簡易トイレ
【課題】排便等の汚物全体を吸水剤に接触させてしっかりと凝固させて衛生的にかつ容易に廃棄処理を行え、繰り返して使用できる構造簡単な簡易トイレを提供する。
【解決手段】簡易トイレ1は、内側に空間Eが設けられた筒状の便座支持台2と、用便用開口部7b,8b(3a)を有し便座支持台2の上端に着脱自在に取り付けられる便座板7と便座カバー8とからなる便座3と、便座支持台2の内側の空間E内に配置され、上端の開口部4aを便座3の用便用開口部7b,8b(3a)に連通させて上端縁4bを、便座3を介して便座支持台2の上端に着脱自在に装着される便収容袋4とを備え、便座支持台2の空間Eの下部に、便収容袋4の底部4cを一方側(前側)が他方側(後側)より低くなるように傾斜させて支える台座6と一体の受板5が設けられた構成とされている。
【解決手段】簡易トイレ1は、内側に空間Eが設けられた筒状の便座支持台2と、用便用開口部7b,8b(3a)を有し便座支持台2の上端に着脱自在に取り付けられる便座板7と便座カバー8とからなる便座3と、便座支持台2の内側の空間E内に配置され、上端の開口部4aを便座3の用便用開口部7b,8b(3a)に連通させて上端縁4bを、便座3を介して便座支持台2の上端に着脱自在に装着される便収容袋4とを備え、便座支持台2の空間Eの下部に、便収容袋4の底部4cを一方側(前側)が他方側(後側)より低くなるように傾斜させて支える台座6と一体の受板5が設けられた構成とされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野外やトイレ設備のない場所で緊急にトイレを必要とするときに、簡単に組み立てて使用することができる携帯可能な簡易トイレに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の簡易トイレとして、各種飲料が充填された容器を複数個収容可能な汎用の空段ボール箱で上端に開口部を有する箱形の便座支持台を構成する一方、段ボール材からなる矩形状の板状部材で開閉自在の用便用開口部を有する便座を構成し、合成樹脂製のシートからなる上端に開口を有する便収容袋を、前記便座支持台の上端に載置した前記便座の用便用開口部を通して便座支持台の内部に入れて、上端開口の周縁部を便座の上面に被せるように装着して使用するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、前記空段ボール箱の代わりに、板紙を折り曲げて上部が開口した有底の矩形状箱からなる便座支持台を構成し、合成樹脂製の厚紙で上端が開閉可能な有底のミルクカートン状袋からなる便槽箱を、前記便座支持台の内部に入れて上端を便座支持台に係止させると共に、厚紙を折り曲げて箱状に形成された中央に用便用開口部を有する便座を前記便座支持台の上端に載置して使用するものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、紙おむつ用材料で上端が開口した矩形箱状の便収容袋を、折り畳み可能な脚部からなる便座支持台の中央空間部に挿入して、上端部を前記便座支持台の上端に係止すると共に、便座支持台の上端に用便用開口部を有する便座を載置して使用するものが知られている(例えば、特許文献3参照)
【特許文献1】特開2005−46339号公報
【特許文献2】特開平11−56679号公報
【特許文献3】実用新案登録第3016895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の簡易トイレにおいては、柔軟性シートからなる便収容袋がその下部を前記便座支持台の箱の底部に水平状に支えられているか、または便収容袋が箱状に形成されて水平状の底部を有しているので、便収容袋内に排泄された汚物が流動性を有していると、便収容袋の底部の四隅部にまで汚物が広く分散することがある。この場合には、汚物を凝固させるために、消臭、殺菌作用を有する薬剤を混合した高分子吸水剤粉末を汚物上に散布しても、便収容袋の四隅部まで広く均一に散布することが難しく、汚物全体をしっかりと凝固させることができず、廃棄処理を衛生的にかつ簡単に行うことができないという問題がある。また、凝固剤を備えた吸水シートを便収納袋の底部に設ける場合もあるが、この場合も上記問題を十分に解決することができない不満がある。さらに、紙おむつ式の便収容袋で全面に水分吸収部材を固定したものでは、1回の用便等にしか使用することができず非経済的である。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、排便等の汚物全体を吸水剤に接触させてしっかりと凝固させることにより、衛生的にかつ容易に廃棄処理を行うことができると共に、繰り返して使用することができる構造が簡単な簡易トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するために、以下の構成としたことを特徴とする。
すなわち、請求項1に係る簡易トイレは、内側に空間が設けられた便座支持台と、用便用開口部を有し前記便座支持台の上端に着脱自在に取り付けられる便座と、前記便座支持台の内側の空間内に配置され、上端の開口部を前記便座の用便用開口部に連通させて上端縁を前記便座支持台の上端に着脱自在に装着される便収容袋とを備えた簡易トイレにおいて、前記便座支持台の空間の下部には、前記便収容袋の底部を一方側が他方側より低くなるように傾斜させて支える受板が設けられていることを特徴としている。
【0006】
請求項2に係る簡易トイレは、請求項1に記載の簡易トイレにおいて、前記便座支持台は上下が開放された筒状体に形成され、該筒状体の下端に、筒状体を横切る方向に向けられ筒状体の外側に突き出す台座が着脱自在に装着され、該台座に前記受板が支持されていることを特徴としている。
【0007】
請求項3に係る簡易トイレは、請求項2に記載の簡易トイレにおいて、前記台座は、矩形状平板を一対の折れ線で折り曲げてその両端部に一端側が他端側より高さの低い一対の起立部が形成され、該各起立部の両側に前記便座支持台の下端部に係合する係合溝が設けられると共に、前記矩形状平板の他端部に一体に連結された台座より小さい矩形状平板からなる前記受板が、台座との連結部の折れ線で台座の一端側に折り曲げられて、該一端部の起立部に設けた係合凹部に受板の自由端側に設けた突出部を着脱可能に形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項4に係る簡易トイレは、請求項2または3に記載の簡易トイレにおいて、前記便座は矩形状の便座板とその上に被せる矩形箱状の便座カバーを備えており、該便座カバーに被せる蓋体が設けられると共に、前記便座支持台と台座と受板が扁平に折り畳み可能に形成され、前記便座カバーの内部に前記便座板、便座支持台、台座、受板、便収納袋が重ねられて収納され、収納物を入れた便座カバーが前記蓋体を被せて閉じられた状態で携帯可能とされていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以下の優れた効果を奏する。
すなわち、請求項1に係る簡易トイレによれば、便座支持台の内側の下部に傾斜して配置した受板によって、便収納袋の底部が一方側を他方側より低くなるように傾斜した状態で支持されるので、便収納袋内に排泄された排便等の汚物は低い側に流動して限定された狭い箇所に集合される。したがって、該狭い箇所に集中された汚物上に吸水剤を散布することにより、該汚物全体を吸水剤に効果的に接触させてしっかりと凝固させることができ、これにより、汚物を衛生的にかつ容易に廃棄処理することができる。しかも、便収容袋は凝固した汚物を廃棄した後は繰り返して使用することができると共に、通常のゴミ袋も使用できるので、経済的であり、簡易トイレは便座支持台の内側に傾斜した受板を配置するだけであるから、構造も簡単である。
【0010】
請求項2に係る簡易トイレによれば、便座支持台を台座によって設置面に安定良く支持させることができると共に、前記受板を便座支持台の下端部の内側にしっかりと配置することができる。
【0011】
請求項3に係る簡易トイレによれば、台座はその両端部の起立部と受板とによって剛性が高められて、便座支持台の下端縁をしっかりと固定して該便座支持台を一層安定良く設置面に支持させることができると共に、受板を便座支持台の内側に容易に配置することができる。
【0012】
請求項4に係る簡易トイレによれば、簡易トイレの一式が専用の格納箱等を使用することなく簡単にまとめて携帯して移動させることができ、所要時に速やかに取り出して使用することができると共に、簡易トイレ用の専用の収納箱を片づけて保管、管理する必要もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態に係る簡易トイレについて添付図面を参照して説明する。
図1〜図6は本発明の一実施の形態に係る簡易トイレ1を示す。
この簡易トイレ1は、内側に空間Eが設けられた便座支持台2と、用便用開口部3aを有し前記便座支持台2の上端に着脱自在に取り付けられる便座3と、前記便座支持台2の内側の空間E内に配置され、上端の開口部4aを前記便座3の用便用開口部3aに連通させて上端縁(周縁部)4bを前記便座支持台2の上端に着脱自在に装着される便収容袋4(図5参照)と、該便収容袋の底部4cを支える受板5を一体に有して前記便座支持台2の下端に着脱自在に取り付けられる台座6とを備えている。
【0014】
前記便座支持台2は、図7に示すように、一端(図7で上端)に係合突起2a,2bを、他端(図7で下端)に切込み部2d,2dをそれぞれ設けた矩形平板状の段ボール材2eを、折れ線sで矢印方向に折り曲げてのりしろ2fを介して両側部(図7で左右部)を接着剤で接着することにより、上下端部が開口して矩形筒状体(筒状体)に形成されている。前記係合突起2aと係合突起2bはそれぞれ矩形筒状体の側面壁と端面壁となる部分に配置されるように段ボール材2eの長手方向(図7で左右方向に)交互に設けられ、その突出高さは段ボール材2eの厚さの2倍とされている。また、前記切込み部2dは、矩形筒状体の側面壁となる部分に前記矩形筒状体の下辺に平行な凹部2d1と、その両側で下辺に直角な係合溝2d2とを有している。前記凹部2d1の深さは段ボール材2eの厚さよりやや大きくされ、前記係合溝2d2の幅は段ボール材2eの厚さと略同じにされている。
【0015】
前記便座3は、便座板7と便座カバー8とからなっている。前記便座板7は、図8に示すように、前記便座支持台2の矩形筒状体の横断面より大きな矩形状平板の段ボール材7aで形成され、中央部に前後方向(図2、図5で左右方向、図8で上下方向)に長い矩形状の用便用開口部7bが貫通して設けられ、その周辺部には、前記便座支持台2の係合突起2a,2bがそれぞれ嵌入する係合溝7c,7dが設けられている。そして、前記便座板7は、2枚が重ねられて前記便座支持台2の上端に、前記係合突起2a,2bと係合溝7c,7dを介して着脱自在に取り付けられるようになっている。前記便座板7は、2枚に限らず、その厚さに応じて1枚もしくは3枚以上とすることができる。
【0016】
また、前記便座カバー8は、図9に示すように、中央部に前記便座板7の用便用開口部7bと同じ大きさの用便用開口部8aを設けた矩形状平板の段ボール材8aを、その四隅に設けた切込み溝8bと四辺に沿って配した折れ線sとを利用して、天板8a1の周囲四辺の各折込み片8c,8c、8d,8dを互いに接近する方向に折り曲げて、隣接する折込み片を相互にのりしろ8eを介して接着剤で接着することにより、深さの浅い矩形の容器蓋状に形成されている。前記便座カバー8の内周部の口径は前記便座板7の外径より僅かに大きくされている。
【0017】
また、前記台座6は、図10に示すように、四隅に係合溝6aを、一端側(図10で左側)に係合凹部6bを設けた矩形状平板の段ボール材6cを、平行な折込み線s、sで一対の起立部6d,6eを中央の接地部6fに対して直角に折り曲げて形成されている。そして、前記台座6の他端側には、一端側と反対側へ向けて突き出した突出部5aを有する矩形状平板からなる前記受板5が一体に設けられており、該受板5を、台座6の他端側の辺に相当する部分に配した折れ線sで台座6の接地部6fの上側に位置するように折り曲げて、前記突出部5aを前記一端側の起立部6dの係合凹部6dに着脱可能に挿入されて、その段部5bが起立部6dの内側に当接された状態とされる。この状態では、一端側の起立部6dの係合凹部6bまでの高さが、他端側の起立部6eの高さより低くなっているので、前記受板5は一端側(図1、図2、図5で左側、簡易トイレ1の前側)が他端側(図1、図2、図5で右側、簡易トイレ1の後側)より低くなるように傾斜される。
【0018】
前記のように形成された台座6は、前記便座支持台2の下端に配置され、前記起立部6d,6eの係合溝6aを、前記便座支持台2の矩形筒状体の側面壁の係合溝2d2の位置において該側面壁に嵌合させて、便座支持台2の下端に着脱自在に取り付けられるようになっている。その際、前記台座6は、その接地部6fが便座支持台2の凹部2d1に挿入されて、便座支持台2の矩形筒状体の下端面と前記接地部6fの下面とが面一となり、前記起立部6d,6eが前記矩形筒状体の側面壁に直交し、両端部を該側面壁より外側に突き出した状態となって、便座支持台2を起立状態に安定良く支持するようになっている。
【0019】
また、前記便収容袋4は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニール等の合成樹脂材料からなる薄肉のシートによって、底部4cを閉鎖して上端部を開口させた袋状に形成したものであり、前記便座板7を取り付けた便座支持台2の内部に挿入されて、底部4aが前記受板5の上面に載せられ、上端が前記便座板7の用便用開口部7bからその外側に出されて、開口部4aの上端縁4bが前記用便用開口部7bの周縁の便座板7に沿わされ、便座板7の上方からそれに被せられる便座カバー8によって押さえられるようになっている。
【0020】
また、前記簡易トイレに1には、前記便座カバー8に被せる扁平な矩形箱状の蓋体9が設けられている。該蓋体9は、図11に示すように、矩形状平板の段ボール材9aを、その四隅に設けた切込み溝9bと四辺に沿って配した折れ線sとを利用して、天板9a1の周囲四辺の各折込み片9c,9c、9d,9dを互いに接近する方向に折り曲げて、隣接する折込み片どうしをのりしろ9eを介して接着剤で接着することにより、前記便座カバー8と同様な形状に形成されている。前記蓋体9の内周部の口径は前記便座カバー8の外径より僅かに大きくされている。
【0021】
次に、前記構成の簡易トイレ1の使用方法について説明する。
前記簡易トイレ1は、不使用時は、図12に示すように、前記便座カバー8の用便用開口部8bをその打抜き片8fで塞いでおき、該便座カバー8を収納箱として、その内部に、例えば、下から順に便座板7、折れ線mで端面壁側を内側に凹むように折り畳んで扁平にした便座支持台2、境界部の折れ線sで二つ折りして扁平にした受板5と一体の台座6、便収納袋4をそれぞれ格納して、前記蓋体9を便座カバー8に被せて保管されている。
【0022】
そこで、トイレ設備のない野外へ出かける際や災害時等においては、前記便座カバー8と蓋体9とからなる収納箱に収納された簡易トイレ一式を携帯していき、トイレを必要とするときは、図13に示すように、前記蓋体9を外して便座カバー8の中から便座板7、便座支持台2、受板5および台座6、便収納袋4を取り出す。そして、前記便座支持台2をその折れ線mの部分を外側に引き出して矩形筒状にし、前記受板5が台座6の上になるように折り曲げかつ起立部6d,6eを上側に直立に折り曲げた状態の台座6を、便座支持台2の凹部2d1、係合溝2d2と台座6の切込み溝6aを利用して、前記便座支持台2の下端に組み付ける。
【0023】
さらに、前記便座支持台2の上端に、その係合突起2a,2bに便座板7の係合溝7c、7dを嵌合させることにより、二枚の便座板7を重ねて組み付ける。この後、前記便収容袋4を、その底部4cを下にして前記便座板7の用便用開口部7bから便座支持台2の内部Eに挿入し、底部4cが台座6の上側の受板5に沿って載置されるようにする。その際、便収容袋4の開口部4aの上端縁4bは前記便座板7の上面に被せるようにしてその外周縁まで引き延ばした状態とする。次に、便座カバー8を便座板7に被せて便収容袋4の上端縁4bを便座板7と便座カバー8とで挟むように設置する。これにより、便収容袋4の上端縁4bが便座支持台2の上端に便座板7を介して支持された状態となる。
【0024】
この状態では、便座支持台2の矩形筒状体の長辺方向に前記便座板7と便座カバー8およびそれらの用便用開口部7b、8b(3a)の長辺方向が合わせられて、前記受板5の斜面は前記長辺方向の一方側が他方側より低くなる。そこで、使用者は前記受板5の斜面の低い方を前側にして着座して使用する。このように着座して使用する方が、後述のように汚物が前側に流動し、使用中、用便用開口部3aから見えにくくなるので好ましい。使用者が使用して便収容袋4内に排泄された大小便等の汚物Gは、前記受板5の傾斜にしたがって便座支持台2の前側に流動して、受板5の下部と便座支持台2の前側の端面壁の内面とで囲まれたポケット部Pに集合されるので、使用者は、予め用意された脱臭、殺菌剤の混合された高分子吸水剤(吸水剤)Mの粉末を前記ポケット部Pに散布する。これにより、汚物Gはその中の水分が高分子吸水剤に吸収されて凝固する。前記便収容袋4は例えば5,6回程度使用した後に、便座カバー8を便座板7から外して便座支持台2の内部から取り出して、凝固した汚物Gを便収容袋4ごとビニール袋等の適宜の廃棄処理袋に入れて密封した後、適時に廃棄処分する。
【0025】
新たな便収容袋4または汚物Gを取り出した後の便収容袋4は、再び便座支持台2の内部に入れて便座3(便座板7、便座カバー8)に装着して次の使用のために備え、次の使用までは蓋体9を便座カバー8の上に被せて置く。前記再使用の便収容袋4は汚損して衛生状態が保てなくなるまでは、必要に応じて繰り返し使用することができ、従来の簡易トイレのように一回または数回に限られることはない。簡易トイレ1を使用する必要がなくなったときは、図12に示すように、簡易トイレ1はその各構成部分を分解し、折り畳んで便座カバー7と蓋体9とからなる収納箱にまとめて収納した後、保管場所に運んで格納する。なお、前記便収容袋4は、開口部を巾着形状にして縛って捨てる専用の袋を必要とせず、緊急時には、適宜の大きさの通常のゴミ袋(着色したものが好ましい)を、便座板7に被せて便座カバー8の上に使用者が座ることで便座支持台2上に簡単に固定して使用することができる。
【0026】
以上説明したように、前記実施の形態に係る簡易トイレ1は、内側に空間Eが設けられた便座支持台2と、用便用開口部3a(7b,8b)を有し前記便座支持台2の上端に着脱自在に取り付けられる便座3と、前記便座支持台2の内側の空間E内に配置され、上端の開口部4aを前記便座3の用便用開口部3a(7b,8b)に連通させて上端縁4bを、前記便座3を介して前記便座支持台2の上端に着脱自在に装着される便収容袋4とを備え、前記便座支持台2の空間Eの下部に、前記便収容袋4の底部4cを前側(一方側)が後側(他方側)より低くなるように傾斜させて支える受板5が設けられた構成とされている。
【0027】
したがって、前記実施の形態に係る簡易トイレ1によれば、前記便座支持台2の内側の下部に配置した受板5によって、便収納袋4の底部4cが前側を後側より低くなるように傾斜した状態で支持され、便収容袋4の前側に限定された容積部であるポケット部Pが形成されるので、前記便収納袋4内に排泄された排便等の汚物Gは低い側に流動して前記ポケット部Pに流入して集合される。そのため、該ポケット部Pに集合された汚物G上に高分子吸水剤Mを散布することにより、該汚物全体を高分子吸水剤(吸水剤)に効果的に接触させてしっかりと凝固させることができ、これにより、汚物を衛生的にかつ容易に廃棄処理することができる。しかも、便収容袋は凝固した汚物を廃棄した後は繰り返して使用することができると共に、通常のゴミ袋も使用できるので、経済的であり、簡易トイレ1は便座支持台2の内側に傾斜した受板5を配置するだけであるから、構造も簡単である。
【0028】
また、前記実施の形態に係る簡易トイレ1によれば、前記便座支持台2は上下が開放された矩形筒状体に形成され、該矩形筒状体の下端に、矩形筒状体を横切って短辺方向に向けられて矩形筒状体の外側に突き出した台座6が着脱自在に組み付けられ(装着され)、該台座6に前記受板5が支持された構成とされているので、便座支持台2を台座6によって設置面に安定良く支持させることができると共に、前記受板5を便座支持台2の下端部の内側にしっかりと配置させることができる。
【0029】
しかも、前記台座6は、矩形状平板を一対の折れ線sで折り曲げてその両端部に一端側(前側)が他端側(後側)より高さの低い一対の起立部6d,6eが形成され、該各起立部6d,6eの両側に前記便座支持台2の下端部に係合する係合溝6aが設けられると共に、前記矩形状平板の他端部に一体に連結された台座6より小さい矩形状平板からなる前記受板5が、台座6との連結部の折れ線sで台座6の一端側に折り曲げられて、該一端部の起立部6dに設けた係合凹部6bに受板5の自由端側に設けた突出部5aを着脱可能に形成された構成とされているので、前記台座6はその両端部の起立部6d,6eと受板5とによって剛性が高められて、便座支持台2の下端縁をしっかりと固定して該便座支持台2を一層安定良く設置面に支持させることができると共に、受板5を便座支持台2の内側に容易に配置することができる。
【0030】
さらに、前記実施の形態に係る簡易トイレ1によれば、前記便座3が矩形状の便座板7とその上に被せる矩形箱状の便座カバー8を備えており、該便座カバー8に被せる矩形箱状の蓋体9が設けられると共に、前記便座支持台2と台座6と受板5が扁平に折り畳み可能に形成され、前記便座カバー8の内部に前記便座板7、便座支持台2、台座6、受板5、便収納袋4が重ねられて収納され、これらの収納物を入れた便座カバー8が前記蓋体9を被せて閉じられた状態で携帯可能とされているので、簡易トイレ1の一式が専用の格納箱等を使用することなく簡単にまとめて携帯して移動させることができ、所要時に速やかに取り出して使用することができると共に、簡易トイレ1用の専用の収納箱を片づけて保管、管理する必要もない。
【0031】
なお、前記実施の形態に係る簡易トイレ1においては、簡易トイレ1の各構成部分を段ボール材で形成したので、軽量で扱い易く安価に製造できて好ましいが、簡易トイレ1の構成材料はこれに限らず、他の板紙や各種複合材の板材を使用することができる。
また、前記便座支持台2を筒状体に形成してその横断面形状を矩形としたが、横断面形状は矩形に限らず、三角形、五角形以上の多角形、円形状、楕円状に形成してもよく、さらに、前記便座支持台2は、筒状でなく、パンタグラフ状の折り畳み可能とした支持脚等、内側に便収納袋4を配置できる空間を有し上端に便座3を支持し得るものであれば特に形状、構造は問わない。
また、前記便座板7と便座カバー8の各用便用開口部7b,8bの形状を前後方向に長い矩形に形成したが、該用便用開口部7b、8bの形状は、これに限らず、5角形以上の多角形、円形、楕円形等の他の形状とすることもできる。
【0032】
また、受板5を台座6に一体に設けたが、台座6と別個に設けてもよい。例えば、前記台座6の高さの高い方の起立部6eに低い方の起立部6dの凹部6bと同様の凹部を形成し、それらの凹部どうしに両側に突出部5aを形成した受板5を掛け渡すようにしてもよい。また、台座6を省略することもでき、その場合には、前記受板5に係合突起を設け、便座支持台2の側面壁等に係合溝を設け、それらの係合突起と係合溝を嵌合うさせることにより、受板5を便座支持台2の下端部の内側に傾斜して配置するようにしてもよい。また、段ボール材を折り曲げて傾斜した上面を有する受台を構成し、これを便座支持台2の内側の設置面に置くようにしてもよい。前記受板5は、中実の平板状に形成したが、これに限らず、適宜大きさの多数の穴を貫通して設けた穴あき板や網状板として形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施の形態に係る簡易トイレを示す斜視図である。
【図2】同じく平面図である。
【図3】同じく側面図である。
【図4】図3のイ矢視図である。
【図5】図2のロ−ロ断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る簡易トイレの便座を取り外した状態の平面図である。
【図7】便座支持台の展開図である。
【図8】便座板の展開図である。
【図9】便座カバーの展開図である。
【図10】台座と受板の展開図図である。
【図11】蓋体の展開図である。
【図12】簡易トイレの構成部材の収納状態を示す断面図である。
【図13】簡易トイレの使用方法の説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 簡易トイレ
2 便座支持台
3 便座
4 便収容袋
4a 開口部
4b 上端縁(周縁部)
4c 底部
5 受板
5a 突出部
6 台座
6a 係合溝
6b 係合凹部
6d,6e 起立部
7 便座板
7b,8b 用便用開口部
8 便座カバー
9 蓋体
s 折れ線
【技術分野】
【0001】
本発明は、野外やトイレ設備のない場所で緊急にトイレを必要とするときに、簡単に組み立てて使用することができる携帯可能な簡易トイレに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の簡易トイレとして、各種飲料が充填された容器を複数個収容可能な汎用の空段ボール箱で上端に開口部を有する箱形の便座支持台を構成する一方、段ボール材からなる矩形状の板状部材で開閉自在の用便用開口部を有する便座を構成し、合成樹脂製のシートからなる上端に開口を有する便収容袋を、前記便座支持台の上端に載置した前記便座の用便用開口部を通して便座支持台の内部に入れて、上端開口の周縁部を便座の上面に被せるように装着して使用するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、前記空段ボール箱の代わりに、板紙を折り曲げて上部が開口した有底の矩形状箱からなる便座支持台を構成し、合成樹脂製の厚紙で上端が開閉可能な有底のミルクカートン状袋からなる便槽箱を、前記便座支持台の内部に入れて上端を便座支持台に係止させると共に、厚紙を折り曲げて箱状に形成された中央に用便用開口部を有する便座を前記便座支持台の上端に載置して使用するものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、紙おむつ用材料で上端が開口した矩形箱状の便収容袋を、折り畳み可能な脚部からなる便座支持台の中央空間部に挿入して、上端部を前記便座支持台の上端に係止すると共に、便座支持台の上端に用便用開口部を有する便座を載置して使用するものが知られている(例えば、特許文献3参照)
【特許文献1】特開2005−46339号公報
【特許文献2】特開平11−56679号公報
【特許文献3】実用新案登録第3016895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の簡易トイレにおいては、柔軟性シートからなる便収容袋がその下部を前記便座支持台の箱の底部に水平状に支えられているか、または便収容袋が箱状に形成されて水平状の底部を有しているので、便収容袋内に排泄された汚物が流動性を有していると、便収容袋の底部の四隅部にまで汚物が広く分散することがある。この場合には、汚物を凝固させるために、消臭、殺菌作用を有する薬剤を混合した高分子吸水剤粉末を汚物上に散布しても、便収容袋の四隅部まで広く均一に散布することが難しく、汚物全体をしっかりと凝固させることができず、廃棄処理を衛生的にかつ簡単に行うことができないという問題がある。また、凝固剤を備えた吸水シートを便収納袋の底部に設ける場合もあるが、この場合も上記問題を十分に解決することができない不満がある。さらに、紙おむつ式の便収容袋で全面に水分吸収部材を固定したものでは、1回の用便等にしか使用することができず非経済的である。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、排便等の汚物全体を吸水剤に接触させてしっかりと凝固させることにより、衛生的にかつ容易に廃棄処理を行うことができると共に、繰り返して使用することができる構造が簡単な簡易トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するために、以下の構成としたことを特徴とする。
すなわち、請求項1に係る簡易トイレは、内側に空間が設けられた便座支持台と、用便用開口部を有し前記便座支持台の上端に着脱自在に取り付けられる便座と、前記便座支持台の内側の空間内に配置され、上端の開口部を前記便座の用便用開口部に連通させて上端縁を前記便座支持台の上端に着脱自在に装着される便収容袋とを備えた簡易トイレにおいて、前記便座支持台の空間の下部には、前記便収容袋の底部を一方側が他方側より低くなるように傾斜させて支える受板が設けられていることを特徴としている。
【0006】
請求項2に係る簡易トイレは、請求項1に記載の簡易トイレにおいて、前記便座支持台は上下が開放された筒状体に形成され、該筒状体の下端に、筒状体を横切る方向に向けられ筒状体の外側に突き出す台座が着脱自在に装着され、該台座に前記受板が支持されていることを特徴としている。
【0007】
請求項3に係る簡易トイレは、請求項2に記載の簡易トイレにおいて、前記台座は、矩形状平板を一対の折れ線で折り曲げてその両端部に一端側が他端側より高さの低い一対の起立部が形成され、該各起立部の両側に前記便座支持台の下端部に係合する係合溝が設けられると共に、前記矩形状平板の他端部に一体に連結された台座より小さい矩形状平板からなる前記受板が、台座との連結部の折れ線で台座の一端側に折り曲げられて、該一端部の起立部に設けた係合凹部に受板の自由端側に設けた突出部を着脱可能に形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項4に係る簡易トイレは、請求項2または3に記載の簡易トイレにおいて、前記便座は矩形状の便座板とその上に被せる矩形箱状の便座カバーを備えており、該便座カバーに被せる蓋体が設けられると共に、前記便座支持台と台座と受板が扁平に折り畳み可能に形成され、前記便座カバーの内部に前記便座板、便座支持台、台座、受板、便収納袋が重ねられて収納され、収納物を入れた便座カバーが前記蓋体を被せて閉じられた状態で携帯可能とされていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以下の優れた効果を奏する。
すなわち、請求項1に係る簡易トイレによれば、便座支持台の内側の下部に傾斜して配置した受板によって、便収納袋の底部が一方側を他方側より低くなるように傾斜した状態で支持されるので、便収納袋内に排泄された排便等の汚物は低い側に流動して限定された狭い箇所に集合される。したがって、該狭い箇所に集中された汚物上に吸水剤を散布することにより、該汚物全体を吸水剤に効果的に接触させてしっかりと凝固させることができ、これにより、汚物を衛生的にかつ容易に廃棄処理することができる。しかも、便収容袋は凝固した汚物を廃棄した後は繰り返して使用することができると共に、通常のゴミ袋も使用できるので、経済的であり、簡易トイレは便座支持台の内側に傾斜した受板を配置するだけであるから、構造も簡単である。
【0010】
請求項2に係る簡易トイレによれば、便座支持台を台座によって設置面に安定良く支持させることができると共に、前記受板を便座支持台の下端部の内側にしっかりと配置することができる。
【0011】
請求項3に係る簡易トイレによれば、台座はその両端部の起立部と受板とによって剛性が高められて、便座支持台の下端縁をしっかりと固定して該便座支持台を一層安定良く設置面に支持させることができると共に、受板を便座支持台の内側に容易に配置することができる。
【0012】
請求項4に係る簡易トイレによれば、簡易トイレの一式が専用の格納箱等を使用することなく簡単にまとめて携帯して移動させることができ、所要時に速やかに取り出して使用することができると共に、簡易トイレ用の専用の収納箱を片づけて保管、管理する必要もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態に係る簡易トイレについて添付図面を参照して説明する。
図1〜図6は本発明の一実施の形態に係る簡易トイレ1を示す。
この簡易トイレ1は、内側に空間Eが設けられた便座支持台2と、用便用開口部3aを有し前記便座支持台2の上端に着脱自在に取り付けられる便座3と、前記便座支持台2の内側の空間E内に配置され、上端の開口部4aを前記便座3の用便用開口部3aに連通させて上端縁(周縁部)4bを前記便座支持台2の上端に着脱自在に装着される便収容袋4(図5参照)と、該便収容袋の底部4cを支える受板5を一体に有して前記便座支持台2の下端に着脱自在に取り付けられる台座6とを備えている。
【0014】
前記便座支持台2は、図7に示すように、一端(図7で上端)に係合突起2a,2bを、他端(図7で下端)に切込み部2d,2dをそれぞれ設けた矩形平板状の段ボール材2eを、折れ線sで矢印方向に折り曲げてのりしろ2fを介して両側部(図7で左右部)を接着剤で接着することにより、上下端部が開口して矩形筒状体(筒状体)に形成されている。前記係合突起2aと係合突起2bはそれぞれ矩形筒状体の側面壁と端面壁となる部分に配置されるように段ボール材2eの長手方向(図7で左右方向に)交互に設けられ、その突出高さは段ボール材2eの厚さの2倍とされている。また、前記切込み部2dは、矩形筒状体の側面壁となる部分に前記矩形筒状体の下辺に平行な凹部2d1と、その両側で下辺に直角な係合溝2d2とを有している。前記凹部2d1の深さは段ボール材2eの厚さよりやや大きくされ、前記係合溝2d2の幅は段ボール材2eの厚さと略同じにされている。
【0015】
前記便座3は、便座板7と便座カバー8とからなっている。前記便座板7は、図8に示すように、前記便座支持台2の矩形筒状体の横断面より大きな矩形状平板の段ボール材7aで形成され、中央部に前後方向(図2、図5で左右方向、図8で上下方向)に長い矩形状の用便用開口部7bが貫通して設けられ、その周辺部には、前記便座支持台2の係合突起2a,2bがそれぞれ嵌入する係合溝7c,7dが設けられている。そして、前記便座板7は、2枚が重ねられて前記便座支持台2の上端に、前記係合突起2a,2bと係合溝7c,7dを介して着脱自在に取り付けられるようになっている。前記便座板7は、2枚に限らず、その厚さに応じて1枚もしくは3枚以上とすることができる。
【0016】
また、前記便座カバー8は、図9に示すように、中央部に前記便座板7の用便用開口部7bと同じ大きさの用便用開口部8aを設けた矩形状平板の段ボール材8aを、その四隅に設けた切込み溝8bと四辺に沿って配した折れ線sとを利用して、天板8a1の周囲四辺の各折込み片8c,8c、8d,8dを互いに接近する方向に折り曲げて、隣接する折込み片を相互にのりしろ8eを介して接着剤で接着することにより、深さの浅い矩形の容器蓋状に形成されている。前記便座カバー8の内周部の口径は前記便座板7の外径より僅かに大きくされている。
【0017】
また、前記台座6は、図10に示すように、四隅に係合溝6aを、一端側(図10で左側)に係合凹部6bを設けた矩形状平板の段ボール材6cを、平行な折込み線s、sで一対の起立部6d,6eを中央の接地部6fに対して直角に折り曲げて形成されている。そして、前記台座6の他端側には、一端側と反対側へ向けて突き出した突出部5aを有する矩形状平板からなる前記受板5が一体に設けられており、該受板5を、台座6の他端側の辺に相当する部分に配した折れ線sで台座6の接地部6fの上側に位置するように折り曲げて、前記突出部5aを前記一端側の起立部6dの係合凹部6dに着脱可能に挿入されて、その段部5bが起立部6dの内側に当接された状態とされる。この状態では、一端側の起立部6dの係合凹部6bまでの高さが、他端側の起立部6eの高さより低くなっているので、前記受板5は一端側(図1、図2、図5で左側、簡易トイレ1の前側)が他端側(図1、図2、図5で右側、簡易トイレ1の後側)より低くなるように傾斜される。
【0018】
前記のように形成された台座6は、前記便座支持台2の下端に配置され、前記起立部6d,6eの係合溝6aを、前記便座支持台2の矩形筒状体の側面壁の係合溝2d2の位置において該側面壁に嵌合させて、便座支持台2の下端に着脱自在に取り付けられるようになっている。その際、前記台座6は、その接地部6fが便座支持台2の凹部2d1に挿入されて、便座支持台2の矩形筒状体の下端面と前記接地部6fの下面とが面一となり、前記起立部6d,6eが前記矩形筒状体の側面壁に直交し、両端部を該側面壁より外側に突き出した状態となって、便座支持台2を起立状態に安定良く支持するようになっている。
【0019】
また、前記便収容袋4は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニール等の合成樹脂材料からなる薄肉のシートによって、底部4cを閉鎖して上端部を開口させた袋状に形成したものであり、前記便座板7を取り付けた便座支持台2の内部に挿入されて、底部4aが前記受板5の上面に載せられ、上端が前記便座板7の用便用開口部7bからその外側に出されて、開口部4aの上端縁4bが前記用便用開口部7bの周縁の便座板7に沿わされ、便座板7の上方からそれに被せられる便座カバー8によって押さえられるようになっている。
【0020】
また、前記簡易トイレに1には、前記便座カバー8に被せる扁平な矩形箱状の蓋体9が設けられている。該蓋体9は、図11に示すように、矩形状平板の段ボール材9aを、その四隅に設けた切込み溝9bと四辺に沿って配した折れ線sとを利用して、天板9a1の周囲四辺の各折込み片9c,9c、9d,9dを互いに接近する方向に折り曲げて、隣接する折込み片どうしをのりしろ9eを介して接着剤で接着することにより、前記便座カバー8と同様な形状に形成されている。前記蓋体9の内周部の口径は前記便座カバー8の外径より僅かに大きくされている。
【0021】
次に、前記構成の簡易トイレ1の使用方法について説明する。
前記簡易トイレ1は、不使用時は、図12に示すように、前記便座カバー8の用便用開口部8bをその打抜き片8fで塞いでおき、該便座カバー8を収納箱として、その内部に、例えば、下から順に便座板7、折れ線mで端面壁側を内側に凹むように折り畳んで扁平にした便座支持台2、境界部の折れ線sで二つ折りして扁平にした受板5と一体の台座6、便収納袋4をそれぞれ格納して、前記蓋体9を便座カバー8に被せて保管されている。
【0022】
そこで、トイレ設備のない野外へ出かける際や災害時等においては、前記便座カバー8と蓋体9とからなる収納箱に収納された簡易トイレ一式を携帯していき、トイレを必要とするときは、図13に示すように、前記蓋体9を外して便座カバー8の中から便座板7、便座支持台2、受板5および台座6、便収納袋4を取り出す。そして、前記便座支持台2をその折れ線mの部分を外側に引き出して矩形筒状にし、前記受板5が台座6の上になるように折り曲げかつ起立部6d,6eを上側に直立に折り曲げた状態の台座6を、便座支持台2の凹部2d1、係合溝2d2と台座6の切込み溝6aを利用して、前記便座支持台2の下端に組み付ける。
【0023】
さらに、前記便座支持台2の上端に、その係合突起2a,2bに便座板7の係合溝7c、7dを嵌合させることにより、二枚の便座板7を重ねて組み付ける。この後、前記便収容袋4を、その底部4cを下にして前記便座板7の用便用開口部7bから便座支持台2の内部Eに挿入し、底部4cが台座6の上側の受板5に沿って載置されるようにする。その際、便収容袋4の開口部4aの上端縁4bは前記便座板7の上面に被せるようにしてその外周縁まで引き延ばした状態とする。次に、便座カバー8を便座板7に被せて便収容袋4の上端縁4bを便座板7と便座カバー8とで挟むように設置する。これにより、便収容袋4の上端縁4bが便座支持台2の上端に便座板7を介して支持された状態となる。
【0024】
この状態では、便座支持台2の矩形筒状体の長辺方向に前記便座板7と便座カバー8およびそれらの用便用開口部7b、8b(3a)の長辺方向が合わせられて、前記受板5の斜面は前記長辺方向の一方側が他方側より低くなる。そこで、使用者は前記受板5の斜面の低い方を前側にして着座して使用する。このように着座して使用する方が、後述のように汚物が前側に流動し、使用中、用便用開口部3aから見えにくくなるので好ましい。使用者が使用して便収容袋4内に排泄された大小便等の汚物Gは、前記受板5の傾斜にしたがって便座支持台2の前側に流動して、受板5の下部と便座支持台2の前側の端面壁の内面とで囲まれたポケット部Pに集合されるので、使用者は、予め用意された脱臭、殺菌剤の混合された高分子吸水剤(吸水剤)Mの粉末を前記ポケット部Pに散布する。これにより、汚物Gはその中の水分が高分子吸水剤に吸収されて凝固する。前記便収容袋4は例えば5,6回程度使用した後に、便座カバー8を便座板7から外して便座支持台2の内部から取り出して、凝固した汚物Gを便収容袋4ごとビニール袋等の適宜の廃棄処理袋に入れて密封した後、適時に廃棄処分する。
【0025】
新たな便収容袋4または汚物Gを取り出した後の便収容袋4は、再び便座支持台2の内部に入れて便座3(便座板7、便座カバー8)に装着して次の使用のために備え、次の使用までは蓋体9を便座カバー8の上に被せて置く。前記再使用の便収容袋4は汚損して衛生状態が保てなくなるまでは、必要に応じて繰り返し使用することができ、従来の簡易トイレのように一回または数回に限られることはない。簡易トイレ1を使用する必要がなくなったときは、図12に示すように、簡易トイレ1はその各構成部分を分解し、折り畳んで便座カバー7と蓋体9とからなる収納箱にまとめて収納した後、保管場所に運んで格納する。なお、前記便収容袋4は、開口部を巾着形状にして縛って捨てる専用の袋を必要とせず、緊急時には、適宜の大きさの通常のゴミ袋(着色したものが好ましい)を、便座板7に被せて便座カバー8の上に使用者が座ることで便座支持台2上に簡単に固定して使用することができる。
【0026】
以上説明したように、前記実施の形態に係る簡易トイレ1は、内側に空間Eが設けられた便座支持台2と、用便用開口部3a(7b,8b)を有し前記便座支持台2の上端に着脱自在に取り付けられる便座3と、前記便座支持台2の内側の空間E内に配置され、上端の開口部4aを前記便座3の用便用開口部3a(7b,8b)に連通させて上端縁4bを、前記便座3を介して前記便座支持台2の上端に着脱自在に装着される便収容袋4とを備え、前記便座支持台2の空間Eの下部に、前記便収容袋4の底部4cを前側(一方側)が後側(他方側)より低くなるように傾斜させて支える受板5が設けられた構成とされている。
【0027】
したがって、前記実施の形態に係る簡易トイレ1によれば、前記便座支持台2の内側の下部に配置した受板5によって、便収納袋4の底部4cが前側を後側より低くなるように傾斜した状態で支持され、便収容袋4の前側に限定された容積部であるポケット部Pが形成されるので、前記便収納袋4内に排泄された排便等の汚物Gは低い側に流動して前記ポケット部Pに流入して集合される。そのため、該ポケット部Pに集合された汚物G上に高分子吸水剤Mを散布することにより、該汚物全体を高分子吸水剤(吸水剤)に効果的に接触させてしっかりと凝固させることができ、これにより、汚物を衛生的にかつ容易に廃棄処理することができる。しかも、便収容袋は凝固した汚物を廃棄した後は繰り返して使用することができると共に、通常のゴミ袋も使用できるので、経済的であり、簡易トイレ1は便座支持台2の内側に傾斜した受板5を配置するだけであるから、構造も簡単である。
【0028】
また、前記実施の形態に係る簡易トイレ1によれば、前記便座支持台2は上下が開放された矩形筒状体に形成され、該矩形筒状体の下端に、矩形筒状体を横切って短辺方向に向けられて矩形筒状体の外側に突き出した台座6が着脱自在に組み付けられ(装着され)、該台座6に前記受板5が支持された構成とされているので、便座支持台2を台座6によって設置面に安定良く支持させることができると共に、前記受板5を便座支持台2の下端部の内側にしっかりと配置させることができる。
【0029】
しかも、前記台座6は、矩形状平板を一対の折れ線sで折り曲げてその両端部に一端側(前側)が他端側(後側)より高さの低い一対の起立部6d,6eが形成され、該各起立部6d,6eの両側に前記便座支持台2の下端部に係合する係合溝6aが設けられると共に、前記矩形状平板の他端部に一体に連結された台座6より小さい矩形状平板からなる前記受板5が、台座6との連結部の折れ線sで台座6の一端側に折り曲げられて、該一端部の起立部6dに設けた係合凹部6bに受板5の自由端側に設けた突出部5aを着脱可能に形成された構成とされているので、前記台座6はその両端部の起立部6d,6eと受板5とによって剛性が高められて、便座支持台2の下端縁をしっかりと固定して該便座支持台2を一層安定良く設置面に支持させることができると共に、受板5を便座支持台2の内側に容易に配置することができる。
【0030】
さらに、前記実施の形態に係る簡易トイレ1によれば、前記便座3が矩形状の便座板7とその上に被せる矩形箱状の便座カバー8を備えており、該便座カバー8に被せる矩形箱状の蓋体9が設けられると共に、前記便座支持台2と台座6と受板5が扁平に折り畳み可能に形成され、前記便座カバー8の内部に前記便座板7、便座支持台2、台座6、受板5、便収納袋4が重ねられて収納され、これらの収納物を入れた便座カバー8が前記蓋体9を被せて閉じられた状態で携帯可能とされているので、簡易トイレ1の一式が専用の格納箱等を使用することなく簡単にまとめて携帯して移動させることができ、所要時に速やかに取り出して使用することができると共に、簡易トイレ1用の専用の収納箱を片づけて保管、管理する必要もない。
【0031】
なお、前記実施の形態に係る簡易トイレ1においては、簡易トイレ1の各構成部分を段ボール材で形成したので、軽量で扱い易く安価に製造できて好ましいが、簡易トイレ1の構成材料はこれに限らず、他の板紙や各種複合材の板材を使用することができる。
また、前記便座支持台2を筒状体に形成してその横断面形状を矩形としたが、横断面形状は矩形に限らず、三角形、五角形以上の多角形、円形状、楕円状に形成してもよく、さらに、前記便座支持台2は、筒状でなく、パンタグラフ状の折り畳み可能とした支持脚等、内側に便収納袋4を配置できる空間を有し上端に便座3を支持し得るものであれば特に形状、構造は問わない。
また、前記便座板7と便座カバー8の各用便用開口部7b,8bの形状を前後方向に長い矩形に形成したが、該用便用開口部7b、8bの形状は、これに限らず、5角形以上の多角形、円形、楕円形等の他の形状とすることもできる。
【0032】
また、受板5を台座6に一体に設けたが、台座6と別個に設けてもよい。例えば、前記台座6の高さの高い方の起立部6eに低い方の起立部6dの凹部6bと同様の凹部を形成し、それらの凹部どうしに両側に突出部5aを形成した受板5を掛け渡すようにしてもよい。また、台座6を省略することもでき、その場合には、前記受板5に係合突起を設け、便座支持台2の側面壁等に係合溝を設け、それらの係合突起と係合溝を嵌合うさせることにより、受板5を便座支持台2の下端部の内側に傾斜して配置するようにしてもよい。また、段ボール材を折り曲げて傾斜した上面を有する受台を構成し、これを便座支持台2の内側の設置面に置くようにしてもよい。前記受板5は、中実の平板状に形成したが、これに限らず、適宜大きさの多数の穴を貫通して設けた穴あき板や網状板として形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施の形態に係る簡易トイレを示す斜視図である。
【図2】同じく平面図である。
【図3】同じく側面図である。
【図4】図3のイ矢視図である。
【図5】図2のロ−ロ断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る簡易トイレの便座を取り外した状態の平面図である。
【図7】便座支持台の展開図である。
【図8】便座板の展開図である。
【図9】便座カバーの展開図である。
【図10】台座と受板の展開図図である。
【図11】蓋体の展開図である。
【図12】簡易トイレの構成部材の収納状態を示す断面図である。
【図13】簡易トイレの使用方法の説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 簡易トイレ
2 便座支持台
3 便座
4 便収容袋
4a 開口部
4b 上端縁(周縁部)
4c 底部
5 受板
5a 突出部
6 台座
6a 係合溝
6b 係合凹部
6d,6e 起立部
7 便座板
7b,8b 用便用開口部
8 便座カバー
9 蓋体
s 折れ線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に空間が設けられた便座支持台と、用便用開口部を有し前記便座支持台の上端に着脱自在に取り付けられる便座と、前記便座支持台の内側の空間内に配置され、上端の開口部を前記便座の用便用開口部に連通させて上端縁を前記便座支持台の上端に着脱自在に装着される便収容袋とを備えた簡易トイレにおいて、
前記便座支持台の空間の下部には、前記便収容袋の底部を一方側が他方側より低くなるように傾斜させて支える受板が設けられていることを特徴とする簡易トイレ。
【請求項2】
前記便座支持台は上下が開放された筒状体に形成され、該筒状体の下端に、筒状体を横切る方向に向けられ筒状体の外側に突き出す台座が着脱自在に装着され、該台座に前記受板が支持されていることを特徴とする請求項1に記載の簡易トイレ。
【請求項3】
前記台座は、矩形状平板を一対の折れ線で折り曲げてその両端部に一端側が他端側より高さの低い一対の起立部が形成され、該各起立部の両側に前記便座支持台の下端部に係合する係合溝が設けられると共に、前記矩形状平板の他端部に一体に連結された台座より小さい矩形状平板からなる前記受板が、台座との連結部の折れ線で台座の一端側に折り曲げられて、該一端部の起立部に設けた係合凹部に受板の自由端側に設けた突出部を着脱可能に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の簡易トイレ。
【請求項4】
前記便座は矩形状の便座板とその上に被せる矩形箱状の便座カバーを備えており、該便座カバーに被せる蓋体が設けられると共に、前記便座支持台と台座と受板が扁平に折り畳み可能に形成され、前記便座カバーの内部に前記便座板、便座支持台、台座、受板、便収納袋が重ねられて収納され、収納物を入れた便座カバーが前記蓋体を被せて閉じられた状態で携帯可能とされていることを特徴とする請求項2または3に記載の簡易トイレ。
【請求項1】
内側に空間が設けられた便座支持台と、用便用開口部を有し前記便座支持台の上端に着脱自在に取り付けられる便座と、前記便座支持台の内側の空間内に配置され、上端の開口部を前記便座の用便用開口部に連通させて上端縁を前記便座支持台の上端に着脱自在に装着される便収容袋とを備えた簡易トイレにおいて、
前記便座支持台の空間の下部には、前記便収容袋の底部を一方側が他方側より低くなるように傾斜させて支える受板が設けられていることを特徴とする簡易トイレ。
【請求項2】
前記便座支持台は上下が開放された筒状体に形成され、該筒状体の下端に、筒状体を横切る方向に向けられ筒状体の外側に突き出す台座が着脱自在に装着され、該台座に前記受板が支持されていることを特徴とする請求項1に記載の簡易トイレ。
【請求項3】
前記台座は、矩形状平板を一対の折れ線で折り曲げてその両端部に一端側が他端側より高さの低い一対の起立部が形成され、該各起立部の両側に前記便座支持台の下端部に係合する係合溝が設けられると共に、前記矩形状平板の他端部に一体に連結された台座より小さい矩形状平板からなる前記受板が、台座との連結部の折れ線で台座の一端側に折り曲げられて、該一端部の起立部に設けた係合凹部に受板の自由端側に設けた突出部を着脱可能に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の簡易トイレ。
【請求項4】
前記便座は矩形状の便座板とその上に被せる矩形箱状の便座カバーを備えており、該便座カバーに被せる蓋体が設けられると共に、前記便座支持台と台座と受板が扁平に折り畳み可能に形成され、前記便座カバーの内部に前記便座板、便座支持台、台座、受板、便収納袋が重ねられて収納され、収納物を入れた便座カバーが前記蓋体を被せて閉じられた状態で携帯可能とされていることを特徴とする請求項2または3に記載の簡易トイレ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−209692(P2007−209692A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35496(P2006−35496)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(591025772)株式会社 イトウ (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(591025772)株式会社 イトウ (6)
【Fターム(参考)】
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