説明

籾摺機

【課題】リードローラと共働して下方へ落下させる原料籾量を調整し得るように傾斜角度が変更可能とされた上流側供給板と、前記上流側供給板から直接又は間接的に落下する原料籾を第1及び第2ロールの圧着点へ向けて自然落下させる下流側供給板とを備えた籾摺機において、前記上流側供給板の傾斜角度を変更しても前記第1及び第2ロールによる籾摺り効率を良好に維持し得る籾摺機を提供する。
【解決手段】制御装置70は、間隙幅センサ76を介して上流側供給板36及びリードローラ35間の間隙幅を直接又は間接的に検出し、検出された間隙幅が所定の基準間隙幅より大きくなった場合、調整モータ8の出力を所定の基準回転速度から増速制御する。また、検出された間隙幅が前記基準間隙幅より小さくなった場合、調整モータ8の出力を前記基準回転速度から減速制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードローラと共働して下方へ落下させる原料籾量を調整し得るように傾斜角度が変更可能とされた上流側供給板と、前記上流側供給板から直接又は間接的に落下する原料籾を第1及び第2ロールの圧着点へ向けて自然落下させる下流側供給板とを備えた籾摺機に関する。
【背景技術】
【0002】
主電動モータからの回転動力によって軸線回り回転駆動される固定軸と、前記固定軸と略平行な状態で前記主電動モータからの回転動力によって軸線回りに回転駆動される可動軸と、前記固定軸に固定される第1ロールと、前記可動軸に固定される第2ロールと、前記第2ロールが前記第1ロールに所定圧力で押圧されるように前記可動軸を押動する押動機構と、前記第1及び第2ロールより上方に配置された供給タンクと、前記供給タンクの下端開口から落下する原料籾を受け止めて下方へ自然落下させる上流側供給板と、前記上流側供給板から直接又は間接的に落下する原料籾を前記第1及び第2ロールの圧着点へ向けて自然落下させる下流側供給板と、前記上流側供給板と共働して前記上流側供給板から前記下流側供給板へ送られる原料籾量を調整するリードローラとを備えた籾摺機において、前記上流側供給板及び前記リードローラの間の間隙幅を調整し得るように前記上流側供給板の傾斜角度を変更可能とすることが提案されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
前記上流側供給板の傾斜角を変更可能とすることにより、前記第1及び第2ロールの圧着点に供給される原料籾量を該第1及び第2ロールによる籾摺り処理可能量の範囲内に調整することが可能となる。
【0004】
しかしながら、従来の籾摺機においては、前記リードローラは前記主電動モータからの回転動力によって一定速度で回転駆動されているため、以下の不都合が生じていた。
即ち、前記上流側供給板及び前記リードローラの間の前記間隙幅を小さくすると、前記間隙を通過する原料籾が前記リードローラによって飛散され易くなり、前記第1及び第2ロールの圧着点へ供給される際の原料籾の姿勢を安定化させることが困難になり、前記第1及び第2ロールによる籾摺り効率が悪化する。
一方、前記上流側供給板及び前記リードローラの間の前記間隙幅を大きくすると、前記間隙を通過する原料籾量に対して前記リードローラによる送り作用が不十分となり、その結果、原料籾の層厚が厚くなって前記第1及び第2ロールによる籾摺り効率が悪化する。
【特許文献1】特開平9−122510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、リードローラと共働して下方へ落下させる原料籾量を調整し得るように傾斜角度が変更可能とされた上流側供給板と、前記上流側供給板から直接又は間接的に落下する原料籾を第1及び第2ロールの圧着点へ向けて自然落下させる下流側供給板とを備えた籾摺機において、前記上流側供給板の傾斜角度を変更しても前記第1及び第2ロールによる籾摺り効率を良好に維持し得る籾摺機の提供を、一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る籾摺機は、主電動モータからの回転動力によって軸線回り回転駆動される固定軸と、前記固定軸と略平行な状態で前記主電動モータからの回転動力によって軸線回りに回転駆動される可動軸と、前記固定軸に固定される第1ロールと、前記可動軸に固定される第2ロールと、前記第2ロールが前記第1ロールに所定圧力で押圧されるように前記可動軸を押動する押動機構と、前記第1及び第2ロールより上方に配置された供給タンクと、前記供給タンクの下端開口から落下する原料籾を受け止めて下方へ自然落下させる上流側供給板と、前記上流側供給板から直接又は間接的に落下する原料籾を前記第1及び第2ロールの圧着部へ向けて自然落下させる下流側供給板と、前記上流側供給板と共働して前記上流側供給板から前記下流側供給板へ送られる原料籾量を調整するリードローラと、作業スイッチへの人為操作に基づき前記主電動モータの制御を行う制御装置とを備え、前記上流側供給板及び前記リードローラの間の間隙幅を調整し得るように前記上流側供給板の傾斜角度が変更可能とされた籾摺機であって、前記上流側供給板及び前記リードローラ間の間隙幅を直接又は間接的に検出する間隙幅センサと、前記リードローラを駆動するリードローラ駆動モータとを備え、前記制御装置は、前記上流側供給板及び前記リードローラ間の間隙幅が基準間隙幅より大及び小になると、それぞれ、前記リードローラ駆動モータの出力を基準回転速度から増速及び減速させることを特徴とするものである。
【0007】
上記構成の籾摺機によれば、作業スイッチをON操作する(OFF状態からON状態に切り替える)ことにより、主電動モータの回転動力によって第1ロール及び第2ロールが固定軸及び可動軸回りにそれぞれ回転駆動するとともに、前記第1ロールと第2ロールとが、第2ロールが押動機構により第1ロールに所定圧力で押圧され、この状態で供給タンクの下端開口から落下する原料籾を上流側供給板及び下流側供給板を介して第1及び第2ロールの圧着部に供給することにより、第1及び第2ロールによる籾摺り作業が行われる。このとき、上流側供給板の傾斜角度を変更することにより、当該上流側供給板とリードローラ駆動モータにより回転駆動されるリードローラとの間の間隙幅が調整されるため、上流側供給板を通過し、第1及び第2ロール間に供給する原料籾量を調整することができる。
ここで、制御装置は、間隙幅センサを介して上流側供給板及びリードローラ間の間隙幅を直接又は間接的に検出し、検出された間隙幅が所定の基準間隙幅より大きくなった場合、リードローラ駆動モータの出力を所定の基準回転速度から増速制御する。また、検出された間隙幅が前記基準間隙幅より小さくなった場合、リードローラ駆動モータの出力を前記基準回転速度から減速制御する。
【0008】
このように、上流側供給板及びリードローラの間の間隙幅が小さくなり、原料籾の通過量が減少した場合には、リードローラの回転速度を減速させることにより前記間隙幅を通過する原料籾が前記リードローラによって飛散され難くすることができ、前記第1及び第2ローラの圧着部へ供給される際の原料籾の供給姿勢及び供給量を安定化させることができる。一方、上流側供給板及びリードローラの間の間隙幅が大きくなり、原料籾の通過量が増大した場合には、リードローラの回転速度を増速させることにより前記間隙幅を通過する原料籾量に対してリードローラによる送り作用を促進させることができ、前記第1及び第2ロールの圧着部へ供給される際の原料籾の層厚を薄くすることができる。従って、原料籾の供給量の変化に拘わらず、前記第1及び第2ロールによる籾摺り効率を良好に保持することができる。
【0009】
好ましくは、前記下流側供給板は、前記第1及び第2ロールより上方に配置された下流側枢支軸に相対回転不能に支持されており、前記上流側供給板は、傾斜方向が前記下流側供給板の傾斜方向とは反対となるように、前記下流側枢支軸より上方において前記下流側枢支軸と平行に配置された上流側枢支軸に相対回転不能に支持されており、前記間隙幅センサは、前記上流側枢支軸の回転量を検出する回転量センサ又は前記上流側供給板の傾斜角を検出する位置センサとされている。
【0010】
この場合、下流側枢支軸は、下流側供給板を相対回転不能に支持するとともに、上流側枢支軸は、上流側供給板の傾斜方向が下流側供給板の傾斜方向とは反対となるように上流側供給板を相対回転不能に支持する。間隙幅センサは、回転量センサとして前記上流側枢支軸の回転量を検出又は位置センサとして前記上流側供給板の傾斜角を検出することにより、上流側供給板及びリードローラ間の間隙幅を間接的に検出する。
これにより、間隙幅センサの構造簡略化を図ることができる。
【0011】
より好ましくは、前記上流側枢支軸と直交する方向に延び且つ軸線回りに回転駆動される出力軸を有する上流側供給板電動モータと、前記出力軸の外周面に設けられたねじが螺入されるねじ付孔を有する駆動側部材であって、前記上流側枢支軸と平行に延びる駆動側部材と、基端側が前記上流側枢支軸に相対回転不能に支持され且つ自由端側に前記駆動側部材が係入される開口が設けられた従動側部材と、前記上流側供給板の傾斜角を人為操作可能な傾斜角操作部材とを備え、前記開口は、前記上流側供給板電動モータの駆動時に前記駆動側部材が前記出力軸の軸線回りに回転することを防止するような形状を有しており、前記制御装置は、前記傾斜角操作部材からの操作信号に応じて前記上流側供給板電動モータを作動制御するとともに、前記間隙幅センサからの信号に基づき予め記憶されている前記上流側供給板及び前記リードローラ間の間隙幅と前記リードローラ駆動モータの出力回転数との関係式を用いて前記リードローラ駆動モータの制御量を算出して該リードローラ駆動モータの作動制御を行う。
【0012】
この場合、傾斜角操作部材を人為操作することにより、制御装置は、前記傾斜角操作部材からの操作信号に応じた量だけ上流側供給板電動モータを作動させる。上流側供給板電動モータを駆動して前記上流側枢支軸と直交する方向に延びた出力軸を軸線回りに回転させると、前記出力軸の外周面に設けられたねじが前記上流側枢支軸と平行に延びる駆動側部材のねじ付孔に螺入されることにより、駆動側部材が前記出力軸の軸線回りに回転しようとする。ところが、前記駆動側部材は、基端部が前記上流側枢支軸に相対回転不能に支持された従動側部材の開口に係入されており、前記従動側部材の開口は、前記駆動側部材が出力軸の軸線回りに回転することを防止するような形状を有しているため、前記駆動側部材は、上流側供給板電動モータの駆動に応じて前記出力軸の軸線方向に沿って進退動作する。
このように、前記上流側供給板電動モータの駆動に応じて前記駆動側部材が前記出力軸の軸線方向に進退動作することにより、前記従動側部材は、前記上流側枢支軸を軸線回りに回動させる。このようにして、前記上流側供給板の傾斜角が変化する。
従って、前記上流側供給板電動モータの作動制御によって前記上流側供給板の傾斜角を正確に制御することができる。即ち、前記供給タンクから前記上流側供給板へ送られてくる原料籾量に応じて、前記上流側供給板及び前記リードローラの間の間隙幅を正確に調整することが可能となり、前記上流側供給板から前記供給板へ原料籾を層状態で供給することができる。
【0013】
このようにして、上流側供給板の傾斜角が変化したことが間隙幅センサにより検出されると、制御装置は、予め記憶されている前記上流側供給板及び前記リードローラ間の間隙幅と前記リードローラ駆動モータの出力回転数との関係式を用いて前記リードローラ駆動モータの制御量を算出する。制御装置は、当該算出された制御量に基づいてリードローラ駆動モータの作動制御を行う。
従って、上流側供給板及びリードローラ間の間隙幅の変化とリードローラ駆動モータの出力回転数の変化とを予め記憶された関係式を用いて対応付けることにより、高精度且つ高速な制御処理を行うことができる。
【0014】
より好ましくは、上流側供給板電動モータの出力軸の軸線回りの回転角度を検出するロータリエンコーダをさらに備え、前記制御装置は、前記ロータリエンコーダからの検出信号に基づき前記上流側供給板電動モータを制御する。
【0015】
この場合、ロータリエンコーダにより上流側供給板電動モータの出力軸の軸線回りの回転角度が検出される。そして、制御装置は、検出された上流側供給板電動モータの出力軸の回転量に基づいて上流側供給板電動モータを制御する。
これにより、上流側供給板電動モータの回転制御を高精度に行うことができるため、上流側供給板の傾斜角度の制御を高精度に行うことができる。
【0016】
また、好ましくは、前記制御装置は、前記傾斜角操作部材からの操作信号に基づき前記上流側供給板電動モータの制御を行う手動モードと、前記上流側供給板電動モータを自動制御する自動モードとを有し、前記自動モードは、前記籾摺機に後続する選別機におけるタンクの上限センサ及び下限センサからの信号に基づき、前記上流側供給板及び前記リードローラの間の間隙幅を所定量だけ増減させるように前記上流側供給板電動モータを制御する。
【0017】
この場合、傾斜角操作部材を人為操作することにより、前記制御装置は、手動モードを起動し、前記傾斜角操作部材からの操作信号に基づいて上流側供給板電動モータを制御する。
また、籾摺機に後続する選別機のタンクに設けられた上限センサ及び下限センサからの信号に基づいて、前記制御装置は、自動モードを起動し、上流側供給板及びリードローラの間の間隙を所定量だけ増減させるように前記上流側供給板電動モータを制御する。
このように、籾摺機に後続する工程への供給状況をフィードバックすることにより、籾摺機を含む籾摺りシステム全体における原料籾の流れをよくして籾摺り作業の効率化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る籾摺機によれば、上流側供給板及びリードローラの間の間隙幅が小さくなり、原料籾の通過量が減少した場合には、リードローラの回転速度を減速させることにより前記間隙幅を通過する原料籾が前記リードローラによって飛散され難くすることができ、前記第1及び第2ロールの圧着部へ供給される際の原料籾の供給姿勢及び供給量を安定化させることができる。一方、上流側供給板及びリードローラの間の間隙幅が大きくなり、原料籾の通過量が増大した場合には、リードローラの回転速度を増速させることにより前記間隙幅を通過する原料籾量に対してリードローラによる送り作用を促進させることができ、前記第1及び第2ロールの圧着部へ供給される際の原料籾の層厚を薄くすることができる。従って、原料籾の供給量の変化に拘わらず、前記第1及び第2ロールによる籾摺り効率を良好に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る籾摺機の好ましい実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2は、本発明の一実施形態における籾摺機の正面図であり、図3及び図4は、図1及び図2の籾摺機の背面図である。なお、図1及び図3は、第2ロール移動前(ロール磨耗前)を示し、図2及び図4は、第2ロール移動後(ロール磨耗後)を示している。また、図5は、本実施形態における籾摺機の制御系の構成ブロック図であり、図6は、本実施形態における籾摺機のロール駆動機構を示す図である。
【0020】
本実施形態の籾摺機1は、図1〜図4に示すように、上方及び下方が開口された機枠2と、前記上方開口2aに設けられた上部機枠3と、前記上部機枠3の上方に設けられ、原料籾を貯留する供給タンク4とを有している。
上部機枠3には、図1及び図2に示すように、前記上部機枠3の内部且つ前記供給タンク4の下端開口に設けられ、前記機枠2内の籾摺り部20に穀物を導入するための供給口31と、前記供給口31上方に設けられ、原料籾の有無を検出するレベルセンサ39と、前記供給口31に設けられ、当該供給口31を選択的に開放又は遮断させる供給シャッタ32と、前記上部機枠3の外部に設けられ、前記供給シャッタ32を開閉駆動させるアクチュエータ33と、前記上部機枠3の内部に支持され、前記供給口31から導入された穀物を整列させる案内板34と、前記上部機枠3の内部且つ前記案内板34の下方に前記案内板34の傾斜に沿った方向に回転可能に支持され、前記籾摺り部20に穀物を順次定量的に導入する羽根車状のリードローラ35と、前記案内板34に前記リードローラ35を挟んで漏斗状に対向配置された状態で上端が上流側枢支軸37回り回動可能に支持され、前記供給タンク4から落下する原料籾を受け止めて下方へ自然落下させる上流側供給板36であって、前記上流側枢支軸37回りに回動させることによりリードローラ35との間隙幅を調整可能な上流側供給板36とが設けられ、供給部30として機能する。前記リードローラ35は、前記上流側供給板36と共働して前記上流側供給板36から後述する下流側供給板27へ送られる原料籾量を調整可能に構成している。
【0021】
本実施形態においては、前記アクチュエータ33としてエアシリンダ74(図5参照)を用い、シリンダ内の圧力を変化させることにより、供給口31が開閉される。なお、アクチュエータ33としては、前記エアシリンダ74の他に電動モータを使用することとしてもよい。この場合、電動モータのモータ軸から延出されたシャフトをモータ軸回りに回転させて、供給シャッタ31を回動させることにより、供給口31が開閉される。
また、本実施形態におけるリードローラ35は、出力可変式のリードローラ駆動モータ75(図5参照)により回転駆動される。
【0022】
また、機枠2には、図1〜図5に示すように、駆動源である主電動モータ6からの回転動力によって軸線回りに第1回転速度で回転駆動される固定軸21と、前記固定軸21と略平行な状態で前記固定軸21に対して接離可能に位置変更可能とされた可動軸23であって、前記主電動モータ6からの回転動力によって軸線回りに前記第1回転速度とは異なる第2回転速度で回転駆動される可動軸23と、前記固定軸21に該固定軸21の軸線方向に螺入される取付ねじ55を介して固定される第1ロール22と、前記可動軸23に該可動軸の軸線方向に螺入される取付ねじ55を介して固定される第2ロール24と、前記第2ロール24が前記第1ロール22に所定圧力で押圧されるように前記可動軸23を押動する押動機構25と、前記固定軸21及び可動軸23より上方且つ前記上流側枢支軸36より下方において前記両軸と平行に配置された下流側枢支軸(枢支軸)26と、前記上流側供給板36から直接又は間接的に落下する原料籾を前記第1ロール22及び第2ロール24の圧着部A1へ向けて自然落下させるように前記下流側枢支軸26に相対回転不能に支持された下流側供給板(供給板)27とが設けられている。前記下流側供給板27は、傾斜方向が前記上流側供給板36の傾斜方向とは反対となるように、前記下流側枢支軸26に相対回転不能に支持されている。
また、前記籾摺機1は、図5に示すように、前記第1ロール22及び第2ロール24による籾摺り作業のON/OFF切替を行う作業スイッチ71と、前記作業スイッチ71からの操作信号に基づき前記主電動モータ6、前記エアシリンダ74及びリードローラ駆動モータ75を駆動させ且つ前記押動機構25を作動させる制御装置70とを備えている。
前記制御装置70は、演算部や記憶部(ともに図示せず)を有し、記憶部に記憶されたプログラムに基づいて前記籾摺機1を制御するように構成されており、例えば、前記籾摺機1内の電気回路に実装されたマイコンや前記籾摺機1と電気的に接続された外部のコンピュータ等により実現される。
【0023】
前記第1ロール22及び第2ロール24は、図6に示すように、機枠2外に設けられた主電動モータ6の駆動力が主電動モータ6との間で掛け回された駆動ベルトを介して伝達されることにより、互いに逆方向且つ互いに異なる回転速度で回転駆動される。
即ち、前記主電動モータ6の出力軸61、前記固定軸21及び前記可動軸23には、ベルトプーリ611,211,231が相対回転不能に固定されており、前記ベルトプーリ611とベルトプーリ211との間及びベルトプーリ211とベルトプーリ231との間のそれぞれに駆動ベルト621,623が掛け回されている。本実施形態においては、前記ベルトプーリ211において、前記駆動ベルト621が掛け回されるプーリの直径と前記駆動ベルト623が掛け回されるプーリの直径とを異ならせることにより、前記固定軸21と前記可動軸23との回転速度を異ならせるように構成されている。
【0024】
本実施形態において、前記籾摺機1は、前記駆動ベルト621にテンションを付加/解除するテンションローラ612を有しており、前記制御装置70は、前記作業スイッチ71の操作に応じて、前記テンションローラ612が前記駆動ベルト621にテンションを付加/解除することで前記主電動モータ6の駆動力を前記第1ロール22及び第2ロール24に伝達/遮断するように構成されている。
【0025】
本実施形態において、前記籾摺機1は、図3に示すように、前記固定軸21をベアリングを介して軸線回り回転可能に支持する固定軸支持部材51を有し、前記固定軸支持部材51は、前記機枠2に固定されている。
図7に、本実施形態の籾摺機におけるロール近傍の内部斜視図を示す。
前記籾摺機1は、図3及び図7に示すように、前記可動軸23をベアリングを介して軸線回り回転可能に支持する可動軸支持部材53を有し、前記可動軸支持部材53は、前記可動軸23と平行に配置された回動軸52回り回動可能に支持された基端部53aと、前記基端部53aから前記回動軸52の軸線を基準にして径方向外方へ延びるアーム部53bと、前記可動軸23を軸線回り回転自在に支持するように前記アーム部53bに設けられた軸受部53cと、前記押動機構25に作動連結された連結部53dとを備えている。つまり、前記軸受部53cが前記回動軸52回りに回動することにより前記第2ロール24も前記回動軸52回りに回動する。
そして、前記固定軸支持部材51及び可動軸支持部材53には、それぞれ前記第1ロール22及び第2ロール24が複数の前記取付ねじ54により固定される。
【0026】
本実施形態において、前記押動機構25は、一端が機枠2に連結される一方、他端が前記連結部53dに連結された状態で、第2ロール24を第1ロール22に近接する方向に付勢しており、これにより、両ロール22,24が圧接される。ここでは、押動機構25の一端は、前記機枠2の第2ロール24側の側面に固定されている。
本実施形態においては、押動機構25としてエアシリンダを用いているが、これに限られず、例えば、電動モータによる電気圧力を用いた構成としてもよい。
なお、前記基端部53aと前記連結部53dとは、前記可動軸23を基準にして径方向反対側に配置されている。これにより、前記第2ロール24が前記可動軸23を挟んで両側から支持されることとなり、剛性を高くすることができる。
【0027】
前記下流側供給板27は、基端部が第1ロール22及び第2ロール24の上方、より詳しくは、前記固定軸21側の上方において、前記固定軸21及び可動軸23と略平行な軸線を有する下流側枢支軸26に相対回転不能に支持されており、前記下流側供給板27の第2ロール24側表面上を原料籾が滑落するように構成されている。
【0028】
本実施形態において、前記籾摺機1は、前記固定軸21及び前記可動軸23より上方において前記両軸と平行に配置された支点軸41と、下端側が前記固定軸21及び前記可動軸23の間に介挿された状態で前記支点軸41に相対回転不能に支持されたリンクアーム42と、前記可動軸支持部材53が前記固定軸21に対して接離する動きに連動して前記リンクアーム42が前記支点軸41回りに揺動するように、前記リンクアーム42の下端側が前記可動軸支持部材53における前記固定軸21と対向する側へ押圧されるように前記リンクアーム42を作動的に付勢する付勢部材43と、前記リンクアーム42による前記支点軸41の軸線回りの回転に応じて前記下流側枢支軸26が軸線回りに回転するように、前記支点軸41及び前記下流側枢支軸26を作動連結するリンク機構44とを備えている。
そして、前記籾摺機1は、前記下流側供給板27の傾斜角度が、前記リンクアーム42、前記支点軸41、前記リンク機構44及び前記下流側枢支軸26を介して、前記可動軸支持部材53が前記固定軸21に対して接離する動きに追従して変化するように構成されている。
【0029】
本実施形態において、前記リンク機構44は、前記支点軸41に相対回転不能に支持された第1リンク441と、前記下流側枢支軸26に相対回転不能に支持された第2リンク442と、一端部が前記第1リンク441の自由端側に相対回転自在に連結され且つ他端部が前記第2リンク442の自由端側に相対回転自在に連結された中間リンク443とを含んでいる。
また、前記軸受部53cは、前記可動軸23の軸線を中心とした略円弧状の外周面を有し、前記リンクアーム42の下端側は、前記付勢部材43によって前記軸受部53cの外周面のうち前記固定軸21と対向する側に押圧されているように構成されている。
【0030】
さらに、前記籾摺機1は、前記回動軸52回りの回動量を直接又は間接的に検出する回動量センサ77を備えている。より具体的には、前記回動量センサ77は、前記支点軸41の軸線回りの回動量を検出するように構成されている。例えば、前記回動量センサ77は、ロータリエンコーダ等により実現される。また、前記回動量センサ77の代わりに、可動軸支持部材53の回動軸52回りの位置を直接又は間接的に検出するリミットスイッチ等の位置センサを用いてもよい。
【0031】
ここで、上記構成の籾摺機1における籾摺り作業の流れを説明する。
図8に、本実施形態における籾摺り作業に関する制御フローチャートを示す。
本実施形態においては、図8に示すように、まず、前記作業スイッチ71をOFF状態からON状態へと操作することにより(ステップQ1)、前記制御装置70は、当該作業スイッチ71のON操作が主電源(図示せず)をON操作させた後の最初の操作か否かを判断し(ステップQ2)、当該ON操作が2回目以降の場合(ステップQ2でNo)においては、前記レベルセンサ39により前記供給タンク4から前記供給口31に原料籾が供給された際に前記アクチュエータ33のエアシリンダ74を駆動させて前記供給シャッタ32を開放するとともに、リードローラ駆動モータ75を駆動させてリードローラ35を回転させることにより、前記供給タンク4に貯留されている原料籾を前記供給部30内へ落下させる(ステップQ3)。
【0032】
前記供給口31から落下した原料籾は、その下方にある案内板34と上流側供給板36とにより形成された流路を滑落し、前記リードローラ駆動モータ75により回転駆動されるリードローラ35に供給される。
リードローラ35に供給された原料籾は、リードローラ35の回転により、リードローラ35及び上流側供給板36の間隙幅に応じて、順次定量の原料籾を均一な層状態で機枠2内の籾摺り部20へ供給する。
【0033】
さらに、前記制御装置70は、前記主電動モータ6を作動させて前記第1ロール22及び第2ロール24を回転させるとともに、前記押動機構25を作動させ、前記第2ロール24を前記回動軸52回りに回動して前記第1ロール22に近接する方向へ移動させる。(ステップQ6)。
【0034】
本実施形態においては、前記可動軸支持部材53が連結部53dに作動連結された押動機構25に応じて基端部53aの回動軸52回りに回動することにより、前記基端部53aから前記回動軸52の軸線を基準にして径方向外方へ延びるアーム部53bに設けられた軸受部53cに軸線回り回転自在に支持された可動軸23が固定軸21に近接する方向へ移動する。
これにより、前記第1ロール22と前記第2ロール24との間に、当該第1ロール22及び第2ロールが互いに所定圧力で押圧された圧着部A1が形成される。
【0035】
本実施形態において、前記制御装置70は、前記供給シャッタ32の開放動作から遅延時間T後に前記第1ロール22及び第2ロール24が回転駆動されている状態で前記可動軸支持部材53が初期位置から前記圧着部A1が形成される作業位置へ向けて移動開始するように前記押動機構25を作動させる。
より詳しくは、前記制御装置70は、前記エアシリンダ74作動後、制御装置70に内蔵されるタイマ(図示せず)により計時を開始する(ステップQ4)。そして、前記タイマが遅延時間Tを経過した後(ステップQ5でYes)、前記制御装置70は、第1ロール22及び第2ロール24を回転させつつ押動機構25を作動させる(ステップQ6)。これにより、可動軸支持部材53が回動軸52回りに回動し初期位置から作業位置へ向けて移動する。
【0036】
本実施形態において、前記制御装置70は、前記可動軸支持部材53の初期位置から作業位置への前記回動軸52回りの回動量と前記遅延時間Tとの関係式を記憶しており、主電源をON操作させた後の最初の前記作業スイッチ71のON操作時に、前記押動機構25を作動させて前記可動軸支持部材53の初期位置から作業位置への前記回動軸52回りの作業開始時回動量を前記回動量センサ77によって検出し、前記作業開始時回動量に基づき前記関係式から遅延時間Tを算出し、前記可動軸支持部材53を作業位置から初期位置へ戻した後に前記供給シャッタ32を開放動作させ且つ前記供給シャッタ32の開放動作から前記遅延時間T後に前記第1ロール22及び第2ロール24が回転駆動されている状態で前記可動軸支持部材53を初期位置から作業位置へ向けて前記押動機構25によって移動開始させる。
【0037】
前記供給部30から供給された原料籾は、前記下流側供給板27の表面(第2ロール24側表面)を滑落して、前記下流側供給板27の先端部が向けられた前記第1ロール22及び第2ロール24間の圧着部A1に供給される。前記固定軸21回りに回転駆動される第1ロール22と前記可動軸23回りに回転駆動される第2ロール24とは、第2ロール24が前記可動軸23を軸線回り回転可能な状態で固定軸21に対して離接可能に支持される可動軸支持部材53を介して押動機構25により第1ロール22に所定圧力で押圧された状態で、前記主電動モータ6からの回転動力によってそれぞれ異なる回転速度で回転しているため、前記下流側供給板27により圧着部A1に供給された原料籾は、籾摺り処理され、下部開口2bから排出される。下部開口2bには、風選別装置等(図示せず)が配置され、籾摺りされた穀粒と籾殻とが選別される。
【0038】
一方、前記作業スイッチ71のON操作が主電源をON操作させた後の最初のON操作である場合(ステップQ2でYes)、前記制御装置70は、押動機構25を作動させ(ステップQ12)、可動軸支持部材53を初期位置から作業位置へと移動させる(ステップQ13)。
【0039】
前記可動軸支持部材53が作業位置に位置した場合(ステップQ13でYes)、前記制御装置70は、前記可動軸支持部材53の初期位置から作業位置への回動軸52回りの作業開始時回動量を前記回動量センサ77によって検出する(ステップQ14)。
本実施形態において、前記作業開始時回動量の検出は、前記第1ロール22及び第2ロール24が無回転状態で行われる。即ち、前記ステップQ12において、前記押動機構25を作動させる際には、第1ロール22及び第2ロール24は、回転駆動させないように制御される。
【0040】
これにより、主電源をON操作させた後の最初の前記作業スイッチ71のON操作を受けて押動機構25を作動させた際に第1ロール22及び第2ロール24が回転しない状態で当接する。
従って、作業開始時回動量を検出する際に、第1ロール22及び第2ロール24が空摺りして摩耗することを有効に防止することができる。
【0041】
その後、検出された作業開始時回動量に基づいて前記制御装置70は、予め記憶された可動軸支持部材の初期位置から作業位置への回動軸回りの回動量と遅延時間Tとの関係式から遅延時間Tを算出し、記憶する(ステップQ15)。その上で、一旦可動軸支持部材53を作業位置から初期位置へ戻し(ステップQ16,Q17)、その上で、供給シャッタ32を開放動作させるとともにリードローラ35を回転させ、且つ、供給シャッタ32開放動作開始から算出された前記遅延時間T経過後に、前記第1ロール22及び第2ロール24が回転駆動されている状態で再び押動機構25により可動軸支持部材53を初期位置から作業位置へ向けて回動軸52回りに回動させる(ステップQ3〜Q6)。
【0042】
このように、第1ロール22及び/又は第2ロール24の径(摩耗量)に応じて可動軸支持部材53の初期位置から作業位置への到達時間を調整することで、前記第1ロール22及び第2ロール24が空摺りすることを防止しつつ、第2ロール24が第1ロール22に圧着する前に原料籾が該第1ロール22及び第2ロール24を通過するという不都合を有効に防止することができる。
【0043】
ここで、図1及び図3の状態から第1ロール22及び/又は第2ロール24の径が継続使用により磨耗して小さくなる(図2及び図4において、図1及び図3における第1ロール22及び第2ロール24を破線で示す)と、押動機構25の付勢力により、第2ロール24が回動軸52回りに回動して第1ロール22に近接する方向へ移動し(図2及び図4)、圧接状態(圧着部A1)が保持される。
【0044】
この際、前記下流側供給板27は、前記下流側枢支軸26及びリンク機構44を介して前記固定軸21及び可動軸23より上方において前記両軸と平行に配置された支点軸41に作動連結されており、前記支点軸41には、リンクアーム42が下端側が前記固定軸及び前記可動軸の間に介挿された状態で相対回転不能に支持されているため、前記リンクアーム42の下端側が付勢部材43の付勢力により前記可動軸支持部材53における前記固定軸21と対向する側へ押圧される。
本実施形態においては、前記可動軸支持部材53の軸受部53cの外周面が前記可動軸23の軸線を中心とする略円弧状となっており、当該外周面のうち前記固定軸21と対向する側に前記リンクアーム42の下端側が付勢部材43の付勢力によって押圧されることとなる。即ち、前記リンクアーム42は、略円弧状である前記軸受部53cの外周面に点接触している。
【0045】
従って、押動機構25によって可動軸23が固定軸21に向けて近接する方向へ移動した際、前記リンクアーム42は、前記可動軸支持部材53の移動に伴って前記付勢部材43の付勢力に抗して前記支点軸41回りに揺動し、前記リンクアーム42の揺動により支点軸41が回動することにより、前記リンク機構44を介して前記下流側供給板27の傾斜角度が変化する。
即ち、前記リンクアーム42の支点軸41回りの揺動に応じて、前記支点軸41に相対回転不能に支持された前記リンク機構44の第1リンク441が支点軸41回りに回動し、第1リンク441の自由端部に相対回転自在に連結された中間リンク443を介して下流側枢支軸26に相対回転不能に支持された第2リンク442が下流側枢支軸26回りに回動することにより、前記下流側供給板27が前記下流側枢支軸26回りに揺動して傾斜角度が変化する。
【0046】
このように、第2ロール24が第1ロール22に向けて押圧されることにより、常に最適且つ一定の圧着部を有しつつ、第2ロール24の移動に応じて移動するリンクアーム42と下流側供給板27とがリンク機構44を介して作動連結されることにより、第2ロール24の移動に応じて下流側供給板27の先端部が圧着部A1に向くように下流側供給板27が回動して自動調整が可能となる。
これにより、第1ロール22及び/又は第2ロール24の摩耗に応じて前記両ロール間の圧着部A1の位置が変化しても、前記下流側供給板27の姿勢を前記圧着部A1の位置変化に確実に追従させることができる。従って、別途ロール径を検出するセンサやそれに基づいて作動させる制御装置を設けることなく、前記第2ロール24の移動に伴う前記下流側供給板27の自動調整をより簡単な構成で安定的に行うことができ、前記第1ロール22及び第2ロール24による籾摺り効率を良好に維持することができる。
【0047】
さらに、前記回動量センサ77は、前記支点軸41の軸線回りの回動量を検出することにより、可動軸支持部材53の回動軸52回りの回動量を検出する。
これにより、可動軸支持部材53の回動軸52よりも小径に形成し得る支点軸41の回動量を検出することにより、回動量センサ77の小型化を図ることができる。
【0048】
また、前記可動軸支持部材53の軸受部53cの外周面を前記可動軸23の軸線を中心とする略円弧状とし、当該外周面のうち前記固定軸21と対向する側に前記リンクアーム42の下端側を付勢部材43の付勢力によって押圧させることにより、前記第1ロール22及び/又は第2ロール24の摩耗に応じて前記回動軸52回りに回動する前記可動軸支持部材53の動きを前記リンクアーム42を介して滑らか且つ正確に前記支点軸41に伝えることができる。これにより、前記第1ロール22及び/前記第2ロール24の摩耗に応じて生じる両ロールの圧着部A1の位置変化に前記下流側供給板27の姿勢を安定して追従させることができる。
さらに、前記支点軸41及び下流側枢支軸26にそれぞれ相対回転不能に支持された第1リンク441及び第2リンク442を中間リンク443で連結する構成とすることにより、支点軸41及び下流側枢支軸26の配置を自由に設定することができるため、リンクアーム42及び下流側供給板27の設計自由度を向上させることができ、可動軸23の移動に伴う下流側供給板27の作動をよりスムーズに行わせることができる。
【0049】
本実施形態において、前記中間リンク443は、長手方向長さが調整可能とされている。
例えば、前記中間リンク443は、一端部と他端部とが別部材で構成されるとともに、前記一端部と他端部とが、両端部にそれぞれ長手方向に沿って前記一端部及び他端部のそれぞれに螺入されるねじ部を有する調整部材を介して接合されている構成を採用することができる。
【0050】
この場合、中間リンク443の長手方向長さを調整することにより、リンクアーム42の揺動角度に対する下流側供給板27の揺動角度を調整することができる。
従って、リンク機構44を組み付けた後であっても、中間リンク443の長手方向長さを微調整することにより、より高精度に下流側供給板27位置を調整することができる。
【0051】
前記籾摺機1において、前記作業スイッチ71のOFF操作又は前記レベルセンサ39により供給タンク4内の原料籾が空状態となったことが検出された場合(図8のステップQ7でYes)、籾摺り作業を終了する。
ここで、前記制御装置70は、前記回動量センサ77からの信号に基づき前記作業スイッチ71のOFF操作又は前記レベルセンサ39の空状態検出時点における前記可動軸支持部材53の前記回動軸52回りの回動量を検出し、前記回動量及び前記関係式に基づき新たに遅延時間Tを算出し、前記作業スイッチ71の次のON操作時には、前記供給シャッタ32の開放動作から前記新たに算出された遅延時間T後に前記可動軸支持部材53の初期位置から作業位置への移動を開始させるように制御する。
【0052】
この場合、作業スイッチ71がOFF操作されたり、前記レベルセンサ39が空状態を検出したりすると、前記制御装置70は、前記回動量センサ77により前記OFF操作又は空状態検出時点における可動軸支持部材53の回動軸52回りの回動量を検出する(ステップQ8)。そして、制御装置70は、この検出された回動量及び前記関係式に基づいて新たに遅延時間Tを算出し、更新記憶する(ステップQ9)。
その後、供給シャッタ32を遮断し(ステップQ10)、押動機構25を作動させて前記か同軸支持部材53を初期位置へと移動させるとともに、第1ロール22及び第2ロール24の回転駆動を停止させる(ステップQ11)。
【0053】
そして、次回以降、前記作業スイッチ71がON操作されると、前記制御装置70は、前回終了時の遅延時間Tを用いて、可動軸支持部材53を移動開始させる。
従って、前回の籾摺り作業によって第1ロール22及び/又は第2ロール24に磨耗が生じた場合であっても、次回以降の籾摺り作業の効率化を図ることができる。
【0054】
本実施形態における前記籾摺機1は、前記上流側供給板36と前記リードローラ35との間隙幅を電動にて調整可能に構成されている。
図9に、本実施形態の籾摺機における上流側供給板の傾斜角調整機構近傍の斜視図を示す。
前記籾摺機1は、図5及び図9に示すように、前記上流側枢支軸37と直交する方向に延び且つ軸線回りに回転駆動される出力軸81を有する上流側供給板電動モータ(調整用モータ8)と、前記出力軸81の外周面に設けられたねじ81aが螺入されるねじ付孔82aを有する駆動側部材82であって、前記上流側枢支軸37と平行に延びる駆動側部材82と、基端側が前記上流側枢支軸37に相対回転不能に支持され且つ自由端側に前記駆動側部材82が係入される開口83aが設けられた従動側部材83と、前記上流側供給板36の傾斜角を人為操作可能な傾斜角操作部材72とを備え、前記制御装置70は、前記傾斜角操作部材72からの操作信号に応じた量だけ前記調整モータ8を作動させるように駆動制御するように構成されている。
そして、前記従動側部材83の前記開口83aは、前記電動モータ8の駆動時に前記駆動側部材82が前記出力軸81の軸線回りに回転することを防止するような形状を有している。より具体的には、前記開口83aは、前記上流側枢支軸37の径方向に沿って長い長孔形状を有している。
また、前記上流側供給板36は、前記従動側部材83に取り付けられた付勢部材38により前記リードローラ35に近接する方向に付勢されている。
【0055】
この場合、傾斜角操作部材72を人為操作することにより、制御装置70は、前記傾斜角操作部材72からの操作信号に応じた量だけ調整モータ8を作動させる。調整モータ8を駆動して前記上流側枢支軸37と直交する方向に延びた出力軸81を軸線回りに回転させると、前記出力軸81の外周面に設けられたねじ81aが前記上流側枢支軸37と平行に延びる駆動側部材のねじ付孔82aに螺入されることにより、駆動側部材82が前記出力軸81の軸線回りに回転しようとする。ところが、前記駆動側部材82は、基端部が前記上流側枢支軸37に相対回転不能に支持された従動側部材83の開口83aに係入されており、前記従動側部材83の開口83aは、前記駆動側部材82が出力軸81の軸線回りに回転することを防止するような形状を有しているため、前記駆動側部材82は、調整モータ8の駆動に応じて前記出力軸81の軸線方向に沿って進退動作する。
前記駆動側部材82が前記出力軸81の軸線方向に沿って進退動作することにより、前記駆動側部材82に当接される前記開口83aの長孔形状によって、前記従動側部材83が前記付勢部材38の付勢力に抗して前記上流側枢支軸37回りに揺動する。
【0056】
このように、前記調整モータ8の駆動に応じて前記駆動側部材82が前記出力軸81の軸線方向に進退動作することにより、前記従動側部材83は、前記上流側枢支軸37を軸線回りに回動させる。このようにして、前記上流側供給板36の傾斜角が変化する。
従って、前記調整モータ8の作動制御によって前記上流側供給板36の傾斜角を正確に制御することができる。即ち、前記供給タンク4から前記上流側供給板36へ送られてくる原料籾量に応じて、前記上流側供給板36及び前記リードローラ35の間の間隔を正確に調整することが可能となり、前記上流側供給板36から前記下流側供給板27へ原料籾を一定の層状態で供給することができる。
【0057】
本実施形態においては、前記出力軸81の回転角度を検出するロータリエンコーダ84をさらに有し、前記制御装置70は、前記ロータリエンコーダ84の検出量に基づいて前記調整モータ8の作動制御を行っている。これにより、前記調整モータ8の回転制御を高精度に行うことができるため、前記上流側供給板36の傾斜角度の制御を高精度に行うことができる。
なお、前記ロータリエンコーダ84に代えて、前記制御装置70が予め前記調整モータ8の回転速度データ(作動時間と回転角度との関係)を記憶しておき、所定時間回転駆動させることにより、傾斜角操作部材71からの操作信号に応じた量だけ調整モータ8を作動させることとしてもよい。
さらに、この際、前記ロータリエンコーダ84による前記出力軸81の回転角度の検出も行うことにより、前記所定時間の回転駆動による調整モータ8の回転角度が理想値(回転速度データ)と一致しているかを確認し、検出結果に応じて前記調整モータ8の駆動時間を補正するフィードバック制御を行うことも可能である。
【0058】
本実施形態において、前記籾摺機1は、さらに、前記上流側供給板及び前記リードローラ間の間隙幅を直接又は間接的に検出する間隙幅センサ76を備え、前記制御装置70は、前記上流側供給板36及び前記リードローラ35間の間隙幅が基準間隙幅より大及び小になると、それぞれ、前記リードローラ駆動モータ75の出力を基準回転速度から増速及び減速させる制御を行う。
本実施形態において、前記間隙幅センサ76は、前記上流側枢支軸37の回転量を検出する回転量センサとして構成されるロータリエンコーダである。
なお、前期間隙幅センサ76の他の構成として、前記上流側供給板36の傾斜角を多段的に検出するリミットスイッチとして構成される位置センサとしてもよいし、前記制御装置70が前記調整モータ8の作動制御量に基づいて前記上流側枢支軸37の回転量を算出することとしてもよい。
このような構成とすることにより、間隙幅センサ76の構造簡略化を図ることができる。
図10に、本実施形態の籾摺機における上流側供給板傾斜角度変更時の制御フローチャートを示す。
【0059】
上述のように、前記制御装置70が前記傾斜角操作部材72からの操作信号を受けて(図10のステップR1)、当該操作信号に応じた量だけ前記調整モータ8を作動させる(ステップR2)ことにより、前記上流側供給板36と前記リードローラ35との間隙幅が変更されると、前記間隙を通過する原料籾が前記リードローラ35によって飛散され易くなったり、前記間隙を通過する原料籾量に対して前記リードローラ35による送り作用が不十分となり、前記第1ロール22及び第2ロール24による籾摺り効率が悪化する問題が生じ得る。
【0060】
そこで、前記制御装置70は、図10に示すように、間隙幅センサ76を介して上流側供給板36及びリードローラ35間の間隙幅を直接又は間接的に検出し(ステップR3)、検出された間隙幅が所定の基準間隙幅より大きくなった場合(ステップR3でYes)、リードローラ駆動モータ75の出力を所定の基準回転速度から増速制御する(ステップR4)。また、検出された間隙幅が前記基準間隙幅より小さくなった場合(ステップR3でNo)、リードローラ駆動モータ75の出力を前記基準回転速度から減速制御する(ステップR5)。
【0061】
本実施形態においては、前記制御装置70に前記上流側供給板36及び前記リードローラ35間の間隙幅と前記リードローラ駆動モータ75の出力回転数との関係式が予め記憶されており、前記制御装置70は、前記間隙幅センサ76からの信号に基づいて前記関係式を用いて前記リードローラ駆動モータ75の制御量を算出することとしている。
なお、前記関係式は、前記間隙幅センサ76の検出値に対するリードローラ駆動モータ75の制御量をその都度演算する演算式だけでなく、前記間隙幅センサ76の検出値に対するリードローラ駆動モータ75の制御量が予め記憶された制御テーブルを含むものである。
【0062】
このように、上流側供給板36及びリードローラ35の間の間隙幅が小さくなり、原料籾の通過量が減少した場合には、リードローラ35の回転速度を減速させることにより前記間隙幅を通過する原料籾が前記リードローラ35によって飛散され難くすることができ、前記第1ロール22及び第2ロール24の圧着部A1へ供給される際の原料籾の供給姿勢及び供給量を安定化させることができる。一方、上流側供給板36及びリードローラ35の間の間隙幅が大きくなり、原料籾の通過量が増大した場合には、リードローラ35の回転速度を増速させることにより前記間隙幅を通過する原料籾量に対してリードローラ35による送り作用を促進させることができ、前記第1ロール22及び第2ロール24の圧着部A1へ供給される際の原料籾の層厚を薄くすることができる。従って、原料籾の供給量の変化に拘わらず、前記第1ロール22及び第2ロール24による籾摺り効率を良好に保持することができる。
また、予め記憶されている前記上流側供給板36及び前記リードローラ35間の間隙幅と前記リードローラ駆動モータ75の出力回転数との関係式を用いて前記リードローラ駆動モータ75の制御量を算出することにより、高精度且つ高速な制御処理を行うことができる。
【0063】
図11に、本実施形態における籾摺機が適用された籾摺システムの概略構成図を示す。
本実施形態において、前記籾摺機1は、図11に示すように、後続する選別機(揺動選別機)10とともに籾摺システムを構成しており、前記籾摺機1によって籾摺り作業及び風選別作業が行われた結果物に対して連続して選別機10における選別作業を行わせるように構成されている。より具体的には、前記籾摺機1の下方開口部1bと前記選別機10のタンクの上方開口10aとの間に前記結果物を搬送する選別機投入昇降機13が介挿されている。
【0064】
本実施形態の籾摺機1において、前記制御装置70は、前記傾斜角操作部材72からの操作信号に基づき前記調整モータ8の制御を行う手動モードと、前記調整モータ8を自動制御する自動モードとを有し、前記制御装置70は、前記自動モードにおいて、前記籾摺機1に後続する選別機10におけるタンク14の上限センサ11及び下限センサ12からの信号に基づき、前記上流側供給板36及び前記リードローラ35の間の間隙幅を所定量だけ増減させるように前記調整モータ8を制御するように構成されている。
【0065】
この場合、傾斜角操作部材72を人為操作することにより、前記制御装置70は、手動モードを起動し、前記傾斜角操作部材72からの操作信号に基づいて前記調整モータ8を制御する。
また、籾摺機1に後続する選別機10のタンク14に設けられた上限センサ11及び下限センサ12からの信号に基づいて、前記制御装置70は、自動モードを起動し、上流側供給板36及びリードローラ35の間の間隙幅を所定量だけ増減させるように前記調整モータ8を制御する。
より具体的には、例えば、前記下限センサ12のみが穀物の堆積を検出した場合には、通常の供給量とし、前記上限センサ11及び下限センサ12の双方とも穀物の堆積を検出した場合には、前記通常の供給量より供給量を減少させる制御を行い、前記上限センサ11及び下限センサ12の双方とも穀物の堆積を検出しなくなった場合には、前記通常の供給量より供給量を増加させる制御を行う。
このように、籾摺機1に後続する工程への供給状況をフィードバックすることにより、籾摺機1を含む籾摺りシステム全体における原料籾の流れをよくして籾摺り作業の効率化を図ることができる。
【0066】
本実施形態において、前記制御装置70は、外部操作に基づき起動されるメンテナンスモードを有し、前記制御装置70は、前記メンテナンスモードにおいて、前記主電動モータ6の駆動を停止した状態で、前記第2ロール24が前記第1ロール22に押圧されるように前記押動機構25を作動させる。
本実施形態においては、図5に示すように、メンテナンスモードを起動するためのメンテナンススイッチ73を備えている。前記メンテナンススイッチ73は、例えば、前記機枠2の外側に設けられている。
図12に、本実施形態におけるメンテナンスモードの制御フローチャートを示す。
【0067】
前述のとおり、上記構成の籾摺機1によれば、図3及び図4に示すように、前記第1ロール22は、前記固定軸21の軸線方向に螺入される取付ねじ54を介して前記固定軸21に固定され、前記第2ロール24は、前記可動軸23の軸線方向に螺入される取付ねじ54を介して前記可動軸23に固定されている。
そして、作業スイッチ71をOFF状態からON状態に切り替えることにより、前記制御装置70は、前記固定軸21及び可動軸23を回転駆動させるべく主電動モータ6を作動させるとともに、前記第1ロール22及び第2ロール24の間の圧力が所定の値となるように前記押動機構25を作動制御する籾摺り作業モードを実行する。
これにより、前記固定軸22回りに回転駆動される第1ロール22及び前記可動軸23回りに回転駆動される第2ロール24とが、第2ロール24が押動機構25により第1ロール22に所定圧力で押圧された状態で、主電動モータ6からの回転動力によってそれぞれ異なる回転速度で回転する。
【0068】
ここで、前記制御装置70は、図12に示すように、前記メンテナンススイッチ73が操作された場合(ステップS1でYes)、前記第1ロール22及び第2ロール24が回転駆動停止状態である場合(ステップS2でYes)に限り、メンテナンスモードを起動させる(ステップS3)。前記メンテナンスモードにおいては、前記主電動モータ6による前記第1ロール22及び第2ロール24の回転駆動が停止した状態で、前記押動機構25により第2ロール24が第1ロール22に押圧される。第1ロール22及び/又は第2ロール24の交換作業終了後、再びメンテナンススイッチ73を操作することにより(ステップS4でYes)、前記押動機構25による第1ロール22及び第2ロール24間の押圧が解除される(ステップS5)。
【0069】
このように、メンテナンスモードを起動することにより、第1ロール22及び第2ロール24の回転が停止され且つ第1ロール22及び第2ロール24が互いに圧接された状態となるため、前記第1ロール22又は第2ロール24の交換作業を行う際、固定軸21又は可動軸23の軸線方向に螺入された取付ねじ54を緩める又は締め付ける作業を行っても、前記第1ロール22及び第2ロール24が互いに圧接されていることにより、前記第1ロール22又は第2ロール24を支持する固定軸21又は可動軸23が共回りすることを防止することができる。
しかも、第1ロール22及び第2ロール24の固定に、籾摺り作業時に用いる押動機構25を使用しているため、専用工具又は専用の構造を不要とすることができる。
【0070】
本実施形態の制御装置70は、前記メンテナンスモードにおいて、前記第2ロール24が前記第1ロール22に籾摺り作業時における前記所定圧力と同じ圧力で押圧されるように前記押動機構25を作動させる。
【0071】
即ち、前記第1ロール22及び第2ロール24間の圧力は、籾摺り作業時(即ち、第1ロール22及び第2ロール24の回転駆動時)とメンテナンスモード起動時とで変化しない。
特に、本実施形態の押動機構25のようなエアシリンダを用いた構成においては、メンテナンスモード時に、前記第2ロール24が前記第1ロール22に対して籾摺り作業時における設定圧力と同一圧力で押圧されるように構成することができる。
従って、メンテナンスモードにおける前記押動機構25の制御を籾摺り作業時と同じ制御とすることにより、制御構造の簡略化を図ることができる。
【0072】
なお、前記押動機構25として電動モータを用いた構成においては、前記第1ロール22及び前記第2ロール24間の圧力は、電流値制御によって制御される。このとき、例えば、前記第1ロール22及び前記第2ロール24間の間隙幅が0となるときの電流値をメンテナンスモード時の設定電流値として採用することができる。
【0073】
また、前記制御装置70は、前述したように、前記第1ロール22及び第2ロール24の回転駆動時においては前記メンテナンスモードへの移行を行わない
。即ち、籾摺り作業時において、前記メンテナンススイッチ73を操作しても前記制御装置70は、メンテナンスモードを起動しない。
これにより、籾摺り作業時においてメンテナンススイッチ73を誤操作した場合であっても、第1ロール22及び第2ロール24の回転駆動を停止させることがないため、誤操作による籾摺り不良が生じることを防止することができる。
なお、これに代えて、籾摺り作業時においては、前記メンテナンススイッチ73が規制部材等により操作不能となるように構成することとしてもよい。
【0074】
なお、メンテナンススイッチ73の操作時において前記第1ロール22及び第2ロール24が回転駆動している場合(ステップS2でNo)には、音又はランプ等によりエラー報知することが好ましい(ステップS6)。
また、上記制御態様に加えて、メンテナンスモード実行時において、前記籾摺り作業モードへの移行を行わないことが好ましい。この場合、メンテナンスモード時において、前記作業スイッチ71をON状態へ操作しても前記制御装置70は、籾摺り作業モードを起動しない。
【0075】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
例えば、本実施形態においては、前記上流側供給板36の傾斜角度の調整を調整モータ8を用いて行うこととしているが、これに限られず、これに加えて、前記上流側供給板36の裏面に向けて進退可能なねじ部材を設け、当該ねじ部材を進退させることにより、前記上流側供給板36の傾斜角度を手動調整可能とする構成を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態における籾摺機の第2ロール移動前における正面図である。
【図2】本発明の一実施形態における籾摺機の第2ロール移動後における正面図である。
【図3】図1の籾摺機の第2ロール移動前における背面図である。
【図4】図2の籾摺機の第2ロール移動後における背面図である。
【図5】本実施形態における籾摺機の制御系の構成ブロック図である。
【図6】本実施形態における籾摺機のロール駆動機構を示す図である。
【図7】本実施形態の籾摺機におけるロール近傍の内部斜視図である。
【図8】本実施形態における籾摺り作業に関する制御フローチャートである。
【図9】本実施形態の籾摺機における上流側供給板の傾斜角調整機構近傍の斜視図である。
【図10】本実施形態の籾摺機における上流側供給板傾斜角度変更時の制御フローチャートである。
【図11】本実施形態における籾摺機が適用された籾摺システムの概略構成図である。
【図12】本実施形態におけるメンテナンスモードの制御フローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1 籾摺機
4 供給タンク
6 主電動モータ
8 調整モータ(上流側供給板電動モータ)
21 固定軸
22 第1ロール
23 可動軸
24 第2ロール
25 押動機構
26 下流側枢支軸
27 下流側供給板
35 上流側供給板
36 リードローラ
37 上流側枢支軸
70 制御装置
71 作業スイッチ
72 傾斜角操作部材
76 間隙幅センサ
81 出力軸
81a ねじ
82 駆動側部材
82a ねじ付孔
83 従動側部材
83a 開口
84 ロータリエンコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電動モータからの回転動力によって軸線回り回転駆動される固定軸と、前記固定軸と略平行な状態で前記主電動モータからの回転動力によって軸線回りに回転駆動される可動軸と、前記固定軸に固定される第1ロールと、前記可動軸に固定される第2ロールと、前記第2ロールが前記第1ロールに所定圧力で押圧されるように前記可動軸を押動する押動機構と、前記第1及び第2ロールより上方に配置された供給タンクと、前記供給タンクの下端開口から落下する原料籾を受け止めて下方へ自然落下させる上流側供給板と、前記上流側供給板から直接又は間接的に落下する原料籾を前記第1及び第2ロールの圧着部へ向けて自然落下させる下流側供給板と、前記上流側供給板と共働して前記上流側供給板から前記下流側供給板へ送られる原料籾量を調整するリードローラと、作業スイッチへの人為操作に基づき前記主電動モータ及び前記押動機構の制御を行う制御装置とを備え、前記上流側供給板及び前記リードローラの間の間隙幅を調整し得るように前記上流側供給板の傾斜角度が変更可能とされた籾摺機であって、
前記上流側供給板及び前記リードローラ間の間隙幅を直接又は間接的に検出する間隙幅センサと、
前記リードローラを駆動するリードローラ駆動モータとを備え、
前記制御装置は、前記上流側供給板及び前記リードローラ間の間隙幅が基準間隙幅より大及び小になると、それぞれ、前記リードローラ駆動モータの出力を基準回転速度から増速及び減速させることを特徴とする籾摺機。
【請求項2】
前記下流側供給板は、前記第1及び第2ロールより上方に配置された下流側枢支軸に相対回転不能に支持されており、
前記上流側供給板は、傾斜方向が前記下流側供給板の傾斜方向とは反対となるように、前記下流側枢支軸より上方において前記下流側枢支軸と平行に配置された上流側枢支軸に相対回転不能に支持されており、
前記間隙幅センサは、前記上流側枢支軸の回転量を検出する回転量センサ又は前記上流側供給板の傾斜角を検出する位置センサとされていることを特徴とする請求項1に記載の籾摺機。
【請求項3】
前記上流側枢支軸と直交する方向に延び且つ軸線回りに回転駆動される出力軸を有する上流側供給板電動モータと、前記出力軸の外周面に設けられたねじが螺入されるねじ付孔を有する駆動側部材であって、前記上流側枢支軸と平行に延びる駆動側部材と、基端側が前記上流側枢支軸に相対回転不能に支持され且つ自由端側に前記駆動側部材が係入される開口が設けられた従動側部材と、前記上流側供給板の傾斜角を人為操作可能な傾斜角操作部材とを備え、
前記開口は、前記上流側供給板電動モータの駆動時に前記駆動側部材が前記出力軸の軸線回りに回転することを防止するような形状を有しており、
前記制御装置は、前記傾斜角操作部材からの操作信号に応じて前記上流側供給板電動モータを作動制御するとともに、前記間隙幅センサからの信号に基づき予め記憶されている前記上流側供給板及び前記リードローラ間の間隙幅と前記リードローラ駆動モータの出力回転数との関係式を用いて前記リードローラ駆動モータの制御量を算出して該リードローラ駆動モータの作動制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の籾摺機。
【請求項4】
上流側供給板電動モータの出力軸の軸線回りの回転角度を検出するロータリエンコーダをさらに備え、
前記制御装置は、前記ロータリエンコーダからの検出信号に基づき前記上流側供給板電動モータを制御することを特徴とする請求項3に記載の籾摺機。
【請求項5】
前記制御装置は、前記上流側供給板傾斜角操作部材からの操作信号に基づき前記上流側供給板電動モータの制御を行う手動モードと、前記上流側供給板電動モータを自動制御する自動モードとを有し、
前記自動モードは、前記籾摺機に後続する選別機におけるタンクの上限センサ及び下限センサからの信号に基づき、前記上流側供給板及び前記リードローラの間の間隙を所定量だけ増減させるように前記上流側供給板電動モータを制御することを特徴とする請求項2から4の何れかに記載の籾摺機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−255002(P2009−255002A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109422(P2008−109422)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】