説明

粉粒体吐出機

【課題】粉粒体をスムーズに送風搬送できる粉粒体吐出機を提供すること。
【解決手段】 粉粒体吐出機には、肥料などの粉粒体を吐出口まで案内する施肥ホース62へ肥料粉粒体を移送するために送風機を設け、肥料粉粒体を施肥ホース62で圧送するが、このとき施肥ホース62の適宜位置に繰り出された粉粒体を受けて間欠的に吐出口へ供給するための回転体からなる点播ロール132を設け、施肥ホース62を点播ロール132への繰出経路と圧力風を通す圧力風用経路とにスリットを備えた肥料ストッパ133で分岐し、この分岐した両経路が点播ロール132の移送下手側で合流させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カウンタア−ムの往復作動を揺動ロッドを介して粉粒体繰出部へ伝動する構成の施肥装置、播種装置あるいは薬剤散布装置等の粉粒体吐出機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行車体の座席より後側に複数の粉粒体繰出部を左右に並べて設けると共に、粉粒体繰出部の上方に粉粒体を貯留するタンクを設け、粉粒体繰出部から送り出される粉粒体を送風器からの送風により送り出して圃場に連続的に吐出する構成を備え粉粒体吐出機がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004ー275128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術の粉粒体吐出機においては、粉粒体繰出部から送り出される粉粒体を送風器からの送風によりダクトに送り出す際に、圧風が粉粒体繰出部の構成部材からの干渉を受けて粉粒体の送風搬送がスムーズに行えないことがあった。
【0004】
そこで本発明の課題は、粉粒体をスムーズに送風搬送できる粉粒体吐出機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は、次の解決手段で解決できる。
すなわち、請求項1記載の発明は、粉粒体を吐出口まで案内する移送管と、移送管へ粉粒体移送のための圧力風を供給する送風機とを備えた粉粒体吐出機において、移送管の適宜位置に繰り出された粉粒体を受けて間欠的に吐出口へ供給するための間欠繰出回転体を設け、移送管の間欠繰出回転体設置部の移送経路が間欠繰出回転体への繰出経路と圧力風を通す圧力風用経路とに分岐し、この分岐した両経路が間欠繰出回転体の移送下手側で合流する粉粒体吐出機である。
【0006】
請求項2記載の発明は、間欠繰出回転体が、圧力風用経路とは反対側に回転して繰り出す構成である請求項1記載の粉粒体吐出機である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、圧力風が間欠繰出回転体に悪影響を与えるようなことを抑え、的確な間欠吐出を得ることができる。
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、繰出経路と圧力風用経路との分岐の確実化となり、さらなる間欠吐出性能を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、施肥装置付きの乗用型の田植機1を示すものであり、この乗用型の田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0009】
走行車体2は、駆動輪である各左右一対の前輪10,10及び後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該前輪ファイナルケースの変向可能な前輪支持部から外向きに突出する前輪車軸に前輪10,10が取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0010】
原動機となるエンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、第一ベルト伝動装置21及び第二ベルト伝動装置23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース内のトランスミッションにて変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構27によって施肥装置5へ伝動される。
【0011】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するボンネット32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びボンネット32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
【0012】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム45の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該シリンダを油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0013】
苗植付部4は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動して苗を一株分づつ各条の苗取出口51a,…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a,…に供給すると苗送りベルト51b,…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a,…に供給された苗を苗植付具52aで圃場に植付ける苗植付装置52,…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ53,53等を備えている。伝動ケース50内には、苗植付装置52,…の作動を2条単位で入・切する計3個の植付畦クラッチ54(1・2),54(3・4),54(5・6)が設けられている。これらの植付畦クラッチ54は、後述する畦クラッチレバー110(1・2),110(3・4),110(5・6)で入・切操作する。
【0014】
苗植付部4の下部にはセンターフロート55及びサイドフロート56,56が設けられている。これらフロート55,56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52,…により苗が植付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が上下動検出機構57により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0015】
施肥装置5は、肥料貯留タンク(粉粒体貯留タンク)60に貯留されている肥料(粉粒体)を肥料繰出部(粉粒体繰出部)61,…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース(粉粒体移送ホース)62,…でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド63,…まで導き、施肥ガイド63,…の前側に設けた播種用作溝器64,…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に吐出するようになっている。モータ66で駆動のブロア67で発生させた圧力風を左右方向に長いエアチャンバ68を経由して施肥ホース62,…内に吹き込み、施肥ホース62,…内の肥料を苗植付部側の肥料吐出口へ強制的に移送するようになっている。
【0016】
以下、図3〜図6に示す施肥装置本体部の各部の構成について説明する。
各条が一体に成形された肥料貯留タンク60は、上部に後側を支点にして開閉可能な蓋60aが取り付けられている。肥料貯留タンク60の下部は各条ごとに漏斗状になっており、その下部が肥料繰出部61,…の上端に接続されている。肥料貯留タンク60はその背面下部で、左右方向に長い施肥フレーム70から上方に突設した支持板71に回動自在に取り付けられており、図3で二点鎖線で示すように、肥料繰出部61,…から分離して後方に回動させられるようになっている。肥料貯留タンク60の下部を肥料繰出部61,…の上端に接続した通常位置では、係止具72により肥料貯留タンク60を固定する。
【0017】
肥料貯留タンク60の下部には、肥料貯留タンク60から肥料繰出部61への肥料供給を停止する場合や、肥料貯留タンク60を回動させたときに中の肥料が流出するのを防ぐ開閉シャッタ73が設けられている。この開閉シャッタ73は、スライド支持部材74にスライド自在に支持されていて、把手73aをつかんで図6で実線で示す閉じた位置と二点鎖線で示す開いた位置とにスライドさせるようになっている。開閉シャッタ73を閉じた状態にしないと係止具72を外せないので、誤ってシャッタ73を開けたまま肥料貯留タンク60を回動させて肥料を流出させることの防止になっている。
【0018】
開閉シャッタ73の下側には、肥料貯留タンク60を肥料繰出部61に接続したときに肥料繰出部61の上部に挿入される筒状部75が形成されている。筒状部75と肥料繰出部61の上部との間に隙間が形成されるようになっている。肥料貯留タンク60に肥料が入っている状態で開閉シャッタ73を閉じて肥料貯留タンク60を回動させるとき、肥料繰出部61の上端よりも上側かつ開閉シャッタ73よりも下側に位置していた肥料が前記隙間に流入することにより、肥料繰出部61から肥料が溢れ落ちるのを防いでいる。
【0019】
肥料貯留タンク60の下端部には、肥料貯留タンク60を肥料繰出部61に接続するときの緩衝用の弾性体76aと両者間の気密保持のためのパッキン76bとが取り付けられている。パッキン76bは肥料繰出部61の上端部分とその少し下方の部分の2箇所で肥料繰出部61のケースと接触するようになっている。このため、肥料繰出部61のケースとパッキン76bとの間に空間が有り、肥料貯留タンク60と肥料繰出部61との位置関係が多少ずれてもこの空間で吸収され、両者間の気密性が損われない。
【0020】
肥料繰出部61は、肥料貯留タンク60内の肥料を下方に繰り出す繰出ロール77を内蔵している。繰出ロール77は、外周部に肥料が入り込む複数本(図示例では6本)の溝77a,…が形成された回転体で、左右方向に設けた繰出軸78の角軸部78a(図示例は四角軸)にそれぞれ一体回転するように嵌合している。繰出ロール77が図6の矢印方向に回転することにより、肥料貯留タンク60から落下供給される肥料が溝77aに収容されて下方に搬送され、下端の繰出口61aから繰り出される。
【0021】
繰出ロール77の前側には該繰出ロールの外周面に摺接するブラシ79が着脱自在に設けられており、このブラシ79が溝77aから溢れる肥料を受けて下方へ落下するのを規制することにより、溝77aに肥料が摺り切り状態で収容され、肥料繰出量を一定に保持するようになっている。
【0022】
肥料繰出部61の繰出口61aには、若干後ろ下がりで略前後方向に連通する接続管80が設けられている。この接続管80の後端に前記施肥ホース62のホッパ側の端部が接続される。一方、接続管80の前端部はエアチャンバ68の背面部に挿入連結されている。エアチャンバ68の左端部はエア切替管81を介してブロア67に接続されており、該ブロアからの圧力風がエアチャンバ68を経由し管状部61bから施肥ホース62に吹き込まれるようになっている。
【0023】
施肥ホース62は、接続管80の少し後方の位置で、後述する左右方向に長い肥料回収管85に固定されたホースホルダ82により下から支えられている。また、繰出ロール77の後側には、下端が繰出ロール77の上端よりも下位になる位置に肥料排出口83が形成されている。この肥料排出口83は後ろ下がりに傾斜しており、その中間部に上端側を支点にして開閉自在な排出シャッタ84が取り付けられている。そして、各肥料繰出部の肥料排出口83と肥料繰出部61の後方に設けた左右方向に長い肥料回収管85とが肥料排出管83aで接続されている。
【0024】
肥料回収管85の左端部は、前記エア切替管81を介してブロア67に接続されている。エア切替管81は二股状の管であって、一方にエアチャンバ68が接続され、他方に肥料回収管85が接続されている。エア切替管81にはエア切替シャッタ86が設けられ、ブロア67から吹き出されるエアをエアチャンバ68側に供給する状態と肥料回収管85側に供給する状態とに切り替えられようになっている。肥料回収管85の右端部は下向きに屈曲し、その先端部にフレキシブルな回収シュート87(図5)が接続されている。
【0025】
図7には図1の乗用施肥田植機の点播施肥装置部分の要部右側面図(苗植付装置52は図示せず)を示す。
施肥ホース62の途中には点播施肥装置131が設けられ、該点播施肥装置131の前後に設けられた施肥ホース62から空気搬送される粉粒体状の肥料が流れる。点播施肥装置131の縦断面図を図8に示す。図8(a)は点播施肥装置131の縦断面図、図8(b)は図8(a)のS1−S1線断面矢視図、図8(c)は図8(a)のS2−S2線断面矢視図である。なお、点播施肥装置131は各苗植付条に対応した数だけ、設けられている。
【0026】
図9には点播ロール132の側面図(図9(a))と図9(a)のA−A線矢視図(図9(b))に示す。
点播施肥装置131は、中央部に点播ロール132があり、該点播ロール132は間欠的肥料を繰出す回転体であり、該点播ロール132は、前記肥料繰出部61の繰出ロール77と同様に外周部に肥料が入り込む複数本(図示例では4本)の溝132a,…が形成されており、左右方向に設けた回転軸132bにより一定速で回転する回転体である。この回転軸132bの矢印B方向への定速回転で上流側から施肥ホース62内を通り、落下供給される肥料が溝132aに一旦、収容されて下方に間欠的に繰り出される。点播ロール132の直上の施肥ホース62内には大部分の肥料粉粒体を通さない複数のスリット133aを設けた肥料ストッパ133が設けられている。
【0027】
従って、肥料搬送路は肥料ストッパ133により流路が二分され、施肥ホース62からのエアー搬送中の肥料が肥料ストッパ133に遮られて点播ロール131で点播ロール132の溝132a内を経由して下流側に搬送される流路と肥料ストッパ133のスリット133aを通過する搬送用エアーの流れとに分けられる。
【0028】
円筒状の点播ロール132の円周方向には4つの溝132aが等間隔に設けられているが、隣接する溝132a同士はエアー通路となる貫通孔132cで連通している。また図9(b)に示すように円筒部の両側の側面部側にもエアー通路となる凹部132dが設けられている。
【0029】
図10には点播施肥装置の肥料ストッパ133の平面図を示すが、大部分の肥料粉粒体を通さない複数のスリット133aを櫛の歯状に設けた構成からなっている。
エアー搬送される肥料を肥料ストッパ133で受けたのち、大部分の肥料粒子が点播ロール132の肥料受部となる溝132a内にスムースに入り、エアー及び粒子の小さいもの(肥料の主流でないもののみ)は肥料ストッパ133のスリット133aを通り抜けるか、点播ロール132の側面部のエアー通路となる貫通孔132c又は凹部132dを通り抜ける。
【0030】
また、点播ロール132の貫通孔132c又は凹部132dにエアーが流れるので肥料が溝132aに入りやすくなるだけでなく、点播ロール132の上部においてエアーの乱流を起こさせないので肥料が溝132a内に入りやすくなる。
【0031】
上記構成からなる点播施肥装置131は上流からのエアーの流れ方向とは反対方向(図8の矢印B方向)に点播ロール132が回転し、点播ロール132の外周接線上方にエアー通路を設けることによりエアーの乱れを少なくして下方に流すとともに点播ロール132をエアーの通路と反対方向に回転させることにより肥料の乱れを少なくして点播性能を向上させることができる。
また、上記点播施肥装置131は、肥料の代わりに籾のエアー搬送装置としても用いることができる。
【0032】
さらに、図8に示すように施肥ホース62の点播ロール132の設置部の上方の鉛直方向の通路面積(S2−S2断面)はその他の施肥ホース62の通路断面積(S1−S1断面)より大きくしてあるので、比較的大きい通路面積を有するロール132の上方の鉛直方向の通路を流れる風速が遅くなり、肥料が点播ロール132の溝132a内に入り易く、従って点播を確実に行うことができる。
【0033】
上記点播施肥装置131の施肥ホース62の吐出口近傍又は点播施肥装置131がない構成の施肥ホース62の吐出口近傍には、図11の側面図に示すように、苗植付装置52と連動して粉粒状肥料を吐出制御するための間欠供給機構121を設ける。間欠供給機構121は、その詳細を図12の縦断面図(a)と横断面図(b)に示すように、ハウジング123内に形成した供給路123cを開閉するシャッタ122を支軸124に取付け、この支軸124をハウジング123から突出して軸支するとともに開閉用レバー125を取付け、その揺動動作によってシャッタ122を開閉可能に構成する。開閉用レバー125には、シャッタ122を閉位置に戻すように戻しばね126を取付ける。
【0034】
開閉用レバー125は、図13に示す苗送り伝動部246の送り軸247に取付けた苗送りカム232と対応してその作用範囲に配置することにより、苗送りカム232を開閉制御カムとして苗植付装置52の植付動作と連動動作可能に共用構成する。また、間欠供給機構121の上流側に近接して上方向に分岐開口する送風ブリーザ口127を形成し、メッシュ材127mを介設するとともに、その上端に自重で閉鎖する蓋128を開閉可能に設ける。この蓋128は、間欠供給機構121が詰まった場合にその上流側の流れを確保しつつ、メッシュ材127mにより粉粒状肥料の飛散を防止する。また、シャッタ122は、定位置停止クラッチにより苗植付装置52が所定の状態で停止した時に閉鎖位置とすることにより、停止時の肥料排出を防止する。
【0035】
上記構成により、苗送りカム232、232は、その1回転について苗植付装置52が1株を植付けるように対応して回動することにより、それぞれと対応する2つの開閉用レバー125、125に作用し、2系統のそれぞれの支軸124a,124bについて各条のシャッタ122…を連動駆動するとともに、苗載台51の横送り端位置においては、その作用によって揺動動作する縦送りレバー249aを取付けた支軸249からワンウェークラッチ軸228aを介して苗載台51の苗送りベルト51bを送り駆動する。
【0036】
上記構成により、肥料貯留タンク60の粉粒体は、肥料繰出部61により繰出量制御され、次いで、施肥ホース62に介設する間欠供給機構121の開閉動作に応じて吐出口から圃場に送出される。このとき、苗送り伝動部246は苗植付装置52の苗植付け動作と連動して伝動動作することから、この苗送り伝動部246によって間欠供給機構121を伝動制御することにより、間欠供給機構121は、簡易な伝動構成により、苗植付け動作に合わせて高精度で連動開閉動作が可能となる。したがって、植付けた苗との関係で定めた所定位置に粉粒状の薬肥を集中して効率よく供給することができる。また、播種に用した場合は所定間隔の点播に対応することができる。
【0037】
また、苗送り伝動部246が、図13の伝動系統展開図による構成例に示すように、送り軸247の両端に夫々苗送りカム232、232を取付けた構成例においては、左右が略同等の2系統の支軸124a,124bによって構成することができるので、時間遅れを最小限度に抑えることができる。
【0038】
このとき、図14のタイムチャートに示すように、苗送りカム232、232の回転と同期させた施肥ホース62内部の肥料通路の開閉用のシャッタ122を開放するタイミングを苗植付具52aの苗植付タイミングより、少し早めにするとより正確に肥料の点播が可能となる。
【0039】
本発明の第二実施例を図面に基づき説明する。
図15〜図19に示す乗用4輪駆動走行形態の直播田植機おいて、点播装置142は、図1に示す苗植付部4に置き換えて田植機の後部に装置される。点播装置142はメインフレーム15の後側に、昇降可能な平行リンク40,41を介して連結される。平行リンク40,41の後端の縦リンク43に点播装置142の中央部がロ−リング軸(図示せず)周りに回動自在に連結される。
【0040】
点播装置142は、上部の種子ホッパ−143から種子を繰り出す繰出ロ−ル144、種子を繰出案内する繰出筒146、更に、この繰出筒146から繰出案内される種子を下方へ放出する種子打込ロ−タ147及び放出筒148等からなる。そして、この点播装置142の下方には、播種フレ−ム150の下方に吊持され土壌面に接地して滑走するフロ−ト55,56を配置している。各フロ−ト55,56の左右両側部に播種筒149が設けられて、上側部に各放出筒148及び繰出筒146下端部をのぞませて、下方へ放出される種子と肥料をフロ−ト55,56で均平にされる土壌面に案内する。播種フレ−ム150の前側に設ける補助輪151は硬軟センサとしての機能を備え、路面上に接地させて圃場の硬さを検出することができ、また、播種作業時は非接地状態に上昇させることができる。
なおフロート55,56の両側には一対の播種用作溝器64と該播種用作溝器64でできた圃場の溝を埋める一対の覆土板153が設けられている。
【0041】
図16に前記点播施肥装置142部分の拡大図を示し、図17には点播施肥装置142の繰出部の円筒状の繰出ロ−ル144部分を示す。繰出ロ−ル144の中心部の繰出ロ−ル軸144bは、三等分角位置に繰出穴144aが形成され、各繰出穴144aの底部には跳出装置として跳出ア−ム154が繰出軸154aの周りに回動自在に設けられ、スプリング155によって繰出穴144a側へ弾発される。また、繰出ロ−ル軸144bの周りにはカムア−ム156が嵌合支持されて、このア−ム156の先端のカムロ−ラ156aに、この跳出ア−ム154の回転域を接当させて、繰出穴144aの底部から外周部へ突出作動させることができる。この跳出ア−ム154の基部ストッパ−154bを繰出ロ−ル144の内周面に接当させる。またカムロ−ラ156aの位置は、繰出ロ−ル軸144bの下位にあって、繰出穴144aから跳ね出される種子の跳出方向Aが、繰出筒146の案内壁面146aに対して下向きの鋭角Bになるように設定する。
【0042】
繰出ロ−ル144の外周回転面は掻き均すスクレ−パブラシ158で掻き均される。
前記種子打込ロ−タ147は、繰出筒146の下部に設けられていて、回転周面は鋸歯状の突子147aが形成されて、各突子147a間に数粒の種子を嵌合させて回転により下方の放出筒148へ放出することができる。この種子打込ロ−タ147は、種子打込ロ−タ軸147bの周りに回転されて突子147aを繰出筒146の下端部を回転圏内としている。突子147aの回転に対して接線方向の状態に繰出筒146が形成される。
【0043】
繰出ロ−ル144が回転されるとホッパ−143内の種子がスプリング155で退没する繰出穴144aに入り込み繰出ロール144の回転で、スクレ−パブラシ158で掻き均されて、所定粒数の種子が下側の繰出筒146側へ繰出される。この繰出穴144aが下側象限に位置すると、穴底部に位置する跳出ア−ム154が跳出(カム)ロ−ラ156aに作用されてスプリング155に抗して外方へ押されて、この繰出穴144a内の種子を下方の案内壁面146aへ向けて放出Aさせる。このように繰出された種子は、種子打込ロ−タ147の突子147a間に係合されて、放出筒148へ変速放出される。このとき間歇的に繰出される種子は散乱することなく少ない突子147a間に係合されて放出され土中に打ち込まれる。このため播種筒149に案内されて土壌面に放出される所定粒数の種子は点播状態として播種されることになる。
【0044】
また、図18にはフロート55,56部分の平面略図を示し、フロート55,56に設けられた覆土板153の作動用部材の機構図を示す。
播種クラッチレバー160(図15も参照)の「入」位置(a1)と「切」位置(a2)の選択でワイヤ161を介して一対のアーム162,162を揺動させてアーム先端の覆土板153を矢印B方向に揺動させる。次に説明する覆土板153の揺動で播種用作溝器64で形成された溝に播種した後を覆土することができる。
【0045】
すなわち播種クラッチレバー160を「切」位置(a2)から「入」位置(a1)に動かすとワイヤ161を経由して一対のアーム162,162の基部を牽引すると各アーム162の先端にトルクスプリング(図示せず)を介して所定の角度で連結している覆土板153が揺動する。このとき圃場と接触状態にある硬軟センサ151(図15も参照)の圃場の硬軟度をチェックする。硬軟センサ151による圃場の硬軟度に合わせて覆土板153の傾斜角度を変えることができるように硬軟センサ151と覆土板153もワイヤ161で連結している。圃場が硬いほど強くワイヤ161を牽引して覆土板153の傾斜度合いを高くする。
【0046】
また覆土板153の傾斜度合いをワイヤ161の牽引度で変えることができるので、この機構を利用して種の植え始めと植え終わりに覆土板153の傾斜度合いを強めて、圃場に印を付けて種の植え付け時の参考にすることもできる。
【0047】
また、覆土板153を操作するまでもなく、種の植え始めと植え終わりとなる圃場の位置に目印となる物体(色紙、有機物からなる水溶性の物体など)を落下させることでも良い。特に畦際で種を植えるときに残りの枕地幅がわかるから便利である。目印となる物体を分解性の有機物から作製すると、公害の原因にもならない。
【0048】
また、直播田植機の植付クラッチ(図示せず)を入れたときに落下する目印の位置は、図19に示すように播種用作溝器64の20〜30cm程前に落下させるような構成とすること望ましい。これは植付クラッチを「入」にしてから、種が圃場に達するまでタイムラグがあるため、目印タンク163内の色紙などの目印を目印タンク繰出部164を介して播種筒149の20〜30cm位前に落とすと、種子ホッパー143から落下してくる種が圃場面に到達するタイミングで目印部分に植え付けることができ、目印位置と実際の種の植え始め、終わりの位置との間に誤差が少なくなる。
【0049】
また、種子打込ロータ147の上流側の繰出筒146にはエアー流入口165(図16)を設けておき、ここからエアーの導入を種子打込ロータ147に向けて流し込むと種(籾)が搬送路で詰まるおそれが無くなる。
さらに種子ホッパー143に水タンク166を付設させておくと、播種用作溝器64についた泥を水で洗い流すことができる。
【0050】
なお、この発明の実施の形態は乗用型の田植機1について記述したが、本発明は乗用型の田植機に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は田植機をはじめとして各種の施肥用、点播用又は薬剤散布用の粉粒体の吐出機を備えた作業機として利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施例の乗用施肥田植機の側面図である。
【図2】図1の乗用施肥田植機の平面図である。
【図3】図1の乗用施肥田植機の施肥装置の一部の側面図である。
【図4】図3の施肥装置の一部の平面図である。
【図5】図4の施肥装置の一部の背面図である。
【図6】図4の施肥装置の肥料繰出部を示す側面断面図である。
【図7】図1の乗用施肥田植機の肥料点播装置の側面図である。
【図8】図7の点播施肥装置の一部拡大図である。
【図9】図7の点播施肥装置の点播ロールの側面図(図8(a))と図8(a)のA−A線矢視図(図8(b))である。
【図10】図7の点播施肥装置の肥料ストッパの平面図である。
【図11】図1の乗用施肥田植機の点播施肥装置の肥料間欠供給機構の側面図である。
【図12】図11の点播施肥装置の肥料間欠供給機構の縦断面図(図12(a))と横断面図(図12(b))である。
【図13】図1の田植機の多条植え苗植付部の伝動系統展開図である。
【図14】図7の点播施肥装置の施肥ホース内部の肥料通路の開閉用のシャッタの開放タイミングと苗植付具の苗植付タイミングのタイムチャートである。
【図15】本発明の一実施例の点播機を備えた乗用施肥田植機の側面図である。
【図16】図15の点播機部分の拡大側面図である。
【図17】図15の点播機部分の部分断面拡大側面図である。
【図18】図15の覆土板の作動連係図である。
【図19】図15の点播機の動作タイミングを取るための構成図である。
【符号の説明】
【0053】
1 田植機 2 走行車体
3 昇降リンク装置 4 苗植付部
5 施肥装置 10前輪
11 後輪 12 ミッションケース
13 前輪ファイナルケース 15 メインフレーム
18 後輪ギヤケース 20 エンジン
21 第一ベルト伝動装置 23 第二ベルト伝動装置
25 植付クラッチケース 26 植付伝動軸
27 施肥伝動機構 30 エンジンカバー
31 座席 32 ボンネット
34 ハンドル 35 フロアステップ
36 リヤステップ 38 予備苗載台
40 上リンク 41 下リンク
42 リンクベースフレーム 43 縦リンク
44 連結軸 45 スイングアーム
46 昇降油圧シリンダ 50 伝動ケース
51 苗載台 51a 苗取出口
51b 苗送りベルト 52 苗植付装置
52a 苗植付具 53 線引きマーカ
54(1・2),54(3・4),54(5・6) 植付畦クラッチ
55 センターフロート 56 サイドフロート
57 上下動検出機構 60 肥料貯留タンク
60a 蓋 61 肥料繰出部
61a 繰出口 61b 管状部
62 施肥ホース 63 施肥ガイド
64 播種用作溝器 66 モータ
67 ブロア 68 エアチャンバ
70 施肥フレーム 71 支持板
72 係止具 73 開閉シャッタ
73a 把手 74 スライド支持部材
75 筒状部 76a 弾性体
76b パッキン 77 繰出ロール
77a 溝 78 繰出軸
78a 角軸部 79 ブラシ
80 接続管 81 エア切替管
82 ホースホルダ 83 肥料排出口
83a 肥料排出管 84 排出シャッタ
85 肥料回収管 86 エア切替シャッタ
87 回収シュート
110(1・2),110(3・4),110(5・6) 畦クラッチレバー
121 間欠供給機構 122 シャッタ
123 ハウジング 123c 供給路
124,124a,124b 支軸
125 開閉用レバー 126 ばね
127 送風ブリーザ口 127m メッシュ材
128 蓋 131 点播施肥装置
132 点播ロール 132a 溝
132b 回転軸 132c 貫通孔
132d 凹部 133 肥料ストッパ
133a スリット 142 点播装置
143 種子ホッパ− 144 繰出ロ−ル
144a 繰出穴 146 繰出筒
146a 案内壁面 147 種子打込ロ−タ
147a 突子 147b 種子打込ロ−タ軸
148 放出筒 149 播種筒
150 播種フレ−ム 151 硬軟センサ
153 覆土板 154 跳出ア−ム
154a 繰出軸 154b 基部ストッパ−
155 スプリング 156 カムア−ム
156a カムロ−ラ 158 スクレ−パブラシ
160 播種クラッチレバー 161 ワイヤ
162 アーム 163 目印タンク
164 目印タンク繰出部 165 エアー流入口
166 水タンク 200 点播施肥装置
228a ワンウェークラッチ軸 232 苗送りカム
246 苗送り伝動部 247 送り軸
249 支軸 249a 縦送りレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を吐出口まで案内する移送管と、移送管へ粉粒体移送のための圧力風を供給する送風機とを備えた粉粒体吐出機において、
移送管の適宜位置に繰り出された粉粒体を受けて間欠的に吐出口へ供給するための間欠繰出回転体を設け、
移送管の間欠繰出回転体設置部の移送経路が間欠繰出回転体への繰出経路と圧力風を通す圧力風用経路とに分岐し、この分岐した両経路が間欠繰出回転体の移送下手側で合流する構成を備えたことを特徴とする粉粒体吐出機。
【請求項2】
間欠繰出回転体が、圧力風用経路とは反対側に回転して繰り出す構成であることを特徴とする請求項1記載の粉粒体吐出機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−262798(P2006−262798A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86624(P2005−86624)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】