粉粒体供給装置
【課題】電動ブロアなどの取付精度の煩雑さを招くことなく、搬送ダクト側と排出ダクト側との何れの側に搬送風の供給方向を切り換えた場合にも良好な被処理物搬送が行えるようにする。
【解決手段】被搬送物を風力搬送によって搬送する供給経路と、その供給経路とは別に被搬送物を風力搬送によって搬送する排出経路とを備えるとともに、起風用の電動ブロア40から供給される搬送風を供給経路と排出経路とに選択して送り込む分岐経路を備え、分岐経路の断面積を供給経路及び排出経路の断面積よりも大きくした。
【解決手段】被搬送物を風力搬送によって搬送する供給経路と、その供給経路とは別に被搬送物を風力搬送によって搬送する排出経路とを備えるとともに、起風用の電動ブロア40から供給される搬送風を供給経路と排出経路とに選択して送り込む分岐経路を備え、分岐経路の断面積を供給経路及び排出経路の断面積よりも大きくした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体からなる被搬送物を風力搬送によって搬送する供給経路と、その供給経路とは別に被搬送物を風力搬送によって搬送する排出経路とを備えて、粉粒体の貯留部内の残留粉粒体を風力によって取り出し可能に構成した粉粒体供給装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように、供給経路とは別に風力搬送による排出経路を備える粉粒体供給装置としては、従来より下記[1]に記載のものが知られている。
[1] 粉粒体からなる被搬送物を風力搬送によって搬送する供給経路としての搬送ダクトと、その供給経路とは別に粉粒体からなる被搬送物を風力搬送によって搬送する排出経路としての排出ダクトとを備え、搬送ダクト側と排出ダクト側との何れかに電動ブロアの送風方向を切り換えて、被搬送物を供給経路に供給するか、排出経路から取り出すかを選択できるようにしたもの(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−29214号公報(段落「0008」、図5,6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記[1]に記載の従来技術のように、搬送ダクト側と排出ダクト側との何れかに電動ブロアの送風方向を切り換えて、被搬送物を供給経路に供給するか、排出経路から取り出すかを選択できるようにすると、貯留部に残留している被搬送物を、風力を利用して簡単に排出できる点では有用なものである。
しかしながら、上記従来の構造のものでは、電動ブロアから搬送ダクト側と排出ダクト側とに搬送風を供給する際の分岐用の経路内における流路断面積が、搬送ダクトや排出ダクトの流路断面積と同程度に形成されていた。このため、各ダクトに対する電動ブロア及び経路切換弁の配設位置や送風方向が一方のダクト側に偏った状態であると、他方側のダクト内に供給される搬送風の供給圧が大きく低下して、搬送性能が低下する虞があった。
したがって、このような構造のものでは、電動ブロアからの搬送風供給圧として、何れの側のダクト内流路でも所要の圧が作用するように、各ダクトに対する電動ブロア及び経路切換弁の配設位置や送風方向を厳密に設定する必要があり、電動ブロア及び経路切換弁の配設位置や姿勢の取付精度を向上させなければならない煩わしさがあった。
【0005】
本発明の目的は、被搬送物の供給を風力搬送によって行う構造の粉粒体供給装置において、その風力搬送のための風を残留粉粒体の取り出しにも利用できるようにするにあたり、電動ブロアなどの取付精度の煩雑さを招くことなく、搬送ダクト側と排出ダクト側との何れの側に搬送風の供給方向を切り換えた場合にも良好な被処理物搬送が行えるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明による粉粒体供給装置では、下記の技術手段を講じたものである。
〔解決手段1〕
本発明の粉粒体供給装置は、粉粒体からなる被搬送物を風力搬送によって搬送する供給経路と、その供給経路とは別に粉粒体からなる被搬送物を風力搬送によって搬送する排出経路とを備えるとともに、起風用の電動ブロアから供給される搬送風を前記供給経路と排出経路とに選択して送り込む分岐経路を備え、前記分岐経路の断面積を前記供給経路及び排出経路の断面積よりも大きくしたものである。
【0007】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、起風用の電動ブロアから供給される搬送風を前記供給経路と排出経路とに選択して送り込む分岐経路の断面積を、供給経路や排出経路の流路断面積よりも大きくしたことにより、次のような作用及び効果がある。
すなわち、電動ブロアから供給される搬送風の全量がそのまま流路断面積や流動方向を変化させることなく供給経路もしくは排出経路に供給される場合には、搬送風の全圧が選択された経路側に導入されることになる。しかしながら、搬送風の動圧の影響が最も大きい分岐経路で搬送風の導入すべき経路を選択する構造では、電動ブロアや経路切換弁の取付位置や姿勢などの取付精度による影響で、動圧が大きく変化して、選択した経路側での全圧が所定通りに設定されないことがある。
これに対して本発明では、電動ブロアから供給される搬送風の動圧の影響が最も大きい分岐経路内に流路断面積の大きい部分を設けて、この箇所で動圧の一部を静圧に変化させることにより、全圧中の静圧の割合を大きくしている。このように、搬送風の全圧のうちで、電動ブロアや経路切換弁の位置や姿勢による影響を受けにくい静圧の占める割合を増すことで、取付精度による影響を少なくすることができる。
【0008】
したがって、電動ブロアから供給経路側もしくは排出経路側のダクトへの送風経路途中で、流路断面積が大きくなる箇所を設けることによって、動圧の一部を静圧に変化させて、搬送風の全圧対する静圧の割合を大きくし、電動ブロアや経路切換弁の位置や姿勢が搬送経路内の圧力設定に及ぼす影響を少なし、これらの取付を簡易に行える利点がある。
また、このように電動ブロアや経路切換弁の位置や姿勢による影響を少なくすることにより、設計上の自由度が増す点でも有用である。
【0009】
〔解決手段2〕
解決手段2にかかる発明では、上記の粉粒体供給装置において、車体フレーム側に固定設置された固定枠部と、その固定枠部に対して水平方向に沿う横軸心周りに傾動して姿勢変更可能な可動枠部とで構成された支持枠を備え、粉粒体の貯留部と、その粉粒体を所定量ずつ送り出す繰り出し機構とからなる粉粒体送り出し装置を、前記可動枠部側に支持させて姿勢変更可能に構成するとともに、起風用の電動ブロアと、分岐経路、供給経路、及び排出経路を備える導風管とからなる起風搬送手段を前記可動枠部側に支持させてあることを特徴とする。
【0010】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
解決手段2にかかる発明では、粉粒体送り出し装置と起風搬送手段とを共に、固定枠部に対して水平方向に沿う横軸心周りに傾動して姿勢変更可能な可動枠部側に支持させてある。そのため、前記粉粒体送り出し装置を前記横軸心周りで傾倒させたメンテナンス作業時に、前記起風搬送手段も同様に前記横軸心周りで傾倒させた姿勢となるので、このメンテナンス作業時にも起風搬送手段を用いることができる。
その結果、メンテナンス作業時に前記電動ブロアによる搬送風を、残留粉粒体の排出の他、排出ダクト部分や粉粒体貯留部の掃除や、水洗い後の乾燥用などにも利用することができる利点がある。
【0011】
〔解決手段3〕
解決手段3にかかる発明では、上記の粉粒体供給装置において、可動枠部の回動支点である横軸心方向視で、この横軸心と重なる位置に電動ブロアを配設してあることを特徴とする。
【0012】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
解決手段3にかかる発明では、可動枠部の回動支点である横軸心と重なる位置に電動ブロアを配設してあるので、可動枠部ごと前記粉粒体送り出し装置と起風搬送手段とを傾動させても、前記電動ブロアは、前記横軸心周りで回動してその傾きを変化させるだけであまり大きく移動しない。
したがって、比較的大きな電動ブロアを移動させるようにしたものでありながら、その電動ブロアがあまり大きく移動することを避けられ、この電動ブロアを移動させるためのスペースを走行機体上に確保する必要がなく、スペースの利用効率上のロスを避けられる利点がある。
【0013】
〔解決手段4〕
解決手段4にかかる発明では、上記の粉粒体供給装置において、繰り出し機構を内装する繰り出しケース側の粉粒体排出口を、繰り出し機構を構成する繰り出しロールの軸心と繰り出しケース上端との間の位置に設けてあることを特徴とする。
【0014】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
解決手段4にかかる発明では、繰り出しケース側の粉粒体排出口を、繰り出し機構を構成する繰り出しロールの軸心と繰り出しケース上端との間の位置に設けてあるので、粉粒体送り出し装置の回動支点周りの傾動によって貯留部に残留する粉粒体の殆どを排出することができる。したがって、貯留部からの残留粉粒体の排出を効率良く行うことができ、メンテンス作業を能率良く行える利点がある。
【0015】
〔解決手段5〕
解決手段5にかかる発明では、上記の粉粒体供給装置において、可動枠部の回動支点である横軸心は、前後方向で繰り出しロールよりも粉粒体排出口側寄りの箇所に設けてあることを特徴とする。
【0016】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
解決手段5にかかる発明では、可動枠部の回動支点である横軸心は、前後方向で繰り出しロールよりも粉粒体排出口側寄りの箇所に設けてあるので、粉粒体送り出し装置の前記回動支点周りでの傾動によって、回動支点から遠い位置の繰り出しロール側が大きく上方側へ移動し、回動支点に近い側の粉粒体排出口は、相対的に低く位置することになる。
その結果、繰り出しロールの上部付近に残留する粉粒体が、より確実に粉粒体排出口側へ排出されやすくなる利点がる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の粉粒体供給装置を適用した乗用型田植機を示す全体側面図
【図2】本発明の粉粒体供給装置を適用した乗用型田植機を示す全体平面図
【図3】粉粒体供給装置を示す正面図
【図4】粉粒体供給装置を示す平面図
【図5】粉粒体供給装置を示し、機体前後方向に沿う上下方向での断面図
【図6】粉粒体供給装置を示し、機体前後方向に沿う上下方向での断面図
【図7】粉粒体供給装置における姿勢変更機構部分を示す水平方向での断面図
【図8】粉粒体供給装置における左側面図
【図9】粉粒体供給装置における左側面図
【図10】起風搬送手段を示す平面図
【図11】起風搬送手段の排出ダクト側を示す正面図
【図12】排出ダクトを示す上下方向の断面図
【図13】起風搬送手段の分岐ダクト付近を示す水平方向での断面図
【図14】分岐ダクトを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図
【図15】搬送ダクトの短尺パイプを示し、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は(a)におけるc−c線断面図
【図16】搬送ダクトの連結具を示し、(a)は側面図、(b)は正面図
【図17】導風ガイド部材を示し、(a)は断面図、(b)は背面図、(c)は側面図
【図18】搬送ダクトの連結具を示し、(a)は一部切り欠き断面図、(b)は組み付け状態を示す一部切り欠き断面図
【図19】搬送ダクトの連結具の組み付け状態を示す図18(b)におけるXIX−XIX線断面図
【図20】肥料ホッパーを示し、(a)は機体左右方向に沿う上下方向での断面図、(b)は平面図
【図21】肥料ホッパーを示し、機体左右方向に沿う上下方向での断面図
【図22】肥料ホッパーの連結機構を示す側面図
【図23】連結機構を示す分解斜視図
【図24】苗植付装置の施肥箇所を示す上下方向の断面図
【図25】図24におけるXXV-XXV線断面図
【図26】肥料ホッパーの別実施形態を示し、(a)は機体左右方向に沿う上下方向での断面図、(b)は平面図
【図27】吸気ダクトの別実施形態を示す乗用型田植機の平面図
【図28】吸気ダクトの別実施形態を示す一部切り欠き側面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
〔作業機の全体構成〕
図1及び図2は、本発明の粉粒体供給装置Aを適用した作業機の一例である乗用型田植機を示している。
この乗用型田植機は、操向操作自在な左右一対の前輪11及び左右一対の後輪12を備えた走行機体1の車体フレーム10の前部側に、エンジン13及びミッションケース14を備えている。走行機体1の中央部にステアリングハンドル等を装備した操縦部15と運転座席16とを設け、走行機体1を構成する車体フレーム10の後部における後部ステップ18上に前記粉粒体供給装置Aが配置されている。
【0019】
エンジン13の左右両側、及び操縦部15と運転座席16との間、ならびに運転座席16の左右両側には、前記後部ステップ18よりも低く位置させた、ほぼ平坦なステップ部分を有した運転部ステップ17が設けられている。この運転部ステップ17のさらに外側で前記エンジン13の配設箇所と対向する左右箇所に予備苗のせ台26が配設されている。
【0020】
車体フレーム10の後部側では、車体フレーム10を構成する左右一対の支持フレーム板10Bが、同じく車体フレーム10を構成するメインフレーム10A上に立設してあり、この支持フレーム板10Bに一端側を枢支連結したリンク機構19の他端側に、作業装置Bの一例である苗植付装置2を装着することにより乗用型田植機を構成している。前記リンク機構19は、リフトシリンダ19aを備えていて、苗植付装置2を走行機体1に対して昇降操作自在に連結している。
図2に示すように、苗植付装置2は8条植えに構成されており、4個の植付伝動ケース20、植付伝動ケース20の左右両側に回転駆動自在に支持される回転ケース21、回転ケース21の両端に配備される一対の植付爪22、5個の接地フロート23、及び苗のせ台24等によって構成してある。
【0021】
〔粉粒体供給装置の構成〕
次に、粉粒体供給装置Aの構成について説明する。
粉粒体供給装置Aは、被搬送物である粉粒体としての肥料を貯留して所定量ずつ繰り出し供給するための施肥装置3と、風力で粉粒体を作業装置B側に搬送するための起風搬送手段4とによって構成されている。これらの施肥装置3及び起風搬送手段4が、図1及び図2に示すように、走行機体1の後部で、運転座席16の後側近くにおいて左右に並べて配置され、車体フレーム10上に設けた支持枠5によって支持されている。
【0022】
〔施肥装置〕
施肥装置3は、図3乃至図5に示すように、肥料を貯留する透明樹脂製の肥料ホッパー30と、その肥料ホッパー30の下側に配置された4個の肥料繰出し機構32を内装する繰り出しケース31とを備えている。
前記肥料繰出し機構32は、外周に粉粒体入込み用の凹部33aが周方向に沿って多数形成された繰出しロール33を、繰り出しケース31の粉粒体排出口31Aよりも低い位置で、かつ、漏斗部34(肥料供給経路の始端部の一例)の上方に回転可能に配置してある。尚、図5中の符号32aは、繰り出しロール33の周面に摺接して、すり切り作用するブラシである。
【0023】
前記肥料繰出し機構32への駆動力は、ミッションケース14からの駆動力が、図示しないワンウェイクラッチ機構などを備えた伝動機構を介して繰り出し用駆動軸35に伝えられる。そして、この繰り出し用駆動軸35の間欠回転に伴って繰り出しロール33が回転駆動されることにより、肥料繰出し機構32の駆動が行われるように構成してある。
これにより、繰り出しロール33の凹部33aに、肥料ホッパー30に貯留されていた肥料が入り込み、繰り出し用駆動軸35の間欠的な回転に伴って肥料が漏斗部34に繰出される。そして、漏斗部34に繰出された肥料は、後述する起風搬送手段4の電動ブロア40からの高圧の風が、搬送ダクト41を介して漏斗部34に供給されることにより、その高圧の風で前記漏斗部34の出口側の筒状部材37から作業装置B側へ送り出される。つまり、この筒状部材37には、苗植付装置2の作溝器25に対して肥料を供給するための供給ホース39が連結されるものであり、この筒状部材37が前記供給ホース39に対する連結部に相当する。
【0024】
前記筒状部材37は、前記供給ホース39が接続される筒状接続部37aの他端側に、前記漏斗部34の出口側における球面状の受け部34bに内接する球面状の内部接続部37bを備えて、漏斗部34に対して相対移動自在に支持されている。つまり、前記筒状部材37の球面状の内部接続部37bと、漏斗部34側の球面状の受け部34bとによって、前記供給ホース39の前記筒状部材37に対する接続状態を維持したままで接続姿勢を変更可能にするための姿勢変更機構36を構成している。
前記漏斗部34の球面状の受け部34bは、図5に示すように球面の最大径部分で分割可能に構成してあり、この受け部34bを分割することで前記内部接続部37bの着脱を行えるように構成してある。
【0025】
図5及び図13乃至図15に示すように、前記粉粒体排出口31Aは、漏斗部34の上手側で繰り出しロール33よりも上方位置に、肥料ホッパー30内の残留肥料を後述する排出ダクト42側へ排出するための合流用流路rを構成するように設けられている。そして、この粉粒体排出口31Aには、肥料ホッパー30内に存在する肥料を前記繰り出しロール33を経ずに外部へ排出する状態と、その排出を阻止する状態とに切換操作自在な開閉操作機構38(被搬送物合流用開閉手段の一例)が備えられるのであるが、この開閉操作機構38は、粉粒体排出口31A自体に装着されるのではなく、後述する起風搬送手段4の一部に備えられていて、粉粒体排出口31Aに対して外部から装着可能に構成してある。
また、肥料ホッパー30内の残留肥料を排出ダクト42側へ排出するための合流用流路rを構成する前記粉粒体排出口31A、及び排出ダクト42側の合流用流路rを構成する粉粒体合流口部42cは、肥料ホッパー30を図6に示すように後傾姿勢に姿勢変更した状態でも、図5に示すように元の肥料供給時の姿勢に戻した状態でも、残留肥料が流れ易いように、排出ダクト42側が低くなる傾斜を有した状態に形成されている。
【0026】
上記のように構成された開閉操作機構38は、通常の苗の植付作業時には、図5の実線で示す閉姿勢に操作しておき、肥料ホッパー30からの肥料を漏斗部34に繰り出されるようにする。そして、通常の苗の植付作業を終了した場合等において、苗植付装置2の駆動(具体的にはPTO軸(図外)の駆動)を停止させた状態で、図5の仮想線で示すように開閉操作機構38を開姿勢に操作すると、肥料ホッパー30に残存していた肥料が粉粒体排出口31Aから外部へ排出される。
【0027】
〔起風搬送手段〕
肥料繰出し機構32から繰り出された肥料(粉粒体)を風力で作業装置B側へ搬送するための起風搬送手段4は次のように構成されている。
図3〜図5、及び図8、図9に示すように、起風搬送手段4は、起風用の電動ブロア40と、粉粒体を作業装置B側へ搬送するための供給経路となる搬送ダクト41と、粉粒体を外部へ搬出するための排出経路となる排出ダクト42とを備えて構成されている。
【0028】
電動ブロア40は、電動モータ40aで駆動される起風翼(図示せず)の回転軸心yを上下方向に沿わせた状態で配置してあり、下向きの吸気口40bから外気を取り込み、走行機体1の左横一側方から他側方へ向けて搬送風を吹き出すように、水平方向で横向きに開口する送気口40cを備えている。
この電動ブロア40の前記送気口40cに対して、二股に分岐した分岐ダクト43と、供給経路を構成する搬送ダクト41と、排出経路を構成する排出ダクト42とで構成された導風管4Aが接続されている。
前記吸気口40bには、図2に示すように、エンジン13近くに吸い込み用開口を備えて、エンジン13周辺の暖められた外気を吸引するように吸気ダクト27が接続してある。この吸気ダクト27は、電動ブロア40と接続される側の端部に蛇腹状の可撓性を有した筒部分27cを備えて作製され、前記電動ブロア40の姿勢変化を許容できるように変形可能に構成してある。
【0029】
前記分岐ダクト43には、図13及び図14に示すように、電動ブロア40の送気口40cに対して嵌合する受け入れ側接続口43aと、前記搬送ダクト41に対して接続される供給側接続口43bと、排出ダクト42に対して接続される排出側接続口43cとが、それぞれ形成されている。したがって、電動ブロア40からの送風が前記搬送ダクト41と排出ダクト42とのそれぞれに分岐供給されるように構成されている。
上記供給側接続口43bと排出側接続口43cとのうち、供給側接続口43bは、電動ブロア40の起風翼が回転する回転面と同一の回転面上で、前記電動ブロア40の送気口40cにほぼ対向する状態に位置していて、その送気口40cからの送風方向の延長線Lにほぼ沿う方向で搬送ダクト41内に風を送り込むように構成されている。
【0030】
また、前記分岐ダクト43に形成された供給側接続口43bと排出側接続口43cとのうち、排出側接続口43cは、図13及び図14に示すように、平面視で前記送気口40cからの送風方向の延長線Lに対して横方向に外れた箇所に位置しているとともに、図11及び図14に示すように、上下方向でも電動ブロア40の起風翼が回転する回転面よりも上方側へ外れた箇所に位置する状態で設けられている。
そして、前記送気口40cに接続される受け入れ側接続口43aから排出側接続口43cへの送風経路は、図14に示すように、受け入れ側接続口43aと排出側接続口43cとが滑らかな曲線で連なるように形成してある。かつ、この分岐ダクト43内における送風方向に直交する方向での流路断面積は、排出ダクト42内における流路断面積よりも分岐ダクト43内での流路断面積が大であるように形成されている。また、分岐ダクト43内においては、供給側接続口43bの近くを除いて送風方向での上手側ほど流路断面積が大であるように形成されている。
【0031】
前記分岐ダクト43内には、前記電動ブロア40の送気口40Cから供給される風を、供給経路側か排出経路側かのいずれかの側に切り換えて供給するための経路切換弁44(排出ダクト42に対する送風給排手段に相当)が装備されている。
この経路切換弁44は、図13及び図14に示すように、分岐ダクト43内を上下に貫通する操作軸44aと、その操作軸44aの上下方向の軸心y2周りで回動操作自在に装備された板状の弁体44bとで構成されている。前記弁体44bは、図13(a)に示す供給経路開放姿勢と、同図(b)に示す排出経路開放姿勢とにわたって、ほぼ90度の範囲で姿勢切換可能に構成されている。また、分岐ダクト43の内面側には、前記弁体44bの姿勢変更範囲の両側における限度位置で接当する段部43d,43dが形成されていて、その段部43d,43dとの接当によって、前記弁体44bの排出経路開放姿勢と供給経路開放姿勢とが安定的に維持されるように構成してある。
【0032】
〔搬送ダクト〕
分岐ダクト43に接続された搬送ダクト41と排出ダクト42とのうち、搬送ダクト41は、図10、及び図15〜図19に示すように構成してある。
すなわち、搬送ダクト41は、複数本の短尺パイプ41Aを、環状の連結具41Bを介して同心状に接続することにより、所定長さの連続した筒状に形成したものである。
【0033】
個々の短尺パイプ41Aは、図15に示すように、両端部に係止用小突起41aを備え、長手方向の中間部に、後述する導風ガイド部材45を嵌め込み状態で固定するための取付孔41dを形成してある。
そして、環状の連結具41Bには、図16及び図18に示すように、互いに隣接する短尺パイプ41Aが対向端部を突き合わせた状態で、その対向端部近くの外周位置に形成されている一対の係止用小突起41a,41aを係入する2本のカム状の切り欠き41b,41bを形成してある。
したがって、図18及び図19に示すように、端部同士を突き合わせ状態に位置させた一対の短尺パイプ41A,41Aのうち、まず、一方の短尺パイプ41Aの係止用小突起41aを、連結具41Bの一方のカム状の切り欠き41bに係合させ、次に、他方の短尺パイプ41Aの係止用小突起41aを、連結具41Bの他方のカム状の切り欠き41bに係合させることによって、互いに隣接位置する一対の短尺パイプ41A,41A同士を連結することができる。
上記端部同士を突き合わせ状態に位置させた一対の短尺パイプ41A,41Aは、その対向端部近くが少し拡径されていて、その拡径部分41eの内周側に、一対の裏当て部材41C,41Cが装着されている。この裏当て部材41C,41Cの内径は、前記短尺パイプ41A,41Aの前記拡径部分41eを除く箇所の内径と同一寸法に形成されており、搬送ダクト41の内周面が無用な段差部分等のない滑らかな面となるように構成してある。
尚、図18及び図19に示す符号41cは、環状の連結具41Bの外周を把持して回転操作する際の滑り止め用のリブである。
【0034】
前記短尺パイプ41Aの長手方向の中間部に形成された取付孔41dに装着される導風ガイド部材45は、全体がゴム製材料からなる一体物で形成されている。そして、この導風ガイド部材45には、図7及び図17に示すように、台座部分45aの一側に、短尺パイプ41Aに形成された取付孔41d内に嵌入される2つの筒状ガイド部45b、45bを一体形成してあり、台座部分45aの他側に、施肥装置3の漏斗部34に形成された搬送風取り入れ口34aに対して外嵌する凹部45cを形成してある。
したがって、このゴム製の導風ガイド部材45の前記前記2つの筒状ガイド部45b、45bを、短尺パイプ41Aの長手方向の中間部に形成された取付孔41dに嵌入することにより、搬送ダクト41に対する導風ガイド部材45の取付を行うことができる。そして、図5及び図7に示すように、前記導風ガイド部材45の凹部45cを漏斗部34に形成された搬送風取り入れ口34aに外嵌させることにより、施肥装置3の漏斗部34に対する搬送ダクト41の接続をも行うことができる。このように、ゴム製の導風ガイド部材45は、搬送風の取り入れを行いやすくするための搬送風ガイドとしての役割の他、施肥装置3の漏斗部34に対する搬送ダクト41の接続手段、及び、その箇所でのシール部材としての役割をも果たすことになる。
【0035】
前記2つの筒状ガイド部45b、45bは、搬送風の流れ方向の前後に位置に配置されているものであるが、そのうちの搬送風の流れ方向で上手側に位置する筒状ガイド部45bよりも、下手側に位置する筒状ガイド部45bが台座部分45aから大きく突出するように形成されている。
そして、個々の筒状ガイド部45b,45bにおいても、搬送風の流れ方向での上手側からの搬送風取り込みを良好に行えるように、各筒状ガイド部45b、45bの筒状の外周面が、下手側に向く面よりも上手側に向く面が低くなるように切り欠かれた形状にしてある。また、各筒状ガイド部45b、45bの筒状の外周面の突出端側は、先端側ほど細くなる部分的な円錐面に形成されていて、搬送ダクト41内を流れる搬送風の向きを滑らかに変更して漏斗部34側へ取り込み易く形成されている。
【0036】
尚、上記搬送ダクト41では、その搬送方向終端側を閉塞する必要から、この実施形態では、図4及び図10に示すように、最終端側の短尺パイプ41Aとして、終端側の端部が閉塞された特殊形状のものを用いているが、このような構造に限らず、両端開放の短尺パイプ41Aの終端側に別途閉塞用部材を装着するようにしてもよい。
【0037】
〔排出ダクト〕
分岐ダクト43に接続された搬送ダクト41と排出ダクト42とのうち、排出ダクト42は、図3、図4、図5、及び図10〜図13に示すように構成してある。
すなわち、排出ダクト42は、複数本の短尺パイプ42A,42Bを同心状に接続することにより、所定長さの連続した筒状に形成し、かつ、終端部に着脱可能な終端パイプ42Cを接続して構成してある。
この排出ダクト42の場合は、前記搬送ダクト41のような環状の連結具41Bを用いて連結したものではなく、短尺パイプ42A,42B同士、及び終端パイプ42Cの端部形状を工夫して連続した筒状の排出ダクト42を構成している。
【0038】
つまり、排出ダクト42は、短尺パイプ42A,42Bとして、単一種の端部形状のものだけを用いたのではなく、図10、図11、及び図12に示すように、両端側に部分的に拡径された段付き端部42aを備えた第1短尺パイプ42Aと、全体が直管状に形成された第2短尺パイプ42B、及び一端側が前記第1短尺パイプ42Aに挿嵌され、他端側が外部に開放される終端パイプ42Cとの組み合わせで構成されている。
したがって、これらの第1短尺パイプ42Aと第2短尺パイプ42Bを、図10、及び図11に示すように交互に組み合わせて接続し、最終端部に前記終端パイプ42Cを接続することにより、長尺の排出ダクト42が構成される。
【0039】
前記短尺パイプ42A,42Bのうち、第1短尺パイプ42Aには、図5及び図13に示すように、その長手方向の中間部に、肥料ホッパー30の粉粒体排出口31Aに対して接続される粉粒体合流口部42cと、合流される粉粒体を搬送風の流動方向における下手側へ向けて案内する傾斜ガイド部42dとを一体に形成してある。
このように、第1短尺パイプ42Aを形成したことにより、排出ダクト42の筒状の内部に、前記粉粒体合流口部42cと傾斜ガイド部42dとで構成される合流用流路rの、ほぼ矩形の出口開口が入り込んだ状態に形成される。これによって、図13(b)に示すように排出ダクト42に導入された風が、傾斜ガイド部42の斜面に沿って、あるいは粉粒体合流口部42cの横側部に沿って流れ、合流用流路rから排出される残留肥料を吸引しながら終端側へ搬送するので、残留肥料が繰り出しケース31側へ舞い戻る虞が少ない。
【0040】
第2短尺パイプ42Bは、全体が直管状に形成されていて、その両端側が対向する前記第1短尺パイプ42Aの端部に形成されている段付き端部42aに内嵌する状態で接続され、かつ、その第2短尺パイプ42Bの端部の外周面と、前記記第1短尺パイプ42Aの端部に形成されている段付き端部42aとの間には、シール部材42bが挟着されている。
そして、第2短尺パイプ42Bの直管状のパイプ本体部分の内周面は、前記第1短尺パイプ42Aの段付き端部42aや傾斜ガイド部42dを除くパイプ内周面と同径に形成されていて、排出ダクト42に内周面側が連続した滑らかな流路が形成されるように構成してある。
【0041】
前記第1短尺パイプ42Aの粉粒体合流口部42cには、前記粉粒体排出口31Aを開閉操作するための開閉操作機構38が装着されている。この開閉操作機構38は、図5、図6、及び図10乃至図12に示すように、粉粒体排出口31Aの外側に対向する板状弁体38aと、その板状弁体38aの上端側に装着されたクランク状軸体38bと、そのクランク状軸体38bを回動操作する操作杆38c、及び押さえバネ38dで構成されている。
したがって、前記操作杆38cを図5に実線で示す閉塞位置「閉」から、仮想線で示す開放位置「開」へ回動操作して切り換えることにより、板状弁体38aを開放姿勢に切換操作することができる。また、前記クランク状軸体38bの操作部は操作杆38cに形成された長孔38eに係入されていて、前記操作杆38cとの間に設けられた押さえバネ38dで、長孔38eの下端側へ押圧付勢されていることにより、板状弁体38bの閉塞姿勢、及び開放姿勢を安定的に維持するように構成されている。
【0042】
前記第1短尺パイプ42Aは、図5及び図6に示すように、その外周側に長手方向に沿う板状の突片からなる取付板部42eを一体に備え、この取付板部42eを介して支持枠5にボルト連結され固定されている。このように第1短尺パイプ42Aが支持枠5に固定されることにより、その第1短尺パイプ42Aの間に挟まれた状態に位置する第2短尺パイプ42Bも、その長手方向、及び長手方向に直交する方向の移動規制が行われるので、排出ダクト42の全体が位置規制されることになる。
【0043】
終端パイプ42Cは、図11及び図12に示すように、L字状に屈曲させた本管42fと、その本管42fの屈曲箇所に形成した開放口42hとの間に所定間隔を隔てて開放口42hから排出される搬送風を下向きに案内するように覆うカバー体42gとを備えて構成してある。そして、前記本管42fの搬送風流れ方向の上手側端部は、最後尾の第1短尺パイプ42Aの段付き端部42aに対して嵌合させてある。
この終端パイプ42Cに、排出ダクト42内で風力搬送される粉粒体の通過を阻止して搬送風のみを通過させることにより、搬送風と粉粒体とを分離するための分離手段46が設けてある。
【0044】
この終端パイプ42Cには、排出ダクト42内で風力搬送される粉粒体の通過を阻止して搬送風のみを通過させることにより、搬送風と粉粒体とを分離するための分離手段46が設けてある。
この分離手段46は、前記開放口42hと、その開放口42hに装備された網状体46aとによって構成されている。つまり、前記開放口42hは、本管42fのうち、前記第1短尺パイプ42Aや第2短尺パイプ42Bの延長方向に沿う横向き管部分に対向する箇所で、横向き管部分内の流路全体を開放するように切り欠かれている。そして、前記網状体46aは開放口42hの全体に設けられていて、排出ダクト42内を流動する粉粒体の通過を阻止して搬送風のみを通過させるに適当な大きさの多数の通気孔を有している。
このように構成されているので、排出ダクト42内を流れる粉粒体は、前記第1短尺パイプ42Aや第2短尺パイプ42Bの延長方向に搬送されてきて、前記分離手段46としての網状体46aに接触すると、前記延長方向への移動を停止されて下方に落下し、搬送風のみが前記網状体46aを通過して前記延長方向へ吹き出される。
尚、図示はしないが、前記搬送風を下向きに案内するように覆うカバー体42gは、図12に示す状態から本管42fに対して水平方向軸心周りで上方側へ揺動自在に装着して、上方側へ大きく開放させた姿勢に姿勢変更可能に構成してもよい。このようにカバー体42gを姿勢変更可能に構成すると、そのカバー体42gを開放姿勢にして前記分離手段46のメンテナンスを行い易い。
【0045】
前記終端パイプ42Cの本管42f部分には、図10乃至図13に示すように、排出ダクト42内を流れる搬送風を、排出ダクト42の終端から外部へ排出する状態と、外部への排出を阻止する状態とに切換操作自在な流路開閉手段としての開閉弁47を設けてある。
この開閉弁47は、横向きの操作軸47aと、その操作軸47a周りに回転する円板状弁体47bとによって構成され、前記操作軸47aを外部から回動操作することにより、排出ダクト42内の終端部において、流路を開閉操作自在に構成されている。
【0046】
上記開閉弁47の開閉操作は、前記開閉操作機構38の操作杆38cの回動操作で行われるように連係機構48を設けてある。
つまり、図12に示すように、前記操作杆38cの一部に操作片48aを一体に固定し、この操作片48aの一部に連係させた連係ロッド48bと、前記開閉弁47の操作軸47aに一体的に連結した操作アーム48cを連結している。これによって、前記操作杆38cを回動操作して、前記開閉弁47を流路閉塞姿勢に切り換えると、前記開閉操作機構38が板状弁体38aを開き側に操作して、筒状部材37を開放状態に切換操作する。
したがって、排出ダクト42内に供給された搬送風は、終端側を前記開閉弁47で閉塞されているので、筒状部材37を通して肥料ホッパー30側へ逆流する状態となる。
【0047】
前記連係機構48は、上記流路開閉手段である開閉弁47と、被搬送物合流用開閉手段である板状弁体38aの開閉操作機構38とを連係させるだけではなく、送風給排手段としての経路切換弁44とも連係されている。
つまり、図10、図11、及び図13に示されているように、経路切換弁44の操作軸44aの一端側に設けた操作アーム44cと、操作杆38cの経路切換弁44の近く位置に設けた経路切換用操作片48dとを、連係ロッド48eで連係してある。
これにより、前記操作杆38cの回動操作によって、前記開閉弁47が流路閉塞姿勢に切り換えられ、前記筒状部材37が開放状態に切り換えられるにともなって、前記経路切換弁44が、排出ダクト42側に電動ブロア40の風を送る状態に切り換えられるように構成してある。したがって、前記操作杆38cは、経路切換弁44の操作部としての機能をも備えている。
【0048】
前記終端パイプ42Cの本管42f部分の下向きに開口する部分には、図示しないが軟質のホースなどで構成される肥料排出用ホースを設けてもよい。また、その肥料排出用ホースから排出される肥料を受け取る回収袋を固定するためのブラケットを、前記支持枠5の一部に、もしくは後部ステップ18の一部に設けてもよい。このとき、前記ブラケットが、平面視で前記後部ステップ18よりも機体横外側方へ突出せず、後部ステップ18の後方側に位置するように設けるのが望ましい。
【0049】
〔支持枠〕
上記の施肥装置3及び起風搬送手段4を支持する支持枠5は次のように構成されている。
すなわち、支持枠5は、図3乃至図6に示すように、走行機体1上に設置された固定枠部5Aと、その固定枠部5Aに対して機体左右方向に沿う横軸心x周りで姿勢変更可能な可動枠部5Bとの組み合わせで構成されている。
前記固定枠部5Aは、前記可動枠部5Bの前方側を支持する前側支柱51と、後方側を支持する後側支柱52とで構成してあり、前記可動枠部5Bは、走行機体1上で左右方向に並設される肥料ホッパー30を支持するように横長の格子状に形成された上部矩形フレーム50Bと、その上部矩形フレーム50Bの後方側で下向きに一体連設されていて、前記後側支柱52の上端側に接続される支持脚部50Aとで構成されている。
【0050】
前記前側支柱51及び後側支柱52は、下端側が車体フレーム10側に固定されている。そして、前側支柱51及び後側支柱52のうち、後部支柱52は前部支柱51よりも短く形成されていて、この後部支柱52の上端側に前記可動枠部5Bの支持脚部50Aが横軸心x周りで揺動自在に支持されている。
したがって、可動枠部5Bは、図8に示すように前端側が前側支柱51に支持された通常作業姿勢と、図9に示すように、前記横軸心x周りで後方側に傾倒したメンテナンス用姿勢とに姿勢切換可能に構成されている。
【0051】
前記可動枠部5Bのメンテナンス用姿勢への切換は、前側支柱51による格子状枠体52の支持を解除する必要があるが、この解除は次のようにして行われる。
前側支柱51は、可動枠部5B側に揺動可能に装着したフック部材53aと、そのフック部材53aが係合するように前側支柱51側に設けられている係止ピン53bとからなる係脱機構53によって、互いに係合連結された状態と、その係合連結を解除された状態とに切換可能に構成されている。
したがって、図8に実線で示されているフック操作杆53cを、図9に示されているように押し下げて係止ピン53bとの係合を解除し、その状態を維持して施肥装置3の全体を前記横軸心x周りで回動させると、図6及び図9で示すように、施肥装置3の全体を後傾姿勢にしたメンテナンス用姿勢に切り換えることができる。
【0052】
このとき、施肥装置3の全体の重心Gの位置は、図9に示すように、前記横軸心x上の鉛直線y1を越えて後方側に位置した状態となっているので、メンテナンス用姿勢を維持し易い。また、図8に示すように、通常作業姿勢に位置している状態では、前記重心Gは前記鉛直線y1よりも前方側に位置しているが、低い後側支柱52の上端という低い位置の横軸心x周りで回動移動するので、例えば、前側支柱51の上端程度の高い位置の軸心周りで回動操作される場合に比べて、重心Gを持ち上げ方向に移動させながら後方側へ移動させるというような大きな操作力を必要としない。また、前記横軸心xは、その前後方向位置が肥料ホッパー30の下側に入り込む状態で配置されているので、前後方向でも前記重心Gからの離間距離が少ない。しかも、重心Gは、内部に肥料が充填されていない状態では、図8に示す符号G1のように、比較的低い位置に存在する傾向があるが、この場合でも、横軸心xが低い位置で、前方寄りに位置しているので、重心Gを上方側へ持ち上げ操作する度合いは少なくてすむ。
【0053】
可動枠部5Bには、図3乃至図6、図8、図9に示すように、施肥装置3及び起風搬送手段4が連結支持されていて、可動枠部5Bの前記横軸心x周りでの回動に伴って、前記施肥装置3及び起風搬送手段4も回動操作される。
つまり、可動枠部5Bの上部矩形フレーム50Bの前方側、及び後方側は、図5に示すように肥料ホッパー30の前後に形成されている取付ブラケット30a,30aにボルト連結されている。
そして、起風搬送手段4を構成する搬送ダクト41は施肥装置3の漏斗部34に連結され、排出ダクト42は、可動枠部5Bの支持脚部50Aに設けた取付ステー50aを介して各第1短尺パイプ42Aの取付板部42eが連結され、電動ブロア40は、前記搬送ダクト41及び排出ダクト42が連結された分岐ダクト43に連結固定されている。
図5及び図6に示すように、前記上部矩形フレーム50Bの前方側には、前記開閉操作機構38の操作杆38cを回動操作自在に支持するための支持ブラケット50bも付設してある。
【0054】
〔粉粒体の貯留部〕
粉粒体を貯留する肥料ホッパー30は、具体的には図20乃至図23に示すように構成されている。
この構造では、複数個の中間容器単位体30Aと、端部容器単位体30Bとを、連結機構6を介して連結することにより、8条植え用の肥料ホッパー30を構成している。
【0055】
中間容器単位体30Aは、左右方向の両側壁部に連通部30Cを備えて、内部の肥料が容器内空間の上半側では左右で連通した状態となるように形成してあり、内部の肥料が容器内空間の上半側では左右何れの側にも移動可能であるように構成してある。
そして、中間容器単位体30Aの横外側に位置する端部容器単位体30Bは、前記連通部30Cが内側、つまり中間容器単位体30Aと接続される側にだけ形成してある。
【0056】
これらの中間容器単位体30Aと端部容器単位体30Bとのそれぞれは、図22に示すように、その前後両側に、支持枠5に対する連結用の左右一対の取付ブラケット30a,30aを一体形成してあり、これらの各取付ブラケット30a,30aは、何れもが各中間容器単位体30A、及び端部容器単位体30Bの前後の上端側端縁よりも外側にはみ出さないように形成してある。
【0057】
中間容器単位体30A同士、及び中間容器単位体30Aと端部容器単位体30Bとを連結するための連結機構6は、図21乃至図23に示すように、前記連通部30Cの周縁に沿う形状の連結部材60と、その連結部材60とほぼ同形状のシール部材61と、連結ボルト62とで構成されている。
この連結機構6は、前記中間容器単位体30A同士の間、もしくは中間容器単位体30Aと端部容器単位体30Bとの間にシール部材61を挟み込み、かつ、中間容器単位体30A同士の接合箇所の外側、及び中間容器単位体30Aと端部容器単位体30Bとの接合箇所の外側に前記連結部材60を嵌着して、各容器単位体30A,30B、シール部材61、及び連結部材60の全体を、連結ボルト62で共締め状態に連結して横長の肥料ホッパー30を構成する。
【0058】
〔その他〕
施肥装置3の供給ホース39を介して肥料を供給される苗植付装置2側では、図24及び図25に示すように、供給ホース39と作溝器25との連結箇所に衝撃センサー7を備えている。この衝撃センサー7は、供給ホース39から肥料の粒が放出されているか否かを、肥料の粒の衝突による衝撃を検出することで感知するためのものであり、肥料詰まりの検出に役立つ。
この衝撃センサー7は、前記供給ホース39と作溝器25との接続箇所に設けられる蛇腹状のカバー体70に支持させてあり、機体の振動などが前記衝撃センサー7に伝わりにくいように構成してある。
【0059】
前記施肥装置3の肥料繰出し機構32の駆動は、ミッションケース14からの駆動力を適宜の伝動機構を用いて伝達すればよいことは既述した通りであり、その伝動機構の構造や伝達経路などは本発明の要旨とは関係ないので説明は省略するが、通常は、ミッションケース14から適宜伝動軸(図外)を延出して、中間に間欠回転機構を介装して肥料繰り出し機構31の駆動軸35に軸伝動する構造などが一般的である。
【0060】
〔別実施形態の1〕
図26(a),(b)は、6条植型式の乗用型田植機において用いられる肥料ホッパー30を示している。
この構造では、中間容器単位体30Aとして、左右の端部容器単位体30Bと同容量の容積ではあるが、細長い形状の一つの容器によって構成されたものを採用している。これは、乗用型田植機が6条植となることによって、ホイールベースが短くなり、運転座席16と肥料ホッパー30との間におけるスペースに余裕がない構造に対応させるための構造であり、図26(b)に示すように、運転座席16の後方側に対応する中間容器単位体30Aが凹入した形状となるように構成してある。その他、左右の端部容器単位体30Bの構造や、中間容器単位体30Aと左右の端部容器単位体30Bとの連結構造などは前述した8条植用の肥料ホッパーと同様である。
【0061】
〔別実施形態の2〕
上記の実施の形態では、分離手段46として網状体46aで構成したものを例示したが、これに限らず、例えば、パンチングメタルによって構成したり、サイクロン構造にして粉粒体と搬送風とを分離させたり、あるいは、排風ダクト42内の送風距離を長くしたり、方向変換するなどして、電動ブロア40による放出エネルギーを消失させて、途中で殆どの粉粒体が自重落下するようにしてもよい。
【0062】
〔別実施形態の3〕
また、分離手段46として網状体46aなどの通気孔を有した構造を用いた場合に、網状体46aによって粉粒体の全てを捕捉するように構成したものに限らず、所定の大きさ以上の粒径を有した粉粒体を捕捉して分離し、微細な粒径の粉粒体は搬送風とともに別経路へ放出するようにしてもよい。
【0063】
〔別実施形態の4〕
電動ブロア40の吸気側に連結される吸気ダクト27は、実施形態のような専用の吸気ダクト27を用いたものに限らず、例えば図27、図28に示すように構成してもよい。
この構造では、後部ステップ18をブロー成型されたステップで構成し、内部に空間を有している。ブロー成型品からなる後部ステップ18の前端部下部にエンジン13側から外気を導入する前部吸気ダクト27aを下側から接続してあり、後部ステップ18の後部側に電動ブロア40の吸気部40bと連通接続される後部吸気ダクト27bを設けてある。
つまり、ブロー成型によって内部に密閉された空間を有する後部ステップ18自体の内部空間を吸気ダクト27として利用している。
【0064】
〔別実施形態の5〕
前記実施形態では、流路開閉手段である開閉弁47、及び送風給排手段としての経路切換弁44の操作を、被搬送物合流用開閉手段である板状弁体38aの開閉操作機構38の操作に、連係機構48を介して連係させた構造のものを例示したが、連係機構48としては、例示した操作片48a,48dや連係ロッド48b,48e、あるいは操作アーム48cに限らず、連係ワイヤーや電気的連係手段などの各種のものを採用してもよい。
また、このような連係構造をとらず、全てを別々の操作で独立的に操作するように、あるいは一部のみを連係させるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の粉粒体供給装置は、実施形態で示したように、走行車体に肥料供給装置として搭載して乗用型田植機として用いることができる。また、肥料ではなく薬剤を供給する装置として構成することもでき、その薬剤供給装置を走行車体に搭載して、薬剤散布装置として用いることもできる。あるいは、種籾を供給するための手段として本発明の粉粒体供給装置を用い、直播機として構成することもできる。
その他、水田作業用とは限らず、田畑で肥料や薬剤、あるいは種籾などの粉粒体を散布するための手段として本発明の粉粒体供給装置を用いても良い。
【符号の説明】
【0066】
3 施肥装置
4 起風搬送手段
5 支持枠
5A 固定枠部
5B 可動枠部
30 肥料ホッパー
31 繰り出しケース
31A 粉粒体排出口
32 繰出し機構
33 繰り出しロール
34 漏斗部
40 電動ブロア
41 搬送ダクト
42 排出ダクト
x 横軸心
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体からなる被搬送物を風力搬送によって搬送する供給経路と、その供給経路とは別に被搬送物を風力搬送によって搬送する排出経路とを備えて、粉粒体の貯留部内の残留粉粒体を風力によって取り出し可能に構成した粉粒体供給装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように、供給経路とは別に風力搬送による排出経路を備える粉粒体供給装置としては、従来より下記[1]に記載のものが知られている。
[1] 粉粒体からなる被搬送物を風力搬送によって搬送する供給経路としての搬送ダクトと、その供給経路とは別に粉粒体からなる被搬送物を風力搬送によって搬送する排出経路としての排出ダクトとを備え、搬送ダクト側と排出ダクト側との何れかに電動ブロアの送風方向を切り換えて、被搬送物を供給経路に供給するか、排出経路から取り出すかを選択できるようにしたもの(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−29214号公報(段落「0008」、図5,6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記[1]に記載の従来技術のように、搬送ダクト側と排出ダクト側との何れかに電動ブロアの送風方向を切り換えて、被搬送物を供給経路に供給するか、排出経路から取り出すかを選択できるようにすると、貯留部に残留している被搬送物を、風力を利用して簡単に排出できる点では有用なものである。
しかしながら、上記従来の構造のものでは、電動ブロアから搬送ダクト側と排出ダクト側とに搬送風を供給する際の分岐用の経路内における流路断面積が、搬送ダクトや排出ダクトの流路断面積と同程度に形成されていた。このため、各ダクトに対する電動ブロア及び経路切換弁の配設位置や送風方向が一方のダクト側に偏った状態であると、他方側のダクト内に供給される搬送風の供給圧が大きく低下して、搬送性能が低下する虞があった。
したがって、このような構造のものでは、電動ブロアからの搬送風供給圧として、何れの側のダクト内流路でも所要の圧が作用するように、各ダクトに対する電動ブロア及び経路切換弁の配設位置や送風方向を厳密に設定する必要があり、電動ブロア及び経路切換弁の配設位置や姿勢の取付精度を向上させなければならない煩わしさがあった。
【0005】
本発明の目的は、被搬送物の供給を風力搬送によって行う構造の粉粒体供給装置において、その風力搬送のための風を残留粉粒体の取り出しにも利用できるようにするにあたり、電動ブロアなどの取付精度の煩雑さを招くことなく、搬送ダクト側と排出ダクト側との何れの側に搬送風の供給方向を切り換えた場合にも良好な被処理物搬送が行えるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明による粉粒体供給装置では、下記の技術手段を講じたものである。
〔解決手段1〕
本発明の粉粒体供給装置は、粉粒体からなる被搬送物を風力搬送によって搬送する供給経路と、その供給経路とは別に粉粒体からなる被搬送物を風力搬送によって搬送する排出経路とを備えるとともに、起風用の電動ブロアから供給される搬送風を前記供給経路と排出経路とに選択して送り込む分岐経路を備え、前記分岐経路の断面積を前記供給経路及び排出経路の断面積よりも大きくしたものである。
【0007】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記のように、起風用の電動ブロアから供給される搬送風を前記供給経路と排出経路とに選択して送り込む分岐経路の断面積を、供給経路や排出経路の流路断面積よりも大きくしたことにより、次のような作用及び効果がある。
すなわち、電動ブロアから供給される搬送風の全量がそのまま流路断面積や流動方向を変化させることなく供給経路もしくは排出経路に供給される場合には、搬送風の全圧が選択された経路側に導入されることになる。しかしながら、搬送風の動圧の影響が最も大きい分岐経路で搬送風の導入すべき経路を選択する構造では、電動ブロアや経路切換弁の取付位置や姿勢などの取付精度による影響で、動圧が大きく変化して、選択した経路側での全圧が所定通りに設定されないことがある。
これに対して本発明では、電動ブロアから供給される搬送風の動圧の影響が最も大きい分岐経路内に流路断面積の大きい部分を設けて、この箇所で動圧の一部を静圧に変化させることにより、全圧中の静圧の割合を大きくしている。このように、搬送風の全圧のうちで、電動ブロアや経路切換弁の位置や姿勢による影響を受けにくい静圧の占める割合を増すことで、取付精度による影響を少なくすることができる。
【0008】
したがって、電動ブロアから供給経路側もしくは排出経路側のダクトへの送風経路途中で、流路断面積が大きくなる箇所を設けることによって、動圧の一部を静圧に変化させて、搬送風の全圧対する静圧の割合を大きくし、電動ブロアや経路切換弁の位置や姿勢が搬送経路内の圧力設定に及ぼす影響を少なし、これらの取付を簡易に行える利点がある。
また、このように電動ブロアや経路切換弁の位置や姿勢による影響を少なくすることにより、設計上の自由度が増す点でも有用である。
【0009】
〔解決手段2〕
解決手段2にかかる発明では、上記の粉粒体供給装置において、車体フレーム側に固定設置された固定枠部と、その固定枠部に対して水平方向に沿う横軸心周りに傾動して姿勢変更可能な可動枠部とで構成された支持枠を備え、粉粒体の貯留部と、その粉粒体を所定量ずつ送り出す繰り出し機構とからなる粉粒体送り出し装置を、前記可動枠部側に支持させて姿勢変更可能に構成するとともに、起風用の電動ブロアと、分岐経路、供給経路、及び排出経路を備える導風管とからなる起風搬送手段を前記可動枠部側に支持させてあることを特徴とする。
【0010】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
解決手段2にかかる発明では、粉粒体送り出し装置と起風搬送手段とを共に、固定枠部に対して水平方向に沿う横軸心周りに傾動して姿勢変更可能な可動枠部側に支持させてある。そのため、前記粉粒体送り出し装置を前記横軸心周りで傾倒させたメンテナンス作業時に、前記起風搬送手段も同様に前記横軸心周りで傾倒させた姿勢となるので、このメンテナンス作業時にも起風搬送手段を用いることができる。
その結果、メンテナンス作業時に前記電動ブロアによる搬送風を、残留粉粒体の排出の他、排出ダクト部分や粉粒体貯留部の掃除や、水洗い後の乾燥用などにも利用することができる利点がある。
【0011】
〔解決手段3〕
解決手段3にかかる発明では、上記の粉粒体供給装置において、可動枠部の回動支点である横軸心方向視で、この横軸心と重なる位置に電動ブロアを配設してあることを特徴とする。
【0012】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
解決手段3にかかる発明では、可動枠部の回動支点である横軸心と重なる位置に電動ブロアを配設してあるので、可動枠部ごと前記粉粒体送り出し装置と起風搬送手段とを傾動させても、前記電動ブロアは、前記横軸心周りで回動してその傾きを変化させるだけであまり大きく移動しない。
したがって、比較的大きな電動ブロアを移動させるようにしたものでありながら、その電動ブロアがあまり大きく移動することを避けられ、この電動ブロアを移動させるためのスペースを走行機体上に確保する必要がなく、スペースの利用効率上のロスを避けられる利点がある。
【0013】
〔解決手段4〕
解決手段4にかかる発明では、上記の粉粒体供給装置において、繰り出し機構を内装する繰り出しケース側の粉粒体排出口を、繰り出し機構を構成する繰り出しロールの軸心と繰り出しケース上端との間の位置に設けてあることを特徴とする。
【0014】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
解決手段4にかかる発明では、繰り出しケース側の粉粒体排出口を、繰り出し機構を構成する繰り出しロールの軸心と繰り出しケース上端との間の位置に設けてあるので、粉粒体送り出し装置の回動支点周りの傾動によって貯留部に残留する粉粒体の殆どを排出することができる。したがって、貯留部からの残留粉粒体の排出を効率良く行うことができ、メンテンス作業を能率良く行える利点がある。
【0015】
〔解決手段5〕
解決手段5にかかる発明では、上記の粉粒体供給装置において、可動枠部の回動支点である横軸心は、前後方向で繰り出しロールよりも粉粒体排出口側寄りの箇所に設けてあることを特徴とする。
【0016】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
解決手段5にかかる発明では、可動枠部の回動支点である横軸心は、前後方向で繰り出しロールよりも粉粒体排出口側寄りの箇所に設けてあるので、粉粒体送り出し装置の前記回動支点周りでの傾動によって、回動支点から遠い位置の繰り出しロール側が大きく上方側へ移動し、回動支点に近い側の粉粒体排出口は、相対的に低く位置することになる。
その結果、繰り出しロールの上部付近に残留する粉粒体が、より確実に粉粒体排出口側へ排出されやすくなる利点がる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の粉粒体供給装置を適用した乗用型田植機を示す全体側面図
【図2】本発明の粉粒体供給装置を適用した乗用型田植機を示す全体平面図
【図3】粉粒体供給装置を示す正面図
【図4】粉粒体供給装置を示す平面図
【図5】粉粒体供給装置を示し、機体前後方向に沿う上下方向での断面図
【図6】粉粒体供給装置を示し、機体前後方向に沿う上下方向での断面図
【図7】粉粒体供給装置における姿勢変更機構部分を示す水平方向での断面図
【図8】粉粒体供給装置における左側面図
【図9】粉粒体供給装置における左側面図
【図10】起風搬送手段を示す平面図
【図11】起風搬送手段の排出ダクト側を示す正面図
【図12】排出ダクトを示す上下方向の断面図
【図13】起風搬送手段の分岐ダクト付近を示す水平方向での断面図
【図14】分岐ダクトを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図
【図15】搬送ダクトの短尺パイプを示し、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は(a)におけるc−c線断面図
【図16】搬送ダクトの連結具を示し、(a)は側面図、(b)は正面図
【図17】導風ガイド部材を示し、(a)は断面図、(b)は背面図、(c)は側面図
【図18】搬送ダクトの連結具を示し、(a)は一部切り欠き断面図、(b)は組み付け状態を示す一部切り欠き断面図
【図19】搬送ダクトの連結具の組み付け状態を示す図18(b)におけるXIX−XIX線断面図
【図20】肥料ホッパーを示し、(a)は機体左右方向に沿う上下方向での断面図、(b)は平面図
【図21】肥料ホッパーを示し、機体左右方向に沿う上下方向での断面図
【図22】肥料ホッパーの連結機構を示す側面図
【図23】連結機構を示す分解斜視図
【図24】苗植付装置の施肥箇所を示す上下方向の断面図
【図25】図24におけるXXV-XXV線断面図
【図26】肥料ホッパーの別実施形態を示し、(a)は機体左右方向に沿う上下方向での断面図、(b)は平面図
【図27】吸気ダクトの別実施形態を示す乗用型田植機の平面図
【図28】吸気ダクトの別実施形態を示す一部切り欠き側面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
〔作業機の全体構成〕
図1及び図2は、本発明の粉粒体供給装置Aを適用した作業機の一例である乗用型田植機を示している。
この乗用型田植機は、操向操作自在な左右一対の前輪11及び左右一対の後輪12を備えた走行機体1の車体フレーム10の前部側に、エンジン13及びミッションケース14を備えている。走行機体1の中央部にステアリングハンドル等を装備した操縦部15と運転座席16とを設け、走行機体1を構成する車体フレーム10の後部における後部ステップ18上に前記粉粒体供給装置Aが配置されている。
【0019】
エンジン13の左右両側、及び操縦部15と運転座席16との間、ならびに運転座席16の左右両側には、前記後部ステップ18よりも低く位置させた、ほぼ平坦なステップ部分を有した運転部ステップ17が設けられている。この運転部ステップ17のさらに外側で前記エンジン13の配設箇所と対向する左右箇所に予備苗のせ台26が配設されている。
【0020】
車体フレーム10の後部側では、車体フレーム10を構成する左右一対の支持フレーム板10Bが、同じく車体フレーム10を構成するメインフレーム10A上に立設してあり、この支持フレーム板10Bに一端側を枢支連結したリンク機構19の他端側に、作業装置Bの一例である苗植付装置2を装着することにより乗用型田植機を構成している。前記リンク機構19は、リフトシリンダ19aを備えていて、苗植付装置2を走行機体1に対して昇降操作自在に連結している。
図2に示すように、苗植付装置2は8条植えに構成されており、4個の植付伝動ケース20、植付伝動ケース20の左右両側に回転駆動自在に支持される回転ケース21、回転ケース21の両端に配備される一対の植付爪22、5個の接地フロート23、及び苗のせ台24等によって構成してある。
【0021】
〔粉粒体供給装置の構成〕
次に、粉粒体供給装置Aの構成について説明する。
粉粒体供給装置Aは、被搬送物である粉粒体としての肥料を貯留して所定量ずつ繰り出し供給するための施肥装置3と、風力で粉粒体を作業装置B側に搬送するための起風搬送手段4とによって構成されている。これらの施肥装置3及び起風搬送手段4が、図1及び図2に示すように、走行機体1の後部で、運転座席16の後側近くにおいて左右に並べて配置され、車体フレーム10上に設けた支持枠5によって支持されている。
【0022】
〔施肥装置〕
施肥装置3は、図3乃至図5に示すように、肥料を貯留する透明樹脂製の肥料ホッパー30と、その肥料ホッパー30の下側に配置された4個の肥料繰出し機構32を内装する繰り出しケース31とを備えている。
前記肥料繰出し機構32は、外周に粉粒体入込み用の凹部33aが周方向に沿って多数形成された繰出しロール33を、繰り出しケース31の粉粒体排出口31Aよりも低い位置で、かつ、漏斗部34(肥料供給経路の始端部の一例)の上方に回転可能に配置してある。尚、図5中の符号32aは、繰り出しロール33の周面に摺接して、すり切り作用するブラシである。
【0023】
前記肥料繰出し機構32への駆動力は、ミッションケース14からの駆動力が、図示しないワンウェイクラッチ機構などを備えた伝動機構を介して繰り出し用駆動軸35に伝えられる。そして、この繰り出し用駆動軸35の間欠回転に伴って繰り出しロール33が回転駆動されることにより、肥料繰出し機構32の駆動が行われるように構成してある。
これにより、繰り出しロール33の凹部33aに、肥料ホッパー30に貯留されていた肥料が入り込み、繰り出し用駆動軸35の間欠的な回転に伴って肥料が漏斗部34に繰出される。そして、漏斗部34に繰出された肥料は、後述する起風搬送手段4の電動ブロア40からの高圧の風が、搬送ダクト41を介して漏斗部34に供給されることにより、その高圧の風で前記漏斗部34の出口側の筒状部材37から作業装置B側へ送り出される。つまり、この筒状部材37には、苗植付装置2の作溝器25に対して肥料を供給するための供給ホース39が連結されるものであり、この筒状部材37が前記供給ホース39に対する連結部に相当する。
【0024】
前記筒状部材37は、前記供給ホース39が接続される筒状接続部37aの他端側に、前記漏斗部34の出口側における球面状の受け部34bに内接する球面状の内部接続部37bを備えて、漏斗部34に対して相対移動自在に支持されている。つまり、前記筒状部材37の球面状の内部接続部37bと、漏斗部34側の球面状の受け部34bとによって、前記供給ホース39の前記筒状部材37に対する接続状態を維持したままで接続姿勢を変更可能にするための姿勢変更機構36を構成している。
前記漏斗部34の球面状の受け部34bは、図5に示すように球面の最大径部分で分割可能に構成してあり、この受け部34bを分割することで前記内部接続部37bの着脱を行えるように構成してある。
【0025】
図5及び図13乃至図15に示すように、前記粉粒体排出口31Aは、漏斗部34の上手側で繰り出しロール33よりも上方位置に、肥料ホッパー30内の残留肥料を後述する排出ダクト42側へ排出するための合流用流路rを構成するように設けられている。そして、この粉粒体排出口31Aには、肥料ホッパー30内に存在する肥料を前記繰り出しロール33を経ずに外部へ排出する状態と、その排出を阻止する状態とに切換操作自在な開閉操作機構38(被搬送物合流用開閉手段の一例)が備えられるのであるが、この開閉操作機構38は、粉粒体排出口31A自体に装着されるのではなく、後述する起風搬送手段4の一部に備えられていて、粉粒体排出口31Aに対して外部から装着可能に構成してある。
また、肥料ホッパー30内の残留肥料を排出ダクト42側へ排出するための合流用流路rを構成する前記粉粒体排出口31A、及び排出ダクト42側の合流用流路rを構成する粉粒体合流口部42cは、肥料ホッパー30を図6に示すように後傾姿勢に姿勢変更した状態でも、図5に示すように元の肥料供給時の姿勢に戻した状態でも、残留肥料が流れ易いように、排出ダクト42側が低くなる傾斜を有した状態に形成されている。
【0026】
上記のように構成された開閉操作機構38は、通常の苗の植付作業時には、図5の実線で示す閉姿勢に操作しておき、肥料ホッパー30からの肥料を漏斗部34に繰り出されるようにする。そして、通常の苗の植付作業を終了した場合等において、苗植付装置2の駆動(具体的にはPTO軸(図外)の駆動)を停止させた状態で、図5の仮想線で示すように開閉操作機構38を開姿勢に操作すると、肥料ホッパー30に残存していた肥料が粉粒体排出口31Aから外部へ排出される。
【0027】
〔起風搬送手段〕
肥料繰出し機構32から繰り出された肥料(粉粒体)を風力で作業装置B側へ搬送するための起風搬送手段4は次のように構成されている。
図3〜図5、及び図8、図9に示すように、起風搬送手段4は、起風用の電動ブロア40と、粉粒体を作業装置B側へ搬送するための供給経路となる搬送ダクト41と、粉粒体を外部へ搬出するための排出経路となる排出ダクト42とを備えて構成されている。
【0028】
電動ブロア40は、電動モータ40aで駆動される起風翼(図示せず)の回転軸心yを上下方向に沿わせた状態で配置してあり、下向きの吸気口40bから外気を取り込み、走行機体1の左横一側方から他側方へ向けて搬送風を吹き出すように、水平方向で横向きに開口する送気口40cを備えている。
この電動ブロア40の前記送気口40cに対して、二股に分岐した分岐ダクト43と、供給経路を構成する搬送ダクト41と、排出経路を構成する排出ダクト42とで構成された導風管4Aが接続されている。
前記吸気口40bには、図2に示すように、エンジン13近くに吸い込み用開口を備えて、エンジン13周辺の暖められた外気を吸引するように吸気ダクト27が接続してある。この吸気ダクト27は、電動ブロア40と接続される側の端部に蛇腹状の可撓性を有した筒部分27cを備えて作製され、前記電動ブロア40の姿勢変化を許容できるように変形可能に構成してある。
【0029】
前記分岐ダクト43には、図13及び図14に示すように、電動ブロア40の送気口40cに対して嵌合する受け入れ側接続口43aと、前記搬送ダクト41に対して接続される供給側接続口43bと、排出ダクト42に対して接続される排出側接続口43cとが、それぞれ形成されている。したがって、電動ブロア40からの送風が前記搬送ダクト41と排出ダクト42とのそれぞれに分岐供給されるように構成されている。
上記供給側接続口43bと排出側接続口43cとのうち、供給側接続口43bは、電動ブロア40の起風翼が回転する回転面と同一の回転面上で、前記電動ブロア40の送気口40cにほぼ対向する状態に位置していて、その送気口40cからの送風方向の延長線Lにほぼ沿う方向で搬送ダクト41内に風を送り込むように構成されている。
【0030】
また、前記分岐ダクト43に形成された供給側接続口43bと排出側接続口43cとのうち、排出側接続口43cは、図13及び図14に示すように、平面視で前記送気口40cからの送風方向の延長線Lに対して横方向に外れた箇所に位置しているとともに、図11及び図14に示すように、上下方向でも電動ブロア40の起風翼が回転する回転面よりも上方側へ外れた箇所に位置する状態で設けられている。
そして、前記送気口40cに接続される受け入れ側接続口43aから排出側接続口43cへの送風経路は、図14に示すように、受け入れ側接続口43aと排出側接続口43cとが滑らかな曲線で連なるように形成してある。かつ、この分岐ダクト43内における送風方向に直交する方向での流路断面積は、排出ダクト42内における流路断面積よりも分岐ダクト43内での流路断面積が大であるように形成されている。また、分岐ダクト43内においては、供給側接続口43bの近くを除いて送風方向での上手側ほど流路断面積が大であるように形成されている。
【0031】
前記分岐ダクト43内には、前記電動ブロア40の送気口40Cから供給される風を、供給経路側か排出経路側かのいずれかの側に切り換えて供給するための経路切換弁44(排出ダクト42に対する送風給排手段に相当)が装備されている。
この経路切換弁44は、図13及び図14に示すように、分岐ダクト43内を上下に貫通する操作軸44aと、その操作軸44aの上下方向の軸心y2周りで回動操作自在に装備された板状の弁体44bとで構成されている。前記弁体44bは、図13(a)に示す供給経路開放姿勢と、同図(b)に示す排出経路開放姿勢とにわたって、ほぼ90度の範囲で姿勢切換可能に構成されている。また、分岐ダクト43の内面側には、前記弁体44bの姿勢変更範囲の両側における限度位置で接当する段部43d,43dが形成されていて、その段部43d,43dとの接当によって、前記弁体44bの排出経路開放姿勢と供給経路開放姿勢とが安定的に維持されるように構成してある。
【0032】
〔搬送ダクト〕
分岐ダクト43に接続された搬送ダクト41と排出ダクト42とのうち、搬送ダクト41は、図10、及び図15〜図19に示すように構成してある。
すなわち、搬送ダクト41は、複数本の短尺パイプ41Aを、環状の連結具41Bを介して同心状に接続することにより、所定長さの連続した筒状に形成したものである。
【0033】
個々の短尺パイプ41Aは、図15に示すように、両端部に係止用小突起41aを備え、長手方向の中間部に、後述する導風ガイド部材45を嵌め込み状態で固定するための取付孔41dを形成してある。
そして、環状の連結具41Bには、図16及び図18に示すように、互いに隣接する短尺パイプ41Aが対向端部を突き合わせた状態で、その対向端部近くの外周位置に形成されている一対の係止用小突起41a,41aを係入する2本のカム状の切り欠き41b,41bを形成してある。
したがって、図18及び図19に示すように、端部同士を突き合わせ状態に位置させた一対の短尺パイプ41A,41Aのうち、まず、一方の短尺パイプ41Aの係止用小突起41aを、連結具41Bの一方のカム状の切り欠き41bに係合させ、次に、他方の短尺パイプ41Aの係止用小突起41aを、連結具41Bの他方のカム状の切り欠き41bに係合させることによって、互いに隣接位置する一対の短尺パイプ41A,41A同士を連結することができる。
上記端部同士を突き合わせ状態に位置させた一対の短尺パイプ41A,41Aは、その対向端部近くが少し拡径されていて、その拡径部分41eの内周側に、一対の裏当て部材41C,41Cが装着されている。この裏当て部材41C,41Cの内径は、前記短尺パイプ41A,41Aの前記拡径部分41eを除く箇所の内径と同一寸法に形成されており、搬送ダクト41の内周面が無用な段差部分等のない滑らかな面となるように構成してある。
尚、図18及び図19に示す符号41cは、環状の連結具41Bの外周を把持して回転操作する際の滑り止め用のリブである。
【0034】
前記短尺パイプ41Aの長手方向の中間部に形成された取付孔41dに装着される導風ガイド部材45は、全体がゴム製材料からなる一体物で形成されている。そして、この導風ガイド部材45には、図7及び図17に示すように、台座部分45aの一側に、短尺パイプ41Aに形成された取付孔41d内に嵌入される2つの筒状ガイド部45b、45bを一体形成してあり、台座部分45aの他側に、施肥装置3の漏斗部34に形成された搬送風取り入れ口34aに対して外嵌する凹部45cを形成してある。
したがって、このゴム製の導風ガイド部材45の前記前記2つの筒状ガイド部45b、45bを、短尺パイプ41Aの長手方向の中間部に形成された取付孔41dに嵌入することにより、搬送ダクト41に対する導風ガイド部材45の取付を行うことができる。そして、図5及び図7に示すように、前記導風ガイド部材45の凹部45cを漏斗部34に形成された搬送風取り入れ口34aに外嵌させることにより、施肥装置3の漏斗部34に対する搬送ダクト41の接続をも行うことができる。このように、ゴム製の導風ガイド部材45は、搬送風の取り入れを行いやすくするための搬送風ガイドとしての役割の他、施肥装置3の漏斗部34に対する搬送ダクト41の接続手段、及び、その箇所でのシール部材としての役割をも果たすことになる。
【0035】
前記2つの筒状ガイド部45b、45bは、搬送風の流れ方向の前後に位置に配置されているものであるが、そのうちの搬送風の流れ方向で上手側に位置する筒状ガイド部45bよりも、下手側に位置する筒状ガイド部45bが台座部分45aから大きく突出するように形成されている。
そして、個々の筒状ガイド部45b,45bにおいても、搬送風の流れ方向での上手側からの搬送風取り込みを良好に行えるように、各筒状ガイド部45b、45bの筒状の外周面が、下手側に向く面よりも上手側に向く面が低くなるように切り欠かれた形状にしてある。また、各筒状ガイド部45b、45bの筒状の外周面の突出端側は、先端側ほど細くなる部分的な円錐面に形成されていて、搬送ダクト41内を流れる搬送風の向きを滑らかに変更して漏斗部34側へ取り込み易く形成されている。
【0036】
尚、上記搬送ダクト41では、その搬送方向終端側を閉塞する必要から、この実施形態では、図4及び図10に示すように、最終端側の短尺パイプ41Aとして、終端側の端部が閉塞された特殊形状のものを用いているが、このような構造に限らず、両端開放の短尺パイプ41Aの終端側に別途閉塞用部材を装着するようにしてもよい。
【0037】
〔排出ダクト〕
分岐ダクト43に接続された搬送ダクト41と排出ダクト42とのうち、排出ダクト42は、図3、図4、図5、及び図10〜図13に示すように構成してある。
すなわち、排出ダクト42は、複数本の短尺パイプ42A,42Bを同心状に接続することにより、所定長さの連続した筒状に形成し、かつ、終端部に着脱可能な終端パイプ42Cを接続して構成してある。
この排出ダクト42の場合は、前記搬送ダクト41のような環状の連結具41Bを用いて連結したものではなく、短尺パイプ42A,42B同士、及び終端パイプ42Cの端部形状を工夫して連続した筒状の排出ダクト42を構成している。
【0038】
つまり、排出ダクト42は、短尺パイプ42A,42Bとして、単一種の端部形状のものだけを用いたのではなく、図10、図11、及び図12に示すように、両端側に部分的に拡径された段付き端部42aを備えた第1短尺パイプ42Aと、全体が直管状に形成された第2短尺パイプ42B、及び一端側が前記第1短尺パイプ42Aに挿嵌され、他端側が外部に開放される終端パイプ42Cとの組み合わせで構成されている。
したがって、これらの第1短尺パイプ42Aと第2短尺パイプ42Bを、図10、及び図11に示すように交互に組み合わせて接続し、最終端部に前記終端パイプ42Cを接続することにより、長尺の排出ダクト42が構成される。
【0039】
前記短尺パイプ42A,42Bのうち、第1短尺パイプ42Aには、図5及び図13に示すように、その長手方向の中間部に、肥料ホッパー30の粉粒体排出口31Aに対して接続される粉粒体合流口部42cと、合流される粉粒体を搬送風の流動方向における下手側へ向けて案内する傾斜ガイド部42dとを一体に形成してある。
このように、第1短尺パイプ42Aを形成したことにより、排出ダクト42の筒状の内部に、前記粉粒体合流口部42cと傾斜ガイド部42dとで構成される合流用流路rの、ほぼ矩形の出口開口が入り込んだ状態に形成される。これによって、図13(b)に示すように排出ダクト42に導入された風が、傾斜ガイド部42の斜面に沿って、あるいは粉粒体合流口部42cの横側部に沿って流れ、合流用流路rから排出される残留肥料を吸引しながら終端側へ搬送するので、残留肥料が繰り出しケース31側へ舞い戻る虞が少ない。
【0040】
第2短尺パイプ42Bは、全体が直管状に形成されていて、その両端側が対向する前記第1短尺パイプ42Aの端部に形成されている段付き端部42aに内嵌する状態で接続され、かつ、その第2短尺パイプ42Bの端部の外周面と、前記記第1短尺パイプ42Aの端部に形成されている段付き端部42aとの間には、シール部材42bが挟着されている。
そして、第2短尺パイプ42Bの直管状のパイプ本体部分の内周面は、前記第1短尺パイプ42Aの段付き端部42aや傾斜ガイド部42dを除くパイプ内周面と同径に形成されていて、排出ダクト42に内周面側が連続した滑らかな流路が形成されるように構成してある。
【0041】
前記第1短尺パイプ42Aの粉粒体合流口部42cには、前記粉粒体排出口31Aを開閉操作するための開閉操作機構38が装着されている。この開閉操作機構38は、図5、図6、及び図10乃至図12に示すように、粉粒体排出口31Aの外側に対向する板状弁体38aと、その板状弁体38aの上端側に装着されたクランク状軸体38bと、そのクランク状軸体38bを回動操作する操作杆38c、及び押さえバネ38dで構成されている。
したがって、前記操作杆38cを図5に実線で示す閉塞位置「閉」から、仮想線で示す開放位置「開」へ回動操作して切り換えることにより、板状弁体38aを開放姿勢に切換操作することができる。また、前記クランク状軸体38bの操作部は操作杆38cに形成された長孔38eに係入されていて、前記操作杆38cとの間に設けられた押さえバネ38dで、長孔38eの下端側へ押圧付勢されていることにより、板状弁体38bの閉塞姿勢、及び開放姿勢を安定的に維持するように構成されている。
【0042】
前記第1短尺パイプ42Aは、図5及び図6に示すように、その外周側に長手方向に沿う板状の突片からなる取付板部42eを一体に備え、この取付板部42eを介して支持枠5にボルト連結され固定されている。このように第1短尺パイプ42Aが支持枠5に固定されることにより、その第1短尺パイプ42Aの間に挟まれた状態に位置する第2短尺パイプ42Bも、その長手方向、及び長手方向に直交する方向の移動規制が行われるので、排出ダクト42の全体が位置規制されることになる。
【0043】
終端パイプ42Cは、図11及び図12に示すように、L字状に屈曲させた本管42fと、その本管42fの屈曲箇所に形成した開放口42hとの間に所定間隔を隔てて開放口42hから排出される搬送風を下向きに案内するように覆うカバー体42gとを備えて構成してある。そして、前記本管42fの搬送風流れ方向の上手側端部は、最後尾の第1短尺パイプ42Aの段付き端部42aに対して嵌合させてある。
この終端パイプ42Cに、排出ダクト42内で風力搬送される粉粒体の通過を阻止して搬送風のみを通過させることにより、搬送風と粉粒体とを分離するための分離手段46が設けてある。
【0044】
この終端パイプ42Cには、排出ダクト42内で風力搬送される粉粒体の通過を阻止して搬送風のみを通過させることにより、搬送風と粉粒体とを分離するための分離手段46が設けてある。
この分離手段46は、前記開放口42hと、その開放口42hに装備された網状体46aとによって構成されている。つまり、前記開放口42hは、本管42fのうち、前記第1短尺パイプ42Aや第2短尺パイプ42Bの延長方向に沿う横向き管部分に対向する箇所で、横向き管部分内の流路全体を開放するように切り欠かれている。そして、前記網状体46aは開放口42hの全体に設けられていて、排出ダクト42内を流動する粉粒体の通過を阻止して搬送風のみを通過させるに適当な大きさの多数の通気孔を有している。
このように構成されているので、排出ダクト42内を流れる粉粒体は、前記第1短尺パイプ42Aや第2短尺パイプ42Bの延長方向に搬送されてきて、前記分離手段46としての網状体46aに接触すると、前記延長方向への移動を停止されて下方に落下し、搬送風のみが前記網状体46aを通過して前記延長方向へ吹き出される。
尚、図示はしないが、前記搬送風を下向きに案内するように覆うカバー体42gは、図12に示す状態から本管42fに対して水平方向軸心周りで上方側へ揺動自在に装着して、上方側へ大きく開放させた姿勢に姿勢変更可能に構成してもよい。このようにカバー体42gを姿勢変更可能に構成すると、そのカバー体42gを開放姿勢にして前記分離手段46のメンテナンスを行い易い。
【0045】
前記終端パイプ42Cの本管42f部分には、図10乃至図13に示すように、排出ダクト42内を流れる搬送風を、排出ダクト42の終端から外部へ排出する状態と、外部への排出を阻止する状態とに切換操作自在な流路開閉手段としての開閉弁47を設けてある。
この開閉弁47は、横向きの操作軸47aと、その操作軸47a周りに回転する円板状弁体47bとによって構成され、前記操作軸47aを外部から回動操作することにより、排出ダクト42内の終端部において、流路を開閉操作自在に構成されている。
【0046】
上記開閉弁47の開閉操作は、前記開閉操作機構38の操作杆38cの回動操作で行われるように連係機構48を設けてある。
つまり、図12に示すように、前記操作杆38cの一部に操作片48aを一体に固定し、この操作片48aの一部に連係させた連係ロッド48bと、前記開閉弁47の操作軸47aに一体的に連結した操作アーム48cを連結している。これによって、前記操作杆38cを回動操作して、前記開閉弁47を流路閉塞姿勢に切り換えると、前記開閉操作機構38が板状弁体38aを開き側に操作して、筒状部材37を開放状態に切換操作する。
したがって、排出ダクト42内に供給された搬送風は、終端側を前記開閉弁47で閉塞されているので、筒状部材37を通して肥料ホッパー30側へ逆流する状態となる。
【0047】
前記連係機構48は、上記流路開閉手段である開閉弁47と、被搬送物合流用開閉手段である板状弁体38aの開閉操作機構38とを連係させるだけではなく、送風給排手段としての経路切換弁44とも連係されている。
つまり、図10、図11、及び図13に示されているように、経路切換弁44の操作軸44aの一端側に設けた操作アーム44cと、操作杆38cの経路切換弁44の近く位置に設けた経路切換用操作片48dとを、連係ロッド48eで連係してある。
これにより、前記操作杆38cの回動操作によって、前記開閉弁47が流路閉塞姿勢に切り換えられ、前記筒状部材37が開放状態に切り換えられるにともなって、前記経路切換弁44が、排出ダクト42側に電動ブロア40の風を送る状態に切り換えられるように構成してある。したがって、前記操作杆38cは、経路切換弁44の操作部としての機能をも備えている。
【0048】
前記終端パイプ42Cの本管42f部分の下向きに開口する部分には、図示しないが軟質のホースなどで構成される肥料排出用ホースを設けてもよい。また、その肥料排出用ホースから排出される肥料を受け取る回収袋を固定するためのブラケットを、前記支持枠5の一部に、もしくは後部ステップ18の一部に設けてもよい。このとき、前記ブラケットが、平面視で前記後部ステップ18よりも機体横外側方へ突出せず、後部ステップ18の後方側に位置するように設けるのが望ましい。
【0049】
〔支持枠〕
上記の施肥装置3及び起風搬送手段4を支持する支持枠5は次のように構成されている。
すなわち、支持枠5は、図3乃至図6に示すように、走行機体1上に設置された固定枠部5Aと、その固定枠部5Aに対して機体左右方向に沿う横軸心x周りで姿勢変更可能な可動枠部5Bとの組み合わせで構成されている。
前記固定枠部5Aは、前記可動枠部5Bの前方側を支持する前側支柱51と、後方側を支持する後側支柱52とで構成してあり、前記可動枠部5Bは、走行機体1上で左右方向に並設される肥料ホッパー30を支持するように横長の格子状に形成された上部矩形フレーム50Bと、その上部矩形フレーム50Bの後方側で下向きに一体連設されていて、前記後側支柱52の上端側に接続される支持脚部50Aとで構成されている。
【0050】
前記前側支柱51及び後側支柱52は、下端側が車体フレーム10側に固定されている。そして、前側支柱51及び後側支柱52のうち、後部支柱52は前部支柱51よりも短く形成されていて、この後部支柱52の上端側に前記可動枠部5Bの支持脚部50Aが横軸心x周りで揺動自在に支持されている。
したがって、可動枠部5Bは、図8に示すように前端側が前側支柱51に支持された通常作業姿勢と、図9に示すように、前記横軸心x周りで後方側に傾倒したメンテナンス用姿勢とに姿勢切換可能に構成されている。
【0051】
前記可動枠部5Bのメンテナンス用姿勢への切換は、前側支柱51による格子状枠体52の支持を解除する必要があるが、この解除は次のようにして行われる。
前側支柱51は、可動枠部5B側に揺動可能に装着したフック部材53aと、そのフック部材53aが係合するように前側支柱51側に設けられている係止ピン53bとからなる係脱機構53によって、互いに係合連結された状態と、その係合連結を解除された状態とに切換可能に構成されている。
したがって、図8に実線で示されているフック操作杆53cを、図9に示されているように押し下げて係止ピン53bとの係合を解除し、その状態を維持して施肥装置3の全体を前記横軸心x周りで回動させると、図6及び図9で示すように、施肥装置3の全体を後傾姿勢にしたメンテナンス用姿勢に切り換えることができる。
【0052】
このとき、施肥装置3の全体の重心Gの位置は、図9に示すように、前記横軸心x上の鉛直線y1を越えて後方側に位置した状態となっているので、メンテナンス用姿勢を維持し易い。また、図8に示すように、通常作業姿勢に位置している状態では、前記重心Gは前記鉛直線y1よりも前方側に位置しているが、低い後側支柱52の上端という低い位置の横軸心x周りで回動移動するので、例えば、前側支柱51の上端程度の高い位置の軸心周りで回動操作される場合に比べて、重心Gを持ち上げ方向に移動させながら後方側へ移動させるというような大きな操作力を必要としない。また、前記横軸心xは、その前後方向位置が肥料ホッパー30の下側に入り込む状態で配置されているので、前後方向でも前記重心Gからの離間距離が少ない。しかも、重心Gは、内部に肥料が充填されていない状態では、図8に示す符号G1のように、比較的低い位置に存在する傾向があるが、この場合でも、横軸心xが低い位置で、前方寄りに位置しているので、重心Gを上方側へ持ち上げ操作する度合いは少なくてすむ。
【0053】
可動枠部5Bには、図3乃至図6、図8、図9に示すように、施肥装置3及び起風搬送手段4が連結支持されていて、可動枠部5Bの前記横軸心x周りでの回動に伴って、前記施肥装置3及び起風搬送手段4も回動操作される。
つまり、可動枠部5Bの上部矩形フレーム50Bの前方側、及び後方側は、図5に示すように肥料ホッパー30の前後に形成されている取付ブラケット30a,30aにボルト連結されている。
そして、起風搬送手段4を構成する搬送ダクト41は施肥装置3の漏斗部34に連結され、排出ダクト42は、可動枠部5Bの支持脚部50Aに設けた取付ステー50aを介して各第1短尺パイプ42Aの取付板部42eが連結され、電動ブロア40は、前記搬送ダクト41及び排出ダクト42が連結された分岐ダクト43に連結固定されている。
図5及び図6に示すように、前記上部矩形フレーム50Bの前方側には、前記開閉操作機構38の操作杆38cを回動操作自在に支持するための支持ブラケット50bも付設してある。
【0054】
〔粉粒体の貯留部〕
粉粒体を貯留する肥料ホッパー30は、具体的には図20乃至図23に示すように構成されている。
この構造では、複数個の中間容器単位体30Aと、端部容器単位体30Bとを、連結機構6を介して連結することにより、8条植え用の肥料ホッパー30を構成している。
【0055】
中間容器単位体30Aは、左右方向の両側壁部に連通部30Cを備えて、内部の肥料が容器内空間の上半側では左右で連通した状態となるように形成してあり、内部の肥料が容器内空間の上半側では左右何れの側にも移動可能であるように構成してある。
そして、中間容器単位体30Aの横外側に位置する端部容器単位体30Bは、前記連通部30Cが内側、つまり中間容器単位体30Aと接続される側にだけ形成してある。
【0056】
これらの中間容器単位体30Aと端部容器単位体30Bとのそれぞれは、図22に示すように、その前後両側に、支持枠5に対する連結用の左右一対の取付ブラケット30a,30aを一体形成してあり、これらの各取付ブラケット30a,30aは、何れもが各中間容器単位体30A、及び端部容器単位体30Bの前後の上端側端縁よりも外側にはみ出さないように形成してある。
【0057】
中間容器単位体30A同士、及び中間容器単位体30Aと端部容器単位体30Bとを連結するための連結機構6は、図21乃至図23に示すように、前記連通部30Cの周縁に沿う形状の連結部材60と、その連結部材60とほぼ同形状のシール部材61と、連結ボルト62とで構成されている。
この連結機構6は、前記中間容器単位体30A同士の間、もしくは中間容器単位体30Aと端部容器単位体30Bとの間にシール部材61を挟み込み、かつ、中間容器単位体30A同士の接合箇所の外側、及び中間容器単位体30Aと端部容器単位体30Bとの接合箇所の外側に前記連結部材60を嵌着して、各容器単位体30A,30B、シール部材61、及び連結部材60の全体を、連結ボルト62で共締め状態に連結して横長の肥料ホッパー30を構成する。
【0058】
〔その他〕
施肥装置3の供給ホース39を介して肥料を供給される苗植付装置2側では、図24及び図25に示すように、供給ホース39と作溝器25との連結箇所に衝撃センサー7を備えている。この衝撃センサー7は、供給ホース39から肥料の粒が放出されているか否かを、肥料の粒の衝突による衝撃を検出することで感知するためのものであり、肥料詰まりの検出に役立つ。
この衝撃センサー7は、前記供給ホース39と作溝器25との接続箇所に設けられる蛇腹状のカバー体70に支持させてあり、機体の振動などが前記衝撃センサー7に伝わりにくいように構成してある。
【0059】
前記施肥装置3の肥料繰出し機構32の駆動は、ミッションケース14からの駆動力を適宜の伝動機構を用いて伝達すればよいことは既述した通りであり、その伝動機構の構造や伝達経路などは本発明の要旨とは関係ないので説明は省略するが、通常は、ミッションケース14から適宜伝動軸(図外)を延出して、中間に間欠回転機構を介装して肥料繰り出し機構31の駆動軸35に軸伝動する構造などが一般的である。
【0060】
〔別実施形態の1〕
図26(a),(b)は、6条植型式の乗用型田植機において用いられる肥料ホッパー30を示している。
この構造では、中間容器単位体30Aとして、左右の端部容器単位体30Bと同容量の容積ではあるが、細長い形状の一つの容器によって構成されたものを採用している。これは、乗用型田植機が6条植となることによって、ホイールベースが短くなり、運転座席16と肥料ホッパー30との間におけるスペースに余裕がない構造に対応させるための構造であり、図26(b)に示すように、運転座席16の後方側に対応する中間容器単位体30Aが凹入した形状となるように構成してある。その他、左右の端部容器単位体30Bの構造や、中間容器単位体30Aと左右の端部容器単位体30Bとの連結構造などは前述した8条植用の肥料ホッパーと同様である。
【0061】
〔別実施形態の2〕
上記の実施の形態では、分離手段46として網状体46aで構成したものを例示したが、これに限らず、例えば、パンチングメタルによって構成したり、サイクロン構造にして粉粒体と搬送風とを分離させたり、あるいは、排風ダクト42内の送風距離を長くしたり、方向変換するなどして、電動ブロア40による放出エネルギーを消失させて、途中で殆どの粉粒体が自重落下するようにしてもよい。
【0062】
〔別実施形態の3〕
また、分離手段46として網状体46aなどの通気孔を有した構造を用いた場合に、網状体46aによって粉粒体の全てを捕捉するように構成したものに限らず、所定の大きさ以上の粒径を有した粉粒体を捕捉して分離し、微細な粒径の粉粒体は搬送風とともに別経路へ放出するようにしてもよい。
【0063】
〔別実施形態の4〕
電動ブロア40の吸気側に連結される吸気ダクト27は、実施形態のような専用の吸気ダクト27を用いたものに限らず、例えば図27、図28に示すように構成してもよい。
この構造では、後部ステップ18をブロー成型されたステップで構成し、内部に空間を有している。ブロー成型品からなる後部ステップ18の前端部下部にエンジン13側から外気を導入する前部吸気ダクト27aを下側から接続してあり、後部ステップ18の後部側に電動ブロア40の吸気部40bと連通接続される後部吸気ダクト27bを設けてある。
つまり、ブロー成型によって内部に密閉された空間を有する後部ステップ18自体の内部空間を吸気ダクト27として利用している。
【0064】
〔別実施形態の5〕
前記実施形態では、流路開閉手段である開閉弁47、及び送風給排手段としての経路切換弁44の操作を、被搬送物合流用開閉手段である板状弁体38aの開閉操作機構38の操作に、連係機構48を介して連係させた構造のものを例示したが、連係機構48としては、例示した操作片48a,48dや連係ロッド48b,48e、あるいは操作アーム48cに限らず、連係ワイヤーや電気的連係手段などの各種のものを採用してもよい。
また、このような連係構造をとらず、全てを別々の操作で独立的に操作するように、あるいは一部のみを連係させるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の粉粒体供給装置は、実施形態で示したように、走行車体に肥料供給装置として搭載して乗用型田植機として用いることができる。また、肥料ではなく薬剤を供給する装置として構成することもでき、その薬剤供給装置を走行車体に搭載して、薬剤散布装置として用いることもできる。あるいは、種籾を供給するための手段として本発明の粉粒体供給装置を用い、直播機として構成することもできる。
その他、水田作業用とは限らず、田畑で肥料や薬剤、あるいは種籾などの粉粒体を散布するための手段として本発明の粉粒体供給装置を用いても良い。
【符号の説明】
【0066】
3 施肥装置
4 起風搬送手段
5 支持枠
5A 固定枠部
5B 可動枠部
30 肥料ホッパー
31 繰り出しケース
31A 粉粒体排出口
32 繰出し機構
33 繰り出しロール
34 漏斗部
40 電動ブロア
41 搬送ダクト
42 排出ダクト
x 横軸心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体からなる被搬送物を風力搬送によって搬送する供給経路と、その供給経路とは別に粉粒体からなる被搬送物を風力搬送によって搬送する排出経路とを備えるとともに、起風用の電動ブロアから供給される搬送風を前記供給経路と排出経路とに選択して送り込む分岐経路を備え、
前記分岐経路の断面積を前記供給経路及び排出経路の断面積よりも大きくした粉粒体供給装置。
【請求項2】
車体フレーム側に固定設置された固定枠部と、その固定枠部に対して水平方向に沿う横軸心周りに傾動して姿勢変更可能な可動枠部とで構成された支持枠を備え、
粉粒体の貯留部と、その粉粒体を所定量ずつ送り出す繰り出し機構とからなる粉粒体送り出し装置を、前記可動枠部側に支持させて姿勢変更可能に構成するとともに、
起風用の電動ブロアと、搬送風が送り込まれる分岐経路、供給経路、及び排出経路を備える導風管とからなる起風搬送手段を前記可動枠部側に支持させてある請求項1記載の粉粒体供給装置。
【請求項3】
可動枠部の回動支点である横軸心方向視で、この横軸心と重なる位置に電動ブロアを配設してある請求項2記載の粉粒体供給装置。
【請求項4】
繰り出し機構を内装する繰り出しケース側の粉粒体排出口を、繰り出し機構を構成する繰り出しロールの軸心と繰り出しケース上端との間の位置に設けてある請求項2又は3記載の粉粒体供給装置。
【請求項5】
可動枠部の回動支点である横軸心は、前後方向で繰り出しロールよりも粉粒体排出口側寄りの箇所に設けてある請求項4記載の粉粒体供給装置。
【請求項1】
粉粒体からなる被搬送物を風力搬送によって搬送する供給経路と、その供給経路とは別に粉粒体からなる被搬送物を風力搬送によって搬送する排出経路とを備えるとともに、起風用の電動ブロアから供給される搬送風を前記供給経路と排出経路とに選択して送り込む分岐経路を備え、
前記分岐経路の断面積を前記供給経路及び排出経路の断面積よりも大きくした粉粒体供給装置。
【請求項2】
車体フレーム側に固定設置された固定枠部と、その固定枠部に対して水平方向に沿う横軸心周りに傾動して姿勢変更可能な可動枠部とで構成された支持枠を備え、
粉粒体の貯留部と、その粉粒体を所定量ずつ送り出す繰り出し機構とからなる粉粒体送り出し装置を、前記可動枠部側に支持させて姿勢変更可能に構成するとともに、
起風用の電動ブロアと、搬送風が送り込まれる分岐経路、供給経路、及び排出経路を備える導風管とからなる起風搬送手段を前記可動枠部側に支持させてある請求項1記載の粉粒体供給装置。
【請求項3】
可動枠部の回動支点である横軸心方向視で、この横軸心と重なる位置に電動ブロアを配設してある請求項2記載の粉粒体供給装置。
【請求項4】
繰り出し機構を内装する繰り出しケース側の粉粒体排出口を、繰り出し機構を構成する繰り出しロールの軸心と繰り出しケース上端との間の位置に設けてある請求項2又は3記載の粉粒体供給装置。
【請求項5】
可動枠部の回動支点である横軸心は、前後方向で繰り出しロールよりも粉粒体排出口側寄りの箇所に設けてある請求項4記載の粉粒体供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2010−193762(P2010−193762A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41135(P2009−41135)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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