル台17がミッションケース13の上部に形成されて、ハンドル19がその基部18でハンドル台17上に前後振り替え可能に取り付けられている。詳しくは、回動軸がハンドル台17から鉛直方向に上方へ突設され、ハンドル19が該回動軸に前後回動可能に取り付けられている。本実施形態では、図1に示すように、ハンドル19が前方へ振り替えられた状態で基部18がハンドル台17に対して固定されており、ハンドル19がハンドル台17から前上方へ突出されている。ハンドル19はハンドル台17から左右略対称に突出される2本のハンドル杆で構成され、これらの2本のハンドル杆の間に空間を有するように平面視略V字状に構成されている。ハンドル19の先端部はミッションケース13の前上方に配置されている。この先端部には、メインクラッチレバーやサイドクラッチレバーやアクセルレバー等が配設されている。作業者100は、機体(ミッションケース13)前方の作業位置に位置して、ハンドル19を操作することにより、管理機1を進行方向(機体後方)に進めながら作業を行う。
【0020】
ミッションケース13の後部には、作業機としてロータリ耕耘装置2が装着されている。ロータリ耕耘装置2においては、ロータリ駆動パイプ21がミッションケース13から後下方へ突設されて、耕耘爪軸22がロータリ駆動パイプ21の下端部に左右方向に軸支されている。耕耘爪軸22の軸上には、複数本の耕耘爪23が植設されている。そして、耕耘爪23の上部が、一部を耕耘爪23の先端の回動軌跡に沿って配置したロータリカバー3により上方及び側方から覆われている。ロータリカバー3は、ロータリ駆動パイプ21の上方でミッションケース13から後方へ突設されたロータリフレーム24に取り付けられている。取付固定ボス25がロータリフレーム24の後端部に固着され、ゲージ輪26がロータリフレーム24の後端部に、取付固定ボス25に上下方向に挿通された支持軸を介して、上下高さ調節可能に取り付けられている。
【0021】
次に、図2から図4を用いて、ロータリカバー3の角度調節構造について説明する。図2から図4に示すように、ロータリカバー3は、上カバーとサイドカバー33R・33Lを備え、機体前後方向に延在するロータリフレーム24を挟んで左右対称に構成されている。上カバーは、左右一対の内カバー31R・31Lと、左右一対の中カバー32R・32Lからなる。内カバー31R・31Lと、中カバー32R・32Lと、サイドカバー33R・33Lの各々は、概ね長方形の平板状に形成され、長手方向を機体前後方向として配置されている。
【0022】
ロータリカバー3の左右の各側においては、内カバー31R・31Lと、中カバー32R・32Lと、サイドカバー33R・33Lとが、それぞれロータリフレーム24のある内側から機体幅(左右)方向外側へ向かって順に配置されている。これらのうち、内カバー31R・31Lと中カバー32R・32Lの前後端からは、それぞれ内タレカバー34・34と中タレカバー35・35とが垂設されている。内カバー31R・31Lは、ロータリフレーム24に対して、その左右一端部で機体前後方向の軸心回りに揺動自在なヒンジなどの連結具36・36を介して折曲自在に枢支連結されると共に、その左右中途部で連結機構4を介して上下方向に回動可能に支持されている。
【0023】
連結機構4においては、前後一対の枢支部41・41が各内カバー31R・31Lの左右中途部表面にそれぞれ突設され、支軸42が前後一対の枢支部41・41間に前後方向に横架されている。支軸42には、スイングアーム43の基部が枢結されている。スイングアーム43は、機体幅(左右)方向内側へ曲がりつつ支軸42から上方へ突出されて、その先端側を他方の内カバー31R・31L側から延びるスイングアーム43の先端側と交差させる。各スイングアーム43・43の先端側には長孔43a・43aが長手方向に開口されている。双方の長孔43a・43aは、互いの一部をロータリフレーム24から上方へ立設された支持ポスト44の上部で重合させる。長孔43a・43aの重合部分と支持ポスト44上部に形成されたネジ孔には、調節つまみ45のネジ部が螺挿されている。
【0024】
このような構成において、作業者が調節つまみ45を緩めて、内カバー31R・31Lを上又は下方へ連結具36・36を中心に回動させ、耕耘爪23に対して開閉させる際に、スイングアーム43・43が調節つまみ45のネジ部に沿って摺動することになり、内カバー31R・31Lの上下方向の角度(開き角度)を調節することが可能となる。一方、調節つまみ45を緩めた状態で、内カバー31R・31Lを所定の角度位置まで回動させたあと、調節つまみ45を締め付けることによって、左右の内カバー31R・31Lを所定の角度位置に固定すること可能となる。
【0025】
また、内カバー31R・31Lと中カバー32R・32Lとの間、及び中カバー32R・32Lとサイドカバー33R・33Lとの間には、連結機構37・38が介設されている。該連結機構37・38は、ヒンジ等からなる前記連結具36とは異なり、中カバー32R・32Lとサイドカバー33R・33Lとを手動で任意の角度まで回動させ、耕耘爪23に対して開閉させたとき、そのまま任意の角度(開き角度)に保持できるように構成されている。なお、本実施形態では、ロータリカバー3は左右略対称であるので、以下の説明では右側の連結機構37・38を用いて説明する。
【0026】
連結機構37は、軸体37aと挟持体37bとから構成されている。
軸体37aは、その長手方向を前後方向として、中カバー32Rの内側端の前後中途部に設けられている。
挟持体37bは、内カバー31Rの外側端の前後中途部に設けられている。挟持体37bは、外端部に軸体37aの外周を挟むための湾曲部を互いに対向するように形成した一対の板体を有し、内カバー31Rの裏面に配置されている。挟持体37bは、一対の板体の湾曲部により軸体37aを挟んだ状態で、一対の板体をボルト等により内カバー31Rに締付固定されている。
該軸体37aの外周面と前記挟持体37bの湾曲部の内周面との接触部は、内カバー31Rと中カバー32Rとが手動では回動可能であるが、各カバーの自重、及び耕耘作業中の振動や跳ね上がる耕耘土の衝撃などでは回動不能な大きさの摩擦力が発生するように構成されている。
【0027】
連結機構38は、回動軸38aと挟持体38bとから構成されている。
回動軸38aは、その長手方向を前後方向として、サイドカバー33Rの内側端の前後中途部に設けられている。回動軸38aの一端(後端)部は略L字状に屈曲しており、該屈曲部はサイドカバー33Rの裏面の前後中途部に固定されている。回動軸38aの他端(前端)部はサイドカバー33Rの内側端辺に沿って前方へ延設されている。
挟持体38bは、中カバー32Rの外側端の前後中途部に設けられている。挟持体38bは、前記挟持体37bと略同様に構成され、外端部に回動軸38aの外周を挟むための湾曲部を有し、中カバー32Rの表面に配置されている。挟持体38bは、湾曲部により回動軸38aを挟んだ状態で、ボルト等により中カバー32Rに締付固定されている。
連結機構37と同様に、該回動軸38aの外周面と前記挟持体38bの湾曲部の内周面との接触部は、中カバー32Rとサイドカバー33Rとが手動では回動可能であるが、各カバーの自重、及び耕耘作業中の振動や跳ね上がる耕耘土の衝撃などでは回動不能な大きさの摩擦力が発生するように構成されている。
【0028】
このように、ロータリカバー3は、ロータリフレーム24を挟んだ左右の各側において、3枚のカバー部材に分割されて、機体横幅(左右)方向に連続して配置された内カバー31と中カバー32とサイドカバー33のカバー部材から構成されている。その上で、連結機構37・38が隣り合うカバー同士の間に適宜に介設され、あるカバーが連結機構37・38により隣り合うカバーに対して所定角度の範囲で任意角度に回動して、その回動位置に保持されるようになっている。従って、ロータリフレーム24を挟んだ左右の各側において、ロータリカバー3が2枚以下のカバー部材から構成される場合に比べて、各カバー部材の姿勢を更に細かく調節することができ、土壌の状況や作物の種類などに適した位置に所定量の耕耘土を落下させることができる。ただし、カバー部材の枚数は3枚に限定されない。
【0029】
また、連結機構37・38は、スイングアーム43などの角度調節機構や調節つまみ45などの固定機構を含む複数の機構から構成する必要がない。そのため、連結機構37・38は、あるカバーの隣り合うカバーに対する角度を調節する角度調節機構、及びあるカバーを隣り合うカバーに固定する固定機構を兼用した単純な単一の機構とすることが可能である。従って、耕耘土流の案内方向の微調節を簡単に行うことができ、角度調節にかかる時間を短縮すると共に、作業者100にかかる負担を軽減することができる。
【0030】
次に、図1から図4を用いて、ロータリカバー3を回動操作可能な操作具5について説明する。図3及び図4に示すように、ロータリフレーム24を挟んだ左右の各側において、ロータリカバー3のカバー部材には、機体前方に延びる操作具5が1つ設けられている。本実施形態では、操作具5は、複数のカバー部材31・32・33のうち、ロータリフレーム24から最も離れた、即ち機体横幅方向最外側のカバー部材であるサイドカバー33R・33Lに設けられている。図1に示すように、操作具5は、作業者100が機体前方の(ハンドルの先端部近傍の)作業位置に立ったままで平面視略V字状に構成されたハンドル19(2本のハンドル杆)の間から体を伸ばして握れる位置まで延出している。
なお、操作具5を設けるカバー部材はロータリフレーム24から最も離れたカバー部材に限定されない。また、操作具5は、左右のカバー部材に複数ずつ設けてもよく、左右のいずれか一方のカバー部材にのみ設けてもよい。
【0031】
本実施形態では、ロータリカバー3は左右略対称であるので、以下の説明では右側の操作具5についてのみ説明する。図3に示すように、操作具5は、延長部5aと、折曲部5bと、グリップ部5cとから構成される。
【0032】
延長部5aは、軸状に形成され、回動軸38aと連続して一体的に構成されている。延長部5aは、サイドカバー33Rの回動軸38aの前端部からサイドカバー33Rの前端部付近まで機体前方へ延設されている。延長部5aは、サイドカバー33Rと内カバー32Rとの間に、サイドカバー33Rの外周縁部に沿って配置されている。
【0033】
折曲部5bは、軸状に形成され、延長部と連続して一体的に構成されている。折曲部5bは、サイドカバー33Rの前端部付近から駆動輪15の手前付近まで延設されて、サイドカバー33Rや内カバー32R(ロータリ耕耘装置2)と駆動輪15との間に配置されている。折曲部5bは、サイドカバー33Rの回動軸38aの軸方向(機体進行方向)に対して交差する方向、図1に示す状態では概ね上方に向かって凸形状をなして、略V字状に屈曲されている。
この折曲部5bの形状によって、作業者100は、作業位置側から折曲部5b(グリップ部5c)を握って操作具5によりサイドカバー33Rを回動操作する際に力を加え易くなる。さらに、作業者100は、管理機1のいずれの部分にも邪魔されずに、操作具5によりサイドカバー33Rを回動操作することが可能となる。
なお、折曲部5bの形状はこれに限定されず、折曲部5bをどの角度に回動させても、操作具5及び作業者の手や腕が管理機1のいずれの部分にも当たらない形状であればよい。例えば、折曲部5bの形状は略U字状でもよい。
【0034】
グリップ部5cは、作業者100が把持する部材であり、把持しやすいようにゴム等で構成されている。グリップ部5cは、折曲部5bの前端側に取り付けられて、操作具5全体の先(前)端部に配置されている。
【0035】
そして、操作具5の作業者100による把持部(グリップ部5c)がロータリ耕耘装置2と駆動輪15との間の空間に配置されているため、図1に示すように、作業者100はその体を作業位置から平面視略V字状に構成されたハンドル19の間に若干移動させて、手を後方へ伸ばすだけで、操作具5(グリップ部5c)を握って操作することが可能となる。従って、作業者100は、作業位置から大きく移動してロータリ耕耘装置2の側方まで回り込むことなく、操作具5によりサイドカバー33を回動操作することが可能となる。
【0036】
上述のように、サイドカバー33Rに固定された回動軸38aが中カバー32Rに固定された挟持体38bに対して手動で回動可能に構成されているため、作業者100は操作具5のグリップ部5cを握って回動軸38aと一体的に構成された延長部5a及び折曲部5bを回動させることにより、サイドカバー33Rを中カバー32Rに対して上下方向に回動させて、サイドカバー33Rの開き角度を調節することが可能となる。具体的には、作業者100は作業位置でグリップ部5cを時計回りに回動させれば、サイドカバー33Rを中カバー32Rに対して上方へ回動させ、サイドカバー33Rと中カバー32Rとがなす角度を大きく調節することができる。一方、作業者100は作業位置でグリップ部5cを反時計回りに回動させれば、サイドカバー33Rを中カバー32Rに対して下方へ回動させ、サイドカバー33Rと中カバー32Rとがなす角度を小さく調節することができる。
【0037】
また、上述のように、サイドカバー33Rと中カバー32Rとが連結機構38を介して上下に回動可能に構成されているだけでなく、中カバー32Rと内カバー31Rとが連結機構37を介して上下に回動可能に構成され、さらに、内カバー31Rとロータリフレーム24とが連結機構4(連結具36)を介して上下に回動可能に構成されている。そのため、作業者100は操作具5のグリップ部5cを握って延長部5a及び折曲部5bを上下方向に動かすことにより、最も外側のサイドカバー33だけでなく、それよりも内側の中カバー32及び内カバー31を同時に上下に回動させることが可能となる。
具体的には、連結機構4の調節つまみ45を緩めている場合、例えば、グリップ部5cを上に持ち上げることにより、図2に示すように、サイドカバー33を上方へ移動させつつ、中カバー32と内カバー31とを同時に上に回動させることができる。一方、グリップ部5cを下に振り下ろすことにより、サイドカバー33を下方へ移動させつつ、中カバー32と内カバー31とを同時に下に回動させることができる。
また、連結機構4の調節つまみ45を締めている場合、例えば、グリップ部5cを上に持ち上げることにより、サイドカバー33を上方へ移動させつつ、中カバー32を同時に上に回動させることができる。一方、グリップ部5cを下に振り下ろすことにより、サイドカバー33を下方へ移動させつつ、中カバー32を同時に下に回動させることができる。
こうして、サイドカバー33の開き角度を操作具5を回動させることで調節可能な範囲よりも広い範囲で調節することが可能となるとともに、中カバー32Rと内カバー31Rの各開き角度を調節することが可能となる。
【0038】
なお、本実施形態においては、サイドカバー33Rの回動軸38aを延長して操作具5を回動軸38aと一体的に構成したが、操作具5と回動軸38aを別々に構成してもよい。例えば、操作具をサイドカバー33Rや中カバー32Rの前端の外周縁部から前方へ突設させてもよい。また、操作具5をサイドカバー33R等のカバー部材の一部に予め成形し、操作具5をカバー部材と一体的に構成してもよい。
【0039】
以上の如く、本発明の一実施形態に係る管理機1は、エンジン11と、前記エンジン11の前方に配置されるミッションケース13と、前記ミッションケース13の下方に配置される駆動輪15と、前記ミッションケース13の後方に配置されるロータリ耕耘装置2と、前記ミッションケース13の上部から前方へ突出されるハンドル19と、を備える管理機1において、前記ロータリ耕耘装置2は、前記ミッションケース13から後方へ延出されるロータリフレーム24と、前記ロータリフレーム24に対して上下に回動可能に支持されて耕耘爪23の上部を覆う上カバー31・32と、前記上カバー31・32の左右外側に上下に回動可能に支持されるサイドカバー33と、を有し、前記サイドカバー33を上下に回動操作可能な操作具を前記サイドカバー33の前部に設けるものである。
【0040】
このように構成することにより、ロータリ耕耘装置2がミッションケース13を挟んでハンドル19と反対側にあって、ロータリカバー3がハンドル19から比較的離れた位置にある場合でも、作業者100が機体前方におけるハンドル19を操作するための作業位置付近から、即ち作業位置からあまり移動せずにサイドカバー33の回動位置を調節することが可能となる。従って、作業者が作業位置から離れてサイドカバーの角度を調節するためにロータリ耕耘装置の側方に回り込む必要がなくなり、ロータリカバー3の回動位置を作業状況に応じて容易に調節することができる。
【0041】
特に、畝間の溝を進みつつ耕耘作業を行う場合、作業者100はハンドル19側からロータリカバー3に近づきにくい。しかしながら、このような構成においては、作業者100はハンドル19近傍の作業位置から移動せずともロータリカバー3を回動させることが可能となる。従って、側方へ回り込むことにより圃場を荒らしたり、野菜を傷めたりすることがなくなる。このような構成は、畝間の溝等の狭い場所で耕耘作業を行う作業者100にとって非常に有効なものとなる。
【0042】
また、このように構成することにより、操作具5の一度の操作によって、各カバー部材31・32・33を個別に回動させながら、ロータリカバー3全体を回動させることが可能となる。従って、ロータリカバー3の各カバー部材31・32・33の回動位置を作業状況に応じて容易に微調節して、ロータリ耕耘装置2の耕耘爪23により跳ね上げられた耕耘土をロータリカバー3により適切に落下させることができる。
【0043】
以上の如く、本発明の一実施形態に係る管理機1は、前記操作具5は、前記駆動輪15と前記上カバー31・32の間に、折曲部5bを有するものである。
【0044】
このように構成することにより、作業者100が操作具5によりサイドカバー33を回動操作する際に、操作具5が他のカバー31・32や駆動輪15等の管理機1のいずれの部分にも干渉しないように操作することができる。また、作業者100が作業位置から操作具5によりサイドカバー33を回動操作する際に力を加え易くなる。
【0045】
以上の如く、本発明の一実施形態に係る管理機1は、前記操作具5は、前記サイドカバー33に固定されるとともに、前記サイドカバー33の回動軸38aから延設されるものである。
【0046】
このように構成することにより、回動軸38aと操作具5を一体的に構成できるため、部品点数を削減でき、コストの低減化が図れる。また、操作具5を回動軸38aの軸心回りに回動させて、最も外側のサイドカバー33のみを上下に回動させることが可能となるだけでなく、操作具5を上下方向へ移動させて、最も外側のサイドカバー33及びそれよりも内側の中カバー32・内カバー31を同時に上下に回動させることが可能となる。従って、ロータリカバー3の各カバー部材31・32・33の回動位置を作業状況に応じて微調節しやすくなる。
【0047】
次に、本発明の別実施形態に係る管理機1について図5を用いて説明する。ただし、第一実施形態の構成の部材と同一の部材については同一の符号を付し、第一実施形態の構成と同様の部分は説明を省略する。なお、以下において、図5における矢印F方向を機体前方とし、矢印B方向を機体後方とする。また、本実施形態では第一実施形態と異なり、矢印F方向を進行方向とし、管理機1は機体前方に進行するものとする。
【0048】
図5に示すように、本実施形態では、ハンドル19が後方へ振り替えられた状態で基部18がハンドル台17に対して固定されており、ハンドル19がハンドル台17から後上方へ突出されている。作業者100は、機体(ミッションケース13)後方の作業位置に位置して、ハンドル19を操作することにより、管理機1を進行方向(機体前方)に進めながら作業を行う。すなわち、本実施形態では、ロータリ耕耘装置2がミッションケース13に対してハンドル19と同一側にあって、ロータリカバー3がハンドル19から比較的近接した位置にある。
【0049】
また、図5に示すように、ロータリカバー3のカバー部材には、機体前方に延長される操作具5とともに、機体後方に延長される補助操作具6が設けられている。補助操作具6は、作業者100が機体後方の(ハンドル近傍の)作業位置に立ったまま体を伸ばして握れる位置まで延出している。補助操作具6の構成は、延出される方向以外、操作具5と同様とし、補助操作具6は、いずれのカバー部材に設けられてもよく、左右のカバー部材に複数ずつ設けてもよく、左右のいずれか一方のカバー部材にのみ設けてもよい。また、補助操作具6は、操作具5と共に設けてもよく、操作具5を設けずに補助操作具6のみ設けてもよい。
【0050】
以上の如く、本発明の別実施形態に係る管理機1は、前記ミッションケース13の上部から後方へ突出されるハンドル19を備え、前記ロータリカバー3を上下に回動操作可能な補助操作具6を前記ロータリカバー3の後部に設けるものである。
【0051】
このように構成することにより、ロータリ耕耘装置2がミッションケース13に対してハンドル19と同一側にあって、ロータリカバー3がハンドル19に比較的近接した位置にある場合、機体後方に位置する作業者100が補助操作具6を用いてより容易にロータリカバー3の回動位置を調節することが可能となる。従って、ロータリ耕耘装置2とハンドル19の位置関係にかかわらず、ロータリカバー3の回動位置を作業状況に応じて容易に調節することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 管理機
2 ロータリ耕耘装置
3 ロータリカバー
5 操作具
11 エンジン
13 ミッションケース
15 駆動輪
19 ハンドル
23 耕耘爪
24 ロータリフレーム
31 内カバー(上カバー)
32 中カバー(上カバー)
33 サイドカバー
38a 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンの前方に配置されるミッションケースと、
前記ミッションケースの下方に配置される駆動輪と、
前記ミッションケースの後方に配置されるロータリ耕耘装置と、
前記ミッションケースの上部から前方へ突出されるハンドルと、を備える管理機において、
前記ロータリ耕耘装置は、
前記ミッションケースから後方へ延出されるロータリフレームと、
前記ロータリフレームに対して上下に回動可能に支持されて耕耘爪の上部を覆う上カバーと、
前記上カバーの左右外側に上下に回動可能に支持されるサイドカバーと、を有し、
前記サイドカバーを上下に回動操作可能な操作具を前記サイドカバーの前部に設けることを特徴とする管理機。
【請求項2】
前記操作具は、前記駆動輪と前記上カバーの間に、折曲部を有することを特徴とする請求項1に記載の管理機。
【請求項3】
前記操作具は、前記サイドカバーに固定されるとともに、前記サイドカバーの回動軸から延設されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−155867(P2011−155867A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18750(P2010−18750)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】